JP2003137193A - マイクシステム、マイクシステムに用いられる浮上移動装置および浮上移動制御装置 - Google Patents

マイクシステム、マイクシステムに用いられる浮上移動装置および浮上移動制御装置

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JP2003137193A JP2001342123A JP2001342123A JP2003137193A JP 2003137193 A JP2003137193 A JP 2003137193A JP 2001342123 A JP2001342123 A JP 2001342123A JP 2001342123 A JP2001342123 A JP 2001342123A JP 2003137193 A JP2003137193 A JP 2003137193A
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    • G05CONTROLLING; REGULATING
    • G05DSYSTEMS FOR CONTROLLING OR REGULATING NON-ELECTRIC VARIABLES
    • G05D1/00Control of position, course or altitude of land, water, air, or space vehicles, e.g. automatic pilot
    • G05D1/10Simultaneous control of position or course in three dimensions
    • G05D1/101Simultaneous control of position or course in three dimensions specially adapted for aircraft
    • G05D1/102Simultaneous control of position or course in three dimensions specially adapted for aircraft specially adapted for vertical take-off of aircraft

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の人の居るところまで行くことが難しい
環境においても、その特定の人のとことまで素早く音声
取得手段を移動させることができるマイクシステムを提
供することである。 【解決手段】 空間において浮上移動することが可能で
あるとともに、空間内の所定の位置および高度に停位す
ることが可能な浮上移動装置としてのロボット90と、
ロボット90に設けられた音声を取得するためのマイク
53と、マイク53により取得された音声を発生するた
めのスピーカと、ロボット90の浮上移動を制御するた
めの浮上移動制御装置としてのベースステーションとを
備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクシステムに
関し、特に、空間において浮上移動することが可能であ
るとともに、空間内の所定の位置に定位することが可能
な浮上移動装置および浮上移動制御装置を備えたマイク
システム、マイクシステムに用いられる浮上移動装置お
よび浮上移動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】学術講演などの場では、会場が広い場
合、一般的に聴衆からの質問はマイクを介して行なわれ
る。そのマイクの配置形態や利用態様はさまざまな種類
が見られるが、大別すると、分散型と集中型とに分かれ
る。
【0003】分散型は、聴衆席1つ1つにマイクが配置
されており、質問者は手元のマイクで質問を行なう態様
である。集中型は、何人かに1つマイクがあり、質問者
がマイクのところまで出向くか、何者かがマイクを質問
者のところまで運ぶことで質問を行なう態様である。
【0004】そして、分散型は、予めマイクが配置され
ているため、マイクを作付けた教室や講堂などに多く見
られる。また、集中型は、仮設の講演会場など、本来講
演を行なうことを想定していない場での講演に多く見ら
れる。
【0005】さらに、特開平9−149309号公報に
は、マイクを有する総合型のロボットに関する技術が開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の形式では、マイクの利用効率が非常に悪く、コ
ストと利便性とを両立させたマイクシステムを構築でき
なかった。以下、上述の2形態について具体的に述べ
る。
【0007】まず、分散型については、質問者は手元に
マイクがあるので利便性が高く、また、時間利用効率も
高いが、聴衆の数が多くなるほど多数のマイクを配置す
る必要がある。ただし、実際には、質問時に使用される
マイクの数は、質問者の数、すなわち、せいぜい3個程
度であるので、マイクのところまで行くのに時間がかか
るという欠点があった。また、多数のマイクを使用する
場合には、多数のマイクを配置する作業に手間がかかる
という問題もあった。さらに、分散型の場合、講堂など
にマイクを作り付けである場合が多いが、この場合マイ
クの数が多くなるため、メンテナンスに手間がかかると
いう問題もあった。しかも、マイクの数だけコストがか
かるという問題もあった。
【0008】また、集中型の場合、マイクの数が少ない
ので上述の分散型の問題は解決されるが、質問者がマイ
クのところまで出向くか、何者かが質問者のところまで
マイクを運ばなくてはならないため、このための通路を
確保する必要が生じるが、これが難しい場合が多いとい
う問題があった。たとえば、会場が混雑すれば、聴衆席
をなるべく詰めて配置する必要がある。また、大学の講
堂などの多くは、座席が後部の机に固定されており、列
の内側にいる質問者がマイクのある位置に移動すること
も、この質問者にマイクを渡すことも、非常に多くの手
間と時間を必要とするのが実情であった。
【0009】すなわち、従来のマイクシステムでは、質
問者の利便性とマイクの時間利用効率を優先して、ほと
んど使われることのない多数のマイクをコストを犠牲に
して用いるか、マイクの汎用性と低コストを優先するた
めに、質問者にマイクを配するまでの時間を犠牲にして
少数のマイクを用いるかを選択するしかなく、どちらか
を犠牲にしなくてはならないという問題があった。
【0010】また、特開平9−149309号公報にあ
るような総合型ロボットを用いる方法では、会場内の通
路以外を移動することは難しく、その通路も、通常は、
段差や傾斜があり、質問者の場所まで素早く自由に移動
することは困難であるという問題があった。
【0011】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、特定の人の居るところまで行く
ことが難しい環境においても、その特定の人のとことま
で素早く音声取得手段を移動させることができるマイク
システム、マイクシステムに用いられる浮上移動装置お
よび浮上移動制御装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のマイクシステム
(マイクの制御方法)は、空間において浮上移動する
(ステップ1)ことが可能であるとともに、空間内の所
定の位置に定位する(ステップ2)ことが可能な浮上移
動装置と、浮上移動装置に設けられた音声を取得する
(ステップ3)ための音声取得手段と、音声取得手段に
より取得された音声を発生する(ステップ4)ための音
声発生手段と、浮上移動装置の浮上移動を制御する(ス
テップ5)ための浮上移動制御装置とを備えている。
【0013】上記の構成によれば、空間において浮上移
動することが可能であるとともに、空間内の所定の位置
に定位することが可能な浮上移動装置に音声取得手段が
設けられているため、特定の人の居るところまで行くこ
とが難しい環境においても、その特定の人のとことまで
素早く音声取得手段を移動させて音声を取得することが
できる。
【0014】本発明のマイクシステムは、また、浮上移
動装置および音声取得手段と、音声発生手段とが別体に
設けられ、浮上移動装置が、音声取得手段により得られ
た音声に関する音声情報を音声発生手段に送信し、音声
発生手段が、送信されてきた音声情報を受信して、受信
された音声情報に基づいて、音声を発生するものであっ
てもよい。
【0015】上記の構成によれば、浮上移動装置および
音声取得手段と、音声発生手段とが別体に設けられてい
るため、音声を取得する場所を音声を発生させる場所と
を異ならせることができる。
【0016】本発明のマイクシステムは、また、浮上移
動装置および音声取得手段と、音声発生手段とが一体的
に設けられているものであってもよい。
【0017】上記の構成によれば、音声を取得した場所
で音声を発生させることができる。本発明のマイクシス
テムは、浮上移動装置が、音声取得手段により取得され
た音声に関する情報を記憶する音声情報記憶手段を含
み、音声発生手段が、音声情報記憶手段に記憶されてい
る音声情報に基づいて、音声を発生するものであっても
よい。
【0018】上記の構成によれば、浮上移動装置が音声
取得手段により取得された音声に関する情報を記憶する
音声情報記憶手段を含んでいるため、音声を発生させる
時期を音声の取得の時期と異ならせることができる。
【0019】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が、音声発生手段により発生され
ている音声の状態が予め定められた所定の音声の状態と
なるように、浮上移動装置の空間における位置および行
動を自動的に変更する制御を行なうように設定されてい
る。このような構成によれば、音声の状態の自動調整を
行なうことができる。
【0020】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が、音声発生手段により発生され
ている音声の状態が予め定められた所定の音声の状態と
なるように、音声取得手段の態様を自動的に変更する制
御を行なうように設定されている。このような構成によ
れば、音声の状態の自動調整を行なうことができる。
【0021】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動装置が、羽根の羽ばたき運動により流体が
存在する空間を羽ばたき飛行可能な羽ばたき装置であ
る。このような構成によれば、音声取得手段を安定した
状態で定位することができる。
【0022】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が、音声取得手段により取得され
た音声に関する音声情報の態様が予め定められた所定の
音声情報の態様となるように浮上移動装置を制御するよ
うに設定されている。このような構成によれば、音声の
状態の自動調整を行なうことができる。
【0023】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動装置が、目的位置に到達するまでは予め定
められた基準高度より高い位置を浮上移動するように設
定されている。このような構成によれば、簡単に障害物
を避けて目的地までいくことができる。
【0024】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が、空間における障害物に関する
情報をマップデータとして予め記憶しておくマップデー
タ記憶手段を含み、マップデータ記憶手段に記憶された
障害物の情報を用いて、障害物と接触することを回避す
る回避制御を行なうように設定されている。このような
構成によれば、予め知覚できる障害物を確実に回避して
移動することができる。
【0025】本発明のマイクシステムは、さらに好まし
くは、浮上移動装置が、浮上移動装置周辺の画像情報を
取得するための画像取得手段をさらに含み、画像取得手
段により取得された画像情報を表示するための画像表示
手段をさらに備えている。このような構成にれば、音声
と同時に、音声を発生しているものの状態の画像情報を
得ることができる。
【0026】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が、浮上移動装置の外部に設けら
れ、人為的に浮上移動装置の浮上移動を制御することが
可能に構成されている。このような構成によれば、人為
的に状況に応じて浮上移動装置を浮上移動させることが
できる。
【0027】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が、浮上移動装置の空間における
位置および行動のうち少なくともいずれか一方を特定す
るための位置行動情報を入力可能な位置行動情報入力手
段を含んでいる。このような構成によれば、浮上移動装
置を手動で到達すべき目的位置へ容易に到達させること
ができる。
【0028】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が、浮上移動装置が位置行動情報
により特定された位置まで移動するための予定の移動経
路の決定を行なう移動経路決定手段を含んでいる。この
ような構成によれば、浮上移動装置が移動経路決定手段
を有する場合に比較して、浮上移動装置の移動経路決定
手段に対する制御負担を軽減することができる。
【0029】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が、浮上移動装置の空間における
定位姿勢を特定するための定位姿勢情報を入力可能な定
位姿勢情報入力手段を含んでいる。このような構成によ
れば、浮上移動装置の位置姿勢を容易に設定することが
できる。
【0030】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が、位置姿勢情報入力手段により
入力された定位姿勢情報を送信するための位置姿勢情報
送信手段を含み、浮上移動装置が、位置姿勢送信手段に
より送信されたされた定位姿勢情報に基づいて浮上移動
装置の定位位置および定位姿勢を実現する浮上態様を決
定するための浮上態様決定手段を含んでいる。このよう
な構成によれば、浮上装置の位置および姿勢とそれに対
応する浮上態様とをパターン化することができる。
【0031】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動制御装置が複数設けられ、複数の浮上移動
制御装置それぞれが、予め定められた空間を分担して浮
上移動装置を制御するように設定されている。このよう
な構成によれば、浮上移動装置と浮上移動制御装置との
通信距離が短い場合でも、広い範囲を浮上移動させるこ
とができる。
【0032】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動装置が複数用いられ、複数の浮上移動装置
それぞれが、予め定められた空間を分担して浮上移動す
るように設定されている。このような構成によれば、さ
らに素早く特定の目的位置まで音声取得手段を浮上移動
させることができる。
【0033】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、浮上移動装置が、羽根の羽ばたき運動により浮上移
動する羽ばたき浮上装置であり、羽根の羽ばたき運動に
おける周波数が、音声取得手段の音声収集可能周波数帯
域の外の周波数となるように設定されている。このよう
にすることにより、羽ばたき運動によって生じる音声が
音声取得手段により取得されてノイズが発生することが
抑制される。
【0034】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、音声取得手段が、少なくとも音声を収集するときに
は、浮上移動によって生じる流体の流速が最小となる部
位の近傍に配置されるように設定されている。このよう
にすることにより、浮上移動によって生じる流体の衝突
による衝撃音が音声取得手段に取得されて発生するノイ
ズを小さくするできる。
【0035】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、羽根は、左右対称に設けられた左羽根と右羽根とか
らなり、音声取得手段が、羽ばたき浮上装置の前側また
は上側であって、左羽根と右羽根との間付近に設けられ
ている。このようにすることにより、羽ばたき運動によ
って生じる羽ばたき音が音声取得手段に取得されて発生
するノイズを小さくするできる。
【0036】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、羽ばたき浮上装置が、音声を収集するときには、ホ
バリングを行なうように設定されている。このようにす
ることにより、浮上移動装置を発話者が手で移動させて
も浮上移動装置は移動後の位置で定位することになるた
め、発話者が音声取得手段の位置を自らの手で調整する
ことができる。
【0037】本発明のマイクシステムは、より好ましく
は、羽ばたき浮上装置が、羽根の膜面に垂直に羽根を動
かす羽ばたき運動により浮上するように設定されてい
る。このようにすることにより、羽根の端部におけるカ
ルマン渦の発生を抑制することができるため、風切音が
小さくなるので、聴衆が羽ばたき運動による音をうるさ
いと感じることを防止することができる。
【0038】本発明の浮上移動装置は、空間において浮
上移動することが可能であるとともに、空間内の所定の
位置に定位することが可能な浮上移動装置であって、音
声を取得するための音声取得手段が設けられ、音声取得
手段により取得された音声を発生するための音声発生手
段と、浮上移動装置の外部に設けられた浮上移動装置の
浮上移動を制御するための浮上移動制御装置とを備えた
マイクシステムに用いられ、浮上移動制御装置により、
浮上移動が制御されるように設定されている。
【0039】上記の構成によれば、音声取得手段が設け
られており、空間において浮上移動することが可能であ
るとともに、空間内の所定の位置に定位することが可能
な浮上移動装置が浮上移動制御装置により制御されるよ
うに設定されているため、特定の人の居るところまで行
くことが難しい環境においても、その特定の人のとこと
まで素早く音声取得手段を移動させて音声を取得するこ
とができる。なお、浮上移動制御装置は人為的に浮上移
動装置を制御できるように構成されていてもよい。
【0040】本発明の浮上移動制御装置は、空間におい
て浮上移動することが可能であるとともに、空間内の所
定の位置に定位することが可能な浮上移動装置と、浮上
移動装置に設けられた音声を取得するための音声取得手
段と、音声取得手段により取得された音声を発生するた
めの音声発生手段とを備えたマイクシステムに用いら
れ、浮上移動装置の外部に設けられ、浮上移動装置の浮
上移動を制御することが可能に構成されている。
【0041】上記の構成によれば、音声取得手段が設け
られており、空間において浮上移動することが可能であ
るとともに、空間内の所定の位置に定位することが可能
な浮上移動装置を制御することができるため、特定の人
の居るところまで行くことが難しい環境においても、そ
の特定の人のとことまで素早く音声取得手段を移動させ
て音声を取得することができる。なお、浮上移動制御装
置は人為的に浮上移動装置を制御できるように構成され
ていてもよい。
【0042】なお、具体的にこれらを簡便に構成する一
例として、コンピュータに、前述のマイクシステム、浮
上移動装置、および、浮上移動制御装置それぞれを動作
させるためのプログラムそれぞれが実行されて、マイク
システム、浮上移動装置、および、浮上移動制御装置そ
れぞれが機能する構成が挙げられる。なお、これらのプ
ログラムは、CD−ROMなどのコンピュータ読取り可
能な記録媒体に記録されていているものがマイクシステ
ム、浮上移動装置、および、浮上移動制御装置それぞれ
に読込まれてもよいとともに、インターネットなどの情
報伝達網からインストールされてマイクシステム、浮上
移動装置、および、浮上移動制御装置それぞれに読込ま
れてもよい。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本実施の形態
のマイクシステムを説明する。本実施の形態におけるマ
イクシステムは、マイクを有し、ベースステーションに
よって操作される羽ばたき浮上ロボットを用いたマイク
システムである。
【0044】(システムの概要)まず、本実施の形態に
おけるマイクシステムの構成を、図1を用いて説明す
る。本実施の形態のマイクシステムは、講演会場92
と、講演会場92に配された、この会場内を浮上移動す
ることができるマイク53を備えたロボット90と、ロ
ボット90と情報を交換できるベースステーション91
とからなる。そして、講演会場92には、質問者93と
講演者94とが存在する。
【0045】ベースステーション91は、講演者94の
指示により、ロボット90を、質問者93の音声を取得
可能な位置に定位させ、質問者93の音声を得るための
ものである。そして、講演者94は、ベースステーショ
ン91に対して質問者93の位置を指示する。
【0046】(ロボットの説明) (羽ばたき浮上機構の利点)本実施の形態においては浮
上移動装置として、羽ばたき運動を用いた浮上機構を用
いるが、この羽ばたき浮上移動装置は、停空可能な浮上
機構であるヘリコプターのような回転運動を用いた浮上
機構に対し、より低周波数での浮上が可能である。たと
えば、トンボは羽ばたき周波数30Hz程度であるのに
対し、一般的なヘリコプターのロータの回転数は100
Hz以上である。また、羽ばたき運動を用いた浮上機構
は、質量に対する浮力の比が、サイズに反比例して大き
くなるので、質量に対する浮力の比がサイズに対して一
定である浮力を用いた飛行船などの浮上機構に対し、よ
り小型化に適している。ただし、本発明は、本実施の形
態の羽ばたき浮上移動装置に限定して成立するものでは
なく、他の浮上移動装置であってもよい。
【0047】(主要な構成と主要な機能)まず、ロボッ
ト90の主要な構成について図2を用いて説明する。図
2に示すように、ロボット90は支持構造1を主構造と
し、これに各構成部品が配されている。支持構造1の上
部には右アクチュエータ21と左アクチュエータ22が
固定されている。右アクチュエータ21には右羽根31
が取付けられ、左アクチュエータには左羽根32が取付
けられている。また、下部に電極61が配されている。
【0048】各アクチュエータ21,22はそれぞれ取
付けられた羽根31,32をアクチュエータの始点をほ
ぼ中心として3自由度を持って回転させることができ
る。各アクチュエータ21,22の回転は、支持構造1
に搭載された制御回路4によって制御される。各アクチ
ュエータの詳細な構造については後述する。
【0049】なお、図2の状態におけるロボット90の
重心Oは、左右アクチュエータ21,22の回転中心の
中点A0よりも鉛直下方にある。
【0050】また、支持構造1には、加速度センサ5
1、角加速度センサ52、およびマイク53が搭載され
ている。さらに、支持構造1には、通信装置7が配され
ている。通信装置7は、ベースステーション91との音
声情報もしくは制御情報の送受信を行なう。以後、音声
情報の送受信を、音声通信、音声情報以外の情報、たと
えば、加速度センサデータ、角加速度センサデータ、ロ
ボット90に対する制御データなどの送受信を制御通信
を、特に、これらを区別する必要のない場合は単に通信
と称する。
【0051】制御装置4では、加速度センサ51および
角加速度センサ52から送られてくる情報によって羽ば
たき装置(羽ばたき浮上ロボット)の浮上の状態を検知
する。マイク53は、音声信号を収集し、制御装置4に
送る機能を有する。制御装置4は、これらの情報を通信
装置7を介してベースステーション91に送信する機能
を有する。
【0052】また、制御装置4は、支持構造1に配され
た発光ダイオード8のON/OFFを制御する。また、
通信装置7は、ベースステーション91からの指示信号
を受信する。制御装置4は、この指示信号に応じて各ア
クチュエータ21,22、発光ダイオード8の動作を算
出し、駆動を決定する。
【0053】左右アクチュエータ21,22、制御装置
4、加速度センサ51、角加速度センサ52、マイク5
3、通信装置7、発光ダイオード8などを駆動する駆動
源は電源6により供給される。電源6は、二次電池であ
り、電極61を経由して供給される電力によって充電さ
れる。また、電極61の位置決めピンの役割も兼ねてお
り、ベースステーション91における位置決め孔に決ま
った姿勢で定位が可能である。
【0054】なお、図2においては、電極61は正極お
よび負極の2本のピンからなっているが、充電状態検出
用なども含む3本以上のピンからなる構成も可能であ
る。
【0055】(支持構造)次に、支持構造1について図
2を用いてより詳細に説明する。
【0056】支持構造1は、機械的強度を確保した上で
十分軽量であることが望ましい。この羽ばたき装置の支
持構造1では、ほぼ球殻状に成形したポリエチレンテレ
フタレート(PET)が用いられている。支持構造1下
部には、設置の際転倒を防ぐよう、支持脚11が配され
ている。ただし、ロボット90の設置時の安定性が確保
されるか、もしくは、設置時の安定性が機能的に問題に
ならないのであれば、支持脚11は必須ではない。
【0057】また、支持構造1の材料や形状は飛行の性
能を損なわないならば図2に示すものに限られるもので
はない。支持構造1の材料は、特に、軽量で剛性が高い
ことが望ましい。たとえば、カニやエビなどの生物に含
まれているキトサンなどの有機物とシリカゲルなどの無
機物とを分子レベルでハイブリッド化した複合材料を用
いる。それにより、カニやエビの外骨格が有している軽
くて丈夫であるが形状加工が容易であるといる性質を、
生物が本来持っている最適な組成値をそのまま転用する
ことにより実現することができる。また、このような支
持構造1によれば、環境に対しても害が少ない。
【0058】また、貝殻の材料である炭酸カルシウムを
前述のキトサンの代わりに用いることでも、剛性が高い
支持構造を構築することができる。また、アクチュエー
タや羽根の配置、形状についても、本実施の形態に示し
た態様に限るものではない。
【0059】特に、本実施の形態の羽ばたき装置(羽ば
たき浮上ロボット)では、浮上の安定性を重要視して、
自然に図2に示した姿勢となるように、重心の位置を羽
根の力学的作用中心点よりも下に位置させたが、重心と
力学的作用点の位置を一致させる方が姿勢制御に必要な
左右の羽根の流体力の差が最も小さくてすむので、羽ば
たき装置の姿勢を容易に変更することできる。したがっ
て、アプリケーションによっては、このような姿勢制御
の容易さを優先した設計も考えられる。
【0060】(浮上機構) (羽根とその動作)次に、羽根とその動作について図2
〜図5を用いて説明する。説明の簡便のため、図2にお
ける座標系を定義する。まず、支持構造1のほぼ中央を
原点とする。また、重力加速度の方向を下方向、その逆
を上方向とする。原点から上方向に向かってz軸を定義
する。次に、右アクチュエータ21の形状中心と左アク
チュエータ22の形状中心を結ぶ方向を左右方向とし、
原点から左羽根に向かってy軸を定義する。また、原点
からy軸とz軸との右手系における外積の方向にx軸を
定義し、以後、この正の方向を前方、その反対方向を後
方と称する。
【0061】また、図2は、右羽根31の右アクチュエ
ータ21に対する力学的作用点A1と、左羽根32の左
アクチュエータ22に対する力学的作用点A2の中点A
0から、重力加速度方向に降ろした線上に本羽ばたき装
置の重心Oが位置する状態である。本実施の形態におい
ては、左アクチュエータ22のロータ229はほぼ球状
であり、主軸321の延長線上にこのロータ229の球
心が位置するように左羽根32が配置されている。左ア
クチュエータ22に対する力学的作用点A2および主軸
321の回転運動の始点はこの球心に一致している。右
アクチュエータ21についても同様である。
【0062】以後、前述したx軸、y軸、z軸は、図2
の状態において支持構造1に対して固定された、本羽ば
たき装置固有の座標系であるとする。
【0063】一方、羽ばたき装置の固定された座標系に
対して、空間に固定された任意の点を原点とする空間座
標としてx′軸、y′軸およびz′軸を定義する。これ
により、ロボット90が移動する会場92の座標はx′
軸、y′軸およびz′軸のそれぞれの座標を用いて表わ
され、ロボット90における固有の座標はx軸、y軸お
よびz軸のそれぞれの座標を用いて表わされる。
【0064】次に、羽根の構造について説明する。たと
えば、左羽根32は主軸321に枝322が生えた支持
部材に、膜323を張ることで形成されている。主軸3
21は、左羽根32において前方寄りの位置に配されて
いる。
【0065】また、枝322は先端に行くほど下方に向
いているため、左羽根32は上に凸状の断面形状を有す
る。これによって、特に、打下ろしの際に流体から受け
る力に対し高い剛性が得られる。
【0066】主軸321と枝322は軽量化のため、そ
れぞれカーボングラファイトの中空構造となっている。
膜323は、その面内において収縮する方向に自発的な
張力を有しており、羽根全体の剛性を高める働きをして
いる。
【0067】本発明者らが実験に用いた羽根の主軸32
1の直径は、支持構造1に支持された根元の部分では1
00μm、先端部では50μmであり、主軸321は根
元から先端部へ向かって細くなったテーパ形状である。
また、膜323はポリイミドであり、大きさは前後方向
約1cm、左右方向約4cm、厚さは約2μmである。
【0068】なお、図3に示された左羽根32では、説
明のために主軸321はその太さが拡大されている。図
示されない右羽根31はxz平面を挟んで左羽根32と
鏡面対称になるように支持構造に取付けられている。
【0069】次に、羽根の動作の表現について左羽根3
2を例に挙げて説明する。左アクチュエータ22は、左
羽根32を回転3自由度動かすことが可能である。つま
り、左羽根32の駆動状態は、その姿勢で表わすことが
できる。以後の説明の簡便のため、左羽根32の姿勢を
図2の状態に基づき以下のように定義する。
【0070】まず、図4に示すように、主軸の回転運動
の始点(力学的作用点A2)と、x軸およびy軸にそれ
ぞれ平行な軸(//x、//y)を含むxy平面に平行
な平面を基準として、点A2と左羽根32の主軸321
の根元を結ぶ線分がその平面となす角度を、羽ばたきの
ストローク角θとする。
【0071】また、主軸の回転運動の始点(力学的作用
点A2)とy軸およびz軸にそれぞれ平行な軸(//
y、//z)を含むyz平面に平行な平面を基準とし
て、点A2と左羽根32の主軸321の根元とを結ぶ線
分がその平面をなす角度を偏角αとする。
【0072】このとき、ストローク角θはxy平面に平
行な平面より上方では正と、下方では負とする。また、
偏角αはyz平面に平行な平面よりも前方では正とし、
後方では負とする。
【0073】そして、図5に示すように、左羽根32の
主軸321の根元における膜323の接平面p1が、点
A2を通りx軸と平行な軸(//x)と主軸321を含
む平面p0となす角度を捻り角βとする。このとき、捻
り角βは主軸321の根元から先端に向かって見たとき
に時計回りを正とする。
【0074】(アクチュエータ)次に、アクチュエータ
について図6を用いて説明する。
【0075】本実施の形態の羽ばたき装置のアクチュエ
ータ21,22については、トルクが大きいこと、往復
運動が簡単に実現できること、構造が単純なことなどか
ら、圧電素子(ピエゾ)を用いて発生した進行波によっ
て駆動するアクチュエータ(一般的に超音波モードと呼
ばれる)を用いる。
【0076】図6に示すのアクチュエータ21,22
は、市販の超音波モータ23である。この超音波モータ
23は、図6(a)に示すように、下面に圧電素子23
0を貼り付けてあるアルミニウムの円板231上に突起
232〜突起237が、円板の中心を重心とする正六角
形をなすように6ヶ所に配置されている。さらに、図6
(b)に示すように、超音波モータ23は、圧電素子2
30の下面に、円周方向に12分割された電極238が
配置されている。
【0077】各電極238は、1つ置きに電気的に短絡
されており、それぞれ、円板231を基準に電圧が印加
される。すなわち、圧電素子230は、2層の異なる電
圧が加えられる。この様子を図6(c)に、ハッチング
と塗り潰しに分けて示す。このそれぞれに異なる時間的
パターンで電圧を加えることによって円板231上に進
行波が発生し、突起232〜突起237先端が楕円運動
を行なう。以上でステータが構成され、このステータ
は、ステータ上に接触して配されたロータ239を上述
の突起先端の楕円運動により円板231を円周方向に沿
うように回転搬送することができる。
【0078】この超音波モータのトルクは、1.0gf
・cmで、無負荷回転速度は800rpmである。ま
た、最大消費電流は20mAである。また、円板231
の直径は8mm、突起232〜突起237の配されてい
る間隔は2mmである。円板231の厚さは0.14m
m、突起232〜突起237の高さは約0.4mmであ
る。また圧電素子230の駆動周波数は341kHzで
あった。
【0079】本実施の形態では、このステータ部分を流
用したアクチュエータを用いる。右アクチュエータ21
は、図7(b)に示す如く、球殻状のロータ219を、
上述のステータと同様のステータ210とベアリング2
11を挟み込んで保持する構造を有している。ただし、
ステータ210のロータ219との接触部はロータ21
9表面と一致する形状に加工されている。ロータ219
は外径3.1mm、内径2.9mmの球殻で、表面に右
羽根主軸311が配置されている。センターの突起23
2〜突起237のある面に向かって見て時計回り(以
後、これを正回転、この逆の回転を逆回転と呼ぶ。)に
ロータを搬送させる操作を行なうと、右羽根主軸311
は図7(b)に示すθの方向に移動する。
【0080】さらに、このロータ219を3自由度で駆
動するために、上部補助ステータ212と下部補助ステ
ータ213をベアリング214,215とともにステー
タ210、ベアリング211と同様に、図7(a)に示
すように配置する(補助ステータの大きさはステータ2
10の0.7倍である。)。
【0081】各ステータの駆動方向は必ずしも直交して
いないが、それぞれ独立した要素への回転を与えるた
め、これらの運動の組合せによってロータ219を3自
由度で駆動することができる。
【0082】たとえば、ロータ219に対して、上部補
助ステータ212によって正回転を、下部補助ステータ
213によって同じく正回転を与えれば、ロータ219
がこの合成であるβ方向に、上部補助ステータ212に
よって逆回転を、下部補助ステータ213によって正回
転を与えればα方向に回転する。
【0083】実際の駆動に際しては回転中心の異なる2
つの回転を行なわせることは摩擦によって効率を低下さ
せてしまうので、たとえば、上部補助ステータ212と
下部補助ステータ213を、ごく短時間周期で交互に動
作させ、その間、動作していないステータの突起はロー
タ219の接触しないなどの駆動方法が望ましい。これ
は、ステータの電極すべてに、圧電素子の収縮方向に電
圧を印加することで、特別に構成要素を付加することな
く実現することができる。
【0084】また、圧電素子の駆動周波数が300kH
z以上と、せいぜい100Hz程度である羽ばたき周波
数に比べて十分高速であるので、交互にアクチュエータ
を動作させても実質上滑らかな動きを右羽根主軸311
に与えることができる。
【0085】以上により、発明者らが検討に用いた市販
の超音波モータと同等の特性を有する3自由度アクチュ
エータが構成される。
【0086】ステータの発生する進行波の振幅がサブミ
クロンオーダであり、ロータはこのオーダの真球度であ
ることが要求される。民生用の光学製品に用いられる放
物面鏡の加工精度は数重nmであり、また、光学干渉計
に用いられる光学部品の加工精度は数nm程度であるこ
とからこのようなロータは現在の加工方法および技術で
作製することが可能である。
【0087】当然、これは本発明における3自由度運動
を羽根に与えるアクチュエータを超音波モータで構成し
た例の1つにすぎず、各構成要素の配置およびサイズ、
材料駆動方法などは、羽ばたき飛行に要求される物理的
機能、たとえば、トルクなどが実現できるならこの限り
ではない。
【0088】また、当然、羽根の駆動機構やそれに用い
るアクチュエータの種類についても、特に本実施の形態
に示したものによらない。たとえば、特開平5−169
567号公報に見られるような、外骨格構造と、リニア
アクチュエータを組合せて用いた羽ばたき機構も本実施
の形態に示すアクチュエータと等価な羽根の動作を実現
できるため可能である。
【0089】また、運動エネルギとして電力を用いた
が、内燃機関を用いることも可能である。さらに、昆虫
の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応により、
化学的エネルギを運動エネルギに変換するアクチュエー
タを用いることも可能である。たとえば、昆虫から採取
した筋肉をリニアアクチュエータとして用いる方法や、
昆虫の筋肉のタンパク質のアミノ酸と無機物を材料とし
て分子レベルで、これらを複合させて作った複合材料の
人工筋肉をリニアアクチュエータとして用いるなどの方
法がある。
【0090】なお、基本的な駆動力を上述の内燃機関な
どのエネルギ効率が高いアクチュエータで得て、これら
の制御もしくは補助として電力で駆動するアクチュエー
タを用いる手法も可能である。
【0091】(浮上方法)次に、浮上方法について図8
〜図14を用いて説明する。
【0092】なお、ここでは、羽根が流体から受ける力
を流体力と呼ぶ。また、説明の簡便のため、空気の流れ
を羽ばたきによってのみ起こる状態、無風状態を仮定し
て説明する。
【0093】説明の簡便のため、ロボット90に及ぼさ
れる外力は、羽根に流体から作用する力すなわち流体力
と、重力のみであるとする。
【0094】ロボット90が恒常的に浮上するには、1
回の羽ばたき動作の間で平均して、 (羽根にかかる上方向の流体力の総和)>(ロボット9
0にかかる重力) であることが必要である。
【0095】ここでは、昆虫の羽ばたきを単純化した羽
ばたき方により、打下ろし時の流体力を打上げ時の流体
力よりも大きくする方法について説明する。説明の簡便
のため、流体の挙動もしくはそれが羽根に及ぼす力につ
いては、その主要成分を挙げて説明する。また、この羽
ばたき方によりロボット90に作用する浮上力と重力の
大小については後述する。
【0096】羽根には、羽根が運動する方向と逆方向の
流体力が作用するので、羽根の打下ろし時には羽根の上
向きの流体力が作用し、打上げ時には羽根に下向きの流
体力が作用する。そこで、打下ろし時に流体力を大きく
し、打上げ時には流体力を小さくすることで、1回の羽
ばたき動作(打下ろし動作と打上げ動作)の間で、時間
平均すると上方向の流体力が得られることになる。
【0097】そのためには、まず、打下ろし時には羽根
が移動する空間の体積が最大となるように打下ろせば、
羽根にほぼ最大の流体力が作用する。これは、羽根の接
平面とほぼ垂直に羽根を打下ろすことに相当する。
【0098】一方、打上げ時には羽根が移動する空間の
体積が最小になるように打上げれば、羽根に及ぼされる
流体力がほぼ最小となる。これは羽根の断面の曲線にほ
ぼ沿って羽根を打上げることに相当する。
【0099】このような羽根の動作について羽根の主軸
321に垂直な断面を用いて説明する。まず、図8は、
羽根の移動する空間の体積が最大になるように打下ろし
た場合、図9は羽根の移動する空間の体積が最小になる
ように打上げた場合を示す。
【0100】図8および図9では、移動前の羽根の位置
が破線で示され、移動後の羽根の位置は実線で示されて
いる。また、羽根の移動方向が一点鎖線の矢印によって
示されている。同図に示すように、流体力は羽根の移動
方向とは逆向きの羽根に作用する。
【0101】このように、打上げ時における羽根が移動
する空間の体積が、打下ろし時における羽根が移動する
空間の体積よりも小さくなるように、羽根の姿勢を羽根
の移動方向に対して変化させて、1回の羽ばたき動作の
間の時間平均において、羽根に作用する上方向の流体力
を羽ばたき装置に作用する重力よりも大きくすることが
できる。
【0102】本実施の形態においては、羽根の捻り角β
が制御可能であり、これを時間的に変化させることによ
って上述の羽根の運動が実現される。
【0103】具体的には、以下のステップS1〜S4が
繰返される。まず、ステップS1では、図10に示すよ
うに、羽根の打下ろし(ストローク角θ=+θ0→−θ
0)が行なわれる。ステップS2では、図11に示すよ
うに、羽根の回転1(羽根の捻り角β=β0→β1)動
作が行なわれる。ステップS3では、図12に示すよう
に、羽根の打上げ(ストローク角θ=−θ0→+θ0、
捻り角β=β1→β2(羽根の曲面に沿った運動におい
て流体力を最小限に留める運動))が行なわれる。ステ
ップS4では、図13に示すように、羽根の回転2(羽
根の捻り角β=β2→β0)動作が行なわれる。
【0104】ステップS1およびステップS3における
羽根に作用する流体力を時間平均すると、上述のように
羽根の移動する空間の体積の違いから、上向きの流体力
となる。この上向きの流体力の鉛直成分と重力との大小
関係については後述する。
【0105】当然、ステップS2,ステップS4におい
ても、羽根に作用する流体力の時間平均が上向きの流体
力であることが望ましい。
【0106】ロボット90の羽根においては、図10〜
図13に示すように、羽根の前縁近傍に羽根の回転中心
(主軸321部分)が位置している。つまり、主軸32
1から羽根の後縁までの長さの方が主軸321から羽根
の前縁までの長さよりも長くなっている。このため、図
11および図13に示すように、羽根の回転動作におい
ては羽根の回転方向に沿って生じる流体の流れに加え
て、主軸321から羽根の後縁に向かう方向に沿って流
体の流れが生じることになる。
【0107】そして、羽根にはこのような流体の流れの
反作用としてそれぞれの流れの向きとは逆向きの力が作
用することになり、図11に示すステップS2では、実
質的に上向きの流体力が羽根に与えられ、図13に示す
ステップS4では主に下向きの流体力が羽根に与えられ
ることになる。
【0108】図12に示すステップS3では、羽根の断
面の曲線に沿うように羽根の捻り角βをβ1からβ2に
変化させながら打上げ動作が行なわれる。また、図11
に示すステップS2における羽根の回転角は図13に示
すステップS4における羽根の回転角よりも大きい。こ
れにより、ステップS2およびステップS4においても
羽根の上向きに作用する流体力が下向きに作用する流体
力に勝って、時間平均すると上向きの流体力が羽根に作
用することになる。
【0109】なお、図10〜図13では、それぞれステ
ップS1〜S4における羽根の移動前の姿勢が破線で示
され、移動後の姿勢が実線で示されている。各ステップ
S1〜ステップS4における羽根の移動方向が一点鎖線
の矢印によって示されている。また、各ステップS1〜
S4において主に発生する流体の流れが実線の矢印によ
って示されている。
【0110】次に、ストローク角θおよび捻り角βの値
を時間の関数として表わしたグラフを図14に示す。た
だし、図14では、ストローク角θおよび捻り角βのそ
れぞれの縦軸の比率は異なっている。
【0111】本発明者らの行なった実験においては、θ
0はたとえば60°である。β0はたとえば0°であ
る。β1はたとえば−120°である。β2はたとえば
−70°である。
【0112】上述した説明では、説明の簡便のためステ
ップS1〜ステップS4は独立した動作として記述した
が、たとえば、ステップS1において羽根を打下ろしな
がら羽根の捻り角を大きくしていくような動作も可能で
ある。
【0113】また、上述した例は、第1近似的な考察か
ら説明されるものであり、実際に浮上可能な羽ばたき方
法はこれに限定されるものではない。
【0114】また、ここでは、左羽根について説明した
が、右羽根についてもxz平面に関して鏡面対称に左手
系に基づくストローク角θ、偏角αおよび捻り角βを定
義すれば、同一の議論が成り立つ。以下、羽根に作用す
る上向きの流体力を浮上力とし、羽根に作用する前向き
の流体力を推進力とする。
【0115】(制御方法)次に、羽ばたき装置に任意の
運動を行なわせる制御手法について説明する。ここで
は、本羽ばたき装置の左羽については右手形に基づくス
トローク角θ、偏角αおよび捻り角βを用い、そして、
右羽についてはxz平面に対して鏡面対称の左手形に基
づくストローク角θ、偏角αおよび捻り角βを用いて羽
の姿勢を示す。
【0116】(制御フロー)羽ばたきによる浮上移動は
羽にかかる流体力によって行なわれるので、羽の運動に
より直接制御されるのは、本羽ばたき装置に与えられる
加速度と角加速度である。
【0117】まず、Sを目標とする浮上状態と現在の浮
上状態との差異、T(S)を浮上状態から加速度、角加
速度への変換を表わす関数、sを加速度、角加速度Fα
(s)を、加速度センサ51、角加速度センサ53のセ
ンサ応答を含めた制御アルゴリズムを表す関数、sαを
アクチュエータ制御量、GW(sα)をアクチュエータ
と羽の応答を表す関数、sWを羽の運動、GfS(sW)を
羽の運動により本羽ばたき装置に及ぼされる加速度もし
くは角加速度seを表す関数、Seがこの一連のプロセ
スにより行なわれる浮上状態の変更とすると、入力Sよ
り出力Seが得られるプロセスは図39に示すようなも
のとなる。
【0118】また、実際には、羽と流体の慣性力によ
り、現在までの羽の運動、流体の運動の時刻歴に依存す
る影響RWとRfSがGWとGfSに加わることになる。
【0119】(動作分割)当然、Fα以外のすべての関
数を正確に求め、これによりS=Seとなる制御アルゴ
リズムFαを算出する手法もあり得るが、本羽ばたき装
置周囲の流体の流れと羽の運動の時刻歴が必要であり、
膨大なデータ量と演算速度を必要とする。また、流体と
行動の連成した挙動は複雑で、多くの場合カオティック
な応答になってしまうため、実用的でない。
【0120】そこで、予め基本的な動作パターンを用意
しておき、目標とする浮上状態を分割してこれらの基本
動作パターンを時系列にて組合わせて実現する手法が簡
便で望ましい。
【0121】物体の運動にはx方向、y方向、z方向の
3自由度の並進自由度と、θx方向、θy方向、θz方向
の3自由度の回転自由度、つまり6自由度が存在する。
すなわち、前後、左右、上下、そしてこれらの方向を軸
とする回転である。
【0122】このうち、左右への移動は、θz方向の回
転と前後方向への移動を組合わせて行なうことができ
る。そこで、ここでは、前後方向、すなわちx軸方向へ
の並進移動、上下方向、すなわちz軸方向への並進動
作、また、x軸、y軸、z軸回りの回転動作についてそ
れぞれの実現方法を説明する。
【0123】(動作) (1) 上下方向(z軸方向)の動作 羽が移動することで、羽が流体から受ける力は羽の移動
速度に依存するので、羽に及ぼされる上向きの流体力を
大きく(小さく)するには、 A:ストローク角θの振幅を大きく(小さく)する B:羽ばたき周波数を大きく(小さく)する などの方法がある。これらによって本羽ばたき装置は上
昇(下降)することができる。ただし、流体力には負の
値も含まれる。
【0124】なお、これらの手法によれば、羽が流体か
ら受ける流体力そのものが大きくなるので、羽が流体力
を上下方向以外から受けることによって、羽の力学的支
点に羽から上下方向以外の力が及ぼされている際には、
上昇とともにその方向へこの支点にかかる力の増加も伴
う。たとえば、前方にほぼ等速直線運動を行なっている
際に、羽ばたき周波数を大きくすると、本羽ばたき装置
は速度増加を伴って上昇する。このように、現時点での
羽ばたき方によって、副次的にこういった他の運動を伴
うが、以後特に断らない限り、停空状態からの制御につ
いて説明する。
【0125】また、羽の捻り角βを変えて、羽が移動す
る空間の体積を変化させることによっても浮上力は変化
する。たとえば、打ち上げ時における羽が移動する空間
の体積がより大きく、もしくは、打ち下ろし時における
羽が移動する空間の体積がより小さくなるようなβを与
えることで、羽に作用する上向きの流体力の時間平均は
小さくなる。
【0126】実際には、羽は剛体ではなく変形を伴うた
め、同一のβによっても羽が移動する空間の体積は変化
するが、第1原理的には、羽の移動する方向に垂直なβ
が最も大きな羽が移動する空間の体積を与える。また、
羽が移動する方向に平行なβが最も小さな羽が移動する
空間の体積を与える。
【0127】なお、この場合、副次的に、羽ばたきと垂
直方向にも流体力が作用するため、これが制御上支障を
生じるレベルである場合はこれを打ち消す羽の動きを付
加する必要がある。最も単純には偏角αの変更により実
現できる。
【0128】また、前記のステップS2もしくはステッ
プS4において羽の回転角速度を変化させることによっ
てもz軸方向の動作を行なうことは可能である。たとえ
ば、ステップS2において羽の回転角速度(−dβ/d
t)を大きくすると、この回転によって生じる流体の下
方向への流速が大きくなるため、この反作用によって羽
に作用する上向きの流体力が大きくなる。
【0129】なお、この場合、本羽ばたき装置に及ぼさ
れる、羽の主軸を回転軸とするトルクが副次的に変化す
る。よって、この変化が制御上支障ない範囲に収まる範
囲内でこの回転角速度変化を行なうことが望ましい。
【0130】また、この場合、本羽ばたき装置に及ぼさ
れる、前後方向への力も副次的に変化する。よって、こ
の変化が制御上支障をきたす場合は、(2)として後述
する前後方向への力の制御も同時に行なうことが望まし
い。
【0131】(2) 前後方向(x軸方向)の動作 前述した羽ばたき方法では、主にステップS2とステッ
プS4にて、x方向の向きへの流体力が羽に作用する。
したがって、この羽の動かし方においては前進を伴い浮
上する。
【0132】また、打ち下ろしの際に偏角αを増加し羽
を前方に移動させることで、羽には後向きの流体力が作
用することになる。したがって、打ち下ろしの際の、す
なわち、ステップS1における偏角αを制御して、ステ
ップS1における羽に作用する後向きの流体力を、他の
主にステップS2とステップS4における前向きの流体
力よりも大きくすれば後退し、小さくすれば前進するこ
とができる。また、この2力がほぼ釣り合えば前後方向
に静止することができる。
【0133】特に、本羽ばたき装置が前後方向に静止し
ており、左右の羽がほぼ対称な運動を行ない、重力と本
羽ばたき装置における浮上力が釣り合っているならば、
ホバリング状態が実現できる。
【0134】なお、偏角αの変更に伴い副次的に、羽に
及ぼされる流体力の鉛直方向成分が変化するので、これ
が制御上支障を生じるレベルにある場合にはこれを打ち
消す羽の動きを付加する必要がある。これは、主に、前
述の(1)の上下方向の動作によって行なうのが簡便で
ある。
【0135】さらに、前述したステップS2とステップ
S4において羽の回転動作の角速度を大きくすると前向
きの流体力が増加し、小さくすると減少する。これによ
っても前後方向の動作を変化させることができる。
【0136】また、(1)に述べた羽の捻り角βの変更
に伴う副次的な流体力のうち、x軸方向成分を利用する
手法も可能である。つまり、打ち下ろし時にβ>0なら
前方向への、β<0なら後方向への力が働く。
【0137】なお、打ち上げ時のβ、α、θの関係はあ
る程度拘束されているが、以上の流体力の制御はステッ
プS3においても可能である。
【0138】(3) z軸を回転軸とする回転動作 (2)において述べた前後方向への制御を、左羽と右羽
について個別に行ない、これを異ならせることで本羽ば
たき装置にトルクを与えることができる。
【0139】すなわち、右羽の前向きの流体力を左羽の
それに対して高くすれば本羽ばたき装置はx軸正の向き
に向かって左方向を向き、低くすれば同じく右方向を向
く。
【0140】(4) x軸を回転軸とする回転動作 (3)と同様に、右羽の上向きの流体力を左羽のそれに
対して大きくすれば右側が持ち上がり、小さくすれば左
側が持ち上がる。これによって、x軸を回転軸とする回
転動作を行なわせることができる。
【0141】(5) y軸を回転軸とする回転動作 (2)に述べた、羽の捻り角βの角速度変更によって、
本羽ばたき装置にかかるy軸周りのトルクを変化させる
ことができる。これにより、y軸を回転軸とする回転動
作を行なうことができる。たとえば、ステップS1にお
ける捻り角βの回転角速度を大きくすると本羽ばたき装
置は機首を下げ、逆に小さくすると機首を上げる。
【0142】(6) ホバリング(停空飛翔) 羽ばたき装置を停空させる際のストローク角θおよび偏
角αならびに捻り角βの値を時間の関数として表したグ
ラフを図15に示す。ただし、図15ではそれぞれの角
度の縦軸の比率と異なっている。
【0143】本発明者らが行なった実験においては、θ
0はたとえば60°である。β0はたとえば−10°であ
る。α1はたとえば30°である。β1はたとえば−10
0°である。β2はたとえば−60°である。
【0144】各ステップにおける左羽の運動と、それに
より左羽の力学的支点A2に生じる加速度、角加速度を
図40に示す。ただし、(3)(4)のx軸、z軸を回
転軸とする回転動作については略してある。これらは、
前述のとおり、左右の羽の運動の非対称によって起こさ
れる。
【0145】(制御方法決定手法)現在の浮上状態は、
羽ばたき装置に搭載された加速度センサ51や角加速度
センサ52が取得した値を適宜変更した値を用いて求め
られる。たとえば、速度は、加速度を時間積分した値に
速度の初期値を与えることで求められる。また、位置
は、速度を時間積分した値に位置の初期値を与えること
で求められる。なお、浮上状態に、浮上状態の時刻歴を
含む手法も可能である。
【0146】制御装置4は、加速度センサ51および角
加速度センサ52から得られる現在の浮上状態と、目的
とする浮上状態から、本羽ばたき装置の動作を決定す
る。この制御は、三次元で行なわれる点以外は従来から
行なわれている制御手法を適用することができる。
【0147】本羽ばたき装置の動作は、制御装置4に
て、アクチュエータの駆動に変換される。この変換に
は、テーブル参照、もしくはその補完を用いるのが高速
である。たとえば、図41に示すように、基本となる動
作と、それを実現するアクチュエータの駆動の組合せを
予め用意しておく。なお、図41の左端列は目的とする
動作、羽ばたきにおけるAとBは、Aは前進時の羽ばた
き方、Bは停空時の羽ばたき方であり、より具体的には
それぞれ図14、図15にグラフで示されるα、β、θ
の時刻歴を時間的に離散化したものである。制御装置4
は、本羽ばたき装置の動作から、この駆動もしくはその
補完した駆動をこのテーブルより算出する。
【0148】ここでは、説明のため一旦本羽ばたき装置
の動作を算出し、これをアクチュエータの駆動に変換す
るという手法を用いたが、浮上状態から直接アクチュエ
ータの駆動を選択する手法も可能である。
【0149】たとえば、定位制御を行なう場合、現在位
置と目標位置との差によって、上述したアクチュエータ
の駆動のいずれか、もしくはそれを補完した駆動を直接
算出する手法も可能である。
【0150】また、当然、羽ばたき装置の浮上状態を表
す物理量はここに示した位置、速度、加速度などに限ら
ない。
【0151】また、当然、アクチュエータの駆動を決定
する手法はこの態様に限らない。 (浮上可能重量)次に、本実施の形態におけるロボット
90の構成で浮上が可能な条件を、図16を用いて示
す。
【0152】本発明者らの実験環境では、アクチュエー
タとして進行波アクチュエータを用いた。この進行波ア
クチュエータによれば、ステータ210が超音波モータ
23と同等であるので、θ方向の羽ばたきに関してはト
ルク1.0gf・cmである。
【0153】そこで、本発明者らはシミュレーションに
よりこのトルクで羽ばたいた際の流体力を算出した。羽
根は、アクチュエータ21,22から離れる方向が長辺
で、長辺4cm、短辺1cmの矩形で、羽根の変形を無
視する。また、幅8mm、長さ33mmのトンボの羽根
が約2mgであったので、これに倣い、羽根の質量は3
mgとした。
【0154】さらに、超音波モータは、突起先端の微小
な楕円運動の累積によってロータを駆動するため、実際
の駆動トルクの立上がり、立下がりは楕円運動の周期オ
ーダ、すなわち105ヘルツオーダであるが、計算の安
定性から制約上、±250gf・cm/secであると
した。すなわち、トルクは0.004秒に1gf・cm
上昇する。
【0155】この羽根を、一方の短辺を、この辺を回転
軸とする回転自由度のみ残して固定し、この回転自由度
にトルクを与え、この回転軸にかかる反力を算出した結
果が図16である。ただし、前に定義するところの偏角
α=0°、捻り角β=0°である。
【0156】時刻0秒において羽根は水平すなわちスト
ローク角θ=0°である。ここから時刻0.004秒ま
での間にトルク1gf・cmまで直線的に行動させ、
0.004秒から0.01秒まで1gf・cmを保つ。
そして、時刻0.01秒から0.018秒までの間にト
ルクを1gf・cmから−1gf・cmまで直線的に変
化させ、同0.018秒から0.03秒まで−1gf・
cmを保ち、同じく0.03秒から0.038秒までの
間に再び1gf・cmへと直線的に変化させる。
【0157】これにより得られた接点反力を、打下ろし
の間、すなわちトルクが負である時間である時刻0.0
14秒から時刻0.034秒までの間で平均すると約
0.29fであった。
【0158】以上のシミュレーションは1自由度の羽ば
たきの結果であるため、打上げ時における流体力の作用
は不明である。しかし、断面積に比して流体の抵抗は減
少するので打上げ時に働く下向きの始点反力は小さいこ
と、かつ、打下ろし時と同じトルクで打上げることが可
能なため、打上げに要する時間は打下ろしに要する時間
よりもはるかに短い。すなわち、打上げの際の力が作用
する時間が短いこと、また、打下ろし以外にも羽根の回
転などを用いて浮上力がさらに得られることから、トル
ク1gf・cmのアクチュエータを用いて0.29g程
度の質量を浮上させることが可能であるといえる。すな
わち、本実施の形態における装置全体の質量が0.58
g以下であれば浮上が可能である。以下、装置全体の重
量について検討する。
【0159】まず、ステータ210の質量は、電極単線
素子が薄いため、比重2.7、厚さ0.4mm、半径4
mmの円板と同等であるので、0.054gである。ま
た、補助ステータの重量は、ステータの直径が0.7倍
であることから0.019gである。
【0160】3つのベアリングはいずれも外径4.2m
m、内径3.8mm、厚さ0.4mmのドーナツ状のボ
ールベアリングである。材質は比重4.8のチタンで、
約30%の空隙があるため、ベアリング質量は約0.0
13gである。また、ロータ219は、材質がアルミで
壁中央半径3mm、厚さが0.2mmであるため、約
0.061gである。これらの総和から、アクチュエー
タ21の質量は0.192gである。また、羽根31は
前述のとおり0.003gである。
【0161】以上の構成が左右系2つあるので0.39
0gである。また、発明者らが採用した図1に示す支持
構造1は、直径1cm、比重0.9、厚さ0.1mmの
球体であるので質量は約0.028gである。
【0162】また、発明者らが採用した制御装置4、通
信装置7、加速度センサ51、角加速度センサ52はそ
れぞれ、5mm×5mmの半導体ベアチップで、各約
0.01gである。マイク53、発光ダイオード8につ
いては、マイクロマシニングを用いて、0.5mm角以
下のサイズで作用可能であるので、サイズのみで比例計
算して約0.001gと非常に小さいのでこの質量は無
視する。すなわち、これらの質量の総和は0.04gで
ある。また、本発明者らが採用した電源6の重量は0.
13gである。
【0163】以上すべての構成要素の重量の合計は0.
579gとなる。1対の羽根で浮上力0.58gfを得
ているので、この構成で浮上することが可能である。
【0164】(通信装置)次に、通信装置7について説
明する。
【0165】通信装置7は、送信機能を備え、加速度セ
ンサ51、角加速度センサ52の測定値と、マイク53
の採取した音声情報を送信する。これにより、ベースス
テーション91が、ロボット90の加速度情報、角加速
度情報、そして音声情報を得ることができる。また、通
信装置7は、受信機能を備え、ベースステーション91
からの指示信号を受信する。これにより、ベースステー
ション91が、ロボット90に対して制御を行なうこと
ができる。
【0166】より具体的には、ロボット90に与えられ
るべき加速度と角加速度を指示する信号と発光ダイオー
ド8のON/OFFを指定する信号である。なお、本実
施の形態においては、ここに例示した情報を送受信する
ものとして以後の説明を行なう。
【0167】もちろん、送受信すべき情報はここに示し
た限りではない。たとえば、ベースステーション91で
発せられた制御信号を、ロボット90が正しく受信した
か否かを確認する応答信号なども可能である。通信の手
法については、ベースステーション91と通信が可能な
手法であればよい。これについては、ベースステーショ
ン91の通信装置の項にて説明する。
【0168】また、本実施の形態においては、より効率
的に上記情報を送受信するため、ロボット90の加速度
情報、角加速度情報、そしてマイク53にて採取した音
声情報を復号デジタルデータとして送受信するものとす
る。
【0169】(制御装置)次に、制御装置4について、
図2および図15を用いて説明する。
【0170】図2に示すとおり、制御装置4は演算装置
41とメモリ42とからなる。演算装置41は、通信装
置7を得て、ロボット90における各種センサによって
得られた情報を送信する機能を有する。また、演算装置
41は、通信装置7を経て得られた制御信号に基づき、
各構成要素の動作を制御する機能を有する。また、メモ
リ42はこれらの送受信されたデータを保持する機能を
有する。
【0171】本実施の形態においては、より具体的に、
演算装置41は加速度センサ51および角加速度センサ
52からの情報によりロボット90の加速度および角加
速度を算出し、通信装置7を経由してベースステーショ
ン91にこの情報を送信する。
【0172】また、ベースステーション91からは、現
在ロボット90に与えられるべき加速度と角加速度が指
示信号として送信される。これを通信装置7を経て受信
し、演算装置41はこの受信された加速度と角加速度よ
り各アクチュエータの動作パラメータを決定する機能を
有する。
【0173】さらに、より具体的には、演算装置41
は、ロボット90に与えられるべき代表的な加速度と角
加速度との組合せに対応したα、β、θの時系列値をテ
ーブルとして有しており、これらの値、もしくは、その
補間値を各アクチュエータ21,22の動作パラメータ
とする。なお、α、β、θの時系列値とは、たとえば、
加速度および角加速度ともに0であるホバリングの場合
は、図15にグラフで示される値を離散化したものであ
る。これらの値によって各アクチュエータは駆動され
る。
【0174】なお、ここに挙げるα、β、θは制御パラ
メータの一例であり、説明の簡便のため、これらのパラ
メータを指定することでアクチュエータ21,22が駆
動されることを前提に記述したが、たとえば、より直接
的にこれらを実現する各アクチュエータ21,22の駆
動電圧や制御電圧に変換したものを用いる方が効率的で
ある。しかしながら、これは既存のアクチュエータ制御
方式と特に異なるものではならないので、代表的なパラ
メータとして、α、β、θを挙げるにすぎず、実施の形
態としては、これに限るものではない。
【0175】また、別なる機能の具体例として、演算装
置41は、マイク53から送られてくる音声情報を、通
信装置7を介してベースステーション91に送信する機
能を有する。これにより、ベースステーション91がロ
ボット90に搭載されたマイク53における音声情報を
取得することが可能になる。
【0176】また、演算装置41は、ベースステーショ
ン91から送信された、発光ダイオード8の発光制御信
号を、通信装置7を介して得ることができるとともに、
この発光制御信号に従い発光ダイオード8のON/OF
Fを制御する機能を有する。これにより、ベースステー
ション91が発光ダイオード8を制御することが可能に
なる。
【0177】メモリ42については、本願の記述におい
てその蓄積情報形態を制限するものではなく、様々な利
用が可能である。たとえば、飛行制御は時間的に連携す
るものであるので、羽の動作の時刻歴を、制御装置4に
おけるメモリ42に蓄積しておき、ベースステーション
91からの制御信号をこの時刻歴情報によって補正する
手法も可能である。
【0178】また、ロボット90の浮上移動を優先する
場合、通信の帯域化が送信不可能なデータが発生するこ
とも考えられる。また、通信が途絶する場合も考えられ
る。これらをはじめとして、重量の増加が浮上移動にも
障害をもたらさない範囲内であれば、メモリ42を搭載
することは有効である。また、逆に、演算装置41にお
けるレジスタの類を除き、ロボット90の機能によって
はメモリ42は必須ではない。
【0179】(駆動エネルギ源)次に、駆動エネルギ
源、すなわち電源6について説明する。
【0180】電源6はリチウムイオンポリマーを電解質
としているので支持構造1により封入しておけばよい。
これにより液漏れを防ぐための余分な構造が不要であ
り、実質的なエネルギ密度を高めることができる。
【0181】なお、現在市販されているリチウムイオン
2次電池の一般的な質量エネルギ密度は150Wh/k
gであり、本実施の形態においてアクチュエータにおけ
る消費電流は最大40mAであるので、電源6の電解質
重量を約0.1gとすると、本実施の形態においては約
7.5分の飛行が可能である。
【0182】また、本実施の形態におけるアクチュエー
タの最大消費電流は左右合計40mAである。また、電
源電圧は3Vである。電解質重量が0.1gであるの
で、0.12W/0.1g、つまり、1200W/kg
の重量パワー密度を持つ電源6の実現が求められる。市
販品で実現されているリチウムイオンポリマー2次電池
の重量パワー密度は約600W/kgであるが、これら
は携帯電話などの情報機器に用いられている10g以上
の製品での値である。一般に、電解質質量に対する電極
面積の比はサイズに反比例するので、本実施の形態にお
ける電源6は、前述の情報機器などに用いられる2次電
池の10倍以上の電極面積比を持つので、10倍程度の
質量パワー密度が達成可能であり、冒頭の質量パワー密
度は十分達成可能である。
【0183】アクチュエータ21,22の駆動エネルギ
を外部から供給する方法も可能である。たとえば、電力
エネルギを外部から供給する媒体については、温度差、
電磁波などが挙げられ、これを駆動エネルギに変換する
機構としてはそれぞれ熱伝素子、コイルなどが挙げられ
る。
【0184】なお、異なる種類のエネルギ源を混載する
手法も可能である。電力以外のエネルギ源を用いる場
合、基本的には制御が制御装置4からの電気的信号を用
いることになると考えられる。また、燃料電池などの発
電装置を搭載する手法も可能である。
【0185】(センサ)次に、センサについて説明す
る。
【0186】加速度センサ51は支持構造1の3自由度
並進加速度を、角加速度センサ52は支持構造1の3自
由度回転角加速度を、マイク53は音声情報を、それぞ
れ収集する。これらの検出結果は、制御装置4に送られ
る。
【0187】本発明者らが用いた加速度センサは帯域4
0Hzである。なお、加速度センサ51や角加速度セン
サ52は帯域が高ければ高いほど時間的に緻密な制御が
可能であるが、ロボット90の浮上状態の変更は1回以
上の羽ばたきの結果起きるものであると考えられるの
で、現在市販されている帯域が数十Hz程度のセンサで
も実用可能である。
【0188】本実施の形態では加速度センサと角加速度
センサによりロボット90の位置および姿勢を検出する
ものとしたが、ロボット90の位置と姿勢が計測可能な
手段であるならば上記センサに限らない。たとえば、互
いに直交する3軸方向の加速度を測定可能な加速センサ
を複数(少なくとも2つ)、それぞれ支持構造1の異な
る位置に配置させて、それらの加速度センサから得られ
る複数の加速度情報に基づいてロボット90の姿勢を算
出することも可能である。
【0189】また、講演会場92内に位置情報を明示的
に組込んでおき、これをロボット90が検出して位置お
よび姿勢を算出する手法も可能である。たとえば、講演
会場92内に磁場分布を設けておき、磁気センサにより
この磁場分布を検知することで、ロボット90の位置と
姿勢を算出する手法も可能である。また、GPS(Glob
al Positioning System)センサなどを用いる手法も
考えられる。なお、後述するベースステーション91が
ロボット90の位置と姿勢を直接検出する機能を有する
ならこれらは必須ではない。
【0190】また、加速度センサ51、角加速度センサ
52をはじめとするセンサ類は、制御装置4とは別部品
として表現したが、軽量化の観点からマイクロマシニン
グ技術によって制御装置4と一体で同一のシリコン基板
上に形成してもよい。なお、本実施の形態におけるセン
サは一例であり、センサの種類、個数、構成については
ここに限定する限りではない。
【0191】たとえば、ロボット90における羽根の駆
動には、フィードバックのない制御を用いているが、羽
根の付け根に羽根の角度センサを設け、ここから得られ
た角度情報によりフィードバックを行ない、より正確に
羽根を駆動する手法も可能である。
【0192】また、逆に、浮上する領域における気流が
既知であり、予め定められた羽ばたき方のみによって目
的位置に定位することが可能ならば、ロボット90の浮
上状態を検出することは不要となるので加速度センサ5
1や角加速度センサ52は必須ではない。
【0193】(マイク、音声情報処理)マイク53は、
浮上特性を損なわないために小型軽量であることが望ま
しい。この点以外は何ら一般的なマイクに比べて特別な
機能を必要とするものではない。一例として特にこの観
点から、マイクロマシニングを用いたシリコンウェハ上
に形成したコンデンサマイクが望ましい。
【0194】なお、本実施の形態では、マイク53は常
に動作しているものとし、マイクによって得られた音声
情報が音声信号として出力されるか否かをベースステー
ション91によって制御することで実質上マイクの動作
をON/OFF制御しているが、マイク53の動作のO
N/OFFについてはこの形式に限らない。
【0195】また、移動中にマイク53がスピーカの音
声出力装置に対向すると、ハウリングが生じ聴衆に不快
感を与えるので、これを防止するため、浮上の位置姿勢
すなわち浮上状態に応じてマイクのON/OFFもしく
はゲインを切換える手法も可能である。
【0196】また、一般的な講演会においては、質問者
93の音声情報が即時に講演会場92における聴衆が取
得できることが望ましいので、無線による音声通信機能
を用いて、これを講演会場92のスピーカシステムなど
に送信し、講演会場92に出力することが望ましい。本
実施の形態においては、音声情報は、通信装置7を介し
てベースステーション91に送信され、ベースステーシ
ョン91より出力される。
【0197】なお、ロボット90がスピーカシステムの
ような音声情報提示手段を有し、収集した音声情報をロ
ボット90により講演会場92に発する手法も可能であ
る。
【0198】質問者93の音声情報が即時に提示される
ことが必要でない場合は、ロボット90にこれを蓄積
し、これ以後この音声情報を取出す手法も可能である。
たとえば、コンピュータなどの他の情報処理装置と接続
可能なストレージメモリをロボット90に配し、マイク
53により取得された音声情報をこれに蓄積しておき、
ロボット90の帰還後にロボット90のストレージメモ
リよりこの音声情報を取出す手法も考えられる。ストレ
ージメモリからの諸情報の取り出しについては従来の手
法が適用可能である。たとえば、有線もしくは無線によ
る通信が挙げられる。当然、ストレージメモリをカート
リッジとしてロボット90より着脱可能である構成にし
ておけば、他の情報処理機器との互換性において有用で
ある。
【0199】また、音声情報以外の質問者93の情報を
ロボット90が収集する場合の上述の手法が適用でき
る。たとえば、カメラを用いて質問者93の画像情報を
得る場合も、画像情報通信機能もしくは画像情報表示機
能もしくは画像情報蓄積機能によって質問者93の画像
情報が出力可能である。なお、これら伝送蓄積提示(表
示)機能については従来手法が適用可能である。
【0200】(発光ダイオード)発光ダイオード8は、
ロボット90が収音可能であれば点灯し、収音不能であ
れば消灯することで、質問者93に発話の可能か不可能
かを示すことができる。
【0201】なお、ここでは発話の可能か不可能かを点
灯/消灯の2状態で表わしたが、質問者93がこの状態
を認識可能であればこの態様には限らない。なお、発話
の可能不可能以外の状態を示すことも可能である。たと
えば、発光ダイオード8を点滅させ、その点滅周期を変
化させることによって、質問者93の質問残り時間を表
わす手法も可能である。なお、発話の可能不可能などの
情報提示が不要であるならば発光ダイオード8は必須で
はない。また、本実施の形態においては、情報提示手段
として、最も消費電力が小さく、かつ、音声情報収集の
妨げにならない光情報を用いての情報提示を行なうこと
ができ、小型軽量化にも向いている発光ダイオードを用
いたが、これに限るものではない。
【0202】(ベースステーションの説明) (主要な構成と主要な機能)まず、図17を用いてベー
スステーション91の主要な構成と機能とを説明する。
ただし、ベースステーションの主要な目的はロボット9
0からの情報取得とこれに基づくロボット90の制御で
あるので、図17はこれらを具体化した一例にすぎず、
外観、軽量、または付帯的な構成要素の有無について
は、上述の目的を阻害しない限りこれに限定するもので
はない。
【0203】図17に示すように、ベースステーション
91は、演算装置911とメモリ912、充電器91
3、充電孔914、電磁石915、通信装置917、マ
ウス918および指示入力パネル919を備えている。
通信装置917は、ロボット90より送信されてきた信
号を受信する機能を有する。またロボット90に動作指
示信号を送信する機能を有する。
【0204】より具体的には、講演者94はマウス91
8と指示入力パネル919を用いてロボット90のとる
べき行動もしくは移動するべき位置を演算装置911に
指示する。この指示により、演算装置911はロボット
90に与えるべき指示信号を、必要に応じてメモリ91
2に格納されたデータベースを用いて算出し、通信装置
917を用いてロボット90に送信する。ベースステー
ション91は、その上面をロボット90の離発着台とし
て用いている。すなわち、ベースステーション91上面
には充電器913が備わっており、充電孔914にロボ
ット90における電極61が結合することで電気的に電
源6に接続された、充電が可能な状態になる。本実施の
形態においては、節電のため、充電器913は演算装置
911により制御され、ロボット90がベースステーシ
ョン91に結合している際にのみ動作し、充電を行な
う。
【0205】また、この充電孔914は位置決め孔の役
割も兼ねている。さらに、ベースステーション91に
は、電磁石915が備えられており、必要に応じてロボ
ット90を吸着している。すなわち、離陸前のロボット
90におけるベースステーション91に対する相対位置
は、電磁石915を動作させることにより固定されてお
り、また相対速度は0である。
【0206】(指示入力パネル)続いて、指示入力パネ
ルについて図17をもとに説明する。
【0207】指示入力パネル919には、行動指示ボタ
ンと位置指示エリアが配されている。行動指示ボタン
は、たとえば、前進ボタン、後退ボタン、右旋回ボタ
ン、左旋回ボタン、上昇ボタン、下降ボタン、停止ボタ
ン、停止ボタンとからなり、これらボタンを押すと、そ
れに対応した行動指示信号が演算装置911に送られ
る。
【0208】位置指示エリアは、モニタ画面であり、会
場内のマップが表示されている。また、ロボット90の
位置が示されている。これらの情報は演算装置911に
与えられる。特に、ロボット90が小型である場合、講
演者94の位置からではその浮上状態を確認困難になり
得るので、指示入力パネル919にロボットの浮上状態
が表示されることは有効である。講演者94がマップ上
の所望の位置をマウス918にてクリックすると、その
座標が位置指示信号として演算装置911に送られる。
【0209】指示入力パネル919は、これらの機能に
より、講演者94のロボット90に対して指示する行動
または位置を演算装置911に送る機能を有する。な
お、本実施の形態に示した指示入力パネル919は、講
演者94が所望するロボット90の定位すべき位置をベ
ースステーション91からロボット90に指示する機能
を有している。なお、この例は、講演者94が所望する
ロボット90の動作をベースステーション91から指示
する機能を実現した一例にすぎず、これらの機能が実現
されるなら指示入力パネル919の態様はこれに限定さ
れない。たとえば、指示入力パネル919にタッチパネ
ルを用いるならマウス918は必須ではない。
【0210】(演算装置、メモリ)続いて演算装置91
1について説明する。
【0211】まず、演算装置911はロボット90の位
置や姿勢などを算出する機能を有する。すなわち、ロボ
ット90における加速度センサ51、角加速度センサ5
2の情報を時間積分することにより、ロボット90の速
度、角速度を、これをそれぞれさらに時間積分すること
によりロボット90の位置と姿勢とをそれぞれ算出する
ことができる。積分定数、すなわち、ロボット90の位
置と姿勢および速度と角速度の初期値としては、ロボッ
トが待機状態での値、すなわち速度および角速度ともに
0で、位置と姿勢はベースステーションに固定されてい
る状態での値を用いればよい。なお、誤差を避けるため
にこれらの演算はなるべく高いサンプリング周波数で行
なわれることが望ましい。
【0212】また、演算装置911はロボット90の動
作を指示する機能を有する。指示入力パネル919より
行動指示信号を受取った場合、演算装置911は、これ
をロボットへの指示信号、すなわち、ロボット90に与
えるべき加速度および角加速度の情報に変換し、通信装
置917を用いてロボット90に送信する機能を有す
る。
【0213】また、指示入力パネル919より、位置指
示信号を受取った場合、演算装置911はこれと現在の
ロボット90の状態ないし必要に応じてメモリ912に
格納されたデータより、ロボット90に与えられるべき
加速度および角加速度を算出し、その加速度および角加
速度の値を指示する指示信号にして通信装置917を用
いてロボット90に送信する機能を有する。
【0214】より具体的には、たとえば講演会場92に
柱、プロジェクタなどの障害物がある場合、これらの位
置をマップデータとしてメモリ912に格納しておく。
演算装置911はこれを避けるための経路を策定し、先
に算出されたロボット90の位置と姿勢から次にロボッ
ト90に与えられるべき加速度と角加速度を算出し、指
示信号としてロボット90に送信する。これにより、講
演会場92内の障害物を回避しながら、講演者94所望
の質問者93に定位する機能が実現される。
【0215】また、一般的に広い講演会場の場合は、見
通しをよくするために講演者から離れるに従い、講演会
場の床がせり上がっている場合が多い。こういった場
合、単にロボットがほぼ水平に飛行したのでは床面に対
する相対的な高度が低下し、場合によっては床面や聴衆
に衝突してしまう可能性もあるので、マップデータとし
て床面の高さをメモリ912に格納しておき、このデー
タを飛行高度決定などに用いることが望ましい。
【0216】また、演算装置911は、通信装置917
の受信機能を用いて、ロボット90におけるマイク53
の収集した音声情報を得る機能を有する。また、演算装
置911は、この音声情報を出力する機能を有し、この
出力された音声情報を用いることで、ロボット90をマ
イクとして用いることができる。たとえば、この端子を
アンプを経由するなどして、会場のスピーカと接続すれ
ばよい。
【0217】より具体的には、本実施の形態において
は、音声情報がロボット90の加速度情報と角加速度情
報との複合デジタルデータとなっているので、演算装置
911によりこれをデコードし音声信号に変換する。
【0218】(通信装置)ベースステーション91とロ
ボット90との通信は通信装置917を介して行なわれ
る。通信手法については、所望の情報伝達が可能である
ならばその媒体、プロトコルなどについて特に制約を課
すものではない。たとえば、電磁波などが利用できる。
【0219】特に、飛行の安定性と、質問者93の音声
の継続的な伝達という目的から、音声情報とロボット制
御情報とを継続的に通信できるように、これらの情報を
デジタルデータに変換し、複合デジタルデータとして送
受信する手法が望ましい。本実施の形態においてはこの
手法を用いる。
【0220】なお、通信機能を複合搭載し、干渉しない
複数の通信路を用いて音声情報とロボット90の制御情
報とを同時に別個に通信する手法も可能である。
【0221】また、有線通信を行なう手法も可能であ
る。たとえば、充電孔914と電極61と同様な組合せ
の別の通信設定を設けておき、ベースステーション91
にロボット90が接続されている際はこの接点を介して
有線で通信を行なうようにすれば、電波などを用いるこ
となく通信が可能であり、消費電力の低減が図れる。ま
た、無線通信よりも容易に高速通信が可能である。
【0222】また、充電孔914と電極61とを用いて
簡単な動作制御を行なうこともできる。たとえば、ベー
スステーション91が充電動作を停止することで、ロボ
ット90における通信装置7が動作を開始するようにし
ておけば、消費電力の大きい無線通信を削減することが
できる。
【0223】(離着陸補助)羽ばたきの開始もしくは終
了時、すなわちロボット90の離着陸の際は、羽ばたき
によって起こる気流が急激に増加もしくは減少し不安定
であるため、ロボット90の位置もしくは姿勢を制御す
ることは難しい。本実施の形態では、離陸の前の段階に
おいて、ベースステーション91に備えられた電磁石9
15がロボット90を吸着している。離陸の際は羽ばた
きにより気流が安定するまで電磁石915を作動させ、
気流が安定した点で電磁石915による吸着を停止する
などの手法で安定した離陸が可能である。
【0224】着陸においては、おおまかに電極61が充
電孔914の上部に位置するようロボット90を移動さ
せ、この状態で電磁石915を作動させ、ロボット90
をベースステーション91に吸着する。しかる後に羽ば
たきを停止させれば、気流が不安定になる状態でも着陸
時の位置と姿勢とを安定させることができる。なお、定
位を容易にするため、電極61もしくは充電孔914の
少なくとも一方がテーパ形状を有していることが望まし
い。なお、重量が許すならロボット90が電磁石915
を有する構成も可能である。また、この構成により、ロ
ボット90がベースステーション91に限らず、強磁性
または軟磁性材料で構成される物質すべてに対して自ら
ほぼ拘束することが可能になる。
【0225】また、安定浮上を望んでより加速度の小さ
い離陸を行なうために、電磁石915に力覚センサを配
し、この力覚センサにかかる力によって電磁石915の
吸引力を制御する手法も可能である。
【0226】また、ここに示した離着陸時の気流不安定
性に伴うロボット90の不安定浮上を防ぐ手法の一例に
すぎず、離着陸時にロボット90を一時的に保持する機
構であれば他の手段でもよい。たとえば、電磁石915
の代わりに空気を用いて吸引する手法も可能である。ま
た、レールなどのガイド機構に沿って離着陸を行なうな
どの手法も可能である。
【0227】(移動経路策定)ロボット90の移動経路
策定は、従来から車輪で移動するロボットなどにて多く
用いられている手法を応用することができる。最も単純
には、浮上の際は床面から所定の基準高さ以上(聴衆の
身長以上の高度(たとえば2m程度))まで上昇し、そ
の後ほぼ一定高度で講演会場92内を飛行し、質問者9
3の音声情報取得可能位置のほぼ直上まで移動した後、
質問者93の音声情報取得可能位置まで鉛直降下すると
いう手法が考えられる。これら上昇をほぼ一定高度での
飛行下降といずれも平面内での移動であるので、従来か
ら行なわれている床面を移動するロボットの経路策定手
法によってそれぞれの経路を算出することができる。
【0228】(システムの動作手順)以下、図18のフ
ローチャートを用いてシステムの動作について説明す
る。
【0229】(待機状態)ロボット90の動作開始前は
ロボット90はベースステーション91における充電孔
914に電極61が接続され固定されている。また、必
要に応じて電源6に対して充電が行なわれている。
【0230】システム以後は、ベースステーション91
における演算装置911、メモリ912、通信装置91
7、また、ロボット90における制御装置4、および、
通信装置は既に動作しているものとする。また、通信装
置7と通信装置917との間には既にコネクションが成
立しているものとする。
【0231】(浮上、定位)講演会場92に質問者93
が発声すると、講演者94は指示入力パネル919にそ
の位置を入力する。これによりベースステーション91
における演算装置911に質問者93の位置が与えられ
る。
【0232】ベースステーション91における演算装置
911は必要に応じてメモリ912の情報を参照し、ロ
ボット90が、質問者93の音声情報収集可能位置に定
位する経路とそこからベースステーション91への帰路
を算出する。
【0233】続いて、ベースステーション91における
電磁石915が動作し、ロボット90がベースステーシ
ョン91に吸着される。この状態でロボット90はほぼ
垂直方向への上昇のための羽ばたき動作を開始する。
【0234】遅くとも電磁石915が吸着を解除するま
でには、ロボット90における加速度センサ51および
角加速度センサ52は動作を開始していて、演算装置9
11がロボット90の浮上状態を検出できる状態に達し
ている必要がある。
【0235】また、本実施の形態においては、マイク5
3は定常的に動作状態にあるが、ベースステーション9
1における、このマイク53の音声情報の音声信号にデ
コードする処理が行なわれていない限り音声信号がベー
スステーション91より出力されないものとする。
【0236】羽ばたきによる気流が安定した時点で電磁
石915はロボット90の吸着を弱めていく。電磁石9
15の吸着力とロボット90の浮力がバランスする点よ
りさらに電磁石915の吸着力を弱めた時点でロボット
90が浮上を開始する。
【0237】また、少なくともロボット90が浮上を開
始するまでに、ベースステーション91における演算装
置911は、ロボット90の位置と姿勢を求める演算を
開始している必要がある。
【0238】ロボット90は、ベースステーション91
に加速度情報および角加速度情報を送信しつつ上昇す
る。ベースステーション91はこの情報と目的とする経
路より算出されるロボット90の位置と姿勢により、ロ
ボット90に現在与えられるべき加速度と角加速度とを
算出し、ロボット90に指示する。
【0239】ロボット90は、講演会場92内の聴衆と
の衝突を避けるため、一般的な聴衆の身長以上の高さ、
たとえば聴衆が起立している状態で概ね2mもしくは聴
衆が着席している状態で概ね1.5m程度の高さを飛行
することが望ましい。そのため、まずはこれらの高度に
までロボット90を浮上させ、その後、質問者93の音
声情報取得可能位置ほぼ直上への定位を行ない、その
後、質問者93の音声情報取得可能位置まで下降するな
どの手法が望ましい。
【0240】(位置補正)特に講演会場92が広い場合
には、講演者94が質問者93の正確な位置を把握しか
ねる場合が考えられる。また、質問者93の身長、姿
勢、起立位置その他によって質問者93の音声情報収集
可能なロボット90の位置や姿勢は変化するため、ロボ
ット90の位置や姿勢を補正する手法が用意されている
ことが望ましい。
【0241】前者の場合については、講演者94が現在
ロボット90の位置と質問者93の位置から指示入力パ
ネル919の位置入力エリア上の質問者93の位置を再
指定することによって補正可能である。すなわち、ある
定位状態に向けた飛行行動中であっても上述の位置を再
指定が指示されれば、ベースステーション91が新たに
指示された位置に対する定位行動と、その定位位置から
の帰還行動を改めて算出しこれを行なう。後者の場合
は、講演者94が指示入力パネル919における行動指
示ボタンを用いて直接にロボット90の位置、姿勢を制
御する手法が望ましい。
【0242】また、たとえば右に5cm移動といったよ
く使う補正行動を単独のボタンとして用意しておくと利
便性を高めることである。また、位置補正を講演者94
が行なうのではなく、ベースステーション91などが音
声情報に基づいて行なう手法も可能である。
【0243】たとえば、質問者93の起立の姿勢や位置
が変化した場合、質問者93の音声情報収集位置が変化
することが考えられる。質問者93の音声情報などを基
準にロボット90の位置や姿勢を調整する手法を用いる
ことでこれに対応することができる。
【0244】たとえば、質問者93の音声の強度が大き
すぎる場合、ロボット90が質問者93より離れる方向
に移動するなどの手法もある。
【0245】また、ロボット90に複数のマイク53を
配し、これらの音声強度が大きい方向にロボット90の
姿勢を変化させることで、最も音声強度の大きい姿勢に
ロボット90の姿勢を調整することができる。また、浮
上状態の変更に伴う音声情報の変化によってもこの調整
を行なうことができる。
【0246】たとえば、ロボット90の位置もしくは姿
勢に揺動を加え、この際に発生する、マイク53により
得られる音声強度の変化により姿勢を特定し、この位置
若しくは姿勢にロボット90を遷移させる手法も可能で
ある。なお、この揺動量や、上述の浮上状態の遷移は、
聴衆が質問者の声を聞くのに障害にならない程度である
ことが望ましい。
【0247】(音声情報収集)質問者93の音声情報収
集可能位置にロボット90が定位すると、ベースステー
ション91はロボット90にホバリングを指示する。ま
た、ベースステーション91はロボット90におけるマ
イク53を動作させて音声情報収集を開始し、また、発
光ダイオード8の点灯を指示する。これにより、質問者
93が発話可能であることを認識することができる。
【0248】質問者93の音声情報がベースステーショ
ン91に送信され、ベースステーション91はこれを音
声信号に変換し、アンプなどを経由して講演会場92の
スピーカなどにて講演会場92に発する。
【0249】(帰還、着陸)質問者93の質問が終了し
たと講演者94が判断すれば、講演者94は指示入力パ
ネル919を用いてロボット90の帰還を指示する。こ
の帰還経路は演算装置911によって必要に応じてメモ
リ912の情報を参照して既に算出されている。
【0250】帰還の際、ロボット90における発光ダイ
オード8の消灯と、マイク53の動作停止がベースステ
ーション91よりロボット90に指示される。この発光
ダイオード8の消灯により、質問者93には質問が不可
である状態になったことが通知される。
【0251】本実施の形態においては、ロボット90に
おける電極61が、ベースステーション91における充
電孔914に挿入される形になっているので、着陸動作
は、ロボット90における電極61が、ベースステーシ
ョン91における充電孔914のほぼ鉛直上方に位置す
るように位置および姿勢を保ちながらロボット90が下
降するように、ベースステーション91がロボット90
を制御することで行なわれる。
【0252】なお、着陸に適した態勢が本実施の形態と
異なる場合、着陸の動作もそれに応じたものを採用すべ
きであり、ここに示したものに限らない。電磁石915
がロボット90を吸着可能な位置までロボット90が下
降したと判断した時点で、電磁石915を作動させ、ロ
ボット90をベースステーション91に固定することで
着陸が完成する。
【0253】ベースステーション91にロボット90が
固定されて以後、ロボット90における加速度センサ5
1および角加速度センサ52は動作を停止してもよい。
ベースステーション91にロボット90が固定されて以
後、ベースステーション91はロボット90に羽ばたき
の停止を指示してもよい。より現実的には、アクチュエ
ータ21,22の寿命がある場合、浮上に関係のない羽
根の動作は少ない方がよりロボットを長期使用できるた
め待機時に羽根を停止させることは有利である。
【0254】(継続行動)質問者93の質問が終了後、
続いて他の質問者が質問を行なう場合は、ベースステー
ション91が、現在のロボット90の位置から新たな質
問者へ定位し、ベースステーション91へ帰る経路を算
出し、以前に設定された動作を放棄して新たに算出され
た経路によりロボット90を制御することで、ベースス
テーション91に一旦帰還することなく、効率よく他の
質問者への移動が行なえる。この機能はロボット90の
位置指示修正と全く同様に行なえる。
【0255】(フローチャート)本実施の形態における
各種情報の流れを図18に示す。また、上記動作のフロ
ーチャートを図19に示す。なお、これらは一例であ
り、本実施の形態におけるアプリケーションを満足する
ロボット90の動作はこの限りではない。
【0256】(通信)本実施の形態における通信手法に
ついて図20〜図22を用いて説明する。
【0257】なお、ここでは通信されるデータに対する
解説を行なう。たとえば、ハンドシェイクタイミングと
いった通信手法の細部につついてはさまざまな手法があ
るが、ここで説明するデータのやり取りが行なわれるも
のであれば実質上問題はないので省略する。
【0258】(待機状態)講演者94による質問者93
の位置指示入力またこれに伴うベースステーション91
におけるロボット90の機能を含めた経路算出は既に完
了しているものとする。
【0259】(浮上)まず浮上時の通信動作について図
20を用いて説明する。
【0260】まず、ベースステーション91とロボット
90の演算装置911、制御装置4、通信装置7を動作
させ、コネクションを確立する。そして、ベースステー
ション91における電磁石915を動作させ、ロボット
90を吸着し、離陸時の不安定な気流によるロボット9
0の転倒を防止する。
【0261】ロボット90における加速度センサ51お
よび角加速度センサ52は、ロボット90の位置と姿勢
を正しく把握するために、ベースステーションなどへの
拘束により、位置と姿勢および速度と角速度が既知であ
る時点、すなわち、ロボット90が浮上する以前に動作
している必要があるので、羽ばたき開始以前にセンシン
グを開始しておく。
【0262】ベースステーション91は、ロボット90
に浮上用の羽ばたきを指示する。本実施の形態では、鉛
直上向きに浮上するような羽ばたきを行なうようにロボ
ット90に加速度および角加速度の指示を行なう。
【0263】ロボット90においては、予め用意された
制御テーブルから鉛直上向きに上昇するためのα、β、
θの時系列パターンを選び、これに従った羽ばたきを開
始するため、左右アクチュエータ21,22を駆動す
る。
【0264】ベースステーション90は、タイマで一定
時間経過を検出するなどの手法で、ロボットの羽ばたき
による気流が安定するまで待機し、その後電磁石915
の吸着力を低下させていく。その間、ロボット90は加
速度センサ51および角加速度センサ52の情報取得を
行なう。そして、取得したセンサ情報を、通信を介して
ベースステーション91に送信する。
【0265】電磁石915の吸着力が浮力を下回った時
点でロボット90は浮上する。これは、ロボットの加速
度が0でなくなることによって検出される。具体的に
は、ベースステーション91においてロボット90の位
置算出が既に繰返し行なわれており、この位置算出にお
ける情報を算出して浮上を検出する手法が実用的であ
る。
【0266】(定位)浮上が完了すれば、ベースステー
ション91よりロボット90は浮上完了信号が送られ、
定位モードに入る。続いて定位行動における通信動作
を、図21を用いて説明する。
【0267】まず、ロボット90は加速度センサ51、
角加速度センサ52の情報取得を行なう。そして、取得
したセンサ情報を、通信を介してベースステーション9
1に送信する。
【0268】ベースステーション91は、加速度情報や
角加速度情報から、ロボット90の位置と姿勢を算出す
る。上記一連のロボット90の位置姿勢算出処理は飛行
中継続的に行なわれているものとする。
【0269】そして、ベースステーション91における
演算装置911は、予め算出された経路に添って飛行す
るためのロボット90の位置と姿勢を算出し、指示情報
信号としてロボット90に送信する。
【0270】ロボット90は受信した指示情報のうち
の、加速度指示と角加速度指示により予め用意された制
御テーブルに基づき左右アクチュエータの駆動態様を算
出し、それに従って左右アクチュエータ21,22を駆
動する。
【0271】これらの動作を繰返し継続的に行なうこと
によって、ロボット90は定位置に到達する。また、講
演者94がロボット90を直接制御する場合は、ベース
ステーション91における指示入力パネル919によっ
て入力された行動指示信号を指示情報信号として直接ロ
ボット90に送信すればよい。ベースステーション91
が、ロボット90が定位置に達したと判断した場合、ロ
ボット90に定位置終了信号を送信し、音声収集行動に
移行する。
【0272】(音声情報収集)続いて、音声情報収集に
ついて説明する。
【0273】ベースステーション91における演算装置
911は、ロボット90におけるマイク53より得られ
た音声情報を音声信号にデコードする処理を行なう。ま
た、ロボット90にホバリングを指示する。ロボット9
0はこの指示に基づいてホバリングを行なう。これによ
り、定位位置での音声情報収集が可能になる。
【0274】(着陸)続いて、図22を用いて着陸にお
ける通信について説明する。
【0275】ロボット90は、音声情報収集終了後、マ
イク53の音声情報の音声信号へのデコードを終了す
る。ベースステーション91は、着陸地点直上、より具
体的には、磁石95によってロボット90を初期位置に
吸着可能な領域にロボット90を誘導する。この誘導は
巡回時の制御と同様に、ロボット90より受信した加速
度情報および角加速度情報より算出したロボット90の
位置と姿勢を用いて行なわれる。
【0276】ロボット90が着陸地点直上に来たら、電
磁石915を動作させ、ロボット90をベースステーシ
ョン91に吸着する。また、ベースステーション91
は、ロボット90に対し、動作終了を指示することで、
羽ばたき動作を終了することができる。
【0277】(補足)なお、通信の形態は一例であり、
ロボット90のセンサ情報によりベースステーションが
ロボット90の行動指示を行なうのであればここに挙げ
たものに限られない。また、本実施の形態では、センサ
類は連続して動作するものとしたが、ベースステーショ
ン91よりセンサ情報要求信号を受信したときのみセン
サを動作させるといったように、センサの動作を、ベー
スステーション91からの指示により間欠的に行なう手
法も可能である。
【0278】(機能分担)本実施の形態におけるロボッ
ト90における制御装置4と、ベースステーション91
における情報処理の機能分担について以下に説明する。
【0279】ロボット90とベースステーション91と
は、通信路を通じて情報交換が可能なので、各々の機能
分担をさまざまな形が可能である。たとえば、ベースス
テーション91の機能をすべてロボット90に収め、ベ
ースステーション91を配した、いわゆる、スタンドア
ロンタイプも可能である。この場合は、指示入力パネル
919をロボット90に含むことはサイズの点から困難
であるので、音声入力などによって行なう指示を行なう
機能を付加する必要がある。
【0280】しかし、ロボット90に過剰な質量を搭載
すると浮上が困難になる。また、ロボット90が軽量で
ある方が、機敏な動きが可能になり、システムの動作効
率を上げることができる。つまり、一般に、情報処理の
大部分はベースステーション91にて行ない、ロボット
90を軽量に設計すること望ましい。特に、講演会場9
2におけるマップデータはその講演会場の大きさ、障害
の多さに依存して大きくなる。このため、講演会場92
におけるマップデータは、ロボット90の搭載重量の増
加に繋がらない、メモリ912に用意されていることが
望ましい。このように、軽量化の観点から、ロボット9
0と、ベースステーション91における情報処理機能分
担の制約がされる。
【0281】上述の議論に加え、ロボット90における
制御装置4と、ベースステーション91における情報処
理の機能分担については、通信速度の向上に伴う重量増
加が、ロボット90の浮上に制約を課してしまう点も考
慮する必要がある。たとえば、電波を用いた通信の場
合、通信速度が高速になると、キャリアとしてエネルギ
の高い、高周波数の電波を用いなくてはならないために
消費電力が大きくなる。このため、電源6の重量増加に
繋がる。また、補償回路などを用いて信号品質を向上さ
せなくてはならず、構成要素が増えるために通信装置の
重量増加に繋がる。総合的にはこれらのトレードオフを
考慮して、実際の機能分担をデザインする必要がある。
【0282】たとえば、羽ばたきの細部、すなわち羽根
の角度α、β、θをもベースステーションが指示する回
路を考えると、一般に羽ばたき飛行の周波数は数10H
z以上であるため、α、β、θの制御周波数帯域は、k
Hzオーダである。この場合、α、β、θのデータがそ
れぞれ8ビットであるとして、各々1kHzで制御する
には、単一の通信経路で8(bit)×1(kHz)×
3×2(アクチュエータの個数)=48(kbps)の
通信速度が必要である。これは送信のみの速度であり、
実際には受信のための帯域も必要となる。これに通信の
オーバーヘッドなども加わるため、100kbps程度
の通信速度を持った通信方法が必要となる。
【0283】ところで、ロボット90における前進や後
退、左右への旋回といった基本的な動作については、各
々の動作に対応した一定のパターンの羽ばたき方を用意
することができる。よって、これら基本動作とそれをも
たらす羽ばたき方のパターンをロボット90に内包して
おき、ベースステーション91が予定経路にふさわしい
基本動作を算出し、ロボット90に指示し、ロボット9
0は指示された基本動作から内包された羽ばたき方のパ
ターンを選択するなどの手法を用いても、ロボット90
に所望の経路を飛行させることができる。
【0284】このように、ロボット90は羽ばたき方そ
のものの制御に代表される高い周波数帯域の制御を、ベ
ースステーション91は、経路制御に代表される低い周
波数帯域での制御を受け持つ形態が制御装置4の演算量
の軽減、通信路のトラフィック軽減の観点から望まし
い。なお、これら基本動作とそれらをもたらす羽ばたき
方のパターンは、テーブルとして制御装置4に用意して
おくのが処理速度制御装置4における演算量の低減の観
点からも望ましい。
【0285】当然特に制御装置4に代表される演算装置
の演算能力や通信速度が今後大きく向上することが期待
されるので、ここに記したロボット90とベースステー
ション91における情報処理の態様は、現状をもとに基
本となる考えを例示したものであり、具体的な機能分担
については、今後ここに記した限りではない。
【0286】(その他) (羽ばたきによるノイズについて)本実施の形態におい
ては、マイク53の動作中にも、ロボット90は羽ばた
きを行なうため、これに伴うノイズが質問者93の音声
情報に混入する可能性がある。すなわち、羽ばたき周波
数を主成分とするノイズが混入することになる。また、
マイク53は支持構造1近辺に配されるため、羽ばたき
による気流が、マイク53に衝突することによってもノ
イズが発生するおそれがある。
【0287】これらのノイズを低減するために、ロボッ
ト90の羽ばたき周波数は、ワイヤレスマイクの音声情
報収集可能周波数帯域より外の周波数であることが望ま
しい。一般的には、たとえば、50Hz以下、もしくは
20kHz以上であることが望ましい。
【0288】また。第1原理的には、図10〜図13に
示すように、羽ばたきの全行程において、羽根31,3
2の主軸前方、かつ上方にほとんど気流が生じない。さ
らに、ホバリング時の羽ばたき方はほぼ左右対称である
ので、左右の羽根31,32の中心付近は、左右方向の
気流がほとんど発生しない。以上より、左右の羽根3
1,32の中央の、主軸より前部上方にマイク53を配
することにより、ホバリング時にほとんど気流の影響を
受けずに音声情報の取得を行なうことができる。
【0289】つまり、本実施の形態のマイクシステム
は、音声情報収集時に流速の小さい部位である上述の部
位にマイク53が配されている。これにより、マイク5
3の空気の流れが衝突することによって、発生するノイ
ズを抑えることができる。
【0290】また、本実施の形態のマイクシステムは、
音声情報収集時にはホバリングを行なうように設定され
ている。これにより、音声情報収集時には、マイク53
が一定位置にあることで、従来のマイクスタンドを用い
た場合と同様に、発話者がこの一定位置にあるマイク5
3に対して自らの位置を調節することで、最も簡単にマ
イクと発話者の位置関係を最適に調整することができ
る。
【0291】また、本実施の形態のマイクシステムは、
ロボット90が、羽根31,32の膜面に垂直に羽根を
動かすことで浮上力を得る。これにより、羽根の端にお
けるカルマン渦の発生を抑えることができるため、風切
り音が小さくなるので、音によって聴衆がロボット90
をうるさいと感じてしまう不都合を防止することができ
る。
【0292】また、本実施の形態のマイクシステムは、
浮上状態に応じてマイク53の制御を行なう。これによ
り、浮上の位置、姿勢、すなわち浮上状態に応じてマイ
ク53のON/OFFもしくはゲインの切換等で、マイ
ク53がスピーカなどの音声出力装置に対抗するなどの
理由で、ハウリングが生じるのを回避することができ
る。
【0293】また、本実施の形態のマイクシステムは、
ロボット90に配されたマイク53により得られた音声
情報によって浮上状態の制御を行なう。これにより、た
とえば、質問者の起立姿勢、位置が変化した場合など、
質問者の音声情報収集位置が変化した場合にも、浮上状
態を変更することで最適な音声情報収集位置もしくは姿
勢に定位することができる。
【0294】また、本実施の形態のマイクシステムは、
浮上状態に揺動を加えた際の音声情報の変化や浮上状態
を制御する。これにより単一のマイク53であっても音
声情報の位置を特定することができる。
【0295】(使用態様について)本実施の形態におい
ては、講演会における質問者という状況を想定したが、
当然、ロボット90を用いた音声情報などの収集であれ
ば本発明のアプリケーションになり得る。たとえば、ス
タジアムの観客インタビューなどにもそのまま適用が可
能である。
【0296】また、本実施の形態においては、講演会場
92に対して1台のベースステーション91と1台のロ
ボット90という態様で用いたが、これらの台数につい
てはこの限りではない。
【0297】また、本実施の形態においては、浮上移動
機構の床面から離れて移動可能である点を、聴衆の頭上
を超える手法として用いマイクシステムとしたが、人間
の到達し得ない高所や深いところでの音声その他情報収
集手段としても、同様のシステムが使用可能である。た
とえば、電柱や鉄塔の上での作業状況を音声情報によっ
て監視する用途や、火山の火口に下りマグマの鼓動音を
観測する用途にも、同様のシステムを用いることが可能
である。なお、これらの用途に応じた情報取得機構(セ
ンサ)を付加することも可能である。
【0298】(制御態様について)本実施の形態では、
説明の簡便のために講演者94がロボット90の制御を
行なうものとしたが、本アプリケーションの目的を達成
する制御態様はこの限りではない。なお、ロボットのオ
ペレータなど、講演者94の他の者がロボット90の制
御を行なう手法も可能である。
【0299】また、指示入力パネル919の形態につい
ては、代表的な例であって、ロボット90の定義すべき
位置もしくは行なうべき行動をベースステーション91
に対して示し得る形態であれば本実施の形態に示した限
りではない。たとえば、一般的なラジコンのごとく、行
動指示を行なう装置のみでも可能である。
【0300】(情報入力機器について)本実施の形態で
は、マイク53にて音声情報を収集するのみとしたが、
浮上可能重量の範囲内で、他の各種センサをロボット9
0に搭載することも可能である。また、これに付随した
アウトプットをベースステーション91に設けることも
可能である。たとえば、画像センサをロボット90に搭
載し、画像情報をベースステーションに送信することに
より、講演者の画像情報を講演会場のモニタに表示する
などの応用も考えられる。
【0301】(エネルギ補充機構について)また、電源
6の充電方法や形態は、軽量化と継続使用を両立させる
ために一般的に用いられる、エネルギ補充の一形態を例
示したのみで、電源としての機能を満たすものであれば
電源6とその充電機構の態様はここに示した限りではな
い。
【0302】たとえば、羽根に金属薄膜スパッタリング
によってコイルを構成し、外部から電波を与え、これを
前述のコイルで電力に変換し、整流して電源6を充電す
る方法も可能である。また、たとえば、ベースステーシ
ョン91以外に充電のみを目的とする充電ステーション
が存在し、そこで充電を行なうことも可能である。
【0303】また、電力以外のエネルギを用いる場合、
これに適したエネルギ補充方法が必要となる。もちろ
ん、電極61と充電孔914の形状が本実施の形態に示
したものに限らない。また、本実施の形態に示したよう
に位置決めの役割を兼用していることは必須ではない。
【0304】(通信について)本実施の形態においては
ベースステーション91は常にロボット90の情報を得
てこれを制御するものとしたが、ロボット90に自立的
動作が可能である場合など、常にベースステーション9
1がロボット90を制御することは必ずしも必要ではな
い。
【0305】また、メモリ42に情報を一時的に保存し
ておくことで、ベースステーション91とロボット90
の通信の頻度を下げることができる。これは後述するロ
ボットやベースステーション91が複数存在する場合な
ど、通信路のトラフィック低減が求められる場合などに
有効である。
【0306】ロボット90とベースステーション91の
コネクションは、途絶する可能性を前提として設計する
ことが望ましい。ここで、ロボット90に通信路が途絶
した場合の行動様式を予め組込んでおけば、コネクショ
ンが再開された際、通信途絶に起因する悪影響を最小限
に抑えることができる。
【0307】一例として通信路が途絶した場合、ロボッ
ト90はホバリングを行なうことで浮上状態を一定に保
つ機能を備えておけば、ホバリングせずに移動し続ける
場合に比べて障害物に衝突する可能性が小さくなる。
【0308】また、メモリ42にある程度先の動作まで
バッファリングしておくことで、通信路が途絶した場合
でもロボット90は飛行を続けることができ、逆にメモ
リ42にセンサの検出した情報をバッファリングしてお
き、通信路が回復した際にこれをベースステーション9
1が得ることで、通信路が途絶している間のセンサ情報
をベースステーション91が得ることができる。
【0309】また、逆にこういったバッファリングを用
いることで、障害物が多く電波が遮られやすい環境にお
いてもより微弱な電波での通信の機能を達成することが
できるため、省電力化が可能であり、電源6の軽量化に
繋がるため、ロボット90の機能性を高めることができ
る。
【0310】(環境変化について)本実施の形態におい
ては説明の簡便のため、講演会場92における環境は変
化しないものとしたが、実際の使用においては環境は変
化する。主要な環境変化としての気流の発生と障害物の
変化が挙げられる。当然、これらの環境変化が存在する
場合はその補正手段を用意する必要がある。
【0311】気流については、羽ばたき飛行であっても
一般の航空機と同様の影響を受けるため、この補正は一
般的な航空機の経路計画に用いられる手法がそのまま応
用可能である。
【0312】障害物の変化についても、その対処方法は
従来の遠隔操作ロボットのシステムに採用されている手
法がそのまま応用可能である。たとえば、光センサなど
の障害物検出手段をロボット90に設け、その障害物検
出データをベースステーション91に送信し、ベースス
テーション91はその情報からマップデータを更新する
などの手法が考えられる。
【0313】(システム構成(台数)について)本実施
の形態においては説明の簡便のためベースステーション
91は1台としたが、複数のベースステーションによっ
てロボット90を制御することも可能である。一例とし
て、ベースステーション91とロボット90の通信可能
範囲よりも講演会場92が広い場合、講演会場92をカ
バーするように複数のベースステーション91を設け、
ロボット90の制御を空間的に分担する方法が挙げられ
る。また、本実施の形態においては、ベースステーショ
ン91に、ロボット90の制御機能と離着陸補助機能と
エネルギ補充機能すなわち充電機能を統合したが、当然
これらの機能がベースステーションに統合されているこ
とは必須ではない。たとえば、通信可能範囲に比べ、継
続飛行距離、すなわち、外部から駆動エネルギを補充す
ることなく飛び続けることのできる距離が短い場合、1
台のベースステーションがカバーする通信可能範囲内
に、他のエネルギ補充ステーションが存在するといった
形態が考えられる。
【0314】逆に、ロボット90も単一である必要はな
く、複数のロボットを、講演会場92に適宜分散配置
し、講演者94の指示する質問者93の位置に最も迅速
に到達でき得るロボットを動作させることによって質問
者93のロボット到着までの待ち時間を短縮させること
ができる。また、複数の質問者が存在する場合にある質
問者が質問を行なっている間に、別の質問者に向けて他
のロボットを定位、待機させておくことで、前質問者の
質疑が完了すると同時に後質問者が質問を開始すること
ができ、効率的である。
【0315】また、さらに、質問者複数が同時にディス
カッションを行なう場合等の場面では、ロボットが各質
問者につき1台必要になるので、複数のロボットが存在
することは必須である。
【0316】また、ロボット同士に通信を行なわせ、複
数のロボットでより広い対応範囲を確保する手法も可能
である。また、ロボット同士で情報処理を分担する手法
も可能である。たとえば、ベースステーションからの情
報処理を仲介するようなロボットも考えられる。
【0317】(本実施の形態のマイクシステムの特徴お
よびその効果)以下、本実施の形態のマイクシステムの
特徴およびその効果を説明する。
【0318】本実施の形態のマイクシステムによれば、
聴衆の頭上を通過してマイクを質問者の音声情報を収集
可能な位置まで迅速に運搬可能であるため、マイクを質
問者に配するまでの時間と手間が大幅に短縮される。こ
のため、聴衆が多数存在する環境や、マイクを運搬する
ための通路確保が難しいような環境、質問者が座席から
移動することが難しいような環境においても、マイクを
多数配することなく、また、質問者にマイクを配するま
でに多くの時間を要することなく安価でかつ利便性高く
マイクシステムを用いることが可能になる。
【0319】本実施の形態におけるマイクシステムは、
停空可能な浮上機構とこれに配されたマイクとを有する
ロボットを含んでいる。停空可能な浮上機構により、容
易にロボットが質問者の位置まで到達することができ、
かつ、それに備わっていたマイクにより容易にロボット
が音声情報を収集することができる。
【0320】また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、停空可能な浮上機構とこれに配されたマイクとを
有するロボットおよびこのロボットを制御するベースス
テーション(もしくは他のロボット)を含んでいる。ベ
ースステーション(もしくは他のロボット)により、マ
イクを有するロボットを制御することで、制御を行なう
位置と音声情報を収集する位置を分散することができる
ため、制御を行なうのに都合のよい位置、すなわち、講
演者周辺と、音声情報の取得を行なうのに都合のよい位
置、すなわち、発話者周辺に、制御を司る機構と音声情
報を司る機構とをそれぞれ配置することが可能になる。
【0321】また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、マイクと、流体が存在する空間を羽ばたくための
羽根部と、羽根部を駆動させるための駆動部と、駆動部
を制御するための制御部とを備えた、羽根部の羽ばたき
運動による流体力によって浮上するロボットを含んでい
る。これにより羽ばたき運動による浮上を用いること
で、上述の停空可能な浮上機構が実現される。また、本
実施の形態におけるマイクシステムは、情報表示機能を
有している。また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、可視光LEDを有している。これにより、発話者
が発話可能か否かをはじめとする、マイクシステムにか
かわる情報を出力することができる。
【0322】また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、ロボットの位置検出手段を備え、この検出結果よ
りロボットを制御するようにしている。これにより、正
確な位置にマイクを配することが可能になる。また、本
実施の形態におけるマイクシステムは、ロボットの高度
変更機能を備え、ロボットに障害物を回避可能な高度を
飛行させるように設定している。これにより、障害物、
特に聴衆との接触を避けることができる。また、本実施
の形態におけるマイクシステムは、障害物の位置および
形状のデータが記憶されたマップデータを有している。
これにより、簡便に障害物の位置を把握することができ
る。
【0323】また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、床面からの高度データを有している。これによ
り、床面の高度が変化する場合においても、聴衆の頭上
の位置を容易に把握することができる。また、本実施の
形態におけるマイクシステムは、床面から、聴衆の頭上
以上の相対高度を移動するように設定されている。これ
により、聴衆を何ら障害物とすることなく移動すること
が容易になる。また、本実施の形態におけるマイクシス
テムは、ロボットに指示する位置の入力装置を備えてい
る。これにより、講演者がロボットの定位すべき発話者
の位置を容易にシステムに対して入力することができ
る。
【0324】また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、ロボットに指示する高度の入力装置を備えていて
いる。これにより、講演者がロボットの高度を容易にシ
ステムに対して入力することができる。また、本実施の
形態におけるマイクシステムは、ロボットが画像取得機
能を備えている。これにより、音声と同様に、画像も取
得できるとともに、聴衆などの障害物があっても、簡便
に音声を取得することができる。また、効率的に質問者
への移動が行なえるので、聴衆の数だけ画像取得機構を
用意する必要がなく経済的である。また、本実施の形態
におけるマイクシステムは、通信機能を有するロボット
を含んでいてもよい。これにより、通信により外部にお
いて音声を発生させることができる。
【0325】また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、ロボットとの通信により、情報処理の一部を行な
うベースステーションを含んでいる。浮上するロボット
と構造的に連続しない装置に作業の一部を行なわせるこ
とで、同一の作業を行なう場合にも、浮上するロボット
を小型軽量化することができるため、よりロボットの行
動力を高めることができる。また、作業量を増やしても
ロボット本体の重量増に繋がらない。
【0326】また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、ベースステーションが、ロボットに対する位置入
力装置、および、行動入力装置を備えていてもよい。こ
れにより、講演者の傍らにベースステーションを配する
という単純な構成で本システムを運用することが可能に
なる。
【0327】また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、ロボットの移動経路算出をベースステーションに
て行なうようにしている。また、本実施の形態における
マイクシステムは、ロボットの位置もしくは姿勢をベー
スステーションにて算出し、これを実現する羽ばたき方
をロボットにて算出するようにしている。これは次の理
由によるものである。
【0328】ロボットに要求される位置や姿勢は大局的
に判断する必要がある。大局的なロボットの運動を算出
するには多くのデータが必要であり、このデータをロボ
ットに搭載すると質量の増大を招き、ロボットの機動性
を低下させる。また、より遠距離の情報を収集する必要
があるため、情報処理量が増大し、これに応じて演算回
路やメモリのサイズも大きくなり、やはりロボットの質
量の増大を招き、ロボットの機動性を低下させる。この
理由のため、ロボットの経路や姿勢はベースステーショ
ンが決定することが望ましい。
【0329】また、上述の位置や姿勢を実現するための
ロボットの羽ばたき方の決定は高速で行なう必要がある
が、高度な知能を要求しないため、これをロボット内部
で行なうことにより、通信におけるトラフィックスを削
減できる。それにより、通信に用いる電力を減らすこと
ができるため、ロボット本体に搭載する電源の質量を小
さくすることができ、よりロボットの機動力を高めるこ
とができる。
【0330】また、本実施の形態におけるマイクシステ
ムは、複数のベースステーションを含んでいてもよい。
これにより、ロボットの通信範囲が狭くても広い領域に
わたって制御を行なうことが可能になる。また、本実施
の形態におけるマイクシステムは、複数のロボットを含
んでいてもよい。これにより、複数の発話者が質疑応
答、議論を行なうことが可能になる。また、質問者が複
数存在する場合、現在の発話者の音声情報収集を行なっ
ているロボット以外のロボットを予め次の質問者に向か
わせておくことで、待ち時間を省くことができる。ま
た、ロボットの移動距離を短縮することができ、移動に
要する時間を短縮することができる。
【0331】また、本実施の形態のマイクシステムは、
羽ばたき運動における周波数がマイクの音声情報収集可
能周波数帯域の外の周波数である。これにより、羽ばた
きにより発生する、羽ばたき周波数を主成分とするノイ
ズがマイクにおける音声情報に混入するのを防ぐことが
できる。
【0332】また、本実施の形態のマイクシステムは、
音声情報収集時に流速の小さい部位にマイクを配する。
これにより、マイクの空気の流れが衝突することによっ
て、発生するノイズを抑えることができる。
【0333】また、本実施の形態のマイクシステムは、
音声情報収集時にはホバリングを行なう。これにより、
音声情報収集時には、マイクが一定位置にあることで、
従来のマイクスタンドを用いた場合と同様に、発話者が
この一定位置にあるマイクに対して自らの位置を調節す
ることで、最も簡単にマイクと発話者の位置関係を最適
に調整することができる。
【0334】また、本実施の形態のマイクシステムは、
ロボットが、羽根の膜面に垂直に羽根を動かすことで浮
上力を得る。これにより、羽根の端におけるカルマン渦
の発生を抑えることができるため、風切り音が小さくな
るので、音によって侵入者がロボットを認識してしまう
ことを低減することができる。
【0335】また、本実施の形態のマイクシステムは、
浮上状態に応じてマイクの制御を行なう。これにより、
浮上の位置、姿勢、すなわち浮上状態に応じてマイクの
ON/OFFもしくはゲインの切換等で、マイクがスピ
ーカなどの音声出力装置に対抗するなどの理由で、ハウ
リングが生じるのを回避することができる。
【0336】また、本実施の形態のマイクシステムは、
ロボットに配されたマイクにより得られた音声情報によ
って浮上状態の制御を行なう。たとえば、質問者の起立
姿勢、位置が変化した場合など、質問者の音声情報収集
位置が変化した場合にも、浮上状態を変更することで最
適な音声情報収集位置もしくは姿勢に転位することがで
きる。
【0337】また、本実施の形態のマイクシステムは、
浮上状態に揺動を加えた際の音声情報の変化により浮上
状態を制御する。これにより単一のマイクであっても音
声情報の位置を特定することができる。
【0338】次に、上記ロボットの別実施の形態を説明
する。 (別実施の形態)本実施の形態のマイクシステムは、前
述の実施の形態と略同様であるが、羽ばたき装置として
の羽ばたきロボットの構造のみが異なる。すなわち、本
実施の形態の羽ばたきロボットは、前述の実施の形態の
マイクシステムにおいて用いられ、ベースステーション
と通信制御の関係は同様の関係で用いられる。さらに、
本実施の形態では、羽ばたきロボットの羽ばたき飛行に
関してのみ説明するが、羽ばたきロボットには前述の実
施の形態と同様のマイクが設けられており、ベースステ
ーションからの制御により前述の実施の形態のマイクシ
ステムと同様の制御が可能な構成になっているものとす
る。
【0339】別実施の形態に係る羽ばたき装置について
説明する。図23(a)および図23(b)は、羽部と
して2本の羽軸を有する羽ばたき装置を示す図である。
図23(a)では、羽ばたき装置の前方正面部分が示さ
れ、図23(b)では、羽ばたき装置の前方正面に向か
って左側面部分が示されている。
【0340】なお、図23(a)および図23(b)で
は羽ばたき装置の前方正面に向かって左羽しか示されて
いないが、実際には、胴体部105の中心軸を挟んで左
右対称に右羽も形成されている。また、説明を簡単にす
るため、胴体部105が延びる方向に沿った軸(胴体軸
801)は水平面内にあり、重心を通る中心軸802は
鉛直方向に保たれているとする。
【0341】図23(a)および図23(b)に示すよ
うに、羽ばたき装置の胴体部105には、前羽軸103
および後羽軸104と、その前羽軸103と後羽軸10
4との間を渡すように設けられた羽の膜106とを有す
る羽(左羽)が形成されている。
【0342】また、胴体部105には、前羽軸103を
駆動するための回転型アクチュエータ101と後羽軸1
04を駆動するための回転型アクチュエータ102とが
搭載されている。このようなアクチュエータ101、1
02の配置や前羽軸103、後羽軸104および羽の膜
106を含む羽の形状は、飛行の性能が損なわれないな
らばこれに限られるものではない。
【0343】さらに、この羽ばたき装置の場合、羽の断
面形状を鉛直上方に凸となるようにしておけば、水平方
向への飛行に際して抗力だけでなく揚力も発生して、よ
り大きな浮上力が得られることになる。
【0344】また、この羽ばたき装置の重心の位置は、
羽ばたき装置の安定性を重視するために羽が周囲の流体
により受ける力のアクチュエータに対する作用点の位置
よりも下方になるように設定されている。一方、羽ばた
き装置の姿勢を容易に変更する観点からは重心とその作
用点を略一致させておくことが望ましく、この場合に
は、姿勢制御に必要な左右の羽が流体から受ける力の差
が小さくなって、羽ばたき装置の姿勢変更を容易に行う
ことができる。
【0345】2つの回転型アクチュエータ101、10
2は互いに回転軸800を共有している。この回転軸8
00は胴体軸とは所定の角度(90°−θ)をなしてい
る。前(後)羽軸103、104はアクチュエータ10
1、102を支点として回転軸800と直交する平面内
を往復運動する。この回転軸800と直交する平面と胴
体軸801とのなす角度が仰角θとなる。
【0346】胴体部105としては、機械的強度を確保
するとともに、十分な軽量化を図るために、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)などを円筒状に成形したも
のが望ましいが、このような材料や形状に限定されるも
のではない。
【0347】アクチュエータ101、102としては、
起動トルクが大きいこと、往復運動が簡単に実現できる
こと、構造が単純なことなどから、圧電素子(ピエゾ)
を用いた超音波進行波アクチュエータを用いるのが望ま
しい。これには、回転型アクチュエータとリニア型アク
チュエータとの2つの種類がある。図23(a)および
図23(b)では、回転型アクチュエータが用いられて
いる。
【0348】ここでは、進行波を用いた超音波素子によ
って羽を直接駆動する方法を中心に説明するが、この羽
を駆動するための機構や、それに用いるアクチュエータ
の種類については特に本実施の形態に示したものに限ら
れない。
【0349】回転型アクチュエータとしては、図23
(a)(b)に示された回転型アクチュエータ101、
102の他に、たとえば図33に示される回転型アクチ
ュエータ401を用いてもよい。
【0350】図33に示された羽ばたき装置では、胴体
部404に搭載された回転型アクチュエータ401に羽
403が取付けられている。羽403は回転型アクチュ
エータ401の回転軸402を中心として往復運動をす
る。
【0351】また、羽を駆動するための機構としては、
特開平5−1695675号公報に記載されているよう
な外骨格構造とリニアアクチュエータを組合わせた機構
を適用して、たとえば図34または図35に示すような
羽ばたき装置を構成してもよい。
【0352】図34に示された羽ばたき装置では、リニ
アアクチュエータ501の一端に、前羽軸または後羽軸
503が接続されている。胴体部504に装着されたヒ
ンジ502を介してリニアアクチュエータ501の運動
が前羽軸または後羽軸503に伝えられることで羽ばた
き運動が行われる。この羽ばたき運動は、羽を直接筋肉
で駆動するトンボの羽ばたき運動にヒントを得たもので
ある。
【0353】図35に示された羽ばたき装置では、胴体
部は上面胴体部603と下面胴体部604に分けられて
いる。下面胴体部604に固定されたリニアアクチュエ
ータ601の運動が上面胴体部603に伝えられる。そ
して、その上面胴体部603の運動がヒンジ602を介
して前羽軸または後羽軸603に伝えられることで羽ば
たき運動が行われる。この羽ばたき運動は、トンボ以外
のハチなどが用いている羽ばたき運動にヒントを得たも
のである。
【0354】図35に示す羽ばたき装置の場合、1つの
アクチュエータ601によって左右の羽軸603が同時
に駆動されるため、左右の羽軸を別々に駆動することが
できず、細かな飛行制御を行うことはできないが、アク
チュエータの数を減らすことができて、軽量化および消
費電力の低減を図ることが可能である。
【0355】さて、図23(a)および図23(b)に
示された羽ばたき装置では、回転型アクチュエータ10
1、102には前羽軸103と後羽軸104とがそれぞ
れ接続されている。前羽軸103と後羽軸104と間に
は羽の膜106が張られている。羽の膜106はその面
内において収縮する方向に自発的な張力を有しており、
羽全体の剛性を高める働きをしている。
【0356】軽量化のため前羽軸103と後羽軸104
は中空構造であり、それぞれカーボングラファイトから
形成されている。このため、前羽軸103と後羽軸10
4には弾力性があり、前羽軸103と後羽軸104とは
羽の膜106の張力により変形可能である。
【0357】図36は本羽ばたき装置の全体の構造を示
す図である。なお、前方方向(紙面に向かって上)に向
かって左側の羽は省略されている。
【0358】胴体部700には、超音波センサ701、
赤外線センサ702、加速度センサ703および角加速
度センサ704が配されている。これらのセンサによる
検出結果は羽ばたき制御部705に送られる。羽ばたき
制御部705では、超音波センサ701や赤外線センサ
702によって検出された結果から羽ばたき装置と周囲
の障害物や人間との距離などが情報が処理される。ま
た、加速度センサ703や角加速度センサ704によっ
て検知された結果から、羽ばたき装置の浮上状態、目的
位置または姿勢などの情報が処理処理されて、左右のア
クチュエータ706および重心制御部707の駆動制御
が決定される。
【0359】なお、ここでは、本羽ばたき装置の周囲に
存在する障害物を検出する手段として超音波センサ70
1および赤外線センサ702を用い、本羽ばたき装置の
位置および姿勢を検出する手段として加速度センサ70
3および角加速度センサ704を用いたが、本羽ばたき
装置の周囲環境や位置と姿勢が計測可能なセンサであれ
ば、上記センサに限られない。
【0360】たとえば、直交する3軸方向の加速度を測
定可能な加速度センサ2つをそれぞれ胴体部700の異
なる位置に配して得られる加速度情報からも、本羽ばた
き装置の姿勢を算出することは可能である。また、本羽
ばたき装置が移動する空間内に磁場分布を設けておき、
磁気センサによってこの磁場分布を検知することで本羽
ばたき装置の位置と姿勢を算出することも可能である。
【0361】また、図36では、加速度センサ703お
よび角加速度センサ704をはじめとするセンサ類は、
羽ばたき制御部705とは別部品として示されている
が、軽量化の観点から、たとえばマイクロマシニング技
術により羽ばたき制御部705と一体で同一基板上に形
成してもよい。
【0362】また、本羽ばたき装置では羽の駆動をオー
プンループ制御としているが、羽の付け根に羽の角度セ
ンサを設け、この角度センサから得られる角度情報によ
りクローズドループ制御を行なうことも可能である。
【0363】なお、浮上する空間における流体の流れが
既知であり、予め定められた羽ばたき方法によって浮上
することが可能ならば、ここに挙げたセンサ類は必須で
はない。
【0364】羽ばたき制御部705はメモリ部708と
接続されており、羽ばたき制御に必要な既存のデータを
メモリ部708から読出すことができる。また、各セン
サ701〜704によって得られた情報をメモリ部70
8に送込み、必要に応じてメモリ部708の情報を書換
えることもでき、羽ばたき装置として学習機能を持たせ
ることができる。
【0365】なお、各センサ701〜センサ704によ
って得られた情報をメモリ部708に蓄積するだけであ
れば、羽ばたき制御部705を介さずにメモリ部708
と各センサ701〜センサ704とが直接接続されてい
てもよい。また、羽ばたき制御部705は通信制御部7
09と接続されて、通信制御部709とデータの入出力
を行うことができる。通信制御部709は、アンテナ部
710を介して外部の装置(他の羽ばたき装置やベース
ステーションなど)とのデータの送受信を行う。
【0366】このような通信機能により、羽ばたき装置
が取得してメモリ部708に蓄えられたデータを速やか
に外部の装置に転送することができる。また、羽ばたき
装置では入手できない情報を外部の装置から受取り、そ
のような情報をメモリ部708に蓄積することで、羽ば
たきの制御に利用することもできる。たとえば、大きな
マップ情報のすべてを羽ばたき装置に記憶さなくても、
随時、必要な範囲のマップ情報をベースステーションな
どから入手することなどが可能となる。
【0367】なお、図36では、アンテナ部710は胴
体部700の端から突き出た棒状のものとして示されて
いるが、アンテナの機能を有するものであれば、形状、
配置などこれに限られない。たとえば、前羽軸712や
後羽軸713を利用して、羽の上にループ状のアンテナ
を形成してもよい。また、胴体部700にアンテナを内
蔵した形態でも、あるいは、アンテナと通信制御部70
9とを一体化させた形態でもよい。
【0368】超音波センサ701、赤外線センサ70
2、加速度センサ703、角加速度センサ704、羽ば
たき制御部705、左右のアクチュエータ706、重心
制御部707、メモリ部708、通信制御部709およ
びアンテナ部710などは、電源部711により供給さ
れる電流によって駆動される。
【0369】ここでは、駆動エネルギーとして電力を用
いたが、内燃機関を用いることも可能である。また、昆
虫の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応を用い
たアクチュエータを用いることも可能である。あるい
は、アクチュエータの駆動エネルギーを外部から取得す
る方法も採用できる。たとえば、電力については熱電素
子、電磁波などが挙げられる。
【0370】(浮上方法)説明の簡便のため、本羽ばた
き装置に作用する外力は、羽が流体から受ける流体力と
羽ばたき装置に作用する重力(羽ばたき装置の質量と重
力加速度との積)のみであるとする。本羽ばたき装置が
恒常的に浮上するためには1回の羽ばたき動作の間の時
間平均において、次の関係、 (羽に作用する鉛直上方向の流体力)>(本羽ばたき装
置に作用する重力) を満たすことが必要とされる。1回の羽ばたき動作と
は、羽を打ち下ろし次に羽を打ち上げる動作をいう。
【0371】さらに、鉛直上向きの流体力を卓越させて
上昇させるためには、 (打ち下ろし動作において羽に作用する鉛直上向きの流
体力)>(打ち上げ動作において羽に作用する鉛直下向
きの流体力) となる必要がある。
【0372】ここでは、昆虫の羽ばたき方を単純化した
羽ばたき方法により、打ち下ろし動作において羽に作用
する鉛直上向きの流体力(以下「打ち下ろし時の流体
力」と記す。)を、打ち上げ動作において羽に作用する
鉛直下向きの流体力(以下「打ち上げ時の流体力」と記
す。)より大きくする方法について説明する。
【0373】説明の簡便のため、流体の挙動もしくは流
体が羽に及ぼす力については、その主要成分を挙げて説
明する。また、この羽ばたき方法により得られる浮上力
と、本羽ばたき装置に作用する重力(以下「重量」と記
す。)の大小については後述する。
【0374】打ち下ろし時の流体力を打ち上げ時の流体
力よりも大きくするためには、打ち下ろし時に羽の膜1
06が移動する空間の体積が最大になるように打ち下ろ
せばよい。そのためには、羽の膜106を水平面と略平
行に打ち下ろせばよく、これにより、ほぼ最大の流体力
を得ることができる。
【0375】反対に、打ち上げ時には羽の膜106が移
動する空間の体積が最小になるように打ち上げればよ
い。そのためには、羽の膜106を水平面に対して略直
角に近い角度で打ち上げればよく、これにより、羽に及
ぼされる流体力はほぼ最小となる。
【0376】そこで、回転型アクチュエータ101、1
02により回転軸800の周りに両羽軸103、104
を往復運動させる際に、各羽軸103、104が水平面
と略一致する位置を中心として上方と下方とにそれぞれ
角度γだけ往復運動させるとする。さらに、図24に示
すように、前羽軸103の往復運動に対して後羽軸10
4の往復運動を適当な位相φだけ遅れさせる。
【0377】これにより、図25〜図32(ここではφ
=20°として描いた)に示す一連の羽の往復運動のう
ち、図25〜図29に示された打ち下ろし時において
は、より高い位置にある回転型アクチュエータ301の
前羽軸303が先に打ち下ろされるため、前羽軸303
および後羽軸304の先端と羽の膜306が水平に近づ
く。
【0378】一方、図29〜図32に示された打ち上げ
時においては、両羽軸103、104の先端の高さの差
が拡大されて、羽の膜306も垂直に近づく。この結
果、前羽軸303と後羽軸304に張られた羽の膜10
6が流体を押し下げ、あるいは、押し上げる量に差異が
生じ、この羽ばたき装置の場合には、打ち下ろし時の流
体力の方が打ち上げ時の流体力よりも大きくなって浮上
力が得られることになる。
【0379】この浮上力のベクトルは、位相差φを変化
させることにより前後に傾く。前方に傾けば推進運動、
後方に傾けば後退運動、真上に向けば停空飛翔(ホバリ
ング)状態となる。なお、実際の飛行では、位相差φ以
外にも、羽ばたき周波数fや羽ばたき角γを制御するこ
とが可能である。また、この羽ばたき装置では、羽ばた
き仰角θを固定しているが、これを変化させる機能を追
加して、自由度を増やしても構わない。
【0380】(羽ばたき制御)実際の羽ばたき制御につ
いてさらに詳細に説明する。上述した羽ばたき装置で
は、打ち下ろし動作または打ち上げ動作の際に、羽の先
端部がなす捻り角αは、羽の長さ(羽の膜の前羽軸およ
び後羽軸に沿った長さ)をl、羽の幅(前羽軸と後羽軸
の間隔)をw、羽ばたき角をγ、羽ばたき運動の位相を
τ(最も打ち上げた瞬間を0°、最も打ち下ろした瞬間
を180°とする)、前羽軸と後羽軸の位相差をφとす
れば(図25、31、32を参照)、およそ以下の式で
表わされる。
【0381】tanα=(w/l)・〔sin(γ・c
osτ)−sin{γ・cos(τ+φ)}〕 実際には、前羽軸や後羽軸には弾性があり変形可能であ
るので、この捻り角αは多少違った値をとる。また、羽
軸の根元ほどこの角度は小さい。しかし、以下の議論で
は簡便のため、上の式のαを用いて説明する。
【0382】捻りを加えていない羽に作用する流体力の
鉛直方向成分Fは、流体の密度をρ、羽ばたき角度を
γ、羽ばたき周波数をfとして、およそ F=(4/3)・π2ρwγ223・sin2τ・co
s(γ・cosτ) となる。なお、羽に作用する流体力の水平方向成分は、
左右の羽が同じ運動をすれば互いに打ち消し合うことに
なる。
【0383】羽に捻り角αをもたせると、上記成分Fの
羽ばたき運動平面に垂直な成分Lと、水平な成分Dはそ
れぞれ次のようになる。
【0384】L=F・cosα・sinα D=F・cos2α これに、羽ばたき仰角θを考慮すると、重量と釣り合う
べき鉛直方向の成分Aと、前後運動の推力となる水平方
向成分Jは、打ち下ろし時では、 A↓=−L・cosθ+D・sinθ J↓=−L・sinθ−D・cosθ 打ち上げ時では、 A↑=L・cosθ−D・sinθ J↑=L・sinθ+D・cosθ となる。実際の浮力や推進力は、羽ばたき運動の1周期
分を積分したものとなる。
【0385】以上より、この飛行制御の一例として、羽
ばたき装置の羽の長さl=4cm、羽の幅w=1cm、
羽ばたき仰角θ=30°、羽ばたき角γ=60°、羽ば
たき周波数f=50Hz、打ち下ろし時の位相差φ↓=
4°、打ち上げ時の位相差φ↑=16°とした場合にお
ける鉛直方向成分Aと水平方向成分Bの時間変化を各角
度の時間変化とともに図37に示す。
【0386】横軸は1周期分の時間が位相τとして表わ
されている。前半が打ち下ろし、後半が打ち上げを示し
ている。各グラフの曲線は前羽軸の羽ばたき角γf、後
羽軸の羽ばたき角γb、水平面からの羽の捻り角(α+
θ)、流体力の鉛直方向成分Aおよび水平方向成分Jの
時間変化をそれぞれ示している。
【0387】この例では、単位時間当りの流体力の鉛直
方向成分Aにおいては打ち下ろし時の方が打ち上げ時よ
りも大きいため、1周期の平均で約500dynの鉛直
上向きの流体力が1枚の羽で得られる。したがって、2
枚の羽では羽ばたき装置の重量が約1g以下であれば浮
上することができることになる。また、単位時間当りの
流体力の水平方向成分Jは、1周期の間にほぼ打ち消さ
れるため、重量1g程度の羽ばたき装置であればホバリ
ング可能となる。
【0388】ここで、打ち下ろし時の位相差φ↓を大き
く、もしくは、打ち上げ時の位相差φ↑を小さくすれ
ば、前進することができる。このとき、水平に前進させ
るためには、周波数fを少し小さくするのが望ましい。
逆に、打ち下ろし時の位相差φ↓を小さくし、もしく
は、打ち上げ時の位相差φ↑を大きくすれば後退するこ
とができる。このとき、水平に後退させるためには、周
波数fを少し大きくすることが望ましい。
【0389】この羽ばたき装置では、たとえば、打ち上
げ時の位相差φ↑を16°に保ったまま打ち下ろし時の
位相差φ↓を7°と大きくするか、打ち下ろし時の位相
差φ↓を4°に保ったまま打ち上げ時の位相差φ↑を1
1°と小さくし、そして、羽ばたき周波数f=48Hz
に下げることで、最初の1秒間におよそ1mの速度で水
平に前進することができる。
【0390】また、たとえば、打ち上げ時の位相差φ↑
を16°に保ったまま打ち下ろし時の位相差φ↓を1°
と小さくするか、打ち下ろし時の位相差φ↓を4°に保
ったまま打ち上げ時の位相差φ↑を24°と大きくし、
そして、羽ばたき周波数f=54Hzに上げることで、
最初の1秒間におよそ1mの速度で水平に後退すること
ができる。
【0391】ホバリング状態のまま、羽ばたき装置を上
昇または下降させるためには、周波数fを上げるかまた
は下げるかすればよい。水平飛行中でも、上昇と下降に
ついては、主に周波数fによって制御が可能である。周
波数fを上げることで羽ばたき装置は上昇し、周波数を
下げることで羽ばたき装置は下降する。
【0392】この例では、打ち上げ動作中もしくは打ち
下ろし動作中にも、羽の捻り角αをゆっくり変化させて
いるが、これは、アクチュエータへの負荷を減らすため
である。浮力を得るための羽ばたき運動としては、打ち
上げ動作中や打ち下ろし動作中は羽の捻り角αを一定の
値に設定して、打ち下ろし動作から打ち上げ動作、もし
くは、打ち上げ動作から打ち下ろし動作への変化点にお
いて捻り角αを急激に変化させるようにしてもよい。
【0393】羽ばたき仰角θ=0°とした場合の鉛直方
向成分Aと水平方向成分Bの時間変化を各角度の時間変
化とともに図38に示す。この場合は、ハチドリのホバ
リングにヒントを得た羽ばたき運動である。なお、左右
への舵取りは、左右の羽の羽ばたき運動を別々に制御で
きる場合、それぞれの羽による推力に差を持たせればよ
い。たとえば、前方へ飛行中に右方向へ旋回するには、
右羽の羽ばたき角γを左羽よりも小さくする、または、
右羽の前羽軸と後羽軸の位相差を、左羽より大きくす
る、あるいは、羽ばたき仰角θが制御できるような場合
には、右羽のθを左羽よりも小さくするといった制御を
行なう。これにより、右羽の推進力が左羽の推進力に比
べて相対的に下がり右に旋回することができる。羽ばた
き装置を左へ旋回させる場合には、その逆の制御を行な
えばよい。
【0394】一方、図35に示された羽ばたき装置のよ
うに、左右の羽を別々に制御することができないような
場合には、図36に示された羽ばたき装置に搭載されて
いるような重心制御部707をこの羽ばたき装置に搭載
して、羽ばたき装置の重心を左右にずらすことで左右へ
の旋回を行うことができる。
【0395】たとえば、重心を右にずらして右羽を下方
へ左羽を上方へ傾け、そして、周波数fを大きくするこ
とで、羽ばたき装置を右へ旋回させることができる。重
心を左にずらして、同様に、周波数fを大きくすること
で、羽ばたき装置を左に旋回させることができる。な
お、この方法は2つの羽を別々に制御することができる
場合にも適用することができる。また、いずれの羽ばた
き装置においても、姿勢の安定を保つために、左右のそ
れぞれの羽ばたきの周波数fを同じ値に設定しておくこ
とが望ましい。
【0396】最後に、本実施の形態のマイクシステムに
用いられる羽ばたき装置の構成およびその効果をまとめ
て記載しておく。
【0397】本実施の形態の羽ばたき装置は、流体が存
在する空間を羽ばたくための羽部と駆動部と胴体部とを
含む浮上本体部を備えている。駆動部は、羽部を上方か
ら下方に向かって打ち下ろす打ち下ろし動作と、羽部を
下方から上方に向かって打ち上げる打ち上げ動作とを行
う。胴体部には羽部が取付けられ、駆動部が搭載され
る。そして、一連の打ち下ろし動作および打ち上げ動作
の間の時間平均では、羽部が流体から受ける力のうち鉛
直上向きの力が浮上本体部に作用する重力よりも大きく
なる。
【0398】この構造によれば、羽部の羽ばたき動作に
おいて打ち下ろし動作および打ち上げ動作の間の時間平
均では、羽部が流体から受ける力のうち鉛直上向きの力
が浮上本体部に作用する重力よりも大きくなることで、
浮上本体部に浮力が与えられることになる。その結果、
浮上本体部は地面に接することなく移動することができ
る。
【0399】浮上本体部に浮力を与えるためには、打ち
下ろしの動作の際に羽部が移動する空間の体積は打ち上
げの動作の際に羽部が移動する空間の体積よりも大きい
ことが望ましく、たとえば、浮力と浮上本体部に作用す
る重力とを釣り合わせることで地面から離れた状態で空
間に留まる停空飛翔(ホバリング)も可能になる。
【0400】このような浮上本体部は、屋内において所
定の作業を行うための移動手段として用いられること、
または、屋外において所定の作業を行うための移動手段
として用いられることが望ましい。
【0401】浮上本体部は浮力を得て地面を離れて移動
することができるので、たとえば家具等のさまざまな物
体が置かれ、そして、そのような物体の位置が時間的に
変化する屋内において、そのような障害物を避けて移動
することができて各部屋の状況把握等の所定の作業を容
易に行うことができる。また、屋外においては、たとえ
ば災害地における障害物や一般のフィールドなどにおけ
る地形等に左右されることなくに移動することができ
て、情報収集等の所定の作業を容易に行うことができ
る。
【0402】具体的に、羽部は羽本体部と羽本体部を支
持する羽軸部とを有し、駆動部は、羽軸部を駆動させる
ことにより羽本体部の先端部と仮想の所定の基準面との
なす捻り角を変化させることが望ましい。
【0403】これにより、羽部が流体から浮ける流体力
の大きさや向きが変化して、浮上本体部を上昇、下降、
前進または後退させることができる。
【0404】また、打ち下ろしの動作の際に羽部が移動
する空間の体積を打ち上げの動作の際に羽部が移動する
空間の体積よりも大きくするために、駆動部は打ち下ろ
し動作における捻り角と打ち上げ動作における捻り角と
を異ならせる必要がある。
【0405】さらに、駆動部は捻り角を時間的に変化さ
せることが望ましい。この場合には、羽部の姿勢を滑ら
かに変化させることができて、羽部に急激に流体力が作
用するのを抑制することができる。
【0406】また、羽軸部は一方側羽軸部と他方側羽軸
部とを含み、羽本体部は一方側羽軸部と他方側羽軸部と
の間を渡すように形成された膜部を含み、駆動部は一方
側羽軸部と他方側羽軸部とを個々に駆動させることが望
ましい。
【0407】この場合、一方側羽軸部と他方側羽軸部と
を個々に駆動させることで、捻り角を容易に変えること
ができる。
【0408】そして、羽軸部は駆動部を支点として仮想
の一平面上を往復運動し、胴体部は一方向に向かって延
び、胴体部が延びる方向と仮想の一平面とがなす仰角が
変えられることが望ましい。
【0409】この場合には、羽ばたき運動の自由度が増
えて、より複雑な羽ばたき運動を実現することができ
る。また、この仰角をより大きくし捻り角を制御するこ
とで、より高速な飛行を行うことができる。さらに、こ
の仰角を実質的に0°にすることで、機動性に優れハチ
ドリのようなホバリングを行うことができる。
【0410】また具体的に、羽部は主軸部とその主軸部
から主軸部が延びる方向と略直交する方向に形成された
羽本体部とを有し、駆動部は主軸部を駆動させることに
より羽本体部に接する仮想の一平面と主軸部を含む仮想
の所定の基準面とのなす捻り角を変化させることが望ま
しい。
【0411】これにより、羽部が流体から浮ける流体力
の大きさや向きが変化して、浮上本体部を上昇、下降、
前進または後退させることができる。
【0412】このような主軸部にて羽部の姿勢を変える
ためには、駆動部は少なくとも3自由度を有するアクチ
ュエータを含んでいることが望ましい。
【0413】また、羽部は胴体部の略中心を挟んで一方
側と他方側とにそれぞれ形成され、駆動部は一方側に形
成された羽部と他方側に形成された羽部とを個々に駆動
させることが望ましい。
【0414】この場合には、一方側に形成された羽部と
他方側に形成された羽部の姿勢を個々に変化させること
ができて、容易に浮上本体部の向きを変えることができ
る。
【0415】さらに、周囲の状況を把握するためのセン
サ部、情報を記憶するためのメモリ部、あるいは、情報
を送受信するための通信部を備えていることが望まし
い。
【0416】センサ部を備えることで、浮上本体部の位
置や姿勢、速度、周囲の障害物の位置や移動速度、温度
や明るさなどの環境情報を入手し、より適切な羽ばたき
制御を行うことができる。また、メモリ部を備えること
で、得られた環境情報を蓄積することができて、浮上本
体部に学習機能をもたせることができる。さらに、通信
部を備えていることで、複数の浮上本体部とベースステ
ーションとの間で情報のやり取りを行なうことができ、
取得した情報を交換することで複数の浮上本体部間で協
調行動などを容易に行なうことができる。
【0417】なお、今回開示された実施の形態はすべて
の点で例示であって制限的なものではないと考えられる
べきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許
請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意
味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図
される。
【0418】
【発明の効果】本発明のマイクシステム、浮上移動装置
によれば、または、浮上移動制御装置によれば、特定の
人の居るところまで行くことが難しい環境においても、
その特定の人のとことまで素早く音声取得手段を移動さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態のマイクシステムの構成を示す概
略図である。
【図2】 実施の形態のロボットの構造を示す正面図で
ある。
【図3】 実施の形態のロボットの羽根を示す拡大斜視
図である。
【図4】 実施の形態のロボットの羽根のストローク角
θと偏角αを示す図である。
【図5】 実施の形態のロボットの羽根の捻り角βを示
す図である。
【図6】 実施の形態のロボットの羽根の羽ばたきに用
いるアクチュエータのステータ部分を解説するための図
である。
【図7】 実施の形態のロボットの羽根のアクチュエー
タを解説するための図である。
【図8】 実施の形態のロボットの羽根の羽ばたき動作
における打下ろし動作を示す図である。
【図9】 実施の形態のロボットの羽根の羽ばたき動作
における打上げ動作を示す図である。
【図10】 実施の形態のロボットの羽根の羽ばたき動
作における第1の状態を示す図である。
【図11】 実施の形態のロボットの羽根の羽ばたき動
作における第2の状態を示す図である。
【図12】 実施の形態のロボットの羽根の羽ばたき動
作における第3の状態を示す図である。
【図13】 実施の形態のロボットの羽根の羽ばたき動
作における第4の状態を示す図である。
【図14】 実施の形態のロボットの羽根の羽ばたき動
作における羽根の駆動の時間依存を示す第1のグラフで
ある。
【図15】 実施の形態のロボットの羽根の羽ばたき動
作における羽根の駆動の時間依存を示す第2のグラフで
ある。
【図16】 実施の形態のロボットの羽根の駆動する際
のアクチュエータのトルクと支点反力とのシミュレーシ
ョン結果を示すグラフである。
【図17】 実施の形態のロボットシステムのベースス
テーションの構成を示す概念図である。
【図18】 実施の形態のロボットシステムの各構成要
素の関連を示す説明図である。
【図19】 実施の形態のロボットシステムの動作の一
例を説明するためのフローチャートである。
【図20】 実施の形態のロボットの離陸過程における
情報処理を表わす説明図である。
【図21】 実施の形態におけるロボットの巡回過程に
おける情報処理を表わす説明図である。
【図22】 実施の形態におけるロボットの着陸過程に
おける情報処理を表わす説明図である。
【図23】 別実施の形態に係る羽ばたき装置を示す図
であり、(a)はその部分正面図であり、(b)はその
部分側面図である。
【図24】 別実施の形態において、羽ばたき運動と羽
ばたき運動の位相との関係を示すグラフである。
【図25】 別実施の形態において、羽ばたき装置にお
ける羽ばたき動作の第1の状態を示す図である。
【図26】 別実施の形態において、羽ばたき装置にお
ける羽ばたき動作の第2の状態を示す図である。
【図27】 別実施の形態において、羽ばたき装置にお
ける羽ばたき動作の第3の状態を示す図である。
【図28】 別実施の形態において、羽ばたき装置にお
ける羽ばたき動作の第4の状態を示す図である。
【図29】 別実施の形態において、羽ばたき装置にお
ける羽ばたき動作の第5の状態を示す図である。
【図30】 別実施の形態において、羽ばたき装置にお
ける羽ばたき動作の第6の状態を示す図である。
【図31】 別実施の形態において、羽ばたき装置にお
ける羽ばたき動作の第7の状態を示す図である。
【図32】 別実施の形態において、羽ばたき装置にお
ける羽ばたき動作の第8の状態を示す図である。
【図33】 別実施の形態において、一変形例に係る羽
ばたき装置を示す正面模式図である。
【図34】 別実施の形態において、他の変形例に係る
羽ばたき装置を示す正面模式図である。
【図35】 別実施の形態において、さらに他の変形例
に係る羽ばたき装置を示す正面模式図である。
【図36】 別実施の形態において、図23に示す羽ば
たき装置の構造を示す平面模式図である。
【図37】 別実施の形態において、羽に作用する力お
よび各角度のそれぞれの羽ばたき運動の位相に対する変
化を示す第1のグラフである。
【図38】 別実施の形態において、羽に作用する力お
よび各角度のそれぞれの羽ばたき運動の位相に対する変
化を示す第2のグラフである。
【図39】 羽ばたき浮上制御の制御関数を説明するた
めの説明図である。
【図40】 左羽の羽ばたかせ方の変化と、それに伴っ
て起きる浮上状態の変化とを対応づけた対応表を示す図
である。
【図41】 羽ばたき浮上の基本動作を実現するための
羽ばたかせ方のパターンを示した対応表を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 支持構造、21 右アクチュエータ、22 左アク
チュエータ、31 右羽根、32 左羽根、4 制御装
置、51 加速度センサ、52 角加速度センサ、53
マイク、6 電源、61 電極、7 通信装置、8
発光ダイオード、90 ロボット、91 ベースステー
ション、911 演算装置、912 メモリ、913
充電装置、914 充電孔、915 電磁石、917
通信装置、918 マウス、919 指示入力パネル、
92 講演会場、93 質問者、94 講演者。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 圭太 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5D015 KK01

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空間において浮上移動することが可能で
    あるとともに、空間内の所定の位置に定位することが可
    能な浮上移動装置と、 該浮上移動装置に設けられた音声を取得するための音声
    取得手段と、 該音声取得手段により取得された音声を発生するための
    音声発生手段と、 前記浮上移動装置の浮上移動を制御するための浮上移動
    制御装置とを備えた、マイクシステム。
  2. 【請求項2】 前記浮上移動装置および前記音声取得手
    段と、前記音声発生手段とが別体に設けられ、 前記浮上移動装置は、前記音声取得手段により得られた
    音声に関する音声情報を前記音声発生手段に送信し、 前記音声発生手段は、前記送信されてきた前記音声情報
    を受信して、該受信された音声情報に基づいて、音声を
    発生する、請求項1に記載のマイクシステム。
  3. 【請求項3】 前記浮上移動装置および前記音声取得手
    段と、前記音声発生手段とが一体的に設けられた、請求
    項1に記載のマイクシステム。
  4. 【請求項4】 前記浮上移動装置は、前記音声取得手段
    により取得された音声に関する情報を記憶する音声情報
    記憶手段を含み、 前記音声発生手段は、前記音声情報記憶手段に記憶され
    ている音声情報に基づいて、音声を発生する、請求項1
    〜請求項3のいずれかに記載のマイクシステム。
  5. 【請求項5】 前記浮上移動制御装置は、前記音声発生
    手段により発生されている音声の状態が予め定められた
    所定の音声の状態となるように、前記浮上移動装置の空
    間における位置および行動を自動的に変更する制御を行
    なうように設定された、請求項1〜請求項4のいずれか
    に記載のマイクシステム。
  6. 【請求項6】 前記浮上移動制御装置は、前記音声発生
    手段により発生されている音声の状態が予め定められた
    所定の音声の状態となるように、前記音声取得手段の態
    様を自動的に変更する制御を行なうように設定された、
    請求項1〜請求項5のいずれかに記載のマイクシステ
    ム。
  7. 【請求項7】 前記浮上移動装置が、羽根の羽ばたき運
    動により流体が存在する空間を羽ばたき飛行可能な羽ば
    たき装置である、請求項1〜請求項6のいずれかに記載
    のマイクシステム。
  8. 【請求項8】 前記浮上移動制御装置は、前記音声取得
    手段により取得された音声に関する音声情報の態様が予
    め定められた所定の音声情報の態様となるように前記浮
    上移動装置を制御するように設定された、請求項1〜請
    求項7のいずれかに記載のマイクシステム。
  9. 【請求項9】 前記浮上移動装置は、目的位置に到達す
    るまでは予め定められた基準高度より高い位置を浮上移
    動するように設定された、請求項1〜請求項8のいずれ
    かに記載のマイクシステム。
  10. 【請求項10】 前記浮上移動制御装置は、空間におけ
    る障害物に関する情報をマップデータとして予め記憶し
    ておくマップデータ記憶手段を含み、 該マップデータ記憶手段に記憶された障害物の情報を用
    いて、該障害物と接触することを回避する回避制御を行
    なうように設定された、請求項1〜請求項9のいずれか
    に記載のマイクシステム。
  11. 【請求項11】 前記浮上移動装置は、該浮上移動装置
    周辺の画像情報を取得するための画像取得手段をさらに
    含み、 該画像取得手段により取得された画像情報を表示するた
    めの画像表示手段をさらに備えた、請求項1〜請求項1
    0のいずれかに記載のマイクシステム。
  12. 【請求項12】 前記浮上移動制御装置は、前記浮上移
    動装置の外部に設けられ、人為的に前記浮上移動装置の
    浮上移動を制御することが可能に構成されている、請求
    項1〜請求項11のいずれかに記載のマイクシステム。
  13. 【請求項13】 前記浮上移動制御装置は、 前記浮上移動装置の空間における位置および行動のうち
    少なくともいずれか一方を特定するための位置行動情報
    を入力可能な位置行動情報入力手段を含む、請求項12
    に記載のマイクシステム。
  14. 【請求項14】 前記浮上移動制御装置は、前記浮上移
    動装置が前記位置行動情報により特定された位置まで移
    動するための予定の移動経路の決定を行なう移動経路決
    定手段を含む、請求項13に記載のマイクシステム。
  15. 【請求項15】 前記浮上移動制御装置は、 前記浮上移動装置の空間における定位姿勢を特定するた
    めの定位姿勢情報を入力可能な定位姿勢情報入力手段を
    含む、請求項12〜請求項14のいずれかに記載のマイ
    クシステム。
  16. 【請求項16】 前記浮上移動制御装置は、前記定位姿
    勢情報入力手段により入力された前記位置姿勢情報を前
    記浮上移動装置に送信するための位置姿勢送信手段を含
    み、 前記浮上移動装置は、前記位置姿勢送信手段により送信
    された前記位置姿勢情報に基づいて前記浮上移動装置の
    定位位置および定位姿勢を実現する浮上態様を決定する
    ための浮上態様決定手段を含む、請求項15に記載のマ
    イクシステム。
  17. 【請求項17】 前記浮上移動制御装置が複数設けら
    れ、 該複数の浮上移動制御装置それぞれが、予め定められた
    空間を分担して前記浮上移動装置を制御するように設定
    された、請求項1〜請求項16のいずれかに記載のマイ
    クシステム。
  18. 【請求項18】 前記浮上移動装置が複数用いられ、 該複数の浮上移動装置それぞれが、予め定められた空間
    を分担して浮上移動するように設定された、請求項1〜
    請求項17のいずれかに記載のマイクシステム。
  19. 【請求項19】 前記羽根の羽ばたき運動における周波
    数が、前記音声取得手段の音声収集可能周波数帯域の外
    の周波数となるように設定された、請求項7に記載のマ
    イクシステム。
  20. 【請求項20】 前記音声取得手段が、少なくとも音声
    を収集するときには、浮上移動によって生じる流体の流
    速が最小となる部位の近傍に配置されるように設定され
    た、請求項1〜請求項19のいずれかに記載のマイクシ
    ステム。
  21. 【請求項21】 前記羽根は、左右対称に設けられた左
    羽根と右羽根とからなり、 前記音声取得手段が、前記羽ばたき浮上装置の前側また
    は上側であって、前記左羽根と前記右羽根との間の付近
    に設けられた、請求項7に記載のマイクシステム。
  22. 【請求項22】 前記羽ばたき浮上装置が、音声を収集
    するときには、ホバリングを行なうように設定された、
    請求項7に記載のマイクシステム。
  23. 【請求項23】 前記羽ばたき浮上装置が、前記羽根の
    膜面に垂直に羽根を動かす羽ばたき運動により浮上する
    ように設定された、請求項7に記載のマイクシステム。
  24. 【請求項24】 空間において浮上移動することが可能
    であるとともに、空間内の所定の位置に定位することが
    可能な浮上移動装置であって、 音声を取得するための音声取得手段が設けられ、 該音声取得手段により取得された音声を発生するための
    音声発生手段と、前記浮上移動装置の外部に設けられた
    前記浮上移動装置の浮上移動を制御するための浮上移動
    制御装置とを備えたマイクシステムに用いられ、 前記浮上移動制御装置により、浮上移動が制御されるよ
    うに設定された、浮上移動装置。
  25. 【請求項25】 空間において浮上移動することが可能
    であるとともに、空間内の所定の位置に定位することが
    可能な浮上移動装置と、該浮上移動装置に設けられた音
    声を取得するための音声取得手段と、該音声取得手段に
    より取得された音声を発生するための音声発生手段とを
    備えたマイクシステムに用いられ、 前記浮上移動装置の外部に設けられ、前記浮上移動装置
    の浮上移動を制御することが可能に構成された、浮上移
    動制御装置。
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