JP3817348B2 - 静電荷像現像用トナー及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法の如き画像形成方法に用いられる静電荷像現像用トナー及び該トナーを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報に記載されている如く多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き記録材にトナー画像を転写した後、加熱,圧力,加熱加圧或いは溶剤蒸気によりトナー画像を記録材に定着し、定着画像を得るものである。
【0003】
上述の最終工程であるトナー画像を紙の如き記録材に定着する工程に関して種々の方法や装置が開発されているが、現在最も一般的な方法は熱ローラー又は耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱方式である。
【0004】
加熱ローラーによる圧着加熱方式は、トナーに対し離型性を有する熱ローラーの表面と記録材である被定着シートのトナー画像面を加圧下で接触しながら記録材を通過せしめることによりトナー画像の定着を行なうものである。この方法は熱ローラーの表面と記録材上のトナー画像とが加圧下で接触するため、トナー画像を記録材上に定着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うことができる。
【0005】
加熱ローラー表面とトナー画像とが加圧下で、かつ、トナー画像が溶融状態で接触する為に、トナー画像の一部が定着ローラー表面に付着し転移し、次の記録材にこれが再転移し、記録材を汚す「オフセット現象」が定着速度及び定着温度の影響を大きく受ける。一般に定着速度が遅い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的低く設定され、定着速度が速い場合は、加圧ローラーの表面温度は比較的高く設定される。これは、トナーを定着させる為に加熱ローラーからトナーに与える熱量を、定着速度によらずほぼ一定にするためである。
【0006】
記録材上のトナーは、何層かのトナー層を形成している為、特に定着速度が速く、加熱ローラーの表面温度が高い系においては、加熱ローラーに接触するトナー層と、記録材に接触している最下層のトナー層との温度差が、大となる為に、加熱ローラーの表面温度が高い場合には、最上層のトナーがオフセット現象を起こしやすく、加熱ローラーの表面温度が低い場合は、最下層のトナーは十分に溶けない為に、記録材にトナーが定着せず「低温オフセット」という現象が起きやすい。
【0007】
この問題を解決する方法として、定着速度が速い場合には、定着時の圧力を上げ、記録材へトナーをアンカーリングさせる方法が、通常行われている。この方法だと、加熱ローラー温度をある程度下げることができ、最上トナー層の高温オフセット現象を防ぐことは可能となる。しかし、トナーにかかるせん断力が非常に大となる為に、記録材が定着ローラーに巻きつき、巻きつきオフセットが発生したり、定着ローラーから記録材を分離するための分離爪の分離あとが定着画像に出現しやすい。さらには、圧力が高いがゆえに、定着時にライン画像が押しつぶされたり、トナーが飛びちったりして定着画像の画質劣化を生じ易い。
【0008】
高速定着では、一般的には、低速定着の場合より溶融粘度の低いトナーを用い、加熱ローラーの表面温度を下げ定着圧力を下げることにより、高温オフセットや巻きつきオフセットを防止しつつ、トナー画像を定着している。しかし、この様な溶融粘度の低いトナーを低速定着に用いると、高温でオフセット現象が発生しやすい。
【0009】
定着において、低速から高速まで適用できる定着温度領域の広い、耐オフセット性にすぐれ、かつ、再生紙を含む多種多様な転写紙に対しても等しく良好な定着性を示すトナーが待望されている。
【0010】
トナーの小粒径化により、画像の解像力や鮮映度が上がる一方で、小粒径のトナーで形成したハーフトーン部の定着性が低下する。この現象は特に高速定着において、顕著である。これは、ハーフトーン部分のトナーの載り量が少なく、記録材の凹部に転写されたトナーは、加熱ローラーから与えられる熱量が少なく、さらに定着圧力も、記録材の凸部によって凹部への圧力が抑制される為に悪くなるからである。ハーフトーン部分で被定着シートの凸部に転写されたトナーは、トナー層厚が薄い為に、トナー粒子1個当りにかかるせん断力はトナー層厚の厚いベタ黒部分に比べ大きいものとなり、オフセット現象が発生しやすく、低画質の定着画像となりやすい。
【0011】
特開平1−128071号公報には、ポリエステル樹脂を結着樹脂とし、95℃で特定の貯蔵粘性率を有する電子写真現像用トナーが開示されているが、いまだ定着性及び耐オフセット性を改善する必要がある。
【0012】
特開平4−353866号公報には、貯蔵弾性率の降下開始温度が100〜110℃の範囲内にあり、150℃において特定の貯蔵弾性率を有し、損失弾性率のピーク温度が125℃以上であるレオロジー特性を有する電子写真用トナーが開示されている。しかしながら、貯蔵弾性率及び損失弾性率ともに小さすぎ、かつ損失弾性率のピーク温度が高すぎるため、低温定着性は改善されず、貯蔵弾性率及び損失弾性率ともに低すぎるために、耐熱性が低い。
【0013】
特開平6−59504号公報には、特定の構造を有するポリエステル樹脂をバインダー樹脂とし、トナーが70〜120℃で特定の貯蔵弾性率を有し、130〜180℃で特定の損失弾性率を有する静電荷像現像用トナーが開示されている。しかしながら、70〜120℃の貯蔵弾性率が大きく、130〜180℃の損失弾性率は小さいために小粒径磁性トナーの場合には低温で定着されにくく、耐オフセット性も改善が望まれる。
【0014】
特開平7−224103号公報には、分子内に過酸化物基を2個有する重合開始剤を用いたトナー用樹脂に用いられる高分子量樹脂の製造方法が開示されている。しかしながら、高分子量樹脂の製造しかできないためにトナーの低温定着性は改善されない。
【0015】
高分子論文集46巻(2) 81〜87ペースには、ポリメリックペルオキシドを用いた含フッ素ブロック共重合体の合成に関する報告があり、Polymer Journal.24,971(1992)には分子内に2個の過酸化物基を有するラジカル重合開始剤の反応機構に関する報告がされている。
【0016】
小粒径の磁性トナーの磁性体の含有量が多い場合に定着性の問題が顕著である。レオロジーの観点からすれば、トナーに含有される着色剤の増加は貯蔵弾性率及び損失弾性率を増大する傾向にあり、使用する転写紙によっては顕著に定着性が悪化する場合があり、改善を求められている。
【0017】
特開平8−234480号公報(対応欧州特許出願公開EP−A0718703)は、温度100℃における貯蔵弾性率(G′100 )及び温度60℃における貯蔵弾性率(G′60)と温度70℃における貯蔵弾性率(G′70)との比(G′60/G′70)を規定したトナーを提案している。
【0018】
このトナーは、その粘弾性的な特性から、定着時に定着器より一定量以上の熱量が供給される場合には迅速に溶融し、強固に転写材上に固定、定着されるものである。また、耐ブロッキング性に関しても、示差走査熱量計(DSC)により測定されるガラス転移温度(Tg)近傍での温度においても充分に高い貯蔵弾性率を有するために、高温の環境に長時間放置されても凝集、変形することが少ないものであるから定着性と耐ブロッキング性に優れ、かつ寒冷時において電源投入直後の下部ローラーが充分に加熱されていない状態でも優れた定着性が得られるものの、記録材が厚みのある80g/m2 の転写紙や120g/m2 の転写紙に定着する場合には、定着時に下部ローラー(加圧ローラー)側からの熱が記録材に奪われてしまうことから特に定着スピードが速い定着条件で定着した場合に、トナーに対して充分に熱が付与されなくなり、また、熱の付与も均一でなくなるため、定着性が低下し、定着画像の画像濃度が低下する傾向にあり、さらに改良すべき点を有している。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決した静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。
【0020】
本発明の目的は、トナーの小粒径化及びこれに伴う着色剤(特に磁性体)の含有量が増大しても良好な定着性を示す静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。
【0021】
本発明の目的は、再生紙を含めた多種多様な転写紙に対しても良好に定着し得る静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。
【0022】
本発明の目的は、低速から高速複写機に至るまで、良好に対応し得、定着性が良好であり、かつ耐オフセット性,耐ブロッキング性,流動性にすぐれた静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。
【0023】
本発明の目的は、ハーフトーン部分においてもすぐれた定着性を示し、かつ、良画質の定着画像を得ることのできる静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。
【0024】
本発明の目的は、低速から高速複写機に至るまで、カブリがなく、高濃度のコピー画像が得られる静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。
【0025】
本発明の目的は、80g/m2 以上の厚みの厚い転写紙に対しても良好な定着性を有し、かつ、定着スピードがより高速となり、かつ更に厚みの厚い120g/m2 以上の転写紙に対しても良好な定着性を有する静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供するものである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明の構成により達成される。
【0027】
本発明は、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有している静電荷像現像用トナーにおいて、該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、(a)損失弾性率と貯蔵弾性率の比(G’’/G’=tanδ)が1.0となる温度が55〜70℃の温度領域に存在し、かつ、そのときの弾性率が1.5×108Pa以下であり、(b)温度40℃における貯蔵弾性率(G’40)と温度50℃における貯蔵弾性率(G’50)の比(G’40/G’50)が1.8〜4.0であり、(c)貯蔵弾性率(G’50)と温度60℃における貯蔵弾性率(G’60)との比(G’50/G’60)が3〜20であり、(d)温度70℃における貯蔵弾性率(G’70)と温度100℃における貯蔵弾性率(G’100)の比(G’70/G’100)が50〜250であり、(e)温度110℃における貯蔵弾性率(G’110)と温度140℃における貯蔵弾性率(G’140)の比(G’110/G’140)が2〜20であることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。
【0028】
さらに本発明は、静電潜像保持体に保持されている静電潜像をトナーにより現像し、トナー画像を形成する現像工程、該トナー画像を記録材に転写する転写工程及び該記録材に転写されたトナー画像を加熱定着手段により該記録材に加熱定着する定着工程、を有する画像形成方法において、該トナーは、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有しており、
該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、(a)損失弾性率と貯蔵弾性率の比(G’’/G’=tanδ)が1.0となる温度が55〜70℃の温度領域に存在し、かつ、そのときの弾性率が1.5×108Pa以下であり、(b)温度40℃における貯蔵弾性率(G’40)と温度50℃における貯蔵弾性率(G’50)の比(G’40/G’50)が1.8〜4.0であり、(c)該貯蔵弾性率(G’50)と温度60℃における貯蔵弾性率(G’60)との比(G’50/G’60)が3〜20であり、(d)温度70℃における貯蔵弾性率(G’70)と温度100℃における貯蔵弾性率(G’100)の比(G’70/G’100)が50〜250であり、(e)温度110℃における貯蔵弾性率(G’110)と温度140℃における貯蔵弾性率(G’140)の比(G’110/G’140)が2〜20であることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0029】
上記トナーは、比(G″/G′)が1.0となる温度が58〜68℃の温度領域に存在し、そのときの弾性率が1×107 Pa〜1.3×108 Paであることが好ましい。
【0030】
上記トナーは、比(G″/G′)が1.0となる温度が59〜65℃の温度領域に存在し、そのときの弾性率が3×107 Pa〜1.0×108 Paであることが好ましい。
【0032】
上記トナーは、該貯蔵弾性率(G′40)と該貯蔵弾性率(G′50)との比(G′40/G′50)が2.0〜3.5であることが好ましい。
【0033】
上記トナーは、該貯蔵弾性率(G′50)と該貯蔵弾性率(G′60)との比(G′50/G′60)が4〜15であることが好ましい。
【0034】
上記トナーは、該貯蔵弾性率(G′50)と該貯蔵弾性率(G′60)との比(G′50/G′60)が5〜10であることが好ましい。
【0035】
上記トナーは、該貯蔵弾性率(G′70)と該貯蔵弾性率(G′100 )との比(G′70/G′100 )が60〜240であることが好ましい。
【0036】
上記トナーは、該貯蔵弾性率(G′70)と該貯蔵弾性率(G′100 )との比(G′70/G′100 )が70〜220であることが好ましい。
【0037】
上記トナーは、該貯蔵弾性率(G′110 )と該貯蔵弾性率(G′140 )との比(G′110 /G′140 )が2.5〜18であることが好ましい。
【0038】
上記トナーは、該貯蔵弾性率(G′110 )と該貯蔵弾性率(G′140 )との比(G′110 /G′140 )が3〜15であることが好ましい。
【0039】
上記結着樹脂は、芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットを有するブロック共重合体を含有していることが好ましい。
【0040】
上記ブロック共重合体は、全結着樹脂に対して10重量%以上、該結着樹脂に含有されていることが好ましい。
【0041】
上記ブロック共重合体は、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーをパーオキサイド基を分子内に2個以上有し、各々のパーオキサイド基の開裂反応が起る10時間半減温度の差が5℃以上であるラジカル重合開始剤を用いて、重合反応温度を5℃以上変えてラジカル重合に合成されたものであることが好ましい。
【0042】
上記結着樹脂は、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーを下記化学式(1)又は(2)
【0043】
【外7】
Figure 0003817348
〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕で示されるラジカル重合開始剤を用いて、重合反応温度を5℃以上変えてラジカル重合して合成された共重合体を含有していることが好ましい。
【0044】
上記結着樹脂は、(i)芳香族ビニルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー混合物と、下記化学式(1)又は(2)
【0045】
【外8】
Figure 0003817348
〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕で表わされるラジカル重合開始剤を含むモノマー組成物を50〜120℃で重合反応を行なう第1の重合反応工程;(ii)(メタ)アクリル酸エステルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で1:20〜1:1で混合したモノマー混合物を再度添加して第1の重合反応よりも5℃以上高い温度で重合反応を行なう第2の重合反応工程;を有する少なくとも2段階の異なる温度で重合反応する工程を経て合成された共重合体を含有していることが好ましい。
【0046】
上記結着樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸エステルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で1:20〜1:1で混合したモノマー混合物と、下記化学式(1)又は(2)
【0047】
【外9】
Figure 0003817348
〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕で表わされるラジカル重合開始剤を含むモノマー組成物を50〜120℃で重合反応を行なう第1の重合反応工程;(ii)芳香族ビニルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー混合物を再度添加して温度55℃以上で重合反応する工程;からなる少なくとも2段階の異なる温度で重合反応する工程を経て合成された共重合体を含有していることが好ましい。
【0048】
上記結着樹脂は、2,500〜50,000の数平均分子量(Mn)及び10,000〜1,500,000の重量平均粒子量(Mw)を有していることが好ましい。
【0049】
上記トナーは、該トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量12,000〜40,000の領域及び分子量50,000〜1,200,000の領域にそれぞれピークを有していることが好ましい。
【0051】
上記静電潜像保持体は、電子写真用感光体であることが好ましい。
【0052】
上記加熱定着手段は、加熱ローラー及び加圧ローラーを有する加熱加圧ローラー定着装置であることが好ましい。
【0053】
【発明の実施の形態】
本発明者の検討によれば、着色剤(特に磁性体)の含有量が増加し、小粒径化したトナーで熱ロール定着器を用いて良好な定着性と耐ブロッキング性を両立させ、かつ寒冷時においても複写機の電源投入直後から良好な定着性を示し、さらに、厚さの厚い記録材に対して速い定着スピードであっても良好な定着性を示すトナーを得るためには、特定なレオロジー特性を有する結着樹脂あるいはトナーを用いることが重要である。
【0054】
従来から知られているレオロジー特性では、厚みが比較的薄い転写紙を用いて定着器を通過した際に転写紙全体が等しく加熱される様な状態での定着性に関するものであり、厚みが厚い転写紙を用いた場合の様に、転写紙が定着器を通過しても転写紙全体が等しく加熱されにくい状態での定着性の向上も要望されている。
【0055】
本発明のトナーは、損失弾性率と貯蔵弾性率の比(G″/G′)が1.0となる温度が温度55〜70℃の領域に存在し、かつそのときの弾性率が1.5×108 Pa以下となる。
【0056】
本発明者の検討によれば、比G′/G″が1.0となる温度はG′及びG″の物理的な意味を考えれば当然のことではあるが、トナーに含有される結着樹脂が実質的に熱変形を開始する温度であり、この温度での弾性率は熱変形の大小を示すものである。比G′/G″が1.0となる温度は55〜70℃、好ましくは58〜68℃、さらに好ましくは59〜65℃の領域にあることがよく、そのときの弾性率は1.5×108 Pa以下、好ましくは3×107 Pa〜1.3×108 Pa、更に好ましくは3×107 Pa〜1.0×108 Paであることが良い。
【0057】
G′/G″が1.0となる温度が55℃未満となる場合にはトナーの保存性が損われ、70℃を超える場合にはトナーの定着性が損われる。G′/G″が1.0となる温度での弾性率が1.5Paを超える場合にはその温度によらず定着性が損われることがあり好ましくない。
【0058】
G′40/G′50、G′50/G′60、G′70/G′100 及びG′110 /G′140 は、各々、トナーに含有される結着樹脂が実質的にガラス状態、ガラス転移状態及び溶融状態の貯蔵弾性率の温度依存性を示し、本発明者の検討によれば、これとトナーの定着性とは密接な関係がある。すなわち、転写紙上のトナーが定着器を通過して加熱定着される際に、トナーの熱変形を容易にし、定着を確実に行うにはトナーに含有される結着樹脂がガラス状態からガラス転移状態、さらに溶融に至る一連の相変化を滑らかに行う必要がある。この結着樹脂の状態の変化は貯蔵弾性率の温度依存性を測定することで知ることができる。ガラス状態にある結着樹脂の貯蔵弾性率の温度依存性がないか、小さい場合にはガラス状態からガラス転移状態、さらに溶融への移行が貯蔵弾性率の急激な変化としてあらわれ、トナーの定着という観点からは定着器の微妙な温度のふれ、異なる種類の転写紙を用いた場合には、転写紙の差異による熱の伝達速度差による影響を大きく受け、極端な場合には転写紙上の最上層の定着ローラーと接触するトナーのみが溶融するだけで、下層のトナーは全く溶融せず実質的に未定着状態となる。
【0059】
本発明において、G′40/G′50は1.8〜4.0であることが良く、好ましくは2.0〜3.5であることが良い。G′40/G′50が1.5未満となる場合には安定した定着性を示すトナーが得られず、G′40/G′50が5.0を超える場合にはトナーの保存性が損われる場合があり好ましくない。
【0060】
本発明において、G′50/G′60は3〜20であることが良く、好ましくは4〜15、更に好ましくは5〜10であることが良い。G′50/G′60が3未満となる場合には100g/m2 以上の厚手の転写紙を用いた場合に定着不良となる場合があり、G′50/G′60が20を超える場合にはトナーの保存性が損われる場合があり好ましくない。
【0061】
本発明において、G′70/G′100 は50〜250であることが良く、好ましくは60〜240、更に好ましくは70〜220であることが良い。G′70/G′100 が50未満となる場合には100g/m2 以上の厚みの厚い転写紙を用いた場合に定着不良となる場合があり、G′70/G′100 が250を超える場合には45g/m2 以下の厚みの薄い転写紙を用いた場合にホットオフセットを生じる場合があり好ましくない。
【0062】
本発明において、G′110 /G′140 は2〜20であることが良く、好ましくは2.5〜18、更に好ましくは3〜15であることが良い。G′110 /G′140 が2未満となる場合には100g/m2 以上の厚みの厚い転写紙を用いた場合に充分な定着性が得られない場合があり、G′110 /G′140 が20を超える場合には100g/m2 以上の厚みの厚い転写紙を用いてもホットオフセットを生じる場合があり好ましくない。
【0063】
本発明において、上記の特定のレオロジー特性を有するトナーの結着樹脂としては、芳香族ビニルモノマーユニットと(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットを有するブロック共重合体を含有することが好ましい。
【0064】
このブロック共重合体は、全結着樹脂に対して10重量%以上、好ましくは、25重量%以上、より好ましくは、45重量%以上トナーに含有されていることが良い。
【0065】
このブロック共重合体としては、下記の4つの形態がある。
【0066】
(i)芳香族ビニルモノマーユニットのみによって構成されるブロックと(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットのみによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体。
【0067】
(ii)芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックと(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットのみによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体。
【0068】
(iii)芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックと芳香族ビニルモノマーユニットのみによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体。
【0069】
(iv)芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックと芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体。
【0070】
上記のような芳香族ビニル(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体、芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーをパーオキサイド基を分子内に2個以上有し、各々のパーオキサイド基の開裂反応が起る10時間半減期温度の差が5℃以上、好ましくは7℃以上、さらに好ましくは10℃以上であるラジカル重合開始剤を用いて重合温度差5℃以上、好ましくは7℃以上、さらに好ましくは10℃以上変えてラジカル重合して合成することが可能である。
【0071】
このようなパーオキサイド基を2個以上有するラジカル重合開始剤としては、下記化合式(1)〜()で表わされるものが挙げられる。
【0072】
【外10】
Figure 0003817348
〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕
【0073】
化学式(1)で表わされるラジカル重合開始剤としては、例えば以下の例示化合物(1−1)〜(1−4)を挙げることができる。
【0074】
【外11】
Figure 0003817348
【0075】
化学式(2)で表わされるラジカル重合開始剤としては、例えば以下の例示化合物(2−1)〜(2−7)を挙げることができる。
【0076】
【外12】
Figure 0003817348
【0081】
化学式(1)〜()で表わされるラジカル重合開始剤(以下、本発明に係る重合開始剤とする)を用いて重合体を製造するにあたっては、全モノマー100重量部に対して0.01〜10重量部使用することができる。
【0082】
化学式(1)〜()で表わされる重合開始剤は、2種以上併用することができるし、或いは、以下に挙げるラジカル重合開始剤と併用することもできる。
【0083】
化学式(1)〜()で表わされる重合開始剤と併用することができるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2−2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
【0084】
これらの重合開始剤で好ましく用いられるものとしては、具体的には、ベンゾイルパーオキシド、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシドの如き有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼンの如きアゾおよびジアゾ化合物が利用出来る。
【0085】
本発明に係る重合開始剤はパーオキサイド基を分子内に2個以上有するものであり、各々のパーオキサイド基の開裂反応が起る温度を10時間半減期温度(以下、反応温度とする)で表わした場合に、第1のパーオキサイド基の反応温度(以下、反応温度1とする)と第2のパーオキサイド基の反応温度(以下、反応温度2とする)が5℃以上の温度差となるものであり、好ましくは7℃以上、更に好ましくは10℃以上となる場合である。温度差が5℃未満となる場合には生成する重合体が実質的にランダム共重合体となり、本発明のトナーの有する特定な粘弾性挙動を示すことが困難となる。
【0086】
本発明に係る重合開始剤を用いて重合体を製造するにあたっては大別すると次の2方法により行うことができる。
【0087】
1)芳香族ビニルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー組成物と、本発明に係る重合開始剤を混合し、反応温度1を基準にして±20℃の任意の反応温度で重合し、次に(メタ)アクリル酸エステルモノマー単独または(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー組成物を添加し、第1段階の反応温度より5℃以上高い温度で重合する。
【0088】
2)(メタ)アクリル酸エステルモノマー単独または(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー組成物と、本発明に係る重合開始剤を混合し、反応温度1を基準にして±20℃の任意の反応温度で重合し、次に芳香族ビニルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー組成物を添加し、第1段階の反応温度より5℃以上高い温度で重合する。
【0089】
化学式(1)〜(4)で表わされる重合開始剤を2個以上併用する場合は、各々の重合開始剤の反応温度1及び反応温度2をもとにして2点以上の反応温度で重合体を製造することができる。
【0090】
本発明のトナーの結着樹脂のガラス転移温度は40〜80℃、好ましくは、45〜80℃、さらに好ましくは55〜70℃であることが良い。トナーの結着樹脂の数平均分子量(Mn)は2,500〜50,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜20,000であることが良い。トナーの結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,500,000であることが好ましく、より好ましくは25,000〜1,250,000である。
【0091】
トナーの結着樹脂のガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの低温定着性は若干改良されるもの、耐ブロッキング性が悪化し好ましくなく、80℃を超える場合には、トナーの低温定着性が著しく悪化する場合があり好ましくない。
【0092】
トナーの結着樹脂の数平均分子量(Mn)が2500未満の場合、又は重量平均分子量(Mw)が10000未満の場合には、いずれも耐オフセット性及び/又は耐ブロッキング性が悪化する場合があり好ましくなく、数平均分子量(Mn)が50000を超える場合、又は重量平均分子量(Mw)が1500000を超える場合には、いずれも低温定着性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0093】
トナーをテトラヒドロフランに溶解し、その濾液(THF可溶分)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布測定において、分子量12,000〜40,000、好ましくは13,000〜38,000、より好ましくは15,000〜35,000の低分子量領域、及び分子量50,000〜1,200,000、好ましくは80,000〜1,100,000、より好ましくは100,000〜1,000,000の高分子量領域にそれぞれピークを有していることが好ましい。特に分子量12,000〜40,000の領域に存在するピークがメインピークであることが好ましい。
【0094】
トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量12,000〜40,000の低分子量領域にピークが存在するものの、分子量50,000〜1,200,000の高分子量領域にピークが存在せず、分子量40,000より大きく50,000未満の領域にピークが存在する場合には、低温定着性は若干改良される可能性があるものの、耐オフセット性が悪化する場合があり好ましくなく、分子量12,000〜40,000の低分子量領域にピークが存在するものの、分子量50,000〜1,200,000の高分子量領域にピークが存在せず、分子量1,200,000を超える領域に存在する場合には、耐オフセット性は改良される可能性があるものの、低温定着性が悪化する場合があり好ましくない。
【0095】
トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量50,000〜1,200,000の高分子量領域にピークが存在するものの、分子量12,000〜40,000の低分子量領域にピークが存在せず、分子量12,000未満の領域にピークが存在する場合には、低温定着性は若干改良される可能性があるものの、耐ブロッキング性、耐オフセット性ともに悪化する場合があり好ましくなく、分子量50,000〜1,200,000の高分子量領域にピークが存在するものの、分子量12,000〜40,000の領域にピークが存在せず、分子量40,000より大きく50,000未満の領域にピークが存在する場合には、耐オフセット性は改良される可能性があるものの、低温定着性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0096】
トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量12,000〜40,000の低分子量領域のみにピークが存在する場合には、耐オフセット性が著しく損なわれる場合があり好ましくなく、分子量50,000〜1,200,000の高分子量領域のみにピークが存在する場合には、定着性が損なわれる場合があり好ましくない。
【0097】
本発明において、トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布測定において、分子量45,000以下の低分子量領域の面積(L)と、分子量45,000より大きい高分子量領域の面積(H)との比が(L):(H)=1:9〜9.5:0.5、好ましくは2:8〜9:1、より好ましくは3:7〜8.5:1.5の範囲にあることが好ましい。
【0098】
この面積化において、低温分子量領域(L)が1に対して、高分子量領域(H)が9を超える場合には、耐オフセット性が向上するものの、低温定着性が低下する場合があり好ましくない。低分子量領域(L)が9.5に対して、高分子量領域(H)が0.5未満の場合には、低温定着性は若干改良される可能性があるものの、耐オフセット性、耐ブロッキング性ともに損なわれ好ましくない。
【0099】
本発明に係る重合開始剤を用いて製造される芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステルブロック重合体の分子量は、重量平均分子量(Mw)が5000〜200万であり、数平均分子量(Mn)が2000〜100万であり、Mw/Mnが100以下であることが良く、好ましくはMwが1万〜120万であり、Mnが5000〜70万であり、Mw/Mnが70以下であり、更に好ましくはMwが1万5000〜70万であり、Mnが7000〜50万であり、Mw/Mnが1.5〜40であることが良い。
【0100】
Mwが5000未満の場合又は、Mnが2000未満の場合には、本発明のトナーのレオロジー特性を達成することが難しく、Mwが200万を超える場合又はMnが100万を超える場合には、本発明の目的である多種多様な紙種に対する良好な定着性を満足することが難しく、Mw/Mnが100を超える場合にはトナーの耐ブロッキング性が悪くなる場合がある。
【0101】
本発明に係る重合開始剤で製造される重合体は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法及び乳化重合法いずれの製造法によっても製造することができるが、好ましくは溶液重合法及び懸濁重合法により製造することである。
【0102】
本発明に係るブロック共重合体に用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンが挙げられるが、好ましくはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンである。
【0103】
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしてはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルが挙げられるが、好ましくはアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルである。
【0104】
本発明において、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体は、他のモノマーユニットを上記(i)〜(iv)の4つの形態で説明した各ブロックに含有することも可能である。
【0105】
この他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン及びイソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル及び沸化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル酸;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル及びビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン及びメチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール及びN−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びアクリルアミドの如きアクリル酸誘導体もしくはメタクリル酸誘導体;後述のα,β−不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類が挙げられる。
【0106】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸及びメサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物及びアルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル及びメサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸及びジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物及びケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0107】
これらの他のモノマーは、ブロック共重合体の全モノマーユニット基準で、好ましくは、25%以下、より好ましくは、18%以下、さらに好ましくは、12%以下で含有されていることが低温定着性と耐オフセット性あるいは低温定着性と耐ブロッキング性を両立し、かつ、トナーの現像性を損なう可能性が低く好ましい。
【0108】
トナーに含有されるワックスは、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス及びモンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワクスの如き脂肪酸エステル類の一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸及び長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブランシン酸、エレオステアリン酸及びバリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール及び長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リモール酸アミド、オレイン酸アミド及びラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド及びヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド及びN,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド及びN,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0109】
本発明においてトナーは、示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、好ましくは、温度65乃至160℃の領域、より好ましくは、70〜160℃の領域、さらに好ましくは72〜155℃の領域に吸熱メインピークを有することがトナーの低温定着性及び耐オフセット性の点で好ましい。
【0110】
さらに好ましくは、トナーは、示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、温度72〜155℃の領域に吸熱メインピークと吸熱サブピーク又は吸熱ショルダーとを有していることが低温定着,耐オフセット性及び耐ブロッキング性の点で好ましい。
【0111】
このトナーのDSC曲線における吸熱メインピークが65℃未満の場合には、トナーのガラス転移温度付近での貯蔵弾性率が低くなりすぎる場合があり、トナーの耐ブロッキング性が低下し、160℃を超える場合には、トナーに含有される結着樹脂のガラス状態から溶融に至る相変化を滑らかに行うことが阻害される場合があり、トナーの低温定着性が低下する。
【0112】
トナーのDSC曲線において、温度65乃至160℃の領域に明瞭な吸熱ピークを形成するためには、使用するワックスが限定される。後述の示差走査熱量計による温度30〜200℃の範囲におけるワックスのDSC曲線において、最大吸熱ピークに対応する温度をワックスの融点と定義すると、ワックスとしては、融点が65〜160℃であるものが好ましく使用される。ワックスにおいても、トナーの低温定着性及び耐高温オフセット性を向上させるために、機能分離していることが好ましいことから、ワックスは、相対的に融点の低い低融点ワックス成分及び相対的に融点の高い高融点ワックス成分の少なくとも2種類で形成されていることが好ましい。より具体的には、低融点ワックス成分は融点が65〜190℃であることが好ましく、より好ましくは融点が70〜115℃であるものが良い。高融点ワックス成分は、融点が120〜160℃であることが好ましく、より好ましくは融点が125〜155℃であり、さらに好ましくは融点が130〜150℃のものが良い。
【0113】
低融点ワックス成分の融点が65℃未満となる場合には、トナーのガラス転移温度付近での貯蔵弾性率が低くなりすぎる場合があり、トナーの耐ブロッキング性が低下する。高融点ワックス成分の融点が160℃を超える場合には、トナーに含有される結着樹脂のガラス状態から溶融に至る相変化を滑らかに行うことが阻害される場合があり、トナーの低温定着性が低下する。
【0114】
低融点ワックス成分と高融点ワックス成分とを組み合わせて使用することにより、トナーのDSC曲線に所定の吸熱メインピーク及び吸熱サブピーク又はショルダーを好適に形成することができる。
【0115】
更に好ましくはワックスは、低融点ワックス成分と高融点ワックス成分とからなり、低融点ワックス成分及び高融点ワックス成分は
下記条件
【0116】
【外15】
Figure 0003817348
〔式中、TMLは低融点ワックス成分の融点を示し、TMHは高融点ワックス成分の融点を示す。〕
を満足しているのが良い。
【0117】
さらに、低融点ワックス成分の融点(TML)と高融点ワックス成分の融点(TMH)との差が30乃至90℃であることが好ましい。
【0118】
本発明のトナーに用いられるワックスにおいて、低融点ワックス成分と高融点ワックス成分の使用比率は重量比で1/19〜9/1であることが好ましく、より好ましくは1/14〜4/1であり、更に好ましくは1/9〜2/1である。上記配合割合を満足することにより、低融点ワックス成分と高融点ワックス成分の寄与によってトナーの低温定着性、耐ブロッキング性、耐オフセット性を、より向上させることが可能である。
【0119】
低融点ワックス成分及び高融点ワックス成分以外に本発明の効果を阻害しない範囲で他の第3ワックス成分を、低温定着性、耐ブロッキング性又は耐オフセット性の微妙な調整のために1種以上含有させることができる。他のワックス成分の含有量は全ワックス量に対して20重量%以下であり、融点は60〜150℃であることが好ましい。
【0120】
本発明のトナーにおいて、ワックスは結着樹脂100重量部に対して1〜20重量部含有させることが好ましく、より好ましくは2〜17重量部であり、更に好ましくは3〜15重量部である。上記含有量でワックスをトナーが含有することにより、トナーの低温定着性、耐ブロッキング性及び耐オフセット性を向上させ、さらに、トナー粒子からの遊離ワックス粒子の量を低下させることが可能である。
【0121】
本発明において、好ましく用いられる低融点ワックス成分としては、分岐の少ない長鎖アルキル基を有する炭化水素ワックスが挙げられる。具体的にはアルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマーワックス;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマーワックス;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られるポリメチレンの炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素のワックスがよい。更に、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものがより好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されるポリメチレンワックスが挙げられる。さらに、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、あるいはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られるワックスが挙げられる。
【0122】
上記長鎖アルキル基は末端の一部が水酸基及び酸基から誘導される官能基(例えばカルボキシル基、エステル基、エトキシ基、スルホニル基等)で置換されていてもよい。長鎖アルキルアルコールは例えば、次の製法により得られる。エチレンをチーグラー触媒を用いて重合し重合終了後、酸化して、触媒金属とポリエチレンとのアルコキシドを生成する。この後、加水分解することにより、長鎖アルキルアルコールを得る。この様にして得られた長鎖アルキルアルコールは、分岐が少なくて小さく、さらに分子量分布がシャープであり、本発明の目的にそったものである。
【0123】
本発明において好ましく用いられる高融点ワックス成分としては、分岐の少ないより長鎖のアルキル基を有する炭化水素ワックス及びエチレン・プロピレン共重合体が挙げられる。具体的には、例えばアルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマーワックス;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマーワックス;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られるポリメチレンの炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素のワックスがよい。
【0124】
上記長鎖アルキル基は末端の一部が水酸基及び水酸基から誘導される官能基(例えばカルボキシル基、エステル基、エトキシ基、スルホニル基等)で置換されていてもよく、スチレン(メタ)アクリル酸(エステル)、無水マレイン酸等と共重合体を形成していても良い。
【0125】
本発明において好ましく用いられる低融点ワックス成分は300〜2,000の重量平均分子量を有することが好ましく、より好ましくは350〜1,800である。低融点ワックス成分のMw/Mnは2.8以下、好ましくは2.3以下であるのが良い。高融点ワックス成分は1,000〜25,000の重量平均分子量を有し、好ましくは1,500〜20,000、さらに好ましくは2,000〜180,000であるのが良い。高融点ワックス成分のMw/Mnは20以下、好ましくは15以下であるのが良い。これら条件を満足しているワックスは、本発明の重合体を結着樹脂として含有するトナーの低温定着性、耐ブロッキング性及び耐オフセット性、をより向上させることができる。
【0126】
本発明において好ましく用いられる低融点ワックス成分と高融点ワックス成分の組合せとしては、例えば以下に挙げる組合せがある。
【0127】
(1)低融点炭化水素ワックス成分と高融点ワックス成分の組合せ:
低融点炭化水素ワックス成分は分岐の少ない長鎖アルキル基を有し、融点が70〜90℃であり、重量平均分子量が400〜1,500であり、Mw/Mnが1.5〜2であるものが良い。
【0128】
高融点ワックス成分は分岐の少ない長鎖アルキル基を有する炭化水素ワックスまたはポリエチレン・プロピレン共重合体であり、融点が120〜160℃であり、重量平均分子量が1,500〜20,000であり、Mw/Mnが2〜15であるものが良い。
【0129】
(2)低融点炭化水素ワックス成分と高融点置換アルキルワックス成分の組合せ:
低融点ワックス成分は、上記(1)で示した低融点炭化水素系ワックス成分と同様のものを使用する。
【0130】
高融点置換アルキルワックス成分は分岐の少ない長鎖アルキル基を有し、末端もしくは分子内の一部に水素原子以外の置換基を有し、置換基としては水酸基及び/またはカルボキシル基であり、置換基を有するアルキル成分が全ワックス中の50重量%以上含有されるものが好ましい。さらに高融点置換アルキルワックス成分は、融点が120〜150℃であり、重量平均分子量が1,000〜10,000であり、Mw/Mnが1.5〜2.5であるものが好ましい。
【0131】
(3)低融点置換アルキルワックス成分と高融点ワックス成分の組合せ:
低融点置換アルキル系ワックスは分岐の少ない長鎖アルキル基を有し、末端もしくは分子内の一部に水素原子以外の置換基を有し、置換基は水酸基及び/またはカルボキシル基であり、置換基を有するアルキル成分が全ワックス中の40重量%以上含有されているものが好ましい。低融点置換アルキルワックスは融点が80〜115℃であり、重量平均分子量が400〜1,500であり、Mw/Mnが1.5〜2.5であるものが良い。
【0132】
高融点ワックス成分は、前記(1)で示した高融点ワックスと同様のものを使用できる。
【0133】
(4)低融点置換アルキル系ワックスと高融点置換アルキルワックスの組合せ:
低融点置換アルキル系ワックスは、上記(3)で示した低融点アルキル系ワックスと同様のものを使用できる。
【0134】
高融点置換アルキル系ワックスは、前記(2)で示した高融点置換アルキル系ワックスと同様のものを使用できる。
【0135】
本発明のトナーにおいて、所定のレオロジー的特性を効率良く発現させるためには、結着樹脂及びワックスの選択と組合せが重要であり、更に結着樹脂とワックスとの適切な混合が重要である。すなわち、結着樹脂及びワックスが適切に選択されたとしても、これらの混合が不適切な方法でなされた場合には、本来の良好なレオロジー的な特性を発揮することができないからである。
【0136】
本発明のトナーにおいて好ましく用いられる結着樹脂とワックスの混合方法を以下に説明する。
【0137】
本発明のトナーにおいて、その粘弾性的な特徴を発現させるためには、低弾性率結着樹脂成分と高弾性率結着樹脂成分と高融点ワックス成分と低融点ワックス成分とを併せて用いることであり、種々の方法により混合される。
【0138】
一般的には粉砕した個々のワックスを結着樹脂及び着色剤(磁性体)とヘンシェルミキサーの如き混合機で攪拌混合したのちに溶融混練することにより混合する。ワックスの低融点成分、高融点成分及び必要に応じて第3のワックス成分をあらかじめ溶融混合しても良い。他のワックスの添加方法としては結着樹脂を有機溶剤に加熱溶解し、その後ワックスを添加し、溶剤を蒸発乾固する方法が挙げられる。さらに、有機溶剤を用いずに結着樹脂を加熱溶融しワックスを添加する方法がある。これらの方法によりワックスを結着樹脂中に添加する場合には、ワックスはあらかじめ低融点ワックス成分,高融点ワックス成分及び必要に応じて第3のワックス成分を溶融混合したものを使用することができる。他のワックスの添加方法は結着樹脂の合成工程でワックスを添加する方法である。この場合でもワックスはあらかじめ溶融混合し成分を調整したものを用いることができる。他のワックスの添加方法としては、低融点ワックス成分のみを結着樹脂にあらかじめ添加する方法である。具体的には結着樹脂のみを加熱溶融し低融点ワックス成分を添加する方法、結着樹脂を有機溶剤に加熱溶解し低融点ワックス成分を添加後、有機溶剤を蒸発乾固する方法及び結着樹脂の合成工程で低融点ワックス成分を添加する方法である。この場合には、高融点ワックス成分は低融点ワックス成分を含有する結着樹脂,着色剤(磁性体)とヘンシェルミキサーの如き混合機で攪拌混合したのちに溶融混練することによりトナーに添加される。
【0139】
本発明の静電荷像現像用トナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いても良い。荷電制御剤は、結着樹脂100重量部当り0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部使用するのが好ましい。
【0140】
荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
【0141】
例えば有機金属錯体、キレート化合物、有機金属塩が挙げられる。具体的には、モノアゾ金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸化合物の金属錯体又は金属塩が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその無水物、そのエステル類;ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
【0142】
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0143】
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe34 )、三二酸化鉄(γ−Fe23 )、酸化鉄亜鉛(ZnFe24 )、酸化鉄イットリウム(Y3 Fe512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24 )、酸化鉄ガドリニウム(Gd3 Fe5 −O12)、酸化鉄銅(CuFe24 )、酸化鉄鉛(PbFe12−O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe24 )、酸化鉄ネオジム(NdFe23 )、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24 )、酸化鉄マンガン(MnFe24 )、酸化鉄ランタン(LaFeO3 )、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0144】
これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2μm(より好ましくは0.1〜0.5μm)で、10Kエルステッド印加での磁気特性が抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200emu/g(好ましくは50〜100emu/g)、残留磁化2〜20emu/gのものが好ましい。
【0145】
結着樹脂100重量部に対して、磁性体10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部使用するのが良い。
【0146】
磁性体の他に、着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイトやその他の顔料及び/又は染料を用いることができる。例えば本発明のトナーを磁性カラートナーとして使用する場合には、染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6がある。顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGがある。
【0147】
本発明のトナーを二成分系現像剤用又は一成分系現像剤用の非磁性フルカラートナーとして使用する場合には、着色剤として、次の様なものが挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。
【0148】
上記顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28の塩基性染料が挙げられる。
【0149】
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又は次式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
【0150】
【外16】
Figure 0003817348
【0151】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。
【0152】
非磁性カラートナーにおいて、着色剤の使用量は結着樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部好ましくは0.5〜50重量部である。
【0153】
本発明のトナーに流動性向上剤を添加(特に外添)しても良い。流動性向上剤は、トナーに添加することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン,処理アルミナがある。
【0154】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0155】
SiCl2 +2H2 +O2 →SiO2 +4HCl
【0156】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタンの他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0157】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0158】
Figure 0003817348
【0159】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0160】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0161】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチレントリクロルシラン、ρ−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0162】
流動性向上剤として、前述した乾式法シリカを、次に挙げるアミノ基を有するカップリング剤或いは、アミノ基を有するシリコーンオイルで処理した正帯電性疎水性シリカを使用しても良い。
【0163】
【外17】
Figure 0003817348
【0164】
【外18】
Figure 0003817348
【0165】
シリコーンオイルとしては一般に次式の側鎖にアミノ基を有する部分構造を具備しているアミノ変性シリコーンオイルなどが用いられる。
【0166】
【外19】
Figure 0003817348
(式中、R1 は水素、アルキル基、アリール基、又はアルコキシ基を表わし、R2 はアルキレン基又はフェニレン基を表わし、R3 及びR4 は水素、アルキル基又はアリール基を表わす。但し、上記アルキル基、アリール基、アルキレン基、フェニレン基はアミンを含有していても良いし、また帯電性を損ねない範囲でハロゲン等の置換基を有していても良い。m及nは正の整数を示す。)
【0167】
そのようなアミノ基を有するシリコーンオイルとしては例えば以下のものがある。
【0168】
Figure 0003817348
【0169】
アミン当量とは、アミン1個あたりの当量(g/eqiv)で、分子量を1分子あたりのアミン数で割った値である。
【0170】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2 /g以上、好ましくは50m2 /g以上のものが良好な結果を与える。トナー100重量部に対して流動性向上剤0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜4重量部使用するのが良い。
【0171】
本発明の静電荷像現像用トナーを作製するには結着樹脂、着色剤及び/又は磁性体、荷電制御剤またはその他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級して本発明のトナーを得ることができる。
【0172】
本発明のトナーは、重量平均粒径3乃至9μm(より好ましくは、3〜8μm)を有することが解像性,画像濃度の点で好ましく、小粒径トナーであっても良好に加熱加圧定着され得る。
【0173】
さらに、流動性向上剤とトナーをヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができる。
【0174】
本発明のトナーのレオロジー特性の測定及びその他の物性の測定方法を以下に示す。
【0175】
(1)トナー及び結着樹脂のレオロジー特性の測定
粘弾性測定装置(レオメーター)RDA−II型(レオメトリックス社製)を用いて測定を行う。
【0176】
測定治具:弾性率が高い場合には直径7.9mm、弾性率が低い場合には直径25mmのパラレルプレートを使用する。
【0177】
測定試料:トナーまたは結着樹脂を加熱,溶融後に直径約8mm,高さ2〜5mmの円柱状試料または直径約25mm,厚さ2〜3mmの円盤状試料に成型して使用する。
【0178】
測定周波数:6.28ラジアン/秒
測定歪の設定:初期値を0.1%に設定し、自動測定モードにて測定を行う。
【0179】
試料の伸長補正:自動測定モードにて調整。
【0180】
測定温度:25℃より150℃までの毎分1℃の割合で昇温する。
【0181】
測定結果の例を図1に示す。
【0182】
(2)ワックスの融点測定
示差測定熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0183】
測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。
【0184】
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0185】
この昇温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線のメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0186】
この吸熱メインピークの温度をもってワックスの融点とする。
【0187】
(3)トナーのDSC曲線の測定
上記ワックスの融点の測定と同様にして、トナーの昇温過程におけるDSC曲線を測定する。
【0188】
(4)結着樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0189】
測定資料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
【0190】
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0191】
この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0192】
このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0193】
(5)ワックスの分子量分布の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
【0194】
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0195】
(6)重合体、トナーの結着樹脂及びトナーのTHF可溶分の分子量分布の測定
GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0196】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料が結着樹脂原料の場合は、結着樹脂原料をロールミルに素通し(130℃,15分)したものを用いる。試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料用約を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102 ,2.1×103 ,4×103 ,1.75×104 ,5.1×104 ,1.1×105 ,3.9×105 ,8.6×105 ,2×106 ,4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0197】
カラムとしては、103 〜2×106 の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103 ,104 ,105 の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
【0198】
次に本発明の画像形成方法に関して説明する。
【0199】
図2及び図3を参照しながら、本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の一例について説明する。一次帯電器2で静電荷像保持体(感光体)1表面を負極性又は正極性に帯電し、アナログ露光又はレーザ光による露光5により静電潜像(例えば、イメージスキャニングによりデジタル潜像)を形成し、磁性ブレード11と、磁極N1 ,N2 ,S1 及びS2 を有する磁石23を内包している現像スリーブ4とを具備する現像器9の磁性トナー13で静電潜像を反転現像又は正規現像により現像する。現像領域において感光体1の導電性基体16と現像スリーブ4との間で、バイアス印加手段12により交互バイアス,パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。磁性トナー像は、中間転写体を介して、又は、介さずに転写材へ転写される。記録材Pが搬送されて、転写部にくると転写帯電器3により記録材Pの背面(感光体側と反対面)から正極性又は負極性の帯電をすることにより、感光体表面上の負荷電性磁性トナー像または正荷電性磁性トナー像が記録材P上へ静電転写される。除電手段22で除電後、感光体1から分離された記録材Pは、ヒータ21を内包している加熱加圧ローラー定着器7により記録材P上のトナー画像は、加熱加圧定着される。
【0200】
転写工程後の感光体1に残留する磁性トナーは、クリーニングブレード8を有するクリーニング手段で除去される。クリーニング後の感光体1は、イレース露光6により除電され、再度、一次帯電器2により帯電工程から始まる工程が繰り返される。
【0201】
静電荷像保持体(例えば感光ドラム)1は感光層15及び導電性基体16を有し、矢印方向に動く。トナー担持体としての非磁性円筒の現像スリーブ4は、現像部において静電荷像保持体1表面と同方向に進むように回転する。非磁性の円筒状の現像スリーブ4の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)23が回転しないように配されている。現像器9内の磁性トナー13は現像スリーブ4に塗布され、かつ現像スリーブ4の表面と磁性トナー粒子との摩擦によって、磁性トナー粒子はトリボ電荷が与えられる。さらに鉄製の磁性ドクターブレード17を円筒状の現像スリーブ4の表面に近接して(間隔50μm〜500μm)、多極永久磁石の一つの磁極位置に対向して配置することにより、磁性トナー層の厚さを薄く(30μm〜300μm)且つ均一に規制して、現像領域における感光体1と現像スリーブ4の間隙と同等又は間隙よりも薄い磁性トナー層を形成する。現像スリーブ4の回転速度を調節することにより、現像スリーブ表面速度が感光体1の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度となるようにする。磁性ドクターブレード17として鉄のかわりに永久磁石を用いて対向磁極を形成してもよい。現像領域において現像スリーブ4に交流バイアスまたはパルスバイアスをバイアス手段12により印加してもよい。この交流バイアスはfが200〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであれば良い。
【0202】
現像部における磁性トナー粒子の転移に際し、感光体面の静電的力及び交流バイアスまたはパルスバイアスの作用によって磁性トナー粒子は静電荷像側に移行する。
【0203】
磁性ブレード11のかわりに、シリコーンゴムの如き弾性材料で形成された弾性ブレードを用いて押圧によって磁性トナー層の層厚を規制し、現像スリーブ上に磁性トナーを塗布しても良い。
【0204】
図5は、本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の他の例を示す。
【0205】
一次帯電手段としての接触(ローラー)帯電手段119により静電荷像保持体としての感光ドラム101の表面を負極性に帯電し、レーザー光の露光115によるイメージスキャニングによりデジタル潜像が感光ドラム101上に形成される。トナー層厚規制部材としての弾性規制ブレード111を有し、多極永久磁石105が内包されているトナー担持体としての現像スリーブ108が具備されている現像装置によって、上記のデジタル潜像が、ホッパー103内の磁性トナー104によって反転現像される。図5に示すように、現像領域Dにおいて感光ドラム101の導電性基体は接地されており、現像スリーブ108にはバイアス印加手段109により交互バイアス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。記録材Pが搬送されて転写部に来ると、転写手段としての接触(ローラー)転写手段113により記録材Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段114で帯電されることにより、感光ドラム101の表面上に形成されているトナー画像が接触転写手段113で記録材P上へ転写される。感光ドラム101から分離された記録材Pは、定着手段としての加熱加圧ローラー定着器117に搬送され、該定着器117によって記録材P上のトナー画像の定着処理がなされる。
【0206】
転写工程後の感光ドラム101に残留する磁性トナー104は、クリーニングブレード118aを有するクリーニング手段118で除去される。残留する磁性トナー104が少ない場合にはクリーニング工程を省くことも可能である。クリーニング後の感光ドラム101は、必要によりイレース露光116により除電され、再度、一次帯電手段としての接触(ローラー)帯電手段119による帯電工程から始まる上記工程が繰り返される。
【0207】
上記の一連の工程において、感光ドラム(即ち、静電潜像保持体)101は感光層及び導電性基体を有するものであり、矢印方向に動く。トナー担持体である非磁性の円筒の現像スリーブ108は、現像領域Dにおいて感光ドラム101の表面と同方向に進むように回転する。現像スリーブ108の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)105が回転しないように配されている。現像剤容器103内の磁性トナー104は、現像スリーブ108上に塗布されて担持され、且つ現像スリーブ108の表面との摩擦及び/又は磁性トナー同士の摩擦によって、例えば、マイナスのトリボ電荷が与えられる。更に、弾性規制ブレード111を現像スリーブ108を弾性的に押圧する様に設け、トナー層の厚さを薄く(30〜300μm)且つ均一に規制して、現像領域Dにおける感光ドラム101と現像スリーブ108との間隙よりも薄いトナー層を形成させる。現像スリーブ108の回転速度を調整することによって、現像スリーブ108の表面速度が感光ドラム101の表面の速度と実質的に等速、若しくはそれに近く速度となるようにする。現像領域Dにおいて、現像スリーブ108に現像バイアス電圧として、交流バイアス又はパルスバイアスをバイアス印加手段109により印加してもよい。この交流バイアスはfが200〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであればよい。現像領域Dにおける磁性トナーの転移に際し、感光ドラム101の表面の静電気力、及び交流バイアス又はパルスバイアスの如き現像バイアス電圧の作用によって、磁性トナーは静電潜像側に移転する。
【0208】
上述の本発明の画像形成装置をファクシミリのプリンターに適用する場合には、光像露光Lは受信データをプリントするための露光になる。図6はこの場合の1例をブロック図で示したものである。
【0209】
コントローラー131は画像読取部130とプリンター139を制御する。コントローラー131の全体はCPU137により制御されている。画像読取部からの読取データは、送信回路133を通して相手局に送信される。相手局から受けたデータは受信回路132を通してプリンター139に送られる。画像メモリには所定の画像データが記憶される。プリンタコントローラー138はプリンター139を制御している。134は電話である。
【0210】
回線135から受信された画像(回線を介して接続されたリモート端末からの画像情報)は、受信回路132で復調された後、CPU137は画像情報の複号信号を行い順次画像メモリ136に格納される。そして、少なくとも1ページの画像がメモリ136に格納されると、そのページの画像記録を行う。CPU137は、メモリ136より1ページの画像情報を読み出しプリンタコントローラー138に複合化された1ページの画像情報を送出する。プリンタコントローラー138は、CPU137からの1ページの画像情報を受け取るとそのページの画像情報記録を行うべく、プリンタ139を制御する。
【0211】
尚、CPU137は、プリンタ139による記録中に、次のページの受信を行っている。
【0212】
以上の様に、画像の受信と記録が行われる。
【0213】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明する。
【0214】
本発明の重合体の製造:
(製造例1)
精製したキシレン200重量部を、還流管,撹拌機,温度計,窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に投入した後に窒素を通気しながら100℃まで加熱し、第1段階の重合反応として、スチレンモノマー78重量部、ラジカル重合開始剤として例示化合物(2−5)2.3重量部及びキシレン100重量部からなる第1のモノマー組成物を2時間かけて滴下し、その温度で8時間保持した。次に第2段階の重合反応として、反応容器を120℃まで加熱してアクリル酸ブチルモノマー22重量部及びキシレン50重量部からなる第2のモノマー組成物を1時間かけて滴下し、その温度で5時間保持し重合反応を終了し、重合体(1)のキシレン溶液を得た。
【0215】
得られた重合体(1)のキシレン溶液から減圧下でキシレンを留去することにより重合体(1)の固形物を得た。
【0216】
得られた重合体(1)は、Mw=18900、Mn=9800、Mw/Mn=1.9、Tg=61.8℃であった。
【0217】
得られた重合体(1)の1 H−NMRスペクトルを測定したところ、図7に示す様な結果を得た。これを図8に示す比較製造例1のランダム共重合体からなる重合体(19)の1 H−NMRスペクトルと比較したところ、重合体(1)では一部、ランダム共重合体が生成しているが、同時にアクリル酸ブチルモノマーユニットのみから構成されるブロック重合体に起因すると推定される新たなシグナルを3.8ppm付近に検出した。
【0218】
(製造例2)
第1段階の重合反応としてモノマーをスチレンモノマー70重量部、マレイン酸モノブチルモノマー8重量部とし、第2段階の重合反応としてアクリル酸ブチルモノマー22重量部とした以外は製造例1と同様にして、重合体(2)を得た。
【0219】
得られた重合体(2)は、Mw=19900、Mn=8100、Mw/Mn=2.5であり、Tg=62.4℃であった。
【0220】
(製造例3)
第1段階の重合反応としてアクリル酸ブチルモノマー22重量部、例示化合物(2−5)2.3重量部及びキシレン80重量部からなる第1のモノマー組成物を用い、第2段階の重合反応としてスチレンモノマー78重量部及びキシレン50重量部からなる第2のモノマー組成物を用いた以外は製造例1と同様にして、重合体(3)を得た。
【0221】
得られた重合体(3)は、Mw=29100、Mn=12400、Mw/Mn=2.4、Tg=62.8℃であった。
【0224】
(製造例5)
ラジカル重合開始剤として例示化合物(1−2)1重量部と例示化合物(1−3)1.5重量部を用いて、第1段階の重合反応を75℃で6時間行ない、第2段階の重合反応を105℃で7時間行なった以外は製造例1と同様にして、重合体(5)を得た。
【0225】
得られた重合体(5)は、Mw=16900、Mn=7700、Mw/Mn=2.2、Tg=59.7℃であった。
【0228】
(製造例7)
第1段階の重合反応において、第1のモノマー組成物のモノマーをスチレン57重量部とアクリル酸ブチルモノマー6重量部に変更し、第2段階の重合反応において、第2のモノマーを組成物のモノマーをスチレンモノマー20重量部とアクリル酸ブチルモノマー17重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、重合体(7)を得た。
【0229】
得られた重合体(7)は、Mw=23400、Mn=9100、Mw/Mn=2.6、Tg=58.2℃であった。
【0234】
(製造例10)
モノマーとしてスチレンモノマー70重量部に変更し、ラジカル重合開始剤の使用量を0.07重量部に変更した第1のモノマー組成物を用いて、第1段階の重合反応を82℃で12時間行なった後、反応容器の温度を95℃として10時間反応を行なった後、製造例1と同様にして第2段階の重合反応を行なって重合体(10)を得た。
【0235】
得られた重合体(10)は、Mw=381000、Mn=148000、Mw/Mn=2.6であり、Tg=54.1℃であった。
【0240】
(製造例13)
モノマーとしてスチレンモノマー68重量部とマレイン酸モノブチルモノマー4重量部に変更した第1のモノマー組成物を用いて第1段階のラジカル重合を行なった以外は製造例10と同様にして、重合体(13)を得た。
【0241】
得られた重合体(13)は、Mw=473000、Mn=169000、Mw/Mn=2.8、Tg=57.9℃であった。
【0242】
(製造例14)
製造例10で得た重合体(10)50重量部をキシレン400重量部に溶解して反応容器に投入した以外は製造例1と同様にして、重合体(14)を得た。
【0243】
得られた重合体は、Mw=103000、Mn=9700、Mw/Mn=10.6、Tg=56.3℃であった。
【0249】
(製造例17)
製造例1において、重合反応を行う前にキシレン200重量部に融点69.3℃の炭化水素系ワックスを14重量部添加した以外は同様にして重合反応を行うことにより、炭化水素ワックスを含有する重合体(17)を得た。
【0250】
得られた重合体(17)は、Mw=23100、Mn=7900、Mw/Mn=2.9、Tg=60.3℃であった。
【0253】
(製造例19)
製造例1において、ラジカル重合開始剤量を5重量部とした以外は同様にして重合反応を行うことにより、重合体(19)を得た。
【0254】
得られた重合体(19)はMw=11300、Mn=4500、Mw/Mn=2.5、Tg=60.1℃であった。
【0255】
(比較製造例1)
精製したキシレン200重量部を、還流管,撹拌機,温度計,窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に投入した後に窒素を通気しながら110℃まで加熱し、スチレンモノマー78重量部、アクリル酸ブチルモノマー22重量部、ラジカル重合開始剤として例示化合物(2−5)2.3重量部及びキシレン100重量部からなるモノマー組成物を2時間かけて滴下し、その温度で8時間保持して重合反応を終了することで重合体(20)を得た。
【0256】
得られた重合(20)は、Mw=13200、Mn=5700、Mw/Mn=2.3、Tg=60.4℃であった。
【0257】
得られた重合(20)の1 H−NMRスペクトルを測定したところ図8に示すような結果を得た。
【0258】
(比較製造例2)
スチレンモノマー78重量部、アクリル酸ブチルモノマー22重量部及びラジカル重合開始剤として例示化合物(2−5)0.15重量部からなるモノマー組成物を、0.1重量%のポリビニルアルコールを含む脱気した脱イオン水250重量部をいれたオートクレーブに投入し、90℃で8時間重合反応を行ない、次に110℃まで加熱して3時間反応を行なって重合体(21)を得た。
【0259】
得られた重合体(21)は、Mw=426000、Mn=164000、Mw/Mn=2.6であり、Tg=60.9℃であった。
【0260】
(比較製造例3)
ラジカル重合開始剤を過酸化ベンゾイル3重量部とした以外は比較製造例1と同様にして比較用重合体(22)を得た。
【0261】
得られた重合体(22)は、Mw=12100、Mn=5900、Mw/Mn=2.1、Tg=60.1℃であった。
【0264】
(実施例1)
重合体(1) 70重量部
懸濁重合法により製造したスチレン・アクリル酸ブチル共重合体(Mw=511000、Mw/Mn=2.6、Tg=61.3℃) 30重量部
【0265】
上記の樹脂混合物を有機溶剤に溶解し均一な溶液状態とし、減圧下有機溶剤を留去して結着樹脂組成物(A)を得た。
【0266】
得られた結着樹脂組成物(A)は、ガラス転移温度61.6℃、数平均分子量(Mn)12200、重量平均分子量(Mw)149000であった。
【0267】
(a)結着樹脂組成物(A) 100重量部
(b)磁性体:(平均粒径0.2μm) 90重量部
(c)モノアゾ金属錯体:(負荷電性制御剤) 2重量部
(d)ワックス:ポリプロピレンワックス(エチレンを約5重量%共重合したワックス;融点135℃、Mw=8500、Mn=1100) 4重量部
【0268】
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、130℃で二軸混練押出機によって溶融混練を行なった。混練物を放冷後、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕し、更に風力分級機を用いて分級し、重量平均粒径6.4μmの負帯電性絶縁性磁性トナー粒子(磁性トナー)を得た。この磁性トナー粒子100重量部に対し、負帯電性疎水性乾式シリカ(BET比表面積300m2 /g)1.0重量部をヘンシェルミキサーにて外部添加して磁性トナー(1)とした。
【0269】
得られたトナーは、トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量18200にメインピークを及び分子量413000にサブピークを有していた。
【0270】
この磁性トナーのレオロジー特性を測定するためにトナーを加熱,溶融し、直径約8mm,高さ3mmの円柱状試料を作製し、常法に従って直径7.9mmのセレイテッド型のパラレルプレート上に固定し、貯蔵弾性率及び損失弾性率の温度依存性を測定した。弾性率の温度依存性の測定結果を図1に示す。
【0271】
ワックスの分散性を評価するために上記磁性トナーを光学顕微鏡に偏光板をとりつけて低倍率(約30倍)で一視野中の約500個のトナー粒子を観察したところ、遊離したワックスの存在を示す輝点は視野に9〜10点みられるだけであり良好であった。
【0272】
この磁性トナーを図5に示すデジタル複写機(キヤノン製GP−215)に用いて10万枚の連続画出し耐久を行なった。
【0273】
デジタル複写機においては、直径30mmのアルミニウム製シリンダー上にOPC感光層を有する感光ドラムに、一次帯電器で−700Vに帯電し、レーザ光によってイメージスキャンニングによりデジタル潜像を形成し、4極の磁極(現像磁極は950ガウス)を有する固定磁石を内包している現像スリーブにより摩擦帯電された負帯電性絶縁性磁性トナーで反転現像した。
【0274】
現像スリーブには、直流バイアス−600V及び交流バイアスVpp800V(1800Hz)を印加した。感光ドラム上の磁性トナー像を転写手段によって普通紙に静電転写し、普通紙を除電して後に普通紙を感光ドラムから分離し、普通紙上の磁性トナー像を加熱ローラー及び加圧ローラーを有する加熱加圧手段で定着した。
【0275】
画像濃度は耐久初期(1〜10枚目)で1.4、10万枚耐久終了時点で1.43とほとんど変化せず、ライン画像の飛散,太りの如き画質変化もなく良好であった。10万枚耐久終了時点でOPC感光ドラム上を詳細に観察したとろこ、遊離したワックスの付着もみられずOPC感光ドラム表面にも目立つ損傷はみられなかった。画像上にはOPC感光ドラム表面の損傷に起因すると推定される画像欠陥はなかった。
【0276】
次にデジタル複写機の定着器をとりはずし、外部駆動装置をとりつけ150mm/秒で定着ローラーを回転させ、温度制御装置をとりつけて、100〜250℃の範囲で定着ローラーの温度を変えられる様に改造した。定着テストは温度3〜5℃に制御された恒温槽内で実施し、定着ローラーが槽内温度と一致したのを確認後に電源を投入し、上部ローラー(加熱ローラー)が130℃に達した直後に60g/m2 の転写紙を用いて定着テストを行なった。次に転写紙を50g/m2 ,80g/m2 及び120g/m2 と順次変えて定着テストを実施した。
【0277】
以上の様な定着テストの結果、60g/m2 で濃度定価率17%であり、50g/m2 ,80g/m2 及び120g/m2 の各転写紙を用いた場合の濃度低下率は、9%,21%及び24%と実用上問題ないレベルであった。50℃に温度制御された恒温槽内に20日間放置して耐ブロッキング性試験を行なったところ、流動性の変化はみられず良好であった。
【0278】
(実施例2)
ワックスを融点69℃の炭化水素系ワックス2重量部と実施例1で用いた融点135℃のポリプロピレンワックス3重量部とを溶融混合して調製した低融点ワックスと高融点ワックスの均一混合物を使用した以外は、実施例1と同様にして磁性トナー(2)を得た。トナーの物性及び評価結果を表1及び2に示す。
【0279】
(実施例3)
結着樹脂組成物(A)に代えて、重合体(1)70重量部と重合体(13)30重量部とを有機溶剤に溶解して均一に混合した後に有機溶剤を留去して調製した結着樹脂組成物(B)を用いた以外は、実施例1と同様にして磁性トナー(3)を得た。トナーの物性及び評価結果を表1及び2に示す。
【0280】
(実施例4)
ワックスを実施例2で用いたものを使用した以外は、実施例3と同様にして磁性トナー(4)を得た。トナーの物性及び評価結果を表1及び2に示す。
【0290】
(実施例8)
実施例1で結着樹脂組成物(A)の調製に用いた重合性に代えて、以下に示す重合体を用いて調製した結着樹脂組成物(F)を用いた以外は実施例4と同様にして磁性トナー(8)を得た。
【0291】
Figure 0003817348
【0292】
トナーの物性及び評価結果を表1及び2に示す。
【0293】
(実施例9)
実施例1で結着樹脂組成物(A)の調製に用いた重合体に代えて、以下に示す重合体を用いて調製した結着樹脂組成物(G)を用いた以外は実施例4と同様にして磁性トナー(9)を得た。
【0294】
Figure 0003817348
【0295】
トナーの物性及び評価結果を表1及び2に示す。
【0302】
(実施例12)
実施例1で結着樹脂組成物(A)の調製に用いた重合体(1)のかわりに重合体(19)を用いて調製した結着樹脂組成物(J)を用いた以外は、実施例1と同様にして磁性トナー(12)を得た。
【0303】
トナーの物性及び評価結果を表1及び2に示す。
【0304】
(比較例1)
実施例1で結着樹脂組成物(A)の調製に用いた重合体(1)のかわりに重合体(20)を用いて調製した結着樹脂組成物(K)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用トナー(1)を得た。
【0305】
この磁性トナーのレオロジー特性を測定するためにトナーを加熱,溶融し、直径約8mm,高さ3mmの円柱状試料を作製し、常法に従って直径7.9mmのセレイテッド型のパラレルブレード上に固定し、貯蔵弾性率及び損失弾性率の温度依存性を測定した。弾性率の温度依存性の測定結果を図4に示す。
【0306】
実施例1と同様にして比較用トナー(1)を評価したところ、表1及び2に示す様に明らかに劣るものであった。
【0308】
(比較例3)
実施例1で結着樹脂組成物(A)の調製に用いた重合体(1)及び懸濁重合法により製造したスチレン・アクリル酸ブチル共重合体に代えて、重合体(22)、70重量部と重合体(21)30重量部を用いて調製した結着樹脂組成物(L)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用トナー(3)を得た。トナーの物性及び評価結果を表1及び2に示す。
【0309】
(比較例4)
実施例1で結着樹脂組成物(A)の調製に用いた重合体(1)及び懸濁重合法により製造したスチレン・アクリル酸ブチル共重合体に代えて重合体(20)70重量部と重合体(22)30重量部を用いて調製した結着樹脂組成物(M)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用トナー(4)を得た。トナーの物性及び評価結果を表1及び2に示す。
【0310】
評価方法について以下に説明する。
【0311】
定着性評価(加熱ローラー表面温度110℃)
加熱ローラーの表面温度110℃で、50g/m2 、60g/m2 、80g/m2 、及び120g/m2 の各転写紙を用いて作成したトナーの未定着画像を定着し、定着画像を50g/cm2 の荷重をかけたシルボン紙〔lens cleaning paper “dasper(R)”(Ozu paper Co.,Ltd.)〕で10回擦り、擦り前後の濃度低下率を測定した。
【0312】
ランク10…濃度低下率 1%未満
ランク 9…濃度低下率 1〜 5%
ランク 8…濃度低下率 6〜10%
ランク 7…濃度低下率 11〜15%
ランク 6…濃度低下率 16〜20%
ランク 5…濃度低下率 21〜25%
ランク 4…濃度低下率 26〜30%
ランク 3…濃度低下率 31〜35%
ランク 2…濃度低下率 36〜40%
ランク 1…濃度低下率 41%以上
【0313】
耐オフセット性(加熱ローラーの表面温度210℃)
加熱ローラーの表面温度210℃で、50g/m2 及び120g/m2 の各転写紙を用いて作成したトナーの未定着画像を定着し、トナーが加熱ローラー表面にトナーが移行しているか否かで評価した。
【0314】
ランク5…トナーが移行せず
ランク4…ごく軽微の量のトナーが移行
ランク3…軽微の量のトナーが移行
ランク2…トナーの移行が明瞭
ランク1…紙が加熱ローラーにまきつく
【0315】
耐ブロッキング試験(温度50℃,20日間)
約20gのトナーを100mlのポリカップに入れ、50℃で10日間放置した後、目視で評価した。
【0316】
ランク5…変化なし
ランク4…凝集体があるが、すぐにほぐれる
ランク3…ほぐれにくい
ランク2…流動性なし
ランク1…ケーキング
【0317】
ベタ黒部最大画像濃度(エッジ効果のない部分の最大画像濃度)は、Macbeth RD918(マクベス社製)にて測定した。
【0318】
トナーにおけるワックス分散性の評価
トナーを光学顕微鏡に偏光板をとりつけ低倍率(例えば50〜100倍)で観察し、トナー粒子300個当りでトナー粒子から遊離しているワックス粒子の存在を示す輝点の数を測定した。
【0319】
ランク5…偏光板を通して輝点なし
ランク4…1〜10個の輝点
ランク3…11〜20個の輝点
ランク2…21〜50個の輝点
ランク1…51個以上の輝点がある。
【0320】
【表1】
Figure 0003817348
【0321】
【表2】
Figure 0003817348
【0322】
【発明の効果】
本発明の静電荷像現像用トナーは、転写紙の厚みが厚い紙であっても低温定着性,耐オフセット性,耐ブロッキング性及び多数枚耐久性等に優れているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーのレオロジー特性を示すグラフである。
【図2】本発明のトナーが適用し得る画像形成装置の一例を示す説明図である。
【図3】図2に示す画像形成装置の現像部の拡大図を示す。
【図4】比較用トナーのレオロジー特性を示すグラフである。
【図5】本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の他の例を示す説明図である。
【図6】本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置をファクシミリ装置のプリンターに適用する場合のブロック図を示す。
【図7】製造例1で製造した重合体(1)の1 H−NMRのスペクトルのチャートを示す図である。
【図8】比較製造例1で製造した重合体(20)の1 H−NMRスペクトルのチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 静電荷像保持体
2 一次帯電器
3 転写帯電器
4 現像スリーブ
5 露光
6 イレース露光
7 加熱加圧ローラー定着器
8 クリーニングブレード
9 現像器
11 磁性ブレード
12 バイアス印加手段
13 磁性トナー
15 感光層
16 導電性基体
17 磁性ドクターブレード
21 ヒータ
22 除電手段
23 多極永久磁石
101 感光ドラム
103 現像剤容器
104 一成分系現像剤
105 多極永久磁石
108 現像スリーブ
109 バイアス印加電圧
111 弾性規制ブレード
113 接触(ローラー)転写手段
114 電圧印加手段
115 露光
116 イレース露光
118 加熱加圧ローラー定着器
118a クリーニングブレード
119 接触(ローラー)帯電手段
120 現像手段
P 被記録材

Claims (38)

  1. 結着樹脂、着色剤及びワックスを含有している静電荷像現像用トナーにおいて、
    該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    (a)損失弾性率と貯蔵弾性率の比(G’’/G’=tanδ)が1.0となる温度が55〜70℃の温度領域に存在し、かつ、そのときの弾性率が1.5×10Pa以下であり、
    (b)温度40℃における貯蔵弾性率(G’40)と温度50℃における貯蔵弾性率(G’50)の比(G’40/G’50)が1.8〜4.0であり、
    (c)貯蔵弾性率(G’50)と温度60℃における貯蔵弾性率(G’60)との比(G’50/G’60)が3〜20であり、
    (d)温度70℃における貯蔵弾性率(G’70)と温度100℃における貯蔵弾性率(G’100)の比(G’70/G’100)が50〜250であり、
    (e)温度110℃における貯蔵弾性率(G’110)と温度140℃における貯蔵弾性率(G’140)の比(G’110/G’140)が2〜20であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    比(G’’/G’)が1.0となる温度が58〜68℃の温度領域に存在し、
    そのときの弾性率が1×10Pa〜1.3×10Paであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    比(G’’/G’)が1.0となる温度が59〜65℃の温度領域に存在し、
    そのときの弾性率が3×10Pa〜1.0×10Paであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’40)と該貯蔵弾性率(G’50)との比(G’40/G’50)が2.0〜3.5であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’50)と該貯蔵弾性率(G’60)との比(G’50/G’60)が4〜15であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’50)と該貯蔵弾性率(G’60)との比(G’50/G’60)が5〜10であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’70)と該貯蔵弾性率(G’100)との比(G’70/G’100)が60〜240であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’70)と該貯蔵弾性率(G’100)との比(G’70/G’100)が70〜220であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’110 )と該貯蔵弾性率(G’140)との比(G’110/G’140)が2.5〜18であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’110 )と該貯蔵弾性率(G’140)との比(G’110/G’140)が3〜15であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  11. 該結着樹脂は、芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットを有する(i)芳香族ビニルモノマーユニットのみによって構成されるブロックと(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットのみによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体。(ii)芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックと(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットのみによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体、(iii)芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックと芳香族ビニルモノマーユニットのみによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体、(iv)芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックと芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体、の(i)〜(iv)からなるグループから選択されるブロック共重合体を含有していることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  12. 該ブロック共重合体は、全結着樹脂に対して10重量%以上、該結着樹脂に含有されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  13. 該ブロック共重合体は、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーをパーオキサイド基を分子内に2個以上有し、各々のパーオキサイド基の開裂反応が起る10時間半減温度の差が5℃以上であるラジカル重合開始剤を用いて、重合反応温度を5℃以上変えてラジカル重合に合成されたものであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  14. 結着樹脂は、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーを下記化学式(1)又は(2)
    【外1】
    Figure 0003817348
    〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕で示されるラジカル重合開始剤を用いて、重合反応温度を5℃以上変えてラジカル重合して合成された共重合体を含有していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  15. 該結着樹脂は、(i)芳香族ビニルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー混合物と、下記化学式(1)又は(2)
    【外2】
    Figure 0003817348
    〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕で表わされるラジカル重合開始剤を含むモノマー組成物を50〜120℃で重合反応を行なう第1の重合反応工程;
    (ii)(メタ)アクリル酸エステルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で1:20〜1:1で混合したモノマー混合物を再度添加して第1の重合反応よりも5℃以上高い温度で重合反応を行なう第2の重合反応工程;を有する少なくとも2段階の異なる温度で重合反応する工程を経て合成された共重合体を含有していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  16. 該結着樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸エステルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で1:20〜1:1で混合したモノマー混合物と、下記化学式(1)又は(2)
    【外3】
    Figure 0003817348
    〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕で表わされるラジカル重合開始剤を含むモノマー組成物を50〜120℃で重合反応する工程;
    (ii)芳香族ビニルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー混合物を再度添加して温度55℃以上で重合反応する工程;からなる少なくとも2段階の異なる温度で重合反応する工程を経て合成された共重合体を含有していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  17. 該結着樹脂は、2,500〜50,000の数平均分子量(Mn)及び10,000〜1,500,000の重量平均粒子量(Mw)を有していることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  18. 該トナーは、該トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量12,000〜40,000の領域及び分子量50,000〜1,200,000の領域にそれぞれピークを有していることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  19. 静電潜像保持体に保持されている静電潜像をトナーにより現像し、トナー画像を形成する現像工程、
    該トナー画像を記録材に転写する転写工程及び該記録材に転写されたトナー画像を加熱定着手段により該記録材に加熱定着する定着工程、を有する画像形成方法において、
    該トナーは、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有しており、
    該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    (a)損失弾性率と貯蔵弾性率の比(G’’/G’=tanδ)が1.0となる温度が55〜70℃の温度領域に存在し、かつ、そのときの弾性率が1.5×10Pa以下であり、
    (b)温度40℃における貯蔵弾性率(G’40)と温度50℃における貯蔵弾性率(G’50)の比(G’40/G’50)が1.8〜4.0であり、
    (c)該貯蔵弾性率(G’50)と温度60℃における貯蔵弾性率(G’60)との比(G’50/G’60)が3〜20であり、
    (d)温度70℃における貯蔵弾性率(G’70)と温度100℃における貯蔵弾性率(G’100)の比(G’70/G’100)が50〜250であり、
    (e)温度110℃における貯蔵弾性率(G’110)と温度140℃における貯蔵弾性率(G’140)の比(G’110/G’140)が2〜20であることを特徴とする画像形成方法。
  20. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    比(G’’/G’)が1.0となる温度が58〜68℃の温度領域に存在し、そのときの弾性率が1×10Pa〜1.3×10Paであることを特徴とする請求項19に記載の画像形成方法。
  21. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    比(G’’/G’)が1.0となる温度が59〜65℃の温度領域に存在し、そのときの弾性率が3×10Pa〜1.0×10Paであることを特徴とする請求項19に記載の画像形成方法。
  22. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’40)と該貯蔵弾性率(G’50)との比(G’40/G’50)が2.0〜3.5であることを特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載の画像形成方法。
  23. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’50)と該貯蔵弾性率(G’60)との比(G’50/G’60)が4〜15であることを特徴とする請求項19乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
  24. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’50)と該貯蔵弾性率(G’60)との比(G’50/G’60)が5〜10であることを特徴とする請求項19乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
  25. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’70)と該貯蔵弾性率(G’100)との比(G’70/G’100)が60〜240であることを特徴とする請求項19乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
  26. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’70)と該貯蔵弾性率(G’100)との比(G’70/G’100)が70〜220であることを特徴とする請求項19乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
  27. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’110)と該貯蔵弾性率(G’140)との比(G’110/G’140)が2.5〜18であることを特徴とする請求項19乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
  28. 該トナーは、測定周波数6.28ラジアン/秒において、
    該貯蔵弾性率(G’110)と該貯蔵弾性率(G’140)との比(G’110/G’140)が3〜15であることを特徴とする請求項19乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
  29. 該結着樹脂は、芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットを有する(i)芳香族ビニルモノマーユニットのみによって構成されるブロックと(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットのみによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体。(ii)芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックと(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットのみによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体、(iii)芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックと芳香族ビニルモノマーユニットのみによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体、(iv)芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックと芳香族ビニルモノマーユニット及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットによって構成されるブロックとを有するブロック共重合体、の(i)〜(iv)からなるグループから選択されるブロック共重合体を含有していることを特徴とする請求項19乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
  30. 該ブロック共重合体は、全結着樹脂に対して10重量%以上、該結着樹脂に含有されていることを特徴とする請求項19乃至29のいずれかに記載の画像形成方法。
  31. 該ブロック共重合体は、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーをパーオキサイド基を分子内に2個以上有し、各々のパーオキサイド基の開裂反応が起る10時間半減温度の差が5℃以上であるラジカル重合開始剤を用いて、重合反応温度を5℃以上変えてラジカル重合に合成されたものであることを特徴とする請求項19乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
  32. 結着樹脂は、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーを下記化学式(1)又は(2)
    【外4】
    Figure 0003817348
    〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕で示されるラジカル重合開始剤を用いて、重合反応温度を5℃以上変えてラジカル重合して合成された共重合体を含有していることを特徴とする請求項19乃至31のいずれかに記載の画像形成方法。
  33. 該結着樹脂は、(i)芳香族ビニルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー混合物と、下記化学式(1)又は(2)
    【外5】
    Figure 0003817348
    〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕で表わされるラジカル重合開始剤を含むモノマー組成物を50〜120℃で重合反応を行なう第1の重合反応工程;
    (ii)(メタ)アクリル酸エステルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で1:20〜1:1で混合したモノマー混合物を再度添加して第1の重合反応よりも5℃以上高い温度で重合反応を行なう第2の重合反応工程;を有する少なくとも2段階の異なる温度で重合反応する工程を経て合成された共重合体を含有していることを特徴とする請求項19乃至31のいずれかに記載の画像形成方法。
  34. 該結着樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸エステルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で1:20〜1:1で混合したモノマー混合物と、下記化学式(1)又は(2)
    【外6】
    Figure 0003817348
    〔式中、R,R,R,R,R 及びR 、炭素数2〜30の直鎖、分岐または環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、これらは同じであっても相互に異なっていてもよい。〕で表わされるラジカル重合開始剤を含むモノマー組成物を50〜120℃で重合反応する工程;
    (ii)芳香族ビニルモノマー単独または芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重量比で20:1〜1:1で混合したモノマー混合物を再度添加して温度55℃以上で重合反応する工程;からなる少なくとも2段階の異なる温度で重合反応する工程を経て合成された共重合体を含有していることを特徴とする請求項19乃至31のいずれかに記載の画像形成方法。
  35. 該結着樹脂は、2,500〜50,000の数平均分子量(Mn)及び10,000〜1,500,000の重量平均粒子量(Mw)を有していることを特徴とする請求項19乃至34のいずれかに記載の画像形成方法。
  36. 該トナーは、該トナーのTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量12,000〜40,000の領域及び分子量50,000〜1,200,000の領域にそれぞれピークを有していることを特徴とする請求項19乃至35のいずれかに記載の画像形成方法。
  37. 該静電潜像保持体は、電子写真用感光体であることを特徴とする請求項19乃至36のいずれかに記載の画像形成方法。
  38. 該加熱定着手段は、加熱ローラー及び加圧ローラーを有する加熱加圧ローラー定着装置であることを特徴とする請求項19乃至37のいずれかに記載の画像形成方法。
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