フルカラー用複写機に搭載されるトナーとしては、色再現性の向上やオーバーヘッドプロジェクター(OHP)画像の透明性を損なうことなく加熱加圧定着工程で各トナーが十分混色することが必要である。一般の白黒複写機用黒トナーと較べフルカラー画像用トナーは、シャープメルト性を有する低分子量結着樹脂が好ましい。しかしながら、通常、シャープメルト性結着樹脂を用いると加熱加圧定着工程でトナーが溶融した際、結着樹脂の自己凝集力が低いため耐高温オフセット性に問題を生じ易い。一般の白黒複写機用黒トナーでは、定着時の耐高温オフセット性を向上させるためポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスに代表される比較的高結晶性のワックスが離型剤として用いられている。例えば特許文献1乃至3に提案されている。フルカラー画像用トナーにおいては、この離型剤自身の高結晶性やOHP用シートの材質との屈折率の違いのためOHPで透映した際、透明性が阻害され、投影像は彩度や明度が低くなる。
このような問題を解決するため、特定の貯蔵弾性率を有するトナーについて提案されている。
例えば、特許文献4や5では、180℃または170℃において特定の貯蔵弾性率を有するトナーが提案されている。しかし、低温定着と耐高温オフセットの両立、高温オフセット防止のためのオイルを使用しないか、または、オイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段での良好な定着性、十分な混色特性が必要とされるカラートナーとしては、トナーの粘度が低すぎる上、高温環境下での保存性について、満足できるものではなかった。
さらに、特許文献6乃至12においても特定の貯蔵弾性率を有するトナーが提案されている。しかしながら、カラートナーとしての理想的な定着特性、保存性、OHP透明性を得るためには、改良の余地があった。
この問題を解決するため、造核材をワックスと併用することでワックスの結晶性を低下させる方法が、特許文献13及び14に提案されている。さらに結晶化度の低いワックスを用いる方法が特許文献15や16に提案されている。比較的透明性が良く融点の低いワックスとしてモンタン系ワックスがあり、モンタン系ワックスの使用が、特許文献17乃至21に提案されている。しかしながら、これらのワックスは、OHPでの透明性と加熱加圧定着時の低温定着性及び耐高温オフセット性の全てが十分満足されるものではない。
このため通常のカラートナーでは、離型剤を極力添加せずに加熱定着ローラーへシリコーンオイルやフッ素オイルの如きオイルを塗布せしめ耐高温オフセット性の向上とOHPでの透明性を図っている。しかしながら、このようにして得られた定着画像は、その表面に余分のオイルが付着している。オイルが感光体に付着して汚染したりオイルが定着ローラーを膨潤し、定着ローラーの寿命を短かくする場合がある。定着画像上へのオイル筋を発生させないため、オイルを均一に且つ定量的に定着ローラー表面上に供給する必要性があり、定着装置が大型化する傾向にある。
そのため、オイルを使用しないか、または、オイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段において、オフセットの発生が抑制されているトナーであり、さらに、定着画像の透明性に優れているトナーが待望されている。特にワックスを含有するトナーにおいては、ワックスの影響でOHP透明性が悪化する傾向にあるために、顔料としてさらなる透明性の良好なものが必要とされている。
一方で、カラー複写機がコントローラーを介してコンピューターと接続され、高品位カラープリンターとして使われるケースが増加するにつれて、システム全体を色管理するカラーマネージメントシステムが提案される様になってきた。その結果特定のユーザーにおいては、電子写真方式のカラー複写機で出力される出力画像がプロセスインキをベースとした印刷の出力画像と色味の点で一致することを強く望む様になり、プロセスインキと同様の色調を有するトナーというものも要求される様になってきた。
今日、当該技術分野においては、イエロートナー用着色剤として数多くのものが知られている。例えば、特許文献22にはソルベントイエロー112、特許文献23にはソルベントイエロー160、特許文献24にはソルベントイエロー162等々の染料が記載されているし、特許文献25にはベンジジン系イエロー顔料が、特許文献26にはモノアゾ系イエロートナーが、さらには、特許文献27にはピグメントイエロー120、151、154、156等の顔料が記載されている。
しかしながら、従来知られているイエロートナー用の着色剤は種々の問題も多くかかえていた。例えば、一般に染料系の着色剤は透明性に優れるものの、耐光性に劣り、画像の保存安定性に問題がある。
一方、上記の顔料群は、染料と比較して耐光性に優れるものの、マゼンタトナー用として使われている例えばキナクリドン系の顔料や、シアントナー用として使われている銅フタロシアニン系の顔料と比較すると、まだまだ耐光性に問題があり、長時間の光の暴露試験においては、耐色してしまう或いは色相の変化が目立つといった問題も生じていた。
さらに、耐光性、耐熱性に優れるイエロー顔料は、上述の顔料以外にも有るものの、逆に隠蔽性が強過ぎてしまい透明性が極端に低下してしまい、フルカラー用としては不向きであった。
特許文献28には、耐光性に優れたジスアゾ系の化合物及びその製法が紹介されている。これはピグメントイエロー180に代表される化合物群であり、耐光性、耐熱性に優れるばかりか、生態学的要求にも合うアゾ顔料の一つである。
ピグメントイエロー180を用いるイエロートナーは、特許文献29乃至31に記載されているが、上記顔料を用いるトナーは、着色力に乏しく、加えて透明性も決して良好とは言えず、フルカラー用としては、さらなる改善が急務であった。
また、特許文献32では染料と顔料とを併用しているが、使用する顔料がグリーン側に寄り過ぎているために、プロセスインキと色相を合わせるためにはレッド側に近い染料を併用する必要がある。しかし色相が離れている着色剤を使用すると画像の透明性が悪化する。また、定着性に関しても満足が行くものが得られない。
今日、当該技術分野においてはポリエステル系樹脂がカラートナー用結着樹脂として多く用いられているが、ポリエステル系樹脂を有するカラートナーは一般に温湿度の影響を受け易く、低湿下での帯電量過大、高湿下での帯電量不足といった問題が起こり易く、広範な環境においても安定した帯電量を有するカラートナーの開発が待望されている。
また結着樹脂中の着色剤分散性の程度や前述の如き着色剤そのものの帯電特性によってもトナーの帯電は大きく変化することが知られており、分散性の悪いトナーにおいてはカブリやトナー飛散といった問題を発生し易く、さらにはキャリア上へのトナースペント、ドラム上トナーフィルミング、定着ローラー汚染といった様々な問題を引き起こす。それゆえ、色再現性という側面以外でも着色剤の分散性向上は重要な技術課題である。
特公昭52−3304号公報
特公昭52−3305号公報
特開昭57−52574号公報
特開平11−84716号公報
特開平8−54750号公報
特開平5−249735号公報
特開平7−92737号公報
特開平7−234542号公報
特開平7−295298号公報
特開平8−234480号公報
特開平8−278662号公報
特開平10−171156号公報
特開平4−149559号公報
特開平4−107467号公報
特開平4−301853号公報
特開平5−61238号公報
特開平1−185660号公報
特開平1−185661号公報
特開平1−185662号公報
特開平1−185663号公報
特開平1−238672号公報
特開平2−207273号公報
特開平2−207274号公報
特開平8−36275号公報
特開昭50−62442号公報
特開平2−87160号公報
特開平2−208662号公報
特公平2−37949号公報
特開平6−230607号公報
特開平6−266163号公報
特開平8−262799号公報
特開2000−347459号公報
本発明のトナーは、ワックスと結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、結着樹脂として特定の樹脂を少なくとも含み、着色剤として前記式(1)で示されるC.I.ピグメントイエロー185を含有する。
さらに、本発明者等は、本発明のトナーの粘弾性特性が特定の範囲であるとき、良好な定着性、現像性及び耐久性を達成できることを明らかにした。
先ず、イエロートナーの粘弾性特性において、温度80℃における好ましい貯蔵弾性率(G’80)は、トナーの高温環境下における保存性、耐熱性、耐ブロッキング性を良好にするために、1×106〜1×1010[dN/m2]であり、より好ましくは1×106〜1×108[dN/m2]である。貯蔵弾性率(G’80)が1×106[dN/m2]よりも小さい場合には、高温環境下における保存性、耐熱性、耐ブロッキング性が悪く、トナー粒子同士が合一し、大きなトナーの凝集体を形成するため好ましくない。近年、複写機、プリンターの出力スピードの高速化や本体の小型化が進んでいるため、マシン機内の温度が高くなる傾向にあり、高精細・高画質の画像を安定して得るためには、トナーが高温環境下における十分な保存性、耐熱性、耐ブロッキング性を有することは重要である。また、貯蔵弾性率(G’80)が1×1010[dN/m2]より大きい場合には、保存性、耐熱性、耐ブロッキング性は十分であるものの、低い温度での十分な定着性が得られないため好ましくない。
また、温度120〜180℃における貯蔵弾性率(G’120-180)は、十分な低温定着性と耐高温オフセット性と両立させるために、1×103〜1×106[dN/m2]であることが好ましく、より好ましくは1.5×104〜5×105[dN/m2]である。貯蔵弾性率(G’120-180)が1×103[dN/m2]よりも小さい場合には、トナーの十分な耐高温オフセット性を得ることができないため好ましくない。また、貯蔵弾性率(G’120-180)が1×106[dN/m2]より大きい場合には、トナーの十分な低温定着性を得ることができないため好ましくない。
さらに、十分な耐高温オフセット性、良好な保存性、耐ブロッキング性を得るために、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)との比(G”/G’=tanδ)の120〜180℃における最小値(MIN[tanδ120-180])と180℃におけるtanδ(tanδ180)とが1<tanδ180/MIN[tanδ120-180]を満足していることが望ましい。tanδ180/MIN[tanδ120-180]が1の場合には、十分な耐高温オフセット性が得られない。また、高温環境下で長期間放置した場合に、トナー粒子同士の合一が発生し、保存性、耐ブロッキング性が不十分である。
また、本発明のイエロートナーは、粘弾性特性において、温度120〜180℃における貯蔵弾性率の最小値(G’min)と最大値(G’max)との比(G’max/G’min)が、30以下であることも好ましい特徴の一つである。(G’max/G’min)が30より大きい場合には、定着温度によって定着画像の光沢が異なるため、大量の画像を出力する際に、高品位な画像を安定して得るという点で好ましくない。
さらに、本発明のイエロートナーには、結着樹脂として少なくとも、
(a)カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、
(b)カルボキシル基を有するポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、
(c)(b)のハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、
(d)(b)のハイブリッド樹脂と(a)のポリエステル樹脂との混合物、
(e)(b)のハイブリッド樹脂と(a)のポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物のいずれかから選択される樹脂を含んでいる。
結着樹脂として、(a)カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を用いる場合は、アルコールとカルボン酸、もしくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類またはその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類またはその無水物;が挙げられる。
それらの中でも、特に、下記一般式(2)で示されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸またはその酸無水物、またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
上記式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。
結着樹脂として、(b)カルボキシル基を有するポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂(以下、「ハイブリッド樹脂」と記す)を用いる場合には、さらに良好なワックス分散性と、低温定着性、耐オフセット性の向上が期待できる。本発明に用いられる「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットとが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(或いはブロック共重合体)を形成するものである。
(b)ハイブリッド樹脂におけるビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のイエロートナーにおいて、(b)ハイブリッド樹脂におけるビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
本発明ではビニル系重合体成分及び/またはポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明の(b)ハイブリッド樹脂におけるビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエイト、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
本発明において、結着樹脂の酸価は、0.1乃至50mgKOH/gであることが好ましい。結着樹脂の酸価が0.1mgKOH/g未満の場合には、耐久における帯電量の上昇、いわゆるチャージアップが発生し易く、画像濃度を長期に渡って維持することが困難となる。また、結着樹脂の酸価が50mgKOH/gを超える場合は、チャージアップ傾向はなくなるが、特に高温高湿環境時における帯電量の減少傾向、いわゆるチャージダウンに起因する「白地カブリ」が発生し、画像品質の低下を招くこととなる。
本発明において結着樹脂として用いられる(b)ハイブリッド樹脂の製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(5)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成される。
(2)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。
(4)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)乃至(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
なお、本発明のイエロートナーに含有される結着樹脂は、上記ポリエステルとビニル系重合体との混合物、上記ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、上記ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂に加えてビニル系共重合体の混合物を使用しても良い。
次に本発明に用いられるワックスについて説明する。
本発明において離型剤として用いられるワックスとしては以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの、飽和直鎖脂肪酸類、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類、ソルビトールなどの多価アルコール類、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明において好ましく用いられるワックスとしては、炭化水素系ワックス、エステル系ワックス、酸化型ワックス、アルコール系ワックスから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合或いは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素、水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、或いはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などのワックスがよい。さらに、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素系ワックスの分別を行ったものがより好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、或いはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素や、エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
また、分子量分布では、分子量400〜2400の領域に、好ましくは450〜2000、特に好ましくは500〜1600の領域にピークが存在することが良い。このような分子量分布を持たせることによりトナーに好ましい熱特性を持たせることができる。
次に、本発明において用いられる炭化水素系ワックスとしては、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレンのごときポリオレフィン炭化水素ワックス、またこれらの1種または、2種以上の混合物などが挙げられる。
特に本発明の目的を達成するためには、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスが好ましい。
またさらに好ましい形態として、炭素数が20〜100の範囲にあるパラフィンワックスを用いることが、安定した広い定着領域を得るために望ましい。
上記したようなワックスを用いた本発明におけるトナーは、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、30〜200℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークが50〜120℃の範囲にあることを満足することが好ましく、さらに最大吸熱ピークが60〜110℃の範囲にあることが、好ましい。
最大吸熱ピークが50℃未満にある場合、トナーのガラス転移温度が大幅に低くなるため、特に高温環境に放置した際にはトナー表面に溶け出すため、耐ブロッキング性能が悪化する。一方、最大吸熱ピークが120℃より高い温度にある場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなるために、高温オフセットが発生し易くなる。
本発明におけるイエロートナーは、示差熱分析(DSC)測定における発熱曲線において、30〜200℃の範囲に少なくとも1個の発熱ピークを有し、該発熱ピーク中の最大発熱ピークが60〜110℃の範囲にあることを満足することが好ましい。
最大発熱ピークが60℃未満にある場合、トナーのガラス転移温度が大幅に低くなるため、特に高温環境に放置した際にはトナー表面に溶け出すため、耐ブロッキング性能が悪化する。一方、最大発熱ピークが110℃より高い温度にある場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速にトナー表面に移行できず、離型性が悪くなるために、高温オフセットが発生し易くなる。
DSC測定において、昇温時には、ワックスに熱を与えた時の変化を見ることができ、ワックスの転移、融解に伴う吸熱ピークが観測され、降温時には、ワックスの冷却時の変化や常温時の状態を見ることができ、ワックスの凝固、結晶化、転移に伴う発熱ピークが観測される。降温時の発熱ピークで最大の発熱ピークは、ワックスの凝固、結晶化に伴う発熱ピークである。この発熱ピーク温度と近い温度に昇温時の融解に伴う吸熱ピークが存在することは、ワックスの構造、分子量分布などワックスがより均質であることを示しており、その差が6℃以内であることが良い。即ちこの差を小さくすることで、ワックスをシャープメルト、つまり、低温時には硬く、融解時の溶融が早く、溶融粘度の低下が大きく起こることで、現像性、耐ブロッキング性、定着性、耐オフセット性をバランス良く成り立たせることができる。
本発明においては、結着樹脂としてポリエステル樹脂或いはポリエステルユニットを含むハイブリッド樹脂を用いうるが、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットと炭化水素系ワックスとの相溶性は元来より乏しいため、そのままの状態で添加してトナー化した際には、トナー中にワックスが偏析して存在し、遊離ワックス等も発生することから、結果的に白抜けの発生や帯電不良等の不具合が発生する。このような問題を回避するため、炭化水素系ワックスを用いる場合には、他のワックスを併用することが好ましい。
具体的には、例えば、カルナバワックス、ライスワックス等の植物性ワックス、モンタン酸ワックス、アルコールワックス、シリコーン変性ワックス、エステル系ワックス等、が挙げられ、予め、炭化水素系ワックスとこれらのワックスを10:90〜90:10の質量比で溶融ブレンドしたものを用いることが望ましい。
ワックスは結着樹脂100質量部当たり0.5〜10質量部、好ましくは2〜8質量部使用するのが良い。ワックスの添加量が0.5質量部未満の場合、定着時においてトナーが溶融する際、ワックスがトナー表面に染み出すことができず、特にオイルレス定着システムにおいて高温オフセットが発生し易くなる。また、ワックスが10質量部より多いと、定着領域的には充分満足することができるが、現像において帯電不良による耐久性が著しく悪化する。
次に本発明に用いられる顔料について説明する。
本発明に用いられる、下記式(1)で示されるC.I.ピグメントイエロー185は鮮やかなイエロー色を示し、これをトナー用着色剤として用いたとき、特に透明性に優れている。特にオイルレス定着を目的として設計したトナーにおいてはその特徴を生かすことができる。また、色相に関しても単独でプロセスインキの色相に近いものが得られる。
本発明においては、上記C.I.ピグメントイエロー185を、結着樹脂100質量部当り1〜15質量部、好ましくは2〜12質量部、より好ましくは3〜10質量部含有していることが良い。当該着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表される様な中間色の再現性も低下し易くなる。さらにはトナーの帯電性の安定性が低下し、目的とする帯電量が得られにくくなる。また、1質量部より少ない場合には、目的とする着色力が得られ難く、高い画像濃度の高品位画像が得られ難い。
上記着色剤を含有している本発明のイエロートナーは、退色しにくく、耐光性にも優れているものである。
尚、本発明においては、C.I.ピグメントイエロー185以外の着色剤を併用して使用することも可能である。
本発明において併用し得るiエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1〜7、10〜17、23、65、73、83、93、97、180等が挙げられる。
カラー画像の場合は、色材の3原色である、イエロー、マゼンタ、シアンの3色またはそれに黒を加えた4色で色再現する。そのため着色剤を併用する場合は、イエローの色調がプロセスインキと大きく変わらないように混合比を調整する必要がある。例えばイエローが大きく緑味にシフトしてしまうと、肌色系の再現性が大きく低下してしまい、好ましくない。
本発明のイエロートナーにおいて有機金属化合物を含有させる場合、芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物を含有していることが好ましい。これは、帯電制御剤として機能するばかりでなく、本発明に用いられるC.I.ピグメントイエロー185の着色剤の分散性向上にも寄与する。
芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物が顔料の分散性を向上させる理由は定かではないが、結着樹脂と芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物との相互作用によって、一部架橋反応が進み、混練時の着色剤にかかるシェアーを増大させることによって、着色剤の分散性が上がったものと考えられる。
上記有機金属化合物を構成する芳香族カルボン酸としては、下記式(3)〜(5)で示される3種の化合物が挙げられる。
上記式中、R1乃至R7は同一または異なる基を示し、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、−OH、−NH2、−NH(CH3)、−N(CH3)2、−OCH3、−O(C2H5)、−COOHまたは−CONH2を示す。
上記式(3)〜(5)で示される化合物において、好ましいR1としては、ヒドロキシル基、アミノ基及びメトキシ基が挙げられるが、中でもヒドロキシル基が好ましい。芳香族カルボン酸としては、特にジ−tert−ブチルサリチル酸の如きジアルキルサリチル酸が好ましい。
また、有機金属化合物を形成する金属としては、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+、Al3+、Cr3+、Fe3+、Zr4+が挙げられ、中でもアルミニウムが好ましい。特に本発明においては、有機金属化合物として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が好ましく用いられる。
芳香族カルボン酸の金属化合物は、例えば、芳香族カルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、2価以上の金属原子を溶融している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより合成し得る。但し、上記の合成方法だけに限定されるものではない。
本発明のイエロートナーは、その帯電性をさらに安定化させるために、必要に応じて上記の有機金属化合物以外の化合物を荷電制御剤として用いても良い。
本発明のイエロートナーの製造方法としては、結着樹脂、着色剤、ワックス、さらに必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等をボールミルの如き混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融・捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめた中に顔料を分散せしめ、冷却固化後粉砕及び厳密な分級を行ってイエロートナー粒子を得ることができる。
イエロートナー粒子中の顔料粒子の分散状態を向上させるには、第1の結着樹脂と、分散媒に対して不溶性の顔料粒子5〜50質量%を含有するペースト顔料とを、混練機または混合機に仕込み、非加圧下で混合しながら加熱して第1の結着樹脂を溶融させ、ペースト顔料(即ち液相中の顔料)を、加熱されている第1の結着樹脂の溶融樹脂相に移行させた後、第1の結着樹脂及び顔料粒子を溶融混練し、液体分を除去蒸発させて乾燥し、第1の結着樹脂及び顔料粒子を有する第1の混練物を得、次いで第1の混練物に第2の結着樹脂、さらに必要に応じて電荷制御剤の如き添加物等を加えた混合物を、加熱溶融混練して第2の混練物を得、得られた第2の混練物を冷却後粉砕及び分級してトナー化することが好ましい。ここで、第1の結着樹脂と第2の結着樹脂は、同じであっても異なる樹脂であっても構わない。
上記ペースト顔料は、顔料粒子製造工程において該顔料粒子がただの一度も乾燥工程を経ずに存在している状態が望ましい。換言すれば、顔料粒子がほぼ一次粒子の状態で全ペースト顔料に対して5〜50質量%存在している状態である。ペースト顔料中の残りの約50〜95質量%は若干の分散剤及び助剤などと共に大部分の揮発性の液体が占めている。該揮発性の液体は、一般の加熱によって蒸発する液体であれば特に何ら限定するものではない。
混練装置としては、加熱ニーダー、一軸押し出し機、二軸押し出し機、ニーダーなどが挙げられ、特に好ましくは加熱ニーダーが挙げられる。
さらに、本発明のイエロートナーには、流動性向上剤が外添されていることが画質向上、高温環境下での保存性の点で好ましい。流動性向上剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粉体が好ましい。該無機微粉体は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
疎水化剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤の如きカップリング剤が挙げられる。
具体的に例えばシランカップリング剤としては、一般式
Rm−Si−Yn
〔式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、フェニル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基またはこれらの誘導体を示し、nは1〜3の整数を示す。〕
で表されるものが好ましい。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
その処理量は、無機微粉体100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
本発明において特に好適なのは、下記式(6)
CnH2n+1−Si−(OCmH2m+1)3 (6)
〔式中、nは4〜12の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。〕
で示されるアルキルアルコキシシランカップリング剤である。該アルキルアルコキシシランカップリング剤において、nが4より小さいと、処理は容易となるが疎水化度が低く、好ましくない。nが12より大きいと、疎水性は十分になるが、酸化チタン微粒子同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下しやすい。mは3より大きいと、該アルキルアルコキシシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化を良好に行いにくくなる。より好ましいアルキルアルコキシシランカップリング剤はnが4〜8であり、mが1〜2であるのが良い。
アルキルアルコキシシランカップリング剤の処理量は、無機微粉体100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部が良い。
疎水化処理は1種類の疎水化剤単独で行っても良いし、2種類以上の疎水化剤を使用しても良い。例えば1種類のカップリング剤単独で疎水化処理を行っても良いし、2種類のカップリング剤で同時に、またはカップリング剤での疎水化処理を行った後、別のカップリング剤でさらに疎水化処理を行っても良い。
流動化剤は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜5質量部添加することが好ましく、0.05〜3質量部添加することがより好ましい。
本発明のイエロートナーは、一成分系現像剤及び二成分系現像剤に適用できるものであり、特に何らこれを限定するものではないが、二成分系現像剤に用いる場合に併用されるキャリアとしては、例えば表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及びフェライトなどが使用できる。
特に、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分として形成されるMn−Mg−Feの3元素の磁性フェライト粒子がキャリア粒子として好ましい。磁性キャリア粒子は、樹脂で被覆されていることが好ましく、樹脂としてはシリコーン樹脂が好ましい。特に、含窒素シリコーン樹脂、または、含窒素シランカップリング剤とシリコーン樹脂とが反応することにより生成した変性シリコーン樹脂が、本発明のイエロートナーへのマイナスの摩擦電荷の付与性、環境安定性、キャリアの表面の汚染に対する抑制の点で好ましい。
磁性キャリアは、平均粒径が15乃至60μm(より好ましくは、25乃至50μm)が好ましい。磁性粒子を上記の平均粒径及び特定の粒度分布を有するように調製する方法としては、例えば、篩を用いることによる分級によって行うことが可能である。特に、精度良く分級を行うために、適当な目開きの篩を用いて複数回くり返してふるうことが好ましい。また、メッシュの開口の形状をメッキ等によって制御したものを使うことも有効な手段である。
二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低くなり易く、15質量%を超える場合ではカブリや機内飛散が増加し易い。
次に本発明に係る各物性の測定方法について以下に説明する。
〔トナーの粘弾性特性の測定方法〕
トナーを直径8mm、厚さ約2〜3mmの円板状の試料に加圧成形する。次にパラレルプレートにセットし、50〜200℃の温度範囲内で徐々に昇温させ、温度分散測定を行う。昇温速度は2℃/minとし、角周波数(ω)は6.28rad/secに固定し、歪率は自動とする。横軸に温度、縦軸に貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を取り、各温度における値を読み取る。測定にあたっては、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製「RDA‐II」)を用いる。
〔ワックス及びトナーの吸熱ピークの測定方法〕
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(バーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線のメインピークの吸熱ピークが得られる。
〔酸価の測定方法〕
サンプル2〜10gを200〜300mlの三角フラスコに秤取し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えて樹脂を溶解する。溶解性が悪いようであれば少量のアセトンを加えてもよい。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、予め標定されたN/10苛性カリ〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から次の計算で酸価を求める。
酸価=KOH(ml数)×N×56.1/サンプル重量
(但しNはN/10KOHのファクター)
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ハイブリッド樹脂の製造例1)
ビニル系重合体の単量体、架橋剤及び重合開始剤として、
スチレン 1.9mol
2−エチルヘキシルアクリレート 0.21mol
フマル酸 0.15mol
α−メチルスチレンの2量体 0.03mol
ジクミルパーオキサイド 0.05mol
を滴下ロートに入れた。
また、
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 7.0mol
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 3.0mol
コハク酸 3.0mol
無水トリメリット酸 2.0mol
フマル酸 5.0mol
酸化ジブチル錫 0.2g
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に置いた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系重合体の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応せしめてハイブリッド樹脂(1)を得た。
(ハイブリッド樹脂の製造例2)
ビニル系重合体の単量体、架橋剤及び重合開始剤として、
スチレン 3.8mol
α−メチルスチレンの2量体 0.07mol
ジクミルパーオキサイド 0.1mol
を使用し、
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 9.0mol
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 6.0mol
コハク酸 1.5mol
無水トリメリット酸 0.5mol
フマル酸 1.0mol
を用いた以外は、ハイブリッド樹脂の製造例1と同様に反応させ、ハイブリッド樹脂(2)を得た。
(ハイブリッド樹脂の製造例3)
フマル酸5.0molに代えてマレイン酸6.0mol
無水トリメリット酸2.0molに代えて3.5mol
コハク酸3.0molに代えてテレフタル酸4.5mol
を使用すること以外は、ハイブリッド樹脂の製造例1と同様に反応させ、ハイブリッド樹脂(3)を得た。
(ポリエステル樹脂の製造例1)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 3.6mol
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 1.6mol
テレフタル酸 1.7mol
無水トリメリット酸 1.1mol
フマル酸 2.4mol
酸化ジブチル錫 0.1g
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に置いた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂(1)を得た。
(ポリエステル樹脂の製造例2)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 1.6mol
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 3.3mol
テレフタル酸 4.6mol
無水トリメリット酸 3.3mol
フマル酸 3.2mol
のモノマー構成で上記と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(2)を得た。
(ビニル系重合体の製造例1)
トルエン溶媒 1000ml
スチレン 2.4mol
n−ブチルアクリレート 0.26mol
モノブチルマレート 0.09mol
ジ−tert−ブチルパーオキサイド 0.11mol
を温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した3リットルの4口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて120℃の温度で攪拌しつつトルエンを還流させながら反応させ、ビニル系重合体(1)を得た。
<実施例1>
以下の方法でイエロートナー1を調製した。
(第一の混練工程)
・ハイブリッド樹脂(1) 60質量部
・式(1)の化合物を80:20(質量比)で含有する顔料スラリーから水をある程度除去し、ただの一度も乾燥工程を経ずに得た固形分40質量%の第1のペースト状顔料(残りの60質量%は水) 100質量部
上記の原材料を上記の処方で先ずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させた。最高温度(ペースト中の溶媒の沸点により必然的に決定される。この場合は90〜100℃程度)に達した時点で、水相中の顔料が溶融樹脂相に分配もしくは移行したのを確認した後、さらに30分間加熱溶融混練させ、ペースト中の顔料を充分に移行させた。その後、一旦、ミキサーを停止させ、熱水を排出した後、さらに130℃まで昇温させ、約30分間加熱溶融混練を行ない、顔料を分散させるとともに水分を留去し、該工程を終了した後、冷却させ、混練物を取り出し第1の混練物を得た。この第1の混練物の含水量は0.5質量%程度であった。
(第二の混練工程)
・ハイブリッド樹脂(1) 100質量部
・上記第1の混練物(顔料粒子の含有量40質量%) 20質量部
・ パラフィンワックス(A) 5質量部
・ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤)
5質量部
上記の処方で十分ヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で温度を120℃に設定し溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を分級して、粒度分布における体積平均径が7.2μmになるように選択してイエロートナー粒子(分級品)を得た。
流動性向上及び帯電特性付与を目的として、i−C4H9Si(OCH3)3:25質量部で処理した疎水性酸化アルミニウム(BET比表面積:170m2/g)100質量部を、上記イエロー系樹脂粒子100質量部に対して、1.0質量部を合せてイエロートナー1とした。
さらに、イエロートナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径45μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、二成分系イエロー現像剤1とした。トナーの処方及び物性測定結果を表1に示す。
このイエロー現像剤1で、カラー複写機「CLC−800」(キヤノン製)の定着ユニットを取り外した改造機を用い、単色モードで常温低湿環境下(23℃、5%)、高温高湿環境下(30℃、80%)で画像面積比率20%のオリジナル原稿を用いて、単位面積当たりのトナー載り量は0.7mg/cm2に設定し、1万枚の未定着画像出力による耐刷試験を行った。
尚、出力した未定着画像は、カラー複写機「CP−660」(キヤノン製)の定着ユニットを用いて定着画像を作成した。また、常温常湿度環境下(23℃、60%)で定着試験を行った。さらに定着可能領域の評価については、カラー複写機「CP−660」(キヤノン製)の定着ユニットを手動で定着温度が設定できるように改造した。
OHP透明性の測定は、島津自記分光光度計「UV2200」(島津製作所社製)を使用し、OHPフィルム単独の透過率を100%とし、
マゼンタトナーの場合:650nm
シアントナーの場合:500nm
イエロートナーの場合:600nm
での最大吸収波長における透過率を測定した。評価基準は以下の通りである。
A:85%以上
B:75〜85%
C:65〜75%
D:65%未満
サンプルトナーの耐ブロッキング性に関しては、50℃のオーブン内にて2週間放置することにより評価した。該評価としては目視による凝集性のレベルを判定した。トナー凝集性評価基準を以下に示す。
A:凝集体が全く見られなく流動性が非常に良い。
B:凝集体が全く見られない。
C:若干の凝集体は見られるがすぐにほぐれる。
D:現像剤撹拌装置で凝集体がほぐれる(普通)。
E:現像剤撹拌装置では凝集体が十分にほぐれない(やや悪い)。
実施例1で得られた画像は転写性に優れるとともに、光沢性、OHP透明性ともに良く、優れた定着性と耐ブロッキング性を示した。環境安定性も良好であった。結果を表2に示す。
サンプルトナーの耐光性に関しては、得られたベタ画像(画像濃度1.70)をJIS K7120にほぼ準じて確認した。その結果、400時間光照射後の画像もほぼ初期と同様の画像濃度(1.68)を示し、色相変化もほとんど見られなかった(ΔE=2.2)。尚、光源にはカーボンアークランプを使用した。以下に示す耐光性の評価基準は、光照射前後の画像よりΔE値を求め定量的に評価した。
A:400時間試験でΔE=3以下
B:200時間試験でΔE=3以上5以下
C:100時間試験で退色
<実施例2>
ハイブリッド樹脂(1)に代えて、ハイブリッド樹脂(2)を使用したこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー2を作製し、同様にしてイエロー現像剤2を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例3>
ハイブリッド樹脂(1)に代えて、ポリエステル樹脂(1)を使用したこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー3を作製し、同様にしてイエロー現像剤3を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例4>
ハイブリッド樹脂(1)に代えて、ハイブリッド樹脂(3)を使用した以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー4を作製し、同様にしてイエロー現像剤4を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、物評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例5>
ハイブリッド樹脂(1)に代えて、ハイブリッド樹脂(1)とビニル系重合体(1)のブレンドを使用したこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー5を作製し、同様にしてイエロー現像剤5を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例6>
ハイブリッド樹脂(1)に代えて、ハイブリッド樹脂(1)とポリエステル樹脂(1)のブレンドを使用したこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー6を作製し、同様にしてイエロー現像剤6を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例7>
使用したワックスをパラフィンワックス(A)に代えてポリエチレンワックスにしたこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー7を作製し、同様にしてイエロー現像剤7を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例8>
使用したワックスをパラフィンワックス(A)に代えてポリプロピレンワックス(A)にしたこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー8を作製し、同様にしてイエロー現像剤8を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例9>
使用したワックスをパラフィンワックス(A)に代えてカルナバワックスにしたこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー9を作製し、同様にしてイエロー現像剤9を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例10>
使用したワックスをパラフィンワックス(A)に代えてアルコール変性ワックスにしたこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー10を作製し、同様にしてイエロー現像剤10を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例11>
使用したワックスをパラフィンワックス(A)に代えて酸変性ワックスにし、有機金属化合物をジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム錯体からジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛錯体に変更したこと以外は実施例1とほぼ同様にして、イエロートナー11を作製し、同様にしてイエロー現像剤11を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例12>
使用した着色剤をC.I.ピグメントイエロー185単独から、C.I.ピグメントイエロー180との併用に変更した以外は実施例1と同様にしてイエロートナー12を作製し、同様にしてイエロー現像剤12を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<実施例13>
実施例1において、着色剤を第一の混練行程を経ることなくそのまま添加すること以外は同様にしてイエロートナー13を作製し、同様にしてイエロー現像剤13を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<比較例1>
実施例1において、ハイブリッド樹脂(1)に代えてビニル系重合体(1)を使用すること以外は、ほぼ同様にしてイエロートナー14を作製し、同様にしてイエロー現像剤14を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
<比較例2〜3>
実施例1において、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185に代えてC.I.ピグメントイエロー12もしくは95を使用すること以外は、ほぼ同様にしてイエロートナー15、16を作製し、同様にしてイエロー現像剤15、16を得た。トナーの処方及び物性測定結果を表1に、評価結果の一覧を表2に示す。
尚、表1中における着色剤の種類の欄の「PY」はC.I.ピグメントイエローを意味する。