JP3816323B2 - ジアゾ複写材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はジアゾ複写材料に関し、詳しくは、中性紙を支持体とした原紙上に、プレコ−ト層を介してジアゾ感光層を設け、更にその反対面にバック層を有していることを特徴とするジアゾ複写材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾ感光紙は、一般にロジンサイズ剤等でサイジングされた紙面PHが2〜5の酸性紙の支持体上にプレコート層を介して、ジアゾ化合物、カップリング成分及び各種助剤を含有した感光層とその反対面に塗設されたバック層から構成されている。
しかしながら、近年、ジアゾ感光紙の支持体として用いる上質紙や複写印刷用紙分野の主流は、アルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸などの中性サイズ剤によりサイジングされた紙面PH6〜9の中性紙が大半を占め、従来の酸性紙は特殊紙化し、そのためにコスト高となり、入手も困難になりつつある。
【0003】
このような結果、将来は中性紙をジアゾ感光紙用として使用せざるを得ない状況にあるが、これらの中性紙を支持体としてジアゾ感光紙に使用した場合は、画像濃度が低く、地肌のヌケも悪く、低コントラスト画像になり、かつ、保存中にプレカップリングが徐々に進み、好ましくない着色が発生し実用化できないとされている。その理由は、これらの中性紙は、一般的に炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等を填料として紙中に含み、そのアルカリ性の性質により保存中にプレカップリングが徐々に進行するからである。
【0004】
特開平8−269893号公報には、インクジェット記録用インクの染料に含まれるカルポボキシル基が中性紙中に含まれる炭酸カルシウムと反応して発色性が変化し印字物の品位が損なわれるため、炭酸カルシウムに変えて珪酸塩系の填料を含有する基紙を用い、その片面に無定形シリカと水系結着剤を主成分とする記録層を設けた記録用紙が提案されているが、珪酸塩系の填料を含有する紙をジアゾ感光紙の支持体に用いた場合は紙面pHが酸性にシフトする恐れがあるばかりか、炭酸カルシウム等を填料とする中性紙市場の趨勢を無視することはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたもので、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等を含有する中性紙をジアゾ感光紙用の支持体として用いても、その欠点である低コントラスト画像、画像の均一性(以下、地合)の低下及び保存時のプレカッリング(保存性の劣化)が防止され、さらに高発色性で発色画像が鮮明なジア感光紙を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、ジアゾ複写層(プレコート層、感光層、バック層)に使用される材料に着目して鋭意検討した結果、特定の材料の組み合せ使用により、保存時のプレカップリング防止、優れた画像のコントラスト、均一性(地合)を与えることのできるジアゾ複写材料を見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のように、紙面PHが6以上である中性紙を支持体として用いたジアゾ複写材料であって、この支持体上に特定の結着剤と填料等からなるプレコート層、さらに特定の金属塩及び酸を含有する感光層、バック層を有するジアゾ複写材料である。
【0007】
本発明の第1は、紙面のPHが6以上の中性紙からなる支持体にプレコート層を介してジアゾ化合物及びカップリング成分を主成分とする感光層を設け、更に該感光層の反対面にバック層を設けたジアゾ複写材料であって、該感光層が、カルシウム、アルミニウム、亜鉛の硫酸塩又は塩化物の少なくとも一種以上を含有し、該バック層が硼酸を含有し、及び、該プレコート層の結着剤がスチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体エマルジョン型樹脂を含有し、かつそのガラス転移温度が−20〜20℃の範囲にあることを特徴とするジアゾ複写材料にある。
【0008】
本発明の第2は、中性紙の支持体が古紙を原料とする再生パルプを50%以上含有していることを特徴とする前記第1のジアゾ複写材料にある。
【0009】
本発明の第3は、前記プレコート層の結着剤が、疎水性エマルジョン型樹脂の他にポリビニルアルコール及び/又は可溶性加工澱粉の少なくとも一種以上の親水性樹脂を含有していることを特徴とする前記第1〜2のジアゾ複写材料にある。
【0010】
本発明の第4は、バック層が、カルシウム、アルミニウム、亜鉛の硫酸塩又は塩化物を少なくとも一種を以上含有していることを特徴とする前記第1〜3のジアゾ複写材料にある。
【0011】
本発明の第5は、感光層が少なくとも一種以上の酸を含有していることを特徴とする前記第4のジアゾ複写材料にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。 本発明は、支持体である中性紙プレコート層を、特定の疎水性結着剤、あるいは該疎水性結着剤と特定の親水性樹脂を併用したプレコート層とすることにより、該プレコート層が耐水性及び耐アルカリ性のバリアー層として働き、支持体である中性紙中の炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等のアルカリ性物質の悪影響を軽減し支持体中への拡散、浸透を低減させるために、ジアゾ複写材料において、中性紙原紙を使用した時の欠点を解消できると思われる。さらに、上述のようにプレコート層に特定の疎水性結着剤、あるいは該疎水性結着剤と特定の親水性樹脂を併用することに加えて、感光層及びバック層に、特定の金属塩、酸を含有させることにより、中性紙原紙を使用した時の欠点(保存性の低下)をより確実に解消することができる。
【0014】
本発明に用いられる中性紙は、LBKP、NBKP等に代表される化学パルプ、サイズ剤、填料を主体とし、その他の抄紙助剤を必要に応じて用い、常法により抄造されたものである。使用されるパルプ材としては、機械パルプや古紙パルプを併用しても良く、また、これらを主体とするものであってもよい。このようにして得られた中性紙は、その紙面PHは6以上となっている(冷水等で抽出した時の中性紙のPHは7〜9である)。
本発明で言う古紙パルプの原料としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌等が挙げられる。
具体例としては、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙などのプリンター用紙、及びPPC用紙等のOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗被紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗被紙等の紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙等が使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではない。
【0015】
本発明において中性紙上に形成するプレコート層の結着剤として使用される疎水性樹脂は、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステルの共重合体エマルジョンで、各モノマーの共重合比率は、スチレン:アクリル酸エステル:メタクリル酸エステル=1:1:0.1〜0.5程度が好適である。また、共重合体として新たな成分が含まれていても構わないが、上記樹脂のガラス転移温度(Tg)は−20〜20℃が好ましく、−5℃〜5℃の範囲が特に好適である。また、平均分子量は数万〜数10万程度のものが好適である。この範囲外では支持体とのバリアー性が低下し、画像のコントラスト、ヌケ、均一性(地合)が低下するとともに保存性を維持することが困難となる。また、上記以外の樹脂を使用すると十分な保存性が得られないと共にジアゾ感光紙として必要な特性(画像のコントラスト、均一性)が得られない。
【0016】
プレコート層の結着剤として併用して使用される親水性樹脂は、ポリビニルアルコールの場合、完全ケン化タイプ、部分ケン化タイプのいずれでも使用できる。重合度は500〜2000程度、ケン化度は80〜100%程度のものが塗工液の安定性、プレコート層の成膜性の面から特に好適である。また、可溶性加工澱粉の場合は、酸化澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、カチオン澱粉、酵素分解澱粉等の水への溶解度の高いものが塗工液の安定性、プレコート層の成膜性の面から好適である。上記以外の親水性樹脂を使用すると十分な保存性が得られないと共にジアゾ感光紙として必要な特性(画像のコントラスト、均一性)が得られない。さらに、プレコート層には、一般に使用されている、無定形シリカ微粉末等の画像濃度補強剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色染料、尿素、チオ尿素等の助剤等が適宜使用できる。
【0017】
感光層及び又はバック層で使用される特定の金属塩は、カルシウム、アルミニウム、亜鉛の硫酸塩、もしくは塩化物であり、例えば、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。これらの金属塩は特に保存時のプレカップリングを防止する効果が顕著になる。上記以外の金属塩を使用した場合は、保存時のプレカップリング防止効果が小さい。
一方、本発明で金属塩と併用使用される酸は、水溶性でかつ不揮発性の酸であればいずれも使用できる。無機酸の例としては、硫酸、硼酸、リン酸、ピロリン酸等であり、有機酸としては、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、スルホサリチル酸、パラトルエンスルフォン酸等が挙げられる。酸量が多いと保存性/現像性の両立化が困難となるため、弱酸の方が好適である。また、バック層面の酸は硼酸がもっとも有効であり、現像性を低下させないで保存性を改善する効果を有している。
【0018】
プレコート層の塗工量は、乾燥後付着量で0.5〜4.0g/m2の範囲が望ましい。塗工量が0.5g/m2以下では、支持体を均一に被覆することができず、ジアゾ感光層の浸透ムラを発生させ、また保存時のプレカップリング防止効果が十分でない。また、4.0g/m2を超える場合はジアゾ感光層のプレコート層への不均一な浸透が発生すると共に、感度の低下を引き起こし、現像性を低下させる。 バック層の塗工量は、乾燥後付着量で0.1〜3.0g/m2の範囲が望ましい。0.1g/m2以下では、カールの調整が困難となるばかりでなく、保存時のプレカップリングを抑制するこどできない。また、3.0g/m2以上ではカールコントロールが困難となると共に現像性が低下する。
【0019】
プレコート層上に形成されるジアゾ感光層は公知の手段で塗工され、その材料は一般にジアゾ複写材料に使用されているものが使用できる。
本発明で使用されるジアゾ化合物は、一般式ArN2+X-で示されるジアゾニウム塩である(式中、Arは置換あるいは無置換の芳香族部分を表し、ArN2+はジアゾニウムカチオンを表し、X-は酸アニオンを表す。)
ジアゾ化合物の具体例としては、例えば、4−ジアゾ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−ジエチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−メチルヒドロキシエチルアニリン、4−ジアゾフェニルモルホリン、4−ジアゾ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジメトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−エチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−オキシエチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルピペラジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルピロリジン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルピペリジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−1−ベンゾイルアミノ−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−クロルベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェニルメルカプト−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−クロルフェニルメルカプト)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(2’−トルイルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェノキシー−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシフェノキシ)−2,5−ジエトキシベンゼンなどの塩化物の塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化錫等の複塩、及び前記ジアゾの硫酸、ヘキサフルオロリン酸、4フッ化ホウ素酸などの無機酸の塩などが挙げられる。
【0020】
本発明に用いられるカップラーはジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するもので、カルボニル基の隣にメチレン基を有する、いわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがある。
例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N,N−ジメチルアミノモルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、ベンゾイルアセトアニリド、3−ヒドロキシシアノアセトアニリド、パラスルホアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)ベンゼン等が挙げられるが、もちろんこれらのものに限定されるものではなく、これらのカップラーは単独でも2種以上の併用でも用いることができ、必要に応じて任意の色相を得ることもできる。
【0021】
本発明のジアゾ複写材料では、上述した発色成分の他に、通常のジアゾ感光層に適用されている各種添加物、例えば保存性向上剤としてナフタレン−モノスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−ジスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−トリスルホン酸ナトリウム、スルホサリチル酸等の芳香族スルフォン酸塩等が使用できる。
また溶解剤として、カフェイン、ティオフェリンなど、酸化防止剤としてチオ尿素、尿素など、塗布安定剤としてサポニン、エチルアルコールのようなアルコール類を少量添加することができる。その他に、現像促進剤としてエチレングリコール、トリエチレングリコールのようなグリコール類、グリコールエーテル類などの多価アルコール及びその誘導体が使用可能である。画像濃度補強剤としては、コロイダルシリカ、無定形シリカ微粉末等適宜使用できる。
バック層には、カール調製剤としてアルコール及びグリコール類、ゼラチン、ポリビニルアルコールのような親水性樹脂等が適宜使用できる。
本発明のジアゾ複写材料は、アンモニアガスを使用した乾式現像法、アルカリ性有機溶剤を使用した半乾式現像法(ジアゾ複写材料への現像液付着量が5g/m2以下と少量の湿式現像法)などにより顕像化される。
【0022】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、以下における部、%は全て重量によるものである。
下記実施例及び比較例において使用した中性紙は公知の方法で抄造された原紙である。
・中性紙1;LBKP100%使用、紙面PH6.5(水抽出液pH8.3)の中性紙
・中性紙2;LBKP30%使用、模造古紙パルプ70%使用、紙面PH6.4(水抽出PH8.5)の再生パルプ使用中性紙。
【0023】
実施例1
上記中性紙1の上に下記の組成からなるプレコート層液をエアーナイフにて塗布し、乾燥後付着量2.0g/m2のプレコート層を形成した。
前記プレコート層の上に下記の組成からなるジアゾ感光層をエアーナイフにより塗布し、乾燥後付着量0.6g/m2の感光層を形成した。
<感光層液組成>
4−ジアゾ−2,5ジブトフェニルモルフオリン塩化物・1/2塩化亜鉛 1部
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルフオリノプロピルアミド 1部
酒石酸 1部
チオ尿素 1部
カフェイン 1部
硫酸アルミニウム 2部
エチルアルコール 1部
サポニン 0.1部
水 92部
このプレコート済み感光層の反対面の支持体上に下記の組成からなるバック層をエアーナイフにより塗布し、乾燥後付着量0.5g/m2のバック層を形成し、本発明のジアゾ複写材料を作成した。
<バック層液組成>
硼酸 2部
エチレングリコール 1.5部
帯電防止剤(東邦化学N−200B) 0.5部
水 96部
【0024】
実施例2
上記中性紙2を支持体とした以外は実施例1と全く同様の液、製造方法でジアゾ複写材料を作成した。
【0025】
実施例3
上記中性紙1の上に下記の組成からなるプレコート層液をエアーナイフにより塗布し、乾燥後付着量1.8g/m2のプレコート層を形成した。
このプレコート層上に下記組成からなる、ジアゾ感光層液を実施例1と同様の方法で塗布し、乾燥後付着量0.7g/m2の感光層を形成した。
得られたジアゾ複写材料の感光層面の反対面に下記の組成よりなるバック層液を実施例1と同様の方法で塗布し、乾燥後付着量0.8g/m2のバック層を形成させ本発明のジアゾ感光紙を作成した。
<バック層液組成>
塩化亜鉛 1部
硼酸 2部
エチレングリコール 1部
水 96部
【0026】
実施例4
上記中性紙2を支持体とし、プレコート層液に酸化澱粉1.0部を新たに追加した以外は実施例3と同様の塗布液、製造方法でジアゾ複写材料を作成した。
【0027】
比較例1
プレコート層の疎水性エマルジョン型結着剤をスチレン−メタクリル酸エステル(スチレン:メタクリル酸2−エチルヘキシル=1:0.5樹脂のガラス転移温度35℃)に変えた以外は、実施例1と同一の中性紙、塗布液、製造方法でジアゾ複写材料を作成した。
【0028】
比較例2
プレコート層液のポリビニルアルコールを4部に増量、疎水性エマルジョン型樹脂を除去し、感光層液の硫酸アルミニウムを塩化マグネシウムに変更した以外は実施例1と同様の支持体、液組成、製造方法でジアゾ複写材料を作成した。
【0029】
比較例3
感光層液の塩化亜鉛を塩化ニッケルに変更し、バック層から硼酸を除去した以外は実施例3と同一の支持体、同様の塗布液組成、製造方法でジアゾ複写材料を作成した。
【0030】
プレコート層液の結着剤を酢酸ビニル樹脂に変更し(樹脂のTgは0℃、エマルジョンの有効成分50%)、感光層液及びバック層液から塩化亜鉛を除去、バック層液から硼酸を除去した以外実施例4と同様の支持体、塗布液、製造方法でジアゾ複写材料を作成した。 こうして作成したジアゾ感光紙に原図を重ねてジアゾ複写機で露光、現像したところ青色画像が得られた。(実施例1,2及び比較例1,2はリコー製SD−730,実施例3,4及び比較例3,4はリコー製SM−1500にて露光、現像した)得られた画像濃度の評価は、反射濃度計(マクべス濃度計RD914型)で測定した。また、得られたジアゾ感光紙を現像したサンプルの画像部の均一性、なめらかさ、画像のヌケを目視にて比較評価した(以下、地合という)。評価は5段階で評価;ランクは5がベストで低くなるに従って地合が低下することを表わしている)。また、生保存性を試験するため、各サンプルを50℃で5日間放置し強制劣化させた後、取り出し、上記複写機で全面露光し、地肌部の濃度を反射濃度計で測定した。それらの結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1より本発明の中性紙及び再生パルプを含有した中性紙を使用し、ジアゾ複写層に特定の結着剤、金属塩、酸を含有させた実施例のジアゾ感光紙は高濃度で地合が良く、保存性も良好であるのに対し、従来技術に基づく比較例のジアゾ感光紙は濃度が低く、地合が劣り、また、保存性が著しく劣る(カブリが大きい)ジアゾ感光紙しか得られないことがわかる。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等を含有する中性紙をジアゾ感光紙用の支持体として用いても、その欠点である低コントラスト画像、画像の均一性(以下、地合)の低下及び保存時のプレカッリング(保存性の劣化)が防止され、さらに高発色性で発色画像が鮮明なジア感光紙を提供することができた。
Claims (5)
- 紙面のPHが6以上の中性紙からなる支持体にプレコート層を介してジアゾ化合物及びカップリング成分を主成分とする感光層を設け、更に該感光層の反対面にバック層を設けたジアゾ複写材料であって、
該感光層が、カルシウム、アルミニウム、亜鉛の硫酸塩又は塩化物の少なくとも一種以上を含有し、
該バック層が硼酸を含有し、及び、
該プレコート層の結着剤がスチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体エマルジョン型樹脂を含有し、かつそのガラス転移温度が−20〜20℃の範囲にあることを特徴とするジアゾ複写材料。 - 支持体が古紙を原料とする再生パルプを50%以上含有している中性紙であることを特徴とする請求項1記載のジアゾ複写材料。
- プレコート層の結着剤が、スチレン−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン型樹脂の他に、ポリビニルアルコール及び/又は可溶性加工澱粉の少なくとも一種以上の親水性樹脂を含有していることを特徴とする請求項1又は2記載のジアゾ複写材料。
- バック層が、カルシウム、アルミニウム、亜鉛の硫酸塩又は塩化物の少なくとも一種以上を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジアゾ複写材料。
- 感光層が、少なくとも一種以上の酸を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のジアゾ複写材料。
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