JP3858706B2 - プレス成形性に優れた亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

プレス成形性に優れた亜鉛めっき鋼板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に自動車車体や家電製品に用いることのできる表面処理鋼板に関するものであり、より詳細には、プレス成形性、塗料密着性および塗装後耐食性に優れた亜鉛めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛系のめっきを施した鋼板は、自動車車体の車体強度が長期間の腐食環境下での使用によって低下しにくい材料であることから広く使用されており、わが国においては、主として亜鉛系合金めっきである亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板と亜鉛−鉄合金めっき鋼板が使用されている。
亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板は、電気めっき法によって製造されるのが一般的であるが、Niが高価であるためコストが高くなり、また、Ni含有量を極めて狭い範囲(通常12±1質量%)に制御せねばならず製造し難いという問題点がある。
また、亜鉛−鉄合金めっき鋼板は、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板の場合と同様、Fe含有量による品質への影響が大きいため、極めて狭い範囲に制御しなければならず製造し難いという問題点がある。
【0003】
一方、近年における自動車メーカーのグローバル化や部品共用化に伴い、世界各地で入手しやすい表面処理鋼板を使用できることが要求されている。従って、従来日本で主に使用されていた製造困難な合金めっき鋼板から、製造しやすい電気亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板への変換が図られている。
【0004】
これまで亜鉛めっきのみを形成したいわゆる純亜鉛めっき鋼板は、低コストで電気めっき法及び溶融めっき法のいずれでも製造することができるが、自動車車体に使用されることは希であった。この理由は、スポット溶接時に電極に多量の亜鉛が蓄積されやすく、電極の寿命が短くなる(スポット溶接性が悪い)という問題や、プレス成形時に亜鉛めっきの金型への凝着、鋼板表面のかじりやプレス割れ等が発生しプレス成形性が悪いという問題があったからである。
【0005】
このような亜鉛めっき鋼板の問題点を解決する方法として、亜鉛めっきの表面にりん酸亜鉛系皮膜を有する鋼板が提案され、欧州ではすでに使用されている。元々、欧州では製造困難な合金めっき鋼板が入手困難なことと、厚目付けの電気亜鉛めっき鋼板の製造コストが低いこと(電気コストが低い)から亜鉛めっき鋼板の使用が進んでおり、プレス金型や溶接機等も亜鉛めっき鋼板に適用可能な工夫設計がなされている。また、亜鉛めっき鋼板においても、プレス成形性改善のため、亜鉛めっきの表面にりん酸亜鉛系皮膜を有する表面処理鋼板が採用されている。
【0006】
なお、日本では従来から合金めっき鋼板が使用されており、この合金めっき鋼板は、通常、プレス成形性やスポット溶接性が良好であるため、亜鉛めっき鋼板で生じるようなプレス割れや溶接性の問題が生じることは極めて少ない。
しかしながら、この合金めっき鋼板用に使用されていたプレス金型を用いて亜鉛めっき鋼板をプレス成形すると、プレス割れが生じやすい。
【0007】
よって、割れの問題を生じること無く、亜鉛めっき鋼板をプレス成形するには、プレス金型を変更、すなわち自動車車体のデザイン設計を変更(モデルチェンジ)する以外は方法が無く、亜鉛めっき鋼板を現行のプレス金型にそのまま適用することはできないという問題点があった。
【0008】
亜鉛めっき鋼板のプレス成形性の問題を解決する方法としては、上述したように、欧州で行われているのと同様に、亜鉛めっき鋼板において、その表面にりん酸亜鉛系皮膜を形成させる方法が有用である。この方法によって、プレス成形性は大幅に改善され、かなりの部品が、従来の合金めっき鋼板で使用されていたプレス金型を変更することなく、このプレス金型を用いてプレス成形することが可能になる。
この理由は、りん酸亜鉛系皮膜がプレス金型と亜鉛めっきの直接接触を防ぎ、緩衝層として働くこと、加えて、りん酸亜鉛系皮膜がその結晶の隙間に油を保持できるため、プレス成形時に油がより多く供給されるためであると考えられている。
【0009】
しかしながら、りん酸亜鉛系皮膜を有する場合でも、プレス条件によっては、または同じプレス条件で行ったときであっても何がしらのわずかな変動要因によっては、しばしば亜鉛めっきで生じるようなかじりやプレス割れ等が発生する場合があるという問題があった。
【0010】
発明者らは、りん酸亜鉛系皮膜を有する亜鉛めっき鋼板のプレス割れの原因について、母材成分、亜鉛めっき量、りん酸亜鉛系皮膜とその成分等がプレス成形性に及ぼす影響について実験室にて調査した。この調査を行う場合には、作製可能な試料サイズが小さいため、実機プレス試験は行えないが、同一コイルから採取した鋼板を用いて亜鉛めっき量だけを変えたり、または同一のめっきコイルから採取した亜鉛めっき鋼板を用いてりん酸亜鉛系皮膜量だけを変えたりするなどして調査を行えるため、母材成分等の目的とする調査パラメーター以外の要因の影響を排除できる利点がある。また、この実験室試験における重要なポイントは、実機のプレス成形性とよい相関があるものでなくてはならない。
【0011】
ところが、これまで発明者らが主に行ってきた実験室での平面摺動性試験では、有意差が認められない場合や、むしろ摩擦係数μが低い場合にプレス割れを生じることがあった。実機プレス結果と相関がみられる実験室試験方法について種々の試験を行って調査したところ、ドロービード試験法による評価が実機でのプレス成形性と良い相関があることがわかった。すなわち、ドロービード試験を行った後の試料表面のパウダリング発生状況と引抜き力による評価が実機によるプレス成形性と良い相関があった。そこで、ドロービード試験法を用いて母材成分、亜鉛めっき量、りん酸亜鉛系皮膜とその成分等がプレス成形性に及ぼす影響について実験室での調査を行った。その結果、母材成分、亜鉛めっき量およびりん酸亜鉛系皮膜成分のいずれもが同じであっても、りん酸亜鉛系皮膜量とりん酸亜鉛系皮膜結晶の大きさによって、プレス成形性が大きく変わることを見出した。
【0012】
一方、りん酸亜鉛系皮膜を有する亜鉛めっき鋼板のプレス成形性を向上させるためには、例えば、特開平11−343581号公報に、鋼板表面の粗さRaとりん酸塩皮膜量を制御する技術が開示されている。すなわち、この公報記載によれば、りん酸塩皮膜量が多くなると潤滑性が低下するが、算術平均粗さRaが大きいときには、りん酸塩皮膜量が多い場合にも、剥離したりん酸塩皮膜(これが潤滑性を阻害する。)が凹部に捕捉されるために潤滑性を阻害せず、プレス成形性が向上することを見出した結果として、算術平均粗さRaとりん酸塩皮膜のりん換算付着量を規定したものである。
【0013】
特開平11−343581号公報記載のめっき鋼板は、めっき層が比較的硬い合金めっき鋼板の場合や、めっき層が軟らかい亜鉛めっき鋼板であって鋼板表面に油が充分に塗布されている場合には、りん酸塩の油保持能力が有効に発揮されて潤滑性が良いため、プレス成形性が優れていると考えられる。しかしながら、上記めっき鋼板は、パウダリングそのものを減少させることはできず、特に高面圧でプレスされる条件等によっては、剥離したりん酸塩皮膜をうまく凹部に捕捉できず、プレス割れを引き起こす結果となった。
【0014】
また、特開平8−13154号公報には、りん酸亜鉛皮膜中にNiとMnを含有し、微細なりん酸亜鉛皮膜を有する方法が開示されている。このりん酸亜鉛皮膜は、通常のりん酸亜鉛結晶とその上層に微細なりん酸亜鉛結晶を有する複合皮膜であり、これにより、塗装性すなわち塗料密着性と塗装後耐食性に優れた鋼板を得られるというものである。すなわち、従来技術の塗料密着性を改善するための方法であり、面圧が高く、曲率半径Rの小さいビード部があるような厳しい曲げ・曲げ戻しを受けるような難成形部品でのプレス成形性に対する知見はない。実際、塗料との密着性はりん酸亜鉛結晶の最表面と塗膜の界面の密着で左右され、鋼板最表層に微細な結晶を有する場合には塗料密着性が向上するものと考えられる。特に曲げ・曲げ戻しを受けるプレス成形の場合には、鋼板がどれだけ曲げ加工に追随できるかがプレス成形性に影響を及ぼし、全りん酸亜鉛皮膜が微細である必要があり、皮膜量(厚み)も当然のことながら重要となるが、特開平8−13154号公報で示す複合りん酸亜鉛皮膜の場合、この皮膜を構成する下層にには、通常形状の結晶が存在するため、厳しいプレス成形においては、十分なプレス成形性が得られない。
【0015】
以上より、上述した従来の技術は、特に高面圧下でプレス成形される条件、例えば、プレス成形時に鋼板が厳しい曲げ・曲げ戻しを受けるような条件下において、優れたプレス成形性を満足するものではなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、プレス成形性、塗料密着性および塗装後耐食性に優れた亜鉛めっき鋼板を提供することにある。特にプレス成形時に鋼板が厳しい曲げ・曲げ戻しを受けるようなプレス条件下でも、優れたプレス成形性を示すりん酸亜鉛系皮膜を有する亜鉛めっき鋼板を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、従来技術における問題点を解決する手法について鋭意究明したところ、該りん酸亜鉛系皮膜が、チタンコロイドを分散させた表面処理剤で処理した亜鉛めっき皮膜の表面に形成され、 0.3 1.5 mass %の Ni 3.0 5.0 mass %の Mn を含有するとともに、前記りん酸亜鉛系皮膜の付着量をx g/m、りん酸亜鉛系皮膜を形成する結晶の長辺の長さをyμmとしたとき、xおよびyは、下記に示す式(1)及び式(2)を満足する場合に、優れたプレス成形性、塗料密着性および塗装後耐食性を有する亜鉛めっき鋼板が得られることを見出した。

1.5x + 1.0y ≦ 6.3 - - - - - (1)
x ≧ 0.5 - - - - - (2)
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の表面処理鋼板の素材としては、亜鉛めっき鋼板を用いる。なお、本発明でいう「亜鉛めっき鋼板」とは、いわゆる純亜鉛めっき鋼板を意味するが、亜鉛めっき皮膜には、通常、めっき不純物として、鋼板からの溶出成分(Feその他の鋼中成分)や他の種類のめっきとセル等の設備併用による不純物の混入(Ni,Sn,Al等)を不可避的に含んでいるのが一般的であるため、これらの成分も含むものとする。
また、亜鉛めっきの形成は、電気めっき法を用いても溶融めっき法を用いてもよく、特に限定はしない。
【0019】
さらに、本発明では、亜鉛めっき表面のりん酸亜鉛系皮膜の付着量をxg/m2としたとき、x ≧ 0.5を満足しなければならない。前記りん酸亜鉛系皮膜は、ホパイト結晶質であることが好ましい。
りん酸亜鉛系皮膜の付着量を0.5g/m2以上とした理由は、付着量が0.5g/m2 未満だと、塗油状態でも油保持力が充分に発揮できず、また、金型と亜鉛めっきの接触を避けられず、りん酸亜鉛系皮膜によるプレス成形性の向上効果が不十分となるからである。
【0020】
発明者らは前述のドロービード試験にてプレス成形性に及ぼす表面皮膜の性質を、種々のパラメーターについて調査し、解析した結果、りん酸亜鉛系皮膜の付着量とりん酸酸亜鉛系皮膜結晶の大きさがドロービード試験を行ったあとのパウダリングの発生状況に大きく影響することを見出した。そこで、りん酸亜鉛系皮膜の付着量とりん酸亜鉛系皮膜結晶の大きさだけをパラメーターとして抽出し、回帰係数を求めた。すなわち、りん酸亜鉛系皮膜の付着量をxg/m、りん酸亜鉛系皮膜結晶の長辺の長さをyμmとし、これをパウダリング発生結果と図1にプロットすることによって下記に示す式(1)を求めた。

1.5x + 1.0y ≦ 6.3 - - - - - (1)
【0021】
つまり、りん酸亜鉛系皮膜の付着量が少ない場合には、式(1)の範囲内であれば、結晶の大きさがある程度大きくてもプレス成形性が良好であり、同様に、結晶の大きさが小さい場合には、式(1)の範囲内であれば、付着量がある程度多くてもプレス成形性が良好であることを意味する。
【0022】
りん酸亜鉛系皮膜の付着量とりん酸亜鉛系皮膜結晶の大きさがドロービード試験を行ったあとのパウダリングの発生状況や引抜き力と相関がある理由は以下のように考える。
平面摺動性試験の場合は、鋼板の表面を金型がそのまま滑っていく試験であり、亜鉛めっき鋼板の場合、亜鉛と金型が直接接触することにより、かじりを発生するため、表面に油や緩衝剤を存在させて直接接触するのを防ぐことで、平面摺動性が改善される。従って、油を充分保持できれば平面での滑り性は向上する。
【0023】
しかし、ドロービード試験の場合には、ビードが鋼板を通過していく際に鋼板の曲げ・曲げ戻し加工を受ける。従って、このビードの周りに沿って鋼板が追随していく必要がある。
【0024】
本発明の亜鉛めっき鋼板は、軟らかい亜鉛めっきの表層に硬いりん酸亜鉛系結晶が形成されたものである。亜鉛めっきは軟らかいため、ドロービード加工にも容易に追随する。ところが、りん酸亜鉛系結晶は硬くて変形できないため、そのままの形状あるいは粉砕されながらビードを通過する。このため、結晶が大きいほど追随しにくく、鋼板の変形に、より大きな力が必要となるし、また、粉砕される場合も、より大きな力が必要となり、引抜き力は大きくなる。
【0025】
また、硬いりん酸亜鉛系皮膜の下に軟らかい亜鉛めっきがあるため、硬いりん酸亜鉛系皮膜の粉砕によって生じたりん酸亜鉛の粉がさらに下地の亜鉛を削り、さらなるパウダリングを引き起こす。かじりが発生すれば、さらに引抜き力も大きくなってしまう。実機のプレス成形では、プレス金型にこの硬いりん酸亜鉛系皮膜の粉が蓄積されるため、かじりを発生してしまう。
【0026】
以上のような現象によってりん酸亜鉛系皮膜結晶の大きさが大きい場合や、りん酸亜鉛系皮膜の付着量が多い場合にかじりが発生しやすくなるものと考えられる。
【0027】
りん酸亜鉛系皮膜結晶の大きさを小さくするための手段としてはりん酸亜鉛処理前に行う表面調整により微細化を図る方法が適用される。
【0028】
上記の方法では、表面調整剤として一般的にはチタンコロイド溶液が用いられ、このチタンコロイドを核にしてりん酸亜鉛結晶が形成されるとされている。従って、チタンコロイドを表面調整剤中に細かく分散させることによって、小さな核を鋼板表面に多数形成させ、りん酸亜鉛結晶を小さくすることができる。ところが、チタンコロイドは、水溶液中の硬度が高い場合、Caなどが存在する中でそれらがチタンコロイドと吸着して大きく成長しながら沈殿してしまうといった性質があり、このように分散状態が悪い場合には、鋼板表面にまばらに付くために、りん酸亜鉛結晶の核発生点が少なくなってしまい、結晶の1つ1つが大きく成長してしまう。従って、このチタンコロイドを安定して分散させるための分散剤を添加したり、pH調整することにより、りん酸亜鉛結晶の核を鋼板表面に多数形成させ、りん酸亜鉛結晶を小さくすることができる。発明者らは種々の表面調整剤を試し、同じりん酸塩処理液を用いても表面調整剤の種類によって形成されるりん酸亜鉛結晶の大きさが異なることがわかった。
【0030】
また、りん酸亜鉛系皮膜中に0.3〜1.5 mass%のNiと3.0〜5.0 mass%のMnを含有させれば、プレス成形性とさらには塗料密着性および塗装後耐食性に優れた亜鉛めっき鋼板を得ることができる。りん酸亜鉛系皮膜中に含有するNiとMnが、りん酸亜鉛結晶(Zn3(PO4)2・4H2O/Hopeite)中にどのような形態で存在するかは明らかではないが、NiとMnを含有していても、X線回折パターンではHopeiteしか検出されないことから、NiとMnは、Znと置換する形で存在するものと考えられる。
【0031】
りん酸亜鉛系皮膜中のNi含有量は、電着塗料との密着性や電着塗装後耐食性を向上させるため、0.3 mass%以上とすることが好ましい。また、Ni含有量が多すぎると表面外観が暗くて外観むらが発生しやすくなりコスト高になるため、1.5mass%以下とすることが好ましい。
【0032】
また、りん酸亜鉛系皮膜中のMn含有量は、プレス成形性を向上させるため、3.0 mass%以上とすることが好ましい。また、Mn含有量は多い方がプレス成形性の向上効果は大きくなる傾向があるものの、電着塗料との密着性や電着塗装後耐食性が劣化する傾向にあるため、5.0 mass%以下とすることが好ましい。
【0033】
さらに、耐穴あき性を向上させる必要がある場合には、発明者らが特開平2001−73163号公報で提案したように、りん酸亜鉛系皮膜中に0.5〜10mass%のMgを含有させることが好ましい。
【0034】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【0035】
【実施例】
次に、この発明の実施例について説明する。
電気亜鉛めっき鋼板または溶融亜鉛めっき鋼板に、表1に示す表面調整剤および表2に示すりん酸亜鉛系処理液にてりん酸亜鉛系皮膜を形成し、以下に示す試験法にて性能を評価した。
【0036】
【表1】
Figure 0003858706
【0037】
【表2】
Figure 0003858706
【0038】
〔平面摺動性〕
長さ300mm および幅20mmの試験片について、その表面を溶剤脱脂後、防錆油(出光興産製Z5)を 1.5g/m2 で塗布した後、以下に示す条件にて、平面摺動性試験を行い、摩擦係数μを測定した。
ダイ形状 : 10mmL×20mmWの長平面
押し付け荷重: 24.5 N/mm
引抜き速度 : 1000 mm/分
摺動長さ : 100mm
試験温度 : 室温
【0039】
〔ドロービード(パウダリング性)試験〕
長さ300mm および幅20mmの試験片について、その表面を溶剤脱脂後、防錆油(出光興産製Z5)を 1.5g/m2 で塗布した後、以下に示す条件にて、ドロービード試験を行い、引抜き荷重を測定するとともに、パウダリング性を評価した。尚、パウダリング性は、ドロービード試験後の表面にテープを貼りつけて剥離させる工程を2回繰り返した後、以下に示す判定基準にて1〜5の5段階で評価した。
ダイ形状 : 丸型、凸R5mm、凹R2mm
押し付け荷重: 4.9kN
引抜き速度 : 1000 mm/分
摺動長さ : 100mm
【0040】
(パウダリング性の判定基準)
評点5:2回のテープ剥離ともパウダリング無し
4:2回のテープ剥離のうち1回目のテープ剥離のみでわずかなパウダリングあり
3:2回のテープ剥離のうち1回目のテープ剥離のみである程度のパウダリングあり
2:2回のテープ剥離のうち1回目のテープ剥離のみで著しいパウダリングあり
1:2回のテープ剥離とも著しいパウダリングあり
【0041】
〔塗料密着性〕
塗料密着性は、耐水二次密着性試験により評価した。
各表面処理鋼板は、自動車車体製造工程に準じて、通常のアルカリ脱脂、次いで表面調整を行ったのち、りん酸塩処理液SD2500(日本ペイント(株)社製)に2分間浸漬した。その後、日本ペイント(株)社製のV20電着塗料(浴温:28〜30℃)を用いて電着電圧250 V、180 秒間通電して電着塗装を施し、165 ℃で20分間焼き付けし電着塗膜(膜厚:20μm )を形成した。次いで、自動車用中塗り塗装OTO-870H (日本ペイント(株)社製)と自動車用上塗り塗装OTO650 (日本ペイント(株)製)をそれぞれ40μmの厚さで塗布し、 50℃の純水に10日間浸漬したのち取り出し、直ちに2mm幅のナイフによるクロスカットを入れた後、碁盤目テープを用いた剥離試験を行い,塗膜の剥離状況を観察した。そして、剥離試験後の塗膜残存率が95〜 100%である場合を良「〇」、同塗膜残存率が85%以上95%未満である場合を可「△」および同塗膜残存率が85%未満を不可「×」として評価した。
【0042】
〔塗装後耐食性〕
各表面処理鋼板は、自動車車体製造工程に準じて、通常のアルカリ脱脂、次いで表面調整を行ったのち、りん酸塩処理液SD2500(日本ペイント(株)社製)に2分間浸漬した。その後、日本ペイント(株)社製のV20電着塗料(浴温:28〜30℃)を用いて電着電圧250 V、180 秒間通電して電着塗装を施し、165 ℃で20分間焼き付けし電着塗膜(膜厚:15μm )を形成して、供試材とした。電着塗装後のサンプルは、ナイフによるクロスカットを入れた後、下記に示すサイクル条件で複合サイクル腐食試験を行い、下記に示す膨れ幅と板厚減少量を測定することによって塗装後耐食性を評価した。尚、電着塗装後耐食性は、Znめっき量の影響も大きいので、本試験に際しては全てZnめっきの付着量が40 g/m2のものを作製して評価した。
【0043】
サイクル条件
塩水噴霧(35℃, 6h)→乾燥(50℃, 3h)→湿潤(50℃, 14h)→放置(35℃, 1h)
【0044】
膨れ幅による塗装後耐食性の評価方法
上記サイクル条件で30サイクルの複合サイクル腐食試験を行った後に各供試材を取り出し、クロスカット部からの片側膨れ幅を最大から5点測定し、平均値を膨れ幅とし、この膨れ幅が、0mm以上、6mm未満の場合を「○」、6mm以上、10mm未満の場合を「△」、そして10mm以上の場合を「×」として評価した。
【0045】
板厚減少量による塗装後耐食性(耐穴あき性)の評価方法
上記サイクル条件で90サイクルの複合サイクル腐食試験を行った後に各供試材を取り出し、電着塗膜を剥離した後、最大腐食深さを測定し、この測定した最大腐食深さの値が、0mm以上、0.1mm未満の場合を「○」、0.1mm以上、0.3mm未満の場合を「△」、そして、0.3mm以上の場合を「×」として評価した。
【0046】
表3にこれらの評価結果を示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003858706
【0048】
表3に示す評価結果から明らかなように、実施例はいずれも、ビードを有する実機プレスで生じるような曲げ・曲げ戻しを受けるドロービード試験において、かじりのない優れたプレス成形性を有することがわかる。
【0049】
【発明の効果】
この発明によって、主に自動車車体用鋼板や家電用鋼板として供される表面処理鋼板として、プレス成形性、塗料密着性および塗装後耐食性に優れた亜鉛めっき鋼板の提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】りん酸亜鉛系皮膜の付着量xとりん酸亜鉛系皮膜を形成する結晶の長辺の長さyとが異なる種々の亜鉛めっき鋼板を作製し、各亜鉛めっき鋼板のxとyの値を1.5x+1.0yに代入したときの値に対しパウダリング性の評点をプロットした図である。
【図2】りん酸亜鉛系皮膜の結晶の1個のみを抜き出してその長辺の長さyを示す図である。
【符号の説明】
1 りん酸亜鉛系皮膜の結晶

Claims (1)

  1. 亜鉛めっき皮膜の表面にりん酸亜鉛系皮膜を有する亜鉛めっき鋼板において、
    該りん酸亜鉛系皮膜が、チタンコロイドを分散させた表面処理剤で処理した亜鉛めっき皮膜の表面に形成され、 0.3 1.5 mass %の Ni 3.0 5.0 mass %の Mn を含有するとともに、前記りん酸亜鉛系皮膜の付着量をx g/m、りん酸亜鉛系皮膜を形成する結晶の長辺の長さをyμmとしたとき、xおよびyは、下記に示す式(1)及び式(2)を満足することを特徴とするプレス成形性、塗料密着性および塗装後耐食性に優れた亜鉛めっき鋼板。

    1.5x + 1.0y ≦ 6.3 - - - - - (1)
    x ≧ 0.5 - - - - - (2)
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