JP3703335B2 - 二成分系現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法及び静電写真法等における静電荷像を現像するための二成分系現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては、米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報に記載されている如く多数の方法が知られている。一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧或いは溶剤蒸気により転写材に定着し、トナー画像を得るものである。
上述の最終工程であるトナー画像を転写材としてのシートに定着する工程に関して、種々の方法や装置が開発されている。現在最も一般的な方法は、熱ローラー又は耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱方式である。
【0003】
加熱ローラーによる圧着加熱方式は、トナーに対し離型性を有する熱ローラーの表面と被定着シートのトナー画像面とを加圧下で接触しながら、被定着シートを通過せしめることによりトナー画像の定着を行なうものである。この方法は、熱ローラーの表面と被定着シート上のトナー画像とが加圧下で接触するため、トナー画像を被定着シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うことができる。
【0004】
しかしながら、加熱ローラー表面とトナー画像とが溶融状態、加圧下で接触するために、トナー画像の一部が定着ローラー表面に付着し転移し、次の被定着シートにこれが再転移し、被定着シートを汚すという、所謂、オフセット現象が定着速度及び定着温度の影響を大きく受ける。一般に、定着速度が遅い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的低く設定され、定着速度が速い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的高く設定される。これは、トナーを定着させるために加熱ローラーからトナーに与える熱量を、定着速度によらずほぼ一定にするためである。
【0005】
被定着シート上のトナー画像は、何層かのトナー粒子層を形成しているため、特に定着速度が速く、加熱ローラーの表面温度が高い系においては、加熱ローラーに接触するトナー粒子層と、被定着シートに接触している最下層のトナー粒子層との温度差が大となる。従って、加熱ローラーの表面温度が高い場合には、最上層のトナー粒子が加熱ローラー転移してしまう高温オフセットという現象を起こし易く、加熱ローラーの表面温度が低い場合は、最下層のトナー粒子は充分に溶けないため、被定着シートにトナーが定着せず、低温オフセットという現象が起き易い。
【0006】
この問題を解決するために、定着速度が速い場合には、定着時の圧力を上げ、被定着シートヘトナーをアンカーリングさせることが、通常行われている。この方法だと、加熱ローラー温度をある程度下げることができ、最上トナー粒子層の高温オフセット現象を防ぐことが可能となる。しかし、トナーにかかるせん断力が非常に大となるために、被定着シートが定着ローラーに巻きついてしまう、所謂、巻きつきオフセット現象が発生したり、定着ローラーから被定着シートを分離するために使用する分離爪の分離あとが定着画像に出現し易い。更には、圧力が高いため、定着時にライン画像が押しつぶされたり、トナーが飛び散ったりして定着画像の画質劣化を生じ易い。
【0007】
従来、トナー用結着樹脂としては、ポリエステル樹脂及びスチレン系樹脂の如きビニル系重合体が主に使用されている。
これらのうちポリエステル樹脂は、低温定着性に優れた性能を有しているが、その反面、高温オフセット現象を発生し易いという問題点を有している。この問題点を補うためにポリエステル樹脂の分子量を上げて粘弾性特性を改良する試みが行なわれてきたが、この場合には低温定着性を損なうという問題点があり、又、トナー製造時の粉砕性についても悪化させてしまい、トナーの微粒子化にも適さない結着樹脂となってしまう。
【0008】
一方、スチレン系樹脂の如きビニル系重合体は、トナー製造時の粉砕性に優れ、高分子量化が容易なため、耐高温オフセット性には優れているが、低温定着性を向上させるために、低分子量化したり、ガラス転移温度を下げたりすると、耐ブロッキング性や現像性が悪化してしまうという問題点があった。
【0009】
これら2種類の樹脂の長所を有効に生かし、欠点を補うためにこれらの樹脂を混合して使用する方法もいくつか検討されている。例えば、特開昭54−114245号公報では、ポリエステル樹脂とビニル系共重合体を混合した樹脂を含有するトナーが開示されている。しかしながら、ポリエステル樹脂とビニル系共重合体とは、化学的な構造が大きく異なるために相溶性が悪く、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性をすべて満足するものとすることは難しい。
【0010】
特開昭56−116043号公報及び特開昭58−159546号公報では、ポリエステル樹脂の存在下でビニル系単量体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。又、特開昭58−102246号公報及び特開平1−156759号公報では、不飽和ポリエステル存在下でビニル系共重合体を重合して得られる重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。又、特公平8−16796号公報では、特定の酸価を有するポリエステル樹脂と特定の酸価と分子量を有するスチレン系樹脂をエステル化したブロック共重合体を含有することを特徴とするトナーが開示されている。更に、特開平8−54753号公報では、結着樹脂が縮重合系樹脂及びビニル系樹脂からなり、特定のクロロホルム不溶分及び特定の分子量範囲にピークを有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0011】
上述の結着樹脂では、縮重合系樹脂と付加重合系樹脂とが安定した相分離状態を維持することができる。しかし、これらの結着樹脂を用いたトナーでは耐高温オフセット性はある程度改善されるが、トナーの低温定着性は未だ不充分であり、現像性においても未だ改良すべき課題を残している。
【0012】
特開昭62−195681号公報及び特開昭62−195682号公報では、ビニル系樹脂をポリエステル樹脂に対して特定量含有させたビニル系樹脂含有ポリエステル樹脂よりなる電子写真用現像剤組成物に関して記載している。
しかしながら、これらの電子写真用現像剤組成物において用いられている結着樹脂は、ポリエステル樹脂にビニル系樹脂が分散、混合されている混合物であり、低温定着性と耐高温オフセット性を同時に満足することは困難である。
【0013】
トナーの低温定着性の低下は、ハーフトーン部において顕著である。本発明者らの検討によれば、これは、ハーフトーン部の画像を形成するトナーの載り量がべタ黒部に比較して相対的に少ないことによるものであり、熱ロール定着器を使用する中〜高速機及び耐熱フィルムを介した固定発熱ヒーターによる圧着加熱定着方式を使用する中〜低速機において顕著である。
【0014】
ところで、静電荷像を現像する工程は、摩擦帯電されたトナーを静電荷像の静電相互作用を利用して付着させ、これによりトナー像の形成を行うものである。一般に、静電荷像をトナーを用いて現像する方法のうち、高画質を要求される複写機又はプリンタには、トナーをキャリアと混合した二成分系現像剤が好適に用いられている。
【0015】
この現像方法においては、キャリアが、摩擦帯電により適当量の正又は負の帯電量をトナーに付与し、又、摩擦帯電の静電引力により、キャリア表面にトナーを担持する。トナーとキャリアを有する二成分系現像剤は、磁石を内包する現像スリーブ上に現像剤層厚規制部材により所定の層厚にコートされ、磁気力を利用することによって、静電荷像担持体(感光体)と現像スリーブとの間に形成される現像領域に搬送される。感光体と現像スリーブとの間には、ある所定の現像バイアス電圧が印加されており、現像領域において、搬送されたトナーによって、上記感光体上の静電潜像の現像が行なわれる。
【0016】
二成分系現像剤を構成するキャリアは、導電性キャリアと絶縁性キャリアに大別されるが、導電性キャリアには、通常、酸化又は未酸化の鉄粉が用いられている。この鉄粉キャリアを成分とする二成分系現像剤においては、トナーに対する摩擦帯電性が不安定であり、よって形成される可視像にカブリが発生し易いと言う問題点がある。即ち、二成分系現像剤の使用に伴ない、鉄粉キャリア粒子の表面にトナー粒子が付着、蓄積(スペントトナー)するため、鉄粉キャリア粒子の電気抵抗が増大して、バイアス電流が低下し、しかも摩擦帯電性が不安定となり、この結果、形成される可視像の画像濃度が低下し、カブリが増大する。従って、鉄粉キャリアを含有する二成分系現像剤を用いて電子複写装置により連続的に複写を行なうと、少数枚の複写で二成分系現像剤が劣化するため、二成分系現像剤を早期に交換することが必要となり、結局コストが高いものとなる。
【0017】
一方、絶縁性キャリアとしては、一般に、鉄、ニッケル、フェライトの如き強磁性体より成るキャリア芯材の表面を、絶縁性樹脂により均一に被覆したキャリアが代表的なものである。この絶縁性キャリアを用いた二成分系現像剤においては、キャリア表面にトナー粒子が融着することが導電性キャリアの場合に比べて著しく少なく、同時にトナーとキャリアとの摩擦帯電性を制御することが容易であり、耐久性に優れ、使用寿命が長い点で、特に高速の電子写真複写機に好適であるという利点がある。このような絶縁性キャリアに対して要求される特性は種々あるが、特に重要な特性としては、適度な帯電性、耐衝撃性、耐摩耗性、コアと被覆材料との良好な密着性、電荷分布の均一性等を挙げることができる。
【0018】
上記諸要求特性を全て考慮した場合、従来使用されてきた絶縁性キャリアは依然として改善すべき問題を残しており、完全なものは今のところ知られていない。例えば、アクリル系樹脂をキャリアの被覆材として用いるものが、特開昭47−13954号公報、特開昭60−208765号公報で開示されている。特に、分子量について述べられているものとしては、例えば、特開昭60−208767号公報で開示されており、この公報では、分子量を一定管理することにより、被覆されたキャリアの帯電性が安定化することが記載されている。ところが、被覆樹脂をキャリア芯材に付着させるには、装置の条件や被覆を行う環境、特に、湿度の影響を受け易く、例えそれらを厳しく管理したとしても、樹脂を安定的にキャリア芯材に付着させ、キャリアに充分な帯電性及び耐久性を持たせたものとすることが難しく、未だ満足ゆくものがないのが現状である。
【0019】
一方、トナー融着等のキャリアのスペント化を防ぐために、表面エネルギーの小さい樹脂を被覆層として用いることにより耐久性を向上させる提案がなされており、例えば、表面エネルギーの小さい樹脂としてシリコーン樹脂が挙げられる。シリコーン樹脂は、表面エネルギー、及び表面張力が低いこと以外に撥水性が高いという利点を持つ。反面、シリコーン樹脂は接着性が低いため、被覆層に使用した場合に剥離し易いという問題点を持つ。
この問題点を改善するための具体的なものとしては、例えば、樹脂変成シリコーン樹脂を用いる方法(特開昭55−127569号公報)、ビニルシランを含有せしめ他の樹脂と反応させる方法、(特開昭56−32149号公報)、トリアルコキシシランとエチルセルロースとの混合物を用いる方法(USP3,840,464明細書)、オルガノシリコーンターポリマーとポリフェニレン樹脂との混合物を用いる方法(USP3,849,127明細書)が提案されている。しかしながら、その被覆膜の形成に300℃以上の高温が必要であったり、シリコーン樹脂と他の樹脂との相溶性が低く、被覆膜が不均一になり、期待される程の特性が得られないというような問題があった。
【0020】
又、比較的低い硬化温度にて被覆膜を作ることも提案されているが(特開昭55−127569号公報参照)、接着性が不充分であり、且つ、被覆膜の強靭性が不充分であるため摩耗し易く、下記のような問題があった。例えば、高速複写機のような現像部内での強い長時間の撹拌により、キャリア粒子が現像部内壁や感光体表面に衝突したり、又は、キャリア粒子同士が衝突すると、シリコーン樹脂被覆層が時間と共に摩耗や破損を起こして剥離する、所謂コート剥れという現象が起こり、摩擦帯電が、トナーとシリコーン樹脂間の帯電からトナーとキャリア芯材との帯電へと変化するため、トナーの帯電量が一定に保たれず、この結果、画像品質の劣化をきたすことが生じる。
【0021】
又、耐表面汚染性、耐衝撃性、帯電の環境依存性、帯電の立ち上がり性、電荷交換性等を改良したキャリアとして、内層にシランカップリング剤を用い、外層にフッ素系樹脂を用いたキャリアが、特開平4−198946号公報、特開平5−72815号公報及び特開平7−319218号公報に記載されている。
【0022】
しかし、これらのうち、特開平4−198946号公報及び特開平5−72815号公報に記載されているキャリアは、製法上の制約もあり、高い被覆率が得られないため、環境依存性に劣り、充分な帯電性をトナーに付与するには未だ課題を残している。又、特開平7−319218号公報に記載されているキャリアは、中抵抗のキャリアを使用しているため、特に、低磁化キャリアや低抵抗の静電荷像担持体の使用時には、現像域で現像剤担持体から静電荷像担持体へ電荷注入が起こり易く、キャリアが静電荷像担持体へ付着したり、静電荷像の乱れや画像欠陥を引き起こし易い。更に、提案されている現像剤においては、トナー消費量の多い大画像面積を多数枚複写した場合に、キャリアヘのトナーのスペントが起こり易く、トナーの帯電量が変化し易いという問題もある。
【0023】
このように、二成分系現像剤に対して今日求められる厳しい品質上の要求、例えば、精緻な細線や小文字画像の形成、写真或いはカラー原稿等の様々な対象に対して対応が可能であること、更に、形成される画像の高画質化や高品位化が達成可能であること、二成分系現像剤を構成している磁性キャリアが、トナーに対して均一に且つ高速に帯電可能であり、しかも高耐久性を満足するものであること等が待望されている。
【0024】
【課題が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、低温定着性に優れ、且つ、高温までホットオフセットの発生することのない、広い定着温度領域を示す二成分系現像剤を提供することにある。
更に、本発明の目的は、画像濃度が高く、カブリの少ない画像を、使用環境によらず長期にわたり安定して得ることのできる二成分系現像剤を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的は下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、結着樹脂、着色剤を含有するトナー及びキャリアを有する二成分系現像剤において、
結着樹脂は、
▲1▼ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、及びビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂成分を含み、
▲2▼テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とした10時間のソックスレー抽出において、THF可溶成分を50〜85重量%(W1)含有し、THF不溶成分を15〜50重量%(W2)含有し、
▲3▼酢酸エチルを溶媒とした10時間のソックスレー抽出において、酢酸エチル可溶成分を40〜98重量%(W3)含有し、酢酸エチル不溶成分を2〜60重量%(W4)含有し、
▲4▼クロロホルムを溶媒とした10時間のソックスレー抽出において、クロロホルム可溶成分を55〜90重量%(W5)含有し、クロロホルム不溶成分を10〜45重量%(W6)含有し、
▲5▼且つ、上記酢酸エチル不溶成分(W4)とクロロホルム不溶成分(W6)との比(W4/W6)の値が1.1〜4.0であり、
キャリアは、磁性キャリア芯材粒子及び該磁性キャリア芯材粒子を被覆する樹脂被覆層を有しており、且つ、磁性キャリア芯材粒子が、下記一般式(I)で示される磁性フェライト成分で形成されていることを特徴とする二成分系現像剤である。
【0026】
【化11】
[式中、Aは、MgO、Ag2O、又は、これらの混合物を示し、Bは、Li2O、MnO、CaO、SrO、Al2O3、SiO2、又は、これらの混合物を示し、x、y及びzは重量比を示し、且つ、これらは下記条件を満足する。
0.2≦x≦0.95
0.005≦y≦0.3
0<z≦0.795
x+y+z≦1]
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の二成分系現像剤の好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、上記した従来技術の課題の解決をすべく、鋭意検討の結果、ハーフトーン画像でも良好な低温定着性を示し、高温オフセットの発生温度が高く、オフセットし難い二成分系現像剤を得るためには、トナーの結着樹脂として、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂成分を含み、しかも、特定の複数の溶媒に、夫々選択的に特定の割合で溶解する組成を有するものを使用することが重要であり、又、これと共に混合して用いるキャリアとして、キャリア芯材粒子を樹脂で被覆してなり、且つ、キャリア芯材粒子の形成材料として特定の磁性フェライトがを用いることが有効であることを知見して本発明を達成した。更に、トナーの結着樹脂として、上記の構成に加えて、特定の分子量を有する成分を一定量含有するものを使用することが重要であることもわかった。
【0028】
従来より、トナーの結着樹脂に含有されている、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)、クロロホルム或いは酢酸エチルのいずれか一種類の溶媒に不溶な樹脂成分を定量し、これによって使用する結着樹脂を特定することが知られており、これに基づいて構成されたトナーは、高温オフセット発生温度と、ある程度の対応をとることができる。しかし、トナーの定着性ばかりでなく、現像性や二成分系現像剤として使用した際のキャリアとの組み合わせの効果を、上記に挙げた各種溶媒の不溶性成分と結び付けて評価する観点からの検討は、未だなされていない。
【0029】
これに対して、本発明者らの検討によれば、THFは、本発明で使用するトナーの結着樹脂を構成するビニル系重合体ユニットに対して良好な溶媒であるが、ポリエステルユニットに対しては必ずしも良好な溶媒ではなかった。従って、上記構成を有する結着樹脂を含有するトナーにおいて、THFに不溶な成分を定量することは、ポリエステル樹脂の中の極めて大きな分子量を有する成分、又は、高度に架橋された成分とハイブリッド樹脂成分中のポリエステルユニットの割合が相対的に多い成分とを定量することになり、このTHFに不溶な成分量の測定により、トナーの低温定着性を評価することが可能になる。本発明者らの更なる検討によれば、より良好なトナーの低温定着性を達成させるためには、結着樹脂のTHFに可溶な成分が、特定の分子量及び分子量成分を有するものであることが重要であることもわかった。
【0030】
次に、酢酸エチルは、本発明で使用するトナーの結着樹脂を構成する結着樹脂のポリエステルユニットに対して良好な溶媒であるが、ビニル系重合体ユニットに対しては必ずしも良好な溶媒ではない。従って、酢酸エチルに不溶な成分を定量することは、ビニル系樹脂中の極めて大きな分子量を有する成分又は高度に架橋された成分と、ハイブリッド樹脂成分中のビニル系重合体ユニットの割合が相対的に多い成分とを定量することになる。尚、酢酸エチル不溶成分中には、クロロホルムに溶解する成分とクロロホルムに不溶な成分とが含まれている。これらの成分を定量することによって、トナーの定着性ばかりでなく、トナーの安定した現像性(例えば、画像濃度、カブリ等の環境依存性)を付与するのに重大な影響を与えるトナーの帯電安定性を評価することが可能になる。
【0031】
更に、クロロホルムは、本発明で使用するトナーの結着樹脂を構成するビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのいずれに対しても良好な溶媒である。従って、クロロホルムに不溶な成分を定量することは、ビニル系樹脂中の極めて大きな分子量を有する成分又は高度に架橋された成分と、ポリエステル樹脂中の極めて大きな分子量を有する成分又は高度に架橋された成分と、ハイブリッド樹脂成分中の極めて大きな分子量を有する成分又は高度に架橋された成分とを定量することになる。このようなハイブリッド樹脂成分中の極めて大きな分子量を有する成分又は架橋された成分は、トナーの高温オフセット発生温度と密接に関係するが、更には、トナースペントと呼ばれるキャリア表面へのトナー融着等の現象と、これに伴う現像剤劣化や画質劣化とも関係する。
従って、本発明で使用するトナーを構成する結着樹脂における酢酸エチル不溶成分とクロロホルム不溶成分との比は、単純に、帯電安定性及び耐高温オフセットのバランスを示すだけではなく、現像剤劣化や画質劣化することなく安定な現像性を示すための指標となり得る。
【0032】
上記した種々の知見に基づき本発明で使用するトナーの結着樹脂の構成について本発明者らが検討した結果、具体的には、結着樹脂の構成を以下のように設計することが有効であることが分かった。
先ず、本発明で使用する結着樹脂のTHF不溶分(W2)を15〜50重量%含有している結着樹脂を使用し、好ましくは20〜45重量%、更に好ましくは、25〜40重量%の範囲で含有されているものを使用するとよい。即ち、THF不溶分の含有量が15重量%未満であるような結着樹脂を使用すると、トナーの高温オフセット発生温度が低くなり、耐ホットオフセット性に問題が生じるばかりでなく、トナーの保存性も悪化する場合があり、好ましくない。一方、THF不溶分の含有量が50重量%超であるような結着樹脂を使用すると、トナーの低温定着性が悪化する場合があり、好ましくない。
【0033】
又、本発明で使用するトナーを構成する結着樹脂においては、酢酸エチル不溶分(W4)を2〜60重量%の範囲で含有している結着樹脂を使用し、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは、10〜40重量%の範囲で含有されているものを使用するとよい。即ち、酢酸エチル不溶分の含有量が2重量%未満であるような結着樹脂を使用すると、トナーの耐ホットオフセット性に問題が生じ、トナーの帯電を制御するのが困難となり、耐久により画像濃度が低下する場合があり好ましくない。一方、酢酸エチル不溶分の含有量が60重量%超であるような結着樹脂を使用すると、トナーの低温定着性に問題が生じ、耐久によりカブリ濃度が高くなる場合があり、好ましくない。
【0034】
更に、本発明においては、クロロホルム不溶分(W6)を10〜45重量%含有している結着樹脂を使用し、好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは、17〜37重量%の範囲で含有されているものを使用するとよい。即ち、クロロホルム不溶分の含有量が10重量%未満であるような結着樹脂を使用すると、耐ホットオフセット性に問題が生じるばかりでなく、耐久によりキャリア表面にトナーが融着する場合があり、好ましくない。一方、クロロホルム不溶分の含有量が45重量%超であるような結着樹脂を使用すると、トナーの低温定着性に問題が生じる場合があり、好ましくない。
【0035】
上記に加えて、本発明においては、酢酸エチル不溶分(W4)とクロロホルム不溶分(W6)との比(W4/W6)の値が、1.1〜4.0であるような結着樹脂を使用することがよく、好ましくは1.2〜3.5、更に好ましくは1.3〜3.0である結着樹脂を使用する。上記比(W4/W6)の値が、1.l未満或いは4.0超であるような結着樹脂を使用すると、いずれの場合においても、耐久により画像濃度が低下することが生じる。
【0036】
更に、本発明においては、トナーを構成する結着樹脂として、上記した各種溶媒に対する不溶成分が、下記の要件を満足するものを使用することが、より好ましい。
即ち、(i)THF不溶分(W2)を特定の割合で含有し、且つ、該THF不溶分(W2)が、更にクロロホルム不溶分(W6A)をW6A重量%(結着樹脂の重量基準で)含有しており、更に、(ii)酢酸エチル不溶分(W4)を特定の割合で含有し、且つ、該酢酸エチル不溶分(W4)が、更にクロロホルム不溶分(W6B)をW6B重量%(結着樹脂の重量基準で)含有されている結着樹脂を使用することが好ましい。
【0037】
具体的には、上記のTHF不溶成分(W2)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6A)の含有量と、酢酸エチル不溶成分(W4)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6B)の含有量とが、下記条件を満足するように構成されている結着樹脂を使用することが好ましい。
・3重量%≦W6A≦25重量%
・7重量%≦W6B≦30重量%
・10重量%≦W6A+W6B≦45重量%
・W6A:W6B=1:1〜3
更に好ましくは、下記条件を満足する結着樹脂を使用するとよい。
・5重量%≦W6A≦20重量%
・10重量%≦W6B≦25重量%
・15重量%≦W6A+W6B≦40重量%
・W6A:W6B=1:1.5〜2.5
【0038】
即ち、THF不溶分(W2)中に、クロロホルム不溶分(W6A)が3重量%未満の割合で含有されているような結着樹脂を使用した場合は、トナーの耐高温オフセット性が損なわれるばかりでなく、トナーの耐久による画像濃度が低下する場合があり、好ましくない。一方、THF不溶分(W2)中に、クロロホルム不溶分(W6A)が25重量%よりも多く含有されているような結着樹脂を使用した場合は、トナーの低温定着性が損なわれる場合があり、好ましくない。
【0039】
又、酢酸エチル不溶分(W4)中に、クロロホルム不溶分(W6B)を7重量%未満の割合で含有されているような結着樹脂を使用した場合は、トナーの耐高温オフセット性が損なわれるばかりでなく、トナーの耐ブロッキング性が損なわれる場合があり、好ましくない。一方、酢酸エチル不溶分(W4)中に、クロロホルム不溶分(W6B)が30重量%よりも多く含有されているような結着樹脂を使用した場合は、トナーの低温定着性が損なわれる場合があり、好ましくない。
【0040】
更に、THF不溶分(W2)が含有しているクロロホルム不溶分(W6A)の含有量と、酢酸エチル不溶分(W4)が含有しているクロロホルム不溶分(W6B)の含有量との合計量(W6A+W6B)は、結着樹脂のクロロホルム不溶分(W6)の含有量に相当するものであり、よって、合計量(W6A+W6B)の上下限から外れる場合には、上述した酢酸エチル不溶分(W6)の含有量の上下限から外れる場合と同様の結果となり、好ましくない。
【0041】
更に、THF不溶分(W2)が含有しているクロロホルム不溶分(W6A)の含有量に対する、酢酸エチル不溶分(W4)が含有しているクロロホルム不溶分(W6B)の含有量の比率が1:1未満の場合には、トナーの耐高温オフセット性が損なわれるばかりでなく、トナーの耐ブロッキング性が損なわれる場合があり、好ましくない。一方、1:3を超える場合には、トナーの低温定着性が損なわれるばかりでなく、耐久により画像濃度が低下する場合があり、好ましくない。
【0042】
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの結着樹脂としては、そのTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)により測定される分子量分布において、下記に挙げる要件を満足するものを使用することが好ましい。
先ず、メインピークを、分子量4,000〜9,000の領域に、好ましくは、分子量5,000〜8,500の領域に、更に好ましくは、分子量4,500〜8,000の領域に有しているものを使用するとよい。上記メインピークを分子量4,000未満の領域に有するような結着樹脂を使用した場合には、トナーの耐ホットオフセット性が悪化する場合があり、好ましくない。一方、メインピークを、分子量9,000超の領域に有するような結着樹脂を使用した場合には、トナーの低温定着性が損なわれる場合があり、好ましくない。
【0043】
又、分子量500〜1万未満の領域の成分(A1)が、35.0〜65.0%含有されているような結着樹脂を使用することがよく、好ましくは37.0〜60.0%、更に好ましくは40.0〜55.0%含有されている結着樹脂を使用するとよい。即ち、分子量500〜1万未満の領域の成分の含有量が35.0%未満であるような結着樹脂を使用した場合には、トナーの低温定着性が悪化する場合があり、一方、65.0%超となるような結着樹脂を使用した場合には、トナーの保存性が悪化する場合があり、好ましくない。
【0044】
又、分子量1万〜10万未満の領域の成分(A2)が、25.0〜45.0%含有されているような結着樹脂を使用することがよく、好ましくは、27.0〜42.0%、更に好ましくは、30.0〜40.0%含有されているような結着樹脂を使用するとよい。これに対して、分子量1万〜10万未満の領域の成分の含有量が、25.0%未満となるような結着樹脂を使用した場合には、トナーの耐ホットオフセット性が悪化する場合があり、好ましくない。一方、45.0%超となるような結着樹脂を使用した場合には、トナーの低温定着性が悪化する場合があり、好ましくない。
【0045】
更に、分子量10万以上の領域の成分(A3)が、10.0〜30.0%含有されているような結着樹脂を使用することがよく、好ましくは12.0〜25.0%、更に好ましくは、15.0〜22.0%含有されているような結着樹脂を使用するとよい。即ち、分子量10万以上の領域の成分の含有量が、10.0%未満であるような結着樹脂を使用した場合には、トナーの耐ホットオフセット性が悪化する場合があり、一方、30.0%超であるような結着樹脂を使用した場合には、トナーの低温定着性が悪化する場合があり、好ましくない。
更に、分子量500〜1万未満の領域の成分(A1)と、分子量1万〜10万未満の領域の成分(A2)との比(A1/A2)の値が、1.05〜2.00の範囲にあるような結着樹脂を使用することがよく、好ましくは1.10〜1.90、更に好ましくはl.15〜1.80であるような結着樹脂を使用するとよい。即ち、上記の比(A1/A2)の値が1.05未満であるような結着樹脂を使用した場合には、トナーの低温定着性が悪化する場合があり好ましくない。一方、上記比(A1/A2)の値が、2.00超となるような結着樹脂を使用した場合は、トナーの耐ホットオフセット性が悪化する場合があり好ましくない。
【0046】
本発明においては、先に述べたように、トナーを構成する結着樹脂が、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、及びビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂成分を含むが、合成する際に用いるポリエステル樹脂を合成するためのモノマーとビニル系モノマーとの仕込比は、ポリエステル樹脂を合成するためのモノマー100重量部に対して、ビニル系モノマー10〜100重量部、好ましくは15〜80重量部、更に好ましくは、20〜70重量部とすることが好ましい。
【0047】
本発明においては、上記で言う「ハイブリット樹脂成分」とは、単なる混合物ではなく、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂成分を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと、(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合して得られるビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成される共重合体等のことであり、好ましくは、ビニル系重合体ユニットを幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(或いはブロック共重合体)を形成するものである。
【0048】
従って、本発明において、ハイブリッド樹脂成分のビニル重合体ユニットとポリエステルユニットとは、下記結合を介して結合されたものである。
【化12】
【0049】
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの結着樹脂としては、ビニル系重合体ユニット中の全カルボン酸エステルのポリエステルユニットとの反応率、即ち、グラフト化率が、ビニル系重合体に含有される(メタ)アクリル酸エステルを基準にして、好ましくは10〜60モル%、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%程度であるものを使用するのがよい。即ち、グラフト化率が10モル%未満であるような結着樹脂を使用した場合には、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットの相溶性が悪化し、トナーの帯電性も悪化することがあり、好ましくない。一方、グラフト化率が60モル%超である場合には、相対的に分子量の大きな成分が増大する結果、トナーの低温定着性が悪化する場合があり、好ましくない。
【0050】
更に、本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの結着樹脂としては、結着樹脂中に特定の割合で含有されている酢酸エチルに溶解される可溶成分(W3)が、特定の分子量分布を有するものを使用することが好ましい。即ち、上記可溶成分の重量平均分子量(Mw)が20万以上であり、且つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の値が30以上であるものを使用することがよく、好ましくは、Mwが30万〜200万、Mw/Mnの値が50〜300であり、更に好ましくは、Mwが40万〜150万、Mw/Mnの値が80〜250であるものを使用する。これに対して、上記Mwが、20万未満又はMw/Mnが30未満であるような結着樹脂を使用した場合には、トナーの現像性が悪くなる場合があり、好ましくない。
【0051】
又、本発明においては、トナーを構成している結着樹脂として、樹脂全体の酸価(AV1)が、7〜40mgKOH/gであるものを使用することがよく、好ましくは10〜37mgKOH/g、より好ましくは15〜35mgKOH/g、更に好ましくは17〜30mgKOH/gであるものを使用するとよい。更に、トナーを構成している結着樹脂の酢酸エチル可溶分(W3)の酸価(AV2)が、10〜45mgKOH/gであるもの、好ましくは15〜45mgKOH/gであるもの、より好ましくは17〜40mgKOH/gであるもの、更に好ましくは、20〜35mgKOH/gのであるものを、結着樹脂として使用することが好ましい。
【0052】
上記したような各種溶媒に対する溶解特性及び分子量分布を有する本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの結着樹脂は、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、及び、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂成分を含んで形成されている。以下、これらの構成成分について具体的に説明する。
先ず、上記のうちのポリエステルユニットとしては、好ましくは、下記の一般式(1)〜(4)で表わせる2価のカルボン酸、下記一般式(5)で表わせる1価のカルボン酸、又は下記の一般式(6)で表わせる1価のアルコールが少なくとも1種以上含有されたものを使用する。
【0053】
【化13】
【0054】
[上記式(1)中、R1は、炭素数14以上の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルケニル基を表わし、中でも直鎖のアルキル基であることが好ましい。式(2)中、nは12〜40の整数を表わす。式(3)中、R3及びR4は、水素原子、炭素数3以上の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルケニル基を表わし、同一の置換基であってもよいが、同時に水素原子になることはない。式(4)中、R5及びR6は、水素原子、炭素数3以上の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルケニル基を表わし、同一の置換基であってもよいが、同時に水素原子になることはない。式(5)又は式(6)中、R7及びR8は、炭素数12以上の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルケニル基を表わす。]
【0055】
上記一般式(1)で表わせる化合物としては、例えば、下記の(1−1)〜(1−6)のものが挙げられる。但し、下記式中の(n)は、構造が直鎖状であることを示している。
【化14】
【0056】
式(2)で表わせる化合物としては、例えば、下記の式(2−1)〜(2−4)のものが挙げられる。
【化15】
【0057】
式(3)で表わせる化合物としては、例えば、下記の式(3−1)〜(3−3)のものが挙げられる。但し、下記式中の(n)は、構造が直鎖状であることを示している。
【化16】
【0058】
式(4)で表わせる化合物としては、例えば、下記の式(4−1)又は(4−2)のものが挙げられる。
【化17】
【0059】
式(5)で表わせる化合物としては、例えば、下記の式(5−1)〜(5−5)のものが挙げられる。
【化18】
【0060】
式(6)で表わせる化合物としては、例えば、下記の式(6−1)〜(6−5)のものが挙げられる。
【化19】
【0061】
又、本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂としては、下記に挙げるようなポリエステルのモノマー(アルコール成分とカルボン酸成分)との縮重合によって得られるものが使用できる。
アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又、下記一般式(イ)式で表わされるビスフェノール誘導体;又、下記一般式(ロ)式で示されるジオール類;等の多価アルコールが挙げられる。
【0062】
【化20】
【0063】
カルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の如き芳香族ジカルボン酸類、或いはその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類、或いはその無水物、更に、炭素数6〜12のアルキル基で置換されたこはく酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の如き、不飽和ジカルボン酸類又はその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
【0064】
更に、本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの結着樹脂として使用するビニル系樹脂としては、下記に挙げるようなモノマーによって生成されるビニル重合体、或いはこれらの複数のモノマーからなるビニル共重合体が挙げられる。
ビニル系樹脂を生成するためのモノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
【0065】
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0066】
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0067】
本発明においては、先に説明したような材料からなるトナーの結着樹脂を構成するためのポリエステルユニットが、三価以上の多価カルボン酸又はその無水物、又は、三価以上の多価アルコールで架橋され、架橋構造を有するものであることが好ましい。
この際に使用できる三価以上の多価カルボン酸又はその無水物としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ヒロメリット酸及びこれらの酸無水物又は、低級アルキルエステル等が挙げられ、三価以上の多価アルコールとしては、例えば、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられるが、特に好ましくは、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその酸無水物を用いることが好ましい。
【0068】
更に、本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの結着樹脂に用いられるビニル系重合体ユニットは、先に述べたようなビニル系重合体モノマーを重合して得られるが、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてももよい。
この場合に用いられる架橋剤としては、芳香族ジビニル化合物、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;更には、ポリエステル型ジアクリレート化合物類、例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
【0069】
更に、多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
【0070】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100重量%に対して、0.01〜10重量部以下、好ましくは0.03〜5重量%の範囲で用いることが好ましい。
上記に挙げた架橋性モノマーのうち、トナー粒子の結着樹脂に使用した場合に、特に、トナーの定着性、耐オフセット性の点から好適なものとしては、芳香族ジビニル化合物(特に、ジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類等が挙げられる。
【0071】
本発明の二成分系現像剤では、トナーの結着樹脂を構成するためのビニル系重合体成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、下記に挙げるような両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含ませて構成し、これらの反応生成物を結着樹脂中に含有させるように構成することが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するためのモノマー(アルコール成分、カルボン酸成分)のうちビニル系樹脂と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。又、ビニル系樹脂を構成するためのモノマーのうち、ポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、例えば、カルボキシル基又はヒドロキシル基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
更に、ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、上記したようなビニル系重合体及びポリエステル樹脂の夫々と反応し得るモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方若しくは両方の樹脂の重合反応をさせる方法が好ましい。
【0072】
本発明で使用するビニル系重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーボモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパ−オキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート等が挙げられる。
【0073】
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの結着樹脂、或いは、結着樹脂の構成成分であるビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット、ハイブリッド樹脂成分を調製するための製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を利用することができる。
(1)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分を夫々製造後にブレンドして結着樹脂を得る方法である。ブレンド工程では、有機溶剤(例えば、キシレン)に、各樹脂を溶解、膨潤した後に、有機溶剤を留去するが、好ましくは、このブレンド工程でワックスを添加して製造する。ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、これらを少量の有機溶剤に溶解、膨潤させ、エステル化触媒、及び、ポリエステルのアルコール成分又はカルボン酸成分を添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されるエステル化合物を用いることができる。
【0074】
(2)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下に、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分は、予め製造されたビニル系重合体ユニット(必要に応じて、ビニル系モノマーも添加できる)と、ポリエステルのモノマー(アルコール成分、カルボン酸成分)及び/又はポリエステル樹脂とを反応させることにより製造される。この場合も(1)の方法と同様に、適宜に有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0075】
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下に、ビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分は、予め製造されたポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルのモノマーも添加できる)と、ビニル系樹脂のモノマー及び/又はビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0076】
(4)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニットの存在下に、ビニル系モノマー及び/又はポリエステルのモノマー(アルコール成分、カルボン酸成分)を添加することによりハイブリッド樹脂成分を製造する。この場合も(1)の方法と同様に、適宜、有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0077】
(5)バイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系樹脂のモノマー及び/又はポリエステルのモノマー(アルコール成分、カルボン酸成分)を添加して、付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系樹脂及びポリエステル樹脂を製造して結着樹脂を得る方法である。この場合、ハイブリッド樹脂成分は、上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。更に、適宜、有機溶剤を使用することもできる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0078】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルのモノマー(アルコール成分、カルボン酸成分等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことにより、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分を同時に製造する方法である。更に、適宜、有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0079】
上記(1)〜(5)の製造方法においては、ビニル系重合体ユニット及び/又はポリエステルユニットとして、複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
上記の(1)〜(6)の製造方法の中でも、特に(3)の製造方法が、ビニル系重合体ユニットの分子量制御が容易であり、ハイブリッド樹脂成分の生成を制御することができ、且つ、ワックスを添加する場合にはその分散状態を制御できる点で、好ましい。
【0080】
本発明では、必要に応じて、トナーにワックスを含有させてもよい。ワックスの含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは、0.5〜20重量部程度とするとよい。特に、ワックスを含有させた場合の本発明の二成分系現像剤を構成するトナーは、示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、好ましくは温度70〜160℃、より好ましくは温度70〜140℃、更に好ましくは、75〜140℃、最も好ましくは、80〜135℃の領域に吸熱メインピークを有するものであることが、低温定着性に優れ、且つ、耐オフセット性に優れたトナーを得る点で好ましい。
【0081】
更に好ましくは、ワックスが含有された本発明で使用するトナーは、示差走査熱量計で測定されたDSC曲線において、温度80〜155℃、好ましくは90〜130℃の領域に吸熱メインピーク及び吸熱サブピーク又は吸熱ショルダーを有していることが、低温定着性、耐オフセット性及び耐ブロッキング性に優れたトナーとする点で好ましい。
トナーのDSC曲線において、温度70〜160℃の領域に明瞭な吸熟ピークを形成するためには、使用するワックスが限定される。後述の示差走査熱量計による温度30〜200℃の範囲におけるワックスのDSC曲線において、最大吸熱ピークに対応する温度をワックスの融点と定義すると、ワックスとしては、融点が、好ましくは70〜160℃、より好ましくは75〜160℃、更に好ましくは75〜140℃、最も好ましくは80〜135℃であるものが好適に使用できる。
【0082】
使用し得るこのようなワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、又、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又は、それら脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの等が挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは、更に直鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールの如き等の飽和アルコール類、ソルビトール等の多価アルコール類、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、又、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、又、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、又、植物性油脂の水素添加等によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
【0083】
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーには、その帯電性を安定化させるために、必要に応じて荷電制御剤を用いてもよい。荷電制御剤は、結着樹脂100重量部当たり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部の範囲で使用するのが好ましい。
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーが負の摩擦帯電性を有する場合には、荷電制御剤として、有機金属錯体、キレート化合物、有機金属塩を使用する。具体的には、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸化合物の金属錯体、又は金属塩が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその無水物、そのエステル類、ビスフェノールのフェノール誘導体が挙げられる。
【0084】
特に、次に示した一般式(a)で示される化合物が好ましい。
【化21】
[上記式中、Mは、Mn、Fe、Ti及びAlからなるグループから選択される配位中心金属を表し、Arは、ニトロ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アニリド基、炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数1〜18のアルコキシ基からなるグループから選択される置換基を有していてもよいアリール基を示し、X、X'、Y及びY'は、−O−、―CO−、−NH−、又は−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。A+は、水素、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンを示す。]
【0085】
特に、本発明において使用できる荷電制御剤でより効果的なものとしては、下記式(b)で示されるモノアゾ系鉄錯体塩を挙げることができる。
【0086】
【化22】
【0087】
又、本発明の二成分系現像剤を構成するトナーが正の摩擦帯電性の場合には、荷電制御剤として、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物を,単独或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。又、下記一般式(c)で表されるモノマーの単重合体:前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合体モノマーとの共重合体を用いることができる。これらの場合の荷電制御剤は、結着樹脂(の全部又は一部)としての作用をも有する。
【0088】
【化23】
[上記式中、R1は、H又はCH3を示し、R2及びR3は、置換又は未置換のアルキル基(好ましくは、炭素数が1〜4)を示す]
【0089】
特に、下記一般式(d)で示される化合物が本発明の構成においては好ましい。
【化24】
【0090】
[上記式中、R1 、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基を表す。R7、R8、R9は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表す。A-は、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、リン酸イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機リン酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン、テトラフルオロボレート等の陰イオンを示す]。
【0091】
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの着色剤としては、磁性体カーボンブラック、チタンホワイトやその他の顔料及び/又は染料を用いることができる。例えば、トナーを磁性カラートナーとして使用する場合には、染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6がある。顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGがある。
【0092】
トナーを二成分系フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色剤として次のようなものが挙げられる。マゼンタ色の顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
【0093】
上記顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からは、より好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25.27.30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I、ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料が挙げられる。
【0094】
シアン系の顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45;又は、下記式(e)で示される構造を有する,フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を0〜4個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
【0095】
【化25】
【0096】
イエロー色の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、;C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。
【0097】
非磁性の着色剤の使用量は結着樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部、好ましくは、0.5〜50重量部である。
磁性体としては、マグネタイト、マグヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄、及び、金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、或いは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0098】
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジウム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)が挙げられる。これらの磁性材料を単独で、或いは2種以上の組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0099】
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーには流動性向上剤を添加してもよい。流動性向上剤は、トナーに添加することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、これらをシランカップリング剤、チタンカッブリング剤、シリコーンオイルで表面処理して疎水性を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナがある。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体が挙げられる。所謂、乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【化26】
【0100】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物を、ケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。又、その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのがよい。
【0101】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0102】
更には、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
疎水化処理の方法としては、下記に挙げるようなカップリング剤の如き、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物及び/又はシリコーンオイルで化学的に処理することによって、疎水性を付与することば好ましい。好ましい具体的な方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を、有機ケイ素化合物で処理する方法が好ましい。
【0103】
シランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び、1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位に夫々1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサンがある。
【0104】
窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミンプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミンの如きシランカップリング剤も単独或いは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)アミノシランカップリング剤が挙げられる。
【0105】
本発明で用いる好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5〜10000センチストークス、好ましくは1〜1000センチストークス、更に好ましくは10〜200センチストークスのものが用いられ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルが特に好ましい。シリコーンオイル処理の方法としては、例えば、シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルシミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;或いは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解或いは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法を用いることが可能である。
【0106】
シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。本発明においては、シリカを予め、カンプリング剤で処理した後にシリコーイオイルで処理する方法、又は、シリカをカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法によって処理されたものが好ましい。
【0107】
又、先に挙げた流動性向上剤としては、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。本発明の二成分系現像剤を構成するトナーにおいては、トナー100重量部に対して流動性向上剤を0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜4重量部使用するのがよい。
【0108】
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤及び/又は磁性体、荷電制御剤又はその他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、混和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することで、所望の粒径を有するトナー粒子を得ることができる。
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーは、その重量平均粒径が、好ましくは3〜9μm、より好ましくは3〜8μmであることが、画像形成に用いた場合の解像度、画像濃度の点で好ましく、更に、小粒径トナーであっても良好に加熱加圧定着され得る。
本発明においては、更に、上記のようにして得られたトナーと流動性向上剤とをヘンシェルミキサーの如き混合器により充分混合することで、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができる。
【0109】
本発明の二成分系現像剤を構成するトナーの溶媒溶解成分の定量及びその他の物性の測定方法を以下に示す。
(1)トナーのTHF、酢酸エチル及びクロロホルム不溶成分の定量
トナー2gを精秤(TW1)して円筒濾紙(例えば、東洋濾紙社製No.86R)に入れて、ソックスレー抽出器にかけ、THFは200ml用いる。約120℃に温度調整されたオイルバスを用いて10時間還流する。THFに可溶な成分(W1)はTHFを濃縮、乾固した後に60℃で24時間真空乾燥することにより定量できる。トナーのTHF不溶成分(W2)を定量する場合は、着色剤等の結着樹脂以外のTHF不溶成分(TW2)から下記式により算出される。
同様にして、溶媒を酢酸エチル及びクロロホルムに変更することにより、夫々の溶媒に対する結着樹脂の可溶成分及び不溶成分を定量することができる。
【数1】
【0110】
ソックスレー抽出装置の装置の一例を図7に示す。
容器51に入っているTHF52は、ヒータ53で加熱され気化し、気化したTHFは管54を通って冷却器55に導かれる。冷却器55は、冷却水56で常時冷却されている。冷却器55で冷却されて液化したTHFは円筒ろ紙57を有する貯留部58にたまり、THFの液面が中管59よりも高くなると、貯留部からTHFが容器51に排出される。円筒ろ紙57に入っているトナー又は樹脂は、循環するTHFによって抽出処理される。
【0111】
(2)1H−NMR及び13C−NMR測定による酢酸エチルに不溶な成分及び可溶な成分中のポリエステル樹脂の定量
1H−NMR及び13C−NMRを用いて各モノマー組成存在化率をモル比率で求め、このモル比率での各モノマー組成存在比率から各モノマーの分子量を用い、エステル化に伴う脱水量は無視してポリエステル樹脂の含有量を重量%で算出する。
(1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定)
・測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
・測定周波数:400MHz
・パルス条件:5.0μS
・データポイント:32768
・周波数範囲:10500Hz
・積算回数:10000回
・測定温度:60℃
・測定用サンプル:測定試料50mgをφ5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒としてCDCl3(TMS0.05%)を添加し、これを60℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
【0112】
(13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定)
・測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
・測定周波数:400MHz
・パルス条件:5.0μS
・データポイント:32768
・遅延時間:25sec.
・周波数範囲:10500Hz
・積算回数:16回
・測定温度:40℃
・測定用サンプル:測定試料200mgをφ5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒としてCDCl3(TMS0.05%)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
【0113】
1H−NMR及び13C−NMR測定による酢酸エチルに不溶な成分中及び可溶な成分中のポリエステル樹脂の含有量の定量の一具体例を、図3及び図4〜6を用いて下記に記載する。
▲1▼1H−NMR測定によるアルコール成分の存在比率の決定(図4及び5参照)
プロポキシ化ビスフェノールA(PO−BPA)及びエトキシ化ビスフェノールA(EO−BPA)の存在比率は、1H−NMRスペクトルにおける5.2ppm、5.3ppm及び5.4ppm付率のプロポキシ基の水素(各1H相当:図参照)のシグナルと4.3ppm及び4.65ppm付近のエトキシ基の水素(各4H相当)のシグナルとの強度比から求める。
【0114】
▲2▼1H−NMR測定による芳香族カルボン酸成分の存在比率の決定(図4及び5参照)
テレフタル酸及びトリメリット酸の存在比率は、1H−NMRスペクトルにおける8ppm付近のテレフタル酸の水素(4H相当)のシグナルと7.6ppm、7.8ppm及び8.4ppm付近のトリメリット酸の水素(各1H相当)のシグナルとの強度比から求める。
【0115】
▲3▼1H−NMR測定によるスチレンの存在比率の決定(図4及び5参照)
スチレンの存在比率は、1H−NMRスペクトルにおける6.6ppm付近の水素(lH相当)のシグナルの強度比から求める。
【0116】
▲4▼13C−NMR測定による脂肪族カルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル及びPO−BPA、EO−BPAのメタアクリル酸エステル化合物(ビニル系重合体とポリエステル樹脂との反応生成物)の存在比率の決定(図3参照)
脂肪族カルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル及びビニル系重合体とポリエステル樹脂との反応生成物の存在比率は、13C−NMRスペクトルにおける173.5ppm及び174ppm付近の脂肪族カルボン酸のカルボキシル基の炭素(各1C相当)のシグナルと176ppm志付近の(メタ)アクリル酸エステルのカルボキシル基の炭素(1C相当)のシグナルと169ppm付近の新たに検出されたピークの(メタ)アクリル酸エステルのカルボキシル基の炭素(1C相当)のシグナルと強度比から求める。
【0117】
▲5▼13C−NMR測定による脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸の存在比率の決定(図3参照)
脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸の存在比率は、13C−NMRスペクトル、における165ppm付近のテレフタル酸及びトリメリット酸のカルボキシル基の炭素(1C相当)のシグナルと上記▲4▼の脂肪族カルボン酸のカルボキシル基の炭素(各1C相当)のシグナルの強度比の比較から求める。
【0118】
▲6▼13C−NMR測定によるスチレンの存在比率の決定(図3参照)
スチレンの存在比率は、13C−NMRスペクトルにおける125ppm付近のパラ位の炭素(1C相当)のシグナルの強度比から求める。
【0119】
▲7▼酢酸エチルに不溶な成分中及び可溶な成分中のポリエステル樹脂成分の含有量の決定(図3参照)
上記▲1▼〜▲3▼の1H−NMRスペクトルから、PO−BPA、EO−BPA、テレフタル酸、トリメリット酸及びスチレンの各モノマー組成存在比率をモル比率で算出し、更に上記▲4▼〜▲6▼の13C−NMRスペクトルから、PO−BPA、EO−BPAの(メタ)アクリル酸エステル化合物(ビニル系重合体とポリエステル樹脂との反応生成物)、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸及びスチレンの各モノマー組成存在比率をモル比率で算出することにより、全構成モノマーの組成存在比率をモル比率で算出する。このモル比率での各モノマー組成存在比率から各モノマーの分子量を用い、エステル化に伴う脱水量は無視して、ポリエステル樹脂成分の含有量を重量%で算出する。
【0120】
(3)結着樹脂原料又はトナーの結着樹脂の分子量分布の測定
GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流す。試料が結着樹脂原料の場合は、結着樹脂原料をロールミルに素通し(130℃、15分)したものを用いる。試料がトナーの場合は、トナーをTHFに溶解後、0.2μmフィルターでろ過し、そのろ液を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.16重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製、或いは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×l03、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのがよく、例えば、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801、802、803、804、805、806、807の組合せが好ましい。
【0121】
(4)粒度分布の測定
本発明において、トナーの粒度分布の測定は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールダー社製)を用いて測定した。電解質液は、1級塩化ナトリウムを用いてl%NaC1水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解質水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解質液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した.それから、本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)及び体積平均粒径(Dv)(夫々各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
【0122】
次に、上記で説明したトナーと共に本発明の二成分系現像剤を構成するキャリアについて説明する。本発明において使用するキャリアは、磁性キャリア芯材粒子及び該磁性キャリア芯材粒子を被覆する樹脂被覆層を有しており、且つ、磁性キャリア芯材粒子が、下記一般式(I)で示される磁性フェライト成分で形成されていることを特徴とする。
【化27】
[式中、Aは、MgO、Ag2O又はそれらの混合物を示し、Bは、Li2O、MnO、CaO、SrO、Al2O3、SiO2又はそれらの混合物を示し、x、y及びzは、重量比を示し、且つ、下記条件、
0.2≦x≦0.95、
0.005≦y≦0.3、
0<z≦0.795、
x+y+z≦1を満足する。]
【0123】
上記式(I)において、より好ましくは、x、y及びzが、下記条件、
0.2≦x≦0.95、
0.005≦y≦0.3、
x+y<1、
z=1−x−y
を満足することが、キャリア芯材粒子が適度な表面凹凸を有し、且つ、適度な含有水分を有し、樹脂の密着性、強じん性の両立の点において好ましい。又、本発明においては、上記のフェライト成分の有する効果を防げない3重量%以下の範囲でその他の金属元素を磁性キャリア芯材粒子表面の結晶粒径の調整を目的として、焼成時の合一防止を目的として、或いは、粒度分布調整剤として、磁性フェライト成分中に、水酸化物、酸化物、硫化物又は脂肪酸化合物等の形態で含有させてもよい。
本発明において、前記式(I)におけるx+y+z<1の場合とは、上記の任意のその他の成分を好ましくは、3重量%までの範囲で含むことを意味するものであり、そのような例は後述の実施例8で示す。
【0124】
上記式(I)においてxが0.2未満の場合には、磁気特性が低くなり、キャリアの飛散や感光体の表面の傷を生じさせ易く、xが0.95を超える場合には、芯材の抵抗が低くなり易い。yが0.005未満の場合には、適正な抵抗及び磁気特性が得られにくく、yが0.3を通える場合には、キヤリア粒子表面に均質化と球状化が達成できなくなることがある。zが0の場合、即ち、(B)が含まれない場合には、シャープな粒度分布のものが得られにくく、キャリアの超微粉による感光体表面の傷或いは焼成時の合一が難しく、キャリア製造が難しくなる。一方、zが0.795を超える場合には、磁気特性が低くなり、キャリアの飛散が悪化する。
【0125】
更に、上記式(I)において、x、y及びzは、下記条件を満足することがより好ましい。
0.4≦x≦0.9、
0.01≦y≦0.25、
0.01≦z≦0.2、
x+y+z≦1
又、本発明に用いられる磁性フェライト成分の上記式(I)における(B)は、Li2O、MnO、Ca、SrO、A12O3、SiO2の中でも、高電圧印加時にも低抗低下が小さい点で、MnO、CaO、SlO2及びA12O3が好ましい。特に、補給トナーとのなじみやすさの点で、上記式(I)における(B)がMnO又はCaOであるものを使用することがより好ましい。
【0126】
更に、本発明の二成分系現像剤を構成するキャリアは、上記したような式(I)で示されるフェライト成分で形成されている磁性キャリア芯材粒子の表面に樹脂被覆層を有する。樹脂被覆層に用いられる樹脂として、少なくともシリコーン樹脂を含有しているものが好ましく、更には、特定の硬化剤を含有するシリコーン樹脂を用いることがより好ましい。
これまでに磁性キャリア芯材粒子の接着性を向上せしめるために、変性シリコーン樹脂を用いることも提案されており、アルキッド変性、エポキシ変性、アクリル変性、ポリエステル変性、フェノール変性、メラミン変性、ウレタン変性の如き変性シリコーン樹脂を使用する例があるが、表面エネルギーの上昇のためトナーの固着が生じ易く、必ずしも現像剤の耐久性の点で満足のいくものではなかった。
【0127】
これに対して、低表面エネルギーを保ったまま接着性を高めるために、これらの樹脂に種々の添加剤を併用する方法が記載されている(特開平2−33159号公報参照)。ここで使用されている添加剤は、シリコーン樹脂、或いは、それ自身との反応により接着剤に加え強靭性も付与するものである。しかしながら、特開平2−33159号公報に示されているものは、確かに被覆樹脂としての耐性は向上するものの、キャリア芯材表面に薄層で樹脂被覆層を形成させようとした場合には、必ずしもキャリア芯材と被覆樹脂との接着性は満足のいくものではなく、更なる改良が望まれていた。
【0128】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、磁性キャリア芯材粒子中に、0.5〜10mg/100ml、好ましくは0.5〜2mg/100mlの25℃の水に対する溶解度を有する金属酸化物を含有する磁性キャリア芯材粒子の表面上に、反応性シリコーン樹脂、好ましくは、後述する一般式(III)で示される硬化剤、更に好ましくは、アミノシランカップリング剤を含有する反応性シリコーン樹脂を樹脂被覆層に用いたときに、磁性キャリア芯材粒子中に含有する適度の水分とシリコーン樹脂中の残存反応基とが適度に反応し、良好な接着性、帯電性を達成し、非常に高性能な、且つ、長寿命のキャリアが得られることを見いだしたのである。
【0129】
特開平2−33159号公報にも、後述する一般式(III)で示される硬化剤を含有することが記載されているが、本発明においては、特定の溶解度を有する金属酸化物を磁性キャリア芯材粒子中に含有させて(好ましくは、特定量含有させて)、樹脂被覆層の形成材料として好適に使用できる反応性シリコーン樹脂等と反応させることに特徴があり、その結果、磁性キャリア芯材粒子と樹脂被覆層との間の接着強度がより向上したキャリアが得られるものであり、この点で前記先行技術とは異なる。
【0130】
本発明に好適に用いられる磁性キャリア芯材粒子としては、表面均質化、球状化が容易で、且つ、適度な水分を合有するため、溶解度0.62mg/100mlのMgO、溶解度74mg/100mlのAg2Oを含有するフェライト粒子が挙げられ、より好ましくは、芯材と被覆層との接着強度に優れ、コート剥れが起こりにくいという点で、少なくともMgOを酸化物換算で0.5〜30重量%含有するフェライトを用いることが特に好ましい。
【0131】
更に、本発明の二成分系現像剤においては、上記のような樹脂被覆層で被覆されたキャリアとして、特定の表面性及び粒度分布を有するものを用いることが好適であることも一つの特徴である。即ち、本発明者らが、二成分系現像剤を用いた場合の画像濃度、カブリについて鋭意検討した結果、下記のような粒度分布及び表面性を有するキャリアを使用したときに、高画像濃度でカブリの少ない画像形成が可能な二成分系現像剤が得られることがわかった。
【0132】
先ず、キャリア芯材粒子として、平均粒径が小さく、且つ、その粒度分布において、微粉及び粗粉の存在量がコントロールされた粒子形状の揃った均一な小粒径粒子であり、且つ、その表面に、ある程度凹凸を持たせた粒子を用いることが好ましいことがわかった。このように構成すれば、その粒子表面に自由エネルギーの小さい樹脂を被覆した場合にも、トナーに対する搬送性が良好であり、トナーとの摩擦帯電性の立上がりも好ましく改良される。
【0133】
又、キャリア芯材粒子として、その粒度分布において、キャリアの50%粒径(メジアン径)が15〜60μm、好ましくは20〜45μmであり、且つ、微粉の存在量が、22μmより小さいキャリア粒子が1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは4〜12重量%含有されており、16μmより小さいキャリア粒子が3重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下に制御されたものを用いることがよい。尚、本発明において、50%粒径とは、体積基準の中央累積値(50%)の粒径をいう。
【0134】
これに対し、微粉の含有量が上記範囲の上限を超えると、樹脂が安定に被覆できず、キャリア付着を生じたり、トナーの円滑な帯電が防げられ、一方、22μmより小さいキャリア粒子が1重量%未満であると、磁気ブラシが疎い状態となってしまい、トナーの帯電の立上がりも悪くなり、画像を形成した場合に、トナー飛散やカブリの原因となるので好ましくない。
【0135】
更に、粗粉の存在量が下記ようなキャリア芯材粒子を使用することが好ましい。即ち、62μm以上のキャリア粒子の存在は、画像濃度と密接に相関するため、この粗紛のキャリア中おけ含有量が2〜15重量%であるようにすることが好ましい。粗紛の含有量が15重量%を超えると、キャリアのトナー搬送能力が低下し、ベタ画像の濃度の低下を引き起こす場合があり、一方、2重量%未満であると、二成分系現像剤の流動性が低下し、現像器内での現像剤の片寄り等が生じ、安定な画像が得られにくくなる。
【0136】
更に、本発明に用いられるキャリアにおいては、空気透過法によって算出される比表面積S1と下記式(II)から算出される比表面積S2との比(S1/S2)が、好ましくは1.2〜2.0、より好ましくは1.3〜1.8、更に好ましくは1.4〜1.7であるようにすることも有効である。
【数2】
【0137】
即ち、S1/S2の比の値が1.2より小さいと、キャリアの表面が平滑になってしまうことでキャリア芯材粒子への被覆樹脂の密着性が低下し、コート剥れが発生し易い。S1/S2の値が2.0より大きいと、キャリア表面の凸凹が大きくなり過ぎ、磁性キャリア芯材粒子表面の樹脂被覆層が不均一になり易く、結果として、トナーの帯電の均一性が得られなくなり、カブリ、トナー飛散が生じ易く、更にキャリア付着も発生し易くなる。
【0138】
更に、本発明の効果をより一層効果的にするためには、キャリアの見掛密度は、好ましくは、1.2〜3.2g/cm2、より好ましくは1.5〜2.8g/cm2とすることがよい。見掛密度が上記範囲の下限値より小さいと、キャリア付着が発生し易くなり、上記範囲の上限値より大きいと二成分系視像剤の循環が無くなり、トナー飛散が発生し易くなるだけでなく、画質劣化も早まってしまう。
【0139】
更に、本発明の効果をより効果的なものとするためには、キャリアの電流値は20〜300μA、より好ましくは30〜250μA、更に好ましくは40〜200μAであることが望ましい。これに対し、電流値が20μAより小さいと、キャリア表面での電荷の移動が充分に行われず、トナーへの帯電付与能が低下してしまい、カブリ、トナー飛散が発生し易くなり、300μAより大きいと、感光体ドラムへのキャリア付着、バイアスリークが発生し易くなり、画像欠陥が生じ易くなる。
【0140】
MgOを含有するフェライトキャリアとしては、例えば、特開昭59−1159号公報、特開昭58−123551号公報、特開昭55−65406号公報に記載されているが、これらは粒度分布がコントロールされておらず、帯電の安定性、耐久性等満足のいくものとはならず、本発明とは異なるものである。
更に、特開平2−33159号公報には、MgOを含有させてもよいとの記載は有るものの、積極的にMgOを採用し、その表面活性を活用し、粒度分布のコントロール及び樹脂被覆キャリアの耐久性向上の示唆はなく、本発明とは異なるものである。
【0141】
先に述べた本発明に好適に使用される硬化剤としては、下記一般式(III)で示されるオキシムタイプの硬化剤が好適である。即ち、シリコーン樹脂中の残存反応基の適度なコントロール、保存安定性、コストの面で、このような構造を有するオキシムタイプのシランカップリング剤は非常に優れている。
【0142】
【化28】
【0143】
反応性の高いカップリング剤として、酢酸タイプ(アセトキシシラン)アセトンタイプ(プロペノキシシラン)が知られているが、前述のキャリア芯材粒子とシリコーン樹脂との安定な反応を達成し、反応基を適度に残存させる条件設定が非常に難しいため、生産安定性に劣ることがわかっており、本発明には好ましくない。
【0144】
本発明で使用し得る上記一般式(III)で表される具体的な硬化剤としては、例えば、下記(12)〜(15)で示すものが挙げられる。
【0145】
【化29】
【0146】
上記硬化剤の添加量は、シロキサン固形分100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部がよい。0.1重量部未満では、充分な架橋効果が得られず、10重量部を超える場合には、残渣が充分に除去できなかったり反応不充分の化合物が残存してしまい、帯電特性、強度が低下してしまう。本発明において、シロキサン固形分は、120℃における不揮発成分を示す。
【0147】
本発明において、樹脂被覆層に用いられる反応性シリコーン樹脂に含有することができるアミノシランカップリング剤としては、例えば、下記(16)〜(24)に示すものが挙げられる。
【0148】
【化30】
【0149】
これらは、1種又は2種以上使用することができる。この中で本発明に好適に使用されるのは、相溶性、反応性、安定性の点で、1個水素原子を有する窒素原子を少なくとも一つ有する以下のカップリング剤である。
【0150】
【化31】
【0151】
上記カップリング剤の添加量は、シロキサン固形分100重量部に対して好ましく、0.1〜8重量部より好ましくは0.3〜5重量部がよい。0.1重量部未満では充分な添加効果が得られず、帯電性の劣化、被覆強度の低下が生じ易く、8重量部を超えると充分な反応が行われず、逆に被覆強度の低下が生じてしまう。
【0152】
本発明においては、カップリング剤としでは、更に下記一般式(IV)で示されるカップリング剤を併用してもよい。
【化32】
(式中、R4-aは、ビニル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基及びそれらの誘導体からなるグループから選択される置換基を示し、Xaはハロゲン又はアルコキシ基を示す。)
【0153】
このようなカップリング剤としては、下記(25)〜(27)で示すものが挙げられる。
【化33】
【0154】
磁性キャリア芯材粒子表面に樹脂被覆層を形成する方法としては、樹脂組成物を適当な溶液に溶解し、得られる溶液中に磁性キャリア芯材粒子を浸漬し、しかる後に、脱溶媒乾燥、高温焼付けする方法、或いは磁性キャリア芯材粒子を流動化系中で浮遊させ、前記樹脂組成物の溶解した溶液を噴霧、塗付し、乾燥、高温投付けする方法、単に磁性キャリア芯材粒子と樹脂組成物の粉体或いは水系エマルジョンとを混合する方法等がいずれも使用できる。
【0155】
本発明において好ましく用いられる方法は、ケトン類、アルコール類の如き極性溶媒を、1.5重量%、好ましくは、20重量%以上を含む溶媒に水を0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部含有させた混合溶液を使用する方法が好ましい。このようにすれば、反応性シリコーン樹脂を磁性キャリア芯材粒子に強固に付着させることができる。この際、水の量が0.1重量部未満では、反応性シリコーン樹脂の加水分解反応が充分に行われないので、磁性キャリア芯材粒子表面への薄層且つ均一な被覆が難しくなり、一方、5重量部を超えると、反応制御が難しくなり、逆に被覆強度が低下することが生じる場合がある。
【0156】
本発明の二成分現像剤を構成する磁性キャリアにおいては、被覆樹脂層の形成に用いられる樹脂として、フッ素樹脂を含有しているものを用いることが好ましい。更には、キャリア芯材粒子表面を被覆している被覆樹脂は、フルオロアルキルユニット、メチレンユニット(−CH2−)及びエステルユニットを少なくとも有し、キャリア芯材粒子の表面は、(i)被覆樹脂とメチレンユニットを少なくとも有するカップリング剤との混合物で被覆処理されているか、又は、(ii)メチレンユニットを少なくとも有するカップリング剤で表面処理きれた後に被覆樹脂で被覆されているものがより好ましい。
【0157】
キャリア芯材粒子を上記3種のユニットを少なくとも有する被覆樹脂で被覆することにより、トナーに対する摩擦電荷付与能を維持しつつトナーによるキャリア汚染が抑制される。キャリア芯材粒子を被覆樹脂で被覆する際に、予めキャリア芯材粒子表面をメチレンユニットを少なくとも有するカップリング剤で処理した後に樹脂で被覆するか、又は、被覆樹脂と該カップリング剤とを含有した混合物をキャリア芯材粒子表面に被覆すると、キャリア芯材粒子と被覆樹脂との密着性が高まると共に、トナーに対する摩擦電荷の付与性も向上するので好ましい。
【0158】
キャリア芯材粒子の表面を被覆する被覆樹脂は、フルオロアルキルユニット、メチレンユニット及びエステルユニットを少なくとも有しているものが好ましい。フルオロアルキルユニットとしては、下記式で示されるパーフルオロアルキルユニットであることが、外添剤がキャリア粒子表面に付着するのを防止する上で好ましい。
【化34】
【0159】
フルオロアルキルユニットとメチレンユニットとは、下記に示されるユニットの如く結合している方が、キャリア芯材粒子表面との密着性を高める上で好ましい。
【化35】
【0160】
キャリア芯材粒子との密着性及びトナーへの摩擦電荷を付与する能力を維持する上で、下記式で示されるユニットを有することがより好ましい。
【化36】
【0161】
被覆樹脂は、フルオロアルキルユニットを有するメタクリル酸、或いは、そのエステルの重合物又は共重合物であるか、又は、フルオロアルキルユニットを有するアクリル酸又は、重合物又は共重合物であることが好ましい。例えば、下記式で示されるユニット、
【化37】
【0162】
又は、下記式で示されるユニットを有することが好ましい。
【化38】
【0163】
被覆樹脂は、フルオロアルキルユニットを有するグラフト共重合体であることが、キャリア粒子表面の特性をより均一にする上で好ましい。例えば、下記式で示されるユニットと、
【化39】
下記式で示されるユニットとを有するグラフト共重合体が挙げられる。
【化40】
【0164】
更に、本発明で使用する被覆樹脂は、THFの可溶成分のGPCにおいて、重量平均分子が2万〜30万であることが、形成された樹脂被覆層の強度及びキャリア芯材粒子との密着性及び塗布性の点で好ましい。更に、THFの可溶成分のGPCのクロマトグラムにおいて、分子量2,000〜10万の領域にメインピークを有することが好ましく、更に、分子量2,000〜10万の領域にサブピーク又はショルダーを有するものを使用することが好ましい。
最も好ましくは、THFの可溶成分のGPCにおいて、分子量2万〜10万の領域にメインビークを有し、分子量2,000〜19,000の領域にサブピーク又はショルダーを有するものを被覆樹脂として使用することが好ましい。
【0165】
上記分子量分布を満足するものを使用することによって、樹脂で被覆された磁性キャリアは、多数枚耐久性、トナーへの帯電安定性、トナーのキャリア粒子表面への付着防止性が更に向上する。
更に、グラフト共重合体を用いる場合には、幹の重量平均分子量が30,000〜200,000であり、枝の重量平均分子量が3,000〜10.000であるものを使用することが好ましい。
【0166】
ここで、本発明において、被覆樹脂の分子量分布は、GPCにおいて次の条件で測定した。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:3XF801〜7(ショウデックス社製)の7連
・温度:40℃
・溶媒:THF
・流速:1.0.ml/分
・試料:濃度0.05〜0.6重量%の測定試料を0.1ml
以上の条件で測定し、試料の分子量の算出に当たっては、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用した。
【0167】
更に、本発明にとって好ましい構成の樹脂被覆層としては、グラフト共重合体において、フッ素を含有するエステル基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステルの含有率が5〜80重量%であることが挙げられる。これは、5%未満では充分な離型性が得られず、80重量%を超えると密着性が低下する場合があるので好ましくない。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。このエステル基として、水酸基の如き親水性基を含めることも可能である。好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
【0168】
本発明に用いられるフッ素を合有するエステル基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステルとして、フルオロアルキルアクリレート、フルオロアルキルメタクリレートが挙げられる。具体例を挙げれば、下記式で表されるものである。
【化41】
上記式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、X及びX*は、水素原子又はフッ素原子であり、Y及びY*は、水素原子又はフッ素原子であり、mは0〜10の整数、Zは水素又はフッ素である。
【0169】
上記式で表されるモノマーのうち、X、X*、Y及びY*は、少なくとも3個以上は水素原子であることが好ましく、4個すべてが水素原子であることが更に好ましい。即ち、フッ素の示す割合が多いと、フッ素含有エステル基の柔軟性が充分でなくなる傾向にあり、樹脂被覆層が脆くなる傾向にあるからである。更に、Rはメチル基であることが好ましい。これは、Rが水素原子であるものよりもメチル基であるものの方が、被覆した際の強靱性が比較的大きいからである。更にmは4〜9が好ましい。mが小さすぎるとフッ素の持つ離型効果が低下するので好ましくない。
【0170】
グラフト共重合体の製法としては、例えば、末端にエチレン性不飽和基を有するマクロマーをエチレン性不飽和モノマーと反応させることにより得られる。又、縮合反応可能な官能基又は連鎖移動剤の存在下、縮合可能な末端基を有するマクロマーを利用し、グラフト重合体を得る方法がある。これらのマクロマーは、イオン重合法、ラジカル重合法により製造される。
【0171】
キャリア芯材粒子の表面処理、又は、被覆樹脂と混合して使用されるカップリング剤としては、シランカッブリンク剤又はチタンカップリング剤が挙げられる。負帯電性トナーと共に用いられるキャリアに使用される好ましいシランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、又は、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0172】
正帯電性トナーと共に用いられるキャリアに利用される、好ましいシランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルポリアルコキシシランが挙サられる。又、好ましいチタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、メチレンユユットを有するイソプロピルトリアルキルベンゼンスルホニルチタネート及びメチレンユニットを有するイソプロピルトリス(ジアルキルピロホスフェート)チタネート等が挙げられる。
【0173】
キャリア芯材粒子に対して、上記したようなフッ素含有樹脂を含有する被覆樹脂が0.01〜5重量%(キャリア基準)塗布され、カップリング剤が0.01〜5重量%(キャリア基準)塗布されていることが、トナーヘの摩擦電荷付与性を安定化させ、キャリアの多数枚耐久性、トナーによる汚染を抑制する上で好ましい。
キャリア芯材粒子の表面をフッ素樹脂を含有する被覆樹脂で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁して調製した塗布液を用い、これを、キャリアコア粒子表面に塗布する方法が挙げられる。
【0174】
本発明の二成分系現像剤においては、上記したような構成を有するトナーとキャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する。この場合に、その混合比率が、現像剤中のトナー濃度として、2重量%〜15重量%、好ましくは4重量%〜13重量%になるようにすると良好な結果が得られる。トナー濃度が2重量%未満の場合には、画像渡度が低くなり易く、15重量%を超える場合には、カブリや機内飛散を生じ易く、現像剤の耐用寿命も低下し易い。
【0175】
以下に、本発明において用いるキャリアを調製する際に使用した各種の測定方法について説明する。
(1)キャリアの粒度分布の測定
測定装置には、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7〜125μmのレンジ設定で行い、体積基準から50%粒径を算出した。
【0176】
(2)キャリアの電流値の測定
1.先ず、キャリア800gを秤量し、15分以上、室内温度22〜25℃、湿度50〜54%の環境に曝露する。
2.次に、マグネットローラーを内蔵し、穂立規制ブレードを没けた導電性のスリーブと対向して1mmの距離に対向電極を設けた装置を用意する。
3.スリーブと対向電極間にキャリアを磁気吸引させる。
4.スリーブ内のマグネットローラを回転させて対向電極に穂立させたキャリアを接触させ、スリーブと対向電極の周に500Vの直流電圧を負荷し、直列させた1MΩ、10kΩの両端における電圧降下を測り、この値から電流値を計算で求める。
【0177】
(3)比表面積の測定
島津粉比表面積測定装置(SS−100型)を用いて下記の手順により、測定を行った。
1.試料鉄粉充墳のため、パウダーテスターのオートスライダックの電源を入れ、100Vに調整する。
2.パウダーテスターの切替えスイッチをタップにして、タイマーを1分間に調整する(50回±1回/1分間)。
3.プラスチック試料筒にフルイ板を入れ、その上にろ紙を一枚敷き、その上に試料を試料筒の1/3まで入れる。
4.試料筒をパウダーテスターのタップ架台にセットし、スタートボタンを入れる(1分間タップ)。
5.更に、タップした試料筒に試料を試料筒の2/3まで入れる。
6.上記4項と同一作業を行う。
7.試料筒の上に補足筒(プラスチック)を差し込み、試料をその上から山盛りに入れる。
8.上記4項、6項と同一作業を行う。
9.タップした試料筒をタップ架台から取り出し、補足筒を抜き取り余分の試料をヘラでカットする。
10.比表面積の測定管のS目盛まで水を満たす。
11.試料筒を測定管に接続する(試料充填後、すり合わせ面にグリスを塗る)。
12.下部流出口のコックを開き、測定管の水面が0目盛りを通過する時に、ストップウォッチを始動させる(下部流出水はビーカーで受ける)。
13.20目盛(単位はcc)まで水面が低下する時間を計る。
14.試料筒を取り外し、試料の重量を測定する。
15.比表面積の計算。
【0178】
下記の計算式で比表面積を算出する。
【数3】
・SW:粉体の比表面積[cm2/g]
・e:試料充填層の空険率
・ρ:粉体の密度[g/cm2]
・η:流体の粘性係数[g/cm・sec]
・L:試料層の厚さ[cm]
・Q:試料層透過流体重[cc]
・ΔP:試料層両端の圧力差[g/cm2]
・A:試料屑の断面積[m2]
・t:Qccの流体(空気)が試料層を透過するのに要する時間[sec]
・W:試料の重量[g]
【0179】
(4)キャリアの密度の測定
装置として、島津製作所製のアキュピック1330を使用した。測定対象のキャリアを10cm2の測定用セルに、ごく軽くタッピングしながら容器の8分目程度まで充填し、40℃に設定した真空乾燥機で24時間乾燥した後、重量を測定してから本体に挿入し、その後、ヘリウムガスの充填圧力を134.45kPaで10回パージした後、充填圧力134.45kPa、平衡圧0.0345kPaで測定した。上記と同様の操作によって5回測定し、その平均値をキャリアの密度とした。
【0180】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0181】
《結着樹脂の製造》
<結着樹脂(1)の製造>
(1−a):低架橋度樹脂組成物(クロロホルム不溶分を実質的に0〜10重量%含有する樹脂組成物)の製造
・テレフタル酸 5.0mol部
・下記式(1−3)で表せるコハク酸誘導体 1.0mol部
【化42】
・無水トリメリット酸 1.0mol部
・PO−BPA 7.0mol部
・EO−BPA 3.0mol部
【0182】
上記組成のポリエステルのモノマー(カルボン酸成分、アルコール成分)をエステル化触媒と共にオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下、減圧しながら、常法に従って210℃まで加熱しながら縮重合反応を行うことにより、クロロホルム不溶分を約3重量%含有する低架橋度ポリエステル樹脂を得た。
【0183】
次に、キシレン50重量部に、上記で得られた低架橋度ポリエステル樹脂80重量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン16重量部、2−エチルヘキシルアクリレレート4重量部を、及び、エステル化触媒としてジブチルスズオキサイド0.3重量部を添加して、110℃まで加熱して、溶解・膨潤した。窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤であるt−ブチルハイドロパーオキサイド1重量部をキシレン10重量部に溶解したものを、約30分かけて滴下した。その温度で更に10時間保持してラジカル重合反応を終了した。更に、加熱しながら減圧して脱溶剤することにより、低架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系重合体、及び、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなり、クロロホルム不溶分を約7重量%含有する低架橋度樹脂組成物(a)を得た。
【0184】
(1−b):高架橋度樹脂組成物(クロロホルム不溶分を15〜70重量%含有する樹脂組成物)の製造
・テレフタル酸 2.0mol部
・前記式(1−3)で表せるコハク酸誘導体 4.0mol部
・無水トリメリット酸 4.0mol部
・PO−BPA 10.0mol部
・EO−BPA 4.0mol部
上記組成のポリエステルのモノマー(カルボン酸成分、アルコール成分)を、エステル化触媒と共にオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下、減圧しながら、常法に従って210℃まで加熱しながら縮重合反応を行うことにより、クロロホルム不溶分を約25重量%含有する高架橋度ポリエステル樹脂を得た。
【0185】
次に、キシレン50重量部に、上記で得られた高架橋度ポリエステル樹脂80重量部と、ビニル系モノマーとして、スチレン10重量部、2−エチルヘキシルアクリレート10重量部、ジビニルベンゼン0.01重量部を、及び、エステル化触媒としてジブチルスズオキサイド0.3重量部を添加して、110℃まで加熱して、溶解・膨潤した。窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤であるt−ブチルハイドロパーオキサイド1重量部をキシレン10重量に溶解したものを、約30分かけて滴下した。その温度で更に10時間保持してラジカル重合反応を終了した。更に、加熱しながら減圧して脱溶剤することにより、高架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系重合体、及び、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリット樹脂成分からなり、クロロホルム不溶分を約33重量%含有する高架橋度樹脂組成物(b)を得た。
【0186】
(1−c):結樹着脂(1)の製造
キシレン100重量部に、上記で得られた低架橋度樹脂組成物(a)60重量部、高架橋度樹脂組成物(b)30重量部、更に、ビニル系モノマーとして、スチレン5重量部、2−エチルヘキシルアクリレート5重量部及びジビニルベンゼン0.01重量部を添加して110℃まで加熱して、膨潤・溶解した。窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤であるt−ブチルハイドロパーオキサイド1重量部をキシレン10重量部に溶解したものを、約30分かけて滴下した。その温度で更に10時間保持してラジカル重合反応を終了した。更に、加熱しながら減圧して、脱溶剤することにより、低架橋度ポリエステル樹脂、高架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系重合体、及び、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなり、クロロホルム不溶分を約28重量%含有する実施例で使用する結着樹脂(1)を得た。
尚、表1に低架橋度樹脂組成物(a)の組成を、表2に高架橋度樹脂組成物(b)の組成を、表3に結着樹脂(1)の組成を夫々示した。
【0187】
<結着樹脂(2)の製造>
樹脂製造例(1)の低架橋度樹脂組成物(a)の製造(1−a)で用いたポリエステルのモノマー(カルボン酸成分、アルコール成分)を、以下に示すモノマーに変更した以外は、低架橋度樹脂組成物(a)の製造(1−a)の場合と同様にして、クロロホルム不溶分を約6重量%含有する低架橋度樹脂組成物(c)を得た。
【0188】
・テレフタル酸 5.0mol部
・下記式(2−2)で表せるジカルボン酸誘導体 1.0mol部
【化43】
・無水トリメリット酸 1.0mol部
・PO−BPA 7.0mol部
・EO−BPA 3.0mol部
【0189】
次に、以下に示すポリエステルのモノマー(カルボン酸成分、アルコール成分)を用いた以外は、樹脂製造例(1)の高架橋度樹脂組成物(b)の製造(1−b)の場合と同様にして縮重合反応を行い、クロロホルム不溶分を約19重量%含有した高架橋度樹脂組成物(d)を得た。
・テレフテレフタル酸 2.0mol部
・前記式(2−2)で表せるジカルボン酸誘導体 4.0mol部
・無水トリメリット酸 4.0mol部
・PO−BPA 8.0mol部
・EO−BPA 3.0mol部
【0190】
結着樹脂(1)の製造の(1−c)において、低架橋度樹脂組成物(a)及び高架橋度樹脂組成物(b)の代わりに、上記で得られた低架橋度樹脂組成物(c)を60重量部、及び、高架橋度樹脂組成物(d)を35重量部用いた以外は同様にして、高架橋度ポリエステル樹脂、低架橋度ポリエステル樹脂、ビニル系重合体、及び、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分からなる実施例で使用する結着樹脂(2)を得た。
尚、表1に低架橋度樹脂組成物(c)の組成を、表2に高架橋度樹脂組成物(d)の組成を、表3に結着樹脂(2)の組成を夫々示した。
【0191】
<結着樹脂(3)〜(6)の製造>
使用したモノマーの種類及び結着樹脂の組成を表1〜表3に示したように変更することにより、実施例で使用する結着樹脂(3)〜(6)を得た。この際に使用した低架橋度樹脂組成物の組成を表1に、高架橋度樹脂組成物の組成を表2に、結着樹脂の組成を表3に夫々示した。
尚、表1及び表2中に記号で示したポリエステルのモノマー組成の酸成分及びアルコール成分は、下記のものである。
【化44】
【0192】
<結着樹脂(7)の製造>
結着樹脂(1)の製造における低架橋度樹脂組成物(a)の製造(1−a)で用いたコハク酸誘導体(1−3)の代わりに、テレフタル酸を使用した以外は樹結着樹脂(1)の製造の場合と同様にして、比較例で使用する結着樹脂(7)を得た。この際に使用した低架橋度樹脂組成物の組成を表1に、高架橋度樹脂組成物の組成を表2に、結着樹脂(7)の組成を表3に夫々示した。
【0193】
<結着樹脂(8)の製造>
結着樹脂(1)の製造における低架橋度樹脂組成物(a)の製造(1−a)で用いたコハク酸誘導体(1−3)及び無水トリメリット酸の代わりに、テレフタル酸を使用した以外は結着樹脂(1)の製造の場合と同様にして、比較例で使用する結着樹脂(8)を得た。この際に使用した低架橋度樹脂組成物の組成を表1に、高架橋度樹脂組成物の組成を表2に、結着樹脂(8)の組成を表3に夫々示した。
【0194】
<結着樹脂(9)の製造>
結着樹脂(1)の製造における低架橋度樹脂組成物(a)の製造(1−a)において用いたコハク酸誘導体(1−3)及び無水トリメリット酸の代わりに、テレフタル酸を使用した以外は結着樹脂(1)の製造の場合と同様にして、低架橋度樹脂組成物を得た。得られた低架橋度樹脂組成物を用いて結着樹脂(9)を得た。この際に使用した低架橋度樹脂組成物の組成を表1に、結着樹脂(9)の組成を表3に夫々示した。
【0195】
<結着樹脂(10)の製造>
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着したオートクレーブに、スチレン−2−ヘキシルアクリレート共重合体(ステレン84重量部、2−エチルヘキシルアクリレート16重量部、Mw=1.9万、Mw/Mn=2.3)200重量部、及び、下記組成からなるポリエステルのモノマー(カルボン酸成分、アルコール成分)を仕込み、窒素雰囲気下、減圧しながら、常法に従って210℃まで加熱しながら縮重合反応を行うことにより、比較例で使用するポリエステル樹脂及びビニル系重合体からなる結着樹脂(10)を得た。
・フマル酸 191重量部
・無水トリメリット酸 168重量部
・EO−BPA 463重量部
・PO−BPA 551重量部
【0196】
【表1】
【0197】
【表2】
【0198】
【表3】
【0199】
《トナー粒子の製造》
上記で得られた結着樹脂(1)〜(10)を用い、下記のようにして実施例及び比較例の二成分系現像剤を構成する各トナーを得た。
<トナー粒子1の製造>
・結着樹脂(1) 100重量部
・アゾ系鉄錯体化合物 2重量部
・カーボンブラック 5重量部
・ポリエチレンワックス 3重量部
上記混合物を130℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した。粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、重量平均径6.6μmのトナー粒子1を得た。
【0200】
このトナー粒子1を用いて、結着樹脂に含有されるテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル及びクロロホルムの可溶成分及び不溶分を、ソックスレー抽出により夫々定量した。この結果、混在するワックスが除外された樹脂組成物は、THF不溶分(W2)が34重量%であり、酢酸エチル不溶分(W4)が36重量%であり、クロロホルム不溶分(W6)が16重量%であり、これらの比(W4/W6)が2.3であった。又、THF不溶分(W2)中のクロロホルム不溶分(W6A)は6.5重量%であり、酢酸エチル不溶分(W4)中のクロロホルム不溶分(W6B)は8.7重量%であった。
【0201】
更に、THFの可溶成分(W1)のGPCによる分子量測定を行ったところ、メインピークとなる分子量が4800、分子量500以上1万未満の領域の成分(A1)が44.1%、分子量1万以上10万未満の領域の成分(A2)が28.2%、分子量10万以上の領域の成分(A3)が27.7%であり、比(A1/A2)は1.56だった。
【0202】
1H−NMR及び13C−NMRにより、トナー粒子1中に、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分が存在していることを確認した。
トナー粒子1においてポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂成分の存在は、13C−NMRにより、これらが反応することによって生成するエステル結合由来のシグナル(約168ppmに出現)を下記のようにして検出することにより検証することができる。
一般的に、スチレンと共重合したアクリル酸エステルのエステル基の13C−NMRにより測定されるシグナルは、アクリル酸エステルの単独重合体のそれよりもスチレンのベンゼン環の影響により数ppm高磁場側にシフトする現象が知られている。この現象は、アクリル酸エステルのアルコール成分がポリエステルのアルコール成分とエステル交換反応して得られるハイブリッド樹脂成分の場合も同様であり、エステル交換によって導入されるポリエステルユニットに含有されるベンゼン環の影響も受けて、シグナルは上記ビニル系重合体ユニットのアクリル酸エステルより更に高磁場側のシグナルとして検出される。
【0203】
図1に低架橋度ポリエステルの13C−NMR測定結果の一例を示し、図2にスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体の13C−NMR測定結果の一例を示した。これに対し、図3にトナー粒子1を構成する結着樹脂(1)の13C−NMR測定結果を示したが、図3から明らかなように、図1及び図2では見られなかったエステル結合由来の新たなシグナルが約168ppmに出現した。更に、そのシグナルから、アクリル酸エステルの約22モル%がポリエステルユニットと反応してエステル化し、ハイブリッド樹脂成分として存在することがわかった。下記表4に、図1〜図3の各々の13C−NMRにおける特徴的な部分の測定結果を示した。
【0204】
【表4】
【0205】
<トナー粒子2〜10の製造>
トナー粒子1の製造において、結着樹脂(1)を結着樹脂(2)〜(10)に代えた以外はトナー粒子1の製造の場合と同様にして、トナー粒子2〜トナー粒子10を得た。得られたトナー粒子2〜10についてトナー粒子1と同様にして分析を行い、各溶剤に対する可溶分及び不溶分の量を測定した。又、トナー粒子2〜10がハイブリッド樹脂成分を含有していることを確認した。
【0206】
<トナー粒子11の製造>
・結着樹脂(4) 100重量部
・トリフェニルメタン染料 2重量部
・カーボンブラック 5重量部
・ポリエチレンワックス 3重量部
上記組成とする以外はトナー粒子1の製造の場合と同様にして、重量平均粒径6.8μmのトナー粒子11を得た。
上記で得られたトナー粒子1〜11の物性を表5にまとめて示した。
【0207】
【表5】
表5−1:トナー粒子の物性1
【0208】
【表6】
表5−2:トナー粒子の物性2
【0209】
《磁性キャリアの製造》
[キャリア芯材粒子の製造]
<磁性キャリア芯材粒子(A)及び(B)の製造>
MgO(溶解度0.62mg/100ml)を20部と、MnOを20部と、Fe2O3を60部とを夫々微粒子化した後、水を添加、混合して造粒した後、1100℃にて焼成し、表6に示すように粒度分布を調整をして、平均粒径35.7μmのフェライトキャリア芯材粒子(飽和磁化58Am2/kg)(A)及び(B)を得た。
【0210】
<磁性キャリア芯材粒子(C)の製造>
磁性キャリア芯材粒子材料として、MgO(溶解度0.62mg/100ml)を15部、NiOを2部、Al2O3を11部、及び、Fe2O3を72部の組成を使用する以外は、磁性キャリア芯材粒子(A)及び(B)の製造の場合と同様にして、平均粒径36.3μmのフェライトキャリア芯材粒子(C)(飽和磁化60Am2/kg)を得た。
【0211】
<(磁性キャリア芯材粒子(D)の製造>
Ag2O(溶解度1.74mg/100ml)を3部、MnOを27部、及び、Fe2O3を70部の組成を使用する以外は、磁性キャリア芯材粒子(A)及び(B)の製造の場合と同様にして、平均粒径39.3μmのフェライトキャリア芯材粒子(D)(飽和磁化65Am2/kg)を得た。
【0212】
<磁性キャリア芯材粒子(E)の製造>
BaO(溶解度1g/100ml以上)を20部、ZnOを20部、及び、Fe2O3を60部の組成を使用する以外は、磁性キャリア芯材粒子(A)及び(B)の製造の場合と同様にして、平均粒径36.2μmのフェライトキャリア芯材粒子(E)(飽和磁化57Am2/kg)を得た。
【0213】
<磁性キャリア芯材粒子(F)の製造>
MgO(溶解度0.62mg/100ml)を35部、MnOを5部、Fe2O3を60部の組成を使用する以外は、磁性キャリア芯材粒子(A)及び(B)の製造の場合と同様にして、平均粒径37.5μmのフェライトキャリア芯材粒子(F)(飽和磁化47Am2/kg)を得た。上記で得られたフェライトキャリア芯材粒子は、式[(Fe2O3)x(MgO)y(MnO)z]で示されるが、式中のxは0.6、yは0.35、zは0.05である。
【0214】
[シリコーン樹脂含有コーティングキャリアの製造]
<コーティングキャリア(I−1)〜(I−5)及び(I−8)の製造>
先ず、トルエン20部、ブタノール20部、水20部、氷40部を4つ口フラスコに取り、撹拌しながらCH3SiCl3を15モルと(CH3)2SiCl2を10モルとの混合物40部を加え、更に30分間撹拌した後、60℃で1時間縮合反応を行った。その後、シロキサンを水で充分に洗浄し、トルエン−メチルエチルケトン−ブタノール混合溶媒に溶解して固型分10%のシリコーンワニスを調製した。
【0215】
次に、得られたシリコーンワニスにシロキサン固型分100部に対して2.0部のイオン交換水、及び、2.0部の下記式で表される硬化剤と、
【化45】
3.0部の下記のアミノシランカップリング剤を同時添加し、キャリア被覆溶液(I)を作製した。
【化46】
【0216】
以上のようにして調製した被覆溶液Iを用い、先に調製した磁性キャリア芯材粒子(A)〜(F)表面の夫々に、塗布機(岡田精工社製、スピラコータ)により、芯材粒子100部に樹脂コート量が1.0部となる量で塗布して、夫々コーティングキャリア(I−1)〜(I−5)及び(I−8)を得た。
【0217】
<コーティングキャリア(I−6)の製造>
コーティングキャリアの製造例I−1において用いたアミノシランカップリング剤を下記アミノシランカップリング剤に代えて調製した樹脂溶液(II)を使用することを除いては、キャリアの製造例I−1と同様にしてコーティングキャリア(I−6)を得た。
【化47】
【0218】
<コーティングキャリア(I−7)の製造>
キャリアの製造例(I−1)において用いた硬化剤及びアミノシランカップリング剤を使用しないで調製した樹脂溶液(III)を使用することを除いては、コーティングキャリアの製造例(I−1)と同様にしてコーティングキャリア(I−7)を得た。
表6に、上記で得たコーティングキャリア(I−1)〜(I−8)の夫々の物性を示した。
【0219】
【表7】
表6:コーティングキャリア(I−1)〜(I−8)の性質
【0220】
[フッ素含有樹脂コーティングキャリア(II−1)〜(II−5)の製造]
<フッ素含有被覆樹脂(グラフト共重合体(A))の製造>
一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメチルメタクリレートマクロマー10重量部、2−(パーフルオロオクチル)−エチルメククリレート60重量部、メチルメタクリレート30重量部を、還流冷却器、温度計、窒素汲い込み管、及び、すり合わせ方式の撹拌装置を配した4つ口フラスコに添加し、更に、メチルエチルケトン100重量部、アゾビスイソバレロニトリル2.0重量部を加え、窒素気流下70℃で10時間保ち、グラフト共重合体(A)を得た。
得られたグラフト共重合体(A)についてGPCを測定したところ、重量平均分子量は70,000であり、又、分子量40,000にメインピークを持ち、更に、分子量4,000にショルダーを有していた。
又、グラフト共重合体Aは、2−(パーフルオロオクチル)−エチルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体に、メチルメタクリレートマクロマーがグラフト重合していた。
【0221】
<フッ素含有被覆樹脂(グラフト共重合体(B))の製造>
一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量2,000のメチルメタクリレートマクロマー20重量部、2−(パーフルオロオクチル)−エチルメタクリレート60重量部、メチルメタクリレート20重量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及び、すり合わせ方式の撹拌装置を配した4つ口フラスコに添加し、更にメチルエチルケトン100重量部、アゾビスイソバレロニトリル7.0重量部を加え、窒素気流下70℃で10時間保ち、グラフト共重合体(B)を得た。
得られたグラフト共重合体(B)についてGPCを測定したところ、重量平均分子量は、10,000であり、又、分子量10,000にメインピークを持ち、更に、分子量20,000〜100,000の領域にピークは見られなかった。
【0222】
<フッ素含有被覆樹脂(グラフト共重合体(C))の製造>
一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量8,000のメチルメタクリレートマクロマー10重量部、2−(パーフルオロオクチル)−エチルメタクリレート70重量部、メチルメタクリレート20重量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及び、すり合わせ方式の撹拌装置を配した4つ口フラスコに添加し、更にメチルエチルケトン100重量部、アゾビスイソバレロニトリル0.7重量部を加え、窒素気流下65℃で15時間保ちグラフト共重合体(C)を得た。得られたグラフト共重合体(C)についてGPC測定をしたところ、GPCによる重量平均分子量は32万であり、分子量8万にメインピークを持ち、更に、分子量9,000にショルダーを有していた。
【0223】
<フッ素含有被覆樹脂(グラフト共重合体(D))の製造>
2−(パーフルオロオクチル)−エチルメタクリレート90重量部、メチルメタクリレート10重量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及び、すり合わせ方式の撹拌装置を配した4つ口フラスコに添加し、更にメチルエチルケトン100重量部、アゾビスイソバレロニトリル2.0重量部を加え、窒素気流下7.0℃で10時間保ち、グラフト共重合体(D)を得た。得られたグラフト共重合体(D)についてGPC測定をしたところ、GPCによる重量平均分子量は70,000であり、分子量4万にメインピークを持つが、分子量2,000〜20,000に、ピーク又はショルダーは見られなかった。
【0224】
<コーティングキャリア(II−1)の製造>
キャリア芯材粒子(A)の表面に、下記の構造を有するγ−アミノプロピルトリメトキシシランの5重量%トルエン溶液を塗布した。塗布中は、キャリア芯材粒子(A)に剪断力を連続的に印加しながら、塗布しつつトルエンを揮発させた。
【化48】
【0225】
その後、キャリア芯材粒子(A)の表面を調べたところ、0.1重量%のγ−アミノプロピルトリメトキシシランで処理されていた。更に、キャリア芯材粒子(A)の表面には、下記式で示される基が存在していることが確認できた。
【化49】
【0226】
γ−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理されたキャリア芯材粒子(A)に、先に調製したグラフト共重合体(A)を用い、その10重量%トルエンコート溶液を塗布した。キャリア芯材粒子(A)の表面は、0.7重量%のグラフト共重合体(A)で被覆されていた。キャリア芯材粒子(A)の表面を、上記コート溶液で塗布する際には、剪断力を連続的に印加しながら、塗布しつつトルエンを揮発させた。
その後、温度140℃で2時間キュアし、凝集をほぐした後、200メッシュの篩で分級して、コーティングキャリア(II−1)を得た。
【0227】
<コーティングキャリア(II−2)〜(II−4)の製造>
グラフト共重合体(A)の代わりにグラフト重合体(B)〜(D)を用いる以外はコーティングキャリア(II−1)の場合と同様にして、コーティングキャリア(II−2)〜(II−4)を得た。
【0228】
<コーティングキャリア(II−5)の製造>
キャリア芯材粒子(A)の代わりにキャリア芯材粒子(F)を用いる以外はコーティングキャリア(II−1)の場合と同様にして、コーティングキャリア(II−5)を得た。
表7に、上記で得られたコーティングキャリア(II−2)〜(II−5)の物性を示した。
【0229】
【表8】
表7:コーティングキャリア(II−1)〜(II−5)の性質
【0230】
<コーティングキャリア(III−1)の製造>
キャリア芯材粒子(A)の表面に、下記の構造を有するγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの5重量%トルエン溶液を塗布した。塗布中は、キャリア芯材粒子(A)に剪断力を連続的に印加しながら、塗布しつつトルエンを揮発させた。
【化50】
【0231】
この結果、キャリア芯材粒子(A)の表面は、0.7重量%のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで処理されていた。又、キャリア芯材粒子(A)の表面には下記式で示される基が存在していることが確認できた。
【化51】
【0232】
上記のようにしてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理されたキャリア芯材粒子(A)に、先に調製したグラフト共重合体(A)の10重量%トルエンコート溶液を塗布した。キャリア芯材粒子(A)の表面は、0.7重量%のグラフト共重合体(A)で被覆されていた。キャリア芯材粒子(A)の表面をコート溶液で塗布する際には、剪断力を連続的に印加しながら、塗布しつつトルエンを揮発させた。
その後、温度140℃で2時間キュアし凝集をほぐした後、200メッシュの篩で分級して、コーティングキャリア(III−1)を得た。
【0233】
<コーティングキャリア(III−2)〜(III−4)の製造>
グラフト共重合体(A)の代わりにグラフト重合体(B)〜(D)を用いる以外はコーティングキャリア(III−1)の製造と同様にして、コーティングキャリア(III−2)〜(III−4)を得た。
【0234】
<コーティングキャリア(III−5)の製造>
キャリア芯材粒子(A)の代わりにキャリア芯材粒子(F)を用いる以外は、キャリア製造例(III−1)と同様にして、コーティングキャリア(III−5)を得た。
表8に、上記で得られたコーティングキャリア(III−1)〜(III−5)の性質を示した。
【0235】
【表9】
表8:コーティングキャリア(III−1)〜(III−5)の性質
【0236】
(実施例1)
トナー粒子1の100重量部に対し、負帯電性疎水性シリカ微粉体1.0重量部をへンシェルミキサーにより外添混合し、トナー(1)を得た。キャリア(I−1)の93重量部とトナー(1)の7重量部とを混合して二成分系現像剤1を調製した。
この二成分系現像剤1について、市販のデジタル複写機(キヤノン(株)製、GP30F、プリント速度30枚/分)を二成分現像用に改造したものを用いて、低温低湿(15℃、10%RH)環境下及び高温高湿(35℃、90%RH)環境下で夫々7万枚の面出し試験を行って評価した。評価方法を以下に記載する。
【0237】
(画像濃度)
耐久初期と7万枚耐久後の画像で、通常の複写機用普通紙(75g/m2)にベタ黒画像をプリントし、その画像濃度により評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリント画像に対する相対濃度を測定した。
【0238】
(カブリ)
リフレクトメーター(東京電色(株)製)により測定した転写紙の白色度と、低温低湿環境下での7万枚耐久後のべタ白画像の白色度との比較から、カブリを算出した。
【0239】
(トナースペント)
高温高温環境下で7万枚耐久後の現像器内のキャリア表面をSEM観察して、下記の評価基準で評価した
○:全く汚染が無い。
○△:やや汚染がある。
△:部分的にひどい汚染がある。
×:全体的に汚染がひどい。
【0240】
(キャリアコートの剥れ)
高温高温環境下で7万枚耐久後の現像器内のキャリア表面をSEM観察して、下記の評価基準で評価した。
○:全く剥れが無い。
○△:一部剥れている。
△:部分的にひどい剥れがある。
×:全体的に剥れがひどい。
【0241】
(低温定着性)
キヤノン製複写機GP30Fの定着器を取り外し、外部駆動装置及び定着器の温度制御装置を取り付けた定着試験装置にて、定着器の温度を5℃刻みで変化させて未定着のハーフトーン画像を通紙した。その画像を4900N/m2(50g/cm2)の荷重をかけ、柔和な薄紙により画像を摺擦し、摺擦前後の画像濃度の低下準(%)が5%以下となる温度を低温定着温度とした。
【0242】
(ホットオフセット)
低温定着性の評価に使用したものと同じ定着試験装置を使用した。定着器の温度を5℃刻みで230℃まで変化させて未定着画像を通紙し、定着画像を目視で観察してホットオフセットの発生を調べた。
【0243】
(ブロッキング)
各トナー50gを容量100mlの容器に入れ、50℃の環境下で7日間放置し、目視でトナーの流動性の変化を下記の評価基準で評価した。
○:変化無し。
○△:やや流動性が落ちているが、容器を傾けて回転させると回復する。
△:凝集物があるが、針で突っくとほぐれる。
×:凝集物があり、針で突ついてもほぐれない。
【0244】
(実施例2〜6)
実施例1と同様にして、トナー粒子2〜6に負帯電性疎水性シリカ微粉体を外添混合してトナー(2)〜(6)を得、更にキャリア(I−1)と混合することで二成分系現像剤2〜6を調製した。これらの二成分系現像剤について実施例1と同様の方法で評価した。その結果を表9に示した。
【0245】
(比較例1〜4)
実施例1と同様にして、先に調製したトナー粒子7〜10に負帯電性疎水性シリカ微粉体を外添混合して比較用のトナー7〜10を得、更に、キャリア(I−1)と混合することで比較用の二成分系現像剤1〜4を調製した。これらを実施例1と同様の方法で評価した。その結果を表9に示した。
【0246】
【表10】
表9:評価結果
【0247】
(実施例7〜11)
トナー4の7重量部にキャリア(I−2)〜(I−4)、(I−6)及び(I−7)を93重量部と混合することで、二成分系現像剤7〜11を調製した。これらの二成分系現像剤7〜11について、実施例1と同様の方法(定着試験、ブロッキングは除く)で評価した。表10に評価結果を示した。
【0248】
(比較例5〜6)
実施例7〜11と同様にして、トナー4の7重量部にキャリア(I−5)及び(I−8)と混合することで、比較二成分系現像剤5〜6を調製した。これらを実施例7〜11と同様の方法で評価した。表10に評価結果を示した。
【0249】
【表11】
表10:評価結果
【0250】
(実施例12〜15)
トナー4の7重量部にキャリア(II−1)〜(II−4)を93重量部と混合することで、二成分系現像剤12〜15を調製した。これら二成分系現像剤12〜15を実施例1と同様の方法(定着試験、ブロッキングは除く)で評価した。その結果を表11に示した。
【0251】
(比較例7)
実施例12〜15と同様にして、トナー7をキャリア(II−5)と混合することで、比較用の二成分系現像剤7を調製した。これらを実施例12〜15と同様の方法で評価した。その結果を表11に示した。
【0252】
【表12】
表11:評価結果
【0253】
(実施例16)
トナー粒子11の100重量部に対し、正帯電性疎水性シリカ微粉体1.0重量部をヘンシェルミキサーにより外添混合し、トナー11を得た。キャリア(III−1)の93重量部と、トナー11の7重量部とを混合して二成分系現像剤16を調製した。
この二成分系現像剤16を、市販の複写機(キヤノン(株)製、NP6030、プリント速度30枚/分)を二成分系現像剤に改造した物を用いて、実施例1と同様に低温低湿(15℃、10%RH)及び高温高湿(35℃、90%RH)環境で夫々7万枚の画出し試験を行って評価した。
更に、低温定着性、ホットオフセット性及びブロッキングの評価を行ったところ、110℃で定着し、230℃までホットオフセットは発生せず、ブロッキングに関しても、流動性の変化はなく、優れた性能を示した。
【0254】
(実施例17〜19)
実施例16と同様にして、トナー11にキャリア(III−2)〜(III−4)と混合することで、二成分系現像剤17〜19を調製した。これらを実施例16と同様の方法(定着試験、ブロッキングは除く)で評価した。その結果を表12に示した。
【0255】
(比較例8)
実施例16と同様にして、トナー11にキャリア(III−5)と混合することで、比較用の二成分系現像剤8を調製した。これらを実施例16と同様の方法で評価した。その結果を表12に示した。
【0256】
【表13】
表12:評価結果
【0257】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、低温定着性に優れ、且つ、高温までホットオフセットの発生することのない、広い定着温度領域を示す二成分系現像剤が提供される。
又、本発明によれば、画像濃度が高く、カブリの少ない画像を、使用環境によらず長期にわたって安定して得ることのできる二成分系現像剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】低架橋度ポリエステル樹脂組成物の13C−NMRスペクトルを表す。
【図2】スチレン−2−エチルへキシルアクリレート共重合体の13C−NMRスペクトルを表す。
【図3】本発明の実施例で使用したトナー1の13C−NMRスペクトルを表す。
【図4】本発明の実施例で使用した結着樹脂(1)の酢酸エチル可溶成分の1H−NMRスペクトルを表す。
【図5】本発明の実施例で使用した結着樹脂(1)の酢酸エチル不溶成分の1H−NMRスペクトルを表す。
【図6】PO−BPAのPO基の1H−NMRシグナルの帰属を示す説明図である。
【図7】ソックスレー抽出に使用するソックスレー抽出装置の一具体例を示す概略図である。
Claims (54)
- 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー及びキャリアを有する二成分系現像剤において、
結着樹脂は、
▲1▼ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、及びビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂成分を含み、
▲2▼テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とした10時間のソックスレー抽出において、THF可溶成分を50〜85重量%(W1)含有し、THF不溶成分を15〜50重量%(W2)含有し、
▲3▼酢酸エチルを溶媒とした10時間のソックスレー抽出において、酢酸エチル可溶成分を40〜98重量%(W3)含有し、酢酸エチル不溶成分を2〜60重量%(W4)含有し、
▲4▼クロロホルムを溶媒とした10時間のソックスレー抽出において、クロロホルム可溶成分を55〜90重量%(W5)含有し、クロロホルム不溶成分を10〜45重量%(W6)含有し、
▲5▼且つ、上記酢酸エチル不溶成分(W4)とクロロホルム不溶成分(W6)との比(W4/W6)の値が1.1〜4.0であり、
キャリアは、磁性キャリア芯材粒子及び該磁性キャリア芯材粒子を被覆する樹脂被覆層を有しており、且つ、磁性キャリア芯材粒子が、下記一般式(I)で示される磁性フェライト成分で形成されていることを特徴とする二成分系現像剤。
0.2≦x≦0.95
0.005≦y≦0.3
0<z≦0.795
x+y+z≦1] - 結着樹脂が、THF可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量分布において、分子量4,000〜9,000の領域にメインピークを有し、分子量500〜1万未満の領域の成分(A1)が35.0〜65.0%であり、分子量1万〜10万未満の領域の成分(A2)が25.0〜45.0%であり、分子量10万以上の成分(A3)が10.0〜30.0%であり、A1/A2の値が1.05〜2.00である請求項1に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂を構成しているポリエステル樹脂及びポリエステルユニットが、三価以上の多価カルボン酸又はその無水物、又は、三価以上の多価アルコールで架橋された架橋構造を有している請求項1又は2に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂を構成しているビニル系樹脂及びビニル系重合体ユニットが、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有している請求項1〜3のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂のTHF不溶成分(W2)が20〜45重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂のTHF不溶成分(W2)が25〜40重量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂の酢酸エチル不溶成分(W4)が5〜50重量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂の酢酸エチル不溶成分(W4)が10〜40重量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂のクロロホルム不溶成分(W6)が15〜40重量%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂のクロロホルム不溶成分(W6)が17〜37重量%である請求項1〜9のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂の酢酸エチル不溶成分(W4)とクロロホルム不溶成分(W6)との比(W4/W6)の値が1.2〜3.5である請求項1〜10のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂の酢酸エチル不溶成分(W4)とクロロホルム不溶成分(W6)との比(W4/W6)の値が1.5〜3.0である請求項1〜11のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF不溶成分(W2)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6A)の含有量と、酢酸エチル不溶成分(W4)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6B)の含有量とが、下記条件を満足する関係にある請求項1〜12のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
3重量%≦W6A≦25重量%
7重量%≦W6B≦30重量%
10重量%≦W6A+W6B≦45重量%
W6A:W6B=1:1〜3 - THF不溶成分(W2)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6A)の含有量と、酢酸エチル不溶成分(W4)が含有しているクロロホルム不溶成分(W6B)の含有量とが、下記条件を満足する関係にある請求項1〜13のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
5重量%≦W6A≦20重量%、
10重量%≦W6B≦25重量%、
15重量%≦W6A+W6B≦40重量%、
W6A:W6B=1:1.5〜2.5 - THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量5,000〜8,500の領域にピークを有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量5,000〜8,000の領域にピークを有する請求項1〜15のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500〜1万未満の成分(A1)を37.0〜60.0%含有している請求項1〜16のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500〜1万未満の成分(A1)を40.0〜50.0%含有している請求項1〜17のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量1万〜10万未満の成分(A2)を27.0〜42.0%含有している請求項1〜18のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量1万〜10万未満の成分(A2)を30.0〜40.0%含有している請求項1〜19のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量10万以上の成分(A3)を12.0〜25.0%含有している請求項1〜20のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量10万以上の成分(A3)を15.0〜20.0%含有している請求項1〜21のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500〜1万未満の成分(A1)と分子量1万〜10万未満の成分(A2)との比(A1/A2)が1.10〜1.90である請求項1〜22のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- THF可溶成分(W1)は、GPC測定による分子量分布において、分子量500〜1万未満の成分(A1)と分子量1万〜10万未満の成分(A2)との比(A1/A2)が1.15〜1.80である請求項1〜23のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- ハイブリッド樹脂成分が、ポリエステルユニットと、カルボン酸エステル基を有するモノマーの重合によって得られたビニル系重合体ユニットとのエステル交換反応によって形成された共重合体である請求項1〜25のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- ハイブリッド樹脂成分が、ビニル系重合体ユニットを幹重合体とし、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体である請求項1〜26のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂は、10〜60モル%のグラフト化率を有する請求項1〜27のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 結着樹脂は、15〜55モル%のグラフト化率を有する請求項1〜28のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 一般式(I)におけるx、y及びzが、下記条件を満足する請求項1〜29のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
0.2≦x≦0.95
0.005≦y≦0.3
x+y<1
z=1−x−y - キャリア芯材粒子は、MgOを酸化物換算で0.5〜30重量%含有してる請求項1〜30のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 磁性キャリア芯材粒子を被覆するための被覆樹脂は、少なくとも、シリコーン樹脂を含有する請求項1〜31のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- キャリアが、水存在下で、反応性シリコーン樹脂をキャリア芯材粒子に被覆することにより得られたものである請求項32又は33に記載の二成分系現像剤。
- キャリアの樹脂被覆層を形成するための被覆樹脂が、少なくともフッ素含有樹脂を有する請求項1〜31のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 樹脂被覆層が、フルオロアルキルユニット、メチレンユニット(−CH2−)及びエステルユニットを少なくとも有し、
磁性キャリア芯材粒子の表面が、
▲1▼被覆樹脂と、メチレンユニットを少なくとも有するカップリング剤との混合物で被覆処理されているか、又は、
▲2▼メチレンユニットを少なくとも有するカップリング剤で表面処理された後に、被覆樹脂で被覆されている請求項1〜31のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。 - 被覆樹脂が、フルオロアルキルユニットを有するメタクリル酸、又は、そのエステルの重合体又は共重合体である請求項36〜41のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 被覆樹脂が、フルオロアルキルユニットを有するアクリル酸、又は、そのエステルの重合体又は共重合体である請求項36〜41のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 被覆樹脂が、フルオロアルキルユニットを有するグラフト共重合体である請求項36〜41のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 被覆樹脂が、THF可溶成分のGPCにおいて、重量平均分子量が2万〜30万である請求項35〜45のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 被覆樹脂は、THF可溶成分のGPCにおいて、重量平均分子量が2,000〜10万の領域にメインピークを有する請求項35〜46のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 被覆樹脂は、THF可溶成分のGPCにおいて、重量平均分子量が2,000〜10万の領域にサブピーク又はショルダーを有する請求項35〜46のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- 被覆樹脂が、THF可溶成分のGPCにおいて、重量平均分子量が2万〜10万の領域にメインピークを有し、重量平均分子量が2,000〜19,000の領域にサブピーク又はショルダーを有する請求項35〜48のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- メチレンユニットを少なくとも有するカップリング剤が、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤である請求項36に記載の二成分系現像剤。
- メチレンユニットを少なくとも有するカップリング剤が、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、及び、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリアルコキシシランからなるグループから選択されるアミノアルキルアルコキシシランである請求項36に記載の二成分系現像剤。
- メチレンユニットを少なくとも有するカップリング剤が、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、メチレンユニットを有するイソプロピルトリアルキルベンゼンスルホニルチタネート、及び、メチレンユニットを有するイソプロピルトリス(ジアルキルピロホスフェート)チタネートから選択されるシランカップリング剤又は、チタンカップリング剤である請求項36に記載の二成分系現像剤。
- 磁性キャリア芯材粒子に対して、被覆樹脂が0.01〜5重量%(キャリア基準)の割合で塗布され、カップリング剤が0.01〜5重量%(キャリア基準)の割合で塗布されている請求項36〜52のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
- キャリアは、50%粒径が15〜60μm、22μmより小さいキャリア粒子を1〜20重量%含有し、16μmより小さいキャリア粒子を3重量%以下含有し、62μm以上のキャリア粒子を2〜15重量%含有し、88μm以上のキャリア粒子を2重量%以下含有する粒度分布を有することを特徴とする請求項1〜53のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
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