JP2005125466A - 群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボット - Google Patents

群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボット Download PDF

Info

Publication number
JP2005125466A
JP2005125466A JP2003365894A JP2003365894A JP2005125466A JP 2005125466 A JP2005125466 A JP 2005125466A JP 2003365894 A JP2003365894 A JP 2003365894A JP 2003365894 A JP2003365894 A JP 2003365894A JP 2005125466 A JP2005125466 A JP 2005125466A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensing
robot
information
flapping
robots
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003365894A
Other languages
English (en)
Inventor
Keita Hara
圭太 原
Masaki Hamamoto
将樹 濱本
Yoshiji Oota
佳似 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2003365894A priority Critical patent/JP2005125466A/ja
Publication of JP2005125466A publication Critical patent/JP2005125466A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manipulator (AREA)

Abstract

【課題】 小型化、省電力化を実現しつつ、効率的に対象物の詳細な全体情報を得ることのできる群ロボットシステムを提供する。
【解決手段】 群ロボットシステムは、複数のセンシングロボットCSとそれらを制御するベースステーションBS101とセンシングロボットCSの移動を制御するフェロモンロボットFE105とを含む。複数経路に位置する通信路のセンシングロボットCSに、同じセンシングロボットCSからの信号が通信される。同じ種類のセンサ情報を、別の通信経路に位置する複数のセンシングロボットCSを用いて、通信を中継する段ごとに補正しながらベースステーションBS101に対して通信することによって、本群ロボットシステム100におけるセンサ情報の信頼性を高める。ベースステーションBS101は、上述の複数経路からの受信したセンサ情報を、時分割することにより処理する。
【選択図】 図56

Description

この発明は群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボットに関し、特に、小型化、省電力化を実現しつつ、効率よく対象物の探索を行なうことのできる群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボットに関する。
従来より、複数の機構が連携して動作する、システムやロボットについて提案されている。
たとえば、特許文献1においては、図65に示すような、ベースステーションの一例としての1個の親ロボットと、センシングロボットの一例としての複数の子ロボットとからなる移動ロボット群を含む自律型ロボット群システムの制御方法が開示されている。特許文献1によると、親ロボットには非接触センサによるセンシング機能を持たせ、子ロボットには接触型センサによるセンシング機能を持たせ、親ロボットは子ロボットの配置と移動経路とを決定して子ロボットに位置と移動距離との指令を与えることで制御を行なうことを特徴としている。また、ベースステーションのセンシングによる情報とセンシングロボットのセンシングによる情報とを使用して、経路計画法によってベースステーションが出発地から目的地まで移動する経路を計画して実行することを特徴としている。
特開平7−93028号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示された自律型ロボット群システムでは、ベースステーションとセンシングロボットとは1対1の関係で通信を行なっているため、センシングロボットを用いて広い探索範囲を探索する場合に、すべてのセンシングロボットに長距離の通信を行なう必要性が生じることがある。そのため、特許文献1で開示されているような群ロボットシステムでは、ベースステーションが停止している場合には、センシングロボットそれぞれに最大通信距離が長い通信機構、すなわち、大型化または重量化した通信機構が必要とされるという問題があった。
また、通信機構を大きくすると個々のセンシングロボットも大型化または重量化し、センシングロボットの探索機能に支障をきたすことが考えられる。そのため、ベースステーションが停止している状態での群ロボットシステム全体の探索範囲を広げることが困難であるという問題もある。
また、特許文献1で開示されているような群ロボットシステムのように、ベースステーションとセンシングロボットとが1対1の関係で通信を行なっている場合は、ベースステーションと個々のセンシングロボットとがそれぞれ通信する必要がある。そのため、ベースステーションが停止している状態での群ロボットシステム全体の探索範囲を広げようとすると、ベースステーションにおいてもそれぞれのセンシングロボットと長距離通信できるように大きな通信機構を備える必要がある。この観点からも、ベースステーションが停止している状態での群ロボットシステム全体の探索範囲を広げることが困難であるという問題があった。
また、さらに、特許文献1に記載されているような群ロボットシステムの探索範囲を広げるにあたって、センシングロボットの制御をより確実にする必要がある。その場合に、センシングロボットの移動を制限することにより、さらに通信制御によるコントロールを確実にしようとすると、センシングロボットの移動をコントロールしなければならないという問題もある。
また、特許文献1に記載されているような群ロボットシステムでは、複数のセンサ機構および上位から下位までのセンサ情報処理ユニットが常に動作しており、目的物を検出する場合において、センサ情報の処理による負担を少なくするのが難しいという問題があった。また、センシングロボットの低消費電力化も難しいという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、センシングロボットまたはベースステーションの通信機構の小型化または軽量化を図りながら、ベースステーションが停止している状態での探索範囲を広げることができる群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボットを提供することを第1の目的とする。
また、目的物を検出する場合において、センサ情報の処理による負担を少なくし、低消費電力で、短時間で効率的に対象物の詳細な全体情報を得ることのできる群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボットを提供することを第2の目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、群ロボットシステムは、対象物を検出するためのセンシング手段と、センシング手段で得られるセンシング情報を送信する送信手段とを備える第1のセンシングロボットと、第1のセンシングロボットから送信されるセンシング情報を受信可能な受信手段と、受信したセンシング情報を第1のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第2のセンシングロボットと、第1のセンシングロボットから送信されるセンシング情報を受信可能な受信手段と、受信したセンシング情報を第2のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第3のセンシングロボットと、第1〜3のセンシングロボットを含む複数のセンシングロボットを制御する制御手段と、第1のセンシング情報と第2のセンシング情報とを含むセンシング情報を受信する受信手段とを備える制御装置と、を含んで構成される群ロボットシステムであって、少なくとも第1のセンシング情報と第2のセンシング情報とは同じ情報である。
本発明の他の局面に従うと、群ロボットシステムは、対象物を検出するためのセンシング手段と、センシング手段で得られるセンシング情報を送信する送信手段とを備える第1のセンシングロボットと、第1のセンシングロボットから送信されるセンシング情報を受信可能な受信手段と、受信したセンシング情報を補正する補正手段と、補正されたセンシング情報を第1のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第2のセンシングロボットと、第1のセンシングロボットから送信されるセンシング情報を受信可能な受信手段と、受信したセンシング情報を補正する補正手段と、補正されたセンシング情報を第2のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第3のセンシングロボットと、第1〜3のセンシングロボットを含む複数のセンシングロボットを制御する制御手段と、第1のセンシング情報と第2のセンシング情報とを含むセンシング情報を受信する受信手段とを備える制御装置と、を含んで構成される。
本発明のさらに他の局面に従うと、群ロボットシステムは、対象物を検出するためのセンシング手段と、センシング手段で得られるセンシング情報を送信する送信手段とを備える第1のセンシングロボットと、第1のセンシングロボットから送信されるセンシング情報を受信可能な受信手段と、受信したセンシング情報を第1のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第2のセンシングロボットと、第1のセンシングロボットから送信されるセンシング情報を受信可能な受信手段と、受信したセンシング情報を第2のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第3のセンシングロボットと、第1〜3のセンシングロボットを含む複数のセンシングロボットを制御する制御手段と、第1のセンシング情報と第2のセンシング情報とを含むセンシング情報を受信する受信手段とを備える制御装置と、を含んで構成される群ロボットシステムであって、第2のセンシングロボットと第3のセンシングロボットとのうちの少なくとも1つのセンシングロボットは、受信したセンシング情報を補正する補正手段をさらに備え、第2のセンシングロボットと第3のセンシングロボットとのうちの少なくとも1つのセンシングロボットの送信手段は、補正されたセンシング情報を送信する。
また、第2のセンシングロボットは、受信したセンシング情報と、第3のセンシングロボットを含む同じ通信段にある他のセンシングロボットが受信したセンシング情報とのうちの数の多いセンシング情報を第1のセンシング情報と決定する決定手段をさらに備え、第3のセンシングロボットは、受信したセンシング情報と、第2のセンシングロボットを含む同じ通信段にある他のセンシングロボットが受信したセンシング情報とのうちの数の多いセンシング情報を第2のセンシング情報と決定する決定手段をさらに備えることが好ましい。
さらに、第2のセンシングロボットは、決定手段において第1のセンシング情報と決定されない情報を受信手段で受信していた場合、受信した情報を消去する消去手段をさらに備え、第3のセンシングロボットは、決定手段において第2のセンシング情報と決定されない情報を受信手段で受信していた場合、受信した情報を消去する消去手段をさらに備えることがより好ましい。
または、第2のセンシングロボットは、決定手段において第1のセンシング情報と決定されない情報を受信手段で受信していた場合、受信した情報を第1のセンシング情報に書換える書換手段をさらに備え、第3のセンシングロボットは、決定手段において第2のセンシング情報と決定されない情報を受信手段で受信していた場合、受信した情報を第2のセンシング情報に書換える書換手段をさらに備えることがより好ましい。
本発明のさらに他の局面に従うと、群ロボットシステムは、対象物を検出するためのセンシング手段と、センシング手段で得られるセンシング情報を送信する送信手段とを備える第1のセンシングロボットと、第1のセンシングロボットから送信されるセンシング情報を受信可能な受信手段と、受信したセンシング情報を第1のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第2のセンシングロボットと、第1のセンシングロボットから送信されるセンシング情報を受信可能な受信手段と、受信したセンシング情報を第2のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第3のセンシングロボットと、第1〜3のセンシングロボットを含む複数のセンシングロボットを制御する制御手段と、第1のセンシング情報と第2のセンシング情報とを含むセンシング情報を受信する受信手段とを備える制御装置と、を含んで構成される群ロボットシステムであって、制御装置を含むベースステーションは、受信した第1のセンシング情報と第2のセンシング情報とのうちの少なくとも1つのセンシング情報を補正する補正手段をさらに備える。
さらに、センシングロボットは、羽ばたき運動により羽ばたき飛行可能であることが好ましい。
本発明のさらに他の局面に従うと、センシングロボットは、上述の群ロボットシステムに含まれる羽ばたき運動により羽ばたき飛行可能なセンシングロボットであって、上記制御装置に制御されることを特徴とする。
本発明のさらに他の局面に従うと、ベースステーションは、上述の群ロボットシステムに含まれる上記制御装置に該当するベースステーションであって、羽ばたき運動により羽ばたき飛行可能であるセンシングロボットを制御することを特徴とする。
本発明のさらに他の局面に従うと、フェロモンロボットは、上述の群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボットであって、羽ばたき運動により羽ばたき飛行可能であるセンシングロボットの移動を制御することを特徴とする。
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態における群ロボットシステム100の構成の具体例を示す図である。図1を参照して、本実施の形態における群ロボットシステム100は、ベースステーションBS101と、複数の羽ばたきセンシングロボットCSnと、羽ばたきフェロモンロボットFE105とを含んで構成されている。
始めに、センシングロボットCSおよびフェロモンロボットFE105である羽ばたき装置の基本的な構成、浮上方法、および制御方法について、以下に説明する。
(羽ばたき装置の第1の具体例)
本発明の実施の形態の羽ばたき装置の第1の具体例について説明する。
(主要な構成)
図2(a)および図2(b)は、羽部として2本の羽軸を有する羽ばたき装置を示す図である。図2(a)では、羽ばたき装置の前方正面部分が示され、図2(b)では、羽ばたき装置の前方正面に向かって左側面部分が示されている。
なお、図2(a)および図2(b)では羽ばたき装置の前方正面に向かって左羽しか示されていないが、実際には、胴体部105の中心軸を挟んで左右対称に右羽も形成されている。また、説明を簡単にするため、胴体部105が延びる方向に沿った軸(胴体軸801)は水平面内にあり、重心を通る中心軸802は鉛直方向に保たれているとする。
図2(a)および図2(b)に示すように、羽ばたき装置の胴体部105には、前羽軸103および後羽軸104と、その前羽軸103と後羽軸104との間を渡すように設けられた羽の膜106とを有する羽(左羽)が形成されている。
また、胴体部105には、前羽軸103を駆動するための回転型アクチュエータ101と後羽軸104を駆動するための回転型アクチュエータ102とが搭載されている。このようなアクチュエータ101,102の配置や前羽軸103、後羽軸104および羽の膜106を含む羽の形状は、飛行の性能が損なわれないならばこれに限られるものではない。
さらに、この羽ばたき装置の場合、羽の断面形状を鉛直上方に凸となるようにしておけば、水平方向への飛行に際して抗力だけでなく揚力も発生して、より大きな浮上力が得られることになる。
また、この羽ばたき装置の重心の位置は、羽ばたき装置の安定性を重視するために羽が周囲の流体により受ける力のアクチュエータに対する作用点の位置よりも下方になるように設定されている。一方、羽ばたき装置の姿勢を容易に変更する観点からは重心とその作用点を略一致させておくことが好ましく、この場合には、姿勢制御に必要な左右の羽が流体から受ける力の差が小さくなって、羽ばたき装置の姿勢変更を容易に行なうことができる。
2つの回転型アクチュエータ101,102は互いに回転軸800を共有している。この回転軸800と胴体軸とは所定の角度(90°−θ)をなしている。前(後)羽軸103,104はアクチュエータ101,102を支点として回転軸800と直交する平面内を往復運動する。この回転軸800と直交する平面と胴体軸801とのなす角度が仰角θとなる。
胴体部105としては、機械的強度を確保するとともに、十分な軽量化を図るために、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを円筒状に成形したものが好ましいが、このような材料や形状に限定されるものではない。
アクチュエータ101,102としては、起動トルクが大きいこと、往復運動が簡単に実現できること、構造が単純なことなどから、圧電素子(ピエゾ)を用いた超音波進行波アクチュエータを用いるのが好ましい。これには、回転型アクチュエータとリニア型アクチュエータとの2つの種類がある。図2(a)および図2(b)では、回転型アクチュエータが用いられている。
ここでは、進行波を用いた超音波素子によって羽を直接駆動する方法を中心に説明するが、この羽を駆動するための機構や、それに用いるアクチュエータの種類については特に本実施の形態に示したものに限られない。
回転型アクチュエータとしては、図2(a)(b)に示された回転型アクチュエータ101,102の他に、たとえば図12に示される回転型アクチュエータ401を用いてもよい。
図12に示された羽ばたき装置では、胴体部404に搭載された回転型アクチュエータ401に羽403が取付けられている。羽403は回転型アクチュエータ401の回転軸402を中心として往復運動をする。
また、羽を駆動するための機構としては外骨格構造とリニアアクチュエータとを組合わせた機構を適用して、たとえば図13または図14に示すような羽ばたき装置を構成してもよい。
図13に示された羽ばたき装置では、リニアアクチュエータ501の一端に、前羽軸または後羽軸503が接続されている。胴体部504に装着されたヒンジ502を介してリニアアクチュエータ501の運動が前羽軸または後羽軸503に伝えられることで羽ばたき運動が行なわれる。この羽ばたき運動は、羽を直接筋肉で駆動するトンボの羽ばたき運動にヒントを得たものである。
図14に示された羽ばたき装置では、胴体部は上面胴体部603と下面胴体部604に分けられている。下面胴体部604に固定されたリニアアクチュエータ601の運動が上面胴体部603に伝えられる。そして、その上面胴体部603の運動がヒンジ602を介して前羽軸または後羽軸603に伝えられることで羽ばたき運動が行われる。この羽ばたき運動は、トンボ以外のハチなどが用いている羽ばたき運動にヒントを得たものである。
図14に示す羽ばたき装置の場合、1つのアクチュエータ601によって左右の羽軸603が同時に駆動されるため、左右の羽軸を別々に駆動することができず、細かな飛行制御を行うことはできないが、アクチュエータの数を減らすことができて、軽量化および消費電力の低減を図ることが可能である。
さて、図2(a)および図2(b)に示された羽ばたき装置では、回転型アクチュエータ101,102には前羽軸103と後羽軸104とがそれぞれ接続されている。前羽軸103と後羽軸104との間には羽の膜106が張られている。羽の膜106はその面内において収縮する方向に自発的な張力を有しており、羽全体の剛性を高める働きをしている。
軽量化のため前羽軸103と後羽軸104とは中空構造であり、それぞれカーボングラファイトから形成されている。このため、前羽軸103と後羽軸104とには弾力性があり、前羽軸103と後羽軸104とは羽の膜106の張力により変形可能である。
図15は本羽ばたき装置の全体の構造を示す図である。なお、前方方向(紙面に向かって上)に向かって左側の羽は省略されている。
胴体部700には、超音波センサ701、赤外線センサ702、加速度センサ703および角加速度センサ704が配されている。これらのセンサによる検出結果は羽ばたき制御部705に送られる。羽ばたき制御部705では、超音波センサ701や赤外線センサ702によって検出された結果から羽ばたき装置と周囲の障害物や人間との距離などの情報が処理される。また、加速度センサ703や角加速度センサ704によって検知された結果から、羽ばたき装置の浮上状態、目的位置または姿勢などの情報が処理されて、左右のアクチュエータ706および重心制御部707の駆動制御が決定される。
なお、ここでは、本羽ばたき装置の周囲に存在する障害物を検出する手段として超音波センサ701および赤外線センサ702を用い、本羽ばたき装置の位置および姿勢を検出する手段として加速度センサ703および角加速度センサ704を用いたが、本羽ばたき装置の周囲環境や位置と姿勢が計測可能なセンサであれば、上記センサに限られない。
たとえば、直交する3軸方向の加速度を測定可能な加速度センサ2つをそれぞれ胴体部700の異なる位置に配して得られる加速度情報からも、本羽ばたき装置の姿勢を算出することは可能である。また、本羽ばたき装置が移動する空間内に磁場分布を設けておき、磁気センサによってこの磁場分布を検知することで本羽ばたき装置の位置と姿勢を算出することも可能である。
また、図15では、加速度センサ703および角加速度センサ704をはじめとするセンサ類は、羽ばたき制御部705とは別部品として示されているが、軽量化の観点から、たとえばマイクロマシニング技術により羽ばたき制御部705と一体で同一基板上に形成してもよい。
また、本羽ばたき装置では羽の駆動をオープンループ制御としているが、羽の付け根に羽の角度センサを設け、この角度センサから得られる角度情報によりクローズドループ制御を行なうことも可能である。
なお、浮上する空間における流体の流れが既知であり、予め定められた羽ばたき方法によって浮上することが可能ならば、ここに挙げたセンサ類は必須ではない。
羽ばたき制御部705はメモリ部708と接続されており、羽ばたき制御に必要な既存のデータをメモリ部708から読出すことができる。また、各センサ701〜704によって得られた情報をメモリ部708に送込み、必要に応じてメモリ部708の情報を書換えることもでき、羽ばたき装置として学習機能を持たせることができる。
なお、各センサ701〜704によって得られた情報をメモリ部708に蓄積するだけであれば、羽ばたき制御部705を介さずにメモリ部708と各センサ701〜704とが直接接続されていてもよい。また、羽ばたき制御部705は通信制御部709と接続されて、通信制御部709とデータの入出力を行なうことができる。通信制御部709は、アンテナ部710を介して外部の装置(他の羽ばたき装置やベースステーションなど)とのデータの送受信を行なう。
このような通信機能により、羽ばたき装置が取得してメモリ部708に蓄えられたデータを速やかに外部の装置に転送することができる。また、羽ばたき装置では入手できない情報を外部の装置から受取り、そのような情報をメモリ部708に蓄積することで、羽ばたきの制御に利用することもできる。たとえば、大きなマップ情報のすべてを羽ばたき装置に記憶させなくても、随時、必要な範囲のマップ情報をベースステーションなどから入手することなどが可能となる。
なお、図15では、アンテナ部710は胴体部700の端から突き出た棒状のものとして示されているが、アンテナの機能を有するものであれば、形状、配置などこれに限られない。たとえば、前羽軸712や後羽軸713を利用して、羽の上にループ状のアンテナを形成してもよい。また、胴体部700にアンテナを内蔵した形態でも、あるいは、アンテナと通信制御部709とを一体化させた形態でもよい。
超音波センサ701、赤外線センサ702、加速度センサ703、角加速度センサ704、羽ばたき制御部705、左右のアクチュエータ706、重心制御部707、メモリ部708、通信制御部709、およびアンテナ部710などは、電源部711により供給される電流によって駆動される。
ここでは、駆動エネルギーとして電力を用いたが、内燃機関を用いることも可能である。また、昆虫の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応を用いたアクチュエータを用いることも可能である。あるいは、アクチュエータの駆動エネルギーを外部から取得する方法も採用できる。たとえば、電力については熱電素子、電磁波などが挙げられる。
(浮上方法)
説明の簡便のため、本羽ばたき装置に作用する外力は、羽が流体から受ける流体力と羽ばたき装置に作用する重力(羽ばたき装置の質量と重力加速度との積)のみであるとする。本羽ばたき装置が恒常的に浮上するためには1回の羽ばたき動作の間の時間平均において、次の関係、
(羽に作用する鉛直上方向の流体力)>(本羽ばたき装置に作用する重力)
を満たすことが必要とされる。1回の羽ばたき動作とは、羽を打ち下ろし次に羽を打ち上げる動作をいう。
さらに、鉛直上向きの流体力を卓越させて上昇させるためには、
(打ち下ろし動作において羽に作用する鉛直上向きの流体力)>(打ち上げ動作において羽に作用する鉛直下向きの流体力)
となる必要がある。
ここでは、昆虫の羽ばたき方を単純化した羽ばたき方法により、打ち下ろし動作において羽に作用する鉛直上向きの流体力(以下「打ち下ろし時の流体力」と記す。)を、打ち上げ動作において羽に作用する鉛直下向きの流体力(以下「打ち上げ時の流体力」と記す。)より大きくする方法について説明する。
説明の簡便のため、流体の挙動もしくは流体が羽に及ぼす力については、その主要成分を挙げて説明する。また、この羽ばたき方法により得られる浮上力と、本羽ばたき装置に作用する重力(以下「重量」と記す。)の大小については後述する。
打ち下ろし時の流体力を打ち上げ時の流体力よりも大きくするためには、打ち下ろし時に羽の膜106が移動する空間の体積が最大になるように打ち下ろせばよい。そのためには、羽の膜106を水平面と略平行に打ち下ろせばよく、これにより、ほぼ最大の流体力を得ることができる。
反対に、打ち上げ時には羽の膜106が移動する空間の体積が最小になるように打ち上げればよい。そのためには、羽の膜106を水平面に対して略直角に近い角度で打ち上げればよく、これにより、羽に及ぼされる流体力はほぼ最小となる。
そこで、回転型アクチュエータ101,102により回転軸800の周りに両羽軸103,104を往復運動させる際に、各羽軸103,104が水平面と略一致する位置を中心として上方と下方とにそれぞれ角度γだけ往復運動させるとする。さらに、図3に示すように、前羽軸103の往復運動に対して後羽軸104の往復運動を適当な位相φだけ遅れさせる。
これにより、図4〜図11(ここではφ=20°として描いた)に示す一連の羽の往復運動のうち、図4〜図8に示された打ち下ろし時においては、より高い位置にある回転型アクチュエータ301の前羽軸303が先に打ち下ろされるため、前羽軸303および後羽軸304の先端と羽の膜306が水平に近づく。
一方、図8〜図11に示された打ち上げ時においては、両羽軸303,304の先端の高さの差が拡大されて、羽の膜306も垂直に近づく。この結果、前羽軸303と後羽軸304に張られた羽の膜306が流体を押し下げ、あるいは、押し上げる量に差異が生じ、この羽ばたき装置の場合には、打ち下ろし時の流体力の方が打ち上げ時の流体力よりも大きくなって浮上力が得られることになる。
この浮上力のベクトルは、位相差φを変化させることにより前後に傾く。前方に傾けば推進運動、後方に傾けば後退運動、真上に向けば停空飛翔(ホバリング)状態となる。なお、実際の飛行では、位相差φ以外にも、羽ばたき周波数fや羽ばたき角γを制御することが可能である。また、この羽ばたき装置では、羽ばたき仰角θを固定しているが、これを変化させる機能を追加して、自由度を増やしても構わない。
(羽ばたき制御)
実際の羽ばたき制御についてさらに詳細に説明する。上述した羽ばたき装置では、打ち下ろし動作または打ち上げ動作の際に、羽の先端部がなす捻り角αは、羽の長さ(羽の膜の前羽軸および後羽軸に沿った長さ)をl、羽の幅(前羽軸と後羽軸の間隔)をw、羽ばたき角をγ、羽ばたき運動の位相をτ(最も打ち上げた瞬間を0°、最も打ち下ろした瞬間を180°とする)、前羽軸と後羽軸の位相差をφとすれば(図4,10,11を参照)、およそ以下の式で表わされる。
tanα=(w/l)・〔sin(γ・cosτ)−sin{γ・cos(τ+φ)}〕
実際には、前羽軸や後羽軸には弾性があり変形可能であるので、この捻り角αは多少違った値をとる。また、羽軸の根元ほどこの角度は小さい。しかし、以下の議論では簡便のため、上の式のαを用いて説明する。
捻りを加えていない羽に作用する流体力の鉛直方向成分Fは、流体の密度をρ、羽ばたき角をγ、羽ばたき周波数をfとして、およそ
F=(4/3)・π2ρwγ223・sin2τ・cos(γ・cosτ)
となる。なお、羽に作用する流体力の水平方向成分は、左右の羽が同じ運動をすれば互いに打ち消し合うことになる。
羽に捻り角αをもたせると、上記成分Fの羽ばたき運動平面に垂直な成分Lと、水平な成分Dとは、それぞれ次のようになる。
L=F・cosα・sinα
D=F・cos2α
これに、羽ばたき仰角θを考慮すると、重量と釣り合うべき鉛直方向の成分Aと、前後運動の推力となる水平方向成分Jとは、打ち下ろし時では、
A↓=−L・cosθ+D・sinθ
J↓=−L・sinθ−D・cosθ
打ち上げ時では、
A↑=L・cosθ−D・sinθ
J↑=L・sinθ+D・cosθ
となる。実際の浮力や推進力は、羽ばたき運動の1周期分を積分したものとなる。
以上より、この飛行制御の一例として、羽ばたき装置の羽の長さl=4cm、羽の幅w=1cm、羽ばたき仰角θ=30°、羽ばたき角γ=60°、羽ばたき周波数f=50Hz、打ち下ろし時の位相差φ↓=4°、打ち上げ時の位相差φ↑=16°とした場合における鉛直方向成分Aと水平方向成分Jとの時間変化を各角度の時間変化とともに図16に示す。
横軸は1周期分の時間が位相τとして表わされている。前半が打ち下ろし、後半が打ち上げを示している。各グラフの曲線は前羽軸の羽ばたき角γf、後羽軸の羽ばたき角γb、水平面からの羽の捻り角(θ−α)、流体力の鉛直方向成分A、および水平方向成分Jの時間変化をそれぞれ示している。
この例では、単位時間当りの流体力の鉛直方向成分Aにおいては打ち下ろし時の方が打ち上げ時よりも大きいため、1周期の平均で約500dynの鉛直上向きの流体力が1枚の羽で得られる。したがって、2枚の羽では羽ばたき装置の重量が約1g以下であれば浮上することができることになる。また、単位時間当りの流体力の水平方向成分Jは、1周期の間にほぼ打ち消されるため、重量1g程度の羽ばたき装置であればホバリング可能となる。
ここで、打ち下ろし時の位相差φ↓を大きく、または、打ち上げ時の位相差φ↑を小さくすれば、前進することができる。このとき、水平に前進させるためには、周波数fを少し小さくするのが好ましい。逆に、打ち下ろし時の位相差φ↓を小さくし、または、打ち上げ時の位相差φ↑を大きくすれば後退することができる。このとき、水平に後退させるためには、周波数fを少し大きくすることが好ましい。
この羽ばたき装置では、たとえば、打ち上げ時の位相差φ↑を16°に保ったまま打ち下ろし時の位相差φ↓を7°と大きくするか、打ち下ろし時の位相差φ↓を4°に保ったまま打ち上げ時の位相差φ↑を11°と小さくし、そして、羽ばたき周波数f=48Hzに下げることで、最初の1秒間におよそ1mの速度で水平に前進することができる。
また、たとえば、打ち上げ時の位相差φ↑を16°に保ったまま打ち下ろし時の位相差φ↓を1°と小さくするか、打ち下ろし時の位相差φ↓を4°に保ったまま打ち上げ時の位相差φ↑を24°と大きくし、そして、羽ばたき周波数f=54Hzに上げることで、最初の1秒間におよそ1mの速度で水平に後退することができる。
ホバリング状態のまま、羽ばたき装置を上昇または下降させるためには、周波数fを上げるかまたは下げるかすればよい。水平飛行中でも、上昇と下降とについては、主に周波数fによって制御が可能である。周波数fを上げることで羽ばたき装置は上昇し、周波数fを下げることで羽ばたき装置は下降する。
この例では、打ち上げ動作中もしくは打ち下ろし動作中にも、羽の捻り角αをゆっくり変化させているが、これは、アクチュエータへの負荷を減らすためである。浮力を得るための羽ばたき運動としては、打ち上げ動作中や打ち下ろし動作中は羽の捻り角αを一定の値に設定して、打ち下ろし動作から打ち上げ動作、もしくは、打ち上げ動作から打ち下ろし動作への変化点において捻り角αを急激に変化させるようにしてもよい。
羽ばたき仰角θ=0°とした場合の鉛直方向成分Aと水平方向成分Jとの時間変化を各角度の時間変化とともに図17に示す。この場合は、ハチドリのホバリングにヒントを得た羽ばたき運動である。なお、左右への舵取りは、左右の羽の羽ばたき運動を別々に制御できる場合、それぞれの羽による推力に差を持たせればよい。たとえば、前方へ飛行中に右方向へ旋回するには、右羽の羽ばたき角γを左羽よりも小さくする、または、右羽の前羽軸と後羽軸の位相差を、左羽より大きくする、あるいは、羽ばたき仰角θが制御できるような場合には、右羽のθを左羽よりも小さくするといった制御を行なう。これにより、右羽の推進力が左羽の推進力に比べて相対的に下がり右に旋回することができる。羽ばたき装置を左へ旋回させる場合には、その逆の制御を行なえばよい。
一方、図14に示された羽ばたき装置のように、左右の羽を別々に制御することができないような場合には、図15に示された羽ばたき装置に搭載されているような重心制御部707をこの羽ばたき装置に搭載して、羽ばたき装置の重心を左右にずらすことで左右への旋回を行なうことができる。
たとえば、重心を右にずらして右羽を下方へ左羽を上方へ傾け、そして、周波数fを大きくすることで、羽ばたき装置を右へ旋回させることができる。重心を左にずらして、同様に、周波数fを大きくすることで、羽ばたき装置を左に旋回させることができる。なお、この方法は2つの羽を別々に制御することができる場合にも適用することができる。また、いずれの羽ばたき装置においても、姿勢の安定を保つために、左右のそれぞれの羽ばたきの周波数fを同じ値に設定しておくことが好ましい。
以上の説明では、前(後)羽軸103,104の往復運動する平面が、回転軸800と直交する場合について述べてきた。したがって、この場合は、これら2つの平面が互いに平行な関係となる。しかしながら、図15に示したように、前(後)羽軸712,713の往復運動する平面に角度を持たせてもよい。こうすることで、前(後)羽軸712,713の弾性力や羽の膜714の張力により、打ち上げ運動から打ち下ろし運動、あるいは打ち下ろし運動から打ち上げ運動に移る際の、羽の捻り角αの正値から負値、あるいは、負値から正値への変化を高速化することができる。
図41に示すように、前(後)羽軸901,902の先端方向が、互いに平行な位置から角度εだけ外側を向いている場合、羽軸の付根905の幅をw、羽軸の長さをlとして、
sinε>{(w2+8・l21/2−w}/4・l
を満たすεであれば、羽の捻り角α=0°(γf=γb)における羽軸先端906間の距離Woが最大となるため、そのときの羽軸の弾性力や羽の膜の張力も最大となり、絶対値|α|>0の状態の方が安定となるため、捻り角αの変化を高速化することができる。
なお、上式を満たすεは、羽のアスペクト比Ap(l/w)=1のとき、ε>30°、Ap=4のとき、ε>17.2°、Ap=10のとき、ε>11.5°である。
さらに、前(後)羽軸712,713が、その軸まわりに軸回転できる自由度を付加すれば、前(後)羽軸712,713同士の位置関係が変化しても、羽の膜714が前(後)羽軸712,713に固定されている部分を互いにほぼ向き合せるように、回転することが可能となるため、アクチュエータ706にかかる負荷を軽減し、効率のよい制御が可能となる。
(羽ばたき装置の第2の具体例)
本発明の実施の形態の羽ばたき装置の第2の具体例について説明する。ここでは、第1の具体例の場合と同様に、羽が流体から受ける力を流体力と呼ぶ。また、説明の簡便のため、空気の流れを羽ばたきによってのみ起こる状態、すなわち無風状態を仮定して説明する。
(主要な構成)
まず、羽ばたき装置の主要な構成について説明する。図18に示すように、支持構造1の上部に、右アクチュエータ21と左アクチュエータ22とが固定されている。右アクチュエータ21には右羽31が取付けられ、左アクチュエータ22には左羽32が取付けられている。
各アクチュエータ21,22は、それぞれ取付けられた羽31,32をアクチュエータの支点を略中心として3自由度をもって回転させることができる。各アクチュエータ21,22の回転は、支持構造1に搭載された制御回路4によって制御される。
支持構造1は、機械的強度を確保したうえで十分軽量であることが好ましい。この羽ばたき装置の支持構造1では、略球殻状に成形したポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられている。
また、支持構造1には、加速度センサ51および角加速度センサ52が搭載されている。これらのセンサ51,52の検出結果は制御装置4に送られる。制御装置4では、加速度センサ51および角加速度センサ52から送られてくる情報によって羽ばたき装置の浮上の状態を検知する。そして、制御装置4では、その時刻における目的位置および姿勢により左右アクチュエータ21,22の駆動が決定される。
左右アクチュエータ21,22、制御装置4、加速度センサ51、および角加速度センサ52は電源6に供給される電流によって駆動される。なお、羽ばたき装置の重心は、羽が流体より受ける力のアクチュエータに対する作用点よりも下に位置している。
(アクチュエータ)
アクチュエータ21,22として、起動トルクが大きいこと、往復運動を確実に実現できること、構造が簡単なことなどから圧電素子(ピエゾ)を用いたものが好ましい。このようなアクチュエータは超音波モータと呼ばれ、圧電素子によって発生した進行波によって駆動する。
図19および図20は、市販の超音波モータ23を示す。図19および図20に示すように、アルミニウムの円盤231の下面には圧電素子230が貼り付けられている。また、円盤231の上面には複数の突起232〜237が配設されている。各突起232〜237は円盤231の中心を重心とする正六角形の頂点の位置にそれぞれ配置されている。
圧電素子230の下面には、円周方向に12分割された電極238が配設されている。各電極は1つおきに電気的に短絡されている。各電極は円盤231を基準に電圧が印加される。これにより、図21に示すように、圧電素子230にはハッチングのある部分とハッチングのない部分との2相の異なる電圧が印加されることになる。
各電極に印加する電圧を時間的に変化させることで、円盤231上には進行波が発生して、突起232〜237の先端部分が楕円運動を行なう。これにより、ロータ239を動かすことができる。超音波モータのステータは上記のように構成される。
この超音波モータ23のトルクは1.0gf・cm、無負荷回転速度は800rpm、最大消費電流は20mAである。円盤231の直径は8mmである。突起232〜237が配置されている間隔は2mmである。円盤231の厚さは0.4mmである。突起232〜237の高さは約0.4mmである。圧電素子230の駆動周波数は341kHzである。
この羽ばたき装置では、この超音波モータのステータ部分を流用したアクチュエータを用いる。図22および図23に示すように、たとえば右アクチュエータ21では、そのようなステータ210とベアリング211とによって球殻状のロータ219が挟み込まれて保持されている。なお、ステータ210のロータ219と接触する部分は、ロータ219の表面と一致するように加工が施されている。
ロータ219は外径3.1mm、内径2.9mmの球殻である。ロータ219の表面部分に右羽主軸311が取付けられている。ステータ210の突起が設けられた面に向かって時計回りにロータ219を搬送させる操作を行なうと、右羽主軸311は図23に示すθの方向に移動する。なお、ステータ210の突起が設けられた面に向かって時計回りの回転を正回転、反時計回りの回転を逆回転とする。
そして、図22および図23に示すように、このロータ219を3自由度をもって駆動するために、さらに、上部補助ステータ212、下部補助ステータ213、およびベアリング214,215が配設されている。上部補助ステータ212および下部補助ステータ213のそれぞれの大きさは、ステータ210の大きさの約0.7倍である。
各ステータ210,212,213は、ロータ219を挟んでそれぞれ直交するようには配設されていないが、各ステータ210,212,213により、それぞれ独立した回転をロータ219に与えることができる。これにより、それぞれの回転運動を組合わせることによって、ロータ219を3自由度をもって駆動することができる。
たとえば、ロータ219に対して上部補助ステータ212によって正回転を与え、下部補助ステータ212によって正回転を与えることによって、ロータ219をβ方向に回転させることができる。また、ロータ219に対して上部補助ステータ212によって逆回転を与え、下部補助ステータ212によって正回転を与えることによって、ロータ219をα方向に回転させることができる。
実際の駆動に際して、回転中心の異なる2つの回転を行なわせることは摩擦により超音波モータの効率を低下させることになる。そこで、たとえば上部補助ステータ212と下部補助ステータ213とを、ごく短時間の周期でもって交互に動作させ、その間に、動作していないステータの突起をロータ219に接触させないなどの駆動方法を採用することが好ましい。
これには、ステータの電極すべてに、圧電素子の収縮方向に電圧を印加することで、付加的な要素を設けることなく容易に実現することができる。
また、圧電素子の駆動周波数は300kHz以上である。一方、羽ばたき装置の羽ばたき周波数はせいぜい100kHzである。したがって、圧電素子の駆動周波数は、羽ばたき装置の羽ばたき周波数に比べて十分に高速であるので、交互にアクチュエータを動作させても、実質上滑らかな動きを右羽主軸311に与えることができる。
上述したアクチュエータのステータは、実現されており入手可能である。また、アクチュエータに用いられるベアリング類も、たとえばディスクドライブなどの小型の情報機器、または宇宙機器の分野において重量的にこの羽ばたき装置に適用できるものが実用化されている。
また、ステータの発生する進行波の振幅がサブミクロンオーダであるので、ロータはこのオーダの真球度であることが要求される。民生用の光学製品に用いられている放物面鏡の加工精度は光の波長の8分の1程度、すなわち可視領域において用いられている光学製品では70nm以下であり、また、光学干渉計に用いられる光学部品の加工精度は光の波長の100分の1程度、すなわち、数nmのオーダであることから、このようなサブミクロンオーダの真球度を有するロータを既存の加工方法により形成することが可能である。
このようにして、市販の超音波モータと同等の特性を有し3自由度の運動を与えることのできるアクチュエータが構成される。なお、これは、3自由度の運動を羽に与えるアクチュエータを超音波モータによって構成した一例に過ぎず、羽ばたき装置の各構成要素の配置、サイズ、材質、および駆動方法などは、羽ばたき飛行に要求される物理的機能、たとえばトルク等が実現できるならばこれに限られるものではない。
(羽とその動作)
次に、羽とその動作について説明する。説明の簡便のため、図18に示すように、羽ばたき装置に固定された座標系(x、y、z)を定義する。すなわち、略球状の支持構造1の略中心(球心)を原点とする。また、重力加速度の方向を下方向、その逆を上方向とする。原点から上方に向かってz軸を定義する。次に、右アクチュエータ21の形状中心と左アクチュエータ22の形状中心とを結ぶ方向を左右方向とし、原点から左羽に向かってy軸を定義する。また、原点からy軸とz軸との右手系における外積方向にx軸を定義する。x軸正の方向を前方、x軸負の方向を後方と称する。
また、図18に示す羽ばたき装置では、右羽31の右アクチュエータ21に対する力学的作用点A1と、左羽32の左アクチュエータ22に対する力学的作用点A2との中点A0から、重力加速度方向に下ろした線上に本装置の重心Oが位置する状態である。
この羽ばたき装置の場合、左アクチュエータ22のロータ229は略球状であり、主軸321の延長線上にこのロータ220の球心が位置するように左羽32が配置されている。左アクチュエータ22に対する力学的作用点A2および主軸321の回転運動の支点はこの球心に一致している。右アクチュエータ21についても同様である。
以後、上述したx軸、y軸およびz軸は支持構造1に対して固定された本羽ばたき装置における固有の座標系であるとする。
一方、羽ばたき装置に固定された座標系に対して、空間に固定され任意の点を原点とする空間座標として、x′軸、y′軸およびz′軸を定義する。これにより、羽ばたき装置が移動する空間の座標はx′軸、y′軸およびz′軸のそれぞれの座標を用いて表わされ、羽ばたき装置における固有の座標はx軸、y軸およびz軸のそれぞれの座標を用いて表わされる。
次に、羽の構造について説明する。図24に示すように、たとえば左羽32は主軸321および枝322を有する支持部材に膜323を張ることで形成されている。主軸321は左羽32において前方よりの位置に配置されている。また、枝322は先端部に近づくほど下方に向いている。
左羽32は上に凸状の断面形状を有する。これによって、特に打ち下ろしの際に流体から受ける力に対して高い剛性が得られる。軽量化のため主軸321と枝322とは中空構造であり、それぞれカーボングラファイトから形成されている。膜323はその面内において収縮する方向に自発的な張力を有しており、羽全体の剛性を高める働きをしている。
本発明者らが実験に用いた羽の主軸321の直径は、支持構造1に支持された根元の部分では100μm、先端部では50μmであり、主軸321は根元から先端部へ向かって細くなったテーパ形状となっている。また、膜323はポリイミドであり、大きさは前後方向約1cm、左右方向約4cm、厚さは約2μmである。
なお、図24に示された左羽32では、説明のために主軸321はその太さが拡大されている。図示されない右羽31はxz平面を挟んで左羽32と鏡面対称になるように支持構造に取付けられている。
次に、羽の動作について左羽32を例に挙げて説明する。左アクチュエータ22は、左羽32を3自由度をもって回転させることが可能である。つまり、左羽32の駆動状態(羽ばたき状態)は左羽32の姿勢で表わすことができる。以後説明の簡便のため、図18に示された状態に基づき左羽32の姿勢を次のように定義する。
まず、図25に示すように、主軸の回転運動の支点(力学的作用点A2)とx軸およびy軸にそれぞれ平行な軸(//x、//y)とを含むxy平面に平行な平面を基準として、点A2と左羽32の主軸321の根元とを結ぶ線分がその平面となす角度を羽ばたきのストローク角θとする。また、主軸の回転運動の支点(力学的作用点A2)とy軸およびz軸にそれぞれ平行な軸(//y、//z)とを含むyz平面に平行な平面を基準として、点A2と左羽32の主軸321の根元とを結ぶ線分がその平面となす角度を偏角αとする。
このとき、ストローク角θはxy平面に平行な平面より上方では正とし下方では負とする。また偏角αはyz平面に平行な平面よりも前方では正とし後方では負とする。
そして、図26に示すように、左羽32の主軸321の根元における膜323の接平面p1が、点A2を通りx軸と平行な軸(//x)と主軸321を含む平面p0となす角度を捻り角βとする。このとき、捻り角βは主軸321の根元から先端に向かってみたときに時計回りを正とする。
(浮上方法)
次に、浮上方法について説明する。説明の簡便のため、この羽ばたき装置にかかる外力は、羽が流体から受ける力すなわち流体力と、羽ばたき装置に作用する重力(羽ばたき装置の質量と重力加速度との積)のみであるとする。この羽ばたき装置においても、恒常的に浮上するには1回の羽ばたき動作の間に時間平均して、次の関係、
(羽に作用する鉛直上方向の流体力)>(本羽ばたき装置に作用する重力)
を満たすことが必要とされる。
ここでは、昆虫の羽ばたきを単純化した羽ばたき法により、打ち下ろし時の流体力を、打ち上げ時の流体力より大きくする方法について説明する。説明の簡便のため、流体の挙動もしくはそれが羽に及ぼす力については、その主要成分を挙げて説明する。また、この羽ばたき法により得られる浮上力と、本羽ばたき装置に作用する重力の大小については後述する。
羽には、羽が運動する方向と逆方向の流体力が作用するので、羽の打ち下ろし時には羽に上向きの流体力が作用し、打ち上げ時には羽に下向きの流体力が作用する。そこで、打ち下ろし時に流体力を大きくし、打ち上げ時には流体力を小さくすることで、1回の羽ばたき動作(打ち下ろし動作と打ち上げ動作)の間で時間平均すると上方向の流体力が得られることになる。
そのためには、まず、打ち下ろし時には羽が移動する空間の体積が最大になるように打ち下ろせば、羽にはほぼ最大の流体力が作用する。これは、羽の接平面と略垂直に羽を打ち下ろすことに相当する。一方、打ち上げ時には羽が移動する空間の体積が最小になるように打ち上げれば、羽に及ぼされる流体力はほぼ最小となる。これは、羽の断面の曲線にほぼ沿って羽を打ち上げることに相当する。
このような羽の動作について羽の主軸321に垂直な断面図を用いて説明する。まず、図27は羽が移動する空間の体積が最大になるように打ち下ろした場合を示し、図28は羽が移動する空間の体積が最小になるように打ち上げた場合を示す。
図27および図28では、移動前の羽の位置が破線で示され、移動後の羽の位置が実線で示されている。また、羽の移動方向が一点鎖線の矢印によって示されている。さらに、羽に作用する流体力の方向が実線の矢印によって示されている。同図に示すように、流体力は羽の移動方向とは逆向きに羽に作用する。
このように、打ち上げ時における羽が移動する空間の体積が打ち下ろし時における羽が移動する空間の体積よりも大きくなるように羽の姿勢を羽の移動方向に対して変化させて、1回の羽ばたき動作の間の時間平均において、羽に作用する上方向の流体力を羽ばたき装置に作用する重力よりも大きくすることができる。
この羽ばたき装置では、羽の捻り角βを時間的に変化させることによって上述した羽の運動が実現される。
具体的には、次のステップS1〜S4が繰返される。まず、ステップS1では、図29に示すように羽の打ち下ろし(ストローク角θ=+θ0→−θ0)が行なわれる。ステップS2では、図30に示すように羽の回転1(羽の捻り角β=β0→β1)動作が行なわれる。ステップS3では、図31に示すように羽の打ち上げ(ストローク角θ=−θ0→+θ0、捻り角β=β1→β2(流体力を最小限にとどめるための羽の断面の曲線に沿った運動))が行なわれる。ステップS4では、図32に示すように羽の回転2(羽の捻り角β=β2→β0)動作が行なわれる。
ステップS1およびステップS3における羽に作用する流体力を時間平均すると、上向きの流体力が羽ばたき装置に作用する重力よりも大きくなる。ステップS2およびステップS4においても羽に作用する流体力の時間平均が上向きの流体力であることが好ましい。
この羽ばたき装置では、図29〜図32に示すように、羽の前縁近傍に羽の回転中心(主軸321部分)が位置している。つまり、主軸321から羽の後縁までの長さの方が主軸321から羽の前縁までの長さよりも長くなっている。このため、図30および図32に示すように、羽の回転動作においては羽の回転方向に沿って生じる流体の流れに加えて、主軸321から羽の後縁に向かう方向に沿って流体の流れが生じることになる。
そして、羽にはこのような流体の流れの反作用としてそれぞれの流れの向きとは逆向きの力が作用することになり、図30に示すステップS2では実質的に上向きの流体力が羽に与えられ、図32に示すステップS4では主に下向きの流体力が羽に与えられることになる。
図31に示すステップS3では、羽の断面の曲線に沿うように捻り角βをβ1からβ2に変化させながら打ち上げ動作が行なわれる。また、図30に示すステップS2における羽の回転角は図32に示すステップS4における羽の回転角よりも大きい。これにより、ステップS2およびステップS4においても羽に上向きに作用する流体力が下向きに作用する流体力よりも勝って、時間平均すると上向きの流体力が羽に作用することになる。
なお、図29〜図32では、それぞれのステップS1〜S4における羽の移動前の姿勢が破線で示され、移動後の姿勢が実線で示されている。各ステップS1〜S4における羽の移動方向が一点鎖線の矢印によって示されている。また、各ステップS1〜S4において主に発生する流体の流れが実線の矢印によって示されている。
次に、ストローク角θおよび捻り角βの値を時間の関数として表したグラフを図33に示す。ただし、図33ではストローク角θおよび捻り角βのそれぞれの縦軸の比率は異なっている。
本発明者らの行なった実験においては、θ0はたとえば60°である。β0はたとえば0°である。β1はたとえば−120°である。β2はたとえば−70°である。
上述した説明では、説明の簡便のためステップS1〜S4は独立した動作としたが、たとえばステップS1において羽を打ち下ろしながら羽の捻り角を大きくしていくような動作も可能である。また、上述した例は第1近似的な考察から説明されるものであり、実際に浮上可能な羽ばたき方法はこれに限られるものではない。
また、ここでは左羽について説明したが、右羽についてもxz平面に関して鏡面対称に左手系に基づくストローク角θ、偏角α、および捻り角βを定義すれば同一の議論が成立する。以下、羽に作用する上向きの流体力を浮上力とし、羽に作用する前向きの流体力を推進力とする。
(制御方法)
次に、羽ばたき装置に任意の運動を行なわせる制御方法について説明する。ここでは、本羽ばたき装置の左羽については右手形に基づくストローク角θ、偏角α、および捻り角βを用い、そして、右羽についてはxz平面に対して鏡面対称の左手形に基づくストローク角θ、偏角α、および捻り角βを用いて羽の姿勢を示す。
(制御フロー)
羽ばたきによる浮上移動は羽にかかる流体力によって行なわれるので、羽の運動により直接制御されるのは、本羽ばたき装置に与えられる加速度と角加速度とである。
まず、Sを目標とする浮上状態と現在の浮上状態との差異、T(S)を浮上状態から加速度、角加速度への変換を表わす関数、sを加速度、角加速度Fα(s)を、加速度センサ51、角加速度センサ53のセンサ応答を含めた制御アルゴリズムを表わす関数、sαをアクチュエータ制御量、GW(sα)をアクチュエータと羽の応答を表わす関数、sWを羽の運動、GfS(sW)を羽の運動により本羽ばたき装置に及ぼされる加速度または角加速度seを表わす関数、Seがこの一連のプロセスにより行なわれる浮上状態の変更とすると、入力Sより出力Seが得られるプロセスは図38に示すようなものとなる。
また、実際には、羽と流体との慣性力により、現在までの羽の運動、流体の運動の時刻歴に依存する影響RWとRfSとがとGWとGfSとに加わることになる。
(動作分割)
当然、Fα以外のすべての関数を正確に求め、これによりS=Seとなる制御アルゴリズムFαを算出する手法もあり得るが、本羽ばたき装置周囲の流体の流れと羽の運動の時刻歴とが必要であり、膨大なデータ量と演算速度とを必要とする。また、流体と構造との連成した挙動は複雑で、多くの場合カオティックな応答になってしまうため、実用的でない。
そこで、予め基本的な動作パターンを用意しておき、目標とする浮上状態を分割してこれらの基本動作パターンを時系列にて組合わせて実現する手法が簡便で好ましい。
物体の運動にはx方向、y方向、z方向の3自由度の並進自由度と、θx方向、θy方向、θz方向の3自由度の回転自由度、つまり6自由度が存在する。すなわち、前後、左右、上下、そしてこれらの方向を軸とする回転である。
このうち、左右への移動は、θz方向の回転と前後方向への移動を組合わせて行なうことができる。そこで、ここでは、前後方向、すなわちx軸方向への並進移動、上下方向、すなわちz軸方向への並進動作、また、x軸、y軸、z軸回りの回転動作についてそれぞれ実現方法を説明する。
(動作)
(1) 上下方向(z軸方向)の動作
羽が移動することで、羽が流体から受ける力は羽の移動速度に依存するので、羽に及ぼされる上向きの流体力を大きく(小さく)するには、
A:ストローク角θの振幅を大きく(小さく)する
B:羽ばたき周波数を大きく(小さく)する
などの方法がある。これらによって本羽ばたき装置は上昇(下降)することができる。ただし、流体力には負の値も含まれる。
なお、これらの手法によれば、羽が流体から受ける流体力そのものが大きくなるので、羽が流体力を上下方向以外から受けることによって、羽の力学的支点に羽から上下方向以外の力が及ぼされている際には、上昇とともにその方向へこの支点にかかる力の増加も伴う。たとえば、前方にほぼ等速直線運動を行なっている際に、羽ばたき周波数を大きくすると、本羽ばたき装置は速度増加を伴って上昇する。このように、現時点での羽ばたき方によって、副次的にこういった他の運動を伴うが、以後特に断らない限り、停空状態からの制御について説明する。
また、羽の捻り角βを変えて、羽が移動する空間の体積を変化させることによっても浮上力は変化する。たとえば、打ち上げ時における羽が移動する空間の体積がより大きく、または、打ち下ろし時における羽が移動する空間の体積がより小さくなるようなβを与えることで、羽に作用する上向きの流体力の時間平均は小さくなる。
実際には、羽は剛体ではなく変形を伴うため、同一のβによっても羽が移動する空間の体積は変化するが、第1原理的には、羽の移動する方向に垂直なβが最も大きな羽が移動する空間の体積を与える。また、羽が移動する方向に平行なβが最も小さな羽が移動する空間の体積を与える。
なお、この場合、副次的に、羽ばたきと垂直方向にも流体力が作用するため、これが制御上支障を生じるレベルである場合はこれを打ち消す羽の動きを付加する必要がある。最も単純には偏角αの変更により実現できる。
また、前記のステップS2またはステップS4において羽の回転角速度を変化させることによってもz軸方向の動作を行なうことは可能である。たとえば、ステップS2において羽の回転角速度(−dβ/dt)を大きくすると、この回転によって生じる流体の下方向への流速が大きくなるため、この反作用によって羽に作用する上向きの流体力が大きくなる。
なお、この場合、本羽ばたき装置に及ぼされる、羽の主軸を回転軸とするトルクが副次的に変化する。よって、この変化が制御上支障ない範囲に収まる範囲内でこの回転角速度変化を行なうことが好ましい。
また、この場合、本羽ばたき装置に及ぼされる、前後方向への力も副次的に変化する。よって、この変化が制御上昇に支障をきたす場合は、(2)として後述する前後方向への力の制御も同時に行なうことが好ましい。
(2) 前後方向(x軸方向)の動作
前述した羽ばたき方法では、主にステップS2とステップS4とにて、x方向の向きへの流体力が羽に作用する。したがって、この羽の動かし方においては前進を伴い浮上する。
また、打ち下ろしの際に偏角αを増加し羽を前方に移動させることで、羽には後向きの流体力が作用することになる。したがって、打ち下ろしの際の、すなわち、ステップS1における偏角αを制御して、ステップS1における羽に作用する後向きの流体力を他の主にステップS2とステップS4とにおける前向きの流体力よりも大きくすれば後退し、小さくすれば前進することができる。また、この2力がほぼ釣り合えば前後方向に静止することができる。
特に、本羽ばたき装置が前後方向に静止しており、左右の羽がほぼ対称な運動を行ない、重力と本羽ばたき装置における浮上力とが釣り合っているならば、ホバリング状態が実現できる。
なお、偏角αの変更に伴い副次的に、羽に及ぼされる流体力の鉛直方向成分が変化するので、これが制御上支障を生じるレベルにある場合にはこれを打ち消す羽の動きを付加する必要がある。これは、主に、前述の(1)の上下方向の動作によって行なうのが簡便である。
さらに、前述したステップS2とステップS4とにおいて羽の回転動作の角速度を大きくすると前向きの流体力が増加し、小さくすると減少する。これによっても前後方向の動作を変化させることができる。
また、(1)に述べた羽の捻り角βの変更に伴う副次的な流体力のうち、x軸方向成分を利用する手法も可能である。つまり、打ち下ろし時にβ>0なら前方向への、β<0なら後方向への力が働く。
なお、打ち上げ時のβ、α、θの関係はある程度拘束されているが、以上の流体力の制御はステップS3においても可能である。
(3) z軸を回転軸とする回転動作
(2)において述べた前後方向への制御を、左羽と右羽とについて個別に行ない、これを異ならせることで本羽ばたき装置にトルクを与えることができる。
すなわち、右羽の前向きの流体力を左羽のそれに対して高くすれば本羽ばたき装置はx軸正の向きに向かって左方向を向き、低くすれば同じく右方向を向く。
(4) x軸を回転軸とする回転動作
(3)と同様に、右羽の上向きの流体力を左羽のそれに対して大きくすれば右側が持ち上がり、小さくすれば左側が持ち上がる。これによって、x軸を回転軸とする回転動作を行なわせることができる。
(5) y軸を回転軸とする回転動作
(2)に述べた、羽の捻り角βの角速度変更によって、本羽ばたき装置にかかるy軸回りのトルクを変化させることができる。これにより、y軸を回転軸とする回転動作を行なうことができる。たとえば、ステップS1における捻り角βの回転角速度を大きくすると本羽ばたき装置は機首を下げ、逆に小さくすると機首を上げる。
(6) ホバリング(停空飛翔)
羽ばたき装置を停空させる際のストローク角θおよび偏角αならびに捻り角βの値を時間の関数として表わしたグラフを図34に示す。ただし、図34ではそれぞれの角度の縦軸の比率と異なっている。
本発明者らが行なった実験においては、θ0はたとえば60°である。β0はたとえば−10°である。α1はたとえば30°である。β1はたとえば−100°である。β2はたとえば−60°である。
各ステップにおける左羽の運動とそれにより左羽の力学的支点A2に生じる加速度、角加速度を図39に示す。ただし、(3)(4)のx軸,z軸を回転軸とする回転動作については略してある。これらは、前述のとおり、左右の羽の運動の非対称によって起こされる。
(制御方法決定手法)
現在の浮上状態は、図36に示すように、羽ばたき装置に搭載された加速度センサ51や角加速度センサ52が取得した値を適宜変更した値を用いて求められる。たとえば、速度は、加速度を時間積分した値に速度の初期値を与えることで求められる。また、位置は、速度を時間積分した値に位置の初期値を与えることで求められる。なお、浮上状態に、浮上状態の時刻歴を含む手法も可能である。
図35に示すように、制御装置4は、加速度センサ51および角加速度センサ52から得られる現在の浮上状態と目的とする浮上状態から、本羽ばたき装置の動作を決定する。この制御は、三次元で行なわれる点以外は従来から行なわれている制御手法を適用することができる。
本羽ばたき装置の動作は、制御装置4にて、アクチュエータの駆動に変換される。この変換には、テーブル参照、またはその補完を用いるのが高速である。たとえば、図40に示すように、基本となる動作と、それを実現するアクチュエータの駆動との組合せを予め用意しておく。なお、図40の左端列は目的とする動作、羽ばたきにおけるAとBとは、Aは前進時の羽ばたき方、Bは停空時の羽ばたき方であり、より具体的にはそれぞれ図33,図34にグラフで示されるα,β,θの時刻歴を時間的に離散化したものである。制御装置4は、本羽ばたき装置の動作から、この駆動またはその補完した駆動をこのテーブルより算出する。
ここでは、説明のため一旦本羽ばたき装置の動作を算出し、これをアクチュエータの駆動に変換するという手法を用いたが、浮上状態から直接アクチュエータの駆動を選択する手法も可能である。
たとえば、定位制御を行なう場合、現在位置と目標位置との差によって、上述したアクチュエータの駆動のいずれか、またはそれを補完した駆動を直接算出する手法も可能である。
また、当然、羽ばたき装置の浮上状態を表わす物理量はここに示した位置、速度、加速度などに限らない。
また、当然、アクチュエータの駆動を決定する手法はこの態様に限らない。
上述した制御方法を用いることで、羽ばたき装置は変更を適宜行ないながら目的位置へ到達することができる。
(浮上可能重量)
本発明者らの羽ばたき装置では、ステータ210は超音波モータ23と同等であるので、θ方向の運動に対するトルクは1.0gf・cmである。そこで、本発明者らは、シミュレーションによりこのトルクをもって羽ばたいた場合の流体力を求めた。
羽の大きさを長辺4cm×短辺1cmの矩形とした。なお、長辺はアクチュエータから離れる方向とした。また、羽の変形を無視した。幅8mm、長さ33mmのトンボの羽の質量が約2mgであったので、この値に基づいて羽の質量を3mgとした。
また、超音波モータは、突起の先端部分の微小な楕円運動によってロータを駆動するため、実際の駆動トルクの立上がり立下りは楕円運動の周期のオーダ、すなわち、100kHzのオーダであるが、計算の安定性の制約から、±250gf・cm/secであるとした。
この羽に対して、一方の短辺をこの辺を回転軸とする回転自由度のみを残して固定し、この回転軸にトルクを与え、この回転軸に作用する反力を算出した。その結果を図37に示す。なお、偏角αは0°であり、捻り角βも0°である。
図37に示すように、時刻0秒においては、羽は水平(ストローク角θ=0°)である。時刻0秒から時刻0.004秒までの間に、トルクの値を1gf・cmまでほぼ直線的に増加させる。時刻0.004秒から時刻0.01秒の間では、トルクの値を1gf・cmに保つ。時刻0.01秒から時刻0.018秒までの間に、トルクの値を1gf・cmから−1gf・cmまでほぼ直線的に変化させる。時刻0.018秒から時刻0.03秒の間では、トルクの値を−1gf・cmに保つ。時刻0.03秒から時刻0.038秒までの間に、トルクの値を−1gf・cmから1gf・cmまでほぼ直線的に変化させる。
このようなトルクを与えることによって得られる接点反力の、打ち下ろしの間の時間平均は約0.29gfであった。打ち下ろしの間とはトルクが負である時間であり、具体的には時刻0.014秒から時刻0.034秒までの間である。
このシミュレーションは1自由度の羽ばたき運動における結果であるため、打ち上げ時における流体力の作用は不明である。しかしながら、断面積に比べて流体の抵抗は減少するので、打ち上げ時に作用する下向きの支点反力は小さいこと、そして、その力が作用する時間は比較的短いこと、さらに、打ち下ろし以外にも羽の回転などを用いて浮上力が得られることから、1gf・cmのトルクを有するアクチュエータを用いて、0.29g程度の質量のものを浮上させることは可能であるといえる。
すなわち、本羽ばたき装置の全体の質量を0.58g以下に抑えることで、羽ばたき装置は浮上することができる。以下、羽ばたき装置の質量について検討する。
まず、ステータ210は、その電極と圧電素子が薄いことで、比重2.7、厚さ0.4mm、半径4mmの円盤と同等である。これにより、ステータ210の質量は0.054gである。また、補助ステータ212,213各々の質量は、ステータの直径がステータ210の直径の0.7倍であることから0.019gである。
3つのベアリング211,214,215はいずれも外径4.2mm、内径3.8mm、および厚さ0.4mmのドーナツ状のボールベアリングである。ベアリング211,214,215を構成する材質は比重4.8のチタンであり、約30%の空隙があるため、ベアリング211,214,215各々の質量は約0.013gである。
また、ロータ219の材質はアルミニウムであり、壁央半径3mm、厚さ0.2mmであることから、ロータ219の質量は約0.061gである。これらを合計すると、アクチュエータ21の質量は0.192gである。
また、羽の質量は前述したように0.003gである。羽ばたき装置全体では、上記アクチュエータと羽とが左右にそれぞれ1つずつ設けられているので、羽ばたき装置全体ではこれらの質量は0.390gとなる。
さらに、この羽ばたき装置の支持構造1は、直径1cm、比重0.9、厚さ0.1mmの球体であることから、支持構造1の質量は約0.028gとなる。
また、制御装置4、加速度センサ51、および角加速度センサ52はそれぞれ5mm×5ミリの半導体ベアチップから形成され、質量はいずれも約0.01gである。したがって、制御装置4、加速度センサ51、および角加速度センサ52を合わせた質量は約0.03gとなる。そして、羽ばたき装置に搭載される電源6の質量は0.13gである。
以上より、羽ばたき装置の質量の合計は0.578gとなる。1対の羽により浮上力は0.58gfであるので、この羽ばたき装置は浮上することが可能になる。
なお、電源6には以下に説明する重量パワー密度が要求される。まず、この羽ばたき装置の左右アクチュエータにおける最大消費電力は合計40mAである。電源電圧は3Vである。電解質重量が0.1gであるので、電源6には0.12W/0.1g、すなわち1200W/kgの重量パワー密度が要求される。
たとえば、市販品のリチウムイオンポリマー2次電池の重量パワー密度は約600W/kgである。この値は携帯電話などの情報機器に用いられている重量10g以上の製品についてのものである。
一般に、電解質重量に対する電極面積の比は電源のサイズに反比例する。この羽ばたき装置に搭載される電源6は、上述した情報機器などに用いられている2次電池の10倍上の電極面積比を有する。したがって、この電源6はそのような2次電池の約10倍の重量パワー密度を有することができ、上述した重量パワー密度を有することが可能である。電源6の電解質重量を約0.1gとすると、この羽ばたき装置においては約7.5分の飛行が可能になる。また、燃料電池等には、リチウムイオンポリマー2次電池よりも高い重量パワー密度を達成できるものもあり、当然、これらを利用することも、たとえば、質量といった条件が飛行可能な範囲ならば可能である。
また、羽の羽ばたき動作により熱が発生することが懸念される。たとえば、アクチュエータを構成する材質がアルミニウムであるとし、その比熱を0.215cal/(g・℃)とすると、アクチュエータの質量は0.192gであるので、アクチュエータに供給されるエネルギーがすべて熱に変換(エネルギー変換効率0%)されたとしても0.35℃、また、供給されるエネルギーの70%が熱に変換されたとしても0.24℃の温度上昇になる。
実際には、羽ばたき装置において発生した熱は、羽ばたき装置から放出されることになる。たとえば、厚さ約6mmの光ディスクの場合、光ディスク面に6mW程度のレーザ光を連続照射させた場合、光ディスク表面上の約1μm×10μm程度の楕円領域では平均約100℃程度まで上昇するが、表面から数十μmの深さの位置ではほとんど光ディスクが置かれている周囲の温度程度まで下がっていることがわかっている。
このことから、60mW程度のエネルギーでは、ミリメートルオーダのアクチュエータを1℃上昇させることすらありえないと考えられる。
(その他)
図18に示すように、この羽ばたき装置では支持構造1として略球殻状に成形したポリエチレンテレフタレート(PET)を例に挙げて説明したが、材料や形状はこれに限られるものではない。また、アクチュエータの配置や羽の形状についても飛行の性能を損なわないならば、図18に示すものに限られない。
特に、この羽ばたき装置では安定性を重視して自然に図18に示す姿勢となるように、重心を羽の力学的作用点よりも下に位置させたが、重心と力学的作用点の位置を一致させる方が姿勢制御に必要な左右の羽の流体力の差が最も小さくて済むので、羽ばたき装置の姿勢を容易に変更することができる。
また、本羽ばたき装置では、加速度センサと角加速度センサとにより羽ばたき装置の位置と姿勢とを検出するものとしたが、羽ばたき装置の位置と姿勢とが計測可能な手段であるならば上述したセンサに限られない。
たとえば、互いに直交する3軸方向の加速度を測定することが可能な少なくとも2つの加速度センサを支持構造1の異なる位置にそれぞれ配置させて、その加速度センサから得られる加速度情報に基づいて羽ばたき装置の姿勢を算出することも可能である。また、羽ばたき装置が移動する空間内に磁場分布を設けておき、磁気センサによりこの磁場分布を検知することで羽ばたき装置の位置と姿勢を算出する方法も可能である。
また、加速度センサ51、角加速度センサ52をはじめとするセンサ類は、制御装置4とは別部品として示されているが、軽量化の観点から、マイクロマシニング技術により制御装置4と一体で同一のシリコン基板上に形成してもよい。
また、本羽ばたき装置では羽の駆動をオープンループ制御としているが、羽の付け根に羽の角度センサを設け、この角度センサから得られる角度情報によりクローズドループ制御を行なうことも可能である。
さらに、浮上する空間における流体の流れが既知であり、予め定められた羽ばたき方法によって浮上することが可能ならば、ここに挙げたセンサ類は必須ではない。
また、この羽ばたき装置では進行波を用いた超音波素子によって直接羽を駆動させたが、羽を駆動する構造やアクチュエータの種類についても、上述したものに限られない。たとえば、外骨格構造とリニアアクチュエータとを組合わせて用いた羽ばたき構造も可能である。
また、駆動エネルギーとして電力を用いたが、内燃機関を用いることも可能である。さらに、昆虫の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応を用いたアクチュエータも用いることが可能である。あるいは、アクチュエータの駆動エネルギーを外部から取得する方法も可能である。たとえば、電力については熱電素子、電磁波などが挙げられる。
上述した第1の具体例および第2の具体例に係る羽ばたき装置によれば、地面を離れて浮上することができるので、段差を乗り越える能力と隙間を通り抜ける能力とのトレードオフが存在しなくなる。
たとえば、家庭環境において一般的な住人の目の高さ程度(1.5m程度)に位置する障害物は、大型の家具や空調機等のようにほとんどその位置が固定されている。また、空調機や照明器具などは壁面や天井に固定されており、これらが移動することはほとんどない。
したがって、障害物が少なく障害物の位置がほとんど変化しない領域(空間)にまで羽ばたき装置が浮上することで、羽ばたき装置は障害物に阻まれることなく家庭内を隈なく自由に移動することができる。また、浮上することで比較的小型の羽ばたき装置でも高い段差や障害物を乗り越えることができる。
そして、上述したように、羽ばたき装置は空中で静止(ホバリング)等が可能であるので、家庭などのように比較的狭く障害物の多い空間を移動するのに適している。これにより、たとえば家庭内の状況を把握するなどの所定の作業を容易に行なうことができる。
さらに、昆虫の自由な飛行に見られるように、羽の偏角や捻り角等を変化させることで、すばやく羽ばたき装置の移動方向を変えることができ、たとえばヘリコプターよりも機動性に優れている。
また、羽ばたき装置は、その浮上力がその体積に直接は依存しないため、気球などのように浮上力が体積に比例する移動装置に比べて小型化に適している。
さらに、この羽ばたき装置は屋外においても利用することができ、屋外の地形や障害物に邪魔されることなく移動することができ、たとえば、災害地等において人が容易に近づけない場所の情報収集を容易に行なうことができる。
なお、センシングロボットCSは、センサ機能と移動機能と通信機能とを備え、フェロモンロボットFE105は、移動手段と通信手段を備え、センシング機能がついている移動体の動きを直接制御する装置であればよく、上述のように羽ばたき飛行を行なう羽ばたきロボットであることが好ましいが、上述の手段を備えるその他の装置であっても構わない。
ベースステーションBS101は、通信機能を備える一般的なパーソナルコンピュータやワークステーション等から構築される。そのため、ここでの詳細な構成等の説明は行なわない。本実施の形態におけるベースステーションBS101は、探索結果の情報を処理し、群ロボットシステム100に含まれるロボット群全体を制御する。なお、以下の例においては、ベースステーションBS101は固定されたパーソナルコンピュータやワークステーション等であるものとしているが、移動体、固定いずれであってもよい。
本実施の形態においては、図1に示される群ロボットシステム100を、たとえば、1辺、最小数10メートルから最大数キロメートル平方の面積の部分から火事や人などの熱源の探索、COなどの有毒ガスや有毒放射線の探索、地雷などの金属探査、都市設計のための3次元の画像データの収集などを行なうものを例にして説明する。
本実施の形態においては、都市全体の有毒ガスや有毒放射線の探索を行なう場合には、群ロボットが一度にすべての市街地を探索するのではなく、数分の1に分割された市街地を、ベースステーションBS101を中心として位置した探索用の羽ばたきセンシングロボットCS群が、目的物の探索を行なう。羽ばたきセンシングロボットCS群が、上記の数分の1に分割された市街地の有毒ガスや有毒放射能の探索を終えると、ベースステーションBS101が次の数分の1に分割された市街地の探索をするために徐々に移動を始め、目的地の市街地区域に来ると停止する。
ベースステーションBS101の移動に追従して、フェロモンロボットFE105、センシングロボットCSが移動を始める。ベースステーションBS101が次の市街地区域で移動を停止すると、センシングロボットCS群は、ベースステーションBS101を中心として位置して、分割された市街地の有毒ガスや有毒放射線の探索を行なう。
このようにして、本実施の形態の群ロボットシステム100においては、分割された区域をセンシングロボットCS群で探索する。そして、センシングロボットCSは、探索結果をベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105とに送る。フェロモンロボットFE105は、対象物の有無についての情報を受取って、センシングロボットCSに対して探索を続行するための制御を行なう。ベースステーションBS101は、探索結果を処理する。そして、区域の探索終了後、群ロボットシステム100全体は、ベースステーションBS101を中心に移動しながら次の区域の探索を行なう。このように、この移動の動作を繰返しながら全体面積の探索を行なう。
以下に、本群ロボットシステム100における対象物(Object)の検出方法について述べる。本群ロボットシステム100において、センシングロボットCSnは対象物を検出し、対象物の有無についての情報をフェロモンロボットFE105に対して伝える。
図1においては、本実施の形態における群ロボットシステム100の構成の初期状態の具体例であって、対象物(Object)を検出する前のセンシングロボットCSnの位置関係と、各々のセンシングロボットCSの探索能力(分解能およびセンサ機能のON/OFF)とを模式的に示している。
図1を参照して、始めに、対象物を検出する前には、センシングロボットCS30〜CS34(分解能R104)、およびセンシングロボットCS20〜CS24(分解能R103)のうち、ベースステーションBS101から遠いセンシングロボットCS30〜CS34のセンサ機能がまずONになっている。
図42に、群ロボットシステムの、センシングロボットCS同士およびセンシングロボットCSとベースステーションBSとの間の羽ばたき周波数fvと位置との関係を模式的に層形態で示す。
図42を参照して、ベースステーションBS101から最も遠い羽ばたきセンシングロボットCS104の時間当りの移動距離は、次に遠い羽ばたきセンシングロボットCS103に比べて大きい。つまり、羽ばたきセンシングロボットCS104の羽ばたき周波数fv104は、羽ばたきセンシングロボットCS103の羽ばたき周波数fv103に比べて大きい。
同様にして、センシングロボットCS103の時間当りの移動距離は、最もベースステーションBS101に近いセンシングロボットCS102に比べて大きい。つまり、羽ばたきセンシングロボットCS103の羽ばたき周波数fv103は、羽ばたきセンシングロボットCS102の羽ばたき周波数fv102に比べて大きい。
したがって、本実施の形態においては、羽ばたき周波数が大きな下層ほど、言い換えれば、ベースステーションBS101から遠い層ほどセンシングロボットCSは移動速度が大きく、低分解能である。
また、図43に、群ロボットシステムの、センシングロボットCS同士およびセンシングロボットCSとベースステーションBSとの間のセンシングの分解能Rとの位置との関係を模式的に層形態で示す。
図43を参照して、センシングの分解能については、すべてのセンシングロボットCSにおいて、センサの精度、サンプリング速度が同じである場合には、上記の単位時間当りの移動距離との関係から、ベースステーションBS101から最も遠い羽ばたきセンシングロボットCS104の目的物検出のための空間分解能R104は、次に遠い羽ばたきセンシングロボットCS103の目的物検出のための分解能R103に比べ、低分解能である。つまりベースステーションBS101から最も遠い羽ばたきセンシングロボットCS104は、次に遠い羽ばたきセンシングロボットCS103に比べ、目的物検出のための位置検出の精度あるいは障害物の大きさの測定値の精度は粗くなる。
同様にして、すべてのセンシングロボットにおいて、センサの精度、サンプリング速度が同じである場合には、上記の単位時間当りの移動距離との関係から、羽ばたきセンシングロボットCS103の目的物検出のための空間分解能R103は、ベースステーションBS101から最も近い位置にある羽ばたきセンシングロボットCS102の目的物検出のための空間分解能R102に比べ、低分解能である。つまり、センシングロボットCS103は、ベースステーションBS101から最も近い位置にある羽ばたきセンシングロボットCS102に比べ、目的物検出のための位置検出の精度あるいは障害物の大きさの測定値の精度は粗くなる。
すなわち、図1に示される本群ロボットシステム100では、ベースステーションBS101から遠い、群ロボットシステム100の外側のセンシングロボットCS30〜CS34は、内側のセンシングロボットCS20〜CS24よりはばたき速度が速いために、分解能R104がセンシングロボットCS20〜CS24の分解能R103より低く設定されている。
上記の例では、サンプリング速度が同じで、単位時間当りの移動距離(移動速度)の大きさから空間分解能に違いを出しているが、すべての羽ばたきセンシングロボットがほぼ同じ速さで移動している場合には、サンプリングの速度を変えることにより、空間分解能を変える方法をとることも考えられる。
本群ロボットシステム100では、始めに、この外側のセンシングロボットCS30〜CS34のセンサ機能がONとなるようベースステーションBS101が制御し、外側のセンシングロボットCS30〜CS34で対象物の探索を始める。このとき、分解能が高いセンシングロボットCS20〜CS24(分解能R103>R104)のセンサ機能はOFFとなるようベースステーションBS101が制御している。よって、この時点では、センシングロボットCS20〜CS24は、探索動作を行なっていない。
次に、センシングロボットCS30が、対象物を発見した場合の、群ロボットシステム100の構成の2次状態の具体例について図44に示す。
図44を参照して、センシングロボットCS30が対象物(Object)を発見した場合、センシングロボットCS30からフェロモンロボットFE105に、対象物の検出を通知する情報が送られる(図44において点線にて示されている)。フェロモンロボットFE105は、センシングロボットCS30からこの情報を受けて、対象物近傍に移動する。このフェロモンロボットFE105の移動は、フェロモンロボットFE105の記憶装置に記憶されるプログラムに予め定められており、フェロモンロボットFE105のCPU(Central Processing Unit)等からなる制御装置が、記憶装置からプログラムを読出して実行することによって実現される。
次に、センシングロボットCS30から検出情報を受けたフェロモンロボットFE105は、図45に示すように、対象物を最初に検出したセンシングロボットCS30より、分解能が高いセンシングロボットCSであって、比較的近傍のセンシングロボットCS20,CS21,CS23に対象物の検出を伝える(図45において長破線にて示されている)。センシングロボットCS20,CS21,CS23は、フェロモンロボットFE105からの信号を受けると、センシング機能をONにして探索動作(追探索)を開始する。すなわち、フェロモンロボットFE105は、センシングロボットCS20,CS21,CS23に対して、センサ機能をONにするよう制御信号を送る。また、フェロモンロボットFE105は、センシングロボットCS20,CS21,CS23に対して、フェロモンロボットFE105に向かって移動するよう制御信号も送る。
さらにフェロモンロボットFE105は、センシングロボットCS30から対象物の検出を通知する情報を受取ると、センシングロボットCS30と同階層にあり、対象物を検出しなかったセンシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34に対し、センサ機能を無効し探索を停止させるため、センサ機能をOFFする制御信号を送る。なお、フェロモンロボットFE105とセンシングロボットCS30,CS31,CS32,CS33,CS34間の制御信号、検出情報信号の送り方、センシングロボットの通信コードの識別方法については、後述する特願2002−051279号において本願発明者らが提案した群ロボットシステムにおける基本的な通信方式を用いるものとする。
次に、センシング機能をONにして探索動作(追探索)を開始したセンシングロボットCS20,CS21,CS23は、図46に示すように、対象物の近傍であって、信号を送るフェロモンロボットFE105に向かって移動する。そして、対象物の近傍で、対象物を最初に検出したセンシングロボットCS30より高分解能のセンシング機能で、探索を続ける。
なお、本実施の形態においては、本群ロボットシステム100に、分解能の異なるセンシングロボットCSである、分解能が2段構成であるセンシングロボットCSが含まれるものとしているが、分解能が3段以上の構成であるセンシングロボットCSが含まれる場合であっても同様である。
また、図1の初期状態において、分解能の異なるセンシングロボットCS30〜CS34とセンシングロボットCS20〜CS24とが、ベースステーションBS101を中心として、ほぼ同心円上に配置されている例が示されているが、図47に示されるように、分解能が異なるセンシングロボットCSがほぼランダムに配置されてもよい。
上述の対象物の検出方法は、分解能が異なる複数のセンシングロボットCSnを用いて対象物を検出する方法であるが、その他の検出方法もある。以下に、備えるセンサ機能の異なる複数のセンシングロボットCSnを用いて対象物を検出する場合の対象物の検出方法について述べる。
図48は、この場合の本群ロボットシステム100の構成の初期状態の具体例であって、対象物(Object)を検出する前のセンシングロボットCSnの位置関係と、各々のセンシングロボットCSの検出機能(センサ種類およびセンサ機能のON/OFF)とを模式的に示している。
図48を参照して、始めに、センシングロボットCS30〜CS34は赤外線センサを備え、センシングロボットCS20はイメージセンサを備え、センシングロボットCS21はガス検出センサを備え、センシングロボットCS22,CS23は放射線検出センサを備え、センシングロボットCS24はガス検出センサを備えるものとする。これらのセンシングロボットCS30〜CS34、およびセンシングロボットCS20〜CS24のうち、ベースステーションBS101から遠いセンシングロボットCS30〜CS34のセンサ機能がまずONになっている。本実施においては、始めに、同じ種類のセンサ機能を備える複数のセンシングロボットCSロボットにより目的物の探索を始める。具体的には、赤外線センサを備えるセンシングロボットCS30〜CS34により目的物の探索を始める。
本群ロボットシステム100では、始めに、この外側のセンシングロボットCS30〜CS34のセンサ機能がONとなるようベースステーションBS101が制御し、外側のセンシングロボットCS30〜CS34で対象物の探索を始める。このとき、他のセンサ機能を備えるセンシングロボットCS20〜CS24(イメージセンサ、ガス検出センサ、放射線センサ)のセンサ機能はOFFとなるようベースステーションBS101が制御している。よって、この時点では、センシングロボットCS20〜CS24は、探索動作を行なっていない。
次に、センシングロボットCS30が、対象物を発見した場合の、群ロボットシステム100の構成の2次状態の具体例について図49に示す。
図49を参照して、センシングロボットCS30が対象物(Object)を発見した場合、センシングロボットCS30からフェロモンロボットFE105に、対象物の検出を通知する情報が連絡される(図49において点線にて示されている)。フェロモンロボットFE105は、センシングロボットCS30からこの情報を受けて、対象物近傍に移動する。ここでのフェロモンロボットFE105の移動は、上に述べたフェロモンロボットFE105の移動と同様であるため、ここでの説明を繰返さない。
次に、センシングロボットCS30から検出情報を受けたフェロモンロボットFE105は、図50に示すように、対象物を最初に検出したセンシングロボットCS30とは異なるセンシング機能(センサ)を備えるセンシングロボットCSであって、比較的近傍のセンシングロボットCS20,CS21,CS23に対象物の検出を伝える(図50において長破線にて示されている)。センシングロボットCS20,CS21,CS23は、フェロモンロボットFE105からの信号を受けると、センシング機能をONにして探索動作(追探索)を開始する。すなわち、フェロモンロボットFE105は、センシングロボットCS20,CS21,CS23に対して、センサ機能をONにするよう制御信号を送る。また、フェロモンロボットFE105は、センシングロボットCS20,CS21,CS23に対して、フェロモンロボットFE105に向かって移動するよう制御信号も送る。
さらにフェロモンロボットFE105は、センシングロボットCS30から対象物の検出を通知する情報を受取ると、センシングロボットCS30と同階層にあり、対象物を検出しなかったセンシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34に対しセンサ機能を無効し探索を停止させるため、センサ機能をOFFする制御信号を送る。なお、フェロモンロボットFE105とセンシングロボットCS30,CS31,CS32,CS33,CS34間の制御信号、検出情報信号の送り方、センシングロボットの通信コードの識別方法については、後述する特願2002−051279号において本願発明者らが提案した群ロボットシステムにおける基本的な通信方式を用いるものとする。
次に、センシング機能をONにして探索動作(追探索)を開始したセンシングロボットCS20,CS21,CS23は、図51に示すように、対象物の近傍であって、信号を送るフェロモンロボットFE105に向かって移動した後、対象物の近傍で、対象物を最初に検出したセンシングロボットCS30とは異なる種類のセンシング機能で、探索を続ける。図51に示される例では、イメージセンサ(CS20)、ガス検出センサ(CS21)、放射線検出センサ(CS23)等を用いて探索を続ける。
なお、本実施の形態においては、初期の比較的多数センシングロボットCSで用いるセンサを赤外線センサ、次の2次的な比較的少数のセンシングロボットCSで用いるセンサをイメージセンサ、ガス検出センサ、および放射線検出センサとしたが、用いられるセンサ機能はこれに限られるものではない。対象物の特徴により、それに対する適切なセンサが選択され用いられることが好ましい。また本実施の形態においては、センシングロボットCSが異なる種類のセンサ機能を備える場合について示しているが、センシングロボットCSの備えるセンサ機能が同じでそのセンサ情報の処理方法が異なるものであってもよい。
なお、本実施の形態においては、本群ロボットシステム100に、センサ機能の種類の異なるセンシングロボットCSである、備える機能が初期検出センサおよび2次検出センサの2段構成であるセンシングロボットCSが含まれるものとしているが、センサ機能の種類が3段以上の構成であるセンシングロボットCSが含まれる場合であっても同様である。
また、図48の初期状態において、センサ機能の種類またはセンサ情報の処理方法の異なるセンシングロボットCS30〜CS34(初期検出センサ)とセンシングロボットCS20〜CS24(2次検出センサ)とが、ベースステーションBS101を中心として、ほぼ同心円上に配置されている例が示されているが、図52に示されるように、センサ機能の種類またはセンサ情報の処理方法が異なるセンシングロボットCSがほぼランダムに配置されてもよい。
このように、本群ロボットシステム100においてセンシングロボットCSが対象物を発見すると、対象物の有無についての情報がフェロモンロボットFE105に対して伝えられ、同時に、位置情報などのセンサ情報がセンシングロボットCSからベースステーションBS101に対して伝えられる。また、センシング能力やセンサの変更指示などの制御情報が、ベースステーションBS101からセンシングロボットCSに対して伝えられる。そこで、次に、本群ロボットシステム100における、センシングロボットCSとベースステーションBS101との通信について述べる。ここでは、上述の図51に示される追探索を開始した後における通信について述べる。図53は、本群ロボットシステム100において通信を行なう際の配置の具体例を示す図である。
図53を参照して、図51で示される追探索を行なっているセンシングロボットCS20(イメージセンサ),CS21(ガス検出センサ),CS23(放射線センサ),CS30(赤外線センサ)は、始めに、探索動作を停止した状態の(図53においてはOFF表示で示されている。センサをOFFしていることを示す。)センシングロボットCS31に対して、探索情報を通信する。
次に、センシングロボットCS20,CS21,CS23,CS30から探索情報を受信したセンシングロボットCS31は、探索を停止した状態のセンシングロボットCS32に対して、探索情報を通信する。さらに、センシングロボットCS32はセンシングロボットCS33に対して、次にセンシングロボットCS33はセンシングロボットCS34に対して、次にセンシングロボットCS34はベースステーションBS101に対して、順番に探索情報を通信する。
このようにすることにより、センシング機能がONされているセンシングロボットとベースステーションBS101との間の通信が、センシング機能がOFFされているセンシングロボットを中継機として用いて実現される。
ここで、センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34は、対象物を検出した以外のセンシングロボットであり、センシングロボットCS30が対象物を検出した以後は、探索を停止している。また、センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34は、上述の通信を行なうために、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間に、ほぼ一直線に位置することが好ましい。そして、この通信用のセンシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34が羽ばたきロボットである場合、これらはホバリング状態にある。
ベースステーションBS101あるいはフェロモンロボットFE105はセンシング機能がOFFされている数個のロボット(例ではセンシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34)に対し、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間の通信の強度の強い直線上に移動する様に制御信号を送る。制御信号を受取ったセンシング機能がOFFされているセンシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34の移動は、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間の通信の通信強度の強い部分に移動するようにセンシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34の記憶装置に記憶されるプログラムに予め定められており、センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34のCPU(Central Processing Unit)等からなる羽ばたき等の動きの制御装置が、記憶装置からプログラムを読出して実行することによって実現される。またこの場合、信号の通信については、後述する特願2002−051279号に書かれている方法を用いる。コードとしてはすべてのロボットに共通で、通信の同期をとるための拡散コードが用いられる。このようにすることにより、中継通信を行なうロボットCS31,CS32,CS33,CS34は、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間にほぼ直線上に位置するようになる。
このような通信における配置は、対象物を検出したセンシングロボットCS30が、最も近くに存在するセンシングロボットCS31に対して探索情報を通信することで、センシングロボットCS31がベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間に移動し、さらに、センシングロボットCS31が最も近くに存在するセンシングロボットCS32がベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間に移動し、以降、順次、探索情報を受取ったセンシングロボットCSがベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間に移動することで、実現される。あるいは、センシングロボットCS30が対象物を検出した際に、その旨の情報を受取ったフェロモンロボットFE105が、センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34に対して、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間に、ほぼ一直線に位置するよう制御することによって実現されてもよい。また、センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34は、上述のように配置した後、順次探索情報を受信することで、ホバリング状態に移行することが好ましい。この、ホバリング状態への移行は、探索情報と共にホバリング状態への移行を制御する制御信号が送られることで実現されてもよいし、センシングロボットCSの(後述する)記憶装置に記憶されているプログラムを(後述する)制御装置が読出して実行することで実現されてもよい。
本群ロボットシステム100においてこのような通信方法が行なわれるため、それぞれのセンシングロボットCS同士の間またはベースステーションBS101とセンシングロボットCSとの間の通信の距離を、ベースステーションBS101とセンシングロボットCSとが1対1で通信を行なう場合に比較して短くすることができる。すなわち、ベースステーションBS101およびセンシングロボットCSの通信強度は、本群ロボットシステム100全体の通信エリアをカバーする通信強度である必要がなく、通信経路において隣り合うセンシングロボットCSに対する通信を確保できる通信強度さえあればよい。よって、本群ロボットシステム100全体の通信エリアをカバーする通信強度に比べ、弱い通信強度でよく、通信のための消費電力が少なくて済む。そのため、センシングロボットCSそれぞれの通信機構の小型化または軽量化を図りながら、ベースステーションBS101が停止している状態での探索範囲を広げることができる。
なお、図53においては、センシングロボットCS20が、センシングロボットCS31に対して探索情報を通信している場合(図53において実線)が示されているが、複数のセンシングロボットCSがセンシングロボットCS31に対して探索情報を通信する場合(図53において長破線)には、時分割で、センシングロボットCS20,CS21,CS23,CS30,CS20の順で、各々がセンシングロボットCS31に対して探索情報を通信する。
また逆に、ベースステーションBS101から対象物を検出しているセンシングロボットCS20に情報を伝達する場合、上記のルートの流れを逆にし、ベースステーションBS101,センシングロボットCS34,CS33,CS32,CS31,CS20の順に信号が流れる。
なお、図53においては、通信経路として1本の経路である場合を示したが、図54に示すように、複数の通信経路があってもよい。図54においては、第1の経路(センシングロボットCS40,CS22,CS24,CS25)、第2の経路(センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34)、および第3の経路(センシングロボットCS35,CS36,CS37,CS38)の3経路が示されている。このときの通信経路に位置するセンシングロボットCSの条件は、図53に示される場合と同じである。すなわち、通信経路に位置するセンシングロボットCSは、いずれも探索機能はOFFされており、また、双方向通信機能を備え、羽ばたきロボットである場合はホバリング状態である。
図54に示すように、複数の通信経路がある場合、通信経路の違いは、後述するスペクトラム通信の符号により識別する。各々のセンシングロボットCSがスペクトラム通信の符号を識別することによって、それぞれの3経路に位置する通信路のセンシングロボットCSに、異なる種類のセンサ機能を備えるセンシングロボットCSからのセンサ情報が通信される。すなわち、第1の経路に位置するセンシングロボットCSは、センシングロボットCS23の放射線検出センサのセンサ情報を通信し、第2の経路に位置するセンシングロボットCSは、センシングロボットCS20のイメージセンサのセンサ情報を通信し、第3の経路に位置するセンシングロボットCSは、センシングロボットCS21のガス検出センサのセンサ情報を通信する。そして、ベースステーションBS101は、上述の3系統から受信したセンサ情報を、時分割することにより処理する。このようにセンサ機能の異なるセンシングロボットCSからのセンサ情報を、各々異なる通信経路に位置するセンシングロボットCSを用いて通信することによって、本群ロボットシステム100では、高速に探索処理を行なうことができる。
ここで、図54に示される通信経路が3系統である場合には、図53に示される1系統の場合と同じく、各通信経路に位置するセンシングロボットCSは、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間で、ほぼ一直線に位置する。そして、この通信用のセンシングロボットCSが羽ばたきロボットである場合、第1〜第3の経路に位置する通信用のセンシングロボットCSは、ホバリング状態である。
なお、図54においては、複数の経路に、異なるセンサ機能のセンサ情報が通信される場合を示したが、図55に示すように、複数の通信経路に、同じセンサ機能のセンサ情報が通信されてもよい。図55においては、図54に示される場合と同様に、第1の経路(センシングロボットCS40,CS22,CS24,CS25)、第2の経路(センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34)、および第3の経路(センシングロボットCS35,CS36,CS37,CS38)の3経路が示されている。図55に示される場合においても、通信経路が3経路あるが、通信経路に位置するセンシングロボットCSの条件は、図53および図54に示される場合と同じである。すなわち、通信経路に位置するセンシングロボットCSは、いずれも探索機能はOFFされており、また、双方向通信機能を備え、羽ばたきロボットである場合はホバリング状態である。
また、ここでも、通信経路の違いは、後述するスペクトラム通信の符号により識別する。図55に示される場合には、それぞれの3経路に位置する通信路のセンシングロボットCSに、同じセンシングロボットCSからの信号が通信される。すなわち、図55に示すように、第1〜第3の経路に位置する通信路のセンシングロボットCSは、センシングロボットCS20のイメージセンサのセンサ情報を通信する。そして、ベースステーションBS101は、上述の3系統からの受信したセンサ情報を、時分割することにより処理する。このようにセンサ機能の同じセンサ情報を、別の通信経路に位置する複数のセンシングロボットCSを用いてベースステーションBS101に対して通信することによって、本群ロボットシステム100におけるセンサ情報の信頼性を高めることができる。
ここで、図55に示される通信経路が3系統である場合には、図53および図54に示される場合と同じく、各通信経路に位置するセンシングロボットCSは、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間で、ほぼ一直線に位置する。そして、この通信用のセンシングロボットCSが羽ばたきロボットである場合、第1〜第3の経路に位置する通信用のセンシングロボットCSは、ホバリング状態である。
上述の群ロボットシステム100については、本願発明者らが、型化、省電力化を実現しつつ、効率よく対象物の探索を行なうことのできる群ロボットシステムとして、特願2003−291718号にかかる出願明細書中にて開示しており、さらに探索の信頼性を高めるために、本発明にかかる群ロボットシステム100では、以下のような補正を行なうことを特徴としている。
図56においては、図55に示される場合と同様に、第1の経路(センシングロボットCS40,CS22,CS24,CS25)、第2の経路(センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34)、および第3の経路(センシングロボットCS35,CS36,CS37,CS38)の3経路が示されている。図56に示される場合においても、通信経路が3経路あるが、通信経路に位置するセンシングロボットCSの条件は、図53、図54および図55に示される場合と同じである。すなわち、通信経路に位置するセンシングロボットCSは、いずれも探索機能はOFFされており、また、双方向通信機能を備え、羽ばたきロボットである場合はホバリング状態である。
また、ここでも、通信経路の違いは、スペクトラム通信の符号により識別する。図56に示される場合には、それぞれの3経路に位置する通信路のセンシングロボットCSに、同じセンシングロボットCSからの信号が通信される。すなわち、図56に示すように、第1〜第3の経路に位置する通信路のセンシングロボットCSは、センシングロボットCS20のイメージセンサのセンサ情報を通信する。
センシングロボットCS20は、上位のセンシングロボットCS40,CS31,CS35に対して探索情報(A)を送信する。センシングロボットCS40,CS31,CS35は、いずれもセンシングロボットCS20から同じ探索情報(A)を受信する。同時に、同じ通信段にあるセンシングロボットCS40,CS31,CS35は、各々受信した探索情報を他のセンシングロボットCSに送信し、他のセンシングロボットCSが受信した探索情報と、当該センシングロボットCSが受信した探索情報とを比較する。
この場合、上記比較において、3個の同じ通信段の通信中継用のセンシングロボットCS40,CS31,CS35は同じ探索情報を受信していることが検出されるため、補正処理が行なわれない。つまり、センシングロボットCS40は、上位のセンシングロボットCS22に、そのまま探索情報(A)を送信する。同じように、センシングロボットCS31は、上位のセンシングロボットCS32に、センシングロボットCS35は、上位のセンシングロボットCS36に、そのまま探索情報(A)を送信する。そして、次の通信段にあるセンシングロボットCS22,CS32,CS36もまた、各々受信した探索情報を他のセンシングロボットCSに送信し、他のセンシングロボットCSが受信した探索情報と、当該センシングロボットCSが受信した探索情報とを比較する。
次のセンシングロボットCS22は、何らかの外乱により探索情報(B)を受信したとする。一方、センシングロボットCS32,CS36は、いずれも同じ探索情報(A)を受信したものとする。この場合、上記比較において、同じ通信段の3個の中の2個の通信中継用のセンシングロボットが同じ探索情報(A)を受信したことが検出されるため、情報通信用のセンシングロボットCS22は、受信した探索情報(B)を消去して探索情報(A)に書換え、上位センシングロボットCS24に、探索情報(A)を送信する。また、同じ探索情報(A)を受信したセンシングロボットCS32,CS36はこのような補正処理を行なわずに、センシングロボットCS32は上位のセンシングロボットCS33に、センシングロボットCS36は上位のセンシングロボットCS37に、そのまま探索情報(A)を送信する。そして、次の通信段にあるセンシングロボットCS24,CS33,CS37もまた、各々受信した探索情報を他のセンシングロボットCSに送信し、他のセンシングロボットCSが受信した探索情報と、当該センシングロボットCSが受信した探索情報とを比較する。
次のセンシングロボットCS33は、何らかの外乱により探索情報(C)を受信したとする。一方、センシングロボットCS24,CS37は、いずれも同じ探索情報(A)を受信したものとする。この場合、上記比較において、上述と同様に、同じ通信段の3個の中の2個の通信中継用のセンシングロボットが同じ探索情報(A)を受信したことが検出されるため、情報通信用のセンシングロボットCS33は、受信した探索情報(C)を消去して探索情報(A)に書換え、上位センシングロボットCS34に、探索情報(A)を送信する。同じ探索情報(A)を受信したセンシングロボットCS24,CS37はこのような補正処理を行なわずに、センシングロボットCS24は上位のセンシングロボットCS25に、センシングロボットCS37は上位のセンシングロボットCS38に、そのまま探索情報(A)を送信する。そして、次の通信段にあるセンシングロボットCS25,CS34,CS38もまた、各々受信した探索情報を他のセンシングロボットCSに送信し、他のセンシングロボットCSが受信した探索情報と、当該センシングロボットCSが受信した探索情報とを比較する。
同様に、センシングロボットCS25は、何らかの外乱により探索情報(D)を受信したとする。一方、センシングロボットCS34,CS38は、いずれも同じ探索情報(A)を受信したものとする。この場合、上記比較において、上述と同様に、同じ通信段の3個の中の2個の通信中継用のセンシングロボットが同じ探索情報(A)を受信したことが検出されるため、情報通信用のセンシングロボットCS25は、受信した探索情報(D)を消去して探索情報(A)に書換え、ベースステーションBS101に、探索情報(A)を送信する。同じ探索情報(A)を受信したセンシングロボットCS34,CS38はこのような補正処理を行なわずに、上位のベースステーションBS101に、そのまま探索情報(A)を送信する。
そして、ベースステーションBS101は、上述の3系統からの受信したセンサ情報を、時分割することにより処理する。このように同じ種類のセンサ情報を、別の通信経路に位置する複数のセンシングロボットCSを用いて、通信を中継する段ごとに補正しながらベースステーションBS101に対して通信することによって、本群ロボットシステム100におけるセンサ情報の信頼性を高めることができる。
なお、上述の実施例において、通信を中継するセンシングロボットは、次の通信段に通信するセンシング情報を、前段からのセンシング情報の多数決により決定して中継通信情報を補正したが、補正手段は、一般的に用いられるパリティチェック法あるいは、ある決められた時間の間同じ情報を繰返し送信し、受取った側で、ある決められた時間内の情報の多数決で決定する方法も考えられる。
ここで、図56に示される通信経路が3系統である場合には、図53、図54および図55に示される場合と同じく、各通信経路に位置するセンシングロボットCSは、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間で、ほぼ一直線に位置する。そして、この通信用のセンシングロボットCSが羽ばたきロボットである場合、第1〜第3の経路に位置する通信用のセンシングロボットCSは、ホバリング状態である。
また、図57において、図55、図56に示される場合と同様に、第1の経路(センシングロボットCS40,CS22,CS24,CS25)、第2の経路(センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34)、および第3の経路(センシングロボットCS35,CS36,CS37,CS38)の3経路が示されている。図57に示される場合においても、通信経路が3経路あるが、通信経路に位置するセンシングロボットCSの条件は、図53、図54、図55および図56に示される場合と同じである。すなわち、通信経路に位置するセンシングロボットCSは、いずれも探索機能はOFFされており、また、双方向通信機能を備え、羽ばたきロボットである場合はホバリング状態である。
また、ここでも、通信経路の違いは、スペクトラム通信の符号により識別する。図57に示される場合には、それぞれの3経路に位置する通信路のセンシングロボットCSに、同じセンシングロボットCSからの信号が通信される。すなわち、図57に示すように、第1〜第3の経路に位置する通信路のセンシングロボットCSは、センシングロボットCS20のイメージセンサのセンサ情報を通信する。
センシングロボットCS20は、上位のセンシングロボットCS40,CS31,CS35に対して探索情報(A)を送信する。センシングロボットCS40,CS31,CS35は、いずれも同じ探索情報(A)を受信する。同時に、同じ通信段にあるセンシングロボットCS40,CS31,CS35は、各々受信した探索情報を他のセンシングロボットCSに送信し、他のセンシングロボットCSが受信した探索情報と、当該センシングロボットCSが受信した探索情報とを比較する。
この場合、上記比較において、3個の同じ通信段の通信中継用のセンシングロボットCS40,CS31,CS35は同じ探索情報を受信していることが検出されるため、センシングロボットCS40,CS31,CS35は補正処理を行なわずに、各々上位のセンシングロボットCS22,CS32,CS36に、そのまま探索情報(A)を送信する。そして、次の通信段にあるセンシングロボットCS22,CS32,CS36もまた、各々受信した探索情報を他のセンシングロボットCSに送信し、他のセンシングロボットCSが受信した探索情報と、当該センシングロボットCSが受信した探索情報とを比較する。
次のセンシングロボットCS22は、何らかの外乱により探索情報(B)を受信したとする。一方、センシングロボットCS32,CS36は、いずれも同じ探索情報(A)を受信したものとする。この場合、上記比較において、同じ通信段の3個の中の2個の通信中継用のセンシングロボットが同じ探索情報(A)を受信したことが検出されるため、情報通信用のセンシングロボットCS22は、受信した探索情報(B)を消去して探索情報(A)に書換え、上位センシングロボットCS24に、探索情報(A)を送信する。同じ探索情報(A)を受信したセンシングロボットCS32,CS36はこのような補正処理を行なわずに、センシングロボットCS32は上位のセンシングロボットCS33に、センシングロボットCS36は上位のセンシングロボットCS37に、そのまま探索情報(A)を送信する。なお、次の通信段にあるセンシングロボットCS24,CS33,CS37では、上述の比較処理を行なわない。
次のセンシングロボットCS33は、何らかの外乱により探索情報(C)を受信したとする。一方、センシングロボットCS24,CS37は、いずれも同じ探索情報(A)を受信したものとする。この場合、そのままセンシングロボットCS33は補正処理を行わずに、上位のセンシングロボットCS34に探索情報(C)を送信する。また、センシングロボットCS24,CS37は、各々上位のセンシングロボットCS25,CS38に、探索情報(A)を送信する。そして、次の通信段にあるセンシングロボットCS25,CS34,CS38では、各々受信した探索情報を他のセンシングロボットCSに送信し、他のセンシングロボットCSが受信した探索情報と、当該センシングロボットCSが受信した探索情報とを比較する。つまり、本具体例では、各通信段ごとに比較および補正処理を行なわず、数段ごと(本具体例では2段ごと)に行なう。
次のセンシングロボットCS34は、探索情報(C)を受信し、センシングロボットCS25、CS38は、いずれも同じ探索情報(A)を受信している。この場合、上記比較において、同じ通信段の3個の中の2個の通信中継用のセンシングロボットが同じ探索情報(A)を受信したことが検出されるため、情報通信用のセンシングロボットCS34は、受信した探索情報(C)を消去して探索情報(A)に書換え、ベースステーションBS101に、探索情報(A)を送信する。同じ探索情報(A)を受信したセンシングロボットCS25,CS38はこのような補正処理を行なわずに、上位のベースステーションBS101に、そのまま探索情報(A)を送信する。
そして、ベースステーションBS101は、上述の3系統からの受信したセンサ情報を、時分割することにより処理する。このように同じ種類のセンサ情報を、別の通信経路に位置する複数のセンシングロボットCSを用いて、通信を中継する数段ごとに補正しながらベースステーションBS101に対して通信することによって、本群ロボットシステム100におけるセンサ情報の信頼性を高めることができる。
なお、上述の実施例において、通信を中継するセンシングロボットは、次の通信段に通信するセンシング情報を、前段からのセンシング情報の多数決により決定して中継通信情報ことを補正したが、補正手段は、一般的に用いられるパリティチェック法あるいは、ある決められた時間の間同じ情報を繰返し送信し、受取った側で、ある決められた時間内の情報の多数決で決定する方法も考えられる。
ここで、図57に示される通信経路が3系統である場合には、図53、図54、図55および図56に示される場合と同じく、各通信経路に位置するセンシングロボットCSは、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間で、ほぼ一直線に位置する。そして、この通信用のセンシングロボットCSが羽ばたきロボットである場合、第1〜第3の経路に位置する通信用のセンシングロボットCSは、ホバリング状態である。
また、図58において、図55、図56、および図57に示される場合と同様に、第1の経路(センシングロボットCS40,CS22,CS24,CS25)、第2の経路(センシングロボットCS31,CS32,CS33,CS34)、および第3の経路(センシングロボットCS35,CS36,CS37,CS38)の3経路が示されている。図58に示される場合においても、通信経路が3経路あるが、通信経路に位置するセンシングロボットCSの条件は、図53、図54、図55、図56および図57に示される場合と同じである。すなわち、通信経路に位置するセンシングロボットCSは、いずれも探索機能はOFFされており、また、双方向通信機能を備え、羽ばたきロボットである場合はホバリング状態である。
また、ここでも、通信経路の違いは、スペクトラム通信の符号により識別する。図58に示される場合には、それぞれの3経路に位置する通信路のセンシングロボットCSに、同じセンシングロボットCSからの信号が通信される。すなわち、図58に示すように、第1〜第3の経路に位置する通信路のセンシングロボットCSは、センシングロボットCS20のイメージセンサのセンサ情報を通信する。
センシングロボットCS20は、上位のセンシングロボットCS40,CS31,CS35に対して探索情報(A)を送信する。センシングロボットCS40,CS31,CS35は、いずれも同じ探索情報(A)を受信する。本具体例では、センシングロボットCS40,CS31,CS35は比較および補正処理を行わずに、各々上位のセンシングロボットCS22,CS32,CS36に、そのまま探索情報(A)を送信する。また、次の通信段にあるセンシングロボットCS24,CS33,CS37もまた、上述の比較処理を行なわない。
センシングロボットCS22,CS32,CS36は、いずれも同じ探索情報(A)を受信したとすると、補正処理を行なわずに、センシングロボットCS22は上位のセンシングロボットCS24に、センシングロボットCS32は上位のセンシングロボットCS33に、センシングロボットCS36は上位のセンシングロボットCS37に、そのまま探索情報(A)を送信する。また、次の通信段にあるセンシングロボットCS24,CS33,CS37もまた、上述の比較処理を行なわない。
次のセンシングロボットCS33は、何らかの外乱により探索情報(C)を受信したとする。一方、センシングロボットCS24,CS37は、いずれも同じ探索情報(A)を受信したものとする。この場合、センシングロボットCS33,CS24,CS37は補正処理を行なわずに、そのままセンシングロボットCS33は上位のセンシングロボットCS34にそのまま探索情報(C)を、センシングロボットCS24,CS37は、各々上位のセンシングロボットCS25,CS38に、そのまま探索情報(A)を送信する。また、次の通信段にあるセンシングロボットCS25,CS34,CS38もまた、上述の比較処理を行なわない。
次のセンシングロボットCS34は、探索情報(C)を受信し、センシングロボットCS25,CS38は、いずれも同じ探索情報(A)を受信したものとすると、センシングロボットCS34,CS25,CS38は補正処理を行なわずに、センシングロボットCS34は上位のベースステーションBS101にそのまま探索情報(C)を、センシングロボットCS25,CS38は、上位のベースステーションBS101にそのまま探索情報(A)を送信する。
そして、ベースステーションBS101は、上述の3系統からの受信したセンサ情報を、時分割することにより処理する。
ベースステーションBS101は、センシングロボットCS34からは、探索情報(C)を受信し、センシングロボットCS25,CS38は、いずれも同じ探索情報(A)を受信する。この場合、3個の中の2個の通信中継用のセンシングロボットから同じ探索情報(A)を受信したため、ベースステーションBS101は、探索情報を探索情報(A)と判断する。つまり、本具体例では、各通信段ごとにセンシングロボットCSにおいて比較および補正処理を行なわず、ベースステーションBS101において、最終的に受信した探索情報の補正を行なう。
なお、上述の実施例において、ベースステーションBS101は、探索センシング情報を、前段からのセンシング情報の多数決により決定して中継通信情報を補正したが、補正手段は、一般的に用いられるパリティチェック法あるいは、ある決められた時間の間同じ情報を繰り返し送信し、受信側で、ある決められた時間内の情報の多数決で決定する方法も考えられる。
本群ロボットシステム100において上述の補正を行なうことで、型化、省電力化を実現しつつ、効率よく対象物の探索を行なうことができ、さらに、探索の信頼性を向上させることが可能になる。
さらに、図59に、本群ロボットシステム100における通信体系が、ベースステーションBS101を最上層として、複数の通信用のセンシングロボットCS同士で複数層を構成する階層構造をなす場合について示す。図59に示すように、図51で示される追探索を行なっているセンシングロボットCS20(イメージセンサ),CS21(ガス検出センサ),CS23(放射線センサ),CS30(赤外線センサ)は、始めに、探索動作を停止した状態の(図59においてはOFF表示で示されている)センシングロボットCS31に対して、探索情報を通信する。
次に、センシングロボットCS20,CS21,CS23,CS30から探索情報を受信したセンシングロボットCS31は、探索を停止した状態の上位のセンシングロボットCS25に対して探索情報を通信する。さらに、センシングロボットCS25はその上位であるセンシングロボットCS11に対して、次にセンシングロボットCS11はその上位であるベースステーションBS101に対して、順番に探索情報を通信する。
ここで、センシングロボットCS31,CS25,CS11は、対象物を検出した以外のセンシングロボット、または探索を行なわないセンシングロボットであり、センシングロボットCS30が対象物を検出した以後は、探索を停止している。また、センシングロボットCS31,CS25,CS11は、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間に、ほぼ一直線に位置する。そして、この通信用のセンシングロボットCS31,CS25,CS11が羽ばたきロボットである場合、これらはホバリング状態にある。
このような通信体系は、予め各センシングロボットCSに対して階層構造における階層が割振られていることで、各センシングロボットCSは、隣り合う階層のセンシングロボットCSと通信可能な範囲に存在し、対象物を検出したセンシングロボットCS30がその上位であるセンシングロボットCS31に対して探索情報を通信することで、センシングロボットCS31はベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間に移動し、以降、順次、下位の階層の、センシングロボットCSから探索情報を受取ったセンシングロボットCSがベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間に移動することで、実現される。
なお、図59においては、センシングロボットCS20が、センシングロボットCS31に対して探索情報を通信している場合(図59において実線)が示されているが、複数のセンシングロボットCSがセンシングロボットCS31に対して探索情報を通信する場合(図56において長破線)には、時分割で、センシングロボットCS20,CS21,CS23,CS30,CS20の順で、各々がセンシングロボットCS31に対して探索情報を通信する。
また、通信体系が、前記ベースステーションを最上層として、複数の通信用ロボット同士で複数層を構成する階層構造をなす場合の、群ロボットシステムの配置は、図59に示すような配置であって、センシングロボットCS20(イメージセンサ),CS21(ガス検出センサ),CS23(放射線センサ),CS30(赤外線センサ)から、探索動作を停止した状態の(図ではOFF表示)センシングロボットCS31に、探索情報を通信する。センシングロボットCS31から、探索を停止した状態の上位のセンシングロボットCS25に、センシングロボットCS25から上位のセンシングロボットCS11に、センシングロボットCS11からベースステーションBS101に通信が行なわれる。センシングロボットCS31,CS25,CS11は、対象物を検出した以外のロボットまたは探索を行なわないロボットであり、センシングロボットCS30が対象物を検出した以後に、探索を停止している。また、通信を行なうセンシングロボットCS31,CS25,CS11は、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間で、ほぼ一直線上に並んでいる。通信用のセンシングロボットが羽ばたきロボットである場合、センシングロボットCS31,CS25,CS11はホバリング状態にある。図59の例では、センシングロボットCS20から、通信用のセンシングロボットCS31に情報が通信されているが、複数のセンシングロボットからセンシングロボットCS31に通信される場合には、時分割で、センシングロボットCS20,CS21,CS23,CS30,CS20の順で、センシングロボットCS31に情報が通信される。
また逆に、ベースステーションBS101から対象物を検出しているセンシングロボットCS20に情報を伝達する場合、上記のルートの流れを逆にし、ベースステーションBS101,センシングロボットCS11,CS25,CS31,CS20の順に信号が流れる。
このように、ベースステーションBS101を最上層として、複数の通信用のセンシングロボットCS同士で複数層を構成する階層構造をなす本群ロボットシステム100における通信体系について説明する。説明の簡便のために、具体例として、複数の羽ばたきセンシングロボットCSはベースステーションBSに最も近いグループのセンシングロボット102(CS11〜CS1i)、次に近いグループのセンシングロボット103(CS21〜CS2j)、および最も遠いグループのセンシングロボット104(CS31〜CS3k)の3個のグループに分かれているものとする。具体例では、3個のグループに分かれているものとするが、3個のグループに限るものではなく、本実施の形態のように複数のグループが存在すればよい。
このとき、ベースステーションBS101は、ベースステーションBSに最も近いグループであるセンシングロボット102(CS11〜CS1i)と通信を行なう。上流であるベースステーションBSからは、羽ばたきセンシングロボット102(CS11〜CS1i)に対して、羽ばたき周波数、方向などの羽ばたきの変更点が送信される。下流である羽ばたきセンシングロボット102(CS11〜CS1i)からは、目的物の有無、位置情報などがベースステーションBSに送信される。
次に、センシングロボット102(CS11〜CS1i)は、隣で接しているグループであるセンシングロボット103(CS21〜CS2j)と通信を行なう。上流であるセンシングロボット102(CS11〜CS1i)からは、羽ばたきセンシングロボット103(CS21〜CS2j)に対して、ベースステーションBS101からセンシングロボット102(CS34)に送信されたセンシングロボット103(CS21〜CS2j)用の羽ばたき周波数、方向などの羽ばたきの変更点が送信される。逆に、下流である羽ばたきセンシングロボット103(CS21〜CS2j)からは、目的物の有無、位置情報などがセンシングロボット102(CS11〜CS1i)に送信される。
次に、センシングロボット103(CS21〜CS2j)は、隣で接しているグループであるセンシングロボット104(CS31〜CS3k)と通信を行なう。上流であるセンシングロボット103(CS21〜CS2j)からは、羽ばたきセンシングロボット104(CS31〜CS3k)に対して、ベースステーションBS101からセンシングロボット102(CS11〜CS1i)を介してセンシングロボット103(CS21〜CS2j)に送信されるセンシングロボット104(CS31〜CS3k)用の羽ばたき周波数、方向などの羽ばたきの変更点が送信される。逆に、下流である羽ばたきセンシングロボット104(CS31〜CS3k)からは、目的物の有無、位置情報などが上位のセンシングロボット103(CS21〜CS2j)に送信される。つまり、目的物が、羽ばたきセンシングロボットCS30の探索区域で検出された場合、検出信号がセンシングロボットCS31を介して上位のセンシングロボットCS25に伝えられ、センシングロボットCS25からより上位のセンシングロボットCS11に伝えられる。そして、最後にセンシングロボットCS11からベースステーションBSに目的物の検出が伝えられる。
ベースステーションBSは、すべての羽ばたきロボットの通信エリアをカバーする必要がなく、ベースステーションを取り巻く同心円上の最も近いグループのみの通信を確保できる通信強度であればよい。よって、すべてのセンシングロボットとの通信を確保できる通信強度に比べて弱い通信強度でよく、通信のための消費電力が少なくて済む。
羽ばたきセンシングロボットCS11とベースステーションBS101との通信強度が予め決められたレベルを下回った場合、羽ばたきセンシングロボットは、通信強度が再度予め決められたレベルを超えるまで、ベースステーション側に移動する。同様に上位の羽ばたきセンシングロボットCS11で、それが下流の羽ばたきセンシングロボット103(CS25)の場合であっても、同じである。
また、上記の例では、下流のセンシングロボットは通信強度が強くなるまで、移動したが、通信強度が予め決められたレベルを下回った場合には、センシングロボットとその上位のセンシングロボットのお互いの通信パワーを上げることにより、上位のセンシングロボットの支配下にあるセンシングロボットと上位のセンシングロボットとの通信強度を確保してもよい。
図60において、群ロボットシステムのセンシングロボットCS同士、およびセンシングロボットCSとベースステーションBSとの間の通信における階層構造と位置との関係を示す。
ベースステーションBSを中心として、ベースステーションBSの通信範囲を示す円内(BC2)に、ベースステーションBSが支配するセンシングロボットCS1iが存在する。次に、センシングロボットCS1iを中心として、センシングロボットCS1iの通信範囲を示す円内(C1)にセンシングロボットCS1iが支配するセンシングロボットCS2jが存在する。
同じように、センシングロボットCS2jを中心として、センシングロボットCS2jの通信範囲を示す円内(C2)に、センシングロボットCS2jが支配するセンシングロボットCS3kが存在する。センシングロボットCS2jの通信支配円内には、CS2jが支配する複数のセンシングロボットCS3kが存在することになる。
センシングロボットCS3kが、最も外側に位置するセンシングロボットCSである場合には、センシングロボットCS3kは、フェロモンロボットFEにも支配されることになる。つまり、センシングロボットCS3kは、フェロモンロボットを中心として、フェロモンロボットFEの通信範囲を示す円内(FC2)に存在する。
フェロモンロボットFEとベースステーションBSとの通信強度は、他の通信強度に比べて大きなパワーで通信を行なっている。上記のフェロモンロボットFEは、ベースステーションBSを中心にした場合、基本的に探索分割区域の最も外側に存在する。フェロモンロボットFEはベースステーションBSを中心として、ベースステーションBSとフェロモンロボットFE用の強い通信範囲を示す円内(BC1)に存在する。フェロモンロボットFEからベースステーションBSへの通信範囲は、全方位をカバーする必要がないため指向性が強い楕円型になる(FC1)。
フェロモンロボットFE105について説明する。フェロモンロボットFE105は、ベースステーションBS101を中心にした場合、センシングロボット群100の外側に位置し、センシングロボットCSの移動制御用であり、また、探索範囲を決定するロボットである。つまり、センシングロボットCSは、ベースステーションBS101とフェロモンロボットFE105との間に存在することになる。フェロモンロボットFE105の上位のロボットは、ベースステーションBS101であり、下位のロボットは、ベースステーションBS101の同心円状で最も外側に位置するセンシングロボット104(CS31〜CS3k)である。
フェロモンロボットFE105と下流であるセンシングロボット104(CS31〜CS3k)との通信強度は、ベースステーションBSとセンシングロボットCS、およびセンシングロボットCS同士の間の通信強度と同じであるが、フェロモンロボットFE105とベースステーションBS101との通信強度は、他の通信強度に比べて大きなパワーで通信を行なっている。
たとえば、本実施の形態の群ロボットシステムにおいては、フェロモンロボットFEとベースステーションBSとの最大通信距離が、ベースステーションBSと階層構造の最上層にあるセンシングロボット(CS11〜CS1i)との間の最大通信距離と、フェロモンロボットFEと階層構造の最下層にあるセンシングロボット(CS31〜CS3k)との間の最大通信距離と、複数のセンシングロボットCS同士の間の最大通信距離の和とを加えた距離よりも大きくなるように設定することが好ましい。それにより、階層構造の最下層のセンシングロボット(CS31〜CS3k)までのベースステーションBSからの通信可能距離を直線にして、それぞれが有する通信距離を最大限利用して、効率的にセン
シングロボットCSを使用することができる。
ベースステーションBS101は、ベースステーションBS101を中心としたほぼ同心円状の探索部分の外径部分に、フェロモンロボットFE105を配置し、探索部分を決定する。次に、階層構造の数に応じて、同心円状の階層範囲を決定する。次に、階層の中の羽ばたきセンシングロボットの数に応じたセルの範囲(階層構造における同層のセンシングロボットそれぞれの探索範囲)を決定し、センシングロボットの探索空間分解能を決定する。最後に同心円の半径の差、同心円で表されたセンシングロボット各々が探索する範囲を規定するセルのセル面積に応じたベースステーションBSとセンシングロボットCSおよびセンシングロボットCS同士間の通信強度を決定する。
センシングロボットCSの探索区域を変更する場合、ベースステーションBS101は、該センシングロボットCSの移動距離と移動方向とをセンシングロボット102(CS11〜CS1i)に送信する。より具体的には、ベースステーションBSから該センシングロボットCSの移動を示す信号を受信したセンシングロボット102は、移動距離と移動方向とを下位のセンシングロボット103(CS21〜CS2j)に送信後に、該センシングロボットCSに該当する場合には、自らが移動する。
このように、探索空間を変更する場合、ベースステーションBSからセンシングロボットCS、上位のセンシングロボットCSから下位のセンシングロボットCSへの上流から下流への移動情報の伝達が行なわれる。
また、群ロボットシステム100全体の探索空間を変更する場合にも同様にして、ベースステーションBSからセンシングロボットCS、上位のセンシングロボットCSから下位のセンシングロボットCSへの上流から下流への移動情報の伝達が行なわれる。つまり、群ロボットシステム100全体の探索区域を変更する場合、ベースステーションBS101は、ベースステーションBS101の移動距離と移動方向とを、まず、フェロモンロボットFE105に通信する。その後、ベースステーションBS101は、センシングロボット102(CS11〜CS1i)に移動距離と方向とを送信する。それにより、ベースステーションBS101の移動に伴って、群ロボットシステム全体が移動することになる。
より具体的には、ベースステーションBSから群ロボットシステム全体の移動を示す信号を受信したセンシングロボット102(CS11〜CS1i)は、移動距離と移動方向とを、下位のセンシングロボット103(CS21〜CS2j)に送信後に自らが移動する。一方、フェロモンロボットFE105は、移動距離と移動方向とを最下位のセンシングロボット104(CS31〜CS3k)に送信後、ベースステーションBSと同じように移動する。
このように、群ロボットシステム100全体の探索空間を変更する場合には、ベースステーションBSからセンシングロボットCS、上位のセンシングロボットCSから下位のセンシングロボットCSへの上流から下流への移動情報の伝達と、フェロモンロボットFEからセンシングロボットCSへの移動情報の伝達とがほぼ同時に流れる。
探索エリアの最も外側に位置するフェロモンロボットFE105は、センシングロボットの最も外側にあるグループ(すなわち、階層構造の最下層)のセンシングロボット104(CS31〜CS3k)を直接の管理下に置く。フェロモンロボットFE105は、PN符号で特定されるセンシングロボットCSを常に通信圏内に置く。
たとえば、監視下の羽ばたきセンシングロボットCS3kとフェロモンロボットFE105との通信強度が予め定められたレベルを下回った場合、羽ばたきセンシングロボットCS3kは、通信強度が再度予め決められたレベルを超えるまで、フェロモンロボットFE105側に移動する。また、フェロモンロボットFE105は、ベースステーションBS101の監視下にあるため、通信の同期遅延によりベースステーションBS101からの距離を制御し、常にベースステーションBS101からの決められた距離をほぼ守ることができる。その結果、群全体の探索エリアを、常にほぼ同じように定めることができる。
図61において、階層構造の通信体系における信号の流れを示す。
図の実線は、動き制御信号(ダウンストリーム)、検出信号(アップストリーム)、点線は電力信号を示す。
羽ばたきセンシングロボットとベースステーションとの間、羽ばたきセンシングロボット同士の間の通信は、双方向通信である。上流から下流への信号は、ロボット羽ばたき周波数、方向などのセンシングロボットの動き制御信号あるいはセンサ制御のための制御信号である。下流から上流への信号は、目的物の有無、位置情報などの検出信号である。また、コントロールする上流ロボットとコントロールされる下流ロボットとの通信における連鎖の関係は、1対多あるいは1対1、すなわち、全体としてツリー構造の通信ルートとなるようになっている。これにより、ベースステーションBSからのそれぞれのセンシングロボットCSへの通信ルートが必ず1つになるようになるため、通信系統の混乱が生じ
難くなっている。
ベースステーションBSとフェロモンロボットFEとの間の通信も、双方向通信である。ベースステーションBSからフェロモンロボットFEへの信号は、ベースステーションBSの移動の早さ、方向信号である。フェロモンロボットFEは、この信号に基づき、自身の移動の早さおよび方向を決定し、センシングロボットCSに羽ばたき周波数、方向などの制御信号を送信する。フェロモンロボットFEからベースステーションBSへの信号は、受信電力測定用の信号である。
ベースステーションBSでフェロモンロボットFEからの送信信号を受信し、その電力を測定することにより、間接的にベースステーションBSとフェロモンロボットFEとの間の距離の大きさを想定し、電力の大きさにより、フェロモンロボットFEを近づけさせたりベースステーションBSからフェロモンロボットFEへの送信信号を強くしたりする。また、ベースステーションBSとフェロモンロボットFEとの数の関係は1対多あるいは1対1である。
フェロモンロボットFEと羽ばたきセンシングロボットCSとの間の通信も、双方向通信である。フェロモンロボットFEからセンシングロボットCSへの信号は、ロボットの羽ばたき周波数および方向などのセンシングロボットCSの動き制御信号あるいはセンサ制御のための制御信号である。羽ばたきセンシングロボットCSからフェロモンロボットFEへの信号は、受信電力測定用の信号である。
フェロモンロボットFEでセンシングロボットCSからの送信信号を受信し、その電力を測定することにより、間接的にフェロモンロボットFEとセンシングロボットCSとの間の距離の大きさを想定し、電力の大きさより、センシングロボットCSをフェロモンロボットFEに近づけさせたりする。また、フェロモンロボットFEとセンシングロボットCSとの数の関係は、1対多あるいは1対1である。
図62に、複数の羽ばたきセンシングロボットCSがベースステーションBSに最も近いグループのセンシングロボット102(CS11〜CS1i)、次に近いグループのセンシングロボット103(CS21〜CS2j)、および最も遠いグループのセンシングロボット104(CS31〜CS3k)の3個のグループに分かれている階層構造の群ロボットシステムにおけるロボット群の、移動手順の例をフローで示す。
まず、動き制御信号の流れを図62(a)を用いて説明する。横の実線は動き制御信号の流れを示すものであり、点線は電力信号の流れを示すものであり、縦の実線は時間遅延を示すためのものである。
最初に、ベースステーションBSからセンシングロボットCS11とセンシングロボットCS12とに、羽ばたきセンシングロボットとしての羽ばたき周波数、方向などのセンシングロボットCSの動き制御信号、または、センサ制御のための制御信号が伝えられる。群ロボットシステム100全体の探索空間を変更する場合には、同時に、ベースステーションBSからフェロモンロボットFEにベースステーションBSの移動の速さ、方向が伝えられる。フェロモンロボットFEからベースステーションBSには、ベースステーションBSとフェロモンロボットFEとの間の距離測定用の電力測定用の信号が送られる。
次に、センシングロボットCS11は、センシングロボットCS20,CS21に、羽ばたきセンシングロボットとしての羽ばたき周波数および方向などのセンシングロボットの動き制御信号、または、センサ制御のための制御信号を伝える。センシングロボットCS12は、センシングロボットCS22に、ロボットの羽ばたき周波数および方向などのセンシングロボットCSの動き制御信号あるいはセンサ制御のための制御信号を伝える。
また、群ロボットシステム100全体の探索空間を変更する場合には、フェロモンロボットFE1は、センシングロボットCS30,CS31に、羽ばたきセンシングロボットとしての羽ばたき周波数および方向などのセンシングロボットCSの動き制御信号あるいはセンサ制御のための制御信号を伝える。
フェロモンロボットFE2は、センシングロボットCS32,CS33,CS34に、羽ばたきロボットとしての羽ばたき周波数および方向などのセンシングロボットCSの動き制御信号あるいはセンサ制御のための制御信号を伝える。センシングロボットCS30,CS31からフェロモンロボットFE1には、センシングロボットCS30,CS31とフェロモンロボットFE1間の距離測定用の電力測定用の信号が送られる。
センシングロボットCS32,CS33,CS34からフェロモンロボットFE2には、センシングロボットCS32,CS33,CS34とフェロモンロボットFE2間の距離測定用の電力測定用の信号が送られる。
最後に、センシングロボットCS20は、センシングロボットCS30,CS31に、ロボットの羽ばたき周波数および方向などのセンシングロボットの動き制御信号またはセンサ制御のための制御信号を伝える。センシングロボットCS21は、センシングロボットCS32,CS33,CS34に、ロボットの羽ばたき周波数および方向などのセンシングロボットCSの動き制御信号またはセンサ制御のための制御信号を伝える。
次に、図62(b)を用いて検出信号の流れを説明する。図62(b)において、横の実線は検出信号の流れを示すものであり、縦の実線は時間遅延を示すためのものである。
まず、センシングロボットCS30,CS31からのセンシングロボットCS20に目的物の有無、位置情報などの検出信号が伝えられる。センシングロボットCS32,CS33,CS34からのセンシングロボットCS21に、目的物の有無、位置情報などの検出信号が伝えられる。
次に、センシングロボットCS20,C21からセンシングロボットCS11に目的物の有無、位置情報などの検出信号が伝えられる。センシングロボットCS22からセンシングロボットCS12に、目的物の有無および位置情報などの検出信号が伝えられる。
最後に、センシングロボットCS11,CS12からベースステーションBSに、目的物の有無および位置情報などの検出信号が伝えられる。
この例では、センシングロボットCS3kの層から情報が上がってきているが、センシングロボットCS2j,CS1iの層で目的物を検出した場合には、当然その検出した層から情報が始まり、ベースステーションBSに情報が上がってくる。
図56に示した具体例では、上述のような通信体系を採用して階層構造を実現している。
なお、羽ばたきセンシングロボットCSとベースステーションBSとの間、羽ばたきセンシングロボットCS同士の間、ベースステーションBSとフェロモンロボットFEとの間の通信方式は、同期通信方式であるスペクトラム拡散通信方式により行なう。このスペクトラム拡散通信方式を、図60および図61に基づいて説明すれば以下のとおりである。
本実施の形態の群ロボットシステムのロボット群は、基本的に同期確定のためのA層、上流ロボットとの通信のためのB層、および下流ロボットとの通信のためのC層の3層の通信層を持っている。本実施の形態の群ロボットシステムの通信体系が上述の階層構造である場合には、A層のPN符号については、ベースステーション101、センシングロボットCS群102,103,104、フェロモンロボットFE105のいずれも同じ符号0である。符号0は、たとえば、256タップのPN(Pseudorandom Noise)符号の1つであるとする。
まず、ベースステーションBS101と下流のセンシングロボット群102(CS11〜CS1i)との通信を説明する。ベースステーションBS101はA層の通信として、スペクトラム拡散によりPN符号0を、センシングロボット群102(CS11〜CS1i)に通信する。センシングロボット102(CS11〜CS1i)は、受信波に同じPN符号である符号0を乗算することにより逆拡散する。マッチドフィルタなどにより逆拡散することにより、PN符号を1周期分逆拡散すると、必ずPN符号がマッチする同期点が見つかる。
図63のAが、ベースステーションBS101の同期時間とすると、センシングロボット群102(CS11〜CS1i)での同期点(時間)が、Bのように、ベースステーションBS101とセンシングロボット群102(CS11〜CS1i)との距離分だけ遅れた時間でマッチドフィルタのピークがあり、同期が見つかる。
同様にして、センシングロボット群102(CS11〜CS1i)が、A層の通信として、スペクトラム拡散によりPN符号0を、センシングロボット群103(CS21〜CS2j)に送信する。ベースステーションBS101とセンシングロボット群103(CS21〜CS2j)との間の距離は、ベースステーションBS101とセンシングロボット102(CS11〜CS1i)との間の距離に、センシングロボット102(CS11〜CS1i)とセンシングロボット103(CS21〜CS2j)との間の距離が加算されるため、センシングロボット102(CS11〜CS1i)よりもさらに遅れたセンシングロボット103(CS21〜CS2j)の同期点は、図63のCになる。
また、同様にして、センシングロボット群103(CS21〜CS2j)はA層の通信としてスペクトラム拡散によりPN符号0を、センシングロボット群104(CS31〜CS3k)に通信する。ベースステーションBS101とセンシングロボット群104(CS31〜CS3k)との距離は、ベースステーションBS101とセンシングロボット103(CS21〜CS2j)との距離に、センシングロボット103(CS21〜CS2j)とセンシングロボット104(CS31〜CS3k)との間の距離が加算されるため、センシングロボット103(CS21〜CS2j)よりもさらに遅れたセンシングロボット群104(CS31〜CS3k)の同期点は、図63のDになる。
ベースステーションBS101と、後で説明する移動制御用のフェロモンロボットFE105との距離は、ベースステーションBS101とセンシングロボット群104(CS31〜CS3k)との間の距離よりも大きいため、センシングロボット群104(CS31〜CS3k)よりもさらに遅れたフェロモンロボット105の同期点は、図63のEになる。
上記の各々のロボットの同期点の確定は、断続的に繰返され、同期点は常に更新される。センシングロボット102(CS11〜CS1i)の同期点は、図63のBになる。
センシングロボット102(CS11〜CS1i)は、上流であるベースステーションBS101との通信の確立用に、B層のPN符号10により逆拡散、復調する。B層のPN符号の同期点は、A層の符号0により確定された図63のBである。また、センシングロボット102(CS11〜CS1i)のB層のPN符号10は、ベースステーションBS101の下流のセンシングロボットとの通信確立用のC層のPN符号10と同じである。つまり、ベースステーションBS101のC層と同じPN符号10を、B層で使っているセンシングロボット群102(CS11〜CS1i)のみが、ベースステーションBSと通信することができる。
図64の例では、センシングロボット102であるセンシングロボットCS1(i−2),CS1(i−1),CS1iのB層は、符号10であるため、ベースステーションBSと通信ができるが、B層のPN符号が符号10でないセンシングロボットCSは、符号10との相関ピークが検出されないためベースステーションBSとは通信できない。
センシングロボット102(CS11〜CS1i)には、下流であるセンシングロボット103(CS21〜CS2j)との通信の確立用に、C層のPN符号20,符号21,符号22により逆拡散、復調する。C層のPN符号の同期点は、A層の符号0により確定された図63のBである。また、センシングロボット102(CS11〜CS1i)のC層のPN符号20,21,22は、センシングロボット103(CS21〜CS2j)の上流のセンシングロボットとの通信の確立用のB層のPN符号20,21,22と同じである。
つまり、センシングロボット103(CS21〜CS2j)のB層と同じPN符号を、C層で使っているセンシングロボット102(CS11〜CS1i)のみが、下流であるセンシングロボット103(CS21〜CS2j)と通信することができる。たとえば、センシングロボットCS1(i−2)が、センシングロボットCS2(j−3)と、センシングロボットCS2(j−2)と通信可能であり、センシングロボットCS1(i−1)が、センシングロボットCS2(j−1)と通信可能であり、センシングロボットCS1iは、センシングロボットCS2jと通信可能である。
センシングロボット103(CS21〜CS2j)の同期点は、図63のCになる。センシングロボット103(CS21〜CS2j)は、上流であるセンシングロボット102(CS11〜CS1i)との通信の確立用に、B層のPN符号20,21,22により逆拡散、復調する。B層のPN符号の同期点は、A層の符号0により確立された図63のCである。センシングロボット103(CS21〜CS2j)とセンシングロボット102(CS11〜CS1i)との通信については、前述で説明しているためここでは省略する。
センシングロボット103(CS21〜CS2j)は、下流であるセンシングロボット104(CS31〜CS3k)との通信の確立用に、C層のPN符号30,31,32,33により逆拡散、復調する。C層のPN符号の同期点は、A層の符号0により確立された図63のCである。また、センシングロボット103(CS21〜CS2j)のC層のPN符号30,31,32,33は、センシングロボット104(CS31〜CS3k)の上流のセンシングロボットCSとの通信の確立用のB層のPN符号30,31と同じである。
つまり、センシングロボット104(CS31〜CS3k)のB層と同じPN符号を、C層で使っているセンシングロボット103(CS21〜CS2j)のみが、下流であるセンシングロボット104(CS31〜CS3k)と通信することができる。たとえば、センシングロボットCS2(j−3)は、センシングロボットCS3(k−3),CS3(k−2),CS3(k−1)と通信可能であり、センシングロボットCS2(j−2)は、センシングロボットCS3kと通信可能である。
センシングロボット104(CS31〜CS3k)の同期点は、図63のDになる。センシングロボット104(CS31〜CS3k)は、上流であるセンシングロボット103(CS21〜CS2j)との通信の確立用に、B層のPN符号30,31により逆拡散および復調する。B層のPN符号の同期点は、A層の符号0により確立された図63のDである。センシングロボット104(CS31〜CS3k)とセンシングロボット103(CS21〜CS2j)との通信については、前述で説明しているためここでは省略する。
フェロモンロボットFE105は、上流であるベースステーションBS101と通信の確立用に、B層のPN符号10により逆拡散および復調する。B層のPN符号の同期点は、A層の符号0により確定された図63のEである。A層の同期のためのPN符号は他のセンシングロボットCSと同じ符号0である。B層のPN符号10は、ベースステーションBSの下流のセンシングロボットCSとの通信の確立用のC層のPN符号10と同じである。B層のPN符号が符号10でない場合は、フェロモンロボットFEは、ベースステーションBSの符号10と相関ピークが検出されないため、ベースステーションBSと通信できなくなる。
フェロモンロボットFEnには、下流であるセンシングロボット104(CS31〜CS3k)との通信の確立用に、C層のPN符号40により逆拡散および復調する。C層のPN符号の同期点は、A層の符号0により確立された図63のEである。また、フェロモンロボットFEnのC層のPN符号40は、最も外側に位置するセンシングロボット104(CS31〜CS3k)とフェロモンロボットFEとの通信の確立用のC層のPN符号40と同じである。
つまり、センシングロボット104(CS31〜CS3k)のC層と同じPN符号を、C層で使っているフェロモンロボットFEnのみが、下流であるセンシングロボット104(CS31〜CS3k)と通信することができる。図64の例では、フェロモンロボットFEnは、センシングロボットCS3(k−3),CS3(k−2),CS3(k−1)と通信可能であり、センシングロボットCS3kとは拡散符号が違うため通信できない。
なお、スペクトラム拡散通信の詳細については、著者:山内雪路、出版局:東京電機大学出版局のスペクトラム拡散通信(次世代高性能化に向けて)に記載されており、本実施の形態のスペクトラム拡散通信においては、一例として本願の発明者らにより発明されたスペクトラム拡散通信装置(特開平11−168407号公報)を適用することとする。
このような本群ロボットシステム100を用いて対象物の検索を行なうことにより、短時間で効率的に目的物の詳細な全体情報を得ることができる。
また、本群ロボットシステム100では、多くのセンシングロボットCSが移動しながら目的物を検出する場合において、センサ情報の処理、通信による負担を少なくすることができる。また、対象物が検出された場合においても、ベースステーションBS101においてマルチタスクでセンサ情報の処理を行なうため、より早く次の目的物を検出することができる。
なお、以上の実施の形態においては、センサ機能あるいは通信機能を備えるセンシングロボットCS、および直接動きの制御を行なう中継機であるフェロモンロボットFE105が、羽ばたきロボットである場合について示したが、本発明においてそれらは限定されず、センシングロボットCSはセンサ機能および通信機能を備える移動体、また、フェロモンロボットFE105は動きを制御するベースステーションBS101からの中継機であればよい。
さらに、このような群ロボットシステム100の制御方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の初期状態の具体例を示す図である。 本発明の第1の具体例に係る羽ばたき装置を示す図であり、(a)はその部分正面図であり、(b)はその部分側面図である。 第1の具体例において、羽ばたき運動と羽ばたき運動の位相との関係を示すグラフである。 第1の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第1の状態を示す図である。 第1の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第2の状態を示す図である。 第1の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第3の状態を示す図である。 第1の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第4の状態を示す図である。 第1の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第5の状態を示す図である。 第1の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第6の状態を示す図である。 第1の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第7の状態を示す図である。 第1の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第8の状態を示す図である。 第1の具体例において、一変形例に係る羽ばたき装置を示す正面模式図である。 第1の具体例において、他の変形例に係る羽ばたき装置を示す正面模式図である。 第1の具体例において、さらに他の変形例に係る羽ばたき装置を示す正面模式図である。 第1の具体例において、図1に示す羽ばたき装置の構造を示す平面模式図である。 第1の具体例において、羽に作用する力および各角度のそれぞれの羽ばたき運動の位相に対する変化を示す第1のグラフである。 第1の具体例において、羽に作用する力および各角度のそれぞれの羽ばたき運動の位相に対する変化を示す第2のグラフである。 第2の具体例に係る羽ばたき装置の構造を示す正面図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置に用いられるアクチュエータを説明するための超音波モータを示す一平面図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置に用いられるアクチュエータを説明するための超音波モータを示す一側面図である。 第2の具体例において、図19および図20に示された超音波モータの動作を説明するための図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置に用いられるアクチュエータの構成を説明するための第1の図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置に用いられるアクチュエータの構成を説明するための第2の図である。 第2の具体例において、羽を示す拡大斜視図である。 第2の具体例において、ストローク角θと偏角αとを示す図である。 第2の具体例において、捻り角βを示す図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置における打ち下ろし動作を示す図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置における打ち上げ動作を示す図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第1の状態を示す図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第2の状態を示す図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第3の状態を示す図である。 第2の具体例において、羽ばたき装置における羽ばたき動作の第4の状態を示す図である。 第2の具体例において、ストローク角θおよび捻り角βの時間依存性を示す第1のグラフである。 第2の具体例において、ストローク角θおよび捻り角βの時間依存性を示す第2のグラフである。 第2の具体例において、羽ばたき装置におけるデータの流れを示すフローチャートである。 第2の具体例において、羽ばたき装置における主要構成部分を示すブロック図である。 第2の具体例において、羽ばたきのトルク、羽の移動(ストローク角θ)、および支持反力の時間変化を示すグラフである。 羽ばたき浮上制御の制御関数を説明するための説明図である。 左羽の羽ばたかせ方の変化と、それに伴って起きる浮上状態の変化とを対応づけた対応表の図である。 羽ばたき浮上の基本動作を実現するための羽ばたかせ方のパターンを示した対応表の図である。 本実施の形態において、前羽軸と後羽軸との先端方向が、互いに平行な位置から角度εだけ外側を向いている場合の、2本の羽軸の関係を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステムの羽ばたきセンシングロボットの羽ばたき周波数と位置との関係を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステムの羽ばたきセンシングロボットの分解能の大小と位置との関係を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の2次状態の具体例を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の3次状態の具体例を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の4次状態の具体例を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の初期状態の、他の具体例を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の初期状態の具体例を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の2次状態の具体例を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の3次状態の具体例を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の4次状態の具体例を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステム100の構成の初期状態の、他の具体例を示す図である。 本群ロボットシステム100において通信を行なう際の配置の具体例を示す図である。 本群ロボットシステム100において通信を行なう際の配置の具体例を示す図である。 本群ロボットシステム100において通信を行なう際の配置の具体例を示す図である。 本群ロボットシステム100において通信を行なう際の補正の具体例を示す図である。 本群ロボットシステム100において通信を行なう際の補正の具体例を示す図である。 本群ロボットシステム100において通信を行なう際の補正の具体例を示す図である。 本群ロボットシステム100において通信を行なう際の配置の具体例を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステムの通信体系が階層構造である場合の、階層構造と位置との関係を示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステムの通信体系が階層構造である場合の、階層構造の通信体系における信号の流れを説明するための図である。 本実施の形態の群ロボットシステムの羽ばたきセンシングロボットの制御信号のフローを 示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステムのスペクトラム拡散通信における制御信号の遅延プロファイルを示す図である。 本実施の形態の群ロボットシステムのスペクトラム拡散通信における拡散符号を示す図である。 従来の群ロボットシステムの具体例を示す図である。
符号の説明
1 支持構造、21 右アクチュエータ、22 左アクチュエータ、31 右羽、32 左羽、311 右羽主軸、312 右羽枝、313 右羽膜、321 左羽主軸、322 左羽枝、323 左羽膜、4,41 制御装置、51 加速度センサ、52 角加速度センサ、6 電源、101,102,301,302,401 回転型アクチュエータ、103,303,712 前羽軸、104,304,713 後羽軸、105,305,404,504,700 胴体部、106,306,714 羽の膜、107,307 羽の先端部、201 前羽軸の振幅、202 後羽軸の振幅、402 回転中心、403,503,603 羽軸、501,601 リニアアクチュエータ、502,602 ヒンジ、603 上面胴体部、604 下面胴体部、701 超音波センサ、702 赤外線センサ、703 加速度センサ、704 角加速度センサ、705 羽ばたき制御部、706 アクチュエータ、707 重心制御部、708 メモリ部、709 通信制御部、710 アンテナ部、711 電源部、901 前羽軸、902 後羽軸、903 前羽軸の振動軸、904 後羽軸の振動軸、905 羽軸の付け根、906 羽軸先端。

Claims (11)

  1. 対象物を検出するためのセンシング手段と、
    前記センシング手段で得られるセンシング情報を送信する送信手段とを備える第1のセンシングロボットと、
    前記第1のセンシングロボットから送信される前記センシング情報を受信可能な受信手段と、
    前記受信したセンシング情報を第1のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第2のセンシングロボットと、
    前記第1のセンシングロボットから送信される前記センシング情報を受信可能な受信手段と、
    前記受信したセンシング情報を第2のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第3のセンシングロボットと、
    前記第1〜3のセンシングロボットを含む複数のセンシングロボットを制御する制御手段と、
    前記第1のセンシング情報と前記第2のセンシング情報とを含むセンシング情報を受信する受信手段とを備える制御装置と、を含んで構成される群ロボットシステムであって、
    少なくとも前記第1のセンシング情報と前記第2のセンシング情報とは同じ情報である、群ロボットシステム。
  2. 対象物を検出するためのセンシング手段と、
    前記センシング手段で得られるセンシング情報を送信する送信手段とを備える第1のセンシングロボットと、
    前記第1のセンシングロボットから送信される前記センシング情報を受信可能な受信手段と、
    前記受信したセンシング情報を補正する補正手段と、
    前記補正されたセンシング情報を第1のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第2のセンシングロボットと、
    前記第1のセンシングロボットから送信される前記センシング情報を受信可能な受信手段と、
    前記受信したセンシング情報を補正する補正手段と、
    前記補正されたセンシング情報を第2のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第3のセンシングロボットと、
    前記第1〜3のセンシングロボットを含む複数のセンシングロボットを制御する制御手段と、
    前記第1のセンシング情報と前記第2のセンシング情報とを含むセンシング情報を受信する受信手段とを備える制御装置と、を含んで構成される、群ロボットシステム。
  3. 対象物を検出するためのセンシング手段と、
    前記センシング手段で得られるセンシング情報を送信する送信手段とを備える第1のセンシングロボットと、
    前記第1のセンシングロボットから送信される前記センシング情報を受信可能な受信手段と、
    前記受信したセンシング情報を第1のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第2のセンシングロボットと、
    前記第1のセンシングロボットから送信される前記センシング情報を受信可能な受信手段と、
    前記受信したセンシング情報を第2のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第3のセンシングロボットと、
    前記第1〜3のセンシングロボットを含む複数のセンシングロボットを制御する制御手段と、
    前記第1のセンシング情報と前記第2のセンシング情報とを含むセンシング情報を受信する受信手段とを備える制御装置と、を含んで構成される群ロボットシステムであって、
    前記第2のセンシングロボットと前記第3のセンシングロボットとのうちの少なくとも1つのセンシングロボットは、受信したセンシング情報を補正する補正手段をさらに備え、
    前記前記第2のセンシングロボットと前記第3のセンシングロボットとのうちの少なくとも1つのセンシングロボットの送信手段は、前記補正されたセンシング情報を送信する、群ロボットシステム。
  4. 前記第2のセンシングロボットは、前記受信したセンシング情報と、前記第3のセンシングロボットを含む同じ通信段にある他のセンシングロボットが受信したセンシング情報とのうちの数の多いセンシング情報を前記第1のセンシング情報と決定する決定手段をさらに備え、
    前記第3のセンシングロボットは、前記受信したセンシング情報と、前記第2のセンシングロボットを含む同じ通信段にある他のセンシングロボットが受信したセンシング情報とのうちの数の多いセンシング情報を前記第2のセンシング情報と決定する決定手段をさらに備える、請求項2または3に記載の群ロボットシステム。
  5. 前記第2のセンシングロボットは、前記決定手段において前記第1のセンシング情報と決定されない情報を前記受信手段で受信していた場合、前記受信した情報を消去する消去手段をさらに備え、
    前記第3のセンシングロボットは、前記決定手段において前記第2のセンシング情報と決定されない情報を前記受信手段で受信していた場合、前記受信した情報を消去する消去手段をさらに備える、請求項4に記載の群ロボットシステム。
  6. 前記第2のセンシングロボットは、前記決定手段において前記第1のセンシング情報と決定されない情報を前記受信手段で受信していた場合、前記受信した情報を前記第1のセンシング情報に書換える書換手段をさらに備え、
    前記第3のセンシングロボットは、前記決定手段において前記第2のセンシング情報と決定されない情報を前記受信手段で受信していた場合、前記受信した情報を前記第2のセンシング情報に書換える書換手段をさらに備える、請求項4に記載の群ロボットシステム。
  7. 対象物を検出するためのセンシング手段と、
    前記センシング手段で得られるセンシング情報を送信する送信手段とを備える第1のセンシングロボットと、
    前記第1のセンシングロボットから送信される前記センシング情報を受信可能な受信手段と、
    前記受信したセンシング情報を第1のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第2のセンシングロボットと、
    前記第1のセンシングロボットから送信される前記センシング情報を受信可能な受信手段と、
    前記受信したセンシング情報を第2のセンシング情報として送信する送信手段とを備える第3のセンシングロボットと、
    前記第1〜3のセンシングロボットを含む複数のセンシングロボットを制御する制御手段と、
    前記第1のセンシング情報と前記第2のセンシング情報とを含むセンシング情報を受信する受信手段とを備える制御装置と、を含んで構成される群ロボットシステムであって、
    前記制御装置を含むベースステーションは、前記受信した前記第1のセンシング情報と前記第2のセンシング情報とのうちの少なくとも1つのセンシング情報を補正する補正手段をさらに備える、群ロボットシステム。
  8. 前記第1〜3のセンシングロボットを含む複数のセンシングロボットは、羽ばたき運動により羽ばたき飛行可能である、請求項1〜7のいずれかに記載の群ロボットシステム。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の群ロボットシステムに含まれる羽ばたき運動により羽ばたき飛行可能なセンシングロボットであって、前記制御装置に制御されることを特徴とする、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の群ロボットシステムに含まれる前記制御装置に該当するベースステーションであって、羽ばたき運動により羽ばたき飛行可能である前記センシングロボットを制御することを特徴とする、群ロボットシステムに含まれるベースステーション。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボットであって、羽ばたき運動により羽ばたき飛行可能である前記センシングロボットの移動を制御することを特徴とする、群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボット。
JP2003365894A 2003-10-27 2003-10-27 群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボット Pending JP2005125466A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003365894A JP2005125466A (ja) 2003-10-27 2003-10-27 群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003365894A JP2005125466A (ja) 2003-10-27 2003-10-27 群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005125466A true JP2005125466A (ja) 2005-05-19

Family

ID=34644413

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003365894A Pending JP2005125466A (ja) 2003-10-27 2003-10-27 群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005125466A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102556341A (zh) * 2011-12-05 2012-07-11 北京航空航天大学 具有分布式和自组装特征的群体飞行机器人
KR101277452B1 (ko) 2009-12-09 2013-07-05 한국전자통신연구원 군집 지능 기반의 이동 로봇과 이를 제어하는 방법 및 감시 경계 로봇 시스템
EP3219447A1 (en) 2016-03-16 2017-09-20 Fuji Xerox Co., Ltd. Robot control system
JP2019059456A (ja) * 2017-09-26 2019-04-18 株式会社A.L.I.Technologies 飛行体

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101277452B1 (ko) 2009-12-09 2013-07-05 한국전자통신연구원 군집 지능 기반의 이동 로봇과 이를 제어하는 방법 및 감시 경계 로봇 시스템
CN102556341A (zh) * 2011-12-05 2012-07-11 北京航空航天大学 具有分布式和自组装特征的群体飞行机器人
EP3219447A1 (en) 2016-03-16 2017-09-20 Fuji Xerox Co., Ltd. Robot control system
KR20170107875A (ko) 2016-03-16 2017-09-26 후지제롯쿠스 가부시끼가이샤 로봇 제어 시스템
US10513038B2 (en) 2016-03-16 2019-12-24 Fuji Xerox Co., Ltd. Robot control system
JP2019059456A (ja) * 2017-09-26 2019-04-18 株式会社A.L.I.Technologies 飛行体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4007947B2 (ja) 群ロボットシステム、該群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、該群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および該群ロボットシステムに含まれる制御ロボット
JP3889956B2 (ja) 移動装置
JP4087104B2 (ja) 群ロボットシステム
US7089084B2 (en) Search robot system
JP4142034B2 (ja) 移動装置
JP4651645B2 (ja) 群ロボットシステム
Finio et al. Stroke plane deviation for a microrobotic fly
JP3946487B2 (ja) 離着陸補助機構および離着陸補助装置
JP3986848B2 (ja) 群ロボットシステムおよびそれに用いられるフェロモンロボット
JP2005125466A (ja) 群ロボットシステム、群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および群ロボットシステムに含まれるフェロモンロボット
JP4540639B2 (ja) 離着陸補助装置
JP2007253946A (ja) ロボットシステム、それに用いられる羽ばたき装置、および、羽ばたき飛行制御装置
JP4467442B2 (ja) 移動装置
JP4007940B2 (ja) 群ロボットシステム、当該群ロボットシステムに含まれるセンシングロボット、当該群ロボットシステムに含まれるベースステーション、および当該群ロボットシステムに含まれる制御ロボット
JP3989707B2 (ja) ロボットシステム、それに用いられる羽ばたき装置および羽ばたき飛行制御装置
JP4121970B2 (ja) 移動装置
JP2003135866A (ja) 駆動装置および羽ばたき飛行装置
Du et al. Unified switching between active flying and perching of a bioinspired robot using impedance control
WO2022115797A1 (en) Hybrid exploration and inspection robot
Salas Gordoniz et al. Scutigera: Design, Modeling, and Experiments for an Artistic Multibody Airship Concept
JP2003137193A (ja) マイクシステム、マイクシステムに用いられる浮上移動装置および浮上移動制御装置
Wang et al. Design and Implementation of a Modular Self-reconfigurable Spherical Robot Connected by Magnetic Force
JP4219257B2 (ja) 浮上移動装置
Magee et al. Toward energy-optimizing rotary wing MAV formations
Summer et al. Design and Control of a Dexterous Biomimetic Multi-Limbed Walking Robot (July 2005)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070731

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070927

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080212