JP4057344B2 - 情報提示装置および情報提示システム - Google Patents

情報提示装置および情報提示システム Download PDF

Info

Publication number
JP4057344B2
JP4057344B2 JP2002152377A JP2002152377A JP4057344B2 JP 4057344 B2 JP4057344 B2 JP 4057344B2 JP 2002152377 A JP2002152377 A JP 2002152377A JP 2002152377 A JP2002152377 A JP 2002152377A JP 4057344 B2 JP4057344 B2 JP 4057344B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
information
robot
information presentation
base station
wings
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002152377A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003341599A (ja
Inventor
将樹 濱本
佳似 太田
圭太 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2002152377A priority Critical patent/JP4057344B2/ja
Publication of JP2003341599A publication Critical patent/JP2003341599A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4057344B2 publication Critical patent/JP4057344B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Illuminated Signs And Luminous Advertising (AREA)
  • Toys (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は情報提示装置および情報提示システムに関し、特に、効果的に情報の提示を行なうことができる情報提示装置および情報提示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディスプレイ技術の発達により、情報提示装置として広告等の情報提示用に様々なディスプレイが用いられている。
【0003】
図31は、従来の情報提示装置の具体例を示す図である。従来の情報提示装置は、図31(a)に示すように、支柱などの支持構造を有する。あるいは、図31(b)に示す一般的な電光掲示板のように、ビルディングなどの構造物に付加される支持態様であった。
【0004】
また、気球や飛行船、アドバルーン等のように、浮力により浮上する構造物そのもの、もしくはこれに付加された情報提示部分により、浮上することで障害物の少ない位置もしくは視認頻度の高いことが期待される位置に移動して広告などの情報提示を行なう情報提示装置も近年多く用いられている。例えば、特開2002−6784号公報には、従来の飛行船と、プロジェクタとを組合わせた情報提示装置である浮遊型ロボットが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の支持を必要とする情報提示装置は、支柱や構造物等の支持構造を必要とするため、情報提示部分の大きさが支持構造のサイズや剛性によって制限されてしまうという問題があった。また、このような情報提示装置は、所定の面積を占有するため、情報提示主の所有する不動産にしか配することができない。そのため、位置がほとんど固定されてしまい、より効果的な情報提示を行なうことができないという問題があった。また、催事の会場への道案内といった、一時的な用途に用いるには、情報提示装置を配する土地の管理者に承諾を得る必要がある。そのため、非常に手間がかかるという問題があった。
【0006】
一方、上述の浮上もしくは飛行するタイプの情報提示装置は、地上に占有面積を有しないためにこの問題が回避される。上述の特開2002−6784号公報で開示される浮遊型ロボットを用いて情報を提示する場合は、この点においてはメリットがある。
【0007】
しかし、特開2002−6784号公報で開示される情報提示装置は、浮力が体積に比例するため、所定の大きさ以上の浮上部分を必要とする。そのため、人間の視線程度の高さや、ビルディングや一般的な商店街といった状況で用いるのに適さず、効果的な情報の提示ができないという問題があった。
【0008】
例えば、一般的に用いられている無線操縦の無人飛行船のうちで、最も小さいものでも3m程度の長さがあった。このため、例えば人間の目に最も留まりやすい地上高1〜2mでは、障害物が多いため、このような無人飛行船を情報提示に用いることは、ほとんど不可能であるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、面積を占有せず、効果的に情報の提示を行なうことができる情報提示装置および情報提示システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、情報提示装置は、情報を提示する情報提示手段を備える情報提示装置であって、羽ばたき飛行を行なうことで流体中を浮上して移動する浮上手段を備え、浮上手段は、流体中にて羽ばたき運動を行ない、その羽ばたき運動の反作用により浮上力を得る羽部と、羽部を駆動するための駆動部と、駆動部を制御する制御部とを含むことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、情報提示装置は、当該情報提示装置の位置を取得する位置取得手段をさらに備え、情報提示手段は、取得した位置に基づいて情報の提示様態を変化させる手段をさらに含む
【0012】
好ましくは、情報提示装置は、当該情報提示装置の姿勢を取得する姿勢取得手段をさらに備え、情報提示手段は、取得した姿勢に基づいて情報の提示様態を変化させる手段をさらに含む
【0013】
また、情報提示装置は、情報提示手段で提示する情報に応じて、当該情報提示装置の位置を制御する第1の制御手段をさらに備えることが望ましい。
【0014】
好ましくは、情報提示装置は、情報提示手段で提示する情報に応じて、当該情報提示装置の姿勢を制御する第2の制御手段をさらに備える。
好ましくは、羽部は当該情報提示装置の左右に対で備えられ、駆動部は、左右に対の羽部の各々を2自由度以上の自由度にて駆動する。
好ましくは、制御部は駆動部における駆動方法に応じた羽ばたき運動の運動データを格納する手段を含み、制御部は、上記運動データに基づき当該情報提示装置を所定位置に移動させるように駆動部を制御する。なお、より好ましくは、上記所定位置は、当該情報提示装置が提示する情報に基づいた図形を流体中に描くための位置である。
【0015】
また、情報提示装置は、上述の浮上手段と情報提示手段とが、独立して制御されることが望ましい。
【0016】
また、上述の情報提示手段と、情報を提示される被情報提示者とを結ぶ直線が、浮上手段の移動体積密度の最も低い領域に位置することが望ましい。
【0017】
また、上述の情報提示手段は、浮上手段を用いて情報を提示することが望ましい。
【0018】
また、上述の情報提示手段は、浮上手段の視覚状態を制御することで情報を提示することが望ましい。
【0019】
また、上述の情報提示手段は、視覚状態として、反射率を制御することで情報を提示することが望ましい。
【0020】
また、上述の情報提示手段は、視覚状態として、発光を制御することで情報を提示することが望ましい。
【0021】
また、情報提示装置は、浮上手段に、発光した光を拡散する拡散手段をさらに備えることが望ましい。
【0022】
また、上述の浮上手段は、当該浮上手段の部位ごとに異なる複数の視覚状態を備え、情報提示手段は、当該情報提示装置の被情報提示者に対する姿勢を制御することで情報を提示することが望ましい。
【0023】
また、上述の浮上手段は、当該浮上手段の表裏で異なる視覚状態を備え、情報提示手段は、被情報提示者に向ける浮上手段の表裏を制御して情報を提示することが望ましい。
【0024】
また、上述の情報提示手段は、当該情報提示装置を複数組合せることで、情報を提示することが望ましい。
【0025】
また、上述の情報提示手段は、人間の目の位置に相当する高さにおいて情報を提示することが望ましい。
【0026】
また、上述の情報提示手段は、浮上手段を制御することで、羽ばたき飛行の様態を変化させて情報を提示することが望ましい。
【0027】
また、情報提示装置は、音を発生させる発音手段をさらに備えることが望ましい。
【0028】
また、上述の発音手段は、前記羽ばたき飛行の様態の変化に応じて前記音を変化させることが望ましい。
【0029】
また、情報提示装置は、物理量を取得する取得手段をさらに備え、情報提示手段は、取得された物理量に応じて情報を提示することが望ましい。
【0030】
また、情報提示装置は、人体を検出する検出手段をさらに備え、情報提示手段は、検出手段で人体を検出した際に情報を提示することが望ましい。
【0031】
本発明の他の局面に従うと、情報提示システムは、上述の情報提示装置と、情報提示装置に駆動エネルギーの補充を行なうエネルギー補充装置とからなる。
【0032】
また、本発明のさらに他の局面に従うと、情報提示システムは、上述の情報提示装置であって、通信手段をさらに備える情報提示装置と、情報提示装置と通信を行ない、1以上の情報提示装置を制御する制御装置とからなる。
【0033】
また、情報提示システムは、物理量を取得する取得手段をさらに備え、制御装置は、取得された物理量に応じて情報提示装置を制御することが望ましい。
【0034】
また、情報提示システムは、人体を検出する検出手段をさらに備え、制御装置は、検出手段で検出された人体の情報に応じて情報提示装置を制御することが望ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ、第1〜第3の発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0036】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態における情報提示システム(以下、単にシステムと称する)は、所定の情報を提供する情報提示装置である羽ばたき飛行ロボットと、これを制御するベースステーションとから構成される。以下には、本実施のシステムが、方向案内を行なう情報提示システムであるものとして説明を行なう。より具体的には、人間すなわち被情報提示者の視線程度の高さにおいて、矢印型の図形を提示する情報提示装置、およびこれを用いた情報提示システムであるものとして説明を行なう。
【0037】
図1は、第1の実施の形態におけるシステムの構成を示す図である。
図1を参照して、本実施の形態におけるシステムは、作業空間92内に配された、情報提示手段を有する羽ばたき飛行ロボット(以下、単にロボットと称する)90と、このロボット90と情報を交換するベースステーション91とから構成される。
【0038】
次に、上述のシステムの動作について、具体的に説明を行なう。
ベースステーション91が被情報提示者93を検出すると、ベースステーション91はロボット90に所定の位置に定位するよう指示する。指示を受けたロボット90は、指定された位置に定位する。ロボット90には、情報提示手段として矢印形の図形が配されている。ロボット90の位置と姿勢とをベースステーション91が制御することにより、本システムは、矢印の方向という情報を、被情報提示者93に対して提示する。
【0039】
次に、図1に示されるロボット90について説明する。
図2は、図1に示されるロボット90の主要な構成について示す図である。
【0040】
図2を参照して、ロボット90は支持構造1を主構造とし、これに各構成部品が配される。
【0041】
より詳細には、支持構造1の上部には右アクチュエータ21と左アクチュエータ22とが固定される。右アクチュエータ21には右羽31が取付けられ、左アクチュエータ22には左羽32が取付けられる。各羽31および32の構成については、後に詳述する。
【0042】
また、支持構造1の下部に電極61が配される。
各アクチュエータ21および22は、各々取付けられた羽31および32を、アクチュエータ21および22の支点を略中心として、3自由度をもって回転させる。各アクチュエータ21および22の回転は、支持構造1に搭載された制御装置4によって制御される。各アクチュエータ21および22の詳細な構造については後述する。
【0043】
なお、図2に示される状態におけるロボット90の重心Oは、左右アクチュエータ21および22の回転中心の中点A0よりも鉛直下方にある。
【0044】
また、支持構造1には、加速度センサ51、角加速度センサ52、および人体検出用の焦電型赤外線センサ53が搭載される。
【0045】
さらに、支持構造1には通信装置7が配される。通信装置7は、ベースステーション91と情報の送受信を行なう。
【0046】
上述の制御装置4は、上述の加速度センサ51および角加速度センサ52から送られる情報によって、ロボット90の浮上の状態を検知する。
【0047】
また、上述の通信装置7は、制御装置4の有する情報をベースステーション91に送信する。さらに、通信装置7は、ベースステーション91から指示信号を受信する。
【0048】
制御装置4は、ベースステーション91から受信した指示信号に応じて、各アクチュエータ21および22の動作パラメータを算出し、駆動を決定する。
【0049】
さらに、支持構造1には、情報提示手段として、矢印標識8が配される。矢印標識8は、視認性を考慮して、羽31または32が被情報提示者93からの視線を遮ることのない、支持構造1の上部に配される。
【0050】
上述の左右アクチュエータ21および22、制御装置4、センサ51〜53、および通信装置7を駆動する電源は、電源6により供給される。電源6は、2次電池であり、電極61を経由して供給される電力によって充電される。また、電極61は、位置決めピンの役割も兼ねる。そのため、ロボット90は、ベースステーション91の位置決穴(図示せず)に、所定の姿勢で定位することが可能である。
【0051】
なお、図2においては、電極61は、正極および負極の2本のピンからなる構成であることが示されているが、充電状態検出用などを含む、3本以上のピンからなる構成であっても構わない。
【0052】
次に、上述の支持構造1についてより詳細に説明する。
支持構造1は、機械的強度を確保した上で十分軽量であることが望ましい。本実施の形態におけるロボット90の支持構造1では、略球殻状に整形したポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられるものとする。
【0053】
なお、支持構造1の下部に、接地の際転倒せぬよう、支持脚が配されてもよい。また、支持構造1の材料や形状は、飛行の性能を損なわないものであれば、上述の材料や、図2に示された形状に限られるものではない。
【0054】
上述の如く、支持構造1の材料は、特に、軽量で剛性が高いことが望ましい。そのため、例えば、蟹や海老等の生物に使われているキトサンなどの有機物と、シリカゲルなどの無機物とを、分子レベルでハイブリッド化した複合材料を用いることも考えられる。前記複合材料を用いることにより、蟹や海老等の外骨格が備える、軽くて丈夫であり、かつ、形状加工が容易であるという、生物が本来持っている最適な組成値をそのまま支持構造1に転用することができる。また、上述の複合材料は、環境に対しても害が少ないため望ましい材料である。さらに、貝殻の材料である炭酸カルシウムを、前述のキトサンに替えて用いることでも、剛性の高い支持構造1を構築することができる。
【0055】
また、アクチュエータ21および22、羽31および32の配置、形状についても、図2に示される態様に限るものではない。
【0056】
なお、本実施の形態では、ロボット90の浮上の安定性を特に重要視して、すなわち、浮上時に自然に図2に示した姿勢となるように、重心Oの位置を羽31および32の力学的作用中心点(回転中心の中点A0)の位置よりも下に位置させている。しかし、重心Oと力学的作用点(回転中心の中点A0)の位置とを一致させる方が、ロボット90姿勢制御に必要な左右の羽31および32の流体力の差を最も小さくすることができるため、ロボット90の姿勢を容易に変更することができる。よって、ロボット90の形態は、上述の、重心Oの位置を羽31および32の力学的作用中心点の位置よりも下に位置する形態に限定されず、本システムにおける情報提示の目的によっては、上述の、重心Oと力学的作用点の位置とを一致させる形態、すなわち、姿勢制御の容易さを優先した設計を行なうことも考えられる。
【0057】
次に、上述のロボット90の、羽31および32の構成とその動作について、以下に説明する。
【0058】
ここで、説明の簡便のため、図2における座標系を定義する。
まず、支持構造1の略中央を原点とする。また、重力加速度の方向を下方向、その逆を上方向とする。原点から上方に向かってz軸を定義する。
【0059】
次に、右アクチュエータ21の形状中心と左アクチュエータ22の形状中心を結ぶ方向を左右方向とし、原点から左羽32に向かってy軸を定義する。また、原点から、y軸とz軸との右手系における外積方向にx軸を定義し、以後これを前方、その反対方向を後方と称する。
【0060】
また、図2には、ロボット90が、右羽31の右アクチュエータ21に対する力学的作用点A1と、左羽32の左アクチュエータ22に対する力学的作用点A2との中点A0から、重力加速度方向に下ろした線上に本装置の重心Oが位置する状態であることが示されている。本実施の形態においては、左アクチュエータのロータ229(図示せず)は略球状であり、左羽32の主軸321の延長線上にこのロータ229の球心が位置するように左羽32が配置される。左アクチュエータ22に対する力学的作用点A2および主軸321の回転運動の支点は、このロータ229の球心に一致する。なお、右アクチュエータ21についても同様である。
【0061】
以後、前述したx軸、y軸、z軸は図2に示される状態において、支持構造1に対して固定された、本実施の形態のロボット90に固有の座標系であるものとして説明を行なう。
【0062】
一方、上述のロボット90の固定された座標系に対して、空間に固定された任意の点を原点とする空間座標として、x’軸、y’軸およびz’軸を定義する。これにより、ロボット90が移動する作業空間92の座標は、上述のx’軸、y’軸およびz’軸のそれぞれの座標を用いて表され、ロボット90における固有の座標は、x軸、y軸およびz軸のそれぞれの座標を用いて表される。
【0063】
次に、羽31および32の構造について説明する。
左羽32は、主軸321と、主軸321から枝状に伸びた枝322とから構成される支持部材に、膜323を張ることで形成される。主軸321は、左羽32において、前方よりの位置に配される。また、枝322は、先に行くほど(主軸321から遠くなるほど)下方を向く。さらに、左羽32は、上に凸状の断面形状を有する。これによって、特に左羽32を打下ろす際に、左羽32は、流体から受ける力に対して高い剛性を得る。
【0064】
上述の主軸321と枝322とは、軽量化のため、それぞれカーボングラファイトの中空構造である。また、膜323は、その面内において収縮する方向に自発的な張力を有し、左羽32全体の剛性を高める働きを行なう。
【0065】
なお、具体的に、本発明者らが実験に用いた数値は、以下の数値である。左羽32の主軸321の直径は、支持構造1に支持された根元の部分では100μm、先端部では50μmであり、主軸321は根元から先端部へ向かって細くなるテーパー形状である。また、膜323の材質はポリイミドであり、膜323の大きさは前後方向約1cm、左右方向約4cm、厚さは約2μmである。
【0066】
さらに、上述の具体的な左羽32の構成を図示する。図3は、左羽32の構成の具体例を示す図である。図3に示された左羽32は、説明のために主軸321はその太さが拡大されて示されている。図示されない右羽31は、xz平面を挟んで左羽32と鏡面対象になるように支持構造1に取付けられる。
【0067】
なお、ここに示した羽31および32の形状、材質等は具体例の1つであり、飛行の機能を実現する羽31および32の構成は、ここに示される形状、材質等に限定されない。
【0068】
次に、羽31および32の動作について、左羽32を例に挙げて説明する。
左アクチュエータ22は、左羽32を回転3自由度で動かすことが可能である。つまり、左羽32の駆動状態は、その姿勢で表わされる。ここで、以後の説明の簡便のため、左羽32の姿勢を、図2に示される状態に基づき、以下のように定義する。図4および図5は、左羽32の姿勢を示すための第1の図および第2の図である。
【0069】
まず、図4に示すように、主軸321の回転運動の支点(力学的作用点A2)と、x軸およびy軸にそれぞれ平行な軸(//x、//y)とを含むxy平面に平行な平面を基準として、点A2と左羽32の主軸321の根元とを結ぶ線分がその平面となす角度を、羽ばたきのストローク角θとする。また、主軸321の回転運動の支点(力学的作用点A2)とy軸およびz軸にそれぞれ平行な軸(//y、//z)とを含むyz平面に平行な平面を基準として、点A2と左羽32の主軸321の根元とを結ぶ線分がその平面となす角度を偏角αとする。
【0070】
このとき、ストローク角θはxy平面に平行な平面より上方では正とし、下方では負とする。また偏角αはyz平面に平行な平面よりも前方では正とし、後方では負とする。
【0071】
そして、図5に示すように、左羽32の主軸321の根元における膜323の接平面p1が、点A2を通りx軸と平行な軸(//x)と主軸321とを含む平面p0となす角度を、ねじり角βとする。このとき、ねじり角βは、主軸321の根元から先端に向かって見たときに、時計回りを正とする。
【0072】
次に、アクチュエータ21および22について説明を行なう。
本実施の形態におけるアクチュエータ21および22については、トルクが大きいこと、往復運動が簡単に実現できること、および構造が単純なことなどから、圧電素子(ピエゾ)を用いて発生した進行波によって駆動する、一般的に超音波モータと呼ばれるアクチュエータを用いる。
【0073】
まず始めに、一般的な超音波モータについて検討を行なう。図6は、一般的な超音波モータ23を示す図である。
【0074】
図6を参照して、超音波モータ23は、図6(a)に示される如く、下面に圧電素子230を貼付けてあるアルミニウムの円盤231上に、突起232〜237が円盤231の中心を重心とする正六角形をなすように6カ所配され、さらにこの圧電素子230の下面には円周方向に12分割された電極238が配される構造である。
【0075】
さらに、超音波モータ23の構造の概略を図6(b)に示す。12分割された電極238の各電極は、1つおきに電気的に短絡されており、それぞれ、円盤231を規準に電圧が印加される。すなわち圧電素子230には、2相の異なる電圧が加えられる。この様子を図6(c)に、ハッチングと黒塗りつぶしとに分けて示す。このそれぞれに異なる時間的パターンで電圧を加えることによって、円盤231上に進行波が発生し、突起232〜237の先端が楕円運動を行なう。
【0076】
なお、以上の、検討に用いた一般的な超音波モータ23の、具体的な数値の例を挙げる。
【0077】
超音波モータ23のトルクは、1.0gf・cmで、無負荷回転速度は800rpmである。また、その際の最大消費電流は20mAである。また、円盤231の直径は8mm、突起232〜237の配されている間隔は2mmである。円盤231の厚さは0.4mm、突起の高さは約0.4mmである。また、この場合の圧電素子230の駆動周波数は341kHzである。
【0078】
上述の一般的な超音波モータ23を用いて、ステータを構成することができる。このステータは、ステータ上に接触して配されたロータ239(図示せず)を、上述の突起232〜237の先端の楕円運動により搬送する。
【0079】
本実施の形態におけるロボット90では、上述のステータ部分を流用したアクチュエータ21および22を用いる。
【0080】
次に、図7は、右アクチュエータ21の構成を示す図である。
図7を参照して、右アクチュエータ21は、図7(b)に示す如く、球殻状のロータ219を、上述のステータと同様のステータ210とベアリング211とで挟込んで保持する構造である。ただし、ステータ210のロータ219との接触部は、ロータ219表面と一致する形状に加工される。
【0081】
なお、本実施の形態におけるロータ219のサイズの具体例としては、外形3.1mm、内径2.9mmの球殻で、表面に右羽主軸311が配される。ステータ210の突起のある面に向かって見て時計回り(以後、これを正回転、この逆の回転を逆回転と呼ぶ)にロータ219を搬送させる操作を行なうと、右羽主軸311は図7(b)に示すθの方向に移動する。
【0082】
さらに、上述のロータ219を3自由度で駆動するために、上部補助ステータ212と下部補助ステータ213とをベアリング214、215と共にステータ210、ベアリング211と同様に図7(a)に示すように配する。本実施の形態においては、各補助ステータ212,213の大きさの具体例としては、ステータ210の0.7倍である。
【0083】
上述のステータの駆動方向は、必ずしも直交していない。しかし、それぞれ独立した要素への回転を与えるため、これらの運動の組合わせによって、ロータ219を3自由度で駆動することができる。
【0084】
例えばロータ219に対して、上部補助ステータ212によって正回転を、下部補助ステータ213によって同じく正回転を与えれば、ロータ219はこの合成であるβ方向に回転する。また、上部補助ステータ212によって逆回転を、下部補助ステータ213によって正回転を与えれば、α方向に回転する。
【0085】
なお、実際の駆動に際しては、回転中心の異なる2つの回転を行なわせることは、摩擦によって効率を低下させてしまう。そのため、例えば上部補助ステータ212と下部補助ステータ213とをごく短時間周期で交互に動作させ、その間、動作していないステータの突起はロータ219に接触しない、等の駆動方法を行なうことが望ましい。これは、ステータの電極全てに、圧電素子の収縮方向に電圧を印加することで、特別に構成要素を付加することなく実現することができる。
【0086】
また、実際の圧電素子の駆動周波数が300kHz以上と、せいぜい100Hz程度である羽ばたき周波数に比べて十分高速であるので、交互にアクチュエータ21を動作させても、実質上なめらかな動きを右羽主軸311に与えることができる。
【0087】
以上により、上述の検討に用いた一般的な超音波モータ23と同等の特性を有する、3自由度を備えるアクチュエータ21および22が構成される。
【0088】
なお、上述のステータの発生する進行波の振幅がサブミクロンオーダであるため、上述のロータ219は、このオーダの真球度であることが要求される。民生用の光学製品に用いられている放物面鏡の加工精度は数10nmであり、また、光学干渉計に用いられる光学部品の加工精度は数nm程度であることから、このようなロータは現在の加工方法、技術で作成することが可能である。
【0089】
なお、これは本発明における3自由度の運動を羽31および32に与えるアクチュエータ21および22を超音波モータで構成した具体例の1つに過ぎず、各構成要素の配置、サイズ、材質、および駆動方法等は、羽ばたき飛行に要求される物理的機能、例えばトルク等が実現できるならこの限りではない。
【0090】
また、言うまでもなく、羽31および32の駆動機構や、羽31および32の駆動に用いるアクチュエータ21および22の種類についても、特に上述に限定されるものれはない。たとえば特開平5−169567号公報に開示されているような、外骨格構造とリニアアクチュエータとを組合わせて用いた羽ばたき機構等であっても、上述のアクチュエータ21および22と等価な羽31および32の動作を実現できる。
【0091】
また、駆動エネルギーとして電力を用いたが、内燃機関を用いることも可能である。さらに、昆虫の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応により、化学的エネルギーを運動エネルギーに変換するアクチュエータを用いることも可能である。例えば、昆虫から採取した筋肉をリニアアクチュエータとして用いる方法や、虫の筋肉のタンパク質のアミノ酸と無機物とを材料として分子レベルでこれらを複合化させて作った複合材料の人工筋肉をリニアアクチュエータとして用いる、等の方法がある。
【0092】
さらに、基本的な駆動力を上述の内燃機関等のエネルギー効率の高いアクチュエータで得て、これらの制御もしくは補助として電力で駆動するアクチュエータを用いる手法も可能であることは言うまでもない。
【0093】
次に、ロボット90の浮上方法について説明を行なう。
なお、ここでは、羽31および32が流体から受ける力を流体力と呼ぶこととする。また、説明の簡便のため、空気の流れはがはばたきによってのみ起こる状態、すなわち無風状態であるものと仮定して説明する。さらに、説明の簡便のため、ロボット90に及ぼされる外力は、羽31および32に流体から作用する力、すなわち、流体力と重力とのみであるものとする。
【0094】
ロボット90が恒常的に浮上するためには、1回の羽ばたき動作の間で、平均して、
(羽にかかる上方向の流体力の総和)>(ロボット90にかかる重力)
であることが必要である。
【0095】
ここでは、昆虫の羽ばたきを単純化した羽ばたき方である、打下ろし時の流体力を打上げ時の流体力よりも大きくする方法について説明する。説明の簡便のため、流体の挙動もしくはそれが羽31および32に及ぼす力については、その主要成分を挙げて説明する。また、この羽ばたき方によりロボット90に作用する浮上力と重力との大小については後述する。
【0096】
羽31および32には、羽31および32が運動する方向と逆方向の流体力が作用する。そのため、羽31および32の打下ろし時には羽31および32に上向きの流体力が作用し、打上げ時には羽31および32に下向きの流体力が作用する。そこで、打下ろし時に流体力を大きくし、打上げ時には流体力を小さくすることで、1回の羽ばたき動作(打下ろし動作と打上げ動作とをまとめて羽ばたき動作と言う)の間で時間平均すると上方向の流体力が得られることになる。
【0097】
そのためには、まず、打下ろし時に、羽31および32が移動する空間の体積が最大になるように打下ろせば、羽31および32にほぼ最大の流体力が作用する。これは、羽31および32の接平面と略垂直に羽31および32を打下ろすことに相当する。
【0098】
一方、打上げ時に、羽31および32が移動する空間の体積が最小になるように打上げれば、羽31および32に及ぼされる流体力はほぼ最小となる。これは、羽31および32の断面の曲線にほぼ沿って羽31および32を打上げることに相当する。
【0099】
このような羽31および32の動作について、図8および図9を用いて、例として左羽32について説明を行なう。図8および図9は、左羽32の、主軸321に垂直な第1および第2の断面図である。図8は左羽32の移動する空間の体積が最大になるように打下ろした場合を示す図であり、図9は左羽32の移動する空間の体積が最小になるように打上げた場合を示す図である。
【0100】
図8および図9では、移動前の左羽32の位置は破線で示され、移動後の左羽32の位置は実線で示されている。また、左羽32の移動方向が一点鎖線の矢印によって示されている。図8および図9において太線矢印に示される如く、流体力は左羽32の移動方向とは逆向きに左羽32に作用する。
【0101】
このように、打上げ時における左羽32が移動する空間の体積が、打下ろし時における左羽32が移動する空間の体積よりも大きくなるように、左羽32の姿勢を左羽32の移動方向に対して変化させることで、1回の羽ばたき動作の間の時間平均において、左羽32に作用する上方向の流体力を、ロボット90に作用する重力よりも大きくすることができる。
【0102】
本実施の形態のロボット90では、羽31および32のねじり角βが制御可能である。そのため、ねじり角βを時間的に変化させることによって、上述の羽31および32の運動が実現される。
【0103】
具体的には、図10〜図13に示される左羽32の羽ばたき動作に沿って、以下のステップS1〜S4の説明を行なう。図10〜図13は、左羽32の羽ばたき動作のステップS1〜ステップS4を示す図である。
【0104】
まず、図10を参照して、ステップS1では、左羽32の打下ろしが行なわれる。そのとき、左羽32のストローク角θは、+θ0から−θ0に変化する。
【0105】
次に、図11を参照して、ステップS2では、左羽32の第1の回転動作が行なわれる。このとき、左羽32のねじり角βは、β0からβ1に変化する。
【0106】
また、図12を参照して、ステップS3では、左羽32の打上げ(ストローク角θ=−θ0→ +θ0、ねじり角β=β1→β2が行なわれる。このとき、左羽32の曲面に沿った運動を行ない流体力を最小限にとどめるために、左羽32のストローク角θは−θ0→から+θ0に変化し、ねじり角βはβ1からβ2に変化する。
【0107】
さらに、図13を参照して、ステップS4では、左羽32の第2の回転動作が行なわれる。このとき、左羽32のねじり角βは、β2からβ0に変化する。
【0108】
上述の、ステップS1およびステップS3において左羽32に作用する流体力を時間平均すると、上述のように左羽32の移動する空間の体積の違いから、上向きの流体力となる。なお、この上向きの流体力の鉛直成分と重力との大小関係については後述する。
【0109】
なお、言うまでもなく、ステップS2およびS4においても、左羽32に作用する流体力の時間平均は、上向きの流体力であることが望ましい。
【0110】
ここで、ロボット90の羽31および32では、図10〜図13に示す如く、羽31および32の前縁近傍に、羽31および32の回転中心(主軸321部分)が位置する。つまり、主軸321から羽32の後縁までの長さの方が主軸321から羽32の前縁までの長さよりも長い。このため、図11および図13に示すように、羽32の回転動作においては、羽32の回転方向に沿って生じる流体の流れに加えて、主軸321から羽32の後縁に向かう方向に沿って流体の流れが生じる。
【0111】
そして、羽31および32には、このような流体の流れの反作用として、それぞれの流れの向きとは逆向きの力が作用して、図11に示すステップS2では実質的に上向きの流体力が左羽32に与えられ、図13に示すステップS4では主に下向きの流体力が左羽32に与えられる。
【0112】
さらに、図12に示すステップS3では、左羽32の断面の曲線に沿うように左羽32のねじり角βをβ1からβ2に変化させながら打上げ動作が行なわれる。また、図11に示すステップS2における左羽32の回転角は、図13に示すステップS4における左羽32の回転角よりも大きい。これにより、ステップS2およびステップS4においても、左羽32に上向きに作用する流体力が下向きに作用する流体力に打勝って、時間平均すると上向きの流体力が左羽32に作用する。
【0113】
なお、図10〜図13では、それぞれのステップS1〜S4における左羽32の移動前の姿勢が波線で示され、移動後の姿勢が実線で示されている。また、各ステップS1〜S4における左羽32の移動方向が一点鎖線の矢印によって示されている。また、各ステップS1〜S4において主に発生する流体の流れが実線の矢印によって示されている。
【0114】
次に、ストローク角θおよびねじり角βの時間変化について図14に示す。図14は、ストローク角θおよびねじり角βの値を時間の関数として表した図である。ただし、図14では、ストローク角θ、およびねじり角βのそれぞれの縦軸の比率は異なっている。
【0115】
なお、具体的に、本発明者らが実験に用いた数値は、以下の数値である。θ0は60°である。β0は0°である。β1は−120°である。β2は−70°である。
【0116】
さらに、上述の説明においては、説明の簡便のためステップS1〜S4は独立した動作として記述したが、ステップS1において左羽32を打下ろしながら左羽32のねじり角を大きくするような動作も可能である。また、上述した例は、最も近似的な考察から説明されるものであり、実際に浮上可能な羽ばたき方法は上述の例に限られるものではない。
【0117】
また、ここでは左羽32について説明したが、右羽31についてもxz平面に関して鏡面対称に左手系に基づいてストローク角θ、偏角α、およびねじり角βを定義すれば同一の議論が成立つ。以下、羽31および32に作用する上向きの流体力を浮上力とし、羽31および32に作用する前向きの流体力を推進力とする。
【0118】
次に、本実施の形態におけるロボット90に任意の運動を行なわせるための制御手法について説明を行なう。ここでは、本実施の形態におけるロボットの左羽32については右手系に基づくストローク角θ、偏角αおよびねじり角βを用い、そして、右羽31についてはxz平面に対して鏡面対称の左手系に基づくストローク角θ、偏角αおよびねじり角βを用いて羽の姿勢を示す。
【0119】
上述の如く、羽ばたきによる浮上移動は、羽にかかる流体力によって行われる。そのため、羽の運動により、ロボット90に与えられる加速度と角加速度とが直接制御される。
【0120】
まず、Sを目標とする浮上状態と現在の浮上状態との差異とする。T(S)を浮上状態から加速度および角加速度への変換を表わす関数とする。sを加速度および角加速度とする。Fα(s)を加速度センサ51および角加速度センサ52のセンサ応答を含めた制御アルゴリズムを表わす関数とする。sαをアクチュエータ制御量とする。Gw(sα)をアクチュエータ21および22と羽31および32との応答を表わす関数とする。Swを羽31および32の運動とする。Gfs(sw)を羽31および32の運動によりロボット90に及ぼされる加速度もしくは角加速度Seを表わす関数とする。Seがこの一連のプロセスにより行なわれる浮上状態の変更とする。そのとき、入力Sより出力Seが得られるプロセスは、図15に示す如くなる。図15は、羽ばたき動作制御における応答を示す図である。
【0121】
さらに、図15を参照して、実際には、羽31および32と流体との慣性力により、現在までの羽31および32の運動Rwと、流体の運動の時刻歴に依存する影響Rfsとが、GwとGfsとに加わる。
【0122】
なお、上述の方法以外にも、Fα以外の全ての関数を正確に求め、これよりS=Seとなる制御アルゴリズムFαを算出する手法もありうる。しかし、この手法においては、ロボット90周囲の流体の流れと羽31および32の運動の時刻歴とが必要であり、膨大なデータ量と演算速度とが必要となる。また、流体と構造との連成した挙動は複雑で、多くの場合カオティックな応答になってしまう。そのため、この手法は実用的でない。そこで、予め基本的な動作パターンを用意し、目標とする浮上状態を分割して、これら基本動作パターンを時系列に組合わせて実現する手法が簡便で望ましい。
【0123】
物体の運動にはx方向、y方向、z方向3自由度の並進自由度とθx方向、θy方向、θz方向3自由度の回転自由度、つまり6自由度が存在する。すなわち前後、左右、上下、そしてこれらの方向を軸とする回転である。
【0124】
このうち、左右への移動は、θz方向の回転と前後方向への移動とを組合わせて行なうことができる。そこで、ここでは、上下方向すなわちz軸方向への並進動作、前後方向すなわちx軸方向への並進移動、およびx軸y軸z軸周りの回転動作について、それぞれその実現方法を説明する。
【0125】
(1)上下方向(z軸方向)の動作
羽31および32が移動することで、羽31および32が流体から受ける力は羽31および32の移動速度に依存する。そのため、羽31および32に及ぼされる上向きの流体力を大きく(小さく)するには、
A:ストローク角θの振幅を大きく(小さく)する
B:羽ばたき周波数を大きく(小さく)する
等の方法がある。これらの方法によってロボット90は上昇(下降)することができる。ただし、流体力には負の値も含まれる。
【0126】
なお、これらの手法によれば、羽31および32が流体から受ける流体力そのものが大きくなる。そのため、羽31および32が流体力を上下方向以外から受けることによって、羽31および32の力学的支点A1およびA2に羽31および32から上下方向以外の力が及ぼされている際には、上昇と共に、その方向へのこの支点A1およびA2にかかる力の増加も伴なう。例えば、前方に略等速直線運動を行なっている際に羽ばたき周波数を大きくすると、ロボット90は速度増加を伴なって上昇する。このように、現時点での羽ばたき方によって、副次的にこのような他の運動を伴なうが、以後、特に断らない限り、停空状態からの制御について説明する。
【0127】
また、羽31および32のねじり角βを変えて、羽31および32が移動する空間の体積を変化させることによっても浮上力は変化する。例えば、打上げ時における羽31および32が移動する空間の体積がより大きく、もしくは、打下ろし時における羽31および32が移動する空間の体積がより小さくなるようなねじり角βとすることで、羽31および32に作用する上向きの流体力の時間平均は小さくなる。実際には、羽31および32は剛体でなく変形を伴なうため、同一のねじり角βによっても羽31および32が移動する空間の体積は変化する。しかし、第一原理的には、羽31および32の移動する方向に垂直なねじり角βが最も大きくなる、羽31および32が移動する空間の体積を考える。また、羽31および32が移動する方向に平行なねじり角βが最も小さくなる、羽31および32が移動する空間の体積を考える。
【0128】
なお、この場合、副次的に、羽ばたきと垂直方向にも流体力が作用する。そのため、この垂直方向の流体力が制御上支障を生じるレベルである場合は、これを打消す羽31おおよび32の動きを付加する必要がある。最も単純には、偏角αの変更により実現できる。
【0129】
また、前記のステップS2もしくはステップS4において、羽31および32の回転角速度を変化させることによっても、z軸方向の動作を行なうことは可能である。例えば、ステップS2において羽31および32の回転角速度(−dβ/dt)を大きくすると、この回転によって生じる流体の下方向への流速が大きくなるため、この反作用によって羽31および32に作用する上向きの流体力は大きくなる。
【0130】
なお、上述の場合、ロボット90に及ぼされる、羽31および32の主軸311および321を回転軸とするトルクが、副次的に変化する。よって、この変化が制御上支障のない範囲内で、この回転角速度変化を行なうことが望ましい。
【0131】
また、この場合、ロボット90に及ぼされる、前後方向への力も副次的に変化する。よって、この変化が制御上支障を来たす場合は、(2)として後述する前後方向への力の制御も同時に行なうことが望ましい。
【0132】
(2)前後方向(x軸方向)への動作
前述した羽ばたき方法では、主にステップS2およびステップS4にて、x方向正の向きへの流体力が羽31および32に作用する。したがって、この羽31および32の動かし方においては、前進を伴なって浮上する。
【0133】
また、打下ろしの際に、偏角αを増加して羽31および32を前方に移動させることで、羽31および32には後向きの流体力が作用することになる。したがって、打下ろしの際、すなわちステップS1における偏角αを制御して、ステップS1における羽31および32に作用する後向きの流体力を、他の(主にステップS2とステップS4における)前向きの流体力よりも大きくすれば後退し、小さくすれば前進することができる。また、この後向きの流体力と前向きの流体力とがほぼ釣合えば、前後方向に静止することができる。
【0134】
特に、ロボット90が前後方向に静止しており、左右の羽31および32が略対象な運動を行ない、重力とロボット90における浮上力とが釣合っているならば、ホバリング状態が実現できる。
【0135】
なお、偏角αの変更に伴ない、副次的に、羽31および32に及ぼされる流体力の鉛直方向成分が変化する。そのため、この流体力の鉛直方向成分が制御上支障を生じるレベルである場合には、これを打消す羽31および32の動きを付加する必要がある。これは主に前述(1)の上下方向の動作によって行なうのが簡便である。
【0136】
さらに、前述したステップS2およびステップS4において、羽31および32の回転動作の角速度を大きくすると前向きの流体力が増加し、小さくすると減少する。これによっても前後方向への動作を変化させることができる。
【0137】
また、(1)に述べた羽31および32のねじり角βの変更に伴なう副次的な流体力のうち、x軸方向成分を利用する手法を用いることもできる。つまり、打下ろし時に、ねじり角β>0なら前方向への力が働き、ねじり角β<0なら後ろ方向への力が働く。
【0138】
なお、打上げ時のねじり角β、偏角α、およびストローク角θの関係は、ある程度拘束されているが、以上の流体力の制御は、ステップS3においても可能である。
【0139】
(3)z軸を回転軸とする回転動作
(2)において述べた前後方向への制御を、左羽32と右羽31について個別に行ない、これを異ならせることで、ロボット90にトルクを与えることができる。
【0140】
すなわち、右羽31の前向きの流体力を、左羽32のそれに対して高くすれば、ロボット90はx軸正の向きに向かって左方向を向き、低くすれば同じく右方向を向く。これによって、z軸を回転軸とする回転動作を行なうことができる。
【0141】
(4)x軸を回転軸とする回転動作
(3)と同様に、右羽31の上向きの流体力を、左羽32のそれに対して大きくすれば右側が持上がり、小さくすれば左側が持上がる。これによって、x軸を回転軸とする回転動作を行なうことができる。
【0142】
(5)y軸を回転軸とする回転動作
(2)に述べた、羽31および32のねじり角βの角速度変更によって、ロボット90にかかるy軸周りのトルクを変化させることができる。これにより、y軸を回転軸とする回転動作を行なうことができる。例えば、ステップS1におけるねじり角βの回転角速度を大きくすると、ロボット90は機首を下げ、逆に小さくすると機首を上げる。
【0143】
(6)ホヴァリング(停空飛翔)
ロボット90を停空させる際のストローク角θ、偏角α、およびねじり角βと時間との関係を、図16に示す。図16は、ロボット90を停空させる際のストローク角θ、偏角α、およびねじり角βの値を、時間の関数として表わした図である。ただし、図16においては、それぞれの角度の縦軸の比率は異なっている。
【0144】
なお、具体的に、本発明者らが実験に用いた数値は、以下の数値である。θ0は60°である。β0は−10°である。α1は30°である。β1は−100°である。β2は−60°である。
【0145】
さらに、上述の(1)および(2)に示された動作においての、各ステップS1〜S4における左羽32の運動と、それにより左羽32の力学的支点A2に生じる加速度および角加速度とを図17に示す。図17は、羽31および32の制御とそれによりもたらされる動作とを対応付ける図である。図17においては、各ステップS1からS4における左羽32の運動ごとに、左羽32の力学的支点A2に生じる加速度および角加速度とを丸印で示す。ただし、左右の羽31および32の運動の非対称によって起こすことができるため、(3)、(4)に示すx軸、z軸を回転軸とする回転動作については省略する。
【0146】
次に、本実施の形態におけるロボット90に任意の運動を行なわせるための制御方法を決定する手法について説明を行なう。
【0147】
ロボット90の現在の浮上状態は、ロボット90に搭載された加速度センサ51や角加速度センサ52が取得した値を適宜変換した値を用いて求められる。例えば、速度は、加速度を時間積分した値に速度の初期値を加えることで求められる。また、位置は、速度を時間積分した値に位置の初期値を与えることで求められる。当然、浮上状態に、浮上状態の時刻歴を含む手法を用いることもできる。
【0148】
制御装置4は、現在のロボット90の浮上状態と、目的とする浮上状態とから、ロボット90の動作を決定する。この制御は、3次元で行なわれる点以外は従来から行なわれている制御手法を適用することができる。
【0149】
ロボット90の動作は、制御装置4にて、アクチュエータ21および22の駆動に変換される。
【0150】
この変換には、テーブル参照、もしくはその補完を用いる方法が高速である。例えば、図18は、基本となる動作と、それを実現するアクチュエータ21および22の駆動の組合わせとを定めるテーブルである。図18に示されるテーブルを予め用意することで、ロボット90の動作が、制御装置4にて、アクチュエータ21および22の駆動に変換される。なお、図18の左端列は、目的とする動作である。また、羽ばたきにおけるAおよびBは、Aは前進時の羽ばたき方、Bは停空時の羽ばたき方である。より具体的には、それぞれ図14および図16に示される、偏角α、ねじり角β、およびストローク角θの時刻歴を、時間的に離散化したものである。制御装置4は、ロボット90の動作から、この駆動もしくはその補完した駆動を、図18に示されるテーブルより算出する。
【0151】
なお、ここでは説明のため、まずロボット90の動作を算出し、これをアクチュエータ21および22の駆動に変換するという手法を用いたが、浮上状態から直接アクチュエータ21および22の駆動を選択する手法を用いてもよい。
【0152】
例えば、定位制御を行なう場合、現在位置と目標位置との差によって、上述したアクチュエータ21および22の駆動のいずれか、もしくはそれを補完した駆動を直接算出する手法であってもよい。
【0153】
また、言うまでもなく、ロボット90の浮上状態を表わす物理量は、上述の位置、速度、加速度等に限定されるものではない。また、言うまでもなく、アクチュエータ21および22の駆動を決定する手法は、この態様に限らない。
【0154】
次に、本実施の形態におけるロボット90の構成で浮上が可能な条件について、以下に述べる。
【0155】
本発明者らの実験環境では、アクチュエータ21および22として進行波アクチュエータを用いた。この進行波アクチュエータによれば、ステータ210は超音波モータ23と同等であるので、θ方向の羽ばたきに関してはトルク1.0gf・cmである。
【0156】
そこで、本発明者らはシミュレーションによりこのトルクで羽ばたいた際の流体力を算出した。以下にその際の値を、具体例として挙げる。
【0157】
羽31および32は、アクチュエータ21および22から離れる方向が長辺で、長辺4cm、短辺1cmの矩形であるものとする。なお、羽31および32の変形は無視する。また、幅8mm、長さ33mmのトンボの羽が約2mgであったので、これにならい、羽31および32の質量は3mgとする。
【0158】
さらに、超音波モータ23は、突起先端232〜237の微小な楕円運動の累積によってロータを駆動するため、実際の駆動トルクの立上がりおよび立下がりは、楕円運動の周期オーダ、すなわち10の5乗ヘルツオーダーである。しかし、計算の安定性からの制約上、±250gf・cm/secとする。すなわち、トルクは0.004秒に1gf・cm上昇する。
【0159】
この羽31および32を、一方の短辺を、この辺を回転軸とする回転自由度のみ残して固定し、この回転自由度にトルクを与える。図19は、回転軸にかかる反力を、上述の具体的な数値を用いて算出した結果を示す図である。ただし、偏角α=0(度)、ねじり角β=0(度)である。
【0160】
図19を参照して、時刻0秒において羽31および32は水平、すなわちストローク角θ=0(度)である。ここから時刻0.004秒までの間にトルクを1gf・cmまで直線的に向上させ、0.004秒から0.01秒まで1gf・cmを保つ。そして時刻0.01秒から0.018秒までの間にトルクを1gf・cmから−1gf・cmまで直線的に変化させ、同0.018秒から0.03秒までは−1gf・cmを保ち、同0.03秒から0.038秒までの間に再び1gf・cmへと直線的に変化させる。
【0161】
これにより得られた接点反力を、打下ろしの間、すなわちトルクが負である時間である時刻0.014秒から時刻0.034秒までの間で平均すると約0.29gfである。
【0162】
以上のシミュレーションは、1自由度のはばたき動作の結果であるため、打上げ時における流体力の作用は不明である。しかし、断面積に比して流体の抵抗は減少するので、打上げ時に働く下向きの支点反力を小さくし、かつ、打下ろし時と同じトルクで打上げることが可能なため、打上げに要する時間は打下ろしに要する時間より遙かに短い。すなわち、打上げの際の力が作用する時間は短いこと、また打下ろし以外にも羽31および32の回転などを用いて浮上力が更に得られることから、トルク1gf・cmのアクチュエータ21および22を用いて、0.29g程度の質量を浮上させることは可能であると言える。すなわち、本実施の形態における装置(ロボット90)全体の質量が0.58g以下であれば、浮上させることが可能である。以下、上述の具体的な数値を用いて、ロボット90の重量について検討する。
【0163】
まず、ステータ210の質量は、電極と圧電素子とが薄いため、比重2.7、厚さ0.4mm、半径4mmの円盤と同等であり、0.054gである。
【0164】
また、補助ステータ212および213の重量は、ステータ210の直径が0.7倍であることから0.019gである。
【0165】
3つのベアリング211,214,215はいずれも外形4.2mm、内径3.8mm、厚さ0.4mmのドーナツ状のボールベアリングである。材質は、比重4.8のチタンで、約30%の空隙があるため、ベアリング211,214,215の質量は約0.013gである。
【0166】
また、ロータ219は、材質がアルミで壁央半径3mm、厚さが0.2mmであるため、質量は約0.061gである。
【0167】
これらの総和から、アクチュエータ21の質量は0.192gである。
また、右羽31の質量は、前述の通り0.003gである。
【0168】
以上の構成が左右計2つあるので、質量の和は0.390gである。
また、本発明者らが採用した、図1に示す支持構造1は、直径1cm、比重0.9、厚さ0.1mmの球体であるので、支持構造1の質量は約0.028gである。
【0169】
また、本発明者らが採用した制御装置4、通信装置7、加速度センサ51、および角加速度センサ52はそれぞれ、5mm×5mmの半導体ベアチップで、各質量は約0.01gである。すなわち、これらの質量の総和は0.04gである。
【0170】
また、本発明者らが採用した電源6の重量は0.13gである。
以上、ロボット90の全ての構成要素の重量の合計は、0.579gとなる。そのため、上述の如く、1対の羽31および32で浮上力0.58gfを得るので、ロボット90は、この構成で浮上することが可能である。
【0171】
次に、通信装置7について説明する。
通信装置7は、送信機能を備え、各種センサの測定値を送信する。これによりベースステーション91が、ロボット90の情報を得ることができる。
【0172】
より具体的には、ベースステーション91は、加速度センサ51から得たロボット90の加速度情報と、および角加速度センサ52から得たロボット90の角加速度情報とを得ることができる。実際には、これらを積分して得られる速度情報および加速度情報を更に積分して得られる位置情報および姿勢情報を得る方が、通信のトラフィックが効率的である。そのため、本実施の形態においては、上述の位置情報および姿勢情報を得る手法を用いる。なお、上述の積分演算は、制御装置4が行なう。
【0173】
また、通信装置7は、受信機能を備え、ベースステーション91より制御信号を受信する。これにより、ベースステーション91は、ロボット90に対して制御を行なうことができる。
【0174】
なお、本実施の形態においてはここに例示した情報を送受信するものとして以後の説明を行なうが、もちろん、送受信すべき情報は上述に限定されない。例えば、ベースステーション91より発せられた制御信号を、ロボット90が正しく受信したか否か確認する応答信号等を送受信することも可能である。
【0175】
次に、制御装置4について、図1および図18を用いて説明する。
図1に示すとおり、制御装置4は、演算装置41とメモリ42とからなる。
【0176】
上述の演算装置41は、通信装置7を経て、ロボット90において各種センサによって得られた情報を送信する機能を有する。
【0177】
また、上述のメモリ42は、上述の、送受信されたデータを保持する機能を有する。
【0178】
本実施の形態においてはより具体的に、演算装置41は加速度センサ51および角加速度センサ52からの情報によりロボット90の加速度および角加速度を算出する。続いて、これを積分演算することによってロボット90の速度および角速度を算出し、さらにこれらを積分演算することによりロボット90の位置と姿勢とを算出する。そして、演算装置41は、適宜、通信装置7を経由して、ベースステーション91に、上述のロボット90の位置と姿勢との情報を送信する。また、ベースステーション91からは、現在ロボット90の到達すべき位置と姿勢との情報が送信される。ロボット90は、これを通信装置7を経て受信する。そして、演算装置41は、この受信された位置と姿勢とに定位すべく、それに適した加速度と角加速度とを算出し、この加速度と角加速度とより各アクチュエータ21および22の動作パラメータを決定する機能を有する。
【0179】
さらにより具体的には、演算装置41は、ロボット90に与えられるべき代表的な加速度と角加速度との組合わせに対応した偏角α、ねじり角β、およびストローク角θの時系列値をテーブルとして有し、これらの値、もしくはその補間値を各アクチュエータ21および22の動作パラメータとする。なお、偏角α、ねじり角β、およびストローク角θの時系列値とは、例えば加速度、角加速度共に0であるホバリングの場合は、図19にグラフで示される値を離散化したものである。
【0180】
なお、ここに挙げる偏角α、ねじり角β、およびストローク角θは、制御パラメータの一例であり、説明の簡便のためこれらのパラメータを指定することでアクチュエータ21および22が駆動されることを前提に記述している。しかし、例えば、より直接的にこれらを実現する各アクチュエータ21および22の駆動電圧や制御電圧に変換したものを用いる手法の方がより効率的である。これらは既存のアクチュエータ制御方式と特に異なるものではないので、ここでは代表的なパラメータとして偏角α、ねじり角β、およびストローク角θを挙げている。なお、同等の機能が実現できる手法であれば、本実施の形態に限るものではない。
【0181】
さらに、制御装置4の機能は上述の機能に限定されるものではなく、他の機能を付加することは、到達すべき位置および姿勢への定位に支障を来さない限り可能である。
【0182】
またさらに、飛行制御は時間的に連携するものであるので、羽31および32の動作の時刻歴を、制御装置4におけるメモリ42に記憶させておき、ベースステーション91からの制御信号を、この時刻歴情報によって補正する手法を用いることも可能である。
【0183】
また、ロボット90の浮上移動を優先する場合、通信の帯域から送信不可能なデータが発生することも考えられる。また、通信が途絶する場合も考えられる。これらをはじめとして、重量の増加が浮上移動に障害をもたらさない範囲内ならば、メモリ42を搭載することは有効である。また逆に、演算装置41におけるレジスタの類をのぞき、ロボット90の機能によっては、メモリ42は明示的に必須ではない。
【0184】
なお、以上の構成は、ベースステーション91の指定した位置および姿勢へのロボット90の定位という機能を実現するための構成の一例であるので、同等の機能が実現されるなら、上述の構成に限るものではない。
【0185】
次にロボット90の駆動エネルギー源、すなわち電源6について説明する。
ロボット90の左右アクチュエータ21および22、制御装置4、およびセンサ51〜53を駆動する電力は、電源6により供給される。
【0186】
本実施の形態における電源6は、リチウムイオンポリマーを電解質とする。そこで、リチウムイオンポリマーを、支持構造1に封入しておけばよい。これにより液漏れを防ぐための余分な構造が不要であり、実質的なエネルギー密度を高めることができる。
【0187】
なお、現在市販されているリチウムイオン二次電池の一般的な質量エネルギー密度は150Wh/kgである。本実施の形態におけるアクチュエータ21および22での消費電流は最大40mAであるので、電源6の電解質重量を約0.1gとすると、本実施の形態のおいては約7.5分の飛行が可能である。
【0188】
また、本実施の形態における左右のアクチュエータ21および22の最大消費電流は合計40mAである。また、電源電圧は3Vである。そのため、電源6の電解質重量が0.1gであるので、0.12W/0.1g、つまり1200W/kgの重量パワー密度を持つ電源6の実現が求められる。ここで、市販品で実現されているリチウムイオンポリマー二次電池の重量パワー密度は約600W/kgであるが、これは携帯電話等の情報機器に用いられている、10g以上の製品における電池の重量パワー密度の値である。一般に、電解質質量に対する電極面積の比はサイズに反比例するので、本実施の形態における電源6は、前出の情報機器などに用いられている二次電池の10倍以上の電極面積比を持つため、10倍程度の質量パワー密度が達成可能であり、冒頭の質量パワー密度は十分達成可能である。
【0189】
なお、これらの仕様を満たすエネルギーが供給可能で、かつ、ロボット90が到達すべき位置および姿勢への定位に支障を来さないならば、駆動エネルギー供給は、上述の種類および手法に限定されない。例えば、他のエネルギー源の種類としては、太陽電池、燃料電池、原子力などの使用も可能である。
【0190】
また、アクチュエータの種類によっては、駆動エネルギーは電気的エネルギーに限定されないことは言うまでもない。
【0191】
さらに、アクチュエータ21および22の駆動エネルギーを、外部から供給する方法を用いることもできる。例えば、電力エネルギーを外部から供給する媒体については、温度差および電磁波等が挙げられ、これを駆動エネルギーに変換する機構としてはそれぞれ熱電素子およびコイル等が挙げられる。
【0192】
なお、異なる種類のエネルギー源を混載する手法を用いることもできる。電力以外のエネルギー源を用いる場合、基本的には、制御は制御装置4からの電気的信号を用いることになると考えられる。
【0193】
次に、ロボット90に搭載される各センサ51〜53について説明する。
加速度センサ51は支持構造1の3自由度並進加速度を、角加速度センサ52は支持構造1の3自由度回転角加速度を検出する。
【0194】
焦電型赤外線センサ53は、ロボット90の前方にその検出領域が向くように配されており、ロボット90の提示情報を受けられる範囲の、被情報提示者93の存在を検出する。これらのセンサ51〜53の検出結果は、制御装置4に送られる。
【0195】
なお、本発明者が用いた加速度センサ51の帯域の具体的な数値としては、帯域40Hzである。当然、加速度センサ51や角加速度センサ52の帯域は、高ければ高いほど時間的に緻密な制御が可能であるが、ロボット90の浮上状態の変更は、1回以上の羽ばたきの結果起きるものであると考えられるので、現在市販されている帯域が数十Hz程度のセンサでも実用が可能である。
【0196】
本実施の形態では、加速度センサ51および角加速度センサ52によりロボット90の位置および姿勢を検出するものとしたが、ロボット90の位置と姿勢とが計測可能な手段であるならば上記センサに限らない。たとえば、互いに直交する3軸方向の加速度を測定可能な加速度センサを少なくとも2つ、それぞれ支持構造1の異なる位置に配置させ、その加速度センサから得られる加速度情報に基づいてロボット90の姿勢を算出することも可能である。また、作業空間92内に位置情報を明示的に組込み、これをロボット90が検出して位置および姿勢を算出する手法を用いることもできる。例えば、作業空間92内に磁場分布を設け、磁気センサによりこの磁場分布を検知することで、ロボット90の位置と姿勢とを算出する手法を用いることも可能である。また、GPS(Global Positioning System;衛星位置標定システム)センサ等を用いる手法も考えられる。なお、後述するベースステーション91がロボット90の位置と姿勢とを直接検出する機能を有する場合には、言うまでもなくこれのセンサは必須ではない。
【0197】
また、加速度センサ51および角加速度センサ52をはじめとするセンサ類は、制御装置4とは別部品として表現したが、軽量化の観点から、マイクロマシニング技術によって制御装置4と一体で同一のシリコン基板上に形成してもよい。
【0198】
なお、本実施の形態におけるセンサ51〜53は、本実施の形態の目的を達成する一例としての最低限の構成要素であって、センサの種類、個数、構成については上述に限定されるものではない。
【0199】
例えば、ロボット90における羽31および32の駆動には、フィードバックのない制御を用いているが、羽31および32の付け根に羽の角度センサを設け、ここから得られた角度情報によりフィードバックを行ない、より正確に羽31および32を駆動する方法を用いることもできる。
【0200】
また逆に、浮上する領域における気流が既知であり、予め定められた羽ばたき方のみによって目的位置に定位することが可能ならば、ロボット90の浮上状態を検出することは不要となるので、加速度センサ51や角加速度センサ52は必須ではない。
【0201】
以上で、ロボット90についての説明を終了し、次に、ベースステーション91について説明を行なう。
【0202】
まず始めに、ベースステーション91の主要な構成と機能とを説明する。図20は、ベースステーション91の主要な構成と機能とを示す図である。なお、ベースステーション91の主要な目的はロボット90からの情報取得とこれに基づくロボット90の制御とであるので、図20はこれらを具体化した一例にすぎず、外観、形状、また付帯的な構成要素の有無については、上述の目的を阻害しない限りここに記す限りではない。
【0203】
図20を参照して、ベースステーション91は、演算装置911とメモリ912と通信装置917とを備える。また、ここには図示しない外部インタフェース918を備える。
【0204】
上述の通信装置917は、ロボット90より送信された信号を受信する機能を有する。また、ロボット90に信号を送信する機能を有する。
【0205】
ベースステーション91は、メモリ912に格納された作業空間92のマップデータ等と、ロボット90より通信装置917を介して受信したロボット90の位置情報をはじめとする各種情報とから、ロボット90の行動を決定する機能を有する。また、この行動を通信装置917を介してロボット90に送信する機能を有する。
【0206】
上述の受信機能と行動決定機能と送信機能とによって、ベースステーション91は、ロボット90自身もしくはその周囲環境情報に基づき、通信装置917を介してロボット90を制御する。
【0207】
これらのロボット90の制御は、外部インタフェース918を介して入力された目的(例えば情報提示を行なう作業空間92内の位置や、その提示すべき情報の内容など)に応じて、演算装置911が決定する。
【0208】
また、図20を参照して、ベースステーション91は、その上面をロボット90の離発着台として用いる。すなわち、ベースステーション91は、上面に、充電器913を備える。そして、充電穴914にロボット90の電極61が結合する。そのことで電気的に電源6に充電器913が接続され、充電が可能な状態になる。本実施の形態においては、節電のため、充電器913は演算装置911により制御され、ロボット90がベースステーション91に結合している際にのみ動作し、充電を行なうものとする。
【0209】
また、上述の充電穴914は位置決穴の役割も兼ねる。さらに、ベースステーション91は電磁石915を備え、必要に応じてロボット90を吸着する。すなわち離陸前のロボット90のベースステーション91に対する相対位置は、電磁石915を作動させることにより固定されている。また、相対速度は0である。
【0210】
また、ベースステーション91は焦電型赤外線センサ916を備え、人体を検出する。ベースステーション91は、焦電型赤外線センサ916を用いて被情報提示者93の存在を検出し、これにより、本システムは情報提示動作を開始する。
【0211】
次に、ベースステーション91からロボット90に対して行なわれる動作指示について説明を行なう。
【0212】
本実施の形態においては、ベースステーション91は、ロボット90と通信を行ない、ロボット90から、主にロボット90の位置や姿勢などの浮上状態に関する情報を得る。また、ベースステーション91は、ロボット90に対して、到達すべき位置や姿勢の指示といった制御情報を送信する。
【0213】
より具体的には、ベースステーション91は、演算装置911とメモリ912と通信装置917とを備え、外部インタフェース918を介して演算装置911に入力された目的を実現すべく、ロボット90から通信装置917を介して取得したロボット90の現在の位置と姿勢とメモリ912に格納された作業空間92のマップデータとより、次に到達すべきロボット90の位置と姿勢とを算出する機能を有する。そして、通信装置917を介して、これをロボット90に送信する機能を有する。
【0214】
また、ロボット90から受信した焦電型赤外線センサ53の情報により、情報提示の終了を判断する機能を有する。
【0215】
外部インタフェース918から入力される情報は、主に、情報提示を行なう作業空間92内でのロボット90の位置と、提示すべき情報の内容との情報である。これらの情報は全て、最終的に、ロボット90の浮上状態と、その浮上状態でのロボット90に備わる周辺機器の動作制御とで構成される。そのため、上記情報提示位置と提示すべき情報内容とをロボット90の行動に変換する手法は、既存のロボット制御手法をそのまま適用できる。
【0216】
なお、上述のベースステーション91の構成は、ロボット90が情報提示を行なうことのできる位置および姿勢に到達する機能を実現するための一構成であり、実際にはアプリケーションによって最適なものをデザインするものである。そのため、上述と同等の機能が実現できるのであれば、構成は上述に限定されないことは言うまでもない。
【0217】
次に、ベースステーション91が行なう、ロボット90の離着陸の際の補助の手法について説明を行なう。
【0218】
ロボット90の羽ばたきの開始もしくは終了時、すなわちロボット90の離着陸の際は、羽ばたきによって発生する気流が急激に増加もしくは減少し不安定である。そのため、ベースステーション91がロボット90の位置および姿勢を制御することは難しい。そこで、本実施の形態では、離陸の前の段階において、ベースステーション91に備えられた電磁石915がロボット90を吸着する。そのため、ロボット90の離陸の際は羽ばたきによる気流が安定するまで電磁石915を作動させ、気流が安定した時点で電磁石915による吸着を停止する、等の手法を用いることで、ベースステーション91はロボット90の安定した離陸を実現することが可能である。
【0219】
ロボット90の着陸の概略について説明する。まず、ロボット90の電極61が充電穴914の上部に位置するようロボット90を移動させる。そして、この状態で電磁石915を作動させ、ロボット90をベースステーション91に吸着する。さらに、その後にロボット90の羽ばたきを停止させれば、気流が不安定となる状態でもロボット90の着陸時の位置と姿勢とを安定させることができる。なお、定位を容易にするため、電極61もしくは充電穴914の少なくとも一方はテーパー形状をしていることが望ましい。
【0220】
なお、重量が許すならロボット90が電磁石915を有する構成であっても構わない。また、この構成により、ロボット90はベースステーション91に限らず、強磁性もしくは軟磁性材料で構成される物質全てに対して安定した離着陸が可能になる。
【0221】
さらに、ロボット90のより加速度の小さい離陸を実現するために、電磁石915に力覚センサを配し、この力覚センサにかかる力によって電磁石915の吸引力を制御する手法を用いることも可能である。
【0222】
また、上述の補助の手法は、離着陸時の気流不安定性に伴なうロボット90の不安定浮上を防ぐ手法の一例にすぎないため、離着陸時にロボット90を一時的に保持する機構であれば他の手段を用いても構わない。例えば、電磁石915に替えて空気を用いてロボット90を吸引する手法を用いることもできる。また、レール等のガイド機構に沿ってロボット90の離着陸を行なう等の手法を用いることもできる。
【0223】
以上で、ベースステーション91についての説明は終了し、次に、システムの動作について説明を行なう。
【0224】
本システムにおいて、ロボット90は、ベースステーション91からの指示により作業空間92において、所定の位置と姿勢とに定位し、矢印標識8による方向指示を行なう。図21は、第1の実施の形態のシステムにおける各種情報の流れを示す図である。図21を参照しながら、上述の動作について、より具体的に説明する。なお、以下に述べる「浮上状態」とは、本システムの空間における浮上態様を指すものであり、「浮上情報」とは、これを表わす情報を指すものであって、上昇もしくは浮遊していることを必須とするものではない。なお、停空飛行や下降も浮上状態の1形態に含まれる。
【0225】
まず、システムの動作の始めとして、ロボット90の待機状態について説明する。
【0226】
ロボット90は、動作開始前において、ベースステーション91の充電穴914に電極61が接続され、固定される。また、必要に応じて、電源6に対して充電が行なわれる。
【0227】
その際、ベースステーション91の演算装置911およびメモリ912はすでに動作しているものとする。このとき、ベースステーション91の焦電型赤外線センサ916は動作を開始しており、被情報提示者93を検出することでこの待機状態を解除し、情報提示動作を開始する。
【0228】
情報提示動作が開始されると、ロボット90は、まず、ベースステーション91から離陸する。そこで、次に、ロボット90の離陸について説明する。
【0229】
図22は、本システムのロボット90が離陸動作を行なうための処理を示すフローチャートである。図22のフローチャートに示される処理は、ベースステーション91の演算装置911がメモリ912に記憶されているプログラムを実行し、また、ベースステーション91からの指示信号に基づいて、ロボット90の制御装置4がプログラムを実行することによって実現される。
【0230】
ロボット90の離陸動作は、ロボット90が羽ばたき動作を開始し、ロボット90に働く浮力を得ることで行なわれる。
【0231】
本実施の形態では、ベースステーション91が、ロボット90の鉛直上方の位置を目標位置としてロボット90に制御信号を送信する。そして、この位置に到達するための羽ばたき動作をロボット90が開始することで、上述の離陸動作が開始される。
【0232】
羽ばたき動作開始以前には、ベースステーション91の電磁石915が動作し、ロボット90はベースステーション91に吸着されている(S102)。そして、遅くとも電磁石915が吸着を解除するまでには、ロボット90において加速度センサ51、角加速度センサ52、制御装置4、および通信装置7は動作を開始する(S121,S122)。また、ベースステーション91においても、通信装置917が動作を開始し、演算装置911が、ロボット90の浮上状態を検出できる状態に達している必要がある(S101)。また、通信路のコネクションを確立している必要がある。
【0233】
そして、上記のように、ベースステーション91は離陸開始指示として、ロボット90の鉛直上方の位置を、ロボット90の到達目標位置としてロボット90に指示する(S103)。また、待機時の姿勢を到達目標姿勢としてロボット90に指示する。
【0234】
上述の指示をベースステーション91から受信して(S123)、ロボット90は到達目標に到達するための羽31および32の駆動を算出する(S124)。そして、算出結果に従って、羽ばたき動作を開始するための羽31および32の駆動を開始する(S125)。
【0235】
また、この間、少なくともロボット90が羽ばたき動作を開始するまでに、ロボット90の制御装置4は、ロボット90の位置と姿勢とを求める演算を開始する必要がある。
【0236】
ここで、ベースステーション91は、ロボット90の羽ばたきによる気流が安定するだけの間、待機する(S104)。羽ばたきによる気流が安定した時点で、ベースステーション91は、電磁石915はロボット90の吸着を弱めていく(S105)。
【0237】
ロボット90は実質上、常にその位置と姿勢とを把握する演算を行なっている。そして、ベースステーション91からの要求に応じて(S106,S126)、この情報、すなわち浮上状態の情報(以後、単に浮上情報と称す)をベースステーション91に送信する(S127,S107)。
【0238】
ベースステーション91はこの得られたロボット90の浮上情報より、ロボット90の浮上を判定する。
【0239】
ベースステーション91が、電磁石915の吸着力とロボット90の浮力とがバランスする点より更に電磁石915の吸着力を弱めた時点で、ロボット90は浮上を開始する。つまり、ベースステーション91は、ロボット90の浮上を検出するまでの間、電磁石915の吸着力低下(S105)と、浮上情報の要求と(S106)、浮上情報の受信(S107)とを繰返すことで、ロボット90の浮上すなわち離陸を実現することができる(S108でYES,S128でYES)。
【0240】
離陸完了後、ベースステーション91は、電磁石915を停止させ(S109)、電磁石915の吸着力を0とする。
【0241】
以上の動作により、ロボット90の離陸が完了する。
上述の動作で離陸したロボット90は、目的地へ到達し、目的地においてその目的である情報提示を行なう。そこで、次に、本システムが行なう情報提示(方向指示)について、説明を行なう。
【0242】
図23は、本システムが情報提示を行なうための処理を示すフローチャートである。
【0243】
図23を参照して、まず、ロボット90が離陸すると、ベースステーション91は、メモリ912に格納されたマップデータと、表示すべき情報等とから、ロボット90の到達すべき位置と姿勢とを算出する(S201)。障害物等によりロボット90が直線運動で目的地に到達できない場合は、障害物を回避しうる経由地を目標とし、経由地への定位を繰返すことで、目的地へ到達することができる。ベースステーション91は、こうして算出された到達目標を、ロボット90に通信を介して指定する(S202)。
【0244】
ロボット90は、ベースステーション91から上述の目的地の情報を受信し(S221)、指定された位置と姿勢とに到達するべき制御の時刻歴を算出する(S222)。そして、算出結果に従って、羽31および32の駆動を適宜変更する(S223)。これを繰返すことによって、ベースステーション91より指定された位置および姿勢への定位を行なう。
【0245】
この間、ベースステーション91は適宜ロボット90に浮上情報を要求する(S203)。ロボット90はこれに応じて(S224)、ベースステーション91に浮上情報を送信する(S225)。ベースステーション91は得られたロボット90の浮上情報より(S204)、ロボット90の目標への到達を判断する(S205)。
【0246】
そして、ロボット90が、到達すべき位置および姿勢への定位を完了した際には、ロボット90は、定位動作を行なう。定位動作は、その位置と姿勢とを維持する停空飛行であることが望ましい。
【0247】
ベースステーション91が、ロボット90の、情報を提示すべき目的地への到達を検出した場合(S205でYES)、ベースステーション91は、ロボット90が提示する情報を算出し(S206)、ロボット90に、情報提示動作を行なうことを指示する(S207)。ロボット90は、この指示に基づき(S226でYES)、情報提示動作を行なう(S227)。
【0248】
本実施の形態においては、ロボット90が所定の位置において所定の姿勢で定位することによって、矢印標識8の位置と向きとが定まり、情報提示が行なわれる。例えば、方向指示をする場合、矢印標識8の示す方向を、指示したい方向と略一致させるよう、ベースステーション91はロボット90の姿勢を算出すればよい。なお、ここではロボット90の定位している位置と姿勢とが提示情報と等価である。このため、方向指示手法は、ロボット90の位置と姿勢との決定手法をそのまま用いることができる。
【0249】
また、この際、羽ばたきによりロボット90が羽音を発生させることで、被情報提示者93がロボット90を認識する確率を高めることができる。そこで、羽音は羽ばたきにより自然に発生するものではあるが、人間の可聴周波数帯域を考慮して、ロボット90は30Hz以上20000Hz以下で羽ばたくことが望ましい。
【0250】
なお、言うまでもなく、この時点までに、ベースステーション91は、外部インタフェース918を経て得られた提示情報より、ロボット90の情報提示動作を算出しておく必要がある。
【0251】
情報提示終了時には、ベースステーション91は、ロボット90に情報提示動作の終了を指示する。ただし、本実施の形態においてはこれは着陸位置への移動と等価である。
【0252】
ロボット90は羽ばたき浮上を行なっているので、高い機動力で移動および定位を行なうことが可能である。また、言うまでもなく、ロボット90は浮上しているので、支柱などの支持構造物を必要とせず、自由な位置にて情報提示を行なうことができる。
【0253】
なお、本実施の形態に示した矢印標識8は、情報提示手段の一例であって、提示する情報の内容は、これに限るものではない。
【0254】
上述の情報提示動作は、ロボット90の焦電型赤外線センサ53によって人体が検出されている間、継続して行なわれる(S228,S229でYES)。そして、ロボット90の焦電型赤外線センサ53が人体を検出せず、ロボット90の情報提示範囲より被情報提示者93が去ったと判断する場合(S229でNO)、ロボット90は、情報提示を終了する指示を、ベースステーション91に対して送信する(S230,S208)。
【0255】
以上で情報提示の処理について終了し、引続いて、ロボット90は、着陸動作に移る。
【0256】
次に、ロボット90の着陸動作について説明を行なう。
着陸動作は、次の順で行なわれる。すなわち、ロボット90は、ロボット90の電極61がベースステーション91の充電穴914の略鉛直上方に位置する位置および姿勢に定位する。次に、ベースステーション91は、ロボット90(の電極61)を、電磁石915を作動させることによって吸着する。
【0257】
図24は、本システムのロボット90が着陸を行なうための処理を示すフローチャートである。
【0258】
図24を参照して、離陸、情報提示の際と同様に、ベースステーション91はロボット90の目標とする位置および姿勢を算出する。すなわち、ロボット90の電極61が、ベースステーション91の充電穴914の略鉛直上方に位置し、かつ、ベースステーション91の電磁石915がロボット90を吸着可能である位置および姿勢(以後これを着陸可能状態と称する)を算出する。そして、ベースステーション91は、通信により上述の位置および姿勢を、ロボット90に指示する(S301)。
【0259】
ロボット90は、これに従い、到達すべき位置および姿勢への定位を開始する(S321)。すなわち、上述の位置および姿勢へ到達するために必要な羽31および32の駆動を算出し(S322)、算出結果に従って、羽31および32の駆動を開始する(S323)。
【0260】
ベースステーション91は、適宜、浮上情報要求を通信によりロボット90に送信する(S302)。これに応じてロボット90は、浮上情報をベースステーション91に送信する(S324,S325)。ベースステーション91は、この得られた浮上情報より、ロボット90の上記の着陸可能状態への到達を判断する(S303,S304)。
【0261】
そして、ベースステーション91は、ロボット90が着陸可能状態へ到達したと判断した時点で(S304でYES)、電磁石915を作動させ、ロボット90をベースステーション91に固定する(S305)。
【0262】
ベースステーション91にロボット90が固定されて以後、ロボット90の加速度センサ51、角加速度センサ52は動作を停止する。
【0263】
また、ベースステーション91にロボット90が固定されて以後、ベースステーション91は、ロボット90に羽ばたきの停止を指示する(S306)。これ以後、通信装置7、制御装置4は停止させてよい(S326でYES)。
【0264】
以上の動作により、ロボット90の着陸が完了する。
なお、上述の本システムにおける一連の処理は、本システムが、ある位置と姿勢とをもって矢印標識8によって情報提示を行なう機能を実現するための方法の一例にすぎない。そのため、これを実現するロボット90の動作は、上述の動作に限定されるものではない。
【0265】
なお、本実施の形態における、ロボット90の制御装置4と、ベースステーション91の情報処理との機能分担について、以下に示す。
【0266】
ロボット90とベースステーション91とは、通信路を通じて情報交換が可能なので、各々の機能分担は様々な形態が可能である。例えば、上述のベースステーション91の機能を全てロボット90に収め、ベースステーション91を廃した、いわゆるスタンドアロンタイプも可能である。しかし、上述の如く、ロボット90に過剰な質量を搭載すると浮上が困難になる。また、ロボット90が軽量である方が、ロボット90の機敏な動きが可能になり、システムの動作効率が向上する。つまり一般に、情報処理の大部分はベースステーション91にて行ない、ロボット90を軽量に設計することが望ましい。特に、提示情報を格納するにはある一定以上の質量を持った一時記憶装置が必要となり、これは提示すべき情報の量に応じて大きくなる。つまり、ロボット90の浮上可能な質量によって、ロボット90の提示できる情報量は制限されてしまう。よって、提示される情報は、ロボット90の搭載重量の増加につながらないメモリ912に用意されていることが望ましい。
【0267】
上述の議論に加え、ロボット90の制御装置4と、ベースステーション91の情報処理との機能分担については、通信速度の向上が重量増加につながる点を考慮する必要がある。
【0268】
例えば、電波を用いた通信の場合、通信速度が高速になると、キャリアとしてエネルギーの高い、高周波数の電波を用いなくてはならないために消費電力が増加する。このため、電源6の重量増加につながる。また補償回路等を用いて信号品質を向上させなくてはならず、構成要素が増加し、通信装置の重量増加につながる。総合的にはこれらのトレードオフを考慮して、実際の機能分担をデザインする必要がある。
【0269】
例えば、羽ばたきの細部、すなわち羽31および32の角度α、β、θをもベースステーション91が指示する場合を考える。一般に羽ばたき飛行の周波数は数十Hz以上であるため、α、β、θの制御周波数帯域はkHzオーダである。この場合、α、β、θのデータがそれぞれ8ビットであるとして、各々1kHzで制御するには、単一の通信路で、8(bit)×1(kHz)×3×2(アクチュエータの個数)=48(kbps)の通信速度が必要である。なお、これは、送信のみの速度であり、実際には受信のための帯域も必要となる。これに、通信のオーバーヘッド等も加わるため、100kbps程度の通信速度を備える通信方法が必要となる。
【0270】
ところで、ロボット90の、前進、後退、および左右への旋回といった基本的な動作については、各々の動作に対応した一定のパターンの羽ばたき方を用意できる。したがって、これら基本動作と、各々の動作に対応した羽ばたき方のパターンとをロボット90に内包し、ベースステーション91が予定経路に相当する基本動作を算出してロボット90に指示し、ロボット90は指示された基本動作から、内包された羽ばたき方のパターンを選択する等の方法を用いても、ロボット90に所望の経路を飛行させることができる。このように、ロボット90は、羽ばたき方そのものの制御に代表される高い周波数帯域の制御を受持ち、ベースステーション91は経路制御に代表される低い周波数帯域での制御を受持つ形態が、制御装置4の演算量の軽減、通信路のトラフィック軽減の観点から望ましい。なお、これら基本動作と、各々の動作に対応した羽ばたきとのパターンは、テーブルとして制御装置4に用意することが、処理速度、および制御装置4における演算量の低減の観点から望ましい。
【0271】
さらに、特に制御装置4に代表される演算装置の演算能力や通信速度は、今後大きく向上することが期待される。そのため、ここに記したロボット90とベースステーション91とにおける情報処理の態様は、現状を元に基本となる考えを例示したものであり、具体的な機能分担については、今後ここに記した限りではない。
【0272】
なお、本システムにおける情報提示方法として、上述の情報提示方法以外を考える。
【0273】
本実施の形態においては、提示される情報が空間において略固定である場合、すなわち、その位置を変化させない場合を想定したが、動作を伴なって情報提示することもできる。例えば、ロボット90が、所定の円周上を、常にその中心を矢印標識8が指示するような姿勢を保ちながら運動することで、その中心付近領域を指示する情報提示方法であってもよい。また、ロボット90が、矢印標識と略一致する方向に移動することで、方向指示を協調する情報提示方法であってもよい。
【0274】
また、より効果的な情報提示を想定し、羽音を用いたが、羽音そのもので情報を提示する情報提示方法であってもよい。例えば、羽音の周波数をサイレンのようにうねらせることで、警告という情報を提示する情報提示方法が考えられる。
【0275】
また、本実施の形態では、エネルギーの節約を想定して、焦電型赤外線センサ916により被情報提示者93が検出された場合のみ情報提示動作を行なったが、より多くの時間情報提示が行なわれることを優先させるならこの限りではない。その場合、本システムにおいて、被情報提示者の有無に対応して情報提示を制御する構成は必須ではない。また、本実施の形態では、情報提示を開始するトリガとして、焦電型赤外線センサ916により直接人体を検出しているが、これに限るものではない。例えば、重量センサや電場センサなどが挙げられる。またより具体的には、既存の自動ドアに用いられるような人体検出装置の利用が挙げられる。
【0276】
また、こういった既存設備の人体検出信号を利用できる外部信号インタフェースをベースステーション91に設けておくことで、より利便性を高めることができる。
【0277】
さらに、本システムにおけるエネルギー補充機構について以下に述べる。
言うまでもなく、上述の説明における電源6の充電方法や形態は、軽量化と継続使用とを両立させるために一般的に用いられるエネルギー補充の一形態を例示したものである。すなわち、電源としての機能を満たす充電方法や形態であれば、電源6とその充電機構の態様とはここに示した限りではない。
【0278】
例えば、羽31および32に、金属薄膜スパッタリングによってコイルを構成し、外部から与えた電波を前述のコイルで電力に変換、整流して電源6を充電するエネルギー補充方法であってもよい。
【0279】
また例えば、ベースステーション91以外に充電のみを目的とする充電ステーションが存在し、そこで充電を行なうエネルギー補充方法であってもよい。
【0280】
また、電力以外のエネルギーを用いる場合、これに適したエネルギー補充方法が必要となる。この場合、もちろん、電極61と充電穴914との形状は、本実施の形態に示したものに限らない。また、本実施の形態に示したように位置決めの役割を兼用することは必須ではない。
【0281】
また、本システムにおける通信方法について以下に述べる。
本実施の形態においては、ベースステーション91は、常にロボット90の情報を得て、ロボット90を制御するものとしたが、ロボット90に自律的動作が可能である場合など、常にベースステーション91がロボット90を制御することは必ずしも必要でない。
【0282】
また、メモリ42に情報を一時的に保持することで、ベースステーション91とロボット90との通信の頻度を下げることができる。これは後述する、ロボットやベースステーションが複数存在する場合等、通信路のトラフィック低減が求められる場合等に有効である。
【0283】
なお、ロボット90とベースステーション91とのコネクションは、途絶する可能性を前提として設計することが望ましい。ここで、ロボット90に通信路が途絶した場合の行動様式を予め組込むことで、コネクションが再開された際、通信途絶に起因する悪影響を最小限に抑えられる。
【0284】
例えば、ロボット90とベースステーション91との通信が行なわれていない状態であっても、ロボット90は、最後にベースステーション91より指示された位置と姿勢とに到達してホバリングを行なうことで浮上状態を一定に保つような機能を備えることで場合であってもよい。この場合、常にベースステーション91がロボット90と通信する必要はなく、ベースステーション91の機能を他の目的に割当てる余地を作ることができる。
【0285】
また、メモリ42に、先の動作までバッファリングすることで、通信路が途絶した場合でも、ロボット90は飛行を続けることができる。逆に、メモリ42に、ロボット90の情報をバッファリングすることで、通信路が回復した際にこれをベースステーション91が得ることで、通信路が途絶している間のロボット90の情報をベースステーション91が得ることができる。
【0286】
また逆に、上述のバッファリングを用いることで、障害物が多く電波が遮られやすい環境においても、より微弱な電波でロボットシステムの機能を達成することができる。そのため、省電力化が可能であり、電源6の軽量化につながり、ロボット90の機動性を高めることができる。
【0287】
なお、本実施の形態においては、説明の簡便のため、作業空間92における環境は変化しないものとしたが、実際の使用においては環境は変化する。主要な環境変化として、気流の発生と障害物の変化とが挙げられる。当然、これら環境変化が存在する場合は、これら環境変化に応じた、上述の制御の補正手段を用意する必要がある。
【0288】
なお、気流については、羽ばたき飛行であっても一般の航空機と同様の影響を受ける。そのため、この補正は、一般的な航空機の経路計画に用いられる手法がそのまま応用可能である。
【0289】
さらに、本実施の形態においては、説明の簡便のため、ベースステーション91は1台としたが、複数のベースステーション91によってロボット90を制御してもよい。例えば、ベースステーション91とロボット90との通信可能範囲よりも作業空間92が広い場合、作業空間92をカバーするように複数のベースステーション91を設け、ロボット90の制御を空間的に分担することも考えられる。このような場合には、移動通信体に用いられるローミング技術をそのまま用いることができる。
【0290】
また本実施の形態においては、ベースステーション91に、ロボット90の制御機能と離着陸補助機能とエネルギー補充機能(すなわち充電機能)とを統合したが、これらの機能がベースステーション91に統合されることは必須ではない。例えば、通信可能範囲に比べ、航続飛行距離(すなわち外部から駆動エネルギーを補充することなく飛行を続けられる距離)が短い場合、1台のベースステーション91がカバーする通信可能範囲内に、他のエネルギー補充ステーションが存在する、といった形態が考えられる。
【0291】
また、当然、ベースステーション91の機能を全てロボット90に内包でき、かつ浮上が可能な重量であるならば、スタンドアロンタイプとしてロボット90単独で使用することもできる。逆に、ほとんどの情報処理をベースステーション91が担い、ロボット90の制御部はアクチュエータ21および22を駆動するのみである形態も可である。
【0292】
また、1台のベースステーション91が、ロボット90を複数制御することもできる。例えば、順路が複雑な会場の誘導に本システム用いる場合等、矢印標識8を複数配する場合等に有効である。当然、複数台のベースステーション91が複数台のロボット90を制御してもよい。これらの制御においては、羽ばたき飛行であることとは直接関与が無く、従来のロボット制御手法がそのまま適用できる。
【0293】
上述の如く、本実施の形態における情報提示システムは、羽ばたき飛行を行なうロボット90を用いて情報提示を行なうことを特徴とする。
【0294】
このような羽ばたき飛行による浮上は、浮上力が体積でなく表面積に依存するため、気球や飛行船に比べて、理論的に小型化に適している。このため、地上高1〜2mといった、人間の視線に対応した、最も情報提示効果の高い高さにおいて、有効な情報提示を、地上に占有面積を有することなく効果的に行なうことができる。
【0295】
例えば、催事会場への道案内を具体的に想定して、全長10cm程度の気球を用いて前記道案内の情報を提供することを想定する。全長10cmの立方体ヘリウム気球の浮上可能質量は最大1.1g程度であるが、この気球の表面積は600平方センチメートル程度である。仮に、1平方センチメートル辺りの質量が2mgの、非常に軽い膜で気球を構成したとしても、気球自体の質量が気球の浮力を上回ってしまい、浮上することができない。気球により発生する浮力と気球自体の質量との関係は、体積が長さの3乗に比例し表面積が長さの二乗に比例することから、気球の大きさが小さくなるほど、気球の浮力は気球自体の体積(質量)より小さくなるという関係である。よって、上記の条件では、気球は少なくとも10cmより大きくなくては浮上できないため、情報提示装置としての役割を果たすことができない。実際には、移動のためのモータ、制御装置等が必要となるため、浮上部以外の質量は、上述の質量よりはるかに大きくなる。
【0296】
また、小型航空機のような、揚力により浮上する固定翼浮上機構は、停空飛行ができないため、高度1〜2mといった情報提示に最も効果的な高度では障害物に遮られることが多く、情報提示が不可能である場合が多い。
【0297】
一方、羽ばたき飛行は停空飛翔が可能なため、一般の航空機のように、前進し続ける必要がない。そのため、ある位置に留まって行なうことを一般的に求められる情報提示を行なう場合に適している。
【0298】
また、羽ばたき飛行による浮上機構は、ヘリコプターといった、回転翼を用いた浮上機構に比べ、抗力を有効に用いることが可能なため、これら回転翼を用いた浮上機構に比べても小型化に適している。また、羽ばたき飛行による浮上機構は、抗力を利用するため、相対的に浮力発生部位の運動速度を小さく設定することができる。例えば、第一近似的に、ヘリコプターの翼を角度θhで傾いた平板だとすると、翼の単位移動量あたりにおける、直近の流体に与える浮上方向の速度は、羽の速度のsinθh倍となる。羽ばたき飛行の場合、羽の速度と同じ速度を流体に与えることが可能である。すなわち、羽ばたき飛行においては、羽の速度を、ヘリコプターの場合に比べ、sinθh倍まで小さくすることが可能である。このため、情報を提示する近辺に人間や構造物などの障害物が存在する場合にも、羽がこれら障害物に接触した際の被害を小さくすることができる。また、騒音を小さくする効果もある。
【0299】
これらのことより、羽ばたき飛行は室内のような障害物の多い環境においても停空飛翔が可能な浮上手段であり、本システムがこの羽ばたき浮上装置を備えることで、障害物の多い環境においても本システムを用いて、地上に占有面積を有しない情報提示を行なうことができる。
【0300】
なお、高さ1〜2mといった、情報提示に最も有効な高さでは、情報提示を行う位置により、被情報提示者から認識できる情報が変化する可能性がある。例えば、正方形であっても、斜めから見れば長方形に見える。そこで、情報提示装置が取得する位置もしくは姿勢に応じて、提示する情報を補正または変換することや、情報提示装置が所定の位置もしくは姿勢に到達した際に情報提示を行なうことで、このような認識される情報の変化を防ぐことができ、正確な情報提示を行なうことができる。
【0301】
また、本実施の形態における情報提示システムは、例えば矢印標識といった提示情報を上記の機能を有する羽ばたき浮上機構に搭載することで、簡便に情報提示を行なうことができる。この際、提示情報と被情報提示者とを結ぶ直線を、羽の移動体積密度が相対的に低い領域に位置させることで、羽による情報提示への干渉を低下させることができる。すなわち、提供される情報が、羽の移動に遮られて被情報提示者に届かないといった事態の発生を低下させることができる。このため、被情報提示者が提示情報を認識することが容易になる。
【0302】
また、人間は歩行時やその他多くの場合、概ね水平方向を向いている。そのため、目の高さ程度にて情報提示を行なうのが最も情報提示の効果が高い。本実施の形態の情報提示システムは、浮上により提示される情報を3次元の任意の方向に移動できるため、容易に効果の高い位置にて情報提示を行なうことができる。
【0303】
また、羽ばたきの態様の変化によっても、より多くの情報を提示することができる。例えば、矢印標識が空間のある1点を指すようにロボット90を運動させることで、その1点を指示す情報提示を行なうことができる。
【0304】
さらに、本実施の形態の情報提示システムは、羽音を発生させることで、情報提示が行なわれているという情報自体を、被情報提示者に効果的に伝えることができる。また、羽音自体で情報を提示することもできるため、他の構成を機能的に付加せずに、提示される情報量を増大させることができる。
【0305】
また、本実施の形態の情報提示システムに人体検出機構を備えることで、人体を検出した際に情報提示を行なうといった、効率のよい情報提示を行なうことができる。
【0306】
さらに、本実施の形態におけるロボット90に二次電池等の再補充可能なエネルギー源を備え、前記再補充可能なエネルギー源を充電する装置を本システムにさらに備えることで、継続的に情報提示を行なうことのできる、情報提示効果の高い情報提示システムを構築することができる。
【0307】
なお、上述の情報提示システムは、羽ばたき飛行を行なう情報提示装置(ロボット90)を用いて情報の提示を行なうことを特徴としている。そのため、情報提示装置は、質量の制約を受け、その結果、提示する情報の量が制約される場合がある。しかし、情報の提示を行なうユーザの利便性を向上させるために、情報提示システムは、提示される情報量によらず情報提示を行なうことが望ましい。そこで、以下に、より利便性の高い情報提示システムについて説明を行なう。
【0308】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態においては、人間の視線程度の高さにおいて、ロボットの集合体にて表示可能な任意の情報を提示する情報提示システムについて説明する。
【0309】
図25は、第2の実施の形態におけるシステムの構成を示す図である。
図25を参照して、本実施の形態におけるシステムは、複数の羽ばたき飛行ロボット(以下、単にロボットと称する)90a〜90f(ロボット90a〜90fを代表させて、ロボット90という)と、これらロボット90a〜90fと情報を交換できるベースステーション99とから構成される。
【0310】
上述の本実施の形態におけるシステムでは、具体的には次のような動作が行なわれる。
【0311】
すなわち、ベースステーション99からの指示により、ロボット90a〜90fが指定の位置に定位する。ロボット90a〜90fの位置と姿勢とをベースステーション99が制御することにより、ロボット90a〜90fが矢印形状に配置され、本システムは、この矢印による方向指示という情報を提示する。
【0312】
本実施の形態におけるロボット90は、図2に示される第1の実施の形態におけるロボット90と同様のものであるため、ここでの説明は繰返さない。ただし、矢印標識8は廃される。
【0313】
また、ロボット90a〜90fは、通信の個体区別のため、それぞれ異なるIDを有している。このIDは、例えば、後述する通信におけるヘッダとして送信されるなどして、後述するベースステーション99に告知される。
【0314】
次に、ベースステーション99について説明を行なう。
本実施の形態におけるベースステーション99もまた、図20に示される第1の実施の形態におけるベースステーション91と同じ構成である。そのため、ここでの説明は繰返さない。ただし、6台のロボット90a〜90fと個別に通信できるように、6つの通信路を有する。また、6台のロボットを離着陸させ、充電を行なうための、6組の電磁石915a〜915f、および充電穴914a〜914fを有する。
【0315】
上述の如く、本実施の形態におけるベースステーション99は、第1の実施の形態のベースステーション91と同様の方法で、ロボット90a〜90fと個別に通信する。その際、各ロボット90に与えられたIDを参照することにより、それぞれのロボット90の情報を個別に得て、それぞれのロボット90に到達すべき位置および姿勢などの制御情報を個別に与える。
【0316】
これらの制御形態は、従来の、複数のロボットに対する制御手法がそのまま適用できる。
【0317】
次に、システムの動作について説明を行なう。
本実施の形態におけるロボット90a〜90fは、ベースステーション99からの指示により作業空間92においてそれぞれ、所定の位置おとび姿勢に定位する。本システムにおいては、この際の配置を矢印状にすることによって方向指示を行なう。上述の動作について、より具体的に説明する。なお、本実施の形態におけるシステムの動作のうち、情報提示動作を除いて、6台のロボット90a〜90fの動作については、第1の実施の形態におけるロボット90の動作とほぼ同等であるので、以下、情報提示動作についてのみ説明する。
【0318】
ロボット90a〜90fの位置および姿勢は、ベースステーション99が任意に設定することができる。そのため、図25に示す如く、ベースステーション99が、矢印形にこれらのロボット90a〜90fを配することで、矢印の位置と向きが定まることによって、本システムにおいて情報提示が行なわれる。
【0319】
ただし、第1の実施の形態と同様に、ロボット90a〜90fの定位している位置と姿勢とが提示情報と等価であるため、ロボット90a〜fは、上述の第1の実施の形態におけるロボット90と同様の動作を行なうものである。
【0320】
当然、この時点までにベースステーション99は、外部インタフェース918を経て得られた提示情報より、ロボット90a〜90fの配置を算出しておく必要がある。本実施の形態においては、上記理由のため、ロボット90a〜90fの提示すべき情報は、ロボット90a〜90fの到達目標そのものであるので、既に算出されている。
【0321】
ロボット90a〜90fは羽ばたき浮上を行なっているので、高い機動力で移動および定位を行なうことが可能である。また、言うまでもなく、ロボット90は浮上しているので、支柱などの支持構造物を必要とせず、自由な位置にて情報提示を行なうことができる。このため、人間が最も認識しやすい高度1〜2mにおける情報提示を行なうことができる。
【0322】
また、本実施の形態におけるシステムは、複数の情報提示装置であるロボット90を組合わせて情報提示することで、提示される情報量を増やすことができる。例えば、本システムでn台のロボット90を用いて情報の提供を行なう場合、1台のロボット90によって示すことのできる情報量をaとすると、aのn乗の情報量を情報を提供することができる。この場合も、浮上させるロボット90単体の重量は変化しないため、ロボット90の浮上性能に支障を来すことなく、提示される情報量を増大させることができる。
【0323】
また、本システムは、ロボット90の台数の制約内で、矢印のみならず、図形など、任意の情報を提示することができる。
【0324】
なお、本実施の形態におけるシステムの情報伝達は、ロボット90a〜90fに対応して通信路が複数用意される以外は、図21に示す第1の実施の形態におけるシステムの構成と同等である。
【0325】
さらに、本実施の形態においては、提示される情報が空間92において略固定である、すなわち、その位置を変化させない場合を想定して説明を行なっているが、動作を伴ないその位置を変化させて情報提示を行なってもよい。例えば、ロボット90a〜90fが、所定の円周上を、常にその中心を指示するような情報提示状態を保ちながら運動することで、その中心付近領域を指示する情報提示方法であってもよい。また、ロボット90a〜90fが、その提示している方向と略一致する方向に移動することで、方向指示を協調する情報提示方法であってもよい。
【0326】
なお、本実施の形態における通信方法では、ロボット90が複数であるため複数の通信路を必要とする。この複数の通信路の形成は、一般に用いられている手法がそのまま適用できる。例えば、時分割手法や、波長変調、もしくはデータをIDを含めて複合してエンコードし、ロボットの側でIDに応じてデコードする等の通信方法であってもよい。
【0327】
また、通信の途絶における対処ついては、第1の実施の形態における対処と同様の方法を行なうことができる。
【0328】
また、本実施の形態においては、説明の簡便のためベースステーション99は1台としたが、複数のベースステーション99によってロボット90a〜90fを制御することもできる。例えば、作業空間92が、ベースステーション99とロボット90a〜90fとの通信可能範囲よりも広い場合、作業空間92をカバーするように複数のベースステーション99を設け、ロボット90a〜90fの制御を、複数のベースステーション99で空間的に分担することもできる。この場合には、従来の移動体通信に用いられているローミング技術をそのまま用いることができる。当然、ロボット90a〜90fを、複数のベースステーション99が個体別に分担して制御する手法を用いることもできる。例えば、第1の実施の形態におけるベースステーション91は、ロボット90を1台制御するようになっているので、第1の実施の形態におけるベースステーション91を6台用いることで、各々のベースステーション91にロボット90a〜90fを1台ずつ割当てることでも本実施の形態の構成は実現される。
【0329】
また、本実施の形態においては、ベースステーション99に、ロボット90a〜90fの制御機能と離着陸補助機能とエネルギー補充機能(すなわち充電機能)とを統合したが、必ずしもこれらの機能がベースステーション99に統合されていることは必須ではない。例えば、通信可能範囲に比べ、航続飛行距離(すなわち外部から駆動エネルギーを補充することなく跳続けることのできる距離)が短い場合、1台のベースステーション99がカバーする通信可能範囲内に、他のエネルギー補充ステーションが存在する等の形態が考えられる。
【0330】
また当然、ベースステーション99の機能を全てロボット90a〜90fに内包でき、かつロボット90a〜90fの重量が浮上が可能な重量であるならばスタンドアロンタイプとして、ロボット90a〜90fのみを単独で用いることもできる。逆に、ほとんどの情報処理をベースステーション99が担い、ロボット90a〜90fの制御部は、アクチュエータ21および22を駆動するのみである形態であってもよい。
【0331】
また、本実施の形態では明示的に矢印と認識できる形状を示すための最低限度の数としてロボット90を6台用いたが、当然、ロボット90の台数はこれに限らない。すなわち、ロボット90の制御が可能な範囲で、より多くのロボット90を用いることで、より複雑な情報を提示することができる。
【0332】
また、本実施の形態においては、複数台のロボット90を離着陸させるシステムとして、最も単純に実現が可能な機構を例として挙げたが、複数台のロボット90の離発着を可能とする機構であれば、上述の本実施の形態に示す限りではない。
【0333】
例えば、ロボット搬送システムを用いて、ロボット90を充電穴914に搬送し、セットすることができれば、充電穴914、電磁石915等がベースステーション99にロボット90の台数分備えられていることは必須ではない。
【0334】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態においては、人間の視線程度の高さにおいて、ドットマトリクスにて表示可能な任意の情報を提示する情報提示システムについて説明する。
【0335】
図26は、第3の実施の形態におけるシステムの構成を示す図である。
図26を参照して、本実施の形態におけるシステムは、発光素子を搭載した複数の羽ばたき飛行ロボット群(以下、単にロボットと称する)と、これらロボット群に含まれるロボット90と情報を交換できるベースステーション98とから構成される。
【0336】
本実施の形態におけるシステムでは、これらロボット群をドットマトリクスとして用いて情報提示を行なうことを特徴とする。具体的には、上述の本実施の形態におけるシステムでは、次のような動作が行なわれる。
【0337】
すなわち、ベースステーション98からの指示により、n×m個のロボット群90(i,j)(1≦i≦n、1≦j≦mであって、nおよびmは自然数)(以後、単にロボット群90(i,j)と記す)を、n行m列に並んで定位させる。その後に、ベースステーション98が、ロボット群90(i,j)に含まれるロボット90の各々の発光素子の明滅を制御することにより、n×mのドットマトリクスに文字や図形などの情報を提示させる。
【0338】
図27は、図25に示されるロボット90の主要な構成について示す図である。図27に示されるロボット90は、図2に示される第1の実施の形態におけるロボット90と同様のものであるため、ここでの説明は繰返さない。ただし、矢印標識8は廃される。代わりに発光素子81と、拡散光学系82とが配される。
【0339】
発光素子81は、発光面積を増大させるため、羽31および32の上に配された拡散光学系82を介して、羽31および32の上より可視光を射出する。羽31および32の往復運動に伴ない、見かけ上の発光面積は、羽31および32の移動空間の断面積にまで拡大される。ただし、ここでは、軽量化のため、拡散光学系82は主軸311および321と枝312および322とを兼ねる。例えば、左羽32においては、半透明樹脂で構成された主軸321と枝322とを拡散光学系82として用いる。拡散光学系82は半透明であるため、発光素子81より照射された光を散乱する。そのため、拡散光学系82全体より、光が放射される。
【0340】
発光素子81は、制御装置4によって制御される。また、制御装置4は、通信装置7を介して、ベースステーション98より、発光素子81の制御情報を受信し、これによって発光素子81を制御する。
【0341】
また、ロボット90は、通信の個体区別のため、それぞれ異なるIDを備える。
【0342】
次に、ベースステーション98について説明を行なう。
本実施の形態におけるベースステーション98は、ロボット群90(i,j)と個別に通信が可能な通信路を有する。また、複数のロボット90の離着陸、および充電を行なうための、電磁石915(i,j)および充電穴914(i,j)を有する。それ以外の構成については、第1の実施の形態におけるベースステーション99と同じ構成であるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0343】
本実施の形態におけるベースステーション98は、通信装置917を介して、ロボット群90(i,j)に対して、含まれる各々のロボット90の発光素子81の制御情報を、個別に送信することを特徴とする。この機能と前記制御装置4の発光素子81の制御機能とにより、ベースステーション98は、ロボット群90(i,j)の発光素子81を、ロボット90ごとに個別に制御できる。
【0344】
このようなベースステーション98は、第1の実施の形態のベースステーション99と同様に、ロボット群90(i,j)と個別に通信し、含まれるそれぞれのロボット90の情報を得る。また、それぞれのロボット90に到達すべき位置および姿勢等の制御情報を与える。
【0345】
これらの制御方法は、従来のロボット制御の手法がそのまま適用できる。
続いて、システム全体の動作について説明する。
【0346】
ロボット群90(i,j)はベースステーション98からの指示により作業空間92においてある位置および姿勢に定位し、情報提示を行なう。図28は、第3の実施に形態のシステムにおける各種情報の流れを示す図である。図28を参照しながら、上述の動作について、より具体的に説明する。なお、図28には、本実施の形態におけるシステムの、ロボット群90(i,j)の単一要素ロボットについての概要が示される。
【0347】
図28を参照して、本実施の形態におけるシステムの動作は、情報提示動作を除いて、各ロボット90(i,j)に関して、第1の実施の形態で図22〜24に示す、第1の実施の形態におけるロボット90の動作とほぼ同等であるので、ここでの説明は繰返さない。以下、本実施の形態におけるシステムの情報提示動作についてのみ説明する。
【0348】
ベースステーション98は、ロボット群90(i,j)の到達すべき位置と姿勢とを、ロボット群90(i,j)に通信を介して指定する。
【0349】
一例として、ベースステーション98は、ロボット群90(i,j)に含まれる各ロボット90の位置指定を、図26に示すようにn行m列の格子状に設定する。図26は、n=5,m=6の場合の、各ロボット90の位置を示す。各ロボット90は、それぞれ指定された位置に定位することで、この配置を実現する。これは、設定されたロボット群90(i,j)の各ロボット90の位置に対して、第1の実施の形態に示されるロボット90の定位を、本実施の形態の各ロボット90が行なうことで実現される。
【0350】
このようにロボット群90(i,j)が配列している状態で、各々のロボット90の発光を、ベースステーション98からの信号により制御すれば、一般的なドットマトリクスディスプレイの制御と同様に、本システムにおいて任意の情報を表示できる。本システムが、上述の制御を行なうことで、任意の文字、図形等を表示することができ、また、表示の変更もドットマトリクスディスプレイと同様に、容易に行なうことができる。
【0351】
また、ロボット群90(i,j)は、羽ばたき浮上を行なっているので、機高い機動力で移動および定位を行なうことが可能である。また、言うまでもなく、ロボット90は浮上しているので、支柱などの支持構造物を必要とせず、自由な位置にて情報提示を行なうことができる。
【0352】
さらに、本実施の形態におけるシステムでは、ロボット90の台数の制約内で、図形や文字など、任意の情報を提示することができる。
【0353】
なお、本実施の形態においては、ロボット90の配置を矩形格子状としたが、当然、この限りでなく、目的によっては異なる配置の方がより効果的に情報提示を行なうことができる。例えば、ロボット群90(i,j)を球殻状に構成することもできる。
【0354】
次に、本実施の形態のシステムにおける情報提示方法について説明する。
本実施の形態においては提示される情報が、空間において略固定である、すなわちその位置を変化させない場合を想定したが、動作を伴なって情報提示することもできる。例えば、ロボット群90(i,j)が、所定の円周上を、常にその中心を矢印が指示するような姿勢を保ちながら運動することで、その中心付近領域をより限定して指示する情報提示方法であってもよい。また、ロボット群90(i,j)が矢印と略一致する方向に移動することで、方向指示を協調する情報提示方法であってもよい。
【0355】
また、図29に具体例が示されるように、移動に伴ない残像現象を用いて情報提示を方法であってもよい。図29は、残像現象を用いた情報提示方法の第1の具体例を示す図である。
【0356】
図29を参照して、最も単純には、ロボット群90(i,j)について、j=1として縦にロボット群90(i,j)を配し、その配置と略垂直方向に掃引しつつ、各ロボット90における発光素子81の明滅を制御する。このことで、図29に示される如く、矢印が、残像として表示される。このようにすることで、残像現象を利用した情報提示が可能である。
【0357】
また、図30は、残像現象を用いた情報提示方法の第2の具体例を示す図である。図30を参照して、ロボット群90(i,j)が略円筒面のような閉曲面を形成するよう移動すれば、当該円筒面上に、残像現象を用いて、連続した情報提示を行なうことができる。
【0358】
上述の、本実施の形態のシステムにおいては、ロボット90が複数であるため、複数の通信路を必要とする。この複数の通信路の形成は、一般に用いられている通信路の形成方法をそのまま適用することができる。例えば、時分割手法や、波長変調、もしくはデータをIDを含めて複合してエンコードし、ロボットの側でIDに応じてデコードする等の手法が考えられる。
【0359】
また、通信の途絶についても、第1の実施に形態の説明と同様の内容が、本実施の形態のシステムについて当てはまるため、ここでの説明は繰返さない。
【0360】
なお、発光素子81は、本実施の形態においては単に明滅だけの特性を持った発光素子としたが、到達すべき位置および姿勢への定位に支障を来さない範囲で、これに限定されるものではない。例えば、青緑赤等の3原色を用いて、カラー表示を行なうこともできる。
【0361】
また、本実施の形態においては視認性を考慮して発光素子81としたが、反射板などの受動的な可視光放射手法を用いてもよい。これは、例えば日中など、外光が強く、能動的な発光素子では効果的な情報提示を行なうことができない場合に、特に有効である。このように、本実施の形態における情報提示システムが物理量取得機能を有し、これより得られた物理量によって提示する情報を変化させることで、より効果的な情報提示を行なうことができる。例えば、情報提示に関わる物理量の変化である周囲の明るさに対応した、より効果的な情報提示を行なうことができる。
【0362】
また、上述の発光素子81に替えて、羽31および32の色分けを用いて情報提示することもできる。例えば、ロボット90(i,j)の羽31および32の、表面を黒色、裏面を白色とし、姿勢変更によって視認される羽31および32の向きを変更することでも、本実施の形態におけるシステムと同様に情報提示を行なうことができる。
【0363】
また、本実施の形態においては発光面積を優先している。すなわち、羽31および32の表面に拡散光学系82を設け、発光素子81はこれに向かい可視光を照射したが、発光形態はこれに限るものではない。例えば、羽31および32の表面に蛍光塗料を塗布等して配し、これに励起光を照射する発光形態であってもよい。
【0364】
当然、情報提示に求められる要件を満たすなら、可視光を直接、被情報提示者93に向かい照射する方法であってもよい。例えば、発光素子81から照射された可視光が、羽31および32の軌跡によって遮られずに被情報提示者93に到達する部位に、発光素子81を配する方法であってもよい。
【0365】
これら上述の方法を兼用する方法であってもよい。例えば、ロボット90が、発光素子81と、羽31および32の表裏で異なる色に着色された拡散光学系82とを備える方法が考えられる。このとき、周囲が明るく、発光素子81による発光では情報提示ができない場合には、発光素子81に替えて、上記の羽31および32の姿勢の変化で情報提示を行なうことができる。
【0366】
このように、本システムがロボット90の羽部まで用いて情報を提示することで、最大限の大きさの情報を提示することができる。このため、より大きな情報を提示する際にも、情報の提示を行なう媒体(本システムにおけるロボット90)の質量の増加を防ぐことができ、浮上機能の低下を防ぐことができる。
【0367】
また、ロボット90の羽部を用いた情報提示は、羽部の視覚状態の変更、特に反射率の変更や、羽部の発光によって、最も効果的に実現される。さらに、上述の如く、ロボット90の羽部に拡散光学系82を配し、これを用いて羽31および32を発光させることで、最大限、羽の大きさを活かした情報提示を行なうことができる。
【0368】
また、本実施の形態におけるシステムでは、ロボット90の羽31および32の姿勢を変更すること等によっても情報提示を行なうことができる。この情報の提供方法は、浮上機構に何ら付与する構成を必要とせず実現できるため、最も単純で、安価に情報提示が実現できる。
【0369】
また、本実施の形態におけるシステムでは、ロボット90の羽31および32の両面に異なる視覚特性を付与し、被情報提示者93に向合う羽31および32の面をロボット90の姿勢変更によって変更することでも情報提示を行なうことができる。
【0370】
また、本実施の形態においては、説明の簡便のため、ベースステーション98は1台としたが、複数のベースステーション98によってロボット群90(i,j)を制御することもできる。例えば、作業空間92が、ベースステーション98とロボット群90(i,j)との通信可能範囲よりも広い場合、作業空間92をカバーするように複数のベースステーション98を設け、ロボット群90(i,j)の制御を、複数のベースステーション98で空間的に分担することもできる。
【0371】
また、本実施の形態においては、ベースステーション98に、ロボット群90(i,j)の制御機能と離着陸補助機能とエネルギー補充機能(すなわち充電機能)とを統合したが、必ずしもこれらの機能がベースステーション98に統合されていることは必須ではない。例えば、通信可能範囲に比べ、航続飛行距離(すなわち外部から駆動エネルギーを補充することなく跳続けることのできる距離)が短い場合、1台のベースステーション98がカバーする通信可能範囲内に、他のエネルギー補充ステーションが存在する等の形態が考えられる。
【0372】
また当然、ベースステーション98の機能を全てロボット群90(i,j)に内包でき、かつロボット90の重量が浮上が可能な重量であるならばスタンドアロンタイプとして、ロボット群90(i,j)単独のみを単独で用いることもできる。逆に、ほとんどの情報処理をベースステーション98が担い、ロボット群90(i,j)の制御部は、アクチュエータ21および22を駆動するのみである形態であってもよい。
【0373】
また、本実施の形態では明示的に矢印と認識できる形状を示すため、例えば図26においてロボット90を30台用いたが、当然、ロボットの台数はこれに限らない。
【0374】
また、本実施の形態においては、ロボット90の集合の各要素が、その視認状態を各々のロボット90において変化させることで、様々な可変である情報を提示することのできるシステムの一構成を示したものであって、ロボット90の配置は上述の配置に限らない。例えば、マトリクス状の配列を変更してもよいし、同心円状に配列してもよい。
【0375】
また、本実施の形態においては、複数台のロボット90を離着陸させるシステムとして、最も単純に実現が可能な機構を例として挙げたが、複数台のロボット90の離発着を可能とする機構であれば、上述の本実施の形態に示す限りではない。
【0376】
例えば、ロボット搬送システムを用いて、ロボット90を充電穴914に搬送し、セットすることができれば、充電穴914、電磁石915等がベースステーション98にロボット90の台数分備えられていることは必須ではない。
【0377】
また逆に、1台のベースステーション98に全てのロボット90を離発着させる構成が含まれていなくてもよい。例えば、2台以上の複数のベースステーション98で、ロボット90の離発着を分担することもできる。
【0378】
さらに、上述の第1〜第3の実施の形態において説明したシステムは、各実施の形態における機能を実現するための構成の1例であって、システムの構成を限定するものではない。例えば、第1の実施の形態に示されている矢印標識8を搭載した複数のロボットを、第2の実施の形態に示されている情報提示方法を用いて、矢印形状に並べることにより、より認識性の高い情報提示を行なうシステムであってもよい。
【0379】
また、本実施の形態におけるシステムは、第1〜第3の実施に形態に示された、方向指示といった具体的言語に可換である情報のみならず、抽象情報の提示を行なうこともできる。例えば、本実施の形態におけるシステムにおいてイルミネーション等を用いて情報を提供することで、娯楽、観賞、装飾、宣伝、およびアイキャッチ等に本実施に形態におけるシステムを用いることができる。この場合、情報提示システムにおいては、情報の提示と、情報提示装置であるロボット90の位置および姿勢の制御とは、独立して行なわれる。
【0380】
さらに、上述の情報提示システムにおける情報提示方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0381】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。
【0382】
なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0383】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態におけるシステムの構成を示す図である。
【図2】 図1に示されるロボット90の主要な構成について示す図である。
【図3】 左羽32の構成の具体例を示す図である。
【図4】 左羽32の姿勢を示すための第1の図である。
【図5】 左羽32の姿勢を示すための第2の図である。
【図6】 一般的な超音波モータ23を示す図である。
【図7】 右アクチュエータ21の構成を示す図である。
【図8】 左羽32の、主軸321に垂直な第1の断面図である。
【図9】 左羽32の、主軸321に垂直な第2の断面図である。
【図10】 左羽32の羽ばたき動作のステップS1を示す図である。
【図11】 左羽32の羽ばたき動作のステップS2を示す図である。
【図12】 左羽32の羽ばたき動作のステップS3を示す図である。
【図13】 左羽32の羽ばたき動作のステップS4を示す図である。
【図14】 ストローク角θおよびねじり角βの値を時間の関数として表した図である。
【図15】 羽ばたき動作制御における応答を示す図である。
【図16】 ロボット90を停空させる際のストローク角θ、偏角α、およびねじり角βの値を、時間の関数として表わした図である。
【図17】 羽31および32の制御とそれによりもたらされる動作とを対応付ける図である。
【図18】 基本となる動作と、それを実現するアクチュエータ21および22の駆動の組合わせとを定めるテーブルである。
【図19】 回転軸にかかる反力を、具体的な数値を用いて算出した結果を示す図である。
【図20】 ベースステーション91の主要な構成と機能とを示す図である。
【図21】 第1の実施の形態のシステムにおける各種情報の流れを示す図である。
【図22】 本システムのロボット90が離陸動作を行なうための処理を示すフローチャートである。
【図23】 本システムが情報提示を行なうための処理を示すフローチャートである。
【図24】 本システムのロボット90が着陸を行なうための処理を示すフローチャートである。
【図25】 第2の実施の形態におけるシステムの構成を示す図である。
【図26】 第3の実施の形態におけるシステムの構成を示す図である。
【図27】 図25に示されるロボット90の主要な構成について示す図である。
【図28】 第3の実施に形態のシステムにおける各種情報の流れを示す図である。
【図29】 残像現象を用いた情報提示方法の第1の具体例を示す図である。
【図30】 残像現象を用いた情報提示方法の第2の具体例を示す図である。
【図31】 従来の情報提示装置の具体例を示す図である。
【符号の説明】
1 支持構造、4 制御装置、6 電源、7 通信装置、8 矢印標識、21右アクチュエータ、22 左アクチュエータ、23 超音波モータ、31 右羽、32 左羽、41 演算装置、42 メモリ、51 加速度センサ、52 角加速度センサ、53,916 焦電型赤外線センサ、61 電極、81 発光素子、82 拡散光学系、90,90a〜90f,90(i,j) ロボット、91,98,99 ベースステーション、92 作業空間、93 被情報提示者、210 ステータ、211,214,215 ベアリング、212 上部補助ステータ、213 下部補助ステータ、219,229 ロータ、230 圧電素子、231 円盤、232〜237 突起、238 電極、311,321 主軸、312,322 枝、313,323 膜、911 演算装置、912 メモリ、913 充電器、914,914a〜914f,914(i,j) 充電穴、915,915a〜915f,915(i,j) 電磁石、917 通信装置、918 外部インタフェース。

Claims (16)

  1. 情報を提示する情報提示手段を備える情報提示装置であって、
    羽ばたき飛行を行なうことで流体中を浮上して移動する浮上手段を備え、
    前記浮上手段は、
    前記流体中にて羽ばたき運動を行ない、前記羽ばたき運動の反作用により浮上力を得る羽部と、
    前記羽部を駆動するための駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部とを含み、
    当該情報提示装置の位置を取得する位置取得手段をさらに備え、
    前記情報提示手段は、前記取得した位置に基づいて前記情報の提示様態を変化させる手段をさらに含む、情報提示装置。
  2. 情報を提示する情報提示手段を備える情報提示装置であって、
    羽ばたき飛行を行なうことで流体中を浮上して移動する浮上手段を備え、
    前記浮上手段は、
    前記流体中にて羽ばたき運動を行ない、前記羽ばたき運動の反作用により浮上力を得る羽部と、
    前記羽部を駆動するための駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部とを含み、
    当該情報提示装置の姿勢を取得する姿勢取得手段をさらに備え、
    前記情報提示手段は、前記取得した姿勢に基づいて前記情報の提示様態を変化させる手段をさらに含む、情報提示装置。
  3. 情報を提示する情報提示手段を備える情報提示装置であって、
    羽ばたき飛行を行なうことで流体中を浮上して移動する浮上手段を備え、
    前記浮上手段は、
    前記流体中にて羽ばたき運動を行ない、前記羽ばたき運動の反作用により浮上力を得る羽部と、
    前記羽部を駆動するための駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部とを含み、
    前記制御部は前記駆動部における駆動方法に応じた前記羽ばたき運動の運動データを格納する手段を含み、
    前記制御部は、前記運動データに基づき当該情報提示装置を当該情報提示装置が前記情報に基づいた図形を前記流体中に描くための位置に移動させるように前記駆動部を制御する、情報提示装置。
  4. 前記制御部は前記駆動部における駆動方法に応じた前記羽ばたき運動の運動データを格納する手段を含み、
    前記制御部は、前記運動データに基づき当該情報提示装置を所定位置に移動させるように前記駆動部を制御する、請求項1に記載の情報提示装置。
  5. 前記所定位置は、当該情報提示装置が前記情報に基づいた図形を前記流体中に描くための位置である、請求項に記載の情報提示装置。
  6. 前記浮上手段と前記情報提示手段とが、独立して制御され、前記情報提示手段と、前記情報を提示される被情報提示者とを結ぶ直線が、前記浮上手段に含まれる前記羽部の移動体積密度の最も低い領域に位置することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の情報提示装置。
  7. 前記情報提示手段は、前記浮上手段を用いて情報を提示する、請求項1に記載の情報提示装置。
  8. 前記情報提示手段は、前記浮上手段の視覚状態を制御することで情報を提示する、請求項に記載の情報提示装置。
  9. 前記情報提示手段は、前記視覚状態として、反射率を制御することで情報を提示する、請求項に記載の情報提示装置。
  10. 前記情報提示手段は、前記視覚状態として、発光を制御することで情報を提示する、請求項に記載の情報提示装置。
  11. 前記浮上手段は、当該浮上手段の部位ごとに異なる複数の視覚状態を備え、
    前記情報提示手段は、当該情報提示装置の前記被情報提示者に対する姿勢を制御することで情報を提示する、請求項に記載の情報提示装置。
  12. 前記浮上手段は、当該浮上手段の表裏で異なる視覚状態を備え、
    前記情報提示手段は、前記被情報提示者に向ける前記浮上手段の表裏を制御して情報を提示する、請求項11に記載の情報提示装置。
  13. 前記情報提示手段は、当該情報提示装置を複数組合せることで、情報を提示する、請求項1に記載の情報提示装置。
  14. 前記情報提示手段は、人間の目の位置に相当する高さにおいて情報を提示する、請求項1に記載の情報提示装置。
  15. 前記情報提示手段は、前記浮上手段を制御することで、前記羽ばたき飛行の様態を変化させて情報を提示する、請求項1に記載の情報提示装置。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の情報提示装置と、
    前記情報提示装置に駆動エネルギーの補充を行なうエネルギー補充装置とからなる、情報提示システム。
JP2002152377A 2002-05-27 2002-05-27 情報提示装置および情報提示システム Expired - Fee Related JP4057344B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002152377A JP4057344B2 (ja) 2002-05-27 2002-05-27 情報提示装置および情報提示システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002152377A JP4057344B2 (ja) 2002-05-27 2002-05-27 情報提示装置および情報提示システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003341599A JP2003341599A (ja) 2003-12-03
JP4057344B2 true JP4057344B2 (ja) 2008-03-05

Family

ID=29769720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002152377A Expired - Fee Related JP4057344B2 (ja) 2002-05-27 2002-05-27 情報提示装置および情報提示システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4057344B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015184376A (ja) * 2014-03-20 2015-10-22 ヤフー株式会社 移動制御装置、移動制御方法及び移動制御システム
KR20230100833A (ko) * 2021-12-28 2023-07-06 양찬열 공간 연출 기능이 구비된 다수의 비행 오브젝트 및 자율 비행 제어 시스템

Families Citing this family (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4601458B2 (ja) * 2004-07-07 2010-12-22 株式会社内田洋行 方向指示装置
JP2008136765A (ja) * 2006-12-05 2008-06-19 Sekisui Jushi Co Ltd 模型飛行機
JP4528295B2 (ja) * 2006-12-18 2010-08-18 株式会社日立製作所 案内ロボット装置及び案内システム
KR101262968B1 (ko) 2009-09-02 2013-05-09 부산대학교 산학협력단 구형 탑재부를 구비한 무인항공기 및 무인항공기 탑재를 위한 무인지상차량을 포함하는 무인 항공 장치
JP6281740B2 (ja) * 2013-12-19 2018-02-21 三菱重工業株式会社 電波欺瞞装置
JP6184356B2 (ja) * 2014-03-20 2017-08-23 ヤフー株式会社 移動制御装置、移動制御方法及び移動制御システム
US9504930B2 (en) * 2014-08-26 2016-11-29 Universal City Studios Llc Special effects techniques
JP6371988B2 (ja) 2015-03-12 2018-08-15 パナソニックIpマネジメント株式会社 飛行体
JP6423521B2 (ja) 2015-03-31 2018-11-14 エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッドSz Dji Technology Co.,Ltd 無人航空機を制御するシステム
EP3158553B1 (en) * 2015-03-31 2018-11-28 SZ DJI Technology Co., Ltd. Authentication systems and methods for identification of authorized participants
JP6459014B2 (ja) 2015-03-31 2019-01-30 エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッドSz Dji Technology Co.,Ltd ジオフェンシング装置
JP6525145B2 (ja) * 2015-04-23 2019-06-05 有限会社大平技研 飛翔体を用いた発光点図形パターン表示システム,発光点図形パターン表示方法ならびに該システムおよび方法に用いる飛翔体
KR102353231B1 (ko) * 2015-04-24 2022-01-20 삼성디스플레이 주식회사 비행 표시장치
WO2017045144A1 (en) 2015-09-16 2017-03-23 SZ DJI Technology Co., Ltd. System, apparatus and method for generating sound
JP6670065B2 (ja) * 2015-09-18 2020-03-18 株式会社日立システムズ 自律飛行制御システム
JP6239567B2 (ja) * 2015-10-16 2017-11-29 株式会社プロドローン 情報伝達装置
JP6080143B1 (ja) 2016-05-17 2017-02-15 エヌカント株式会社 飛行式店内広告システム
JP6143313B1 (ja) * 2016-06-24 2017-06-07 株式会社パテントインベストメント 移動体
JP2020071682A (ja) * 2018-10-31 2020-05-07 日本電信電話株式会社 空間配置制御装置、方法、及びプログラム
US11568445B2 (en) 2021-04-28 2023-01-31 Bear Robotics, Inc. Method, system, and non-transitory computer-readable recording medium for providing an advertising content using a robot
JP7529724B2 (ja) 2022-06-27 2024-08-06 三菱ロジスネクスト株式会社 誘導システム

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0733835Y2 (ja) * 1990-10-29 1995-08-02 ジャルデータ通信株式会社 浮遊体推進機構
JPH05294288A (ja) * 1992-04-18 1993-11-09 Kaoru Yoshimura 屋外広告方式
JPH0720798A (ja) * 1993-06-30 1995-01-24 Toshiba Corp 表示装置
JPH0710788U (ja) * 1993-07-09 1995-02-14 株式会社ティーディーエム 装飾用浮遊体と浮遊体装飾装置
JPH0713699U (ja) * 1993-08-04 1995-03-07 馨 吉村 姿勢制御が素早くできる飛行船
JPH11231910A (ja) * 1998-02-17 1999-08-27 Canon Inc ロボットシステム及び制御方法、記録媒体
JP2000105562A (ja) * 1998-09-30 2000-04-11 Mitsubishi Materials Corp El発光シートを用いる発光アドバルーン型サイン及びその利用方法
AU1568901A (en) * 1999-08-30 2001-03-26 Michael J. C. Smith Wing-drive mechanism and vehicle employing same
JP2002006785A (ja) * 2000-06-20 2002-01-11 Nec Yonezawa Ltd 広告提供方法およびシステム、データ処理方法、情報記憶媒体
JP2002006784A (ja) * 2000-06-20 2002-01-11 Mitsubishi Electric Corp 浮遊型ロボット

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015184376A (ja) * 2014-03-20 2015-10-22 ヤフー株式会社 移動制御装置、移動制御方法及び移動制御システム
KR20230100833A (ko) * 2021-12-28 2023-07-06 양찬열 공간 연출 기능이 구비된 다수의 비행 오브젝트 및 자율 비행 제어 시스템
KR102650795B1 (ko) * 2021-12-28 2024-03-26 양찬열 공간 연출 기능이 구비된 다수의 비행 오브젝트 및 자율 비행 제어 시스템

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003341599A (ja) 2003-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4057344B2 (ja) 情報提示装置および情報提示システム
JP4087104B2 (ja) 群ロボットシステム
JP3889956B2 (ja) 移動装置
US9325220B2 (en) Propulsion and control for a magnetically lifted vehicle
JP4043289B2 (ja) 探索ロボットシステム
JP4142034B2 (ja) 移動装置
US7409266B2 (en) Group robot system that can obtain detailed overall information of object efficiently
Yamada et al. Zerone: Safety drone with blade-free propulsion
JP4651645B2 (ja) 群ロボットシステム
JP3946487B2 (ja) 離着陸補助機構および離着陸補助装置
JP4540639B2 (ja) 離着陸補助装置
Song et al. Design and control of soft unmanned aerial vehicle “S-CLOUD”
JP2007253946A (ja) ロボットシステム、それに用いられる羽ばたき装置、および、羽ばたき飛行制御装置
JP3986848B2 (ja) 群ロボットシステムおよびそれに用いられるフェロモンロボット
JP3989707B2 (ja) ロボットシステム、それに用いられる羽ばたき装置および羽ばたき飛行制御装置
JP3860077B2 (ja) アラームシステムおよび目覚まし時計
JP2003135866A (ja) 駆動装置および羽ばたき飛行装置
JP4467442B2 (ja) 移動装置
JP3893270B2 (ja) マイクシステムおよびマイクシステムに用いられる浮上移動装置
JP4007940B2 (ja) 群ロボットシステム、当該群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、当該群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および当該群ロボットシステムに含まれる制御ロボット
JP4121970B2 (ja) 移動装置
JP2005125466A (ja) 群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボット
EP4257477A1 (en) Improved device and method for indoor monitoring
JP2009067086A (ja) 羽ばたきロボットシステム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070116

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070308

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070911

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071003

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20071108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071213

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4057344

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101221

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101221

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111221

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111221

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121221

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121221

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees