本発明のトナーの製造方法は、着色剤、ワックスおよび結着樹脂を含有するトナー粒子に外添剤を混合してトナーを製造する方法において、特定の形状と粘弾性を有するトナー粒子と一定量の外添剤を混合する際に混合工程と休止工程を有し、かつ混合時の混合条件を規定したものである。
また、本発明のトナーは、前述の規定された製造条件により得られるものである。
<本発明のトナーの製造方法>
本発明のトナーの製造方法は、トナー粒子と外添剤を混合してトナーを製造する際の外添工程の一部または全部において、トナー粒子と外添剤を混合する混合工程と混合を休止する休止工程を繰り返す工程を含むことを特徴とする。前記の混合工程と休止工程を繰り返す間は、新たにトナー粒子および外添剤を添加することなく、また該混合工程を2回以上含むことが必須である。単位外添工程の前後の工程は特に制限されない。
なお、本発明では、この一連の混合工程と休止工程の繰り返しを単位外添工程と定義する。また、混合工程は混合を開始してから休止工程又は単位外添工程が開始されるまでの工程、休止工程は混合工程に引き続き行われ、該撹拌翼最先端を0以上15.0m/sec以下の周速範囲に減速して10秒以上その周速範囲に維持する工程と定義し、該撹拌翼最先端の周速が0以上15.0m/sec以下である時間を休止時間と定義する。また、2枚以上の撹拌翼がある場合には、その翼長の長い方の攪拌翼最先端の周速にて定義する。
トナー粒子と外添剤の混合工程では、混合手段に配設されている撹拌翼が運動し、この撹拌翼からトナー粒子と外添剤がエネルギーを受けて運動して衝突することで、トナー粒子に外添剤が付着する。本発明においては、外添剤のトナー粒子表面への付着の詳細な過程を発明者らは次のように考えている。
トナー粒子と外添剤の混合初期には、予備混合操作や撹拌速度を調整するなどの手法は取られるものの、トナー粒子と外添剤が相互に均一に混ざり合った状態ではないため、トナー粒子に対する外添剤の付着量の分布に差が生じる。この混合初期のトナー粒子と外添剤の付着力はあまり強くないため、混合時の撹拌のエネルギーを受けてトナー粒子からの
外添剤の脱離が生じたり、外添剤が多く付着しているトナー粒子から外添剤の少ないトナー粒子への外添剤の移行が生じたりする。
即ち、トナー粒子と外添剤の付着とトナー粒子からの外添剤の脱離、およびトナー粒子間での外添剤の移行が繰り返される。前述した現象の繰り返しにより、トナー粒子の単位表面積当たりに付着する外添剤量が一定量に収束し、均一または均一に近い状態に外添された(以下、均一化処理と略す)トナーが得られる。
この均一化処理と並行して、トナー粒子から外添剤が脱離および移行しないように付着状態を強めるように付着状態が強化(以下、付着強化処理と略す)されることで、外添剤が均一に付着したトナーが得られる。
実際のトナー製造時においては前述の均一化処理と付着強化処理とが同時に進行し、その2つの処理のバランスを最適化することが重要であると発明者らは考えている。
トナー粒子と外添剤の混合を開始するときには、粒径や比重が異なることによりトナー粒子と外添剤の運動速度に差が生じ、トナー粒子と外添剤が衝突する機会が多くなることで、均一化処理が主として進んでいく。さらに混合を続け、トナー粒子と外添剤の運動が定常状態になると、各粒子の相対運動速度差が小さくなり、トナー粒子と外添剤とが衝突する機会が少なくなり、器壁、撹拌翼など(装備されているときは邪魔板(バッフル)も含まれる)との接触により、付着強化処理が主として進んでいく。この付着強化処理においては、トナー粒子、外添剤および生成するトナーが器壁、撹拌翼などとの摩擦により発熱しやすい傾向にある。このときの発熱によりトナーがダメージを受けることもあるため、この点についても注意を払う必要がある。
本発明の製造方法において使用されるトナー粒子は、着色剤、ワックス及び結着樹脂を少なくとも含有し、かつ高グロス達成に必要な粘弾性として70℃における貯蔵弾性率G′(70℃)が1.0×107以上3.0×109dN/m2以下と、高画質達成に必要な形状である平均円形度が0.950以上0.995以下の2点の物性を満足するものである。
発明者らの検討では、トナー粒子形状が球形に近づくにつれて外添剤が付着しにくくなる傾向があるため、外添剤の付着強化処理に重点をおく必要があり、具体的には混合強度を強める、または混合時間を長くする必要がある。一方で、高グロスとなる方向へ結着樹脂を選択したトナー粒子において外添剤の付着強度を高めていくと、流動性が低下する傾向を示すため、混合工程で器壁や撹拌翼との摩擦により発熱しやすくなり、またワックスを含有するトナー粒子の外添では外添時にワックスが表面に滲み出したりすることで、トナーが劣化する。
以上のように、前述のような一定形状で一定の粘弾性を有するトナー粒子に対する外添剤の付着を効率良く短時間で行うためには、トナー粒子と外添剤が急激な発熱を伴わない程度のエネルギーを撹拌翼から受けながら、トナー粒子と外添剤の間で運動速度差が生じ、均一化処理が主体に進む工程の時間を長くすることが必要であり、併せて該工程におけるトナーの昇温を抑制することにより、グロスが高く高品質の画像を維持することの出来るトナーが製造できるという結論に発明者らは到達した。
即ち、本発明では、前記混合工程中の撹拌翼最先端の周速を32.0以上78.0m/sec以下の範囲とすることにより、撹拌翼からのエネルギーを前述の急激な発熱を伴わない程度のものとすることができる。一方、本発明では、混合工程と休止工程の繰り返しが、トナー粒子と外添剤の間での運動速度差の発現を高頻度で生じさせ、均一化処理が主体に進む工程の時間が長くなることを達成する。
撹拌翼最先端の周速が32.0m/sec未満では付着強化処理を進めるための強度が不足して単位外添工程の時間が極端に長くなるため、時間的に非効率である。一方、該撹拌翼最先端の周速が78.0m/secを超えると混合手段の発熱を抑えるために配設される冷却設備の能力を非常に高いものにしなければ、得られるトナーの品質が低下する。
前記の冷却設備の能力を高くする場合、消費する電力量が増大し、好ましくない。以上のことから、本発明の混合手段に配設される撹拌翼の最先端の周速は32.0m/sec以上78.0m/sec以下である。同様の理由により、該撹拌翼最先端の周速は、35m/sec以上75m/sec以下が好ましく、40m/sec以上70m/sec以下がより好ましい。本発明において、撹拌翼最先端の周速とは撹拌翼の最先端の移動速度を表しており、例えば回転式の撹拌翼の場合には回転数を制御することにより該撹拌翼最先端の移動速度を調整することが可能である。
休止工程は、前述のようにトナー粒子と外添剤の間で運動速度差を与える目的とトナーの昇温を抑制する2つの目的から必要であり、その条件について検討した結果、本発明者らは該撹拌翼を0以上15.0m/sec以下の周速範囲に減速して、10秒以上その周速範囲で維持することが必須であることを見出した。
この理由について、該撹拌翼最先端を15.0m/sec以下の周速範囲に減速すると、付着強化処理の進行が遅滞し、また、撹拌翼による混合によるトナーの劣化が減少し、さらに混合工程を再開始する際にトナー粒子と外添剤との間で相対運動速度に差が生じることが予測されることから、本発明では該周速範囲を必須の条件として規定している。
また、上記休止工程において、撹拌翼最先端を0以上15.0m/sec以下の周速範囲に維持する時間(休止時間)は、それまでの混合工程で激しく運動しているトナー粒子、外添剤、およびトナー粒子表面に外添剤が付着したトナーの運動がある程度まで収束するまでに必要な最短時間として10秒であることから、10秒以上と規定している。上記休止工程において、撹拌翼最先端を0以上15.0m/sec以下の周速範囲に維持する時間は、同様の理由により20秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。上記の撹拌翼最先端を0以上15.0m/sec以下の周速範囲に維持する時間(休止時間)が10秒未満であると、混合工程を再開始した場合、トナーへのダメージが進む傾向にある。
本発明の混合工程では、各混合工程の条件(すなわち、撹拌翼最先端の周速、混合時間)が同一でなくても良い。また、休止工程が2回以上設定されるときにも各休止工程の条件(すなわち、撹拌翼最先端の周速、休止時間)は同一でなくても良い。
さらに、本発明に使用される外添剤はトナー粒子100質量部に対して、0.5以上10.0質量部以下含有される。0.5質量部未満であると得られるトナーの耐久性が通常のシステムで使用される際に必要なレベルに到達せず、10.0質量部を超えると本発明の製造方法であってもトナー粒子に均一に外添剤を付着させることが出来なくなり、各種部材を汚染する傾向が強くなるためである。
本発明では、外添剤の少なくとも一つが無機微粉体であるときには、該単位外添工程における各混合工程の撹拌翼最先端の周速(m/sec)と各混合工程における混合時間(sec)の積から求められる撹拌翼最先端の移動距離(d)が2500以上25000(m)以下であり、かつ該単位外添工程における撹拌翼最先端の総移動距離(D)[前記dの総和(D=d1+d2+d3+・・・・・+dn:nは混合工程の回数)]が11000以上60000(m)以下であることが好ましい。ここで、上記混合時間とは、混合工
程における攪拌翼最先端の周速が32.0以上78.0m/sec以下の範囲である時間を意味する。
その理由としては、混合工程1回あたりの撹拌翼最先端の移動距離(d)が2500未満では混合工程を繰り返しても付着強化処理としては強度が不足しやすくなり、25000を超えると1回の混合工程でのトナーへのダメージが大きくなる傾向があるためである。さらに、総移動距離(D)が11000未満であると、混合工程1回あたりの移動距離(d)を大きくしても、付着強化処理としては強度が不足しやすくなり、60000を超えると休止工程の回数を増やしても本発明に使用されるトナー粒子に外添剤である無機微粉体を付着させる際のトナーへのダメージが大きくなる傾向があるためである。
同様の理由により、(d)が3500以上20000(m)以下、かつ(D)が15000以上55000(m)以下が好ましく、(d)が4500以上15000(m)以下、かつ(D)が20000以上50000(m)以下がより好ましい。
本発明では、トナーの真比重をX(g/cm3)とするときに、休止工程から混合工程を再開始する時のトナー粒子と外添剤を含むトナー混合物(以下、トナー混合物と略す)の嵩密度が、0.24X以上0.41X以下(g/cm3)であることが好ましい。
休止工程から混合工程を再開始する時のトナー混合物の嵩密度は、該混合物が含んでいる空気の量を示しており、この含んでいる空気の量で混合工程を再開始する際の流動性が変化する。0.24X未満となる状態は、該混合物が大量に空気を含んでおり、混合工程
初期に該混合物が空気と共に流動して粒子間の相互作用が減ることで、混合による均一化処理が進みにくい傾向があり、好ましくない。一方、0.41Xを超える状態では、該混
合物中の粒子同士がパッキングした状態に近づくため、混合工程を再開始するときのせん断力で該混合物が劣化する傾向が強くなるため好ましくない。同様の理由により、休止工程から混合工程を再開始する時のトナー粒子と外添剤を含むトナー混合物の嵩密度は0.27X以上0.37X以下(g/cm3)であることがより好ましい。本発明では、混合工程を再開始するときの嵩密度は前記の範囲内であれば、一回の単位外添工程内における嵩密度の条件は異なっていても良い。
本発明におけるトナーの真比重Xと休止工程から混合工程を再開始する時のトナー混合物の嵩密度は次のように定義される。
真比重Xは、乾式密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定した結果により決定する。
休止工程から混合工程を再開始する時のトナー混合物の嵩密度は、休止工程に入った後にトナー混合物の一部を取り出し、それをメスシリンダーに入れると共に、メスシリンダーに入れたトナー混合物の質量とメスシリンダー内のトナー混合物の容積から算出する。なお、本発明におけるトナー混合物の嵩密度は、外添に使用する外添剤の種類・量、直前の工程が混合工程の場合には該混合工程における撹拌翼の周速および混合時間、さらに該休止工程における撹拌翼の周速および休止時間により調整することが可能である。
また、混合工程を再開始する場合には、メスシリンダー内のトナー混合物の容積が狙いとなる容積になるときに、攪拌翼が配設された混合手段を再起動させる。該混合工程において、トナーの個数基準の粒度分布における5.04μm以下の粒子個数%が20以上60%以下の範囲内であれば、得られるトナーの粒状性が向上するため、本発明の目的の一つである画質が向上すると共に、本発明の製造方法の効果が効率良く発現され、耐久性が向上するため好ましい。その理由は、トナー粒子と外添剤の混合状態が均一になりやすい
ため、均一化処理が効果的に進むためと発明者らは考えている。なお、トナーの個数基準の粒度分布における5.04μm以下の粒子個数%は、中心粒径の制御および分級などの手段により調整することが可能である。
本発明の製造方法に用いられる製造装置は、撹拌翼を有する混合手段であることが必須である。具体的な装置として、ヘンシェルミキサー、Q型ミキサー(三井鉱山社製)、ボールミル、ターボミル(ターボ工業社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)を使用することが可能である。その中でも、本発明の製造装置としては円筒状の混合タンクを使用するのが好ましい。円筒状の場合は、粉体の流動状態のうち層流の占める比率が多いため、均一化処理の段階を制御しやすく、本発明に適しているものと考えている。
<本発明のトナー粒子>
前記の通り、本発明の方法に用いられるトナー粒子(以下、「本発明のトナー粒子」とも称する)は、70℃に於ける貯蔵弾性率G′(70℃)が1.0×107以上3.0×109dN/m2以下であり、平均円形度が0.950以上0.995以下である。
前述したように高グロスの達成に対してはトナー粒子をトナーの粘弾性を一定の範囲に設定した柔らかい設計にしなければならないが、一方で外添工程のせん断力に耐え得る硬さも必要となる。このときの単位外添工程においても、トナー混合物の温度が70℃に到達することはないが、瞬間的にトナー粒子と外添剤が衝突するときに両者の運動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されミクロな発熱を生じる。前述のせん断力に耐え得る硬さは、この発熱も含めて考慮する必要がある。
発明者らの検討では、トナー粒子の粘弾性、すなわち70℃のときの貯蔵弾性率と、高グロス及びトナーの耐久性との間に関連性があることが明らかになり、G′(70℃)が1.0×107以上3.0×109dN/m2以下であれば、高グロスの達成とトナー粒子表面への外添剤の均一な付着によるトナーの耐久性の両立を達成することが可能となる。即ちG′(70℃)が1.0×107dN/m2未満であると単位外添工程におけるせん断力で得られるトナーが劣化する傾向が強くなり、3.0×109dN/m2を超えると高グロスが得られ難くなると共に、トナー粒子表面への外添剤の付着に要する時間が長くなったり、トナー粒子からの外添剤の脱離が起こりやすくなる傾向がある。
また、本発明では該トナー粒子の損失弾性率G″(140℃)が1.0×104dN/m2以上2.0×105dN/m2以下であることが好ましい。この温度でのトナー粒子の損失弾性率が前記範囲にあるとき、単位外添工程の工程時間が極端に長くならず、かつ得られるトナーとしての品質も安定するためである。損失弾性率は粘弾性の粘性項を意味するため、前述の範囲であると本発明のトナーの製造方法において外添剤が効率的にトナー粒子に付着すると本願発明者は考えている。
前述の貯蔵弾性率ならびに損失弾性率は、トナー粒子に含まれる結着樹脂の分子量分布、ガラス転移温度、および不溶分などによって上記範囲に制御することが可能である。
なお、本発明における貯蔵弾性率G′(70℃)、および損失弾性率G″(140℃)は以下の方法により求めたものである。
測定装置としては、レオメータ、ARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製)を用いた。下記の条件で、60〜200℃の温度範囲における貯蔵弾性率G′、および損失弾性率G″の測定を行った。
・測定冶具: 直径8mmの円形パラレルプレートを使用する。アクチュエーター(actuator)側には円形パラレルプレートに対応するシャローカップを使用する。シャ
ローカップの底面と円形プレートの間隙は約2mmである。
・測定試料: トナーを直径約8mm、高さ約2mmの円盤状試料となるよう、加圧成型した後、使用する。
・測定周波数: 6.28ラジアン/秒
・測定歪の設定: 初期値を0.1%に設定した後、自動測定モードにて測定を行う。
・試料の伸長補正: 自動測定モードにて調整する。
・ 測定温度:60〜200℃まで毎分2℃の割合で昇温する。
上記の方法により、60〜200℃の温度範囲において貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″を測定して、70℃における貯蔵弾性率G′の値をG′(70℃)とし、140℃における損失弾性率G″の値を、G″(140℃)とした。
トナー粒子の平均円形度は得られるトナーの画質を左右する因子である。本発明では、トナー粒子の平均円形度が0.950以上0.995以下である。該平均円形度が0.950未満であると、現像性および転写性が低下し、初期画質が悪化する。0.995を超えると耐久による劣化の影響を受けやすくなり、印字枚数に応じて画質が低下する傾向がある。したがって、本発明では該平均円形度が0.950以上0.995以下である。
前述の平均円形度は、トナー粒子の製造時の条件により制御することが可能である。具体的な例としては、粉砕法のトナーの場合は粉砕条件や粉砕後の球形化処理によって制御することが出来、重合法のトナーの場合は重合温度などの重合条件により調整することができる。
また、前記のとおり本発明におけるトナー粒子は、着色剤、ワックスおよび結着樹脂を少なくとも含有する。
<本発明の方法に用いられる着色剤>
前記の通り、本発明のトナーに含まれるトナー粒子は着色剤を含む。着色剤はトナーに着色力を付与することができる。着色剤としては、シアン系着色剤、マゼンタ系着色剤、イエロー系着色剤及びカーボンブラックのいずれでもよい。好ましく使用される有機顔料または染料として以下のものが挙げられる。
シアン系着色剤として用いることのできる有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1,C.I.ピグメントブルー7,C.I.ピグメントブルー15,C.I.ピグメントブルー15:1,C.I.ピグメントブルー15:2,C.I.ピグメントブルー15:3,C.I.ピグメントブルー15:4,C.I.ピグメントブルー60,C.I.ピグメントブルー62,C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
マゼンタ系着色剤として用いることのできる有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2,C.I.ピグメントレッド3,C.I.ピグメントレッド5,C.I.ピグメントレッド6,C.I.ピグメントレッド7,C.I.ピグメントバイオレット19,C.I.ピグメントレッド23,C.I.ピグメントレッド48:2,C.I.ピグメントレッド48:3,C.I.ピグメントレッド48:4,C.I.ピグメントレッド57:1,C.I.ピグメントレッド81:1,C.I.ピグメントレッド122,C.I.ピグメントレッド144,C.I.ピグメントレッド146,C.I.ピグメントレッド150,C.I.ピグメント
レッド166,C.I.ピグメントレッド169,C.I.ピグメントレッド177,C.I.ピグメントレッド184,C.I.ピグメントレッド185,C.I.ピグメントレッド202,C.I.ピグメントレッド206,C.I.ピグメントレッド220,C.I.ピグメントレッド221,C.I.ピグメントレッド254等が挙げられる。
イエロー系着色剤として用いることのできる有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アントラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12,C.I.ピグメントイエロー13,C.I.ピグメントイエロー14,C.I.ピグメントイエロー15,C.I.ピグメントイエロー17,C.I.ピグメントイエロー62,C.I.ピグメントイエロー74,C.I.ピグメントイエロー83,C.I.ピグメントイエロー93,C.I.ピグメントイエロー94,C.I.ピグメントイエロー95,C.I.ピグメントイエロー97,C.I.ピグメントイエロー109,C.I.ピグメントイエロー110,C.I.ピグメントイエロー111,C.I.ピグメントイエロー120,C.I.ピグメントイエロー127,C.I.ピグメントイエロー128,C.I.ピグメントイエロー129,C.I.ピグメントイエロー147,C.I.ピグメントイエロー151,C.I.ピグメントイエロー154,C.I.ピグメントイエロー168,C.I.ピグメントイエロー174,C.I.ピグメントイエロー175,C.I.ピグメントイエロー176,C.I.ピグメントイエロー180,C.I.ピグメントイエロー181,C.I.ピグメントイエロー191,C.I.ピグメントイエロー194等が挙げられる。
また、染料としてC.I.ソルベントイエロー33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.Disperse Yellow42、64、201、211等が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角,彩度,明度,耐光性,OHP透明性,トナーへの分散性の点から選択される。
前記トナー粒子における着色剤の好ましい含有量は、結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部である。
<本発明の方法に用いられるワックス>
本発明のトナー粒子はワックスを含み、それにより良好な定着画像を得ることができる。
前記ワックスの例として、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などが挙げられる。これらの誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物が含まれる。その他のワックスとして、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等が挙げられる。
ワックスの種類としては、画像のグロスへの寄与とトナーの耐久性の観点で、エステルワックス、炭化水素系ワックスが好ましい。
上記のワックスの中では、示差走査熱量測定(DSC)における最大吸熱ピーク温度が55℃以上90℃未満であるものが好ましく、さらには60℃以上85℃未満であるものがより好ましい。前述の温度が55℃未満であるとトナーの耐久性に悪影響を及ぼす傾向が強くなり、90℃以上であると、ワックスの融点が高いために溶解に必要な温度も高くなり、定着時に十分な離型効果が得られないことがある。
ワックス成分の上記最大吸熱ピーク温度の測定は、示差走査熱量測定装置(DSC測定装置),例えばDSC−7(パーキンエルマー社製)を用いて、ASTM D3418−82の測定法に準じて行うことができる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
本発明のトナーにおけるワックスの含有量は、トナーに対して2〜20質量%であることが好ましい。含有量が2質量%未満では光沢感のある画像を与えるというワックスの効果が十分に発揮されず、20質量%を超えてしまうとトナーの長期間保存性が悪化すると共に、他のトナー材料の分散性が悪くなり、トナーの流動性の低下や画像特性の低下につながることがある。
<本発明の方法に用いられる結着樹脂>
本発明のトナー粒子の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが単独或いは混合して使用できる。特に、スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性や定着性等の点で好ましいが、スチレン系共重合体の方がさらに好ましい。
本発明に用いられる結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ましくは30〜80℃、より好ましくは35〜70℃であり、数平均分子量(Mn)は5000〜50000、重量平均分子量(Mw)は10000〜100000であることが好ましい。
本発明に用いられる結着樹脂のガラス転移温度は、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度が30〜80℃を示すように、結着樹脂の構成物質(重合性単量体)を選択することにより調整することができる。また結着樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7やTAインスツルメンツジャパン
社製のDSC2920を用いて、ASTM D3418−03に準じて測定することができる。結着樹脂のガラス転移温度が上記範囲よりも小さいと、トナーの保存安定性が不十分となることがあり、結着樹脂のガラス転移温度が上記範囲よりも大きいと、トナーの定着性が不十分となることがある。
本発明に用いられ結着樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、結着樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶かし、この溶液を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、測定値であるカウント数(リテンションタイム)と、数種の単分散ポリスチレン標準試料を用いて作成した検量線の対数値とから求めることができる。また、結着樹脂の分子量は、重合条件、架橋剤の使用、結着樹脂の混練等によって調整することができる。
本発明において結着樹脂のGPCによるTHFに可溶な樹脂成分の分子量の測定は、以下のようにして行う。
トナーをTHFに室温で24時間静置して溶解した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル調製は、THFに可溶な成分の濃度が0.4〜0.6質量%になるようにTHFの量を調整する。
装置:高速GPC「HLC8120 GPC」(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:THF
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量較正曲線を使用する。
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。この手法によっても、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。また、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルカルボン酸系化合物等が挙げられる。また、上記荷電制御化合物をペンダントした樹脂をトナー中に内添させても良い。
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。
例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェ
ニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;これらを単独で或は2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。また、上記荷電制御化合物をペンダントした樹脂をトナー中に内添させても良い。
これらの荷電制御剤は、樹脂成分100質量部に対して、0.01〜20質量部(より好ましくは0.5〜10質量部)使用するのが良い。
<本発明のトナー>
本発明のトナーは、前記トナー粒子に前記無機微粉体、および必要に応じてその他の微粒子を混合して、トナー粒子表面に付着させることにより製造することができる。
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は4〜8μmであることが好ましい。さらに高画質な画像を得るため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためである。該重量平均粒径(D4)が4μm未満であると、転写効率の低下から感光体上の転写残トナーが多くなる傾向がある。また、感光体上の転写残トナーが多くなると、接触帯電工程での感光体の削れやトナー融着の抑制が困難になることがある。さらに、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性および混合性が低下し、個々のトナーの粒子を均一に帯電させることが困難となり、カブリや転写性が悪化する傾向がある。従って、削れや融着以外にも画像の不均一ムラが生じる原因となりやすい。一方、トナーの重量平均粒径(D4)が8μmを超える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)などの装置により測定することができる。具体的には下記のようにして測定することができる。コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)およびPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)に接続することにより測定することができる。電解液としては一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製したものを用いることができ、例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用することができる。具体的な測定手順は以下の通りである。
前記電解水溶液100〜110ml中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5mlを加え、さらに測定試料(トナー)を10〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器TETORA−150で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーにより100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。これより重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を求める。
本発明のトナーの平均円形度は、好ましくは0.970以上である。本発明のトナーの平均円形度は、トナーの形状を定量的に表現するものであり、すなわちトナーの凹凸の度合いの指標である。トナーが完全な球形である場合1.000を示し、表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度が0.970未満であると、帯電均一性の観点から好ましくないことがある。
本発明のトナー粒子の平均円形度は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定することができる。具体的には、3μm以上の円相当径のトナー粒子の粒子群について測定された各トナー粒子の円形度(ai)を下式(1)によりそれぞれ求める。さらに下式(2)に示されるように、測定された全トナー粒子の円形度の総和を、全トナー粒子数(m)で除した値を平均円形度(a)と定義する。
なお、本発明で用いられる測定装置「FPIA−1000」では、各トナー粒子の円形度を算出した後、各トナー粒子について算出された円形度に応じて、円形度0.40〜1.00の範囲を61分割したクラスに振り分ける。そして、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度(および必要に応じてモード円形度)を算出している。
前記モード円形度とは、円形度を測定した各トナー粒子を、その測定された円形度に応じて、円形度0.40から1.00まで0.01毎に61分割した各分割範囲に割り振った場合に、円形度頻度分布において頻度値が最大となる円形度をいう。
本発明における具体的な測定手段としては以下の通りである。界面活性剤を約0.1mg溶解した水10mlに、トナー粒子5mgを分散させて分散液を調製し、この分散液に超音波(20kHz、50W)を5分間照射する。分散液濃度を5000〜2万個/μlに調整し、前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径のトナー粒子の粒子群の平均円形度(及び必要に応じてモード円形度)を求める。
この算出法で算出される平均円形度(モード円形度)の値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式より求められる平均円形度の誤差は非常に少なく、実質的に無視できる程度のものである。そのため、本発明のトナー粒子の平均円形度は、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出法の概念を利用して、上述した平均円形度の算出式を用いて求めても良い。
<本発明のトナー粒子の製造方法>
次に、本発明に用いられるトナー粒子を製造するための方法について説明する。本発明に用いられるトナー粒子は、粉砕法及び重合法のいずれの製造方法を用いても製造することが可能である。
本発明において、粉砕法によるトナー粒子の製造方法は、着色剤、ワックス、結着樹脂及び必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合し、得られた混合物を加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練し、樹脂成分を互いに相溶させた中に低軟化点物質、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめ、得られた混練物を冷却固化後粉砕及び分級を行う。
粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形である場合が多く、本発明のトナー粒子の
必須要件である、平均円形度が0.950以上という物性を得るためには、機械的・熱的あるいは何らかの処理を行うことが必要となり、コストメリットなどの面で好ましくない場合がある。
本発明において、重合法によるトナー粒子の製造方法は、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法や、特公昭36−10231号公報,特開昭59−53856号公報,特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合法(1)を用いて直接トナー粒子を生成する方法や、単量体には可溶で、得られる重合体は不溶な水系有機溶剤を用いて直接トナー粒子を生成する分散重合法(2)、又は水溶性極性重合開始剤の存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法(3)や、予め一次極性乳化重合粒子を作った後、反対電荷を有する極性粒子を加え会合させるヘテロ凝集法(4)等を用い、トナー粒子を製造することが可能である。
しかしながら、分散重合法においては、得られるトナー粒子は極めてシャープな粒度分布を示すが、使用する材料の選択範囲が狭い事や有機溶剤の利用が廃溶剤の処理や溶剤の引火性に関する観点から製造装置が複雑で煩雑化しやすい等の問題がある。ソープフリー重合に代表される乳化重合法は、トナー粒子の粒度分布が比較的揃うため有効であるが、使用した乳化剤や開始剤の末端がトナー粒子表面に存在した時に環境特性を悪化させやすい。
従って、本発明においては比較的容易に粒度分布がシャープなトナー粒子が得られる常圧下での、または、加圧下での懸濁重合法が特に好ましい。一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着させた後、重合開始剤を用いて重合させる、所謂シード重合方法も本発明に好適に利用することができる。
本発明のトナー粒子の製造方法に上述の(1)、(2)、(3)及び(4)等の直接重合方法を用いる場合においては、以下の如き製造方法によって具体的にトナー粒子を製造することが可能である。結着樹脂となる単量体中にワックス,着色剤,及び必要に応じて荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散させた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散させる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応の後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応の後半、又は、反応の終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
トナー粒子の粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的な装置の条件、例えばローターの周速・パス回数・撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状又は、水系媒体中での固形分濃度等を制御することにより本発明の所定のトナー粒子を得ることができる。
重合法によりトナー粒子を製造する場合に用いられるラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体あるいは多官能性重合性単量体を使用することができる。
本発明で用いられるトナー粒子を重合法にて製造する場合に使用することのできる単官能性重合性単量体の例としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
また、本発明で用いられるトナー粒子を重合法にて製造する場合に使用することのできる多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
上記多官能性重合性単量体の添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましい。
上記単量体のうち、スチレン又はスチレン誘導体が特に好ましく用いられる。画質を安定に維持する上で帯電量を制御するためである。また、(メタ)アクリル酸エステルも好ましく用いられる。ガラス転移温度を制御するためである。
上記単官能性重合性単量体を単独あるいは2種以上組み合わせて、また、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用することができる。また、前記多官
能性重合性単量体を架橋剤として使用することも可能である。
上記重合性単量体を重合する重合開始剤として、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素等が挙げられる。
前記の通り、結着樹脂は前記単量体を含む単量体組成物を、前記重合開始剤を用いて重合させることにより得ることができる。該重合において、重合性単量体100質量部に対して前記重合開始剤2〜20質量部を用いることが好ましく、単独で又は、併用しても良い。
また、本発明では分子量をコントロールするために、公知の架橋剤、分子量調整剤を添加しても良い。
上記分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンの如きメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素の如きハロゲン化炭化水素類;α−メチルスチレンダイマーなどを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前あるいは重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、重合性単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で添加される。
上記架橋剤としては、二官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたものが挙げられる。
また、多官能の架橋剤として、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
さらに、本発明のトナー粒子は、前記結着樹脂の分子量範囲とは異なる分子量の樹脂を含むことができ、それにより分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることができる。
本発明において、一般的に知られている、コアをシェルで被覆した構造を有するコア・シェル構造を形成させるためには、極性樹脂を併用することも可能である。本発明に使用できる極性重合体及び極性共重合体の如き極性樹脂を以下に例示する。
極性樹脂としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如き含窒素単量体の重合体もしくは含窒素単量体とスチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;アクリロニトリルの如きニトリル系単量体;塩化ビニルの如き含ハロゲン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸;不飽和二塩基酸;不飽和二塩基酸無水物;ニトロ系単量体の重合体もしくはそれとスチレン系単量体との共重合体;ポリエステル;エポキシ樹脂;が挙げられる。より好ましいものとして、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、飽和または不飽和のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
その中でも、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂を含有させることで、そのトナー粒子を含むトナーの帯電性、耐久性および定着性などの物性をコントロールすることができる。該ポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方又は両方を適宜選択して使用することが可能である。
前記ポリエステル樹脂は、多価アルコール成分と多価カルボン酸を重縮合反応させることにより得ることができる。この多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を以下に例示する。
上記多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、下記一般式(III)で表されるビスフェノール誘導体もしくはその水添物、下記一般式(IV)で示されるジオールもしくはその水添物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコール等が挙げられる。
上記多価カルボン酸成分としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物、さらには、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の如き多価カルボン酸やその無水物などが挙げられる。
上記ポリエステル樹脂の酸価は、0.1〜50mgKOH/樹脂1gであることが好ましく、5〜35mgKOH/樹脂1gであることがより好ましい。かかるポリエステル樹脂がトナー粒子の表面に存在すると、トナーに安定した帯電性を発現させうるからである。該酸価が0.1mgKOH/樹脂1g未満であるとトナー粒子表面でのポリエステル樹脂の存在量が絶対的に不足することがあり、50mgKOH/樹脂1gを越えるとトナー粒子の帯電性に悪影響を及ぼすことがある。
また、前記極性樹脂の一つとして、本発明のトナー粒子は、親水性官能基を含む樹脂を含むことができ、それによりワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得ることができる。親水性官能基とは、アミノ基、カルボン酸基、水酸基、グリシジル基、ニトリル基などをいう。
親水性官能基を含む樹脂の例としては、1)親水性官能基含有単量体とスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体の如き共重合体、または2)親水性官能基を含むポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体などが挙げられる。
本発明において、乳化重合法,分散重合法,懸濁重合法,シード重合法,又はヘテロ凝集法を用いる重合法によって製造されるトナー粒子の製造の際の分散媒として用いられる分散安定化剤としては、無機化合物や有機系化合物が挙げられ、いずれか適当なものを使用する。無機化合物としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
上記の無機化合物は、重合終了後に酸あるいはアルカリで溶解させることにより、得られた重合体粒子(トナー粒子)から、ほぼ完全に容易に除去することができる。
上記有機系化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリエチレ
ンオキシド、ポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−eu−メタクリル酸)共重合体やノニオン系或はイオン系界面活性剤などが使用される。
また、乳化重合法及びヘテロ凝集法を用いる場合には、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が使用される。これらの分散安定化剤は重合性単量体100質量部に対して0.2〜30質量部を使用することが好ましい。
これら分散安定化剤の中で、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい粒子を得るために、水系媒体中にて該無機化合物を生成させても良い。その添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を添加することが好ましい。
また、これら分散安定化剤の微細な分散の為に、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を使用してもよい。これは上記分散安定化剤の所期の作用を促進する為のものであり、界面活性剤としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
<本発明のトナーに含まれる外添剤>
本発明によるトナーはトナー粒子と外添剤とを混合して製造することを特徴とする。上記外添剤はトナーの流動性を改良させたり、トナーの帯電量を均一化させることができる。上記外添剤としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、樹脂粒子等を挙げることができ、外添剤の少なくとも一つは無機微粉体であることが好ましい。
上記無機微粉体の平均一次粒子径は、4nm以上80nm以下であることが好ましく、6nm以上35nm以下であることがより好ましい。無機微粉体の平均一次粒子径が80nmよりも大きい場合、トナーの流動性を十分に改善しにくく、またトナー粒子表面への上記無機微粉体の付着が不均一になり易く、低湿下での摩擦帯電性の不均一化につながるため、カブリの増大、画像濃度の低下あるいは耐久性の低下等の問題が生じやすくなる。一方、無機微粉体の平均一次粒子径が4nmよりも小さい場合には、無機微粒子の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易くなり、この凝集体が現像されてしまったり、像担持体またはトナー担持体等を傷つけたりすることによって画像欠陥が生じ易くなる。なお、上記無機微粉体の製造条件を調整することにより、上記粒径範囲の無機微粉体を得ることができる。
無機微粉体の平均一次粒子径は以下の操作により求めることができる。まず、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、さらに走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着または遊離して存在している無機微粉体の一次粒子を100個以上測定することで個数平均粒径を求める。そして該個数平均粒径の相加平均により無機微粉体の平均一次粒子径を求めることができる。
本発明のトナーに含まれる無機微粉体の例としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、またはそれらの複酸化物の中から選ばれる少なくとも一種以上であることが好ましい。
シリカとしては、例えばケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法シリカ、又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカのいずれもが使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあ
るシラノール基が少なく、またNa2O,SO3 2−等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。
ここで乾式シリカとは、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と併用することによって得られる、シリカと他の金属酸化物との複合微粉体をも包含する。
上記無機微粉体は、トナーの高湿環境下での特性を向上させる点から、疎水化処理されたものであることが好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナーの帯電量が著しく低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
上記疎水化処理に用いられる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤が挙げられる。これらを単独でまたは二種以上を組み合わせて疎水化処理することができる。
上記疎水化処理は、特にシリコーンオイルによる処理が好ましい。また、無機微粉体を任意の方法で疎水化処理すると同時または処理した後に、さらにシリコーンオイルにより疎水化処理する方法も好ましい。このようにして得られる無機微粉体は、高湿環境下におけるトナーの帯電量を高く維持させることができるため、好ましい。
後者の無機微粉体の疎水化処理としては、例えば第一段処理反応としてシランカップリング剤のようなシラン化合物を用いてシランカップリングを行い、第二段処理反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成させる。
上記シランカップリング剤の使用量は、無機微粉体100質量部に対し5〜50質量部であることが好ましい。5質量部未満では無機微粒子表面の活性水素基を消失させるのに十分でなく、50質量部を超えると余分なシランカップリング剤どうしの反応で生成するシロキサン化合物が糊の役割となって無機微粒子どうしの凝集が起こり、画像欠陥を生じ易くなる。
本発明に用いられるシランカップリング剤としては、下記一般式で示されるものが挙げられる。
例えば、ジメチルジクロルシラン,トリメチルクロルシラン,アリルジメチルクロルシラン,ヘキサメチルジシラザン,アリルフェニルジクロルシラン,ベンジルジメチルクロルシラン,ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメキシシラン,ビニルトリアセトキシシラン,ジビニルクロルシラン,ジメチルビニルクロルシラン等をあげることができる。中でも、ヘキサメチルジシラザンが良好に疎水性を上げ、トナーの環境による帯電性差を抑制する観点で好ましい。
上記無機微粉体のシランカップリング剤処理は、シリカを撹拌によりクラウド状とした
ものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理又は、ケイ酸微粉体を溶媒中に分散させシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法の如き一般に知られた方法で処理することができる。
無機微粉体の表面処理を施すシリコーンオイルとしては、一般に次の式により示されるのが好ましい。
好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が5〜200mm2/sのものが好ましく用いられ、40〜80mm2/sのものがトナーを均一に処理する観点では、より好ましく用いられる。分子量が低すぎる低粘度のシリコーンオイルは加熱処理により、揮発分が発生することがあり好ましくなく、一方、分子量が高すぎる高粘度のシリコーンオイルは表面処理操作がしにくくなる。シリコーンオイルとしては、メチルシリコーンオイル,ジメチルシリコーンオイル,フェニルメチルシリコーンオイル,クロルフェニルメチルシリコーンオイル,アルキル変性シリコーンオイル,脂肪酸変性シリコーンオイル,ポリオキシアルキル変性シリコーンオイルが好ましい。
ポジトナーに適用する場合、シリコーンオイルとして、側鎖に窒素原子を少なくとも1つ以上有するオルガノ基を有する変性シリコーンオイルでも良い。例えば少なくとも下記式で表わされる部分構造を有する変性シリコーンオイルが挙げられる。
上記アルキル基,アリール基,アルキレン基,フェニレン基は窒素原子を有するオルガ
ノ基を有していても良いし、ハロゲン等の置換基を有していても良い。
上述のシリコーンオイルは、トナーの帯電特性を高めるため、トナー粒子と同極性のものを用いることが好ましい。
無機微粉体をシリコーンオイルで疎水化処理する方法としては、公知の技術が用いられる。
シリコーンオイルによる無機微粉体の疎水化処理方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粉体と、シリコーンオイルとを、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解または分散させた後に、無機微粉体を加えて混合し、その後に溶剤を除去する方法を用いてもよい。無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
シリコーンオイルの処理量は無機微粉体100質量部に対して好ましくは1〜23質量部、より好ましくは5〜20質量部である。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとやはり無機微粒子の凝集が起こりやすい。
本発明のトナーにおける無機微粉体の含有量(すなわち添加量)は、トナー粒子100質量部に対して1.0〜4.0質量部であることが好ましい。添加量が1.0質量部未満では無機微粉体の効果が十分に奏されず、4.0質量部を超えるとトナーの定着性が低下する傾向にある。また、無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用いて標準試料から作成した検量線を用いて定量することができる。
本発明のトナーは、クリーニング性向上等の目的で、好ましくは一次粒径が30nm超(好ましくはBET比表面積が50m2/g未満)の、より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくはBET比表面積が30m2/g未満)の無機または有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも可能である。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
本発明に用いられる微粒子又は微粉体のBET比表面積の測定は以下のようにして行う。BET比表面積は、全自動ガス吸着量測定装置(オートソープ1、湯浅アイオニクス(
株)製)を使用し、吸着ガスに窒素を用い、BET多点法により求める。サンプルの前処理としては、50℃で10時間の脱気を行う。
<本発明のトナーを用いた画像形成方法>
本発明のトナーは、任意の画像形成方法に適用することができる。例えば、(1)帯電工程、(2)書き込み工程、(3)現像工程、(4)転写工程、(5)定着工程、(6)クリーニング工程などを含む。
上記(3)の現像工程は、トナー担持体と静電潜像担持体である感光体表面とが接触している接触式、または接触していない非接触式であっても良いが、以下において接触式の場合の画像形成方法について説明する。
上記(3)の現像工程においては、トナー担持体として弾性ローラーを用いることができ、弾性ローラー表面等にトナーをコーティングし、これを感光体表面と接触させて現像する方法を採用することができる。該弾性ローラーとしては、弾性層の硬度がASKER−C硬度30〜60度のものが好適に使用される。ここで、ASKER−C硬度とはSRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)の一つで、硬さを測定するための測定器により定められる硬度である。
トナー担持体と感光体表面とを接触させて現像を行う場合には、トナーを介して感光体と感光体表面に対向する弾性ローラー間に働く電界によって現像が行われる。従って、弾性ローラー表面もしくは表面近傍が電位をもち、感光体表面とトナー担持表面の狭い間隙で電界を有する必要がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されており、そして感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、またはその表面層に薄層の絶縁層を設ける方法も利用することができる。
さらには、トナー担持体の感光体表面に対向する側を絶縁性物質(樹脂)により被覆して得られる樹脂被覆導電性スリーブとしてもよく、または感光体に対向しない側に導電層を設けた構成にすることもできる。
また、上記現像工程は、トナー担持体として剛体ローラーを用いることもでき、この場合には感光体をベルトのごときフレキシブルな物とすることもできる。
上記トナー担持体の抵抗は、102〜109Ω・cmの範囲であることが好ましい。102Ω・cmよりも低い場合、例えば感光体の表面にピンホール等がある場合、過電流が流れる恐れがある。反対に109Ω・cmよりも高い場合は、摩擦帯電によるトナーのチャージアップが起こりやすく、画像濃度の低下を招きやすい。
トナー担持体の表面の表面粗度Ra(μm)は、トナー搬送能力及びトナー帯電能力と相関する。従って、Ra(μm)が0.2〜3.0となるように設定されると高画質及び高耐久性を両立することができる。
該トナー担持体の表面粗度Raが3.0を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電均一性が悪化しハーフトーンの均一性が悪化するなど、画質の向上が期待しにくい。3.0以下にすることでトナー担持体表面のトナーの搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなるため、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。一方、表面粗度Raが0.2よりも小さくなると、トナーコート量の制御が難しくなる。
トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JIS B 0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものを言う。
上記トナー担持体上のトナーコート量は、0.1〜1.5mg/cm2であることが好ましく、0.2〜0.9mg/cm2であることがより好ましい。該トナーコート量が0.1mg/cm2よりも少ないと十分な画像濃度が得にくく、1.5mg/cm2よりも多くなるとトナーの個々の粒子全てを均一に摩擦帯電することが難しくなり、カブリが発生する要因となる。
上記トナー担持体は、感光体との対向部において、感光体と同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。両者の回転が同方向である場合、トナー担持体の周速を感光体の周速に対し1.05〜3.0倍となるように設定することが好ましい。
両者の回転が同方向である場合に、トナー担持体の周速が、感光体の周速に対し1.05倍未満であると、感光体上のトナーの受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像品質が望めない。また、周速比が3.0を超える場合には、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生・促進され、好ましくない。
感光体としては、a−Se、CdS、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を有する感光ドラムもしくは感光ベルトが好適に使用される。
OPC感光体における感光層は、電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、電荷輸送層と電荷発生層を構成成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。また、有機系感光層の結着樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性に優れ、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくいため好ましい。
<本発明のトナーを用いる画像形成装置>
本発明のトナーが適用される画像形成方法は、例えば図1に概略される画像形成装置によって実施することができる。図1において、100は現像装置、109は感光体、105は紙などの被転写体、106は転写部材、107は定着用加圧ローラー、108は定着用加熱ローラー、110は感光体109に接触して直接帯電を行う一次帯電部材を示す。
一次帯電部材110には、感光体109表面を一様に帯電するようにバイアス電源115が接続されている。
現像装置100はトナー104を収容しており、静電潜像担持体(感光体)109と接触して矢印方向に回転するトナー担持体102を具備する。さらに、トナーコート量規制及び帯電付与のための現像ブレード101、及びトナー104をトナー担持体102に付着させかつトナー担持体102との摩擦でトナーへの帯電付与を行うため矢印方向に回転する塗布ローラー103を備えている。
トナー担持体102には現像バイアス電源117が接続されている。塗布ローラー103にもバイアス電源が接続されており(図示されていない)、負帯電性トナーを使用する場合は現像バイアスよりも負側に、正帯電性トナーを使用する場合は現像バイアスよりも正側に電圧が設定される。
転写部材106には感光体109と反対極性の転写バイアス電源116が接続されている。
感光体109とトナー担持体102の接触部分における回転方向の長さ、いわゆる現像ニップ幅は0.2〜8.0mmであることが好ましい。0.2mm未満では現像量が不足して満足な画像濃度が得られにくく、転写残トナーの回収も不十分となりやすい。8.0mmを超えてしまうと、トナーの供給量が過剰となり、カブリが生じやすく、また、感光体の摩耗が顕著となる傾向にある。
トナー担持体上のトナーコート量は現像ブレード101により制御されるが、この現像
ブレード101はトナー層を介してトナー担持体102に接触している。この接触圧は、4.9〜49N/m(5〜50gf/cm)であることが好ましい。4.9N/mよりも低いとトナーコート量の制御、及び均一な摩擦帯電が困難になり、カブリが生じる原因となる。一方、49N/mよりも高いとトナー粒子が過剰な負荷を受けるため、粒子の変形や現像ブレードあるいはトナー担持体へのトナーの融着等が発生しやすくなり、好ましくない。
現像ブレード101の規制部材(トナーコート量を規制する部材)の自由端部は、好ましいNE長(現像ブレードのトナー担持体に対する当接部から自由端までの長さ)を与える範囲であればどのような形状でもよく、例えば断面形状が直線状のもの以外にも、先端近傍で屈曲したL字形状のものや、先端近傍が球状に膨らんだ形状のもの等が好適に用いられる。
現像ブレード101の規制部材は、トナーを圧接塗布するための弾性ブレードであっても、剛性のある金属ブレード等であっても良い。該弾性ブレードの材質は、所望の極性にトナーを帯電させるのに適した摩擦帯電系列の材質であることが好ましく、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体、ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体、ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体が例示される。また、それらの複合体であっても良い。
また、上記弾性ブレードとトナー担持体に耐久性が要求される場合には、金属弾性体に樹脂やゴムをスリーブ当接部に当たるように貼り合わせたり、コーティングしたりしたものが好ましい。
さらに、上記弾性ブレードの材質は、前記の材質に有機物や無機物を含有させたもの(例えば、添加、溶融混合、または分散したもの)でも良い。該有機物や無機物としては、例えば金属酸化物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、無機繊維、染料、顔料、界面活性剤などが挙げられる。これらを添加、溶融混合、または分散させることにより、トナーの帯電性をコントロールすることができる。
特に、弾性ブレードがゴムや樹脂等の成型体の場合には、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化錫、ジルコニア、酸化亜鉛等の金属酸化物微粉末、カーボンブラック、一般にトナーに用いられる荷電制御剤等を含有させることも好ましい。
また、現像ブレード101の規制部材は、直流電場および/または交流電場を印加されることができる。電場を印加することによって、トナーへのほぐし作用が得られるので、均一薄層塗布性、均一帯電性がより向上し、充分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
帯電部材としては、非接触式のコロナ帯電部材、および帯電ローラー等を用いる接触型の帯電部材のいずれのものを用いることもできる。効率的な均一帯電、シンプル化、オゾン発生の低減のためには、接触方式のものが好ましく用いられる。
図1で用いられている帯電部材は、接触型の帯電部材である。一次帯電部材110は、中心の芯金110b、およびその外周を形成した導電性弾性層110aを有する帯電ローラーである。帯電ローラー110は、感光体(静電潜像担持体)109に押圧力を持って当接され、感光体109の回転に伴い従動回転する。
帯電部材として帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件の一例は、1)帯電ローラーの感光体に対する当接圧が4.9〜490N/m(5〜500gf/cm)であり
、2)印加電圧として直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いる場合には交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±1.5kVであり、直流電圧を用いる場合には直流電圧=±0.2〜±5kVである。感光体のドラムの削れを抑制するという点から、印加電圧として直流電圧のみを用いる方がより好ましい。
接触型の帯電部材として、帯電ローラーを用いるもの以外に、帯電ブレードを用いるものや、導電性ブラシを用いるものが挙げられる。これらの接触型の帯電部材は、非接触のコロナ帯電に比べて、高電圧が不必要であり、またオゾンの発生が低減するといった点で好ましい。
接触型の帯電部材を構成する帯電ローラーおよび帯電ブレードは、導電性ゴムであることが好ましく、その表面に離型性被膜を設けられていてもよい。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
尚、図1に記載の画像形成装置の説明として、接触帯電手段について述べたが、その他の構成の画像形成装置においても接触帯電手段を用いる場合には、同様の装置及び条件を用いることができる。
一次帯電工程に次いで、発光素子からの露光123によって、感光体109上に情報信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、トナー担持体102と当接する位置においてトナーにより現像されて可視像化される。さらに、感光体上にデジタル潜像を形成した現像システムと組み合わせることで、潜像を乱さないためにドット潜像に対して忠実に現像することが可能となる。該可視像(トナー像)は転写部材106によって、被転写体105に転写される。被転写体105は加熱ローラー108と加圧ローラー107の間を通過するが、このとき、加熱加圧定着手段によりトナー像が被転写体105に定着され、定着画像が得られる。
加熱加圧定着手段としては、ハロゲンヒーター等の発熱体を内蔵した加熱ローラーとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーを基本構成とする熱ローラー方式以外に、フィルムを介してヒーターにより加熱定着する方式も用いられる。
一方、転写されずに感光体109上に残った転写残トナーは、感光体109の表面に当接されるクリーニングブレードを有するクリーナー138で回収され、感光体109はクリーニングされる。
本発明のトナーを適用した画像形成方法を実施することができる画像形成装置の別の一例について、図2および3を用いて説明する。図2及び図3は、中間転写体を用いて多重トナー像を記録材に一括転写する画像形成装置の概略図を示す。
潜像担持体としての静電潜像担持体(感光体ドラム)1の表面に、帯電バイアス電圧が印加された帯電ローラー2を回転させながら接触させて、感光体ドラム表面を一次帯電し、その後、露光手段としての光源装置Lより発せられたレーザー光Eにより、感光体ドラム1上に第1の静電潜像が形成される。形成された第1の静電潜像は、回転可能なロータリーユニット24に設けられている第1の現像器であるブラック現像器4Bk中のブラックトナーにより現像され、ブラックトナー像が形成される。感光体ドラム1上に形成されたブラックトナー像は、中間転写ドラム5の導電性支持体に印加される転写バイアス電圧の作用により、中間転写ドラム5上に静電的に一次転写される。
次に、上記と同様にして感光体ドラム1の表面に第2の静電潜像を形成し、ロータリーユニット24を回転して、第2の現像器であるイエロー現像器4Y中のイエロートナーにより現像してイエロートナー像を形成し、ブラックトナー像が一次転写されている中間転写ドラム5上にイエロートナー像を静電的に一次転写する。
同様にして、第3の静電潜像を形成し、ロータリーユニット24を回転して、第3の現像器であるマゼンタ現像器4M中のマゼンタトナーにより現像し、さらに第4の静電潜像を形成し、ロータリーユニット24を回転して、第4の現像器としてシアン現像器4C中のシアントナーにより一次転写を行う。
このようにして中間転写ドラム5上に一次転写された多重トナー像は、記録材Pを介して反対側に位置する第2の転写装置8からの転写バイアス電圧の作用により、記録材Pの上に静電的に一括に二次転写される。記録材P上に二次転写された多重トナー像は加熱ローラー9a及び加圧ローラー9bを有する定着装置9により記録材Pに加熱定着される。転写後に感光体ドラム1の表面上に残存する転写残トナーは、感光体ドラム1の表面に当接するクリーニングブレードを有するクリーナー6で回収され、感光体ドラム1はクリーニングされる。
感光体ドラム1から中間転写ドラム5への一次転写は、第1の転写装置としての中間転写ドラム5の導電性支持体に、電源(図示されていない)により転写バイアスを印加することによって、トナー画像の転写が行われる。
中間転写ドラム5は、剛体である導電性支持体5aと、表面を覆う弾性層5bよりなる。
導電性支持体5aとしては、アルミニウム、鉄、銅及びステンレス等の金属や合金、及びカーボンや金属粒子等を分散した導電性樹脂等を用いることができ、その形状としては円筒状や、円筒の中心に軸を貫通したもの、円筒の内部に補強を施したもの等が挙げられる。
弾性層5bとしては、特に制約されるものではないが、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム及びノルボルネンゴム等のエラストマーゴムが好適に用いられる。ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート等の樹脂及びこれらの共重合体や混合物を用いても良い。
また、弾性層5bのさらに表面に、潤滑性、はっ水性の高い滑剤粉体を任意のバインダー中に分散した表面層を設けても良い。
上記滑剤は特に制限はないが、各種フッ素ゴム、フッ素エラストマー、黒鉛やグラファイトにフッ素を結合したフッ化炭素及びポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニルデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素化合物、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー等のシリコーン系化合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
また、上記表面層のバインダー中に、抵抗を制御するために導電剤を適時添加しても良
い。導電剤としては、各種の導電性無機粒子及びカーボンブラック、イオン系導電剤、導電性樹脂及び導電性粒子分散樹脂等が挙げられる。
中間転写ドラム5上に形成された多重トナー像は、第2の転写装置8により記録材P上に一括に二次転写されるが、転写手段8としてはコロナ帯電器の如き非接触静電転写手段、または転写ローラー及び転写ベルトの如き接触静電転写手段を使用することができる。
転写ローラーを用いる場合、中間転写ドラムの弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラーの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラーへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラーの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上大きな値であることが特に好ましい。
中間転写ドラムおよび転写ローラーの硬度は、SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)の一つで、硬さを測定するための測定器によりASKER−C硬度として測定される。本発明に用いられる中間転写ドラムは、10〜40度の範囲の弾性層から構成されることが好ましい。一方、転写ローラーの弾性層の硬度は、中間転写ドラムの弾性層の硬度より高く、41〜80度の値を有するものが好ましい。中間転写ドラムへの転写材の巻き付きを防止することができるからである。中間転写ドラムの弾性層が転写ローラーの弾性層の硬度よりも高いと、転写ローラー側に凹部が形成され、中間転写ドラムへの転写材の巻き付きが発生しやすい。
定着装置9としては、加熱ローラー9aと加圧ローラー9bを有する熱ローラー定着装置に替えて、記録材P上のトナー像に接するフィルムを加熱することにより、記録材P上のトナー像を加熱し、記録材Pに多重トナー像を加熱定着するフィルム加熱定着装置を用いることもできる。
図2に示される画像形成装置が用いている中間転写体である中間転写ドラム5は、中間転写ベルトに置換することができる。この中間転写ベルトの構成の一例を図3に示す。
静電潜像担持体(感光ドラム)1上に形成される第1〜第4色のトナー像(例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアントナー像)は、感光ドラム1と中間転写ベルト310とのニップ部を通過する過程で、一次転写ローラー312から中間転写ベルト310に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト310の外周面に順次一次転写される。感光ドラム1から中間転写ベルト310へ第1〜第4色のトナー像を順次重畳転写するための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性で、バイアス電源314から印加される。
感光ドラム1から中間転写ベルト310に第1〜第3色のトナー画像を一次転写する工程においては、二次転写ローラー313b及びクリーニング用帯電部材309を中間転写ベルト310から離間させておくことができる。なお、部材311は中間転写ベルト310を掛け渡すローラーである。
二次転写ローラー313bは、二次転写対向ローラー313aに対応し平行に軸受させて中間転写ベルト310の下面部に離間可能な状態に配設される。二次転写ローラー313bが中間転写ベルト310に当接されるとともに、中間転写ベルト310と二次転写ローラー313bとの当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送され、二次転写バイアスがバイアス電源316から二次転写ローラー313bに印加される。この二次転写バイアスにより、中間転写ベルト310から転写材Pへ多重トナー像が二次転写される。
転写材Pへの多重トナー像の二次転写終了後、中間転写ベルト310にクリーニング用帯電部材309が当接され、感光ドラム1とは逆極性のバイアスをバイアス電源315から印加することにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト310上に残留しているトナー(転写残トナー)に、感光ドラム1と逆極性の電荷が付与される。
上記感光ドラム1と逆極性の電荷が付与された転写残トナーは、感光ドラム1とのニップ部およびその近傍において、感光ドラム1に静電的に転写されることにより中間転写体310はクリーニングされる。
中間転写ベルト310は、ベルト形状の基層、及び基層の上に設けられた表面処理層よりなる。なお、表面処理層は複数の層により構成されていても良い。基層及び表面処理層の材質としては、ゴム、エラストマー、樹脂などが挙げられる。
ゴム、エラストマーとしては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム及び熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系及びフッ素樹脂系等)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
また、樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート等の樹脂を使用することができる。これら樹脂の共重合体や混合物を用いても良い。
中間転写ベルト310の基層としては、織布形状、不織布形状、糸状、フィルム形状をした芯体層の片面あるいは両面に、上述のゴム、エラストマー、樹脂を被覆、浸漬、噴霧したものを使用しても良い。
上記芯体層を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば綿、絹、麻及び羊毛等の天然繊維;キチン繊維、アルギン酸繊維及び再生セルロース繊維等の再生繊維;アセテート繊維等の半合成繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアルキルパラオキシベンゾエート繊維、ポリアセタール繊維、アラミド繊維、ポリフロロエチレン繊維及びフェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維及びボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維及び銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用いることができる。
さらに、中間転写ベルトの基層および表面処理層中に導電剤を添加してもよく、それにより中間転写ベルトの抵抗値を調節することができる。導電剤は特に限定されるものではないが、例えばカーボン、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化チタン等の金属酸化物、及び4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミン、含硼素高分子化合物及びポリピロール等の導電性高分子化合物等からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上が挙げられる。
また、必要に応じて中間転写ベルトの基層および表面処理層中に滑剤を添加してもよく、それにより中間転写ベルト表面の滑り性を上げ、転写性を向上することができる。滑剤
としては、中間転写ドラムの弾性層に用いるものと同様の滑剤を用いることができる。
次に、本発明のトナーを適用した画像形成方法を実施することができる画像形成装置のさらに別の一例を、図4を用いて説明する。この画像形成装置は、複数画像形成部にて各色のトナー像をそれぞれ形成し、これを同一転写材に順次重ねて転写するようにした画像形成装置である。
図4に示される画像形成装置には、第1,第2,第3及び第4の画像形成部29a,29b,29c,29dが並設されており、各画像形成部はそれぞれ、静電潜像担持体いわゆる感光ドラム19a,19b,19c及び19dを具備している。
感光ドラム19a〜19dの外周側には、帯電手段30a,30b,30cおよび30d、潜像形成手段23a,23b,23c及び23d、現像手段17a,17b,17c及び17d、転写手段(転写用放電手段)24a,24b,24c及び24d、ならびにクリーニング手段18a,18b,18c及び18dが配置されている。
図4に示される画像形成装置において、先ず、第1画像形成部29aの感光ドラム19aが帯電手段30aによって帯電され、そして潜像形成手段23aによって原稿画像における、例えばイエロー成分色の潜像が形成される。該潜像は現像手段17aのイエロートナーを有する現像剤で可視画像(イエロートナー像)とされ、転写手段24aにて、転写材である記録材Sに転写される。
上記のようにイエロートナー像が転写材Sに転写されている間に、第2画像形成部29bでは、例えばマゼンタ成分色の潜像が感光ドラム19b上に形成され、続いて現像手段17bのマゼンタトナーを有する現像剤で可視画像とされる。この可視画像(マゼンタトナー像)は、上記の第1画像形成部29aでの転写が終了した転写材Sが転写部24bに搬入されたときに、該転写材Sの所定位置に重ねて転写される。
以下、上記と同様の方法により、第3,第4の画像形成部29c,29dによって、例えばシアン色,ブラック色の画像形成が行なわれ、上記同一の転写材Sに、シアン色,ブラック色を重ねて転写する。このような画像形成プロセスが終了した後、転写材Sは定着手段22に搬送され、転写材S上の画像を定着する。このようにして転写材S上に多重トナー像が得られる。転写が終了した各感光ドラム19a,19b,19c及び19dは、クリーニング手段18a,18b,18c及び18dにより残留トナーを除去され、引き続き一連の画像形成プロセスが繰り返される。
上記画像形成装置では、転写材である記録材Sを搬送するために、搬送ベルト25が用いられている。転写材を搬送する搬送手段として、1)加工の容易性及び耐久性の観点からテトロン(登録商標)繊維のメッシュを用いた搬送ベルト、および2)ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂の如き薄い誘電体シートを用いた搬送ベルトなどが好ましく利用される。
一般に、このような搬送ベルトは体積抵抗が高く、カラー画像形成において数回の転写を繰り返す過程で搬送ベルトの帯電量が増加してしまうため、均一な転写を維持するためには各転写の都度、転写電流を順次増加させる必要がある。しかし、本発明のトナーは転写性が優れているので、転写を繰り返す毎に搬送ベルトの帯電量が増加しても、同じ転写電流で各転写におけるトナーの転写性を均一化することができるので、良質な高品位画像を得ることができる。
転写材Sが第4画像形成部29dを通過すると、AC電圧が除電器20に印加されて転
写材Sは除電される。それにより転写材Sはベルト25から分離され、定着器22に入って画像定着され、排出口26から排出される。
次に、本発明のトナーが適用された画像形成方法を実施するための画像形成装置のさらに別の一例を、図5を用いて説明する。この装置は、中間転写ドラムを用いて中間転写ドラム上に一次転写された4色の多重トナー像を記録材に一括して二次転写する際の二次転写手段として、転写ベルトを用いた画像形成装置である。
図5に示す画像形成装置は、現像器244−1、244−2、244−3、244−4を具備し、各現像器にはシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤、及びブラックトナーを有する現像剤が収容されている。
感光体241を帯電手段によって帯電し、さらに露光243によって静電潜像を形成する。該静電荷像を現像器244−1〜244−4を用いて現像し、各色トナー像を静電潜像担持体(感光体)241上に順次形成し、多重トナー像が形成される。
感光体241はa−Se、Cds、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。感光体241は駆動装置(図示されていない)によって矢印方向に回転される。
上記帯電は、中心の芯金242bとその外周を形成した導電性弾性層242aとを基本構成とする帯電ローラー242を用いて行われている。帯電ローラー242は、感光体241に押圧力をもって圧接され、感光体241の回転に伴い従動回転する。
感光体241の面に形成担持された第1色のトナー像は、感光体241と中間転写ドラム245とが接する転写ニップ部を通過する過程で、中間転写ドラム245に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写ドラム245の外面に順次に中間転写される。
感光体上に形成された多重トナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写ドラム245に転写される。転写後の感光体表面は、クリーニングブレード248を有するクリーニング手段249でクリーニングされる。
中間転写ドラム245は、前述の図2における中間転写ドラムと同様のものを用いることができる。245bは剛体である導電性支持体であり、245aはその表面を覆う弾性層である。
中間転写ドラム245は、感光体241に対して並行に軸受けさせて感光体241の下面部に接触させて配設されており、感光体241と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転される。
中間転写ドラム245の下方に、転写ベルト247が配置されている。転写ベルト247は、中間転写ドラム245の軸に対して並行に配置された2本のローラー、すなわちバイアスローラー247aとテンションローラー247cに掛け渡されており、駆動手段(図示されていない)によって駆動される。転写ベルト247は、テンションローラー247c側を中心にしてバイアスローラー247a側が移動可能に構成されており、中間転写ドラム245に対して下方から接離することができる。バイアスローラー247aには、二次転写バイアス源247dによって所望の二次転写バイアスが印加され、一方テンションローラー247cは接地されている。
転写ベルト247としては、カーボンを分散させた熱硬化性ウレタンエラストマー層(厚さ約300μm、体積抵抗率108〜1012Ω・cm(1kV印加時))の上に、フッ素ゴム層(厚さ20μm、体積抵抗率1015Ω・cm(1kV印加時))を重ねたゴムベルトを用いることができる。その外径寸法は周長80×幅300mmのチューブ形状とすればよい。
転写ベルト247は、前述のバイアスローラー247aとテンションローラー247cによって約5%延ばされる張力が印加されていてもよい。
転写ベルト247は、中間転写ドラム245と等速度、または周速度に差をつけて回転される。転写材246が中間転写ドラム245と転写ベルト247との間に搬送されると、転写ベルト247に、トナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスが、二次転写バイアス源247dから印加される。それにより、中間転写ドラム245上のトナー像が転写材246の表面側に転写される。
バイアスローラーの材質は、帯電ローラーと同様のものにすればよい。また、好ましい転写のプロセス条件は、ローラーの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500gf/cm)であり、直流電圧が±0.2〜±10kVである。
バイアスローラー247aの導電性弾性層247a1の材質は、カーボン等の導電材を分散させたポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)等の体積抵抗106〜1010Ω・cm程度の弾性体にすることができる。芯金247a2には定電圧電源によりバイアスが印加されている。バイアス条件としては、±0.2〜±10kVが好ましい。
上記転写材へのトナー像の転写後、中間転写ドラム245は、着脱自在なクリーニング手段280によって、表面がクリーニングされ得る。クリーニング手段280は、中間転写ドラム上にトナー像がある場合は、トナー像を乱さないように中間転写体表面から離されている。
トナー像を転写された転写材246は、定着器281(例えば、ハロゲンヒーター等の発熱体を内蔵させた加熱ローラー、及びこれに押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーを基本構成とする)へ搬送される。加熱ローラーと加圧ローラー間を通過することによってトナー像が転写材に加熱加圧定着される。該定着は、フィルムを介してヒーターにより定着する方法により行うこともできる。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部である。
<トナー製造例1>
下記の手順に従って重合法によりトナー粒子(1)を作製し、外添剤と混合することでトナー(1)を作製した。
60℃に加温したイオン交換水900部に、リン酸三カルシウム4部を添加し、これをTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)により10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を作製した。一方、下記の組成物をTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)に投入し、60℃に加温した後、9,000rpmにて撹拌して溶解、分散した。
・スチレン 160部
・n−ブチルアクリレート 40部
・C.I.ピグメントブルー15:3 14部
・サリチル酸アルミニウム化合物 2部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・ポリエステル樹脂 7部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg(ガラス転移温度)=68℃、Mw(重量平均分子量)=10000、Mn(数平均分子量)=6300)
・ステアリン酸ステアリルワックス(示差走査熱量測定(DSC)における最大吸熱ピーク温度60℃) 20部
・ジビニルベンゼン 0.2部
これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7.5部を溶解し、重合性単量体系組成物を調製した。調整した重合性単量体組成物を、上記水系媒体中に投入し、60℃,窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーを用いて9,000rpmで撹拌して懸濁させた。
その後、プロペラ式撹拌装置に移して撹拌しつつ、4時間60℃で保持した後、昇温速度40℃/hrで80℃まで昇温し、80℃で5時間反応を行い、重合体粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍量の水で洗浄し、ろ過した後、乾燥し、分級によって粒子径を調整してトナー粒子(1)を得た。
上記トナー粒子100部に対して、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)1.6部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)に投入し、図7のように上羽根にY0羽根、下羽根にS0羽根をそれぞれ使用した攪拌翼の撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程1)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程1)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら撹拌開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程2)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程2)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続した(混合工程3)。上記のように混合工程と休止工程を繰り返すことにより、トナー(1)を得た。
トナー粒子(1)の粘弾性、平均円形度および重量平均粒径を、それぞれ上記の方法により測定した。これらの測定結果を表2に示す。また、使用したトナー粒子、外添剤の種類・量の組み合わせを表3に、製造条件を表4にまとめた。
<トナー製造例2>
トナー粒子(1)をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミル衝突式ジェットミル(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級してトナー粒子(2)を得た。
上記トナー粒子100部に対して、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンオイルで処理され、トナー粒子と同極性(負極性)に帯電する疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)1.7部をヘンシェルミキサー(
三井三池社製)で表4の条件に変えて製造する以外はトナー製造例1と同様にしてトナー(2)を得た。トナー粒子(2)の粘弾性、平均円形度および重量平均粒径を、それぞれ上記した方法により測定した。これらの測定結果を表2に示す。また、使用したトナー粒子、外添剤の種類・量の組み合わせを表3に、製造条件を表4にまとめた。
<トナー製造例3>
トナー製造例1において、懸濁した後に、プロペラ式撹拌装置に移して撹拌しつつ、4時間60℃で保持した後、昇温速度40℃/hrで80℃まで昇温し、80℃で5時間反応を行い、その後、90℃で8時間撹拌を続ける以外はトナー粒子(1)と同様に重合体粒子を製造した。これをトナー粒子(3)とする。
このトナー粒子(3)と同極性(負極性)に帯電する疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で表4の条件に変えて製造する以外はトナー製造例1と同様にしてトナー(3)を得た。トナー粒子(3)の粘弾性、平均円形度および重量平均粒径を、それぞれ上記の方法により測定した。これらの測定結果を表2に示す。また、使用したトナー粒子、外添剤の種類・量の組み合わせを表3に、製造条件を表4にまとめた。
<トナー製造例4>
トナー製造例1において、重合開始剤を10.5質量部に増やす以外はトナー粒子(1)と同様に重合体粒子を製造した。これをトナー粒子(4)とする。
このトナー粒子(4)と同極性(負極性)に帯電する疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で表4の条件に変えて製造する以外はトナー製造例1と同様にしてトナー(4)を得た。トナー粒子(4)の粘弾性、平均円形度および重量平均粒径を、それぞれ上記の方法により測定した。これらの測定結果を表2に示す。また、使用したトナー粒子、外添剤の種類・量の組み合わせを表3に、製造条件を表4にまとめた。
<トナー製造例5>
トナー製造例1において、重合開始剤を5質量部に減じる以外はトナー粒子(5)と同様に重合体粒子を製造した。これをトナー粒子(5)とする。
このトナー粒子(5)と同極性(負極性)に帯電する疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)1.7部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で表4の条件に変えて製造する以外はトナー製造例1と同様にしてトナー(5)を得た。トナー粒子(5)の粘弾性、平均円形度および重量平均粒径を、それぞれ上記した方法により測定した。これらの測定結果を表2に示す。また、使用したトナー粒子、外添剤の種類・量の組み合わせを表3に、製造条件を表4にまとめた。
<トナー製造例6>
トナー粒子(4)を用いて、表3、表4の条件でトナー(6)を得た。
<トナー製造例7>
トナー粒子(5)を用いて、表3、表4の条件でトナー(7)を得た。
<トナー製造例8>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(8)を得た。
<トナー製造例9>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(9)を得た。
<トナー製造例10>
トナー粒子(1)を用いて、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンワニスX−40−2134(信越化学工業社製)で処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)1.6部を用いる以外はトナー製造例1と同様にしてトナー(10)を得た。
<トナー製造例11>
トナー粒子(1)を用いて、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)とシリコーンオイルで処理された疎水性酸化チタン微粉体(平均一次粒子径:35nm)を表3、表4の条件で加える以外はトナー製造例1と同様にしてトナー(11)を得た。
<トナー製造例12>
トナー粒子(1)を用いて、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)とシリコーンオイルで処理された疎水性アルミナ微粉体(平均一次粒子径:38nm)を表3、表4の条件で加える以外はトナー製造例1と同様にしてトナー(12)を得た。
<トナー製造例13>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(13)を得た。
<トナー製造例14>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(14)を得た。
<トナー製造例15>
トナー製造例1において使用されているワックスを示差走査熱量測定(DSC)における最大吸熱ピーク温度85℃のパラフィンワックスに変える以外は、トナー粒子(1)と同様にしてトナー粒子(6)を得た。その後、トナー1と同様の条件にてトナー(15)を得た。
<トナー製造例16>
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン810部、テレフタル酸300部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。
次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート188部と2時間反応を行ないイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。次に、プレポリマー(1)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量58000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。
上記と同様に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、250℃で5時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(a)を得た。なお、上記ピーク分子量は、GPCにより測定されるTHFに可溶な成分の分子量分布におけるピーク部分のポリスチレン換算分子量を意味する。
ウレア変性ポリエステル(1)500部と変性されていないポリエステル(a)500部を酢酸エチル溶剤2000部に溶解、混合し、結着樹脂(1)の酢酸エチル溶液を得た。
上記の結着樹脂(1)の酢酸エチル溶液300部に着色料としてカーボンブラック(リーガル400R:キャボット社製)6部、離型剤のワックスとしてカルナバワックス(示差走査熱量測定(DSC)における最大吸熱ピーク温度81℃)20部を加え、50℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。
次に、イオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業株製スーパタイト10)303部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.25部を入れ均一に溶解した。次いで50℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。
この後に、この混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥し、体積平均粒径が6.9μmのトナー粒子(7)を得た。このトナー粒子(7)を用いる以外は、トナー粒子(1)と同様にして、表3、表4の条件でトナー(16)を得た。
<トナー製造例17>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(17)を得た。
<トナー製造例18>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(18)を得た。
<トナー製造例19>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(19)を得た。
<トナー製造例20>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(20)を得た。
<トナー製造例21>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(21)を得た。
<トナー製造例22>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(22)を得た。
<トナー製造例23>
ワックスの添加量を35部に変える以外はトナー粒子(1)と同様にして、トナー粒子(8)得た。このトナー粒子(8)を用いて、表3、表4の条件でトナー(23)を得た。
<トナー製造例24>
ワックスの添加量を10部に変える以外はトナー粒子(1)と同様にして、トナー粒子(9)得た。このトナー粒子(9)を用いて、表3、表4の条件でトナー(24)を得た。
<トナー製造例25>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(25)を得た。
<トナー製造例26>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(26)を得た。
<トナー製造例27>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(27)を得た。
<トナー製造例28>
トナー粒子(1)を用いて、表3、表4の条件でトナー(28)を得た。
<トナー製造例29>
リン酸三カルシウム4部を6部に変える以外はトナー粒子(1)と同様にして、トナー粒子(10)得た。このトナー粒子(10)を用いて、表3、表4の条件でトナー(29)を得た。
<トナー製造例30>
リン酸三カルシウム4部を2部に変える以外はトナー粒子(1)と同様にして、トナー粒子(11)得た。このトナー粒子(11)を用いて、表3、表4の条件でトナー(30)を得た。
<トナー製造例31>
トナー粒子(1)100部に対して、ボントロンE−88(オリエント化学社製)0.5部をヘンシェルミキサーに投入し、撹拌翼最先端を周速40m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら撹拌開始から30秒間混合を継続し、減速した。次に、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)1.6部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)に投入し、トナー製造例1と同様に表3、表4の条件でトナー(31)を得た。
<トナー製造例32>
トナー粒子(1)を用いて、ヘンシェルミキサーをQ型ミキサー(三井鉱山社製)に変える以外はトナー製造例1と同様にして、表3、表4の条件でトナー(32)を得た。
<トナー比較製造例1>
トナー粒子(7)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(1)を得た。
<トナー比較製造例2>
トナー粒子(7)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(2)を得た。
<トナー比較製造例3>
トナー粒子(7)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(3)を得た。
<トナー比較製造例4>
トナー粒子(7)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(4)を得た。
<トナー比較製造例5>
トナー粒子(7)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(5)を得た。
<トナー比較製造例6>
トナー粒子(7)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(6)を得た。
<トナー比較製造例7>
トナー製造例16のトナー粒子(7)の製造において、ウレア変性ポリエステル(1)50部と変性されていないポリエステル(a)950部を酢酸エチル溶剤2000部に溶解、混合し、結着樹脂(2)とする以外は、トナー製造例16と同様にして、表3、表4の条件でトナー粒子(12)を得た。このトナー粒子(12)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(7)を得た。
<トナー比較製造例8>
トナー粒子(7)の製造方法において、ウレア変性ポリエステル(1)700部と変性されていないポリエステル(a)300部を酢酸エチル溶剤2000部に溶解、混合し、結着樹脂(3)とする以外は、トナー製造例16と同様にして、表3、表4の条件でトナー粒子(13)を得た。このトナー粒子(13)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(8)を得た。
<トナー比較製造例9>
トナー粒子(4)45部とトナー粒子(5)55部をブレンダーにて混合し、105℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミル衝突式ジェットミル(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級してトナー粒子(14)を得た。このトナー粒子(14)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(9)を得た。
<トナー比較製造例10>
トナー製造例3において、90℃での撹拌を20時間継続する以外はトナー粒子(1)と同様に重合体粒子を製造した。これをトナー粒子(15)とする。このトナー粒子(15)を用いて、表3、表4の条件で比較用トナー(10)を得た。
<実施例1>
トナー製造例1で得られたトナー(1)を現像剤として、図6に示すような画像形成装置を用いて画像評価試験を行った。用いられた画像形成装置について、以下に説明する。
本試験例では、図6に概略される非磁性一成分接触現像方式の電子写真プロセスを利用した、1200dpiレーザービームプリンタ(キヤノン製:LBP−840)の改造機を用いた。該改造機は、以下の(a)〜(h)の部分が改造された装置である。
(a)帯電方式を、ゴムローラーを当接して行う直接帯電とし、印加電圧を直流成分(−1150V)とした。
(b)トナー担持体を、カーボンブラックを分散したシリコーンゴムからなる中抵抗ゴムローラー(直径16mm、硬度ASKER−C45度、抵抗105Ω・cm)に変更し、感光体に当接した。
(c)該トナー担持体の回転を、感光体との接触部分において同方向にして、その速度を該感光体回転周速に対して145%とした。
(d)感光体を、Alシリンダーを基体として、これに以下に示す構成の層を順次浸漬塗布により積層した感光体とした。
・導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μm。
・下引き層:変性ナイロン及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚0.6μm。
・電荷発生層:長波長域に吸収を持つチタニルフタロシアニン顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6μm。
・電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量2万)に8:10の質量比で溶解したものを主体とする。膜厚20μm。
(e)トナー担持体にトナーを塗布する手段として、現像器内に発泡ウレタンゴムからなる塗布ローラーを設け、該トナー担持体に当接させた。塗布ローラーには、約−550Vの電圧を印加した。
(f)トナー担持体上トナーのコート層制御のために、樹脂コートしたステンレス製ブレードを用いた。
(g)現像時の印加電圧をDC成分(−400V)のみとした。
上記画像形成装置に用いられるトナー担持体と同径、同硬度、同抵抗を有するゴムローラー表面に市販の塗料をごく薄く塗布し、画像形成装置を仮組みしたあと、該ゴムローラーを取り外し、光学顕微鏡によりステンレスブレード表面を観察し、NE長を測定した。NE長は1.05mmであった。
さらに上記改造に適合するよう、電子写真装置に以下のような改造及びプロセス条件の設定を行った。帯電ローラー(直流のみを印加)を用いて感光体を帯電し、帯電に次いでレーザー光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成し、トナーにより可視画像とした後に、電圧を+700V印加したローラーによりトナー像を転写材に転写するプロセスとした。感光体帯電電位は、暗部電位を−550Vとし、明部電位を−150Vとした。
以上の条件で、高温高湿環境(30℃,80%RH)、常温常湿環境(23℃,50%RH)、および低温低湿環境(15℃,10%RH)の環境下にて、2%の印字比率の画像を1枚間欠モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の予備動作によりトナーの劣化を促進させるモード)で5000枚の画像をプリントアウトした。
上記画出し試験において、プリントアウトされた画像の(1)画像濃度および(2)画像カブリを以下のように評価した。これらの評価結果を表5に示す。
(1)画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)を転写材として用いて、上記画出し試験における耐久初期、および耐久終了時にベタ画像を出力した。そのベタ画像の濃度を「マクベス反射濃度計 RD918(マクベス社製)」を用いて測定し、以下の基準で評価した。ここで画像濃度は、白地部分の画像濃度を0.00とする相対濃度として測定された。この評価結果を表5に示す。
A:1.40以上
B:1.35以上、1.40未満
C:1.20以上、1.35未満
D:1.00以上、1.20未満
E:1.00未満
(2)画像カブリ
上記画出し試験における耐久終了時の画像の白地部分の白色度と、転写紙の白色度の差を「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した。測定された白色度の差からカブリ濃度(%)を算出した。算出されたカブリ濃度を用いて、以下の評価基準により画像カブリを評価した。フィルターは、シアンの場合はアンバーライト、イエローの場合はブルー、マゼンタ及びブラックではグリーンフィルターを用いた。この評価結果を表5に示す。
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.0%未満
C:1.0%以上1.5%未満
D:1.5%以上2.0%未満
E:2.0%以上
(3)画像の光沢感
LBP−5500(キヤノン製)を用いて、上記の低温低湿環境下において、CLC用紙(80g/m2)に、紙上のトナーの載り量が0.58〜0.62mg/cm2になるようにベタ画像を出力した。該ベタ画像の75度グロスをPG−3D(日本電色)により測定し、以下の基準で画像の光沢感を評価した。この評価結果を表5に示す。
A:グロス25以上(光沢感が高い)
B:グロス20以上25未満(光沢感あり)
C:グロス15以上20未満(実用上問題なし)
D:グロス10以上15未満(光沢感が不足気味)
E:グロス10以下(光沢感が不足)
(4)オフセット性および定着部材汚染
LBP−5500(キヤノン製)を用いて、上記の高温高湿環境下において、PB PAPER GF−500(キヤノン製)A4用紙(68g/m2)に、紙上のトナーの載り量が0.58〜0.62mg/cm2になるように横帯状のベタ画像を出力した。冷却状態から立ち上げて使用するモードで定着させた、初期10枚の画像におけるオフセット性、および同画像2000枚通紙後における定着部材の汚染を確認した。その確認結果を以下の基準で評価した。この評価結果を表5に示す。
A:画像上のオフセット、定着部材への汚染ともに発生せず
B:画像上のオフセットは発生せず、定着部材への汚染は僅かに発生
C:画像上のオフセットの発生が2枚以下で、定着部材への汚染は極軽微(実用上問題ない)
D:画像上のオフセットの発生が2枚以上5枚未満、あるいは定着部材への汚染が認められる
E:画像上のオフセットの発生が5枚以上、あるいは定着部材への汚染が激しい
<実施例3〜5、7〜20、24〜31、及び参考例2、6、21〜23及び32、並びに、比較例1〜11>
トナー製造例2〜32及びトナー比較製造例1〜11で得られたトナー(2)〜(32)、比較用トナー1〜11を用いて、実施例1と同様に、画像濃度、画像カブリ、画像の光沢感、オフセット性および定着部材汚染を評価した。それらの評価結果を表5に示す。