JP3816292B2 - ジアゾ感光紙用支持体及びそれを用いたジアゾ感光紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアゾ感光紙用支持体及びそれを用いたジアゾ感光紙に関し、さらに詳しくは、低コントラスト画像及び保存時のプレカッリングが防止され、高発色性で鮮明な画像を与えることのできる中性紙からなるジアゾ感光紙用支持体及びこれを用いたジアゾ感光紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾ感光紙は、一般に、ロジンサイズ剤等によりサイジングされた紙面pHが2〜5の酸性紙を支持体とし、その上に、ジアゾ化合物、カップリング成分及び各種助剤を含有した感光層を形成してなるものである。
ところが近年、ジアゾ感光紙の支持体として用いる上質紙や複写印刷用紙分野の主流は、アルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸等の中性サイズ剤によりサイジングされた紙面pH6〜9の中性紙となりつつあり、従来の酸性紙は特殊紙化し、そのためにコスト高となり、入手も困難となってきている。
このような結果、全面的に中性紙を支持体として使用せざるを得ない状況にある。
しかしながら、中性紙を支持体としたジアゾ感光紙にあっては、画像濃度が低く、地肌のヌケも悪化して、低コントラスト画像になり、しかも中性紙は通常、炭酸カルシウムを填料として含んでいるため、そのアルカリ性によって保存中にプレカップリングが徐々に進み、好ましくない着色が発生して、実用に供するには満足すべきものではないものとなっていた。
【0003】
このような不都合を解消するものとして、インクジェット用紙を用いることが試みられている。
例えば、特開平8−269893号公報には、インクジェット記録用インクの染料のカルボキシル基が、中性紙中に含まれる炭酸カルシウムと反応して、発色性が変化し、印字物の品位が損なわれるため、炭酸カルシウムに代えて珪酸塩系の填料を含有する基紙を用い、その片面に無定形シリカと水系結着剤を主成分とする記録層を設けた記録用紙が提案されている。
しかし、珪酸塩系の填料を含有する紙をジアゾ感光紙の支持体に用いた場合は、紙面pHが酸性にシフトする恐れがある上に、炭酸カルシウムを填料とする中中性紙市場の趨勢に反するものとなっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みて、低コントラスト画像及び保存時のプレカッリングが防止され、高発色性で鮮明な画像を与えることのできる中性紙からなるジアゾ感光紙用支持体及びこれを用いたジアゾ感光紙を提供するみとをその課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、紙面pHが6.0以上の中性紙からなるジアゾ感光紙用支持体であって、カゼインを含有し、かつ、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩もしくは塩化物を含有するサイズ剤により表面処理したことを特徴とするジアゾ感光紙用支持体、及び紙面pHが6.0以上の中性紙を支持体とするジアゾ感光紙であって、該支持体を上記ジアゾ感光紙用支持体としたことを特徴とするジアゾ感光紙が提供される。
【0006】
本発明はまず、紙面pHが6.0以上の中性紙からなるジアゾ感光紙用支持体であって、カゼインを含有し、かつ、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩もしくは塩化物を含有するサイズ剤により表面処理したことを特徴とするジアゾ感光紙用支持体を提供する。本発明に用いられる中性紙は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、サイズ剤及び填料を主材とし、その他、必要に応じて抄紙助剤を用い、常法により抄紙さされる。使用されるパルプ材としては、機械パルプや古紙パルプを併用してもよく、これらを主材とするものであってもよい。本発明に用いられる中性紙は、省資源による地球環境保護を企図し、再生原料の活用の観点から、古紙を原料とする再生パルプを50%以上含有するパルプから抄造されたものであることが望ましい。ここに古紙としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌等が挙げられる。具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙(登録商標)等のプリンター用紙、PPC用紙等のOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗被紙、上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗被紙等の紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙等が使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わないものである
【0007】
本発明は、紙面pHが6.0以上の中性紙からなるジアゾ感光紙用支持体であって、カゼインを含有し、かつ、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩もしくは塩化物を含有するサイズ剤により表面処理したことを特徴とするものである。カゼインは、リン蛋白質に属する蛋白質混合物であり、分子量75000〜375000の高分子物質である。このカゼインは、ラクチックカゼイン、塩酸カゼイン、レンネットカゼインのような、水溶性のカゼインが好ましい。ここに、ラクチックカゼインとは、原乳から得られた脱脂乳を乳酸菌によって発酵させたものを言う。塩酸カゼインとは、原乳から得られた脱脂乳に塩酸を添加してpHを等電点以下にしたものを言う。レンネットカゼインとは、原乳から得られた脱脂乳に仔牛の胃内分泌物(Rennet)を添加して乳精を除去したものを言う。カゼインは、通常、水溶液として用いられ、その濃度は0.5〜20%、好ましくは、3〜10%である。カゼイン水溶液の濃度が、0.5%未満では、高発色性で鮮明な画像が得られないことがあり、20%を越えると、水溶液が粘稠化し、製膜性が悪化することがあるので望ましくない。表面サイズの方法は、一般的に行われているサイズプレス等の方法により行えばよく、特に限定されるものではない。中性紙表面サイズ剤の付着量は、通常、0.1〜10g/m2、好ましくは0.5〜3g/m2である。サイズ剤の付着量が、0.1g/m2未満では、ジアゾ感光紙保存時のプレカップリング効果が低くなることがあり、10g/m2を越えたとしても、増量の効果は期待できない。
【0008】
サイジングは常法によって行うことができ、例えば、サイズ剤を中性紙表面に付着させ、プレスすることによって行われる。
このように、中性紙表面をサイズ処理することによって、耐水性及び耐アルカリ性のバリア層として機能し、中性紙中に含まれる炭酸カルシウムの悪影響を遮断すると共に、この上に塗工形成されるジアゾ複写層の支持体である中性紙中への拡散、浸透を低減させることができるため、中性紙を支持体としたときの不都合が解消されるものである。
【0009】
本発明においては、また、サイズ剤として、次の(A)〜(C)のいずれかを用いることが好ましい。
(A)カゼイン、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩もしくは塩化物及び水溶性澱粉からなるサイズ剤。
(B)カゼイン、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩もしくは塩化物及び無定形多孔質シリカからなるサイズ剤。
(C)カゼイン、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩もしくは塩化物、水溶性澱粉及び無定形多孔質シリカからなるサイズ剤。
【0010】
カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩もしくは塩化物としては、例えば、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。
水溶性澱粉としては、生澱粉も使用できるが、酸化澱粉等のような、生澱粉の粘度を下げるために変性された澱粉が好ましい。
無定形多孔質シリカとしては、一般にホワイトカーボンと指称される粉末シリカやコロイダルシリカ等が挙げられる。
これらカルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩もしくは塩化物、水溶性澱粉、無定形多孔質シリカは、カゼインに対し、合計量として重量基準で、0.5〜5%、好ましくは、1〜4%である。
【0011】
本発明は、次に、紙面pHが6.0以上の中性紙を支持体とするジアゾ感光紙であって、該支持体を上記ジアゾ感光紙用支持体としたことを特徴とするジアゾ感光紙を提供する。
本発明のジアゾ感光紙は、上記支持体上に直接感光液を塗布することによって感光層を形成して得られ、画像濃度、光感度を改善し、筆記性等を向上させるたに、無機粒子又は有機微粒子と結着剤とからなるプレコート層を、支持体と感光層の間に形成してもよい。
【0012】
感光層は、ジアゾ化合物とカップラーを含有する層である。
ジアゾ化合物は、一般式Ar−N2+−X-で表されるジアゾニウム塩であり、式中、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、ArN2+はジアゾニウムカチオンを表し、X-は酸アニオンを示す。
ジアゾ化合物としては、例えば、4−ジアゾ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−ジエチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−メチルヒドロキシエチルアニリン、4−ジアゾフェニルモルホリン、4−ジアゾ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジメトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−エチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−オキシエチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルピペラジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルピロリジン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルピペリジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−1−ベンゾイルアミノ−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−クロルベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェニルメルカプト−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−クロルフェニルメルカプト)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(2'−トルイルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェノキシー−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシフェノキシ)−2,5−ジエトキシベンゼンなどの塩化物の塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化錫等の複塩及び上記ジアゾ化合物の硫酸、ヘキサフルオロリン酸、4フッ化ホウ素酸などの無機酸の塩等を挙げることができる。
【0013】
カップラーは、ジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するもので、カルボニル基の隣に活性メチレン基を有する化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体等がある。
例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N,N−ジメチルアミノモルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、ベンゾイルアセトアニリド、3−ヒドロキシシアノアセトアニリド、パラスルホアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)ベンゼン等が挙げられる。
これらのカップラーは、単独で用いてもよく、2種以上を用いて任意の色相を得ることもできる。
【0014】
ジアゾ化合物の使用量は、感光層に対し、重量基準で通常は、0.5〜1.5%、好ましくは、0.7〜1.2%であり、カップラーの使用量は、通常は、0.5〜1.5%、好ましくは、0.9〜1.1%である。
感光層の厚さは、通常は、50〜300μm、好ましくは、70〜120μmとされる。
【0015】
プレコート層に使用する微粒子は、無機微粒子、有機微粒子いずれもが使用でき、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、尿素−ホルマリン縮合物樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等が挙げられる。
結着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カゼイン、ゼラチン、デンプン及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種エマルジョン樹脂を挙げることができる。
結着剤に含まれる微粒子の量は、重量基準で通常は、0.5〜5%、好ましくは、1〜4%である。
【0016】
本発明のジアゾ感光紙にあっては、上記した発色成分の他に、通常のジアゾ感光紙に用いられる各種添加物、保存性向上剤、溶解剤、酸安定剤等を用いてもよい。
保存性向上剤としては、ナフタレン−モノスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−ジスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−トリスルホン酸ナトリウム、スルホサリチル酸、硫酸カドミウム、硫酸マグネシウム、塩化カドミウム、塩化亜鉛等が使用でき、溶解剤として、カフェイン、ティオフェリン等、酸安定剤として、クエン酸、酒石酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等が使用できる。
その他に、サポニンを少量添加することもできる。
【0017】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。
なお、「部」、「%」とあるのは、いずれも重量基準である。
また、実施例及び比較例において使用した中性紙は、公知の方法で抄造して得られた中性紙である。
【0018】
参考例1
中性紙(パルプはLBKP100%使用,紙面pH6.8)を、下記の組成からなる表面サイズ液を用い、付着量1.5g/m2でサイズプレスを行い、ジアゾ感光紙用支持体を作製した。
〔サイズ液組成〕
塩酸カゼイン 3部
水 95部
このジアゾ感光紙用支持体上に、下記の組成からなるプレコート層液をエアーナイフにより塗布、乾燥し、付着量1.2g/m2のプレコ−ト層を形成した。
〔プレコ−ト層液組成〕
微粉シリカ 3部
スチレン−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(45%) 2部
ポリビニルアルコ−ル水溶液(20%) 5部
水 90部
このプレコート層の上に、下記の組成からなるジアゾ感光層液をエアーナイフにより塗布、乾燥し、付着量0.6g/m2の感光層を形成して、ジアゾ感光紙を得た。
〔感光層液組成〕
4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルモルホリン
塩化物・1/2塩化亜鉛 1部
2,ヒドロキシ−3,ナフトエ酸モルホリノ
プロピルアミド 1部
酒石酸 1.5部
カフェイン 0.5部
エチルアルコ−ル 1部
サポニン 0.1部
水 95部
【0019】
参考例2
中性紙を、古紙再生パルプが配合された中性紙(パルプはLBKP30%、模造古紙パルプ70%使用、紙面pH6.4)とした以外は、実施例1と同様にしてジアゾ感光紙を得た。
【0020】
実施例1
中性紙(パルプはLBKP100%使用,紙面pH6.8)を、下記の組成からなる表面サイズ液を用い、付着量1.0g/m 2 でサイズプレスを行い、ジアゾ感光紙用支持体を作製した。
〔サイズ液組成〕
塩酸カゼイン 5部
硫酸アルミニウム 3部
水 95部
このジアゾ感光紙用支持体上に、下記の組成からなるプレコート層液をエアーナイフにより塗布、乾燥し、付着量1.2g/m 2 のプレコ−ト層を形成した。
〔プレコ−ト層液組成〕
微粉シリカ 3部
スチレン−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(45%) 2部
ポリビニルアルコ−ル水溶液(20%) 5部
水 90部
このプレコート層の上に、下記の組成からなるジアゾ感光層液をエアーナイフにより塗布、乾燥し、付着量0.6g/m 2 の感光層を形成して、ジアゾ感光紙を得た。
〔感光層液組成〕
4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルモルホリン
塩化物・1/2塩化亜鉛 1部
2,ヒドロキシ−3,ナフトエ酸モルホリノ プロピルアミド 1部
酒石酸 1.5部
カフェイン 0.5部
エチルアルコ−ル 1部
サポニン 0.1部
水 95部
【0021】
実施例2
実施例1と同じ中性紙を使用し、下記の組成からなる表面サイズ液をゲートロールサイズプレスにより、付着量1.5g/m2で表面サイズし、ジアゾ感光紙用支持体を作製した。
〔サイズ液組成〕
塩酸カゼイン 3部
塩化カルシウム 2部
水 95部
このジアゾ感光紙用支持体の上に、実施例1と同様のプレコート層、感光層を形成し、施例1と同様にしてジアゾ感光紙を得た。
【0022】
実施例3
古紙再生パルプが配合された中性紙(パルプはLBKP30%、模造古紙パルプ70%使用、紙面pH6.4)を使用し、下記の組成からなる表面サイズ液をサイズプレスにより、付着量1.7g/m2で表面サイズし、ジアゾ感光紙用支持体を作製した。
〔サイズ液組成〕
塩酸カゼイン 3部
微粉シリカ(日本アエロジル社製 200V) 1.5部
硫酸アルミニウム 1.5部
水 95部
このジアゾ感光紙用支持体の上に、実施例1と同様のプレコート層、感光層を形成し、施例1と同様にしてジアゾ感光紙を得た。
【0023】
比較例1
実施例1と同じ中性紙を使用し、表面サイズ剤をポリビニルアルコール5%水溶液とした以外は、実施例1と同様にしてジアゾ感光紙用支持体及びジアゾ感光紙を得た。
【0024】
比較例2
実施例1と同じ中性紙を使用し、表面サイズ剤をポリアクリルアミド3%及び硫酸マグネシウム2%とした以外は、実施例3と同様にしてジアゾ感光紙用支持体及びジアゾ感光紙を得た。
【0025】
比較例3
実施例2と同じ中性紙を使用し、表面サイズ剤をポリビニルアルコール3%及び無定形シリカ2%とした以外は、実施例1と同様にしてジアゾ感光紙用支持体及びジアゾ感光紙を得た。
比較例で得たジアゾ感光紙用支持体はいずれも、ジアゾ感光液を塗布したとき、実施例のそれに比べ塗布液の浸透が大きいため、液付着量が増大して、感度をを低下させたため、感光液の希釈が必要であった。
【0026】
〔評価〕
このようにして得たジアゾ感光紙に、原図を重ねてリコー社ジアゾ複写機SD−730を使用して露光、現像したところ、青色画像が得られた。得られた画像濃度の評価は、反射濃度計(マクベス濃度計RD914型)で測定して行った。濃度変化量も算出した。また、得られたジアゾ感光紙を現像したサンプルの画像部の均一性、滑らかさ、緻密性(地合)を視認して評価した。さらに、生保存性を試験するため、各サンプルを50℃で5日間放置し、強制劣化させた後、取り出し、上記複写機で全面露光し、地肌部の濃度を上記反射濃度計定した。結果を表1に示す。
【表1】
表1から、本発明のジアゾ感光紙は、高濃度で地合が良好であり、保存性にも優れているものであるのに対し、従来技術に基づく比較例のジアゾ感光紙は、濃度が低く、地合にも劣り、また、保存性が著しく劣る(カブリが大きい)ジアゾ感光紙であることが分かる。本発明のジアゾ感光紙は、中性紙を支持体を用いたにもかかわらず、生保存性に優れ、高発色で画像部の地合の良好な画像を与えるものである。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、低コントラスト画像及び保存時のプレカッリングが防止され、高発色性で鮮明な画像を与えることのできる中性紙からなるジアゾ感光紙用支持体及びこれを用いたジアゾ感光紙が提供され、感光紙分野になす寄与はきわめて大きいものである。
Claims (5)
- 紙面pHが6.0以上の中性紙からなるジアゾ感光紙用支持体であって、カゼインを含有し、かつ、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩もしくは塩化物を含有するサイズ剤により表面処理したことを特徴とするジアゾ感光紙用支持体。
- サイズ剤が、水溶性澱粉を含有するものである請求項1に記載のジアゾ感光紙用支持体。
- サイズ剤が、無定形多孔質シリカを含有するものである請求項1〜2のいずれかに記載のジアゾ感光紙用支持体。
- 中性紙が、古紙を原料とする再生パルプを50%以上含有するパルプから抄造されたものである請求項1〜3のいずれかに記載のジアゾ感光紙用支持体。
- 紙面pHが6.0以上の中性紙を支持体とするジアゾ感光紙であって、該支持体を請求項1〜4いずれかに記載のジアゾ感光紙用支持体としたことを特徴とするジアゾ感光紙。
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