JP5067856B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法に代表される記録方法に用いられるトナーおよび画像形成方法に関するものである。
近年、コンピュータ及びマルチメディアの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、高精細画像を出力する手段が要望されている。多数枚の複写又はプリントによっても画質低下のない高耐久性が要求される一方で、スモールオフィスや家庭では、高画質な画像を得ると共に、省スペース・省エネルギーの観点から装置の小型化、定着温度の低温化が要望されている。それら課題に応えるための手法の一つが、良好な定着性、画像の高光沢性および高精彩性を維持した上で、更なる高速化、高耐久性、高転写性を十分に満足するトナーおよび画像形成方法の提供である。
耐久性と定着性の両立という観点では、トナーの粘弾性や溶融粘度で議論されることが多い。一般的にトナーは、現像装置内で機械的な摩擦力を受け劣化するので、トナーの粘弾性や溶融粘度を高くする方が有利である。写真のような画質を得る目的で最近極めて強く求められている画像の高光沢性を満足させようとすると、トナーの粘弾性や溶融粘度を低くした方がそのような光沢性のある画像を得やすいが、上述の通り耐久劣化には不利となる。
そこで、耐久性と定着性を両立させるための検討において、上記トナーの粘弾性や溶融粘度以外に、最近ではトナー粒子の内部構造を考慮した方法を用いつつある。具体的には、トナーの1粒子単位の耐ストレス性や定着性を議論することであり、この場合トナーの1粒子単位の硬度(微小圧縮硬度)が有効な指標となる。トナーの1粒子の硬度(微小圧縮硬度)は、トナー粒子の変形度合い(弾性・塑性)を示す。例えば、一般的な非磁性一成分現像方式におけるトナーの帯電は、トナー担持体とトナー層規制部材による摩擦によってなされているが、その規制部でトナー粒子1個1個に圧力が印加されるので、トナーの1粒子の硬度が規制部における耐久性の重要な指標となる。あるいは、接触転写のようにトナー粒子に圧力がかかりトナー粒子が変形し得る転写工程においても、トナーの1粒子の硬度が転写部における耐ストレス性を議論する論拠の1つとなる。熱と圧力による定着工程においても同様である。
従来技術の一例を挙げるが、低いガラス転移点を有する熱可塑性樹脂から成る熱溶融性芯材と非晶質ポリエステルを主成分とする外殻から構成されるカプセルトナーにおいて、トナーの1粒子に荷重を負荷した際に圧縮される変位量と荷重の関係を特定の範囲に規定することで、低温定着性、耐オフセット性、及び耐ストレス性が両立可能であることが開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。カプセルトナーは、低いガラス転移点の芯材を比較的厚い外殻で覆っている構造であるため、比較的高い加圧を印加する定着工程には有効であるが、低い加圧による軽負荷定着工程では低温定着性や画像の高光沢性を満足することが困難である。
また、トナーの1粒子の微小圧縮試験を行って得られる荷重−変位曲線が変曲点を有し、かつ、その変曲点の荷重が現像装置内でトナーが受ける負荷よりも大きいことを特徴とするトナーが提案されている。このトナーを用いることにより、定着工程では簡単に圧裂するものの、現像器内の耐ストレス性に優れ安定した帯電特性が得られることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このトナーは、比較的高い加圧を印加する定着工程では定着性を満足し得るが、定着工程の軽負荷化あるいは高速化に適用す
る場合は、低温定着性が低下し、更には高い光沢性の画像を得ることが困難である。
さらには、トナー粒子の結着樹脂に高分子量体と低分子量体を存在させることによりトナー粒子にある一定の硬度を持たせた、会合法によるトナーが提案されている。会合法によるこのトナーは、非磁性一成分現像方式において、トナー担持体及びトナー層規制部材による摩擦帯電作用によっても弊害を伴うことなく耐久安定性に優れることが開示されている(例えば、特許文献4参照)。会合法によるこのトナーは、樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる工程を経ることによって得られる。その樹脂粒子の構造が中心部から表層に向かうに従って各層を構成する樹脂の分子量が小さくなるように制御されている為、耐ブロッキング性や耐高温オフセット性に改善すべき点がある。
また、トナー担持体の性質改善も、画質低下のない高耐久性を達成するための手段の1つである。例えば、トナー担持性能や耐久性向上のため、トナー担持体表面層に含有する粗し粒子の条件や添加物の条件を工夫する技術が開示されている(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照)。さらには、圧力をかけたときのトナー担持体表面層の凹凸度合いを工夫することで、柔軟性のあるトナーでも耐久性を維持する技術も提案されている(例えば、特許文献9参照)。しかしながら、これまで以上に高光沢性能のあるトナーを用い、これまで以上に画質低下のない高耐久性を達成するためには、トナーおよびトナー担持体それぞれによりいっそうの工夫が必要である。
特許第03003018号 特許第03391931号 特開2005−300937号公報 特開2004−109601号公報 特開2005−121728号公報 特開2002−304053号公報 特開2006−251342号公報 特開2005−258201号公報 特開2006−178084号公報
本発明の目的は、定着性、現像性、及び耐久性がバランス良く優れたトナーおよび画像形成方法を提供することにある。
更に、本発明の目的は、低温定着性、耐高温オフセット性、画像の高光沢性に優れ、低印字率かつ高速かつ多数枚の連続プリントを行うことでトナーが現像装置内で負荷を受ける場合でも、耐ストレス性が良好であることから、現像性の安定した画像が得られるトナーおよび画像形成方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、
潜像担持体と、トナー担持体および前記トナー担持体上にトナー層を形成するトナー規制部材を備えた現像装置とを少なくとも用い、前記潜像担持体上に形成された静電潜像を非磁性一成分トナー(以下、単にトナーともいう)によって現像する現像工程を含む画像形成方法であって、
前記トナー担持体の表面層は、弾性率の異なる2種類の樹脂粒子Aおよび樹脂粒子Bを少なくとも含有する表面層であり、
前記樹脂粒子Aの弾性率が、0.05MPa乃至0.25MPaであり、
前記樹脂粒子Bの弾性率が、0.50MPa乃至2.00MPaであり、
前記トナーは、結着樹脂、着色剤、及びワックス成分を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体とを含有するトナーであり、
前記トナーに対する微小圧縮試験において、測定するトナーの粒子径をD(μm)、トナーの1粒子に負荷速度9.8×10−5N/secで荷重9.8×10−4Nを負荷したときの最大変位量をX100(μm)、荷重2.0×10−4N時の変位量をX20(μm)としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする画像形成方法に関する。
式(1) 0.400≦X100/D≦0.800
式(2) 0.020≦X20/D≦0.060
本発明の好ましい態様によれば、トナー担持体が特定の表面層構造および内部構造になっている場合に、トナーの1粒子が特定の微小圧縮硬度を有することにより、定着性、現像性が良好なトナーおよび画像形成方法を提供できる。且つ、高速で多数枚の連続プリントを行うことでトナーが現像装置内で負荷を受ける場合でも、安定した画像が得られるトナーおよび画像形成方法を提供することができる。特に、非磁性一成分接触現像システムを用い、低印字率にて高速出力させる場合においても、長期に安定して高精彩かつ高い光沢性を有する定着画像を得るためには、本発明のトナーおよび画像形成方法は非常に有用である。
本発明の画像形成方法は、
潜像担持体と、トナー担持体および前記トナー担持体上にトナー層を形成するトナー規制部材を備えた現像装置とを用い、前記潜像担持体上に形成された静電潜像を非磁性一成分トナーによって現像する現像工程を含む画像形成方法であって、
前記トナー担持体の表面層は、弾性率の異なる2種類の樹脂粒子Aおよび樹脂粒子Bを少なくとも含有する表面層であり、
前記樹脂粒子Aの弾性率が、0.05MPa乃至0.25MPaであり、
前記樹脂粒子Bの弾性率が、0.50MPa乃至2.00MPaであり、
前記トナーは、結着樹脂、着色剤、及びワックス成分を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体とを含有するトナーであり、
前記トナーに対する微小圧縮試験において、測定するトナーの粒子径をD(μm)、トナーの1粒子に負荷速度9.8×10−5N/secで荷重9.8×10−4Nを負荷したときの最大変位量をX100(μm)、荷重2.0×10−4N時の変位量をX20
μm)としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
式(1) 0.400≦X100/D≦0.800
式(2) 0.020≦X20/D≦0.060
一方、本発明のトナーは、
潜像担持体と、トナー担持体および前記トナー担持体上にトナー層を形成するトナー規制部材を備えた現像装置とを用い、前記潜像担持体上に形成された静電潜像を非磁性一成分トナーによって現像する現像工程を含む画像形成方法に用いられるトナーであって、
前記トナー担持体の表面層は、弾性率の異なる2種類の樹脂粒子Aおよび樹脂粒子Bを少なくとも含有する表面層であり、
前記樹脂粒子Aの弾性率が、0.05MPa乃至0.25MPaであり、
前記樹脂粒子Bの弾性率が、0.50MPa乃至2.00MPaであり、
前記トナーは、結着樹脂、着色剤、及びワックス成分を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体とを含有するトナーであり、
前記トナーに対する微小圧縮試験において、測定するトナーの粒子径をD(μm)、トナーの1粒子に負荷速度9.8×10−5N/secで荷重9.8×10−4Nを負荷したときの最大変位量をX100(μm)、荷重2.0×10−4N時の変位量をX20(μm)としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
式(1) 0.400≦X100/D≦0.800
式(2) 0.020≦X20/D≦0.060
上記条件のトナーに対する微小圧縮試験において、最大変位量X100が0.400≦X100/D≦0.800であるということは、この時のトナー粒径の変形率が40.0乃至80.0%であることを意味する。また、荷重2.0×10−4N時の変位量X20が0.020≦X20/D≦0.060であるということは、この時のトナー粒径の変形率が2.0乃至6.0%であることを意味する。即ち、上記特性を有する本発明のトナーは、比較的小さな負荷ではほとんど変形せず形状を維持する為、現像装置内で受ける程度のストレスでトナーが劣化することが抑制され、長期にわたって安定した現像性を維持できる。一方、現像装置内で受けるストレスより大きい比較的大きな負荷では、トナー粒子の変形率が高い為、接触転写のように圧力がかかりトナー粒子が変形し得る転写工程においては転写材への接触面積が増大し、転写されやすくなる。さらに、定着工程ではトナーは変形しやすく、トナーと定着部との接触面が増大するので熱伝達性が良好となり優れた定着性と高い光沢性のある画像を供し得る。つまり、上記特性を備えることで、例えば高光沢性を発現する溶融粘度の低いトナーであっても、耐久劣化に強いトナーとすることができるのである。
100/Dが0.400より小さい場合は、転写性、並びに低温定着性が十分に発現せず、0.800より大きい場合は、耐高温オフセット性が低下する。
20/Dが0.020より小さい場合は、トナーの変形性が低い為、僅かな負荷によってトナー粒子が欠けてしまう恐れがある。そうなった場合、濃度低下、カブリ悪化あるいは各種部材汚染等種々の弊害が発生しやすくなる。0.060より大きい場合は、現像装置内で受けるストレスによってトナー粒子が変形してしまい、現像性や転写性が低下する傾向にある。本発明でのX100/Dの好ましい範囲は0.500≦X100/D≦0.700であり、X20/Dの好ましい範囲は0.032≦X20/D≦0.050である。
上記のごとき微小圧縮特性を示すトナーに対し、組み合わせるトナー担持体は、軸芯体の外周に弾性層を有し、その外周に少なくとも結着樹脂と樹脂粒子を含有する表面層を有するトナー担持体である。該トナー担持体の表面層は、弾性率の異なる2種類の樹脂粒子AおよびBを少なくとも含有する表面層である。該樹脂粒子Aの弾性率は、0.05MP
a乃至0.25MPaであり、該樹脂粒子Bの弾性率は、0.50MPa乃至2.00MPaである。該特性のトナー担持体を用いることで、本発明のトナーの耐久性が大きく向上することが、本発明者らの検討により明らかとなった。
まず、トナーがトナー担持体とトナー規制部材の間を通過する場合を考える。トナー担持体の表面層に含まれる樹脂粒子は、トナーを効率良く担持するためにトナー担持体の表面に凹凸を持たせることが主目的であり、凸の部分を構成する要素の一つである。
凸部は最も圧力のかかる部分であり、このときトナー担持体の表面層に含まれる樹脂粒子の弾性率が0.05MPa乃至2.00MPaであると、トナー自身の微小圧縮特性との相乗効果により、耐久劣化が抑制されることがわかった。
さらに、上記樹脂粒子が、弾性率の異なる2種類の樹脂粒子AおよびBを少なくとも含有し、樹脂粒子Aの弾性率が、0.05MPa乃至0.25MPaであり、樹脂粒子Bの弾性率が、0.50MPa乃至2.00MPaであるときに、より大きな耐久劣化抑制効果が確認された。
特に、従来からの難題であった、低印字率画像を流し続けた場合でも、耐久劣化抑制に効果的であった。これは、上記条件のごとき弾性率の異なる2種類以上の樹脂粒子がトナー担時体の表面層に含まれる効果であると考えている。
ここで、印字率1%以下のようなトナー消費の少ないモードでプリントし続けた場合を考えてみる。この場合、消費されないトナーが現像装置内で繰り返し摺擦され、トナー表面の無機微粉体がトナー粒子に埋め込まれる等の劣化がどうしても生じてしまう。それら劣化トナーは、耐久履歴の無いフレッシュなトナーに比べて、トナー規制部材等の各種パーツを汚染しやすい。
この時、0.50乃至2.00MPaの弾性率を持つ樹脂粒子Bによる凸部が、トナー規制部材の汚染を除去する効果を発現するものと推測される。一方、樹脂粒子Bよりも弾性率の低い0.05乃至0.25MPaの樹脂粒子Aが存在することで、摺擦時の負荷バランスが本トナーとトナー担時体表面とで最適化され、トナー劣化抑制効果をも同時に発現する。以上のような効果が積み重なり、より大きな耐久劣化抑制が達成されたものと考える。
樹脂粒子の弾性率が0.05MPaよりも小さいと、弾性変形が大きいので、規制部材との接触面積が広くなり、耐久劣化抑制の相乗効果が薄れる方向である。2.00MPaよりも大きいと、本件のごときトナーにおいては、トナー担持体凹部でのトナー表面とトナー担持体表面間での摺擦が高まることを示唆する結果があり、これも相乗効果が薄れる方向である。本発明においては、樹脂粒子の弾性率は、0.10MPa乃至1.00MPaがより好ましい条件である。一方、樹脂粒子Aの弾性率のより好ましい範囲は、0.10MPa乃至0.20MPaであり、樹脂粒子Bの弾性率のより好ましい範囲は0.55MPa乃至1.00MPaである。
本発明における微小圧縮試験は、(株)エリオニクス社製 超微小硬度計ENT1100を用いた。本装置は、圧子を試料へ押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さを負荷時、除荷時にわたり連続的に測定することにより、負荷荷重−押し込み深さ曲線を得、この曲線から微小圧縮硬度・弾性率等のデータを得るものである。該装置を用いた測定方法は、(株)エリオニクス発行のENT1100操作マニュアルに記載されているが、具体的には以下の通りである。
使用圧子は20μm×20μm四方の平圧子を用い、測定環境は温度27℃、湿度60%RHで測定した。最大荷重を9.8×10−4Nに設定し、9.8×10−5N/secのスピードで荷重を掛けた。最大荷重(9.8×10−4N)に到達後、0.1secの間、その荷重で放置した。該最大荷重到達後0.1sec経過時に変位している量を最大変位量X100(μm)とした(以下、微小圧縮硬度ともいう)。
一方、最大荷重を9.8×10−4Nに設定し、9.8×10−5N/secのスピードで荷重を掛け、荷重が2.0×10−4Nに達したときの変位量をX20(μm)とした(以下、微小圧縮硬度ともいう)。
実際の測定はセラミックセル上にトナーを塗布し、トナーがセル上に分散するように微小なエアーを吹き付ける。そのセルを装置にセットして測定する。
測定は、装置付帯の顕微鏡を覗きながら測定用画面(横幅:160μm 縦幅:120μm)に無機微粉体を有するトナー粒子が1粒子で存在しているものを選択する。変位量の誤差を極力無くすため、測定するトナー粒子径がトナーの個数平均粒径(Dt1)の±0.20μmの範囲にあるもの(Dt1+0.20≧D≧Dt1−0.20)を選択して測定する。なお、測定用画面から任意の無機微粉体を有するトナー粒子を選択するが、トナー粒子径の測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いてトナー粒子の長径と短径を測定し、それらから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]をD(μm)とした。
測定に際しては、トナー粒子径が上記条件をみたす、無機微粉体を有する任意のトナー粒子100個を選んで最大変位量X100を測定し、得られた最大変位量X100(μm)の最大値、及び最小値から大きい順番と小さい順番にそれぞれ10個のトナー粒子を除いた残り80個のトナー粒子をデータとして使用した。該選択されたトナー粒子80個についてそれぞれ最大変位量X100(μm)をトナー粒子径D(μm)で除し、80個のX100/Dの算術平均値を求め、X100/Dとした。X20/Dも同様に求めた。
本発明のトナー(トナー製造例1のトナー)の微小圧縮試験における荷重−変位曲線を表したグラフを図2に示す。
なお、上記微小圧縮試験に関する上記種々条件は、トナー粒子の製造方法や製造条件、及びワックス成分の物性等を調節することで満たすことが可能である。本発明の微小圧縮硬度を満たすトナーを得る方法の一つとして、トナー粒子にコア−シェル構造を持たせる例が挙げられる。すなわち、トナー粒子外殻を変形し難い材料、トナー粒子内部を変形しやすい材料で構成すれば、比較的小さな負荷ではあまり変形せず、大きな負荷では変形するような特徴を備えやすい。ただし、単純にコア−シェル構造にしただけでは本発明の条件を満たせない。それを満たすトナーを得る方法として、コア材料やシェル材料の物性(例:分子量、ガラス転移温度、粘度、等)を工夫したり、トナー粒子を作る際の温度に注意すること、を例として挙げる。また、トナー粒子にワックス成分を含有させたとき、ワックス成分の融点、含有量あるいは分子構造を調節することが、上記のごとき微小圧縮硬度を持つトナー得るための重要な因子である場合が多い。
本発明における、トナー担持体の表面層に含まれる樹脂粒子の弾性率の測定方法を説明する。弾性率の測定には(商品名)Nano Indenter(MTS社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い、DCMヘッド、バーコヴィッチ型圧子(CSMモード)で測定する。用いる樹脂粒子をそのまま測定試料とする場合、用いる樹脂粒子1種類に付き任意で100個選び、測定し、100個の弾性率の算術平均値を求め、樹脂粒子の弾性率とする。用いる樹脂粒子をそのまま測定試料とする場合の他、トナー担持体を切り出して測定試料とすることもできる。トナー担持体を切り出して測定試料とする場合は、トナー担持体の中央部から、鋭利なかみそり刃を用いて、トナー担持体の表面層を弾性層ごとかまぼこ形状に切り出して切断面を得る。この切断面から、樹脂粒子の輪郭線が全て観察可能である樹脂粒子のみを任意で300個選び、測定する。そのとき、横軸が粒子の弾性率(MPa)で示され、縦軸が粒子個数(個)で示されるヒストグラムを作成する。ヒストグラムの横軸は、弾性率0.01MPaから5.00MPaの区間を等比級数で32分割する。つまり、ヒストグラムの階級値(階級の区切り値):Xa(MPa)は、下記式(A)で示される。
Figure 0005067856
なお、上記ヒストグラムにおいて、各階級の弾性率:RDj(MPa)(但し、jは1
から32の整数)を、下記式(B)に従って求め、RDjを、その階級における代表弾性率と定義する。
Figure 0005067856
本発明では、担持体を切り出して樹脂粒子の弾性率を測定した場合、上記ヒストグラムが持つピーク値のRDjを樹脂粒子の弾性率とみなして差し支えない。また隣接した階級にて縦軸の個数差が0個から3個であり、かつその階級がピークであった場合、次の処理を行う。すなわち、ピークに隣接した縦軸の個数差が0個〜3個であった場合、その隣接した階級も含め、それら階級に含まれる全粒子の測定された弾性率の算術平均値を、弾性率とみなす。また、本発明の実施範囲では、弾性率の異なる2種類の樹脂粒子Aおよび樹脂粒子Bを少なくとも用いるので、ピークが2つ以上存在する。すなわち本発明の実施範囲では、0.05MPaから0.25MPaの範囲で少なくとも1つのピークを持ち、0.
50MPaから2.00MPaの範囲で少なくとも1つのピークを持つ。
なお、上記樹脂粒子は、使用粒子の材料の種類や分子量、架橋の方法等により、弾性率を調整することが可能である。弾性率は、材料の分子間結合力や分子の立体障害の強さ、あるいは分子差間の架橋度に大きく依存するので、本発明ではそれらを吟味して適当な弾性率を示す材料を選択した。
以下、本発明における、好ましい条件について説明する。
本発明のトナーは、トナーのフローテスター昇温法による100℃の粘度(以下、単にトナーの100℃粘度ともいう)が6.0×10Pa・s乃至4.5×10Pa・sであることが好ましい。より好ましくは、1.0×10Pa・s乃至4.0×10Pa・sである。上記トナーの100℃粘度は、例えばトナー粒子に用いる樹脂の分子量の大小にて、ある程度の100℃粘度の大小をコントロールできる。あるいは、後述するトナー粒子を懸濁重合法で作る際の、反応温度と開始剤の量を検討することで上記範囲に調節することが可能である。
本発明のトナーは、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布(以下、単にトナーの分子量分布ともいう)において、メインピークの分子量(M1)が10,000乃至80,000であり、該分子量分布のチャートにおいてメインピークの分子量(M1)の高さをH(M1)、分子量4,000の高さをH(4,000)としたとき、H(4,000):H(M1)=(0.100乃至0.950):1.000、を満足することが好ましい。即ち、分子量4,000前後の領域にある成分を含有していることが定着性の観点から好ましい。H(4,000)がH(M1)に対して0.100未満の場合は、低温定着性が低下する方向である。一方、H(4,000)がH(M1)に対して0.950を超える場合には、耐オフセット性が低下する方向である。
本発明でのより好ましい範囲は、H(4,000):H(M1)=(0.300乃至0.700):1.000である。上記トナーの分子量分布は、例えばトナー粒子に用いる樹脂の分子量を吟味し、複数の樹脂を上記範囲になるように配合することで上記範囲に調節することが可能である。特に本発明においては、上記範囲を満たすための好適な方策例として、吟味されたモノマーの種類と量およびその他材料の種類と量を用いて、後述する
懸濁重合法でトナー粒子を作製することが挙げられる。
本発明のトナーは、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(以下、単にトナーの重量平均分子量ともいう)が20,000乃至60,000であることが、現像のバランスを取りながら高光沢性の画像を得る上で好ましい。より好ましくは、上記重量平均分子量が25,000乃至50,000である。上記トナーの重量平均分子量は、例えば、後述する懸濁重合法にてトナー粒子を作製する際の反応温度をコントロールすることで、上記範囲に調節することが可能である。
以上、本発明の好ましい態様を説明した。これらトナーの100℃粘度、トナーの分子量分布又はトナーの重量平均分子量は、高耐久性を維持しながらも高い光沢性のあるトナーの特性を向上させるための好適な方法の一つである。
本発明におけるトナーの高画質高耐久性効果をさらに向上させるためのより好ましい条件は、以下の通りである。
(1)トナーの個数平均粒子径(Dt1)が3.0μm乃至8.0μmであることが好ましい。
(2)トナー担持体の表面層に含まれる樹脂粒子の体積平均粒子径分布において、3.0μm乃至30.0μmの範囲内で少なくとも2つのピーク粒子径DPA[μm]およびDPB[μm]を有し、該Dt1、DPA及びDPBが、3.0≦Dt1<DPA<DPB≦30.0の関係を満足し、ピーク粒子径DPAが樹脂粒子A由来であり、ピーク粒子径DPBが樹脂粒子B由来であることが好ましい。
これらは、トナーの個数平均粒子径と樹脂粒子のピーク粒子径に特定の相対関係を持ち、かつ、樹脂粒子においても相対的に大きな粒径を有する樹脂粒子Bと、相対的に小さな粒径を有する樹脂粒子Aが含まれていることを意味する。なおかつ、相対的に大きな粒径の樹脂粒子が相対的に弾性率の大きな樹脂粒子Bであり、相対的に小さな粒径の樹脂粒子が相対的に弾性率の小さな樹脂粒子Aであることを意味する。このような関係により、トナー担持体の表面層の表面凸部とトナー規制部材との接点の最適化、表面凹部へのトナーの填り具合の最適化がなされ、特にカブリ抑制とトナー規制部材へのトナー融着抑制がより効果的になる。
特に本発明のトナーにおいては、大きな粒径の樹脂粒子に対して弾性率の大きな樹脂粒子Bを使用することでの、トナー規制部材へのトナー融着抑制効果への寄与が大きい。
また、トナー担持体の表面層に含まれる樹脂粒子の体積平均粒子径分布において、Dt1、DPA及びDPBが、3.0≦Dt1<DPA<DPB≦30.0および4.0≦DPB−DPA≦12.0を同時に満足し、ピーク粒子径DPAが樹脂粒子A由来であり、ピーク粒子径DPBが樹脂粒子B由来であることがより好ましい。これにより、樹脂粒子Aと樹脂粒子Bによるトナー担持体の表面層の凹凸がより鮮明な機能分離を果たし、トナーがトナー規制部材を通過するとき、本発明トナーの微小圧縮特性ゆえの大きな耐久性向上効果をもたらす。
更に本発明トナーの特性を向上させる好ましい条件として、トナーに対する微小圧縮試験において、トナーの1粒子に負荷速度9.8×10−5N/secで荷重9.8×10−4Nを負荷したときに得られる荷重−変位曲線に、図2に示したように、屈曲点を有することが挙げられる。該屈曲点は、トナーが荷重2.0×10−4N乃至8.5×10−4Nを受けたときに生じるものであることが好ましく、より好ましくは2.0×10−4N乃至5.9×10−4Nである。
本発明における「屈曲点」とは、図2で示すように、微小圧縮試験により得られた荷重−
変位曲線において、グラフの傾き(「変位量の増加量」に対する「荷重の増加量」)が小さくなるポイントである。
具体的には、本発明における「屈曲点」は以下のように定めることが出来る。トナーの微小圧縮試験により得られた荷重−変位曲線において、変位量x(μm)のときのトナーに掛かる荷重をP(x)(N/sec)とする。トナーの1粒子に負荷する最大荷重が9.8×10−4Nであるとき、グラフ上の変位量xの点と(x−0.2)の点を結んだ直線の傾きと、変位量xの点と(x+0.2)の点を結んだ直線の傾きの比は、下記式1のように関数f(x)で表すことができる。
Figure 0005067856
本発明のトナーは、Pが9.8×10−4Nに達するまでに、f(x)が最小値f(x)minを有する。このとき、f(x)min≦0.5を満たし、f(x)minとなる変位量x時のグラフ上の点が本発明における「屈曲点」となる。すなわち、屈曲点までのグラフの傾き(「変位量の増加量」に対する「荷重の増加量」)より、屈曲点以降の傾きの方が小さいことを意味している。技術的には、該屈曲点までの傾きの大きい「荷重−変位曲線部」は比較的小さい負荷には耐え、該屈曲点以降の傾きの小さい「荷重−変位曲線部」は負荷に対して変形しやすいことを意味している。
本発明に用いられるトナー粒子は、どのような手法を用いて製造されても構わないが、懸濁重合法、乳化重合法、懸濁造粒法の如き、水系媒体中で造粒する製造法によって製造されることが好ましい。一般的な粉砕法により製造されるトナー粒子の場合、ワックス成分を多量にトナー粒子に添加することは、技術的難易度が非常に高い。水系媒体中でトナー粒子を造粒する製造法は、ワックス成分を多量にトナー粒子に添加しても、トナー粒子表面にワックス成分を存在させず、内包化することができる。これら製造法の中でも懸濁重合法はワックス成分のトナー粒子中への内包化による長期現像安定性、及び、溶剤を使用しないといった製造コスト面から最も好ましい製造方法の一つである。
以下、本発明に用いられるトナー粒子を得る上で最も好適な懸濁重合法を例示して、該トナー粒子の製造方法を説明する。
結着樹脂を形成するための重合性単量体、着色剤、ワックス成分及び必要に応じた他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機に依って均一に溶解または分散させる。得られた溶解物または分散物に重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、該重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に懸濁して重合を行うことによってトナー粒子は製造される。上記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
懸濁重合法により得られるトナー粒子は、ワックス成分を内包化している完全カプセル構造を有している。本発明のトナーは、図2で示されるような微小圧縮試験における荷重
−変位曲線で屈曲点を有することが好ましい。この屈曲点は、トナー粒子の内部構造が関係し、該屈曲点までの傾きの大きい「荷重−変位曲線部」はシェル部、該屈曲点以降の傾きの小さい「荷重−変位曲線部」はコア部の変位を表していると推察される。このような微小圧縮試験における特定の特性は、分子量分布、ワックス成分、該ワックス成分の含有量を好ましいものとすることで、発現できたと考えられる。
本発明に用いられる結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。上記結着樹脂を形成するための重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
結着樹脂を形成するための重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。スチレン、o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの如きエン系単量体。
これらの重合性単量体は、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40℃以上75℃以下を示すように重合性単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面に影響を与えやすく、一方75℃を超える場合は、定着性に影響を与える傾向にある。
また、本発明のトナーに使用するトナー粒子を製造する場合においては、トナーのTHF可溶分が好ましい分子量分布を有するために、低分子量ポリマーを添加することが好ましい。低分子量ポリマーは、懸濁重合法によってトナー粒子を製造する場合には、重合性単量体組成物中に添加することができる。該低分子量ポリマーとしては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が2,000以上5,000以下の範囲で、且つ、Mw/Mnが4.5未満であることが好ましく、3.0未満であることがより好ましい。
低分子量ポリマーの例としては、低分子量ポリスチレン、低分子量スチレン−アクリル酸エステル共重合体、低分子量スチレン−アクリル共重合体が挙げられる。
上記低分子量ポリマーの好ましい添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上50質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上30質量部以下である。
本発明において、上述の結着樹脂と共にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の如きカルボキシル基を有する極性樹脂を併用することができる。
例えば、懸濁重合法により直接トナー粒子を製造する場合には、分散工程から重合工程に至る重合反応時に極性樹脂を添加すると、トナー粒子となる重合性単量体組成物と水系分散媒体の呈する極性のバランスに応じて、添加した極性樹脂がトナー粒子の表面に薄層
を形成したり、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在したりするように、極性樹脂の存在状態を制御することができる。即ち、極性樹脂を添加することは、コアシェル構造のシェル部を強化することができるので、本発明のトナーの微小圧縮試験における特定の特性を最適化することに貢献できる。
上記極性樹脂の好ましい添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上25質量部以下であり、より好ましくは2質量部以上15質量部以下である。1質量部未満ではトナー粒子中での極性樹脂の存在状態が不均一となりやすく、一方、25質量部を超えるとトナー粒子の表面に形成される極性樹脂の層が厚くなるために、好ましくない。
本発明に用いられる極性樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体が挙げられる。特に極性樹脂として、分子量3,000以上10,000以下にメインピークの分子量を有するポリエステル樹脂がトナー粒子の流動性、負摩擦帯電特性を良好にすることができるので好ましい。
本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナーのTHF可溶成分の分子量を制御するために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。
2官能の架橋剤として、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたもの。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。
上記トナー粒子の製造に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤。
これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、重合性ビニル系単量体100質量部に対して3質量部以上20質量部以下である。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合して使用される。
本発明のトナーは、着色力を付与するために着色剤を含有する。本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料、有機染料、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー系着色剤/マゼンタ系着色剤/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、好ましくは重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1質量部以上2
0質量部以下添加して用いられる。
本発明において、重合法を用いてトナー粒子を得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは、重合阻害のない物質による疎水化処理を着色剤に施しておいたほうが良い。特に、染料系着色剤やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
また、染料系着色剤の重合阻害性を抑制する方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、ポリオルガノシロキサン等)で処理を行っても良い。
本発明のトナーに用いられるワックス成分の含有量は、結着樹脂に対して4.0質量%乃至25質量%であることが好ましい。ワックス成分の含有量が4.0質量%より小さいと、定着時の離型性効果が十分に発揮しにくい傾向にあり、定着体が低温になった場合に、転写紙の巻きつきが起こりやすくなる。一方、25質量%より大きいと、ワックス成分がトナー粒子表面に偏在しやすくなり、本発明のトナーの微小圧縮試験における特定の特性を得るために追加の工夫が必要となる場合がある。また、カブリや融着といった弊害を生じやすくなる方向である。より好ましい含有量は6.0質量%乃至20質量%である。
更に、上記ワックス成分は、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時のDSC曲線において、最大吸熱ピーク温度が60℃乃至120℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは62℃乃至110℃、更に好ましくは65℃乃至90℃である。最大吸熱ピーク温度が60℃未満の場合は、トナーの保存性及びカブリの如き現像性が低下する傾向にある。一方、最大吸熱ピーク温度が120℃を超える場合は、トナーに与える可塑効果が少なく低温定着性が低下する傾向にある。
本発明のトナーに用いられるワックス成分は、炭化水素系ワックスが好ましい。
また、炭化水素系ワックス以外のワックス成分として、以下のものが挙げられる。アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、ケトンワックス、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体。上記ワックス成分は必要に応じて2種以上のワックス成分を併用しても良い。
上記炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法によるフィッシャートロプシュワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体。誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。更に、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらワックス成分は単独で又は2種以上を併せて用いられる。
これらの中でも、フィッシャートロプシュ法による炭化水素系ワックスを使用した場合、特に接触現像における現像性を長期にわたり良好に維持した上で、耐高温オフセット性を良好に保ち得る傾向にある。なお、これらの炭化水素系ワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。
前記水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、公知の無機系及び有機系の分散安定剤を用いることができる。
具体的には、無機系の分散安定剤の例としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、
炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。
また、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
本発明のトナーに用いられる水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、無機系の難水溶性の分散安定剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散安定剤を用いることが好ましい。
また、本発明においては、難水溶性の無機分散安定剤を用い、水系媒体を調製する場合に、これらの分散安定剤の使用量は重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
本発明において、上記のような難水溶性の無機分散安定剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤の粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、難水溶性の無機分散安定剤を生成させて水系媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
また、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩の如きによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及
びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
これら荷電制御剤の中でも、本発明の効果を十分に発揮するためには、金属を含有するサリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物が挙げられる。
荷電制御剤の好ましい配合量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。
しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナー規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
本発明のトナーは流動性向上剤として、無機微粉体を含有する。該無機微粉体はトナー粒子に外添されることが好ましい。
上記トナー粒子に外添される無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体またはそれらの複酸化物微粉体の如き微粉体が挙げられる。該無機微粉体の中でもシリカ微粉体及び酸化チタン微粉体が好ましい。
シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。無機微粉体としては、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他の如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体であっても良い。
無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のためにトナー粒子に外添されることが好ましい。無機微粉体は、疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で或いは併用して用いられても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したシリコーンオイル処理された疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
以下、本発明のトナーに係る各種特性の測定方法について説明する。
(1)フローテスター昇温法によるトナーの100℃の粘度の測定法
フローテスター昇温法によるトナーの100℃の粘度は、フローテスターCFT−500D(株式会社島津製作所製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い、下記の条件で測定を行った。
・サンプル:トナーを1.0g秤量し、これを直径1cmの加圧成型器により荷重20kNで1分間加圧することで成型してサンプルとする。
・ダイ穴径:1.0mm
・ダイ長さ:1.0mm
・シリンダ圧力:9.807×10(Pa)
・測定モード:昇温法
・昇温速度:4.0℃/min
上記の方法により、50℃乃至200℃におけるトナーの粘度(Pa・s)を測定し、100℃の粘度(Pa・s)を求めた。
(2)トナーの個数平均粒子径(Dt)の測定法
トナーの個数平均粒子径(Dt)は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェース(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、該装置の操作マニュアルに従い実施した。
具体的には、先ず、電解液として1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。電解液としては、市販のISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)も使用できる。前記電解水溶液100mlに測定試料(トナー)を5mg、及びコンタミノン水溶液(和光純薬工業株式会社製)0.1mlを加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い前記コールターマルチサイザーにより100μmアパーチャーを用いて、2.0μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して個数平均粒径(Dt)を求める。
(3)トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布及び分子量の測定法
本発明のトナーのTHF可溶分の分子量分布及び分子量は、GPC測定装置(HLC−8120GPC 東ソー(株)社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い、下記の測定条件で測定した。
<測定条件>
・カラム(昭和電工株式会社製):Shodex GPC KF−801,Shodex GPC KF−802、Shodex GPC KF−803、Shodex GPC KF−804、Shodex GPC KF−805、Shodex GPC KF−806、Shodex GPC KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・温度:40℃
・流速:0.6ml/min
・検出器:RI
・サンプル濃度:0.1質量%の試料を10μl
サンプル調製は、測定対象のトナー試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、6時間放置した後、充分に振とうし(試料の合一体がなくなるまで)、更に1日以上静置して行った。そして、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45μm)を通過させたものをGPC測定用試料とした。検量線は、単分散ポリスチレン標準試料、例えば東ソー社製の分子量が10乃至10程度のものを、少なくとも10点程度用いて作成した分子量校正曲線を使用した。
(4)ワックス成分の示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時のDSC吸熱
曲線における最大吸熱ピーク温度の測定法
ワックス成分のDSC装置で測定される昇温時のDSC吸熱曲線における最大吸熱ピーク温度の測定は、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7又はTAインスツルメンツジャパン社製のDSC−2920が利用できる。本発明においては、TAインスツルメンツジャパン社製DSC−2920を用い、該装置の操作マニュアルに従い実施した。具体的には、測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、20℃から振幅±1.5℃、周期1/minのモジュレーションをかけながら昇温速度2℃/minで180℃まで昇温し、得られた昇温時のDSC曲線からワックス成分の最大吸熱ピーク温度を得た。
本発明におけるトナー担時体について説明する。
上記トナー担持体は、軸芯体及び該軸芯体の外周の弾性層、並びに該弾性層の外周に少なくとも結着樹脂と樹脂粒子を含有する表面層を有するトナー担持体である。
トナー担持体に用いられる軸芯体は、トナー担持体の支持部材として機能するものである。また、トナー担持体表面に付着させたトナーを感光体上の静電潜像にて静電気的に現像できるように、トナー担持体表面を適切な導電性とするための電極となり得ることが好ましい機能である。例えばアルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄などの他、導電性を有する合成樹脂などの導電性のものが好ましい。
このような軸芯体の外周に設けられる弾性層も、トナー担持体表面を適切な導電性とするための電極となり得ることが好ましい。用いることができる弾性層の材質としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム等のゴム材を単独であるいは2種以上を混合したものを挙げることができる。特に、低硬度でかつ高反発弾性という特異な特性を有することからシリコーンゴムが好ましく用いられる。
それら材料に導電性を持たせるため、例えば、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラ−(インク)用カーボン、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び金属酸化物等を配合することが好ましい。この中で、少量で導電性を制御できることからカーボンブラックが好ましい。これら導電性粉体は、通常基材100質量部に対して0.5質量部乃至50質量部、特に1〜30質量部の範囲で好適に用いられる。
また、導電性材料として用いられるイオン導電性物質を例示すれば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、更に変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフェート、ステアリルアンモニウムアセテートの有機イオン性導電物質などが用いられる。このとき、抵抗領域1×10Ωcm乃至1×1010Ωcm、好ましくは1×10Ωcm乃至1×10Ωcmに調整したものが好適である。
その他、該弾性層の作製に用いられるゴム材には、これらの機能を害さない範囲で、非導電性充填剤、架橋剤、触媒等の各種添加剤を適宜含有させることができ、例えば、珪藻土、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミノケイ酸、炭酸カルシウム等の非導電性充填剤や、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の架橋剤などを含有させることができる。
また、該弾性層の厚さは2.0mm乃至6.0mmの範囲にあることが好ましく、3.0mm乃至5.0mmの範囲にあることがより好ましい。
トナー担持体の表面層は、樹脂粒子を含むものであれば特に制限されるものではなく、結着樹脂中に導電性を付与する導電剤と、樹脂粒子とを含有するものが好ましい。かかる結着樹脂としては、いずれの樹脂を含有するものであってもよいが、皮膜強度、トナー帯電性等の観点から、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂またはポリエーテル樹脂等が好ましい。それらの1種または2種以上を、使用される現像システムに応じたトナー帯電量を得ることができるように適宜選択して用いることができる。これらの樹脂のうち、ウレタン系樹脂が特に好ましい。かかるウレタン系樹脂としては2官能のポリエーテルポリオールと2官能のイソシネート成分を鎖延長させて得られるウレタン化ポリオールが好適である。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。また、これらのポリオール成分は必要に応じて予め2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,4ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等のイソシアネートにより鎖延長したプレポリマーとしてもよい。
これらのポリオール成分と反応させるイソシアネート化合物としては特に限定されるものではないが、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート、及びこれらの変性物や共重合物、そのブロック体を用いることができる。
上記トナー担持体の表面層を構成する結着樹脂は、表面層構成材料の中で70質量%乃至95質量%含有されることが好ましい。含有量がこの範囲であれば、トナーに与えるストレスを適度に抑制することができ、本発明のトナーにおいて好適である。
また、該表面層に適度な導電性を付与するための材料例は、上記弾性層で使用されるものと同様である。抵抗領域についても、1×10Ωcm乃至1×1010Ωcm好ましくは1×10Ωcm乃至1×10Ωcmに調整したものが好適である。
トナー担持体の表面層に含有される樹脂粒子は、弾性率が0.05MPa乃至0.25MPaの樹脂粒子および0.50MPa乃至2.00MPaの樹脂粒子が含まれていれば、材質などはいずれのものであってもよい。上記樹脂粒子の材質としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
さらに、本発明トナーの有する高画質高耐久性効果をより発揮させるための好適な条件としては、上記樹脂粒子Aおよび樹脂粒子Bの質量比(樹脂粒子A:樹脂粒子B)が、60:40乃至90:10が挙げられる。
その他、本発明のトナーとの耐久性における相乗効果を発揮する上での好適な条件としては、樹脂粒子A及びBを以下の条件でトナー担持体の表面層に含有させることが挙げられる。
(1)体積平均粒径が6μm以上22μm以下、且つ弾性率が0.05MPa乃至0.25MPaの球状の樹脂粒子Aを、トナー担持体表面層の結着樹脂100質量部に対して1
2質量部以上35質量部以下。並びに、
(2)体積平均粒径が10μm以上27μm以下、且つ弾性率が0.50MPa乃至2.00MPaの球状の樹脂粒子Bを、トナー担持体表面層の結着樹脂100質量部に対して3質量部以上15質量部以下。
ここで、含有させる樹脂粒子の体積平均粒径は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)により測定することができる。まず、コールターマルチサイザーIIに、個数分布および体積分布を出力するインターフェース(日科機製)ならびにPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、該装置の操作マニュアルに従い、測定を実施した。具体的には、先ず、電解液として1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製した。電解液としては、市販のISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)も使用できる。前記電解水溶液100mlに測定試料(樹脂粒子)を5mg、及びコンタミノン水溶液(和光純薬工業株式会社製)0.1mlを加えた。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーにより100μmアパーチャーを用いて、1.59μmから64.00μmの範囲で128チャンネルの体積粒度分布を測定し、測定された体積基準の50%粒径を本発明における樹脂粒子の体積平均粒径とした。
上述のように、本発明においては、トナー担持体の表面層に含まれる樹脂粒子の体積平均粒子径分布において、3.0μm乃至30.0μmの範囲内に少なくとも2つのピーク粒子径DPA[μm]およびDPB[μm]を有しており、トナーの個数平均粒子径(Dt1)、DPA及びDPBが、3.0≦Dt1<DPA<DPB≦30.0の関係を満足し、ピーク粒子径DPAが樹脂粒子A由来であり、ピーク粒子径DPBが樹脂粒子B由来であることが好ましい。さらに、3.0≦Dt1<DPA<DPB≦30.0、及び、4.0≦DPB−DPA≦12.0を同時に満足することがより好ましい条件である。
ここで、トナー担持体の表面層に実際に存在する状態での、樹脂粒子の体積平均粒子径分布の測定方法を説明する。
まず、トナー担持体から表面層を切り取り、切り取った表面層を適当な方法で引き裂いて破断し、破断面を、ビデオマイクロスコープの如き光学的拡大観察手段で観察する。観察倍率は500〜2000倍が好ましい。
観察された破断面から、樹脂粒子の輪郭線が全て観察可能である樹脂粒子のみを1000個選び出す。選び出した樹脂粒子の各々について、その面積相当径(投影面積と等しい面積を持つ円の直径):R(μm)を求める。
本発明においては、樹脂粒子を球状と近似し、各々の樹脂粒子の体積:Vn(μm)は、下記式(I)によって算出する。
Figure 0005067856
選び出した1000個の樹脂粒子の各々について、樹脂粒子の体積:Vn(nは1〜1000の整数)を求める。
以上の操作により得られたVnから、横軸が粒子直径(μm)で示され、縦軸が体積分率で示されるヒストグラムを作成する。ヒストグラムの作成は以下のようにする。
まず、ヒストグラムの横軸は、樹脂粒子の面積相当径:R(μm)である。ヒストグラムの階層は、直径1.59μmから64μmの区間を等比級数で32分割する。
つまり、ヒストグラムの階級値(階級の区切り値):Xm(μm)は、下記式(II)で示される。
Figure 0005067856
ヒストグラムの各階級に属する樹脂粒子の体積の総和を、1000個の樹脂粒子の体積の総和:
Figure 0005067856
で除した値を、その階級におけるヒストグラムの縦軸の値とする。
以上のようにして、樹脂粒子1000個の体積粒度分布を、ヒストグラムで示す。
なお、上記ヒストグラムにおいて、各階級の粒径:RSj(μm)(但し、jは1〜32の整数)を、下記式(III)に従って求め、RSjを、その階級における代表粒径と定義する。すなわちヒストグラムの縦軸は、ある代表粒径の粒子が全粒子に占める体積分率である。
Figure 0005067856
上記体積粒度分布を示すヒストグラムから、ピーク値(ピーク粒子径)を求める。本発明においては、該ピーク値が複数ある場合、ピーク値のうち粒子径最小のものをDPA、粒子径最大のものをDPBとする(体積分率2.0%未満でピーク値があった場合、寄与度があまり高くないのでそれはピークには含めない)。なお、ピーク値が1つの場合、DPAとして表記した。
本発明のトナー担持体は、軸芯体の外周に公知の方法を用いて弾性層を形成しその外周に表面層を公知の方法により形成することにより得ることができる。ここで、弾性層の形成方法としては特に限定されるものではないが、高い寸法精度で弾性層を形成できることから型内に弾性材料を注入することにより弾性層を形成する方法が好ましい。
また、表面層の形成方法としても特に限定されるものではないが、安定した表面形状を得ることができることから、表面層塗料を弾性層上にコートする方法が好ましい。特に生産安定性に優れること、表面層の厚みを比較的コントロールしやすいことから、特開昭57−5047号公報に記載されているような浸漬槽上端から塗料をオーバーフローさせるディップコートが好ましい。
また、表面層を形成する塗料中への抵抗調整剤や樹脂粒子の分散方法としては特に制限されるものではなく、樹脂材料を適当な有機溶剤に溶解させた樹脂溶液中に抵抗調整剤や樹脂粒子等を添加し、サンドグラインダー、サンドミル、ボールミル等の公知の装置を用いて分散することができる。
さらに、トナー担持体の表面層の厚みが8.0μm乃至15.0μmであること、トナー担持体の弾性層のアスカーC硬度が50°乃至60°であることが、トナーとの耐久劣化抑制に対するさらなる相乗効果を生むことから、より好ましい条件である。
ここでのトナー担持体の表面層の厚みとは、その表面層を構成する結着樹脂に依存する厚みのことであり、トナー担持体の表面層の凹部では特に重要な厚みである。具体的には
、トナー担持体の最表面から軸芯体中心方向へ直線を引いたときの、樹脂粒子を含まない部分でのトナー担持体最表面から担持体弾性層最表面までの平均距離のことである。
トナー担持体の弾性層のアスカーC硬度は、日本ゴム協会標準規格SRIS0101に準拠したアスカーC型スプリング式ゴム硬度計(高分子計器(株)社製)を用いて測定する。23℃、55%RHの環境中に12時間以上放置したトナー担持体の弾性層に対して、押針を10Nの力で当接させてから30秒後の測定値とする。トナー担持体の弾性層のアスカーC硬度は、弾性層を構成する材料の種類や架橋度合い、分子量などで調整することが可能である。
トナー担持体の表面層の厚さ測定について更に説明する。トナー担持体の中央部および、トナー担持体両端部からそれぞれ30mm中央部側の合計3点から、鋭利なかみそり刃を用いて、トナー担持体表面層を弾性層ごとかまぼこ形状に切り出して表面層厚さ測定サンプル(1)、(2)、(3)を得る。この切断面を、ビデオマイクロスコープ(キーエンス社製、倍率2000倍)により観察し、得られたサンプル(1)、(2)、(3)それぞれにおいて、測定位置を変えて5点の表面層厚さを測定し、合計15点の測定結果の平均値をトナー担持体の表面層の厚さとする。ここでの表面層厚さの測定位置は、表面層中に存在する樹脂粒子を含まない部分であって、具体的には隣り合う樹脂粒子と樹脂粒子の中点±2.0μmに入る適当な1点である(図1を参照)。また、表面厚さとは、その点を通る弾性層表面の垂線における表面層表面−弾性層表面間距離である。トナー担持体の表面層の厚さは、トナー担持体の弾性層に表面層材料分散液を塗布して作製する際の液粘度を調整する等、種々の製造条件にてコントロールすることができる。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。実施例中で使用する部はすべて質量部を示す。
〈トナー製造例1〉
スチレン単量体100質量部に対して、C.I.Pigment Blue15:3を16.5質量部、ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕を3.0質量部用意した。これらを、アトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズ(140質量部)を用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液1を調製した。
一方、イオン交換水710質量部に0.1M−NaPO水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl水溶液67.7質量部を徐々に添加してリン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
・マスターバッチ分散液1 40質量部・スチレン単量体 28質量部・n−ブチルアクリレート単量体 18質量部・低分子量ポリスチレン 20質量部
(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)
・炭化水素系ワックス 9質量部
(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピーク温度=78℃、Mw=750)
・ポリエステル樹脂 5質量部
(テレフタル酸:イソフタル酸:プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物):エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)=30:30:30:10の重縮合物、酸価=11mgKOH/g、Tg=74℃、Mw=11,000、Mn=4,000)
上記材料を65℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて均一に溶解し分散した。これに、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液7.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度65℃、N雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10,000rpmで10分間撹拌し重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度67℃に昇温し、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して水系分散媒体のpHを9に調整した。更に昇温速度40℃/hで80℃に昇温し4時間反応させた。重合反応終了後、減圧下でトナー粒子の残存モノマーを留去した。水系媒体を冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、6時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解した。トナー粒子を濾別し水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥し、シアン色のトナー粒子を得た。
このトナー粒子100質量部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体2.2質量部(数平均一次粒子径:7nm)、ルチル型酸化チタン微粉体0.15質量部(数平均一次粒子径:30nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、トナーを得た。得られたトナーの性質等を表1に示す。
〈トナー製造例2、3、4、5〉
ワックスの種類、及び添加量を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。なお、トナー製造例2のワックス成分は炭化水素系ワックス(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピーク温度=57℃、Mw=710)であり、トナー製造例3のワックス成分は炭化水素系ワックス(ポリプロピレンワックス、最大吸熱ピーク温度=129℃、Mw=17,000)であり、トナー製造例4及び5のワックス成分の種類はトナー製造例1と同様である。トナー製造例2および5においてはコアの柔軟性が増すためX100/Dがやや大きくなり、トナー製造例3および4においてはコアの硬度が上がるためX100/Dがやや小さくなった。
〈トナー製造例6〉
低分子量ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)の添加量を5.0質量部に、スチレン単量体の添加量を43質量部に、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を7.4質量部に変更すること以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナー製造例6の操作により、X100/DおよびX20/Dともにやや小さくなった。
〈トナー製造例7〉
ポリエステル樹脂の添加量を7.0質量部に、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を7.5質量部に、ワックス成分の物性を炭化水素系ワックス(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピーク温度=57℃、Mw=710)に変更すること以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナー製造例7の操作により、コアの柔軟性が増してX100/Dがやや大きくなり、シェルの硬度が増してX20/Dがやや小さくなった。
〈トナー製造例8〉
ポリエステル樹脂の添加量を3.5質量部に、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を6.5質量部に、炭化水素系ワックスを最大吸熱ピーク温度が129℃でありMwが17,000である炭化水素系ワックス(ポリプロピレンワックス)に変更すること以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナー製造例8の操作により、シェルの柔軟性が増してX20/Dがやや大きくなった。
〈トナー製造例9〉
低分子量ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)の添加量を10質量部に、スチレン単量体の添加量を33.5質量部に、n−ブチルアクリレート単量体の添加量を22.5質量部に、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を7.2質量部に変更すること以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナー製造例9の操作により、シェルの柔軟性が増してX20/Dがやや大きくなった。
〈トナー製造例10〉
低分子量ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)の添加量を30質量部に、スチレン単量体の添加量を23.4質量部に、n−ブチルアクリレート単量体の添加量を12.6質量部に、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を6.5質量部に変更すること以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナー製造例10の操作により、X100/DおよびX20/Dともにやや小さくなった。
〈トナー製造例11〉
ポリエステル樹脂の添加量を8.0質量部に、低分子量ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)の添加量を35質量部に、スチレン単量体の添加量を23.4質量部に、n−ブチルアクリレート単量体の添加量を12.6質量部に、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を8.8質量部に変更すること以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナー製造例11の操作により、X100/DおよびX20/Dともにやや大きくなった。
〈比較トナー例1〉
スチレン単量体の添加量を48質量部に変えること、低分子量ポリスチレンを添加しないこと、炭化水素系ワックスを添加せずにエステルワックス(ベヘン酸ベヘニル:最大吸熱ピーク=72℃、Mw=700)を9.0質量部添加すること、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を7.8質量部に変更すること以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。比較トナー例1の操作により、特にX100/Dが小さくなった。
〈比較トナー例2〉
スチレン単量体を添加しないこと、低分子量ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)の添加量を48質量部に変更すること、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を10.0質量部に変更すること以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。比較トナー例2の操作により、X100/DおよびX20/Dが大きくなった。
〈比較トナー例3〉
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に、実施例1と同様にして無機微粉体を外添し、トナーを得た。
・結着樹脂 100質量部[スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂(Mw=30,000、Tg=62℃)]
・C.I.Pigment Blue15:3 5質量部・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物 3質量部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE88〕
・エステルワックス 5.0質量部(ベヘン酸ベヘニル:最大吸熱ピーク=72℃、Mw=700)
比較トナー例3の操作により、特にX20/Dが大きくなった。
〈比較トナー例4〉
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に、実施例1と同様にして無機微粉体を外添し、トナーを得た。
・結着樹脂 100質量部[スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂(Mw=30,000、Tg=62℃)]
・C.I.Pigment Blue15:3 5質量部・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物 3質量部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE88〕
・エステルワックス 6.0質量部(ベヘン酸ベヘニル:最大吸熱ピーク=72℃、Mw=700)
比較トナー例4の操作により、特にX20/Dが大きくなった。また、比較トナー例3に対しワックス添加量をわずか1.0質量部増加させたのみで、X100/Dの値が比較トナー例3よりも相対的にかなり大きくなった。
〈比較トナー例5〉
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に、実施例1と同様にして無機微粉体を外添し、トナーを得た。
・結着樹脂 100質量部[スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂(Mw=70,000、Tg=68℃)]
・C.I.Pigment Blue15:3 5質量部・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物 3質量部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE88〕
・エステルワックス 5.0質量部(ベヘン酸ベヘニル:最大吸熱ピーク=72℃、Mw=700)
比較トナー例5の操作により、X100/Dは小さくなり、X20/Dが大きくなった。
〈比較トナー例6〉
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に、実施例1と同様にして無機微粉体を外添し、トナーを得た。
・結着樹脂 100質量部[スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂(Mw=170,000、Tg=68℃)]
・C.I.Pigment Blue15:3 5質量部・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物 3質量部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE88〕
・エステルワックス 5.0質量部(ベヘン酸ベヘニル:最大吸熱ピーク=72℃、Mw=700)
比較トナー例5の操作により、X100/DおよびX20/Dともに大きくなった。
上記トナー製造例および比較トナー例の主なトナー処方内容、トナーの物性について、
表1にまとめた。
更に、トナーの微小圧縮硬度測定結果について、代表例として、トナーA(トナー製造例1)、比較トナーa(比較トナー例1)、比較トナーd(比較トナー例4)の測定グラフを図2〜4に示す。
〈トナー担持体製造例1〉
[弾性層の形成]
SUS製のΦ8mm芯金にニッケルメッキを施し、さらにプライマ−DY35−051(商品名、東レダウコーニングシリコーン社製)を塗布、焼付けしたものを軸芯体として用いた。ついで、この軸芯体を内径16mmの円筒状金型に同心となるように配置し、液状シリコーンゴム材料SE6724A/B(商品名、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)100質量部に対し、カーボンブラックトーカブラック#7360SB(商品名、東海カーボン社製)を35質量部、耐熱性付与剤としてシリカ粉体を0.2質量部、および白金触媒0.1質量部を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを150℃、15分間加硫硬化し、脱型した後、さらに200℃、2時間加熱し硬化反応を完結させ、厚み4mmの弾性層2を軸芯体1の外周に設けた。
[ポリオールの合成]
表面層の結着樹脂成分として、ポリテトラメチレングリコールPTG1000SN(商品名、保土谷化学社製)100質量部に、イソシアネート化合物ミリオネートMT(商品名、日本ポリウレタン工業社製)20質量部をMEK溶媒中で段階的に混合し、窒素雰囲気下80℃にて7時間反応させて、水酸基価が20のポリエーテルポリオールを作製した。
[イソシアネートの合成]
窒素雰囲気下、数平均分子量500のポリプロピレングリコール100質量部に対し、粗製MDI57質量部を90℃で2時間加熱反応した後、ブチルセロソルブを固形分70%になるように加え、固形分当たりのNCO%が5.0%のイソシアネート化合物を得た。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシムを22質量部滴下し、ブロックポリイソシアネートAを得た。
[表面層用塗料の作製]
上記のようにして作製したポリオールに対し、ブロックポリイソシアネートAをNCO/OH基比が1.4になるように混合し、結着樹脂固形分100質量部に対し、カーボンブラック(商品名:MA100、三菱化学社製、Ph=3.5)20質量部を混合し、総固形分比が35質量%になるようにMEKに溶解、混合し、1.5mmの粒径のガラスビースを用いてサンドミルを用いて4時間分散して分散液1を作製した。その後、分散液中の結着樹脂成分固形分と同量のMEK中に球状ウレタン樹脂粒子アートパールC800透明(商品名、根上工業社製、体積平均粒径7.3μm)を24質量部、球状アクリル樹脂粒子MBX20X(商品名、積水化成品工業社製、体積平均粒径20.0μm)を風力分級により体積平均径15.0μmにしたものを6質量部添加し、超音波分散することにより樹脂粒子分散液を得た。得られた樹脂粒子分散液を分散液1に追加して、サンドミルを用いてさらに30分間分散して表面層用塗料を得た。
[弾性層上への表面層の形成]
上記のようにして得られた表面層用塗料を、オーバーフロー方式の浸漬塗工装置を用いて前記弾性層上にそれぞれ浸漬塗工した後乾燥させ、150℃にて2時間加熱処理することで弾性層表面に厚さ10.1μmの樹脂層を設け、トナー担持体を得た。
トナー担持体製造例1においては、DPAおよびDPBのピークを持っている。
〈トナー担持体製造例2〉
トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、球状ウレタン樹脂粒子アートパールC400透明(商品名、根上工業社製、体積平均粒径14.0μm)を24質量部、かつトナー担時体製造例1と同じ球状アクリル樹脂粒子を6質量部添加すること以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。

トナー担持体製造例2においては、体積平均粒度分布において、1つのピークのみ持っている。
〈トナー担持体製造例3〉
トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において使用した、球状ウレタン樹脂粒子アートパールC800透明(商品名、根上工業社製、体積平均粒径7.3μm)を、風力分級機にて分級し、体積平均粒子径4.4μmの球状ウレタン粒子とした。次に、トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、前記体積平均粒子径4.4μmの球状ウレタン粒子を24質量部、かつトナー担時体製造例1と同じ球状アクリル樹脂粒子を6質量部添加すること以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例3においては、DPAおよびDPBの2つのピークを持っているが、DPAがやや小さく、DPA<Dt1であった。
〈トナー担持体製造例4〉
トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、弾性率がやや低い体積平均粒径7.0μmの球状シリコーンゴムを24質量部添加することに変更し、かつトナー担時体製造例1と同じ球状アクリル樹脂粒子を6質量部添加すること以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例4においては、DPAおよびDPBの2つのピークを持っている。
〈トナー担持体製造例5〉
トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、トナー担時体製造例1と同じ球状ウレタン樹脂粒子24質量部と、弾性率がやや高いフェノール樹脂(商品名:ユニベックスC10、ユニチカ社製)の分級操作により得た体積平均粒径7.1μmのフェノール樹脂粒子6質量部を使用すること以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例5においては、DPAおよびDPBの2つのピークを持っている。
〈トナー担持体製造例6〉
トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、球状ウレタン樹脂粒子アートパールC400透明(商品名、根上工業社製、体積平均粒径14.0μm)を6質量部、球状アクリル樹脂粒子MBX20X(商品名、積水化成品工業社製、体積平均粒径20.0μm)を風力分級により体積平均径7.9μmにしたものを24質量部とする以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例6においては、DPAおよびDPBの2つのピークを持っているが、DPAが樹脂粒子B由来、DPBが樹脂粒子A由来のトナー担時体となった。
〈トナー担持体製造例7〉
トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、球状ウレタン樹脂粒子アートパールC800透明(商品名、根上工業社製、体積平均粒径7.3μm)を24質量部、球状アクリル樹脂粒子MBX20X(商品名、積水化成品工業社製、体積平均粒径20.0μm)を風力分級により体積平均径25.0μmにしたものを6質量部とする以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例7においては、DPAおよびDPBの2つのピークを持っているが、D
PBのピークがやや大きい。
〈トナー担持体製造例8〉
エチレンプロピレンゴム(商品名:三井3045ETP、三井化学社製)を、液体窒素を用いた冷凍粉砕法により粉砕した。次に、このエチレンプロピレンコム粒子を風力分級機により体積平均粒子14.4μmとし、弾性率の低い樹脂粒子を得た。次に、トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、弾性率の低い前記エチレンプロピレンゴム粒子を24質量部とし、かつトナー担時体製造例1と同じ球状アクリル樹脂粒子を6質量部とする以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例8においては、DPAのみピークを持っている。
〈トナー担持体製造例9〉
球状シリカ粒子(商品名:サイロスフェアC−1510、富士シリシア製)を、風力分級機により、体積平均粒子径14.0μmのものを作製した。次に、トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、弾性率の高い前記シリカ粒子を6質量部とし、かつトナー担時体製造例2と同じ球状ウレタン樹脂粒子を24質量部とする以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例9においては、DPAのみピークを持っている。
〈トナー担持体製造例10〉
トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、トナー担時体製造例8で使用した弾性率の低いエチレンプロピレンコム粒子を24質量部とし、かつトナー担時体製造例9で使用した弾性率の高いシリカ粒子を6質量部とする以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例9においては、DPAのみピークを持っている。
<トナー担持体製造例11>
トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、球状ウレタン樹脂粒子アートパールC800透明(商品名、根上工業社製、体積平均粒径7.3μm)を24質量部、球状アクリル樹脂粒子MBX20X(商品名、積水化成品工業社製、体積平均粒径20.0μm)を風力分級により体積平均径31.6μmにしたも
のを6質量部とする以外は、トナー担持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例11においては、DPAおよびDPBの2つのピークを持っているが、DPBのピークが大きい。
<トナー担持体製造例12>
トナー担持体製造例1における[表面層用塗料の作製]において、用いる樹脂粒子を、球状ウレタン樹脂粒子アートパールC800透明(商品名、根上工業社製、体積平均粒径7.3μm)を風力分級により体積平均径2.8μmにしたものを24質量部、球状アク
リル樹脂粒子MBX20X(商品名、積水化成品工業社製、体積平均粒径20.0μm)を風力分級により体積平均径15.0μmにしたものを6質量部とする以外は、トナー担
持体製造例1と同様にしてトナー担持体を得た。トナー担持体製造例12においては、DPAおよびDPBの2つのピークを持っているが、DPAのピークが小さい。
なお、上記トナー担持体製造例の物性について、表2にまとめた。
<実施例1>
評価機としてLBP−5300(キヤノン社製)の改造機(プロセススピード:200mm/sec、定着温度190℃)を使用して、下記のごとき各種画像評価を行った。評価カートリッジは、非磁性一成分方式のトナーカートリッジにトナー製造例1のトナーを160g充填し、また、トナー担持体製造例1に記載のトナー担持体を装着したものであ
る。検体はシアンステーションに装着し、その他のステーションにはダミーカートリッジを装着して評価を実施した。
(1)低温定着性
評価には、定着ユニットを定着温度が調整できるように改造した改造定着器を用いた。常温常湿(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)環境下にてXx64g/m紙を用いて評価を行った。未定着画像のトナーのり量が0.6mg/cmとなるように調整した後、温度130〜200℃の範囲を温度5℃間隔で設定した定着温度で、A4紙中に5cm角のベタ画像を9点出力させた。その画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5回往復し、濃度低下率が20%以上となる温度を定着下限温度として評価した。
A:定着下限温度が、145℃未満
B:定着下限温度が、145℃以上、155℃未満
C:定着下限温度が、155℃以上、165℃未満
D:定着下限温度が、165℃以上、175℃未満
E:定着下限温度が、175℃以上
(2)耐高温オフセット性
評価には、定着ユニットを定着温度が調整できるように改造した改造定着器を用いた。常温常湿(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)環境下にてXx75g/m紙を用いて評価を行った。未定着画像のトナーのり量が0.6mg/cmとなるように調整した後、170〜200℃の範囲を温度5℃間隔で設定した定着温度で、A4横置きで先端から5cmの全域が画像濃度0.5のハーフトーン、それ以外がベタ白という画像を出力させた。この際の白地部に現れるオフセットのレベルを目視確認した。
A:オフセットが全く発生しない
B:定着温度200℃で、A4縦置きで通紙した部分以外の端部にうっすらとオフセットが発生した。
C:定着温度200℃で、長手方向全域に、オフセットが発生した。
D:定着温度190℃で、A4縦置きで通紙した部分以外の端部にうっすらとオフセットが発生した。
E:定着温度190℃で、長手方向全域に、オフセットが発生した。
(3)定着ローラー巻きつき性
常温常湿(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)環境下にてXx64g/m紙を用いて評価を行った。転写紙先端から1mmの位置から、トナーのり量1.1mg/cmのベタ画像を載せ、未定着画像を得た。これを、キヤノン製複合機IRC3200の定着機を用いて定着させた。この時、定着温度を175℃から5℃ずつ低下させて定着させたとき、転写紙が定着ローラーに巻きつく温度を定着ローラー巻きつき温度とした。
A:155℃以下
B:160℃
C:165℃
D:170℃
E:175℃以上
(4)画像光沢性
常温常湿(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)環境下にて、Xx75g/m紙を用いてトナーのり量が0.5mg/cmであるベタ画像を作成し、「PG−3D」(日本電色工業株式会社製)を用いて、測定光学部角度75°における定着画像の光沢度を測定した。
A:25以上
B:20以上、25未満
C:18以上、20未満
D:15以上、18未満
E:15未満
(5)画濃濃度
常温常湿(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)環境下、高温高湿(H/H:温度30℃、湿度80%RH)環境下、および低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて、Xx75g/m紙を用いて2%の印字比率および1%の印字比率において、画像を10,000枚までプリントアウトする画出し試験において、耐久評価終了後にベタ画像を出力し、その濃度を測定することにより評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
A:1.40以上
B:1.30以上、1.40未満
C:1.20以上、1.30未満
D:1.10以上、1.20未満
E:1.10未満
(6)画像カブリ
常温常湿(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)環境下、高温高湿(H/H:温度30℃、湿度80%RH)環境下、および低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて、Xx75g/m紙を用いて2%の印字比率および1%の印字比率において、画像を10,000枚までプリントアウトする画出し試験において、耐久評価終了後に白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。フィルターは、アンバーライトフィルターを用いた。
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.0%未満
C:1.0%以上1.5%未満
D:1.5%以上5.0%未満
E:5.0%以上
(7)規制部材(=現像ブレード)汚染
常温常湿(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)環境下、高温高湿(H/H:温度30℃、湿度80%RH)環境下、および低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて、Xx75g/m紙を用いて2%の印字比率および1%の印字比率において、画像を10,000枚までプリントアウトする画出し試験において、耐久評価終了後に規制部材(=現像ブレード)の観察を行った。
A:全く汚染していない。
B:わずかに汚染しているが画像欠陥は全く発生していない。
C:汚染しており画像欠陥もわずかに発生している。
D:汚染が目立ち、画像欠陥も目立つ。
E:汚染がひどく、顕著な画像欠陥も発生している。
上記評価結果を表3に示す。本実施例1においては各評価項目にて良好な結果が得られた。
<実施例2乃至20>
上記実施例1にて示した試験方法に基づき、また、評価トナーおよび使用するトナー担持体を、表3の組み合わせにて、具体的な画像評価を行った。評価結果もあわせて表3に掲載する。なお、上記(1)、(2)、(3)および(4)の定着性試験については、トナー担持体製造例2との組み合わせ時に実施した。
<比較例1乃至10>
実施例1における評価トナーおよび使用するトナー担持体を、表4の組み合わせに変更する以外は、実施例1と同様にして検討を行った。評価結果もあわせて表4に掲載する。なお、上記(1)、(2)、(3)および(4)の定着性試験については、トナー担持体製造例2との組み合わせ時に実施した。
Figure 0005067856
Figure 0005067856
Figure 0005067856
Figure 0005067856
トナー担持体表面層の模式図。 実施例1のトナーAの微小圧縮試験における荷重−変位曲線グラフ。 比較例1の比較トナーaの微小圧縮試験における荷重−変位曲線グラフ。 比較例4の比較トナーdの微小圧縮試験における荷重−変位曲線グラフ。

Claims (7)

  1. 潜像担持体と、トナー担持体および前記トナー担持体上にトナー層を形成するトナー規制部材を備えた現像装置とを用い、前記潜像担持体上に形成された静電潜像を非磁性一成分トナーによって現像する現像工程を含む画像形成方法であって、
    前記トナー担持体の表面層は、弾性率の異なる2種類の樹脂粒子Aおよび樹脂粒子Bを少なくとも含有する表面層であり、
    前記樹脂粒子Aの弾性率が、0.05MPa乃至0.25MPaであり、
    前記樹脂粒子Bの弾性率が、0.50MPa乃至2.00MPaであり、
    前記トナーは、結着樹脂、着色剤、及びワックス成分を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体とを含有するトナーであり、
    前記トナーに対する微小圧縮試験において、測定するトナーの粒子径をD(μm)、トナーの1粒子に負荷速度9.8×10−5N/secで荷重9.8×10−4Nを負荷したときの最大変位量をX100(μm)、荷重2.0×10−4N時の変位量をX20(μm)としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする画像形成方法。
    式(1) 0.400≦X100/D≦0.800
    式(2) 0.020≦X20/D≦0.060
  2. 前記トナーのフローテスター昇温法による100℃の粘度が6.0×10Pa・s乃至4.5×10Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークの分子量(M1)が10,000乃至80,000であり、
    前記分子量分布のチャートにおいてメインピークの分子量(M1)の高さをH(M1)、分子量4,000の高さをH(4,000)としたとき、H(4,000):H(M1)=(0.100乃至0.950):1.000、を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量が、20,000乃至60,000であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記トナーの個数平均粒子径(Dt1)が、3.0μm乃至8.0μmであり、
    前記トナー担持体の表面層に含まれる樹脂粒子の体積平均粒子径分布において、3.0μm乃至30.0μmの範囲内に少なくとも2つのピーク粒子径DPA[μm]およびDPB[μm]を有し、前記Dt1、DPA及びDPBが、3.0≦Dt1<DPA<DPB≦30.0の関係を満足し、前記ピーク粒子径DPAが前記樹脂粒子A由来であり、前記ピーク粒子径DPBが樹脂粒子B由来であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  6. 前記トナー担持体の表面層に含まれる樹脂粒子の体積平均粒子径分布において、前記Dt1、DPA及びDPBが、3.0≦Dt1<DPA<DPB≦30.0および4.0≦DPB−DPA≦12.0を同時に満足し、前記ピーク粒子径DPAが前記樹脂粒子A由来であり、前記ピーク粒子径DPBが樹脂粒子B由来であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記トナー粒子は、水系媒体中で懸濁重合法によって製造されるトナー粒子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成方法
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