静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体に対面配置した現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対面配置する磁気ロールとを備え、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を収容する現像器を用い、前記二成分現像剤を前記磁気ロール上に保持し、前記磁気ロールから前記トナーを前記現像剤担持体上に移行させてトナー層を形成し、前記静電潜像担持体と前記現像剤担持体との間に電界を印加することにより、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像上にトナーを移行させて現像を行う現像工程を含む画像形成方法において、トナーの粒径、粘度、微小圧縮硬度について鋭意検討を重ねた結果、前述の課題を解決するトナー及び画像形成方法を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体に対面配置した現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対面配置する磁気ロールとを備え、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を収容する現像器を用い、前記二成分現像剤を前記磁気ロール上に保持し、前記磁気ロールから前記トナーを前記現像剤担持体上に移行させてトナー層を形成し、前記静電潜像担持体と前記現像剤担持体との間に電界を印加することにより、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像上にトナーを移行させて現像を行う現像工程を表した概略図である。
図1に示すように、この画像形成装置は磁気ロール1と、現像剤担持体2と、静電潜像担持体3とを備えている。そして、この磁気ロール1は、トナー5を帯電させて保持するキャリア4による磁気ブラシ6を発生させる。この磁気ブラシ6は磁気ブラシ規制ブレード7によって、均一な薄層にされる。また、現像剤担持体2の表面には、磁気ブラシ6から現像剤担持体に移行したトナー8によりトナー薄層が形成される。そして、静電潜像に応じて、トナー薄層から選択的に静電潜像担持体上へ移行したトナー9によって画像が形成される。
また、静電潜像担持体3と現像剤担持体2との間にバイアス電圧Vdc1を印加する第一直流用電源部10aと、交流用電源部10bとからなる電源部10が設けられている。さらに、交流用電源部10bは、静電潜像担持体3に対して、交流電圧Vac1を印加する。なお、バイアス電圧は、感光体の表面電位よりも低く、かつ、露光後電位よりも高くする。
また、磁気ロール1に電圧Vdc2を印加する第二直流用電源11を設けている。そして、現像剤担持体2の電位と磁気ロール1の電位との電位差|Vdc2−Vdc1|が高品質の画質が現れるような電位差となるように第一及び第二直流用電源部10a及び11の電圧を決める。
次に、上記画像形成方法に最適なトナーについて、鋭意検討を行った。その結果、トナーの粒径、粘度、微小圧縮硬度を本願の範囲にすることにより、本願の目的とする耐ストレス性、耐久性、転写性及び定着性の両立を、相乗的に具現化するに至った。
以下に、本発明のトナーについて説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤及びワックス成分を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有するトナーであって、
上記トナーの個数平均粒径(D1)が、3.00μm以上8.00μm以下であり、
上記トナーに対する微小圧縮試験において、測定するトナーの粒子径をD(μm)(D=D1±0.20)、トナーの1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで荷重9.8×10-4Nを負荷したときの最大変位量をX100(μm)、荷重2.0×10-4N時の変位量をX20(μm)としたとき、下記(1)から(3)を満たすことを特徴とする。
(1)100℃の粘度が10000乃至150000Pa・s
(2)0.100≦X100/D≦0.900
(好ましくは、0.400≦X100/D≦0.850)
(3)0.010≦X20/D≦0.080
(好ましくは、0.015≦X20/D≦0.060)
トナーの個数平均粒径(D1)が8.00μmを超えると、静電荷像を現像するトナーが大きくなるために、静電荷像に忠実な現像が行われにくく、また、静電的な転写を行うとトナーが飛び散りやすくなる。また、トナーの重量平均粒径を3.00μm未満とした場合には、トナーの移送性が高すぎ、現像器内でトナーとキャリアが程よく混合されず、トナーに適度な帯電を付与できない。
また、本発明の現像剤の後述する移送性をコントロール手段の1つとして、トナーの粒径を調整しても良い。
トナーの粒径の測定には、例えばコールターカウンターを使用する方法を挙げることができる。
トナーに対する微小圧縮試験において、最大変位量X100が0.100≦X100/D≦0.900であるということは、この時のトナー粒径の変形率が10.0乃至90.0%であることを意味する。また、荷重2.0×10-4N時の変位量X20が0.010≦X20/D≦0.080であるということは、この時のトナー粒径の変形率が1.0乃至8.0%であることを意味する。即ち、上記特性を有する本発明のトナーは、比較的小さな負荷ではほとんど変形せず形状を維持する。すなわち、現像器内で受ける程度のストレスでは、本発明のトナーが劣化しにくいことから、長期にわたって安定した現像性、転写性を維持できる。一方、上記微小圧縮硬度を有するトナーであれば、現像器内で受けるストレスより大きい比較的大きな負荷、例えば接触転写のように圧がかかりトナー粒子が変形し得る転写工程時においては、トナー粒子の変形率が高い為、転写材への接触面積が増大し転写されやすくなる。
より詳しくは、本発明の所望の変形率を有するトナーは、現像器内で受ける程度のストレスでは、トナーは劣化しにくく、転写工程において、転写材への接触面積が増大し転写されやすくなる。特に中間転写体上のトナーを少なくとも2色以上順次重ねていくフルカラー画像形成方法においては、従来の画像形成方法及びトナーを用いた場合、トナーの耐久による劣化が進みやすい。そのため、中間転写体上で重ねたカラー画像を転写材に転写する際に、ところどころで転写されないトナーがあるために、画像の面内均一性が悪くなる画像不良(以下、転写ぼそ画像と記す)が発生しやすくなるという問題が生じやすい。それに対して、本発明のトナーは耐ストレス性に優れ、所望の変形率を有するため、トナーの劣化に伴う転写ぼそ画像の発生を抑制することが可能なトナーである。
さらに、近年の高速化されつつある画像形成方法においては、定着工程において定着部材と記録材との接触時間短くなりつつあるが、本発明のトナーは、定着工程ではトナーは変形しやすく、トナーと定着部との接触面が増大するので熱伝達性が良好なトナーであり、優れた定着性を発現する。
特に、上記X100/D、X20/Dを満たす後述する懸濁重合法等により得られるコア・シェル構造を有するトナーにおいては、コア部を構成する結着樹脂及び/またはワックス成分が軟らかい物性を有するものであっても、シェル部を構成する結着樹脂が適度な硬さ及び/または厚さを有しているものであるため、優れた耐ストレス性と定着時における低温定着性、耐オフセット性を相乗的に兼ね備えたトナーである。
すなわち、X100/Dが0.100より小さい場合は、転写性、並びに低温定着性が十分に発現しない。また、トナーの変形性が低いと、トナーと定着部の接触面が十分ではなく、定着部材から、トナーへの熱伝導性が悪い。そのため、トナーが定着部材にオフセットしやすい。0.900より大きい場合は、定着時における耐高温オフセット性が低下する。定着工程において、トナーの高温オフセットが生じる、あるいは低温定着性が十分に発現されず低温オフセットがたとえわずかでも生じると、定着部材にオフセットしたトナーにより、長期にわたり、安定かつ高精細な画像を得ることができない。
X20/Dが0.010より小さい場合は、トナーの変形性が低い為、僅かな負荷によってトナー粒子が欠けてしまう恐れがある。その結果、定着時に、定着部材表面にオフセットしてしまう。その結果長期使用時において、安定かつ高精細な画像を得ることができない。
X20/Dが、0.080より大きい場合は、本発明に用いる現像装置において、磁気ロール、現像剤担持体及び静電潜像担持体へのトナー汚染が発生しやすく、安定して高画質な画像が得られない。また、現像器内で受けるストレスによってトナー粒子が変形あるいは、外添剤がトナー粒子に埋め込まれてしまい、所望の流動性、帯電性を得ることができなくなり、現像性や転写性が低下する傾向にある。
本発明における微小圧縮試験は、(株)エリオニクス社製 超微小硬度計ENT1100を用いた。本装置は、圧子を試料へ押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さを負荷時、除荷時にわたり連続的に測定することにより、負荷荷重−押し込み深さ曲線を得、この曲線から微小圧縮硬度・弾性率等のデータを得るものである。該装置を用いた測定方法は、(株)エリオニクス発行のENT1100操作マニュアルに記載されているが、具体的には以下の通りである。
使用圧子は20μm×20μm四方の平圧子を用い、測定環境は温度27℃、湿度60%RHで測定した。最大荷重を9.8×10-4Nに設定し、9.8×10-5N/secのスピードで荷重を掛けた。最大荷重(9.8×10-4N)に到達後、0.1secの間、その荷重で放置した。該最大荷重到達後0.1sec経過時に変位している量を最大変位量X100(μm)とした。
一方、最大荷重を9.8×10-4Nに設定し、9.8×10-5N/secのスピードで荷重を掛け、荷重が2.0×10-4Nに達したときの変位量をX20(μm)とした。
実際の測定はセラミックセル上にトナーを塗布し、トナーがセル上に分散するように微小なエアーを吹き付ける。そのセルを装置にセットして測定する。
測定は、装置付帯の顕微鏡を覗きながら測定用画面(横幅:160μm 縦幅:120μm)に無機微粉体を有するトナー粒子が1粒子で存在しているもの選択する。変位量の誤差を極力無くすため、トナー粒子径がD1(個数平均粒子径)=D±0.20μmを満たすものを選択して測定する。なお、測定用画面から任意の無機微粉体を有するトナー粒子を選択するが、トナー粒子径の測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いてトナー粒子の長径と短径を測定し、それらから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]をD(μm)とした。
測定に際しては、トナー粒子径が上記条件をみたす、無機微粉体を有する任意のトナー粒子100個を選んで最大変位量X100を測定し、得られた最大変位量X100(μm)の最大値、及び最小値から大きい順番又は小さい順番にそれぞれ10個のトナー粒子を除いた残り80個のトナー粒子をデータとして使用した。該選択されたトナー粒子80個についてそれぞれ最大変位量X100(μm)をトナー粒子径D(μm)で除し、80個のX100/Dの算術平均値を求め、X100/Dとした。X20/Dも同様に求めた。
本発明のトナー(実施例のトナー1)の微小圧縮試験における荷重−変位曲線を表したグラフを図2に示す。
上記微小圧縮試験に関する上記種々の物性は、トナー粒子の製造方法や製造条件、ワックス成分、結着樹脂の物性等を調節することで満たすことが可能である。
本発明のトナーは、トナーのフローテスター昇温法による100℃の粘度が10000Pa・s以上150000Pa・s以下であることが好ましい。さらに好ましくは、15000Pa・s以上100000Pa・s以下であり、より好ましくは20000Pa・s以上42000Pa・s以上であり、さらにより好ましくは25000Pa・s以上40000Pa・sであることが好ましい。また、上記トナーに対する微小圧縮試験において、トナーの1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで荷重9.8×10-4Nを負荷したときに、荷重−変位曲線が屈曲点を有することが好ましい。更に、該屈曲点は、トナーが2.0×10-4N以上8.5×10-4N以下の荷重を受けたときに生じるものであることが好ましく、2.0×10-4N以上5.9×10-4N以下の荷重を受けたときに生じるものであることが更に好ましい。
本発明における「屈曲点」とは、図2で示すように、微小圧縮試験により得られた荷重−変位曲線において、グラフの傾き(「変位量の増加量」に対する「荷重の増加量」)が小さくなるポイントである。
具体的には、本発明における「屈曲点」は以下のように定めることが出来る。トナーの微小圧縮試験により得られた荷重−変位曲線において、変位量x(μm)のときのトナーに掛かる荷重をP(x)(N/sec)とする。トナーの1粒子に負荷する最大荷重が9.8×10-4Nであるとき、グラフ上の変位量xの点と(x−0.2)の点を結んだ直線の傾きと、変位量xの点と(x+0.2)の点を結んだ直線の傾きの比は、下記式(10)のように関数f(x)で表すことができる。
本発明のトナーは、Pが9.8×10-4Nに達するまでに、f(x)が最小値f(x)minを有する。このとき、f(x)min≦0.5を満たし、f(x)minとなる変位量x時のグラフ上の点が本発明における「屈曲点」となる。すなわち、屈曲点までのグラフの傾き(「変位量の増加量」に対する「荷重の増加量」)より、屈曲点以降の傾きの方が小さいことを意味している。
本発明のようにフローテスター昇温法で測定される粘度が低いトナーは、低温定着性や画像の光沢性に優位であるが、一方で耐ストレス性が低下することが一般的である。しかしながら、本発明のトナーは、トナーの微小圧縮試験において荷重−変位曲線が屈曲点を有しており、該屈曲点までの「傾きの大きい荷重−変位曲線部」は比較的小さい負荷には耐え、該屈曲点以降の「傾きの小さい荷重−変位曲線部」は負荷に対して変形しやすいことを意味している。つまり、本発明のトナーは、低温定着性や画像の光沢性を満足しつつ、現像器内で受けるストレスのような比較的小さい負荷には耐えることができる。屈曲点が2.0×10-4Nより小さい荷重を受けたときに生じると、現像器内で受けるストレスによるトナーの変形性は高くなり耐ストレス性が低下しやすくなる。
屈曲点が8.5×10-4Nより大きい荷重を受けたときに生じると、比較的大きい負荷を受けた場合のトナーの変形性が低くなり転写性や画像の光沢性が低下する。また、定着時にトナー内部からワックス成分がトナー表面に瞬時に染み出さなくなり、トナーが定着部材表面にオフセットしてしまう。そのため、長期使用時において、安定かつ高精細な画像を得ることがある。
上記フローテスター昇温法による100℃の粘度、及び「屈曲点」に関する上記種々の物性は、それぞれトナー粒子の製造方法や製造条件、及びワックス成分、結着樹脂の物性等を調節することで満たすことが可能である。
本発明のトナーは、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークの分子量(M1)が10,000乃至80,000であり、該分子量分布のチャートにおいてメインピークの分子量(M1)の高さをH(M1)、分子量4,000の高さをH(4,000)としたとき、H(4,000):H(M1)=(0.100乃至0.950):1.000を満足していることが好ましい。即ち、分子量4,000前後の領域にある成分を含有していることが定着性の観点から好ましい。H(4,000)がH(M1)に対して0.100未満の場合は、低温定着性が低下し好ましくない。H(4,000)がH(M1)に対して0.950を超える場合には、耐高温オフセット性が低下して好ましくない。
本発明に係るトナーに使用可能なワックス成分としては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体(誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物)、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ンワックス。これらワックス成分は単独で又は2種以上を併せて用いられる。
本発明に用いられるワックス成分の含有量は、トナーの全量に対して2.0質量%以上17.0質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは5.0質量%以上16.0質量%以下である。ワックス成分の含有量が2.0質量%より小さいと、例え離型の良い定着部材を用いたとしても、定着時の離型性効果が十分に発揮できず、トナーの一部が定着部材にオフセットする場合がある。一方、17.0質量%より大きいと、ワックス成分がトナー粒子表面に偏在しやすくなり、現像器内において摩擦の如き機械的ストレスを受けた場合、例えばニ成分現像剤現像方式では、キャリア表面を、一成分現像方式では現像剤担持体を、ワックスで汚染しやすくなり、トナーに所望の帯電性を付与しにくくなる事から、カブリや融着といった弊害を生じやすくなる。
更に、上記ワックス成分は、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時のDSC曲線において、最大吸熱ピーク温度が60℃以上120℃以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは62℃以上110℃以下、更に好ましくは65℃以上90℃以下であるのが良い。最大吸熱ピーク温度が60℃未満の場合は、トナーの保存性及びカブリの如き現像性が低下する。一方、最大吸熱ピーク温度が120℃を超える場合は、トナーに与える可塑効果が少なく、定着時にトナーの一部が定着部材にオフセットしやすくなる場合がある。
本発明に用いられるワックス成分としては、炭化水素系ワックスを含むことが好ましい。その他のワックス成分として、以下のものが挙げられる。アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、ケトンワックス、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体。必要に応じて2種以上のワックス成分を併用しても良い。
本発明に用いられる炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法によるフィッシャートロプシュワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体。誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。更に、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらワックス成分は単独で又は2種以上を併せて用いられる。
これらの中でも、フィッシャートロプシュ法による炭化水素系ワックスを使用した場合、特に一成分現像方式の接触現像での現像性を長期にわたり良好に維持した上で、定着部材への耐オフセット性を良好に保ち得る。なお、これらの炭化水素系ワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。
本発明に用いられるトナー粒子は、どのような手法を用いて製造されても構わないが、懸濁重合法、乳化重合法、懸濁造粒法の如き、水系媒体中で造粒する製造法によって製造されることが好ましい。一般的な粉砕法により製造されるトナー粒子の場合、ワックス成分を多量にトナー粒子に添加することは、技術的難易度が非常に高い。水系媒体中でトナー粒子を造粒する製造法は、ワックス成分を多量にトナー粒子に添加しても、トナー粒子表面にワックス成分を存在させず、内包化することができる。そのため、定着工程において、定着部材にトナーがオフセットし、加熱源を汚染することを極力防止することができる。さらに、水系媒体中でトナー粒子を造粒する製造法、中でも懸濁重合法は、トナー粒子の粒径が他の製造方法に比べより均一にすることができる。それによって、現像時の選択現像を抑えることができ、耐久後半においても粒度が変わることなく、移送性が変化しにくい。その結果、長期にわたって、安定かつ高精細な画像をえることができる。これら製造法の中でも懸濁重合法はワックス成分のトナー粒子中への内包化し、カプセル構造となるため、本発明の粒径、粘度、微小圧縮硬度を有するトナーを具現化するのに最適であり、上記耐ストレス性、耐久性及び定着性を飛躍的に向上させるのに適している。また、製造時に溶剤を使用しないため製造コスト面から最も好ましい製造方法の一つである。
以下、本発明に用いられるトナー粒子を得る上で最も好適な懸濁重合法を例示して、該トナー粒子の製造方法を説明する。結着樹脂、着色剤、ワックス成分及び必要に応じた他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機に依って均一に溶解または分散させ、これに重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、該重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に懸濁して重合を行うことによってトナー粒子は製造される。上記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
懸濁重合法により得られるトナー粒子は、ワックス成分を内包化している完全カプセル構造を有している。本発明のトナーは、微小圧縮硬度が図2で示されるような荷重−変位曲線で屈曲点を有することが好ましい。この屈曲点は、トナー粒子の内部構造が関係し、該屈曲点までの傾きの大きい「荷重−変位曲線部」はシェル部、該屈曲点以降の傾きの小さい「荷重−変位曲線部」はコア部の変位を表していると推察される。更に、本発明のトナーにおいて、結着樹脂の種類、結着樹脂の分子量分布、結着樹脂の粘度、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)、コア部とシェル部の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)差、ワックス成分の種類、ワックス成分の含有量などを好ましいものとすることで、微小圧縮試験時のシェル部・コア部の変位を最適化することができ、本発明のトナーの特徴である微小圧縮硬度を最適化することができる。
本発明に用いられる結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
結着樹脂を生成するための重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの如きエン系単量体。
これらの重合性単量体は、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139乃至192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40℃以上75℃以下を示すように重合性単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの耐ストレス性、保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方75℃を超える場合は、定着性が低下する。
また、本発明のトナーに使用するトナー粒子を製造する場合においては、トナーのTHF可溶分が好ましい分子量分布を有するために、低分子量ポリマーを添加することが好ましい。低分子量ポリマーは、懸濁重合法によってトナー粒子を製造する場合には、重合性単量体組成物中に添加することができる。該低分子量ポリマーとしては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が2,000以上5,000以下の範囲で、且つ、Mw/Mnが4.5未満、好ましくは3.0未満のものが好ましい。
低分子量ポリマーの例としては、低分子量ポリスチレン、低分子量スチレン−アクリル酸エステル共重合体、低分子量スチレン−アクリル共重合体が挙げられる。
上記低分子量ポリマーの好ましい添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上50質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上30質量部以下である。
本発明において、上述の結着樹脂と共にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の如きカルボキシル基を有する極性樹脂を併用することができる。
例えば、懸濁重合法により直接トナー粒子を製造する場合には、分散工程から重合工程に至る重合反応時に極性樹脂を添加すると、トナー粒子となる重合性単量体組成物と水系分散媒体の呈する極性のバランスに応じて、添加した極性樹脂がトナー粒子の表面に薄層を形成したり、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在するように、極性樹脂の存在状態を制御することができる。即ち、極性樹脂を添加することは、コアシェル構造のシェル部を強化することができるので、本発明のトナーの微小圧縮硬度を最適化することに貢献できる。
上記極性樹脂の好ましい添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上25質量部以下であり、より好ましくは2質量部以上15質量部以下である。1質量部未満ではトナー粒子中での極性樹脂の存在状態が不均一となりやすく、一方、25質量部を超えるとトナー粒子の表面に形成される極性樹脂の層(シェル)が厚くなるために、好ましくない。
本発明に用いられる極性樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体が挙げられる。特に極性樹脂として、分子量3,000以上10,000以下にメインピークの分子量を有するポリエステル樹脂がトナー粒子の流動性、負摩擦帯電特性を良好にすることができるので好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tgp)と前記トナーのガラス転移温度(Tgt)が、下記(4)から(6)を満たすことが好ましい。
(4)60℃≦Tgp≦80℃(好ましくは、60℃≦Tgp≦80℃)
(5)50℃≦Tgt≦68℃
(6)10℃≦Tgp−Tgt≦30℃(好ましくは、12℃≦Tgp−Tgt≦25℃)
トナーのガラス転移温度(Tgt)が50℃より低い場合、例えシェル部をポリエステル樹脂で強化したとしても、トナーの保存安定性や耐ストレス性、耐久性が弱くなることがある。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tgp)が60℃より低い場合、シェル部の強度が弱く、トナーの保存安定性や耐ストレス性が弱くなることがある。また、本発明のトナーの微小圧縮硬度を満足できない場合がある。ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tgp)が80℃より高い場合、定着性が低下する場合がある。
トナーのガラス転移温度は、結着樹脂の主含量であるスチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体のTgによるところが大きい。すなわち、コア部の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が反映される部分が大きい。そのため、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tgp)が、トナーのガラス転移温度(Tgt)よりも高いが、その差が5℃より小さい場合、トナーのコア部とシェル部の硬さの差が小さく、本発明のトナーの微小圧縮硬度を満足できない場合がある。特に、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tgp)が高い(例えば80℃より大きい)場合、トナーのガラス転移温度(Tgt)も高い温度となることから、定着性が劣る場合がある。そのため、定着時にトナーの一部が定着部材にオフセットしやすくなる場合がある。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tgp)が、トナーのガラス転移温度(Tgt)よりも30℃より高くすると、実質のトナーのガラス転移温度を低くすることになるため、例えシェル部を強化したとしても、現像器内で受けるストレスによるトナーの耐ストレス性が低下し、長期使用時において、安定かつ高精細な画像を得ることができない場合がある。
上述のとおり、シェル部に最適な極性樹脂を添加することでトナーの耐ストレス性及び保存安定性を強化し、コア部の結着樹脂、ワックス成分を定着に最適な条件になるよう調整する。すなわちコア部とシェル部それぞれの機能性を最適化することにより、トナーの耐ストレス性、耐久性、保存安定性、定着性が相乗的に向上することが可能である。
先述した微小圧縮試験に関する上記種々の物性を、上記極性樹脂の種類、物性(例えばガラス転移温度(Tg))、添加量を調整することで、満たすことが好ましい。
本発明においては、トナー粒子の耐ストレス性を高めると共に、トナーのTHF可溶成分の分子量を制御するために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。
2官能の架橋剤として、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたもの。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテート。これらの架橋剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。
本発明のトナーは、着色剤の分散性及び帯電性向上の観点から荷電制御剤を添加してもよいが、無色又は淡色でトナーの帯電スピードが速く、且つ一定の帯電量を安定して維持できる負荷電制御剤が好ましい。特に、本発明のトナーにおいては、良好な着色剤の分散性及び帯電特性を導く点から、負荷電制御剤として、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
スルホン酸基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上、好ましくは5質量%以上含有し、且つガラス転移温度(Tg)が40乃至90℃、ピーク分子量が10,000乃至30,000、好ましくは重量平均分子量が25,000乃至40,000であるスチレン及び/又はスチレン(メタ)アクリル酸共重合体からなる高分子型化合物が挙げられる。これを用いた場合、トナー母粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい帯電特性を付与することができる。更に、該荷電制御剤がスルホン酸基を含有している為、結着樹脂中の荷電制御剤自身の分散性、及び着色剤の分散性が向上し、着色力、透明性、及び帯電特性が著しく改善される。
上記のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、下記一般式[2]で表されるものが好ましく、具体的には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸や2−メタクリルアミド−2−メチルプロパン酸等が挙げられる。
〔上記一般式[2]中、R
1は水素原子、又はメチル基を示し、R
2とR
3は、それぞれ独立して水素原子、C
1乃至C
10のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアルコキシ基を示し、nは1乃至10の整数を示す。〕
また、荷電制御剤としてジアルキルサリチル酸誘導体を用いてもよい。本発明に用いられるジアルキルサリチル酸誘導体としては、ジ−tert−ブチルサリチル酸の金属錯体、具体的にはジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム錯体等が挙げられる。該荷電制御剤はサリチル酸構造を有する為、トナー粒子表面付近に均一に配向し易く、効率の良い帯電付与能力を発揮すると共に、着色剤のトナー表面への移行を抑制し、トナー粒子表面に存在する着色剤に起因する問題を回避できる。特に、懸濁重合法においては、水中の分散剤と引き合うことで該粒子表面を分散剤で均一に覆う為、粒子同士の合一を防ぎ、優れた造粒安定性を示し、製造面においても好ましい。
なお、本発明に用いる荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対して2乃至10質量部含有させることにより、トナー粒子が逆電荷を保持しにくくなり、帯電状態を一層良好なものとすることができる。
本発明のトナーにおいては、上記した荷電制御剤に加えて必要に応じて他の荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。この手法によっても、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
当該他の荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
当該他の荷電制御剤は、上述のものも含め、例えば、トナーを負荷電性に制御するものとして、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。
また、トナーを正荷電性に制御するものとしては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
上記他の荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当たり0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部使用するのが良い。しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材や現像剤担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
本発明のトナーに用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤。
これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、重合性ビニル系単量体100質量部に対して3質量部以上20質量部以下である。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合して使用される。
本発明のトナーは、着色力を付与するために着色剤を必須成分として含有する。本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料、有機染料、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー系着色剤/マゼンタ系着色剤/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、好ましくは重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下添加して用いられる。
本発明においては重合法を用いてトナー粒子を得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは、重合阻害のない物質による疎水化処理を着色剤に施しておいたほうが良い。特に、染料系着色剤やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
また、染料系着色剤の重合阻害性を抑制する方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、ポリオルガノシロキサン等)で処理を行っても良い。
前記水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、公知の無機系及び有機系の分散安定剤を用いることができる。
具体的には、無機系の分散安定剤の例としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナーイト、シリカ、アルミナ。
また、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
本発明のトナーに用いられる水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、無機系の難水溶性の分散安定剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散安定剤を用いることが好ましい。
また、本発明においては、難水溶性無機分散安定剤を用い、水系媒体を調製する場合に、これらの分散安定剤の使用量は重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
本発明において、上記のような難水溶性無機分散安定剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤の粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、難水溶性無機分散安定剤を生成させて水系媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
本発明のトナー粒子には流動性向上剤として、無機微粉体が添加されている。
本発明のトナー粒子に外添する無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体またはそれらの複酸化物微粉体の如き微粉体が挙げられる。該無機微粉体の中でもシリカ微粉体及び酸化チタン微粉体が好ましい。
シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカ、ゾル−ゲル法により製造されるゾルゲルシリカなどが挙げられる。無機微粉体としては、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他の如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体であっても良い。
無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のためにトナー粒子に外添される。無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で或いは併用して用いられても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したシリコーンオイル処理された疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
本発明において二成分現像剤を用いた現像方式に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、磁性体粒子そのもの、磁性体粒子を樹脂で被覆した被覆キャリア、磁性体粒子を樹脂粒子中に分散させた磁性体分散型樹脂キャリア等の公知の磁性キャリアを用いることができ、磁性体粒子としては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着せしめる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリアコア粒子表面への被覆材料としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは、単独或いは複数で用いる。上記被覆材料の処理量は、キャリアコア粒子に対し0.1乃至30質量%(好ましくは0.5乃至20質量%)が好ましい。
これら磁性キャリアコア粒子は真比重が2.5乃至4.2g/cm3であり、体積基準の50%粒径(D50)は15乃至40μmであり、平均円形度が0.900乃至0.970であり、平均円形度の変動係数が1.0乃至10.0%を有することが好ましい。
上記変動係数とは磁性キャリアの平均円形度分布の広がりを示す指標である。この変動係数が10.0%を超えるとキャリア付着が発生しやすくなり、変動係数が1.0%未満であるとトナーへの摩擦帯電の付与性が低下するため、トナー飛散やカブリが発生しやすくなる。
平均円形度の変動係数が上記範囲を満たす磁性キャリアは、添加する樹脂成分による被覆を均一に行うために2度被覆したり、或いは、分級時における篩を最適化したりすることによって製造が可能である。また、ポーラス形状のフェライトコアを用いる場合には、樹脂成分を充填後、更に表面を被覆することによって製造することができる。
磁性キャリアを小粒径化することによって、磁性キャリアとトナー又はキャリア同士の接触点も増えるためスペントが発生し、それにより耐久後に画像ガサ等の画像欠陥が生じやすくなる。また、耐久時においてトナー濃度が低くなった場合に、現像剤の流動性が悪化し撹拌ができなくなりパッキングが発生するという知見を得た。この問題への対策は、磁性キャリアの真比重を2.5乃至4.2g/cm3にすることである。
本発明の体積基準の50%粒径は、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所株式会社製)により測定した。
トナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2乃至15質量%、好ましくは4乃至13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
本発明のトナーは、前記画像形成方法、または公知の現像方式を採用するフルカラー、モノクロ問わず、いかなるシステムでも用いることができる。例えば、高速システム用現像剤、オイルレス定着用現像剤、クリーナーレス用現像剤等、公知の現像方法に適用可能である。また、トナーにキャリアを添加し、現像槽へトナーとキャリアを補給するオートリフレッシュ現像方式においても、適用可能である。
以下、本発明に係る微小圧縮硬度以外の各種測定方法について説明する。
(1)フローテスター昇温法によるトナーの100℃の粘度の測定法
フローテスター昇温法によるトナーの100℃の粘度は、フローテスターCFT−500D(株式会社島津製作所製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い、下記の条件で測定を行った。
・サンプル:トナーを1.0g秤量し、これを直径1cmの加圧成型器により荷重20kNで1分間加圧することで成型してサンプルとする。
・ダイ穴径:1.0mm
・ダイ長さ:1.0mm
・シリンダ圧力:9.807×105(Pa)
・測定モード:昇温法
・昇温速度:4.0℃/min
上記の方法により、50℃乃至200℃におけるトナーの粘度(Pa・s)を測定し、100℃の粘度(Pa・s)を求めた。
(2)トナーの個数平均粒径(D1)の測定法
トナーの個数平均粒径(D1)は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、該装置の操作マニュアルに従い実施した。
具体的には、先ず、電解液として1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整した。電解液としては、市販のISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)も使用できる。前記電解水溶液100mlに測定試料(トナー)を5mg、及びコンタミノン水溶液(和光純薬工業株式会社製)0.1mlを加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い前記コールターマルチサイザーにより100μmアパーチャーを用いて、2.0μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して個数平均粒径(D1)を求める。
(3)トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布及び分子量の測定法
本発明のトナーのTHF可溶分の分子量分布及び分子量は、GPC測定装置(HLC−8120GPC 東ソー(株)社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い、下記の測定条件で測定した。
<測定条件>
・カラム(昭和電工株式会社製):Shodex GPC KF−801,Shodex GPC KF−802,Shodex GPC KF−803,Shodex GPC KF−804,Shodex GPC KF−805,Shodex GPC KF−806,Shodex GPC KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・温度:40℃
・流速:0.6ml/min
・検出器:RI
・サンプル濃度:0.1質量%の試料を10μl
サンプル調製は、測定対象のトナー試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、6時間放置した後、充分に振とうし(試料の合一体がなくなるまで)、更に1日以上静置して行った。そして、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45μm)を通過させたものをGPC測定用試料とした。検量線は、単分散ポリスチレン標準試料、例えば東ソー社製の分子量が102乃至107程度のものを、少なくとも10点程度用いて作成した分子量校正曲線を使用した。
(4)ワックス成分の示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時のDSC吸熱曲線における最大吸熱ピーク温度の測定法
ワックス成分のDSC装置で測定される昇温時のDSC吸熱曲線における最大吸熱ピーク温度の測定は、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7又はTAインスツルメンツジャパン社製のDSC−2920が利用できる。本発明においては、TAインスツルメンツジャパン社製DSC−2920を用い、該装置の操作マニュアルに従い実施した。具体的には、測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、20℃から振幅±1.5℃、周期1/minのモジュレーションをかけながら昇温速度2℃/minで180℃まで昇温し、得られた昇温時のDSC曲線からワックス成分の最大吸熱ピーク温度を得た。
(5)ガラス転移温度Tgの測定
本発明においては、示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を利用できる。
測定試料は5乃至20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、先ず前履歴を消去する目的で、次の操作を行う。N2雰囲気下で室温から200℃まで10℃/minで昇温させ、200℃で10分間保つ。その後急冷し、10℃まで温度を下げ、10℃で10分間保つ。その後、昇温速度10℃/minで、200℃まで昇温する。この昇温過程で、温度40乃至100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
この時の吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。
<トナー1の製造例>
スチレン単量体100質量部に対して、C.I.Pigment Blue15:3を16.5質量部、ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕を3.0質量部用意した。これらを、アトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズ(140質量部)を用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液1を調製した。
一方、イオン交換水710質量部に0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を徐々に添加してリン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
・マスターバッチ分散液1 40質量部
・スチレン単量体 28質量部
・n−ブチルアクリレート単量体 18質量部
・低分子量ポリスチレン 20質量部
(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)
・炭化水素系ワックス 9質量部
(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピーク=78℃、Mw=750)
・荷電制御樹脂(詳細は後述) 0.5質量部
・ポリエステル樹脂 5質量部
(テレフタル酸:イソフタル酸:プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物):エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)=30:30:30:10の重縮合物、酸価11、Tg=74℃、Mw=11,000、Mn=4,000)
上記材料を65℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて均一に溶解し分散した。これに、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液7.2質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度65℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10,000rpmで10分間撹拌し重合性単量体組成物を造粒し、その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度67℃に昇温し、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して水系分散媒体のpHを9に調整した。更に昇温速度40℃/hで80℃に昇温し4時間反応させた。重合反応終了後、減圧下でトナー粒子の残存モノマーを留去した。水系媒体を冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、6時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解した。トナー粒子を濾別し水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥し、シアン色のトナー粒子1を得た。
このトナー粒子100質量部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.5質量部(数平均一次粒子径:7nm)、i−ブチルトリメトキシシランとジメチルシリコーンオイルで表面処理されたアナターゼ型酸化チタン微粉体0.2質量部(数平均一次粒子径:30nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、本発明のトナー1を得た。トナー1の各種物性を表1に示した。
(荷電制御樹脂の製造例)
還流管,撹拌機,温度計,窒素導入管,滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール250質量部、2−ブタノン150質量部及び2−プロパノール100質量部、モノマーとしてスチレン80質量部、2−エチルヘキシルアクリレート15質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸8質量部を添加して撹拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤であるt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続し、更にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、更に5時間撹拌して重合を終了した。さらに、温度を維持したまま脱イオン水を500質量部添加し、有機層と水層の界面が乱れないように毎分80乃至100回転で2時間撹拌した後に、1時間静置し分層した後に、水層を廃棄し有機層に無水硫酸ナトリウムを添加し、脱水した。
次に、重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粗粉砕した。得られた硫黄原子を有する荷電制御樹脂は、Tg=58℃、Mp=12,000、Mw=32,000であった。
<トナー2の製造例>
トナー1の製造例の重合性単量体組成物の調製において、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量をそれぞれ、6.0質量部に変更すること以外は、トナー1の製造例と同様にして、本発明のトナー2を得た。トナー2の各種物性を表1に示した。
<トナー3乃至5の製造例>
トナー1の製造例の重合性単量体組成物の調製において、低分子量ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)の添加量を5.0質量部に、スチレン単量体の添加量を43質量部に、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量をそれぞれ、5.0質量部、4.8質量部、4.6質量部、ワックスをベヘン酸ベヘニル:最大吸熱ピーク=72℃、Mw=700に変更すること以外は、トナー1の製造例と同様にして、本発明のトナー3乃至5を得た。トナー3乃至5の各種物性を表1に示した。
<トナー6乃至8の製造例>
実施例1の重合性単量体組成物の調製において、スチレン単量体を添加しないこと、低分子量ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)の添加量を48質量部、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量をそれぞれ4.0質量部、5.1質量部、5.3質量部、ポリエステルの添加量を表3のように変更すること以外は、トナー1の製造例と同様にして、本発明のトナー6乃至8を得た。トナー6乃至8の各種物性を表1に示した。
<トナー9の製造例>
トナー1の製造例の重合性単量体組成物の調製において、低分子量ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)の添加量を10質量部、ポリエステルの添加量を1質量部、スチレン単量体の添加量を33.5質量部に、n−ブチルアクリレート単量体の添加量を22.5質量部に、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を7.8質量部に変更すること以外は、トナー1の製造例と同様にして、本発明のトナー9を得た。トナー9の各種物性を表1に示した。
<トナー10乃至13の製造例>
トナー1の製造例において、0.1M−Na3PO4水溶液の添加量をそれそれ576質量部、612質量部、360質量部、342質量部、1.0M−CaCl2水溶液86.7質量部、92.1質量部、54.2質量部、51.5質量部に変更すること以外は、トナー1の製造例と同様にして、本発明のトナー10乃至13を得た。トナー10乃至13の各種物性を表1に示した。
<トナー14、15の製造例>
トナー1の製造例の重合性単量体組成物の調製において、低分子量ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)の添加量をそれぞれ1.9質量部、0質量部に変更すること以外は、トナー1の製造例と同様にして、本発明のトナー13、14を得た。トナー13、14の各種物性を表1に示した。
<トナー16乃至21の製造例>
トナー1の製造例の重合性単量体組成物の調製において、スチレン単量体の添加量を33.0質量部に、n−ブチルアクリレート単量体の添加量を18.5質量部に、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液の添加量を6.2質量部に、ポリエステル樹脂のテレフタル酸:イソフタル酸:プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物):エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)の比率を変え表1に示すガラス転移点にしたこと以外は、トナー1の製造例と同様にして、本発明のトナー16乃至21を得た。トナー16乃至21の各種物性を表1に示した。
<トナー22乃至25の製造例>
ワックスの添加量を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様にして、本発明のトナー21乃至24を得た。トナー22乃至25の各種物性を表1に示した。
<トナー26の製造例>
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に、実施例1と同様にして無機微粉体を外添し、トナー26を得た。トナー26の各種物性を表1に示した。
・結着樹脂 100質量部
[スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂(Mw=30,000、Tg=62℃)]
・C.I.Pigment Blue15:3 5質量部
・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物 3質量部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE88〕
・エステルワックス 6.0質量部
(ベヘン酸ベヘニル:最大吸熱ピーク=72℃、Mw=700)
<キャリア1の製造>
・フェノール 7.5質量部
・ホルマリン溶液 11.25質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.0質量%で親油化処理したマグネタイト微小粒子 61質量部
(平均粒径0.24μm、比抵抗5×105Ω・cm)
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.0質量%で親油化処理したα−Fe2O3微小粒子 25質量部
(平均粒径0.60μm、比抵抗2×109Ω・cm)
ここで用いたマグネタイト及びα−Fe2O3の親油化処理は、マグネタイト99質量部及びα−Fe2O399質量部のそれぞれに対して1.0質量部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加え、ヘンシェルミキサー内で100℃で30分間、予備混合撹拌することによって行った。
上記材料及び水11質量部を40℃に保ちながら、1時間混合を行った。このスラリーに塩基性触媒として28質量%アンモニア水2.0質量部、及び水11質量部をフラスコに入れ、撹拌・混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応させ、フェノール樹脂を生成し硬化させた。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に180℃で乾燥して、フェノール樹脂を結着樹脂としたマグネタイト微小粒子含有球状の複合体粒子を得た。
得られた複合体粒子は、体積平均50%:粒径35μm、比抵抗:2.2×1012Ω・cmであった。
その後、トルエン溶媒を用いて希釈したγ−アミノプロピルトリメトキシシランA3質量%を剪断応力を連続して印加しつつ、複合体粒子表面を処理した。またその際、40℃,100torr,乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させながら行った。引き続き、置換基がすべてメチル基であるストレートシリコーン樹脂0.5質量%及び、γ−アミノプロピルトリメトキシシランB0.015質量%の混合物をトルエンを溶媒としてコートした。その際、40℃,500torr,乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させながら行った。
さらに、これを170℃で焼き付け、100メッシュの篩で、凝集した粗大粒子をカットし調整した
その後23℃,60%内で保たれたホッパー内で100時間、20℃/60%RHで調湿してキャリア1を得た。
〔実施例1〕
シアントナー1とキャリア1を用いて、全質量に対するトナーの割合が8質量%となるよう、V型混合機を用いて均一に混合し、二成分系現像剤を調製した。
シアントナー1及び得られた二成分系現像剤を用いて、本発明の画像形成方法を適用したカラー複写機CLC−5000(キヤノン製,単色モードA4サイズ40枚/分)の改造現像器図1に導入し、定着部分をオイルレス定着対応した本体を用いて画像を出力した。各環境で初期の画像濃度が1.40になる様に現像コントラストを調整し単色モードで画出し評価を行った。ちなみにこの本体にはドラムヒーターは具備されていない。
低温定着性、耐高温オフセット性、画像光沢性、画像濃度安定性、カブリ、ハイライト再現性に関して評価を行った。紙は、特に指定がない評価方法においては、キヤノン社製カラーレーザーコピアSK紙を指定の環境下で24時間放置したものを使用した。また、トナーの保存性試験を実施した。
すべての評価項目について、良好な結果が得られた。更に、画像の光沢性を測定したところ、非常に高光沢性を有し、艶やかな画像であることが確認できた。
耐久試験を行い、耐久終了時の状態を評価したところ、画像濃度は低下することなくトナー初期と同等であり、画像カブリが発生することもなかった。ハイライト再現性も良好でであった。また、現像器内に残されたキャリアへのキャリアスペント、及び磁気ローラ、現像剤担持体及び静電潜像担持体へのトナー汚染が全く見られず、耐久評価終了時まで画像欠陥が発生することはなくきれいな画像が得られた。
また、温度53℃下におけるトナーの保存試験においても良好な結果が得られた。上記結果を表2に示す。
それぞれの測定条件及び評価基準を以下に示す。
(1)低温定着性
以下の操作は低温低湿(15℃、10%RH)環境下で行った。
定着装置を画像形成装置から取り外し、「プローバーボンド紙」(105g/m2、フォックスリバー社製)を転写材として用い、紙上のトナーの載り量が0.45乃至0.50mg/cm2のベタ画像の未定着画像20枚を用意した。次いで、定着装置の速度を30枚(A4サイズ)/分に設定し(定着温度は180℃設定)、前記の未定着画像20枚を定着装置に連続で通し、定着させた。
20枚目の定着画像の後端から5cmの部分について、4.9KPaの荷重をかけつつ柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業(株)製)により、得られた定着画像を5往復摺擦し、摺擦前と摺擦後の画像濃度をそれぞれ測定して、下式により画像濃度の低下率ΔD1(%)を算出した。なお、画像濃度はX−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A)で測定した。
ΔD1(%)=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)×100/摺擦前の画像濃度
次に、前記20枚目の定着画像の中心部の画像濃度を測定し、この部分に素材がポリエステルの透明な粘着テープを貼り、その上から4.9KPaの荷重をかけつつ柔和な薄紙により5往復摺擦した。その後、テープを剥がして画像濃度を測定し、テープを貼る前とテープを剥がした後での画像濃度の低下率ΔD2(%)を下式により算出した。
ΔD2(%)=(テープを貼る前の画像濃度−テープを剥がした後の画像濃度)×100/テープを貼る前の画像濃度
さらに、前記20枚目の定着画像の先端から5cmの部分の画像濃度を測定し、まずその部分を縦方向に軽く折り曲げ、その上から4.9KPaの荷重をかけつつ柔和な薄紙により1往復摺擦した。その後、折り曲げた定着画像を一旦開き、今度は先端から5cmの部分を横方向に折り曲げて同様に摺擦した。次いで、折り曲げた定着画像を開き、定着画像上の縦と横の折り目の交差した部分に、4.9KPaの荷重をかけつつ柔和な薄紙により5往復摺擦し、折り曲げる前の画像濃度と折り曲げて5往復摺擦した後の画像濃度をそれぞれ測定し、画像濃度の低下率ΔD3(%)を下式により算出した。
ΔD3(%)=(折り曲げる前の画像濃度−折り曲げて5往復摺擦した後の画像濃度)×100/折り曲げる前の画像濃度
そして、ΔD1、ΔD2、及びΔD3の合計値ΔD(%)を算出し(ΔD=ΔD1+ΔD2+ΔD3)、ΔDについて以下の基準で低温定着性を評価した。
A:非常に良好(10%未満)
B:良好(10%以上、20%未満)
C:普通(20%以上、30%未満)
D:悪い(30%以上)
(2)耐高温オフセット性
以下の操作は高温高湿(30℃、80%RH)環境下で行った。
定着装置を画像形成装置から取り外し、複写機用再生紙(68g/m2、キヤノン(株)製)を転写材として用い、紙上のトナーの載り量が1.5mg/cm2の未定着画像10枚を用意した。次いで、定着装置の速度を9枚(A4サイズ)/分に設定し、前記の未定着画像10枚を定着装置に連続で通し、その直後に、前記複写機用再生紙1枚を定着装置に通した。そして、最後に定着装置に通した再生紙と未使用の再生紙の白色度の最悪値をそれぞれ測定し、これらの白色度の差を算出した。そして、この白色度の差について、以下の基準で耐高温オフセット性を評価した。尚、白色度はアンバーフィルターを搭載したリフレクトメーター(東京電色(株)製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
A:非常に良好(0.5%未満)
B:良好(0.5%以上、1.0%未満)
C:普通(1.0%以上、2.0%未満)
D:悪い(2.0%以上)
(3)画像光沢性
常温常湿(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて、紙上のトナーのり量が0.5mg/cm2であるベタ画像を作成し、「PG−3D」(日本電色工業株式会社製)を用いて、測定光学部角度75°における定着画像の光沢度を測定した。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、DおよびEは使用上問題となるレベルである。
A:30以上
B:25以上、30未満
C:23以上、25未満
D:20以上、23未満
(4)画像濃度安定性
画像濃度DUTY5%のオリジナル画像を30万枚画出しする。その際、1000枚ごとにベタ画像を出力した。ベタ画像の四隅、中央の5点について、画像濃度はカラー反射濃度計(例えばX−RITE 404Amanufactured by X−Rite Co.)で画像濃度を測定する。各ベタ画像の最大画像濃度と最小画像濃度の差を測定し、濃度差以下の評価基準に基づいて示した。AおよびBは使用上問題とならないレベルであるが、Cは使用上問題となるレベルである。
A:0.1以下
B:0.2を超え0.3以下
C:0.3を超える
(5)画像カブリ
高温高湿(H/H:温度30℃,湿度80%RH)環境下にて、画像濃度DUTY5%のオリジナル画像を30万枚画出しする。その際、1000枚ごとに白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。フィルターは、アンバーライトフィルターを用いた。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、DおよびEは使用上問題となるレベルである。
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.0%未満
C:1.0%以上1.5%未満
D:1.5%以上3.0%未満
E:3.0%以上
(6)ハイライト再現性
画像濃度DUTY5%のオリジナル画像を30万枚画出しする。その際、1000枚ごとに、画像濃度0.3、0.4、0.5の画像を出力し、濃度の均一性、がさつきの程度を目視により評価する。
A;画像濃度の均一性に優れた良好な出力画像である。
B;画像濃度の均一性にやや欠けるが実用上問題のないレベルである。
C;画像濃度の均一性が悪く、がさついた出力画像であり、実用上問題となるレベルである。
(7)ブロッキング試験(保存性試験)
50ccのポリカップにトナーを10g入れた。これを温度53℃の恒温槽に72時間放置した時のトナーの状態を下記のごとく目視判断した。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、DおよびEは使用上問題となるレベルである。
A:まったくブロッキングしておらず、初期とほぼ同様の状態。
B:若干、凝集気味であるが、ポリカップの回転で崩れる状態であり、特に問題とならない。
C:凝集気味であるが、手で崩してほぐれる状態。
D:凝集が激しい。
E:固形化している。
〔実施例2〕
実施例1において、トナーをトナー2に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。結果が示すとおり、良好な結果が得られた。
〔実施例3乃至4〕
実施例1において、トナーをトナー3または 4に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。
〔比較例1〕
実施例1において、トナーをトナー5に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。結果が示すとおり、低温定着性、画像光沢性、かぶりが悪化した。これは、微小圧縮硬度の変化率が小さいため、トナーと定着部との接触面が十分ではなく、定着部材から、トナーへの熱伝導が悪い事により、低温定着性が悪化したものと推定される。また、トナーの粘度が小さいため、画像光沢性が悪化した事によるものと推定される。さらにトナーの微小圧縮硬度の変化率が小さいため現像器内のストレスにより、トナーの一部がかけたものによるものと推定される。
〔実施例5乃至6〕
実施例1において、トナーをトナー6または7に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。
〔比較例2〕
実施例1において、トナーをトナー8に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。結果が示すとおり、耐高温オフセット性が悪化した。これは、トナーの微小圧縮硬度の変化率(X100/D)が大きい、及び/または粘度が大きいため、耐高温オフセット性が悪化したためと推定される。
〔比較例3〕
実施例1において、トナーをトナー9に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。結果が示すとおり、画像濃度安定性、かぶり他が悪化した。これは、トナーの微小圧縮硬度の変化率(X20/D)が大きいため、現像器内のストレス及びトナー移行時のストレスにより、トナーがつぶれたり、あるいは外添剤がトナー粒子に埋め込まれ、安定した帯電性を維持する事ができなくなったためと推定される。
〔実施例7〕
実施例1において、トナーをトナー10に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。
〔比較例4〕
実施例1において、トナーをトナー11に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。結果が示すとおり、画像濃度安定性、かぶりが悪化した。これは、トナーの粒径が小さいために、トナーの移送性が悪く、現像器内での現像剤の混合によるキャリアのトナーへの帯電付与能が低くなった為だと考える。
〔実施例7〕
実施例1において、トナーをトナー12に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。
〔比較例5〕
実施例1において、トナーをトナー13に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。結果が示すとおり、ハイライト再現性、画像濃度安定性が悪化した。これは、トナーの粒径が大きいために、静電荷像に対して忠実な現像が行なわれにくく、また、静電的な転写を行った際に、トナーが飛び散りやすくなったためであると推定される。
〔実施例9乃至14〕
実施例1において、トナーをトナー14乃至19に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。
〔比較例6、7〕
実施例1において、トナーをトナー20または21に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。結果が示すとおり、すべての項目において悪化した、これは、ポリエステルを添加しなかったため、あるいはTgpとTgtの差が小さい、あるいは、ポリエステルのTgpが低い事により、トナー粒子の変化率が大きくなり、耐ストレス性が著しく悪化したためと推定される。
〔実施例15乃至18、比較例8〕
実施例1において、トナーをトナー22乃至26に変更すること以外は同様に評価した。結果を表2に示した。