JP3860077B2 - アラームシステムおよび目覚まし時計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はアラームシステムおよび目覚まし時計に関し、特に、確実に睡眠者を覚醒状態に移行させることのできるアラームシステムおよび目覚まし時計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、より確実に人を覚醒させ得る目覚まし時計はいろいろと考えられてきている。
【0003】
一般的な目覚まし時計は、音により睡眠者を覚醒する手法を採用している。しかし、その性質上、覚醒のための音(以降、アラームと称する)を停止させるスイッチ(以降、アラームスイッチと称する)を備えている必要がある。睡眠者はアラームスイッチを簡単に操作できるため、アラーム停止後に、再び睡眠状態に入ってしまう、いわゆる「二度寝」をしてしまうという問題があった。
【0004】
このため、感覚器官を刺激して、より確実に睡眠者を覚醒状態に移行させる手法が考えられてきた。
【0005】
例えば、音量を大きくする等の手法が挙げられる。
また例えば、特開2000−147150号公報には、特定の器具により解除されるアラームスイッチを備え、睡眠者が覚醒状態に移行してこの特定の器具を取得しない限りアラームを止めることが難しい構成を実現することにより、より容易に睡眠者を覚醒状態に移行させる機能を備える目覚まし時計が提案されている。
【0006】
また、実開平5−25392号公報では、所定時刻になると、睡眠者が睡眠状態ではアラームスイッチに手を届かせることのできない位置に移動することによって、睡眠者に起立を促し、より容易に睡眠者を覚醒状態に移行させる機能を備える目覚まし時計が提案されている。
【0007】
また、枕に空気を送込んで膨らませる、ベッドが傾く等の手法で、強制的に睡眠者を起立状態にすることで覚醒状態に移行させる機能はすでに実用化されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の目覚まし時計は、睡眠者を覚醒させる際に睡眠者に不快感を与えてしまう、もしくは睡眠者が使用する際に不便が生ずるという問題があった。
【0009】
具体的には、上述の特開2000−147150号公報に提案されている目覚まし時計を用いた場合、睡眠者は覚醒状態に移行しきらぬ状態でアラームを停止させるための器具を捜索することを強制されているため、非常に不快感を覚えてしまうという問題がある。逆に、この不快感を緩和させるために、アラームを停止させる器具を配する場所を容易に取得できる場所に設定すると、覚醒が不充分なうちに目覚まし時計のアラームを停止してしまい、二度寝が容易になってしまうという問題があった。このため、覚醒することとは直接関係のない不快感を増加させることと、目覚まし時計としての機能を向上させることとが両立できないう問題があった。
【0010】
また、上述の実開平5−25392号公報に提案されている目覚まし時計を用いた場合、睡眠者に起立を促す手法であるため、覚醒することと関係のない不快感は発生しない。しかし、当該目覚まし時計が回転動作を伴なうため、睡眠者と衝突する危険があり、睡眠者に不安感を与えるという問題があった。また、当該目覚まし時計の本体が運動する構成であるため、時刻表示を読取ることができなくなるという問題もあった。
【0011】
当然、音量の大きなアラームは、精神的にも肉体的にも苦痛であり、程度によっては安眠を阻害するという問題があった。
【0012】
また上述の従来技術である、枕に空気を送込んで膨らませる、もしくはベッドを傾ける等の手法では、人体を移動させるだけのパワーを備えるポンプやアクチュエータが必要となり、高価であるという問題があった。このため、利用するのは電車運転手などの、時間を守ることが必要とされる特定の職業に限られてしまうという問題があった。
【0013】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであって、睡眠者に不快感や不安感を与えることなく、容易かつ確実に睡眠者を覚醒状態に移行させることのできる安価なアラームシステムおよび目覚まし時計を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、アラームシステムは、ベースステーションとロボットとからなるアラームシステムであって、ベースステーションは、予め設定されたタイミングでアラームを動作させるアラーム開始手段を備え、ロボットは、アラームを停止させるアラーム停止手段と、羽ばたき飛行によって浮上移動する移動手段と、人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段で人体を検出する際の、ロボットの位置を、ベースステーションからの距離と、ベースステーションを基準とする角度とによって、予め設定する位置設定手段とを備える。
【0015】
また、好ましくは、アラーム停止手段は、人体検出手段でを検出することをトリガとしてアラームを停止させる。
【0016】
また、好ましくは、人体検出手段は、浮上移動を行なって人体を検出する。
【0018】
また、好ましくは、人体検出手段は、非接触状態にて人体を検出する。
また、好ましくは、アラームシステムは、人体が特定の位置および姿勢であるときに、検出手段で人体を検出することのできる位置および姿勢に、ロボットを定位する定位手段をさらに備える。
【0019】
また、アラームシステムは、ロボットを定位する位置および姿勢を設定する定位設定手段をさらに備えることが望ましい。
【0021】
また、好ましくは、ロボットは、設定された位置に予め設定された曲線に沿って定位する。
【0022】
また、上述の曲線は、予め設定された値を円弧の半径とする曲線であり、円弧の両端が、人体検出手段で人体を検出する際のロボットの位置と、ベースステーションとであることが望ましい。
【0023】
また、より好ましくは、ロボットを定位する位置は、アラームの停止後に上記人体が経由する領域を人体検出手段の検出領域に含む位置である。または、より好ましくは、ロボットを定位する位置は、伏臥状態の上記人体を人体検出手段の検出範囲に含まず、起立状態の上記人体を検出範囲に含む位置である。
【0024】
また、上述のベースステーションは、ロボットの浮上を指示する指示手段をさらに備えることが望ましい。
【0025】
本発明の他の局面に従うと、目覚まし時計は、ベースステーションとロボットとからなる目覚まし時計であって、ベースステーションは、時刻を計測する時刻計測手段と、時刻計時手段で予め設定された時刻が計時されるとアラームを動作させるアラーム開始手段とを備え、ロボットは、アラームを停止させるアラーム停止手段と、羽ばたき飛行によって浮上移動する移動手段と、人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段で人体を検出する際の、ロボットの位置を、ベースステーションからの距離と、ベースステーションを基準とする角度とによって、予め設定する位置設定手段とを備える。
【0026】
また、好ましくは、アラーム停止手段は、人体検出手段で人体を検出することでアラームを停止する。
【0027】
また、好ましくは、人体検出手段は、起立状態である人体のみを検出する。より詳しくは、人体検出手段は、伏臥状態の上記人体を検出範囲に含まず、起立状態である上記人体を検出範囲に含むことがより好ましい。
【0028】
また、目覚まし時計は、ロボットが浮上移動する軌道を設定する設定手段をさらに備えることが望ましい。
【0029】
また、上述のベースステーションは、ロボットの離陸を指示する指示手段をさらに備えることが望ましい。
【0030】
また、上述のアラーム停止手段は、ロボットが浮上移動後に所定の場所に帰還することによって、アラームを停止させることが望ましい。
【0031】
また、人体検出手段で人体を検出する際のロボットの浮上高度が、起立状態である人体の身長以上であることが望ましい。
【0032】
また、上述のロボットは、人体を検出する人体検出手段をさらに備え、人体検出手段で人体を検出する際のロボットの位置が、睡眠状態にある人体が覚醒後に第1に活動を行なう位置に起立した際の起立状態である人体を、人体検出手段で検出できる位置であることが望ましい。
【0033】
また、目覚まし時計は、一定時間経過後に、自動的に前記ロボットを所定の場所に帰還させる帰還手段をさらに備えることが望ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0035】
図1は、本実施の形態におけるアラームシステムの構成を示す図である。
図1を参照して、本実施の形態におけるアラームシステムは、羽ばたき浮上移動機構を備えたロボット90と、ベースステーション91とから構成される。
【0036】
次に、上述のアラームシステムの動作について、具体的に説明を行なう。
アラームシステムのロボット90は少なくとも、目標位置への定位、目標位置での待機、および目標位置よりベースステーション91への帰還、の3つの動作を行なう。以降の説明において、これらの動作をそれぞれ定位動作、待機動作、および帰還動作、またこの動作を行なっている状態をそれぞれ、定位状態、待機状態、および帰還状態と称する。
【0037】
部屋92において、予め設定した時刻になるとロボット90は、ベースステーション91より浮上移動し、覚醒対象である睡眠者93の身長以上の高さに定位する。また、ベースステーション91はアラームを動作させる。
【0038】
目標位置に定位後、ロボット90はホバリングを行ない、後述の、睡眠者93の起立確認がなされるまで略同位置にて待機する。
【0039】
睡眠者93は、起立し、ロボット90の近辺まで移動し、ロボット90に自らが起立状態にあることを認識させる。ロボット90は、備えられたセンサにより、睡眠者93が起立状態にあることを認識する。ロボット90が睡眠者93の起立状態を認識すると、ロボット90は待機状態を解除し、ベースステーション91に帰還する。ベースステーション91はロボット90の帰還を検出すると、アラームを停止させる。以上のプロセスにより、睡眠者93はアラームを停止させることができる。
【0040】
また、睡眠者93は、起立状態にない限りアラームを停止させることができない。そのため、以上のプロセスにより、本実施の形態におけるアラームシステムは、アラーム停止動作と同時に、確実にかつ簡便に、睡眠者93を起立状態に導くことができる。
【0041】
次に、図1に示されるロボット90について説明する。
図2は、図1に示されるロボット90の主要な構成について示す図である。
【0042】
図2を参照して、ロボット90は支持構造1を主構造とし、これに各構成部品が配される。
【0043】
より詳細には、支持構造1の上部には右アクチュエータ21と左アクチュエータ22とが固定される。右アクチュエータ21には右羽31が取付けられ、左アクチュエータ22には左羽32が取付けられる。各羽31および32の構成については、後に詳述する。
【0044】
また、支持構造1の下部に電極61が配される。
各アクチュエータ21および22は、各々取付けられた羽31および32を、アクチュエータ21および22の支点を略中心として、3自由度をもって回転させる。各アクチュエータ21および22の回転は、支持構造1に搭載された制御装置4によって制御される。各アクチュエータ21および22の詳細な構造については後述する。
【0045】
なお、図2に示される状態におけるロボット90の重心Oは、左右アクチュエータ21および22の回転中心の中点A0よりも鉛直下方にある。
【0046】
また、支持構造1には、加速度センサ51、角加速度センサ52、および人体センサ53が搭載される。
【0047】
上述の制御装置4は、上述の加速度センサ51および角加速度センサ52から送られる情報によって、ロボット90の浮上の状態を検知する。
【0048】
人体センサ53は、人体もしくはその一部(例えば手のひら等)の存在の有無を検出し、その情報を制御装置4に送信する。
【0049】
制御装置4は、これらの情報によりロボット90の動作を決定し、ロボット90を制御する。また、制御装置4は、支持構造1に配された発光ダイオード8のON/OFFを制御する。
【0050】
上述の左右アクチュエータ21および22、制御装置4、センサ51〜53、および発光ダイオード8等を駆動するエネルギーは、電力として電源6により供給される。電源6は、2次電池であり、電極611,612,613を経由して供給される電力によって充電される。
【0051】
また、これとは別に、ロボット90の軌道データをベースステーション91より受取るための受信用シリアルインタフェースとして、電極612が配される。
【0052】
また、電極611,612,613は、位置決めピンの役割も兼ねる。そのため、電磁石による吸引が可能なように、1つ以上のピンが磁性体を含む構成となっている。この構成により、ロボット90は、後述する、電磁石による吸引機能を備えたベースステーション91の位置決穴に、所定の姿勢で定位することが可能である。なお、以上の電極611,612,613は、個別に運動することがないので簡便のため、まとめて電極61とも称する。
【0053】
次に、上述の支持構造1について、図2を用いてより詳細に説明する。
支持構造1は、機械的強度を確保した上で十分軽量であることが望ましい。本実施の形態におけるロボット90の支持構造1では、略球殻状に整形したポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられるものとする。
【0054】
また、支持構造1の材料や形状は、飛行の性能を損なわないものであれば、上述の材料や、図2に示された形状に限られるものではない。すなわち、支持構造1の材料は、特に、軽量で剛性が高いことが望ましい。そのため、例えば、蟹や海老等の生物に使われているキトサンなどの有機物と、シリカゲルなどの無機物とを、分子レベルでハイブリッド化した複合材料を用いることも考えられる。前記複合材料を用いることにより、蟹や海老等の外骨格が備える、軽くて丈夫であり、かつ、形状加工が容易であるという、生物が本来持っている最適な組成値をそのまま支持構造1に転用することができる。また、上述の複合材料は、環境に対しても害が少ないため望ましい材料である。さらに、貝殻の材料である炭酸カルシウムを、前述のキトサンに替えて用いることでも、剛性の高い支持構造1を構築することができる。
【0055】
また、アクチュエータ21および22、羽31および32の配置、形状についても、図2に示される態様に限るものではない。
【0056】
なお、本実施の形態では、ロボット90の浮上の安定性を特に重要視して、すなわち、浮上時に自然に図2に示した姿勢となるように、重心Oの位置を羽31および32の力学的作用中心点(回転中心の中点A0)の位置よりも下に位置させている。しかし、重心Oと力学的作用点(回転中心の中点A0)の位置とを一致させる方が、ロボット90姿勢制御に必要な左右の羽31および32の流体力の差を最も小さくすることができるため、ロボット90の姿勢を容易に変更することができる。よって、ロボット90の形態は、上述の、重心Oの位置を羽31および32の力学的作用中心点の位置よりも下に位置する形態に限定されず、上述の、重心Oと力学的作用点の位置とを一致させる形態、すなわち、姿勢制御の容易さを優先した設計を行なうことも考えられる。
【0057】
次に、上述のロボット90の、羽31および32の構成とその動作について、以下に説明する。
【0058】
ここで、説明の簡便のため、図2における座標系を定義する。
まず、支持構造1の略中央を原点とする。また、重力加速度の方向を下方向、その逆を上方向とする。原点から上方に向かってz軸を定義する。
【0059】
次に、右アクチュエータ21の形状中心と左アクチュエータ22の形状中心を結ぶ方向を左右方向とし、原点から左羽32に向かってy軸を定義する。また、原点から、y軸とz軸との右手系における外積方向にx軸を定義し、以後これを前方、その反対方向を後方と称する。
【0060】
また、図2には、ロボット90が、右羽31の右アクチュエータ21に対する力学的作用点A1と、左羽32の左アクチュエータ22に対する力学的作用点A2との中点A0から、重力加速度方向に下ろした線上に本装置の重心Oが位置する状態であることが示されている。本実施の形態においては、左アクチュエータのロータ229(図示せず)は略球状であり、左羽32の主軸321の延長線上にこのロータ229の球心が位置するように左羽32が配置される。左アクチュエータ22に対する力学的作用点A2および主軸321の回転運動の支点は、このロータ229の球心に一致する。なお、右アクチュエータ21についても同様である。
【0061】
以後、前述したx軸、y軸、z軸は図2に示される状態において、支持構造1に対して固定された、本実施の形態のロボット90に固有の座標系であるものとして説明を行なう。
【0062】
一方、上述のロボット90の固定された座標系に対して、空間に固定された任意の点を原点とする空間座標として、x’軸、y’軸およびz’軸を定義する。これにより、ロボット90が移動する作業空間92の座標は、上述のx’軸、y’軸およびz’軸のそれぞれの座標を用いて表され、ロボット90における固有の座標は、x軸、y軸およびz軸のそれぞれの座標を用いて表される。
【0063】
次に、羽31および32の構造について説明する。
左羽32は、主軸321と、主軸321から枝状に伸びた枝322とから構成される支持部材に、膜323を張ることで形成される。主軸321は、左羽32において、前方よりの位置に配される。また、枝322は、先に行くほど(主軸321から遠くなるほど)下方を向く。さらに、左羽32は、上に凸状の断面形状を有する。これによって、特に左羽32を打下ろす際に、左羽32は、流体から受ける力に対して高い剛性を得る。
【0064】
上述の主軸321と枝322とは、軽量化のため、それぞれカーボングラファイトの中空構造である。また、膜323は、その面内において収縮する方向に自発的な張力を有し、左羽32全体の剛性を高める働きを行なう。
【0065】
なお、具体的に、本発明者らが実験に用いた数値は、以下の数値である。左羽32の主軸321の直径は、支持構造1に支持された根元の部分では100μm、先端部では50μmであり、主軸321は根元から先端部へ向かって細くなるテーパー形状である。また、膜323の材質はポリイミドであり、膜323の大きさは前後方向約1cm、左右方向約4cm、厚さは約2μmである。
【0066】
さらに、上述の具体的な左羽32の構成を図示する。図3は、左羽32の構成の具体例を示す図である。図3に示された左羽32は、説明のために主軸321はその太さが拡大されて示されている。図示されない右羽31は、xz平面を挟んで左羽32と鏡面対象になるように支持構造1に取付けられる。
【0067】
なお、ここに示した羽31および32の形状、材質等は具体例の1つであり、飛行の機能を実現する羽31および32の構成は、ここに示される形状、材質等に限定されない。
【0068】
次に、羽31および32の動作について、左羽32を例に挙げて説明する。
左アクチュエータ22は、左羽32を回転3自由度で動かすことが可能である。つまり、左羽32の駆動状態は、その姿勢で表わされる。ここで、以後の説明の簡便のため、左羽32の姿勢を、図2に示される状態に基づき、以下のように定義する。図4および図5は、左羽32の姿勢を示すための第1の図および第2の図である。
【0069】
まず、図4に示すように、主軸321の回転運動の支点(力学的作用点A2)と、x軸およびy軸にそれぞれ平行な軸(//x、//y)とを含むxy平面に平行な平面を基準として、点A2と左羽32の主軸321の根元とを結ぶ線分がその平面となす角度を、羽ばたきのストローク角θとする。また、主軸321の回転運動の支点(力学的作用点A2)とy軸およびz軸にそれぞれ平行な軸(//y、//z)とを含むyz平面に平行な平面を基準として、点A2と左羽32の主軸321の根元とを結ぶ線分がその平面となす角度を偏角αとする。
【0070】
このとき、ストローク角θはxy平面に平行な平面より上方では正とし、下方では負とする。また偏角αはyz平面に平行な平面よりも前方では正とし、後方では負とする。
【0071】
そして、図5に示すように、左羽32の主軸321の根元における膜323の接平面p1が、点A2を通りx軸と平行な軸(//x)と主軸321とを含む平面p0となす角度を、ねじり角βとする。このとき、ねじり角βは、主軸321の根元から先端に向かって見たときに、時計回りを正とする。
【0072】
次に、アクチュエータ21および22について説明を行なう。
本実施の形態におけるアクチュエータ21および22については、トルクが大きいこと、往復運動が簡単に実現できること、および構造が単純なことなどから、圧電素子(ピエゾ)を用いて発生した進行波によって駆動する、一般的に超音波モータと呼ばれるアクチュエータを用いる。
【0073】
まず始めに、一般的な超音波モータについて検討を行なう。図6は、一般的な超音波モータ23を示す図である。
【0074】
図6を参照して、超音波モータ23は、図6(a)に示される如く、下面に圧電素子230を貼付けてあるアルミニウムの円盤231上に、突起232〜237が円盤231の中心を重心とする正六角形をなすように6カ所配され、さらにこの圧電素子230の下面には円周方向に12分割された電極238が配される構造である。
【0075】
さらに、超音波モータ23の構造の概略を図6(b)に示す。12分割された電極238の各電極は、1つおきに電気的に短絡されており、それぞれ、円盤231を規準に電圧が印加される。すなわち圧電素子230には、2相の異なる電圧が加えられる。この様子を図6(c)に、ハッチングと黒塗りつぶしとに分けて示す。このそれぞれに異なる時間的パターンで電圧を加えることによって、円盤231上に進行波が発生し、突起232〜237の先端が楕円運動を行なう。
【0076】
なお、以上の、検討に用いた一般的な超音波モータ23の、具体的な数値の例を挙げる。
【0077】
超音波モータ23のトルクは、1.0gf・cmで、無負荷回転速度は800rpmである。また、その際の最大消費電流は20mAである。また、円盤231の直径は8mm、突起232〜237の配されている間隔は2mmである。円盤231の厚さは0.4mm、突起の高さは約0.4mmである。また、この場合の圧電素子230の駆動周波数は341kHzである。
【0078】
上述の一般的な超音波モータ23を用いて、ステータを構成することができる。このステータは、ステータ上に接触して配されたロータ239(図示せず)を、上述の突起232〜237の先端の楕円運動により搬送する。
【0079】
本実施の形態におけるロボット90では、上述のステータ部分を流用したアクチュエータ21および22を用いる。
【0080】
次に、図7は、右アクチュエータ21の構成を示す図である。
図7を参照して、右アクチュエータ21は、図7(b)に示す如く、球殻状のロータ219を、上述のステータと同様のステータ210とベアリング211とで挟込んで保持する構造である。ただし、ステータ210のロータ219との接触部は、ロータ219表面と一致する形状に加工される。
【0081】
なお、本実施の形態におけるロータ219のサイズの具体例としては、外形3.1mm、内径2.9mmの球殻で、表面に右羽主軸311が配される。ステータ210の突起のある面に向かって見て時計回り(以後、これを正回転、この逆の回転を逆回転と呼ぶ)にロータ219を搬送させる操作を行なうと、右羽主軸311は図7(b)に示すθの方向に移動する。
【0082】
さらに、上述のロータ219を3自由度で駆動するために、上部補助ステータ212と下部補助ステータ213とをベアリング214、215と共にステータ210、ベアリング211と同様に図7(a)に示すように配する。本実施の形態においては、各補助ステータ212,213の大きさの具体例としては、ステータ210の0.7倍である。
【0083】
上述のステータの駆動方向は、必ずしも直交していない。しかし、それぞれ独立した要素への回転を与えるため、これらの運動の組合わせによって、ロータ219を3自由度で駆動することができる。
【0084】
例えばロータ219に対して、上部補助ステータ212によって正回転を、下部補助ステータ213によって同じく正回転を与えれば、ロータ219はこの合成であるβ方向に回転する。また、上部補助ステータ212によって逆回転を、下部補助ステータ213によって正回転を与えれば、α方向に回転する。
【0085】
なお、実際の駆動に際しては、回転中心の異なる2つの回転を行なわせることは、摩擦によって効率を低下させてしまう。そのため、例えば上部補助ステータ212と下部補助ステータ213とをごく短時間周期で交互に動作させ、その間、動作していないステータの突起はロータ219に接触しない、等の駆動方法を行なうことが望ましい。これは、ステータの電極全てに、圧電素子の収縮方向に電圧を印加することで、特別に構成要素を付加することなく実現することができる。
【0086】
また、実際の圧電素子の駆動周波数が300kHz以上と、せいぜい100Hz程度である羽ばたき周波数に比べて十分高速であるので、交互にアクチュエータ21を動作させても、実質上なめらかな動きを右羽主軸311に与えることができる。
【0087】
以上により、上述の検討に用いた一般的な超音波モータ23と同等の特性を有する、3自由度を備えるアクチュエータ21および22が構成される。
【0088】
なお、上述のステータの発生する進行波の振幅がサブミクロンオーダであるため、上述のロータ219は、このオーダの真球度であることが要求される。民生用の光学製品に用いられている放物面鏡の加工精度は数10nmであり、また、光学干渉計に用いられる光学部品の加工精度は数nm程度であることから、このようなロータは現在の加工方法、技術で作成することが可能である。
【0089】
なお、これは本発明における3自由度の運動を羽31および32に与えるアクチュエータ21および22を超音波モータで構成した具体例の1つに過ぎず、各構成要素の配置、サイズ、材質、および駆動方法等は、羽ばたき飛行に要求される物理的機能、例えばトルク等が実現できるならこの限りではない。
【0090】
また、言うまでもなく、羽31および32の駆動機構や、羽31および32の駆動に用いるアクチュエータ21および22の種類についても、特に上述に限定されるものれはない。たとえば特開平5−169567号公報に開示されているような、外骨格構造とリニアアクチュエータとを組合わせて用いた羽ばたき機構等であっても、上述のアクチュエータ21および22と等価な羽31および32の動作を実現できる。
【0091】
また、駆動エネルギーとして電力を用いたが、内燃機関を用いることも可能である。さらに、昆虫の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応により、化学的エネルギーを運動エネルギーに変換するアクチュエータを用いることも可能である。例えば、昆虫から採取した筋肉をリニアアクチュエータとして用いる方法や、虫の筋肉のタンパク質のアミノ酸と無機物とを材料として分子レベルでこれらを複合化させて作った複合材料の人工筋肉をリニアアクチュエータとして用いる、等の方法がある。
【0092】
さらに、基本的な駆動力を上述の内燃機関等のエネルギー効率の高いアクチュエータで得て、これらの制御もしくは補助として電力で駆動するアクチュエータを用いる手法も可能であることは言うまでもない。
【0093】
次に、ロボット90の浮上方法について説明を行なう。
なお、ここでは、羽31および32が流体から受ける力を流体力と呼ぶこととする。また、説明の簡便のため、空気の流れはがはばたきによってのみ起こる状態、すなわち無風状態であるものと仮定して説明する。さらに、説明の簡便のため、ロボット90に及ぼされる外力は、羽31および32に流体から作用する力、すなわち、流体力と重力とのみであるものとする。
【0094】
ロボット90が恒常的に浮上するためには、1回の羽ばたき動作の間で、平均して、
(羽にかかる上方向の流体力の総和)>(ロボット90にかかる重力)
であることが必要である。
【0095】
ここでは、昆虫の羽ばたきを単純化した羽ばたき方である、打下ろし時の流体力を打上げ時の流体力よりも大きくする方法について説明する。説明の簡便のため、流体の挙動もしくはそれが羽31および32に及ぼす力については、その主要成分を挙げて説明する。また、この羽ばたき方によりロボット90に作用する浮上力と重力との大小については後述する。
【0096】
羽31および32には、羽31および32が運動する方向と逆方向の流体力が作用する。そのため、羽31および32の打下ろし時には羽31および32に上向きの流体力が作用し、打上げ時には羽31および32に下向きの流体力が作用する。そこで、打下ろし時に流体力を大きくし、打上げ時には流体力を小さくすることで、1回の羽ばたき動作(打下ろし動作と打上げ動作とをまとめて羽ばたき動作と言う)の間で時間平均すると上方向の流体力が得られることになる。
【0097】
そのためには、まず、打下ろし時に、羽31および32が移動する空間の体積が最大になるように打下ろせば、羽31および32にほぼ最大の流体力が作用する。これは、羽31および32の接平面と略垂直に羽31および32を打下ろすことに相当する。
【0098】
一方、打上げ時に、羽31および32が移動する空間の体積が最小になるように打上げれば、羽31および32に及ぼされる流体力はほぼ最小となる。これは、羽31および32の断面の曲線にほぼ沿って羽31および32を打上げることに相当する。
【0099】
このような羽31および32の動作について、図8および図9を用いて、例として左羽32について説明を行なう。図8および図9は、左羽32の、主軸321に垂直な第1および第2の断面図である。図8は左羽32の移動する空間の体積が最大になるように打下ろした場合を示す図であり、図9は左羽32の移動する空間の体積が最小になるように打上げた場合を示す図である。
【0100】
図8および図9では、移動前の左羽32の位置は破線で示され、移動後の左羽32の位置は実線で示されている。また、左羽32の移動方向が一点鎖線の矢印によって示されている。図8および図9において太線矢印に示される如く、流体力は左羽32の移動方向とは逆向きに左羽32に作用する。
【0101】
このように、打上げ時における左羽32が移動する空間の体積が、打下ろし時における左羽32が移動する空間の体積よりも大きくなるように、左羽32の姿勢を左羽32の移動方向に対して変化させることで、1回の羽ばたき動作の間の時間平均において、左羽32に作用する上方向の流体力を、ロボット90に作用する重力よりも大きくすることができる。
【0102】
本実施の形態のロボット90では、羽31および32のねじり角βが制御可能である。そのため、ねじり角βを時間的に変化させることによって、上述の羽31および32の運動が実現される。
【0103】
具体的には、図10〜図13に示される左羽32の羽ばたき動作に沿って、以下のステップS1〜S4の説明を行なう。図10〜図13は、左羽32の羽ばたき動作のステップS1〜ステップS4を示す図である。
【0104】
まず、図10を参照して、ステップS1では、左羽32の打下ろしが行なわれる。そのとき、左羽32のストローク角θは、+θ0から−θ0に変化する。
【0105】
次に、図11を参照して、ステップS2では、左羽32の第1の回転動作が行なわれる。このとき、左羽32のねじり角βは、β0からβ1に変化する。
【0106】
また、図12を参照して、ステップS3では、左羽32の打上げ(ストローク角θ=−θ0→+θ0、ねじり角β=β1→β2が行なわれる。このとき、左羽32の曲面に沿った運動を行ない流体力を最小限にとどめるために、左羽32のストローク角θは−θ0→から+θ0に変化し、ねじり角βはβ1からβ2に変化する。
【0107】
さらに、図13を参照して、ステップS4では、左羽32の第2の回転動作が行なわれる。このとき、左羽32のねじり角βは、β2からβ0に変化する。
【0108】
上述の、ステップS1およびステップS3において左羽32に作用する流体力を時間平均すると、上述のように左羽32の移動する空間の体積の違いから、上向きの流体力となる。なお、この上向きの流体力の鉛直成分と重力との大小関係については後述する。
【0109】
なお、言うまでもなく、ステップS2およびS4においても、左羽32に作用する流体力の時間平均は、上向きの流体力であることが望ましい。
【0110】
ここで、ロボット90の羽31および32では、図10〜図13に示す如く、羽31および32の前縁近傍に、羽31および32の回転中心(主軸321部分)が位置する。つまり、主軸321から羽32の後縁までの長さの方が主軸321から羽32の前縁までの長さよりも長い。このため、図11および図13に示すように、羽32の回転動作においては、羽32の回転方向に沿って生じる流体の流れに加えて、主軸321から羽32の後縁に向かう方向に沿って流体の流れが生じる。
【0111】
そして、羽31および32には、このような流体の流れの反作用として、それぞれの流れの向きとは逆向きの力が作用して、図11に示すステップS2では実質的に上向きの流体力が左羽32に与えられ、図13に示すステップS4では主に下向きの流体力が左羽32に与えられる。
【0112】
さらに、図12に示すステップS3では、左羽32の断面の曲線に沿うように左羽32のねじり角βをβ1からβ2に変化させながら打上げ動作が行なわれる。また、図11に示すステップS2における左羽32の回転角は、図13に示すステップS4における左羽32の回転角よりも大きい。これにより、ステップS2およびステップS4においても、左羽32に上向きに作用する流体力が下向きに作用する流体力に打勝って、時間平均すると上向きの流体力が左羽32に作用する。
【0113】
なお、図10〜図13では、それぞれのステップS1〜S4における左羽32の移動前の姿勢が波線で示され、移動後の姿勢が実線で示されている。また、各ステップS1〜S4における左羽32の移動方向が一点鎖線の矢印によって示されている。また、各ステップS1〜S4において主に発生する流体の流れが実線の矢印によって示されている。
【0114】
次に、ストローク角θおよびねじり角βの時間変化について図14に示す。図14は、ストローク角θおよびねじり角βの値を時間の関数として表した図である。ただし、図14では、ストローク角θ、およびねじり角βのそれぞれの縦軸の比率は異なっている。
【0115】
なお、具体的に、本発明者らが実験に用いた数値は、以下の数値である。θ0は60°である。β0は0°である。β1は−120°である。β2は−70°である。
【0116】
さらに、上述の説明においては、説明の簡便のためステップS1〜S4は独立した動作として記述したが、ステップS1において左羽32を打下ろしながら左羽32のねじり角を大きくするような動作も可能である。また、上述した例は、最も近似的な考察から説明されるものであり、実際に浮上可能な羽ばたき方法は上述の例に限られるものではない。
【0117】
また、ここでは左羽32について説明したが、右羽31についてもxz平面に関して鏡面対称に左手系に基づいてストローク角θ、偏角α、およびねじり角βを定義すれば同一の議論が成立つ。以下、羽31および32に作用する上向きの流体力を浮上力とし、羽31および32に作用する前向きの流体力を推進力とする。
【0118】
次に、本実施の形態におけるロボット90に任意の運動を行なわせるための制御手法について説明を行なう。ここでは、本実施の形態におけるロボットの左羽32については右手系に基づくストローク角θ、偏角αおよびねじり角βを用い、そして、右羽31についてはxz平面に対して鏡面対称の左手系に基づくストローク角θ、偏角αおよびねじり角βを用いて羽の姿勢を示す。
【0119】
上述の如く、羽ばたきによる浮上移動は、羽にかかる流体力によって行われる。そのため、羽の運動により、ロボット90に与えられる加速度と角加速度とが直接制御される。
【0120】
まず、Sを目標とする浮上状態と現在の浮上状態との差異とする。T(S)を浮上状態から加速度および角加速度への変換を表わす関数とする。sを加速度および角加速度とする。Fα(s)を加速度センサ51および角加速度センサ52のセンサ応答を含めた制御アルゴリズムを表わす関数とする。sαをアクチュエータ制御量とする。Gw(sα)をアクチュエータ21および22と羽31および32との応答を表わす関数とする。Swを羽31および32の運動とする。Gfs(sw)を羽31および32の運動によりロボット90に及ぼされる加速度もしくは角加速度Seを表わす関数とする。Seがこの一連のプロセスにより行なわれる浮上状態の変更とする。そのとき、入力Sより出力Seが得られるプロセスは、図15に示す如くなる。図15は、羽ばたき動作制御における応答を示す図である。
【0121】
さらに、図15を参照して、実際には、羽31および32と流体との慣性力により、現在までの羽31および32の運動Rwと、流体の運動の時刻歴に依存する影響Rfsとが、GwとGfsとに加わる。
【0122】
なお、上述の方法以外にも、Fα以外の全ての関数を正確に求め、これよりS=Seとなる制御アルゴリズムFαを算出する手法もありうる。しかし、この手法においては、ロボット90周囲の流体の流れと羽31および32の運動の時刻歴とが必要であり、膨大なデータ量と演算速度とが必要となる。また、流体と構造との連成した挙動は複雑で、多くの場合カオティックな応答になってしまう。そのため、この手法は実用的でない。そこで、予め基本的な動作パターンを用意し、目標とする浮上状態を分割して、これら基本動作パターンを時系列に組合わせて実現する手法が簡便で望ましい。
【0123】
物体の運動にはx方向、y方向、z方向3自由度の並進自由度とθx方向、θy方向、θz方向3自由度の回転自由度、つまり6自由度が存在する。すなわち前後、左右、上下、そしてこれらの方向を軸とする回転である。
【0124】
このうち、左右への移動は、θz方向の回転と前後方向への移動とを組合わせて行なうことができる。そこで、ここでは、上下方向すなわちz軸方向への並進動作、前後方向すなわちx軸方向への並進移動、およびx軸y軸z軸周りの回転動作について、それぞれその実現方法を説明する。
【0125】
(1)上下方向(z軸方向)の動作
羽31および32が移動することで、羽31および32が流体から受ける力は羽31および32の移動速度に依存する。そのため、羽31および32に及ぼされる上向きの流体力を大きく(小さく)するには、
A:ストローク角θの振幅を大きく(小さく)する
B:羽ばたき周波数を大きく(小さく)する
等の方法がある。これらの方法によってロボット90は上昇(下降)することができる。ただし、流体力には負の値も含まれる。
【0126】
なお、これらの手法によれば、羽31および32が流体から受ける流体力そのものが大きくなる。そのため、羽31および32が流体力を上下方向以外から受けることによって、羽31および32の力学的支点A1およびA2に羽31および32から上下方向以外の力が及ぼされている際には、上昇と共に、その方向へのこの支点A1およびA2にかかる力の増加も伴なう。例えば、前方に略等速直線運動を行なっている際に羽ばたき周波数を大きくすると、ロボット90は速度増加を伴なって上昇する。このように、現時点での羽ばたき方によって、副次的にこのような他の運動を伴なうが、以後、特に断らない限り、停空状態からの制御について説明する。
【0127】
また、羽31および32のねじり角βを変えて、羽31および32が移動する空間の体積を変化させることによっても浮上力は変化する。例えば、打上げ時における羽31および32が移動する空間の体積がより大きく、もしくは、打下ろし時における羽31および32が移動する空間の体積がより小さくなるようなねじり角βとすることで、羽31および32に作用する上向きの流体力の時間平均は小さくなる。実際には、羽31および32は剛体でなく変形を伴なうため、同一のねじり角βによっても羽31および32が移動する空間の体積は変化する。しかし、第一原理的には、羽31および32の移動する方向に垂直なねじり角βが最も大きくなる、羽31および32が移動する空間の体積を考える。また、羽31および32が移動する方向に平行なねじり角βが最も小さくなる、羽31および32が移動する空間の体積を考える。
【0128】
なお、この場合、副次的に、羽ばたきと垂直方向にも流体力が作用する。そのため、この垂直方向の流体力が制御上支障を生じるレベルである場合は、これを打消す羽31おおよび32の動きを付加する必要がある。最も単純には、偏角αの変更により実現できる。
【0129】
また、前記のステップS2もしくはステップS4において、羽31および32の回転角速度を変化させることによっても、z軸方向の動作を行なうことは可能である。例えば、ステップS2において羽31および32の回転角速度(−dβ/dt)を大きくすると、この回転によって生じる流体の下方向への流速が大きくなるため、この反作用によって羽31および32に作用する上向きの流体力は大きくなる。
【0130】
なお、上述の場合、ロボット90に及ぼされる、羽31および32の主軸311および321を回転軸とするトルクが、副次的に変化する。よって、この変化が制御上支障のない範囲内で、この回転角速度変化を行なうことが望ましい。
【0131】
また、この場合、ロボット90に及ぼされる、前後方向への力も副次的に変化する。よって、この変化が制御上支障を来たす場合は、(2)として後述する前後方向への力の制御も同時に行なうことが望ましい。
【0132】
(2)前後方向(x軸方向)への動作
前述した羽ばたき方法では、主にステップS2およびステップS4にて、x方向正の向きへの流体力が羽31および32に作用する。したがって、この羽31および32の動かし方においては、前進を伴なって浮上する。
【0133】
また、打下ろしの際に、偏角αを増加して羽31および32を前方に移動させることで、羽31および32には後向きの流体力が作用することになる。したがって、打下ろしの際、すなわちステップS1における偏角αを制御して、ステップS1における羽31および32に作用する後向きの流体力を、他の(主にステップS2とステップS4における)前向きの流体力よりも大きくすれば後退し、小さくすれば前進することができる。また、この後向きの流体力と前向きの流体力とがほぼ釣合えば、前後方向に静止することができる。
【0134】
特に、ロボット90が前後方向に静止しており、左右の羽31および32が略対象な運動を行ない、重力とロボット90における浮上力とが釣合っているならば、ホバリング状態が実現できる。
【0135】
なお、偏角αの変更に伴ない、副次的に、羽31および32に及ぼされる流体力の鉛直方向成分が変化する。そのため、この流体力の鉛直方向成分が制御上支障を生じるレベルである場合には、これを打消す羽31および32の動きを付加する必要がある。これは主に前述(1)の上下方向の動作によって行なうのが簡便である。
【0136】
さらに、前述したステップS2およびステップS4において、羽31および32の回転動作の角速度を大きくすると前向きの流体力が増加し、小さくすると減少する。これによっても前後方向への動作を変化させることができる。
【0137】
また、(1)に述べた羽31および32のねじり角βの変更に伴なう副次的な流体力のうち、x軸方向成分を利用する手法を用いることもできる。つまり、打下ろし時に、ねじり角β>0なら前方向への力が働き、ねじり角β<0なら後ろ方向への力が働く。
【0138】
なお、打上げ時のねじり角β、偏角α、およびストローク角θの関係は、ある程度拘束されているが、以上の流体力の制御は、ステップS3においても可能である。
【0139】
(3)z軸を回転軸とする回転動作
(2)において述べた前後方向への制御を、左羽32と右羽31について個別に行ない、これを異ならせることで、ロボット90にトルクを与えることができる。
【0140】
すなわち、右羽31の前向きの流体力を、左羽32のそれに対して高くすれば、ロボット90はx軸正の向きに向かって左方向を向き、低くすれば同じく右方向を向く。これによって、z軸を回転軸とする回転動作を行なうことができる。
【0141】
(4)x軸を回転軸とする回転動作
(3)と同様に、右羽31の上向きの流体力を、左羽32のそれに対して大きくすれば右側が持上がり、小さくすれば左側が持上がる。これによって、x軸を回転軸とする回転動作を行なうことができる。
【0142】
(5)y軸を回転軸とする回転動作
(2)に述べた、羽31および32のねじり角βの角速度変更によって、ロボット90にかかるy軸周りのトルクを変化させることができる。これにより、y軸を回転軸とする回転動作を行なうことができる。例えば、ステップS1におけるねじり角βの回転角速度を大きくすると、ロボット90は機首を下げ、逆に小さくすると機首を上げる。
【0143】
(6)ホバリング(停空飛翔)
ロボット90を停空させる際のストローク角θ、偏角α、およびねじり角βと時間との関係を、図16に示す。図16は、ロボット90を停空させる際のストローク角θ、偏角α、およびねじり角βの値を、時間の関数として表わした図である。ただし、図16においては、それぞれの角度の縦軸の比率は異なっている。
【0144】
なお、具体的に、本発明者らが実験に用いた数値は、以下の数値である。θ0は60°である。β0は−10°である。α1は30°である。β1は−100°である。β2は−60°である。
【0145】
さらに、上述の(1)および(2)に示された動作においての、各ステップS1〜S4における左羽32の運動と、それにより左羽32の力学的支点A2に生じる加速度および角加速度とを図17に示す。図17は、羽31および32の制御とそれによりもたらされる動作とを対応付ける図である。図17においては、各ステップS1からS4における左羽32の運動ごとに、左羽32の力学的支点A2に生じる加速度および角加速度とを丸印で示す。ただし、左右の羽31および32の運動の非対称によって起こすことができるため、(3)、(4)に示すx軸、z軸を回転軸とする回転動作については省略する。
【0146】
次に、本実施の形態におけるロボット90に任意の運動を行なわせるための制御方法を決定する手法について説明を行なう。
【0147】
ロボット90の現在の浮上状態は、ロボット90に搭載された加速度センサ51や角加速度センサ52が取得した値を適宜変換した値を用いて求められる。例えば、速度は、加速度を時間積分した値に速度の初期値を加えることで求められる。また、位置は、速度を時間積分した値に位置の初期値を与えることで求められる。当然、浮上状態に、浮上状態の時刻歴を含む手法を用いることもできる。
【0148】
制御装置4は、現在のロボット90の浮上状態と、目的とする浮上状態とから、ロボット90の動作を決定する。この制御は、3次元で行なわれる点以外は従来から行なわれている制御手法を適用することができる。
【0149】
ロボット90の動作は、制御装置4にて、アクチュエータ21および22の駆動に変換される。
【0150】
この変換には、テーブル参照、もしくはその補完を用いる方法が高速である。例えば、図18は、基本となる動作と、それを実現するアクチュエータ21および22の駆動の組合わせとを定めるテーブルである。図18に示されるテーブルを予め用意することで、ロボット90の動作が、制御装置4にて、アクチュエータ21および22の駆動に変換される。なお、図18の左端列は、目的とする動作である。また、羽ばたきにおけるAおよびBは、Aは前進時の羽ばたき方、Bは停空時の羽ばたき方である。より具体的には、それぞれ図14および図16に示される、偏角α、ねじり角β、およびストローク角θの時刻歴を、時間的に離散化したものである。制御装置4は、ロボット90の動作から、この駆動もしくはその補完した駆動を、図18に示されるテーブルより算出する。
【0151】
なお、ここでは説明のため、まずロボット90の動作を算出し、これをアクチュエータ21および22の駆動に変換するという手法を用いたが、浮上状態から直接アクチュエータ21および22の駆動を選択する手法を用いてもよい。
【0152】
例えば、定位制御を行なう場合、現在位置と目標位置との差によって、上述したアクチュエータ21および22の駆動のいずれか、もしくはそれを補完した駆動を直接算出する手法であってもよい。
【0153】
また、言うまでもなく、ロボット90の浮上状態を表わす物理量は、上述の位置、速度、加速度等に限定されるものではない。また、言うまでもなく、アクチュエータ21および22の駆動を決定する手法は、この態様に限らない。
【0154】
次に、本実施の形態におけるロボット90の構成で浮上が可能な条件について、以下に述べる。
【0155】
本発明者らの実験環境では、アクチュエータ21および22として進行波アクチュエータを用いた。この進行波アクチュエータによれば、ステータ210は超音波モータ23と同等であるので、θ方向の羽ばたきに関してはトルク1.0gf・cmである。
【0156】
そこで、本発明者らはシミュレーションによりこのトルクで羽ばたいた際の流体力を算出した。以下にその際の値を、具体例として挙げる。
【0157】
羽31および32は、アクチュエータ21および22から離れる方向が長辺で、長辺4cm、短辺1cmの矩形であるものとする。なお、羽31および32の変形は無視する。また、幅8mm、長さ33mmのトンボの羽が約2mgであったので、これにならい、羽31および32の質量は3mgとする。
【0158】
さらに、超音波モータ23は、突起先端232〜237の微小な楕円運動の累積によってロータを駆動するため、実際の駆動トルクの立上がりおよび立下がりは、楕円運動の周期オーダ、すなわち10の5乗ヘルツオーダーである。しかし、計算の安定性からの制約上、±250gf・cm/secとする。すなわち、トルクは0.004秒に1gf・cm上昇する。
【0159】
この羽31および32を、一方の短辺を、この辺を回転軸とする回転自由度のみ残して固定し、この回転自由度にトルクを与える。図19は、回転軸にかかる反力を、上述の具体的な数値を用いて算出した結果を示す図である。ただし、偏角α=0(度)、ねじり角β=0(度)である。
【0160】
図19を参照して、時刻0秒において羽31および32は水平、すなわちストローク角θ=0(度)である。ここから時刻0.004秒までの間にトルクを1gf・cmまで直線的に向上させ、0.004秒から0.01秒まで1gf・cmを保つ。そして時刻0.01秒から0.018秒までの間にトルクを1gf・cmから−1gf・cmまで直線的に変化させ、同0.018秒から0.03秒までは−1gf・cmを保ち、同0.03秒から0.038秒までの間に再び1gf・cmへと直線的に変化させる。
【0161】
これにより得られた接点反力を、打下ろしの間、すなわちトルクが負である時間である時刻0.014秒から時刻0.034秒までの間で平均すると約0.29gfである。
【0162】
以上のシミュレーションは、1自由度のはばたき動作の結果であるため、打上げ時における流体力の作用は不明である。しかし、断面積に比して流体の抵抗は減少するので、打上げ時に働く下向きの支点反力を小さくし、かつ、打下ろし時と同じトルクで打上げることが可能なため、打上げに要する時間は打下ろしに要する時間より遙かに短い。すなわち、打上げの際の力が作用する時間は短いこと、また打下ろし以外にも羽31および32の回転などを用いて浮上力が更に得られることから、トルク1gf・cmのアクチュエータ21および22を用いて、0.29g程度の質量を浮上させることは可能であると言える。すなわち、本実施の形態における装置(ロボット90)全体の質量が0.58g以下であれば、浮上させることが可能である。以下、上述の具体的な数値を用いて、ロボット90の重量について検討する。
【0163】
まず、ステータ210の質量は、電極と圧電素子とが薄いため、比重2.7、厚さ0.4mm、半径4mmの円盤と同等であり、0.054gである。
【0164】
また、補助ステータ212および213の重量は、ステータ210の直径が0.7倍であることから0.019gである。
【0165】
3つのベアリング211,214,215はいずれも外形4.2mm、内径3.8mm、厚さ0.4mmのドーナツ状のボールベアリングである。材質は、比重4.8のチタンで、約30%の空隙があるため、ベアリング211,214,215の質量は約0.013gである。
【0166】
また、ロータ219は、材質がアルミで壁央半径3mm、厚さが0.2mmであるため、質量は約0.061gである。
【0167】
これらの総和から、アクチュエータ21の質量は0.192gである。
また、右羽31の質量は、前述の通り0.003gである。
【0168】
以上の構成が左右計2つあるので、質量の和は0.390gである。
また、本発明者らが採用した、図2に示す支持構造1は、直径1cm、比重0.9、厚さ0.1mmの球体であるので、支持構造1の質量は約0.028gである。
【0169】
また、本発明者らが採用した制御装置4、通信装置7、加速度センサ51、および角加速度センサ52はそれぞれ、5mm×5mmの半導体ベアチップで、各質量は約0.01gである。すなわち、これらの質量の総和は0.04gである。
【0170】
また、本発明者らが採用した電源6の重量は0.13gである。
以上、ロボット90の全ての構成要素の重量の合計は、0.579gとなる。そのため、上述の如く、1対の羽31および32で浮上力0.58gfを得るので、ロボット90は、この構成で浮上することが可能である。
【0171】
次に、制御装置4について、図2および図16を用いて説明する。
図2に示すとおり、制御装置4は、演算装置41とメモリ42とシリアルインタフェース43とからなる。
【0172】
上述の演算装置41は、ロボット90における各構成要素の動作を決定し、制御する。なお、本実施の形態における演算装置41は、情報を処理し、その情報に基づいて何らかの物理量を出力するものの総称であり、特に算術演算を行なう装置に限るものではない。
【0173】
本実施の形態においてはより具体的に、演算装置41は加速度センサ51および角加速度センサ52からの情報によりロボット90の加速度および角加速度を算出する。また、速度および角速度と、目標とする経路からのずれとから、演算装置41は、現時点でロボット90に与えられるべき加速度と角加速度とを算出する。さらに演算装置41は、この算出された加速度と角加速度より、各アクチュエータ21および22の動作パラメータを決定する機能を有し、これを用いて各アクチュエータ21および22の動作を決定する。
【0174】
最も代表的な手法として、ロボット90における加速度センサ51および角加速度センサ52の情報を時間積分することにより、ロボット90の速度および角速度を算出し、さらにこれをそれぞれ更に時間積分することによりロボット90の位置と姿勢とをそれぞれ算出することができる。積分定数としては、ロボット90が待機状態での値、すなわち、速度および角速度が共に0で、位置と姿勢とはベースステーション91に固定されている状態での値を用いればよい。当然、誤差を避けるためにこれらの演算はなるべく高いサンプリング周波数で行なわれることが望ましい。
【0175】
このように、現時点でロボット90に与えられるべき加速度および角加速度は、目標とする軌道に静定することを目標とする一般的な制御演算により求めることができる。
【0176】
これにより、ロボット90のアクチュエータ類の駆動が決定される。さらにより具体的には、演算装置41は、ロボット90に与えられるべき代表的な加速度と角加速度との組合わせに対応した偏角α、ねじり角β、およびストローク角θの時系列値をテーブルとして有し、これらの値、もしくはその補間値を各アクチュエータ21および22の動作パラメータとする。なお、偏角α、ねじり角β、およびストローク角θの時系列値とは、例えば加速度、角加速度共に0であるホバリングの場合は、図19にグラフで示される値を離散化したものである。これらの値によって各アクチュエータ21および22は駆動される。
【0177】
なお、ここに挙げる偏角α、ねじり角β、およびストローク角θは、制御パラメータの一例であり、説明の簡便のためこれらのパラメータを指定することでアクチュエータ21および22が駆動されることを前提に記述している。しかし、例えば、より直接的にこれらを実現する各アクチュエータ21および22の駆動電圧や制御電圧に変換したものを用いる手法の方がより効率的である。これらは既存のアクチュエータ制御方式と特に異なるものではないので、ここでは代表的なパラメータとして偏角α、ねじり角β、およびストローク角θを挙げている。なお、同等の機能が実現できる手法であれば、本実施の形態に限るものではない。
【0178】
また、演算装置41は、人体センサ53から送られてくる人体情報によって、行動を変更する機能をも有する。
【0179】
より具体的には、目標位置にてホバリング中に人体センサ53より人体検出信号を受取ると、演算装置41は、ホバリングによるロボット90の待機状態を解除し、帰路に沿ってベースステーション91に帰還する行動を開始する。復路も往路と同様に実現される。
【0180】
また、演算装置41は、発光ダイオード8のON/OFFを制御する機能を有する。これにより、睡眠者93が、アラーム停止機能を作動させたことを認識することが可能になる。
【0181】
当然、制御装置4の機能は、上述の機能に限定されない。例えば無線通信機能等を備えても構わない。
【0182】
さらに、これらの動作開始または終了は、シリアルインタフェース43を経由して、ベースステーション91より送られてくる動作指示命令をトリガとすることができるものとする。
【0183】
これにより、ロボット90は、電極61が電極914と電気的に結合している場合、ベースステーション91より受信した軌道データに基づく行動を、ベースステーション91の指示により開始または終了することができる。
【0184】
次にロボット90の駆動エネルギー源、すなわち電源6について説明する。
本実施の形態における電源6は、リチウムイオンポリマーを電解質とする。そこで、リチウムイオンポリマーを、支持構造1に封入しておけばよい。これにより液漏れを防ぐための余分な構造が不要であり、実質的なエネルギー密度を高めることができる。
【0185】
なお、現在市販されているリチウムイオン二次電池の一般的な質量エネルギー密度は150Wh/kgである。本実施の形態におけるアクチュエータ21および22での消費電流は最大40mAであるので、電源6の電解質重量を約0.1gとすると、本実施の形態のおいては約7.5分の飛行が可能である。
【0186】
また、本実施の形態における左右のアクチュエータ21および22の最大消費電流は合計40mAである。また、電源電圧は3Vである。そのため、電源6の電解質重量が0.1gであるので、0.12W/0.1g、つまり1200W/kgの重量パワー密度を持つ電源6の実現が求められる。ここで、市販品で実現されているリチウムイオンポリマー二次電池の重量パワー密度は約600W/kgであるが、これは携帯電話等の情報機器に用いられている、10g以上の製品における電池の重量パワー密度の値である。一般に、電解質質量に対する電極面積の比はサイズに反比例するので、本実施の形態における電源6は、前出の情報機器などに用いられている二次電池の10倍以上の電極面積比を持つため、10倍程度の質量パワー密度が達成可能であり、冒頭の質量パワー密度は十分達成可能である。
【0187】
さらに、アクチュエータ21および22の駆動エネルギーを、外部から供給する方法を用いることもできる。例えば、電力エネルギーを外部から供給する媒体については、温度差および電磁波等が挙げられ、これを駆動エネルギーに変換する機構としてはそれぞれ熱電素子およびコイル等が挙げられる。
【0188】
なお、異なる種類のエネルギー源を混載する手法を用いることもできる。電力以外のエネルギー源を用いる場合、基本的には、制御は制御装置4からの電気的信号を用いることになると考えられる。
【0189】
まら、他のエネルギー源の種類としては、太陽電池、燃料電池、原子力などの使用も可能である。
【0190】
次に、ロボット90に搭載される各センサ51〜53について説明する。
加速度センサ51は支持構造1の3自由度並進加速度を、角加速度センサ52は支持構造1の3自由度回転角加速度を、人体センサ53は人体の有無情報を検出する。これらの検出結果は制御装置4に送られる。
【0191】
なお、本発明者が用いた加速度センサ51の帯域の具体的な数値としては、帯域40Hzである。当然、加速度センサ51や角加速度センサ52の帯域は、高ければ高いほど時間的に緻密な制御が可能であるが、ロボット90の浮上状態の変更は、1回以上の羽ばたきの結果起きるものであると考えられるので、現在市販されている帯域が数十Hz程度のセンサでも実用が可能である。
【0192】
本実施の形態では、加速度センサ51および角加速度センサ52によりロボット90の位置および姿勢を検出するものとしたが、ロボット90の位置と姿勢とが計測可能な手段であるならば上記センサに限らない。たとえば、互いに直交する3軸方向の加速度を測定可能な加速度センサを少なくとも2つ、それぞれ支持構造1の異なる位置に配置させ、その加速度センサから得られる加速度情報に基づいてロボット90の姿勢を算出することも可能である。また、講演会場92内に位置情報を明示的に組込み、これをロボット90が検出して位置および姿勢を算出する手法を用いることもできる。例えば、講演会場92内に磁場分布を設け、磁気センサによりこの磁場分布を検知することで、ロボット90の位置と姿勢とを算出する手法を用いることも可能である。また、GPS(Global Positioning System;衛星位置標定システム)センサ等を用いる手法も考えられる。なお、後述するベースステーション91がロボット90の位置と姿勢とを直接検出する機能を有する場合には、言うまでもなくこれのセンサは必須ではない。
【0193】
また、加速度センサ51および角加速度センサ52をはじめとするセンサ類は、制御装置4とは別部品として表現したが、軽量化の観点から、マイクロマシニング技術によって制御装置4と一体で同一のシリコン基板上に形成してもよい。
【0194】
なお、本実施の形態におけるセンサ51〜53は、本実施の形態の目的を達成する一例としての最低限の構成要素であって、センサの種類、個数、構成については上述に限定されるものではない。
【0195】
例えば、ロボット90における羽31および32の駆動には、フィードバックのない制御を用いているが、羽31および32の付け根に羽の角度センサを設け、ここから得られた角度情報によりフィードバックを行ない、より正確に羽31および32を駆動する方法を用いることもできる。
【0196】
また逆に、浮上する領域における気流が既知であり、予め定められた羽ばたき方のみによって目的位置に定位することが可能ならば、ロボット90の浮上状態を検出することは不要となるので、加速度センサ51や角加速度センサ52は必須ではない。
【0197】
次に、ロボット90における、人体の有無情報の処理について説明を行なう。本実施の形態においては、人体センサ53として、焦電型赤外線センサを用いる。しかし、これは人体の検出が可能なセンサの一例であり、特に人体検出の目的を果たすセンサに対して、本実施の形態に特化した機能を必要とするものではない。
【0198】
なお、ロボット90が浮上状態である場合で接触することは、ロボット90の転倒、落下の危険が伴なう。そのため、人体センサ53は、非接触性のセンサであることが望ましい。
【0199】
当然、本実施の形態においては、睡眠者93を起立状態に導くことを意図しているため、人体センサ53での人体検出が可能な領域は、睡眠者93が睡眠状態にある状態では到達し得ない領域に位置することが望ましい。これによって、ロボット90は睡眠者93の位置と姿勢とを監視することができる。
【0200】
また、不用意な人体との衝突を避けるため、ロボット90は睡眠者93の身長以上の高さにあることが望ましい。
【0201】
このため、人体センサ53は、ロボット90の下部にあり、その人体検出領域が、睡眠者93の身長より高度の低い領域にも感度を有することは、上述の条件に合致して望ましいセンサ配置の一例となる。以下、本実施の形態においてはこの条件を用いる。
【0202】
なお、ここで述べる身長の値としては、直立時の床面から頭頂部までの高さのみならず、挙手時の床面から挙手の指先端までの高さを採用してもよい。この場合、睡眠者93は、ロボット90の人体センサ53の検出可能範囲に、挙手して手を差入れることで、ロボット90に人体検出を行なわせることになる。
【0203】
また、人体センサ53は、羽が人体検出の邪魔にならないように、支持構造1の下部であって、正面から見て略中央に位置することが望ましい。
【0204】
当然、これらは人体とロボット90とが衝突しないことを最優先に考えられた設計であり、この条件が不要であるならば上述のセンサの配置はこれに限ったものではない。
【0205】
例えば、目覚まし時計としてのなじみ易さを優先するならば、支持構造1の正面略中央に、前方にその検出領域を向けて人体センサ53を配し、ロボット90と睡眠者93とが正対する状態で、ロボット90が人体センサ53により人体を検出する構成であってもよい。
【0206】
以述の如く、人体センサ90によって得られた人体の存在の有無情報は、演算装置41に入力される。これにより、演算装置41は、ロボット90が帰還動作に入るのか、待機動作を継続するのかを選択する。
【0207】
次に、発光ダイオード8について説明を行なう。
発光ダイオード8は、制御装置4によって制御され、睡眠者93に、ロボット90の状態を告知すると共に、ロボット90の位置を睡眠者93に明示する役割も果たす。睡眠中は、部屋の電気は消灯もしくは最低限の明るさであり、睡眠者93が、ロボット90の位置を把握しがたい場合がほとんどである。このため、能動的に発光する素子である発光ダイオード8を用いて、視覚的にロボット90の位置を睡眠者93に提示するのが合理的である。
【0208】
具体的には、発光ダイオード8は、目標位置にて待機状態にある際は点灯、帰還状態に入るときは点滅、および他の状態にあるときは消灯、の状態にすれば、睡眠者93は、待機状態にあるロボット90の位置と、ロボット90の待機状態から帰還状態への変遷とを知ることができる。当然、ここにあげた発光ダイオード8の動作態様は一例であり、これに限らない。
【0209】
また当然、上記機能が必要でない場合や、他の機能で置換えられる場合には、発光ダイオード8は必須ではない。例えば、羽ばたき周波数を変更することによって、羽音でロボット90の状態を告知するなどの方法であってもよい。
【0210】
以上で、ロボット90についての説明を終了し、次に、ベースステーション91について説明を行なう。
【0211】
まず始めに、ベースステーション91の主要な構成と機能とを説明する。図20は、ベースステーション91の主要な構成と機能とを示す図である。なお、図20に示されるベースステーション91の主要な構成は、本発明の主旨の技術を実現する構成の一例であり、これに限定されるものではない。
【0212】
図20を参照して、ベースステーション91は、その上面がロボット90の離着陸台を兼ねており、ロボット90はその電極61がベースステーション91の電極914に嵌合する。この状態で、ベースステーション91は、シリアルインタフェース916を介してロボット90に軌道情報を送信する機能を有する。また、ベースステーション91は、シリアルインタフェース916を介して、ロボット90に離陸動作開始命令を送信することができる。これによりロボット90はベースステーション91より浮上する。
【0213】
また、ベースステーション91は、ロボット90の離着陸を補助するための、ロボット検出装置917、および電磁石915を備える。また、ベースステーション91は、ロボット90の電源6を充電するための充電器913を備える。
【0214】
また、ベースステーション91は、全面に入出力パネル919を有する。睡眠者93は、入出力パネル919より、起床時刻やロボット90の行動設定などを行なうことができる。
【0215】
また、ベースステーション91は、アラーム910を備え、所定時刻にこのアラーム910を動作させることで睡眠者93に覚醒を促す機能を有する。また、ベースステーション91は、ロボット90の着陸に応じてこのアラーム910を停止させる機能を有する。
【0216】
そして、上述の各構成要素は、ベースステーション91の演算装置911により制御される。
【0217】
続いて、入出力パネル919について、図20および図21を参照して説明を行なう。図21は、ロボット90の目標とする軌道の定め方を説明する図である。
【0218】
なお、以下の説明は入出力パネル919の機能の一具体例であって、これに限るものではない。
【0219】
図20を参照して、入出力パネル919は、時刻表示部と起床時刻設定部とロボット軌道設定部とからなる。ここでは説明の簡便のため、時刻表示部は一般的なアナログの3針式時計であり、起床時刻設定部とロボット軌道設定部とは、デジタルによる数値入力であるものとする。また、起床時刻入力は、24時間制での起床時刻を入力するものとし、ロボット軌道設定部は、軌道高さと目標地点とまでの距離と向きと軌道半径とをそれぞれ数値入力するものとする。このように、軌道高さと目標地点とまでの距離と向きと軌道半径とを設定することで、最も単純にロボット90が障害物を回避する起動を設定することができる。なお、数値入力手法は一般的なプッシュスイッチによるものとし、ここでの詳細な説明については省略する。また、その他の入力方法としては、例えば、マウスを用いたポインタや、音声入力等によって入力を行なうこともできる。
【0220】
上述の入出力パネル919により、ベースステーション91の演算装置911には、起床時刻が入力される。また、同じく演算装置911には、ロボット90の軌道が入力される。軌道の各種数値については後述する。
【0221】
これらの数値はメモリ912に格納され、これらの数値に従う軌道を、シリアルインタフェース916を介してロボット90に送信する。そして、ベースステーション91の演算装置911は、設定された起床時刻に、ロボット90の浮上を開始させる。
【0222】
次に前述の軌道の各種数値について、図21を参照しつつ述べる。
本実施の形態においては、ロボット90の待機する位置、すなわち目標位置は、睡眠者93の起床後に続いて行なう動作に近い場所を設定することが望ましい。例えば、睡眠者93が起床後第1に行なう動作が、部屋92のドア921を開けて部屋92より外に出る動作である場合、ロボット90の目標位置はドア921近傍であることが望ましい。このように設定することで、睡眠者93は余計な移動を行なうことなく、次の行動を効率的に行なうことができる。
【0223】
しかし、ドア921の位置は、各部屋によって一定ではないため、目標地点までの距離dと向き(角度)θとを設定することで、これを定める必要がある。このように距離dと向き(角度)θとで目標地点を設定することで、ロボット90の位置を簡便に指定することができる。
【0224】
また、本実施の形態においてロボット90が飛行することが想定される、睡眠者93の身長以上であって部屋92の天井の高さ以下である領域には、ほとんど障害物が存在しないと一般的には考えられるが、照明器具等を回避するため、同じ位置に定位する場合にも、軌道を変更できるよう構成することが望ましい。本実施の形態においては、最も単純に、ある回転半径Rをもって目標位置に到達する、その半径Rを設定する手法を採用する。これによって、ロボット90が障害物を回避する軌道を簡便に指定することができる。また、このように軌道を簡便に設定できることで、様々な家庭環境に対しても柔軟に適応できる利便性の高いアラームシステムを構築することができる。
【0225】
以上のd、θ、およびRの関係を、図21に部屋92の上面図において示されている。ただし、θはベースステーション91の入出力パネル919の面に対する法線を基準にとる。
【0226】
当然、軌道を表す数値はここに示したものに限らない。また、ポインティングデバイスなどを用いて図形として入力する等の手法も、直感的に軌道が入力できるので利便性が高い。
【0227】
次に、演算装置911について、図22を参照しつつ説明する。図22は、本実施の形態のアラームシステムにおける各種情報の流れを示す図である。なお、各機能の動作の順については、全体の動作手順の項に後述する。
【0228】
演算装置911は、ベースステーション91の各構成要素から得られた情報等により、ベースステーション91を制御する。
【0229】
演算装置911は、クロックを内蔵し、入出力パネル919の時刻表示部に時刻情報を送り、現在時刻を表示させる。また、入出力パネル919より入力された起床時刻にアラーム910を動作させる。
【0230】
また、演算装置911は、シリアルインタフェース916を通じて、軌道情報をロボット90に送信する。また、同じくシリアルインタフェース916を通じて、離陸開始命令をロボット90に送信する。
【0231】
また、演算装置911は、ロボット検出装置917からの信号により、電磁石915の制御を行なう。すなわち、ロボット90をロボット検出器917が検出した際には電磁石915を動作させるなどの手法で、ロボット90をベースステーション91に吸着させる。またこの際、アラーム910の動作を停止させる。
【0232】
また、演算装置911は、入力パネル919より、ロボット90の移動するべき軌道情報を受取る。
【0233】
また、演算装置911は充電器913を制御し、ロボット90の電極61がベースステーション91の電極914に結合している場合であって、ロボット90の電源6に充電が必要な場合に、ロボット90への充電を行なう。
【0234】
次に、ベースステーション91が行なう、ロボット90の離着陸の際の補助の手法について説明を行なう。
【0235】
ロボット90の羽ばたきの開始もしくは終了時、すなわちロボット90の離着陸の際は、羽ばたきによって発生する気流が急激に増加もしくは減少し不安定である。そのため、ベースステーション91がロボット90の位置および姿勢を制御することは難しい。そこで、本実施の形態では、離陸の前の段階において、ベースステーション91に備えられた電磁石915がロボット90を吸着する。そのため、ロボット90の離陸の際は羽ばたきによる気流が安定するまで電磁石915を作動させ、気流が安定した時点で電磁石915による吸着を停止する、等の手法を用いることで、ベースステーション91はロボット90の安定した離陸を実現することが可能である。
【0236】
ロボット90の着陸の概略について説明する。まず、ベースステーション91は、ロボット90の電極61が充電穴914の上部に位置するようロボット90を移動させる。そして、この状態で電磁石915を作動させ、ロボット90を吸着する。このため、ベースステーション91は、さらにその後にロボット90の羽ばたきを停止させれば気流が不安定となる状態でも、ロボット90の着陸時の位置と姿勢とを安定させることができる。なお、ロボット90の定位を容易にするため、電極61もしくは充電穴914の少なくとも一方はテーパー形状をしていることが望ましい。
【0237】
なお、重量が許すならロボット90が電磁石915を有する構成であっても構わない。また、この構成により、ロボット90はベースステーション91に限らず、強磁性もしくは軟磁性材料で構成される物質全てに対して安定した離着陸が可能になる。
【0238】
さらに、ロボット90のより加速度の小さい離陸を実現するために、電磁石915に力覚センサを配し、この力覚センサにかかる力によって電磁石915の吸引力を制御する手法を用いることも可能である。
【0239】
また、上述の補助の手法は、離着陸時の気流不安定性に伴なうロボット90の不安定浮上を防ぐ手法の一例にすぎないため、離着陸時にロボット90を一時的に保持する機構であれば他の手段を用いても構わない。例えば、電磁石915に替えて空気を用いてロボット90を吸引する手法を用いることもできる。また、レール等のガイド機構に沿ってロボット90の離着陸を行なう等の手法を用いることもできる。
【0240】
以上で、ベースステーション91についての説明は終了し、次に、アラームシステム全体の動作について説明を行なう。
【0241】
図23は、本アラームシステムのロボット90が、人体検出を行なうまでの処理を示すフローチャートである。図23のフローチャートに示される処理は、ベースステーション91の演算装置911がメモリ912に記憶されているプログラムを実行し、また、ベースステーション91からの指示信号に基づいて、ロボット90の制御装置4がプログラムを実行することによって実現される。なお、以降の説明において、簡便のため、起床時刻でのロボット90の軌道は、目標位置を部屋92のドア921近傍に既に設定されているものとする。また、この際のロボット90の浮上高度は、睡眠者93の身長以上であり、かつ、人体センサ53の検出領域が睡眠者93の身長の高度を含む高度であるとする。
【0242】
動作開始前において、ロボット90は、ベースステーション91の電極914に電極61が接続され、固定されている。また必要に応じて電源6に対して充電が行なわれている。
【0243】
ロボット90の動作を開始するにあたって、ベースステーション91の演算装置911、メモリ912、およびシリアルインタフェース916、また、ロボット90の制御装置4、およびシリアルインタフェース43が動作する(S101,S111)。また、シリアルインタフェース43とシリアルインタフェース916との間に、コネクションが成立する。
【0244】
起床時刻以前の適当な時刻に、ベースステーション91はシリアルインタフェース916を介してロボット90に軌道情報を送信する(S102)。ロボット90はベースステーション91から送信された軌道情報を受信し、シリアルインタフェース43を介して演算装置41に伝える(S112)。
【0245】
その後、ベースステーション91は、ロボット90の離陸動作開始時刻まで待機する。なお、動作開始時刻は、先に設定された起床時刻より、ロボット90が動作を開始してから目標位置に定位するまでに要する所用時間を差引いた時刻以前であることが望ましいが、上記所要時間が、睡眠者93の起床の利便性を損なわない程度の短時間であるならば、起床時刻そのものであってもよい。
【0246】
動作開始時刻に到達するまで、ベースステーション91は電磁石915を動作し、ロボット90をベースステーション91に吸着する(S103)。
【0247】
ロボット90は、遅くとも電磁石915が吸着を解除するまでには、ロボット90の加速度センサ51、角加速度センサ52の動作を開始させ、浮上状態の算出を開始させる。また、演算装置41によって(必要に応じてメモリ42の情報を参照して)、目標位置への経路を算出させる。そして、制御装置4が、ロボット90の浮上状態を検出できる状態に達している必要がある。また、制御装置4が、例えば加速度の積分などの、浮上状態の演算を開始している必要がある(S113)。
【0248】
そして、動作開始時刻に到達すると、ベースステーション91はロボット90に対して浮上開始命令を送信する(S104)。
【0249】
ロボット90は、ベースステーション91に吸着された状態で、シリアルインタフェース43を介してベースステーション91より浮上開始命令を受信し(S114)、略垂直方向への上昇のための羽ばたき動作を開始する。このように、ベースステーション91からの指示によってロボット90の浮上が行なわれることで、ロボット90の余計な浮上時間をなくすることができる。
【0250】
ベースステーション91は、ロボット90を吸着した状態で羽ばたき気流が安定するまで待機し(S105)、羽ばたきによる気流が安定した時点で、電磁石915のロボット90の吸着を弱める(S106)。
【0251】
ロボット90は、電磁石915の吸着力とロボット90の浮力とがバランスする点よりさらに電磁石915の吸着力が弱まった時点で、浮上を開始する。
【0252】
ロボット90の制御装置4は、目標とする浮上状態と、現在の浮上状態との差異より、内蔵する制御テーブルを介して得られるアクチュエータ駆動方法により、羽の駆動を算出し(S115)、羽を駆動する(S116)。これにより、ロボット90は、浮上以後、予め設定された軌道情報に従って飛行を行ない、目標位置に定位する(S117でYes)。
【0253】
目標位置に定位すると、ロボット90は、人体センサ53を動作させ(S118)、ホバリングを行ないながら、人体センサ53による人体の検出を待機する(S119)。
【0254】
また、ロボット90は発光ダイオード8を点灯させておくことで(S118)、睡眠者93が覚醒した際に、位置を把握しやすいように備える。
【0255】
ベースステーション91の演算装置911は、ロボット検出装置917を動作させ(S107)、ロボット90の帰還を検出できる状態とする。
【0256】
起床時刻が到来すると、ベースステーション91はアラーム910を動作させ(S108)、睡眠者93に覚醒を促す。
【0257】
この際、睡眠者93は、ロボット90の発光ダイオード8や羽音、また視覚情報を基準にしてロボット90を発見し、ロボット90の人体センサ53に検出されるように、ロボット90の直下に移動する。
【0258】
そして、ロボット90の人体センサ53は、ロボット90の直下に直立した睡眠者93を検出する(S119でYES)。
【0259】
人体センサ53で検出された睡眠者93の検出情報は、制御装置4に送られる。これにより、制御装置4の演算装置41は、睡眠者93が覚醒したものと判断し、ベースステーション91のアラーム動作を停止させるべく、ロボット90をベースステーション91に帰還させる制御を行なう。
【0260】
以上で図23に示される処理が終了し、引続いて、図24に示される処理が実行される。図24は、ロボット90がベースステーション91に着陸するまでの処理を示すフローチャートである。
【0261】
ロボット90がベースステーション91に帰還する経路、すなわち帰路は、ロボット90が期間動作を開始する前には、ロボット90の演算装置41によって(必要に応じてメモリ42の情報を参照して)既に算出されている。
【0262】
そこで、図24を参照して、帰還の際、ロボット90の制御装置4は、発光ダイオード8の点滅と、人体センサ53の動作停止とを指示する(S131)。この発光ダイオード8の点滅により、睡眠者93はロボット90が帰還状態になったことを認識できる。
【0263】
本実施の形態においては、ロボット90の電極61は、ベースステーション91の電極914に挿入される形になっている。そのため、ロボット90の制御装置4は、電極61がベースステーション91の電極914の略鉛直上方に位置するように位置および姿勢を保ちながら下降できる羽の駆動を算出し(S132)、羽の駆動を制御する(S133)。そして、目標とするベースステーション91の電極914の真上に到達する(S134でYes)。
【0264】
当然、着陸に適した体勢が本実施の形態と異なる場合、着陸の動作もそれに応じたものを採用すべきであり、着陸の動作に応じた羽の駆動が行なわれるものとする。
【0265】
ベースステーション91は、ロボット検出装置917がロボット90を検出すると(S121でYes)、ロボット90の検出情報を演算装置911に伝える。演算装置911は電磁石915を作動させ、ロボット90を吸引する(S122)。ロボット90の浮力が、電磁石915がロボット90に及ぼす吸引力を下回った時点で、ロボット90はベースステーション91に吸着される。このようにして、ロボット90をベースステーション91に固定することで、ベースステーション91は、ロボット90の吸着を完了し(S123)、アラーム910の動作を停止させる(S124)。当然、ベースステーション91にロボット90が固定されて以後、ロボット90の加速度センサ51、角加速度センサ52は動作を停止してよい。
【0266】
ロボット90を固定すると、ベースステーション91は、ロボット90に羽ばたき動作の終了を指示する(S125)。より現実的には、アクチュエータの寿命がある場合、浮上に関係のない羽の動作は少ない方がよりロボット90を長期間利用できるため、待機時に羽を停止させることは有効である。また、ロボット90の動作音等で、睡眠者93の睡眠が阻害されるのを防ぐことができる。
【0267】
ロボット90は、ベースステーション91からの指示を受信し(S135)、羽ばたき動作を終了する。
【0268】
以上の動作により、ロボット90がベースステーション91に着陸するまでの処理が終了する。そして、上述の図23および図24のフローチャートに示される処理によって、本発明におけるアラームシステムが、目覚まし時計としての機能を果たすことができる。
【0269】
本実施の形態におけるアラームシステムが、浮上しているロボットに作用してアラームを停止させる構成であるため、アラームによる効果が確認されるまでアラームを継続させることができる。また、アラームによる効果を、浮上しているロボットにより高めることができる。
【0270】
具体的には、本実施の形態におけるアラームシステムを目覚まし時計として用いる場合、人体が起立状態に入るまでアラームを停止させることができない。そのため、確実に人体が起立した状態、すなわち覚醒状態に移行した状態になるまでアラームが継続する。これによって、より確実に、また無理なく、睡眠者を覚醒状態に移行させることができる。
【0271】
また、本実施の形態におけるアラームシステムは、浮上しているロボットが人体検出機能で起立した睡眠者を検出することでアラームを停止させるため、睡眠者にとっては、覚醒行動以外の何ら余計な負担を課せられることなくアラームを停止させることができる。すなわち、覚醒の際に、睡眠者に不快感を与えることがない。
【0272】
また、本実施の形態のアラームシステムにおけるロボット90が、羽ばたき飛行を行なうことで、回転翼を用いた浮上に比べて翼部の運動が低速であり、安全性に優れている。また、浮力を用いた浮上に比べて、羽を小型化できるというメリットがある。また、市販の超音波モータ等によって構築することができるため、比較的安価で本アラームシステムを構築することができる。
【0273】
なお、上述においては、本発明におけるアラームシステムが睡眠者の覚醒を目的とした場合について説明しているため、一般的に睡眠者の覚醒に用いられている音声などを用いたアラームをアプリケーションとして用いるのが適しているものとして説明を行なったが、用途によっては上述のアプリケーションに限らない。また、本発明におけるアラームシステムの目的も、睡眠者の覚醒に限定するものではない。例えば、アラームの替わりに遠隔地と通信することのできる表示機能を設け、老人の遠隔介護などに用いる等の手法も可である。
【0274】
また、本実施の形態においては、時計としての機能を重視して、時刻の視認性を損なわないように時計本体の位置を固定し、ベースステーション91とロボット90との如く機能を分化させたが、例えば音声にて時刻を提示するなどの手法を用いることにより、上述の時計としての機能が損なわれないのであれば、ベースステーション91の機能をロボット90に統合してしまい、ロボット90単独で動作する構成であっても構わない。
【0275】
また、上述の如く、本実施の形態におけるアラームシステムは、睡眠者が起立している状態を確認しない限りアラームを停止しないため、人体のある特定の状態を確認することが目的の、他の用途に用いることもできる。例えば、睡眠者の覚醒に限定されず、工事現場などでの座ったままの作業を防止する目的などに利用することもできる。
【0276】
なお、図2においては電極が、共通陰極である電極611、シリアルインタフェース端子である電極612、および充電用正極である電極613の3本の電極(位置決めピン)からなる構成が示されているが、充電状態検出用端子などを含む、4本以上の電極からなる構成であっても構わない。当然、本実施の形態に示した機能を損なわないのであれば電極形状等もこれに限らない。
【0277】
また、本実施の形態では、構成の簡略化の観点より、ロボット90の帰還の検出することによってアラームを停止するものとしたが、他の方法でアラームの停止を行なってもよい。
【0278】
例えば、ロボット90が無線通信機能を備え、人体センサ53による人体検出情報を即時ベースステーション91に送信できる場合には、この情報によりアラームを停止させても構わない。この方法であると、睡眠者93は、ロボット90がベースステーション91へ帰還したことを確認しなくてもアラームの停止を知ることができる。そのため、ロボット90がベースステーション91に帰還できなかった等によりアラームが停止されないといった事態が発生することはなく、睡眠者93がロボット90の帰還を確認するための手間を省くことができる。
【0279】
また、機能の実施手段によっては人体検出センサ53も必須ではない。例えば、睡眠者93が直接ロボット90を捕獲することや、ベースステーション91に手動で帰還させることでもアラームを停止させることができる。当然、この場合には、ロボット90を使捨てにする、もしくはロボット90を丈夫で頑強に作成する等して、睡眠者93によって捕獲される際にロボット90に加わる衝撃が、次回の覚醒動作に支障を及ぼさないよう工夫することが望ましい。
【0280】
また、睡眠者93が、起床時刻以前に部屋92を去ってしまった場合に備えて、ロボット90がタイマを備え、待機状態においてある程度以上の時間経過を検出すると自動的にベースステーション90に帰還する機能を備えてもよい。
【0281】
また、本実施の形態では、ロボット90は、ベースステーション91より軌道情報を受信した後は、ほぼスタンドアロンにて目標位置への定位を行なうものとしたが、これは必須ではない。例えば、ロボット90がベースステーション91との通信装置を備える場合、ベースステーション91がロボット90の制御装置4の機能を備え、ベースステーション91が通信によりロボット90を遠隔制御する構成や、この中間的な構成であっても構わない。これらの構成は、ロボット90が軌道に沿って移動するために必要な演算量や演算頻度などに応じて、通信速度、通信装置や演算装置の質量、および浮上可能質量等を鑑みて決定される必要がある。
【0282】
また、当然、ロボット90が本実施の形態に示されるセンサ以外のセンサを備えても構わない。例えば、ロボット90に壁(障害物)検出センサを備える場合、より安全に目標位置に定位することもでき、より確実にベースステーション91に帰還することもできる。また、侵入者を検出するようなセンサを備える場合、起床時刻の到来の通知みならず、侵入者の警報を兼ねることができる。
【0283】
また、本実施の形態においては、電極重量の増大を避けるため、ベースステーション91とロボット90とのインタフェースは、最も簡単にシリアルインタフェースで一方通行の通信を行なうものとしたが、当然、機能の必然によってはこれに限るものではない。
【0284】
また、ロボット90がベースステーション91に着陸する時のみ通信が確立されれば足りるため、通信はシリアルインタフェースを介した有線通信としたが、この形態に限るものでもない。例えば、無線通信によってロボット90の状態をベースステーション91に送信してもよい。
【0285】
また、本実施の形態においては、説明の簡便のため、ロボット90の飛行する軌道が垂直方向の直線移動と水平面内の円弧状の移動とである説明を行なったが、当然、障害物が回避でき、かつ、睡眠者93を適切な起立状態に導く位置に定位できる軌道であれば、ロボット90の飛行する軌道はこれに限らない。
【0286】
また、本実施の形態においては説明の簡便のため、ロボット90は待機時にホバリングを行なうものとしたが、睡眠者93を起立状態に導く目的に支障を来さない範囲で、他の飛行態様をとってもよい。例えば、より睡眠者93に覚醒を促すため、ある一定時間以上の間人体が検出されていないとロボット90が帰還動作に移らない設定とし、待機時にロボット90を運動(移動)させることもできる。このような設定にすることで、睡眠者93は、上記の時間以上、ロボット90の人体センサ53の人体検出領域内に留まるためにロボット90を運動に連動して移動する必要があり、このため睡眠者93の覚醒をより進行させることができる。
【0287】
さらに、上述のアラームシステムの制御方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0288】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。
【0289】
なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0290】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態におけるアラームシステムの構成を示す図である。
【図2】 図1に示されるロボット90の主要な構成について示す図である。
【図3】 左羽32の構成の具体例を示す図である。
【図4】 左羽32の姿勢を示すための第1の図である。
【図5】 左羽32の姿勢を示すための第2の図である。
【図6】 一般的な超音波モータ23を示す図である。
【図7】 右アクチュエータ21の構成を示す図である。
【図8】 左羽32の、主軸321に垂直な第1の断面図である。
【図9】 左羽32の、主軸321に垂直な第2の断面図である。
【図10】 左羽32の羽ばたき動作のステップS1を示す図である。
【図11】 左羽32の羽ばたき動作のステップS2を示す図である。
【図12】 左羽32の羽ばたき動作のステップS3を示す図である。
【図13】 左羽32の羽ばたき動作のステップS4を示す図である。
【図14】 ストローク角θおよびねじり角βの値を時間の関数として表した図である。
【図15】 羽ばたき動作制御における応答を示す図である。
【図16】 ロボット90を停空させる際のストローク角θ、偏角α、およびねじり角βの値を、時間の関数として表わした図である。
【図17】 羽31および32の制御とそれによりもたらされる動作とを対応付ける図である。
【図18】 基本となる動作と、それを実現するアクチュエータ21および22の駆動の組合わせとを定めるテーブルである。
【図19】 回転軸にかかる反力を、具体的な数値を用いて算出した結果を示す図である。
【図20】 ベースステーション91の主要な構成と機能とを示す図である。
【図21】 ロボット90の目標とする軌道の定め方を説明する図である。
【図22】 本実施の形態のアラームシステムにおける各種情報の流れを示す図である。
【図23】 本アラームシステムのロボット90が、人体検出を行なうまでの処理を示すフローチャートである。
【図24】 ロボット90がベースステーション91に着陸するまでの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 支持構造、4 制御装置、6 電源、8 発光ダイオード、21 右アクチュエータ、22 左アクチュエータ、23 超音波モータ、31 右羽、32左羽、41 演算装置、42 メモリ、43 シリアルインタフェース、51加速度センサ、52 角加速度センサ、53 人体センサ、61,611,612,613 電極、81 発光素子、82 拡散光学系、90 ロボット、91 ベースステーション、92 部屋,講演会場、93 睡眠者、210 ステータ、211,214,215 ベアリング、212 上部補助ステータ、213 下部補助ステータ、219,229 ロータ、230 圧電素子、231 円盤、232〜237 突起、238 電極、311,321 主軸、312,322 枝、313,323 膜、910 アラーム、911 演算装置、912 メモリ、913 充電器、914 電極、915 電磁石、916 シリアルインタフェース、917 ロボット検出装置、919 入出力パネル、921ドア。

Claims (21)

  1. ベースステーションとロボットとからなるアラームシステムであって、
    前記ベースステーションは、予め設定されたタイミングでアラームを動作させるアラーム開始手段を備え、
    前記ロボットは、
    前記アラームを停止させるアラーム停止手段と、
    羽ばたき飛行によって浮上移動する移動手段と
    人体を検出する人体検出手段と、
    前記人体検出手段で人体を検出する際の、前記ロボットの位置を、前記ベースステーションからの距離と、前記ベースステーションを基準とする角度とによって、予め設定する位置設定手段とを備える、アラームシステム。
  2. 記アラーム停止手段は、前記人体検出手段で人体を検出することをトリガとして前記アラームを停止させる、請求項1に記載のアラームシステム。
  3. 前記人体検出手段は、前記浮上移動を行なって人体を検出する、請求項1に記載のアラームシステム。
  4. 前記人体検出手段は、非接触状態にて人体を検出する、請求項に記載のアラームシステム。
  5. 人体が特定の位置および姿勢であるときに、前記人体検出手段で前記人体を検出することのできる位置および姿勢に前記ロボットを定位する定位手段をさらに備える、請求項に記載のアラームシステム。
  6. 前記ロボットを定位する前記位置および姿勢を設定する定位設定手段をさらに備える、請求項に記載のアラームシステム。
  7. 記ロボットは、前記設定された位置に予め設定された曲線に沿って定位する、請求項1に記載のアラームシステム。
  8. 前記曲線は、予め設定された値を円弧の半径とする曲線であり、前記円弧の両端が、前記人体検出手段で人体を検出する際の前記ロボットの位置と、前記ベースステーションとである、請求項に記載のアラームシステム。
  9. 前記ロボットを定位する前記位置は、前記アラームの停止後に前記人体が経由する領域を前記人体検出手段の検出領域に含む位置である、請求項に記載のアラームシステム。
  10. 前記ロボットを定位する前記位置は、伏臥状態の前記人体を前記人体検出手段の検出範囲に含まず、起立状態の前記人体を前記検出範囲に含む位置である、請求項5に記載のアラームシステム。
  11. 前記ベースステーションは、前記ロボットの浮上を指示する指示手段をさらに備える、請求項1に記載のアラームシステム。
  12. ベースステーションとロボットとからなる目覚まし時計であって、
    前記ベースステーションは、
    時刻を計測する時刻計測手段と、
    前記時刻計時手段で予め設定された時刻が計時されるとアラームを動作させるアラーム開始手段とを備え、
    前記ロボットは、
    前記アラームを停止させるアラーム停止手段と、
    羽ばたき飛行によって浮上移動する移動手段と
    人体を検出する人体検出手段と、
    前記人体検出手段で人体を検出する際の、前記ロボットの位置を、前記ベースステーションからの距離と、前記ベースステーションを基準とする角度とによって、予め設定する位置設定手段とを備える、目覚まし時計。
  13. 記アラーム停止手段は、前記人体検出手段で人体を検出することでアラームを停止する、請求項12に記載の目覚まし時計。
  14. 前記人体検出手段は、起立状態である人体のみを検出する、請求項12に記載の目覚まし時計。
  15. 前記人体検出手段は、伏臥状態の前記人体を検出範囲に含まず、起立状態である前記人体を前記検出範囲に含む、請求項12に記載の目覚まし時計。
  16. 前記ロボットが浮上移動する軌道を設定する設定手段をさらに備える、請求項12に記載の目覚まし時計。
  17. 前記ベースステーションは、前記ロボットの離陸を指示する指示手段をさらに備える、請求項12に記載の目覚まし時計。
  18. 前記アラーム停止手段は、前記ロボットが前記浮上移動後に所定の場所に帰還することによって、前記アラームを停止させる、請求項12に記載の目覚まし時計。
  19. 前記人体検出手段で人体を検出する際の前記ロボットの浮上高度が、前記起立状態である人体の身長以上である、請求項14または15に記載の目覚まし時計。
  20. 記人体検出手段で人体を検出する際の前記ロボットの位置が、睡眠状態にある前記人体が覚醒後に第1に活動を行なう位置に起立した際の前記起立状態である人体を、前記人体検出手段で検出できる位置である、請求項12に記載の目覚まし時計。
  21. 一定時間経過後に、自動的に前記ロボットを所定の場所に帰還させる帰還手段をさらに備える、請求項12に記載の目覚まし時計。
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