JP4029170B2 - 負特性サーミスタの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度検知や温度補償などに用いられる負特性サーミスタの製造方法及び負特性サーミスタに関し、より詳細には、負の抵抗温度特性を示す半導体磁器を得る工程が改良された負特性サーミスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、温度補償や温度検知に用いられる負特性サーミスタにおいて、抵抗偏差を±1%以下に抑制することが求められている。従来、この種の負特性サーミスタを構成する半導体磁器として、Mnと、Ti、V、Fe、Co、Ni、CuなどのMn以外の遷移金属元素と、Mg、Al、Zn及びZrのうち少なくとも1種の元素との固溶体からなるスピネル系複合酸化物が用いられてきた。
【0003】
Mnを主成分とする上記スピネル系複合酸化物の電気伝導性は、スピネル相のAサイト(四面体サイト)と、Bサイト(八面体サイト)のうち、Bサイトにおける隣接するMn3+とMn4+との間でホールがホッピングすることにより生じる。このような複合酸化物にAlが添加されていると、Alはスピネル相のBサイトに選択的に固溶する。従って、Mn3+とMn4+との間のホールの上記ホッピングが阻害される、すなわちホッピングの確率が低下する。
【0004】
よって、従来、Alの添加量を制御することにより、抵抗温度特性を連続的にかつ容易に変化させることが可能であることが知られていた。
上記の理由によりMnを主成分とし、Alを含有するスピネル系複合酸化物が広く用いられている。(特許文献1)
【0005】
【特許文献1】
特開平3−279252号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、Mnを主成分とするスピネル系複合酸化物磁器を得るにあたっては、Alを含有させるためにAl23粉末を用いることが一般的だが、Al23粉末は混合原料中で高分散化することが困難であり、そのため、焼成前の成形体段階において、Al23を高分散させることが非常に困難であった。従って、上記成形体を焼成して得られた半導体磁器では、Alがスピネル相のBサイトに均一に固溶し難く、そのため、特性ばらつきが大きくなったり、信頼性が低下したりするという問題があった。
【0007】
また、Al23粉末は、不純物としてNaをわずかに含むのが普通である。そのため、Al23を出発原料として用いて得られた上記半導体磁器では、高温高湿度環境下においてNaがイオン化してマイグレーションを起こし、特性変化が大きくなるという問題があった。
【0008】
さらに、Al23は難焼結性であるため、Al23を含む上記成形体を焼成して半導体磁器を得ようとした場合、焼成温度が高くならざるを得なかった。加えて、密度が十分に高まらず、緻密な半導体磁器を得ることができなかった。
【0009】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、Mnを主成分とし、Alを含有するスピネル系複合酸化物からなる半導体磁器を用いた負特性サーミスタの製造方法であって、比較的低温で焼成することにより半導体磁器が得られ、かつ得られた負特性サーミスタの高温下及び高湿度環境下における特性の経時による変化が少ない負特性サーミスタの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の広い局面によれば、平均一次粒子径が0.05〜0.3μmであり、比表面積が10〜80m2/gであるAl23粉末と、Mn化合物粉末とを含む組成物を用意する工程と、前記組成物を焼成し、Mn及びAlを含むスピネル系複合酸化物よりなる半導体磁器を得る工程と、前記半導体磁器の外表面に複数の外部電極を形成する工程とを備える、負特性サーミスタの製造方法が提供される。
【0011】
本発明の製造方法のある特定の局面では、前記Al23粉末が、不純物として、NaをNa2Oに換算して0.01重量%以下の割合で含む。この場合には、不純物としてのNaの含有割合が低くなるため、高温下及び高湿度下における特性の経時変化をより一層小さくすることができる。
【0012】
本発明に係る負特性サーミスタの製造方法は、様々な構造の負特性サーミスタに用いることができるが、本発明のある特定の局面では、上記半導体磁器を得る工程において、複数の内部電極が上記組成物からなる層を介して重なり合っている積層型の成形体が得られ、該成形体を焼成することにより積層型の半導体磁器が得られる。従って、本発明に従って、積層型の負特性サーミスタを提供することができる。
【0013】
以下、本発明の詳細を説明する。
上記のように、本発明の特徴は、少なくともMn及びAlを含有するスピネル系複合酸化物からなる半導体磁器を用いた負特性サーミスタの製造に際し、平均一次粒子径が0.05〜0.3μmであり、かつ比表面積が10〜80m2/gであるAl23を出発原料の一部として用いることにより、Alを配合することにある。
【0014】
なお、本発明における上記スピネル系複合酸化物半導体磁器では、Mnを主成分とし、Alを含む限り、上記のように他の元素が添加されていてもよい。従って、半導体磁器としては、Mn−Ni−Al系、Mn−Ni−Co−Al系、Mn−Ni−Cu−Al系、Mn−Ni−Fe−Al系、Mn−Co−Al系、Mn−Co−Cu−Al系、Mn−Co−Fe−Al系などの半導体磁器が挙げられる。また、上記半導体磁器は、これらの各半導体磁器1種のみから構成されていてもよく、これらの固溶体であってもよく、さらには、1種以上の半導体磁器の混晶であってもよい。
【0015】
本発明においては、その出発原料として、Mn化合物粉末をMn量に換算して10〜95mol%、Al23粉末をAl量に換算して0.05〜30mol%含有していることが好ましい。また、副成分としてNiを含んでいることが好ましく、その含有量は0〜45mol%が好ましい。さらに、副成分として、Fe,Co,Cu,Ti,V,Mg,Zn,Zrを含んでいることが好ましく、その含有量は、Feが0〜35mol%、Coが0〜65mol%、Cuが0〜25mol%、Tiが0〜10mol%、Vが0〜10mol%、Mgが0〜10mol%、Znが0〜10mol%、Zrが0〜10mol%が好ましい。これらの各成分が上述した範囲で含有されていると、Al23粉末を上述した範囲で微粒子化し、Na含有量を上述した範囲となるように低含有量としたときの効果が顕著に表れる。
【0016】
本発明では、上記のように特定の平均粒子径及び特定の比表面積のAl23粉末を出発原料の一部として用いることにより、焼成前の成形体においてAlが高分散され得る。さらに、焼結体中において、Alがスピネル相のBサイトに均一に固溶する。従って、従来の負特性サーミスタに比べて、電気的特性の初期ばらつきが小さくなり、より熱履歴変化を小さくすることができる。また、高湿度環境下及び高温環境下における特性変化も小さくなり、信頼性に優れた負特性サーミスタを得ることができる。
【0017】
さらに、Al23粉末の粒径が小さく、かつ比表面積が大きいため、Al23粉末の焼結性が高められる。従って、上記Al23が分散されている成形体は、1100〜1200℃の低温において焼結されることができ、しかも高密度な焼結体を得ることが可能となる。なお、1200℃以上の温度で焼成した場合であっても、従来のMnを主成分とするスピネル系複合酸化物半導体磁器に比べて空隙率を大幅に少なくすることができ、密度を高めることができる。
【0018】
Al23粉末の平均一次粒子径が0.3μmよりも大きい場合には、あるいは比表面積が10m2/gよりも小さい場合には、焼成前の成形体中でAlが偏析する。また、例え、平均一次粒子径が0.3μm以下であっても、比表面積が10m2/gよりも小さい場合は、Al23の粒度分布が広くなり、粗粒が存在することとなる。この場合も、やはり焼成前の成形体中においてAlの偏析が生じる。
【0019】
他方、平均一次粒子径が0.05μmよりも小さい場合、あるいは比表面積が80m2/gよりも大きい場合には、一次凝集が強くなり、焼成前の成形体中においてAlが偏析し、同様の問題が生じる。
【0020】
本発明では、先ず、上記Al23粉末と、Mn化合物粉末とを含む組成物が用意される。この場合、Mn化合物としては、Mn34などのMn酸化物、あるいはMn酸化物以外の他のMn含有化合物を用いることができる。
【0021】
なお、上記Al23粉末を構成するAl23は、α−Al23あるいはγ−Al23のいずれを用いてもよい。
上記出発原料としての組成物中には、Al23粉末及びMn化合物粉末以外に、他の材料が添加されてもよい。すなわち、前述したように、半導体磁器が、Mn以外の遷移金属元素や、Mg、Zn、Zrなどを含む場合、これらの化合物粉末を上記組成物に添加すればよい。またこれらの元素を添加する場合、これらの元素の酸化物が好適に用いられるが、酸化物以外の化合物を用いてもよい。
【0022】
なお、Al23粉末は、通常、不純物としてNaを含んでいる。この場合、Na含有割合が、Na2Oに換算して0.01重量%以下である場合には、後述の実験例から明らかなように、高湿度下におけるNaのイオン下によるマイグレーションを抑制することができる。従って、負特性サーミスタの信頼性を高めることができる。
【0023】
次に、上記組成物が焼成され、半導体磁器が得られる。焼成温度は1100〜1200℃の比較的低い温度とすることができる。また、前述したように、1200℃以上の温度でも焼成を行ってもよい。
【0024】
本発明において、半導体磁器の外表面に複数の外部電極を形成する工程については、導電ペースト・焼付け、蒸着またはスパッタリングなどの適宜の方法を用いて行ない得る。
【0025】
本発明に係る負特性サーミスタは、本発明に係る製造方法により得られるが、その構造は特に限定されない。すなわち、半導体磁器の外表面に複数の外部電極が形成されているサーミスタであってもよく、あるいは複数の内部電極が半導体磁器内に配置されている積層型のサーミスタであってもよい。積層型のサーミスタを得る場合には、上記半導体磁器を得る工程において、複数の内部電極が上記組成物からなる層を介して積層されている積層体を用意し、該積層体を焼成することにより、複数の内部電極が積層されている積層型の半導体磁器を形成すればよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る負特性サーミスタの製造方法の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0027】
(実施例1)
Mn34粉末、Al23粉末、NiO粉末を、Mn、Al及びNiの原子比率として、0.75:0.05:0.20の割合となるように秤量し、ボールミルにより24時間湿式混合した。なお、Al23粉末としては、平均一次粒子径と比表面積とが異なる表1に示した複数種のAl23粉末を用い、表1の試料番号1〜9の各組成物を用意した。
【0028】
但し、各Al23粉末に不純物として含まれているNa量は、Na2Oに換算して0.005重量%含有率となるように予め調整しておいた。
試料番号1〜9の各組成物を、900℃で2時間仮焼し、ボールミルにより再度粉砕した。次に、粉砕された仮焼原料に対し、ポリカルボン酸系分散剤を3重量%混合し、24時間混合した後、アクリル系樹脂からなる有機バインダーを25重量%、可塑材としてポリオキシエチレンを0.75重量%添加し、15時間混合した。このようにして、スラリーを得た。得られたスラリーをドクターブレード法により成形し、厚み40μmのセラミックグリーンシートを得た。
【0029】
上記セラミックグリーンシートを矩形形状に切断した後、Pd電極ペーストをスクリーン印刷し、内部電極パターンを形成した。内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層し、上下に無地の上記セラミックグリーンシートを積層し、加圧し、マザーの積層体を得た。
【0030】
得られたマザーの積層体を厚み方向に切断し、個々のサーミスタ単位の積層体を得た。上記積層体を大気中にて加熱し、バインダー処理した後、大気中で1100℃で2時間維持するようにして焼成を行った。このようにして、図1に示す焼結体1を得た。焼結体1では、複数の内部電極2,3が半導体セラミック層1aを介して重なり合うように配置されている。すなわち、積層型の焼結体1が構成されている。
【0031】
内部電極2,3は、それぞれ、焼結体1の端面1b,1cに引き出されている。焼結体1の端面1b,1c上に、Agペーストを塗布し、焼付けることにより、外部電極4,5を形成し、それによって図1に示されている、積層型の負特性サーミスタ6を得た。
【0032】
上記のようにして得られた試料番号1〜9の各負特性サーミスタを、それぞれ100個ランダムにサンプリングした。サンプリングされた100個の負特性サーミスタについて、温度25℃における抵抗値(R25)と、50℃における抵抗値(R50)とを測定し、B定数(B25/50)を求めた。なお、B定数は25℃における抵抗値R25と50℃における抵抗値R50とから下記の式(1)により求めた。さらに、B定数B25/50の各ばらつき3CV(%)を式(2)により求めた。
【0033】
B定数(K)=[InR25(Ω)−InR50(Ω)]/(1/298.15
−1/323.15) ・・・(1)
3CV(%)=300×(標準偏差)/(平均値) ・・・(2)
次に、125℃の恒温槽の中に1000時間、負特性サーミスタを放置し、自然冷却により冷却し、25℃における抵抗値を求めた。上記125℃に放置する前の25℃における抵抗値R25に対する放置前後の25℃における抵抗値の変化ΔR25の割合、ΔR25/R25を計算した。
【0034】
また、上記試料番号1〜9の負特性サーミスタを、鏡面研磨し、研磨表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、画像解析により空隙の面積の合計を求め、空隙率を計算した。また、試料番号1〜9の比抵抗値ρ(25)の平均値、及び比抵抗値のばらつき3CVを測定した。結果を下記の表1に示す。なお、表1において、*が付された試料は本発明の範囲外の試料であることを示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004029170
【0036】
表1から明らかなように、本発明の範囲に属する試料番号3〜7で得られた各負特性サーミスタでは、Al23粉末の平均一次粒子径が0.05〜0.3μmの範囲にあり、かつ比表面積が10〜80m2/gの範囲にあるため、初期特性のばらつきが小さく、高温放置試験前後の抵抗値変化率ΔR25/R25が1%未満であり、高温下における経時による特性の変化が非常に小さいことがわかる。また、空隙率も、試料番号1,2,8,9の負特性サーミスタに比べて、試料番号3〜7の負特性サーミスタでは低いことがわかる。
【0037】
(実施例2)
実施例1と同様にして、但し、Al23粉末の平均一次粒子径及び比表面積並びに焼成温度を下記の表2に示すように変更したことを除いては、実施例1と同様にして表2に示す試料番号10〜19の各負特性サーミスタを得た。
【0038】
このようにして得られた各負特性サーミスタについて、実施例1の場合と同様にして空隙率を求めた。
なお、表2における試料番号10は、表1の試料番号6と同じである。
【0039】
【表2】
Figure 0004029170
【0040】
表2から明らかなように、試料番号10,12,14,16,18では、Al23粉末として、本発明の範囲に属する平均一次粒子径及び比表面積を有するものを用いているため、焼成温度が1100℃、1150℃、1200℃、1250℃及び1300℃のいずれにおいても、Al23粉末の平均一次粒子径及び比表面積が本発明の範囲外である試料番号11,13,15,17,19に比べて、空隙率を著しく低くし得ることがわかる。すなわち、Al23の焼結性が高められているため、本発明によれば高温で焼成した場合であっても、焼結密度の高い半導体磁器の得られることがわかる。
【0041】
(実施例3)
Mn34、Al23、TiO2、VO2、Fe23、Co34、NiO、CuO、MgCO3、ZnO及びZrO2の各粉末を、表3に示す原子比率となるように秤量し、ボールミルで24時間湿式混合し、試料番号20〜43の各組成物を得た。
【0042】
なお、試料番号20〜31で用いられているAl23粉末の平均一次粒子径は0.1μmであり、比表面積は40m2/gである。また、これらの試料番号の試料では、Al23中のNa量は、Na2Oに換算して0.001重量%となるように予め調整しておいた。
【0043】
他方、試料番号32〜43では、Al23粉末の平均一次粒子径は0.5μmであり、比表面積は6m2/gとした。また、Al23粉末中のNa量は、全てNa2Oに換算して0.005重量%となるように調整しておいた。
【0044】
上記のようにして用意された試料番号20〜43の各組成物を用いたことを除いては、実施例1と同様にして負特性サーミスタを得、評価した。結果を下記の表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004029170
【0046】
表3から明らかなように、本発明の範囲外に入る試料番号32〜43に比べて、試料番号20〜31では、初期特性のばらつきが小さく、かつ高温放置試験前後の抵抗値変化率ΔR25/R25が1%未満と小さいことがわかる。また、空隙率についても、試料番号32〜43の負特性サーミスタの場合に比べて、試料番号20〜31では1/3〜1/20まで低くなり、従って焼結体の緻密性が高められていることがわかる。
【0047】
(実施例4)
Mn34、NiO、Co34、Al23、Fe23及びCuOを、Mn、Ni、Al、Fe、Co及びCuが下記の割合となるように秤量し、ボールミルで24時間湿式混合し、試料番号44〜75の各組成物を得た。
【0048】
なお、Al23粉末の平均一次粒子径は0.1μm、比表面積30m2/gとした。また、Al23粉末中に含まれるNa量は、Al23に対して下記の表4に示すように重量%となるよう、調整しておいた。
【0049】
上記各試料番号44〜75の組成物を用いたことを除いては、実施例1と同様にして負特性サーミスタを得、評価した。
もっとも、実施例4では、評価に際して、125℃の恒温槽に代えて、85℃及び相対湿度85%の恒温恒湿槽中に1000時間、負特性サーミスタを放置し、放置前後の温度25℃における抵抗値の変化率ΔR25/R25、比抵抗ρのばらつき、及び空隙率を求めた。結果を下記の表4に示す。
【0050】
【表4】
Figure 0004029170
【0051】
表4から明らかなように、Al23粉末のNa含有量が、Na2Oに換算して0.01重量%以下である、試料番号44,45,48,49,52,53,56,57,60,61,64,65,68,69,72,73では、対応する残りの試料番号の組成物を用いた場合に比べて、初期特性のばらつきが一層小さく、湿中放置試験前後の抵抗値変化率ΔR25/R25が1%未満と小さく、非常に安定していることがわかる。もっとも、Al23粉末の平均一次粒子径及び比表面積が本発明の範囲に入るため、試料番号46,47,50,51,54,55,58,59,62,63,66,67,70,71,74,75においても25℃の抵抗値のばらつき3CVは小さく、空隙率も低いことがわかる。
【0052】
(実施例5)
Mn34、Al23、TiO2、VO2、Cr23、Fe23、Co34、NiO、CuO、MgCO3、ZnO及びZrO2の各粉末を、下記の表5に示す原子比率となるように秤量し、ボールミルを用いて24時間湿式混合し、試料番号76〜101の各組成物を得た。
【0053】
なお、Al23粉末の平均一次粒子径は0.2μm、比表面積は25m2/gとした。また、試料番号76〜88まではAl23粉末中のNa含有量は、0.005重量%となるように調整し、試料番号89〜101まではAl23粉末中のNa含有量は0.1重量%となるようにし、以下、実施例1と同様にして、負特性サーミスタを得た。上記のようにして得られた負特性サーミスタの評価を実施例4と同様にして行った。結果を下記の表5に示す。
【0054】
【表5】
Figure 0004029170
【0055】
表5から明らかなように、Al23粉末中のNa含有量がNa2Oに換算して0.01重量%より低い場合には、いずれの組成系の試料においても初期特性のはらつきが小さく、かつ湿中放置試験前後の抵抗値変化率(ΔR25/R25)が1%未満であり、非常に安定していることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る負特性サーミスタの製造方法では、平均一次粒子径が0.05〜0.3μm、かつ比表面積が10〜80m2/gの範囲にあるAl23粉末を出発原料に添加することにより、焼成前の成形体においてAlが高分散し、焼成後の焼結体においてAlがスピネル相に均一に固溶する。従って、Mnを主成分とするスピネル系複合酸化物からなる半導体磁器を用いた負特性サーミスタの製造に際し、初期特性のばらつきを低減でき、良品率を高めることができる。また、比較的低温で焼成することができるため、負特性サーミスタのコストを低減することができるとともに、電極材料の選択範囲を広げることができ、さらに熱履歴変化を小さくすることができる。さらに、Alが均一に分散するため、焼結性が高められ、より高密度な焼結体を得ることができる。
【0057】
さらに、本発明において、Al23粉末中のNa含有量を0.01重量%以下とした場合には、高湿度環境下におかれた場合においても、Naのイオン化によるマイグレーションが生じ難いため、高湿度環境下における経時による特性の変化が少ない負特性サーミスタを提供することができる。これらの効果によって本発明によれば、高温中及び高湿中における抵抗の変化率を1%以下にでき、かつ、空隙率を本発明の範囲外のものと比較して1/3〜1/20程度まで低下させ、高密度化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な実施例で得られる負特性サーミスタの構造を示す断面図。
【符号の説明】
1…焼結体
1a…半導体セラミック層
2,3…内部電極
4,5…外部電極
6…負特性サーミスタ

Claims (4)

  1. 平均一次粒子径が0.05〜0.3μmであり、比表面積が10〜80m2/gであるAl23粉末と、Mn化合物粉末とを含む組成物を用意する工程と、
    前記組成物を焼成し、Mn及びAlを含むスピネル系複合酸化物よりなる半導体磁器を得る工程と、
    前記半導体磁器の外表面に複数の外部電極を形成する工程とを備える、負特性サーミスタの製造方法。
  2. 前記Al23粉末が、不純物として、NaをNa2Oに換算して0.01重量%以下の割合で含む、請求項1に記載の負特性サーミスタの製造方法。
  3. 前記半導体磁器を得る工程において、複数の内部電極が前記組成物からなる層を介して積層されている積層体を用意し、該積層体を焼成することにより、複数の内部電極が積層されている積層型の半導体磁器が得られる、請求項1または2に記載の負特性サーミスタの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの製造方法により得られた負特性サーミスタ。
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