JPH0369015B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は、FF車の円筒型エンジンマウント等
として用いて好適な流体封入式防振ブツシユの製
造方法に係り、詳しくはブツシユ径方向に入力さ
れる複数の周波数域の振動を良好に減衰乃至は遮
断する機能を備えた流体封入式防振ブツシユの製
造方法に関するものである。

（従来技術） 振動伝達系を構成する２つの部材間に介装され
てそれらを防振連結する防振ブツシユの一種に、
主としてその径方向に入力される振動を減衰乃至
は遮断するようにしたものがある。例えば、FF
車の円筒型エンジンマウントや自動車サスペンシ
ヨンのサスペンシヨンブツシユ等がそれである。

ところで、このような防振ブツシユでは、低周
波域の入力振動に対して良好な減衰性能が要求さ
れる一方、高周波数域の入力振動に対して良好な
遮断性能が要求されるのが一般的である。そこ
で、本願出願人は、先に、実願昭61−100614号明
細書、実願昭61−100615号明細書等において、内
筒部材と外筒部材との間にゴム弾性体を介装させ
て、それらを弾性的に連結すると共に、それら内
筒部材と外筒部材との間に、周方向に隔てて複数
の流体室を形成し、且つ該複数の流体室を連通せ
しめる絞り通路を設けて、該複数の流体室内に封
入された所定の非圧縮性流体がかかる絞り通路を
通じて流動するようにする一方、前記流体室の少
なくとも１つの内部に、前記内筒部材側から所定
高さで延びる支持部と、該支持部の先端側部分か
ら側方に延び出す延出部とからなるストツパ部を
設けて、該ストツパ部の延出部により、前記流体
室をブツシユ径方向に略２分して該流体室の内壁
との間で所定の狭窄部を形成しせめ、非圧縮性流
体が前記絞り通路および該狭窄部を通じて流動す
ることに基づいて、前記内筒部材と外筒部材との
間に入力される振動を減衰乃至は遮断するように
した流体封入式防振ブツシユを提案した。

このような流体封入式防振ブツシユによれば、
絞り通路を流動する非圧縮性流体の液柱共振作用
に基づいて、その絞り通路について設定（チユー
ニング）された周波数域の入力振動を良好に減衰
できるのであり、また流体室の狭窄部を流動する
非圧縮性流体の液柱共振作用に基づいて、その狭
窄部について設定された周波数域の入力振動を良
好に遮断することができるのである。従つて、絞
り通路を低い周波数にチユーニングすると共に、
流体室の狭窄部を高い周波数にチユーニングする
ことにより、低周波振動および高周波振動に対し
て共に良好な減衰乃至は遮断効果を発揮させるこ
とができるのである。

（問題点） しかしながら、この種の従来の流体封入式防振
ブツシユでは、流体室内壁との間で狭窄部を形成
するストツパ部の延出部が支持部とは別体のプレ
ート部材として構成され、そのプレート部材のス
トツパ部の支持部に対する取付けがゴム弾性体の
成形後に行なわれるようになつていたため、スト
ツパ部と外筒部材との当接の際の衝撃を緩和する
ためのゴム層をストツパ部に形成する場合、その
ゴム層の成形操作とゴム弾性体の成形操作とを
別々に行なわなければならないといつた問題があ
り、そのことがストツパ部、ひいてはブツシユの
生産性の向上を妨げる一因となつていた。

（解決手段） 本発明は、このような事情に鑑みて為されたも
のであり、第一の発明の要旨とするところは、前
述の如き、支持部と延出部とからなるストツパ部
を備えた流体封入防振ブツシユを製造するに際し
て、側方に突出する頭部とそれを支持する脚部と
を備えた支持部材を用い、該支持部材を内筒部材
に一体的に固設した後、該支持部材を固設した内
筒部材に対してゴム材料の加硫成形操作を行なつ
て、ゴム弾性体を該内筒部材に一体加硫成形する
と同時に、該支持部材の脚部、並びに外筒部材に
対向する頭部に所定のゴム層を一体加硫成形し
て、ストツパ部を形成せしめ、その後、この得ら
れた一体加硫成形品に対して外筒部材を組み付け
て、流体室を形成するようにしたことにある。

また、第二の発明の要旨とするところは、側方
に突出する頭部とそれを支持する脚部とを備えた
支持部材と、所定の質量を有するマス部材とを用
い、該支持部材を内筒部材に一体的に固設すると
共に、該内筒部材に固設された支持部材の頭部と
所定の間隙を隔てて対向するようにマス部材をセ
ツトして、それら支持部材が固設された内筒部材
とマス部材とに対してゴム材料の加硫成形操作を
行なつて、ゴム弾性体を該内筒部材に一体加硫成
形すると同時に、該支持部材の脚部に所定のゴム
層を一体加硫成形し、さらに該支持部材の頭部と
該マス部材との間に、それらを弾性的に連結する
所定の連結ゴム層を一体加硫成形し、また該マス
部材の外筒部材に対向する面を含む部位に所定の
ゴム層を形成せしめて、前記ストツパ部を形成せ
しめ、その後、この得られた一体加硫成形品に対
して外筒部材を組み付けて、流体室を形成するよ
うにしたことにある。

（作用・効果） 前述の如き、支持部と延出部とからなるストツ
パ部を備えた流体封入式防振ブツシユを、前記第
一の発明手法に従つて製造すれば、ゴム弾性体
と、ストツパ部と外筒部材との当接の際の衝撃を
緩和するためのゴム層とを、同時に成形すること
ができるのであり、従つて径方向に入力される低
周波振動および高周波振動を共に良好に減衰乃至
は遮断することのできる流体封入式防振ブツシユ
の生産性を大幅に向上させて、その製造コストを
低減することが可能になるのである。

また、支持部と延出部とからなるストツパ部を
備えた流体封入式防振ブツシユを第二の発明手法
に従つて製造するようにすれば、上記第一の発明
手法を採用した場合と同様、ゴム弾性体と、スト
ツパ部と外筒部材との当接の際の衝撃を緩和する
ためのゴム層とを、同時に成形できることは勿
論、所定の質量を有するマス部材と支持部材の頭
部とを連結ゴム層を介して同時に連結させること
ができるのであり、従来よりも更に広い周波数域
の入力振動を良好に減衰乃至は遮断することので
きる流体封入式防振ブツシユを良好な生産性をも
つて製造することができるのである。

すなわち、第二の発明手法に従つて製造される
流体封入式防振ブツシユによれば、マス部材の共
振によるダンパ作用に基づいて、そのマス部材の
固有振動数に対応した周波数域の入力振動を良好
に減衰乃至は遮断することができるのであり、従
つてその分、従来よりも広い周波数域の入力振動
に対して良好な減衰乃至は遮断効果を発揮させる
ことができるのである。

（実施例） 以下、本発明をより一層具体的に明らかにする
ために、その実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。なお、ここでは、FF車の円筒型エンジン
マウントの製造に本発明を適用した場合について
述べるが、本発明がそれ以外の流体封入式防振ブ
ツシユの製造についても適用できることは、勿論
である。

先ず、第１図及び第２図には、第一の発明手法
に従つて製造されるFF車の円筒型エンジンマウ
ントの一例が示されている。

それらの図において、１０および１２は、それ
ぞれ、内筒部材としての内筒金具と外筒部材とし
ての外筒金具であつて、マウント径方向（ブツシ
ユ径方向）に所定量偏心して配置されており、そ
れらの間に介装された略半円筒状のゴム弾性体１
４によつて弾性的に連結されている。そして、本
実施例のエンジンマウントは、内筒金具１０にお
いて車体側またはエンジンを含むパワーユニツト
側に取り付けられる一方、外筒金具１２において
パワーユニツト側または車体側に取り付けられ
て、パワーユニツトを車体に対して防振支持せし
めるようになつている。

なお、ゴム弾性体１４は、内筒金具１０と外筒
金具１２との偏心方向の離間距離の大きい側にお
いてそれら両金具１０，１２間に介装せしめられ
ており、それら両金具１０，１２の偏心方向の離
間距離の小さい側には、マウント軸心方向に貫通
する状態で、略円弧状断面の空所１６が形成され
ている。また、内筒金具１０と外筒金具１２と
は、通常、パワーユニツトの重量の負荷によつて
同心的に位置せしめられることとなる。

前記ゴム弾性体１４は、内筒金具１０に対して
一体加硫接着せしめられている。また、ゴム弾性
体１４の外周面の軸心方向の両端部には、それぞ
れ、前記空所１６を内包する状態で、略円筒状の
一対のシールスリーブ１８，１８が一体加硫接着
されており、かかるシールスリーブ１８，１８に
対して前記外筒金具１２が流体密に嵌着されてい
る。なお、ゴム弾性体１４は、図示されているよ
うに、空所１６側にまわり込んだ所定厚さのゴム
層２０と一体に成形されている。

ゴム弾性体１４には、シールスリーブ１８，１
８間の間隙を開口部とする状態で、所定深さのポ
ケツト部２２が形成されている。また、前記空所
１６に臨むシールスリーブ１８，１８の部位に
は、シールスリーブ１８，１８間の間隙を内側か
ら閉塞する状態で、ゴム弾性体１４と一体に成形
された袋状のゴム弾性膜２４が加硫接着されてお
り、これにより、該空所１６に臨むシールスリー
ブ１８，１８間の間隙を開口部とする状態で、所
定深さの凹所２６が形成されている。そして、こ
こでは、かかるポケツト部２２と凹所２６の開口
部が前記外筒金具１２によつて流体密に閉塞され
ることにより、それらポケツト部２２および凹所
２６をそれぞれ流体収容空間とする受圧室２８お
よび平衡室３０が形成されており、それら受圧室
２８および平衡室３０内に、水、ポリアルキレン
グリコール、シリコーン油等の所定の非圧縮性流
体が封入されている。なお、図中、３２は、シー
ルスリーブ１８の外周面に対してゴム弾性体１４
と一体に成形されたシールゴム層であり、ここで
は、シールスリーブ１８と外筒金具１２との間で
かかるシールゴム層３２が挟圧されることによ
り、受圧室２８と平衡室３０との流体密性が確保
されている。

一方、ゴム弾性体１４の外周面の周方向の両端
部には、前記ポケツト部２２と凹所２６とをそれ
ぞれ連通せしめる状態で、且つシールスリーブ１
８，１８間の間隙を開口部とする状態で、一対の
周溝３４，３４が形成されている。そして、ここ
では、周方向の両端部をそれら周溝３４，３４に
それぞれ嵌入せしめられた状態で、外周面に周方
向の溝を有する半円筒状の一対の絞り通路形成部
材３６，３８が配設されており、これにより、そ
れら絞り通路形成部材３６，３８の溝部内空間を
流体通路とする所定長さの螺旋状の絞り通路４０
が形成されている。つまり、ここでは、前記受圧
室２８と平衡室３０とが、かかる絞り通路形成部
材３６，３８と外筒金具１２との間に形成された
螺旋状の絞り通路４０によつて連通せしめられて
いるのであり、受圧室２８および平衡室３０内の
非圧縮性流体がこの絞り通路４０を通じて相互に
流動し得るようにされているのである。

なお、ここでは、かかる絞り通路４０が低い周
波数にチユーニングされており、この絞り通路４
０を流動する非圧縮性流体の液柱共振作用に基づ
いて、エンジンシエイク等の低周波数域の入力振
動が効果的に減衰せしめられるようになつてい
る。

ところで、前記内筒金具１０には、その軸心方
向の中央部に位置して、支持部材としての支持金
具４２が固設されている。この支持金具４２は、
所定厚さの長手矩形状の金属板が曲折されて形成
されたものであつて、その金属板の長手方向の中
央部が湾曲されて形成した円筒部４４と、その円
筒部４４の両側の金属板部分が円筒部４４の径方
向外方に曲折されて重ね合わされ、相互に溶接固
定された所定長さの重ね合わせ部４６と、その重
ね合わせ部４６の更に外側の金属板の両端部分が
重ね合わせ部４６から互いに離間する方向に略直
角に曲折されて形成された所定長さの翼部４８と
から成つており、重ね合わせ部４６が前記受圧室
２８内に前記内筒金具１０と外筒金具１２との偏
心方向に平行に延び出す状態で、円筒部４４にお
いて内筒金具１０に嵌挿されて固設されている。

そして、ここでは、かかる支持金具４２の重ね
合わせ部４６を取り巻くように、ゴム層５０が前
記ゴム弾性体１４と一体に形成されており、これ
により、内筒金具１０と外筒金具１２とのマウン
ト径方向における一定以上の相対移動を阻止する
ためのストツパ部５２の支持部５４が形成されて
いる。また、かかる支持金具４２の翼部４８に
は、絞り通路形成部材３６と対向する面、すなわ
ち外筒金具１２と対向する面を覆う状態で、かか
る支持金具４２の翼部４８と絞り通路形成部材３
６との当接の際の衝撃を緩和するための緩衝ゴム
層５６がゴム層５０と一体に形成されており、こ
れにより、前記支持部５４から側方に延び出すス
トツパ部５２の延出部５８が形成されて、受圧室
２８がかかる延出部５８によつてブツシユ径方向
に略２分されていると共に、かかる延出部５８と
受圧室２８の内壁との間に環状の狭窄部６０が形
成されている。

内筒金具１０と外筒金具１２とがそれらの偏心
方向に相対移動すると、受圧室２８内の非圧縮性
流体が狭窄部６０を通じてブツシユ径方向に流動
し得るようにされているのであり、かかる狭窄部
６０を流動する非圧縮性流体の液柱共振作用に基
づいて、その狭窄部６０のチユーニング周波数に
対応した周波数域の入力振動が良好に遮断せしめ
られるようになつているのである。

なお、ここでは、かかる狭窄部６０が比較的高
い周波数域にチユーニングされており、この狭窄
部６０を流動する非圧縮性流体の液柱共振作用に
基づいて、こもり音やエンジン透過音等の比較的
高い周波数域の入力振動が良好に遮断せしめられ
るようになつている。

また、前述の説明から明らかなように、ここで
は、支持金具４２の重ね合わせ部４６が支持部材
の脚部を構成していると共に、支持金具４２の翼
部４８が支持部材の頭部を構成している。

ところで、このような構造の円筒型エンジンマ
ウントは、例えば、次のようにして製造される。

すなわち、上述の如き構造の円筒型エンジンマ
ウントの製造に際しては、先ず、内筒金具１０の
軸心方向の中央部に対して、前述の如き構造の支
持金具４２がその円筒部４４において嵌挿されて
固定される。そして、かかる支持金具４２が固設
された内筒金具１０と前記一対のシールスリーブ
１８，１８とが所定の成形型内にセツトされ、か
かる成形型内にゴム材料が注入されて、前記ゴム
弾性体１４、ゴム層２０、ゴム弾性膜２４、シー
ルゴム層３２，３２、ゴム層５０および緩衝ゴム
層５６が同時に且つ一体に加硫成形せしめられ
る。

次いで、かかる加硫成形操作によつて得られた
一体加硫成形品の前記シールスリーブ１８，１８
に対し、必要に応じて八方絞り加工が施された
後、その一体加硫成形品に対して前記絞り通路形
成部材３６，３８が所定の非圧縮性流体中で組み
付けられ、更に前記外筒金具１２がその非圧縮性
流体中で外挿されて、前記受圧室２８および平衡
室３０が形成される。そして、その一体加硫成形
品に外挿された外筒金具１２に対して必要に応じ
て八方絞り加工が施された後、その外筒金具１２
の軸心方向の両端部に対してロールカシメ加工が
施されて、前述の如き構造の円筒型エンジンマウ
ントが製造される。

以上説明したように、本実施例手法に従えば、
流体室である受圧室２８および平衡室３０を画成
するゴム弾性体１４およびゴム弾性膜２４の成形
と同時にストツパ部５２の緩衝ゴム層５６を成形
することができるのであり、ゴム弾性体１４およ
びゴム弾性膜２４の成形とは別途に緩衝ゴム層５
６の成形を行なう従来手法に比べて、前述の如
き、エンジンシエイク等の低周波振動およびこも
り音やエンジン透過音等の高周波振動を共に良好
に減衰乃至は遮断する機能を備えた円筒型エンジ
ンマウントを、良好な生産性をもつて製造するこ
とができるのである。

また、本実施例手法によれば、受圧室２８と平
衡室３０との流体密性を確保するためのシールゴ
ム層３２，３２もゴム弾性体１４の成形と同時に
成形されるようになつており、エンジンマウント
の製造に際して、全てのゴム成形部が同時に成形
せしめられるようになつているため、この意味に
おいてもエンジンマウントの生産性が向上すると
いつた利点がある。

次に、本発明の別の実施例を第３図および第４
図に基づいて説明する。

なお、第３図および第４図は、第二の発明に従
つて製造されるFF車用円筒型エンジンマウント
の一例を示すものであるが、かかるエンジンマウ
ントは、前記実施例手法に従つて製造されるエン
ジンマウントとはストツパ部５２の構造が異なる
だけで、他の部分は前記実施例手法に従つて製造
されるエンジンマウントと略同様の構造を有して
いる。

すなわち、本実施例手法に従つて製造されるエ
ンジンマウントでは、第３図および第４図に示さ
れているように、支持金具４２の重ね合わせ部４
６および翼部４８が前記実施例手法に従つて製造
されるエンジンマウントのそれらよりもそれぞれ
若干短くされており、その支持金具４２の翼部４
８の外筒金具１２と対向する面に、所定厚さの連
結ゴム層６２を介して、翼部４８と平面形状が略
同形状の所定の質量を有するマス部材６４が連結
されている。そして、そのマス部材６４の外筒金
具１２と対向する面を所定厚さで覆う状態で、且
つマス部材６４のブツシユ周方向の両端面からそ
れぞれ側方に所定寸法延び出す状態で、緩衝ゴム
層５６が形成されており、かかる緩衝ゴム層５６
と受圧室２８の内壁との間に環状の狭窄部６０が
形成されている。なお、支持金具４２の重ね合わ
せ部４６は、前記実施例と同様のゴム層５０で覆
われている。

つまり、ここでは、支持金具４２の重ね合わせ
部４６にゴム層５０が一体に形成されると共に、
支持金具４２の翼部４８に連結ゴム層６２を介し
てマス部材６４が連結されて、ストツパ部５２の
支持部５４が形成されているのであり、またマス
部材６４のブツシユ周方向両端面から側方に延び
出させられた緩衝ゴム層５６のゴム部分によつて
ストツパ部５２の延出部５８が構成されているの
である。

なお、上述のように、マス部材６４を支持金具
４２に対して連結ゴム層６２を介して弾性的に連
結すれば、マス部材６４の共振によるダンパ作用
に基づいて、そのマス部材６４の固有振動数に対
応した周波数域の入力振動を良好に減衰乃至は遮
断することができるのであり、従つてそのマス部
材６４の固有振動数を絞り通路４０および狭窄部
６０のチユーニング周波数とは異なる周成数に設
定することにより、従来よりも更に広い周波数域
の振動に対して良好な減衰乃至は遮断効果を発揮
させることで可能になるのである。

ところで、かかる構造の円筒型エンジンマウン
トの製造に際しては、前記実施例手法と同様に、
支持金具４２が固設された内筒金具１０に対して
ゴム材料の加硫成形操作が行なわれることとなる
が、その際、支持金具４２が固設された内筒金具
１０と一対のシールスリーブ１８，１８とに加え
て、前記マス部材６４が支持金具４２の翼部４８
と所定の距離を隔てて対向する状態で成形型内に
セツトされ、その状態で前記実施例手法と同様の
ゴム材料の加硫成形操作が行なわれて、前記各ゴ
ム成形部が同時に且つ一体に成形される。そし
て、このようにして得られた一体加硫成形品に対
して、前記実施例と同様に、絞り通路形成部材３
６，３８および外筒金具１２が組み付けられて、
前述の如き円筒型エンジンマウントが製造され
る。

円筒型エンジンマウントをこのようにして製造
すれば、前述のように、ストツパ部５２と絞り通
路形成部材３６との当接の際の衝撃を緩和するた
めの緩衝ゴム層５６、並びにマス部材６４を支持
金具４２の翼部４８に連結するための連結ゴム層
６２を、ゴム弾性体１４等の他のゴム成形部と同
時に且つ一体に成形することができるのであり、
それら緩衝ゴム層５６と連結ゴム層６２とをゴム
弾性体１４等の他のゴム成形部と別途に成形する
手法に比べて、ゴム材料の加硫成形操作を極めて
簡略化できるのである。そしてそれ故、前述の如
き、従来よりも広い周波数域の入力振動に対して
良好な減衰乃至は遮断効果を発揮することのでき
る円筒型エンジンマウントを、良好な生産性をも
つて、安価に製造することができるのである。

なお、以上の実施例では、何れも、受圧室２８
および平衡室３０の流体密性を確保するためのシ
ールゴム層３２，３２がシールスリーブ１８，１
８側に形成されるものとして述べたが、そのよう
なシールゴム層は外筒金具１２側に形成させるこ
とも可能である。このようにしても、本発明の目
的は一応達成されるのである。

また、以上の実施例では、一枚の金属板が曲折
されて支持部材としての支持金具４２が形成され
ていたが、支持部材としては金属ブロツクを加工
して形成したものを採用することも可能であり、
また脚部と頭部とを別部材として形成すると共
に、それら別部材として形成した脚部と頭部とを
適当な固定手段で一体的に組み付けたものを支持
部材として採用することも可能である。

さらに、第二の実施例では、マス部材６４に加
硫成形された緩衝ゴム層５６の一部がストツパ部
５２の延出部５８を構成するようになつていた
が、マス部材６４としてストツパ部５２の支持部
５４よりも平面形状の大きいものを採用し、スト
ツパ部５２の支持部５４から側方に突出したマス
部材６４の外周縁部を延出部５８とさせるように
することも可能であり、あるいは支持部材の頭部
である支持金具４２の翼部４８をマス部材６４乃
至はそのマス部材６４の周縁部に固着されたゴム
層よりも側方に突出させて、延出部５８とさせる
ようにすることも可能である。

また、本発明手法は、ゴム弾性体１４が円筒状
をなし、絞り通路４０で連通せしめられる流体室
が何れもゴム弾性体１４内に形成されて、それら
流体室の容積変化がゴム弾性体の弾性変形によつ
て行なわれる形式のエンジンマウントの製造に
も、適用することが可能である。なお、このよう
な形式のエンジンマウントでは、前記実施例と同
様のストツパ部５２を２つの流体室内に設けるよ
うな構造を採用することが可能であるが、そのよ
うな構造のエンジンマウントの製造についても本
発明を適用することが可能である。

その他、具体例を一々列挙することは割愛する
が、本発明が、その趣旨を逸脱しない範囲内で、
当業者の有する知識に基づいて、種々なる変更、
修正、改良等を施した態様で実施できることは、
言うまでもないところである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明手法に従つて製造される円筒
型エンジンマウントの一例を示す縦断面図（第２
図における−断面図）であり、第２図は、そ
の横断面図（第１図における−断面図）であ
る。第３図は、本発明手法に従つて製造される円
筒型エンジンマウントの別の一例を示す縦断面図
（第４図における−断面図）であり、第４図
は、その横断面図（第３図における−断面
図）である。 １０：内筒金具（内筒部材）、１２：外筒金具
（外筒部材）、１４：ゴム弾性体、１８：シールス
リーブ、２４：ゴム弾性膜、２８：受圧室、３
０：平衡室、３２：シールゴム層、３６，３８：
絞り通路形成部材、４０：絞り通路、４２：支持
金具（支持部材）、４６：重ね合わせ部（脚部）、
４８：翼部（頭部）、５２：ストツパ部、５４：
支持部、５６：緩衝ゴム層、５８：延出部、６
０：狭窄部、６２：連結ゴム層、６４：マス部
材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内筒部材と外筒部材との間にゴム弾性体を介
   装させて、それらを弾性的に連結すると共に、そ
   れら内筒部材と外筒部材との間に、周方向に隔て
   て複数の流体室を形成し、且つ該複数の流体室を
   連通せしめる絞り通路を設けて、該複数の流体室
   内に封入された所定の非圧縮性流体がかかる絞り
   通路を通じて流動するようにする一方、前記流体
   室の少なくとも１つの内部に、前記内筒部材側か
   ら所定高さで延びる支持部と、該支持部の先端側
   部分から側方に延び出す延出部とからなるストツ
   パ部を設けて、該ストツパ部の延出部により、前
   記流体室をブツシユ径方向に略２分して該流体室
   の内壁との間で所定の狭窄部を形成せしめ、非圧
   縮性流体が前記絞り通路および該狭窄部を通じて
   流動することに基づいて、前記内筒部材と外筒部
   材との間に入力される振動を減衰乃至は遮断する
   ようにした流体封入式防振ブツシユを製造するに
   際して、 側方に突出する頭部とそれを支持する脚部とを
   備えた支持部材を用い、該支持部材を前記内筒部
   材に一体的に固設した後、該支持部材を固設した
   内筒部材に対してゴム材料の加硫成形操作を行な
   つて、前記ゴム弾性体を該内筒部材に一体加硫成
   形すると同時に、該支持部材の前記脚部並びに前
   記外筒部材に対向する前記頭部に所定のゴム層を
   一体加硫成形して、前記ストツパ部を形成せし
   め、その後、この得られた一体加硫成形品に対し
   て前記外筒部材を組み付けて、前記流体室を形成
   するようにしたことを特徴とする流体封入式防振
   ブツシユの製造方法。 ２ 前記支持部材を所定の板材にて一体に構成し
   てなる特許請求の範囲第１項記載の製造方法。 ３ 内筒部材と外筒部材との間にゴム弾性体を介
   装させて、それらを弾性的に連結すると共に、そ
   れら内筒部材と外筒部材との間に、周方向に隔て
   て複数の流体室を形成し、且つ該複数の流体室を
   連通せしめる絞り通路を設けて、該複数の流体室
   内に封入された所定の非圧縮性流体がかかる絞り
   通路を通じて流動するようにする一方、前記流体
   室の少なくとも１つの内部に、前記内筒部材側か
   ら所定高さで延びる支持部と、該支持部の先端側
   部分から側方に延び出す延出部とからなるストツ
   パ部を設けて、該ストツパ部の延出部により、前
   記流体室をブツシユ径方向に略２分して該流体室
   の内壁との間で所定の狭窄部を形成せしめ、非圧
   縮性流体が前記絞り通路および該狭窄部を通じて
   流動することに基づいて、前記内筒部材と外筒部
   材との間に入力される振動を減衰乃至は遮断する
   ようにした流体封入式防振ブツシユを製造するに
   際して、 側方に突出する頭部とそれを支持する脚部とを
   備えた支持部材と、所定の質量を有するマス部材
   とを用い、該支持部材を前記内筒部材に一体的に
   固設すると共に、該内筒部材に固設された支持部
   材の頭部と所定の間隙を隔てて対向するように前
   記マス部材をセツトして、それら支持部材が固設
   された内筒部材とマス部材とに対してゴム材料の
   加硫成形操作を行なつて、前記ゴム弾性体を該内
   筒部材に一体加硫成形すると同時に、該支持部材
   の脚部に所定のゴム層を一体加硫成形し、さらに
   該支持部材の頭部と該マス部材との間に、それら
   を弾性的に連結する所定の連結ゴム層を一体加硫
   成形し、また該マス部材の前記外筒部材に対向す
   る面を含む部位に所定のゴム層を形成せしめて、
   前記ストツパ部を形成せしめ、その後、この得ら
   れた一体加硫成形品に対して前記外筒部材を組み
   付けて、前記流体室を形成するようにしたことを
   特徴とする流体封入式防振ブツシユの製造方法。 ４ 前記支持部材を所定の板材にて一体に構成し
   てなる特許請求の範囲第３項記載の製造方法。