JP4044406B2 - フロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のロッカパネルにフロアカーペット及びワイヤハーネスを留める、フロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具に関し、特に、フロアカーペット及びワイヤハーネスに加えて、ロッカモールをロッカパネルに留めることができる留め具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
特許第３２６４５８３号公報（特許文献１）には、ロッカパネルへの係止手段とカーペット係合突起とを有する基体と、該基体に対して接離方向へ揺動可能に連結されワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持部と、前記基体と前記ワイヤハーネス保持部との間にフロアカーペットの端末部を挟持した状態で前記ワイヤハーネス保持部を前記基体に係止する保持部係止手段とを備えたフロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具が開示されている。この留め具は、ワイヤハーネスをハーネスクランプのクランプ保持部に取付けロッカパネル上に仮止めし、フロアカーペットを車両床部に敷き込み、フロアカーペットの端末部に形成された係止孔とハーネスクランプの係止手段とを係合させ、ワイヤハーネスを保持したクランプ保持部とスカッフプレートとにてフロアカーペットの端末部を上から押さえて固定する。そのため、先にワイヤハーネスを取付け、その後、フロアカーペットをワイヤハーネスの下に敷き込むことができる。
【０００３】
【特許文献１】
特許第３２６４５８３号公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ロッカパネルには、ワイヤハーネスとフロアカーペットの端末部分とを覆って保護し外観を見栄えよくするため、スカッフプレートと呼ばれるロッカモールが取付けられる。そのロッカモールを取付けるため、ロッカパネルには、ロッカモールの内側に設けられた支持脚に係止する屈曲部が形成されて、ロッカパネルを保持する。上記の留め具には、ロッカモールの内側に設けられた別の支持脚に係止する係止部が形成されてロッカモールの取付けを補助している。留め具にロッカモールを支持する機能が備われば、ロッカパネルに、ロッカモール内側の支持脚に係止する屈曲部を設ける必要がなくなり、また、ロッカパネルの設計の制約も少なくなる。
【０００５】
【課題を解決する手段】
かかる目的を達成するため、本発明は、ロッカパネルへの係止手段とカーペット係合突起とを有する基体と、基体に対して接離方向へ揺動可能に連結されワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持部と、基体とワイヤハーネス保持部との間にフロアカーペットの端末部を挟持した状態でワイヤハーネス保持部を基体に係止する保持部係止手段とを備えたフロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具であって、ロッカモール内側に相互に離間して形成された支持脚を受入れて係止する第１及び第２のロッカモール係止部を有し、第１ロッカモール係止部は、ワイヤハーネス保持部の保持部係止手段に隣接してワイヤハーネス保持部に設けられ、第２ロッカモール係止部は、基体のワイヤハーネス保持部への連結部に隣接して設けられたことを特徴とする留め具を提供する。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明は、ロッカパネルへの係止手段とカーペット係合突起とを有する基体と、該基体に対して接離方向へ揺動可能に連結されワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持部と、基体とワイヤハーネス保持部との間にフロアカーペットの端末部を挟持した状態でワイヤハーネス保持部を基体に係止する保持部係止手段とを備えたフロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具であって、ロッカモール内側に相互に離間して形成された支持脚を受入れて係止する第１及び第２のロッカモール係止部を有し、該第１ロッカモール係止部は、ワイヤハーネス保持部の保持部係止手段に隣接して設けられ、第２ロッカモール係止部は、基体のワイヤハーネス保持部への連結部に隣接して設けられたことを特徴とする留め具を提供する。
【０００７】
この留め具によれば、第１ロッカモール係止部がワイヤハーネス保持部の保持部係止手段に隣接して設けられ、第２ロッカモール係止部が基体のワイヤハーネス保持部への連結部に隣接して設けられて、これらの第１及び第２のロッカモール係止部が、ロッカモール内側に相互に離間して形成された支持脚を受入れて係止するので、ワイヤハーネスとフロアカーペットをロッカパネルに留めることに加えて、ロッカパネルの支持部に依存せずに、ロッカモールをロッカパネルに留めることができる。従って、留め具をロッカモールの形状に合わせることによって、ロッカパネルの形状にかかわらずロッカモールを支持することができ、ロッカパネルの形状の変化ひいては車体形状の変化にかわわらず、ロッカモールを本発明の留め具によって支持することができ、留め具を標準化できる。
【０００８】
上記留め具において、ワイヤハーネス保持部は、基体への連結部から基体側に近づくように湾曲して保持部係止手段に延びる第１弓状片と、連結部から基体側から離れるように湾曲して延び、第１弓状片と協働してワイヤハーネスを包持する環状体を形成する第２弓状片とから成り、第２弓状片の先端と第１弓状片の先端とには相互に係止する係止部が設けられる。これによって、ワイヤハーネスを確実に保持することができ、取付けられたロッカパネル面から躍り出る惧れが無くなる。その留め具において、第１弓状片の先端に保持部係止手段の一方が設けられ、基体のカーペット係合突起に保持部係止手段の他方が設けられる。これによって留め具のサイズをコンパクトに保つことができる。この留め具において、第１弓状片は基体の連結部に連結する根元部分が第１の薄肉ヒンジに形成され、第２弓状片は基体の連結部に連結する根元部分が第２の薄肉ヒンジに形成され、第１弓状片は、基体との間にフロアカーペットの端末部を挟持するように第１ヒンジ回りに揺動可能であり、第２弓状片は、第１弓状片に収容されたワイヤハーネスを包持するように第２ヒンジ回りに揺動可能であるのが好ましい。これによって、フロアカーペットの保持及びワイヤハーネスの保持の作業に大きな力を必要とせずに容易にできる。また、その留め具において、第１ロッカモール係止部は、第１弓状片先端に設けられて、ロッカモール支持脚を受入れて係止するＵ字形状に形成され、カーペット係合突起には、第１ロッカモール係止部のＵ字形状の底部を形成するストッパが形成されて、該ストッパは、第１弓状片の先端がカーペット係合突起に係止するとき、ロッカモール係止脚の先端の下限位置を直接定めるのが好ましい。また、カーペット係合突起には、第１ロッカモール係止部の下方への移動を制限する第２のストッパが形成されて、第２ストッパは、第１弓状片の先端がカーペット係合突起に係止するとき、第１ロッカモール係止部の下方への移動を制限することによって、ロッカモール係止脚の先端の下限位置を間接的に定めるのが好ましい。これらによって、支持脚の過度の押込みを防止できる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。本発明に係るフロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具１は、図１〜図６にその全体が示され、図７〜図１０には断面又は部分が示されている。図１１〜図１４は、留め具１を用いて、ロッカパネル２にフロアカーペット３、ワイヤハーネス５及びロッカモール６を取付ける手順を示す。留め具１は、プラスチックの一体成形品で成る。図１〜図６において、留め具１は、ロッカパネルへ接面して取付けられる基体７を有する。基体７は、一定幅の平板形状に形成された接面部９と接面部９の一端から一定高さ立上がった直立部１０を有するＬ字型に形成され、水平部９と直立部１０とには中央に内側リブ１１が形成されて高い連結強度で連結されている。更に、直立部１０の背面には背面リブ１３が形成されて直立部１０の強度を一層高く維持する。なお、直立部１０の高さは、ワイヤハーネス５の直径に応じて任意に定められる。
【００１０】
基体７の接面部９の中央には、ロッカパネルへの係止手段となる錨脚型クリップ１４が、直立部１０と反対方向に延びるように形成されている。クリップ１４は、ロッカパネルの取付穴に挿入されてロッカパネルに係止する。ロッカパネルの取付穴が矩形に形成されている場合、クリップ１４の軸部１５は、図１の９Ａ−９Ａ線及び９Ｂ−９Ｂ線で切断した断面図である図９（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、矩形断面を有するように形成される。これによって、クリップ１４が回転するのが防止され、ひいては、留め具１の回転が防止される。なお、ロッカパネルへの係止手段は、他の形状のクリップでもよく、更には、ロッカパネルにスタッドが固定される場合には、スタッド固定用のクリップであってもよい。
【００１１】
基体７の接面部９には、直立部１０と反対側の端部から直立するカーペット係合突起１７が設けられている。カーペット係合突起１７は、フロアカーペット３（図１３）の端末部に形成された取付穴に挿入されて、フロアカーペット３の端末部に係合してフロアカーペットを保持する。突起１７は、フロアカーペットの係合突起として機能するとともに、後述のワイヤハーネス保持部１８の第１弓状片１９を係止する機能を有し、そのために、突起１７の先端にはワイヤハーネス保持部１８の保持部係止手段の一方となる係止爪２１が形成されている。更に、カーペット係合突起１７には、第１ロッカモール係止部２２（後述）のＵ字形状の底部を形成する第１ストッパ２３が形成されている。第１ストッパ２３は、第１弓状片１９の先端がカーペット係合突起に係止するとき、ロッカモール係止脚の先端の下限位置を直接定める。また、カーペット係合突起１７には、第１ロッカモール係止部２２の下方への移動を制限する第２ストッパ２５が形成されている。第２ストッパ２５はカーペット係合突起１７の両側面に設けられて対を成している。第２ストッパ２５は、第１弓状片１９の先端がカーペット係合突起１７の係止爪２１に係止するとき、第１ロッカモール係止部２２が下方へ移動するのを制限する。これによって、ロッカモール係止脚の先端の下限位置を間接的に定める。第１ストッパ２３及び第２ストッパ２５は、ロッカモール６を留め具１に取付けるとき、ロッカモールの支持脚を過度に押込むのを防止できる。
【００１２】
留め具１には、基体７に対して接離方向へ揺動可能に連結されて、ワイヤハーネス５を保持するワイヤハーネス保持部１８が設けられている。更に詳細には、ワイヤハーネス保持部１８は、基体７の直立部１０の先端に基体７の接面部９に対して接離方向へ揺動可能に連結されている。ワイヤハーネス保持部１８は、直立部１０への連結部となる直立部１０の先端から基体７の接面部９側に近づくように湾曲して先端に形成された保持部係止手段として係止凹部２６に延びる第１弓状片１９と、連結部である直立部１０から基体７の接面部９から離れるように湾曲して延び、第１弓状片１９と協働してワイヤハーネス５を包持する環状体を形成する第２弓状片２７とから形成される。図８にも図示のように、第１弓状片１９の先端と第２弓状片２７の先端とには、ワイヤハーネス５を包持する環状体を維持するように、相互に係止する第１係止部２９及び第２係止部３０が設けられる。これによって、ワイヤハーネス５を包持する環状体が確実に維持されてワイヤハーネスを確実に保持することができ、ワイヤハーネスが取付けられたロッカパネル面から躍り出る惧れが無くなる。
【００１３】
また、図１０にも図示のように、第１弓状片１９は基体７の連結部である直立部１０に連結する根元部分が第１薄肉ヒンジ３１に形成され、第２弓状片２７は直立部１０に連結する根元部分が第２薄肉ヒンジ３３に形成されている。第１薄肉ヒンジ３１と第２薄肉ヒンジ３３とは、図２、図４、図７、図８に図示のように、留め具１の幅方向に重ならないように形成されて、成形型の形状を簡単にしている。第１弓状片１９は、基体７の接面部９との間にフロアカーペットの端末部分を挟持するように第１ヒンジ３１の回りに揺動可能であり、第２弓状片２７は、第１弓状片１９に収容されたワイヤハーネスを包持するように、第２ヒンジ３３の回りに揺動可能である。これによって、フロアカーペットの保持及びワイヤハーネスの保持の作業が大きな力を必要とせずに容易にできる。更に、第１弓状片１９の先端には、ワイヤハーネス保持部１８を基体に係止するための保持部係止手段の一つである係止凹部２６が設けられ、係止凹部２６に係止する相手側の保持部係止手段は、基体７に形成されたカーペット係合突起１７に係止爪２１として形成されている。このように保持部係止手段が、ワイヤハーネス保持部の第１弓状片１９と基体のカーペット係合突起１７に形成されるので、留め具のサイズを大きくすることなく、コンパクトなままに保つことができる。
【００１４】
ロッカモール６の内側には、相互に離間して、第１支持脚３４及び第２支持脚３５（図１４参照）が形成される。図１〜図５に図示のように、留め具１には、ロッカモール６内側の第１支持脚３４及び第２支持脚３５を受入れて係止する第１ロッカモール係止部２２及び第２ロッカモール係止部３７が形成されている。第１ロッカモール係止部２２は、ワイヤハーネス保持部１８の第１弓状片１９の保持部係止手段である係止凹部１９に隣接して設けられている。第２ロッカモール係止部３７は、基体７の直立部１０（すなわちワイヤハーネス保持部１８への連結部）に隣接して設けられている。両ロッカモール係止部２２及び３７は、第１支持脚３４及び第２支持脚３５を受入れ易くするように入口の手前においてテーパ状に開放し、受入れ後は抜けにくくするように、入口部で絞られたＵ字形状に形成されている。
【００１５】
第２ロッカモール係止部３７は、基体７の直立部１０に直接形成されていて、直立部１０及び背面リブ１３によって高い剛性を有する。従って、第２ロッカモール係止部３７は、ロッカモール６の第２支持脚３５が挿入されると不動に受入れて係止する。他方、第１ロッカモール係止部２２は、第１弓状片１９の先端に形成されているので、基体７のカーペット係合突起１７の係止爪２１に第１弓状片１９の係止凹部２６が係止した状態でも、第１ロッカモール係止部２２は、ロッカモール６の第１支持脚３４を挿入によって下方に移動し、過剰な力で挿入すると第１弓状片１９を損傷する惧れがある。これに対処して、基体７のカーペット係合突起１７には、第１ロッカモール係止部２２のＵ字形状の底部を形成する第１ストッパ２３が形成されている。第１ストッパ２３は、第１弓状片１９の先端の係止凹部２６がカーペット係合突起１７の係止爪２１に係止したとき、ロッカモール６の第１係止脚３４の先端の下限位置を直接定める。また、カーペット係合突起１７には、第１ロッカモール係止部２２が下方へ移動するのを制限する一対の第２ストッパ２５が形成されている。第２ストッパ２５は、第１ロッカモール係止部２２の下方への移動を制限することによって、ロッカモール６の係止脚の先端の下限位置を間接的に定める。これらの第１ストッパ２３及び第２ストッパ２５によって、ロッカモールの支持脚の過度の押込みを防止でき、第１弓状片１９を損傷する惧れを防止できる。
【００１６】
なお、図２及び図５に図示のように、第２弓状片２７の先端には中央に切欠き３８が形成されており、他方、第１弓状片１９の先端には、切欠き３８に収容される突部３９が形成されている。第２弓状片２７が第１弓状片１９に連結されたとき、切欠き３８に突部３９が受入れられて、ワイヤハーネスが長手方向に移動しようとしても、第２弓状片２７が第１弓状片１９に対してその長手方向に移動するのが阻止され、第２弓状片２７が第１弓状片１９に連結するのを確実に維持する。また、図１及び図３に図示のように、クリップ１４には、ロッカパネルの取付穴に接する面に吸盤形状のフランジ４１が形成され、取付穴を塞いで、遮音効果と水密シール効果を奏する。
【００１７】
図１１〜図１４を参照して、留め具１を用いて、ロッカパネル２に、フロアカーペット３とワイヤハーネス５とロッカモール６を取付ける作業を説明する。先ず図１１において、留め具１は、ロッカパネル２に、錨脚型クリップ１４が取付穴４２に挿入されて取付けられる。留め具１は、基体７の接面部９がロッカパネル２に接面した状態で固定され、直立部１０がロッカパネル２から直立する。ワイヤハーネス保持部１８は、第１弓状片１９及び第２弓状片２７が開放した状態になっている。
【００１８】
次に、図１２において、フロアカーペット３が、その端末部分４３に形成された取付穴４５が基体７のカーペット係合突起１７を挿通されるように、留め具１の基体７の接面部９の上に配置される。その状態で、第１弓状片１９が第１薄肉ヒンジ３１の回りに揺動させられて、先端の係止凹部２６がカーペット係合突起１７の係止爪２１に係止される。この係止によって、第１弓状片１９の湾曲部分がフロアカーペット３の端末部分４３を基体７の接面部９に押えつける。すなわち、基体７とワイヤハーネス保持部１８の第１弓状片１９との間にフロアカーペット３の端末部分４３を挟持する。
【００１９】
その後、図１３において、ワイヤハーネス５を第１弓状片１９の上に配置し、第２弓状片２７を第２薄肉ヒンジ３３の回りに揺動させて、第２弓状片２７の先端の第２係止部３０を第１弓状片１９の先端の第１係止部２９に係止して、ワイヤハーネス５を包持する環状体を形成し、ワイヤハーネス５の保持を維持する。ワイヤハーネス５を包持する環状体が形成されて確実に維持されるので、ワイヤハーネスがロッカパネル面から躍り出る惧れが無くなる。
【００２０】
そして、図１４において、ロッカモール６が留め具１によってロッカパネル２に取付けられる。ロッカモール６の内側には、第１支持脚３４及び第２支持脚３５が相互に離間して形成されている。作業者は、ロッカモール６を持って、第１支持脚３４を第１ロッカモール係止部２２に位置合わせし、第２支持脚３５を第２ロッカモール係止部３７に位置合わせする。位置合わせ後、作業者はロッカモール６を留め具１が取付けられたロッカパネル２に押付けると、第１支持脚３４が第１ロッカモール係止部２２に係止し、第２支持脚３５が第２ロッカモール係止部３７に係止して、これによって、ロッカモール６は、ロッカパネル２の支持部４６とは関係なく、留め具１によってのみ取付けられ、その取付けは留め具１によって維持される。なお、第１ロッカモール係止部２２及び第２ロッカモール係止部３７は、ロッカモール６を相当強い力で引上げると、第１支持脚３４及び第２支持脚３５が外れるようになっていてもよく、それによって、ロッカモール６を交換したり、ワイヤハーネス５やフロアカーペット３の修理、交換に対応できる。
【００２１】
【発明の効果】
本発明の留め具によれば、第１ロッカモール係止部がワイヤハーネス保持部の保持部係止手段に隣接して設けられ、第２ロッカモール係止部が基体のワイヤハーネス保持部への連結部に隣接して設けられ、第１及び第２のロッカモール係止部が、ロッカモール内側に相互に離間して形成された支持脚を受入れて係止するので、ワイヤハーネスとフロアカーペットをロッカパネルに留めることに加え、ロッカパネルの支持部に依存せずに、ロッカモールをロッカパネルに留めることができる。従って、留め具をロッカモールの形状に合わせることによって、ロッカパネルの形状にかかわらずロッカモールを支持することができ、ロッカパネルの形状の変化ひいては車体形状の変化にかわわらず、ロッカモールを本発明の留め具によって支持することができ、留め具を標準化できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例に係る留め具の正面図である。
【図２】図１の留め具の斜め右側から見た斜視図である。
【図３】図１の留め具の背面側から見た斜視図である。
【図４】図１の留め具の背面側から別の角度で見た斜視図である。
【図５】図１の留め具の左上側から見た斜視図である。
【図６】図１の留め具の平面図である。
【図７】図６の留め具の７−７線断面図である。
【図８】図６の留め具の８−８線断面図である。
【図９】図１のクリップ部の軸部の横断面形状を示しており、（Ａ）は図１の留め具の９Ａ−９Ａ線断面図、（Ｂ）は図１の留め具の９Ｂ−９Ｂ線断面図である。
【図１０】図１のクリップの円Ｘの部分の拡大図である。
【図１１】図１のクリップをロッカパネルに取付た状態を示す図である。
【図１２】図１１のクリップによってカーペットを保持した状態を示す図である。
【図１３】図１２のクリップによってワイヤハーネスを保持した状態を示す図である。
【図１４】図１３のクリップによってロッカモールを保持した状態を示す図である。
【符号の説明】
１ 留め具
２ ロッカパネル
３ フロアカーペット
５ ワイヤハーネス
６ ロッカモール
７ 基体
９ 基体の接面部
１０ 基体の直立部（連結部）
１１、１３ リブ
１４ 錨脚型クリップ
１５ クリップの軸部
１７ カーペット係合突起
１８ ワイヤハーネス保持部
１９ 第１弓状片
２１ 係止爪（保持部係止手段）
２２ 第１ロッカモール係止部
２３ 第１ストッパ
２５ 第２ストッパ
２６ 係止凹部（他の保持部係止手段）
２７ 第２弓状片
２９ 第１係止部
３０ 第２係止部
３１ 第１薄肉ヒンジ
３３ 第２薄肉ヒンジ
３４ ロッカモールの第１支持脚
３５ ロッカモールの第２支持脚
３７ 第２ロッカモール係止部
３８ 切欠き
３９ 突部
４３ フロアカーペットの端末部分
４５ ロッカパネルの支持部
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のロッカパネルにフロアカーペット及びワイヤハーネスを留める、フロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具に関し、特に、フロアカーペット及びワイヤハーネスに加えて、ロッカモールをロッカパネルに留めることができる留め具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
特許第３２６４５８３号公報（特許文献１）には、ロッカパネルへの係止手段とカーペット係合突起とを有する基体と、該基体に対して接離方向へ揺動可能に連結されワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持部と、前記基体と前記ワイヤハーネス保持部との間にフロアカーペットの端末部を挟持した状態で前記ワイヤハーネス保持部を前記基体に係止する保持部係止手段とを備えたフロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具が開示されている。この留め具は、ワイヤハーネスをハーネスクランプのクランプ保持部に取付けロッカパネル上に仮止めし、フロアカーペットを車両床部に敷き込み、フロアカーペットの端末部に形成された係止孔とハーネスクランプの係止手段とを係合させ、ワイヤハーネスを保持したクランプ保持部とスカッフプレートとにてフロアカーペットの端末部を上から押さえて固定する。そのため、先にワイヤハーネスを取付け、その後、フロアカーペットをワイヤハーネスの下に敷き込むことができる。
【０００３】
【特許文献１】
特許第３２６４５８３号公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ロッカパネルには、ワイヤハーネスとフロアカーペットの端末部分とを覆って保護し外観を見栄えよくするため、スカッフプレートと呼ばれるロッカモールが取付けられる。そのロッカモールを取付けるため、ロッカパネルには、ロッカモールの内側に設けられた支持脚に係止する屈曲部が形成されて、ロッカパネルを保持する。上記の留め具には、ロッカモールの内側に設けられた別の支持脚に係止する係止部が形成されてロッカモールの取付けを補助している。留め具にロッカモールを支持する機能が備われば、ロッカパネルに、ロッカモール内側の支持脚に係止する屈曲部を設ける必要がなくなり、また、ロッカパネルの設計の制約も少なくなる。
【０００５】
【課題を解決する手段】
かかる目的を達成するため、本発明は、ロッカパネルへの係止手段とカーペット係合突起とを有する基体と、基体に対して接離方向へ揺動可能に連結されワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持部と、基体とワイヤハーネス保持部との間にフロアカーペットの端末部を挟持した状態でワイヤハーネス保持部を基体に係止する保持部係止手段とを備えたフロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具であって、ロッカモール内側に相互に離間して形成された支持脚を受入れて係止する第１及び第２のロッカモール係止部を有し、第１ロッカモール係止部は、ワイヤハーネス保持部の保持部係止手段に隣接してワイヤハーネス保持部に設けられ、第２ロッカモール係止部は、基体のワイヤハーネス保持部への連結部に隣接して設けられたことを特徴とする留め具を提供する。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明は、ロッカパネルへの係止手段とカーペット係合突起とを有する基体と、該基体に対して接離方向へ揺動可能に連結されワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持部と、基体とワイヤハーネス保持部との間にフロアカーペットの端末部を挟持した状態でワイヤハーネス保持部を基体に係止する保持部係止手段とを備えたフロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具であって、ロッカモール内側に相互に離間して形成された支持脚を受入れて係止する第１及び第２のロッカモール係止部を有し、該第１ロッカモール係止部は、ワイヤハーネス保持部の保持部係止手段に隣接して設けられ、第２ロッカモール係止部は、基体のワイヤハーネス保持部への連結部に隣接して設けられたことを特徴とする留め具を提供する。
【０００７】
この留め具によれば、第１ロッカモール係止部がワイヤハーネス保持部の保持部係止手段に隣接して設けられ、第２ロッカモール係止部が基体のワイヤハーネス保持部への連結部に隣接して設けられて、これらの第１及び第２のロッカモール係止部が、ロッカモール内側に相互に離間して形成された支持脚を受入れて係止するので、ワイヤハーネスとフロアカーペットをロッカパネルに留めることに加えて、ロッカパネルの支持部に依存せずに、ロッカモールをロッカパネルに留めることができる。従って、留め具をロッカモールの形状に合わせることによって、ロッカパネルの形状にかかわらずロッカモールを支持することができ、ロッカパネルの形状の変化ひいては車体形状の変化にかわわらず、ロッカモールを本発明の留め具によって支持することができ、留め具を標準化できる。
【０００８】
上記留め具において、ワイヤハーネス保持部は、基体への連結部から基体側に近づくように湾曲して保持部係止手段に延びる第１弓状片と、連結部から基体側から離れるように湾曲して延び、第１弓状片と協働してワイヤハーネスを包持する環状体を形成する第２弓状片とから成り、第２弓状片の先端と第１弓状片の先端とには相互に係止する係止部が設けられる。これによって、ワイヤハーネスを確実に保持することができ、取付けられたロッカパネル面から躍り出る惧れが無くなる。その留め具において、第１弓状片の先端に保持部係止手段の一方が設けられ、基体のカーペット係合突起に保持部係止手段の他方が設けられる。これによって留め具のサイズをコンパクトに保つことができる。この留め具において、第１弓状片は基体の連結部に連結する根元部分が第１の薄肉ヒンジに形成され、第２弓状片は基体の連結部に連結する根元部分が第２の薄肉ヒンジに形成され、第１弓状片は、基体との間にフロアカーペットの端末部を挟持するように第１ヒンジ回りに揺動可能であり、第２弓状片は、第１弓状片に収容されたワイヤハーネスを包持するように第２ヒンジ回りに揺動可能であるのが好ましい。これによって、フロアカーペットの保持及びワイヤハーネスの保持の作業に大きな力を必要とせずに容易にできる。また、その留め具において、第１ロッカモール係止部は、第１弓状片先端に設けられて、ロッカモール支持脚を受入れて係止するＵ字形状に形成され、カーペット係合突起には、第１ロッカモール係止部のＵ字形状の底部を形成するストッパが形成されて、該ストッパは、第１弓状片の先端がカーペット係合突起に係止するとき、ロッカモール係止脚の先端の下限位置を直接定めるのが好ましい。また、カーペット係合突起には、第１ロッカモール係止部の下方への移動を制限する第２のストッパが形成されて、第２ストッパは、第１弓状片の先端がカーペット係合突起に係止するとき、第１ロッカモール係止部の下方への移動を制限することによって、ロッカモール係止脚の先端の下限位置を間接的に定めるのが好ましい。これらによって、支持脚の過度の押込みを防止できる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。本発明に係るフロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具１は、図１〜図６にその全体が示され、図７〜図１０には断面又は部分が示されている。図１１〜図１４は、留め具１を用いて、ロッカパネル２にフロアカーペット３、ワイヤハーネス５及びロッカモール６を取付ける手順を示す。留め具１は、プラスチックの一体成形品で成る。図１〜図６において、留め具１は、ロッカパネルへ接面して取付けられる基体７を有する。基体７は、一定幅の平板形状に形成された接面部９と接面部９の一端から一定高さ立上がった直立部１０を有するＬ字型に形成され、水平部９と直立部１０とには中央に内側リブ１１が形成されて高い連結強度で連結されている。更に、直立部１０の背面には背面リブ１３が形成されて直立部１０の強度を一層高く維持する。なお、直立部１０の高さは、ワイヤハーネス５の直径に応じて任意に定められる。
【００１０】
基体７の接面部９の中央には、ロッカパネルへの係止手段となる錨脚型クリップ１４が、直立部１０と反対方向に延びるように形成されている。クリップ１４は、ロッカパネルの取付穴に挿入されてロッカパネルに係止する。ロッカパネルの取付穴が矩形に形成されている場合、クリップ１４の軸部１５は、図１の９Ａ−９Ａ線及び９Ｂ−９Ｂ線で切断した断面図である図９（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、矩形断面を有するように形成される。これによって、クリップ１４が回転するのが防止され、ひいては、留め具１の回転が防止される。なお、ロッカパネルへの係止手段は、他の形状のクリップでもよく、更には、ロッカパネルにスタッドが固定される場合には、スタッド固定用のクリップであってもよい。
【００１１】
基体７の接面部９には、直立部１０と反対側の端部から直立するカーペット係合突起１７が設けられている。カーペット係合突起１７は、フロアカーペット３（図１３）の端末部に形成された取付穴に挿入されて、フロアカーペット３の端末部に係合してフロアカーペットを保持する。突起１７は、フロアカーペットの係合突起として機能するとともに、後述のワイヤハーネス保持部１８の第１弓状片１９を係止する機能を有し、そのために、突起１７の先端にはワイヤハーネス保持部１８の保持部係止手段の一方となる係止爪２１が形成されている。更に、カーペット係合突起１７には、第１ロッカモール係止部２２（後述）のＵ字形状の底部を形成する第１ストッパ２３が形成されている。第１ストッパ２３は、第１弓状片１９の先端がカーペット係合突起に係止するとき、ロッカモール係止脚の先端の下限位置を直接定める。また、カーペット係合突起１７には、第１ロッカモール係止部２２の下方への移動を制限する第２ストッパ２５が形成されている。第２ストッパ２５はカーペット係合突起１７の両側面に設けられて対を成している。第２ストッパ２５は、第１弓状片１９の先端がカーペット係合突起１７の係止爪２１に係止するとき、第１ロッカモール係止部２２が下方へ移動するのを制限する。これによって、ロッカモール係止脚の先端の下限位置を間接的に定める。第１ストッパ２３及び第２ストッパ２５は、ロッカモール６を留め具１に取付けるとき、ロッカモールの支持脚を過度に押込むのを防止できる。
【００１２】
留め具１には、基体７に対して接離方向へ揺動可能に連結されて、ワイヤハーネス５を保持するワイヤハーネス保持部１８が設けられている。更に詳細には、ワイヤハーネス保持部１８は、基体７の直立部１０の先端に基体７の接面部９に対して接離方向へ揺動可能に連結されている。ワイヤハーネス保持部１８は、直立部１０への連結部となる直立部１０の先端から基体７の接面部９側に近づくように湾曲して先端に形成された保持部係止手段として係止凹部２６に延びる第１弓状片１９と、連結部である直立部１０から基体７の接面部９から離れるように湾曲して延び、第１弓状片１９と協働してワイヤハーネス５を包持する環状体を形成する第２弓状片２７とから形成される。図８にも図示のように、第１弓状片１９の先端と第２弓状片２７の先端とには、ワイヤハーネス５を包持する環状体を維持するように、相互に係止する第１係止部２９及び第２係止部３０が設けられる。これによって、ワイヤハーネス５を包持する環状体が確実に維持されてワイヤハーネスを確実に保持することができ、ワイヤハーネスが取付けられたロッカパネル面から躍り出る惧れが無くなる。
【００１３】
また、図１０にも図示のように、第１弓状片１９は基体７の連結部である直立部１０に連結する根元部分が第１薄肉ヒンジ３１に形成され、第２弓状片２７は直立部１０に連結する根元部分が第２薄肉ヒンジ３３に形成されている。第１薄肉ヒンジ３１と第２薄肉ヒンジ３３とは、図２、図４、図７、図８に図示のように、留め具１の幅方向に重ならないように形成されて、成形型の形状を簡単にしている。第１弓状片１９は、基体７の接面部９との間にフロアカーペットの端末部分を挟持するように第１ヒンジ３１の回りに揺動可能であり、第２弓状片２７は、第１弓状片１９に収容されたワイヤハーネスを包持するように、第２ヒンジ３３の回りに揺動可能である。これによって、フロアカーペットの保持及びワイヤハーネスの保持の作業が大きな力を必要とせずに容易にできる。更に、第１弓状片１９の先端には、ワイヤハーネス保持部１８を基体に係止するための保持部係止手段の一つである係止凹部２６が設けられ、係止凹部２６に係止する相手側の保持部係止手段は、基体７に形成されたカーペット係合突起１７に係止爪２１として形成されている。このように保持部係止手段が、ワイヤハーネス保持部の第１弓状片１９と基体のカーペット係合突起１７に形成されるので、留め具のサイズを大きくすることなく、コンパクトなままに保つことができる。
【００１４】
ロッカモール６の内側には、相互に離間して、第１支持脚３４及び第２支持脚３５（図１４参照）が形成される。図１〜図５に図示のように、留め具１には、ロッカモール６内側の第１支持脚３４及び第２支持脚３５を受入れて係止する第１ロッカモール係止部２２及び第２ロッカモール係止部３７が形成されている。第１ロッカモール係止部２２は、ワイヤハーネス保持部１８の第１弓状片１９の保持部係止手段である係止凹部１９に隣接して設けられている。第２ロッカモール係止部３７は、基体７の直立部１０（すなわちワイヤハーネス保持部１８への連結部）に隣接して設けられている。両ロッカモール係止部２２及び３７は、第１支持脚３４及び第２支持脚３５を受入れ易くするように入口の手前においてテーパ状に開放し、受入れ後は抜けにくくするように、入口部で絞られたＵ字形状に形成されている。
【００１５】
第２ロッカモール係止部３７は、基体７の直立部１０に直接形成されていて、直立部１０及び背面リブ１３によって高い剛性を有する。従って、第２ロッカモール係止部３７は、ロッカモール６の第２支持脚３５が挿入されると不動に受入れて係止する。他方、第１ロッカモール係止部２２は、第１弓状片１９の先端に形成されているので、基体７のカーペット係合突起１７の係止爪２１に第１弓状片１９の係止凹部２６が係止した状態でも、第１ロッカモール係止部２２は、ロッカモール６の第１支持脚３４を挿入によって下方に移動し、過剰な力で挿入すると第１弓状片１９を損傷する惧れがある。これに対処して、基体７のカーペット係合突起１７には、第１ロッカモール係止部２２のＵ字形状の底部を形成する第１ストッパ２３が形成されている。第１ストッパ２３は、第１弓状片１９の先端の係止凹部２６がカーペット係合突起１７の係止爪２１に係止したとき、ロッカモール６の第１係止脚３４の先端の下限位置を直接定める。また、カーペット係合突起１７には、第１ロッカモール係止部２２が下方へ移動するのを制限する一対の第２ストッパ２５が形成されている。第２ストッパ２５は、第１ロッカモール係止部２２の下方への移動を制限することによって、ロッカモール６の係止脚の先端の下限位置を間接的に定める。これらの第１ストッパ２３及び第２ストッパ２５によって、ロッカモールの支持脚の過度の押込みを防止でき、第１弓状片１９を損傷する惧れを防止できる。
【００１６】
なお、図２及び図５に図示のように、第２弓状片２７の先端には中央に切欠き３８が形成されており、他方、第１弓状片１９の先端には、切欠き３８に収容される突部３９が形成されている。第２弓状片２７が第１弓状片１９に連結されたとき、切欠き３８に突部３９が受入れられて、ワイヤハーネスが長手方向に移動しようとしても、第２弓状片２７が第１弓状片１９に対してその長手方向に移動するのが阻止され、第２弓状片２７が第１弓状片１９に連結するのを確実に維持する。また、図１及び図３に図示のように、クリップ１４には、ロッカパネルの取付穴に接する面に吸盤形状のフランジ４１が形成され、取付穴を塞いで、遮音効果と水密シール効果を奏する。
【００１７】
図１１〜図１４を参照して、留め具１を用いて、ロッカパネル２に、フロアカーペット３とワイヤハーネス５とロッカモール６を取付ける作業を説明する。先ず図１１において、留め具１は、ロッカパネル２に、錨脚型クリップ１４が取付穴４２に挿入されて取付けられる。留め具１は、基体７の接面部９がロッカパネル２に接面した状態で固定され、直立部１０がロッカパネル２から直立する。ワイヤハーネス保持部１８は、第１弓状片１９及び第２弓状片２７が開放した状態になっている。
【００１８】
次に、図１２において、フロアカーペット３が、その端末部分４３に形成された取付穴４５が基体７のカーペット係合突起１７を挿通されるように、留め具１の基体７の接面部９の上に配置される。その状態で、第１弓状片１９が第１薄肉ヒンジ３１の回りに揺動させられて、先端の係止凹部２６がカーペット係合突起１７の係止爪２１に係止される。この係止によって、第１弓状片１９の湾曲部分がフロアカーペット３の端末部分４３を基体７の接面部９に押えつける。すなわち、基体７とワイヤハーネス保持部１８の第１弓状片１９との間にフロアカーペット３の端末部分４３を挟持する。
【００１９】
その後、図１３において、ワイヤハーネス５を第１弓状片１９の上に配置し、第２弓状片２７を第２薄肉ヒンジ３３の回りに揺動させて、第２弓状片２７の先端の第２係止部３０を第１弓状片１９の先端の第１係止部２９に係止して、ワイヤハーネス５を包持する環状体を形成し、ワイヤハーネス５の保持を維持する。ワイヤハーネス５を包持する環状体が形成されて確実に維持されるので、ワイヤハーネスがロッカパネル面から躍り出る惧れが無くなる。
【００２０】
そして、図１４において、ロッカモール６が留め具１によってロッカパネル２に取付けられる。ロッカモール６の内側には、第１支持脚３４及び第２支持脚３５が相互に離間して形成されている。作業者は、ロッカモール６を持って、第１支持脚３４を第１ロッカモール係止部２２に位置合わせし、第２支持脚３５を第２ロッカモール係止部３７に位置合わせする。位置合わせ後、作業者はロッカモール６を留め具１が取付けられたロッカパネル２に押付けると、第１支持脚３４が第１ロッカモール係止部２２に係止し、第２支持脚３５が第２ロッカモール係止部３７に係止して、これによって、ロッカモール６は、ロッカパネル２の支持部４６とは関係なく、留め具１によってのみ取付けられ、その取付けは留め具１によって維持される。なお、第１ロッカモール係止部２２及び第２ロッカモール係止部３７は、ロッカモール６を相当強い力で引上げると、第１支持脚３４及び第２支持脚３５が外れるようになっていてもよく、それによって、ロッカモール６を交換したり、ワイヤハーネス５やフロアカーペット３の修理、交換に対応できる。
【００２１】
【発明の効果】
本発明の留め具によれば、第１ロッカモール係止部がワイヤハーネス保持部の保持部係止手段に隣接して設けられ、第２ロッカモール係止部が基体のワイヤハーネス保持部への連結部に隣接して設けられ、第１及び第２のロッカモール係止部が、ロッカモール内側に相互に離間して形成された支持脚を受入れて係止するので、ワイヤハーネスとフロアカーペットをロッカパネルに留めることに加え、ロッカパネルの支持部に依存せずに、ロッカモールをロッカパネルに留めることができる。従って、留め具をロッカモールの形状に合わせることによって、ロッカパネルの形状にかかわらずロッカモールを支持することができ、ロッカパネルの形状の変化ひいては車体形状の変化にかわわらず、ロッカモールを本発明の留め具によって支持することができ、留め具を標準化できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例に係る留め具の正面図である。
【図２】図１の留め具の斜め右側から見た斜視図である。
【図３】図１の留め具の背面側から見た斜視図である。
【図４】図１の留め具の背面側から別の角度で見た斜視図である。
【図５】図１の留め具の左上側から見た斜視図である。
【図６】図１の留め具の平面図である。
【図７】図６の留め具の７−７線断面図である。
【図８】図６の留め具の８−８線断面図である。
【図９】図１のクリップ部の軸部の横断面形状を示しており、（Ａ）は図１の留め具の９Ａ−９Ａ線断面図、（Ｂ）は図１の留め具の９Ｂ−９Ｂ線断面図である。
【図１０】図１のクリップの円Ｘの部分の拡大図である。
【図１１】図１のクリップをロッカパネルに取付た状態を示す図である。
【図１２】図１１のクリップによってカーペットを保持した状態を示す図である。
【図１３】図１２のクリップによってワイヤハーネスを保持した状態を示す図である。
【図１４】図１３のクリップによってロッカモールを保持した状態を示す図である。
【符号の説明】
１ 留め具
２ ロッカパネル
３ フロアカーペット
５ ワイヤハーネス
６ ロッカモール
７ 基体
９ 基体の接面部
１０ 基体の直立部（連結部）
１１、１３ リブ
１４ 錨脚型クリップ
１５ クリップの軸部
１７ カーペット係合突起
１８ ワイヤハーネス保持部
１９ 第１弓状片
２１ 係止爪（保持部係止手段）
２２ 第１ロッカモール係止部
２３ 第１ストッパ
２５ 第２ストッパ
２６ 係止凹部（他の保持部係止手段）
２７ 第２弓状片
２９ 第１係止部
３０ 第２係止部
３１ 第１薄肉ヒンジ
３３ 第２薄肉ヒンジ
３４ ロッカモールの第１支持脚
３５ ロッカモールの第２支持脚
３７ 第２ロッカモール係止部
３８ 切欠き
３９ 突部
４３ フロアカーペットの端末部分
４５ ロッカパネルの支持部
Claims (6)
- ロッカパネルへの係止手段とカーペット係合突起とを有する基体と、該基体に対して接離方向へ揺動可能に連結されワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持部と、前記基体と前記ワイヤハーネス保持部との間にフロアカーペットの端末部を挟持した状態で前記ワイヤハーネス保持部を前記基体に係止する保持部係止手段とを備えたフロアカーペット及びワイヤハーネスの留め具において、
ロッカモール内側に相互に離間して形成された支持脚を受入れて係止する第１及び第２のロッカモール係止部を有し、該第１ロッカモール係止部は、前記ワイヤハーネス保持部の前記保持部係止手段に隣接して前記ワイヤハーネス保持部に設けられ、前記第２ロッカモール係止部は、前記基体の前記ワイヤハーネス保持部への連結部に隣接して設けられたことを特徴とする留め具。 - 請求項１に記載の留め具において、前記ワイヤハーネス保持部は、前記基体への連結部から前記基体側に近づくように湾曲して前記保持部係止手段に延びる第１弓状片と、前記連結部から前記基体側から離れるように湾曲して延び、前記第１弓状片と協働して前記ワイヤハーネスを包持する環状体を形成する第２弓状片とから成り、前記第２弓状片の先端と前記第１弓状片の先端とには相互に係止する係止部が設けられていることを特徴とする留め具。
- 請求項２に記載の留め具において、前記第１弓状片の先端に前記保持部係止手段の一方が設けられ、前記基体の前記カーペット係合突起に前記保持部係止手段の他方が設けられていることを特徴とする留め具。
- 請求項３に記載の留め具において、前記第１弓状片は前記基体の連結部に連結する根元部分が第１の薄肉ヒンジに形成され、前記第２弓状片は前記基体の連結部に連結する根元部分が第２の薄肉ヒンジに形成され、前記第１弓状片は、前記基体との間に前記フロアカーペットの端末部を挟持するように前記第１ヒンジ回りに揺動可能であり、前記第２弓状片は、前記第１弓状片に収容されたワイヤハーネスを包持するように前記第２ヒンジ回りに揺動可能であることを特徴とする留め具。
- 請求項４に記載の留め具において、前記第１ロッカモール係止部は、前記第１弓状片先端に設けられて、前記ロッカモール支持脚を受入れて係止するＵ字形状に形成され、前記カーペット係合突起には、前記第１ロッカモール係止部の前記Ｕ字形状の底部を形成するストッパが形成されて、該ストッパは、前記第１弓状片の先端が前記カーペット係合突起に係止するとき、前記ロッカモール支持脚の先端の下限位置を直接定めることを特徴とする留め具。
- 請求項５に記載の留め具において、前記カーペット係合突起には、前記第１ロッカモール係止部の下方への移動を制限する第２のストッパが形成されて、該第２ストッパは、前記第１弓状片の先端が前記カーペット係合突起に係止するとき、前記第１ロッカモール係止部の下方への移動を制限することによって、前記ロッカモール支持脚の先端の下限位置を間接的に定めることを特徴とする留め具。
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