JP4047627B2 - プロテクタ - Google Patents

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JP4047627B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車体に配索されたワイヤハーネス等の長尺部材を保護すると共に、移動自在に設けられたワイヤが接触するのを防止するプロテクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車体には多数のワイヤハーネスが配索され、これらワイヤハーネスは車体にあった形状等に成形された合成樹脂製のプロテクタによりワイヤ等の他の部材等から保護されている。
【0003】
自動車等では、ワイヤハーネスの他にも多数のものが配置されており、この一つとしてワイヤがある。ワイヤとしては、例えばスライドドア、サイドブレーキ、フットブレーキ等の移動自在に設けられたものに連結されているものがあり、例えばスライドドアの移動によりワイヤは移動したり弛んだりする。
スライドドアは、近年後側のドアに用いられており、後側の乗降口からの乗り降りや荷物の積み下ろし等を容易に行えるようにしている。しかし、スライドドアはドア自体が大きくなり重量が重いため、ドアの開閉を行え難いことがる。このため、スライドドアを自動的に開閉する自動開閉機構を車両に搭載することが行われつつある。
【0004】
自動開閉機構は、スライドドアを車体の前後方向に沿って自動的に移動させて開閉させるものであり、スライドドアは車体の前後方向に沿って移動自在に車体のガイドレール等に支持され、そのスライドドアにワイヤの両端部を取り付け、このワイヤを乗降口の後方の車体に環状に張設する。このワイヤをワイヤ駆動機構によってその長手方向に沿ってどちらか一方の方向に移動させることにより、スライドドアが車体の前後方向に沿って移動して乗降口が開閉されるようになっている。
【0005】
また、ワイヤは、ワイヤ駆動機構によってそのテンションが一定範囲に維持されている。例えば、ワイヤのテンションが弱くなると、弱くなった側のワイヤをワイヤ駆動機構側に移動させて、ワイヤのテンション(張力)を一定範囲の値に維持している。このように、ワイヤ駆動機構によってワイヤのテンションを一定範囲に維持するが、例えばスライドドアを急に動かしたときにはワイヤの弛みが大きくなることも考えられ、この場合、ワイヤがその近傍に配設されているプロテクタに引っかかることもあり得り、スライドドアの駆動が行えなくなる原因にもなり得る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、このような実状に鑑みなされたものであり、その目的は、ワイヤが絡むおそれがないプロテクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のプロテクタは、移動自在に設けられたワイヤの近傍に配設されたプロテクタにおいて、プロテクタ本体に、前記ワイヤがプロテクタ本体に接触するのを防止するワイヤ規制部を取り付け
該ワイヤ規制部が、前記ワイヤが挿通すると共に、前記ワイヤの幅方向の移動軌跡を含む環状に形状される挿通孔を有し、
該環状の挿通孔が2つに分割され、一方の端部同士がヒンジにより結合されると共に、他方の端部同士が着脱自在に連結される第1、第2分割体からなる
ことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
このように構成することで、ワイヤが弛んだとしてもワイヤがワイヤ規制部によりプロテクタ本体に接触することがないので、ワイヤがプロテクタに絡むおそれがない。また、ワイヤ規制部が挿通孔を有することにより、スライドドアを動かすときにワイヤがワイヤ規制部に接触することがないので、ワイヤの移動が良好である。また、ワイヤが弛んだとしても挿通孔に挿通されているので、ワイヤがワイヤ規制部から外れることがない。よって、ワイヤが良好に移動すると共に、プロテクタ本体への接触を確実に防止することができる。また、ワイヤ規制部が2つの第1、第2分割体に分割され、これら第1、第2分割体は一方の端部同士がヒンジにより結合されていると共に他方の端部が着脱自在に連結されていることで、ワイヤ規制部は開閉自在に形成されているので、ワイヤの挿通孔への挿通を容易に行える。
【0009】
前記ワイヤ規制部が、前記プロテクタ本体に着脱自在に取り付けられていることが好ましい(請求項2)。
これにより、プロテクタ本体のみを先に例えば車体に装着してからプロテクタ本体にワイヤ規制部を設けることができると共に、プロテクタにワイヤハーネス等の電線を装着するときにワイヤ規制部を外せばワイヤ規制部が邪魔になることなく行えるので、作業性が向上する。
【0013】
移動自在に設けられたワイヤの近傍に配設されたプロテクタにおいて、プロテクタ本体に、前記ワイヤがプロテクタ本体に接触するのを防止するワイヤ規制部を着脱自在に取り付け、
前記ワイヤ規制部が、前記ワイヤが挿通すると共に前記ワイヤの幅方向の移動軌跡を含む環状に形状された挿通孔を有し、該挿通孔を2つに分割し、一方の端部同士をヒンジにより結合すると共に、他方の端部同士を着脱自在に連結した第1、第2分割体からなり、かつ、該第1、第2分割体が、前記他方の端部同士を連結したときのみ前記プロテクタ本体に取り付けられると共に、前記プロテクタ本体に取り付けて前記他方の端部同士の連結を解除させるとき、該第1分割体又は第2分割体が前記プロテクタ本体に当接する形状に形成されている(請求項)。
【0014】
これにより、ワイヤが緩んだとしてもワイヤがワイヤ規制部によりプロテクタに接触することがないので、ワイヤがプロテクタに絡むおそれがない。また、ワイヤ規制部がプロテクタ本体に着脱自在に取付けられるので、プロテクタ本体のみを先に例えば車体に装着してからプロテクタ本体にワイヤ規制部を設けると共に、プロテクタにワイヤーハーネス等の電線を装着するときにワイヤ規制部を外せばワイヤ規制部が邪魔になることなく行えるので、操作性が向上する。そして、ワイヤ規制部をプロテクタ本体に取り付けるには、第1,第2の分割体の他方の端部同士を連結して(ワイヤ規制部を閉じて)おかないとその取付を行えないので、他方の端部同士の連結をし忘れることがない。また、ワイヤ規制部をプロテクタ本体に取り付けたとき、第1,第2分割体の他方の端部の連結が解除して互いが離脱しようとしても、第1分割体又は第2分割体がプロテクタ本体に当接するため、第1、第2分割体が閉じた状態に維持されて挿通孔の開口が防止されるか、又はされ難い。従って、ワイヤの挿通孔からの抜出を確実に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1乃至図3は本発明のプロテクタの一例が示されている図である。図1乃至図3において、1はプロテクタを示し、このプロテクタ1は、例えば自動車の車体のスライドドア5を動かすワイヤ8の近傍に装着されて、長尺部材である電線例えばワイヤハーネス2をワイヤ8等の他の部材等から保護するものである。
ワイヤ8は、車体に移動自在に設けられているものであり、例えばスライドドア5に連結されている。ワイヤ8としては、スライドドア5に連結されているもの他に、サイドブレーキ、フットブレーキ等の車体に移動自在に設けられたものに連結されたものがあるが、本実施の形態では、スライドドア5に連結されているワイヤ8について説明する。
【0016】
すなわち、自動車としては、図1及び図6に示すように、例えば車体3の側面の後側の乗降口4にスライドドア5が開閉自在に設けられているものがある。スライドドア5は、車体3の後側の乗降口4の後方にその前後方向に沿って配設されたガイドレール6に、レール取付部材7を介して移動自在に支持されている。スライドドア5のレール取付部材7には、ワイヤ8の両端部が取り付けられている。ワイヤ8は、ガイドレール6に沿って延在し、ガイドレール6の両端部に回転自在にそれぞれ設けられたローラ9、10を介して自動開閉機構11に案内されており、ワイヤ8が乗降口4の後方の車体3に環状に張設されている。
【0017】
自動開閉機構11は、ワイヤ8をその延在する方向の両方向に移動させてスライドドア5を車体3の前後方向に沿って移動させ、乗降口4の開閉を行うものである。自動開閉機構11は、例えば、両方向のワイヤ8を巻き取るドラム(図示せず)と、そのドラムを回転させる正逆回転可能なモータ(図示せず)とから主になり、ドラムの回転方向によりどちら側のワイヤ8を巻き取るのかが決まり、これによりワイヤ8を介してスライドドア5がガイドレール6に案内されながら移動するようになっている。
【0018】
また、自動開閉機構11には、両方向のワイヤ8のテンションを一定範囲の値に維持するテンション部(図示せず)が設けられている。テンション部は、ワイヤ8のテンションが弱くなると、弱くなった側のワイヤ8が巻き取られるようにモータを駆動するものであり、これにより、ワイヤ8のテンション(張力)が一定範囲の値に維持される。
【0019】
このワイヤ8が移動する近傍の車体3に本発明のプロテクタ1が装着されている。このプロテクタ1は、図1乃至図3に示すように、近傍の緩衝物やワイヤ8等が接触しないように3次元的に屈曲した形状に例えば硬性を有する合成樹脂により射出成形により形成されている。
プロテクタ1は、例えばワイヤハーネス2を収容するプロテクタ本体12と、ワイヤ8がプロテクタ本体12に接触するのを防止するワイヤ規制部13とからなる。
【0020】
プロテクタ本体12は、3次元的に屈曲されている底壁14とその両側に立設された側壁15、16とからなる断面ほぼコ字状に形成されているワイヤハーネス収容部17と、そのワイヤハーネス収容部17の両側壁15、16の先端部間を閉塞するカバー18とからなり、このワイヤハーネス収容部17とカバー18との間にワイヤハーネス2が収容されて保護される。
【0021】
底壁14は、ほぼL字状に形成された板状のものを5つの屈曲部19、20、21、22、23で屈曲させた3次元的に形成され、L字状の長さが長い部分(第1底壁)14aに4つの屈曲部19、20、21、22が形成されていると共に、残りの短い部分(第2底壁)14bに1つの屈曲部23が形成されている。
第1底壁14aは、一端部(底壁14の一端部)から第1屈曲部19までと、第2屈曲部20と第3屈曲部21との間と、第4屈曲部22から他端部までの3つの部分が同一平面ではないがほぼ平行に形成され、第1屈曲部19と第2屈曲部20との間、及び第3屈曲部21と第4屈曲部22との間が互いに反対側に傾斜されている。
【0022】
第1底壁14aの一端部(底壁14の一端部)には、その延在方向に沿って延出し、先端部の両側部にずれ止め用の突条24を有し、テープ等の巻付部材と共に巻き付けられてワイヤハーネス2を固定する第1ワイヤハーネス取付部25が設けられている。また、第1底壁14aの他端部の第2底壁14bとは反対側の側部には、第2底壁14bの延在方向に沿って延出し、先端部の両側部にずれ止め用の突条26を有し、テープ等の巻付部材と共に巻き付けられてワイヤハーネス2を固定する第2ワイヤハーネス取付部27が設けられている。
【0023】
第1底壁14aの一端部(底壁14の一端部)から第1屈曲部19までと、第4屈曲部22から他端部までの2つの部分の外側(ワイヤハーネス2が収容される部分とは反対側)には、それぞれ車体等にワイヤハーネス収容部17を着脱自在に係止する係止部28が設けられている。係止部28としては、具体的には例えば、車体等の装着孔(図示せず)に挿入されて係合する2つの可撓性の係止腕29を有する突状のクリップ30が用いられる。
【0024】
第2底壁14bの第5屈曲部23は、ワイヤハーネス収容部17が外側に位置されるように屈曲して形成されている。第2底壁14bの他端部(底壁14の他端部)には、その延在方向に沿うと共に、ワイヤハーネス2を収容する側に屈曲し、先端部の両側部にずれ止め用の突条31を有し、テープ等の巻付部材と共に巻き付けられてワイヤハーネス2を固定する第3ワイヤハーネス取付部32が設けられている。
【0025】
両側壁15、16は、底壁14の屈曲部19、20、21、22、23に沿うように屈曲されて形成されている。第2ワイヤハーネス取付部27が取り付けられている部分の側壁16には、ワイヤハーネス2が挿通し得るように切り欠いたワイヤハーネス挿通部33が形成されている。
【0026】
カバー18は、底壁14の一端部から第1屈曲部19と第2屈曲部20との間のほぼ中央部までの両側壁15、16を閉塞する第1カバー34と、その第1屈曲部19と第2屈曲部20との間のほぼ中央部から第5屈曲部23までの側壁15、16を閉塞する第2カバー35と、第5屈曲部23から底壁14の他端部までの側壁15、16を閉塞する第3カバー36とからなる。
【0027】
第1カバー34は、ほぼL字状に曲っている内側の側壁(第1側壁)15の上端部の一端部から第1屈曲部19までの部分と結合ヒンジ37を介して連結されている。第2カバー35は、第2側壁16の上端部の第5屈曲部23から切欠部33までの部分と結合ヒンジ38を介して連結されている。第3カバー36は、第1側壁15の上端部の第5屈曲部23から他端部までの部分と結合ヒンジ39を介して連結されている。
なお、第1、第2、第3カバー34、35、36をワイヤハーネス収容部17に結合ヒンジ37、38、39を介して一体的に設けてなるが、ワイヤハーネス収容部とカバーとは個別に形成するようにしてもよい。
【0028】
第1カバー34の第2カバー35と接する部分には、第1カバー34と第2カバー35との間が閉塞されるように、第2カバー35の下面に当接する当接部40が設けられている。また、第2カバー35の第3カバー36と接する部分には、第2カバー35と第3カバー36との間が閉塞されるように、第3カバー36の下面に当接する当接部41が設けられている。
【0029】
第1、第2、第3カバー34、35、36の結合ヒンジ37、38、39が設けられていない側部の複数の所定の箇所には、突部42を有する係止片43がそれぞれ一体的に形成されていると共に、第1、第2、第3カバー34、35、36で両側壁15、16を閉塞したとき、両側壁15、16の先端外側のそれら係止片43と相対する位置には、それら係止片43が挿入されて突部42と係合してそれぞれの第1、第2、第3カバー34、35、36を着脱自在に取り付けるためのほぼ四角筒状の係合凹部44がそれぞれ一体的に形成されている。
【0030】
第1カバー34の外側には、ワイヤ規制部13が設けられている。ワイヤ規制部13は、ワイヤ8がプロテクタ本体12に接触するのを防止するものである。
ワイヤ規制部13は、プロテクタ本体12(第1カバー34)に固定されていてもよいが、好ましくは着脱自在に設けることがよい。具体的には例えば、ワイヤ規制部13は、第1カバー34の外側に一体的に設けられたワイヤ規制部材取付部45と、ワイヤ規制部材取付部45にスライド嵌合して着脱自在に取り付けられるワイヤ規制部材46とからなる。
【0031】
ワイヤ規制部材取付部45は、一対のガイドレール47、48と、それらガイドレール47、48間に設けられた係合部49とからなる。
一対のガイドレール47、48は、底壁14の一端部から第1屈曲部19までの間に相当する第1カバー34の外表面の上方に、その長手方向に沿って配設されている。具体的には、一対のガイドレール47、48は、第1カバー34の幅方向のほぼ中央部に一方のガイドレール(第1ガイドレール)47が配置されていると共に、他方のガイドレール(第2ガイドレール)48が結合ヒンジ37の近傍の第1カバー34に配置され、かつ、第1カバー34の外表面の平板部(底壁14の一端部から第1屈曲部19までの間に相当する平板状の外表面)に対して、直交した面より結合ヒンジ37側に所定の角度例えば15°傾斜して形成されている。このため、第1、第2ガイドレール47、48の第1カバー34からガイド端部までの長さは、第1ガイドレール47の方が第2ガイドレール48より長く形成され、第1、第2ガイドレール47、48のそれぞれガイド端部を含む面が第1カバー34の外表面の平板部に対して所定の角度例えば15°傾斜して形成されている。
【0032】
第1、第2ガイドレール47、48のそれぞれのガイド端部は相対する方向とは反対側にほぼ直角に折り曲げられてスライド片50、51が形成されている。つまり、第1、第2ガイドレール47、48は、断面ほぼL字状に形成されている。第1、第2ガイドレール47、48の第1屈曲部19側の端部には、スライド片50、51の第1カバー34側を閉塞する第1壁部52がそれぞれ形成されている。第1、第2ガイドレール47、48の間には、その長手方向に沿って凹状の溝53が形成され、この溝53には、その長手方向のほぼ中央部に係合部49である可撓自在なロック片54が設けられている。ロック片54は、溝53の長手方向に沿って設けられた板状に形成され、その一端部が溝53の底壁に取り付けられていると共に、他端部が溝53の底壁の上方であって一端部の取付位置より第1壁部52側に底壁53aに対して傾倒した状態に取り付けられて位置され、溝53の深さ方向に可撓自在に構成されている。
【0033】
ワイヤ規制部材46は、第1、第2ガイドレール47、48のスライド片50、51とスライド嵌合するスライド嵌合部55と、そのスライド嵌合部55と一体的に設けられ、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けたとき、第1カバー34(ワイヤハーネス収容部17)の幅方向の外側(外方)に位置されるワイヤ挿通部56とからなる。
【0034】
スライド嵌合部55は、板状の基部57の両側に基部57に対してほぼ直交する方向に立設し、先端部が相対する側にほぼ直角に折り曲げられ、スライド片50、51とスライド嵌合する一対のスライド嵌合片58、59を有する。つまり、スライド嵌合部55は、断面ほぼL字状に形成されている。一対のスライド嵌合片58、59の長さは、スライド片50、51の長さとほぼ同じ寸法に形成されている。スライド嵌合片58、59のスライド嵌合方向前方側の一端部には、スライド嵌合片58、59を閉塞する第2壁部60が形成されている。
【0035】
一対のスライド嵌合片58、59間の中央部には、ロック片54と係合する突部61が設けられ、この突部61のスライド嵌合方向前方側は、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45にスライド嵌合させる(取り付ける)とき、ロック片54の先端部が容易に突部61を乗り越えられるように漸次傾斜したテーパ状に形成されている。このように、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45にスライド嵌合させたとき、スライド嵌合部55のスライド嵌合方向前方側の移動が第1壁部52及び/又は第2壁部60により防止されると共に、スライド嵌合部55のスライド嵌合方向後方側の移動がロック片54と突部61との係合により防止されるようになっている。
【0036】
ワイヤ挿通部56は、ワイヤ8が挿通してワイヤ8の幅方向の移動をプロテクタ1に接触しないように規制するものであり、ワイヤ8のプロテクタ1への接触が規制されるならば例えばU字、V字、半円状、半楕円状、矩形状の溝(凹状の溝)どのように形成してもよいが、好ましくは、図示するように環状のワイヤ挿通孔62に形成することがよい。このように、ワイヤ挿通孔62であれば、ワイヤ8が抜け出ることなくワイヤ8の幅方向の移動を規制することができる。
【0037】
ワイヤ挿通孔62は、その形状は特に限定されず、例えば円状、楕円状、矩形状、多角形状等に形成されるが、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けたとき、ワイヤ8の動き得る軌跡を含む大きさ以上の形成することが好ましい。具体的には例えば、円を2つの半円に分割した半円部と、これら半円部の両端部を連結する直線部とからなる環状にワイヤ8が動き得る場合には、図示するように、その大きさより大きく形成するようにする。すなわち、ワイヤ挿通部56は、円を2つの半円に分割した第1、第2半円部64、65と、これら半円部64、65の両端部を連結する2つの第1、第2直線部70、71とからなる環状に形成されている。
【0038】
ワイヤ挿通部56は、ワイヤ挿通孔62の長手方向が一対のスライド嵌合片58、59を含む面(板状の基部57)とほぼ直交する方向に沿って延在すると共に、一方のスライド嵌合片59の外側と一方の直線部(第1直線部)70の一方の半円部(第1半円部)64の近傍とが基部57の突部61側に第1半円部64が位置されて連結されるように、スライド嵌合部55と一体的に形成されている。すなわち、スライド嵌合部55とワイヤ挿通部56とは、板状の基部57とワイヤ挿通孔62の長手方向とがほぼ直交するように連結され、この連結は、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けたとき、ワイヤ挿通部56が第1カバー34及びワイヤハーネス収容部17の側壁15の近傍に、特にそれらに接するような近傍に位置されるようになるようにすることが好ましい。
また、ワイヤ規制部材46の第1直線部70の第2半円部65の側部までとスライド嵌合部55の基部57とが三角板形状の補強部63により一体的に形成されて、ワイヤ挿通部56とスライド嵌合部55との変形が防止されるようになっている。
【0039】
ワイヤ挿通部56は、一体のものでもよいが、好ましくは2つの分割体からなることがよい。具体的には例えば、ワイヤ挿通部56は、第1半円部64からなる第1分割体72と、2つの直線部70、71及び第2半円部65からなる第2分割体73とに分割される。第1分割体72(第1半円部64)は、どちらか一方の直線部70、71好ましくは第1直線部70に結合ヒンジ66を介して可撓自在(開閉自在)に連結されており、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けたとき、第1半円部64を第1、第2直線70、71に接した状態から結合ヒンジ66を可撓して第1半円部64の他方の端部と第2直線部71の対応する端部とが互いに離間させることによりワイヤ挿通孔62を開口しようとすると、第1半円部64の外表面がワイヤハーネス収容部17の側壁15に当接して第1半円部64の移動が阻止されてワイヤ挿通孔62が開口できない、又は開口し難くなっている。
【0040】
すなわち、第1、第2分割体72、73は、第1分割体72と第2分割体73との両方の端部同士を接した状態のときのみワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けることができると共に、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けたとき、ワイヤ挿通孔62の開口が行えない、又は行え難いように(ワイヤ挿通孔62を開口する移動上にプロテクタ本体12が位置されているように)形成されている。これは、単にワイヤ挿通部56を分割するだけでは構成することはできず、ワイヤ規制部材46、ワイヤ規制部材取付部45、ワイヤハーネス収容部17の側壁15を構成要件として構成されるものであり、ワイヤ挿通部56を分割してワイヤ挿通孔62の開口を抑制することができるならばどのように構成しても良い。
【0041】
第1半円部64の他方の端部の外側には、突部67を有する係止片68が一体的に形成されていると共に、第2直線部71の対応する端部の外側には、係止片68が挿入されて突部67と係合してワイヤ挿通孔62を形成するためのほぼ四角筒状の係合枠部69が一体的に形成されており、分割体72、73の他方の端部同士が着脱自在に連結されていると共に、分割体72、73の他方の端部同士を連結したとき、一方の端部同士が接してワイヤ挿通孔62が形成されるようになっている。
【0042】
さて、このプロテクタ1のワイヤハーネス収容部17内にワイヤハーネス2を収容した後、第1カバー34の係止片43とワイヤハーネス収容部17の両側壁15、16の係合凹部44とを係合させてその両側壁15、16間を閉塞する。第1カバー34を閉じてから第2カバー35で両側壁15、16間を閉塞し、最後に第3カバー36で両側壁15、16間を閉塞する。これにより、ワイヤハーネス収容部17の両側壁15、16間がカバー18により閉塞される。
【0043】
このとき、第1カバー34には、第2カバー35の下面に当接する当接部40が設けられていると共に、第2カバー35には、第3カバー36の下面に当接する当接部41が設けられているため、各カバー34、35、36間の間は当接部40、41により閉塞されるので、一層ワイヤハーネス2を保護することができる。
【0044】
カバー18をした後、ワイヤハーネス2と第1、第2、第3ワイヤハーネス取付部25、27、32とをそれぞれ一緒にテープ等の巻付部材で巻き付けて結束し、ワイヤハーネス2を第1、第2、第3ワイヤハーネス取付部25、27、32に固定する。
【0045】
ワイヤハーネス2を固定したプロテクタ1の外側に設けられた2つのクリップ30を、例えば車体の装着孔(図示せず)に挿入して係合することにより、プロテクタ1が車体に装着される。なお、ワイヤハーネス2のワイヤハーネス収容部17への収容はプロテクタ1を車体に装着した後に行うようにしてもよい。
【0046】
そして、スライドドア5を移動させるワイヤ8が配設されている場合には、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45にスライド嵌合させて取り付ける。また、ワイヤ8が配設されていない場合には、ワイヤ8を配設した後に、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45にスライド嵌合させて取り付ける。
【0047】
ワイヤ規制部材46の取付は、ワイヤ規制部材46の一対のスライド嵌合片58、59をワイヤ規制部材取付部45の一対のガイドレール47、48のスライド片50、51にスライド嵌合させて行う。具体的には、第2壁部60とは反対側のスライド嵌合片58、59の端部を、第1壁部52とは反対側のスライド片50、51の端部につき合せてワイヤ規制部材46をスライド嵌合片58、59の内側とスライド片50、51の内側とが接するようにスライド移動させる。このようにスライド移動させると、スライド嵌合片58、59の端部が第1壁部52に接触するか、又はスライド片50、51の端部が第2壁部60に接触し、又は同時に接触して、ワイヤ規制部材46のスライド嵌合方向前方側の移動が第1壁部52及び/又は第2壁部60により防止される。このとき、ロック片54と突部61とが係合して、ワイヤ規制部材46のスライド嵌合方向後方側の移動が防止されて、ワイヤ規制部材46がワイヤ規制部材取付部45に係止された状態に取り付けられる。
【0048】
このように、ワイヤ規制部材46がプロテクタ本体12のワイヤ規制部材取付部45に着脱自在に取り付けられることにより、プロテクタ本体12のみを先に例えば車体に装着してからプロテクタ本体12にワイヤ規制部材46を取り付けることができる。また、プロテクタ1にワイヤハーネス2を収容するときにワイヤ規制部材46を外せばワイヤ規制部材46が邪魔になることなく行える。また、プロテクタ1を車体に装着してからワイヤ8を配設するとき、ワイヤ規制部材46を外せばワイヤ規制部材46が邪魔になることなくワイヤ8の配設を行える。よって、作業性が向上する。
【0049】
ワイヤ規制部材46を取り付ける前に、第1分割体72の係止片68と第2分割体65の係合凹部69とが係合されている場合にはその係合を外す。そして、ワイヤ8を第1、第2分割体72、73の結合ヒンジ66とは反対側の端部の間からワイヤ挿通部56内にワイヤ8を挿入し、挿入後、第1分割体72の係止片68を第2分割体65の係合凹部69に挿入して係合しておく。すなわち、ワイヤ規制部材46を取り付ける前に、ワイヤ挿通孔62内にワイヤ8を挿通させる。
【0050】
これにより、ワイヤ8がスライドドアを移動させるために移動してもワイヤ8の幅方向の移動がワイヤ規制部材46のワイヤ挿通部56によってプロテクタ本体12に接触しないように規制されるため、ワイヤ8が弛んだとしてもワイヤ8がプロテクタ本体12に接触することがないので、ワイヤ8がプロテクタ1に絡むおそれがない。
【0051】
また、ワイヤ規制部材46のワイヤ挿通孔62は、ワイヤ8の幅方向の動き得る軌跡を含む大きさ以上に形成することで、スライドドア5を動かすときにワイヤ8がワイヤ規制部46に接触することがないので、ワイヤ8の移動が良好である。
また、ワイヤが弛んだとしてもワイヤ挿通孔62に挿通されているため、ワイヤ8がワイヤ規制部材46から外れることがないので、プロテクタ本体12への接触を確実に防止することができる。
【0052】
また、ワイヤ規制部材46は、ワイヤ挿通孔62を2つに分割する第1、第2分割体72、73からなり、これら第1、第2分割体72、73の端部同士の一方(第1半円部64と第1直線部70との端部同士)が結合ヒンジ66で連結されていると共に、他方の端部同士(第1半円部64と第2直線部71との端部同士)が係止片68と係合枠部69との係合により着脱自在に連結されていることで、ワイヤ挿通孔62は開口自在(開閉自在)に形成されているので、ワイヤ8のワイヤ挿通孔62への挿通を容易に行える。すなわち、ワイヤ8を配設した後でも簡単にワイヤ挿通孔62に挿通することができるので、作業性が向上する。
【0053】
また、第1、第2分割体72、73が、第1分割体72と第2分割体73との両方の端部同士を接した状態のときのみワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けることができると共に、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けたとき、ワイヤ挿通孔62の開口が行えない、又は行え難いように形成されていると、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けるとき、ワイヤ挿通孔62を閉じる、つまり、第1半円部64と第2直線部71との端部同士(第1、第2分割体72、73の他方の端部同士)を係合(連結)して(ワイヤ規制部材46を閉じて)おかないと、その取付を行えないので、第1、第2分割体72、73の他方の端部同士の連結をし忘れることがない。このため、ワイヤ規制部材46がワイヤ規制部材取付部45に取り付けられているときには、ワイヤ挿通孔62からワイヤ8が抜け出ることが確実に防止される。
【0054】
また、ワイヤ規制部材46をワイヤ規制部材取付部45に取り付けたとき、第1半円部64の係止片68と第2直線部71の係合枠部69との係合(分割体72、73の他方の端部)が解除されて互いが離脱しようとしても、また、第1半円部64を第1、第2直線70、71に接した状態から結合ヒンジ66を介してワイヤ挿通孔62を開口しようとしても、第1半円部64の外表面がワイヤハーネス収容部17の側壁15に当接して第1半円部64の移動が阻止されてワイヤ挿通孔62が開口できない、又は開口し難くなっている。このため、ワイヤ規制部材46がワイヤ規制部材取付部45に取り付けられているときには、ワイヤ挿通孔62からワイヤ8が抜け出ることが確実に防止されることになる。従って、確実にワイヤ8からプロテクタ本体12及びワイヤハーネス2を保護することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上要するに請求項1に記載の発明によれば、ワイヤが絡むおそれないプロテクタが得られる。また、請求項1に記載の発明によれば、ワイヤが良好に移動する共にワイヤのプロテクタ本体への接触を確実に防止することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、ワイヤ規制部を2つに分割した分割体が開閉自在に形成されるので、ワイヤの挿通孔への挿通を容易に行え、作業性がよい。
【0056】
請求項2に記載の発明によれば、プロテクタ本体のみを先に例えば車体に装着してからプロテクタ本体にワイヤ規制部を取り付けることができると共に、プロテクタにワイヤハーネス等の電線を装着するときにワイヤ規制部を外せばワイヤ規制部が邪魔になることなく行えるので、作業性がよい。
【0059】
請求項に記載の発明によれば、ワイヤが絡むことなく、ワイヤが良好に移動すると共にワイヤのプロテクタ本体の接触を防止してワイヤの挿通孔への挿通を容易に行え、作業性が良く、ワイヤの挿通孔からの抜出を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロテクタを自動車に装着した状態を示す概略図である。
【図2】本発明のプロテクタの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明のプロテクタ本体の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明のワイヤ規制部材取付部の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明のワイヤ規制部材の一例を示す斜視図である。
【図6】スライドドアの駆動状態を示す概略上面図である。
【符号の説明】
1 プロテクタ
5 スライドドア
8 ワイヤ
12 プロテクタ本体
13 ワイヤ規制部
62 ワイヤ挿通孔
66 結合ヒンジ
72 第1分割体
73 第2分割体

Claims (3)

  1. 移動自在に設けられたワイヤの近傍に配設されたプロテクタにおいて、プロテクタ本体に、前記ワイヤがプロテクタ本体に接触するのを防止するワイヤ規制部を取り付け
    該ワイヤ規制部が、前記ワイヤが挿通すると共に、前記ワイヤの幅方向の移動軌跡を含む環状に形状される挿通孔を有し、
    該環状の挿通孔2つに分割され、一方の端部同士がヒンジにより結合されると共に、他方の端部同士が着脱自在に連結される第1、第2分割体からなる
    ことを特徴とするプロテクタ。
  2. 前記ワイヤ規制部が、前記プロテクタ本体に着脱自在に取り付けられている請求項1に記載のプロテクタ。
  3. 移動自在に設けられたワイヤの近傍に配設されたプロテクタにおいて、プロテクタ本体に、前記ワイヤがプロテクタ本体に接触するのを防止するワイヤ規制部を着脱自在に取り付け、
    前記ワイヤ規制部が、前記ワイヤが挿通すると共に前記ワイヤの幅方向の移動軌跡を含む環状に形状された挿通孔を有し、該挿通孔を2つに分割し、一方の端部同士をヒンジにより結合すると共に他方の端部同士を着脱自在に連結した第1、第2分割体からなり、かつ、該第1、第2分割体が、前記他方の端部同士を連結したときのみ前記プロテクタ本体に取り付けられると共に、前記プロテクタ本体に取り付けて前記他方の端部同士の連結を解除させるとき、該第1分割体又は第2分割体が前記プロテクタ本体に当接する形状に形成されているプロテクタ。
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