JP4050978B2 - 鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装鋼板に係わり、更に詳しくは優れた鮮映性と耐食性を有し、種々の用途、例えば家電用や建材用鋼板として適用できる塗装鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗装金属板は、金属板を先に成形加工して複雑な形状物とした後に塗装を加える方式に比べ、塗装工程が合理化できる、品質が均一になる、塗料の消費量が節約される等の利点があることから、これまで多く使用されており、今後とも使用量は増加すると考えられる。
【0003】
一般に塗装金属板は、冷延鋼板、亜鉛めっき系鋼板、その他の金属板に予め塗装をした後、任意の形状に成形加工して最終の用途に供するものであり、例えば冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電製品、自動販売機、事務機器、自動車、エアコン室外機などの金属製品に用いられている。
【0004】
こうした塗装鋼板の耐食性を向上させることを目的として本発明者らは、塗装溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼板を提案した(例えば、特許文献1)。また、本発明者らは、この溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼板にCa、Be、Ti、Cu、Ni、Co、Cr、Mnの一種または二種以上を添加することにより、更に耐食性が優れた塗装鋼板が得られることを明らかにした(例えば、特許文献2)。
【0005】
また、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板にTi、B、Siを添加することにより表面外観が良好になることが知られている(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3179446号公報
【特許文献2】
特開2000−64061号公報
【特許文献3】
特開2001−295015号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
Zn−Alの二元系合金は6質量%Al−94質量%Znに共晶点を持ち、それよりAl濃度が高い場合、初晶としてAl相が晶出する。
【0008】
また、Zn−Mg−Alの三元系合金は3質量%Mg−4質量%Al−93質量%Znに三元共晶点を持ち、それよりAl濃度が高い場合、初晶としてAl相が晶出する。
【0009】
また、Al−Siの二元系合金は87.4質量%Al−12.6質量%Siに共晶点を持ち、それよりAl濃度が高い場合、初晶としてAl相が晶出する。
【0010】
溶融めっき時のめっき凝固速度が十分に確保されている場合、Al相が大きく成長しないうちにめっきが凝固するため表面平滑性は問題とならないが、めっき凝固速度が小さい場合、これらAl相が先に大きく成長することによってめっき表面に凸凹が形成され、表面平滑性が劣化するという問題点を有している。
【0011】
このため、このような表面平滑性が低い鋼板で塗装鋼板を製造した場合、0.2〜100μm程度の厚さの比較的薄い塗膜ではめっき表面の凸凹を完全には隠蔽できず、塗装鋼板の鮮映性が劣化するという問題点を有している。
【0012】
しかし、前記特許文献1及び2に開示される技術では、塗装鋼板の鮮映性が劣化するという問題は考慮されていない。
【0013】
また、前記特許文献3に開示される技術では、表面外観を劣化させるZn11Mg2相の生成・成長を抑制する目的としてTiとBを添加しているが、表面平滑性や塗装後の鮮映性が劣化するという問題は考慮されておらず、金属間化合物についても言及されていない。
【0014】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、4質量%を超えるような高Al濃度の場合でも十分鮮映性が優れた高耐食性塗装鋼板を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板の開発について鋭意研究を重ねた結果、Al4質量%以上からなり、かつ、Al相の中または横に格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物を含有するZn系またはAl系めっき層を形成した後に、クロメート処理もしくはりん酸塩処理の化成処理、塗装を行うことによって鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板を得られることを見いだし、本発明を完成した。
即ち、本発明の趣旨とするところは、以下のとおりである。
【0016】
(1) 鋼板の片面または両面に、Al4質量%以上からなり、かつ、Al相の中に格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物を含有するZn系またはAl系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩被膜の化成被膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0017】
(2) 鋼板の片面または両面に、Al4質量%以上からなり、かつ、Al相の横に格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物を含有するZn系またはAl系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩被膜の化成被膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0023】
) 前記(1)または(2)に記載の金属間化合物が、NiAlであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0024】
(4) 前記(1)または(2)に記載の金属間化合物が、TiAlであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0025】
(5) 前記(1)または(2)に記載の金属間化合物が、Ti(Al1−XSiであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0026】
(6) 前記(1)または(2)に記載の金属間化合物が、ZrAlであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0027】
) 前記(1)または(2)記載の金属間化合物が、SrAlであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0028】
) 有機被膜が、熱硬化型の樹脂塗膜であることを特徴とする前記(1)乃至()のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0029】
) 有機皮膜層が防錆顔料を含む下塗り層と着色された上塗り層からなる前記(1)乃至()のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
【0030】
【発明の実施形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0031】
本発明において、塗装鋼板とは、鋼板上にAl4質量%以上からなるめっき層とクロメート皮膜もしくはりん酸塩被膜の化成被膜、及び有機皮膜からなる層を順次付与したものである。本発明の下地鋼板としては、熱延鋼板、冷延鋼板共に使用でき、鋼種もAlキルド鋼、Ti、Nb等を添加した極低炭素鋼板、及びこれらにP、Si、Mn等の強化元素を添加した高強度鋼、ステンレス鋼等種々のものが適用できる。
【0032】
下層のめっき層は、Al4質量%以上からなり、かつ、Al相の中に格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物を含有するZn系またはAl系めっき層を表面に有することを特徴とするめっき鋼板、及び、Al4質量%以上からなり、かつ、Al相の横にAl系金属間化合物を含有するZn系またはAl系めっき層を表面に有することを特徴とするめっき鋼板である。
【0033】
本発明において、Zn系めっき層とは溶融Zn浴にAlを添加し、更に必要に応じてSi、Mgの一種または二種を添加したもの、または、Al系めっき層とは溶融Al浴に、Siを添加し、更に必要に応じてZn、Mgの一種または二種を添加したものである。
【0034】
めっき浴中には、これ以外にFe、Sb、Pb、Sn、及び不可避的不純物を単独あるいは複合で0.5質量%以内含有してもよい。また、Ca、Be、Cu、Co、Mn、P、B、Bi、3族元素を合計で0.5質量%以下含有しても本発明の効果を損なわず、その量によっては更に耐食性が改善される等好ましい場合もある。
【0035】
本発明において、Alの含有量を4質量%以上に限定した理由は、4質量%未満のAl量では耐食性を向上させる効果が十分でないためである。また、4質量%未満では初晶としてAl相が晶出しないため、塗装後の鮮映性が低下するという問題は起こらない。
【0036】
本発明において、Al相とはめっき層中に明瞭な境界をもって島状またはデンドライト状に見える相であり、これは例えばAl−Znの二元系平衡状態図における高温での「Al相」(Znを固溶するAl固溶体)に相当するものである。この高温でのAl相はめっき浴のAl濃度応じて固溶するZn量が相違する。この高温でのAl相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離するが、常温で見られる島状の形状は高温でのAl相の形骸を留めたものであると見てよい。この高温でのAl相(Al初晶と呼ばれる)に由来しかつ形状的にはAl相の形骸を留めている相を本明細書ではAl相と呼ぶ。
【0037】
Al相は、Al−Siの二元系、Al−Zn−Siの三元系、Al−Zn−Mgの三元系、Al−Mg−Siの三元系、Al−Zn−Mg−Siの四元系において、めっき浴の合金濃度応じて固溶する元素量が相違し、常温での相形態も相違してくるが、いずれの場合においてもAl初晶に由来する形骸を留めており、顕微鏡観察において明瞭に区別できるため、本明細書ではこれをAl相と呼ぶ。
【0038】
ここで表面平滑性の悪いめっきとは、めっき表面に数十μm〜数mm間隔の凸凹が形成された状態を示し、目視でも十分確認できる。断面を光学顕微鏡で確認するとめっきが厚い部分と薄い部分に分かれており、極端な場合、薄い部分が厚い部分の半分以下となることもある.この平滑性は波長領域0.8mm以上の粗度を測定することにより評価できる。
【0039】
本発明において、めっき中の格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物の含有形態をAl相の中またはAl相の横に限定した理由は、それ以外の位置に存在する金属間化合物では、表面平滑性を向上させることができないためである。
【0040】
Al相の中またはAl相の横に存在する格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物が鮮映性を向上させる理由は、格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物が、〔Al相〕の核となることでこれらの結晶の晶出を促進させ、微細で多数の組織とするためであると考えられる。即ち、結晶が微細になるとめっき層表面の凹凸が抑制され、めっき表面が平滑になり、比較的薄い塗膜でもめっき表面の凸凹を隠蔽できるようになり、塗装鋼板の鮮映性が向上すると考えられる。特に〔Al相〕の樹枝状晶の大きさを500μm以下に制御することにより、表面が平滑になり、塗装鋼板の鮮映性が向上する。望ましくは400μm以下である。更に望ましくは300μm以下である。
【0041】
本発明者等が多数のめっき中のAl相を調査した結果、大部分のAl相の中または横から大きさ数μmの金属間化合物が観察された。Al相中に存在する金属間化合物の一例を図1に示す。図1の上段の図(a)は、本発明におけるめっき鋼材のめっき層の顕微鏡写真(倍率3500倍)であり、該写真中の各組織の分布状態を図示したものが下段の図(b)である。この図からも判るように、本発明におけるめっき鋼材のめっき層の顕微鏡写真によって明確に各組織を特定することができる。
【0042】
本発明において金属間化合物の大きさは特に限定しないが、発明者らが観察したものは、大きさ10μm以下であった。また、Al相中の金属間化合物の存在割合も特に限定しないが、過半数を超えるAl相に存在することが望ましい。
【0043】
特に、Alの格子定数4.05Åに近い格子定数を持つ金属間化合物は接種効果が得られ易いため、金属間化合物の格子定数は少なくとも1つが3〜5Åであることが望ましい。
【0044】
上記のような性質を持つAl系金属間化合物としては、NiAl3、TiAl3、Ti(Al1-XSiX3、ZrAl3、SrAl4が挙げられる。
【0045】
金属間化合物の添加方法については特に限定するところはなく、金属間化合物の微粉末を浴中に混濁させる方法や、金属間化合物を浴に溶解させる方法等が適用できる。
【0046】
本発明において、めっき鋼板の製造方法については特に限定するところはなく、通常の無酸化炉方式の溶融めっき法が適用できる。本発明品は冷却速度が小さい場合でも表面平滑性が良好なめっきが得られるため、大きな冷却速度が取りにくい板厚の厚い材料への溶融めっきにおいてその効果が顕著となる。
【0047】
金属間化合物の添加方法については特に限定するところはなく、金属間化合物の微粉末を浴中に混濁させる方法や、金属間化合物を浴に溶解させる方法等が適用できる。
【0048】
めっきの付着量については特に制約は設けないが、耐食性の観点から10g/m2以上、加工性の観点から200g/m2以下であることが望ましい。
【0049】
次に、塗装鋼板の化成被膜としてはクロメート被膜もしくはりん酸塩被膜を用いる。化成被膜はめっき面と塗膜の間に位置し加工時の密着性、耐食性向上に寄与する。クロメートは3価クロム水和酸化物を主成分とする後水洗型の電解還元クロメート、3価クロムと6価クロム水和酸化物を主成分とする後水洗型のエッチングクロメート液を塗布し乾燥する無水洗型の塗布クロメート被膜を採用できる。付着量については特に制約は設けないが、耐食性の観点から5mg/m2以上、密着性の観点から100mg/m2以下であることが望ましい。クロメート被膜は3価クロム/6価クロム比率の高い、水系潤滑塗料に溶解し難いものが望ましい。
【0050】
りん酸塩被膜は亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、カルシウム等のリン酸塩で構成されるものである。付着量は、耐食性の観点から0.2g/m2以上、密着性の観点から2.0g/m2以下であることが望ましい。
【0051】
次に塗装鋼板の上層の有機被膜としては、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等が例として挙げられ、特に限定されるものではないが、特に加工が厳しい製品に使用する場合、熱硬化型の樹脂塗膜が最も好ましい。熱硬化型の樹脂塗膜としては、エポキシポリエステル塗料、ポリエステル塗料、メラミンポリエステル塗料、ウレタンポリエステル塗料等のポリエステル系塗料や、アクリル塗料が挙げられる。
【0052】
ポリエステル樹脂の酸成分の一部を脂肪酸に置き換えたアルキッド樹脂や、油で変性しないオイルフリーアルキッド樹脂に、メラミン樹脂やポリイソシアネート樹脂を硬化剤として併用したポリエステル系の塗料、及び各種架橋剤と組み合わせたアクリル塗料は、他の塗料に比べて加工性がよいため、厳しい加工の後にも塗膜に亀裂などが発生しないためである。
【0053】
膜厚は、0.2〜100μmが適正である.膜厚を0.2μm以上とした理由は、膜厚が0.2μm未満では耐食性が確保できないためである。また、膜厚を100μm以下とした理由は、膜厚が100μmを超えるとコスト面から不利になるためである。望ましくは、50μm以下である。有機被膜層は、単層でも複層でもかまわない。
【0054】
なお、本発明の方法に使用される有機被膜には、必要に応じ、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、無機粒子、顔料、有機潤滑などの添加剤を配合される。
【0055】
有機被覆層は公知の方法で下地処理層の上に塗装される。例えば、ロールコーター、カーテンコーター、静電塗装、スプレー塗装、浸漬塗装などである。その後、熱風、誘導加熱、近赤外、遠赤外、などの加熱によって乾燥・硬化される。有機被覆層の樹脂が電子線や紫外線で硬化するものであればこれらの照射によって硬化される。これらの併用であってもよい。
【0056】
本発明の塗装鋼板で化成処理層と着色された有機層の間に、必要に応じて防錆顔料を添加した皮膜層を下塗り層として有することができる。この下塗り層は主に耐食性の向上を目的とするが、その他に成形加工性、耐薬品性なども考慮して設計される。下塗り層を構成する樹脂としては、一般に公知の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などをそのままあるいは組み合わせて使用できる。防錆顔料としては一般に公知のもの、例えば、▲1▼リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、等のリン酸系防錆顔料、▲2▼モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸バリウム、等のモリブデン酸系防錆顔料、▲3▼酸化バナジウムなどのバナジウム系防錆顔料、▲4▼カルシウムシリケートなどのシリケート系顔料、▲5▼ストロンチウムクロメート、ジンククロメート、カルシウムクロメート、カリウムクロメート、バリウムクロメートなどのクロメート系防錆顔料、▲6▼水分散シリカ、ヒュームドシリカ、等の微粒シリカなどを用いることができる。
【0057】
防錆顔料の添加量は皮膜の固形分基準に1〜40質量%がよい。1質量%より少ないと耐食性の改良が十分でなく、40質量%を超えると加工性が低下して、加工時に有機被膜層の脱落が起こり、耐食性も劣るようになる。
【0058】
防錆顔料を含む下塗り層の塗布は一般に公知の方法でできる。例えば、ロールコート、カーテンコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬、刷毛塗り、バーコートなどである。その後、熱風、誘導加熱、近赤外、遠赤外、などの加熱によって乾燥・硬化される。有機被覆層の樹脂が電子線や紫外線で硬化するものであればこれらの照射によって硬化される。これらの併用であってもよい。
【0059】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0060】
(実施例1)
まず、厚さ0.85mmの冷延鋼板を準備し、これに400〜700℃で浴中の添加元素量を変化させためっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき付着量を140g/m2に調整し、冷却速度10℃/s以下で冷却した。
得られためっき鋼板の溶融Znめっき層組成を表1に、溶融Alめっき層組成を表2に示す。
【0061】
得られためっき鋼板は10度傾斜研磨を行い、SEMで金属間化合物を探し、EPMAによる組成比から金属間化合物を決定した。評価は、Al相の中または横から格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物が確認されたものを合格とした。
【0062】
次に、このめっきを行った鋼板に表1と表2に示す化成処理を行い、その上に、プライマーとしてエポキシポリエステル塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて膜厚を5μmに調整した.トップコートは、ポリエステル塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて膜厚を20μmに調整した。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した.クロメート皮膜の付着量はCr換算量で50mg/m2とした。りん酸塩処理は浸漬型のりん酸亜鉛処理を行った。りん酸亜鉛皮膜の付着量は1.5g/m2とした。
【0063】
以上の様にして作製した塗装鋼板の鮮映性を携帯用鮮明度光沢度計(PGD計)で測定した。鮮映性は、鮮映性測定値(Gd値)が0.6以上のものを合格、Gd値が0.6未満のものを不合格とした。
【0064】
評価結果を表1と表2に示す。番号1、7、13、19、24、29、34はAl相中に金属間化合物を含有しないため鮮映性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な鮮映性を示した。
【0065】
(実施例2)
まず、厚さ0.85mmの冷延鋼板を準備し、これに400〜700℃で浴中の添加元素量を変化させためっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき付着量を140g/m2に調整し、冷却速度10℃/s以下で冷却した。得られためっき鋼板のめっき組成を表3に示す。
【0066】
得られためっき鋼板は10度傾斜研磨を行い、SEMで金属間化合物を探し、EPMAによる組成比から金属間化合物を決定した。評価は、Al相の中または横から格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物が確認されたものを合格とした。
【0067】
次に、このめっきを行った鋼板を塗布型のクロメート処理液に浸漬して、クロメート処理を行った。クロメート皮膜の付着量はCr換算量で50mg/m2とした。
【0068】
塗装は、エポキシポリエステル塗料、ポリエステル塗料、メラミンポリエステル塗料、ウレタンポリエステル塗料、アクリル塗料、ウレタン塗料をそれぞれバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けて表3に示す膜厚に調整した。
【0069】
鮮映性は携帯用鮮明度光沢度計(PGD計)での鮮映性測定値(Gd値)を測定した。鮮映性は、Gd値が0.6以上のものを合格、Gd値が0.6未満のものを不合格とした。
【0070】
耐食性は、JIS B−7729に準ずるエリクセン試験機を使用して7mm押し出した加工部をJIS Z−2371に準ずる塩水噴霧試験で72hr試験し、白錆が発生しなかったものを合格、白錆が発生したものを不合格とした。
【0071】
評価結果を表3に示す。番号30は、塗膜厚が本発明の範囲外であるため、耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な鮮映性、耐食性を示した。
【0072】
【表1】
Figure 0004050978
【0073】
【表2】
Figure 0004050978
【0074】
【表3】
Figure 0004050978
【0075】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明により、高Al濃度の場合でも十分鮮映性が優れた高耐食性塗装鋼板を製造することが可能となり、工業上極めて優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al相中に存在する金属間化合物の一例を示す図で、(a)は鋼材のめっき層の顕微鏡写真(倍率:3500倍)であり、(b)は写真中の各組織の分布状態を示した図である。

Claims (9)

  1. 鋼板の片面または両面に、Al4質量%以上からなり、かつ、Al相の中に格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物を含有するZn系またはAl系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
  2. 鋼板の片面または両面に、Al4質量%以上からなり、かつ、Al相の横に格子定数の少なくとも1つが3〜5ÅであるAl系金属間化合物を含有するZn系またはAl系めっき層を有し、中間層としてクロメート皮膜もしくはりん酸塩皮膜の化成皮膜を有し、上層として0.2〜100μm厚の有機被膜層を有することを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の金属間化合物が、NiAlであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
  4. 請求項1または2に記載の金属間化合物が、TiAlであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
  5. 請求項1または2に記載の金属間化合物が、Ti(Al1−XSiであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
  6. 請求項1または2に記載の金属間化合物が、ZrAlであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
  7. 請求項1または2に記載の金属間化合物が、SrAlであることを特徴とする鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
  8. 有機被膜が、熱硬化型の樹脂塗膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
  9. 有機皮膜層が防錆顔料を含む下塗り層と着色された上塗り層からなる請求項1乃至8のいずれかに記載の鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板。
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