JP3816303B2 - ジアゾ複写材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はジアゾ複写材料に関し、詳しくは、保存時のプレカッリングが防止され、高発色性で鮮明な画像を得ることのできるジアゾ複写材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾ複写材料は、一般に、ロジンサイズ剤等でサイジングされた紙面pHが2〜5の酸性紙を支持体とし、その上にプレコート層を介して、ジアゾ化合物、カップラー及び各種助剤を含有した感光層を設け、この感光層を設けた支持体の反対面にバック層を形成してなるものである。
ところが近年、支持体として用いる上質紙や複写印刷用紙分野においては、アルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸等の中性サイズ剤によりサイジングされた紙面pH6〜9の中性紙がその大半を占め、従来の酸性紙は特殊化し、コスト高となり、入手も困難な状況になりつつある。
このため、近い将来には、中性紙をジアゾ複写材料の支持体として用いざるを得ない状況にある。
【0003】
しかしながら、中性紙を支持体としたジアゾ複写材料にあっては、画像濃度が低く、地肌のヌケも悪く、低コントラスト画像になって、いまだ実用に供するレベルにまでは達していないものであった。
これは、中性紙が一般的には、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等を填料として含み、そのアルカリ性に起因して、保存中にプレカップリングが徐々に進行するからである。
そこで、インクジェット記録用インクの染料に含まれるカルボキシル基が、中性紙中に含まれる炭酸カルシウムと反応して発色性が変化し印字物の品位が損なわれることから、炭酸カルシウムに代えて珪酸塩系の填料を含有する基紙を用い、その片面に無定形シリカと水系結着剤を主成分とする記録層を設けた記録用紙が提案されている(特開平8−269893号公報)。
しかし、珪酸塩系の填料を含有する紙をジアゾ複写材料の支持体に用いた場合は、紙面pHが酸性にシフトする恐れがある上に、いまや炭酸カルシウム等を填料とする中性紙市場の趨勢を無視することにもなり、現状に即したものとは言い難いものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みて、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等を含有する中性紙を支持体として用いるものでありながら、保存時のプレカッリングが防止され、高発色性で鮮明な画像を得ることのできるジアゾ複写材料を提供することをその課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、支持体の一方の面に、プレコート層を介してジアゾ化合物及びカップラーを主成分とする感光層を設け、支持体の他方の面にバック層を設けてなるジアゾ複写材料であって、該支持体が、紙面pH6以上の中性紙からなり、該プレコート層及びバック層が、水溶性加工澱粉を含有するものであり、かつ該プレコート層及び/又はバック層が、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物を含有するものであることを特徴とするジアゾ複写材料が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、JIS P 8133に規定の紙面pHが6以上の中性紙を支持体とし、その支持体の一方の面に、プレコート層を介してジアゾ化合物及びカップラーを主成分とする感光層を設け、支持体の他方の面に、バック層を設けてなるジアゾ複写材料である。
【0007】
支持体として用いる中性紙は、ソーダパルプ、クラフトパルプ、サルファイトパルプ等の化学パルプ、サイズ剤、填料を主材とし、必要に応じてその他の抄紙助剤を用い、常法により抄造される紙である。
パルプ材としては、機械パルプや古紙パルプを併用してもよいが、省資源の見地から、古紙を原料とする再生パルプを50%以上含有するパルプを用いることが好ましい。
得られた中性紙は、その紙面pHが6以上となっているおり、冷水等で抽出したときのpHは7〜9となっている。
古紙パルプの原料としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌等が挙げられる。
さらに具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等プリンター用紙、PPC用紙等のOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗被紙、上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗被紙等の紙や板紙の古紙であって、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙等が挙げられる。
これら古紙は、印字、複写、印刷等の有無を問わない。
【0008】
本発明は、この支持体の一方の面に設けられるプレコート層が、水溶性加工澱粉を含有するものであることを特徴とする。
ここに用いる水溶性加工澱粉としては、酵素分解澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、カチオン澱粉、リン酸澱粉、酢酸澱粉を、好適なものとして挙げることができる。
酵素分解澱粉とは、生澱粉をα−アミラーゼによって分解、変性した澱粉をいう。
酸化澱粉とは、生澱粉を酸化剤によって酸化、変性した澱粉をいう。
ヒドロキシエチル澱粉とは、生澱粉とエチレンオキシドとの反応によって変性した澱粉をいう。
カチオン澱粉とは、生澱粉の分子中に、1級、2級もしくは3級アルキルアミン又は4級アンモニウム塩を導入し、陽性に荷電させた澱粉をいう。
リン酸澱粉とは、生澱粉にオルトリン酸又はポリリン酸と尿素を混合して加熱し、エステル化変性した澱粉をいう。
酢酸澱粉とは、生澱粉に酢酸を混合し、エステル化変性した澱粉をいう。
これら水溶性加工澱粉は、重量基準で2%以上の水に対する溶解度を有しているものが好ましい。
2%未満の低い溶解度では、塗工液の粘度を上昇させ、安定性を低下させて十分な成膜性が得られないので好ましくない。
この水溶性加工澱粉の含有量は、重量基準でプレコート層に対し、通常は、0.5〜5%、好ましくは、1〜3%である。
水溶性加工澱粉の含有量が、0.5%未満では、プレコート層の中性紙との接着性が低下する原因となり、5%を越えると、塗工液の増粘、安定性の低下及び得られるジアゾ複写材料の画像濃度低下を招くこととなるので望ましくない。
【0009】
このプレコート層には、上記水溶性加工澱澱粉の外に、補助結着剤として、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種エマルジョン樹脂を適宜、使用することができる。
【0010】
本発明のジアゾ複写材料にあっては、上記プレコート層に、さらに、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物を含有させることが好ましい。
カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物としては、例えば、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。
これらカルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物の含有量は、重量基準でプレコート層に対し、通常は、0.1〜3.0%、好ましくは、0.5〜2.5%である。
この含有量が、0.1%未満では、保存性(プレカップリングを防止する)が不十分となり、3.0%を越えると、発色性が低下することとなるので望ましくない。
【0011】
また、上記プレコート層に、酸をを含有させることが一層、好ましい。
この酸は、水溶性で、かつ不揮発性の酸であれば無機酸、有機酸のいずれもが使用でき、例えば、無機酸としては、硫酸、硼酸、リン酸、ピロリン酸等を、有機酸としては、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、スルホサリチル酸、パラトルエンスルフォン酸等を挙げることができる。
これら酸の含有量は、重量基準でプレコート層に対し、通常は、0.1〜3%、好ましくは、0.5〜2.5%である。
この酸の含有量が、0.1%未満では、保存性が不十分となり、3%を越えると、発色性と画像濃度を低下させる原因となるので望ましくない。
【0012】
プレコート層の塗工量は、乾燥後付着量で0.5〜4.0g/m2の範囲が望ましい。
塗工量が0.5g/m2未満では、支持体を均一に被覆することができず、感光層の浸透ムラを発生させ、また、保存時のプレカップリング防止効果が十分でない。
塗工量が4.0g/m2を超える場合は、感光層のプレコート層への不均一な浸透が発生すると共に、感度の低下を引き起こし、現像性を低下させることとなる。
【0013】
本発明のジアゾ複写材料にあっては、プレコート層に、水溶性加工澱澱粉、所望により、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物及び酸を含有させることによって、プレコート層が、耐水性及び耐アルカリ性のバリアー層として機能するものである。
その結果、支持体である中性紙中の炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等のアルカリ性物質の悪影響を軽減し、この上に塗工される感光層の支持体中への拡散、浸透を低減させるため、特に保存時のプレカップリング防止効果が顕著になり、支持体として中性紙を使用したときの欠点が解消されるものと考察される。
【0014】
本発明は、このように、支持体の一方の面に、プレコート層を設け、その上ににジアゾ化合物及びカップラーを主成分とする感光層を設けてなるジアゾ複写材料である。
本発明で使用されるジアゾ化合物は、一般式ArN2+X-(式中、Arは置換又は無置換の芳香族炭化水素基を示し、ArN2+はジアゾニウムカチオンを示し、X-は酸アニオンを示す)で表されるジアゾニウム塩である。
このジアゾ化合物の具体例としては、例えば、4−ジアゾ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−ジエチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−メチルヒドロキシエチルアニリン、4−ジアゾフェニルモルホリン、4−ジアゾ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジメトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−エチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−オキシエチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルピペラジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルピロリジン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルピペリジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−1−ベンゾイルアミノ−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−クロルベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェニルメルカプト−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−クロルフェニルメルカプト)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(2'−トルイルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェノキシ−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシフェノキシ)−2,5−ジエトキシベンゼン等の塩化物の塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化錫等の複塩及び上記ジアゾの硫酸、ヘキサフルオロリン酸、4フッ化ホウ素酸等の無機酸の塩等を挙げることができる。
【0015】
カップラーは、ジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するもので、カルボニル基の隣にメチレン基を有する、いわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体等がある。
これらカップラーとしては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N,N−ジメチルアミノモルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、ベンゾイルアセトアニリド、3−ヒドロキシシアノアセトアニリド、パラスルホアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)ベンゼン等が挙げられる。
これらのカップラーは、単独で用いてもよく、任意の色相を得るために2種以上の混合物を用いることもできる。
このジアゾ化合物及びカップラーを主成分とする感光層においては、重量基準で感光層に対し、ジアゾ化合物は、0.1〜3%、カップラーは、0.5〜5%用いられる。
プレコート層上に形成される感光層は、公知の手段で塗工され、その材料も一般にジアゾ複写材料にに使用されているものを採用することができる。
【0016】
本発明は、上記のとおり、支持体の一方の面に、プレコート層を設け、その上にジアゾ化合物及びカップラーを主成分とする感光層を設けると共に、支持体の他方の面に、バック層を設けてなるジアゾ複写材料である。
そして、このバック層に、水溶性加工澱澱粉を含有させたことを特徴とするものである。
ここに用いる水溶性加工澱澱粉は、上記プレコート層に用いる水溶性加工澱澱粉と同様であり、その含有量は、バック層に対し、重量基準で通常は、0.3〜3%、好ましくは、0.5〜2.5%である。
水溶性加工澱澱粉の含有量が、0.3%未満では、中性紙のアルカリ成分のブロック効果を低下させるため、保存性が不十分となり、3%を越えると、カールの調製が困難となったり、発生性を低下させることとなるので望ましくない。
【0017】
また、上記バック層に、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物を含有させることが好ましい。
このカルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物も、上記プレコーコート層に用いるものと同様であり、その含有量は、バック層に対し、重量基準で通常は、0.1〜3%、好ましくは、0.5〜2.5%である。
この含有量が0.1%未満では、保存性が不十分となり、3%を越えると、発色性、画像濃度を低下させることとなるので望ましくない。
【0018】
さらに、上記バック層に、酸をを含有させることがより好ましい。
この酸も、上記プレコーコート層に用いるものと同様であり、その含有量は、バック層に対し、重量基準で通常は、0.1〜3%、好ましくは、0.5〜2.5%である。
この含有量が0.1%未満では、保存性が不十分となり、3%を越えると、発色性、画像濃度を低下させることとなるので望ましくない。
【0019】
バック層の塗工量は、乾燥後付着量で0.1〜3.0g/m2の範囲が望ましい。
0.1g/m2未満では、カールの調整が困難となるばかりでなく、保存時のプレカップリングを抑制することができず、3.0g/m2を越えると、カールコントロールが困難となると共に現像性が低下することとなる。
【0020】
このように、本発明のジアゾ複写材料にあっては、バック層に、水溶性加工澱澱粉、所望により、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物及び酸を含有させることによって、バック層が、耐水性及び耐アルカリ性のバリアー層として機能するものであることは、上記プレコート層の場合と同様である。
その結果、支持体である中性紙中の炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等のアルカリ性物質の悪影響を軽減し、この上に塗工される感光層の支持体中への拡散、浸透を低減させるため、特に保存時のプレカップリング防止効果が顕著になり、支持体として中性紙を使用したときの欠点が解消されるものと考えられる。
【0021】
本発明においては、プレコート層及びバック層に、上記成分の外、アゾ複写材料に慣用されているもの、例えば、無定形シリカ微粉末、カオリン、タルク、水酸化アルミニウム等の画像濃度補強剤、ポリエチレン系ワックス、カルナバロウ等の滑剤等を適宜、用いてもよい。
また、通常のジアゾ複写材料に用いられる各種添加物、例えば、保存性向上剤としてナフタレン−モノスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−ジスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−トリスルホン酸ナトリウム、スルホサリチル酸等の芳香族スルフォン酸塩、硫酸カドミウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化カドミウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の金属塩が使用できる。
さらに、溶解剤としてカフェイン、ティオフェリン等、酸化防止剤としてチオ尿素、尿素等、酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等、塗布安定剤としてサポニン、エチルアルコール等のアルコール類を少量添加することもできる。
その他に、現像促進剤としてエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類、グリコールエーテル類等の多価アルコール及びその誘導体が使用可能である。
画像濃度補強剤としては、コロイダルシリカ、無定形シリカ微粉末等が適宜、使用される。
このようにして作製された本発明のジアゾ複写材料は、アンモニアガスを使用した乾式現像法、アルカリ性有機溶剤を使用した半乾式現像法(ジアゾ複写材料への現像液付着量が5g/m2以下と少量の湿式現像法)等により、顕像化される。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。
なお、「部」、「%」とあるのは重量基準である。
実施例及び比較例において、支持体として使用した中性紙は、公知の方法で抄造された紙であって、次のとおりである。
【0023】
実施例1
中性紙1上に、下記組成からなるプレコート層液をエアーナイフにて塗布し、乾燥後付着量2.5g/m2のプレコート層を形成した。
〔プレコート層液組成〕
無定形シリカ粉末(シオノギ製薬製FPS) 3部
酸化澱粉(ホーネン製SP−1F(タピオカ澱粉を変性して可溶性化した澱粉))
1.5部
スチレン−アクリル酸エステル共重合エマルジョン 2部
(三井化学製RE3700、50%固形分)
このプレコート層上に、下記組成からなるジアゾ感光層液をエアーナイフにて塗布し、乾燥後付着量0.6g/m2の感光層を形成した。
〔感光層液組成〕
4−ジアゾ−2,5ジブトフェニルモルフォリン
塩化物・1/2塩化亜鉛 1部
2−ヒドロキシ3−ナフトエ酸モルフォリノプロピルアミド 1部
酒石酸 1部
チオ尿素 2部
カフェイン 1部
硫酸亜鉛 1部
エチルアルコール 1部
サポニン 0.1部
水 92部
次いで、プレコート層及び感光層を形成した支持体の反対面に、下記組成からなるバック層液をエアーナイフにて塗布し、乾燥後付着量0.5g/m2のバック層を形成し、ジアゾ複写材料を作製した。
〔バック層液組成〕
酸化澱粉(ホーネン製SP−1F(タピオカ澱粉を変性して可溶性化した澱粉))
2部
硫酸アルミニウム 2部
水 98部
【0024】
実施例2
中性紙2上に、下記組成からなるプレコート層液をエアーナイフにて塗布し、乾燥後付着量1.8g/m 2 のプレコート層を形成した。
〔プレコート層液組成〕
加工澱粉(敷島スターチ製M−200(コーンスターチを変性し可溶性化した澱粉))
2部
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 2部
(日信化学製RC−124、40%固形分)
無定形シリカ粉末(日本アエロジル200) 3部
次いで、このプレコート層上に、下記組成からなる感光層液を実施例1と同様にして塗布し、乾燥後付着量0.8g/m 2 の形成した。
〔感光層液組成〕
4−ジメチルアミノベンゼンジアゾニウムクロライド
・1/2塩化亜鉛 0.5部
2,3ジヒドロキシナフタレン−6−スルフォン酸ソーダ 1.5部
リンゴ酸 1部
チオ尿素 3部
トリエチレングリコール 2部
塩化亜鉛 2部
サポニン 0.1部
水 90部
続いて、プレコート層及び感光層を形成した支持体の反対面に、下記組成からなるバック層液をエアーナイフにて塗布し、乾燥後付着量0.8g/m 2 のバック層を形成し、ジアゾ複写材料を作製した。
〔バック層液組成〕
加工澱粉(敷島スターチ製M−200(コーンスターチを変性し可溶性化した澱粉))
3部
硫酸 1部
塩化亜鉛 2部
水 96部
【0028】
比較例1
実施例1のプレコート層液及びバック層液に用いた水溶性加工澱粉を、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA-205)に代え、バック層に硫酸アルミニュウミムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてジアゾ複写材料を作製した
【0029】
比較例2
実施例1のプレコート層液及びバック層液に用いた水溶性加工澱粉を、ゼラチン(新田ゼラチン製)に代えた以外は、実施例1と同様にしてジアゾ複写材料を作製した。
【0030】
比較例3
実施例2のプレコート層液及びバック層液に用いた水溶性加工澱粉を、コーンスターチ(敷島スターチMC−500、水溶解度2%以下)に代え、バック層に塩化亜鉛2部を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にしてジアゾ複写材料を作製した。
【0031】
比較例4
実施例2のバック層液に用いた塩化亜鉛を、塩化マグネシウムに代えた以外は、実施例2と同様にしてジアゾ複写材料を作製した。
【0032】
〔評価〕
このようにして作製したジアゾ複写材料に原図を重ねてジアゾ複写機で露光、現像したところ青色画像が得られた。このとき、実施例1及び比較例1,2は、リコー製SD−730を、実施例2及び比較例3,4は、リコー製SM−1500を用いて、露光、現像した。得られた画像濃度の評価は、反射濃度計(マクベス濃度計RD914型)で測定した。また、得られたジアゾ複写材料を現像したサンプルの画像部の均一性、滑らかさ、緻密性(地合)を視認して評価した。この評価は、5段階とし、ランク5が最良で、ランク数が低くなるにしたがって地合が低下することを表わしている。さらに、生保存性を試験するため、各サンプルを50℃で5日間放置し、強制劣化させた後、取り出し、上記複写機で全面露光し、地肌部の濃度を上記反射濃度計で測定した。また、その変化量も算出した。これらの結果を表1に示す。
【表1】
表1から、実施例のジアゾ複写材料は、高濃度で地合に優れ、保存性も良好であるのに対し、従来技術に基づく比較例のジアゾ複写材料は、濃度が低く、地合にも劣り、かつ保存性に著しく劣る(カブリが大きい)印字画像を与えるものであることが分かる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、保存時のプレカップリングが防止され、高発色性で鮮明な画像を得ることのできるジアゾ複写材料が提供され、ジアゾ複写材料の設計、作製分野に寄与するところはきわめて大きいものである。
Claims (5)
- 支持体の一方の面に、プレコート層を介してジアゾ化合物及びカップラーを主成分とする感光層を設け、支持体の他方の面にバック層を設けてなるジアゾ複写材料であって、該支持体が、紙面pH6以上の中性紙からなり、該プレコート層及びバック層が、水溶性加工澱粉を含有するものであり、かつ該プレコート層及び/又はバック層が、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物を含有するものであること特徴とするジアゾ複写材料。
- 該水溶性加工澱粉が、重量基準で2%以上の水に対する溶解度を有する酵素分解澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、カチオン澱粉、リン酸澱粉及び酢酸澱粉から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のジアゾ複写材料。
- 該プレコート層及び/又はバック層が、酸を含有するものである請求項1又は2に記載のジアゾ複写材料。
- 該プレコート層及び/又はバック層が、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛の硫酸塩又は塩化物及び酸を含有するものである請求項1又は2に記載のジアゾ複写材料。
- 該中性紙が、古紙を原料とする再生パルプを50%以上含有するパルプから抄造されたものである請求項1〜4のいずれかに記載のジアゾ複写材料。
Priority Applications (1)
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JP2000139947A JP3816303B2 (ja) | 2000-05-12 | 2000-05-12 | ジアゾ複写材料 |
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