JP3950676B2 - イエロートナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電荷現像またはトナージェット方式のイエロートナーに関し、高温オフセットを防止するためのオイルを使用しないか、又は、オイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段を用いても高精細性を発現するイエロートナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
フルカラー用複写機に登載されるトナーとしては、色再現性の向上やオーバーヘッドプロジェクター(OHP)画像の透明性を損なうことなく加熱加圧定着工程で各トナーが十分混色することが必要である。一般の白黒複写機用黒トナーと較べフルカラー画像用トナーは、シャープメルト性を有する低分子量結着樹脂が好ましい。しかしながら、通常、シャープメルト性結着樹脂を用いると加熱加圧定着工程でトナーが溶融した際、結着樹脂の自己凝集力が低いため耐高温オフセット性に問題を生じ易い。一般の白黒複写機用黒トナーでは、定着時の耐高温オフセット性を向上させるためポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスに代表される比較的高結晶性のワックスが離型剤として用いられている。例えば特公昭52−3304号公報、特公昭52−3305号公報、特開昭57−52574号公報に提案されている。フルカラー画像用トナーにおいては、この離型剤自身の高結晶性やOHP用シートの材質との屈折率の違いのためOHPで透映した際、透明性が阻害され、投影像は彩度や明度が低くなる。
【0003】
このような問題を解決するため、特定の貯蔵弾性率を有するトナーについて提案されている。
【0004】
例えば、特開平11−84716号公報や特開平8−54750号公報では、180℃または170℃において特定の貯蔵弾性率を有するトナーが提案されている。しかし、低温定着と耐高温オフセットの両立、高温オフセット防止のためのオイルを使用しないか、又は、オイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段での良好な定着性、十分な混色特性が必要とされるカラートナーとしては、トナーの粘度が低すぎるうえ、高温環境下での保存性について、満足できるものではなかった。
【0005】
さらに、特開平5−249735号公報、特開平7−92737号公報、特開平7−234542号公報、特開平7−295298号公報、特開平8−234480号公報、特開平8−278662号公報、特開平10−171156号公報においても特定の貯蔵弾性率を有するトナーが提案されている。しかしながら、カラートナーとしての理想的な定着特性、保存性、OHP透明性を得るためには、改良の余地があった。
【0006】
この問題を解決するため、造核材をワックスと併用することでワックスの結晶性を低下させる方法が、特開平4−149559号公報や特開平4−107467号公報に提案されている。更に結晶化度の低いワックスを用いる方法が特開平4−301853号公報や特開平5−61238号公報に提案されている。比較的透明性が良く融点の低いワックスとしてモンタン系ワックスがあり、モンタン系ワックスの使用が、特開平1−185660号公報、特開平1−185661号公報、特開平1−185662号公報、特開平1−185663号公報、特開平1−238672号公報に提案されている。しかしながら、これらのワックスは、OHPでの透明性と加熱加圧定着時の低温定着性及び耐高温オフセット性の全てが十分満足されるものではない。
【0007】
このため通常のカラートナーでは、離型剤を極力添加せずに加熱定着ローラーへシリコーンオイルやフッ素オイルの如きオイルを塗布せしめ、耐高温オフセット性の向上とOHPでの透明性を図っている。しかしながら、このようにして得られた定着画像は、その表面に余分のオイルが付着している。オイルが感光体に付着して汚染したりオイルが定着ローラーを膨潤し、定着ローラーの寿命を短かくする場合がある。定着画像上へのオイルスジを発生させないため、オイルを均一に且つ定量的に定着ローラー表面上に供給する必要性があり、定着装置が大型化する傾向にある。
【0008】
そのため、オイルを使用しないか、又は、オイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段において、オフセットの発生が抑制されているトナーであり、さらに、定着画像の透明性に優れているトナーが待望されている。
【0009】
一方で、カラー複写機がコントローラーを介してコンピューターと接続され、高品位カラープリンターとして使われるケースが増加するにつれて、システム全体を色管理するカラーマネージメントシステムが提案される様になってきた。その結果特定のユーザーにおいては、電子写真方式のカラー複写機で出力される出力画像がプロセスインキをベースとした印刷の出力画像と色味の点で一致することを強く望む様になり、プロセスインキと同様の色調を有するトナーというものも要求される様になってきた。
【0010】
今日、当該技術分野においては、イエロートナー用着色剤として数多くのものが知られている。例えば、特開平2−207273号公報にはソルベントイエロー112、特開平2−207274号公報にはソルベントイエロー160、特開平8−36275号公報にはソルベントイエロー162等々の染料が記載されているし、特開昭50−62442号公報にはベンジジン系イエロー顔料が、特開平2−87160号公報にはモノアゾ系イエロートナーが、さらには、特開平2−208662号公報にはピグメントイエロー120、151、154、156等の顔料が記載されている。
【0011】
しかしながら、従来知られているイエロートナー用の着色剤は種々の問題も多くかかえていた。例えば、一般に染料系の着色剤は透明性に優れるものの、耐光性に劣り、画像の保存安定性に問題がある。
【0012】
一方、上記の顔料群は、染料と比較して耐光性に優れるものの、マゼンタトナー用として使われている例えばキナクリドン系の顔料や、シアントナー用として使われている銅フタロシアニン系の顔料と比較すると、まだまだ耐光性に問題があり、長時間の光の暴露試験においては、耐色してしまう或いは色相の変化が目立つといった問題も生じていた。
【0013】
さらに、耐光性,耐熱性に優れるイエロー顔料は、上述の顔料以外にもあるものの、逆に隠蔽性が強すぎてしまい透明性が極端に低下してしまい、フルカラー用としては不向きであった。
【0014】
特公平2−37949号公報には、耐光性に優れたジスアゾ系の化合物及びその製法が紹介されている。これはピグメントイエロー180に代表される化合物群であり、耐光性、耐熱性に優れるばかりか、生態学的要求にも合うアゾ顔料の一つである。
【0015】
ピグメントイエロー180を用いるイエロートナーは、特開平6−230607号公報,特開平6−266163号公報,特開平8−262799号公報に記載されているが、上記顔料を用いるトナーは、着色力に乏しく、加えて透明性も決して良好とは言えず、フルカラー用としては、更なる改善が急務であった。
【0016】
一方、特開平8−209017号公報には、上記の問題を解決すべく、顔料を微粒子化し顔料の比表面積を向上させ、透明性と着色力をアップさせた電子写真用トナーが記載されている。しかしながら、ピグメントイエロー180に分類される顔料を微細化すると、それ自体の自己凝集性がどうしても強いために、トナーを構成する結着樹脂中での分散性が不十分であり、我々の検討では、着色剤の分散性の悪いトナーでは、帯電の安定化が達成されづらく、カブリやトナー飛散といった問題も生じていた。
【0017】
特許第2632423号公報には、一群の縮合ジスアゾ系黄色顔料を樹脂中に混練分散したトナーの記載がある。
【0018】
上記トナーは、難分散性の化合物を平均粒子径0.2μm以下に混練分散せしめることによって、色相の鮮明性と冴え、さらには透明性向上を達成したものであるが、高精細フルカラーイエロートナーとして見た場合、顔料分散性のレベルがまだまだ目標とするレベルには至らず、さらには、我々の検討においては、帯電の安定化が難しく、耐久で濃度薄や、カブリといった問題も生じていた。
【0019】
一方、現像剤がトナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を使用する場合は、キャリアとの摩擦によってトナーを所要の帯電量及び帯電極性に帯電せしめ、静電引力を利用して静電荷像を現像するものである。従って良好な可視画像を得るためには、主としてトナーの摩擦帯電性が良好であることが必要である。
【0020】
今日上記の様な問題に対して、あるいはまた、着色剤そのものの帯電性にトナーの帯電性が左右されることのないように、キャリアコア材、キャリアコート材の探索やコート量の最適化、或はトナーに加える電荷制御剤、流動性付与剤の検討、更には母体となるバインダーの改良の如き現像剤を構成する材料において優れた摩擦帯電性を達成すべく多くの研究がなされている。
【0021】
近年、複写機又はプリンターの高精細、高画質化の要求が市場では高まっており、当該技術分野では、カラートナーの粒径を細かくして高画質カラー化を達成しようという試みがなされている。トナーの粒径が細かくなると単位質量当りの表面積が増え、トナーの帯電量が大きくなる傾向にあり、画像濃度薄や、耐久劣化が発生しやすくなる。加えて、トナーの帯電量が大きいために、トナー粒子同士の付着力が強く、流動性が低下し、トナー補給の安定性や補給トナーへのトリボ付与に問題が生じやすい。
【0022】
さらに、カラートナーの場合は、磁性体やカーボンブラックの如き黒色の導電性物質を含まないので、帯電をリークする部分がなく一般に帯電量が大きくなる傾向にある。この傾向は、特に負帯電性能の高いポリエステル系バインダーを使用した時に、より顕著である。
【0023】
今日当該技術分野においては、ポリエステル系樹脂がカラートナー用結着樹脂として多く用いられているが、ポリエステル系樹脂を有するカラートナーは一般に温湿度の影響を受け易く、低湿下での帯電量過大、高湿下での帯電量不足といった問題が起こりやすく、広範な環境においても安定した帯電量を有するカラートナーの開発が待望されている。
【0024】
また結着樹脂中の着色剤分散性の程度や前述の如き着色剤そのものの帯電特性によってもトナーの帯電は大きく変化することが知られており、分散性の悪いトナーにおいてはカブリやトナー飛散といった問題を発生しやすく、さらにはキャリア上へのトナースペント、ドラム上トナーフィルミング、定着ローラー汚染といった様々な問題を引き起こす。それゆえ、色再現性という側面以外でも着色剤の分散性向上は重要な技術課題である。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決したイエロートナーを提供するものである。
【0026】
本発明トナーは特に、▲1▼定着性能に優れ(低温定着性/高速定着性/広定着温度領域/耐オフセット性)、▲2▼保存安定性に優れ(耐侯性/耐熱性/耐ブロッキング性)、▲3▼OHP透明性に優れ、▲4▼さらにプロセスインキイエローの色調を有し、▲5▼充分な帯電安定性(ハイライト再現性/ベタ均一性/耐久安定性)を有するイエロートナーを提供するものである。
【0027】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有するイエロートナーにおいて、
該結着樹脂は、(a)ポリエステル樹脂、又は(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂であり、
該トナーの80℃における貯蔵弾性率(G’80)が1×106〜1×108[dN/m2]の範囲にあり、140℃における損失切片(tanδ)が0.2〜1.5の範囲にあり、着色剤として、下記一般式(1)と(2)、或いは下記一般式(1)と(3)とで示される化合物とが95:5乃至70:30の質量比で混合したものを結着樹脂100質量部当たり2乃至15質量%含有し、また該トナーはワックスを結着樹脂100質量部当たり0.5乃至10質量%含有することを特徴とするオイルレス定着用イエロートナーに関する。
【0028】
【化5】
Figure 0003950676
【0029】
本発明者らは鋭意検討の結果、オイルを使用しないか、又は、オイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段においても耐高温オフセット性に優れ、かつ、高温環境下における長期保存安定性と低温定着性の両立を達成するためには、トナーが上記の要件を満足することが有効であることを見出し、加えて、耐光性に優れ、かつ良好な色調のイエロートナーを得るためには、前述の化合物(1)と(2)、(1)と(3)を一定の割合で混合して分散せしめたとき、優れた耐久安定性と、高い顔料分散性/OHT透明性が得られることを見出した。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーに関して詳細に説明する。
【0031】
まず、温度80℃における貯蔵弾性率(G’80)は、トナーの高温環境下における保存性、耐熱性、耐ブロッキング性を良好にするために、1×106〜1×108[dN/m2]であり、好ましくは1×106〜5×107[dN/m2]である。貯蔵弾性率(G’80)が1×106[dN/m2]よりも小さい場合には、高温環境下における保存性、耐熱性、耐ブロッキング性が悪く、トナー粒子同士が合一し、大きなトナーの凝集体を形成するため好ましくない。近年、複写機、プリンターの出力スピードの高速化や本体の小型化が進んでいるため、マシン機内の温度が高くなる傾向にあり、高精細・高画質の画像を安定して得るためには、トナーが高温環境下における十分な保存性、耐熱性、耐ブロッキング性を有することは重要である。また、貯蔵弾性率(G’80)が1×108[dN/m2]より大きい場合には、保存性、耐熱性、耐ブロッキング性は十分であるものの、低い温度での十分な定着性が得られないため好ましくない。
【0032】
また、温度140℃における損失切片(tanδ)は、十分な定着性と耐高温オフセット性と両立させるために、さらには均一なグロスを有する画像を得るために、0.2〜1.5[−]であり、好ましくは0.3〜1.0[−]である。損失切片(tanδ)が1.5[−]よりも大きい場合には、トナーの十分な耐高温オフセット性を得ることができないため好ましくない。また損失切片(tanδ)が0.2[−]よりも小さい場合には、トナーを十分に定着せしめることが出来ず、トナーの発色性は著しく低下してしまう。
【0033】
さらに、本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、(a)ポリエステル樹脂、又は(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、もしくは(c)ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、(d)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物のいずれかから選択される樹脂が好ましいが、樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布が、メインピークを分子量3,500乃至10,000の領域に有しており、好ましくは、分子量4,000乃至9,000の領域に有しており、Mw/Mnが5.0以上であることが好ましい。メインピークが分子量3,500未満の領域にある場合には、トナーの耐ホットオフセット性が不十分である。一方、メインピークが分子量10,000超の領域にある場合には、十分なトナーの低温定着性が得られないうえ、OHPの透過性が不十分となるため好ましくない。また、Mw/Mnが5.0未満である場合には良好な耐オフセット性を得ることが不可能となる。
【0034】
結着樹脂としてポリエステル系の樹脂を用いる場合は、アルコールとカルボン酸、もしくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0035】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0036】
酸性分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0037】
それらの中でも、特に、下記一般式(4)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0038】
【化6】
Figure 0003950676
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
【0039】
さらに結着樹脂としてポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂を用いる場合、さらに良好なワックス分散性と、低温定着性,耐オフセット性の向上が期待できる。本発明に用いられる「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0040】
ビニル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0041】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0042】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0043】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0044】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0045】
本発明ではビニル系共重合体成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0046】
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0047】
本発明のビニル系共重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
【0048】
本発明トナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0049】
(1)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されるエステル化合物を用いることができる。
【0050】
(2)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0051】
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。
【0052】
(4)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0053】
(5)ハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0054】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0055】
上記(1)乃至(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0056】
なお、本発明のトナーに含有される結着樹脂は、上記ポリエステルとビニル系共重合体との混合物、上記ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、上記ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂に加えてビニル系共重合体の混合物を使用しても良い。
【0057】
本発明のトナーに含有される結着樹脂のガラス転移温度は40〜90℃が好ましく、より好ましくは45〜85℃である。樹脂の酸価は1〜40mgKOH/gであることが好ましい。
【0058】
次に本発明に用いられるワックスについて説明する。
【0059】
本発明のトナーは、一種または二種以上のワックスを含有しているこのが望ましい。
【0060】
さらに、本発明のトナーは、低温定着性と耐ブロッキング性を両立するという観点から、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60〜110℃の範囲にあることが望ましい。より好ましくは65〜100℃の範囲に吸熱曲線の最大ピークがあることが望ましい。最大吸熱ピークのピーク温度が60℃未満である場合はトナーの耐ブロッキング性が悪くなり、逆に最大吸熱ピークのピーク温度が110℃超の場合は定着性が低下してしまう。
【0061】
本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0062】
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行なったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
【0063】
ワックスの分子量分布では、メインピークが分子量400〜2400の領域にあることが好ましく、430〜2000の領域にあることがより好ましい。このような分子量分布をもたせることによりトナーに好ましい熱特性を付与することができる。
【0064】
また、トナーの定着時により有効に機能させるために、上記ワックスの融点は、60〜110℃にあることが好ましく、65〜100℃にあることがより好ましい。
【0065】
ワックスは結着樹脂100質量部あたり0.5〜10質量部、好ましくは2〜8質量部使用するのが良い。
【0066】
ワックスは通常、樹脂を溶剤に溶解し樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有される。
【0067】
次に本発明に用いられる顔料について説明する。
【0068】
下記一般式(1)で示されるPigment Yellow−180は、鮮やかなイエロー色を示し、これをトナー用着色剤として用いたとき、着色力の高いトナーが得られる。しかしオイルレス定着を目的として設計したバインダー樹脂との組合せでは帯電安定性に問題があった。
【0069】
【化7】
Figure 0003950676
【0070】
一般式(2)で示されるPigment Yellow−147は、様々な分野で用いられている顔料である。この顔料は、透明性に優れるもの着色力が劣ること、また赤味のイエローである為、それ自体ではフルカラー用としては不適である。また、一般式(3)で示されるPigment Yellow−110も、様々な分野で用いられている顔料であり、この顔料はそれ自体ではかなり赤味のイエローである為、単色でフルカラー用としては不適であった。
【0071】
【化8】
Figure 0003950676
【0072】
【化9】
Figure 0003950676
【0073】
しかしながら、本発明者らは、耐光性に優れ、明度,彩度が高く、色再現性の広いイエロートナーであって、プロセスインキのイエローの色相と一致、及び帯電安定性を達成するイエロートナーについて鋭意検討した結果、上記構造式(1)と(2)、(1)と(3)で示される化合物とを特定の質量比で混合し、均一に分散せしめたときに、良好なトナーなり得ることを見出した。
【0074】
一般式(1)以外の顔料では、たとえ色味の調整が可能であったとしても、耐光性との両立が不可能である。一般式(1)、(2)、(3)で示される化合物は、ともにオイルレス定着用を目的として設計したバインダー樹脂中での分散性が良好であり、OHTの透明性にも優れる。
【0075】
本発明において、化合物(1)と(2)、(1)と(3)との混合は、好ましくは70:30の質量比以下で混合されていることが良く、より好ましくは85:15以下が良い。
【0076】
化合物(2)の割合が30より大きい時はトナー着色力が大きく低下してしまう。加えて、色味が大きく緑味へシフトしてしまい、先にも示した様に、カラー画像の場合は、色材の3原色である、イエロー、マゼンタ、シアンの3色又はそれに黒を加えた4色で色再現するため、イエローの色調が大きく緑味にシフトしてしまうと、肌色系の再現性が大きく低下してしまい、好ましくない。
【0077】
本発明のトナーにおいては、化合物(1)と(2)、或いは(1)と(3)の混合物が、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは2〜15質量部、より好ましくは2.5〜12質量部、さらに好ましくは3〜10質量部含有されていることが良い。
【0078】
化合物(1)と(2)、或いは化合物(1)と(3)の含有量の合計が2質量部より少ない場合には、トナーの着色力が低下してしまい、これではいくら顔料の分散性を向上しても高画像濃度の高品位画像が得られ難く、15質量部より多い場合には、トナーの透明性が低下してしまい、トランスペアレンシー透明性が低下してしまう。加えて、人間の肌色に代表される様な、中間色の再現性も低下してしまう。更にはトナーの帯電性も不安定になり低温低湿環境下でのカブリ、高温高湿環境下でのトナー飛散といった問題も引き起こす。
【0079】
化合物(1)と(2)、及び(1)と(3)の混合物はともに優れた分散性を示し、トナー表面からの脱離も見られず、カブリ、ドラム汚染、クリーニング不良といった種々の問題を引き起こすこともない。さらに該トナーを二成分系現像剤として用いるときにも、キャリア汚染といった問題を引き起こすこともなく、長期の耐久において安定した帯電特性を示す。
【0080】
また本発明のトナーは、耐光性にも優れ、画像サンプルを市販のウェザーメーターで、JIS K7102にほぼ準じて、長期の暴露テストを行った際も、ほとんど色彩の変化は見られない。
【0081】
本発明のトナーにおいては、芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物を含有していることが好ましい。これは、帯電制御剤として機能するばかりでなく、構造式(1)〜(3)で示される化合物の分散性向上にも寄与する。
【0082】
芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物が顔料の分散性を向上させる理由は定かではないが、結着樹脂と芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物との相互作用によって、一部架橋反応が進み、混練時の着色剤にかかるシェアーを増大させることによって、難分散性の式(1)〜(3)の顔料の分散性が上がったものと考えられえる。
【0083】
芳香族カルボン酸としては、下記3種の化合物(5)〜(7)が挙げられる。
【0084】
【化10】
Figure 0003950676
〔式中、R1乃至R7は同一又は異なる基を示し、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、−OH,−NH2,−NH(CH3),−N(CH32,−OCH3,−O(C25),−COOH又は−CONH2を示す。〕
【0085】
好ましいR1としては、ヒドロキシル基、アミノ基及びメトキシ基が挙げられるが、中でもヒドロキシル基が好ましい。芳香族カルボン酸としては、特にジ−tert−ブチルサリチル酸の如きジアルキルサリチル酸が好ましい。
【0086】
有機金属化合物を形成する金属としては、Mg2+,Ca2+,Sr2+,Pb2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Zn2+,Cu2+,Al3+,Cr3+,Fe3+,Zr4+があげられる。本発明においては、有機金属化合物として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が好ましい。
【0087】
芳香族カルボン酸の金属化合物は、例えば、芳香族カルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、2価以上の金属原子を溶融している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより芳香族カルボン酸の金属化合物を合成し得る。ただし、上記の合成方法だけに限定されるものではない。
【0088】
有機金属化合物は、結着樹脂100質量部当り0.5〜10質量部、好ましくは1〜9質量部、より好ましくは1.5〜8質量部使用するのがトナーの粘弾性特性及び摩擦帯電特性を調整する点で好ましい。
【0089】
0.5質量部より少ない時は、帯電制御剤としてあまり機能しないばかりでなく、良好な顔料分散性が達成できない。一方、10質量部よりも多いときは、架橋が進みすぎてしまい、トナーとしての定着性が損なわれてしまう。
【0090】
本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて上記の有機金属化合物以外の化合物を荷電制御剤として用いても良い。
【0091】
本発明に使用するカラートナー粒子を作製するには、結着樹脂及び着色剤としての顔料、ワックス、さらに必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等をボールミルの如き混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融・捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめた中に顔料を分散せしめ、冷却固化後粉砕及び厳密な分級を行ってカラートナー粒子を得ることができる。
【0092】
カラートナー粒子中の顔料粒子の分散状態を向上させるには、第1の結着樹脂と、分散媒に対して不溶性の顔料粒子5〜50質量%を含有するペースト顔料とを、混練機または混合機に仕込み、非加圧下で混合しながら加熱して第1の結着樹脂を溶融させ、ペースト顔料(すなわち液相中の顔料)を、加熱されている第1の結着樹脂の溶融樹脂相に移行させた後、第1の結着樹脂及び顔料粒子を溶融混練し、液体分を除去蒸発させて乾燥し、第1の結着樹脂及び顔料粒子を有する第1の混練物を得、次いで第1の混練物に第2の結着樹脂、さらに必要に応じて電荷制御剤の如き添加物等を加えた混合物を、加熱溶融混練して第2の混練物を得、得られた第2の混練物を冷却後粉砕及び分級してトナー化することが好ましい。ここで、第1の結着樹脂と第2の結着樹脂は、同じであっても異なる樹脂であっても構わない。
【0093】
上記ペースト顔料は、顔料粒子製造工程において該顔料粒子がただの一度も乾燥工程を経ずに存在している状態が望ましい。換言すれば、顔料粒子がほぼ一次粒子の状態で全ペースト顔料に対して5〜50質量%存在している状態である。ペースト顔料中の残りの約50〜95質量%は若干の分散剤及び助剤などと共に大部分の揮発性の液体が占めている。該揮発性の液体は、一般の加熱によって蒸発する液体であれば特に何ら限定するものではないが、エコロジー的にも好ましく用いられる液体は水である。
【0094】
混練装置としては、加熱ニーダー,一軸押し出し機,二軸押し出し機,ニーダーなどが挙げられ、特に好ましくは加熱ニーダーが挙げられる。
【0095】
本発明のカラートナーは、重量平均粒径が4〜10μmであることも特徴の一つである。また、本発明のカラートナーは、個数平均粒径が3.5〜9.5μmであり、カラートナーの個数分布における粒径4μm以下の粒子が5〜50個数%であり、カラートナーの体積分布における粒径12.70μm以上の粒子が5体積%以下であることが好ましい。
【0096】
トナーの重量平均粒径が10μmより大きい場合は、高画質化に寄与し得る微粒子が少ないことを意味し、高い画像濃度が得られ易く、トナーの流動性に優れるというメリットがあるものの、感光ドラム上の微細な静電荷像上には忠実に付着しづらく、ハイライト部の再現性が低下し、さらに解像性も低下する。また、必要以上にトナーが静電荷像に乗りすぎが起こり、トナー消費量の増大を招きやすい傾向にもある。
【0097】
逆にトナーの重量平均粒径が4μmより小さい時には、トナーの単位質量あたりの帯電量が高くなり、画像濃度の低下、特に低温低湿下での画像濃度の低下が顕著となる。これでは、特にグラフィック画像の如き画像面積比率の高い用途には不向きである。
【0098】
さらに4μmより小さい時には、キャリアなどの帯電付与部材との接触帯電がスムーズに行われにくく、充分に帯電し得ないトナーが増大し、非画像部への飛び散りによるカブリが目立つ様になる。これに対処すべくキャリアの比表面積を稼ぐためにキャリアの小径化が考えられるが、重量平均径が4μm未満のトナーでは、トナー自己凝集も起こり易く、キャリアとの均一混合が短時間では達成されにくく、トナーの連続補給耐久においては、カブリが生じてしまう傾向にある。
【0099】
また本発明のトナーは、4μm以下の粒径のトナー粒子を全粒子数の5〜50個数%、好ましくは5〜25個数%であることが好ましい。4μm以下の粒径のトナー粒子が5個数%未満であると、高画質のために必須な成分である微小のトナー粒子が少ないことを意味し、特に、コピー又はプリントアウトを続けることによってトナーが連続的に使われるに従い、有効なトナー粒子成分が減少して、本発明で示すトナーの粒度分布のバランスが悪化し、画質がしだいに低下する傾向を示す。
【0100】
また、4μm以下の粒径のトナー粒子が50個数%を超えると、トナー粒子相互の凝集状態が生じ易く、本来の粒径以上のトナー塊として、挙動することも多くなり、その結果、荒れた画像が形成されやすく、解像性を低下させたり、又は静電荷像のエッジ部と内部との濃度差が大きくなり、中抜け気味の画像となり易い。さらに、粒径12.70μm以上の粒子が7体積%以下であることが画質向上の上で好ましい。
【0101】
さらに、本発明のトナー粒子には、流動性向上剤が外添されていることが画質向上、高温環境下での保存性の点で好ましい。流動性向上剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粉体が好ましい。該無機微粉体は、シランカップリング剤,シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
【0102】
疎水化剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカツプリング剤の如きカップリング剤が挙げられる。
【0103】
具体的に例えばシランカップリング剤としては、一般式
RmSiYn
〔式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、フェニル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体を示し、nは1〜3の整数を示す。〕
で表されるものが好ましい。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0104】
その処理量は、無機微粉体100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
【0105】
本発明において特に好適なのは、一般式(8)で示される化合物であり、
【0106】
【化11】
Figure 0003950676
〔式中、nは4〜12の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。〕
で示されるアルキルアルコキシシランカップリング剤である。該アルキルアルコキシシランカップリング剤において、nが4より小さいと、処理は容易となるが疎水化度が低く、好ましくない。nが12より大きいと、疎水性が十分になるが、酸化チタン微粒子同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下しやすい。mは3より大きいと、該アルキルアルコキシシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化を良好に行いにくくなる。より好ましくはアルキルアルコキシシランカップリング剤はnが4〜8であり、mが1〜2であるのが良い。
【0107】
アルキルアルコキシシランカップリング剤の処理量も、無機微粉体100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部が良い。
【0108】
疎水化処理は1種類の疎水化剤単独で行っても良いし、2種類以上の疎水化剤を使用しても良い。例えば1種類のカップリング剤単独で疎水化処理を行っても良いし、2種類のカップリング剤で同時に、またはカップリング剤での疎水化処理を行った後、別のカップリング剤で更に疎水化処理を行っても良い。
【0109】
流動化剤は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜5質量部添加することが好ましく、0.05〜3質量部添加することがより好ましい。
【0110】
本発明のカラートナーは、一成分系現像剤及び二成分系現像剤に適用できるものであり、特に何らこれを限定するものではないが、本発明のカラートナーを二成分系現像剤に用いる場合に、併用されるキャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及びフェライトなどが使用できる。
【0111】
特に、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分として形成されるMn−Mg−Feの3元素の磁性フェライト粒子がキャリア粒子として好ましい。磁性キャリア粒子は、樹脂で被覆されていることが好ましく、樹脂としてはシリコーン樹脂が好ましい。特に、含窒素シリコーン樹脂または、含窒素シランカップリング剤とシリコーン樹脂とが反応することにより生成した変性シリコーン樹脂が、本発明のカラートナーへのマイナスの摩擦電荷の付与性、環境安定性、キャリアの表面の汚染に対する抑制の点で好ましい。
【0112】
磁性キャリアは、平均粒径が15乃至60μm(より好ましくは、25乃至50μm)がカラートナーの重量平均粒径との関係で好ましい。磁性粒子を上記の平均粒径及び特定の粒度分布を有するように調製する方法としては、例えば、篩を用いることによる分級によって行うことが可能である。特に、精度良く分級を行うために、適当な目開きの篩を用いて複数回くり返してふるうことが好ましい。また、メッシュの開口の形状をメッキ等によって制御したものを使うことも有効な手段である。
【0113】
二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2%未満では画像濃度が低くなりやすく、15質量%を超える場合ではカブリや機内飛散が増加しやすい。
【0114】
次に各物性の測定方法について以下に説明する。
【0115】
トナーの粘弾性の測定方法
トナーを直径8mm,厚さ約2〜3mmの円板状の試料に加圧成形する。次にパラレルプレートにセットし、50〜200℃の温度範囲内で徐々に昇温させ、温度分散測定を行う。昇温速度は2℃/minとし、角周波数(ω)は6.28rad/secに固定し、歪率は自動とする。横軸に温度、縦軸に貯蔵弾性率(G’)を取り、各温度における値を読み取る。測定にあたっては、RDA‐II(レオメトリックス社製)を用いる。
【0116】
トナーの吸熱ピークの測定方法
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンレルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線のメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0117】
GPC測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0118】
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせを挙げることができる。
【0119】
トナー粒度分布の測定
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行うが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパチャーとして100μmアパチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
【0120】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0121】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0122】
(ハイブリッド樹脂製造例1)
ビニル系共重合体として、スチレン1.9mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れる。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計,撹拌棒,コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応せしめてハイブリッド樹脂(1)を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0123】
(ハイブリッド樹脂製造例2)
スチレン3.8mol、α−メチルスチレンの2量体0.07mol、ジクミルパーオキサイド0.1molを使用すること以外は、ハイブリッド樹脂製造例1と同様に反応させ、ハイブリッド樹脂(2)を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0124】
(ハイブリッド樹脂製造例3)
フマル酸5.0molに代えてマレイン酸4.0molとイタコン酸3.5molを使用すること、ジクミルパーオキサイド0.05molに代えてイソブチルパーオキサイド0.1molを使用すること以外は、ハイブリッド樹脂製造例1と同様に反応させ、ハイブリッド樹脂(3)を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0125】
(ハイブリッド樹脂製造例4)
テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0molの替わりに無水トリメリット酸5.2molにしてハイブリッド樹脂製造例1と同様に反応させ、ハイブリッド樹脂(4)を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0126】
(ポリエステル樹脂製造例1)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸1.1mol、フマル酸2.4mol及び酸化ジブチル錫0.1gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計,撹拌棒,コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂(1)を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0127】
(ポリエステル樹脂製造例2)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.3mol、テレフタル酸1.6mol、無水トリメリット酸0.3mol、フマル酸3.2molのモノマー構成で上記と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(2)を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0128】
(ビニル系樹脂の製造例1)
スチレン2.2mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.23mol、ジクミルパーオキサイド0.08mol、酸化ジブチル錫3.2gを、温度計,ステンレス製撹拌棒,流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した3リットルの4つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて225℃の温度で撹拌しつつ反応させ、ビニル系樹脂(1)を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0129】
【表1】
Figure 0003950676
【0130】
本発明に用いたワックスを表2に記載した。
【0131】
【表2】
Figure 0003950676
【0132】
<実施例1>
以下の方法でイエロートナー1を調製した。
【0133】
(第一の混練工程)
・ハイブリッド樹脂(1) 70質量部
・化合物(1),(2)が80:20含有する顔料スラリーから水をある程度除去し、ただの一度も乾燥工程を経ずに得た固形分30質量%の第1のペースト状顔料(残りの70質量%は水) 100質量部
上記の原材料を上記の処方でまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させる。最高温度(ペースト中の溶媒の沸点により必然的に決定される。この場合は90〜100℃程度)に達した時点で水相中の顔料が、溶融樹脂相に分配もしくは移行し、これを確認した後、さらに30分間加熱溶融混練させ、ペースト中の顔料を充分に移行させる。その後、一旦、ミキサーを停止させ、熱水を排出した後、さらに130℃まで昇温させ、約30分間加熱溶融混練を行ない、顔料を分散させるとともに水分を留去し、該工程を終了した後、冷却させ、混練物を取り出し第1の混練物を得た。この第1の混練物の含水量は0.5質量%程度であった。
【0134】
(第二の混練工程)
・上記第1の混練物(顔料粒子の含有量30質量%) 20.0質量部
・ハイブリッド樹脂(1) 86.0質量部
・ワックス(A) 5.0質量部
・ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤)5.0質量部
上記の処方で十分ヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で温度を100℃に設定し溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を分級して、粒度分布における体積平均径が7.2μmになるように選択してイエロートナー粒子(分級品)を得た。
【0135】
流動性向上及び帯電特性付与を目的として、i−C49Si(OCH33:25質量部で処理した疎水性酸化アルミニウム(BET170m2/g)を、上記イエロー系樹脂粒子100質量部に対して、1.0質量部を合せてイエロートナー1とした。
【0136】
さらに、イエロートナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径45μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、二成分系イエロー現像剤1とした。トナーの測定結果を表3に示す。
【0137】
このイエロー現像剤1で、カラー複写機CLC−800(キヤノン製)の定着ユニットのオイル塗布機構を取り外した改造機を用い、単色モードで常温低湿環境下(23℃/5%)、高温高湿環境下(30℃/80%)で画像面積比率20%のオリジナル原稿を用いて、1万枚の耐刷試験と常温常湿度環境下(23℃/60%)で定着試験を行った。さらに定着可能領域の評価については、定着ユニットを手動で定着温度が設定できるように改造した。
【0138】
1万枚の耐久後でもカブリのないオリジナルを忠実に再現するイエロー色画像が得られ、色再現性に優れていた。複写機内での搬送、現像剤濃度検知も良好で安定した画像濃度が得られた。定着温度設定170℃にして1万枚の繰り返し複写でも定着ローラーへのオフセットはまったく生じなかった。なお、定着ローラーへのオフセットの発生状況は、繰り返し複写後の定着ローラーの表面を目視により観察することによって行った。
【0139】
上記の実施例における帯電安定性については、常温低湿環境下(23℃/5%)の1万枚耐久後の画像を以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:色再現性も優れ、耐久カブリも1%以下と良好。(良)
△:耐久カブリ2%程度で、実用上問題ない。(可)
×:耐久カブリ3%以上で帯電安定性に問題。(不可)
【0140】
カラー複写画像の評価方法として、画像表面のグロス(光沢度)を測定することにより、カラー画像の良否を判定する方法がある。すなわち、グロス値が高いほど画像表面が平滑でつやのある彩度の高いカラー品質と判断され、逆にグロス値が低いと、くすんだ彩度のとぼしい、画像表面があれたものと判断される。実施例1においてコントラスト電位300Vでの画像濃度は1.70(マクベス反射濃度)であり、その時のグロスは21%であった。
【0141】
グロス(光沢度)の測定には、日本電色社製PG−3型光沢度計を用いた。測定にあたっては、投光角度、受光角度をそれぞれ75°に合わせ、0点調整及び標準板を用い、標準設定の後に試料台の上に白紙を3枚重ね、その上に前記試料画像を置き測定を行い、標示部に示される数値を%単位で読みとった。
【0142】
得られた画像の色度は目標とするものが得られた。すなわちa*=−5.8、b*=100.1、 L*=90.3であった。
【0143】
トナーの色調は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格された表色系の定義に基づき定量的に測定した。その際、画像濃度は1.70に固定し、a*、b*(a*、b*は色相と彩度を示す)、色度L*(明度)を測定した。測定器にはX−Rite社製分光測色計タイプ938を用い、観察用光源はC光源、視野角は2°とした。
【0144】
さらにトランスペアレンシーフィルムに形成したカラー画像をオーバーヘッドプロジェクター(OHP)に投影したOHT画像の透明性も良好なものであった。
【0145】
上記の実施例におけるOHT画像の透明性については、市販のオーバーヘッドプロジェクターを用いて、トランスペアレンシーフィルムに形成したカラー画像を投影して、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:透明性に優れ、明暗ムラも無く、色再現性も優れる。(良)
△:若干明暗ムラがあるものの、実用上問題ない。(可)
×:明暗ムラがあり、色再現性に乏しい。(不可)
【0146】
得られたベタ画像(画像濃度1.70)の耐光性をJIS K7120にほぼ準じて確認したところ、400時間光照射後の画像もほぼ初期と同様の画像濃度(1.66)を示し、色相変化もほとんど見られなかった(ΔE=2.8)。なお光源にはカーボンアークランプを使用した。耐光性の評価基準は、光照射前後の画像よりΔE値を求め定量的に評価した。
(耐光性ランク)
○:400時間試験でほとんど変化なし。
△:200時間試験でほとんど変化なし。
×:100時間試験で退色。
【0147】
イエロートナー1の保存安定性を調べた結果、良好なデータを示した。すなわち、サンプルトナーの耐ブロッキング性に関しては、50℃のオーブン内にて2週間放置することにより評価した。評価としては目視による凝集性のレベルより判定した。
(耐ブロッキング性の評価基準)
○:凝集体が全く見られなく流動性が非常に良い
△:若干の凝集体は見られるがすぐにほぐれる
×:現像剤攪拌装置では凝集体が十分にほぐれない。
【0148】
イエロートナー1で用いた顔料に代えて、銅フタロシアニン系のシアン顔料(Pigment Blue15:3)、溶性アゾ系のマゼンタ顔料(Pigment Red 57:1)をそれぞれ用いて、あとはほぼ同様にして、シアントナー1,マゼンタトナー1を作製し、ほぼ同様にして現像剤を調製して画出しした。赤、青の2次色の再現を見たところ、彩度、明度ともに高い良好な色相の画像が得られた。
【0149】
<実施例2〜5>
ハイブリッド樹脂(1)に替えて、ハイブリット樹脂(2),ハイブリット樹脂(3),ポリエステル樹脂(5),及びビニル系の樹脂(7)を使用したこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー2〜5を作製し、同様にしてイエロー現像剤2〜5を得た。トナーの測定結果を表3に示す。
【0150】
<実施例6>
実施例1において、精製ノルマルパラフィン(A)に替えて、エステルワックス(B)を用いたことを除いてあとは同様にしてイエロートナー6を作製し、同様にしてイエロー現像剤6を得た。トナーの測定結果を表3に示す。
【0151】
<実施例7>
実施例1において、精製ノルマルパラフィン(A)に替えて、ポリエチレンワックス(D)を用いたことを除いてあとは同様にしてイエロートナー7を作製し、同様にしてイエロー現像剤7を得た。トナーの測定結果を表3に示す。
【0152】
<実施例8>
実施例1において、ハイブリッド樹脂(1)に替えて、ハイブリッド樹脂(2)を使用したことと,精製ノルマルパラフィン(A)の替わりにパラフィンワックス(C)を使用したことを除いてあとはほぼ同様にしてイエロートナー8を得た。 結果を表3に示す。耐ブロッキング性は悪化し実用レベルぎりぎりであった。また定着試験において、高温側でのオフセット発生温度が、実施例1に記載のイエロートナー1と比較して30℃程度低くなったが、ぎりぎり実用レベル内であった。
【0153】
<実施例9>
実施例1において、ハイブリッド樹脂(1)に替えて、ハイブリッド樹脂(2)を使用したことと,精製ノルマルパラフィン(A)の替わりにアルコール変性PEワックス(E)を使用したことを除いてあとはほぼ同様にしてイエロートナー9を得た。結果を表3に示す。イエロートナー9はワックスの結晶性が影響してOHTの透明性が若干悪する傾向が見られた、低温側の定着性が悪化したがなんとか実用レベル内であった。
【0154】
<実施例10>
実施例1において、ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物を2質量部に減らしたことを除いてあとはほぼ同様にしてイエロートナー10を得た。結果を表3に示す。耐ブロッキング性はやや悪化するもの実用上問題となるレベルではなかった。
【0155】
<実施例11>
実施例1において、ジ−tert−ブチルサリチル酸の亜鉛化合物を4質量部使用したことを除いてあとはほぼ同様にしてイエロートナー11を得た。結果を表3に示す。耐ブロッキング性はやや悪化するもの実用上問題となるレベルではなかった。また定着試験において、高温側でのオフセット発生温度が、実施例1に記載のイエロートナー1と比較して30℃程度低くなったが、ぎりぎり実用レベル内であった。
【0156】
<実施例12>
実施例1において、化合物(2)に替えて化合物(3)を使用したことを除いてあとはほぼ同様にしてイエロートナー12を得た。結果を表3に示す。実施例1と同様に、1万枚の耐久後でも帯電安定性を有し、オリジナルを忠実に再現するイエロー色画像が得られ、色再現性に優れていた。
【0157】
<実施例13>
実施例1において、化合物(1)と化合物(2)の混合割合が、最終的に95:5になるようにしてトナーを作製したこと以外、あとはほぼ同様にしてイエロートナー13を得た。同様に評価したところ、画像濃度1.70の時の色度は、実施例1と比較してほぼ同様の色相であった。すなわち画像の色度は、a*=−7.5、b*=96.5、L*=89であった。
【0158】
<実施例14>
実施例1において、化合物(1)と化合物(2)の混合割合が、最終的に7030になるようにしてトナーを作製したこと以外、あとはほぼ同様にしてイエロートナー14を得た。同様に評価したところ、画像濃度1.70の時の色度は、実施例1と比較して若干赤味にシフトしたものの十分実用レベル内であった。すなわち画像の色度は、a*=−0.7、b*=101、L*=87.0であった。
【0159】
<比較例1>
ハイブリッド樹脂(1)に替えてハイブリッド樹脂(4)を使用したこと以外は、ほぼ同様にしてイエロートナー15を得た。評価結果を表3に示した。イエロートナー15は、Mw/Mnの大きな樹脂からなり、その結果80℃におけるG’も大きくなり非常に硬いトナーとなった。本トナーではOHTの透過性が悪く、低温定着性も著しく悪化した。
【0160】
<比較例2>
ハイブリッド樹脂(1)に替えてポリエステル樹脂(6)を使用したこと以外は、ほぼ同様にしてイエロートナー16を得た。評価結果を表3に示した。イエロートナー16は、Mw/Mnの小さな樹脂からなり、その結果120〜180℃におけるG’も小さい値を示し、定着試験において、低い温度(140℃)で上ローラーへ巻きついてしまった。
【0161】
<比較例3>
実施例1において、ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物を12質量部に増やしたことを除いてあとはほぼ同様にしてイエロートナー17を得た。結果を表3に示す。その結果140℃におけるtanδ も小さくなり非常に硬いトナーとなった。本トナーではOHTの透過性が悪く、低温定着性も著しく悪化した。
【0162】
<比較例4>
実施例1において、化合物(1)(2)の混合体を化合物(1)単体を用いたことを除いてあとはほぼ同様にしてイエロートナー18を得た。結果を表3に示す。その結果色味は若干緑味による程度で問題ないが、帯電安定性が大きく悪化し実用レベルではなかった。
【0163】
<比較例5>
実施例1において、化合物(1)と化合物(2)の混合割合が、最終的に65:35になるようにしてトナーを作製したこと以外、あとはほぼ同様にしてイエロートナー19を得た。評価結果を表3に示した。その結果、色味はイエロートナー1と比較し若干緑味による程度で問題ないが、耐侯性が大きく悪化した。
【0164】
<比較例6>
実施例8において、パラフィンワックス(C)を使用しなかったことを除いてあとはほぼ同様にしてイエロートナー20を得た。結果を表3に示す。イエロートナー20はワックスを含有していないため高温側での耐オフセット性が大きく低下し低温側での定着性も悪化した。
【0165】
<比較例7>
実施例8において、パラフィンワックス(C)を12部に増やしたことを除いてあとはほぼ同様にしてイエロートナー21を得た。結果を表3に示す。イエロートナー21は、低温定着及び高温側での耐オフセット性は上がるが、OHTの透過性が悪く実用レベルではなかった。
【0166】
<比較例8>
実施例1において、化合物(1)(2)の混合物を1部になるようにしてトナーを作製したこと以外、あとはほぼ同様にしてイエロートナー22を得た。結果を表3に示す。本トナーでは極端に着色に落ち実用レベルではなかった。
【0167】
<比較例9>
実施例1において、化合物(1)(2)の混合物を17部になるようにしてトナーを作製したこと以外、あとはほぼ同様にしてイエロートナー23を得た。結果を表3に示す。本トナーは透明性が低下し、OHT透過性が実用レベルに満たなかった。
【0168】
【表3】
Figure 0003950676
【0169】
【発明の効果】
本発明によれば、定着性能(低温定着性/高速定着性/耐オフセット性)、保存安定性(耐侯性/耐熱性/耐ブロッキング性)、OHP透明性に優れ、さらにプロセスインキイエローの色調を有し、帯電安定性を有するイエロートナーを提供することができる。

Claims (8)

  1. 少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有するイエロートナーにおいて、
    該結着樹脂は、(a)ポリエステル樹脂、又は(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂であり、
    該トナーの80℃における貯蔵弾性率(G’80)が1×106〜1×108[dN/m2]の範囲にあり、140℃における損失切片(tanδ)が0.2〜1.5の範囲にあり、着色剤として、下記一般式(1)で示される化合物と(2)で示される化合物とが95:5乃至70:30の質量比で混合したものを該結着樹脂100質量部当たり2乃至15質量%含有し、また該トナーはワックスを該結着樹脂100質量部当たり0.5乃至10質量%含有することを特徴とするオイルレス定着用イエロートナー。
    Figure 0003950676
    Figure 0003950676
  2. 該イエロートナーは、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60〜110℃の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のオイルレス定着用イエロートナー。
  3. 該トナーは、芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のオイルレス定着用イエロートナー。
  4. 該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物が、該芳香族カルボン酸誘導体のアルミニウム化合物であることを特徴とする請求項3に記載のオイルレス定着用イエロートナー。
  5. 少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有するイエロートナーにおいて、
    該結着樹脂は、(a)ポリエステル樹脂、又は(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂であり、
    該トナーの80℃における貯蔵弾性率(G’80)が1×106〜1×108[dN/m2]の範囲にあり、140℃における損失切片(tanδ)が0.2〜1.5の範囲にあり、着色剤として、下記一般式(1)で示される化合物と下記一般式(3)で示される化合物とが95:5乃至70:30の質量比で混合したものを結着樹脂100質量部当たり2乃至15質量%含有し、また該トナーはワックスを結着樹脂100質量部当たり0.5乃至10質量%含有することを特徴とするオイルレス定着用イエロートナー。
    Figure 0003950676
    Figure 0003950676
  6. 該イエロートナーは、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60〜110℃の範囲にあることを特徴とする請求項5に記載のオイルレス定着用イエロートナー。
  7. 該トナーは、芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物を含有していることを特徴とする請求項5又は6に記載のオイルレス定着用イエロートナー。
  8. 該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物が、該芳香族カルボン酸誘導体のアルミニウム化合物であることを特徴とする請求項7に記載のオイルレス定着用イエロートナー。
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