JP5440951B2 - 平角エナメル線の製造方法、及び平角エナメル線 - Google Patents

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Description

本発明は、平角エナメル線の製造方法、及び平角エナメル線に関する。特に、本発明は、小型かつ高性能の電動機又は発電機に用いられる平角エナメル線の製造方法、及び平角エナメル線に関する。
近年、特に自動車電装分野において、小型で高性能の電動機、発電機が求められている。このような小型で高性能の電動機、発電機を製造するためには、コイルを構成する巻線(エナメル線)の占積率を向上させることが有効である。エナメル線の占積率を向上させるためには、断面が丸型形状の導体を用いた丸型エナメル線よりも断面が平角形状(矩形状)の平角導体を導体として用いた平角エナメル線の方が適している。特に、平角エナメル線においては、平角エナメル線を断面から見た場合に、導体の面積の割合が大きい平角エナメル線が占積率の向上に適している。そこで、平角導体のコーナー部の曲率半径Rが小さく、絶縁皮膜の厚さが全周にわたり均一な(すなわち、必要以上に厚い絶縁皮膜の部分がない)平角エナメル線が求められている。
平角エナメル線の製造方法としては、例えば、以下のような製造方法が知られている。まず、断面が丸形状の導体を圧延した後、平角伸線ダイスで引抜加工して断面が矩形状の平角導体を製造する。次に、この平角導体を焼鈍炉にて焼鈍し、塗料供給装置にて塗料を塗布する。そして、平角塗装ダイスにて塗料供給装置で塗布した塗料が所定の塗布量になるように制御し、焼付炉にて塗料を焼付けする。続いて、塗料供給装置による塗料塗布、平角塗装ダイスによる塗布量制御、及び焼付炉による焼付けを繰り返すことにより所定厚の皮膜(絶縁皮膜)を平角導体上に形成することで平角エナメル線を製造する方法が知られている。
また、断面が丸形状の導体上に塗料を塗布、焼付けして、均一な絶縁皮膜の厚さを有する丸エナメル線を先に製造し、この丸エナメル線を断面が平角形状の平角エナメル線に圧延し、更に、塗料を上塗りし、塗布、焼付けする製造方法も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の製造方法によれば、耐電圧性、ピンホール特性に優れ、圧延損失の低い高圧延比平角絶縁電線を製造することができる。
特開平11−16428号公報
丸形状の断面を有する導体を圧延して得られる平角導体上に絶縁皮膜を形成して平角エナメル線を製造する方法では、平角導体上に当該平角導体の全周にわたって絶縁塗料を均一に塗布する。このため、平角導体の断面より一回り大きいダイスギャップを有する平角塗装ダイスを用いて平角導体の全周に絶縁塗料が塗布される。しかしながら、このような塗装方法を用いた場合、図6(a)に示すように、平角導体2aに絶縁皮膜400aを形成するために絶縁塗料を塗布すると、平角エナメル線4aのコーナー部402aに塗布された絶縁塗料は、塗布されてから焼付けられて塗料の流動性がなくなるまでの間(すなわち、絶縁皮膜が形成されるまでの間)に、コーナー部402aの両脇に形成された平坦な面(すなわち、エッジ面若しくはフラット面)を有する平坦部410に流れてしまう。この場合、コーナー部402aの絶縁皮膜の厚さが平坦部410の厚さより薄くなるという問題が発生する。
また、図6(a)に示すように、コーナー部402aの絶縁皮膜の厚さが薄くなることを考慮して平角塗装ダイスのコーナー部のダイスギャップを、フラット面のダイスギャップ及びエッジ面のダイスギャップより広げ、図6(b)に示すように、コーナー部600aに余分に絶縁塗料を塗布することもできる。しかしながら、この場合、コーナー部600aの絶縁皮膜の厚さを平坦部610aの絶縁皮膜の厚さと同等にすることができるものの、上記と同様に絶縁塗料がコーナー部600aから平坦部610aに流れてしまうので、平坦部610aのコーナー部600aに近接する箇所から平坦部610aにかけて、絶縁皮膜が盛り上がって厚くなる問題がある。特に、コーナー部600aの曲率半径Rが小さいほど(例えば、R<0.4)、絶縁塗料は表面張力の影響を受けやすくなり、コーナー部600aに塗布された絶縁塗料は平坦部610aのコーナー部600aに近接する部分に流れやすくなる。したがって、コーナー部600aの半径が小さい平角エナメル線ほど、絶縁皮膜の厚さは平角導体の全周にわたって均一になりにくい。
一方、断面が丸型形状の導体に絶縁皮膜が形成された丸エナメル線に圧延加工を施して平角エナメル線を製造する方法では、平角導体の全周にわたって略均一な厚さの絶縁皮膜を有する平角エナメル線を製造することができる。しかしながら、圧延加工時において絶縁皮膜にクラック等の加工劣化が生じやすく、平角エナメル線の諸特性を低下させてしまう場合がある。特に、平角導体の厚さと幅との比である「幅/厚さ」の比率が大きい断面(例えば、5/1〜10/1程度)を有する平角エナメル線を作製する場合、丸エナメル線から平角エナメル線へ圧延加工する際の応力を大きくする必要があるので、絶縁皮膜にクラック等の加工劣化が更に発生しやすくなる。
したがって、本発明の目的は、絶縁皮膜の加工劣化が少なく、かつ、導体上の全周にわたって均一な厚さの絶縁皮膜を有する平角エナメル線の製造方法及び平角エナメル線を提供することにある。
(1)本発明は、上記目的を達成するため、対向する一対の平坦な面を含む平坦部、及び対向する一対の略円弧状に湾曲した面を含む湾曲部を有する丸面取り平角導体の周囲に絶縁塗料を塗布する塗装工程と、絶縁塗料を焼付け、丸面取り平角導体の周囲に絶縁皮膜を形成する絶縁皮膜形成工程と、丸面取り平角導体の湾曲部の湾曲した面に平角伸線ダイスを用いて引抜加工を施し、湾曲部の湾曲した面を平坦にした平角エナメル線を作製する引抜加工工程とを備える平角エナメル線の製造方法が提供される。
(2)また、上記平角エナメル線の製造方法において、引抜加工工程が、平角伸線ダイスを用いて平角エナメル線を作製する際に平坦部と湾曲部との間に形成されるコーナー部の形状を、面取り半径が導体の厚さの半分より小さく、平坦なエッジ面がある平角形状に整えるように引抜加工し、平角エナメル線を作製することもできる。
(3)また、上記平角エナメル線の製造方法において、引抜加工工程の後、平角エナメル線の周囲に上記丸面取り平角導体の周囲に塗布した絶縁塗料と同一の絶縁塗料、又は上記丸面取り平角導体の周囲に塗布した絶縁塗料とは異なる他の絶縁塗料を塗布し、焼付けして平角エナメル線の周囲に上塗り絶縁皮膜を形成する上塗り塗装工程を更に備えてもよい。
(4)また、上記平角エナメル線の製造方法において、塗装工程と引抜加工工程との間に、圧延ロール装置で丸面取り平角導体に圧延加工を施す圧延加工工程を更に備えてもよい。
(5)また、上記平角エナメル線の製造方法において、圧延加工工程が、丸面取り平角導体の平坦部上に形成された絶縁皮膜に接する一対のロールからなる第1のロールと、湾曲部上に形成された絶縁皮膜に接する一対のロールからなる第2のロールとを有する圧延ロール装置を用い、第1のロールで平坦部上に形成された絶縁皮膜を押さえながら、湾曲部を第2のロールで圧延加工することもできる。
(6)また、本発明は、上記目的を達成するため、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の平角エナメル線の製造方法により丸面取り平角導体上に絶縁皮膜が形成された平角エナメル線が提供される。
(7)上記平角エナメル線において、丸面取り平角導体の厚さと幅との比が、幅/厚さ=5/1以上であることが好ましい。
本発明に係る平角エナメル線の製造方法及び平角エナメル線によれば、絶縁皮膜の加工劣化が少なく、かつ、導体上の全周にわたって均一な厚さの絶縁皮膜を有する平角エナメル線の製造方法及び平角エナメル線を提供できる。
本発明の実施の形態に係る平角エナメル線製造装置の概要図である。 本発明の実施の形態に係る平角エナメル線の製造工程の各段階における線材の断面の概要図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る平角エナメル線製造装置の概要図である。 比較例に係る平角エナメル線の製造に用いた平角エナメル線用塗装ダイスの概要図である。 実施例に係る平角エナメル線の製造に用いた丸面取り平角エナメル線用塗装ダイスの概要図である。 (a)は従来の平角導体と当該平角導体に塗布された絶縁塗料の様子の断面図であり、(b)は従来の平角導体に設けられた絶縁皮膜の様子の断面図である。
[実施の形態の要約]
本実施の形態に係る平角エナメル線の製造方法は、導体の断面視にて、導体の上下方向に位置する一対の面であるフラット面が平坦であると共に、導体の左右方向に位置する一対の面であるエッジ面が略円弧状である丸面取り平角導体2の周囲に絶縁塗料を塗布すると、丸面取り平角導体2の全周にわたり比較的、均一な厚さの絶縁皮膜を有する丸面取り平角エナメル線4を製造することができることに着目している。すなわち、導体の周囲に絶縁皮膜が被覆されている平角エナメル線の製造方法において、対向する一対の平坦な面を含む平坦部、及び対向する一対の略円弧状に湾曲した面を含む湾曲部を有する丸面取り平角導体の周囲に絶縁塗料を塗布する塗装工程と、前記絶縁塗料を焼付け、前記丸面取り平角導体の周囲に絶縁皮膜を形成する絶縁皮膜形成工程と、前記丸面取り平角導体の前記湾曲部の湾曲した面に平角伸線ダイスを用いて引抜加工を施し、前記湾曲部の湾曲した面を平坦にした平角エナメル線を作製する引抜加工工程とを備える平角エナメル線の製造方法が提供される。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る平角エナメル線製造装置の概要を示し、図2は、本発明の実施の形態に係る平角エナメル線の製造工程の各段階における線材の断面の概要を示す。
本実施の形態に係る平角エナメル線6は、以下のようにして製造することができる。まず、サプライリール10には、対向する一対の平坦な面を含む平坦部200、及び対向する一対の略円弧状に湾曲した面を含む湾曲部210を有する丸面取り平角導体2が巻かれている。丸面取り平角導体2は、ガイドプーリー12に向けてサプライリール10から引き出される。サプライリール10から引き出された丸面取り平角導体2は、焼鈍炉24に導入されて焼鈍される。
次に、丸面取り平角導体2は、焼鈍炉24からガイドプーリー14を経て絶縁塗料供給装置30に導入される。絶縁塗料供給装置30において丸面取り平角導体2の外周に絶縁塗料が塗布される(塗装工程)。そして、絶縁塗料が塗布された丸面取り平角導体2は、丸面取り平角塗装ダイス28に導入される。続いて、丸面取り平角塗装ダイス28に導入され、絶縁塗料が塗布された丸面取り平角導体2は、平角塗装ダイス28の後段の焼付炉26に連続的に導入される。焼付炉26において絶縁塗料は、丸面取り平角導体2の全周に焼付けられ、絶縁皮膜が形成される(絶縁皮膜形成工程)。その後、焼付炉26から導出された絶縁皮膜を備える丸面取り平角導体2は、ガイドプーリー16及びガイドプーリー18を経て塗装工程、絶縁皮膜形成工程を繰り返すことにより、その表面に所定の厚さの絶縁皮膜が形成される。これにより、丸面取り平角導体2の全周に絶縁皮膜400が形成された丸面取り平角エナメル線4が得られる。
ここで、本実施の形態においては、丸面取り平角塗装ダイス28を用いている。すなわち、絶縁塗料が塗布された丸面取り平角導体2を丸面取り平角塗装ダイス28に導入した後、焼付炉26において絶縁塗料を焼付けることで、丸面取り平角導体2の全周にわたって略均一な厚さの絶縁皮膜400が形成された丸面取り平角エナメル線4を製造することができる。
次に、丸面取り平角エナメル線4は、ガイドプーリー16を経て圧延ロール32に導入される。丸面取り平角エナメル線4は、丸面取り平角エナメル線4のエッジ面を中心に圧延ロール32で圧延される(圧延工程)。続いて、圧延された丸面取り平角エナメル線4が平角伸線ダイス34に導入され、丸面取り平角導体2の湾曲部210の湾曲した面に引抜加工が施される。これにより、湾曲部210の湾曲した面が平坦化された平坦部610を有する平角エナメル線6が作製される(引抜加工工程)。なお、本実施の形態において、エッジ面とは、丸面取り平角エナメル線または平角エナメル線の幅方向(図2では左右方向)に位置する面を示す。また、フラット面とは、丸面取り平角エナメル線または平角エナメル線の厚さ方向(図2では上下方向)に位置する面を示す。
ここで、引抜加工工程は、平角伸線ダイス34を用いて平角エナメル線6を作製する際に、丸面取りエナメル線の面取り半径(湾曲部210の曲率半径)が丸面取り平角導体の厚さの半分より小さくなり、平坦部200と湾曲部210との間にコーナー部(角部)600が形成されると共に、平坦なエッジ面610がある平角形状に整えるように引抜加工する。
ここで、引抜加工工程においては、丸面取り平角エナメル線4(ただし、仕上り寸法が、厚さT[mm]×幅W[mm]、面取り半径T/2[mm])の主に両側の丸面取り部分を、エッジ面と角部とができるように引抜加工するための平角形状のダイス孔を有する引抜ダイスを用いて引抜加工を実施する。なお、引抜ダイスは、例えば、平角形状のダイス孔を有しており、当該ダイス孔の厚さT1(mm)は丸面取り平角エナメル線の厚さ方向の寸法T(mm)であり、当該ダイス孔の幅W1(mm)は、以下のようにして求めることができる。
まず、丸面取り平角エナメル線を断面で観察した場合の両端の半月状の部分を二つ合わせた円を仮定する。この円にした部分について、円にした部分の断面積をS(mm)、減面率をP(%)(通常10〜25%)とする。この場合に、断面積が0.01PS(mm)であり、厚さがT(mm)の平角形状を想定し、この平角形状の幅w(mm)を算出する。そして、円の直径をT(mm)とし、引抜加工により丸面取り平角エナメル線の幅W(mm)より(T−w)(mm)だけ狭い幅を、平角形状のダイス孔の幅W1とする。したがって、幅W1は、W1=W−(T−w)から求めることができる。なお、平角形状のダイス孔の角部を形成する部分の曲率半径は、平角エナメル線の角部の曲率半径に合わせる。
このようにしてダイス孔の寸法が制御された平角伸線ダイス34を用い、丸面取り平角エナメル線4に引抜加工を施すことにより平角エナメル線6を作製することができる。
なお、塗装工程と引抜加工工程との間に、圧延ロール装置で丸面取り平角エナメル線4に圧延加工を施す圧延加工工程を更に備えることもできる。この圧延加工工程は、上記「圧延工程」において説明した圧延ロール32を用いた圧延加工と同一の工程である。そして、この圧延加工工程は、丸面取り平角導体2の平坦部200上に形成された絶縁皮膜400に接する一対のロールからなる第1のロールと、湾曲部210上に形成された絶縁皮膜400に接する一対のロール(例えば、非駆動圧延ロール)からなる第2のロールとを有する圧延ロール装置を用い、第1のロールで平坦部200上に形成された絶縁皮膜400を押さえながら、湾曲部210を第2のロールで圧延加工することもできる。更に、丸面取り平角導体2の厚さと幅との比が、幅/厚さ=5/1以上であることが好ましい。なお、この圧延加工工程は実施しなくてもよい。
平角伸線ダイス34から排出される平角エナメル線6は、キャプスタン20及びピンチローラー21を経て巻取リール22に巻き取られる。
なお、丸エナメル線を圧延して製造した平角エナメル線においては導体が加工硬化するので、導体を軟化させるために平角エナメル線を焼鈍することが必要な場合がある。平角エナメル線を焼鈍すると、焼鈍時の熱で絶縁皮膜は熱劣化するので、絶縁皮膜が受けるダメージと加工劣化とが重なり、絶縁皮膜の品質が劣化しやすくなる。導体を軟化させ、かつ、絶縁皮膜のダメージを補修する目的で、圧延加工して作成された平角エナメル線に上塗り塗装する製法もあり、絶縁皮膜の品質をある程度は回復させることはできる。しかしながら、平角導体(例えば、平角銅線)に直接、塗料を塗布、焼付けする製法による平角エナメル線の絶縁皮膜の品質まで回復させることは困難である(特に、圧延加工により絶縁皮膜にクラックが入った平角エナメル線に上塗り塗装をしても絶縁皮膜の品質を回復させることは難しい。)。
すなわち、従来の丸エナメル線の圧延では、成形する平角エナメル線の厚さと幅との比が大きいほど加工度が大きいので絶縁皮膜が加工劣化しやすい。また、導体が加工硬化しやすく、加工硬化した導体を軟化させるための焼き鈍しの熱量で更に絶縁皮膜が熱劣化するので、厚さと幅との比が大きい平角エナメル線であるほど品質が劣化する。
一方、本実施の形態に係る平角エナメル線の製造方法においては、丸面取り平角エナメル線の主にエッジ面に引抜加工(あるいは、引抜加工及び圧延加工)による圧力が加わり、フラット面に加わる引抜加工(あるいは、引抜加工及び圧延加工)による圧力は丸面取り平角エナメル線を押さえる程度に小さくすることができる。したがって、丸エナメル線のフラット面、及びエッジ面を平角形状に圧延加工、引抜加工する場合と比較して加工硬化を少なくすることができる。また、丸エナメル線を平角形状に圧延加工、引抜加工する場合は、平角導体の厚さと幅との比が大きいほど加工効果は大きくなる。しかしながら、本実施の形態のように丸面取り平角エナメル線を引抜加工(あるいは、引抜加工及び圧延加工)する場合は、平角導体の厚さと幅との比が大きいほど加工効果は小さくなるので、厚さと幅との比が大きい場合は、焼鈍を省略しても十分に大きな伸びを有する平角エナメル線が得られる。また、平角エナメル線に上塗り塗装することで多少の焼鈍効果を発揮させることができる。
すなわち、本実施の形態においては、丸面取り平角エナメル線に圧延を施す場合、成形する平角エナメル線の厚さと幅との比が大きいほど加工度が小さいので、絶縁皮膜が加工劣化しにくく、導体が加工硬化しにくくなる。これにより、導体を軟化させるための焼き鈍しを省略したとしても、伸び等の諸特性を規格内に収めることが可能になる。つまり、平角エナメル線の厚さと幅との比が大きいほど、平角エナメル線の品質の劣化を低減できる。
また、本実施の形態においては、厚さと幅との比が大きいと加工度が小さいので、圧延ロールによる圧延工程を省略して、平角伸線ダイスでの引抜工程だけで平角エナメル線としての性能を満足させることもできる。
(実施の形態の効果)
本発明の実施の形態に係る平角エナメル線の製造方法においては、丸面取り平角導体2を用い、上述した所定の工程を経て平角エナメル線6が製造されるので、絶縁皮膜400の加工劣化が少なく、かつ、導体上の全周にわたって略均一な厚さの絶縁皮膜を有する平角エナメル線6を提供することができる。
[実施の形態の変形例]
図3は、本発明の実施の形態の変形例に係る平角エナメル線製造装置の概要を示す。
実施の形態の変形例に係る平角エナメル線製造装置1aは、実施の形態に係る平角エナメル線製造装置1とは、上塗り塗装を平角エナメル線6に施す点を除き、平角エナメル線製造装置1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
引抜加工工程の後、平角エナメル線製造装置1aの絶縁塗料供給装置40は、絶縁塗料供給装置30において用いた絶縁塗料と同一の絶縁塗料、又は当該絶縁塗料とは異なる他の絶縁塗料を平角エナメル線6の周囲に塗布する。そして、絶縁塗料が塗布された平角エナメル線6は、平角塗装ダイス42を経て焼付炉44に導入される。ガイドプーリー46及びガイドプーリー38を介して1回以上絶縁塗料を塗布焼付する。これにより、平角エナメル線6に塗布された絶縁塗料から上塗り絶縁皮膜が形成される(上塗り塗装工程)。上塗り絶縁皮膜を備える平角エナメル線6は、ガイドプーリー46、キャプスタン20、ピンチローラー21を経て巻取リール22に巻き取られる。
これにより、圧延加工、引抜加工によって絶縁破壊電圧を含む平角エナメル線6の諸特性が多少低下していたとしても、低下した諸特性を回復することができる。なお、平角エナメル線製造装置1aにおいて、圧延加工を省略し、引抜加工のみで丸面取り平角エナメル線4を平角エナメル線6に加工しても、同様の作用効果を奏する上塗り絶縁皮膜を備える平角エナメル線6を製造することができる。
図4は、比較例に係る平角エナメル線の製造に用いた平角塗装ダイスの概要を示し、図5は、実施例に係る平角エナメル線の製造に用いた丸面取り平角塗装ダイスの概要を示す。
断面寸法が1.0mm×5.0mmの平角導体に対し、設計厚さ20μmの絶縁皮膜を有する平角エナメル線を製造した。このとき、図4に示す平角塗装ダイス29を用いて絶縁塗料を平角導体線に塗布、焼付けした平角エナメル線を比較例1とし、設計厚さが20μmであり、導体径が3.7mmの丸エナメル線を圧延ロールで圧延した後、平角ソリッドダイスを用いて圧延後の丸エナメル線に絶縁塗料を塗布、焼付けした平角エナメル線を比較例2とした。なお、平角塗装ダイス29は、平角導体が導入される孔を有し、当該孔は対向する一対のダイス平坦部290、及び対向する一対のダイス平坦部292を有する。また、当該孔は、平角塗装ダイス29の一端から他端に向けて貫通しており、平角塗装ダイス29の内部において一端から他端に向けて所定の傾斜角で傾斜しているテーパー部294及びテーパー部296を含む。
一方、図5に示す丸面取り平角塗装ダイス28を用いて絶縁塗料を丸面取り平角導体に塗布、焼付けした後、4方向の非駆動の圧延ロールでフラット面をロールで押さえつつエッジ面をロールで圧延加工した。その後、平角伸線ダイスで引抜加工した平角エナメル線を実施例1とした。また、実施例1において4方向の非駆動の圧延ロールを用いないで、平角伸線ダイスだけで引抜加工した平角エナメル線を実施例2とした。なお、丸面取り平角塗装ダイス28は、丸面取り平角導体が導入される孔を有し、当該孔は対向する一対のダイス平坦部280、及び対向する一対のダイス湾曲部282を有する。また、当該孔は、丸面取り平角塗装ダイス28の一端から他端に向けて貫通しており、丸面取り平角塗装ダイス28の内部において一端から他端に向けて所定の傾斜角で傾斜しているテーパー部284及びテーパー部286を含む。
また、丸面取り平角塗装ダイス28を用いて絶縁塗料を塗布、焼付けした後、4方向の非駆動の圧延ロールでフラット面をロールで押さえながらエッジ面をロールで圧延加工した後、平角伸線ダイスで引抜加工し、更に、平角塗装ダイスを用いて絶縁塗料を塗布、焼付けした平角エナメル線を実施例3とした。そして、実施例3において4方向の非駆動の圧延ロールを用いずに、平角伸線ダイスだけで引抜加工した後、平角塗装ダイスを用いて絶縁塗料を塗布、焼付けした平角エナメル線を実施例4とした。
光学顕微鏡を用いて焼付け後の比較例1及び比較例2、並びに実施例1〜4に係る平角エナメル線の絶縁皮膜の厚さの分布(厚さ分布)を測定した。また、JIS C 3003(1999)「エナメル線試験方法」のB法に準拠して、製造した平角エナメル線の絶縁破壊電圧を測定した。測定結果を表1に示す。なお、絶縁皮膜の厚さの測定は、平坦部で8か所、コーナー部で4か所、長さ方向で5つの断面において実施した。また、絶縁破壊電圧の測定結果は10試料の平均とした。
Figure 0005440951
表1を参照すると明らかなように、平角導体に絶縁塗料を塗布、焼付けした比較例1では、コーナー部の絶縁皮膜の厚さが薄く、平坦部の絶縁皮膜の厚さが一部で厚くなり、明確なドッグボーン形状になっていた。そして、比較例1においては、絶縁皮膜の最大厚さと最小厚さとの差が14μmと大きい差であった。また、丸エナメル線を平角形状に圧延した後、上塗り塗装した比較例2においては、絶縁皮膜の最大厚さと最小厚さとの差は9μmであったが、絶縁皮膜の加工劣化により絶縁破壊電圧は比較例1より低下した。
一方、実施例1〜4においては、絶縁皮膜の最大厚さと最小厚さとの差は7μm〜8μmであり、比較例1の約1/2であった。また、平角形状に加工しただけの実施例1及び実施例2においては比較例1より1〜2割程度、絶縁破壊電圧が向上した。一方、平角形状に加工した後、上塗り塗装した実施例3及び実施例4においては、比較例1より約5割程度、絶縁破壊電圧が向上した。
以上より、実施例1〜4に係る丸面取り平角エナメル線は、略均等な絶縁皮膜の厚さを有する絶縁皮膜を平角導体線の全周、及び長尺にわたって安定性よく形成できることが実証された。なお、実施例1〜4に係る平角エナメル線の製造方法においては、縦型の塗装装置、又は横型の塗装装置の何れであっても、平角導体線の周囲に略均等な絶縁皮膜の厚さを有する絶縁皮膜を形成することができる。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 平角エナメル線製造装置
1a 平角エナメル線製造装置
2 丸面取り平角導体
2a 平角導体
4 丸面取り平角エナメル線
4a 平角エナメル線
6 平角エナメル線
6a 平角エナメル線
10 サプライリール
12 ガイドプーリー
14 ガイドプーリー
16 ガイドプーリー
18 ガイドプーリー
20 キャプスタン
21 ピンチローラー
22 巻取リール
24 焼鈍炉
26 焼付炉
28 丸面取り平角塗装ダイス
29 平角塗装ダイス
30 絶縁塗料供給装置
32 圧延ロール
34 平角伸線ダイス
36 キャプスタン
38 ガイドプーリー
40 絶縁塗料供給装置
42 平角塗装ダイス
44 焼付炉
46 ガイドプーリー
200 平坦部
210 湾曲部
280 ダイス平坦部
282 ダイス湾曲部
284 テーパー部
286 テーパー部
290 ダイス平坦部
292 ダイス平坦部
294 テーパー部
296 テーパー部
400 絶縁皮膜
400a 絶縁皮膜
402a コーナー部
410 平坦部
600 コーナー部
600a コーナー部
610 平坦部
610a 平坦部

Claims (7)

  1. 対向する一対の平坦な面を含む平坦部、及び対向する一対の略円弧状に湾曲した面を含む湾曲部を有する丸面取り平角導体の周囲に絶縁塗料を塗布する塗装工程と、
    前記絶縁塗料を焼付け、前記丸面取り平角導体の周囲に絶縁皮膜を形成する絶縁皮膜形成工程と、
    前記丸面取り平角導体の前記湾曲部の湾曲した面に平角伸線ダイスを用いて引抜加工を施し、前記湾曲部の湾曲した面を平坦にした平角エナメル線を作製する引抜加工工程と
    を備える平角エナメル線の製造方法。
  2. 前記引抜加工工程が、前記平角伸線ダイスを用いて前記平角エナメル線を作製する際に前記平坦部と前記湾曲部との間に形成されるコーナー部の形状を、面取り半径が導体の厚さの半分より小さく、平坦なエッジ面がある平角形状に整えるように引抜加工し、前記平角エナメル線を作製する請求項1に記載の平角エナメル線の製造方法。
  3. 前記引抜加工工程の後、前記平角エナメル線の周囲に前記丸面取り平角導体の周囲に塗布した前記絶縁塗料と同一の絶縁塗料、又は前記丸面取り平角導体の周囲に塗布した前記絶縁塗料とは異なる他の絶縁塗料を塗布し、焼付けして前記平角エナメル線の周囲に上塗り絶縁皮膜を形成する上塗り塗装工程を更に備える請求項1又は2に記載の平角エナメル線の製造方法。
  4. 前記塗装工程と前記引抜加工工程との間に、圧延ロール装置で前記丸面取り平角導体に圧延加工を施す圧延加工工程を更に備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の平角エナメル線の製造方法。
  5. 前記圧延加工工程が、前記丸面取り平角導体の前記平坦部上に形成された前記絶縁皮膜に接する一対のロールからなる第1のロールと、前記湾曲部上に形成された前記絶縁皮膜に接する一対のロールからなる第2のロールとを有する圧延ロール装置を用い、前記第1のロールで前記平坦部上に形成された前記絶縁皮膜を押さえながら、前記湾曲部を前記第2のロールで圧延加工する請求項4に記載の平角エナメル線の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の平角エナメル線の製造方法により丸面取り平角導体上に絶縁皮膜が形成された平角エナメル線。
  7. 前記丸面取り平角導体の厚さと幅との比が、幅/厚さ=5/1以上である請求項6に記載の平角エナメル線。
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