JP2001317583A - 流体封入式筒型防振装置およびその製造方法 - Google Patents

流体封入式筒型防振装置およびその製造方法

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JP2001317583A
JP2001317583A JP2000136801A JP2000136801A JP2001317583A JP 2001317583 A JP2001317583 A JP 2001317583A JP 2000136801 A JP2000136801 A JP 2000136801A JP 2000136801 A JP2000136801 A JP 2000136801A JP 2001317583 A JP2001317583 A JP 2001317583A
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fluid
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JP2000136801A
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Hiromasa Nakaura
啓全 中浦
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 内筒部材と外筒部材を本体ゴム弾性体で連結
した筒形防振装置において、周方向に延びるオリフィス
通路を、安定した形状と優れた流体密性を両立させ、外
筒部材の制振効果を向上させる。 【解決手段】 弾性側壁42,42の突出先端面を外筒
部材14に圧接し、弾性側壁42,42間にオリフィス
通路56を形成した。また、各弾性側壁42の外側(オ
リフィス通路56と反対側)には、隙間44を設けて、
各弾性側壁42をオリフィス部材34から実質的に独立
形成した。弾性側壁42を外筒部材14に圧接させたこ
とで、オリフィス通路56の流体密性を確保すると共
に、外筒部材14に対する制振効果を発揮せしめ得た。
また、隙間44により、弾性側壁42の弾性変形を許容
することにより、弾性側壁42のオリフィス通路56内
への膨出弾性変形量を抑えて、オリフィス通路56の形
状安定性を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、内部に封入された非圧縮性流体
の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封
入式の筒型防振装置に関するものであり、特に、流体の
流動通路としてオリフィス通路を備えた流体封入式筒型
防振装置とその製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、例えば自動車用のサスペンショ
ンブッシュやデフマウント,ボデーマウント,エンジン
マウントなどのように振動伝達系を構成する部材間に介
装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、径
方向に離隔配置した軸部材と中間スリーブを本体ゴム弾
性体で連結すると共に、外筒部材を中間スリーブに外嵌
固定せしめて、本体ゴム弾性体の外周面に開口して形成
されたポケット凹所を外筒部材で覆蓋することによっ
て、振動入力時に相対的な圧力変化が生ぜしめられる複
数の流体室を形成し、それらの流体室に非圧縮性流体を
封入すると共に、それらの流体室をオリフィス通路によ
って相互に連通せしめて、オリフィス通路を流動せしめ
られる流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果
を得るようにした流体封入式の筒型防振装置が知られて
いる。かかる筒型防振装置では、流体の流動作用に基づ
く防振効果や、そのチューニング自由度の拡大のため
に、オリフィス通路の通路長さを大きく設定可能とする
ことが望ましい。そこで、例えば特開昭61−2705
33号公報等において、ポケット凹所の開口部を周方向
に跨いで延びるように剛性のオリフィス部材を配して、
該オリフィス部材を外筒部材の内周面に重ね合わせるこ
とにより、それらオリフィス部材と外筒部材の間にオリ
フィス通路を形成した構造が、提案されている。このよ
うな別体オリフィス部材を採用すれば、ポケット凹所の
開口部間の周方向長さに関わらずにオリフィス通路長さ
を設定することが出来るのであり、例えば周方向に半周
以上の長さでオリフィス通路を形成することが可能とな
るのである。
【0003】ところで、かくの如き別体オリフィス部材
では、一般に、前記公報にも記載されているように、オ
リフィス部材の外周面に開口して周方向に延びる凹溝を
外筒部材で覆蓋することによってオリフィス通路が形成
されるようになっている。
【0004】しかしながら、プレス加工やダイキャスト
成形で製作されたオリフィス部材の外周面の全体に亘っ
て外筒部材を流体密に密着させることは容易でなく、オ
リフィス部材の外周面と外筒部材の間に発生した隙間を
通じてオリフィス通路以外での流体流動が生ぜしめられ
ることによって、目的とする防振効果が有効に発揮され
難くなってしまうおそれがあった。なお、オリフィス部
材を弾性材で形成すれば、オリフィス部材の外周面を外
筒部材の内周面に対して密着させることは容易となる
が、そうすると、オリフィス部材の弾性変形によってオ
リフィス通路の形状が安定し難いために、流体の流動作
用に基づく目的とする防振効果を安定して得ることが難
しいという問題があった。
【0005】また、オリフィス部材が外筒部材の内周面
に対して安定して圧接され難いことから、オリフィス部
材による外筒部材の補強効果が安定して発揮され難く、
外筒部材の剛性等によっては、振動入力時に外筒部材が
共振等することによって、振動伝達率が悪化するおそれ
があった。特に、流体室内における軸部材とオリフィス
部材の間に、軸直角方向での相対的な当接に基づいて、
本体ゴム弾性体における径方向の弾性変形量を制限する
ストッパ機構を設けた場合には、軸部材とオリフィス部
材の当接時に外筒部材が加振されて振動や騒音が発生し
易いという問題があったのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は上述の如き事情を
背景として為されたものであって、その解決課題とする
ところは、オリフィス部材と外筒部材の重ね合わせ面間
において、目的とするオリフィス通路を、安定した形状
と優れた流体密性を両立しつつ形成することの出来る、
新規な構造の流体封入式筒型防振装置を提供すること、
およびかかる流体封入式筒型防振装置の有利な製造方法
を提供することにある。
【0007】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0008】流体封入式筒型防振装置に関する本発明の
第一の態様は、軸部材と該軸部材の外周側に離隔配置せ
しめた中間スリーブを本体ゴム弾性体で連結すると共
に、該本体ゴム弾性体に設けたポケット凹所を該中間ス
リーブに設けた窓部を通じて外周面に開口せしめて、該
中間スリーブに外嵌固定された外筒部材で該ポケット凹
所の開口を覆蓋することにより振動が入力される第一の
流体室を形成する一方、振動入力時に該第一の流体室に
対して相対的な圧力変化が生ぜしめられる第二の流体室
を少なくとも一つ形成して、それら第一及び第二の流体
室に非圧縮性流体を封入し、更に該第一の流体室を形成
する前記ポケット凹所の開口部を周方向に跨いで延びる
ように剛性のオリフィス部材を配して、該オリフィス部
材を前記外筒部材の内周面に重ね合わせることにより、
それらオリフィス部材と外筒部材の間に前記第一及び第
二の流体室を相互に連通するオリフィス通路を形成した
流体封入式筒型防振装置において、前記オリフィス部材
に対して、外周面に開口して前記第一及び第二の流体室
間に延びるオリフィス形成用の凹溝を設けると共に、該
凹溝の底面からそれぞれ突出して該凹溝の全長に亘って
相互に略平行に連続して延びる一対の弾性側壁を、該オ
リフィス部材における凹溝の両側壁から実質的に独立し
て形成せしめて、それら弾性側壁の突出先端部を前記外
筒部材に当接させることにより、かかる一対の弾性側壁
間に前記オリフィス通路を形成した流体封入式筒型防振
装置にある。
【0009】このような本態様に従う構造とされた筒型
防振装置においては、オリフィス通路の両側壁部が、オ
リフィス部材の凹溝の両側壁で直接に形成されずに、オ
リフィス部材の凹溝内に突設された一対の弾性側壁間に
オリフィス通路が形成されている。そして、各弾性側壁
は、突出先端部が外筒部材に対して弾性的に当接されて
いることから、オリフィス通路のリークが防止され得
る。また、オリフィス部材と外筒部材の間での各弾性側
壁に対する圧縮量、換言すれば弾性側壁の最大変形量
は、外筒部材と剛性のオリフィス部材の当接によって確
実に制限されることから、弾性側壁の座屈等の過大変形
に起因するオリフィス通路の大きな形状変化が防止され
得ることとなる。
【0010】それ故、本態様の筒型防振装置では、オリ
フィス通路の形状安定性とシール性を、両立して高度に
且つ安定して得ることが出来るのであり、それによっ
て、オリフィス通路を通じての流体流動作用に基づいて
目的とする防振効果を安定して得ることが可能となるの
である。
【0011】また、本態様に従う構造とされた筒型防振
装置においては、剛性のオリフィス部材と外筒部材の間
に、オリフィス通路の弾性側壁が圧接状態で介在されて
いることから、かかる弾性側壁がオリフィス部材と外筒
部材に対する制振材として作用することとなり、以て、
振動入力時における外筒部材の振動が低減乃至は防止さ
れて、筒型防振装置の振動伝達率が一層小さく抑えられ
得る。
【0012】また、流体封入式筒型防振装置に関する本
発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る筒型防振装
置において、オリフィス通路を形成する一対の弾性側壁
の全長に亘って、それら各弾性側壁とオリフィス部材に
おける凹溝の両側壁の間に隙間を形成したことを、特徴
とする。本態様においては、オリフィス通路の全長に亘
って、弾性側壁のオリフィス部材に対する独立性が一層
有利に確保されて、弾性側壁の外筒部材への当接に伴う
オリフィス通路内への膨出変形量が、弾性側壁の外方に
形成された隙間への膨出変形によって軽減されることと
なり、それによって、オリフィス通路の形状安定性が一
層有利に達成され得る。特に、弾性側壁を外筒部材に圧
接した後にも、弾性側壁の外側に隙間を存在せしめるこ
とによって、各部材の製作寸法誤差等に拘わらず、上述
の如き隙間による弾性側壁のオリフィス通路側への膨出
変形量の軽減効果、ひいてはオリフィス通路の形状安定
効果を、より安定して得ることが可能となる。
【0013】また、流体封入式筒型防振装置に関する本
発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に従う構
造とされた筒型防振装置において、オリフィス部材にお
ける凹溝上の少なくとも一カ所において、該凹溝の両側
壁の内面と、かかる両側壁の内面からそれぞれ内方に離
隔して位置せしめられた弾性側壁との間を流体密に遮断
する仕切壁を設けたことを、特徴とする。本態様におい
ては、流体室間における隙間を通じての流体のリーク的
な流れが、仕切壁によって防止されることにより、オリ
フィス通路を通じての流体流動作用に基づく目的とする
防振効果をより安定して得ることが可能となる。特に、
隙間の断面積が十分に小さければ、隙間を通じての流体
流動が問題となることは殆どないが、例えば、部材の寸
法誤差等によって比較的大きな隙間が形成される可能性
がある場合にも、本態様に従えば、目的とする防振効果
を安定して得ることが出来るのである。
【0014】また、流体封入式筒型防振装置に関する本
発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様
に従う構造とされた筒型防振装置において、中間スリー
ブによって本体ゴム弾性体の外周面を実質的に全面に亘
って覆うと共に、中間スリーブの軸方向中間部分を周方
向に所定長さで延びる窓部を設けて、ポケット凹所を該
窓部を通じて開口せしめる一方、オリフィス部材の内周
面を、該ポケット凹所の周方向両側部分において、中間
スリーブによって支持せしめたことを、特徴とする。本
態様においては、中間スリーブを利用することにより、
オリフィス部材の支持強度を簡単な構造で向上させるこ
とが出来るのであり、オリフィス部材の周方向両側部分
を中間スリーブと外筒部材で挟持させることによって、
オリフィス部材を強固に且つ確実に組み付けることが可
能となる。
【0015】また、流体封入式筒型防振装置に関する本
発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様
に従う構造とされた筒型防振装置において、オリフィス
部材としてそれぞれ略半円筒形状を有する一対を採用し
て、ポケット凹所の開口部を外れた位置で各オリフィス
部材の周方向両端部を突き合わせて相互に組み合わせる
ことにより、全体として略円筒形状とすると共に、それ
ら一対のオリフィス部材間に跨がって周方向に延びるよ
うに前記凹溝を形成したことを、特徴とする。本態様に
おいては、一対のオリフィス部材を用い、両オリフィス
部材に形成された凹溝を相互に連接してオリフィス通路
用の凹溝を形成したことにより、オリフィス通路の長さ
の設計自由度が一層大きく確保され得る。また、一対の
オリフィス部材の連接部分を、ポケット凹所の開口部を
外れた位置に設定したことにより、かかる連結部分にお
けるオリフィス通路の流体密性を、例えば中間スリーブ
と外筒部材の間で容易に且つ高度に確保することが可能
となる。
【0016】また、流体封入式筒型防振装置に関する本
発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様
に従う構造とされた筒型防振装置であって、第一の流体
室の内部において軸部材とオリフィス部材の少なくとも
何れか一方から他方に向かって軸直角方向に突出するス
トッパ突部を設けて、該ストッパ突部による軸部材とオ
リフィス部材の当接に基づいて、それら軸部材とオリフ
ィス部材の軸直角方向の相対変位量が制限されるように
したことを、特徴とする。本態様においては、ストッパ
突部による軸部材とオリフィス部材の当接によって本体
ゴム弾性体の弾性変形量を制限するストッパ機構が発揮
されるのであり、そこにおいて、軸部材とオリフィス部
材の当接衝撃に起因するオリフィス部材や外筒部材の振
動が、それらオリフィス部材と外筒部材の間に圧接介在
せしめられた弾性側壁によって減衰低減され得るのであ
り、それによって、ストッパ機構に起因する振動や打音
の発生が軽減乃至は防止され得る。なお、ストッパ突部
による軸部材とオリフィス部材の当接面には、少なくと
も一方の側に緩衝弾性体を配することが望ましい。
【0017】また、流体封入式筒型防振装置に関する本
発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様
に従う構造とされた筒型防振装置において、中間スリー
ブと外筒部材の重ね合せ面間に薄肉のシールゴム層を介
在させて挟圧せしめたことを、特徴とする。このような
本態様においては、中間スリーブと外筒部材の間で挟圧
されて圧縮介在されたシールゴム層によって、中間スリ
ーブや外筒部材の振動に対する減衰低減効果が発揮され
て、防振性能の更なる向上が図られ得る。特に、前記第
六の態様に係るストッパ機構と組み合わせて採用するこ
とにより、ストッパ機構に起因する振動や打音の発生が
一層有利に軽減乃至は防止され得る。
【0018】さらに、上述の如き何れかの態様に従う流
体封入式筒型防振装置においては、オリフィス部材と外
筒部材の重ね合わせ面間に薄肉の緩衝ゴム層を介在させ
て挟圧せしめるようにしても良く、それによって、該緩
衝ゴム層による減衰作用に基づいて、外筒部材の振動が
抑えられて、防振性能の更なる向上が可能となる。ま
た、そのような緩衝ゴム層を、前記第六の態様に係るス
トッパ機構と組み合わせて採用することにより、ストッ
パ突部による軸部材とオリフィス部材の当接時における
急激なばね特性の変化を、緩和せしめて荷重−変位特性
を滑らかにして、ストッパ機構の作用時における衝撃や
打音を軽減することが出来る。
【0019】また、上述の如き何れかの態様に従う流体
封入式筒型防振装置において、前記第六の態様に係るス
トッパ機構を採用する場合には、オリフィス部材と外筒
部材の重ね合わせ面間に僅かな径方向間隙を形成しても
良い。このような径方向間隙を採用すれば、軸部材とオ
リフィス部材が当接した際、オリフィス部材が外筒部材
に当接するまでのストローク間において、弾性側壁の弾
性変形によって緩衝作用が発揮されることとなり、スト
ッパ機構の作用時における荷重−撓み特性が滑らかとな
って衝撃や打音の発生が軽減乃至は回避され得るのであ
る。なお、径方向間隙は、0〜0.5mmとすることが
望ましく、それによって、径方向間隙を通じての流体流
動が実質的に阻止され得ると共に、当接時の振動や打音
の発生も軽減乃至は回避され得る。また、オリフィス部
材と外筒部材の対向位置する重ね合わせ面間において、
軸方向に延びるシールリップ等を形成して、径方向間隙
を周上の少なくとも一カ所で遮断せしめることにより、
径方向間隙を通じての流体流動を遮断することも有効で
ある。
【0020】また、上述の如き何れかの態様に従う流体
封入式筒型防振装置においては、一対の弾性側壁の具体
的形状として、例えば、かかる一対の弾性側壁の対向面
間に形成されるオリフィス通路の断面形状が、矩形状の
他、外周側に向かって拡開する逆台形状や、半円形状な
どの各種形状が採用可能である。特に、逆台形状や半円
形状のオリフィス通路断面を採用することにより、各弾
性側壁の外筒部材への圧接に伴うオリフィス通路内への
倒れ込み的な弾性変形を抑えることが出来て、オリフィ
ス通路形状の更なる安定化が図られ得る。
【0021】更にまた、上述の如き何れかの態様に従う
構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、一対
の弾性側壁を、凹溝の底部側で相互に連接せしめたり、
及び/又は、凹溝の底部側でオリフィス部材の凹溝の左
右両側壁部に対して連接せしめても良い。このように各
弾性側壁を、相互に連接したり、オリフィス部材に連接
することによって、各弾性側壁の外筒部材への圧接に伴
うオリフィス通路内への倒れ込み的な弾性変形を抑える
ことが出来て、オリフィス通路形状の更なる安定化が図
られ得る。
【0022】さらに、流体封入式筒型防振装置の製造方
法に関する本発明は、上述の如き何れかの態様に従う構
造とされた流体封入式筒型防振装置を製造するに際し
て、軸部材と中間スリーブが固着された本体ゴム弾性体
に、別途形成したオリフィス部材を組み付けた後、別途
形成した外筒部材を外挿せしめて、該外筒部材を縮径す
ることにより、外筒部材を中間スリーブに嵌着固定する
と共に、外筒部材をオリフィス部材に突設された弾性側
壁の突出先端部に圧接せしめるようにしたことにある。
【0023】このような本発明方法に従えば、オリフィ
ス部材に突設された弾性側壁に対して、外筒部材を突出
方向に圧接させることが出来るのであり、それによっ
て、弾性側壁の変形状態が安定して生ぜしめられて、目
的とする形状のオリフィス通路を安定して形成すること
が出来るのである。
【0024】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ詳細に説明する。
【0025】先ず、図1,2には、本発明に従う構造と
された自動車用のサスペンションブッシュ10が示され
ている。このサスペンションブッシュ10は、互いに径
方向に離隔配置された軸部材としての内筒金具12と外
筒部材としての外筒金具14が、それらの径方向対向面
間に配された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結
された構造を有している。そして、内筒金具12に対し
て、サスペンションアームに固設された図示しない支軸
が挿通固定される一方、外筒金具14に対して、自動車
のボデーに設けられた円筒形状の図示しないアームアイ
が外嵌固定されることにより、サスペンションアームの
ボデーへの取付部材に介装されるようになっている。そ
して、そのような装着状態下において、かかるサスペン
ションブッシュ10には、内筒金具12と外筒金具14
に対して、図2中の上下方向となる径方向に防振すべき
主たる振動が入力されるようになっている。
【0026】より詳細には、内筒金具12は、鉄鋼やア
ルミニウム合金などの剛性の金属材で形成されており、
ストレートな小径円筒形状を有している。また、内筒金
具12の軸方向中央部分には、ストッパ部材18が固着
されている。このストッパ部材18は、合成樹脂やアル
ミニウム合金等の硬質材で形成されており、全体として
円環ブロック形状を有していると共に、図2の上下方向
に相当する径方向一方向で対向位置する部分が、それぞ
れ外周面側に厚肉とされて、径方向外方に向かって突出
する一対のストッパ突部20,20が一体形成されてい
る。
【0027】また、内筒金具12の外周側には、中間ス
リーブ22が、径方向外方に離隔して略同一中心軸上に
配設されている。この中間スリーブ22は、鉄鋼やアル
ミニウム合金等の剛性の金属材で形成されており、内筒
金具12よりも大径で且つ軸方向長さが僅かに短い薄肉
の円筒形状を有している。更に、中間スリーブ22に
は、径方向一方向(図2中の上下方向)で対向位置する
部分に、略一定の軸方向幅で周方向に一周弱の長さで延
びる窓部としての一対の開口窓部24,24が形成され
ている。また、これらの窓部24,24の周方向端部間
には、中間スリーブ22の軸方向中央部分に位置して小
径部26が形成されており、この小径部26によって、
窓部24,24の周方向端縁部間に跨がって周方向に連
続して延びる幅広溝状の凹所28,28が形成されてい
る。
【0028】更にまた、本体ゴム弾性体16は、全体と
して厚肉の円筒形状を有しており、内筒金具12と中間
スリーブ22の径方向対向面間に配設されて、その内周
面が内筒金具12に加硫接着されていると共に、外周面
が中間スリーブ22に加硫接着されている。要するに、
本体ゴム弾性体16は、内筒金具12と中間スリーブ2
2を備えた一体加硫成形品として形成されている。特
に、本実施形態では、中間スリーブ22が、一体加硫成
形品の外周面に直接に露呈されていると共に、本体ゴム
弾性体16の加硫成形後、必要に応じて、中間スリーブ
22に八方絞りなどの縮径加工が施されることにより、
本体ゴム弾性体16に対して予圧縮が加えられて引張応
力の軽減が図られる。
【0029】また、本体ゴム弾性体16には、径方向一
方向で対向位置する部分において、それぞれ外周面に開
口する一対のポケット部32,32が形成されており、
これらのポケット部32,32が、中間スリーブ22の
開口窓部24,24を通じて、それぞれ外周面に開口せ
しめられている。なお、ポケット部32,32の各底部
には、ストッパ突部20,20が、ポケット部32内で
径方向外方に向かって所定高さ(本実施形態では、ポケ
ット部32の深さの略半分の高さ)で突出位置せしめら
れている。
【0030】また、一体加硫成形品には、オリフィス部
材としてのオリフィス金具34,34が組み付けられて
いる。各オリフィス金具34は、図3〜5に示されてい
るように、全体に略一定の肉厚で円弧板状に湾曲して周
方向に延びる円弧板形状を有していると共に、幅寸法
が、周方向両端部分よりも周方向中央部分が大きくされ
ており、周方向両端部において中間スリーブ22の凹所
28よりも僅かに幅が小さく、また周方向中央部分にお
いて中間スリーブ22の開口窓部24よりも僅かに幅が
小さくされている。また、各オリフィス金具34は、そ
の内周面の曲率が中間スリーブ22における凹所28の
外周面の曲率と略同じに設定されていると共に、その外
周面の曲率が中間スリーブ22の外周面の曲率と略同じ
に設定されており、それぞれ、中間スリーブ22の半分
弱の周方向長さを有する略半円筒形状とされている。そ
して、一対のオリフィス金具34,34は、本体ゴム弾
性体16の一体加硫成形品に対して、ポケット部32,
32が対向位置する径方向両側から組み付けられてい
る。これにより、各オリフィス金具34は、中間スリー
ブ22の開口窓部24上に配設されており、周方向両端
部分が、それぞれ、中間スリーブ22の周方向両側に形
成された凹所28に嵌め込まれると共に、周方向中央部
分が中間スリーブ22の開口窓部24にはめ込まれて組
み付けられている。換言すれば、各オリフィス金具34
は、ポケット部32の開口を略覆蓋するようにして該開
口を跨いで周方向に延びる状態で配設されており、その
周方向両端部分が、中間スリーブ22の凹所28,28
の底壁と軸方向両側壁で位置決め配置されているのであ
る。
【0031】なお、一対のオリフィス金具34,34の
周方向一方の端部同士は、中間スリーブ22における一
方の凹所28a内で周方向に相互に突き合わされて周方
向に連接されている一方、一対のオリフィス金具34,
34の周方向他方の端部同士は、中間スリーブ22にお
ける他方の凹所28b内に突設された仕切ゴム壁38を
挟んで対向位置せしめられている。即ち、オリフィス金
具34における他方の凹所28bの周方向中央部分に
は、軸方向に延びて凹所28bを周方向両側に仕切る仕
切ゴム壁38が突設されており、この仕切ゴム壁38に
よって、一対のオリフィス金具34,34における周方
向端部が、周方向で相互に分断された状態で位置決めさ
れているのである。
【0032】さらに、各オリフィス金具34には、周方
向一端側から周方向に略一定の幅および深さで直線的に
延びて、周方向他端部近くまで至るオリフィス形成用凹
溝36が形成されていると共に、このオリフィス形成用
凹溝36の閉塞側の周方向端部には、底壁部を貫通して
オリフィス金具34の内周面に開口する連通孔39が形
成されている。
【0033】また、かかるオリフィス形成用凹溝36内
には、底面40の幅方向両端部分からそれぞれ径方向外
方に向かって突出して、オリフィス形成用凹溝36内で
幅方向に相互に離隔して対向位置せしめられた一対の弾
性側壁42,42が、ゴム弾性体によって形成されてい
る。そして、これら一対の弾性側壁42,42は、互い
に略一定の対向面間寸法をもって、オリフィス形成用凹
溝36の周方向全長に亘って形成されており、以て、両
弾性側壁42,42の対向面間において、オリフィス形
成用凹溝36内の全長に亘って延びるオリフィス用周溝
43が形成されている。かかるオリフィス用周溝43
は、両側壁の内面が開口側に向かって次第に拡開する逆
台形状とされている。
【0034】ここにおいて、各弾性側壁42は、図5に
示されているように、オリフィス金具34によって形成
されたオリフィス形成用凹溝36の幅方向両側壁部4
1,41から所定距離だけ離隔せしめられており、以
て、各弾性側壁42が、オリフィス金具34から実質的
に独立形成されて、幅方向内外への膨出的な弾性変形が
許容されるようになっている。即ち、各弾性側壁42の
外側には、オリフィス金具34の幅方向両側壁部41と
の間に隙間44が形成されており、かかる隙間44が、
弾性側壁42の実質的全長に亘って連続して形成されて
いる。なお、弾性側壁42の長手方向両端部分は、それ
ぞれ、幅方向外方に広がってオリフィス金具34の幅方
向両側壁部41,41に連接されており、それによっ
て、隙間44が、周方向両端部分で閉塞されて独立した
ポケット状構造とされている。また、各弾性側壁42の
外側面、即ち隙間44側の面は、オリフィス形成用凹溝
36の底面40から略垂直に立ち上がる垂直面とされて
いる一方、各弾性側壁42の内側面、即ちオリフィス用
周溝43側の面は、オリフィス形成用凹溝36の開口側
に向かって次第に拡開する傾斜面とされており、オリフ
ィス形成用凹溝36が、開口側に向かって拡開する略逆
台形状とされている。
【0035】また、各弾性側壁42は、オリフィス金具
34によって形成された幅方向両側壁部41,41の外
周面よりも径方向外方に所定寸法(本実施形態では、略
0.5mm)だけ突出せしめられている。更に、本実施形
態では、それら幅方向両側壁部41,41の突出先端面
上を全長に亘って連続して延びるシールリップが一体的
に突出形成されている。
【0036】更にまた、両側の弾性側壁42,42は、
オリフィス金具34からの突出基端部分において、オリ
フィス形成用凹溝36の底面40上に被着形成された内
側連結ゴム46によって相互に連結されている。また、
各弾性側壁42の突出基端部分は、オリフィス金具34
の幅方向両側壁部41に対して、それぞれ、外側連結ゴ
ム48によって相互に連結されている。
【0037】そして、一対のオリフィス金具34,34
におけるオリフィス形成用凹溝36,36の開口側終端
部同士が、中間スリーブ22の一方の凹溝28a内で相
互に突き合わせられて連通、接続されており、それによ
って、オリフィス金具34,34に形成されたオリフィ
ス用周溝43,43が周方向で相互に直列的に接続され
て、全体として周方向に半周以上(本実施形態では、略
7/8周)の長さとされていると共に、その周方向両端
部分が、連通孔39,39を通じて、ポケット部32,
32内に開口,連通せしめられている。
【0038】また、各オリフィス金具34における周方
向中央部分の内周面には、略一定厚さで広がる緩衝ゴム
50が被着形成されており、この緩衝ゴム50が、各ポ
ケット部32内に、開口部から内方に向かって突出位置
せしめられている。そして、かかる緩衝ゴム50を介し
て、各オリフィス金具34が、内筒金具12から各ポケ
ット部32内に突設されたストッパ突部20に対して、
径方向で離隔して対向位置せしめられている。なお、本
実施形態では、かかる緩衝ゴム50が、仕切ゴム壁3
8,38と一体成形されている。
【0039】上述の如き一対のオリフィス金具34,3
4が組み付けられた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形
品には、外筒金具14が外挿固定されている。この外筒
金具14は、図1〜2に示されているように、中間スリ
ーブ22よりも僅かに大径で、且つ軸方向長さが略同じ
とされた円筒形状を有しており、内周面には、略全面に
亘って、略一定厚さのシールゴム層52が被着形成され
ている。そして、かかる外筒金具14は、本体ゴム弾性
体16の一体加硫成形品に外挿された後、八方絞り加工
等で縮径されることにより、中間スリーブ22における
軸方向両端部分の大径部に対して、シールゴム層52を
挟んで流体密に嵌着固定されている。これにより、中間
スリーブ22の開口窓部24,24が、外筒金具14に
よって流体密に覆蓋されており、以て、非圧縮性流体が
封入された一対の流体室54,54が形成されている。
なお、これら流体室54,54への非圧縮性流体の封入
は、例えば、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品への
外筒金具14の外挿組付けを非圧縮性流体中で行うこと
等によって為され得る。また、封入流体としては、水や
アルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シ
リコーン油等が好適に採用され得、特に後述する流体の
共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、0.1
Pa・s 以下の低粘性流体が好適に採用される。
【0040】なお、特に本実施形態では、何れの流体室
54も、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成され
て、内外筒金具12,14間への振動入力時に本体ゴム
弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変化が生ぜしめら
れる受圧室として形成されている。
【0041】また、オリフィス金具34に設けられた弾
性側壁42,42も、各突出先端面が、外筒金具14に
対して、シールゴム層52を介して圧接されており、以
て、オリフィス用周溝43の開口部分が流体密に覆蓋さ
れて、オリフィス金具34,34と外筒金具14の重ね
合わせ面間を周方向に連続して一周弱の長さで延びて、
両流体室54,54を相互に連通するオリフィス通路5
6が形成されている。なお、本実施形態では、オリフィ
ス通路56の長手方向中央で、両オリフィス金具34,
34の突き合わせ面間に僅かな隙間が介在しているが、
かかる隙間は密閉状態であり、オリフィス通路56を通
じての流体流動性に悪影響はない。
【0042】そこにおいて、各弾性側壁42は、オリフ
ィス金具34の外周面よりも径方向外方にまで突出せし
められていることから、外筒金具14に対して有利に且
つ確実に圧接されるようになっている。特に、本実施形
態では、オリフィス金具34の外周面が中間スリーブ2
2の軸方向両端の大径部外周面と略面一とされて、外筒
金具14に対して圧接されていることから、各弾性側壁
42も外筒金具14に対してより確実に圧接されてい
る。また、弾性側壁42の外筒金具14による圧接に際
しては、弾性側壁42の外方、即ち隙間44側への膨出
弾性変形が許容されていることから、弾性側壁42の内
方、即ちオリフィス通路56内への膨出弾性変形量が軽
減され得るのであり、それにより、弾性側壁42の外筒
金具14への圧接に基づく優れた流体密性を確保しつ
つ、オリフィス通路56の断面形状の不規則な変化が軽
減乃至は回避されて、目的とする形状のオリフィス通路
56が安定して実現され得るのである。
【0043】従って、上述の如き構造とされたサスペン
ションブッシュ10においては、自動車への装着状態下
で、内外筒金具12,14間に径方向の振動が入力され
ると、一対の流体室54,54間に惹起される相対的な
圧力変動に基づいてオリフィス通路56を通じての流体
流動が生ぜしめられることとなり、かかる流体の共振作
用等の流動作用に基づいて防振効果が発揮され得るが、
そこにおいて、オリフィス通路56の流体密性が高度に
確保されて流体漏れや短絡などが防止されていると共
に、オリフィス通路56に対して目的とする形状が高精
度に設定されていることから、かかるオリフィス通路5
6を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、目的
とする防振効果を有効に且つ安定して得ることが出来る
のである。
【0044】加えて、かかるサスペンションブッシュ1
0においては、互いに重ね合わせられたオリフィス金具
34と外筒金具14の間で弾性側壁42,42が圧縮状
態で介在せしめられていることから、外筒金具14の振
動に対して弾性側壁42,42が振動減衰効果乃至は制
振効果を発揮することとなり、それによって、外筒金具
14における共振現象等による振動や異音等の発生が抑
制乃至は防止され得て、防振性能の更なる向上が図られ
得る。
【0045】特に、本実施形態では、オリフィス金具3
4と外筒金具14の間に、シールゴム層52も圧縮状態
で介在せしめられており、このシールゴム層52によっ
ても、外筒金具14に対する振動減衰効果乃至は制振効
果が発揮されることから、一層優れた防振性能が発揮さ
れ得る。
【0046】さらに、本実施形態では、主たる振動入力
方向で、内筒金具12に固設されたストッパ突部20
と、外筒金具14に固設されたオリフィス金具34が、
緩衝ゴム50を介して、所定距離だけ離隔して対向位置
せしめられており、流体室54,54の対向方向での過
大な振動荷重の入力時における内外筒金具12,14の
相対変位量、即ち本体ゴム弾性体16の弾性変形量が、
それらストッパ突部20とオリフィス金具34の緩衝ゴ
ム50を介しての当接によって緩衝的に制限されるよう
になっている。そこにおいて、オリフィス金具34への
ストッパ突部20の当接に起因するオリフィス金具34
や外筒金具14の振動が、オリフィス金具34と外筒金
具14の間に圧縮状態で介在せしめられた弾性側壁4
2,42によって減衰乃至は制振され得るのであり、従
って、ストッパ機構の作用時におけるショック感や打音
も有利に軽減乃至は防止され得るのである。
【0047】また、前述の如く、オリフィス金具34,
34を組み付けた一体加硫成形品に対する外筒金具14
の組付けを非圧縮性流体中で行うことによって、流体室
54,54等への非圧縮性流体の封入を行う場合には、
流体の封入の完了と同時に、ポケット状に形成された隙
間44,44の開口部が外筒金具14で覆蓋されると共
に、それら隙間44,44にも非圧縮性流体が封入され
ることから、組付後のサスペンションブッシュ10にお
いては、オリフィス通路56の両側壁部を構成する弾性
側壁42の隙間44側への膨出変形が抑制されて、オリ
フィス通路56の形状が安定して維持され得る。
【0048】次に、図6には、本発明の第二の実施形態
としての自動車用サスペンションブッシュ60が示され
ている。なお、本実施形態のサスペンションブッシュ6
0は、第一の実施形態のものに比して、中間スリーブ2
2と外筒金具14の間のシール構造の異なる具体例を示
すものであって、第一の実施形態と同様な構造とされた
部材および部位については、それぞれ、図中に、第一の
実施形態と同一の符号を付することにより、詳細な説明
を省略する。また、図6は、第一の実施形態における図
1に対応する縦断説明図である。
【0049】すなわち、本実施形態の中間スリーブ22
が、軸方向両側のリング状の大径部分、換言すれば開口
窓部24,24や凹所28,28を挟んだ軸方向両側に
位置せしめられた一対の大径部分において、周方向に連
続して延びる段差64を有している。そして、各大径部
分は、段差64を挟んで、軸方向内側が外側よりも僅か
に小径とされて、大径嵌着部66と小径シール部68か
らなる段付円筒形状とされている。そして、各大径部分
の小径シール部68に対して、外周面を略全面に亘って
被覆するシールゴム層70が被着形成されている。
【0050】一方、本実施形態では、外筒金具14の内
周面にはシールゴム層が被着されていない。そして、外
筒金具14は、中間スリーブ22の大径嵌着部66やオ
リフィス金具34の幅方向両側壁部41,41、更に弾
性側壁42,42等に対して、それぞれ、直接に圧接さ
れていると共に、中間スリーブ22の小径シール部68
に対して、シールゴム層70を挟圧して嵌着固定されて
おり、シールゴム層70を挟圧することによって、流体
室54等の流体封入領域が外部空間に対してシールされ
ている。
【0051】このような構造とされた本実施形態では、
オリフィス通路56の弾性側壁42,42の外側に形成
された隙間44,44によるオリフィス通路56の形状
変化の軽減作用等に基づいて、第一の実施形態と同様な
効果が、何れも有効に発揮され得ることは勿論であり、
それに加えて、中間スリーブ22と外筒金具14の重ね
合わせ面間で挟圧されるシールゴム層70が本体ゴム弾
性体16の一体加硫成形品側に形成されて、外筒金具1
4側に形成する必要がないことから、構成部品の製作
性、延いては製造コストが向上され得る。
【0052】なお、中間スリーブ22における軸方向両
側の大径部分の全体を小径シール部として、かかる大径
部分の全面にシールゴム層を形成することも可能であ
る。
【0053】また、オリフィス金具34における幅方向
両側壁部41,41の外周面にもシールゴム層を被着形
成して、かかるシールゴム層を、オリフィス金具34と
外筒金具14の間で挟圧させるようにしても良い。
【0054】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、こ
れらの実施形態における具体的な構成によって、何等、
限定的に解釈されるものでない。
【0055】例えば、前記実施形態では、何れも、オリ
フィス金具34の外周面が外筒金具14に対して流体密
状態に当接保持されていたが、例えば、弾性側壁42,
42の突出高さとオリフィス金具34の外周面との差を
大きく設定して、弾性側壁42,42の突出先端面の外
筒金具14への圧接状態下で、オリフィス金具34の外
周面と外筒金具14の間に間隙が形成されるようにして
も良い。そのような間隙を設けると、過大な径方向振動
荷重が入力されてストッパ突部20がオリフィス金具3
4に当接した際に、弾性側壁42,42の弾性変形に伴
ってオリフィス金具34が外筒金具14に対して接近方
向に変位せしめられた後に、外筒金具14に当接するこ
ととなる。従って、ストッパ突部20がオリフィス金具
34に当接した後、オリフィス金具34が外筒金具14
に当接するまでの間、弾性側壁42,42の弾性特性に
基づく非線形的に立ち上がる緩衝作用が発揮され得るの
であり、以て、ストッパ機構の作用時における衝撃や打
音が一層有利に軽減され得る。なお、その際、オリフィ
ス金具34と外筒金具14の間に形成される間隙の寸
法:δは、余り大きいと当接時の衝撃が大きくなり易い
ことから、0<δ≦0.5mmとすることが望ましい。ま
た、オリフィス金具34と外筒金具14の当接面には、
緩衝ゴム層等を形成することが望ましい。更にまた、オ
リフィス金具34と外筒金具14の間に隙間を形成する
場合には、少なくとも周方向の一カ所に、幅方向に連続
して延びる弾性シール突起等を形成して、隙間を通じて
の流体室間での流体流動を完全に阻止することも有効で
ある。
【0056】また、オリフィス部材の形状や構造は特に
限定されるものでなく、例えば、鋳造や削り出しの他、
例えば図7〜9に示されているように、金属板のプレス
成形品からなるオリフィス金具78によってオリフィス
部材80を構成することも可能である。かかるオリフィ
ス金具78は、矩形平板形状の板金具をプレス加工等で
長手方向に円弧状に湾曲させると共に、幅方向で中央を
径方向内方に凹陥させることによって、全体として凹溝
断面形状をもって略半円状に延びる構造とされている。
そして、前記実施形態と同様に、底面40から一対の弾
性側壁42,42が突設されて、それら弾性側壁42,
42の対向面間にオリフィス用周溝43が形成されてい
る。また、オリフィス用周溝43の一方の端部は、オリ
フィス金具78の凹溝36にゴム弾性体が充填されるこ
とによって閉塞されており、前記実施形態と同様に、か
かる閉塞端の近くに形成された連通孔39を通じて内周
面に開口せしめられている。
【0057】このような構造とされたオリフィス金具7
8,78を、第一の実施形態におけるオリフィス金具3
4,34に代えて採用することも可能であり、それによ
って、第一の実施形態と同様な効果が何れも有効に発揮
され得る。また、特に、プレス加工品であるオリフィス
金具78を採用することによって、部品の製造コスト
性、延いてはブッシュの製造コスト性が向上され得る。
【0058】さらに、前記実施形態では、径方向の振動
入力時に積極的な圧力変化が生ぜしめられる受圧室とし
ての一対の流体室54,54を備えたサスペンションブ
ッシュについて本発明を適用したものの具体例を示した
が、本発明は、その他、例えば、特開2000−460
97号公報や特許第2651973号公報等に記載され
ているように、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成され
た受圧室と、壁部の一部が変形容易な可撓性膜で構成さ
れた平衡室とを備え、それら受圧室と平衡室をオリフィ
ス通路によって相互に連通せしめた構造の筒形防振装置
にも、同様に適用可能である。
【0059】また、オリフィス部材は、前記実施形態の
ように一対を組み合わせて採用する必要はなく、一つだ
けのオリフィス部材を採用しても良い。また、組付けが
可能な限り、オリフィス部材の周方向長さを、半周以下
や半周以上に設定することも可能である。
【0060】更にまた、オリフィス部材に形成されるオ
リフィス通路の具体的形状は、要求される防振特性等に
応じて適宜に設定されるものであって、限定されるもの
でなく、例えば、周方向に螺旋状に一周以上の長さで延
びるオリフィス通路や、往復状や屈曲状、或いは湾曲状
に延びるオリフィス通路等も採用可能である。
【0061】加えて、本発明は、例示の如き自動車用サ
スペンションブッシュの他、自動車用ボデーマウントや
エンジンマウント、デフマウントなど、或いは自動車以
外の各種装置における筒形防振装置に対して、何れも、
適用可能である。
【0062】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもない。
【0063】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた筒形防振装置においては、剛性のオ
リフィス部材に形成された凹溝の内部に、オリフィス部
材から独立的に変形可能に突設された一対の弾性側壁に
よってオリフィス通路が形成されていることから、それ
ら弾性側壁を、オリフィス通路内への膨出変形量を抑え
つつ、外筒部材に圧接させることが出来るのであり、そ
れによって、目的とする形状のオリフィス通路を、優れ
た流体密性を確保しつつ、安定して形成することが可能
となる。
【0064】しかも、オリフィス通路を形成する弾性側
壁が、オリフィス部材と外筒部材の間で挟圧配置されて
いることから、かかる弾性側壁が外筒部材に対する減衰
材乃至は制振材として機能して、外筒金具の振動や異音
が抑制乃至は防止され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用サス
ペンションブッシュを示す縦断面説明図であって、図2
におけるI−I断面に相当する図である。
【図2】図1に示されたサスペンションブッシュの横断
面図である。
【図3】図1に示されたサスペンションブッシュを構成
するオリフィス金具を示す平面図である。
【図4】図3に示されたオリフィス金具の底面図であ
る。
【図5】図3におけるV−V断面を拡大して示す説明図
である。
【図6】本発明の第二の実施形態としての自動車用サス
ペンションブッシュを示す、図1に対応する縦断面説明
図である。
【図7】図1に示されたサスペンションブッシュに採用
され得るオリフィス金具の別の具体例を示す縦断面図で
ある。
【図8】図7に示されたオリフィス金具の平面図であ
る。
【図9】図7におけるIX−IX断面図である。
【符号の説明】
10 サスペンションブッシュ 12 内筒金具 14 外筒金具 16 本体ゴム弾性体 22 中間スリーブ 34 オリフィス金具 36 オリフィス形成用凹溝 42 弾性側壁 43 オリフィス用周溝 44 隙間 54 流体室 56 オリフィス通路

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部材と該軸部材の外周側に離隔配置せ
    しめた中間スリーブを本体ゴム弾性体で連結すると共
    に、該本体ゴム弾性体に設けたポケット凹所を該中間ス
    リーブに設けた窓部を通じて外周面に開口せしめて、該
    中間スリーブに外嵌固定された外筒部材で該ポケット凹
    所の開口を覆蓋することにより振動が入力される第一の
    流体室を形成する一方、振動入力時に該第一の流体室に
    対して相対的な圧力変化が生ぜしめられる第二の流体室
    を少なくとも一つ形成して、それら第一及び第二の流体
    室に非圧縮性流体を封入し、更に該第一の流体室を形成
    する前記ポケット凹所の開口部を周方向に跨いで延びる
    ように剛性のオリフィス部材を配して、該オリフィス部
    材を前記外筒部材の内周面に重ね合わせることにより、
    それらオリフィス部材と外筒部材の間に前記第一及び第
    二の流体室を相互に連通するオリフィス通路を形成した
    流体封入式筒型防振装置において、 前記オリフィス部材に対して、外周面に開口して前記第
    一及び第二の流体室間に延びるオリフィス形成用の凹溝
    を設けると共に、該凹溝の底面からそれぞれ突出して該
    凹溝の全長に亘って相互に略平行に連続して延びる一対
    の弾性側壁を、該オリフィス部材における凹溝の両側壁
    から実質的に独立して形成せしめて、それら弾性側壁の
    突出先端部を前記外筒部材に当接させることにより、か
    かる一対の弾性側壁間に前記オリフィス通路を形成した
    ことを特徴とする流体封入式筒型防振装置。
  2. 【請求項2】 前記オリフィス通路を形成する一対の弾
    性側壁の全長に亘って、それら各弾性側壁と前記オリフ
    ィス部材における凹溝の両側壁の間に隙間を形成した請
    求項1に記載の流体封入式筒型防振装置。
  3. 【請求項3】 前記オリフィス部材における前記凹溝上
    の少なくとも一カ所において、前記凹溝の両側壁の内面
    と、かかる両側壁の内面からそれぞれ内方に離隔して位
    置せしめられた前記弾性側壁との間を流体密に遮断する
    仕切壁を設けた請求項1又は2に記載の流体封入式筒型
    防振装置。
  4. 【請求項4】 前記中間スリーブによって前記本体ゴム
    弾性体の外周面を実質的に全面に亘って覆うと共に、該
    中間スリーブの軸方向中間部分を周方向に所定長さで延
    びる窓部を設けて、前記ポケット凹所を該窓部を通じて
    開口せしめる一方、前記オリフィス部材の内周面を、該
    ポケット凹所の周方向両側部分において、該中間スリー
    ブによって支持せしめた請求項1乃至3の何れかに記載
    の流体封入式筒型防振装置。
  5. 【請求項5】 前記オリフィス部材としてそれぞれ略半
    円筒形状を有する一対を採用して、前記ポケット凹所の
    開口部を外れた位置で各オリフィス部材の周方向両端部
    を突き合わせて相互に組み合わせることにより、全体と
    して略円筒形状とすると共に、それら一対のオリフィス
    部材間に跨がって周方向に延びるように前記凹溝を形成
    した請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式筒型防
    振装置。
  6. 【請求項6】 前記第一の流体室の内部において前記軸
    部材と前記オリフィス部材の少なくとも何れか一方から
    他方に向かって軸直角方向に突出するストッパ突部を設
    けて、該ストッパ突部による該軸部材と該オリフィス部
    材の当接に基づいて、それら軸部材とオリフィス部材の
    軸直角方向の相対変位量が制限されるようにした請求項
    1乃至5の何れかに記載の流体封入式筒型防振装置。
  7. 【請求項7】 前記中間スリーブと前記外筒部材の重ね
    合わせ面間に薄肉のシールゴム層を介在させて挟圧せし
    めた請求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式筒型防
    振装置。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7の何れかに記載の流体封
    入式筒型防振装置を製造するに際して、 前記軸部材と前記中間スリーブが固着された前記本体ゴ
    ム弾性体に、別途形成した前記オリフィス部材を組み付
    けた後、別途形成した前記外筒部材を外挿せしめて、該
    外筒部材を縮径することにより、該外筒部材を該中間ス
    リーブに嵌着固定すると共に、該外筒部材を該オリフィ
    ス部材に突設された前記弾性側壁の突出先端部に圧接せ
    しめることを特徴とする流体封入式筒型防振装置の製造
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007100957A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Carl Freudenberg Kg 液圧式ダンパを備えている弾性軸受
US7845624B2 (en) 2006-03-30 2010-12-07 Tokai Rubber Industries, Ltd. Cylindrical fluid-filled elastic mount

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