JP4020417B2 - 筒型マウント用円筒金具とその製造方法およびかかる円筒金具を用いた筒型マウント - Google Patents

筒型マウント用円筒金具とその製造方法およびかかる円筒金具を用いた筒型マウント Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、例えば自動車用のエンジンマウントやキャブマウント,サスペンションブッシュなどとして用いられる筒型マウントに関連する技術に係り、特に、板金具によって形成されて筒型マウントに用いられる新規な構造の円筒金具と、かかる円筒金具の製造方法、更にかかる円筒金具を用いた流体封入式筒型マウントに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振装置の一種として、筒型マウントが知られており、例えば自動車用のエンジンマウントなどとして用いられている。
【0003】
ところで、かかる筒型マウントでは、例えば非圧縮性流体が封入された流体室の形成等の目的で、窓部が開口形成された円筒金具が用いられるが、金属パイプ材で形成した円筒金具を採用すると材料コストが高いという問題があった。また、金属パイプ材に窓部を打抜加工することが技術的に難しく、窓部形成に際して金属パイプ材の真円度を維持することが難しいことに加えて、特に大きな窓部は複数部位に分けて打ち抜く必要があるために、作業が面倒であると共に、打抜部位の境界部分に鋭利なエッジ状の段差が発生してゴム弾性体に亀裂が発生し易くなるおそれもあった。
【0004】
そこで、特開平5−177348号公報には、平板形状の板金具に窓部を打抜形成した後に、かかる板金具を円筒形状に曲げ加工して湾曲板金具とし、この湾曲板金具の周方向両端部を突き合わせてTIG溶接することによって、筒型マウント用の円筒金具を得る技術が開示されている。
【0005】
ところが、湾曲板金具の周方向両端部を突き合わせてTIG溶接すると、得られた円筒金具の溶接部位において、内周側または外周側に突出する突出部や、引け状の窪みが発生し易く、そのような突出部や窪みがシール面に位置せしめられることによって、要求される流体密性を安定して確保することが困難になるという問題があった。
【0006】
なお、かかる問題に対処するために、溶接後に、溶接部位の表面に対して切削や研磨を施して平滑面とすることも考えられるが、そのような後処理には、多くの労力と時間が必要となり、製造コストも高くなることから、有効な方策ではない。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、優れた生産性をもって且つ高精度に製造することが出来ると共に、シール面を構成する内周面または外周面が平滑面とされる、窓部を備えた新規な構造の筒型マウント用円筒金具と、その製造方法、およびかかる円筒金具を採用した新規な構造の流体封入式筒型マウントを提供することにある。
【0008】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0009】
すなわち、筒型マウント用円筒金具に関する本発明の特徴とするところは、平板形状の板金具を曲げ加工した湾曲板金具の少なくとも一つを周方向両端部で突き合わせて溶接することによって円筒形状とされた、少なくとも一つの窓部を備えた筒型マウント用円筒金具であって、前記溶接部位における一方の面側に溶接後における該溶接部位への板厚方向のプレス加工によりプレス凹部設けられており、該溶接部位における他方の面側平滑化されていることにある。
【0010】
このような本発明に従う構造とされた円筒金具においては、パイプ金具よりも安価な板金具を用いて低コストで製造することが出来ると共に、溶接部位がプレス加工で平滑化されていることから、溶接時における突出部や窪みの発生が問題となることもない。それ故、例えば、かかる円筒金具が、流体封入式筒型マウントにおいてシール面を構成する場合でも、良好なるシール性を得ることが出来るのである。
【0011】
そこにおいて、本発明に従う構造とされた円筒金具にあっては、前記プレス凹部を、軸方向両端部分にそれぞれ離隔して設けることが可能である。このように、軸方向両端部分だけをプレス加工することにより、プレス加工による薄肉化に伴って円筒金具の軸方向両側に突出せしめられる塑性変形量が軽減されることから、円筒金具の軸方向の寸法精度が向上される。また、溶接部位の軸方向両端部分だけをプレス加工することとすれば、円筒金具の軸方向中間部分において、例えば所定幅で周方向に延びる開口窓や周方向に延びる凹溝等を形成することが容易となり、設計自由度が向上される。
【0012】
また、本発明に従う構造とされた円筒金具においては、軸方向に延びる溶接部位を、軸方向両端部分だけでなく、軸方向の全長に亘って連続した領域でプレス加工して、プレス凹部を円筒金具の軸方向全長に亘って形成することも可能であり、それによって、円筒金具における溶接部位を、軸方向全長に亘って平滑化することが出来る。
【0013】
さらに、本発明に従う構造とされた円筒金具において、プレス凹部における周方向の幅寸法は、2〜10mmとすることが望ましい。幅寸法が2mmより小さいと、溶接部位を正確にプレス加工することが難しくなり、10mmより大きいと、プレス加工による薄肉化に伴って円筒金具の軸方向両側に突出せしめられる塑性変形量が大きくなって、円筒金具の軸方向の寸法精度が低下してしまうおそれがあるからである。
【0014】
また、本発明に従う構造とされた円筒金具において、プレス凹部における深さ寸法は、0.2〜1mmとすることが望ましい。深さ寸法が0.2mmより小さいと、プレス加工による溶接部位の表面平滑化の効果を安定して得ることが難しくなり、1mmより大きいと、円筒金具に対してゴム弾性体の接着処理などをする際にに、影となって未処理部分が発生するおそれ等があるからである。
【0015】
また、筒型マウント用円筒金具の製造方法に関する本発明の特徴とするところは、(a)打抜加工で窓部を形成して平板形状の板金具を得る工程と、(b)該板金具を曲げ加工して湾曲板金具を得る工程と、(c)該湾曲板金具の少なくとも一つを周方向で突き合わせて溶接することにより円筒形状の溶接管体を得る工程と、(d)該溶接管体に対して、前記溶接の後にその内周面と外周面の一方の面を成形型の湾曲支持面で支持せしめて、他方の面における溶接部位にポンチ型を押圧して板厚方向にプレス加工する工程とを、含む筒型マウント用円筒金具の製造方法にある。
【0016】
このような本発明方法に従えば、上述の如き本発明に従う構造とされた筒型マウント用円筒金具を、安価に且つ容易に製造することが出来るのであり、特に、切削や研磨加工に比して、容易且つ速やかに施工することの出来るプレス加工によって、溶接部位を平滑化することが出来ることから、優れた製作性とコスト性を得ることが可能となる。
【0017】
さらに、本発明方法において湾曲板金具の溶接に採用される溶接手法としては、従来から公知の各種の溶接法が適宜に採用され得るが、炭酸ガス溶接やTIG溶接,プラズマ溶接等の、基材乃至は母材を溶融して接合せしめる融接法による溶接法が望ましい。また、融接法としては、プラズマ溶接の他に、消耗電極式或いは非消耗電極式のアーク溶接や、ガス溶接,エレクトロスラグ溶接,テルミット溶接,エレクトロガス溶接,電子ビーム溶接,レーザ溶接などがある。更にまた、炭酸ガス溶接は、消耗電極式であり、その他に被覆アース溶接,ノンガスアーク溶接,MIG溶接,サブマージアーク溶接などがある。非消耗電極式としては、TIG溶接の他に、炭素アーク溶接などがある。
【0018】
また、このような本発明方法では、溶接管体の溶接部位において、成形型の湾曲支持面で支持せしめる方の面側に引け状の窪みを形成することが望ましい。このような窪みを形成することにより、窪みと反対側の面をポンチ型で押圧することによる、かかる窪みが形成された側の面の平滑化が一層有利に実現可能となる。
【0019】
なお、溶接管体の溶接部位に窪みを形成するには、例えば、湾曲金具の突合せ部位を予め開先状にカットしておくことも可能であるが、溶接手法としてレーザ溶接や電子ビーム溶接などの採用によって、溶接と同時に形成することが可能となる。
【0020】
また、本発明方法においては、円筒形状に曲げ加工した単一の湾曲板金具の周方向両端部分を相互に溶接することにより溶接管体とする他、例えば半円筒形状に曲げ加工した二つの湾曲板金具を、周方向両端部同士を相互に突き合わせて溶接することにより、全体として円筒形状の溶接管体を得ることも可能である。
【0021】
さらに、上述の如き本発明に従う構造とされた筒型マウント用円筒金具を用いた筒型マウントの特徴とするところは、互いに径方向に離隔配置せしめた軸金具と中間筒金具を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該中間筒金具に外筒金具を外挿して、シールゴム層を挟んで外嵌固定することにより、該本体ゴム弾性体の外周面に開口して形成されたポケット部を流体密に覆蓋せしめて非圧縮性流体が封入された流体室を形成した流体封入式筒型マウントにおいて、前記中間筒金具と前記外筒金具の少なくとも一方を、上述の如き本発明に従う構造とされた円筒金具で構成すると共に、該円筒金具において平滑化された面を、前記シールゴム層側に位置せしめたことを、特徴とする。
【0022】
このような本発明に従う構造とされた流体封入式筒型マウントにおいては、中間筒金具と外筒金具の少なくとも一方が、プレス曲げ加工で形成された安価な円筒金具で構成されることから製造コストが小さくて済む。しかも、かかる円筒金具におけるシールゴム層側の面は、プレス加工で平滑化されていることから、良好なる流体のシール性を安定して得ることが出来る。なお、中間筒金具と外筒金具は、何れも、軸方向両端部分において重ね合わせ面間のシール性が確保されていれば、全体として封入流体のシール性が確保され得ることから、中間筒金具における溶接部位を、軸方向両端部分だけでプレス加工したものを中間筒金具及び/又は外筒金具としても採用可能である。また、中間筒金具や外筒金具における溶接部位は、窓部が形成されていない部分と、窓部が形成された部分の、何れにも設定可能である。
【0023】
また、かかる流体封入式筒型マウントにおいては、中間筒金具を、本発明に従う構造とされた円筒金具で構成すると共に、外筒金具の内周面にシールゴム層を被着形成した構造が、有利に採用される。このような構造に従えば、軸金具と中間筒金具を備えた本体ゴム弾性体を一体加硫成形品として成形した後、中間筒金具に絞り加工を施して縮径し、本体ゴム弾性体に予圧縮を及ぼすことによって耐久性の向上を図ることが容易となる。
【0024】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0025】
先ず、図1〜2には、本発明の一実施形態としての自動車のサスペンション等に用いられる防振ブッシュ10が、示されている。この防振ブッシュ10は、互いに径方向に離隔配置された軸部材としての内筒金具12と、中間筒金具としての金属スリーブ14が本体ゴム弾性体16で連結されていると共に、外筒金具18が外挿されて中間筒金具14に嵌着固定されている。そして、かかる防振ブッシュ10は、内筒金具12と外筒金具18が、防振連結される各一方の部材に取り付けられることにより、それら防振連結される部材間に介装されるようになっている。
【0026】
より詳細には、内筒金具12は、ストレートな小径円筒形状を有しており、略円環形状を有する合成樹脂製のストッパブロック20が外嵌されて、軸方向中間部分に固着されている。そして、このストッパブロック20により、内筒金具12から軸直角方向両側にそれぞれ突出する一対のストッパ部22,22が形成されている。
【0027】
また、金属スリーブ14は、内筒金具12よりも大径のストレートな大径円筒形状を有しており、内筒金具12よりも僅かに短い軸方向長さとされている。そして、この金属スリーブ14は、内筒金具の径方向外方に離間して、内筒金具12と同一中心軸上に配設されている。なお、金属スリーブ14には、径方向一方向(図2中の上下方向)で対向位置する部分に、略一定の軸方向幅で周方向に一周弱の長さで延びる窓部としての一対の開口窓部24,24が、形成されている。また、これらの窓部24,24の周方向端部間には、金属スリーブ14の軸方向中間部分に位置して小径部26が形成されており、この小径部26によって、窓部24,24の周方向端部間に跨がって周方向に連続して延びる凹溝28,28が形成されている。
【0028】
更にまた、本体ゴム弾性体16は、全体として厚肉の円筒形状を有しており、内筒金具12と金属スリーブ14の径方向対向面間に配設されて、その内周面が内筒金具12に加硫接着されていると共に、外周面が金属スリーブ14に加硫接着されている。即ち、図3に示されているように、本体ゴム弾性体16は、内筒金具12および金属スリーブ14を備えた一体加硫成形品30として形成されており、かかる一体加硫成形品30の外周面において、金属スリーブ14の外周面が実質的に直接に露呈されている。また、本体ゴム弾性体16には、径方向一方向で対向位置する部分において、それぞれ外周面に開口する一対のポケット部32,32が形成されており、これらのポケット部32,32が、金属スリーブ14の開口窓部24,24を通じて、それぞれ外周面に開口せしめられている。なお、ポケット部32,32の各底部には、ストッパ部22が、ポケット部32内で径方向外方に突出して位置せしめられている。
【0029】
また、一体加硫成形品30には、図1〜2に示されているように、一対のオリフィス金具34,34が組み付けられている。かかるオリフィス金具34は、略半円筒形状を有していると共に、周方向の一方の端部から他方の端部近くまで直線的に延びる周溝36が外周面に開口して形成されている。そして、一対のオリフィス金具34,34が、一体加硫成形品30を径方向に挟んだ両側から組み付けられており、各オリフィス金具34が、金属スリーブ14の開口窓部24を周方向に跨いで延びて、各オリフィス金具34の周方向両端部分が、金属スリーブ14の凹溝28に嵌め込まれて位置決め支持されている。また、かかる組付状態下、一対のオリフィス金具34,34の周溝36,36が、周方向に一周弱の長さで連続して延びるように、周方向一方の開口端部で相互に連通されている。なお、各オリフィス金具34の周方向中央部分の内周面には、ストッパ部22に向かって突出する緩衝ゴム38が固着されており、径方向に過大な荷重が入力された際、ストッパ部22が緩衝ゴム38を挟んでオリフィス金具34に緩衝的に当接されるようになっている。
【0030】
さらに、かかる一体加硫成形品30には、外筒金具18が外挿固定されている。この外筒金具18は、図4に示されているように、金属スリーブ14よりも僅かに大径で、且つ軸方向長さが略同じとされた円筒形状を有しており、内周面には、略全面に亘って、略一定厚さのシールゴム層40が形成されて加硫接着されている。なお、シールゴム層40の内周面には、軸方向両端部近くを周方向に連続して延びる突条形態のシールリップ42が、軸方向両端部分に二条ずつ一体形成されている。
【0031】
そして、外筒金具18は、図1〜2に示されているように、一体加硫成形品30に外挿された後、八方絞り加工等で縮径されることにより、金属スリーブ14に対して嵌着固定されている。これにより、金属スリーブ14の開口窓部24,24が、外筒金具18によって流体密に覆蓋されており、以て、非圧縮性流体が封入された一対の流体室44,44が形成されている。なお、これら流体室44,44への非圧縮性流体の封入は、例えば、一体加硫成形品30への外筒金具18の組付けを非圧縮性流体中で行うこと等によって為され得る。また、金属スリーブ14と外筒金具18の重ね合わせ面間では、シールゴム層40が挟圧されており、流体室44,44の流体密性が確保されている。
【0032】
また、オリフィス金具34,34の外周面にも、外筒金具18が、シールゴム層40を介して圧接されており、以て、オリフィス金具34,34が、金属スリーブ14と外筒金具18によって固定的に支持されている。そして、かかるオリフィス金具34,34において周方向に連接された周溝36,36の周方向両端部分が、それぞれ、周溝36の底壁部に貫接された連通孔46,46を通じて、各一方の流体室44,44に対して開口、連結せしめられている。これにより、外周部分を周方向に一周弱の長さで延びて一対の流体室44,44を相互に連通することにより、それら両流体室間での非圧縮性流体の流動を許容するオリフィス通路48が形成されている。
【0033】
すなわち、このような構造とされた円筒型の防振ブッシュにおいては、流体室44,44が対向位置せしめられた軸直角方向の振動荷重が内外筒金具12,18間に入力された際、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内外筒金具12,18が軸直角方向で相対変位せしめられることにより、一対の流体室44,44間で相対的な圧力変化が生ぜしめられることとなり、以て、それら両流体室44,44間で、オリフィス通路48を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。その結果、オリフィス通路48を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて、有効な防振効果が発揮されることとなるのである。
【0034】
そこにおいて、上述の如き防振ブッシュにおいては、その金属スリーブ14が、図5に示されている如き溶接管体50によって構成されている。この溶接管体50は、以下の如き手法にて製造され得る。
【0035】
すなわち、先ず、圧延等で形成された鉄鋼等の金属素板をプレス打抜加工で適当な大きさの矩形平板に打ち抜くことによって板金具を得る。また、この板金具には、目的とする金属スリーブ14に形成される開口窓部24,24も、同時に、或いは別途、プレス打抜形成する。更に、目的とする金属スリーブ14に形成される凹溝28も、同時に、或いは別途、プレス加工によって形成する。
【0036】
その後、得られた板金具を、ロール治具等を用いて曲げ加工して、略一定の曲率で円筒形状に湾曲形成された湾曲板金具を得る。
【0037】
続いて、かかる湾曲板金具の周方向両端部を互いに突き合わせて、軸方向の少なくとも両端部分、好ましくは軸方向の全長に亘って連続して溶接することにより、図5に示されている如き円筒形状の溶接管体50を得る。なお、溶接法としては、レーザ溶接乃至は電子ビーム溶接を採用し、外周面側から溶接施工する。また、溶接する突合せ部分は、特に開先形状とする必要とない。即ち、レーザ溶接乃至は電子ビーム溶接で湾曲板金具の軸方向両端部分を突合せ溶接すると、図7に示されているように、溶接施工面である溶接管体50の外周面52に対して、溶接部位54に沿って延びる溶接溝56が発生する。
【0038】
その後、かかる溶接管体50の溶接部位54に対して、プレス押し加工を施す。即ち、図8に示されているように、目的とする金属スリーブ14の外周面形状に対応した湾曲支持面58を備えた成形支持型60を用いて、溶接管体50の外周面52を、溶接部位54を含む周方向の十分に広い範囲、例えば10mm〜半周弱の周方向長さの範囲に亘って、該成形支持型60の湾曲支持面58に対して密接させて、溶接管体50を支持せしめる。そして、かかる支持状態下で、溶接管体50の内周面62側からポンチ型64をプレス押圧することにより、溶接部位54に対して、板厚方向にプレス加工を施す。そこにおいて、ポンチ型64は、成形支持型60による外周面52の支持領域よりも小さく、且つ溶接部位54よりも大きい領域で、溶接管体50の溶接部位54を含む部分に対してプレス押圧されるだけのプレス突起66を有している。また、特に本実施形態では、溶接管体50の溶接部位54において、凹溝28の形成部位を挟んだ両側に位置せしめられる軸方向両端部分だけに対してプレス加工が施されるように、ポンチ型64におけるプレス突起66が、軸方向両側に分割形成されている。
【0039】
すなわち、このようなプレス加工を施すことによって成形された金属スリーブ14においては、図5〜6及び9に示されているように、外周面52を成形支持型60で拘束された状態下で、溶接部位54を含む領域に対して、ポンチ型64によるプレス加工が内周面62側から施されることにより、内周面62側には、ポンチ型64に対応したプレス凹部68による引け状の窪み70が形成される一方、外周面52側においては、溶接部位54に形成された溶接溝56(図7参照)が消失されて、成形支持型60の湾曲支持面58に沿った平滑な面形状が形成されることとなる。
【0040】
ここにおいて、かかる窪み70は、余り浅いと金属スリーブ14における外周面の平滑性を安定して得難く、逆に余り深くなると、本体ゴム弾性体16の成形前の接着剤等の塗布にむらが発生するおそれがあることから、窪み70の深さ:dを、0.2mm≦d≦1.0mmの範囲で設定することが望ましい。また、窪み70の周方向幅は、余り狭いと、プレス加工時におけるポンチ型64と金属スリーブ14の溶接部位54との位置合わせが難しくなり、逆に余り広いと、プレス加工に伴う軸方向への突出変形量が多くなることから、窪み70の幅:wを、2mm≦w≦10mmの範囲で設定することが望ましい。
【0041】
従って、このような金属スリーブ14を用いて製造された、前述の如き防振ブッシュ10においては、金属スリーブ14における軸方向両端部分の外周面が、周方向の全周に亘って平滑な湾曲面とされることから、外筒金具18を外挿して嵌着固定することにより、外筒金具18の内周面に形成されたシールゴム層40が、金属スリーブ14の軸方向両端部分において、周方向全周に亘って均一に密接されるのであり、局部的な凹部や凸部に起因する隙間の発生が可及的に防止され得て、優れた流体密性が達成されるのである。
【0042】
また、かかる防振ブッシュ10においては、プレス板金具を用いて金属スリーブ14を形成することが出来ることから、パイプ材を切断して得られた中間筒金具を採用する場合に比して、低コスト化が図られ得ると共に、大きな開口窓部24も一度に打抜形成することが出来るのであり、また、開口窓部24の内周縁部におけるエッジの発生も回避されることから、本体ゴム弾性体16の耐久性も確保され得る。
【0043】
更にまた、本実施形態では、一体加硫成形品30を構成する金属スリーブ14の外周面が、平滑な外周面をもって直接に露呈されていることから、一体加硫成形品30の成形後に、金属スリーブ14に八方絞り等の縮径加工を施して本体ゴム弾性体16に予圧縮を及ぼすことが出来るのであり、それによって、本体ゴム弾性体16における引張応力の発生を軽減して耐久性の向上やばね特性の調節を行うことが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって何等、限定的に解釈されるものでない。
【0045】
例えば、前記実施形態では、内外筒金具12,18が略同一中心軸上に配設された防振ブッシュ10に対して本発明を適用したものの一例を示したが、本発明が適用され得る筒型マウントの具体的構造が何等限定されるものでなく、例えば、FF型自動車用の筒型エンジンマウント等のようにマウント装着状態下に及ぼされる支持荷重や、振動荷重の入力方向などを考慮して軸金具(内筒金具)と外筒金具を偏心配置せしめた構造の筒型マウントや、周方向で離間して4つの流体室が形成された筒型マウント、或いは振動が入力される受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積可変とされた平衡室を備えた筒型マウントなど、従来から公知の各種の筒型マウントに対して、本発明は、何れも、同様に適用可能である。
【0046】
また、オリフィス通路の構造も、特に限定されるものでなく、オリフィス通路の構造によっては、金属スリーブ14に対して、凹溝28を形成することは、必ずしも必要でない。或いはまた、凹溝28によって連結されていない一対のリング形状の中間筒金具を、本体ゴム弾性体16の軸方向両端部分の外周面に被着せしめた構造の防振ブッシュにも、本発明は適用可能である。
【0047】
更にまた、前記実施形態では、本体ゴム弾性体16の外周面に被着された金属スリーブ14として、本発明を適用したものの具体例を示したが、例えば、特開平5−177348号公報等に記載されているように、窓開きの外筒金具を採用する場合には、外筒金具に対しても、本発明を同様に適用することが可能である。そして、その場合には、金属スリーブ14の外周面にシールゴム層が被着されていても、該シールゴム層の外筒金具18への圧接面において、優れた流体密性を安定して得ることが出来る。
【0048】
また、前記実施形態では、窓部24が形成されていない部分(凹溝28の形成部位)に、金属スリーブ14の溶接部位54が設定されていたが、かかる溶接部位は、窓部24を横断するようにして、窓部24の形成部位に設けることも可能である。
【0049】
加えて、前記実施形態では、自動車用の防振ブッシュに対して、本発明を適用したものの一具体例を示したが、本発明は、自動車以外の各種装置等に用いられる筒型マウントの分野において広く適用可能であることは、勿論である。
【0050】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0051】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた円筒金具においては、プレス板金具を用いた溶接管体によって、例えばシール面等を構成する内周面または外周面における平滑性を安定して得ることが出来るのであり、目的とする平滑な表面を備えた円筒金具を低コストで且つ容易に得ることが可能となる。
【0052】
また、本発明方法に従えば、例えばシール面等を構成する内周面または外周面における平滑性が高度に確保された円筒金具を、プレス板金具を用いて低コストで製造することが出来る。
【0053】
さらに、本発明に従う構造とされた流体封入式筒型マウントにおいては、中間筒金具と外筒金具の間で優れたシール性を安定して得ることが出来るのであり、部品コストを抑えつつ、封入流体の流体密性を高度に且つ安定して得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての防振ブッシュを示す縦断面図であって、図2のI−I断面に相当する図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1に示された防振ブッシュの内部を構成する一体加硫成形品を示す縦断面図である。
【図4】図1に示された防振ブッシュの外部を構成する外筒部材(外筒金具、シールゴム層)を示す縦断面図である。
【図5】本発明における一実施形態としての溶接管体を示す説明図である。
【図6】図5に示された溶接管体の特に溶接部位を示す一部縦断面図である。
【図7】図5における溶接管体のプレス加工前の溶接部位を示す一部横断面図である。
【図8】図5における溶接管体の溶接部位にプレス加工を施すための加工部材(成形支持型、ポンチ型)および溶接管体を示す概略図である。
【図9】図5における溶接管体のプレス加工後の溶接部位を示す一部横断面図である。
【符号の説明】
14 金属スリーブ
24 開口窓部
50 溶接管体
54 溶接部位
68 プレス凹部

Claims (8)

  1. 平板形状の板金具を曲げ加工した湾曲板金具の少なくとも一つを周方向両端部で突き合わせて溶接することによって円筒形状とされた、少なくとも一つの窓部を備えた筒型マウント用円筒金具であって、
    前記溶接部位における一方の面側に溶接後における該溶接部位への板厚方向のプレス加工によりプレス凹部設けられており、該溶接部位における他方の面側平滑化されていることを特徴とする筒型マウント用円筒金具。
  2. 前記プレス凹部を、軸方向両端部分にそれぞれ離隔して設けた請求項1に記載の筒型マウント用円筒金具。
  3. 前記プレス凹部における周方向の幅寸法を2〜10mmした請求項1又は2に記載の筒型マウント用円筒金具。
  4. 前記プレス凹部における深さ寸法を0.2〜1mmとした請求項1乃至3の何れかに記載の筒型マウント用円筒金具。
  5. 打抜加工で窓部を形成して平板形状の板金具を得る工程と、
    該板金具を曲げ加工して湾曲板金具を得る工程と、
    該湾曲板金具の少なくとも一つを周方向で突き合わせて溶接することにより円筒形状の溶接管体を得る工程と、
    該溶接管体に対して、前記溶接の後にその内周面と外周面の一方の面を成形型の湾曲支持面で支持せしめて、他方の面における溶接部位にポンチ型を押圧して板厚方向にプレス加工する工程と
    を、含むことを特徴とする筒型マウント用円筒金具の製造方法。
  6. 前記溶接管体の溶接部位において、前記成形型の湾曲支持面で支持せしめる方の面側に引け状の窪みを形成する請求項5に記載の筒型マウント用円筒金具の製造方法。
  7. 互いに径方向に離隔配置せしめた軸金具と中間筒金具を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該中間筒金具に外筒金具を外挿して、シールゴム層を挟んで外嵌固定することにより、該本体ゴム弾性体の外周面に開口して形成されたポケット部を流体密に覆蓋せしめて非圧縮性流体が封入された流体室を形成した流体封入式筒型マウントにおいて、
    前記中間筒金具と前記外筒金具の少なくとも一方を、請求項1乃至4の何れかに記載の円筒金具で構成すると共に、該円筒金具において平滑化された面を、前記シールゴム層側に位置せしめたことを特徴とする流体封入式筒型マウント。
  8. 前記中間筒金具を、請求項1乃至4の何れかに記載の円筒金具で構成すると共に、前記外筒金具の内周面に前記シールゴム層を被着形成した請求項7に記載の流体封入式筒型マウント。
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