JP4059888B2 - 矩形状コイルの製造方法及び矩形状コイルの製造装置 - Google Patents
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かかるコイルを図11(a)に示す。図11(a)に示すコイル100は、直線部102と曲折部104とから形成されている。このコイル100では、直線部102は、図11(c)に示す様に、銅等の導電性材料から成る横断面が長方形状の導線106の外周面に沿ってエナメル等の絶縁層108が形成されて成る平角線材によって形成され、曲折部104では、図11(b)に示す様に、平角線材のコイル100の外周面方向が先細となるように潰された、横断面が台形状の線材によって形成されている。
図11(a)に示すコイル100は、図11(c)に示す横断面が長方形状の平角線材を用いて形成し、その曲折部104を形成する際には、図12(a)に示す様に、平角線材を一対のテーパ状ローラ110a,110b間に挟み込んで、図11(b)に示す様に、コイル100の外周面方向が先細となる台形状の横断面にしつつ曲折する。
一方、コイル100の直線部102を形成する際には、図12(b)に示す様に、一対の柱状ローラ114a,114b間に挟み込んでコイル100上に積層されるように送り出す。
更に、コイル100は、図13に示す様に、モータのステーターを構成する横断面が矩形状の突起部116,116・・に装着すると、図13に示す様に、コイル100の直線部102は突起部116の面に沿って装着でき、突起部116,116間の間隙を狭くでき、モータの小型化も期待できる。
しかし、図11に示すコイル100でも、図13に示す様に、曲折部104はモータのステーターを構成する突起部116上に突出しており、この突出している部分を解消できるコイルとして、四辺が直線状の平角線材で形成された矩形状コイルが望まれている。
そこで、本発明の課題は、横断面が長方形状の平角線材を、その横断面の短辺側の一方が内側となるように曲折して形成した、四辺が直線状の平角線材で形成されて成る矩形状コイルの製造方法及び矩形状コイルの製造装置を提供することにある。
しかし、この様にして得られた矩形状コイルでは、図14(a)に示す平角線材から成る直線部202間の曲折部200を構成する、曲折部200の板幅の中心近傍から外側端に至る外側部分204が、図14(b)に示す如く、その横断面が略2等辺三角形状となる程度まで押し潰されている。この外側部分204の先端部では、平角線材の板厚に対して50%未満の板厚となっているため、外側部分204では、線材の体積減少に伴なって電気抵抗値が高くなることが判明した。
しかも、曲折部200を、その外側部分204を押し潰しつつ曲折する方法では、曲折部200の内周の曲率半径Rは、平角線材の板幅以下することは至難のことであることも判明した。
かかる本発明において、一対のローラ状部材の中心部に設けた、半径が平角線材の板幅よりも小径の柱状部材の外周面によって凹溝の底面を形成し、前記凹溝に挟み込んだ平角線材の曲折部位の内側端を前記柱状部材の外周面に巻き付けるようにして曲折することによって、矩形状コイルの角部の内側曲率半径を、矩形状コイルの直線部を形成する平角線材の板幅以下とすることができる。
かかる一対のローラ状部材としては、前記ローラ状部材の一方が他方のローラ状部材に着脱自在に装着される一対のローラ状部材を用い、前記ローラ状部材の一方を取り外して、他方のローラ状部材の端面に平角線材の曲折部位を載置した後、前記曲折部位の内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分を挟み込むようにローラ状部材の一方を他方のローラ状部材に装着することによって、平角線材を一対のローラ状部材に容易に装着できる。
かかる本発明において、一対のローラ状部材としては、前記ローラ状部材の一方を、回動可能に設けた回動板の回動中心に固着された他方のローラ状部材に着脱自在に装着し、前記他方のローラ状部材との間に平角線材の曲折部位が挟み込まれる凹溝を形成することによって、平角部材の所定箇所を更に容易に拘束状態とすることができる。
かかる一対のローラ状部間に形成された凹溝を、前記凹溝の底面に内側端が当接する平角線材の曲折部位の内側部分に対応する前記凹溝の両内壁面が平行面に形成すると共に、前記曲折部位の外側部分に対応する前記凹溝の両内壁面を、その内壁面間の幅が凹溝の開口方向に次第に拡大するテーパ面に形成することによって、一対のローラ状部を容易に形成できる。
尚、これらの本発明において、平角線材として、導電性材料から成る横断面が長方形状の導線の外周面に沿って絶縁層が形成されて成る平角線材を好適に用いることができる。
この点、本発明に係る矩形コイルの製造方法では、平角線材の曲折部位の内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分を、その横断面の長辺側の両面を拘束部材によって拘束状態とすると共に、平角線材の板幅の中心近傍から曲折部位の外側端に至る外側部分を開放状態として曲折する。
このため、平角線材の曲折の際に、曲折部位の内側部分で発生する増肉現象に因る増肉部分を曲折部位の外側部分に振り向けることができ、内周の曲率半径を平角線材の板幅以下で平角線材を曲折しても、曲折部位の内側部分と外側部分との板厚差を可及的に少なくできる。
その結果、コイルの角部を形成する平角線材の内周の曲率半径が、コイルの直線部を形成する平角線材の板幅以下であると共に、直線部の平角線材の板厚に対する、角部の平角線材の内周側部分及び外周側部分の板厚の増減率が20%以下の矩形状コイルを得ることができる。
かかる矩形状コイルは、曲折部位の内側部分と外側部分との板厚差が可及的に小さく、角部の電気抵抗値は直線状の部分と略同一値にできる。このため、この矩形状コイルを、例えばモータ用のコイルとして用いれば、この矩形状コイルはモータのステーターを構成する横断面が矩形状の突起部の面に沿って装着でき、突起部間の間隙を狭くできるため、モータの小型化も期待できる。
この平角線材12としては、図11(c)に示す平角線材と同様なものを用いており、銅等の導電性材料から成る横断面が長方形状の導線の外周面に沿ってエナメル等の絶縁層が形成されて成る平角線材を用いている。
この様に、曲率半径を直線部の平角線材12a,12a,12b,12bの板幅以下としても、平角線材12a,12a,12b,12bの板厚に対する、角部の平角線材12cの内周側部分及び外周側部分の板厚の増減率を20%以下、好ましくは16%以下とする。かかる増減率が20%を超える場合には、角部の平角線材12cの電気抵抗値が高くなり易くなる。
また、直線部の平角線材12a,12a,12b,12bの板幅に対する、角部を形成する平角線材12cの板幅の減少率が10%以下、特に7%以下とすることが好ましい。この板幅の減少率が10%を越える場合には、角部の平角線材12cの電気抵抗値が高くなり易くなる傾向にある。
尚、直線部の平角線材12a,12a,12b,12bの板厚及び板幅は、曲折前の平角線材12と同一である。
この把持部材20の一端部側には、矢印方向に回動する回転台28に平角線材12の他端部側を押圧して曲折する押圧手段としての矩形状の曲げガイド30が螺着されている。曲げガイド30の端面は、挿入されて溝22から突出する平角線材12の他端部側の側面に当接する位置に設けられている。
かかる把持部材20と曲げガイド30との間であって、平角線材12を曲折する位置に設けられ、平角線材12の曲折部位の内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分の両面を拘束状態とする拘束手段としての一対のローラ状部材32が設けられている。
かかる凹溝34は、その深さWが平角線材12の板幅と略同一であって、凹溝34の底面から距離W1の部分(凹溝34に挟み込んだ平角線材12の凹溝34の底面側から板幅の中心近傍に至る内側部分に相当)では、その両内壁面は平角線材12の板厚と等しい幅tで平行に設けられている。
一方、凹溝34の底面から距離W1よりも開口側の部分(凹溝34に挟み込んだ平角線材12の板幅の中心近傍から外側端に至る外側部分に相当)の両内壁面は、凹溝34の幅が開口側方向に次第に拡大するテーパ面に形成されている。このため、凹溝34の底面から距離W1よりも開口側の部分では、凹溝34の幅が平角線材12の板厚よりも幅広となり、凹溝34に挟み込まれた平角線材12の中心近傍から外側端に至る外側部分は凹溝34の両内壁面と接触せず開放状態となる。
このテーパ面の傾斜角θは約1°程度とすることが好ましい。
露出したガイド部材24の溝22に、図4(a)に示す様に、平角線材12の一端部側を挿入し、溝22から所定長さの平角線材12の他端部側12dを突出する。他端部側12dの短辺側の一方は、曲げガイド30の端面に当接している。
更に、他端部側12dの曲折部位を、図4(b)に示す様に、下ローラ状部材32aの上面に載置すると共に、その横断面の短辺側の一方を下ローラ状部材32aの上面から突出する柱状部材36の外周面に当接する。この際に、図4(a)に示す様に、他端部側12dは、その横断面の他方の短辺側が曲げガイド30の端面に当接している。
また、図5(b)に示す様に、下ローラ状部材32a上に上ローラ状部材32bを被着してネジ33によって固着することにより、図2(c)に示す様に、平角線材12の他端部側12dの曲折部位では、その内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分では、その横断面の長辺側の両面(以下、単に長辺側の両面と称することがある)は、下ローラ状部材32aと上ローラ部材32bとによって形成される凹溝34の両内壁面と密着して拘束状態とされる。一方、この板幅の中心近傍から曲折部位の外側端に至る外側部分の長辺側の両面は、凹溝34の両内壁面と接触せずに開放状態となる。
この様に、平角部材12は、把持部材20及び一対のローラ状部材32によって固定される。この固定が不十分の場合は、得られた矩形状コイルの直線部が外側方向に膨らむことがある。
把持部材20及び一対のローラ状部材32によって固定された平角部材12の他端部側12dの曲折部位を、その内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分の長辺側の両面を拘束状態に保持しつつ、図6に示す様に、回転台28を一対のローラ状部材32を中心として矢印方向に回転し、曲げガイド30の端面によって他端部側12dを押圧して曲折する。この押圧によって、他端部側12dの曲折部位の内側端は、凹溝34の底面を形成する柱状部材36の外周面に巻き付けられるようにして曲折される。
一方、板幅の中心近傍から曲折部位の外側端に至る外側部分の長辺側の両面は、凹溝34の両内壁面と非接触状態となって開放状態であるため、曲折部位の内側部分での増肉部分を外側部分に振り向けることができるため、曲率半径Rを平角線材12の板幅以下で平角線材を曲折しても、曲折部位の内側部分と外側部分との板厚差を可及的に少なくできる。
回転台28を、図7に示す様に、他端部側12dを把持部材20によって把持した平角線材12の一端部側に対し、スプリングバック量を考慮した角度回転して停止する。その後、一対のローラ状部材32のネジ33を緩めて、図8に示す矢印方向に回転台28を逆回転し、曲げガイド30を元の位置に戻す。
かかる手順を繰り返すことによって図10に示す様に、矩形状コイルを形成でき、最終的には図1に示す矩形状コイル10を形成できる。
また、角部の平角線材12cの板幅についても、曲折前の平角線材12の板幅に対する減少率を10%以下であった。
このことから、図3に示す曲折装置を用いた平角線材12の曲折加工によれば、その横断面変化を可及的に少なくできる。
12 平角線材
12a,12b 直線部の平角線材
12c 角部の平角線材
12d 平角線材12の他端部側
20 把持部材
21,33 ネジ
22 溝
24 ガイド部材
26 蓋体
28 回転台
30 曲げガイド
32 一対のローラ状部材
32a 下ローラ状部材
32b 上ローラ状部材
34 凹溝
36 柱状部材
t 幅
W1 距離
θ 傾斜角
Claims (7)
- 横断面の形状が長方形状の平角線材を、前記横断面の短辺側の一方が内側となるように曲折して、四辺が直線状の平角線材で形成された矩形状コイルを製造する際に、
該平角線材の曲折部位の内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分を、その曲折に伴なって前記横断面の長辺側の両面方向に生ずる増肉現象を抑制するように、前記両面を拘束部材によって拘束状態とすると共に、前記曲折部位の板幅の中心近傍から外側端に至る外側部分を開放状態とした後、前記内側部分の拘束状態を保持して、前記曲折部位を曲折し、
且つ前記拘束部材として、平角線材の曲折部位の内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分の長辺側の両面と内壁面とが密着状態となると共に、前記曲折部位の板幅の中心近傍から外側端に至る外側部分と内壁面とが非接触状態となる凹溝が周設される一対のローラ状部材を用いることを特徴とする矩形状コイルの製造方法。 - 一対のローラ状部材の中心部に設けた、半径が平角線材の板幅よりも小径の柱状部材の外周面によって凹溝の底面を形成し、前記凹溝に挟み込んだ平角線材の曲折部位の内側端を前記柱状部材の外周面に巻き付けるようにして曲折する請求項1記載の矩形状コイルの製造方法。
- 一対のローラ状部材として、前記ローラ状部材の一方が他方のローラ状部材に着脱自在に装着される一対のローラ状部材を用い、前記ローラ状部材の一方を取り外して、他方のローラ状部材の端面に平角線材の曲折部位を載置した後、前記曲折部位の内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分を挟み込むようにローラ状部材の一方を他方のローラ状部材に装着する請求項1又は請求項2記載の矩形状コイルの製造方法。
- 平角線材として、導電性材料から成る横断面形状が長方形状の導線の外周面に沿って絶縁層が形成されて成る平角線材を用いる請求項1〜3のいずれか一項記載の矩形状コイルの製造方法。
- 横断面の形状が長方形状の平角線材を、前記横断面の短辺側の一方が内側となるように曲折して、四辺が直線状の平角線材で形成された矩形状コイルを製造する矩形状コイルの製造装置には、
前記平角線材の一端部側を把持する把持手段と、前記平角線材の他端部側を押圧して曲折する押圧部材と、前記把持手段と押圧部材との間であって、前記平角線材が曲折される位置に設けられ、前記平角線材の曲折部位の内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分を、その曲折に伴なって前記横断面の長辺側の両面方向に生ずる増肉現象を抑制するように、前記両面を拘束状態とする共に、前記板幅の中心近傍から前記曲折部位の外側端に至る外側部分を開放状態とする拘束部材と、前記押圧部材を回動する回動手段とを備え、
前記拘束部材が、平角線材の曲折部位が挟み込まれる凹溝が周設されている一対のローラ状部材であって、前記一対のローラ状部材には、その中心部に形成された、半径が前記平角線材の板幅よりも小径の柱状部材の外周面によって前記凹溝の底面が形成されていると共に、前記凹溝の底面に当接する前記曲折部位の内側端から板幅の中心近傍に至る内側部分には、横断面の長辺側の両面が前記凹溝の内壁面に密着されるように、前記内側部分に対応する前記凹溝の内壁面間が平角線材の板厚と等しい幅に形成され、
且つ前記曲折部位の板幅の中心近傍から外側端に至る外側部分では、横断面の長辺側の両面が前記凹溝の内側面と非接触状態となるように、前記外側部分に対応する前記凹溝の内壁面間が平角線材の板厚よりも広幅に形成されていることを特徴とする矩形状コイルの製造装置。 - 一対のローラ状部材が、前記ローラ状部材の一方が、回動可能に設けられた回動板の回動中心に固着された他方のローラ状部材に着脱自在に装着され、前記他方のローラ状部材との間に平角線材の曲折部位が挟み込まれる凹溝が形成される請求項5記載の矩形状コイルの製造装置。
- 一対のローラ状部間に形成された凹溝が、前記凹溝の底面に内側端が当接する平角線材の曲折部位の内側部分に対応する前記凹溝の両内壁面が平行面に形成されていると共に、前記曲折部位の外側部分に対応する前記凹溝の両内壁面が、その内壁面間の幅が凹溝の開口方向に次第に拡大するテーパ面に形成されている請求項5又は請求項6記載の矩形状コイルの製造装置。
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