JPH0653935B2 - 多層めっき鋼材 - Google Patents

多層めっき鋼材

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JPH0653935B2
JPH0653935B2 JP22411489A JP22411489A JPH0653935B2 JP H0653935 B2 JPH0653935 B2 JP H0653935B2 JP 22411489 A JP22411489 A JP 22411489A JP 22411489 A JP22411489 A JP 22411489A JP H0653935 B2 JPH0653935 B2 JP H0653935B2
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康博 山本
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、プレス成形性に優れた多層めっき鋼材、具
体的には高面圧摺動による焼きつきに起因するめっき皮
膜のフレーキングがなく、特に張り出し、深絞り、摺動
等が複雑に関与する加工を受ける自動車車体用鋼材とし
て好適な耐剥離性に優れた多層めっき鋼材、更に、裸耐
食性又は裸耐食性と密着性とを具備した多層めっき鋼材
に関する。
(従来の技術) 自動車外装材などに広く使用されている耐食性鋼材のひ
とつに亜鉛系合金めっき鋼材がある。このめっき鋼板
は、鋼板に亜鉛もしくはAl、Si、Ti、Cr、Mn、Mg、Zr、
Ca、Ba、Cu、Ni、、Co、Sb、Sn等の1種以上を含む亜鉛
合金を、電気めっき、溶融めっき、真空蒸着、イオンプ
レーティング等のプロセスにより被覆した後、熱拡散処
理(溶融塩浸漬加熱、可燃性ガス燃焼加熱、レーザービ
ーム加熱、N2+H2混合ガス雰囲気加熱、赤外線加熱、電
気抵抗加熱、電磁誘導加熱等)して、めっき層と鋼素地
との相互拡散を行わせしめ、めっき層をZn−Fe又はZn−
Fe−X(Xは前記の元素)の合金にすることにより得ら
れるものである。
このZn−Fe系合金めっき鋼板は優れた耐食性を有し、特
に亜鉛又は亜鉛合金めっきを溶融めっき法で施す場合
は、比較的安価に量産できるため、多くの産業分野で賞
用されている。
しかしながら、自動車外装材のように、複雑で高度の成
形加工を受ける部材の素材としては、次に述べるような
問題がある。
上記のように、この種のめっき鋼板は、亜鉛めっき又は
亜鉛合金めっきを施した後、熱拡散処理によって合金化
することに特徴がある。Zn−Fe合金相は、合金化度によ
って、η粗、ξ相、δ相、Г相等の数種の組み合わせ
から成る。Fe含有量が低い程、軟質のη粗、ξ相が多く
なり、脆いδ相、Г相は少なくなる。合金化がすすみ
過ぎためっき皮膜ではFe含有量の高い相の比率が高くな
り、皮膜が脆くなって第3図(a)に示すようなプレス成
形の際に皮膜表層部が微粉状に剥離する現象、いわゆる
パウダリングが起こりやすいことが知られている。
一方、皮膜中のFe含有量を少なくすればパウダリングを
抑制することができる。ところが、耐パウダリング性の
改善だけを目的として、Zn−Fe合金皮膜の軟質化を図る
ために合金化層のFe含有量を下げていくと、低融点金属
間化合物であるη粗やξ相の比率が高くなり、プレス成
形の際に金型との焼きつきによる表面剪断力によって合
金めっき層が、第3図(b)に示すように母材鋼板との界
面から剥離するフレーキング現象が生じる。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の課題は、Zn−Fe系合金化層を有する亜鉛系めっ
き鋼材であって、塑性変形破壊によるパウダリングと高
面圧摺動による焼きつきに起因するフレーキングとがと
もに少ない、即ち、耐パウダリング性と耐フレーキング
性とを兼備する耐剥離性に極めて優れた多層めっき鋼
材、さらには耐剥離性の他に、優れた裸耐食性又は裸耐
食性と塗膜の密着性をも具備した多層めっき鋼材を提供
することにある。
(課題を解決するための手段) 焼きつきが起こる理由は、固体間ですべり合う際に、固
体表面は原子レベルよりもはるかに大きな凹凸(表面粗
さ)があるため、真の接触面積は見掛けの投影面積より
極めて小さく、高面圧荷重により局部的な接触点が塑性
変形、流動を起こし、局所的に表面温度上昇が生じ、固
体間凝着(焼付)に至るのである。
本発明者らは、このような固体間凝着が生じやすいFe−
Zn系合金めっき鋼板について、そのめっき層の上に非晶
質めっき層を設け、多層めっき鋼材とすれば凝着や溶着
が生じ難くなり、耐パウダリング性、耐フレーキング性
が著しく向上すること、およびこの多層めっき鋼材の非
晶質めっき層をAl基からなるものとし、その表面を交番
電解処理により改質してやれば塗膜の密着性が向上する
こと、さらに、非晶質めっき層の上にクロメート皮膜と
樹脂皮膜を設ければ裸耐食性と塗膜の密着性の両方が向
上することを見出し、本発明に至った。
ここに本発明の要旨は、下記(I)〜(IV)にある。
(I)鋼材の表面に、第一層としてFeを30重量%以下
含有するZn−Fe系合金めっき層を有し、その上に第二層
として付着量が1〜10000mg/m2である非晶質めっき層を
有することを特徴とする多層めっき鋼材。
(II)第二層の非晶質めっき層が、Al基、Fe基、Ni基、
Co基およびCr基のいずれかの金属からなる非晶質めっき
層であることを特徴とする(I)記載の多層めっき鋼材。
(III)第二層の非晶質めっき層が、その表面が交番電
解処理により改質されたAl基の金属からなる非晶質めっ
き層であることを特徴とする(I)又は(II)記載の多層め
っき鋼材。
(IV)上記(1)又は(II)記載の多層めっき鋼材の上に、
更に第三層としてクロメート皮膜層を有し、その上に第
四層として有機高分子物質からなる樹脂皮膜層を有する
ことを特徴とする多層めっき鋼材。
本発明において、前記母材の鋼材とは例えば熱延鋼板又
は冷延鋼板等である。また、これらの材質は特に制約さ
れない。例えば、一般的にはプレス成形性のよいAlキル
ド鋼、極低炭素Ti鋼、Nb添加鋼、OCA脱炭Alキルド
鋼、遅時効性RBH鋼などを使用することができる。
(作用) 以下、添付図面を参照して本発明について更に詳細に説
明する。
第1図は、母材鋼材1の上に第一層としてZn−Fe系合金
めっき層2を配し、第二層として非晶質めっき層3を配
した本発明の多層めっき鋼材の概念を示す模式図であ
る。
第一層のZn−Fe系合金めっき層2は、母材鋼材1の少な
くとも片面に、電気めっき、溶融めっき、真空蒸着、イ
オンプレーティング等のプロセスにより、亜鉛又は亜鉛
と他の金属を含む亜鉛合金をめっきした後、熱拡散処理
してめっき層と鋼素地との相互拡散を行わせしめ、めっ
き層をZn−Fe合金化又はZn−Fe−X(Xは他の元素)合
金化することで形成することができる。この熱拡散処理
はめっき後、引き続いて同ラインで実施してもよく、別
工程としてバッチ処理してもよい。
合金化は加熱温度を高くするか、或いは保持時間を長く
すれば、母材鋼材と亜鉛めっき層又は亜鉛合金めっき層
との相互拡散による皮膜中のFe量が多くなり、Fe含有量
の多いZn−Fe系合金皮膜が得られる。本発明では皮膜中
のFe含有率が30重量%以下、望ましくは7〜20重量
%となるように合金化を行う。皮膜中のFe含有量が30
重量%を超えると自由変形加工によるめっき皮膜のパウ
ダリングが多くなり、加工性に劣る。
なお、前記Zn−Fe−Xの第一層皮膜とは、例えば、Zn−
Fe−Al、Zn−Fe−Al−Ti、Zn−Fe−Mn、Zn−Fe−Mn−S
i、Zn−Fe−Al−Cr、Zn−Fe−Al−Cr−Mn、Zn−Fe−M
g、Zn−Fe−Mo、Zn−Fe−Al−Mg、Zn−Fe−Al−Mg−M
n、Zn−Fe−Mn−Ti、Zn−Fe−Al−Zr、Zn−Fe−Zr、Zn
−Fe−Al−Zr−Mn、Zn−Fe−Al−Sb、Zn−Fe−Al−Co、
Zn−Fe−Al−Y、Zn−Fe−Mg−Cu、Zn−Fe−Al−Mg−C
u、Zn−Fe−Mn−Cu、Zn−Fe−Al−Mn−Cu、Zn−Fe−Ni
−Ca、Zn−Fe−Al−Ni−Ca、Zn−Fe−Al−La−Ce、Zn−
Fe−Al−Si、Zn−Fe−Al−Ti−Cr、等である。
第一層のZn−Fe系合金めっき層2の付着量は、特に限定
する必要がない。しかし、過度に薄いと必要な耐食性が
得られず、厚くすると経済的に不利となるので、20g/m2
〜100mg/m2程度の付着量が好ましい。
第二層の非晶質めっき層3は、高面圧摺動による金型と
の焼付けによるフレーキングを防止するためのものであ
る。この第二層は、硬質でしかも第一層との凝着親和性
の弱い金属、例えばAl基、Fe基、Ni基、Co基、Cr基等の
金属をベースとして非晶質となるようにめっきしたもの
である。非晶質のめっき層は、強度が高く、且つ靭性に
富んでいるので、第一層のZn−Fe系合金めっき層2が高
面圧摺動による金型との焼き付きによって起こるフレー
キングを効果的に抑制することができる。
第二層の非晶質めっき層は、主成分の金属の他に、これ
とは異なる他の金属、例えば、Co、Cr、Mn、Mo、Ni、S
n、Cd、Sr、Ce、Ba、Mg、Al、B、S、P、C、N、S
i、Bi、Ti、Tl、As、Cu、In、Pb、Sb、Zr、W等を1種
以上、単体又は合金の形態で5重量%以下含んでいても
よい。或いは、酸化物、水酸化物、水和物、チッ化物、
ホウ化物、リン化物、硫化物、リン酸塩、クロム酸塩、
硫酸塩等の化合物の形態で含有していてもよい。これら
のものが含まれていても、第二層のめっき層が非晶質で
ある限り、前記の効果を損なうようなことはない。
第二層は、前記の金属を例えば溶射法、溶湯急冷法、C
VD法、PVD法、イオンプレーテイング法、イオンス
パッタリング法などの乾式皮膜形成法、或いは電解もし
くは無電解めっきのような湿式法のいずれかの方法で被
覆してやれば、非晶質のめっき層とすることができる。
この中でも電気めっき法は、生産面および皮膜厚や組成
の制御面で優れている。
第二層の非晶質めっき層3の付着量は、1〜1000mg/m2
とするのがよい。1mg/m2未満では耐フレイク性に劣
り、10000mg/m2を超えて被覆しても効果が飽和し、経済
性に不利となる。望ましい付着量は100〜5000mg/m2であ
る。
本発明において、第二層の非晶質めっき層はAl基、Fe
基、Ni基、Co基、Cr基のいずれかの金属からなる非晶質
めっき層とするのが望ましい。自動車、建材等の分野で
使用される鋼材は、最終的に塗装を施して使用される場
合が多く、塗装には主としてカチオン電着塗装が用いら
れている。第二層にAl基、Fe基、Ni基、Co基、Cr基のい
ずれかの金属からなる非晶質めっき層を配してやれば、
非晶質皮膜の均一性により局所的な電流集中を抑制する
ことができるため、カチオン電着塗装時にガスピンブッ
欠陥が発生しにくくなり、塗装性の点で有利となる。
また、第二層を交番電解処理によりその表面を改質した
Al基の非晶質めっき層とすることも塗装性の改善に有効
である。
第二層をAl基の非晶質めっき層とした多層めっき鋼材
は、そのままでもめっき皮膜の耐剥離性には優れている
が、塗膜との密着性については若干劣る。ところが、そ
のAl基の非晶質めっき層表面を交番電解処理で改質して
やれば、表面がピット状の多孔状を呈し、アンカー効果
が得られるので塗膜の密着性が向上する。交番電解処理
は、例えば、Fe、Mn、Zn、Ni、Mo、Co、Mg、W、Al等の
水和陽イオンもしくは錯体の1種以上を含む重クロムア
ンモニウム水溶液を使用し、この液を10〜80℃に保って
5〜1000Vの交流電流を0.1〜100秒間通電することで行
うことができる。なお、陰イオンとしてフッ化物、リン
酸塩、シュウ酸塩を水溶液に添加すると浴の経時安定性
を向上させることができる。
第2図は、Zn−Fe系合金めっき層2を第一層に、非晶質
めっき層3を第二層に配した前記の多層めっき鋼材の上
に、更に第三層としてクロメート皮膜層4、およびこの
上に第四層として有機高分子物質からなる樹脂皮膜層5
を設けた本発明のもう一つの多層めっき鋼材の概念を示
す模式図である。
第2層の非晶質めっき層3の上に、更にクロメート皮膜
層4と樹脂皮膜層5を設けることで、耐裸耐食性及び塗
膜密着性が著しく向上する。従って、この多層めっき鋼
材は無塗装で使用する場合、及び塗装して使用する場合
の両方に有益である。
第三層のクロメート皮膜層4は、Crの3価及び6価の混
合酸化物からなるものである。この付着量は特に規定す
る必要はないが、薄すぎると皮膜が不均一となって耐食
性が低下する可能性があり、厚すぎると加工性および溶
接性が損なわれるので、金属クロム換算で1〜1000mg/m
2程度が適当である。好ましくは10〜200mg/m2、より好
ましくは30〜80mg/m2である。
クロメート皮膜は、その皮膜中にSiO2、TiO2、Al2O3
の無機粉体、又はシランカップリング剤、アルミノカッ
プリング剤、チタニアカップリング剤、クロムカップリ
ング剤等の各種カップリング剤を含んでいてもよい。こ
れらを皮膜中に含ませることで耐食性および塗膜の密着
性をより高めることができる。
クロメート皮膜は、塗布法、電解法等のいずれの方法で
も形成することができる。塗布法の場合は、部分的に還
元されたクロム酸溶液を主成分とし、必要に応じこれに
水分散性又は水溶性のアクリル樹脂等の有機樹脂および
/又は粒径数μm〜数百μのシリカ(コロイダルシリ
カ、フュームドシリカ)を含有する塗布型クロメート処
理液を使用することができる。この処理液の場合、C
r3+:Cr6+の割合は1:1〜1:3、pHは1.5〜4.
0とするのがよい。より好ましくはpHを2〜3とするこ
とである。Cr3+:Cr6+の割合は、一般の有機還元剤、例
えば糖類、アルコール類の有機還元剤や無機還元剤を使
用して所定の割合に調整することができる。塗布方法と
してはロールコータ法、浸漬法、スプレー法等のいずれ
の方法も利用することができる。
塗布型クロメート処理では、クロメート処理後水洗する
ことなく乾燥して皮膜を形成するのがよい。これは通常
行われている水洗ではCr6+が除去されるが、水洗するこ
となく乾燥すれば、Cr3+:Cr6+の割合をそのまま安定し
て維持させることができるので、この上に形成される樹
脂皮膜により腐食環境下でのCr6+の過剰流出が抑制され
るから、長期間にわたり効果的に不働態化作用を維持す
ることが可能となって高腐食性が得られる。
電解型クロメート処理の場合は、例えば無水クロム酸
と、硫酸、リン酸フッ化物又はハロゲン酸素酸等のアニ
オンの1種以上を含有する処理液で電解処理を施し、水
洗、乾燥することでクロメート皮膜を形成することがで
きる。
第四層の樹脂皮膜層5は、前記クロメート被覆層との密
着性がよく、表面に均一な弾性皮膜を形成することがで
きる有機性高分子物質のものならいずれのものでもよ
い。例えば、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン
樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエス
テル樹脂、塩化ビニル樹脂等を挙げることができる。こ
の樹脂被覆厚さはクロメート被覆層の厚さによって変化
させるのがよい。種々の実験結果では、クロメート被覆
層のCr量が少ないときは樹脂皮膜層を厚くし、Cr量が多
いときは樹脂皮膜層を薄くしてもよいが、0.1〜10μ
m程度の厚さであれば充分である。
この有機高分子の樹脂皮膜は、皮膜中に無機粉体、例え
ばSiO2、Al2O3、TiO2、リン片状ガラス、フレーク状Al
粉等を含んだものであってもよい。これらを含ませるこ
とで塗膜の耐食性を一層高めることができる。また、メ
ラミンシアヌレート、MoS2、BN等の潤滑剤或いはZn粉末
を含有させるのも有効である。潤滑剤を含ませることで
加工性が一層向上し、Zn粉末を含ませることで塗膜の皮
膜抵抗が小さくなり、塗膜が厚い場合でも溶接性の低下
が起こらなくなる。
これらの有機樹脂は、乾燥速度、平滑性などの要求特性
を考慮して選択した適当な有機溶剤に溶解させて塗布用
の樹脂液を調整することができる。適当な溶剤として
は、エポキシ樹脂の調整に利用されるもの、例えば、セ
ロソルブ類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、ハロ
ゲン化炭化水素類、もしくはこれらの混合溶剤等であ
る。ポリヒドロキシポリエーテル樹脂の場合には、セル
ソルブ類、ケトン類、これらの混合溶剤を使用すること
ができる。
有機高分子の樹脂皮膜は、ロールコーター法、スプレイ
法、はけ塗り法等のいずれの方法で形成してもよく、塗
料は水性、油性のいずれでもよい。
以上説明した本発明の多層めっき鋼材は、前記皮膜は鋼
材の両面にあってもよく、又は片面だけにあってもよ
い。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明す
る。
(実施例) TiおよびNb添加の極低炭素鋼鋼板(0.8mm厚×150mm幅×
300mm長さ)を母材として、第1表に示す各種のめっき
鋼板を製造した。
第1表に示す各種の皮膜は、下記の方法で形成した。ま
た、交番電解処理についてはも下記の方法で実施した。
なお、第1表の第一層におけるめっき法の欄の「V」と
は真空蒸着法、「E」とは電気めっき法、「H」とは溶
融めっき法を意味し、第二層におけるめっき法の欄の
「M」とは溶融塩電解法、「S」とはスパッタリング
法、「R」とは溶湯急冷凝固法、「E」とは湿式電解
法、「C」とは溶湯徐冷凝固法を意味する。また、第二
層における非晶質性の欄の「c」とは非晶質でない結晶
性のめっき層、「a」とは非晶質のめっき層を意味す
る。
〔第一層のめっき皮膜の形成方法〕 電気めっき (a)Znめっき 浴組成…ZnSO4・7H2O:200〜400g/ MgSO4:50〜100g/ (pH:1.0〜3.0) 浴温…40〜70℃ 電流密度…20〜200A/dm2(定電流電解) めっき厚は通電時間を変化させて調整。
(b)Zn系合金めっき 浴組成…ZnSO4・7H2O:200〜600g/ NiSO4 7H2O:200〜600g/l (pH:1.0〜3.0) 浴 温…40〜80℃ 電流密度…10〜300A/dm2(定電流電解) 溶融めっき (a)Znめっき 10〜100ppmのOを添加したNガス雰囲気中で、600
℃×30秒の微弱酸化加熱後、H25%−N75%混合ガ
ス雰囲気中で750〜900℃×30秒加熱し、その後、有効Al
が0.10%の溶融亜鉛浴中に3〜10秒浸漬し、N
ス・ワイピングにより付着亜鉛量を調整。
(b)Zn系合金めっき 前記溶融亜鉛浴の中に、Al、Ti、Mg、Mn、Cr、Si、La、
Ce、Zr、Ca、Ba、Cu、Ni、Co、Sb、Sn等の1種以上を添
加溶解し、溶湯中に3〜10秒浸漬し、合金組成を調整す
ると共にNガス・ワイピングにより付着量を調整。
真空蒸着めっき (a)Znめっき 真空度10-3Torr.の容器内に500℃の溶融亜鉛の入った
ルツボを置き、この上方10〜20cmの位置に予め200℃に
加熱した母材鋼板をおいてめっき。付着量は蒸着時間を
シャッターの開閉で変えることによって調整。
(b)Zn系合金めっき 真空度10-4Torr.の蒸着室にルツボを合金元素の数だけ
置き、出力100kwの電子ビームをルツボ内の金属に直接
当てて、加熱、溶解し、金属蒸気を発生させて合金を蒸
着。
〔第一層皮膜の合金化方法〕
溶融塩(53%KNO3−40%NaNO3−7%NaNO2)を400〜650
℃に加熱し、めっきした鋼板を浸漬し、保持時間を変え
て合金化度を調整。
〔第二層のめっき層の形成方法〕
Al基についてはスパッター法、溶融塩電解法および融湯
急冷凝固法のいずれかにて形成。Cr基Co基、Ni基および
Fe基については湿式電解めっき法又は融湯急冷凝固法に
て形成。
スパッター法 純Al板ターゲット上に、Mn粉を塗布した表面を150W出
力でスパッターし、膜厚はスパッター時間を調整して制
御。Mn組成はターゲット上のMn粉の塗布量を変えること
で調整。
溶融塩電解法 AlCl3−KCl−NaCl−MnCl2系溶融塩浴、もしくはAlCl3
MnCl2−ブチルピリジニウムクロライド溶融塩浴を使用
し、浴温を60℃に保って100A/dm2の電流密度で電析。皮
膜厚は通電時間を変化させて調整。
融湯急冷凝固法 Al、Fe、Ni、Cr、Coの金属粉末を使用し、これら金属粉
末に各種添加元素の粉末を所定の組成となるように混合
し、2000℃の温度まで高周波で加熱して溶解した後、溶
湯を第一層のめっき層上に付着し、ロール急冷法にて凝
固させて形成。急冷速度は106℃/秒。
湿式電解めっき法 第2表に示す条件でCr基、Co基、Ni基およびFe基のめっ
き層を形成。
〔第二層の交番電解処理方法〕 Fe、Mn、Ni、Mo、Co、Mg、AlおよびWの水和陽イオン、
もしくは錯体の1種以上を含む重クロム酸アンモニウム
5〜50g/の液温が10〜80℃の水溶液中で、5〜1000V
の交流電流0.1〜100秒間通電。
陰イオンとして、フッ化物、リン酸塩、シュウ酸塩を添
加。
〔第三層のクロメート皮膜の形成方法〕
めっき後の鋼板を日本パーカーライジング社製ファイン
クーリーナ4336で洗浄した後、CrO3:120g/溶液をエ
チレングリコールで還元して、CrO3:40g/を添加希釈
したクロメート溶液(Cr3+/Cr6+:2/3)にコロイダ
ルシリカ40g/、グリセリン11.5g/、クエン酸 6.5g
/、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15g
/、を加えた懸濁液をバーコーターで塗布(Cr付着量
は全Crとして60mg/m2)し、140℃で30秒間焼付、クロメ
ート皮膜を形成。
〔第四層のクロメート皮膜の形成方法〕
クロメート皮膜上に、固形樹脂分:粉末状ポリヒドロキ
シポリエーテル樹脂(ユニオン・カーバイト社製PKHH)2
0wt%%、無機充填材:コロイダルシリカ5Vol%、
溶媒:シクロヘキサン+酢酸セロソルブ(1:1Vol
比)からなる樹脂液をバーコーターで塗布した後、130
℃の温度で焼き付け。仕上り塗膜厚:1.2μm このようにして製造しためっき鋼板は、平板のままおよ
びポンチ底直径50mmの筒絞り加工を行い、腐食試験に供
した。各種性能評価(耐パウダリング性、耐フレーキン
グ性、裸耐食性および無化成処理耐水密着性)は下記の
ようにして調べた。
〔耐パウダリング性の評価〕
第4図に示す円筒絞り法による。即ち、予め洗浄し秤量
した円板状試験片6を、図示のダイス7とポンチ8で潤
滑油を使用して円筒形に絞り加工する。そのとき剥離し
た微粉末を除去した試験片を秤量して、その重量減をも
って耐パウダリング性を評価。重量減が小さい程、耐パ
ウダリング性がよい。本実施例では、重量減が100mg以
下の場合を耐パウダリング性(〇)、100mgを超える場
合を不良(×)とした。
〔耐フレーキング性の評価〕
第5図に示すビード付きハット成形法によって評価。試
験片6をビード9付の板押えホルダー10に載せ、ダイ
ス11で押さえてポンチ12でハット(高さ55mm)状に
成形し、試験片のホルダー側表面の粘着テープ剥離テス
トによって耐フレーキング性を判定。本実施例では、テ
ープ面に付着している剥離片の量を基準とする相対評価
で、剥離片が殆どない場合もしくは少量の場合を良
(〇)、多量の場合を不良(×)とした。
〔裸耐食性の評価〕
耐裸食性は塩水噴霧(5%NaCl,35℃,4時間)→温
風乾燥(60℃,2時間)→湿潤(相対温度50℃,湿
潤雰囲気95%以上,4時間)を1サイクルとする乾燥
繰り返し試験を2000サイクル行い、赤錆発生面積率を調
べて評価。本実施例では、赤錆発生面積率が5%未満の
場合を耐裸食性良好(〇)、5%以上の場合を耐裸食性
不良(×)とした。
〔無化成処理耐水密着性の評価〕
自動車用めっき鋼板は、通常、自動車アセンブリーライ
ンで脱脂→化成処理(浸漬リン酸亜鉛処理)→電着塗装
→中塗り→上塗りの工程を経るが、近年、コスト削減の
ために化成処理工程を省略する場合がある。従って、こ
こでの耐水密着性は脱脂後、化成処理を行わずに表面に
直接、エポキシ系カチオン電着塗装を塗膜厚20μmで
施し、中塗りにアミノアルキッド系塗料を塗膜厚35μ
m、更に、上塗りに同塗料を塗膜厚35μmで施した試
料をもって試験した。
耐水密着性の評価は、試験材を40℃の脱イオン水に2
40時間浸漬し、引き上げ後に2mm角のごばん目を1
00個カットし、テーピングにより剥離したごばん目の
数で評価した。本実施例では、剥離面積比率が5%以下
の場合を良(〇)、同じく5%超える場合を不良(×)
とした。
以上の評価結果を第3表にまとめて示す。
第3表において、試料No.1〜6は従来例でありZn又
はZn系合金をめっきした後、合金化処理しためっき鋼板
である。試料No.7〜22は比較例であり第一層のZn
系合金めっき層の上に、各種組成のめっき層を第二層に
配した多層めっき鋼材である。試料No.23〜73は
本発明例であり、この中で試料No.23〜41は第一
層のZn系合金めっき層の上に、各種組成の非晶質めっき
層を配した多層めっき鋼板、試料No.42〜49は第
一層のZn系合金めっき層の上に、Al基の非晶質めっき
層を配し、交番電解処理した多層めっき鋼板、試料N
o.50〜73は第二層の上に更にクロメート皮膜と樹
脂皮膜を配した多層めっき鋼板である。
従来例の試料No.1〜6のものは耐パウダリング性は
概ね良好であるが、耐フレーキング性に劣る。比較例N
o.7〜12のようにZn系合金めっき層の上に非晶質で
ないめっき層を第二層として配しても、或いは比較例N
o.13〜22のように第二層が非晶質めっき層であっ
ても付着量が本発明で規定する範囲外であれば、同じく
耐フレーキング性に劣る。
これに対して、適正な付着量の非晶質めっき層を第二層
に設けた本発明例の試料No.23〜41の多層めっき
鋼板は耐フレーキング性が改善されており、第二層にA
l基の非晶質めっき層を配し、交番電解処理した本発明
例の試料No.42〜49の多層めっき鋼材は、耐フレ
ーキング性とともに耐水密着性も改善されている。さら
に、クロメート皮膜と樹脂皮膜を第2層の上に設けた本
発明例の試料No.50〜73の多層めっき鋼板は、耐
フレーキング、耐水密着性および耐裸耐食性の全てに優
れている。
なお、第一層のめっき皮膜の形成方法の相違による効果
の差は見られず、合金化(皮膜のFe含有量)の程度が重
要であることがわかる。同じく第二層のめっき皮膜の形
成方法の相違による効果の差もなく、非晶質めっき層と
することが重要であることがわかる。第3表の本発明例
に相当する多層めっき鋼板について、化成処理を行った
後、電着塗装を施し、クロスカットを入れた試験片を作
製し、乾湿繰り返しの塩水噴霧による耐食性の試験を行
った。その結果、塗装疵部での鋼板穴明き耐食性におい
ても、従来の合金化亜鉛めっき鋼板と同等以上の優れた
ものであることが確認できた。
(発明の効果) 本発明のめっき鋼材は、厳しいプレス加工条件に曝され
たときの合金化亜鉛系めっき鋼板の難点であったパウダ
リングとフレーキングの両者について、対策を講じたも
のである。その耐食性においても従来の合金化亜鉛系め
っき鋼板と同等以上であるから、従来のこの種のめっき
鋼板の用途には勿論、さらに加工条件の厳しい用途にも
使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の多層めっき鋼板の概念を示す模式
図、 第2図は、本発明のもう一つの多層めっき鋼材の概念を
示す模式図、 第3図は、亜鉛系合金めっき鋼材のパウダリングとフレ
ーキングを説明する概念図、 第4図は、耐パウダリング性の試験方法を説明する図、 第5図は、耐フレーキング性の試験方法を説明する図、
である。 (1)鋼材 (2)第一層のZn−Fe系合金めっき層 (3)第二層の非晶質めっき層 (4)第三層のクロメート皮膜層 (5)第四層の樹脂皮膜層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼材の表面に、第一層としてFeを30重量
    %以下含有するZn−Fe系合金めっき層を有し、その上に
    第二層として付着量が1〜10000mg/m2である非晶質めっ
    き層を有することを特徴とする多層めっき鋼材。
  2. 【請求項2】第二層の非晶質めっき層が、Al基、Fe基、
    Ni基、Co基およびCr基のいずれかの金属からなる非晶質
    めっき層であることを特徴とする請求項(1)記載の多層
    めっき鋼材。
  3. 【請求項3】第二層の非晶質めっき層が、その表面が交
    番電解処理により改質されたAl基の金属からなる非晶質
    めっき層であることを特徴とする請求項(1)又は請求項
    (2)記載の多層めっき鋼材。
  4. 【請求項4】請求項(1)又は請求項(2)記載の多層めっき
    鋼材の上に、更に第三層としてクロメート皮膜層を有
    し、その上に第四層として有機高分子物質からなる樹脂
    皮膜層を有することを特徴とする多層めっき鋼材。
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