JP4011779B2 - 現像装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法を利用した記録方法に用いられる現像装置及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報に記載されている如く多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き転写材(記録材)にトナー画像を転写した後、加熱,圧力,加熱加圧或いは溶剤蒸気により転写材に定着し、トナー画像を得るものである。
【0003】
上述の最終工程であるトナー画像を転写材としてのシートに定着する工程に関して種々の方法や装置が開発されている。現在最も一般的な方法は熱ローラー又は耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱方式である。
【0004】
加熱ローラーによる圧着加熱方式は、トナーに対し離型性を有する熱ローラーの表面と被定着シートのトナー画像面を加圧下で接触しながら被定着シートを通過せしめることによりトナー画像の定着を行なうものである。この方法は熱ローラーの表面と被定着シート上のトナー画像とが加圧下で接触するため、トナー画像を被定着シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うことができる。
【0005】
加熱ローラー表面とトナー画像とが溶融状態、加圧下で接触する為に、トナー画像の一部が定着ローラー表面に付着し転移し、次の被定着シートにこれが再転移し、被定着シートを汚すという所謂オフセット現象が定着速度及び定着温度の影響を大きく受ける。一般に定着速度が遅い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的低く設定され、定着速度が速い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的高く設定される。これは、トナーを定着させる為に加熱ローラーからトナーに与える熱量を、定着速度によらずほぼ一定にするためである。
【0006】
被定着シート上のトナー画像は、何層かのトナー層を形成している為、特に定着速度が速く、加熱ローラーの表面温度が高い系においては、加熱ローラーに接触するトナー層と、被定着シートに接触している最下層のトナー層との温度差が大となる。したがって、加熱ローラーの表面温度が高い場合には、最上層のトナーが加熱ローラーに転移してしまう高温オフセットという現象を起こしやすく、加熱ローラーの表面温度が低い場合は、最下層のトナーは十分に溶けない為に、被定着シートにトナーが定着せず低温オフセットという現象が起きやすい。
【0007】
この問題を解決するために、定着速度が速い場合には、定着時の圧力を上げ、被定着シートへトナーをアンカーリングさせることが、通常行われている。この方法だと、加熱ローラー温度をある程度下げることができ、最上トナー層の高温オフセット現象を防ぐことは可能となる。しかし、トナーにかかるせん断力が非常に大となる為に、被定着シートが定着ローラーに巻き付いてしまう、所謂巻き付きオフセット現象が発生したり、定着ローラーから被定着シートを分離するために使用する分離爪の分離あとが定着画像に出現しやすい。さらには、圧力が高いがゆえに、定着時にライン画像が押しつぶされたり、トナーが飛び散ったりして定着画像の画像劣化を生じ易い。
【0008】
従来、トナー用結着樹脂としてはポリエステル樹脂及びスチレン系樹脂の如きビニル系共重合体が主に使用されている。
【0009】
ポリエステル樹脂は低温定着性に優れた性能を有しているが、その反面高温でのオフセット現象を発生しやすいという問題点を有している。この問題点を補うためにポリエステル樹脂の分子量を上げて粘弾性特性を改良する試みが行なわれてきたが、この場合には低温定着性を損なうという問題点があり、また、トナー製造時の粉砕性についても悪化させてしまいトナーの微粒子化にも適さない結着樹脂となってしまう。
【0010】
スチレン系樹脂の如きビニル系共重合体は、トナー製造時の粉砕性に優れ、高分子量化が容易なため耐高温オフセット性には優れているが、低温定着性を向上させるために低分子量化したり、ガラス転移温度を下げたりと耐ブロッキング性や現像性が悪化してしまうという問題点があった。
【0011】
これら2種類の樹脂の長所を有効に生かし、欠点を補うためにこれらの樹脂を混合して使用する方法もいくつか検討されている。
【0012】
例えば、特開昭54−114245号公報では、ポリエステル樹脂とビニル系共重合体を混合した樹脂を含有するトナーが開示されている。しかしながら、ポリエステル樹脂とビニル系共重合体とは化学的な構造が大きく異なるために相溶性が悪く、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性をすべて満足するものとするのは難しい。
【0013】
さらに、トナー製造時に添加される種々の添加剤、特にワックスの均一分散が困難でありトナーの定着性能ばかりでなく、現像性にも問題が生じやすく、特に近年、微粒子化が進んでいるトナーにおいてはこの問題が顕著となる。
【0014】
特開昭56−116043号公報及び特開昭58−159546号公報では、ポリエステルル樹脂の存在下で単量体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0015】
特開昭58−102246号公報及び特開平1−156759号公報では、不飽和ポリエステル存在下でビニル系共重合体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0016】
特公平8−16796号公報では、特定の酸価を有するポリエステル樹脂と特定の酸価と分子量を有するスチレン系樹脂をエステル化したブロック共重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0017】
特開平8−54753号公報では、結着樹脂が縮重合系樹脂及びビニル系樹脂からなり、特定のクロロホルム不溶分及び特定の分子量範囲にピークを有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0018】
上述の結着樹脂では、縮重合系樹脂と付加重合系樹脂とは安定した相分離状態を維持することができる。しかし、これらの結着樹脂を用いたトナーでは耐高温オフセット性はある程度改善されるが、トナーの低温定着性は未だ不十分であり、トナーにワックスが含有される場合にはワックスの分散状態を制御することが困難である。トナーとした場合には低温定着性ばかりでなく、現像性においても未だ改良すべき課題を残している。
【0019】
特開昭62−195681号公報及び特開昭62−195682号公報は、ビニル系樹脂をポリエステル樹脂に対して、特定量含有するビニル系樹脂含有ポリエステル樹脂よりなる電子写真用現像剤組成物に関して記載している。
【0020】
しかしながら、これらの電子写真用現像剤組成物において用いられている結着樹脂は、ポリエステル樹脂にビニル系樹脂が分散・混合されている混合物であり、低温定着性と耐高温オフセット性を満足することは困難である。
【0021】
一方、複写機、プリンターともに画像の解像度及び鮮鋭度の向上が求められている。これにはトナーの小粒径化が有効である。小粒径化したトナーでは相対的にトナーに含有される着色剤(磁性体)が多くなり、トナーの低温定着性を維持するのは困難となり、また現像性も従来以上に厳しい制約を受けることになる。
【0022】
トナーの低温定着性の低下は、ハーフトーン部において顕著である。本発明者の検討によれば、ハーフトーン部の画像を形成するトナーの載り量がベタ黒部に比較して相対的に少ないことによるものであり、熱ロール定着器を使用する中〜高速機及び耐熱フィルムを介した固定発熱ヒーターによる圧着加熱定着方式を使用する中〜低速機において顕著である。
【0023】
更に、電子写真技術を利用したプリンター、複写機及びFAXの如き記録装置は、小型化、高速化及び高耐久の要求が強まっている。その中で、一旦オフセットしたトナーが熱ロール定着方式での熱ロールと対向する加圧ローラーに、或いは、圧着加熱方式での耐熱フィルムと対向する加圧ローラーに、付着・蓄積していく「加圧ローラー汚れ」という現象がある。この現象が進み、蓄積量が多くなると、紙が加圧ローラーに巻き付き、ジャムの原因になる。他方、小型化のために、オフセットしたトナーを取り除くクリーニング部材をはずして、定着器の簡素化、及び、高耐久性を実現させたいという要求がある。したがって、上述したジャムの発生を抑制し、且つ上述した要求の実現のために、この加圧ローラー汚れの改良が求められる。
【0024】
その一方で、グラフィック画像のさらなる高品位化の要求も強まってきている。グラフィック画像の品質の一つの観点とした、ベタ画像における画像濃度の一様性がある。
【0025】
このベタ画像における濃度の一様性に関して、一成分現像方式においては、図18に示すようにハーフトーンのベタ画像をプリントした際にベタ画像上にその直前にプリントした画像がトナー担持体の周期で現れる「スリーブゴースト」と呼ばれる現象があり、グラフィック画像の品質を低下させるケースがある。そこで、グラフィック画像の高品位化の点で、「スリーブゴースト」の改良が求められている。
【0026】
一方、上述の現像装置としては、トナー粒子相互の摩擦、トナー担持体としての現像スリーブとトナー粒子との摩擦、及び現像スリーブ上のトナー塗布量を規制する部材とトナー粒子との摩擦により、トナー粒子に正或いは負の電荷を与え、このトナーを現像スリーブ上に極めて薄く塗布して感光ドラムと現像スリーブとが対向した現像領域に搬送し、現像領域においてトナーを感光ドラム表面の静電潜像に飛翔・付着して現像し、静電潜像をトナー像として顕像化するものが知られている。
【0027】
上述の方式の現像に用いられる現像剤担持体としては、例えば金属、その合金又はその化合物を円筒状に成型し、その表面を電解・ブラスト・ヤスリ等で所定の表面粗度になるように処理したものが用いられる。しかしこの場合、規制部材によって現像剤担持体表面に形成される現像剤層中の現像剤担持体表面近傍に存在する現像剤は非常に高い電荷を有することとなり、担持体表面に鏡映力により強烈に引きつけられてしまい、これによりトナーと担持体との摩擦機会が持てなくなるため、現像剤は好適な電荷を持てなくなる。このような状況下では、十分な現像及び転写は行われず、画像濃度ムラや文字飛び散り等の多い画像となってしまう。
【0028】
このような過剰な電荷を有する現像剤の発生や現像剤の強固な付着を防止するため、樹脂中にカーボン、グラファイトの如き導電性物質や固体潤滑剤を分散させた被膜を上記現像剤担持体上に形成する方法が特開平1−277256号公報、特開平3−36570号公報等に提案されている。
【0029】
しかし、近年では省エネのための現像剤の低温定着化及び高精細画像形成のための小粒径化が望まれているため、このような機種においては上記方法だけでは不十分である。例えば現像剤の低温定着化のため、現像剤のTgをより低目に設定したり、ワックスなどの低融点物質を多目に添加したりする傾向にあるため、本体の昇温等に影響され、現像剤が現像剤担持体上に融着しやすくなり、その結果画像濃度低下・白筋・ブロッチ等が発生する。また、特開平1−112253号公報、特開平2−284158号公報等には、高画質化、高精細化のために粒径の小さいトナーを用いることが提案されている。このような粒径の小さいトナーでは単位重量当りの表面積が大きくなるため、表面電荷が大きくなりやすく、所謂チャージアップ現象によりトナーが現像剤担持体に固着し、その結果新たに現像剤担持体上に供給された現像剤が帯電されにくくなり、現像剤の帯電量が不均一となりやすく、画像上にスリーブゴーストが発生しやすくベタやハーフトーンなどの画像がスジ状画像、モヤ状画像など不均一になりやすい。
【0030】
また複写機やLBPにおいては、コピーやプリントの生産性を向上させるため、より高速処理の機種が開発されつつある。このような高速化された機種においては、特開平1−277256号公報等に記載されるような方法だけでは、性能を十分に満たすことができない場合が多い。
【0031】
その理由のひとつとして、耐久による現像剤担持体被覆層表面の表面粗さの低下が挙げられる。前記公報に記載の技術の範囲では、高速対応、高耐久(高寿命)対応において不十分であり、担持体表面粗さが低下していく結果、トナーの搬送量が低下し十分な画像濃度が得られないとか、トナー帯電量が不均一となりスリーブゴーストが発生してしまうとかベタ画像やハーフトーン画像にムラが発生してしまうといった現象が発現してしまう場合が多い。
【0032】
現像剤担持体被覆層表面の表面粗さを維持する方法として、例えば特開平3−200986に記載されるように、球状の粒子を添加して担持体表面に凹凸を形成する方法がある。しかし、該公報で開示されるような球状の樹脂粒子を用いた場合、高速対応、高耐久(高寿命)対応の環境下においては樹脂粒子自体が絶縁性を有するために、この粒子が導電性樹脂層の削れにより被覆層表面に露出した場合、この部分にトナーを引きつけやすく又トナーが付着しやすく、これら付着トナーをきっかけとして被覆層表面にトナー融着が広がっていく現象が見られる。その場合、現像剤担持体表面にトナー成分が付着しているため現像用トナーの帯電付与が不十分であったり、画像にスジ等が発生したりという低速、低耐久枚数のレベルでは問題とならなかったような現象が発生する。
【0033】
特に、高速機の場合、本体の昇温や、現像剤担持体(スリーブ)自体の回転による昇温が大きくなってくるために、さらには、トナーの定着性向上のための低温定着成分を多く利用することにも伴って、上記現象が促進される傾向にある。
【0034】
一方、導電性である金属粒子や金属酸化物などの真密度の大きい粒子を添加した場合においては、添加量の割には被覆層中の存在確率が低く、また結着樹脂中での分散が不均一となる傾向がある。特に、製造時、塗料塗布などの流動化させた状態で現像剤担持体表面層を形成する場合においては、塗料としてもさらに樹脂層としても、樹脂との比重差(真密度の違い)が大きく、分散が不均一となり、所望の性能が発揮できないという欠点がある。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決した現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0036】
本発明の目的は、ワックスが結着樹脂中に均一に分散されたトナーを用いた現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0037】
本発明の目的は、着色剤(特に磁性体)の含有量が増大した小粒径化したトナーの結着樹脂に使用した場合でも、良好なハーフトーン部の定着性を示す現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0038】
本発明の目的は、熱ロール定着器を使用する高速機及び耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱方式を使用する中〜低速機であっても良好な低温定着性を示し、かつ高温までオフセットが生じることのない広い定着温度領域を示す現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0039】
本発明の目的は、スリーブゴーストのない高品位なグラフィック画像が得られるトナーを用いた現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0040】
本発明の目的は、ワックスの種類、添加量によらずトナーの定着性及び現像性に悪影響することのない分散状態に制御したトナーを用いた現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0041】
本発明の目的は、該トナーを使用する際、現像装置中のトナーの過剰帯電を防止し、かつトナーの帯電を高めに保持させ、また現像剤担持体上への融着が発生しにくく、それらの結果から生じる画像濃度低下・白筋・ブロッチ等が起こりにくい現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0042】
本発明の目的は、高温高湿下・低温低湿下においても良好な画像が得られる現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0043】
本発明の目的は、耐久性の高い現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0044】
すなわち本発明の目的は、長期耐久においても安定した画像が得られる現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0045】
本発明の他の目的は、長期耐久においてもスリーブゴーストの発生や画像ムラの発生がなく、現像スジやブロッチなどの発生しない現像装置及びそれを利用した画像形成方法を提供することにある。
【0046】
【課題を解決するための手段】
本発明は、現像容器内に収容されたトナーを有する現像剤を現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上にトナー層厚規制部材により現像剤層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像剤により現像し、可視像化する現像装置において、
▲1▼前記トナーは少なくとも着色剤、結着樹脂及びワックスを含有し、
該結着樹脂が、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂との反応生成物を少なくとも含み、該結着樹脂は、
(a)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、及び、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリッド樹脂成分を含み、
(b)テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、THF可溶成分を50乃至85重量%(W1)含有し、THF不溶成分を15乃至50重量%(W2)含有し、
(c)酢酸エチルを溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、酢酸エチル可溶成分を40乃至98重量%(W3)含有し、酢酸エチル不溶成分を2乃至60重量%(W4)含有し、
(d)クロロホルムを溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、クロロホルム可溶成分を55乃至90重量%(W5)含有し、クロロホルム不溶成分を10乃至45重量%(W6)含有し、
(e)W4/W6の値が1.1乃至4.0であり、
(f)THF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量分布において、分子量4000乃至9000の領域にメインピークを有し、分子量500乃至1万未満の領域の成分が35.0乃至65.0%(A1)であり、分子量1万乃至10万未満の領域の成分が25.0乃至45.0%(A2)であり、分子量10万以上の成分が10.0乃至30.0%(A3)であり、A1/A2の値が1.05乃至2.00であり、
▲2▼前記現像剤担持体は基体及び該基体上に設けられた被覆層を有し、該被覆層は、少なくとも結着樹脂と、該結着樹脂中に分散された個数平均粒径0.3〜30μm且つ真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子を含有することを特徴とする現像装置に関する。
【0047】
さらに本発明は、現像容器内に収容されたトナーを有する現像剤を現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上にトナー層厚規制部材により現像剤層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像剤により現像し、現像画像を形成する現像工程;
該静電潜像保持体上に形成された現像画像を中間転写体を用いてまたは用いずに記録材に転写する転写工程;及び
該記録材に転写された現像画像を加熱定着手段により該記録材に加熱定着する定着工程;
を有する画像形成方法において、
▲1▼前記トナーは、結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有しており、
該結着樹脂は、
(a)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、及び、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリッド樹脂成分を含み、
(b)テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、THF可溶成分を50乃至85重量%(W1)含有し、THF不溶成分を15乃至50重量%(W2)含有し、
(c)酢酸エチルを溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、酢酸エチル可溶成分を40乃至98重量%(W3)含有し、酢酸エチル不溶成分を2乃至60重量%(W4)含有し、
(d)クロロホルムを溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、クロロホルム可溶成分を55乃至90重量%(W5)含有し、クロロホルム不溶成分を10乃至45重量%(W6)含有し、
(e)W4/W6の値が1.1乃至4.0であり、
(f)THF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量分布において、分子量4000乃至9000の領域にメインピークを有し、分子量500乃至1万未満の領域の成分が35.0乃至65.0%(A1)であり、分子量1万乃至10万未満の領域の成分が25.0乃至45.0%(A2)であり、分子量10万以上の成分が10.0乃至30.0%(A3)であり、A1/A2の値が1.05乃至2.00であり、
▲2▼前記現像剤担持体は基体及び該基体上に設けられた被覆層を有し、該被覆層は、少なくとも結着樹脂と、該結着樹脂中に分散された個数平均粒径0.3〜30μm且つ真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子を含有することを特徴とする画像形成方法に関する。
【0048】
【発明の実施の形態】
{トナー}
本発明者の検討によれば、着色剤(特に磁性体)の含有量が増加した小粒径化したトナーであっても、定着器の加熱方式によらずハーフトーン画像でも良好な低温定着性を示し、高温オフセットの発生温度が高く、オフセットし難いトナーを得るためには、トナーの結着樹脂が特定の複数の溶媒に選択的に溶解する組成と分子量を有する成分を一定量含有することが重要である。
【0049】
従来は、トナーの結着樹脂に含有されるテトラヒドロフラン、クロロホルムあるいは酢酸エチルのいずれか一種類の溶媒に不溶な樹脂成分を定量するものであり、トナーの高温オフセット発生温度とはある程度対応をとることができるが、トナーの定着性ばかりでなく、トナーの現像性にも多大な影響を及ぼす可能性のあるトナーに含有されるワックスの分散状態を評価する観点からの評価ではない。
【0050】
本発明者の検討によれば、テトラヒドロフラン(THF)は本発明のトナーに含有される結着樹脂のビニル系重合体ユニットに対して良好な溶媒であるが、ポリエステルユニットに対しては必ずしも良好な溶媒ではない。THFに不溶な成分を定量することは、ポリエステル樹脂中の極めて大きな分子量を有する成分または高度に架橋された成分とハイブリッド樹脂成分中のポリエステルユニットの割合が相対的に多い成分とを定量することである。このTHFに不溶な成分は、トナーの低温定着性を評価することができる。更に、より良好な低温定着性を達成するためにはTHFに可溶な成分が特定の分子量及び分子量成分を有することが重要である。
【0051】
酢酸エチルは、本発明のトナーに含有される結着樹脂のポリエステルユニットに対して良好な溶媒であるが、ビニル系重合体ユニットに対しては必ずしも良好な溶媒ではない。酢酸エチルに不溶な成分を定量することは、ビニル系樹脂中の極めて大きな分子量を有する成分または高度に架橋された成分とハイブリッド樹脂成分中のビニル系重合体ユニットの割合が相対的に多い成分とを定量することである。酢酸エチル不溶成分中には、クロロホルムに溶解する成分とクロロホルムに不溶な成分とが含まれている。この酢酸エチルに不溶な成分は、トナーの定着性ばかりでなくトナーに安定した現像性(例えば、画像濃度、カブリ等の環境依存性)を付与するのに重大な影響を与えるワックスの分散状態を評価することができる。
【0052】
クロロホルムは、本発明のトナーに含有される結着樹脂のビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのいずれに対しても良好な溶媒である。クロロホルムに不溶な成分を定量することは、ビニル系樹脂中の極めて大きな分子量を有する成分または高度に架橋された成分と、ポリエステル樹脂中の極めて大きな分子量を有する成分または高度に架橋された成分とハイブリッド樹脂成分中の極めて大きな分子量を有する成分または高度に架橋された成分とを定量することである。この様なハイブリッド樹脂成分中の極めて大きな分子量を有する成分または架橋された成分は、トナーの高温オフセット発生温度と密接に関係するが、更には、トナーが感光体上に固着する融着あるいはブレード等のクリーニング部材によりトナーがクリーニングされない等の現象(クリーニング不良)とこれに伴う画像欠陥の発生とも関係する。
【0053】
従って、トナーの結着樹脂に含有される酢酸エチル不溶成分とクロロホルム不溶成分の比は、単純にワックスの分散及び耐高温オフセットのバランスを示すだけではなく、トナーが画像欠陥を発生することなく安定な現像性を示すための指標となる。
【0054】
本発明において、結着樹脂は、THF不溶分(W2)を15乃至50重量%含有していることが良く、好ましくは20乃至45重量%、更に好ましくは25乃至40重量%含有することが良い。THF不溶分の含有量が15重量%未満となる場合には、トナーの高温オフセット発生温度が低くなり耐ホットオフセット性に問題が生じるばかりでなく、トナーの保存性も悪化する場合があり好ましくない。THF不溶分の含有量が50重量%超となる場合には、トナーの低温定着性が悪化する場合があり好ましくない。
【0055】
本発明において、結着樹脂は、酢酸エチル不溶分(W4)を2乃至60重量%含有していることが良く、好ましくは5乃至50重量%、更に好ましくは10乃至40重量%含有することが良い。酢酸エチル不溶分の含有量が2重量%未満となる場合には、トナーの耐ホットオフセット性に問題が生じ、トナーに含有されるワックスの分散状態を制御するのが困難となり、耐久により画像濃度が低下する場合があり好ましくない。酢酸エチル不溶分の含有量が60重量%超となる場合には、トナーの低温定着性に問題が生じ、耐久によりカブリ濃度が高くなる場合があり好ましくない。
【0056】
本発明において、結着樹脂は、クロロホルム不溶分(W6)を10乃至45重量%含有することが良く、好ましくは15乃至40重量%、更に好ましくは17乃至37重量%含有することが良い。クロロホルム不溶分の含有量が10重量%未満となる場合には、耐ホットオフセット性に問題が生じるばかりでなく、耐久によりトナーが感光体上に融着する現象が発生する場合があり好ましくない。クロロホルム不溶分の含有量が45重量%超となる場合には、トナーの低温定着性に問題が生じるばかりでなく、耐久により感光体上のトナーがクリーニングされにくくなる場合があり好ましくない。
【0057】
酢酸エチル不溶分(W4)とクロロホルム不溶分(W6)との比(W4/W6)の値は、1.1乃至4.0であるこどが良く、好ましくは1.2乃至3.5、更に好ましくは1.5乃至3.0であることが良い。比(W4/W6)が1.1未満あるいは4.0超となるいずれの場合においても耐久により画像濃度が低下する。
【0058】
さらに、本発明においては、結着樹脂は、(i)THF不溶分(W2)を含有しており、THF不溶分(W2)は、さらにクロロホルム不溶分(W6A)をA重量%(結着樹脂の重量基準で)含有しており、(ii)酢酸エチル不溶分(W4)を含有しており、酢酸エチル不溶分(W4)は、さらにクロロホルム不溶分(W6B)をB重量%(結着樹脂の重量基準で)含有している。
【0059】
このTHF不溶成分(W2)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6A)の含有量と酢酸エチル不溶成分(W4)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6B)の含有量とが、下記条件を満足することが好ましく、
3重量%≦W6A≦25重量%
7重量%≦W6B≦30重量%
10重量%≦W6A+W6B≦45重量%
W6A:W6B=1:1〜3
さらに好ましくは、下記条件を満足することが良い。
【0060】
5重量%≦W6A≦20重量%
10重量%≦W6B≦25重量%
15重量%≦W6A+W6B≦40重量%
W6A:W6B=1:1.5〜2.5
【0061】
THF不溶分(W2)がクロロホルム不溶分(W6A)を3重量%未満含有している場合には、トナーの耐高温オフセット性が損なわれるばかりでなく、トナ一の耐久による画像濃度が低下する場合があり好ましくない。
【0062】
THF不溶分(W2)がクロロホルム不溶分(W6A)を25重量%より多く含有している場合には、トナーの低温定着性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0063】
酢酸エチル不溶分(W4)がクロロホルム不溶分(W6B)を7重量%未満含有している場合には、トナーの耐高温オフセット性が損なわれるばかりでなく、トナーの耐ブロッキング性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0064】
酢酸エチル不溶分(W4)がクロロホルム不溶分(W6B)を30重量%より多く含有している場合には、トナーの低温定着性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0065】
THF不溶分(W2)が含有しているクロロホルム不溶分(W6A)の含有量と酢酸エチル不溶分(W4)が含有しているクロロホルム不溶分(W6B)の含有量との合計量(W6A+W6B)は、結着樹脂のクロロホルム不溶分(W6)の含有量に相当するものであり、よって、合計量(W6A+W6B)の上下限から外れる場合には、上述した酢酸エチル不溶分(W6)の含有量の上下限から外れる場合と同様の結果となる。
【0066】
さらにTHF不溶分(W2)が含有しているクロロホルム不溶分(W6A)の含有量と酢酸エチル不溶分(W4)が含有しているクロロホルム不溶分(W6B)の含有量との比率が1:1未満の場合には、トナーの耐高温オフセット性が損なわれるばかりでなく、トナーの耐ブロッキング性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0067】
1:3超の場合には、トナーの低温定着性が損なわれるばかりでなく、耐久により画像濃度が低下する場合があり好ましくない。
【0068】
THF可溶分は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークを分子量4000乃至9000の領域に有しており、好ましくは、分子量5000乃至8500の領域に有しており、更に好ましくは、分子量5000乃至8000の領域に有していることが良い。メインピークを分子量4000未満の領域に有する場合には、トナーの耐ホットオフセット性が悪化する場合があり、メインピークを分子量9000超の領域に有する場合にはトナーの低温定着性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0069】
分子量500乃至1万未満の領域の成分(A1)は、35.0乃至65.0%含有されていることが良く、好ましくは37.0乃至60.0%、更に好ましくは40.0乃至55.0%含有されていることが良い。分子量500乃至1万未満の領域の成分の含有量が、35.0%未満となる場合にはトナーの低温定着性が悪化する場合があり、65.0%超となる場合にはトナーの保存性が悪化する場合があり好ましくない。
【0070】
分子量1万乃至10万未満の領域の成分(A2)は、25.0乃至45.0%含有されていることが良く、好ましくは27.0乃至42.0%、更に好ましくは30.0乃至40.0%含有されていることが良い。分子量1万乃至10万未満の領域の成分の含有量が、25.0%未満となる場合にはトナーの耐ホットオフセット性が悪化する場合があり、45.0%超となる場合にはトナーの低温定着性が悪化する場合があり好ましくない。
【0071】
分子量10万以上の領域の成分(A3)は、10.0乃至30.0%含有されていることが良く、好ましくは12.0乃至25.0%、更に好ましくは15.0乃至22.0%含有されていることが良い。分子量10万以上の領域の成分の含有量が10.0%未満となる場合にはトナーの耐ホットオフセット性が悪化する場合があり、30.0%超となる場合にはトナーの低温定着性が悪化する場合があり好ましくない。
【0072】
比(A1/A2)の値は1.05乃至2.00であることが良く、好ましくは1.10乃至1.90、更に好ましくは1.15乃至1.80であることが良い。比(A1/A2)が1.05未満となる場合にはトナーの低温定着性が悪化する場合があり、2.00超となる場合にはトナーの耐ホットオフセット性が悪化する場合があり好ましくない。
【0073】
本発明において、結着樹脂を合成する際に用いるポリエステル樹脂を合成するためのモノマーとビニル系モノマーとの仕込比は、ポリエステル樹脂を合成するためのモノマー100重量部に対して、ビニル系モノマー10乃至100重量部、好ましくは15乃至80重量部、さらに好ましくは20乃至70重量部であることが良い。
【0074】
本発明のトナーに含有される結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0075】
従って、本発明において、ハイブリッド樹脂成分のビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットとは、
【0076】
【化5】
を介して結合するものである。
【0077】
本発明のトナーに含有される結着樹脂は、ビニル系重合体ユニット中の全カルボン酸エステルのポリエステルユニットとの反応率、すなわちグラフト化率がビニル系重合体に含有される(メタ)アクリル酸エステルを基準にして、好ましくは10乃至60モル%、より好ましくは15乃至55モル%、更に好ましくは20乃至50モル%含有することが良い。グラフト化率が10モル%未満となる場合にはビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットの相溶性が悪化し、ワックスの分散性も悪化することがあり好ましくなく、60モル%超となる場合には相対的に分子量の大きな成分が増大する結果、トナーの低温定着性が悪化する場合があり好ましくない。
【0078】
酢酸エチルに不溶な成分(W4)は、ポリエステル樹脂成分(Gp)を40乃至98重量%含有していることが良く、好ましくは50乃至95重量%、更に好ましくは60乃至90重量%含有していることが良い。ポリエステル樹脂成分(Gp)含有量が40重量%未満となる場合には、トナーの定着性が悪化する可能性があり好ましくなく、98重量%超となる場合には、炭化水素系ワックスとの相溶性が悪くなりやすく好ましくない。
【0079】
酢酸エチルに溶解する成分(W3)は、ポリエステル樹脂成分(Sp)を20乃至90重量%含有していることが良く、好ましくは25乃至85重量%、更に好ましくは30乃至80重量%含有していることが良い。ポリエステル樹脂成分(Sp)の含有量が20重量%未満となる場合には、炭化水素系ワックスがトナーに含有される結着樹脂全体で均一に分散されるために定着性が改良されず、90重量%超となる場合には、炭化水素系ワックスとの相溶性が悪くなりやすく局在化が生じ、ホットオフセットが発生しやすい。
【0080】
比(Sp/Gp)は、0.5乃至1.0であることが良く、好ましくは0.6乃至0.95、更に好ましくほ0.65乃至0.9であることが良い。比(Sp/Gp)が0.5未満となる場合及び比(Sp/Gp)が1.0超となる場合には、いずれも酢酸エチルに不溶な成分と溶解する成分とが均一に混合されず、トナーの現像性が悪化する場合があり好ましくない。
【0081】
酢酸エチルに溶解する成分(W3)は、重量平均分子量(Mw)が20万以上、Mw/Mnが30以上であることが良く、好ましくはMwが30万乃至200万、Mw/Mnが50乃至300であり、更に好ましくはMwが40万乃至150万、Mw/Mnが80乃至250である。Mwが20万未満又はMw/Mnが30未満になる場合には、トナーの現像性が悪くなる場合があり好ましくない。
【0082】
本発明においては、トナーの結着樹脂全体の酸価(AV1)は、7〜40mgKOH/gであればよいが、好ましくは10〜37mgKOH/g、より好ましくは15〜35mgKOH/g、さらに好ましくは17〜30mgKOH/gであることが良い。
【0083】
さらに、トナーの酢酸エチル可溶分(W3)の酸価(AV2)は、10〜45mgKOH/gであればよいが、好ましくは15〜45mgKOH/g、より好ましくは17〜40mgKOH/g、さらに好ましくは20〜35mgKOH/gであることが良い。
【0084】
このトナーの結着樹脂全体の酸価(AV1)とトナーの酢酸エチル可溶分(W3)の酸価(AV2)との比(AV1/AV2)は、好ましくは0.7〜2.0、より好ましくは0.9〜1.7、さらに好ましくは1.0〜1.5であることが良い。
【0085】
トナーの結着樹脂全体の酸価(AV1)が7mgKOH/g未満の場合及び40mgKOH/gを超える場合、ともに耐久によって画像濃度が低下する場合があり好ましくない。
【0086】
トナーの酢酸エチル可溶分(W3)の酸価(AV2)が、10mgKOH/g未満の場合にはトナーの耐高温オフセット性が損なわれる場合があり好ましくなく、45mgKOH/gを超える場合にはトナーの低温定着性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0087】
AV1/AV2の値が0.7未満の場合には耐久による画像濃度が低下する場合があり好ましくなく、2.0を超える場合にはトナーの耐高温オフセット性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0088】
本発明のトナーにおいて、ポリエステルユニットは、好ましくは、式(1)乃至(4)で表わせる2価のカルボン酸、式(5)で表せる1価のカルボン酸または式(6)で表わせる1価のアルコールの少なくとも1種以上を含有するものである。
【0089】
【化6】
[式中、R1は炭素数14以上の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基を表わし、R3,R4,R5及びR6は水素原子、炭素数3以上の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基を表わし、同一の置換基であってもよいが、同時に水素原子になることはなく、R7及びR8は炭素数12以上の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基を表し、nは12乃至40の整数を表わす。]
【0090】
式(1)で表せる化合物としては、例えば、下記化合物(1−1)〜(1−6)が挙げられる。
【0091】
【化7】
【0092】
式(2)で表わせる化合物としては、例えば、下記化合物(2−1)〜(2−4)が挙げられる。
【0093】
【化8】
【0094】
式(3)で表わせる化合物としては、例えば、下記化合物(3−1)〜(3−3)が挙げられる。
【0095】
【化9】
【0096】
式(4)で表わせる化合物としては、例えば、下記化合物(4−1)〜(4−2)が挙げられる。
【0097】
【化10】
【0098】
式(5)で表わせる化合物としては、例えば、下記化合物(5−1)〜(5−5)が挙げられる。
【0099】
【化11】
【0100】
式(6)で表わせる化合物としては、例えば、下記化合物(6−1)〜(6−5)が挙げられる。
【0101】
【化12】
【0102】
本発明に用いられるポリエステル樹脂のモノマーとしては以下のものが挙げられる。
【0103】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記(7−1)式で表わされるビスフェノール誘導体及び下記(7−2)式で示されるジオール類が挙げられる。
【0104】
【化13】
【0105】
【化14】
【0106】
酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0107】
ビニル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
【0108】
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
【0109】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0110】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0111】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のポリエステルユニットは、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物、または、三価以上の多価アルコールで架橋された架橋構造を有しているものである。三価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物または低級アルキルエステル等が挙げられ、三価以上の多価アルコールとしては、例えば、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、へキサントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられるが、好ましくは1,2,4ベンゼントリカルボン酸及びその酸無水物である。
【0112】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
【0113】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;が挙げられる。
【0114】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100重量部に対して、0.01〜10重量部(更に好ましくは0.03〜5重量部)用いることができる。
【0115】
これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0116】
本発明ではビニル系共重合体成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0117】
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0118】
本発明のビニル系共重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレ−ト、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパ−オキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパ−オキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
【0119】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0120】
(1)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去するものであり、好ましくは、このブレンド工程でワックスを添加して製造される。なお、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されるエステル化合物を用いることができる。
【0121】
(2)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することがでさる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0122】
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニッ卜との反応により製造される。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0123】
(4)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0124】
(5)ハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0125】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0126】
上記(1)乃至(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニッ卜を使用することができる。
【0127】
上記の(1)〜(6)の製造方法の中でも、特に(3)の製造方法が、ビニル系重合体ユニットの分子量制御が容易であり、ハイブリッド樹脂成分の生成を制御することができ、かつワックスを添加する場合にはその分散伏態を制御できる点で好ましい。
【0128】
本発明のワックスを含有するトナーの示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、好ましくは温度70乃至160℃、より好ましくは温度70乃至140℃、さらに好ましくは75乃至140℃、最も好ましくは80乃至135℃の領域に吸熱メインピークを有することがトナーの低温定着性及び耐オフセット性の点で良い。
【0129】
さらに好ましくは、ワックスを含有するトナーは、示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、温度80〜155℃、好ましくは90〜130℃の領域に吸熱メインピーク及び吸熱サブピーク又は吸熱ショルダーを有していることが低温定着性,耐オフセット性及び耐ブロッキング性の点で好ましい。
【0130】
トナーのDSC曲線において、温度70乃至160℃の領域に明瞭な吸熱ピークを形成するためには、使用するワックスが限定される。後述の示差走査熱量計による温度30〜200℃の範囲におけるワックスのDSC曲線において、最大吸熱ピークに対応する温度をワックスの融点と定義すると、ワックスとしては、融点が好ましくは70〜160℃、より好ましくは75〜160℃、さらに好ましくは75〜140℃、最も好ましくは80〜135℃であるものが使用される。
【0131】
このようなワックスとしては、例えば、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;それら脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス及びモンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類;プラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0132】
本発明において好ましく用いられる低融点ワックス成分としては、分岐の少ない長鎖アルキル基を有する炭化水素からなり、具体的には例えばアルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素・水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などのワックスがよい。更に、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行なったものがより好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されたもの、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、あるいはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られる。
【0133】
本発明において好ましく用いられる高融点ワックス成分としては、分岐の少ない長鎖アルキル基を有する炭化水素からなり、具体的には例えばアルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素・水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などのワックスがよい。それ以外の好ましく用いられるワックスとしては、水酸基、カルボキシル基等の置換機を有する置換アルキルワックスがある。
【0134】
さらに、本発明者らは、上記のハイブリッド樹脂成分を有する結着樹脂と組合わせて用いるワックスとして、下記式(A),(B)または(C)
【0135】
【化15】
【0136】
で示される長鎖アルキル化合物を用いることにより、トナー中で長鎖アルキル化合物が良好に分散し得ることを見い出した。
【0137】
本発明で用いられる式(A),(B)及び(C)で表せる長鎖アルキル化合物は、疎水性のアルキル基と親水性の水酸基及びカルボキシル基を有するために、ポリエステルユニット及び無極性ワックスである炭化水素系ワックス、ポリオレフィンワックスの両者との相溶性が良好である。
【0138】
従って、式(1)乃至(5)で表せるカルボン酸あるいはアルコールと同様に、本発明で用いられるハイブリッド樹脂成分と組み合わせた場合にワックスの分散状態を制御することが可能となり、特に混練工程でワックスを添加してトナーを製造する場合には効果的である。
【0139】
本発明者の検討によれば、ハイブリッド樹脂成分と式(A),(B)または(C)で表せる長鎖アルキル化合物を組み合わせて使用する場合、ソックスレー抽出でテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル及びクロロホルムに不溶な成分を定量することにより、前述した様にトナーの低温定着性、現像性及び耐高温オフセット性を評価することができる。更にテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル及びクロロホルムの各溶媒に不溶な成分に含有されるワックス量を知ることにより、ワックスの分散状態に関する知見を得ることができる。
【0140】
ワックスの分散状態は、ビニル系重合体及びポリエステルユニットを有しているハイブリッド樹脂成分に含有されるワックス量と、トナー粒子に含有されるワックス量(H)を比較することにより評価することができる。
【0141】
本発明者の検討によれば、テトラヒドロフラン(THF)に不溶な成分(W2)に含有されるワックスは主にポリエステルユニットの含有量が相対的に多いハイブリッド樹脂成分に分散されているワックス量(H1)に相当し、酢酸エチルに不溶な成分(W4)に含有されるワックスは主にビニル系重合体ユニットの含有量が相対的に多いハイブリッド樹脂成分に分散されているワックス量(H2)に相当し、クロロホルムに不溶な成分(W6)に含有されるワックスは主に極めて大きな分子量を有する成分または架橋されたハイブリッド樹脂成分に含有されているワックス量(H3)に相当するものと考えられる。
【0142】
従って、トナー粒子に含有されるワックスの分散状態は、トナー粒子及びテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、クロロホルムの各溶媒に不溶な成分に含有されるワックス量比(H:H1:H2:H3)で評価できる。
【0143】
本発明のトナーにおいて、比(H:H1:H2:H3)は1:0.6:0.6:0.6乃至1:2:2:2となれば良いが、好ましくは1:0.7:0.7:0.7乃至1:1.7:1.7:1.7となる場合であり、さらに好ましくは1:0.8:0.8:0.8乃至1:1.5:1.5:1.5となる場合である。
【0144】
もし、比(H:H1:H2:H3)のH1,H2及びH3が0.6未満となる場合には、ワックスがビニル系重合体ユニットあるいはポリエステルユニットのどちらかとの相溶性が強く、偏在する傾向があるか、またはワックスの分散粒径が小さいことを示す。比(H:H1:H2:H3)のH1,H2及びH3が2超となる場合には、ワックスがビニル系重合体ユニットあるいはポリエステルユニットのいずれとの相溶性が悪く、ワックスの分散粒径が大きいことを示し、いずれの場合にも低温定着性、耐高温オフセット性及び耐高温ブロッキング性のいずれかに問題が生じる場合があり好ましくない。
【0145】
一般的に、トナーの低温での定着性は、溶媒に溶解する分子量の低い樹脂組成物と関係付けられ、高温でのオフセット発生は溶媒に不溶である樹脂組成物と関係付けられ、相互に補完することで定着性と耐ホットオフセット性を両立している。
【0146】
換言すれば、低温でのトナー定着性は、溶媒に不溶である樹脂組成物の存在で阻害される可能性がある。本発明のトナーの結着樹脂に含有される酢酸エチルに不溶であるポリエステル樹脂成分は、式(A),(B)又は(C)の長鎖アルキル化合物と良好な相溶性を示すことにより選択的に相互作用し分散状態を安定化する。それと同時にトナーが加熱定着される際には溶融した式(A),(B)又は(C)の長鎖アルキル化合物により効率的に軟化し、定着性を阻害することが少なく、良好な定着性と耐ホットオフセット性を達成できる。
【0147】
上記の長鎖アルキル化合物(A)を得るには、例えばエチレンをチーグラー触媒を用いて重合し、重合終了後、酸化して触媒金属とポリエチレンとのアルコキシドを生成する。この後、加水分解することにより、式(A)に示す長鎖アルキルアルコールを得る。さらにこの長鎖アルキルアルコールをエポキシ基を有する物質と反応させることにより、上記の式(B)で示される長鎖アルコキシアルコールを得る。この様にして得られた長鎖アルキルアルコールは、共に分岐が少なく、さらに、分子量分布がシャープなものが、本発明の目的に沿ったものである。
【0148】
上記の式(C)の長鎖炭化水素化合物は、式(A)で示される長鎖炭化水素化合物を酸化することにより得られる。
【0149】
式(A)、(B)及び式(C)に示される化合物において、平均値xは35〜150が好ましい。xが35未満の場合は潜像保持体に融着が発生したり、トナーの保存安定性が低下する。xが150より大きい場合は、式(A)、(B)又は(C)の長鎖アルキル化合物の極性基と結着樹脂中の酢酸エチルに不溶な成分(G)との相互作用が小さくなり、スリーブゴーストの改良の効果が低下する。平均値yは5以下が好ましい。yが5より大きいと、融点が低くなり、潜像保持体に融着が発生しやすいからである。同様の理由でRはH或いはC1〜C10の炭化水素基が好ましい。
【0150】
さらに、本発明に用いられる長鎖アルキル化合物は、数平均分子量Mnが150〜2500、重量平均分子量Mwが250〜5000、Mw/Mnが3以下であることが好ましい。
【0151】
Mnが150未満又はMwが250未満の場合には、潜像保持体融着が発生したり、トナーの保存安定性が低下する。Mnが2500を超える又はMwが5000を超える場合には、式(A)、(B)又は(C)の長鎖アルキル化合物中の極性基と結着樹脂中の酢酸エチルに不溶な部分(G)との相互作用が小さくなりスリーブゴーストの改良効果が小さくなる。
【0152】
本発明に用いられる長鎖アルキル化合物(A)及び(B)は、OH価が、好ましくは2〜150mgKOH/g、より好ましくは10〜120mgKOH/gであることが良い。長鎖アルキル化合物(A)及び(B)のOH価が2mgKOH/g未満である場合は、式(A)、(B)又は(C)の長鎖アルキル化合物中の極性基が少なく結着樹脂中の酢酸エチルに不溶な成分(G)との相互作用が小さくなりスリーブゴーストの改良効果が小さくなる。長鎖アルキル化合物(A)及び(B)のOH価が、150mgKOH/gより大きい場合は、OH基の電荷密度の偏りが大きくなり、結着樹脂中のOH基の電荷密度の偏りよりも大きくなるため、コピー画像において、初期から濃度の低い低画質のものあるいは、初期の濃度は高くても、コピーを続けてゆくうちに次第に濃度が低下してゆく現象が出現しやすい。さらに、OH価が150mgKOH/gより大きい場合は、長鎖アルキルアルコールの分子量の低いものが多く含まれるため、トナーが潜像保持体に融着しやすくなり、さらに、保存安定性も低下する。
【0153】
本発明に用いられる長鎖アルキル化合物(C)は、酸価が、好ましくは2〜150mgKOH/g、より好ましくは5〜120mgKOH/gであることが良い。酸価が2mgKOH/g未満の場合は、式(C)の長鎖アルキル化合物中の極性基が少なく、結着樹脂中の酢酸エチルに不溶な成分(G)との相互作用が小さくなりスリーブゴーストの改良効果が小さい。酸価が150mgKOH/gより大きい場合には、低分子量のものが多く含まれるため、トナーが潜像保持体に融着しやすく、保存安定性も低下する。
【0154】
本発明のトナーに含有される式(A)、(B)又は(C)の長鎖アルキル化合物を含有するトナーは、示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、温度70〜140℃の領域に吸熱メインピークを有することがトナーの低温定着性及び耐オフセット性の点で好ましい。
【0155】
長鎖アルキル化合物は、より好ましくは、示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、温度80〜135℃の領域に吸熱メインピークを有することが好ましい。さらに好ましくは、示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、温度90〜130℃の領域に吸熱メインピーク及び吸熱サブピーク又は吸熱ショルダーを有していることが低温定着性、耐オフセット性及び耐ブロッキング性の点で好ましい。
【0156】
これら長鎖アルキル化合物を単独で用いる場合は、結着樹脂100重量部当たり、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部使用するのが好ましい。
【0157】
長鎖アルキル化合物を他のワックスと併用する場合は、この使用総量を、結着樹脂100重量部当たり0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部使用するのが好ましい。
【0158】
本発明のトナーでは、ある特定な結着樹脂とある特定な長鎖アルキル化合物とともに少なくとも、炭化水素ワックス、若しくは石油系ワックスを含有することが好ましい。これらワックスの存在により定着器で発生する加圧ローラー汚れが改良される。本発明者は、加圧ローラー汚れ現象について鋭意検討したところ、この現象は、単にオフセットするトナーの量に依存するものではなく、加圧ローラーとの付着性・離型性が、重要な因子であることがわかった。
【0159】
本発明者らは、この付着性・離型性という点に着目し、さらに検討を進めた結果、本発明の特定の結着樹脂、及び、特定の長鎖アルキル化合物及び炭化水素ワックス若しくは、石油系ワックスを組み合わせることにより、加圧ローラー汚れが改良できることを見い出した。
【0160】
極性をほとんど有しない炭化水素ワックスもしくは石油系ワックスは、本発明の結着樹脂中の酢酸エチルに不溶な成分(G)に主に分散する。
【0161】
これらワックスは本発明のトナーに若干の極性を有する上記式(A)、(B)又は(C)で示される長鎖アルキル化合物との相互作用により、酢酸エチルに不溶な成分(G)における、その存在の様態が従来になかった様な状態になり、加圧ローラーに対する離型性が向上する。これにより、加圧ローラー汚れが改良されるものと考えている。
【0162】
本発明に含有できる炭化水素ワックスとしては、具体的には例えばエチレンやプロピレンの如きアルキレンを高圧下でラジ力ル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などのワックスが用いられる。更に、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別を行なったものがより好ましく用いられる。
【0163】
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムの如き石油より分離されたワックスが使用される。
【0164】
本発明における炭化水素ワックス、石油系ワックスは実質的に官能基を有しない。実質的とは、官能基の数が1分子あたり0.1個以下であるものを指す。
【0165】
本発明において使用される炭化水素ワックスもしくは石油系ワックスは、ワックスを含有するトナーの示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、温度70〜140℃の領域に吸熱メインピークを有することが、トナーの低温定着性及び耐オフセット性の点で好ましい。
【0166】
より好ましくは、炭化水素ワックスもしくは石油系ワックスを含有するトナーは、示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において温度80〜135℃の領域に吸熱メインピークを有することが好ましい。さらに好ましくは、ワックスを含有するトナーは、示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、温度90〜130℃の領域に吸熱メインピーク及び吸熱サブピーク又は吸熱ショルダーを有していることが低温定着性、耐オフセット性、加圧ローラー汚れ防止及び耐ブロッキング性の点で好ましい。
【0167】
炭化水素ワックス及び石油系ワックスは、GPCで測定したその分子量分布から求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.0〜3.0であるものが好ましい。炭化水素ワックス及び石油系ワックスがこの範囲を満たす場合、加圧ローラー汚れの改良の効果がより大きい。
【0168】
本発明において用いられる炭化水素ワックス若しくは石油系ワックスの含有量(Y)としては、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部使用するのが好ましい。また、上記式(1)、(2)又は(3)で示される長鎖アルキル化合物の含有量(X)と炭化水素ワックス若しくは石油系ワックスの含有量(Y)は、下記条件
X/Y=0.02〜50
を満たしていることが好ましい。
【0169】
X/Yが0.02未満及び50を超える場合は、加圧ローラー汚れの改良の効果が小さくなってしまう。
【0170】
本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いても良い。荷電制御剤は、結着樹脂100重量部当たり好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部使用するのが好ましい。
【0171】
荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
【0172】
現像剤を負荷電性に制御するものとして、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。
【0173】
一方、正荷電性に制御するものとして、例えばニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;含窒素複素環化合物としては、イミダゾール、イミダリン、イミダゾロン、ピラゾリン、ピラゾール、ピラゾロン、オキサゾリン、オキサゾール、オキサゾロン、チアゾリン、チアゾール、チアゾロン、セレナゾリン、セレナゾール、セレナゾロン、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾセレナゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、オキサジン、チアジン、テトラジン、ポリアザイン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、イソインドール、インダゾール、カルバゾール、キノリン、ピリジン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キナキサリン、フタラジン、プリン、ピロール、トリアゾール、フェナジン等の含窒素複素環基を有する化合物が挙げられる。
【0174】
これらは単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。上述した荷電制御剤は微粒子状として用いることが好ましく、この場合これらの荷電制御剤の個数平均粒径は4μm以下さらには3μm以下が特に好ましい。
【0175】
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0176】
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0177】
これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2μm、より好ましくは0.1〜0.5μmであり、795kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性が抗磁力1.5〜12kA/m(20〜150エルステッド)、飽和磁化50〜200Am2/kg(50〜200emu/g)、好ましくは50〜100Am2/kg(50〜100emu/g)、残留磁化2〜20Am2/kg(2〜20emu/g)のものが好ましい。
【0178】
結着樹脂100重量部に対して、磁性体10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部使用するのが良い。
【0179】
本発明に用いられる磁性体としては、球形度(ψ)が0.8以上の磁性酸化鉄を使用することが好ましい。球形度(ψ)が0.8以上の磁性酸化鉄がトナー中に存在することで、磁性酸化鉄がトナー粒子表面に適度に露出し易くなり、トナーの帯電性が安定し、スリーブゴーストの改良に効果があると考えられる。
【0180】
本発明で使用する磁性酸化鉄はケイ素元素を含有することが好ましく、さらには磁性酸化鉄のケイ素元素の含有率が鉄元素を基準として0.2〜4重量%であり、該磁性酸化鉄の鉄元素溶解率が20重量%までに存在するケイ素元素の含有量Bと該磁性酸化鉄のケイ素元素の全含有量Aとの比(B/A)×100が44〜84%であり、該磁性酸化鉄の表面に存在するケイ素の含有量Cと該含有量Aとの比(C/A)×100が10〜55%であることが、より好ましい。磁性酸化鉄がケイ素元素を含有し、さらに好ましくは上記の条件を満たすように存在することで、よりスリーブゴーストの改良に効果がある。
【0181】
本発明に係わるケイ素元素を有する磁性酸化鉄粒子は、例えば下記方法で製造される。
【0182】
第一鉄塩水溶液に所定量のケイ酸化合物を添加した後に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウムのごときアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHを7以上(好ましくは8〜10)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
【0183】
次に、種晶を含むスラリー状の液に、前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜10に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のpHを調整することにより、磁性酸化鉄粒子の表層及び表面にケイ酸化合物を所定量偏在させることが好ましい。
【0184】
添加に用いるケイ酸化合物は、市販のケイ酸ソーダ等のケイ酸塩類、加水分解等で生じるゾル状ケイ酸等のケイ酸が例示される。なお本発明に悪影響を与えない限り、硫酸アルミ、アルミナのその他の添加剤を加えても良い。
【0185】
水溶液法による磁性酸化鉄の製造において、第一鉄塩水溶液の濃度は反応時の粘度の上昇を防ぐため、また硫酸鉄の溶解度の関係により、鉄濃度0.5〜2mol/リットルが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また反応に際しては空気量が多いほど、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0186】
上述の製造方法によりケイ酸成分を有する磁性酸化鉄粒子を生成し、その磁性酸化鉄粒子をトナーに使用することが好ましい。
【0187】
本発明において、磁性酸化鉄粒子表面のケイ素元素の含有量Cは、次のような方法によって求めることが出来る。例えば、5リットルのビーカーに約3リットルの脱イオン水を入れ50〜60℃になるようにウォーターバスで加温する。約400mlの脱イオン水でスラリーとした磁性酸化鉄粒子約25gを約300mlの脱イオン水で水洗しながら、該脱イオン水と共に5リットルビーカー中に加える。
【0188】
次いで温度を約60℃、撹拌スピードを約200rpmに保ちながら、特級水酸化ナトリウムを加え約1規定の水酸化ナトリウム溶液として、磁性酸化鉄粒子表面のケイ酸の如きケイ素化合物の溶解を開始する。溶解開始から30分後に20mlサンプリングし、0.1μmメンブランフィルターで濾過し、濾液を採取する。濾液をプラズマ発光分光(ICP)によってケイ素元素の定量を行う。
【0189】
次式によって各サンプルごとの鉄元素溶解率が計算される。
【0190】
【数1】
【0191】
各サンプルごとのケイ素元素の含有率及び含有量は、次式によって計算される。
【0192】
【数2】
【0193】
磁性酸化鉄粒子のケイ素元素の全含有量Aは、全て溶解した後の磁性酸化鉄粒子の単位重量当たりのケイ素元素濃度(mg/リットル)に相当する。
【0194】
磁性酸化鉄粒子のケイ素元素の含有量Bは、磁性酸化鉄粒子の溶解率が20%の場合に、検出される磁性酸化鉄粒子の単位重量当たりのケイ素元素濃度(mg/リットル)に相当する。磁性酸化鉄粒子の溶解率が20%という状態は、磁性酸化鉄の表面付近のみが塩酸により溶解した状態であり、この時のケイ素元素の含有量Bは磁性酸化鉄の表面近くに存在しているケイ素元素の量を示している。
【0195】
ケイ素元素の含有量A、B及びCを測定する方法としては、(1)磁性酸化鉄の試料を2つに分けて、ケイ素元素の含有率及び含有量A及びBを測定する一方で、含有量Cを別途測定する方法と、(2)磁性酸化鉄の試料の含有量Cを測定し、測定後の試料を使用して次いで含有量B’(含有量Bから含有量Cを引いた量)および含有量A’(含有量Aから含有量Cを引いた量)を測定し、最終的に含有量A及びBを算出する方法が挙げられる。
【0196】
磁性酸化鉄の球形度の測定は以下のようにして行う。磁性酸化鉄の電子顕微鏡写真を用いてランダムに100個以上の磁性酸化鉄粒子を選び、各粒子の最小長と最大長の比を求め、次いで各計算値を平均化したものとする。
【0197】
球形度(ψ)=最小長(μm)/最大長(μm)
【0198】
本発明のトナーは、磁性体の他に、着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイトやその他の顔料及び/又は染料を用いることができる。例えば本発明のトナーを磁性カラートナーとして使用する場合には、染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6がある。顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGがある。
【0199】
本発明のトナーを二成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色剤として、次の様なものが挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50、51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90、112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19,C.I.バットレッド、1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。
【0200】
上記顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料を併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28の如き塩基性染料が挙げられる。
【0201】
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又は次式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
【0202】
【化16】
【0203】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
【0204】
非磁性の着色剤の使用量は結着樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部、好ましくは0.5〜50重量部である。
【0205】
本発明のトナーに流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナーに添加することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナがある。
【0206】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0207】
SiCl2+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0208】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.002〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0209】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0210】
【0211】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0212】
疎水化方法としては、カップリング剤の如きシリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物及び/又はシリコーンオイルで化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0213】
シランカップリング剤としては、へキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシンラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、および1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。
【0214】
窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミンの如きシランカップリング剤も単独あるいは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
【0215】
本発明で用いる好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5〜10000センチストークス、好ましくは1〜1000センチストークス、さらに好ましくは10〜200センチストークスのものが用いられ、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが特に好ましい。シリコーンオイル処理の方法としては、例えば、シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをへンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法;を用いることが可能である。
【0216】
シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
【0217】
本発明においては、シリカを予めカップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、または、シリカをカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法によって処理されたものが好ましい。
【0218】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100重量部に対して流動性向上剤0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜4重量部使用するのが良い。
【0219】
本発明のトナーを作製するには結着樹脂、着色剤及び/又は磁性体、荷電制御剤またはその他の添加剤を、へンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級して本発明のトナーを得ることができる。
【0220】
本発明のトナーは、重量平均粒径が、好ましくは3乃至10μm、より好ましくは3乃至9μmを有することが解像性、画像濃度の点で好ましく、小粒径トナーであっても良好に加熱加圧定着できる。
【0221】
さらに、本発明において、トナーの体積平均粒径(Dv)が2.5μm以上の場合には、画像濃度の低下が生じ難く、充分な画像濃度が得られ、また7.0μm以下の場合には、特にハーフトーン画像の階調性が向上することから、トナーの体積平均粒径(Dv)は2.5乃至7.0μmであることが好ましい。
【0222】
さらに、流動性向上剤とトナーをヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができる。
【0223】
本発明のトナーの溶媒溶解成分の定量及びその他の物性の測定方法を以下に示す。
【0224】
(1)トナーのテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル及びクロロホルム不溶成分の定量
トナー2gを精秤(TW1)して円筒濾紙(例えば、東洋濾紙社製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、THFは200ml用いる。約120℃に温度調整されたオイルバスを用いて10時間還流する。THFに可溶な成分(W1)はTHFを濃縮、乾固した後に60℃で24時間真空乾燥することにより定量できる。トナーのTHF不溶成分(W2)を定量する場合は、着色剤(磁性体)等の結着樹脂以外のTHF不溶成分(TW2)から下記式により算出される。
【0225】
【数3】
【0226】
同様にして、溶媒を酢酸エチル及びクロロホルムに変更することにより、それぞれの溶媒に対する結着樹脂の可溶成分及び不溶成分を定量することができる。
【0227】
ソックスレー抽出装置の一例を図17に示す。
【0228】
容器51に入っているTHF52は、ヒータ53で加熱され気化し、気化したTHFは管54を通って冷却器55に導かれる。冷却器55は、冷却水56で常時、冷却されている。冷却器55で冷却されて液化したTHFは円筒ろ紙57を有する貯留部58にたまり、THFの液面が中管59よりも高くなると、貯留部からTHFが容器51に排出される。円筒ろ紙57に入っているトナーまたは樹脂は、循環するTHFによって抽出処理される。
【0229】
(2)1H−NMR及び13C−NMR測定による酢酸エチルに不溶な成分及び可溶な成分中のポリエステル樹脂の定量
1H−NMR及び13C−NMRを用いて各モノマー組成存在比率をモル比率で求め、このモル比率での各モノマー組成存在比率から各モノマーの分子量を用い、エステル化に伴う脱水量は無視してポリエステル樹脂成分の含有量を重量%で算出する。
【0230】
(1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定)
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
データポイント:32768
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :10000回
測定温度 :60℃
試料 :測定試料50mgをφ5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒としてCDCl3を添加し、これを60℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
【0231】
(13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定)
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
データポイント:32768
遅延時間:25sec.
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :16回
測定温度 :40℃
試料 :測定試料200mgをφ5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒としてCDCl3(TMS0.05%)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
【0232】
1H−NMR及び13C−NMR測定による酢酸エチルに不溶な成分中及び可溶な成分中のポリエステル樹脂の含有量の定量の一具体例を図3及び4乃至6を用いて下記に記載する。
【0233】
▲1▼ 1 H−NMR測定によるアルコール成分の存在比率の決定(図4及び5参照)
プロポキシ化ビスフェノールA(PO−BPA)及びエトキシ化ビスフェノールA(EO−BPA)の存在比率は、1H−NMRスペクトルにおける5.2ppm、5.3ppm及び5.4ppm付近のプロポキシ基の水素(各1H相当:図6参照)のシグナルと4.3ppm及び4.65ppm付近のエトキシ基の水素(各4H相当)のシグナルとの強度比から求める。
【0234】
▲2▼ 1 H−NMR測定による芳香族カルボン酸成分の存在比率の決定(図4及び5参照)
テレフタル酸及びトリメリット酸の存在比率は、1H−NMRスペクトルにおける8ppm付近のテレフタル酸の水素(4H相当)のシグナルと7.6ppm、7.8ppm及び8.4ppm付近のトリメリット酸の水素(各1H相当)のシグナルとの強度比から求める。
【0235】
▲3▼ 1 H−NMR測定によるスチレンの存在比率の決定(図4及び5参照)
スチレンの存在比率は、1H−NMRスペクトルにおける6.6ppm付近の水素(1H相当)のシグナルの強度比から求める。
【0236】
▲4▼ 13 C−NMR測定による脂肪族カルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル及びPO−BPA、EO−BPAの(メタ)アクリル酸エステル化合物(ビニル系重合体とポリエステル樹脂との反応生生物)の存在比率の決定(図3参照)
脂肪族カルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル及びビニル系重合体とポリエステル樹脂との反応生成物の存在比率は、13C−NMRスペクトルにおける173.5ppm及び174ppm付近の脂肪族カルボン酸のカルボキシル基の炭素(各1C相当)のシグナルと176ppm付近の(メタ)アクリル酸エステルのカルボキシル基の炭素(1C相当)のシグナルと169ppm付近の新たに検出されたピ−クの(メタ)アクリル酸エステルのカルボキシル基の炭素(1C相当)のシグナルと強度比から求める。
【0237】
▲5▼ 13 C−NMR測定による脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸の存在比率の決定(図3参照)
脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸の存在比率は、13C−NMRスペクトルにおける165ppm付近のテレフタル酸及びトリメリット酸のカルボキシル基の炭素(1C相当)のシグナルと上記▲4▼の脂肪族力ルボン酸のカルボキシル基の炭素(各1C相当)のシグナルの強度比の比較から求める。
【0238】
▲6▼ 13 C−NMR測定によるスチレンの存在比率の決定(図3参照)
スチレンの存在比率は、13C−NMRスペクトルにおける125ppm付近のパラ位の炭素(1C相当)のシグナルの強度比から求める。
【0239】
▲7▼酢酸エチルに不溶な成分中及び可溶な成分中のポリエステル樹脂成分の含有量の決定
上記▲1▼乃至▲3▼の1H−NMRスペクトルから、PO−BPA、EO−BPA、テレフタル酸、トリメリット酸及びスチレンの各モノマー組成存在比率をモル比率で算出し、さらに上記▲4▼乃至▲6▼の13C−NMRスペクトルから、PO−BPA、EO−BPAの(メタ)アクリル酸エステル化合物(ビニル系重合体とポリエステル樹脂との反応生成物)、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸及びスチレンの各モノマー組成存在比率をモル比率で算出することにより、全構成モノマーの組成存在比率をモル比率で算出する。このモル比率での各モノマー組成存在比率から各モノマーの分子量を用い、エステル化に伴う脱水量は無視してポリエステル樹脂成分の含有量を重量%で算出する。
【0240】
(3)ワックスの融点測定
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0241】
測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0242】
この昇温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線のメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0243】
この吸熱メインピークの温度をもってワックスの融点とする。
【0244】
(4)トナーのDSC曲線の測定
上記ワックスの融点の測定と同様にして、トナーの昇温過程におけるDSC曲線を測定する。
【0245】
(5)結着樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0246】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0247】
この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0248】
このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0249】
(6)ワックスの分子量分布の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
【0250】
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0251】
(7)結着樹脂原科又はトナーの結着樹脂の分子量分布の測定
GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0252】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料が結着樹脂原料の場合は、結着樹脂原料をロールミルに素通し(130℃,15分)したものを用いる。試料がトナーの場合は、トナーをTHFに溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure ChemicalCo.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102 ,2.1×103 ,4×103 ,1.75×104 ,5.1×104 ,1.1×105 ,3.9×105 ,8.6×105 ,2×106 ,4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0253】
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103,104,105の組合せや、昭和電工社製のshodex KA801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
【0254】
(8)トナーに含有される結着樹脂の13C−NMR測定
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:100.40MHz
パルス条件:5.0μs(45°)DEPT法による
データポイント:32768
遅延時間 :25sec.
積算回数 :50000回
測定温度 :26℃
試料 :室温でトナー10gを100mlの濃塩酸(約12M)に添加して約70時間撹拌して、トナーに含有される磁性体を溶解する。次に、濾液が弱酸性(約pH5)になるまで濾過・洗浄する。得られた樹脂組成物を60℃で約20時間真空乾燥して測定試料とする。この測定試料約1gをφ10mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)3mlを添加し、これを55℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
【0255】
(9)酸価の測定
JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して行う。
測定装置 :電位差自動滴定装置 AT−400(京都電子社製)
装置の校正:トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を使用する。
測定温度 :25℃
試料調整 :トナー0.5g(酢酸エチル可溶成分では0.3g)をトルエン120mlに添加して室温(約25℃)で約10時間撹拌して溶解する。更にエタノール30mlを添加して試料溶液とする。
【0256】
(10)OH価(水酸基価)の測定
試料0.5gを100mlのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。その後100℃±5℃の浴中に浸して加熱する。1〜2時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。更に分解を完全にするため再びフラスコを浴中で10分間以上加熱し放冷後、有機溶剤でフラスコの壁を良く洗う。この液をガラス電極を用いてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で電位差滴定を行いOH価を求める(JISK0070−1966に準ずる)。
【0257】
(11)粒度分布の測定
粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターのマルチサイザーを用いる。電解液は特級または1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえばISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係わる体積分布から求めた重量基準の重量平均径(D4)及び体積平均粒径(Dv)(それぞれ各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
【0258】
{現像剤担持体}
次に、本発明を特徴づける現像剤担持体について説明する。本発明に用いられる現像剤担持体は、基体及び該基体上に設けられた被覆層を有するが、本発明においては、該被覆層は、少なくとも結着樹脂と、該結着樹脂中に分散された個数平均粒径0.3〜30μm且つ真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子を含有することを特徴とし、現像装置に適用して用いる。
【0259】
すなわち、この現像剤担持体と、前記した優れた定着特性と優れた帯電特性を有するトナーを有する現像剤を構成要素とした現像装置を用いて画像形成することにより、その相乗効果により、本発明の目的とする、高精細高画質であり且つ長期の使用に対しても良好な画質を提供し続けることができるものである。
【0260】
上述したように、本発明の構成要素であるトナー用結着樹脂を使用することで良好な定着特性と良好な現像特性を両立し得る。また更にワックスの分散性の改善により定着特性及び耐オフセット性について更なる向上が実現可能である。
【0261】
しかしながら、良好な現像且つ画像形成を長期に渡り行うことに関しては、適正な構成を有する現像剤担持体を用いることが重要となる。すなわち、低温定着性を実現可能な結着樹脂を利用したトナーにおいては、当然のことながら熱や圧力に対する挙動が鋭敏であり、結着樹脂そのものの特性で改善はされているものの、限度以上の熱や圧力等の外力がかかった場合には融着等を発生しやすくなる。更には、本発明の結着樹脂によりワックスの分散が向上することから、熱や圧力などの物理的外力による挙動がさらに鋭敏となり、定着性は向上するが、同じ理由により現像剤担持体に対する付着性がさらに強くなってくる。
【0262】
このようなトナーを有する現像剤を用いて、耐久下において、高い現像特性を維持するためには、現像剤担持体としては、トナーに対する良好な帯電付与性を有し続けること、現像剤担持体の表面粗さの変化の少ないこと、現像剤担持体の表面物性が変化しないこと、表面材質が変化しないこと等が必要であり、本発明の現像剤担持体を現像装置に用いることで達成可能である。
【0263】
すなわち、本発明の構成要素であるトナーを有する現像剤を用いるとともに、本発明の構成要素である現像剤担持体は、基体及び該基体上に設けられた被覆層を有し、該被覆層は、少なくとも結着樹脂と該結着樹脂中に分散された個数平均粒径0.3〜30μm且つ真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子を含有するものを現像装置に用いる、という構成をとることにより、適度な表面凹凸形成により現像剤搬送能力の維持が可能となると共に適正な現像剤の摩擦帯電が可能となり、またトナー付着・融着が軽減・防止できることから、トナー付着・融着による現像剤担持体の表面物質の変化や表面物性の変化が生じ難い。トナー付着・融着が発生することは表面形状(粗さ)が変化することも含まれている。更にこれら両方の作用により、現像剤に対し良好な帯電付与性を維持可能となる。トナーに良好な帯電付与が行われないことは、現像性のみならず、転写性、耐オフセット性等にも影響を与えることは周知のことである。
【0264】
また、球状の樹脂粒子を現像剤担持体表面層に用いた際には、表面の導電性樹脂層の摩耗により樹脂粒子が露出した場合、樹脂粒子の摩耗性が大きいため、耐久下で摩耗により絶縁性表面が増大し、トナーの付着現象が促進されると共に樹脂層表面が平滑化し、トナーの帯電及び現像性を損なう可能性が高い。導電性の球状粒子を用いることでこれらは改善されるが、さらに後述するような特定の表面を有する導電性球状粒子を用いた場合には、現像剤の付着性を更に軽減させる効果を発揮すると共に耐摩耗性にも優れるために、長期の耐久によっても表面粗さが実質的に変化しないという優れた効果により、現像剤の帯電特性を更に安定化させることが可能となる。
【0265】
これらのことは、前述の如く、装置のプロセススピードがより大きくなった場合、また現像剤規制規制部材による現像剤層厚規制が強い場合、例えば、より薄層に現像剤担持体上のトナー層を形成した現像方法の場合、現像剤にマイクロキャリアや研磨剤などを外添した場合、本体構成上昇温が大きい場合等、現像剤担持体やトナーに対する物理的な力が大きくかかる場合に、より効果が顕著となる。
【0266】
このように、本発明の現像装置構成及び画像形成方法は、現像性、転写性、定着性、耐久性等を十分に満足させうるものとなる。
【0267】
以下さらに詳細を説明する。
【0268】
まず、本発明の現像剤担持体を構成する基体表面に被覆された導電性被覆層に用いられる導電性球状粒子について説明する。
【0269】
本発明に使用される導電性球状粒子としては、個数平均粒径が0.3〜30μm、好ましくは2〜20μmであり、且つ真密度が3g/cm3以下を満足していることが好ましい。
【0270】
該導電性球状粒子は、現像剤担持体の導電性被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に、被覆層表面が磨耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つトナー汚染やトナー融着を発生しにくくする為に添加するものである。
【0271】
また、該導電性球状粒子は、表面に露出した場合においても絶縁性の高い表面領域を作ることなく、チャージアップ現象を起こしにくいため迅速且つ均一な帯電を行い、更に現像剤の帯電性能を安定化させる効果もある。
【0272】
導電性球状粒子の個数平均粒径が0.3μm未満では、表面に均一な粗さを付与する効果と帯電性能を高める効果が少なく、現像剤への迅速且つ均一な帯電が不十分となると共に、導電性被覆層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、得られる画像の文字ラインのシャープ性やゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなるため好ましくない。個数平均粒径が30μmを超える場合には、導電性被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまうと共に、被覆層の機械的強度が低下してしまうため好ましくない。
【0273】
本発明に用いられる導電性球状粒子の含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは2〜120重量部、より好ましくは2〜80重量部の範囲で特に好ましい結果与える。導電性球状粒子の含有量が2重量部未満の場合には導電性球状粒子の添加効果が小さく、120重量部を超える場合にはトナーの帯電性が低く成りすぎてしまう場合がある。
【0274】
また、本発明で使用する導電性球状粒子の真密度は、3g/cm3以下、好ましくは2.7g/cm3以下、より好ましくは0.9〜2.3g/cm3であることが良い。即ち、導電性球状粒子の真密度が3g/cm3を超える場合には、導電性被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となる為、被覆層表面に均一な粗さを付与しにくくなり、トナーの迅速且つ均一な帯電が行われなくなること及び被覆層の強度が不十分となってしまい好ましくない。
【0275】
本発明において、導電性球状粒子の導電性としては、体積抵抗値が106Ω・cm以下のものをいい、好ましくは、体積抵抗が103〜10-6Ω・cmの粒子を使用する。
【0276】
導電性球状粒子の体積抵抗が106Ω・cmを超えると、磨耗よって導電性被覆層表面に露出した球状粒子を核としてトナーの汚染や融着を発生しやすくなると共に、迅速且つ均一な帯電が行われにくくなるため、好ましくない。
【0277】
導電性球状粒子における球状とは、粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度のものを意味しており、本発明において好ましくは、長径/短径の比が1.0〜1.2の粒子を使用することが良い。
【0278】
導電性球状粒子の長径/短径の比が1.5を超える場合には、導電性被覆層中への導電性球状粒子の分散性が低下すると共に、均一な表面形状(粗さ)を作製し難くなるので好ましくなく、現像剤担持体上の現像剤コート量の不均一化が発生しやすく、現像剤のコート安定性も損なうので、画質低下の要因となる。
【0279】
本発明の導電性球状粒子を得る方法としては、以下に示す様な方法が好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。
【0280】
本発明に使用される特に好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、例えば、樹脂系球状粒子やメソカーボンマイクロビーズを焼成して炭素化及び/又は黒鉛化して得た低密度且つ良導電性の球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。そして、樹脂系球状粒子に用いられる樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルが挙げられる。
【0281】
また、メソカーボンマイクロビーズは、通常、中ピッチを加熱焼成していく過程で生成する球状結晶を多量のタール、中油、キノリンの如き溶剤で洗浄することによって製造することができる。
【0282】
より好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルの如き球状樹脂粒子表面に、メカノケミカル法によってバルクメソフェーズピッチを被覆し、被覆された粒子を酸化性雰囲気下で熱処理した後に不活性雰囲気下又は真空下で焼成して炭素化及び/又は黒鉛化し、導電性球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。この方法で得る球状炭素粒子は、黒鉛化すると得られる球状炭素粒子の被覆部の結晶化が進んだものとなるので導電性が向上し、より好ましい。
【0283】
上記した方法で得られる導電性の球状炭素粒子は、いずれの方法でも、焼成条件を変化させることによって得られる球状炭素粒子の導電性をある程度制御することが可能であり、本発明において好ましく使用される。
【0284】
上記の球状炭素粒子は、粒子表面が潤滑性を有し、現像剤、現像剤規制部材、現像剤供給部材等と接触しても耐摩耗性が高いため、これを本発明の導電性球状粒子として用いた場合、被覆層表面の粗さがほとんど変化しないという優れた性能を有す。
【0285】
また、上記の方法で得られる球状炭素粒子は、場合によっては、更に導電性を高めるために導電性球状粒子の真密度が3g/cm3を超えない程度の範囲で、導電性の金属及び/または金属酸化物のメッキを施していても良い。
【0286】
本発明で使用される導電性球状粒子を得る他の方法としては、球状樹脂粒子からなる芯粒子に対して、芯粒子の粒径より小さい導電性微粒子を適当な配合比で機械的に混合することによって、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により、芯粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着した後、例えば機械的衝撃力を付与することによって生ずる局部的温度上昇により芯粒子表面を軟化させ、芯粒子表面に導電性微粒子を成膜して導電化処理した球状樹脂粒子を得る方法が挙げられる。上記の芯粒子には、有機化合物からなる真密度の小さい球形の樹脂粒子を使用することが好ましく、樹脂としては、例えば、PMMA、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、又はこれらの共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。芯粒子(母粒子)の表面に成膜する際に使用される導電性微粒子(小粒子)としては、導電性微粒子被膜を均一に設ける為に、小粒子の粒径が母粒子の粒径の1/8以下のものを使用するのが好ましい。
【0287】
本発明に使用される導電性球状粒子を得る更に他の方法としては、球状樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させることにより、導電性微粒子が分散された導電性球状粒子を得る方法が挙げられる。球状樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させる方法としては、例えば、結着樹脂と導電性微粒子とを混練して導電性微粒子を分散させた後、冷却固化し、所定の粒径に粉砕し、機械的処理及び熱的処理により球形化して導電性球状粒子を得る方法;又は、重合性単量体中に重合開始剤、導電性微粒子及びその他の添加剤を加え、分散機によって均一に分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に攪拌機等によって所定の粒子径になるように懸濁させて重合を行ない、導電性微粒子が分散された球状粒子を得る方法が挙げられる。
【0288】
これらの方法で得た導電性微粒子が分散された導電性球状粒子においても、前記した芯粒子より小さい粒径の導電性微粒子と適当な配合比で機械的に混合して、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により、導電性球状粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着させた後、例えば、機械的衝撃力を付与することにより生ずる局部的温度上昇により導電性球状粒子の表面を軟化させ、該表面に導電性微粒子を成膜して、更に導電性を高めて使用してもよい。
【0289】
本発明の現像剤担持体を構成する導電性被覆層の結着樹脂材料としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱あるいは光硬化性樹脂等を使用することができる。なかでもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、或いはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、フェノール、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。
【0290】
本発明において、上記した形成材料によって現像剤担持体上に形成される被覆層は、チャージアップによるトナーの現像剤担持体上への固着や、トナーのチャージアップに伴って生じる現像剤担持体の表面からトナーへの帯電付与不良を防ぐためには、導電性であることが望ましい。また、被覆層の体積抵抗値としては、好ましくは104Ω・cm以下、より好ましくは103Ω・cm以下である。
【0291】
現像剤担持体表面の被覆層の体積抵抗値が104Ω・cmを超えるとトナーへの帯電付与不良が発生し易く、その結果、ブロッチ(斑点画像)が発生し易い。
【0292】
本発明において、被膜層の抵抗値を上記の値に調整するためには、下記に挙げる導電性物質を被覆層中に含有させることが好ましい。この際に使用される導電性物質としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属粉体の微粉末;酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウム等の金属酸化物;各種カーボンファイバー、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、グラファイト等の炭素物;更には金属繊維等が挙げられる。
【0293】
本発明においては、これらのうち、カーボンブラック、とりわけ導電性のアモルファスカーボンは、特に電気伝導性に優れ、高分子材料に充填して導電性を付与したり、その添加量をコントロールするだけで、ある程度任意の導電度を得ることができるため好適に用いられる。塗料にした場合の分散安定性も良好となりうる。また、本発明において好適なこれらの導電性物質の添加量は、結着樹脂100重量部に対して1〜100重量部の範囲とすることが好ましい。1重量部未満では、被覆層の抵抗値を所望のレベルに下げることは通常困難であり、また、現像剤担持体被覆層に用いられる結着樹脂に対するトナー付着が発生する可能性が高い。100重量部を超えると、特にサブミクロンオーダーの粒度を有する微粉体を用いた場合、被覆層の強度(耐摩耗性)が低下しうる。
【0294】
更に、本発明においては、現像剤担持体表面へのトナーの付着をより軽減化するため、被覆層中に固体潤滑材を混合させることもできる。この際に使用し得る固体潤滑材としては、例えば、二硫化モリブデン、窒化硼素、グラファイト、フッ化グラファイト、銀−セレンニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石等が挙げられる。また、本発明で使用することのできるこれらの固体潤滑材の添加量は、結着樹脂100重量部に対して1〜100重量部の範囲とすることが好ましい。1重量部未満では被覆層の結着樹脂表面に対する現像剤の付着性の改善効果は少なく、100重量部を超えると、特にサブミクロンオーダーの粒度を有する微粉体が多く含まれる材料を用いた場合、被覆層の強度(耐摩耗性)が低下しうる。これらの潤滑性粒子は、個数平均粒径が好ましくは0.2〜20μm程度、より好ましくは1〜15μmのものを使用するのが良い。潤滑性粒子の個数平均粒径が0.2μm未満の場合には、潤滑性が十分に得られ難く好ましくなく、個数平均粒径が20μmを超える場合には、導電性被覆層表面の形状への影響が大きく表面性が不均一となり、トナーの均一な帯電化及び被覆層の強度の点で好ましくない。
【0295】
本発明で好適に使用される上記のような構成を有する現像剤担持体表面の被覆層の表面粗さは、JIS中心線平均粗さ(Ra)で0.1〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。更に好ましくは、0.3〜2.5μmである。即ち、Raが0.1μm未満では、現像剤担持体上におけるトナーの帯電量が高くなり過ぎ現像性が不充分となるし、また、現像領域への現像剤の搬送性に劣り、充分な画像濃度が得られにくくなる。一方、Raが3.5μmを超えると、現像剤担持体上に形成されるトナーコート層にムラが生じ、画像上での濃度ムラの原因となる。
【0296】
次に本発明に用いられる現像剤担持体の構成について説明を加える。現像剤担持体は基体と、それを取り巻いて被覆する樹脂層とからなるが、基体としては、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等があるが、ドラムに非接触の現像方法においては金属のような剛体の円筒管もしくは中実棒が好ましく用いられる。このような基体はアルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の非磁性の金属または合金を円筒状あるいは円柱状に成型し、研磨、研削等を施したものが好適に用いられる。これらの基体は画像の均一性を良くするために、高精度に成型あるいは加工されて用いられる。例えば長手方向の真直度は30μm以下もしくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下が好ましく、スリーブと感光ドラムとの間隙の振れ、例えば、垂直面に対し均一なスペーサーを介して突き当て、スリーブを回転させた場合の垂直面との間隙の振れも30μm以下もしくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であることが好ましい。
【0297】
また、弾性層を有する基体としては、芯材と、ウレタン、EPDM、シリコーン等のゴムやエラストマーを含む層構成を有する円筒部材が、特にドラムに直接接触させる現像方法の場合好ましく用いられる。
【0298】
{現像装置・画像形成方法}
次に、図7及図8を参照しながら、本発明に係るトナーを有する現像剤を用いる画像形成方法が実施可能な画像形成装置の一例について説明する。
【0299】
一次帯電器2で静電潜像保持体(感光体)1表面を負極性又は正極性に帯電し、アナログ露光又はレーザー光による露光5により静電潜像を形成し、磁性ブレード11と、磁極N1,N2,S1及びS2を有する磁石23を内包している現像スリーブ4とを具備する現像器9の磁性トナーを有する一成分系現像剤13で静電荷像を反転現像又は正規現像により現像して現像画像を形成する。現像部において感光体1の導電性基体16と現像スリーブ4との間で、バイアス印加手段12により交互バイアス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。現像画像は、中間転写体を介して、又は、介さずに転写材へ転写される。転写紙Pが搬送されて、転写部にくると転写帯電器3により転写紙Pの背面(感光体側と反対面)から正極性または負極性の帯電をすることにより、感光体表面上の負荷電性磁性トナーによる現像画像または正荷電性磁性トナーによる現像画像が転写紙P上へ静電転写される。除電手段22で除電後、感光体1から分離された転写紙Pは、ヒータ21を内包している加熱加圧ローラ定着器7により転写紙P上の現像画像は、加熱加圧定着される。
【0300】
転写工程後の感光体1に残留する現像剤は、クリーニングブレード8を有するクリーニング手段で除去される。クリーニング後の感光体1は、イレース露光8により除電され、再度、一次帯電器2により帯電工程から始まる工程が繰り返される。
【0301】
静電潜像保持体(例えば感光ドラム)1は感光層15及び導電性基体16を有し、矢印方向に動く。現像スリーブ4である非磁性円筒の現像スリーブ4は、現像部において静電潜像保持体1表面と同方向に進むように回転する。非磁性の円筒状の現像スリーブ4の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)23が回転しないように配されている。現像器9内の磁性トナーを有する一成分系現像剤13は現像スリーブ4に塗布され、かつ現像スリーブ4の表面と一成分系現像剤との摩擦によって、一成分系現像剤はトリボ電荷が与えられる。さらに鉄製の磁性ドクターブレード11を円筒状の現像スリーブ4の表面に近接して(間隔50μm〜500μm)、多極永久磁石の一つの磁極位置に対向して配置することにより、現像剤層の厚さを薄く(30μm〜300μm)且つ均一に規制して、現像部における感光体1と現像スリーブ4の間隙と同等又は間隙よりも薄い現像剤層を形成する。現像スリーブ4の回転速度を調節することにより、現像スリーブ表面速度が感光体1の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれ以上の速度となるようにする。磁性ドクターブレード11として鉄のかわりに永久磁石を用いて対向磁極を形成してもよい。現像部において現像スリーブ4に交流バイアスまたはパルスバイアスをバイアス手段12により印加してもよい。この交流バイアスはfが200〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであれば良い。
【0302】
現像部における一成分系現像剤の転移に際し、感光体面の静電的力及び交流バイアスまたはパルスバイアスの作用によって一成分系現像剤は静電荷像側に移行する。
【0303】
磁性ブレード11の代わりに、シリコーンゴムの如き弾性材料で形成された弾性ブレードを用いて押圧によって現像剤層の層厚を規制し、現像スリーブ上に一成分系現像剤を塗布しても良い。
【0304】
図9は、本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の他の例を示す。
【0305】
一次帯電器としての接触(ローラー)帯電手段119により静電潜像保持体としての感光ドラム101の表面を負極性に帯電し、レーザー光の露光115によるイメージスキャニングによりディジタル潜像が感光ドラム101上に形成される。現像剤層厚規制部材としての弾性規制ブレード111を有し、多極永久磁石105が内包されている現像剤担持体としての現像スリーブ108が具備されている現像装置によって、上記のディジタル潜像が、ホッパー103内の磁性トナーを有する一成分系現像剤104によって反転現像される。図9に示すように、現像領域Dにおいて感光ドラム101の導電性基体は接地されており、現像スリーブ108にはバイアス印加手段109により交互バイアス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。記録材Pが搬送されて転写部に来ると、転写手段としての接触(ローラー)転写手段113により記録材Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段114で帯電されることにより、感光ドラム101の表面上に形成されている現像画像が接触転写手段113で記録材P上へ転写される。感光ドラム101から分離された記録材Pは、定着手段としての加熱加圧ローラー定着器117に搬送され、該定着器117によって記録材P上の現像画像の定着処理がなされる。
【0306】
転写工程後の感光ドラム101に残留する磁性トナー104は、クリーニングブレード108aを有するクリーニング手段118で除去される。残留する磁性トナー104が少ない場合にはクリーニング工程を省くことも可能である。クリーニング後の感光ドラム101は、必要によりイレース露光116により除電され、再度、一次帯電手段としての接触(ローラー)帯電手段119による帯電工程から始まる上記工程が繰り返される。
【0307】
上記の一連の工程において、感光ドラム(即ち、静電潜像保持体)101は感光層及び導電性基体を有するものであり、矢印方向に動く。トナー担持体である非磁性の円筒の現像スリーブ108は、現像領域Dにおいて感光ドラム101の表面と同方向に進むように回転する。現像スリーブ108の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)105が回転しないように配されている。現像剤容器103内の磁性トナー104は、現像スリーブ108上に塗布されて担持され、且つ現像スリーブ108の表面との摩擦及び/又は磁性トナー同士の摩擦によって、例えば、マイナスのトリボ電荷が与えられる。更に、弾性規制ブレード111を現像スリーブ108を弾性的に押圧する様に設け、トナー層の厚さを薄く(30〜300μm)且つ均一に規制して、現像領域Dにおける感光ドラム101と現像スリーブ108との間隙よりも薄いトナー層を形成させる。現像スリーブ108の回転速度を調節することによって、現像スリーブ108の表面速度が感光体ドラム101の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれ以上の速度となるようにする。現像領域Dにおいて、現像スリーブ108に現像バイアス電圧として、交流バイアス又はパルスバイアスをバイアス印加手段109により印加してもよい。この交流バイアスはfが200〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであれば良い。現像領域Dにおける磁性トナーの転移に際し、感光ドラム101の表面の静電気力、及び交流バイアス又はパルスバイアスの如き現像バイアス電圧の作用によって、磁性トナーは静電潜像側に移転する。
【0308】
本発明の画像形成方法においては、定着工程で用いた熱ロール定着装置に代えて、他の加熱定着手段として、フィルム加熱定着装置を用いることができる。図10は、このフィルム加熱定着装置の概略図を示す。
【0309】
図10に示す定着装置において加熱体は、従来の熱ロールに比べてその熱容量が小さく、線状の加熱部を有するもので、加熱部の最高温度は100〜300℃であることが好ましい。
【0310】
加熱体と加圧部材の間に位置するフィルムは、厚さ1〜100μmの耐熱性のシートであることが好ましく、これら耐熱性シートとしては、耐熱性の高い、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリアミドの如きポリマーシート、アルミニウムの如き金属シート及び、金属シートとポリマーシートから構成されたラミネートシートが用いられる。
【0311】
より好ましいフィルムの構成としては、これら耐熱性シートが離型層及び/又は低抵抗層を有していることである。
【0312】
図10を参照しながら、定着装置の一具体例を説明する。
【0313】
61は、装置に固定支持された低熱容量線状加熱体であって、一例として厚み1.0mm,幅10mm,長手長240mmのアルミナ基板70に抵抗材料69を幅1.0mmに塗工したもので、長手方向両端より通電される。通電はDC100Vの周期20msecのパルス状波形で検温素子71によりコントロールされた所望の温度、エネルギー放出量に応じたパルスをそのパルス幅を変化させて与える。略パルス幅は0.5〜5msecとなる。この様にエネルギー及び温度を制御された加熱体61に当接して、図中矢印方向に定着フィルム62は移動する。
【0314】
この定着フィルムの一例として厚み20μmの耐熱フィルム(例えばポリイミド、ポリエーテルイミド、PESまたはPFAに少なくとも画像当接面側にPTFE、PFAの如きフッ素樹脂)に導電材を添加した離型層を10μmコートしたエンドレスフィルムである。一般的には層厚は100μm未満、より好ましくは40μm未満が良い。フィルム駆動は駆動ローラー63と従動ローラー64による駆動とテンションにより矢印方向にシワなく移動する。
【0315】
65は、シリコーンゴムの如き離型性の良いゴム弾性層を有する加圧ローラーで、総圧4〜20kgでフィルムを介して加熱体を加圧し、フィルムと圧接回転する。転写材66上の未定着トナー67は、入口ガイド68により定着部に導かれ上述の加熱により定着像をえるものである。
【0316】
以上は、エンドレスベルトで説明したが、シート送り出し軸、及び巻き取り軸を使用し、定着フィルムは有端のフィルムであっても良い。
【0317】
図11は、本発明の現像剤担持体を有する一実施形態の現像装置の模式図を示す。
【0318】
図11において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する静電潜像保持体潜像保持体、例えば、電子写真感光ドラム501は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ508は、現像剤容器としてのホッパー503によって供給された磁性トナーを有する一成分系現像剤4を担持して、矢印A方向に回転することによって、現像スリーブ508と感光ドラム501とが対向している現像領域Dに現像剤504を搬送する。図11に示すように、現像スリーブ508内には、現像剤504を現像スリーブ508上に磁気的に吸引且つ保持する為に,磁石が内接されているマグネットローラー505が配置されている.
本発明の現像装置で用いられる現像スリーブ508は、基体としての金属円筒管506上に被覆された導電性被覆層507を有する。ホッパー503中には、現像剤504を攪拌するための攪拌翼510が設けられている。
【0319】
現像剤504は、磁性トナー相互間及び現像スリーブ508上の導電性被覆層507との摩擦により、感光ドラム501上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図11の例では、現像領域Dに搬送される現像剤504の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としての強磁性金属製の磁性規制ブレード502が、現像スリーブ508の表面から約50〜500μmのギャップ幅を持って現像スリーブ508に臨む様に、ホッパー503から垂下されている。マグネットローラー505の磁極N1からの磁力線が磁性規制ブレード502に集中することにより、現像スリーブ508上に現像剤504の薄層が形成される。本発明においては、この磁性規制ブレード502にかえて非磁性ブレードを使用することもできる。
【0320】
この様にして、現像スリーブ508上に形成される現像剤504の薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像スリーブ508と感光ドラム501との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
【0321】
本発明の現像剤担持体は、以上の様な現像剤層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち、非接触型現像装置に組み込むのが特に有効であるが、現像領域Dにおいて、現像剤層の厚みが現像スリーブ508と感光ドラム501との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、即ち接触型現像装置にも本発明の現像剤担持体を適用することができる。
【0322】
説明の煩雑を避けるため、以下の説明では、上記したような非接触型現像装置を例に採って行う。
【0323】
上記現像スリーブ508に担持された磁性トナーを有する一成分系現像剤504を飛翔させる為、上記現像スリーブ508にはバイアス手段としての現像バイアス電源509により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときに、静電潜像の画像部(現像剤504が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を現像スリーブ508に印加するのが好ましい。
【0324】
現像された画像の濃度を高め、或は階調性を向上するためには、現像スリーブ508に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部の電位と背景部の電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ508に印加するのが好ましい。
【0325】
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部に一成分系現像剤を付着させて可視化する、所謂、正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用する。
【0326】
高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部に一成分系現像剤を付着させて可視化する、所謂、反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。
【0327】
高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤504は少なくとも現像スリーブ508との摩擦により帯電する。
【0328】
図12は、本発明の現像装置の他の実施形態を示す構成模式図、図13は、本発明の現像装置の更に他の実施形態を示す構成模式図である。
【0329】
図12及び図13に示した現像装置では、現像スリーブ508上の現像剤504の層厚を規制する現像剤層厚規制部材として、ウレタンゴム、シリコーンゴムの如きゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス鋼の如き金属弾性を有する材料の弾性板からなる弾性規制ブレード511を使用し、この弾性規制ブレード511を図12の現像装置では現像スリーブ508の回転方向と逆方向の向きで圧接させており、図13の現像装置では、この弾性規制ブレード511を現像スリーブ508の回転方向と順方向の向きで圧接させているのが特徴である。
【0330】
これらの現像装置では、現像スリーブ508に対して、現像剤層を介して現像剤層厚規制部材を弾性的に圧接することによって、現像スリーブ上に現像剤の薄層を形成することから、現像スリーブ508上に、上記した図11の場合よりも更に薄い現像剤層を形成することができる。
【0331】
図12及び図13の現像装置の他の基本的構成は、図11に示した現像装置と同じであり、同符号のものは、基本的には同一の部材であることを示す。
【0332】
図11〜13はあくまでも本発明の現像装置を模式的に例示したものであり、現像剤容器(ホッパー503)の形状、攪拌翼510の有無、磁極の配置に様々な形態があることは言うまでもない。勿論、これらの装置では、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤を用いる現像に使用することもできる。
【0333】
図12は、トナー504として非磁性一成分現像剤を用いる場合の現像装置を表わす模式図である。ここにおいて、トナーは非磁性であるため、現像スリーブ内の磁石は存在せず、スリーブとしては、中実の金属棒514が用いられている。非磁性トナーは層厚規制ブレード511、あるいはスリーブコート層507との摩擦により摩擦帯電され、現像スリーブ508の表面上に担持され搬送される。
【0334】
図13においては、剥ぎ取り部材512が設置されている。剥ぎ取り部材としては樹脂、ゴム、スポンジなどのローラー部材やさらに、ベルト部材、ブラシ部材などが用いられる、図においてローラー状部材512は現像スリーブ508とは反対方向に回転されている。感光体501に現像移行されなかった現像剤を剥ぎ取り部材により一旦スリーブ表面から剥ぎ取ることにより、スリーブ上の不動トナーの発生を防いだり、現像剤の帯電を均一化する働きを有する。また現像スリーブ506には、金属の円筒管が用いられている。
【0335】
上述の感光ドラムの如き静電潜像保持体や現像装置、クリーニング手段などの構成要素のうち、複数のものを装置ユニットとして一体に結合してプロセスカートリッジを構成し、このプロセスカートリッジを装置本体に対して着脱可能に構成しても良い。例えば、帯電手段及び現像装置を感光ドラムとともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成にしても良い。このとき、上記のプロセスカートリッジのほうにクリーニング手段を伴って構成しても良い。
【0336】
図14及び15は本発明に関わるプロセスカートリッジの一実施例を示している。図15では、現像装置81、ドラム状の静電潜像保持体(感光ドラム)83、クリーナー94、一次帯電器91を一体としたプロセスカートリッジ99が例示される。
【0337】
プロセスカートリッジにおいては、現像装置81の磁性トナーを有する一成分系現像剤93がなくなった時に新たなカートリッジと交換される。
【0338】
図14において、一次帯電手段としては、接触帯電手段として帯電ローラー91を用いているが、帯電ブレード、帯電ブラシの如き接触帯電手段でもよく、更に、非接触のコロナ帯電手段でもよい。しかしながら、帯電によるオゾンの発生が少ない点で接触帯電手段の方が好ましい。転写手段としては、転写ローラー84を用いている。転写手段としては、転写ブレードの如き接触帯電手段でもよく、更に非接触のコロナ帯電手段でもよい。しかしながら、こちらも転写によるオゾンの発生が少ない点で接触帯電手段の方が好ましい。
【0339】
上述の本発明の画像形成装置をファクシミリのプリンターに適用する場合には、光像露光Lは受信データをプリントするための露光になる。図16はこの場合の一例をブロック図で示したものである。
【0340】
コントローラー131は画像読取部130とプリンター139を制御する。コントローラー131の全体はCPU137により制御されている。画像読取部からの読取データは、送信回路133を通して相手局に送信される。相手局から受けたデータは受信回路132を通してプリンター139に送られる。画像メモリには所定の画像データが記憶される。プリンタコントローラー138はプリンター139を制御している。134は電話である。
【0341】
回線135から受信された画像(回線を介して接続されたリモート端末からの画像情報)は、受信回路132で復調された後、CPU137は画像情報の複号信号を行い順次画像メモリ136に格納される。そして、少なくとも1ページの画像がメモリ136に格納されると、そのページの画像記録を行う。CPU137は、メモリ136より1ページの画像情報を読み出しプリンタコントローラー138に複合化された1ページの画像情報を送出する。プリンタコントローラー138は、CPU137からの1ページの画像情報を受け取るとそのページの画像情報記録を行うべく、プリンター139を制御する。
【0342】
なお、CPU137は、プリンター139による記録中に、次のページの受信を行っている。
【0343】
以上の様に、画像の受信と記録が行われる。
【0344】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0345】
ネガトナー用結着樹脂の製造例I:
(樹脂製造例I−1)
低架橋度樹脂組成物(I−L−1)の製造
(クロロホルム不溶分を実質的に0乃至10重量%含有する樹脂組成物の製造)
・テレフタル酸 :5.0mol
・式(1−3)で表せるコハク酸誘導体 :1.0mol
・無水トリメリット酸 :1.0mol
・PO−BPA :7.0mol
・EO−BPA :3.0mol
【0346】
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着して窒素雰囲気下、減圧しながら常法に従って、210℃まで加熱しながら縮重合反応を行うことにより、クロロホルム不溶分を約4重量%含有する低架橋度ポリエステル樹脂を得た。
【0347】
次に、キシレン50重量部に、ここで得られたポリエステル樹脂80重量部、スチレン16重量部、2−エチルヘキシルアクリレート4重量部及びエステル化触媒としてジブチルスズオキサイド0.3重量部を添加して、110℃まで加熱して溶解・膨潤した。窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤であるt−ブチルハイドロパーオキサイド1重量部をキシレン10重量部に溶解したものを約30分かけて滴下した。その温度で更に10時間保持してラジカル重合反応を終了した。更に加熱しながら減圧して、脱溶剤することにより、低架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系重合体及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなり、クロロホルム不溶分を約7重量%含有する低架橋度樹脂組成物(I−L−1)を得た。
【0348】
高架橋度樹脂組成物(I−H−1)の製造
(クロロホルム不溶分を15乃至70重量%含有する樹脂組成物の製造)
・テレフタル酸 :2.0mol
・式(1−3)で表せるコハク酸誘導体 :4.0mol
・無水トリメリット酸 :4.0mol
・PO−BPA :10.0mol
・EO−BPA :4.1mol
【0349】
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着して窒素雰囲気下、減圧しながら常法に従って210℃まで加熱しながら縮重合反応を行うことにより、クロロホルム不溶分を約25重量%含有する高架橋度ポリエステル樹脂を得た。
【0350】
次に、キシレン50重量部に、ここで得られたポリエステル樹脂80重量部、スチレン10重量部、2−エチルヘキシルアクリレート10重量部、ジビニルベンゼン0.01重量部及びエステル化触媒としてジブチルスズオキサイド0.3重量部を添加して、110℃まで加熱して溶解・膨潤した。窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤であるt−ブチルハイドロパーオキサイド1重量部をキシレン10重量部に溶解したものを約30分かけて滴下した。その温度で更に10時間保持してラジカル重合反応を終了した。更に加熱しながら減圧して、脱溶剤することにより、高架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系重合体及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなり、クロロホルム不溶分を約33重量%含有する高架橋度樹脂組成物(I−H−1)を得た。
【0351】
結着樹脂(I−1)の製造
キシレン100重量部に低架橋度樹脂組成物(I−L−1)60重量部、高架橋度樹脂組成物(I−H−1)30重量部、スチレン5重量部、2−エチルヘキシルアクリレート5重量部及びジビニルベンゼン0.01重量部を添加して110℃まで加熱して膨潤・溶解した。窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤であるt−ブチルハイドロパーオキサイド1重量部をキシレン10重量部に溶解したものを約30分かけて滴下した。その温度で更に10時間保持してラジカル重合反応を終了した。更に加熱しながら減圧して、脱溶剤することにより、低架橋度ポリエステル樹脂、高架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系重合体及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなり、クロロホルム不溶分を約28重量%含有する結着樹脂(I−1)を得た。
【0352】
(樹脂製造例I−2)
樹脂製造例I−1において、高架橋度樹脂組成物(I−H−1)を製造する際に、ポリエステル樹脂80重量部に対して18.3重量部の表5に示すワックス(1)をスチレン及び2−エチルヘキシルアクリレートと共に添加して、ワックスを含有し、かつクロロホルム不溶分を37重量%含有する高架橋度樹脂組成物(I−H−2)を得た。高架橋度樹脂組成物(I−H−2)36重量部(ワックス6重量部を含む)を使用した以外は製造例I−1と同様にして、低架橋度ポリエステル樹脂、高架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系重合体及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなり、クロロホルム不溶分を約30重量%含有する結着樹脂(I−2)を得た。
【0353】
(樹脂製造例I−3〜I−7)
低架橋度樹脂組成物の製造で用いたモノマーを以下に示すモノマーに変更した以外は樹脂製造例I−1の低架橋度樹脂組成物(I−L−1)と同様にして、クロロホルム不溶分を約6重量%含有する低架橋度樹脂組成物(I−L−3)を得た。
・テレフタル酸 :5.0mol
・式(2−2)で表せるジカルボン酸誘導体 :1.0mol
・無水トリメリット酸 :1.0mol
・PO−BPA :7.0mol
・EO−BPA :3.0mol
【0354】
次に、以下に示すモノマーを用いた以外は高架橋度樹脂組成物(I−H−2)と同様にして縮重合反応を行い、樹脂組成物30重量部に対してワックス(2)を5重量部含有し、クロロホルム不溶分を約19重量%含有した高架橋度樹脂組成物(I−H−3)を得た。
・テレフタル酸 :2.2mol
・式(2−2)で表せるジカルボン酸誘導体 :4.0mol
・無水トリメリット酸 :4.0mol
・PO−BPA :8.0mol
・EO−BPA :3.0mol
【0355】
低架橋度樹脂組成物(I−L−3)60重量部、高架橋度樹脂組成物(I−H−3)35重量部を用いた以外は、樹脂製造例I−1−Nと同様にして、高架橋度ポリエステル樹脂、低架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系重合体及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなる表1乃至3に示す結着樹脂(I−3)を得た。
【0356】
以下、モノマーの種類、組成比及びワックスを変更することにより、表1乃至3に示す結着樹脂(I−4)〜(I−7)を得た。
【0357】
(樹脂比較製造例I−1C)
樹脂製造例I−1において、コハク酸誘導体(1−3)のかわりにテレフタル酸を使用した以外は同様にして、表1乃至3に示す比較用結着樹脂(I−1C)を得た。
【0358】
(樹脂比較製造例I−2C)
樹脂製造例I−2において、コハク酸誘導体(1−3)及びワックス(2)のかわりにテレフタル酸及びワックス(4)を使用した以外は同様にして、表1乃至3に示す比較用結着樹脂(I−2C)を得た。
【0359】
(樹脂比較製造例I−3C)
樹脂製造例I−1において、コハク酸誘導体(1−3)及び無水トリメリット酸のかわりにテレフタル酸を使用した以外は同様にして、表1乃至3に示す比較用結着樹脂(I−3C)を得た。
【0360】
(樹脂比較製造例I−4C)
樹脂製造例I−1において、コハク酸誘導体(1−3)のかわりに無水トリメリット酸を使用した低架橋度樹脂組成物以外は同様にして、表1乃至3に示す比較用結着樹脂(I−4C)を得た。
【0361】
(樹脂比較製造例I−5C)
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着したオートクレーブに、スチレン−2−ヘキシルアクリレート共重合体(スチレン84重量部、2−エチルヘキシルアクリレート16重量部、Mw=1.9万、Mw/Mn=2.3)200重量部及び下記組成からなるポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、減圧しながら常法に従って210℃まで加熱しながら縮重合反応を行うことにより、比較用結着樹脂(I−5C)を得た。
・フマル酸 :191重量部
・無水トリメリット酸 :168重量部
・EO−BPA :463重量部
・PO−BPA :551重量部
【0362】
【表1】
【0363】
【表2】
【0364】
【表3】
【0365】
[実施例I−1J]
(トナーの製造)
・結着樹脂(I−1) 100重量部
・アゾ系鉄錯体化合物 3重量部
・磁性酸化鉄 100重量部
(平均粒径0.2μm、Hc=9.5kA/m(120エルステッド)、σs=75Am2/kg(75emu/g)、σr=6Am2/kg(6emu/g))
・ワックス(1) 6重量部
【0366】
上記混合物を、130℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した。粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、重量平均径7.3μmの磁性トナー(I−1T)を得た。
【0367】
このトナー(I−1T)を用いて、結着樹脂に含有されるテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル及びクロロホルムの可溶成分及び不溶分をソックスレー抽出により定量したところ、混在するワックスを除外した樹脂組成物は、THF不溶分(W2)が31重量%であり、酢酸エチル不溶分(W4)が34重量%であり、クロロホルム不溶分(W6)が15重量%であり、比(W4/W6)が2.7であり、THF不溶分(W2)中のクロロホルム不溶分(W6A)が6.7重量%であり、酢酸エチル不溶分(W4)中のクロロホルム不溶分(W6B)が8.3重量%であった。
【0368】
テトラヒドロフランの可溶成分(W1)のGPCによる分子量測定を行ったところ、メインピークとなる分子量が4400、分子量500以上1万未満の領域の成分(A1)が48.9%、分子量1万以上10万未満の領域の成分(A2)が26.7%、分子量10万以上の領域の成分(A3)が24.4%であり、比(A1/A2)は1.83でであった。
【0369】
トナーの結着樹脂及びトナーの酢酸エチルの可溶成分(W3)の酸価を測定したところ、トナーに含有されている結着樹脂の酸価(AV1)は25.9mgKOH/gであり、トナーの酢酸エチル可溶成分の酸価(AV2)は21.6mgKOH/gであり、比(AV1/AV2)の値は1.2であった。
【0370】
1H−NMR及び13C−NMRにより、トナー中にビニル系共重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分が存在していることを確認した。
【0371】
トナーにおいて、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分は、13C−NMRにより新たに生成するエステル結合のシグナルを検出することにより検証することができる。
【0372】
一般的にスチレンと共重合したアクリル酸エステルのエステル基の13C−NMRにより測定されるシグナルは、アクリル酸エステルの単独重合体のそれよりスチレンのベンゼン環の影響により数ppm高磁場側にシフトする現象が知られている。これは、アクリル酸エステルのアルコール成分がポリエステルのアルコ−ル成分とエステル交換反応して得られるハイブリッド樹脂成分の場合も同様であり、エステル交換によって導入されるポリエステルユニットに含有されるベンゼン環の影響も受け、シグナルは上記ビニル系重合体ユニットのアクリル酸エステルより更に高磁場側のシグナルとして検出される。
【0373】
低架橋度ポリエステルの13C−NMR測定結果を図1に、スチレン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体の測定結果を図2に、トナーに含有される結着樹脂(I−1)の測定結果を図3に示す。この結果より、アクリル酸エステルの約22モル%がポリエステルユニットとエステル化したハイブリッド樹脂成分として存在することがわかった。
【0374】
各々の13C−NMR測定結果を表4に示す。
【0375】
【表4】
【0376】
さらにNMRにより酢酸エチルに不溶な結着樹脂成分(W4)及び溶解する結着樹脂成分(W3)に含有されるポリエステル樹脂成分(Gp)と(Sp)を定量したところ、Gp=約83重量%、Sp=約77重量%であり、比(Sp/Gp)=0.93であり、式(1−3)で表わせるコハク酸誘導体の存在量を定量したところ、酢酸エチルに不溶な成分に全仕込み量の約74重量%含有されていた。
【0377】
酢酸エチルに不溶な成分(W4)に含有されるワックス量は、DSCにより測定され溶解エンタルピーから定量でき、その結果、トナーに添加した全ワックスの約61重量%が存在していることがわかった。
【0378】
この磁性トナー(I−1T)100重量部に、疎水性乾式シリカ(BET=200m2/g)1.1重量部をヘンシェルミキサーにて外部添加して外添トナー(一成分系現像剤)とした。
【0379】
<現像剤担持体(現像スリーブ)の製造>
下記の配合比にて導電性塗料を作製した。
・導電性カーボンブラック 10重量部
・体積平均粒径4.6μmのグラファイト微粉末 90重量部
・フェノール樹脂中間体(メタノール50%溶液) 500重量部
・導電性球状粒子A−1 70重量部
・メタノール 170重量部
導電性球状粒子としては、個数平均粒径6.5μmの球状フェノール樹脂粒子100重量部に、ライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて個数平均粒径2μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14重量部を均一に被覆し、空気中下280℃で熱安定化処理した後に窒素雰囲気下2000℃で焼成することにより黒鉛化し、更に分級して得られた個数平均径5.5μmの球状導電性炭素粒子(導電性球状粒子A−1)を用いた。導電性球状粒子A−1の物性を表11に示す。
【0380】
導電性球状粒子以外の上記材料をφ1.5mmのガラスビーズを用いて実験用横形サンドミルにて5パスさせて分散を行った後、さらに上記導電性球状粒子を添加して2パス分散を行った。排出後さらに250メッシュの金属篩で篩った後、メタノールで固形分濃度が30%となるように希釈した。
【0381】
この塗料をスプレー法にてφ32mmのアルミニウム円筒体上に被膜を形成させ、次いで熱風乾燥器により150℃/30分間加熱・硬化させ現像スリーブを作製した。この時の膜厚は20μmであり、この現像スリーブ上の導電性被覆層表面の中心線平均粗さ(Ra)は、Ra=0.89μm(以降、表9に示す。)であった。被覆層の体積抵抗値は、0.99Ω・cmであった。
【0382】
この現像スリーブにマグネットを装着してステンレス製フランジを嵌合し、キヤノン社製複写機NP−6085改造機の現像装置に装着可能とした。本実験に用いたNP−6085改造機は、85枚機を95枚機に改造したものであり、プロセススピードは、513mm/sec.のものを573mm/sec.にアップさせ、且つドラム周速に対し、スリーブ周速を1.5倍とした。磁性トナーI−1Tを補給しながら、20万枚までの連続耐久を行い、評価を行った。環境は、24℃/10%の常温低湿(N/L)環境と、30℃/80%の高温高湿(H/H)環境にて行った。
【0383】
<物性の測定方法及び画像の評価方法>
トナーおよび現像スリーブの物性測定、及び、得られた画像の評価については、下記に示す方法にて行った。
【0384】
物性測定:
(1)中心線平均粗さ(Ra)の測定
JIS B0601の表面粗さに基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE−3300にて、軸方向3点×周方向2点=6点について各々測定し、その平均値をとった。
【0385】
(2)粒子の体積抵抗の測定
粒状試料を40mmφのアルミリングに入れ、2500Nで加圧成型し、抵抗率計ロレスタAP、又はハイレスタIP(共に三菱油化製)にて4端子プローブを用いて体積抵抗値を測定する。なお、測定環境は、20〜25℃、50〜60%RHとする。
【0386】
(3)被覆層の体積抵抗の測定
100μmの厚さのPETシート上に7〜20μmの厚さの被覆層を形成し、ASTM規格(D−991−82)及び、日本ゴム協会標準規格SRIS(2301−1969)に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積抵抗測定用の4端子構造の電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所製)を使用して測定した。なお、測定環境は20〜25℃、50〜60RH%とする。
【0387】
(4)球状粒子の真密度の測定
本発明で使用する導電性球状粒子の真密度は、乾式密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定した。
【0388】
(5)球状粒子の粒径測定
レーザー回折型粒度分布計のコールターLS−130型粒度分布計(コールター社製)を用いて測定する。測定方法としては、水系モジュールを用い、測定溶媒としては純水を使用する。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行する。
【0389】
次に純水10ml中に界面活性剤3〜4滴を加え、更に測定試料を5〜25mg加える。試料を懸濁した水溶液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行ない試料液を得て、前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、個数分布から算術した個数平均粒径を求める。
【0390】
(6)導電性微粒子の粒径測定
電子顕微鏡を用いて、導電性微粒子の粒径を測定する。撮影倍率は6万倍とするが、難しい場合は低倍率で撮影した後に6万倍となるように写真を拡大プリントする。写真上で一次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とする。
【0391】
(7)トナー粒径の測定
コールターカウンターのマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定し、体積分布から出した重量基準の重量平均径を求めた。
【0392】
画像評価:
(A)定着性の評価
トナー定着性評価としての濃度低下率及びホットオフセットは、以下の評価方法に基づいて評価した。
【0393】
キヤノン製複写機NP6085の定着器を取り外し、外部駆動及び定着器の温度制御装置を取り付けた定着試験装置にて定着器の温度を130℃及び220℃に変え、プロセススピードを95枚機相当に設定し、ハーフトーン画像を通紙して、定着させた。定着温度を130℃にした試験では、その画像を4900N/m2(50g/cm2)の荷重をかけ、柔和な薄紙により定着画像を摺擦し、摺擦前後の画像濃度の低下率(%)で評価した。定着温度を220℃にした試験では、転写紙を目視で観察し、ホットオフセットの発生を調べた。評価結果を表8に示した。
【0394】
(B)耐ブロッキング性の評価
ブロッキングテストは、以下の評価方法に基づいて評価した。一成分系現像剤50gを容量が100mlの容器に入れ、50℃の環境で7日間放置し、その後に、目視で一成分系現像剤の流動性を確認し、評価した。評価結果を表8に示す。
【0395】
(C)画像濃度の評価
10枚(初期)、2万枚、10万枚、20万枚画出し後における、画像比率5.5%のテストチャート上のφ5mm黒丸の画像濃度を、反射濃度RD918(マクベス社製)で測定して、画像濃度の耐久について調べた。
【0396】
(D)ゴースト評価
画出し試験によって得られたゴーストチャートのハーフトーン画像を目視にて、以下の基準で評価した。その結果、表9に示した様に、良好な結果が得られた。
◎ :濃淡差が全くみられない。
○ :わずかな濃淡差が見られるが、気にならないレベル。
○△:濃淡差が認識されるが実用上問題なし。
△ :濃淡差がややはっきりしている、実用レベル下限。
△×:濃淡差がはっきりし、実用上問題となるレベル。
× :スリーブ2周以上のゴーストが出ている。
【0397】
(E)カブリ評価
画像形成した記録紙のベタ白部の反射率(D1)を測定し、更に、画像形成に用いた記録紙と同一カットの未使用の記録紙の反射率(D2)を測定し、D1−D2の値を5点求め、その平均値をカブリ濃度とした。
【0398】
反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。ここで、測定値を目視で判断した場合、1.5以下は目視ではほとんど確認できないレベル、2.0〜3.0程度はよく見ると確認できるレベル、4.0を超えると一見してカブリが確認できるレベルである。
【0399】
(F)ハーフトーン均一性
ハーフトンの均一性について下記の基準で評価した。
◎ :均一な画像。
○ :よく見ると若干濃淡があるが、気にならないレベル。
○△:モヤモヤ状の濃淡差がやや出ており、スジ又は帯状の濃淡差が確認される
が、問題とはならないレベル。△○:○△と△の中間。
△ :モヤモヤ状の濃淡差あるいは、スジ又は帯状の濃淡差が、遠目にも確認できる。実用下限レベル。
△×:鮫肌状のモヤモヤが全体に出ているもしくは、スジがかなりはっきり確認される。
× :濃度のあまり出ていない部分がある。
【0400】
(G)ブロッチ
現像スリーブ上、および画像上に発生する斑点状もしくは波状のムラを下記の基準にて評価した。
○ :発生せず。
△ :スリーブ上に斑点状もしくは波状のムラが発生するが、画像上には出ない。
×△:ベタ画像で確認できる。
× :ベタ白上に確認できる。
【0401】
(H)ドラム融着
ドラム融着については、30℃/80%RHの高温高湿(H/H)の環境にて画出し試験によって、以下の基準で評価した。その結果、表9に示した様に、良好な結果が得られた。
ランク5:肉眼で観察してドラム上に付着しているトナーが存在しない。
ランク4:肉眼で観察してドラム上に付着しているトナーが若干存在するが、容易に除去することができる。実用上は問題ないレベル。
ランク3:肉眼で観察してドラム上に付着しているトナーが存在するのを確認でき、容易に除去することはできない。
ランク2:肉眼で観察してドラム上に付着しているトナーが存在するのを確認でき、画像上にも明確な痕跡を認めることができる。
ランク1:肉眼で観察してドラム上に筋状の融着物が観察される。
【0402】
(I)クリーニング不良
クリーニング不良については、24℃/10%RHの常温低湿(N/L)の環境にて画出し試験によって、以下の基準で評価した。その結果、表9に示した様に、良好な結果が得られた。
ランク5:クリーニングブレード裏(トナーが通過した下流側)に、部分的にも飛散しているトナーが存在しない。
ランク4:クリーニングブレード裏(トナーが通過した下流側)に、部分的にトナーが飛散して極わずかに付着して見られるが、ドラム側には付着しておらず、画像上にも影響は無い。
ランク3:ランク4に比較してブレード裏のトナー付着状況は悪いが、画像には影響していない。
ランク2:ブレードにかなり強いトナー付着が見られ、ドラム上にもトナーが載っており、画像上にややスジとなって現れる。
ランク1:クリーニング不良による画像上のスジがはっきり確認できる。
【0403】
[実施例I−2J]
・結着樹脂(I−2) 106重量部
・アゾ系鉄錯体化合物 3重量部
・磁性酸化鉄 100重量部
(平均粒径0.2μm、Hc=9.5kA/m(120エルステッド)、σs=75Am2/kg(75emu/g)、σr=6Am2/kg(6emu/g))
【0404】
実施例I−1Jにおいて用いた構成材料を上記の通り変更した以外は実施例I−1Jと同様にしてトナー(I−2T)を得た。また、現像スリーブは実施例I−1Jと同様処方を用いた。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表9)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0405】
[実施例I−3J〜I−4J、I−6J〜I−7J]
実施例I−1Jにおいて、結着樹脂(I−1)を結着樹脂(I−3)〜(I−4)、(I−6)〜(I−7)に変えた以外は実施例I−1Jと同様にしてトナー(I−3T)〜(I−4T)、(I−6T)〜(I−7T)を得た。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表9及び表10)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0406】
[実施例I−5J−1]
実施例I−1Jにおいて、結着樹脂(I−1)を結着樹脂(I−5)に変えた以外は実施例I−1Jと同様にしてトナー(I−5T)を得た。現像スリーブは実施例I−1Jと同じものを用いた。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表9)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0407】
[実施例I−5J−2、3]
実施例I−5J−1において、現像スリーブに用いた導電性球状粒子の添加量を、50重量部、90重量部とした以外は実施例I−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は、それぞれ1.10Ω・cm、0.92Ω・cmであった。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表9)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0408】
[実施例I−5J−4]
実施例I−5J−1において、現像スリーブに用いた導電性球状粒子を下記に示すような個数平均粒径3.6μmのものを100重量部を用いる以外は、実施例I−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は0.75Ω・cmであった。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表9)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0409】
導電性球状粒子は、下記にように作製されたものである。個数平均粒径5.1μmの球状フェノール樹脂粒子100重量部に、ライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて個数平均粒径1.4μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14部を均一に被覆し、空気中下280℃で熱安定化処理した後に窒素雰囲気下2000℃で焼成することにより黒鉛化し、更に分級して得られた個数平均径3.6μmの球状導電性炭素粒子(導電性球状粒子A−2)を得た。導電性球状粒子A−2の物性を表12に示す。
【0410】
[実施例I−5J−5]
実施例I−5J−1の導電性球状粒子と同様の方法にて作製された、個数平均粒径9.2μmの球状導電性炭素粒子(導電性球状粒子A−4)を30重量部用いる以外は実施例I−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は1.25Ω・cmであった。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表9)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0411】
[実施例I−5J−6]
実施例I−5J−1で用いた導電性球状粒子A−1に銅および銀をメッキし作製された、個数平均粒径5.9μmの金属被覆炭素粒子(導電性球状粒子A−6)を70重量部用いる以外は実施例I−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は0.86Ω・cmであった。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表9)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0412】
[実施例I−5J−7]
導電性球状粒子として次のようなものを用いた。スチレン−アクリル系樹脂100重量部に対し導電性カーボンブラック30重量部を加え、十分に溶融混練した後、粉砕分級して粒度を調整する。この粒子を無機分散剤を分散させた温水中に投入してホモミキサーにより攪拌して懸濁させ球形化処理を行う。分散液を徐冷した後、酸により分散剤を除去し、洗浄により酸を除去し、乾燥した後再度分級して個数平均粒径8.9μmとした(導電性球状粒子A−8)。この粒子を35重量部用いる以外は実施例I−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は1.30Ω・cmであった。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表10)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0413】
[実施例I−5J−8]
下記の配合比にて導電性塗料を作製した。
・導電性カーボンブラック 50重量部
・フェノール樹脂中間体(メタノール50%溶液) 500重量部
・導電性球状粒子A−1 90重量部
・メタノール 140重量部
導電性被覆層の処方を上記とする以外は実施例I−5J−1と同様の方法で現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は2.38Ω・cmであった。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表10)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0414】
[実施例I−5J−9]
実施例I−5J−8において、導電性カーボンブラック50重量部のかわりに、導電性カーボンブラック10重量部および導電性酸化スズ微粉末90重量部に替えた以外は、実施例I−5J−1と同様の方法で現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は85.8Ω・cmであった。ただし、本実施例では、導電性酸化スズ微粉末の沈降が速いため、塗料を強く攪拌しながら塗工しないと、塗工本数を重ねるにつれ樹脂被覆層の体積抵抗値が急上昇することがわかった。これは、凹凸形成粒子として金属や金属酸化物を用いた時に起こる現象と同様である。本実施例では、十分に攪拌を行いながらサンプルを作製し、塗料固化物と被覆層の体積抵抗が一致することを確認してから行った。これを実施例I−1Jと同様にトナー分析(表6及び表7)、トナー評価(表8)、画出し評価(表10)を行った。いずれも良好な結果が得られた。
【0415】
[比較例I−1H〜I−5H]
比較用結着樹脂(I−1C)〜(I−5C)を用いた以外は実施例I−1Jと同様にして比較用トナー(I−1CT)〜(I−5CT)を製造した。
・導電性カーボンブラック 10重量部
・体積平均粒径4.6μmのグラファイト微粉末 90重量部
・フェノール樹脂中間体(50%メタノール溶液) 500重量部
・メタノール 100重量部
上記材料を実施例I−1Jと同様に分散し、メタノールで固形分を30%に調整し比較塗料I−1CPを得た。この塗料を用い、実施例I−1Jと同様の操作で現像スリーブを作製した。中心線平均粗さはRa=0.57μmであり、被覆層の体積抵抗値は1.02Ω・cmであった。このスリーブと上記トナーを用いて、実施例I−1Jと同様にトナー分析・評価、画出し評価を行った。結果を表6、7、8及び10に示す。
【0416】
定着性評価においては、濃度低下率が悪く(比較例I−1H,2H,4H,5H)、ホットオフセットが発生し(比較例I−1H,2H,3H,5H)、ブロッキングテストでは凝集物が発生した(比較例I−1H,2H,3H,5H)。また画出し評価では画像濃度が低めで、ゴースト及びカブリ抑制が悪かった。またドラム融着抑制が悪く、クリーニング不良も目立った。
【0417】
[比較例I−6H]
比較例I−1Hで用いた現像スリーブ用処方(I−1CP)において、グラファイト微粉末の粒径を4.6μmから9.5μmとする以外はI−1CPと同じ構成の塗料を作製した(I−6CP)。この塗料を用い、実施例I−1Jと同様の操作で現像スリーブを作製した。中心線平均粗さはRa=0.80μmであり、I−1CPの処方に比較して表面粗さを上げることは可能である。被覆層の体積抵抗値は1.12Ω・cmであった。このスリーブと上記比較用トナー(I−1CT)を用いて、実施例I−1Jと同様にトナー分析・評価、画出し評価を行った。結果を表6、7、8及び10に示す。
【0418】
[比較例I−7H]
実施例I−5Jのトナーと、比較例I−1H〜5Hに使用した現像スリーブと同等のものを用い、同様に画出し評価を行った。結果を表6、7、8及び10に示す。定着性試験は良好であったが、画出し評価では特に耐久性が問題であり画像濃度の低下が見られた。また、ゴースト及びカブリ抑制が悪かった。ドラム融着及びクリーニング不良については良好だった。
【0419】
[比較例I−8H]
実施例I−5Jのトナーと、比較例I−6Hに使用した現像スリーブと同等のものを用い、同様に画出し評価を行った。結果を表6、7、8及び10に示す。定着性試験は良好であったが、画出し評価では耐久性が問題であり画像濃度の低下が見られた。また、ゴースト及びカブリ抑制が悪かった。ドラム融着及びクリーニング不良については良好だった。
【0420】
【表5】
【0421】
【表6】
【0422】
【表7】
【0423】
【表8】
【0424】
【表9】
【0425】
【表10】
【0426】
上記の実施例I−1J〜I−7Jと比較例I−1H〜I−8Hとの評価結果から、現像装置として、トナーとしてビニル系共重合ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂組成物を含む特定の結着樹脂を含有するものを用い、基体および基体表面に少なくとも結着樹脂と該結着樹脂中に分散された個数平均粒径0.3〜30μm且つ真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子を含有する導電性被覆層を有する現像スリーブを用い、さらにこの現像装置を画像形成方法に用いることによって、トナー中の長鎖アルキル化合物が結着樹脂中に均一に分散されており、定着性が良好で、耐オフセット性、耐ブロッキング性に優れ、さらにクリーニング性、融着防止等の面でも優れており、また現像スリーブは上記トナーに対し安定して適正な帯電付与を行い、かつ耐久性に非常に優れるため、多数枚耐久における画像濃度安定性に優れ、ゴースト、カブリ、スジ、ブロッチ等の抑制に優れていることがわかる。
【0427】
【表11】
【0428】
ネガトナー用結着樹脂の製造例II:
(樹脂製造例II−1)
低架橋度樹脂組成物(II−L−1)の製造
・テレフタル酸 :6.0mol
・式(1−3)で表せるコハク酸誘導体 :1.0mol
・無水トリメリット酸 :1.0mol
・PO−BPA :7.0mol
・EO−BPA :3.0mol
【0429】
上記原料をエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、温度計及び撹拌装置を付し、常法に従って、210℃で縮重合反応を行わないクロロホルム不溶分を約4重量%含有する低架橋度ポリエステル樹脂を得た。
【0430】
ここで得られたポリエステル樹脂70重量部をキシレン100重量部に完全に溶解後、スチレン23重量部、2−エチルヘキシルアクリレート7重量部、グラフト化触媒としてジブチルスズオキサイド0.3重量部及び重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド1重量部をキシレン30重量部に溶解したものを、窒素雰囲気中下約110℃の温度で、約1時間かけて滴下したその温度で6時間保持してラジカル重合反応を終了した。更に加熱しながら減圧して、脱溶剤することにより、低架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体及びポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなる低架橋度樹脂組成物(II−L−1)を得た。
【0431】
高架橋度樹脂組成物(II−H−1)の製造
次に表13の高架橋度樹脂組成物II−H−1の欄に示した様なモノマーの種類及び組成比とした以外は、低架橋度樹脂組成物(II−L−1)を製造するのと同様にしてクロロホルム不溶分を約18重量%含有する高架橋度樹脂組成物(II−H−1)を得た。得られた高架橋度樹脂組成物は、高架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体及びポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなっていた。
【0432】
結着樹脂(II−1)の製造
得られた高架橋度樹脂組成物(II−H−1)27重量部及び低架橋度樹脂組成物(II−L−1)70重量部をキシレン200重量部に膨潤・溶解後、スチレン2重量部、2−エチルヘキシルアクリレート0.8重量部、アクリル酸0.2重量部、ジビニルベンゼン0.01重量部及び重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイドを0.05重量部溶解したものを窒素雰囲気下、約125℃の温度で、約1時間かけて滴下した。その温度を5時間保持し、脱溶剤することにより高架橋度ポリエステル樹脂、低架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体及びポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなる結着樹脂(II−1)を得た。
【0433】
(樹脂製造例II−2〜II−6)
モノマーの種類及び組成を表12、13及び14の様に代えて結着樹脂(II−2)〜(II−6)を得た。
【0434】
(樹脂比較製造例II−1C〜II−6C)
モノマーの種類及び組成を表12、13及び14の様に代えて比較用結着樹脂(II−1C)〜(II−6C)を得た。
【0435】
【表12】
【0436】
【表13】
【0437】
【表14】
【0438】
(磁性酸化鉄の製造例1)
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対しケイ素元素の含有率が2.0重量%となるようにケイ酸ソーダを添加した後、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0439】
水溶液のpHを7〜10(例えばpH9)に維持しながら空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。ついでこのスラリー液に当初のアルカリ量(ケイ酸ソーダのナトリウム成分及び苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液のpH6〜10(例えばpH8)に維持して、空気を吹き込みながら酸化反応を進め、酸化反応の終期にpHを調整し、磁性酸化鉄粒子表面にケイ酸成分を偏在させた。生成した磁性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで凝集しているものを解砕処理し、磁性酸化鉄粒子(1)を得た。この磁性酸化鉄粒子を解析した結果を表15に示す。
【0440】
(磁性酸化鉄の製造例2)
ケイ酸ソーダを添加しない以外は、磁性酸化鉄の製造例1と同様にして磁性酸化鉄粒子(2)を得た。これを解析した結果を表15に示す。
【0441】
(磁性酸化鉄の製造例3)
磁性酸化鉄粒子(1)に、鉄元素に対しケイ素元素の含有率が3.5重量%となるようにさらにケイ酸微粉体を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合して磁性酸化鉄粒子(3)を得た。これを解析した結果を表15に示す。
【0442】
(磁性酸化鉄の製造例4)
磁性酸化鉄粒子(2)に、鉄元素に対しケイ素元素の含有率が0.6重量%となるようにさらにケイ酸微粉体を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合して磁性酸化鉄粒子(4)を得た。これを解析した結果を表15に示す。
【0443】
(磁性酸化鉄の製造例5)
鉄元素に対しケイ素元素の含有率が0.8重量%となるようにケイ酸ソーダを添加した点と、酸化反応の終期でのpH調整を、表面にケイ素元素が存在しないような条件にしたヘンシェルミキサーにて混合して磁性酸化鉄粒子(5)を得た。これを解析した結果を表15に示す。
【0444】
(磁性酸化鉄の製造例6)
ケイ酸ソーダを添加せず、苛性ソーダの添加量を変えて、終始水溶液のpHを12〜13に維持しながら反応させ、八面体(球形度=0.67)の磁性酸化鉄粒子(6)を得た。これを解析した結果を表15に示す。
【0445】
【表15】
【0446】
[実施例II−1J]
・結着樹脂(II−1) 100重量部
・アゾ系鉄錯体化合物 2重量部
・磁性酸化鉄粒子(1) 100重量部
・表17に示されている式(A)の長鎖アルキルアルコールA 5重量部
・表18に示されているポリエチレンワックス▲1▼ 2重量部
上記混合物を、130℃に加熱された二軸エクストルーターで溶融混練し、冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した。粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、重量平均粒径(D4)6.8μm、体積平均粒径(Dv)6.1μmの磁性トナーII−1Tを得た。
【0447】
このトナー(II−1T)を用いて、結着樹脂に含有されるテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル及びクロロホルムの可溶成分及び不溶分をソックスレー抽出により定量したところ、混在するワックスを除外した樹脂組成物は、THF不溶分(W2)が33重量%であり、酢酸エチル不溶分(W4)が36重量%であり、クロロホルム不溶分(W6)が14重量%であり、比(W4/W6)が2.6であり、THF不溶分(W2)中のクロロホルム不溶分(W6A)が5.9重量%であり、酢酸エチル不溶分(W4)中のクロロホルム不溶分(W6B)が8.1重量%であった。
【0448】
テトラヒドロフランの可溶成分(W1)のGPCによる分子量測定を行ったところ、メインピークとなる分子量が6100、分子量500以上1万未満の領域の成分(A1)が47.2%、分子量1万以上10万未満の領域の成分(A2)が28.8%、分子量10万以上の領域の成分(A3)が24.0%であり、比(A1/A2)は1.64であった。
【0449】
トナーの結着樹脂及びトナーの酢酸エチルの可溶成分(W3)の酸価を測定したところ、トナーに含有されている結着樹脂の酸価(AV1)は24.8mgKOH/gであり、トナーの酢酸エチルの可溶成分の酸価(AV2)は20.7mgKOH/gであり、比(AV1/AV2)は1.2であった。
【0450】
[実施例I−1J]で述べたように、1H−NMR及び13C−NMRにより、トナー中にビニル系共重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分が存在していることを確認した。
【0451】
この結果より、アクリル酸エステルの約29モル%がポリエステルユニットとエステル化したハイブリッド樹脂成分として存在することがわかった。各々の13C−NMR測定結果を表16に示す。
【0452】
【表16】
【0453】
このトナーの結着樹脂100重量部に対する酢酸エチルに不溶な成分を定量したところ、混在するワックスを除いた樹脂組成物は14重量部であった。さらにNMRにより酢酸エチルに不溶な結着樹脂成分(W4)及び溶解する結着樹脂成分(W3)に含有されるポリエステル樹脂成分(Gp)と(Sp)を定量したところ、Gp=約91重量%、Sp=約72重量%であり、比(Sp/Gp)=0.79であり、式(1−3)で表わせるコハク酸誘導体の存在量を定量したところ、酢酸エチルに不溶な成分に全仕込み量の約77重量%含有されていた。
【0454】
酢酸エチルに不溶な成分(W4)に含有されるワックス量は、DSCにより測定され溶解エンタルピーから定量でき、その結果、トナーに添加して全ワックスの約68重量%が存在していることがわかった。
【0455】
この磁性トナー(II−1T)100重量部に、ジメチルシリコーンオイルで表面処理した疎水性乾式シリカ(BET=100m2/g)1.2重量部をヘンシェルミキサーにて外部添加して外添トナー(一成分系現像剤)とした。
【0456】
(トナー担持体の製造)
・導電性カーボンブラック 10重量部
・体積平均粒径3.9μmのグラファイト微粉末 90重量部
・フェノール樹脂中間体(50%メタノール溶液) 440重量部
・導電性球状粒子A−4 50重量部
・メタノール 140重量部
導電性球状粒子としては、球状導電性炭素粒子A−4(表11)を用いた。
【0457】
導電性球状粒子以外の材料をφ1.5mmのガラスビーズを用いて実験用横形サンドミルにて5パスさせて分散を行った後、さらに上記導電性球状粒子を添加して2パス分散を行った。排出後さらに250メッシュの金属篩で篩った後、メタノールで固形分が30%となるように希釈した。
【0458】
この塗料をスプレー法にてφ20mmのアルミニウム円筒体上に被膜を形成させ、次いで熱風乾燥機にて150℃/30分間加熱硬化させ現像スリーブを作製した。この時の膜厚は20μmであり、この現像スリーブ上の導電性被覆層表面の中心線平均粗さ(Ra)は、Ra=1.49μm(以降、表22に示される。)であった。現像スリーブの被覆層の体積抵抗値は0.67Ω・cmであった。
【0459】
この現像スリーブにマグネットを装着してアルミニウム製フランジを嵌合し、キヤノン社製レーザービームプリンターLBP−930の改造機のカートリッジの現像装置に装着可能とした。本実験に用いたLBP−930改造機は、LBP−930をベースにA4横送り24枚機を40枚相当に改造したものであり、プロセススピードを106mm/sec.から184mm/sec.にアップさせ、且つドラム周速に対し、スリーブ周速を1.3倍とした。本体およびカートリッジにはそれぞれメカ的強度補強を加えている。外部のキャラクタージェネレーター(CG)から画像信号を送り、画像を出力させ画出しを行った。カートリッジのトナー残検が表示されるごとに磁性トナーII−1Tを補給しながら6万枚までの連続耐久テストを行い、評価を行った。環境は24℃/10%RHの常温低湿(N/L)環境と、30℃/80%RHの高温高湿(H/H)環境にて行った。
【0460】
<物性測定および画像評価>
物性の測定方法に関しては、実施例I−1Jで記載した方法と同様にして行った。
【0461】
(A)定着性の評価
トナー定着性評価としての濃度低下率及びホットオフセットは、以下の評価方法に基づいて評価した。
【0462】
キヤノン製レーザービームプリンターLBP−930の定着器を取り外し、外部駆動及び定着器の温度制御装置を取り付けた定着試験装置にて定着器の温度を120℃及び200℃に変え、プロセススピードを184mm/sec.に設定したこと以外は、実施例I−1Jと同様にして評価した。評価結果を表21に示した。
【0463】
(B)加圧ローラー汚れ
キヤノン製レーザービームプリンターLBP−930改造機の定着器の温度設定を165℃に変更して6万枚の通紙耐久を行い、定着器の加圧ローラー上の汚れを目視で観察し、加圧ローラー汚れを以下の評価基準により評価した。その評価結果を表21に示す。
A:汚れ全く無し
B;軽微な汚れ発生するも、画質には実質影響なし
C:部分的な汚れ発生
D:ローラーの半面以上が汚染されている
【0464】
(C)耐ブロッキング性の評価
実施例I−1Jと同様にして評価した。評価結果を表21に示した。
【0465】
(D)画像濃度の評価
10枚(初期)、5千枚、3万枚、6万枚画出し後における、テストチャート上の5mm四方の正方形のベタ黒の画像濃度を、反射濃度計RD918(マクベス社製)で測定し、耐久による変化を調べた。
【0466】
(E)ゴースト評価
画出し試験において、CGからの信号を、スリーブ一周分に白地上に20mm四方の正方形を横並びに並べ、スリーブ二周分目以降を600DPI、2ドット3スペースのハーフトーンベタ画像とし、スリーブ一周目の正方形画像のハーフトーン画像への影響をゴーストとして、目視にて下記の基準で評価した。
◎ :濃淡差が全くみられない。
○ :わずかな濃淡差が見られるが、気にならないレベル。
○△:濃淡差が認識されるが実用上問題なし。
△ :濃淡差がややはっきりしている、実用レベル下限。
△×:濃淡差がはっきりし、実用上問題となるレベル。
× :スリーブ2周以上のゴーストが出ている。
【0467】
(E)カブリ評価
画像形成した記録紙のベタ白部の反射率(D1)を測定し、更に、画像形成に用いた記録紙と同一カットの未使用の記録紙の反射率(D2)を測定し、D1−D2の値を5点求め、その平均値をカブリ濃度とした。
【0468】
反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。ここで、測定値を目視で判断した場合、1.5以下は目視ではほとんど確認できないレベル、2.0〜3.0程度はよく見ると確認できるレベル、4.0を超えると一見してカブリが確認できるレベルである。
【0469】
(G)ハーフトーン均一性
キヤノン製レーザービームプリンターLBP−930改造機を用い、得られた画像を実施例I−1Jと同様な評価基準で評価した。その結果、表22に示す様に、良好な結果が得られた。
【0470】
(H)ブロッチ
現像スリーブ上、および画像上に発生する斑点状もしくは波状のムラを下記の基準にて評価した。
○ :発生せず。
△ :スリーブ上に斑点状もしくは波状のムラが発生するが、画像上には出ない。
×△:ベタ画像で確認できる。
× :ベタ白上に確認できる。
【0471】
(I)ドラム融着
30℃/80%RHの高温高湿環境での画出し結果より、以下の基準で評価した。表22に示されるように良好な結果を示した。
ランク5:肉眼で観察してドラム上に付着しているトナーが存在しない。
ランク4:肉眼で観察してドラム上に付着しているトナーが軽微に存在するが、画像上(ベタ白部に黒点として出現)で確認するのはほとんど不可能。
ランク3:よく観察すると、画像上にドラム融着が原因の黒点が見られるが、実用上は問題なし。
ランク2:融着が黒点としていくつか観察される。実用上、気になるレベル。
ランク1:融着の黒点がスジ状にいくつか発生している。
【0472】
(J)クリーニング不良
24℃/10%RHの常温低湿環境での画出し結果より、以下の基準で評価した。表22に示されるように、良好な結果が得られた。
ランク5:クリーニングブレード裏(トナーが通過した下流側)に、部分的にも飛散しているトナーが存在しない。
ランク4:クリーニングブレード裏(トナーが通過した下流側)に、部分的にトナーが飛散して極わずかに付着して見られるが、ドラム側には付着しておらず、画像上にも影響は無い。
ランク3:ランク4に比較してブレード裏のトナー付着状況は悪いが、画像には影響していない。
ランク2:ブレードにかなり強いトナー付着が見られ、ドラム上にもトナーが載っており、画像上にややスジとなって現れる。
ランク1:クリーニング不良による画像上のスジがはっきり確認できる。
【0473】
[実施例II−2J〜II−4J、II−6J]
結着樹脂(II−1)の代わりに、結着樹脂(II−2)〜(II−4)、(II−6)を用いた以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−2T〜II−4T)、(II−6T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に行った結果を表21、22及び23に示す。
【0474】
[実施例II−5J−1]
結着樹脂(II−1)の代わりに、結着樹脂(II−5)を用いた以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−5T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に行った結果を表21及び22に示す。
【0475】
[実施例II−5J−2、3]
実施例II−5J−1において、現像スリーブに用いた導電性球状粒子の添加量を、40重量部、60重量部とした以外は実施例II−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は、それぞれ0.75Ω・cm、0.63Ω・cmであった。評価結果を表21及び22に示す。
【0476】
[実施例II−5J−4]
実施例II−5J−1において、現像スリーブに用いた導電性球状粒子A−1とし、導電性球状粒子の添加量を100重量部とした以外は実施例II−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は0.52Ω・cmであった。評価結果を表21及び22に示す。
【0477】
[実施例II−5J−5]
実施例II−5J−1において、現像スリーブに用いた導電性球状粒子を表12に示す個数平均粒径15.0μmのもの(A−3)とし、導電性球状粒子の添加量を30重量部としたこと以外は実施例II−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は0.85Ω・cmであった。評価結果を表21、22に示す。
【0478】
[実施例II−5J−6]
実施例II−5J−1において、現像スリーブに用いた導電性球状粒子を表12に示す個数平均粒径24.7μmのもの(A−5)とし、導電性球状粒子の添加量を15重量部とした以外は実施例II−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は0.86Ω・cmであった。評価結果を表21及び22に示す。
【0479】
[実施例II−5J−7]
実施例II−5J−1において、実施例I−5J−5において用いた導電性球状粒子をベースに実施例I−5J−6と同様にメッキ処理を施した、表11に示す個数平均粒径9.4μmの金属被覆導電性球状粒子(A−7)を用い、導電性球状粒子の添加量を50重量部とした以外は実施例II−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は0.66Ω・cmであった。評価結果を表21及び23に示す。
【0480】
[実施例II−5J−8]
実施例II−5J−1において、実施例I−5J−7において用いた導電性球状粒子と同様の製法によって作製された、表11に示す個数平均粒径9.7μmの導電性球状粒子(A−9)を用い、導電性球状粒子の添加量を50重量部とした以外は実施例II−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は0.85Ω・cmであった。評価結果を表21及び23に示す。
【0481】
[実施例II−5J−9]
下記の配合比により導電性塗料を作製した。
・導電性カーボンブラック 60重量部
・フェノール樹脂中間体(メタノール50%溶液) 440重量部
・導電性球状粒子A−4 50重量部
・メタノール 105重量部
導電性被覆層の処方を上記とする以外は実施例II−5J−1と同様の方法で現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は1.66Ω・cmであった。評価結果を表21及び23に示す。
【0482】
[実施例II−7J〜II−11J]
式(A)で示される長鎖アルキル化合物Aの代わりに、表17に示す長鎖アルキル化合物B〜Fを用いた以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−7T)〜(II−11T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価した結果を表21及び23に示す。
【0483】
[実施例II−12J]
ポリエチレンワックス▲1▼の代わりに、表18に示すポリエチレンワックス▲2▼を用いた以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−12T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価した結果を表21及び23に示す。
【0484】
[実施例II−13J]
ポリエチレンワックス▲1▼の代わりに、表18に示すポリエチレンワックス▲3▼を用いた以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−13T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価した結果を表21及び23に示す。
【0485】
[実施例II−14J]
ポリエチレンワックス▲1▼の代わりに、表18に示すアーゲ法で合成した炭化水素ワックス▲1▼を用いた以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−14T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価した結果を表21及び24に示す。
【0486】
[実施例II−15J]
ポリエチレンワックス▲1▼の代わりに、表18に示すポリプロピレンワックス▲1▼を用いた以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−15T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価した結果を表21及び24に示す。
【0487】
[実施例II−16J〜II−20J]
磁性酸化鉄粒子(1)の代わりに、表15に示す、磁性酸化鉄粒子(2)〜(6)を用いた以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−16T)〜(II−20T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価を行った結果を表21及び24に示す。
【0488】
[実施例II−21J]
ジメチルシリコーンオイルで処理した疎水性乾式シリカの代わりに、ヘキサメチルジシラザンで表面処理した疎水性乾式シリカ(BET:180m2/g)を用いた以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−21T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価を行った結果を表21及び24に示す。
【0489】
[実施例II−22J]
ポリエチレンワックス▲1▼を用いなかった以外は、実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−22T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価を行った結果を表21及び24に示す。
【0490】
[実施例II−23J]
長鎖アルキル化合物A及びポリエチレンワックス▲1▼の代わりに表18のポリプロピレンワックス▲1▼を7重量部のみ用いた以外は実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示すトナー(II−23T)を得た。得られたトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価を行った結果を表21及び23に示す。
【0491】
[比較例II−1H〜II−6H]
結着樹脂(II−1)の代わりに比較用結着樹脂(II−1C〜II−6C)を用いた以外は実施例II−1Jと同様にして表19及び表20に示す比較用トナー(II−1CT)〜(II−6CT)を得た。
・導電性カーボンブラック 10重量部
・体積平均粒径3.9μmのグラファイト微粉末 90重量部
・フェノール樹脂中間体(50%メタノール溶液) 440重量部
・メタノール 100重量部
上記材料を実施例I−1Jと同様に分散し、メタノールで固形分を30%に調整し比較塗料II−1CPを得た。この塗料を用い、実施例II−1Jと同様の操作で現像スリーブを作製した。中心線平均粗さは、Ra=0.54μmであり、被覆層の体積抵抗値は0.87Ω・cmであった。
【0492】
得られた現像スリーブおよびトナーを用いて、実施例II−1Jと同様に評価を行った結果を表21及び25に示す。
【0493】
[比較例II−7H]
比較例II−1Hで用いた現像スリーブ処方(II−1CP)において、グラファイト微粉末の粒径を3.9μmから12.5μmと大きくし、且つ添加量を下記のように増量することにより、表面粗さを比較例II−1Hの現像スリーブよりも大きくした。
・導電性カーボンブラック 10重量部
・体積平均粒径12.5μmのグラファイト微粉末 140重量部
・フェノール樹脂中間体(50%メタノール溶液) 400重量部
・メタノール 150重量部
上記材料を実施例I−1Jと同様に分散し、メタノールで固形分を30%に調整し比較塗料II−7CPを得た。この塗料を用い、実施例II−1Jと同様の操作で現像スリーブを作製した。中心線平均粗さは、Ra=1.55μmであり、被覆層の体積抵抗値は0.43Ω・cmであった。比較用トナーII−1CTを用いて評価を行った。評価結果を表21及び25に示す。
【0494】
[比較例II−8H]
実施例II−5Jのトナー(II−5T)と比較例II−1H〜II−6Hに用いた現像スリーブと同等のものを用い、実施例II−1Jと同様の評価を行った。評価結果を表21及び25に示す。
【0495】
[比較例II−9H]
実施例II−5Jのトナー(II−5T)と比較例II−7Hに用いた現像スリーブと同等のものを用い、実施例II−1Jと同様の評価を行った。結果を表21及び25に示す。
【0496】
[比較例II−10H]
実施例II−5J−1において、現像スリーブに導電性球状粒子に代えて、個数平均9.3μmの球状PMMA(ポリメチルメタクリレート)粒子を50重量部添加した以外は実施例II−5J−1と同様にして現像スリーブを得た。被覆層の体積抵抗値は0.87Ω・cmであった。中心線平均粗さは、Ra=1.51μmであった。
【0497】
実施例II−5Jのトナー(II−5T)と上記処方の現像スリーブを用い、実施例II−1Jと同様の評価を行った。結果を表21及び25に示す。
【0498】
[比較例II−11H]
比較例II−1Hのトナー(II−1CT)と比較例II−10Hに用いた現像スリーブと同等のものを用い、実施例II−1Jと同様の評価を行った。結果を表21及び25に示す。
【0499】
【表17】
【0500】
【表18】
【0501】
【表19】
【0502】
【表20】
【0503】
【表21】
【0504】
【表22】
【0505】
【表23】
【0506】
【表24】
【0507】
【表25】
【0508】
上記実施例II−1J〜II−23Jと比較例II−1H〜II−11Hとの評価結果から、現像装置として、トナーとしてビニル系共重合ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂組成物を含む特定の結着樹脂を含有するトナーにワックスとして長鎖アルキル化合物を用いたものを用い、基体および基体表面に少なくとも結着樹脂と該結着樹脂中に分散された個数平均粒径0.3〜30μm且つ真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子を含有する導電性被覆層を有する現像スリーブを用い、さらにこの現像装置を画像形成方法に用いることによって、トナー中の長鎖アルキル化合物が結着樹脂中に均一に分散されており、定着性が良好で、耐オフセット性、耐ブロッキング性に優れ、さらにクリーニング性、融着防止等の面でも優れており、また現像スリーブは上記トナーに対し安定して適正な帯電付与を行い、かつ耐久性に非常に優れるため、多数枚耐久における画像濃度安定性に優れ、ゴースト、カブリ、スジ、ブロッチ等の抑制に優れていることがわかる。
【0509】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の現像装置および画像形成方法に用いられる、ビニル系共重合ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂組成物を含む特定の結着樹脂を含有するトナーは、ワックスが結着樹脂中に均一に分散されており、定着性が良好で、耐オフセット性、耐ブロッキング性等に優れているものである。
【0510】
さらに、これらの特性を活かすため、現像装置の現像剤担持体として、基体および基体表面に導電性被覆層を有し、該導電性被覆層が少なくとも結着樹脂と該結着樹脂中に分散された個数平均粒径0.3〜30μm且つ真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子を含有するものを用いることで、トナー中に含まれる樹脂、ワックス、荷電制御剤、外添剤等のスリーブへの付着を防止するとともに表面粗さや抵抗値等の組成や表面性の変化が極めて少ないため、トナーに対し均一且つ適正な帯電を安定して与えることができ、さらに現像剤担持体は耐久性に優れるため、長期に渡って画像濃度が安定し、ゴースト、カブリ、スジ、ブロッチ等のない画像を提供できる。
【0511】
すなわち、本発明の現像装置および画像形成方法においては、トナーと現像スリーブの相互作用によって、長期にわたり安定して、高精細高画質なコピーおよびプリント画像を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】低架橋度ポリエステル樹脂組成物の13C−NMRスペクトルを示す。
【図2】スチレン・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体の13C−NMRスペクトルを示す。
【図3】本発明に係る結着樹脂(I−1)の13C−NMRスペクトルを示す。
【図4】本発明に係る結着樹脂(I−1)の酢酸エチル可溶成分の1H−NMRスペクトルを示す。
【図5】本発明に係る結着樹脂(I−1)の酢酸エチル不溶成分の1H−NMRスペクトルを示す。
【図6】PO−BPAのPO基の1H−NMRシグナルの帰属を示す説明図である。
【図7】本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の概略構成図を示す。
【図8】図7に示す画像形成装置の現像部の部分拡大図を示す。
【図9】本発明の画像形成方法を実施し得る他の形態の画像形成装置の概略構成図を示す。
【図10】本発明の画像形成方法において、定着工程で用いる他の加熱定着手段としてのフィルム加熱定着装置の概略図を示す。
【図11】本発明の現像装置を説明するための模式図を示す。
【図12】本発明の現像装置を説明するための他の模式図を示す。
【図13】本発明の現像装置を説明するための更に他の模式図を示す。
【図14】本発明に関わる、プロセスカートリッジを含む画像形成装置構成を説明するための模式図を示す。
【図15】図14に示す画像形成装置本体に装着されるプロセスカートリッジの概略構成図を示す。
【図16】本発明の画像形成方法をファクシミリ装置のプリンターとして適用した場合のブロック図を示す。
【図17】ソックスレー抽出に使用するソックスレー抽出装置の一具体例を示す概略図である。
【図18】スリーブゴーストの試験例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 静電潜像保持体(感光体)
4 現像剤担持体(現像スリーブ)
7 定着器
8 クリーニングブレード
9 現像器
11 磁性ブレード
13 一成分系現像剤
23 磁石
501 感光体
502 規制ブレード
503 ホッパー(現像容器)
504 現像剤
505 磁石
506 基体
507 導電性被覆層
508 現像スリーブ
P 転写紙(記録材)
Claims (156)
- 現像容器内に収容されたトナーを有する現像剤を現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上に現像剤層厚規制部材により現像剤層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像剤により現像し、可視像化する現像装置において、
▲1▼前記トナーは少なくとも着色剤、結着樹脂及びワックスを含有し、
該結着樹脂は、
(a)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、及び、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリッド樹脂成分を含み、
(b)テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、THF可溶成分を50乃至85重量%(W1)含有し、THF不溶成分を15乃至50重量%(W2)含有し、
(c)酢酸エチルを溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、酢酸エチル可溶成分を40乃至98重量%(W3)含有し、酢酸エチル不溶成分を2乃至60重量%(W4)含有し、
(d)クロロホルムを溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、クロロホルム可溶成分を55乃至90重量%(W5)含有し、クロロホルム不溶成分を10乃至45重量%(W6)含有し、
(e)W4/W6の値が1.1乃至4.0であり、
(f)THF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量分布において、分子量4000乃至9000の領域にメインピークを有し、分子量500乃至1万未満の領域の成分が35.0乃至65.0%(A1)であり、分子量1万乃至10万未満の領域の成分が25.0乃至45.0%(A2)であり、分子量10万以上の成分が10.0乃至30.0%(A3)であり、A1/A2の値が1.05乃至2.00であり、
▲2▼前記現像剤担持体は基体及び該基体上に設けられた被覆層を有し、該被覆層は、少なくとも結着樹脂と、該結着樹脂中に分散された個数平均粒径0.3乃至30μm且つ真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子を含有することを特徴とする現像装置。 - 導電性球状粒子の長径/短径の比が、1.0乃至1.5の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
- 導電性球状粒子の体積抵抗が、106Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
- 導電性球状粒子が炭素粒子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置。
- 炭素粒子の表面が、導電性の金属、導電性の金属酸化物、又はそれらの両者でメッキ処理されていることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
- 導電性球状粒子が樹脂粒子表面が導電化処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の現像装置。
- 導電性球状粒子が、樹脂粒子中に導電性微粒子が分散されたものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の現像装置。
- 該被覆層が、導電性球状粒子に加えて、潤滑性粒子を更に含有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の現像装置。
- 潤滑性粒子が、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、雲母、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石及び脂肪酸金属塩からなる粒子群から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
- 結着樹脂の該ポリエステル樹脂及び該ポリエステルユニットは、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物、または、三価以上の多価アルコールで架橋された架橋構造を有していることを特微とする請求項1乃至9のいずれかに記載の現像装置。
- 結着樹脂の該ビニル系樹脂及び該ビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、THF不溶成分(W2)を20乃至45重量%含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、THF不溶成分(W2)を25乃至40重量%含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、酢酸エチル不溶成分(W4)を5乃至50重量%含有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、酢酸エチル不溶成分(W4)を10乃至40重量%含有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、クロロホルム不溶成分(W6)を15乃至40重量%含有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、クロロホルム不溶成分(W6)を17乃至37重量%含有することを特徴とする請求項l乃至15のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、酢酸エチル不溶成分(W4)とクロロホルム不溶成分(W6)との比(W4/W6)の値が1.2乃至3.5であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、酢酸エチル不溶成分(W4)とクロロホルム不溶成分(W6)との比(W4/W6)の値が1.5乃至3.0であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF不溶成分(W2)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6A)の含有量と該酢酸エチル不溶成分(W4)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6B)の含有量とが、下記条件
3重量%≦W6A≦25重量%
7重量%≦W6B≦30重量%
10重量%≦W6A+W6B≦45重量%
W6A:W6B=1:1乃至3
を満足することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の現像装置。 - 該THF不溶成分(W2)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6A)の含有量と該酢酸エチル不溶成分(W4)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6B)の含有量とが、下記条件
5重量%≦W6A≦20重量%
10重量%≦W6B≦25重量%
15重量%≦W6A+W6B≦40重量%
W6A:W6B=1:1.5乃至2.5
を満足することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の現像装置。 - 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量5000乃至8500の領域にピークを有することを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量5000乃至8000の領域にピークを有することを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500乃至1万未満の成分(A1)を37.0乃至60.0%含有していることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500乃至1万未満の成分(A1)を40.0乃至50.0%含有していることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量1万乃至10万未満の成分(A2)を27.0乃至42.0%含有していることを特徴とする請求項1乃至25のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量1万乃至10万未満の成分(A2)を30.0乃至40.0%含有していることを特徴とする請求項1乃至25のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量10万以上の成分(A3)を12.0乃至25.0%含有していることを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量10万以上の成分(A3)を15.0乃至20.0%含有していることを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500乃至1万未満の成分(A1)と分子量1万乃至10万未満の成分(A2)との比(A1/A2)が、1.10乃至1.90であることを特徴とする請求項1乃至29のいずれかに記載の現像装置。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500乃至1万未満の成分(A1)と分子量1万乃至10万未満の成分(A2)との比(A1/A2)が、1.15乃至1.80であることを特徴とする請求項1乃至29のいずれかに記載の現像装置。
- 該ハイブリッド樹脂成分は、ポリエステルユニットとカルボン酸エステル基を有するモノマーの重合によるビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応されて形成された共重合体であることを特徴とする請求項1乃至32のいずれかに記載の現像装置。
- 該ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体ユニットを幹重合体とし、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト重合体であることを特徴とする請求項1乃至33のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、10乃至60モル%のグラフト化率を有することを特徴とする請求項1乃至34のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、15乃至55モル%のグラフト化率を有することを特徴とする請求項1乃至34のいずれかに記載の現像装置。
- 該結着樹脂は、
(A)酢酸エチルに不溶な成分(W4)を結着樹脂100重量部に対して2乃至60重量部含有し、
(B)酢酸エチルに不溶な成分(W4)がポリエステル樹脂成分(Gp)を40乃至98重量B含有し、
(C)酢酸エチルに溶解する成分(W3)がポリエステル樹脂成分(Sp)を20乃至90重量%含有し、
(D)酢酸エチルに不溶な成分(W4)が含有するポリエステル樹脂成分(Gp)の含有量と酢酸エチルに溶解する成分(W3)が含有するポリエステル樹脂成分(Sp)の含有量との比(Sp/Gp)が、0.5乃至1.0であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の現像装置。 - 該酢酸エチルに不溶な成分(W4)がポリエステル樹脂成分(Gp)を55乃至95重量%含有することを特徴とする請求項37に記載の現像装置。
- 該酢酸エチルに不溶な成分(W4)がポリエステル樹脂成分(Gp)を60乃至90重量%含有することを特徴とする請求項37に記載の現像装置。
- 該酢酸エチルに溶解する成分(W3)はポリエステル樹脂成分(Sp)を25乃至85重量%含有することを特徴とする請求項37乃至39のいずれかに記載の現像装置。
- 該酢酸エチルに溶解する成分(W3)はポリエステル樹脂成分(Sp)を30乃至80重量%含有することを特徴とする請求項37乃至39のいずれかに記載の現像装置。
- 該酢酸エチルに不溶な成分(W4)が含有するポリエステル樹脂成分(Gp)の含有量と酢酸エチルに溶解する成分(W3)が含有するポリエステル樹脂成分(Sp)との比(Sp/Gp)が、0.60乃至0.95であることを特徴とする請求項37乃至41のいずれかに記載の現像装置。
- 該酢酸エチルに不溶な成分(W4)が含有するポリエステル樹脂成分(Gp)の含有量と酢酸エチルに溶解する成分(W3)が含有するポリエステル樹脂成分(Sp)との比(Sp/Gp)が、0.65乃至0.90であることを特徴とする請求項37乃至41のいずれかに記載の現像装置。
- 該トナーの全結着樹脂は、7乃至40mgKOH/gの酸価(AV1)を有していることを特徴とする請求項1乃至43のいずれかに記載の現像装置。
- 該トナーの全結着樹脂は、10乃至37mgKOH/gの酸価(AV1)を有していることを特徴とする請求項1乃至43のいずれかに記載の現像装置。
- 該トナーの酢酸エチル可溶成分(W3)は、10乃至45mgKOH/gの酸価(AV2)を有していることを特徴とする請求項1乃至45のいずれかに記載の現像装置。
- 該トナーの酢酸エチル可溶成分(W3)は、15乃至45mgKOH/gの酸価(AV2)を有していることを特徴とする請求項1乃至45のいずれかに記載の現像装置。
- 該トナーの全結着樹脂の酸価(AV1)と該トナーの酢酸エチル可溶成分(W3)の酸価(AV2)との比(AV1/AV2)は、0.7乃至2.0であることを特徴とする請求項1乃至47のいずれかに記載の現像装置。
- 該トナーの全結着樹脂の酸価(AV1)と該トナーの酢酸エチル可溶成分(W3)の酸価(AV2)との比(AV1/AV2)は、1.0乃至1.5であることを特徴とする請求項1乃至47のいずれかに記載の現像装置。
- 該ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点が70乃至140℃であることを特徴とする請求項1乃至49のいずれかに記載の現像装置。
- 該ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点が80乃至135℃であることを特徴とする請求項1乃至49のいずれかに記載の現像装置。
- 該ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点が90乃至130℃であることを特徴とする請求項1乃至49のいずれかに記載の現像装置。
- 該トナーは、結着樹脂の製造時にワックスの存在下で製造された、ワックスを含有する結着樹脂を含有していることを特徴とする請求項1乃至52のいずれかに記載の現像装置。
- 該トナーは、炭化水素ワックスもしくは石油系ワックスをさらに含有することを特徴とする請求項54に記載の現像装置。
- 該長鎖アルキル化合物は、GPC測定による分子量分布において、数平均分子量(Mn)が200乃至2500、重量平均分子量(Mw)が400乃至5000及び重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が3以下であることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。
- 式(A)又は式(B)で示される長鎖アルキル化合物は、OH価が2乃至150mgKOH/gであることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。
- 式(A)又は式(B)で示される長鎖アルキル化合物は、OH価が10乃至120mgKOH/gであることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。
- 式(C)で示される長鎖アルキル化合物は、酸価が2乃至150mgKOH/gであることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。
- 式(C)で示される長鎖アルキル化合物は、酸価が5乃至150mgKOH/gであることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。
- 該長鎖アルキル化合物は、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が70乃至140℃であることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。
- 該長鎖アルキル化合物は、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が80乃至135℃であることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。
- 該長鎖アルキル化合物は、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が90乃至130℃であることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。
- 該炭化水素ワックス又は石油系ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が70乃至140℃であることを特徴とする請求項55に記載の現像装置。
- 該炭化水素ワックス又は石油系ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が80乃至135℃であることを特徴とする請求項55に記載の現像装置。
- 該炭化水素ワックス又は石油系ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が90乃至130℃であることを特徴とする請求項55に記載の現像装置。
- 該炭化水素ワックス又は石油系ワックスは、GPC測定による分子量分布において、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1乃至3であることを特徴とする請求項55に記載の現像装置。
- 該トナーは、該着色剤として磁性酸化鉄を少なくとも含有することを特徴とする請求項1乃至67のいずれかに記載の現像装置。
- 該トナーは、該磁性酸化鉄を該結着樹脂100重量部に対して、10乃至200重量部含有していることを特徴とする請求項68に記載の現像装置。
- 該磁性酸化鉄は、球形度(ψ)が0.8以上であることを特徴とする請求項68に記載の現像装置。
- 該磁性酸化鉄は、ケイ素化合物を含有することを特徴とする請求項68に記載の現像装置。
- 該磁性酸化鉄は、ケイ素元素を鉄元素を基準として0.2乃至4重量%含有しており、該磁性酸化鉄の鉄元素溶解率が20重量%までに存在するケイ素元素の含有量Bと該磁性酸化鉄のケイ素元素の全含有量Aとの比(B/A)×100が44乃至84%であり、該磁性酸化鉄の表面に存在するケイ素の含有量Cと該含有量Aとの比(C/A)×100が10乃至55%であることを特徴とする請求項71に記載の現像装置。
- 該トナーは、疎水化処理されたシリカ微粉体が外添されていることを特徴とする請求項1乃至72のいずれかに記載の現像装置。
- 該シリカ微粉体は、シリコーンオイルで処理されていることを特徴とする請求項73に記載の現像装置。
- 該トナーは、重量平均粒径が3乃至10μmであることを特徴とする請求項1乃至74のいずれかに記載の現像装置。
- 現像容器内に収容されたトナーを有する現像剤を現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上に現像剤層厚規制部材により現像剤層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像剤により現像し、現像画像を形成する現像工程;
該静電潜像保持体上に形成された現像画像を中間転写体を用いて、または用いずに記録材に転写する転写工程;及び、
該記録材に転写された現像画像を加熱定着手段により該記録材に加熱定着する定着工程;
を有する画像形成方法において、
▲1▼前記トナーは少なくとも着色剤、結着樹脂及びワックスを含有し、
該結着樹脂は、
(a)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、及び、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリッド樹脂成分を含み、
(b)テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、THF可溶成分を50乃至85重量%(W1)含有し、THF不溶成分を15乃至50重量%(W2)含有し、
(c)酢酸エチルを溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、酢酸エチル可溶成分を40乃至98重量%(W3)含有し、酢酸エチル不溶成分を2乃至60重量%(W4)含有し、
(d)クロロホルムを溶媒とした10時間のソックスレー抽出で、クロロホルム可溶成分を55乃至90重量%(W5)含有し、クロロホルム不溶成分を10乃至45重量%(W6)含有し、
(e)W4/W6の値が1.1乃至4.0であり、
(f)THF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量分布において、分子量4000乃至9000の領域にメインピークを有し、分子量500乃至1万未満の領域の成分が35.0乃至65.0%(A1)であり、分子量1万乃至10万未満の領域の成分が25.0乃至45.0%(A2)であり、分子量10万以上の成分が10.0乃至30.0%(A3)であり、A1/A2の値が1.05乃至2.00であり、
▲2▼前記現像剤担持体は基体及び該基体上に設けられた被覆層を有し、該被覆層は、少なくとも結着樹脂と、該結着樹脂中に分散された個数平均粒径0.3乃至30μm且つ真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子を含有することを特徴とする画像形成方法。 - 導電性球状粒子の長径/短径の比が、1.0乃至1.5の範囲内にあることを特徴とする請求項76に記載の画像形成方法。
- 導電性球状粒子の体積抵抗が、106Ω・cm以下であることを特徴とする請求項76又は77に記載の画像形成方法。
- 導電性球状粒子が炭素粒子であることを特徴とする請求項76乃至78のいずれかに記載の画像形成方法。
- 炭素粒子の表面が、導電性の金属、導電性の金属酸化物、又はそれらの両者でメッキ処理されていることを特徴とする請求項79に記載の画像形成方法。
- 導電性球状粒子が樹脂粒子表面が導電化処理されたものであることを特徴とする請求項76乃至80のいずれかに記載の画像形成方法。
- 導電性球状粒子が、樹脂粒子中に導電性微粒子が分散されたものであることを特徴とする請求項76乃至81のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該被覆層が、導電性球状粒子に加えて、潤滑性粒子を更に含有していることを特徴とする請求項76乃至82のいずれかに記載の画像形成方法。
- 潤滑性粒子が、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、雲母、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石及び脂肪酸金属塩からなる粒子群から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項83に記載の画像形成方法。
- 結着樹脂の該ポリエステル樹脂及び該ポリエステルユニットは、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物、または、三価以上の多価アルコールで架橋された架橋構造を有していることを特微とする請求項76乃至84のいずれかに記載の画像形成方法。
- 結着樹脂の該ビニル系樹脂及び該ビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していることを特徴とする請求項76乃至85のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、THF不溶成分(W2)を20乃至45重量%含有することを特徴とする請求項76乃至86のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、THF不溶成分(W2)を25乃至40重量%含有することを特徴とする請求項76乃至86のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、酢酸エチル不溶成分(W4)を5乃至50重量%含有することを特徴とする請求項76乃至88のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、酢酸エチル不溶成分(W4)を10乃至40重量%含有することを特徴とする請求項76乃至88のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、クロロホルム不溶成分(W6)を15乃至40重量%含有することを特徴とする請求項76乃至90のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、クロロホルム不溶成分(W6)を17乃至37重量%含有することを特徴とする請求項76乃至90のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、酢酸エチル不溶成分(W4)とクロロホルム不溶成分(W6)との比(W4/W6)の値が1.2乃至3.5であることを特徴とする請求項76乃至92のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、酢酸エチル不溶成分(W4)とクロロホルム不溶成分(W6)との比(W4/W6)の値が1.5乃至3.0であることを特徴とする請求項76乃至92のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF不溶成分(W2)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6A)の含有量と該酢酸エチル不溶成分(W4)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6B)の含有量とが、下記条件
3重量%≦W6A≦25重量%
7重量%≦W6B≦30重量%
10重量%≦W6A+W6B≦45重量%
W6A:W6B=1:1乃至3
を満足することを特徴とする請求項76乃至94のいずれかに記載の画像形成方法。 - 該THF不溶成分(W2)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6A)の含有量と該酢酸エチル不溶成分(W4)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6B)の含有量とが、下記条件
5重量%≦W6A≦20重量%
10重量%≦W6B≦25重量%
15重量%≦W6A+W6B≦40重量%
W6A:W6B=1:1.5乃至2.5
を満足することを特徴とする請求項76乃至94のいずれかに記載の画像形成方法。 - 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量5000乃至8500の領域にピークを有することを特徴とする請求項76乃至96のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量5000乃至8000の領域にピークを有することを特徴とする請求項76乃至96のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500乃至1万未満の成分(A1)を37.0乃至60.0%含有していることを特徴とする請求項76乃至98のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500乃至1万未満の成分(A1)を40.0乃至50.0%含有していることを特徴とする請求項76乃至98のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量1万乃至10万未満の成分(A2)を27.0乃至42.0%含有していることを特徴とする請求項76乃至100のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量1万乃至10万未満の成分(A2)を30.0乃至40.0%含有していることを特徴とする請求項76乃至100のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量10万以上の成分(A3)を12.0乃至25.0%含有していることを特徴とする請求項76乃至102のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量10万以上の成分(A3)を15.0乃至20.0%含有していることを特徴とする請求項76乃至102のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500乃至1万未満の成分(A1)と分子量1万乃至10万未満の成分(A2)との比(A1/A2)が、1.10乃至1.90であることを特徴とする請求項76乃至104のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500乃至1万未満の成分(A1)と分子量1万乃至10万未満の成分(A2)との比(A1/A2)が、1.15乃至1.80であることを特徴とする請求項76乃至104のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該ハイブリッド樹脂成分は、ポリエステルユニットとカルボン酸エステル基を有するモノマーの重合によるビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応されて形成された共重合体であることを特徴とする請求項76乃至107のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体ユニットを幹重合体とし、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト重合体であることを特徴とする請求項76乃至108のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、10乃至60モル%のグラフト化率を有することを特徴とする請求項76乃至109のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、15乃至55モル%のグラフト化率を有することを特徴とする請求項76乃至109のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該結着樹脂は、
(A)酢酸エチルに不溶な成分(W4)を結着樹脂100重量部に対して2乃至60重量部含有し、
(B)酢酸エチルに不溶な成分(W4)がポリエステル樹脂成分(Gp)を40乃至98重量%含有し、
(C)酢酸エチルに溶解する成分(W3)がポリエステル樹脂成分(Sp)を20乃至90重量%含有し、
(D)酢酸エチルに不溶な成分(W4)が含有するポリエステル樹脂成分(Gp)の含有量と酢酸エチルに溶解する成分(W3)が含有するポリエステル樹脂成分(Sp)の含有量との比(Sp/Gp)が、0.5乃至1.0であることを特徴とする請求項76乃至84のいずれかに記載の画像形成方法。 - 該酢酸エチルに不溶な成分(W4)がポリエステル樹脂成分(Gp)を55乃至95重量%含有することを特徴とする請求項112に記載の画像形成方法。
- 該酢酸エチルに不溶な成分(W4)がポリエステル樹脂成分(Gp)を60乃至90重量%含有することを特徴とする請求項112に記載の画像形成方法。
- 該酢酸エチルに溶解する成分(W3)はポリエステル樹脂成分(Sp)を25乃至85重量%含有することを特徴とする請求項112乃至114のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該酢酸エチルに溶解する成分(W3)はポリエステル樹脂成分(Sp)を30乃至80重量%含有することを特徴とする請求項112乃至114のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該酢酸エチルに不溶な成分(W4)が含有するポリエステル樹脂成分(Gp)の含有量と酢酸エチルに溶解する成分(W3)が含有するポリエステル樹脂成分(Sp)との比(Sp/Gp)が、0.60乃至0.95であることを特徴とする請求項112乃至116のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該酢酸エチルに不溶な成分(W4)が含有するポリエステル樹脂成分(Gp)の含有量と酢酸エチルに溶解する成分(W3)が含有するポリエステル樹脂成分(Sp)との比(Sp/Gp)が、0.65乃至0.90であることを特徴とする請求項112乃至116のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーの全結着樹脂は、7乃至40mgKOH/gの酸価(AV1)を有していることを特徴とする請求項76乃至118のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーの全結着樹脂は、10乃至37mgKOH/gの酸価(AV1)を有していることを特徴とする請求項76乃至118のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーの酢酸エチル可溶成分(W3)は、10乃至45mgKOH/gの酸価(AV2)を有していることを特徴とする請求項76乃至120のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーの酢酸エチル可溶成分(W3)は、15乃至45mgKOH/gの酸価(AV2)を有していることを特徴とする請求項76乃至120のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーの全結着樹脂の酸価(AV1)と該トナーの酢酸エチル可溶成分(W3)の酸価(AV2)との比(AV1/AV2)は、0.7乃至2.0であることを特徴とする請求項76乃至122のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーの全結着樹脂の酸価(AV1)と該トナーの酢酸エチル可溶成分(W3)の酸価(AV2)との比(AV1/AV2)は、1.0乃至1.5であることを特徴とする請求項76乃至122のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点が70乃至140℃であることを特徴とする請求項76乃至124のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点が80乃至135℃であることを特徴とする請求項76乃至124のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点が90乃至130℃であることを特徴とする請求項76乃至124のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーは、結着樹脂の製造時にワックスの存在下で製造された、ワックスを含有する結着樹脂を含有していることを特徴とする請求項76乃至127のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーは、炭化水素ワックスもしくは石油系ワックスをさらに含有することを特徴とする請求項129に記載の画像形成方法。
- 該長鎖アルキル化合物は、GPC測定による分子量分布において、数平均分子量(Mn)が200乃至2500、重量平均分子量(Mw)が400乃至5000及び重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が3以下であることを特徴とする請求項129に記載の画像形成方法。
- 式(A)又は式(B)で示される長鎖アルキル化合物は、OH価が2乃至150mgKOH/gであることを特徴とする請求項129に記載の画像形成方法。
- 式(A)又は式(B)で示される長鎖アルキル化合物は、OH価が10乃至120mgKOH/gであることを特徴とする請求項129に記載の画像形成方法。
- 式(C)で示される長鎖アルキル化合物は、酸価が2乃至150mgKOH/gであることを特徴とする請求項129に記載の画像形成方法。
- 式(C)で示される長鎖アルキル化合物は、酸価が5乃至150mgKOH/gであることを特徴とする請求項129に記載の画像形成方法。
- 該長鎖アルキル化合物は、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が70乃至140℃であることを特徴とする請求項129に記載の画像形成方法。
- 該長鎖アルキル化合物は、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が80乃至135℃であることを特徴とする請求項129に記載の画像形成方法。
- 該長鎖アルキル化合物は、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が90乃至130℃であることを特徴とする請求項129に記載の画像形成方法。
- 該炭化水素ワックス又は石油系ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が70乃至140℃であることを特徴とする請求項130に記載の画像形成方法。
- 該炭化水素ワックス又は石油系ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が80乃至135℃であることを特徴とする請求項130に記載の画像形成方法。
- 該炭化水素ワックス又は石油系ワックスは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱メインピーク温度で規定される融点が90乃至130℃であることを特徴とする請求項130に記載の画像形成方法。
- 該炭化水素ワックス又は石油系ワックスは、GPC測定による分子量分布において、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1乃至3であることを特徴とする請求項130に記載の画像形成方法。
- 該トナーは、該着色剤として磁性酸化鉄を少なくとも含有することを特徴とする請求項76乃至142のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーは、該磁性酸化鉄を該結着樹脂100重量部に対して、10乃至200重量部含有していることを特徴とする請求項143に記載の画像形成方法。
- 該磁性酸化鉄は、球形度(ψ)が0.8以上であることを特徴とする請求項143に記載の画像形成方法。
- 該磁性酸化鉄は、ケイ素化合物を含有することを特徴とする請求項143に記載の画像形成方法。
- 該磁性酸化鉄は、ケイ素元素を鉄元素を基準として0.2乃至4重量%含有しており、該磁性酸化鉄の鉄元素溶解率が20重量%までに存在するケイ素元素の含有量Bと該磁性酸化鉄のケイ素元素の全含有量Aとの比(B/A)×100が44乃至84%であり、該磁性酸化鉄の表面に存在するケイ素の含有量Cと該含有量Aとの比(C/A)×100が10乃至55%であることを特徴とする請求項146に記載の画像形成方法。
- 該トナーは、疎水化処理されたシリカ微粉体が外添されていることを特徴とする請求項76乃至147のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該シリカ微粉体は、シリコーンオイルで処理されていることを特徴とする請求項148に記載の画像形成方法。
- 該トナーは、重量平均粒径が3〜10μmであることを特徴とする請求項76乃至149のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該現像工程において、該静電潜像保持体と該現像剤担持体との間隔よりも、該現像剤担持体上に担持されている現像剤層の層厚が薄いことを特徴とする請求項76乃至150のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該現像工程において、該現像剤担持体にバイアス電圧を印加して、該静電潜像保持体に形成されている静電潜像を現像することを特徴とする請求項151に記載の画像形成方法。
- 該バイアス電圧は、直流電圧及び交流電圧を有することを特徴とする請求項151に記載の画像形成方法。
- 該静電潜像保持体は、電子写真用感光体であることを特徴とする請求項76乃至153のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該転写工程において、該静電潜像保持体上の該現像画像は、中間転写体を介さずに該記録材に直接転写されることを特徴とする請求項76乃至154のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該該転写工程において、該静電潜像保持体上の該現像画像は、中間転写体に転写された後、該中間転写体から該記録材に転写されることを特徴とする請求項76乃至154のいずれかに記載の画像形成方法。
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