本発明の現像方法は、潜像担持体上に形成された静電潜像に対して、該潜像担持体に当接あるいは圧接した現像ローラに担持されたトナーを付与して、トナー像として顕像化する、すなわち現像する方法であり、トナーが結着樹脂と着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有し、該トナーの周波数6.28rad/秒で測定される動的粘弾性特性において、損失正接(tanδ)が70〜110℃の温度範囲に極小値と極大値を有し、140〜200℃の温度範囲にも極大値を有し、さらに、140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×104〜2.0×105dN/m2であること、および、現像ローラが径0.050mmにおける円形スライシング特性値X(φ0.050)が0.8〜2.4μmの範囲にあることを特徴とする。なお、以下において、特に断らない限り、動的粘弾性特性は周波数6.28rad/秒で測定したものである。なお、本発明では、Y℃で測定した貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδ(=G”/G’)を示すときはそれぞれ「G’(Y℃)」、「G”(Y℃)」、「tanδ(Y℃)」と記載する。円形スライシング特性値について下記に記載している。
なお、本明細書における現像ローラの円形スライシング特性値X(φM)とは、現像ローラの外周面上で、三次元光学プロファイラーシステム(ZYGO社製、商品名:NewView5010)により50倍の対物レンズを用いてエリア面積0.1mm四方以上、スキャン高さ200μmでFilledプロットを測定し、得られたプロット上に、径Mmmの円を描き、その円に沿って、全円周(πMmm)における断面曲線f(x)の絶対値の平均から求めた断面曲線の算術平均高さ(X)である。なお、ローラ形状からのたわみは、ベストフィット円柱表面から導き出し、数値処理により修正するものとする。
まず、本発明に使用される現像ローラの構造および本発明の現像方法を適用される具体的装置について述べる。
図1は、本発明に用いられる現像ローラの一例の模式的断面図である。
図1において、1は現像ローラであり、該現像ローラ1は、少なくとも表面が導電性である円柱状または中空円筒状の基体11上に弾性体層12が形成され、さらにその外周面に表面層13が形成されている。なお、基体11と弾性層12との間に接着層が形成されていてもよく、また、弾性層12と表面層13の間に機能性を付与する層が設けられていてもよい。さらに、それぞれの層は単層である必要はなく、必要により多層であっても構わない。なお、本発明においては、この現像ローラ表面の形状が上記の円形スライシング特性値において特定であることが肝要である。
図2は、本発明の現像方法を適用するのに好適なプロセスカートリッジを用いた画像形成装置の一例の模式図である。ここでは、説明を判り易くするため、単色、すなわち白黒印刷の画像形成装置の模式図を用いて、以下説明する。
画像形成体である感光ドラム21、帯電ローラ(帯電装置)22、現像ローラ25、供給ローラ26、トナー層厚規制部材である弾性ブレード27、撹拌羽24およびトナー28が一つのプロセスカートリッジにまとめられ、画像形成装置3の中で一体的に交換可能となっている。
帯電ローラ22で均一に帯電された感光ドラム21は矢印A方向に回転しており、帯電ローラ22と現像ローラ25との間で記録情報を乗せたレーザー光40が表面に照射されて、静電潜像が形成される。一方、撹拌羽24で供給ローラ26に送られたトナー28は弾性ブレード27によって現像ローラ25表面に均一にコートされ、感光体ドラム21表面へと運ばれ、感光体ドラム21表面上に形成されている静電潜像をトナー像として顕像化する。感光体ドラム21がさらに回転してトナー像が転写領域に到達すると、紙等の転写材33にトナー像が感光体ドラム21に対し対置された転写ローラ29により転写される。感光体ドラム21表面はクリーニングブレード30で転写材33に転写せずに残ったトナーが除去された後、帯電ローラ22で再び均一に帯電される。
転写材33に転写された未定着のトナー像は、定着装置32で圧力と熱で転写材33に定着され、画像形成装置3から排出される。
一方、現像に使用されずに現像ローラ25表面に残ったトナーは現像ローラ25表面に担持されたまま現像容器34に戻る。現像容器34の内部では供給ローラ26が現像ローラ25表面に残ったトナーを現像ローラ25表面から取り除くとともに、新しいトナーを現像ローラ25の表面に供給する。現像ローラ25表面に供給された新しいトナーは、弾性ブレード27にてその厚さが均一に整えられ、現像領域に搬送されていく。この繰り返しによって現像ローラ25上に常に新しいトナーが均一にコートされ、静電潜像を現像する。
なお、現像ローラ25は感光ドラム21と当接幅をもって接触している。また、現像容器34内で、弾性ブレード27の現像ローラ25表面との当接部に対し現像ローラ25回転方向Bの上流側で当接し、かつ、回転可能に支持されている供給ローラ26の構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や芯金上にレーヨン、ポリアミド等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ25へ新しいトナーの供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましく用いられる。そして、供給ローラ26は現像ローラ25に対し、当接幅を持ち、適当な相対速度をもたせることが好ましく、駆動手段(図示せず)により回転駆動させている。
また、感光ドラム21上のトナー像を転写材33に転写する転写ローラ29は、感光ドラム21上のトナー像を保持する領域で、転写材33の裏面から押し当てられ、感光ドラム21表面とのバイアス電圧の差で、トナー像を転写材33表面へ転写を促進する。なお、転写材33は、感光ドラム21と転写ローラ29とが回転接触している部分(転写領域)に、自動的に挿入される。
なお、ここでは、単色の例を示したが、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色それぞれのトナー像を形成するカラー画像形成装置であってもよく、その構成としても、感光体上に形成された各色のトナー像が転写ローラや転写ベルトに一旦転写されるもの、直接に転写材上に順次転写されていくもの、また、感光体が各色毎に設けられたもの、感光体が1つで各色の現像装置が担当色のトナー像形成に際し感光体に当接するように構成されたもの等種々変更可能である。
本発明の特徴は、トナーが、結着樹脂と着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーの周波数6.28rad/秒で測定した損失正接(tanδ)が70〜110℃の温度範囲に極小値および極大値を有し、140〜200℃の温度範囲にも極大値を有し、損失弾性率G”(140℃)が1.0×104〜2.0×105dN/m2であり、現像ローラが円形スライシング特性値X(φ0.050)0.8〜2.4μmの範囲にあるものであることである。
すなわち、本発明では、使用するトナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子を含有し、該トナーの周波数6.28rad/秒で測定した損失正接(tanδ)が70〜110℃の温度範囲に極小値および極大値を有し、140〜200℃の温度範囲にも極大値を有し、かつ損失弾性率G”(140℃)が1.0×104〜2.0×105dN/m2でなければならない。
トナーのG”(140℃)が1.0×104dN/m2未満である場合には、転写材表層への凹凸への追従性が優れたトナーとなるものの、トナーが柔らかすぎて、転写材自体のグロス差を反映しすぎてしまい、グロス値を適切な範囲にすることが難しい。逆に、2.0×105dN/m2を超える場合には、転写材表層への凹凸への追従性に劣るトナーとなり、転写材との定着性が低下してしまうために、保存性の良好な画像を提供することができない。
また、本発明に使用するトナーは、損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’との比である損失正接tanδ(=G”/G’)が70〜110℃の温度範囲に極大値および極小値を持つことが必要である(以下、この温度範囲における極大値および極小値をそれぞれ「極大値1」、「極小値1」と記す)。
tanδの極大値1は、バインダー樹脂がガラス状態から熱変形可能な状態へと転移することで観察され、その温度でバインダー樹脂を構成する高分子鎖のミクロブラウン運動が活発化していることを示唆している。また、tanδの極小値1は、バインダー樹脂が外部から力を加えなくても流動し変形しやすい状態にあることを示しており、その温度でトナー中の離型剤成分が染み出しやすくなっていることを示唆している。従って、tanδが極大値1を取るときの温度はtanδが極小値1を取るときの温度よりも低くなる。
tanδが極大値1を取るときの温度が70℃未満である場合には、トナー粒子が帯電部材との摺擦熱によって容易に変形し、破損してしまうため、連続運転時に帯電部材表面への融着や固着が防止できず、tanδが極小値1を取るときの温度が110℃超の場合には、離型剤であるワックスの染み出しが効果的に行われず、トナー像の転写材への定着性が低下してしまう。
さらに本発明に使用するトナーは、tanδが140〜200℃の温度範囲にも極大値を持つことが必要である(以下、この温度範囲における極大値を「極大値2」と記す)。
この温度範囲でtanδが極大値2を持つということは、測定温度上昇に伴い減少してきた貯蔵弾性率G’が、極大値2を示す温度近傍で、その減少割合が緩やかになったことを示している。これはトナーが溶融状態となる温度近傍においてG’の温度依存性を従来のものより小とすることを意味する。
なお、本発明において、動的粘弾性特性(G’、G”、tanδ)は以下のようにして測定したものである。
・測定装置:動的粘弾性測定装置ARES(商品名、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製)
・測定試料:トナーを直径約8mm、高さ約2mmの円盤状になるよう、加圧成型して測定試料とする。
・測定冶具:直径8mmの円形パラレルプレートと、駆動側に円形パラレルプレートに対応したシャローカップを使用。シャローカップの底面と円形プレートの間隙 約2mm。
・測定周波数:6.28ラジアン/秒。
・測定歪の設定:初期値を0.1%にし、その後を自動測定モードに設定。
・試料の伸長補正:自動測定モードにて調整。
・測定温度:40〜200℃。昇温2℃/分。
本発明で使用するトナーの一例の貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”について測定した結果を図3に、この結果から求めた損失正接(tanδ)について、図4に示す。
これらの図に見られるように、本発明で使用するトナーは、貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”から求めた損失正接(tanδ)では、温度範囲70〜110℃に極大値1および極小値1が存在し、温度範囲140〜200℃にも極大値2が存在する。
本発明で使用するトナーは、結着樹脂および着色剤を少なくとも含むトナー粒子を有する。
G”(140℃)およびtanδの値が好適なものであるトナーを得るためには、結着樹脂の分子量分布を調整する方法があり、具体的には、結着樹脂合成時の反応温度を調整する、開始剤種および開始剤添加量を好適なものとする等の方法が挙げられる。なお、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)で管理することが可能である。
また、結着樹脂中に粗い架橋構造を持たせ、定着温度近傍におけるG’の温度勾配を緩やかにすること、具体的には、分子量200〜300前後で両末端に二重結合を有する化合物を架橋成分として導入する、あるいは重合法によるトナー製造において金属化合物を重合反応初期に加え、単量体液滴中でごく弱い金属架橋反応を進行させる等の方法によっても良い。
本発明で使用するトナーは、粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、良好な性能、例えば、後記する平均円形度Aavgを0.960以上とするためには、粉砕処理後に分級し、あるいは分級せずに機械的、熱的処理が必要となる。
結着樹脂としては、ビニル系共重合体を主たる成分としたものであることが好ましい。ビニル系共重合体としてスチレンまたはスチレン系単量体から選択される化合物による共重合体、スチレンまたはスチレン系単量体から選択される化合物とアクリル酸エステル類から選択される化合物との共重合体等が好ましく、ビニル系共重合体が結着樹脂成分の50質量%以上、より好ましくは80質量%以上含まれることが好ましい。なお、ビニル系共重合体成分とともに使用される結着樹脂としては、特に制限されないが、電子写真装置に使用されるトナー樹脂から適宜選択して使用する。
ビニル系共重合体を主たる成分として用いることで、画像の細線再現性、濃度安定性等の画像品質を好適な状態に維持することができる。ビニル系共重合体が有する帯電特性、環境安定性、脆性等の物性が総合的に作用して、現像性、転写性を同等のレベルに維持するためであるものと推察される。
このビニル系共重合体の製造方法としては、直接重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化会合重合法、シード重合法等が挙げられるが、これらの中では、粒径と粒子形状のバランスのとりやすさという点で、特に懸濁重合法により製造することが好ましい。この懸濁重合法においては、重合性単量体に着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤含有連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し、そして重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法でトナーを製造する場合には、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、後記する平均円形度Aavgが0.960以上という要件を満たすトナーが得られやすく、さらにこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している。
さらに、懸濁重合して得られた微粒子に再度、重合性単量体と重合開始剤を添加して表面層を設けるコア・シェル構造を有するトナーも必要に応じて設計することが可能である。
ビニル系重合体の製造に使用される重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、その他のアクリロニトリル・メタクリロニトリル・アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は適宜混合して使用する。
また、結着樹脂の性能を上げるために、架橋性単量体を併用しても良く、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が、単独もしくは混合して用いられる。なお、架橋性単量体は、全単量体の0.001〜15質量%が用いられる。
本発明に係わる重合トナーの製造においては、単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル基等、親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等、重付加重合体の形で使用が可能である。
このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。5,000未満、特に4,000以下では、本重合体が表面付近に集中し易いことから、現像性や耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。また、極性重合体としては特にポリエステル系の樹脂が好ましい。
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。
これら樹脂の添加量としては、単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、20質量部を超えると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。
さらに、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることができる。
本発明では、トナーは、少なくとも上記結合樹脂に着色剤とも含有するトナー粒子が用いられる。ここで使用する着色剤としては、電子写真装置において従来からトナー用の着色剤として用いられているものが支障なく使用できる。すなわち、有機顔料、無機顔料、染料から適宜選択して使用する。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66等が使用できる。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254等が使用できる。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194等が使用できる。
黒色着色剤として、カーボンブラック、上記カラー着色剤を黒色に調色したもの等が使用できる。
これらの着色剤は、単独又は混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。
着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し通常1〜20質量部添加して用いられる。
本発明においては、上記ビニル系共重合体を重合するに際し、単量体組成物とともに、他の必要な添加剤とともに重合系にこれら着色剤を配合しておくことが好ましい。勿論、上記ビニル系共重合体を製造し、その共重合体に必要な添加剤とともに着色剤を配合し、溶融混練して固化したのち、粉砕、分級、球状化の各処理することによってもトナー粒子を得ることができる。
なお、上記着色剤は、決着樹脂への分散性を挙げるため、あるいは重合に際しての重合系への分散性を挙げるために、表面を処理しておくことも好ましい。例えば、カーボンブラックにおいては、表面官能基と反応するポリオルガノシロキサン等で処理を行う。
トナーが、カラーである場合、イエロートナーではジスアゾ系黄色顔料を、マゼンタトナーではキナクリドン系マゼンタ顔料を、また、シアントナーではフタロシアニン系シアン顔料を用いることが好ましい。
本発明では、トナーのG”(140℃)およびtanδが特定であること、すなわち、tanδが70〜110℃の温度範囲に極大値1および極小値1を有し、かつ140〜200℃の温度範囲にも極大値2を有し、G”(140℃)が1.0×104〜2.0×105dN/m2の範囲にあることが必要である。そのようなトナーは結着樹脂を適宜選択することにより達成できるが、特にビニル系共重合体の場合は重合に際し、架橋性単量体の種類および使用量、重合開始剤の種類、組合せおよび使用量、重合温度等を最適なものにすることによっても可能である。
本発明のトナー粒子を重合法で製造するに際し使用できる重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部を使用すると、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体が得られ、トナー粒子に望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。そのような重合開始剤の具体例として、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤を示すことができる。
本発明のトナー粒子を重合法により得る際に、すなわち重合性単量体中に上記着色剤と共に、離型剤、可塑剤、荷電制御剤等のトナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイサー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解または分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加するとき同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子が分散された状態が維持され、粒子の浮遊や沈降が防止される程度に撹拌して重合を行えば良い。
分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用することが望ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナーの微粒化はやや苦手であるので、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることができる。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
重合温度としては40℃以上、一般には50〜90℃の温度が適当である。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜100℃にまで上げることは可能である。
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粉体を混合し表面に付着させることで、トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、本発明の望ましい形態の一つである。
さらに、懸濁重合して得られた微粒子に再度、重合性単量体と重合開始剤を添加して表面層を設けるコア・シェル構造を有するトナーも必要に応じて設計することが可能である。
トナー粒子を粉砕法により製造する場合は、公知の方法が用いられるが、例えば、結着樹脂、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に他のトナー材料を分散又は溶解せしめ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることができる。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。
また、本発明で使用できるトナー粒子は、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法や、重合法として懸濁重合法の他にも単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法、又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等により製造が可能である。
本発明で使用できるトナー粒子には、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸のような芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部使用することが好ましい。しかしながら、本発明では必ずしも、荷電制御剤の添加は必須ではなく、弾性ブレードや現像ローラとの摩擦帯電を積極的に利用することで十分である。
トナーは、微細な静電潜像のドットを忠実に現像するためには、その平均粒径が3〜10μm、好ましくは4〜8μmであることが望ましい。
トナーの平均粒径は、コールターカウンターTA−II型(商品名、コールター社製)、コールターマルチサイザー(商品名、コールター社製)等を用いて測定可能である。
具体的には、電解水溶液100〜150mlに界面活性剤を少量加え、さらに、測定試料2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、得られた顕濁液をコールターマルチサイザー(商品名)等により100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定し、体積分布と個数分布と求める。求めた分布データより重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。
トナーとしては、上述のトナー粒子自体をそのまま使用可能であるが、必要に応じて、トナー粒子表面に外添剤として一般に知られている各種微粉末を添加する。
外添剤としては公知の無機微粉体あるいは樹脂粒子が用いうるが、帯電安定性,現像性,流動性,保存性向上のため、シリカ,アルミナ,チタニアあるいはその複酸化物の無機微粉体中から選ばれることが好ましい。なお、外添剤は、必要に応じ、疎水化、帯電性制御等の目的でシリコーンワニス,各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤で処理されてもよい。
また外添方法としては、ヘンシェルミキサー等による従来公知の方法が利用できる。
本発明において、トナーはその平均円形度Aavgが0.960〜0.995であることが好ましい。
平均円形度Aavgが1.000であるということは、下記のように、該トナーが完全な球形であることを意味し、1.000に近いほどトナー像が未定着の状態でトナーの粒子間の空隙が少なくなり、定着処理に際してトナー粒子全体に均一に熱が伝わり易い。一方、Aavgが小さくなるにつれ、トナーの歪が大きくなり、トナー像におけるトナーの粒子間の空隙にばらつきが生じやすくなり、トナー粒子への熱の伝わり方が不均一となり、結果として定着された画像にムラや剥落が生じやすい。
本発明における平均円形度Aavgは、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子株式会社製、形式:FPIA−1000)を用い、円相当径が3μm以上である粒子について、各粒子の投影像の投影面積Siおよび周囲長Liを測定し、投影面積Siと同じ面積の円の周囲長Riを当該粒子(i)の周囲長Liで除した値が当該粒子(i)の円形度Aiであり、そのAiの平均値と定義される。
すなわち、円形度Ai=Ri/Li、平均円形度Aavg=ΣAi/m(但し、mは測定した粒子の個数)である。
なお、上記算出を測定装置「FPIA−1000」に付属のプログラムにて行なったときは、円形度0.40〜1.00の範囲を61分割したクラスに分け、各分割内に入る粒子数(頻度)とその円形度の中心値を用いて平均円形度が算出されている。この算出法で算出される平均円形度の値と各粒子の円形度を直接用いて算出される平均円形度との誤差は、非常に僅かであり、実質的に無視出来る程度のものである。そのため、本発明においては、平均円形度は測定装置「FPIA−1000」での測定と同時に算出された値を用いても問題とならないので、特に断らない限り、この直接算出された値を用いた。
測定は、界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mlにトナー5mgを入れ、超音波(20kHz、50W)で5分間照射して分散液を得、その分散液中の粒子濃度を5000〜2万個/μlとなるように水にて調整した後、測定装置により行ない、得られた各粒子の投影面積Siおよび周囲長Liから円相当径が3μm以上である粒子の平均円形度Aavgを求める。
なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子についてのみ円形度Aiを測定する理由は、円相当径が3μm未満である粒子として、トナーに配合した外部添加剤が多数含まれることになり、測定対象を3μm未満に広げた場合には、その影響によりトナー粒子自体の円形度Aiが正確に見積もれないことになるからである。
上記に記載したトナーを用いる場合、現像ローラ外周面上の円形スライシング特性値X(φ0.050)が0.8〜2.4μmの範囲になければならない。
このような表面特性を有する現像ローラを用いると、トナー搬送性、具体的にはトナーコートの均一性の違いによる画像の濃淡ムラ、特に、本発明のトナーと組合せた際にその良好なグロスのためにより目立ってしまう特に微小な領域におけるガサツキを、初期、および長期に渡る連続使用時にも、実際に転写材上で見た状態を良好なレベルに保つことができる。
本発明の現像方法、および画像形成方法で使用する現像ローラにつき、図1に示した2層構成の現像ローラ1を例に説明する。
現像ローラ1は、少なくとも表面が導電性である円柱状または中空円筒状の基体11の外周面に弾性体層12が存在し、この弾性体層12の外周面に表面層13が形成されている。
基体11は、現像ローラ1への荷電に際しての電極および現像ローラ1の支持部材として機能するもので、少なくともその表面は導電性であることが必要であり、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金、クロム、ニッケル等で鍍金処理した鉄、合成樹脂などの導電性の材質で構成される。基体11は通常外径4〜10mmの範囲にあるものが好ましい。
弾性体層12は、現像ローラ1が適切なニップ幅、ニップ圧でもって感光ドラム21に接し、現像ローラ1表面に担持したトナーにより感光ドラム21面上に形成した静電潜像をトナー像として現像する際に、現像ローラ1が感光ドラム21表面に対して均一に接触し、かつ、トナーが適切な帯電と現像に資するために、適切な硬度および電気抵抗値を有する。
この弾性体層12は、通常、ゴム材の成型体により形成される。原料ゴムとしては、従来より導電性ゴムローラに用いられている種々のゴムを用いることができる。具体的には、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム等のゴムを、単独であるいは2種以上を混合して用いる。
特に、優れたセット性能が得られることから、シリコーンゴムを用いることが好ましい。シリコーンゴムとして、ポリジメチルシロキサン,ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン,ポリメチルビニルシロキサン,ポリトリフルオロプロピルビニルシロキサン,ポリメチルフェニルシロキサン,ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの共重合体等が挙げられる。なお、これらのシリコーンゴムは、平均重合度3000〜15000の範囲にあるものが好ましい。
ゴム材中には、導電剤をはじめ、非導電性充填剤,架橋剤,触媒,分散促進剤等の各種添加剤が適宜配合される。
導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム,銅,錫,ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金、酸化錫,酸化亜鉛,酸化インジウム,酸化チタン,酸化錫一酸化アンチモン固溶体,酸化錫一酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物、これらの導電性材料で被膜された絶縁性物質などの微粉末を用いることができる。このうち、カーボンブラックが、比較的容易に入手でき、良好な導電性を付与することができる。分散手段としては、ロールニーダー、バンバリーミキサー、ボールミル、サンドグラインダー、ペイントシェーカー等を適宜利用すればよい。
その他、ゴム材に導電性を付与する手段として、導電性高分子化合物を使用することも可能である。例えば、ホストポリマーとして、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェレンビニレン)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリ(ビスフェノール−A−カーボネート)、ポリビニルカルバゾール、ポリジアセチレン、ポリ(N−メチル−4−ビニルピリジン)、ポリアニリン、ポリキノリン、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)等を使用し、これらにドーパントとしてAsF5、I2、Br2、SO3、Na、K、ClO4、FeCl3、F、Cl、Br、I、Krの各イオン、Li、TCNQ等をドープしたものが用いられる。
非導電性充填剤としては、珪藻土,石英粉末,乾式シリカ,湿式シリカ,酸化チタン,酸化亜鉛,アルミノケイ酸,炭酸カルシウム等が挙げられる。
シリカとしては、特に制限がなく、従来から公知のものを広く使用でき、例えば、上述した乾式法による無水ケイ酸、湿式法による含水ケイ酸、合成ケイ酸塩等が使用できる。なお、弾性体層に含有されるシリカ量は、その弾性体層の硬度やその他特性を出すために適宜決定すれば良いが、接着性への寄与のためには、シリコーンゴム成分100質量部に対し、10〜120重量部の範囲が望ましく、20〜80重量部の範囲が更に好ましい。使用量が10重量部未満では、シリカ添加による接着性への寄与が殆ど得られず、120重量部より多いと、弾性体層が硬くなりすぎると共にシリコーンゴム使用の良好な特性が失われる。
架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
弾性体層は、100Vの直流電圧印加時に体積固有抵抗値103〜1010Ω・cmの範囲にあることが好ましい。例えば、導電剤としてカーボンブラックを用いる場合は、シリコーンゴム100質量部に対して5〜100重量部配合される。
また、弾性体層の厚さは0.5〜6.0mmの範囲にあればよく、1.0〜5.0mmの範囲にあることが好ましい。厚さが、0.5mmよりも厚ければ、均一なニップ圧、ニップ幅を確保することが可能である。一方、厚さを6.0mmより厚くしても、性能の向上に繋がらないだけでなく、ゴム材の成型コストが上昇しコスト的に不利である。
基体11上に弾性体層12を設け入る方法としては、弾性体層原料をチューブ状に押出し、硬化して弾性体のチューブを得、所定の長さに切断し、必要により予め接着剤を塗布した基体11を該切断チューブに圧入し、表面を所定の外径になるように研磨する方法、基体11を予め収納した円筒状金型のキャビティに弾性体層原料を注入硬化し、直接に基体11上に弾性体層12を形成し、必要により表面を研磨する方法等があり、基体11上に弾性体層12が形成される方法については、特に限定されない。
表面層13は、特に限定されるものではないが、自己膜補強性、トナー帯電性等の観点から、特にポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂等が樹脂成分として形成される。
ウレタン樹脂としては、例えばカーボンブラックをポリウレタンプレポリマー中に配合し、プレポリマーを架橋反応させる方法で得たものや、ポリオールに導電性材料を配合し、このポリオールをワン・ショット法にてポリイソシアネー卜と反応させる方法で得たものなどが好ましい。
ポリオール成分として、一般の軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に用いられるポリオール、例えば、末端にポリヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及び両者の共重合物であるポリエーテルポリエステルポリオールが挙げられる他、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、ポリオール中でエチレン性不飽和単量体を重合させて得られるいわゆるポリマーポリオール等の一般的なポリオールを使用することができる。
また、イソシアネート化合物としては、同様に一般的な軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に使用されるポリイソシアネート、即ち、トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの混合物や変性物、また、部分的にポリオール類と反応させて得られるプレポリマー等が用いられる。
通常、ポリオール成分とポリイソシアネート成分は、官能基OHと官能基NCOが等モル比で混合して使用されるが、弾性体層を低硬度化する目的でポリイソシアネートの混合比率を低くしても構わない。
ウレタン樹脂としては、1液型や2液型があるが、必要に応じてエポキシ樹脂やメラミン樹脂を架橋剤として用いても良い。
ポリアミド樹脂としては、PA−6、PA−6・6、PA−6・10、PA−6・12、PA−11、PA−12、PA−12・12、これらポリアミドの異種モノマー間の共重縮合ポリアミド等があり、作業性の面からアルコール可溶性のものあるいはアルコール可溶化されたものが好んで用いられる。例えば、3元共重合ポリアミドや4元共重合ポリアミドの分子量を調整したもの、PA−6やPA−12のアミド基のNHをメトキシメチル化してアルコールや水に可溶性としたものが挙げられる。
ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、他の変性樹脂等を単独で又は2種以上を混合して用いることもでき、現像を行うシステムに応じて適宜選択して用いることにより、現像システムに適したトナー帯電量を得ることができる。
表面層に用いられる樹脂材中には、導電剤、非導電性充填剤等の各種添加剤が適宜配合される。先に弾性体層に含有可能な添加剤として例示したものなどから、主成分の樹脂材料に応じて、選択することができる。また、その添加量は、添加目的に応じて、適宜決定することができる。
カーボンブラックを添加する際には、表面層を形成する樹脂成分にもよるが、樹脂成分100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましい。例えば、ウレタン樹脂を使用した場合には、15〜50質量部、より好ましくは20〜40質量部であることが好ましい。ここで「樹脂成分」とは、ウレタン樹脂のポリオール、ジイソシアネート、他樹脂とのブレンドの場合は、その樹脂やそのモノマー成分、硬化剤成分、架橋剤成分などの樹脂そのものやそれを構成する成分で樹脂層の被膜形成成分として主体をなす成分を基準とし、導電剤、非導電性充填剤などの添加剤は、含まないものとする。
現像ローラ表面の円形スライシング特性値X(φM)を制御する方法としては、表面層13を形成する前の弾性層12でその表面を予め凹凸形状を形成しておく方法、樹脂層13に弾性粒子を添加する方法等がある。なお、予め弾性層12の表面に凹凸を形成するには、弾性層12の形成時に型内面の形状を転写する方法、弾性層12の表面を研磨して凹凸に加工する方法等がある。
表面層13を弾性体層12表面に形成する手段としては、表面層用塗布液を弾性体層12に塗布する方法が有効に採用される。この塗布液中の樹脂成分濃度は特に制限はなく、形成する膜厚に応じ、適宜調整すればよいが、塗布液中のカーボンブラックの分散性や安定性から、樹脂成分濃度は8質量%以上であることが好ましい。塗布液を調整するための溶剤は、上記樹脂を溶解することができるものであればいずれのものでもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、メチルエチルケトンなどのケトン類、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類が好ましい。塗布後の乾燥工程によって良好な成膜性を得るためには、これらの混合溶媒を用いることが好適である。
また、この塗布液には、カーボンブラックの分散安定性を向上させる目的で、分散剤を添加しても良い。
塗布は、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法などにより行うことができる。ディッピングによる方法では、弾性体層12を形成したローラを塗布液に通常室温で5秒〜3分、好ましくは10秒〜30秒浸漬し、これを引き上げ乾燥する。また、スプレー法の場合、塗布液中の樹脂濃度をディッピング法よりも高く設定することができ、例えば、30%以上の濃度に調整したものを使用することも可能である。いずれにおいても、所望の膜厚が得られるよう樹脂濃度、塗布法、塗布条件を適宜設定すれば良い。
なお、この表面層13の厚さは特に制限されず、適宜選定し得るが、好ましくは5〜100μm、より好ましくは7〜30μmとすることができる。
本発明では、現像ローラは、その外周面の径0.050mmでの円形スライシング特性値X(φ0.050)が0.8〜2.4μmの範囲にあることが、上記トナーを使用することと共に、重要である。
<円形スライシング特性値X(φM)の測定方法>
三次元光学プロファイラーシステム(ZYGO社製、商品名:NewView5010)を用い、50倍の対物レンズにて、現像ローラの表面を観察し、エリア面積0.1mm四方以上を、スキャン高さ200μmで得られたFilledプロットする。該プロットのデータを、ローラ形状によるたわみについて、ベストフィット円柱表面から導き出して、数値修正処理する。その修正済みプロット上に径Mmmの円を書き(円形スライシングし)、その円に沿って、全円周、すなわち、πMmmにおける断面曲線f(x)の絶対値の平均より断面曲線の算術平均高さ(X)を求め、円形スライシング特性値X(φM)とする。なお、径0.050mmでの円形スライシング特性値をX(φ0.050)と表わし、以下、特に断らない限り、「特性値」とあるときは、「円形スライシング特性値」を意味し、単にX(φM)、X(φ0.050)等と記すこともある。
X(φ0.050)を0.8〜2.4μmの範囲にすることにより、現像ローラに十分なトナー搬送性を持たせ、トナー担持の不均一性による画像の濃淡ムラ(特に微小な領域におけるガサツキ)を小さくし、良好なグロス、定着性の良好な画像が発揮される。さらに、長期に渡る連続使用時にも、初期同様の安定した画像を持続し得る。X(φ0.050)が0.8μm未満の場合は、十分なトナー搬送性を安定して得ることが難しい。また、X(φ0.050)が2.4μmを超える場合には、長期に渡る連続使用時に現像ローラ表面の変化が大きくなり、画質の変化が起き易い。X(φ0.050)を上記の範囲とすることにより、微小な領域におけるガサツキを抑えて画質が安定してくる。これは、半径0.050mmでの特性値を安定させることが人間の視覚的にきれいに映るものと考えられる。感覚的なものではあるが、画質がしっとりした感じとなり、本発明のようにグロスが高い場合にはオフセット印刷のような高級な質感に近いものを得られる。トナー特性値との組合せにもよるが、X(φ0.050)としては、連続使用時の画像の安定性から、1.0〜2.2μmの範囲にあることが、より好ましい。
さらに、現像ローラとして、径0.050mmでの円形スライシング特性値X(φ0.050)を長手方向に5ヶ所でその円周に沿って各3ヵ所(計15ヶ所)で測定し、大きな方の測定値3個の平均値Xmax、小さい方の測定値3個の平均値Xminおよび全測定値の平均値Xavgとの間で、下記式1を満足するものであることが好ましい。なお、以下において、下記式1の左辺を“Z”ということがある。
(Xmax−Xmin)/Xavg≦0.5 (式1)
式1を満たすことにより、現像ローラ上のトナー搬送性を安定させ、現像ローラ表面全体に対する広い範囲でのトナーコートの均一性が得られる。すなわち、画像の濃淡ムラ(特に微小な領域におけるガサツキ)を小さくし、グロス、定着性の良好な画像が、転写材上の画像全体に対して安定して得られることとなる。式1を満たさない場合、すなわち、式1の左辺が0.5より大きくなる場合には、実際の転写材上の画像において、現像ローラピッチで濃淡ムラ(特に微小な領域におけるガサツキ)のレベルが異なる部分が生じ、画像全体の印象が好ましくない。なお、式1の値は小さいほど好ましいものではあるが、式1の左辺が0.5以下であれば、生産面との両立も図り易く、得られる画質も十分なものとなる。
また、現像ローラが、径0.050〜0.100mmの間で同心状に0.010mm毎に円形スライシング特性値X(φM)を測定した時、それらの隣り合う値の間で下記式2を満足するものであることが好ましい。
0.8≦X(φM)/X(φM±0.010)≦1.25 (式2)
感光ドラム21と現像ローラ25の間では、現像ローラの周速を感光ドラムの周速に対して100%(等速)〜200%(2倍)となる程度の周速差を設けることが行われている(図2中のAとB参照)。カラーレーザープリンタの場合には、色によりその周速差を個別に設定する場合もある。しかし、基本的には、X(φ0.050)を0.8〜2.4μmの範囲にすることで、良好な画像を得られるが、さらに、この式2の関係を満たすことで、感光ドラム21と現像ローラ25の周速差によらず、良好な画像が得られる。
式2の関係を満たさない場合には、感光ドラム21と現像ローラ25の周速差が大きくなった場合に、画像の濃淡ムラ(特に微小な領域におけるガサツキ)が多少確認される場合がある。
さらに、表面層13に弾性粒子を添加して現像ローラ表面に凹凸形状を形成する場合には、表面層に含有される弾性粒子が、遠心沈降分析により測定したアグリゲート特性で、ストークス相当径の分布曲線の最多頻度値でのストークス相当径(Dst(nm))およびその分布曲線の半値幅、すなわち、最多頻度値の50%頻度に相当する大小2点のストークス相当径の差(ΔD50(nm))から計算されるΔD50/Dstの値が0.60以下であることが好ましい。
ΔD50/Dstの値が0.60以下である場合、円形スライシング特性値X(φM)の制御がし易く、本発明の効果を安定して、かつ容易に得ることができる。すなわち、十分なトナー搬送性を持たせ、本発明に用いる良好なグロスの出るトナーとの組合せにおいても、トナーコートの均一性の違いによる画像の濃淡ムラ(特に微小な領域におけるガサツキ)を小さくし、良好なグロス、定着性の良好な画像を得ることができる。さらに、長期に渡る連続使用時にも、初期同様の安定した画像を持続し得ることができる。ΔD50/Dstの値が0.60より大きくなる場合でも、本発明の要件を満たせば十分な効果は得られるが、ΔD50/Dstの値が0.60以下の場合であると、その効果の程度も高く、生産の自由度等の点から好ましいといえる。なお、ΔD50/Dstの値は小さいほど性能的には良くなる傾向ではあるが、例えば、分級して粒子を使用する場合には、その収率とのバランスが必要であり、やみくもに小さくした方が良いわけではない。使用する粒子の種類や、手段に応じて、適宜選択すればよいものである、
<遠心沈降分析による粒子のアグリゲート特性による粒径および分布測定>
測定装置:高速ディスク遠心法超微粒子粒度分析計「BI−DCP」(商品名、BROOKHAVGN INSTRUMENTS CORPORATION製)
測定試料:粒子試料を40容量%エチルグリコール水溶液に入れ、超音波ホモジナイザーで十分に分散させて、分散液を得、試料とする。
測定方法:遠心ディスクの回転数を600rpmに設定し、スピン液(純水、24℃)を10.0ml加えた後、1.0mlのバッファー液(40容量%エチルグリコール水溶液、24℃)を注入する。次いで24℃の粒子の分散液0.5mlを注入し、測定を開始する。粒子の分散液を注入してからの経過時間tと吸光度の分布曲線より時間tに対応するストークス相当径(D)を下記式4により算出する。
式4において、ηは溶媒の粘度、ωはディスク回転数、Δρは粒子と溶媒の密度差、Riは粒子分散液注入点の半径、Rdは吸光度測定点までの半径である。分布曲線における最多頻度値でのストークス相当径をDst(nm)とし、最多頻度値の50%頻度に相当する大小2点のストークス相当径の差(半値幅)をΔD50(nm)とする。
樹脂層13に添加する粒子としては、上記範囲にあるのが好ましいが、特に制限されず、自由に選択することができる。なお、本発明のように接触現像方式であるときは、画像上の濃度ムラがより少なくなるので、柔軟な粒子を使用することが好ましい。
以上の通り、感光ドラムに対して当接もしくは圧接した状態でトナーを担持する現像ローラを備え、該現像ローラが上記感光ドラムにトナーを付与することにより該潜像をトナー像として可視化する現像方法において、該トナーが、結着樹脂と着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーの損失正接(tanδ)が70〜110℃に極小値1および極大値1を有し、140〜200℃に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×104〜2.0×105dN/m2であり、該現像ローラ外周面上の円形スライシング特性値X(φ0.050)が0.8〜2.4μmの範囲にあることにより、画像の濃淡ムラ(ガサツキ)が少なく、良好なグロス、定着性の良好な画像を得られ、長期に渡る連続使用時にも、初期同様の安定した画像を持続することができる現像方法、および画像形成方法となる。
以下に本発明の実施例を具体的に示すが、これらに限られるものではない。なお、以下で特に断らない限り、部は質量部を表す。
参考例1(トナー1の製造)
70℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業株式会社製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。一方、スチレン80部、n−ブチルアクリレート15部、1,3−ブタンジオールジメタクリレート0.3部、飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)4.5部およびC.I.ピグメントブルー15:3 10部を分散混合機「アトライター」(商品名、三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合し、次いでこの単量体混合物を70℃に加温している中に、ステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)9部を添加混合溶解し、さらに、重合開始剤2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(10時間半減期温度67℃)3部を溶解した。これを上記水系媒体中に投入し、70℃、N2雰囲気下でTK式ホモミキサー(商品名)にて10,000rpmで7分間撹拌し、分散造粒した。次いで、その中に、スチレン5部とサリチル酸アルミニウム化合物(オリエント化学株式会社製、商品名:ボントロンE−88)1部の混合物を加え、さらに10,000rpmで1分間撹拌した。
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、70℃で6時間反応させた。その後反応温度を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却した懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
上記粒子を40℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.6μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100部とシリコーンオイルで処理した疎水性シリカ微粉体(BET値200m2/g、一次粒径12nm)0.7部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製)で混合して、トナー1を得た。
参考例2(トナー2の製造)
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(商品名)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。一方、スチレン80部、n−ブチルアクリレート15部、飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)5部、サリチル酸アルミニウム化合物(商品名:ボントロンE−88)1部、C.I.ピグメントブルー15:3 10部およびベヘン酸ベヘニルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク72℃)14部を混合分散機「アトライター」(商品名)を用いて均一に分散混合し、次いで、この単量体組成物を60℃に加温している中に、重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期62℃)4部を溶解した。これを上記水系媒体中に投入し、60℃、N2雰囲気下でTK式ホモミキサー(商品名)にて10,000rpmで7分間撹拌し、分散造粒した。次いで、その中へ、スチレン5部とサリチル酸アルミニウム化合物(商品名:ボントロンE−88)1.7部の混合物を加え、さらに10,000rpmで1分間撹拌した。
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後反応温度を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却した懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
上記粒子を45℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.7μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100部とシリコーンオイルで処理した疎水性シリカ微粉体(BET値200m2/g、一次粒径12nm)1.3部をヘンシェルミキサーで混合して、トナー2を得た。
参考例3(トナー3の製造)
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(商品名)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。一方、スチレン86部、n−ブチルアクリレート14部、ジビニルベンゼン0.5部、飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)5部、サリチル酸アルミニウム化合物(商品名:ボントロンE−88)1部、C.I.ピグメントブルー15:3 10部およびステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)1.5部を混合分散機「アトライター」(商品名)を用いて均一に分散混合し、次いで、この単量体組成物を60℃に加温している中に、重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期62℃)4部を溶解した。これを上記水系媒体中に投入し、60℃、N2雰囲気下でTK式ホモミキサー(商品名)にて10,000rpmで7分間撹拌し、分散造粒した。次いで、その中へ、トルエン5部とサリチル酸アルミニウム化合物(商品名:ボントロンE−88)2部の混合物を加え、さらに10,000rpmで1分間撹拌した。
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後反応温度を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却した懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
上記粒子を45℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.7μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100部と酸化チタン微粉体(BET値150m2/g、一次粒径30nm)0.7部をヘンシェルミキサーで混合して、トナー3を得た。
参考例4(トナー4の製造)
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(商品名)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。一方、スチレン83部、n−ブチルアクリレート17部、飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)5部、C.I.ピグメントブルー15:3 10部およびフィッシャートロプシュワックス FT−100(商品名、日本精鑞株式会社製、DSC測定における最大吸熱ピーク88℃)22部を混合分散機「アトライター」(商品名)を用いて均一に分散混合し、次いで、この単量体組成物を60℃に加温している中に、重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期62℃)4部を溶解した。これを上記水系媒体中に投入し、60℃、N2雰囲気下でTK式ホモミキサー(商品名)にて10,000rpmで7分間撹拌し、分散造粒した。
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後反応温度を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却した懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
上記粒子を45℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.7μmの着色粒子を得た。
この着色粒子137部に対して、サリチル酸アルミニウム化合物(商品名:ボントロンE−88)2部をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミル衝突式ジェットミル(商品名。日本ニューマチック工業株式会社製)で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級して重量平均粒径7.7μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子100部と酸化チタン微粉体(BET値150m2/g、一次粒径30nm)0.7部をヘンシェルミキサーで混合して、トナー4を得た。
参考例5(トナー5の製造)
70℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(商品名)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。一方、スチレン91部、n−ブチルアクリレート4部、ジビニルベンゼン0.3部、飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)4.5部およびC.I.ピグメントブルー15:3 10部を混合分散機「アトライター」(商品名)を用いて均一に分散混合し、次いで、この単量体組成物を70℃に加温している中に、ステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)9部を添加混合し、さらに重合開始剤2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(10時間半減期温度67℃)3部を溶解した。これを上記水系媒体中に投入し、70℃、N2雰囲気下でTK式ホモミキサー(商品名)にて10,000rpmで7分間撹拌し、分散造粒した。次いで、その中へ、スチレン5部を加え、さらに10,000rpmで1分間撹拌した。
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、70℃で6時間反応させた。その後反応温度を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却した懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
上記粒子を40℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.6μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100部とシリコーンオイルで処理した疎水性シリカ微粉体(BET値200m2/g、一次粒径12nm)1.3部をヘンシェルミキサーで混合して、トナー5を得た。
参考例6(トナー6の製造)
73℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(商品名)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。一方、スチレン80部、n−ブチルアクリレート20部、ジビニルベンゼン0.5部、エチレングリコールジアクリレート2.1部、飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=62℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)1.0部、サリチル酸アルミニウム化合物(商品名)1部およびC.I.ピグメントブルー15:3 10部を混合分散機「アトライター」(商品名)を用いて均一に分散混合し、次いで、この単量体組成物を73℃に加温している中に、ステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)0.7部を添加混合溶解し、さらに重合開始剤2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(10時間半減期温度67℃)2部を溶解した。これを上記水系媒体中に投入し、73℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(商品名)にて10,000rpmで7分間撹拌し、分散造粒した。
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、73℃で6時間反応させた。その後反応温度を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却した懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
次に、上記粒子を40℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.0μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100部と酸化チタン微粉体(BET値150m2/g、一次粒径30nm)0.7部をヘンシェルミキサーで混合して、トナー6を得た。
上記参考例1〜6で作製したトナー1〜6の物性を表1に示す。
参考例7(原料弾性体ローラの製造)
表面層を形成するための原料弾性体ローラは下記の様にして作製した。
(軸芯体)
φ8mmのニッケル鍍金を施したSUS棒の外周面に接着剤を塗布し、焼き付けしたものを軸芯体して用いた。
(弾性体層原料)
末端ビニル基封鎖の直鎖状ポリジメチルシロキサンと、1つのビニル基を有する分岐ポリシロキサンセグメントと二官能性のジメチルシロキサンを有する直鎖状オイルセグメントとからなるブロックポリマーとのポリシロキサン混合物に、1分子中にケイ素結合水素原子を2個以上有したオルガノシロキサンおよび白金系触媒を加えて混合して得た付加型シリコーンゴム組成物100部に対し、シリカ粉体(日本アエロジル社製、商品名:Aerosil 130)15部、石英粉末(U.S.Silica Company社製、商品名:Min−U−Sil 15)30部および導電性カーボンブラック20部を添加、混合し、液状ゴムコンパウンドである弾性体層原料を得た。
(原料弾性体ローラの作製)
軸芯体を金型内に設置し、形成されたキャビティに上記弾性体層原料を注入し、金型を120℃で10分間加熱した後、冷却し、脱型し、さらに、200℃で30分間加熱して加硫硬化し、厚み3mmの弾性体層(シリコーンゴム層)からなる原料弾性体ローラを作製した。
参考例8(現像ローラ1の製造)
ポリオール「ニッポラン5033」(商品名、日本ポリウレタン工業株式会社製)100部(固形分として)に対し、硬化剤としてイソシアネート「コロネートL」(商品名、日本ポリウレタン工業株式会社製)14部(固形分として)、カーボンブラック「トーカブラック#7360SB」(商品名、東海カーボン株式会社製)30部を添加し、さらに、粒子A(根上工業株式会社製のポリウレタン粒子「アートパールC400透明」(商品名))を100ATP型ターボフレックス(商品名、ホソカワミクロン社製)にて、回転数4300rpmで分級した微粉側で、回転数4700rpmでの分級で粗粉側にて分級して得られたもの)15部を添加し、固形分が30%となるようにメチルエチルケトンを加え十分に撹拌して、均一な混合溶液となるよう調整して、表面層用塗料溶液を作製した。この塗料溶液中に、上記参考例7で得た原料弾性体ローラを浸漬してコーティングした後、引上げて乾燥させ、140℃にて40分間加熱処理して、約16μm厚みの表面層を弾性体層の外周に設けた現像ローラ1を作製した。
参考例9〜16(現像ローラ2〜9の製造)
ウレタン粒子Aに代えて表2に記載の粒子を表3に記載の量用いる他は、参考例8(現像ローラ1の製造)と同様にして、現像ローラ2〜9を作製した。
上記参考例8〜16で作製した現像ローラ1〜9の特性を、表面層に配した微粒子の種類および添加量と共に、表3に示す。
実施例1
画像形成装置として、キヤノン株式会社製のレーザービームを用いた有機感光体デジタルプリンター「LBP5500」(商品名)を用意した。この「LBP5500」(商品名)は4つのトナーカラーカートリッジを備え、それぞれのカラーカートリッジに対し、画像書き込み手段(レーザービーム)が設けられ、転写ベルトを備えたタンデム型のカラープリンターである。なお、標準の画像作成能力はA4サイズで17枚/分である。
カートリッジは、感光ドラムがあり、帯電手段としての帯電ローラ(帯電ローラ清掃のためにカプトン(商標)シートが感光ドラム当接して設けられている)、現像手段としての現像ローラが設けられている。また、現像ローラ上にトナーを供給するとともに現像ローラ上に残るトナー像形成に使用されなかった戻りトナーを掻き取り、トナーを摩擦帯電する供給ローラが設けられ、さらに、現像ローラに担持されるとナナー量を一定にするとともに摩擦帯電を付与する現像剤規制ブレードが現像ローラに当接して設けられている(一成分接触現像方式対応)。なお、現像ローラは感光ドラムに当接している。
さらに、カートリッジは、感光ドラムに当接して、感光ドラム上に転写残りのトナーや転写材屑等を拭うクリーニングブレードが設けられ、帯電ローラによる帯電前に感光ドラム上に残る帯電を除去するための前露光手段を備えている。
LBP5500(商品名)の出力スピードをA4用紙22枚/分に増すように装置を加工し、シアンカラーカートリッジの現像ローラとして参考例8で作製した現像ローラ1を組み込み、シアントナーとして参考例1で作製したトナー1を充填して、また、マゼンタ、イエローおよびブラックの各カートリッジは、トナーを抜き取り、さらにトナー残量検知機構を無効として、それぞれのテーションに配置した。
上記により改造した画像形成装置を用いて、標準チャート(図5)を連続出力し、下記の評価項目に応じて、所定の用紙を所定の枚数目に出力し、以下に示す基準で評価した。なお、101枚目と6002枚目は全面ベタ画像を、又102枚目と6003枚目は全面ハーフトーンベタ画像の出力とした。
(光沢性)
転写材としてLETTERサイズの普通紙「XEROX 4024」(商品名、日本XEROX株式会社製、75g/m2)を用いて、100枚面(初期)と6000枚目(長期に渡る連続使用時)に出力した画像について、得られた5ヶ所のベタ画像部について、それぞれ光沢度をグロスメーター「PG−3G」(商品名、日本電色工業株式会社製)を用い、入射角75度で測定し、その平均値を当該転写材の画像光沢度とした。
◎:光沢度が100枚目、6000枚目のいずれも12.5以上あり、かつ全ての測定値が11.0以上である。
〇:光沢度が100枚目、6000枚目のいずれも12.5以上であり、かつ全ての測定値が10.0以上である。
△:光沢度が100枚目12.5以上、かつ6000枚目12.0以上であり、かつ全ての測定値が10.0以上である。
×:光沢度が100枚目12.5未満または6000枚目12.0未満であるか、全ての測定値の中に10.0未満のものがある。
(画像摺擦性)
転写材にA4サイズの普通紙「三一牌複印紙(中性)」(商品名、三一牌複印紙株式会社製、70g/m2)を用いて、6001枚目(長期に渡る連続使用時)に出力した画像の5ヶ所のベタ画像部について、50g/cm2の荷重をかけたシルボン紙で5回摺擦し、摺擦による画像濃度の低下率の相加平均値を求めた。なお、画像濃度の測定は「マクベス反射濃度計」(商品名、マクベス株式会社製)によった。
◎:濃度低下率2%未満。
〇:濃度低下率2%以上5%未満。
△:濃度低下率5%以上10%未満。
×:濃度低下率10%以上。
(濃度ムラ)
転写材にLETTERサイズの普通紙「XEROX 4024用紙」(商品名)を用い、画像領域全体が一様であるベタ画像(101枚目、6002枚目)、ハーフトーン画像(102枚目、6003枚目)を出力し、得られた画像に表れる濃淡ムラ(微小な領域におけるガサツキ)を検査員5人に目視により観察し、初期(101枚目と102枚目)および長期わたる連続使用時(6002枚目と6003枚目)のそれぞれについて下記基準の評価をしてもらった。そして、検査員5人の評価結果をランク付けし、その中央値(3番目の評価)を当該試料での評価とした。
◎:濃淡ムラ(微小な領域におけるガサツキ)が、ベタ画像、ハーフトーン画像共に、目立たず、良好。
〇:濃淡ムラ(微小な領域におけるガサツキ)が、ベタ画像ではやや目立つが問題ないレベルで、ハーフトーン画像では目立たず、良好。
△:濃淡ムラ(微小な領域におけるガサツキ)が、ベタ画像、ハーフトーン画像共にやや見られるが、問題ないレベル。
×:濃淡ムラ(微小な領域におけるガサツキ)が、ベタ画像、ハーフトーン画像共に観察され、少なくともベタ画像では目立ち、印象が悪い。
(濃度均一性)
濃淡ムラの評価に用いたハーフトーン画像の102枚目のものの、転写材上の画像領域全体の濃度均一性につき、目視により評価した。なお、検査員5人中に3人以上の指摘のあったランクを当該試料の評価とした。
○:画像領域全体において濃淡ムラ(微小な領域におけるガサツキ)が感じられない。
△:画像領域全体において濃淡ムラ(微小な領域におけるガサツキ)がやや感じられる。
×:画像領域全体において濃淡ムラ(微小な領域におけるガサツキ)が観察され、濃度自体の不均一さがある。
(総合評価)
上記評価(光沢性、画像摺擦性、濃淡ムラ、濃度均一性)の結果を総合し、以下の基準で総合評価した。
◎:光沢性◎、画像摺擦性◎、濃淡ムラ◎、濃度均一性○。
○:光沢性○以上、画像摺擦性○以上、濃淡ムラ○以上、濃度均一性△以上
△:光沢性△以上、画像摺擦性△以上、濃淡ムラ△以上、濃度均一性△以上で、光沢性、画像摺擦性、濃淡ムラのいずれかに◎がある。
×:光沢性、画像摺擦性、濃淡ムラ、濃度均一性のいずれかに×がある。
実施例2〜9、比較例1〜8
トナーとして参考例1〜6で得られたトナー1〜6を、また、現像ローラとして参考例9〜16で作製した現像ローラ2〜9を表4に示す組合せで用いる他は実施例1と同様にして、光沢性、画像摺擦性、濃淡ムラおよび濃度均一性を評価し、これらの結果から総合評価をした。
上記実施例および比較例で使用したトナーおよび現像ローラと共に、評価結果を表4示す。
実施例1〜9では、光沢性、画像摺擦性、濃淡ムラ、濃度均一性いずれの性能にも問題はなく、中では実施例1、2および4〜7は、良好な結果が得られ、特に実施例2および4は良好であった。
トナーおよび現像ローラが、本発明の条件からいずれかが外れると、比較例1〜8に見られるように、光沢性、摺擦性、濃淡ムラ、濃度均一性のいずれかに問題があり、総合評価が「×」となった。