JP4010577B2 - 印刷紙葉上に間隔用物質を張り付ける装備をした印刷機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、間隔用物質を印刷紙葉上に張り付ける装備をした枚葉印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
間隔用物質を印刷紙葉上に張り付けることにより、特に印刷機の排紙装置において排紙パイルが形成される際に起こり得る損傷がないように印刷絵柄を保護するという目的が追求される。
【0003】
このためには、従来技術においては、特に、印刷された紙葉の表面にパウダースプレーをかけることが提案されている。このために適したパウダースプレー装置は、例えば刊行物 DE 38 19 203 A1によって公知になっている。しかし、パウダー材料を用いるということは、不利な結果をも招く。つまり、例えば、用いられたパウダーによって枚葉印刷機が汚染する。なぜならば、パウダーは、例外なしに印刷紙葉の表面上に到達するのではなく、個々の紙葉を印刷装置からパイル装置へと搬送する紙葉搬送手段上にも沈積するからである。さらに、スプレーされたパウダーは、印刷の過程が繰り返されるうちに印刷紙葉から再び脱離し、そのために、枚葉印刷機の印刷装置の汚染、ひいては、損紙の割合の増加を招くことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
刊行物、特開平 5-85074号によって、印刷された紙葉を、ワックスとアルコール脂肪酸エステルでできた水性懸濁液で被覆するということが公知になっている。この懸濁液は、さきに印刷された紙葉の全体表面上に、均一かつ平面的に塗り付けられる。そこにおいては、特に大フォーマットの印刷紙葉の場合には大量の前記懸濁液が必要になることと、そのような平面的に被覆された印刷紙葉の積み重ねの際には個々の紙葉の間に空気クッションが生じないことが不利である。このことは、特に、縁が正確に揃ったパイル形成を困難にする。
【0005】
したがって、本発明の目的は、前述の欠点が排除され、特に、印刷された紙葉のパイルの良好で損傷なしの揃いを可能にする、冒頭に述べた種類の印刷機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的は、特許請求の範囲の請求項1または2に記載の印刷機によって達成される。
【0007】
本発明の利点は、間隔用物質が、紙葉の全体表面上に平面的に張り付けられるのではなく、所定の間隔をもって個別にのみ張り付けられることにある。これにより、一方では、間隔用物質の節約が達成され、他方では、その所定の間隔をもって個別に張り付けられた間隔用物質粒子が、紙葉の積み重ねの際に、個々の紙葉の間に、各紙葉上の印刷絵柄の損傷のない良好なパイルの揃いの可能性と紙葉の良好な後処理の可能性を保証する空気クッションが形成されるような働きをする。
【0029】
【発明の実施の形態】
先ず、図1から3においては、間隔用物質がどのようにして紙葉上に移行させられ、そこで定着され得るかの、種々の可能性が示されている。間隔用物質としては、5〜30ミクロンの大きさを有する球状または滴状のワックス粒子を用いるのが望ましい。このような大きさの選択によれば、ワックス粒子が人間の裸眼では見えないこと、つまり、印刷製品での、何らの色の変化、光沢の損失、またはその他の光学的特性の変化も感知されないことが保証される。望ましく用いられる種類のワックスとしては、特にポリエチレンワックスがあって、これは、今日のパウダー材料とは対照的に、しかるべき面圧力の下では、ワックス粒子の表面にあるワックスが液化して潤滑層を形成することによって生成する良好な滑り性を有する。
【0030】
図1の例においては、ワックス粒子2が、紙葉1の表面の美化加工のために用いられる分散型ニス3に混合されている。その混合は、例えば、1:10から1:100の重量比で実現されるのが望ましい。そこでは、ワックス粒子2の、さきにインキ5で印刷された紙葉1上への張り付けは、ニス引き装置によってしかるべく行われる。この場合、美化のための紙の上に塗り付けられるニス3は、ワックス粒子2に対しては、接着剤、すなわち、ワックス粒子を紙葉1の表面上に固定し、ニス3の乾燥後に紙葉1上に定着させる接着剤のように作用する。
【0031】
図2を参照して、次に、紙葉1上でのワックス粒子2の定着のもう一つの可能性を説明する。ワックス粒子2は、図2(1)で示されているように、第1のワックスでできた中核体2′と、中核体2′を取り囲んでいる、第1のワックスよりも融点が低い第2のワックスでできた包囲体4′である接着剤の水溶液4で形成されている。この場合、溶解された接着剤は、ワックス粒子2を、紙葉1上への張り付けの後に紙1の上に定着させるという役目を負っている。このことは、ワックス粒子2の張り付けの後に,概略的に図2(2)に示されているように、水溶液4が流動して部分的に紙葉1の中に侵入するということによって実現される。したがって、ワックス粒子2は、接着剤が光学的に不利な影響を及ぼさないように、所定の間隔をもって個別に紙葉1の上に定着される。
【0032】
ワックス粒子2を、粉末の形で、または、接着剤成分を含まない水性懸濁液の構成要素として用いる場合には、本発明の範囲内で、ワックス粒子2を、紙葉1上への張り付けの後にその紙葉1上に定着させることが、紙葉1の短時間の加熱によって可能になる。その加熱の結果として、ワックス粒子2を場合によっては包囲している懸濁液で形成された液体層が蒸発し、なお、ワックス粒子2が表面上で溶融されるので、各々のワックス粒子2の一部分が紙葉1の中に突入し、ワックス粒子2は、冷却が終わった後には紙葉1上に定着されている。
【0033】
上述の水性懸濁液は、そこでは、紙葉1上への張り付けのために準備されるか、または、粉末の形で準備されたワックス粒子2が、ワックス粒子2の張り付けの間に、懸濁液の液体成分と混合されることにより形成される。そこでは、いずれの場合も、塵の発生は回避される。
【0034】
ワックス粒子2の紙葉1の上への直接的な張り付けの代わりに、ワックス粒子2が先ずローラ上に移行させられ、それから漸く紙葉1の上へと移行させられるという間接的な張り付けも行われ得る。
【0035】
本発明の範囲内での、例えば前述の水溶液4でできた包囲体のような包囲体4′を伴ったワックス粒子2の包囲のための種々の可能性については、後述において詳しく説明する。
【0036】
図3においては、ワックス粒子2がどのようにして紙葉1の上に張り付けられ、そこで定着され得るかの、他の一つの可能性が示されている。この図においては、紙葉1の上に張り付けられたワックス粒子2が概略的に示されている。ワックス粒子2のワックスのある部分は、図示のように紙の中に侵入しており、それにより、必要な定着が達成されている。ワックス粒子2が、周囲温度において剛性ある塊りの状態をなしていて、その故に紙葉1の中に侵入し得ないということの後には、先ず、ワックス粒子の一部分を、その部分が紙葉1の中に侵入し得るように、粘性的状態にしなければならない。このことは、一つとしては、ワックス粒子2の張り付けの後の熱的処理によって実現され得る。しかし、他の一つとして、ワックス粒子2を、張り付けの前には溶融体として貯留するということも可能である。そのためには、約100〜300℃の温度が必要である。この溶融体から、例えば図9または12のようなスプレー装置によって、滴状ワックスが形成され、紙葉1上にスプレーされる。最初はまだ溶融状態の滴状ワックスも、スプレーの間に冷却され、次第に固化する。滴状ワックスの、紙葉1との接触の際には、まだ完全には固化していないワックスの一部分が紙葉1の中に侵入し、そして、さらに何がしかの冷却時間とそれに伴う固化の後には、その滴状ワックスからワックス粒子2を形成させてそれを紙葉1上で定着させるような作用をする。
【0037】
スプレー装置と紙葉1の間において滴状ワックスが経て行く工程の設定においては、その工程が、一つとしては、過度に長くないように注意しなければならない。つまり、そのような場合には、滴状ワックスが過度に強く冷却され、したがって、定着のために必要な十分に流動性のある溶融状ワックスがもはや存在しなくなる。経て行く工程が、他の一つとして、過度に短いならば、滴状ワックスが十分には冷却されず、その結果、紙葉1の上に突き当たった滴状ワックスが過度に強く流れ去り、したがって、紙葉1の表面に対して、あまりにも小さい高さしか有しないこととなる。
【0038】
以上で説明された方法の一つの変形では、紙上1での定着のために、やはり溶融状ワックスが用いられるのではあるが、その溶融状ワックスの中には、少なくともほぼ剛性的な塊りの状態にあるワックス粒子が存在している。このことは、融点が相異なる2種類のワックスが用いられ、定着させるワックスは低い方の融点を有するということにより達成される。溶融体から個別に取り出されたうえでより融点の低いワックスでできた包囲体で囲まれたワックス粒子の定着は、さきに説明された例におけると同様に、溶融状態のワックスの、紙葉1の中への侵入と、引き続いての固化によって達成される。
【0039】
このことは、間隔用物質としての働きをする機械的に実質的に比較的強いはずであると共に比較的に高い融点を有するワックス粒子を溶融する場合の温度に比べるならば、より低い温度で処理が行われ得るという利点を有する。
【0040】
さらに他の一つの熱的定着の可能性として、ワックス粒子2を溶融接着剤で包囲し、張り付けられた、そのように包囲されたワックス粒子2を加熱するということがある。そのために適用される温度は、そのとき定着の役目を果たす溶融接着剤の融点に正に対応していなければならない。しかし、ワックス粒子2の溶融を避けるために、ワックス粒子2の融点は到達されないでいるべきある。
【0041】
そのためには、ワックス粒子2を溶融接着剤で包囲する代わりに、水溶性の接着剤が用いられ得る。そこで、この接着剤は、紙葉の表面上での目標を定めた湿分付与によって活性化され得る。紙葉を形成している紙の水分取入れ能力によって水が接着剤から再び取り出され、そこで、ワックス粒子は紙葉の表面に定着される。
【0042】
図4から12までに関して、以降において、本発明の方法の実施のための種々の装置と、方法の種々の実施の仕方を説明する。
【0043】
図4は、紙葉1に印刷するための印刷機の一部分の模式図である。特に、印刷装置25と、それに接続され、チェン式くわえづめ装置を備えた排紙装置21が示されている。印刷装置25は、圧胴12、ゴム胴15、および版胴16を含んでいて、版胴16の回りでは、インキ装置18と、印刷機が湿式オフセットプロセスにおいて用いられる場合ならば、湿し装置17が、一団となっている。各々の紙葉1は、紙葉渡し胴19によって圧胴12に供給される。圧胴12には、張り付けローラ13と、貯留容器24からその中で準備された水と接着剤と間隔用物質粒子2でできた懸濁液を取り出す取り出しローラ14とを有する張り付け装置11が付属している。
【0044】
間隔用物質粒子2を、本発明によって、所定の間隔をもって個別に紙葉1上に張り付けるために、外套面が平滑な張り付けローラ13を有する張り付け装置11の第1の実施形態においては、圧胴12は、図5(1)のように、多数の半球状突起とそれら突起相互間にある凹所31になった低位部分を伴った外套面を有していて、それら凹所31になった低位部分によって、懸濁液の中に含まれた間隔用物質粒子2に、所望のそれの分布の仕方が強制される。圧胴12が紙と接触するときには、圧胴12の外套面の凹んでいない領域にある水と接着剤の層厚さは、あまりにも薄いので、接着剤が液分離によって紙の上へと言うに値するほどに移行することにはならない。凹所31の中にある間隔用物質粒子2は、水溶性接着剤によって紙に粘着する。紙葉1が圧胴12から剥がれることによって間隔用物質粒子2が凹所31から抜け出る際には、一般には、図5(2)に概略的に示されているように、水と接着剤で形成された液体6の一部分だけが、間隔用物質粒子2に、その包囲体の形で追従する。しかし、液体6の凹所31の中に残留した部分からは、何らの処理技術的不利益も生じない。
【0045】
張り付けローラ13は、圧胴12の直径と、圧胴12のくわえづめのための、対応する切り欠き部分を有していてもよい。しかし、この張り付けローラは、より小さい直径をもって作られて、そして、例えばカムによって作動位置入れ/外しされて、その外された状態で圧胴12のくわえづめを回避するのであってもよい。
【0046】
以上で説明した、圧胴12に付属した張り付け装置11の作動によっては、間隔用物質粒子2は、紙葉1の印刷された側ではなく、その裏側に移行させられる。このことは、しかし、間隔用物質粒子2の間隔保持機能に何らの影響も及ぼさない。
【0047】
図6(1)と6(2)は、どちらも、図4に示されたものと実質的に対応している印刷機の一部分の模式図である。しかし、図4に示された実施形態とは異なって、張り付け装置11は、圧胴12ではなくゴム胴15に付属しており、そこでは、張り付け装置11は、ゴム胴15に対して、図6(1)のように、ゴム胴15上に先ずインキそしてそれに続いて間隔用物質粒子2が移行されるように、位置している。この順序は、図6(2)の配置の場合では入れ替わっている。
【0048】
図6(1)と6(2)の実施形態においては、ゴム胴15は実質的に平滑な表面を有するので、張り付け装置11の張り付けローラ13の外套面に、間隔用物質粒子2をゴム胴15上に張り付けられたゴム布を経て紙の上に斑点状そして前述した所望の分布で移行するために、特定の表面構造が設けられている。
【0049】
有利な一つの構成においては、張り付けローラ13の外套面には、多数のカップ状凹部27が設けられている。これらカップ状凹部27は、丁度一つの、何がしかの水溶性接着剤を伴った間隔用物質粒子2が収容され得るように寸法を決められている。それらカップ状凹部27の表面が親水性である一方で、ゴム胴15のゴム布に接触する張り付けローラ13の外套面のその他の面部分は、例えば特別な被覆によって優先的に疎水性の特性を有しているというのが望ましい。図4との関係で前述したように、間隔用物質粒子2または懸濁液は取り出しローラ14によって貯留容器24から取り出され、張り付けローラ13に供給される。張り付けローラ13の外套面の各領域の前述のような受け付け挙動によって支援されて、カップ状凹部27は間隔用物質粒子2または懸濁液で充満される一方で、張り付けローラ13の凹んでいない外套面領域は、間隔用物質粒子2の移送に関与しないでいる。この場合、間隔用物質粒子2の所望の分布は、張り付けローラ13の外套面における対応するカップ状凹部27の分布によって定められる。
【0050】
取り出しローラ14には、弾力性の外套面が設けられているのが望ましい。この場合、張り付けローラ13と取り出しローラ14の間の押圧力は、カップ状凹部27が間隔用物質粒子2なしで充満されたときに、ほとんどの液体が再びそれらカップ状凹部27から絞り出されるように設定されている。この過程は、図7(1)と7(2)に概略的に示されている。図7(1)は、カップ状凹部27が間隔用物質粒子2なしで充満された場合を示している。取り出しローラ14に弾力性の外套面が選択されているので、取り出しローラ14の外套面の、張り付けローラ13のカップ状凹所27の上にある領域は、それらカップ状凹所27の中へと膨出する。この際、その膨出の程度は、一つには外套面の弾力性に、他の一つには張り付けローラ13と取り出しローラ14の間の押圧力に関係している。この膨出は、カップ状凹所27の中に間隔用物質粒子2が存在しないときに、場合によってはカップ状凹所27の中に存在する液体、特に水溶性接着剤が絞り出されるような働きをする。したがって、水中に溶解した接着剤が間隔用物質粒子2なしに移行させられてそれにより印刷製品が光学的損傷を受けるということが回避される。
【0051】
図7(2)は、上述とは異なり、一つの間隔用物質粒子2が、張り付けローラ13のカップ状凹所27の一つのものの中に存在している場合を示している。この場合、間隔用物質粒子2は、図において概略的に示されているように、取り出しローラ14の弾力性の外套面がその胴の軸線に向かって陥没するような作用をする。押圧力、または、取り出しローラ14の弾力性外套面形成のための材料の選択においては、ワックス粒子の形での間隔用物質粒子2を優先的に用いる場合に、各々の間隔用物質粒子2が、張り付けローラ13と接触した際に過度に変形しないように配慮するべきである。
【0052】
運転中にカップ状凹所27がそれぞれに一つの間隔用物質粒子2で充満されることを容易にするために、両方のローラ13,14の駆動は、望ましくは、小さい相対速度がこれら両方のローラ13,14間を支配していて、その相対速度が可変であるというように計画されてよい。この場合の利点は、両方のローラ外套面の間における擦りによって、間隔用物質粒子2が、より容易にカップ状凹所27に到達することにある。
【0053】
図8(2)に示された張り付け装置11′は、前述の張り付け装置11に比べると、少し変形されている。ここでは、取り出しローラ14によって取り出された懸濁液は、直接張り付けローラ13に移行させられるのではなく、先ず中間ローラ30へ、そしてそれから張り付けローラ13へと、さらに移行が行われる。
【0054】
中間ローラ30は、そのほか張り付けローラ13においてもそうであるように、カップ状凹所27によって構成された表面構造の代わりに、図8(1)に示されているような、外套面の周方向または周方向に対して傾いた方向に延びた多数の溝32を有していてよい。この場合には、ワックス粒子2の受付けと、それを張り付けローラ13またはゴム胴15へさらに移送する機能の仕方は、実質的に、カップ状凹所27が設けられた外套面の場合のそれに対応している。この場合には、ワックス粒子2の所望の分布は、溝32の相互間間隔と、場合によっては張り付けローラの周速度からは離れた中間ローラ30の周速度の適切な選択によって達成される。例えば、張り付けローラ13はゴム胴15の周速度、中間ローラ30はより小さい周速度を有するならば、中間ローラ30の個々の溝32の中にあるワックス粒子2は、ある相互間間隔、すなわち、溝32の中にあるワックス粒子2相互間間隔に対しては拡大された間隔の下で、張り付けローラ13へと移行させられる。
【0055】
前述したように、張り付け装置11は、例えば、版胴16の前にあってもよいし、圧胴12に付属していてもよい。
【0056】
ワックス粒子2の所望の分布の達成のためには、半球状突起相互間の低位部分の形での凹所31、カップ状凹部27、または溝32で構成された表面構造は、基本的には、ワックス粒子2の移行に関与する複数の外套面のうちの一つのものだけにおいて必要である。しかし、貯留容器24から圧胴12またはゴム胴15の外套面に至るワックス粒子2の経路上において、それぞれに表面構造を有する二つの外套面が相前後してあるならば絶対的に有利であり、それは、例えば、ゴム胴15に至る経路上で、溝32が設けられた中間ローラ30の外套面と、カップ状凹所27が設けられた張り付けローラ13の外套面、または、溝32が設けられた張り付けローラ13の外套面があって、中間ローラ30の溝と張り付けローラ13の溝が、それぞれのローラ長手方向軸に対する傾きを異にしているという場合、または例えば、圧胴12に至る経路上で、溝32が設けられた張り付けローラ13の外套面と、半球状突起相互間の低位部分の形での凹所31が設けられた圧胴12の外套面があるという場合のことである。
【0057】
前述したように、ワックス粒子2の張り付けは、張り付け装置11または11′の張り付けローラ13による代わりに、スプレー装置40、すなわち、間隔用物質で構成されたスプレー液をスプレーすることができ、印刷機の中に、紙葉1自体または紙葉と接触する圧胴がスプレーされるように配置され得るスプレー装置によっても行われ得る。この場合、スプレー液は、前述したような、間隔用物質として用いられるワックスの溶融体の形か、または、前述したような、ワックス粒子2と水中に溶解された接着剤を含んだ水性懸濁液の形になっていればよい。
【0058】
そのようなスプレー装置40は、一般に、ノズル41を含んでいて、それらノズル41には、一方では圧力空気がしかるべき圧力空気配管48を経て供給され、他方ではスプレー液がスプレー物質配管49を経て供給される。スプレー物質配管49を経て供給されたスプレー液は、貯留容器46からポンプ47によって吸い出される。各々のノズル41で生成される円錐状のスプレー流を制限するために、図9に示されているように、望ましくは二つのローラ42,43で構成された制限装置が設けられている。両方のローラ42,43の配置は、それらローラ42,43間に隙間が形成されてその隙間を通して円錐状のスプレー流の一部分が通過し得るようになっている。ローラ42と43の外套面に沈着したスプレー液の残りが隙間を閉塞させることを避けるために、両方のローラ42,43は、回転させられ,掻き落とし作用を受ける。その場合、回転方向は、両方の外套面が隙間の領域においてスプレーの方向とは逆の方向に回転するように選択される。
【0059】
ローラ42,43のための清掃装置、すなわち、図9に示された構造においては掻き板44と45で成っている清掃装置が、ローラ42,43を清掃してスプレー液の残りを落とし、それを、貯留容器46の中へと戻す。
【0060】
ローラ42と43の間の隙間を通過するスプレー液の量は、圧力空気の量やノズル41に供給されたスプレー液の量のような、スプレーのパラメータの設定のほか、上記の隙間の幅によって制御され得る。そのために、両方のローラ42,43は、相互間で位置調節され得るように配置されている。両方のローラ42と43の相互間の平行移動、すなわち、隙間の幅をローラ42と43の全長にわたって一定とする平行移動のほかに、ローラ42と43のうちの一方のもののしかるべき移動によって、印刷機の幅にわたって隙間の幅を変化付きに設定することも考えられる。円錐状のスプレー流の停止または中断のためには、ポンプ47または圧力空気管48を停止することのほか、図10(1)に示された可能性、すなわち、ノズル41を、それから排出される円錐状のスプレー流が隙間に的中しないように旋回させるということが考えられる。しかし、この場合には、スプレー液が貯留容器46に到達することを確実にするのが合目的的である。図9に示された例においては、このことは、ノズル41が貯留容器46の中にあって旋回の後には例えばその側壁の方に向いているということで達成されている。別の可能性として、両方のローラ42,43で形成された隙間を、それらローラを相互に図10(2)に概略的に示されているように移動させて閉じるということが考えられる。この場合には、ローラ42,43のうちの一方のものの平行移動のほか、斜め上または斜め下方向の位置への移動も可能である。
【0061】
円錐状のスプレー流のしかるべき中断によれば、特に、例えば紙葉1を搬送するためにあるくわえづめ装置にスプレーされることが防止される。
【0062】
前述の張り付け装置11を用いる場合におけると同様に、スプレー装置40を用いる場合にも、それを印刷機の中で配置する種々の可能性がある。その二つの可能性が図11(1)と11(2)に示されている。図11(1)においては、スプレー装置40は、スプレー液が紙葉1の印刷された側に当たるように配置されている。それとは対照的に、図11(2)においては、スプレー装置40の機能原理に従ったスプレー装置40′が、圧胴12の、それがさらに回転すると紙葉1が載るところの領域に向けられている。それにより、スプレー液の張り付けは、間接的に、圧胴12を経て紙葉1の裏側に行われる。自明のこととして、他の考えられる配置も可能である。
【0063】
図12は、スプレー装置の他の一つの構造を概略的に示している。前述のスプレー装置40とは対照的に、ここでは、スプレー液の引き出しのために、圧力空気ではなく、電場が利用されている。
【0064】
図12に示されているスプレー装置60は、貯留容器55からスプレー液の供給を受けているノズル51を含んでいる。ノズル51は、図示の例においては、半径方向で圧胴12に向けられている。一方ではノズル51が設けられている方向に対して垂直な板53に、他方では圧胴12に、電場を形成する電圧が電源54によって印加されている。
【0065】
貯留容器55に含まれたスプレー液は、接着剤溶液の中にワックス粒子2が混ざっている混合物質56であるのが望ましい。電場によって、ワックス粒子2とそれに粘着した接着剤58が加速され、接着剤58は、紙葉1の紙の上でのワックス粒子2の定着のための最終的に必要な作用をする。
【0066】
スプレー装置60は、印刷機の中の、前述の張り付け装置11,11′,40,40′の場合と同様な場所に配置され得て、それが望ましい。紙葉搬送方向に直角な方向に、ノズルの列が、紙葉1の全幅にわたるように配置される。ワックス粒子2の斑点状の張り付けと、張り付け量の制御は、印加される電圧のオン/オフによって行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の第1の実施形態を説明するための、印刷された紙葉1上のワックス粒子2を伴ったニス層3を示す図である。
【図2】 図2(1)は、水と接着剤の混合物で包囲されたワックス粒子、または、第1のワックスでできた中核体2′がより融点の低い第2のワックス4′でできた包囲体を伴っているという形のワックス粒子2を示す図、図2(2)は、図2(1)のワックス粒子2′が紙葉1上で定着された後の状態を示す図である。
【図3】 本発明の方法の他の一つの実施形態に対応するものとしての、溶融状ワックスから作られて紙葉1上に張り付けられたワックス粒子2を示す図である。
【図4】 ワックス粒子の張り付け装置11が圧胴12に付属している、紙葉の印刷のための印刷機の一部分の模式図である。
【図5】 図5(1)は、圧胴12の表面構造を有する部分を拡大して示す長さ方向断面図、図5(2)は、図5(1)に対応する一部分の断面図である。
【図6】 それぞれに相異なる様式で張り付け装置11が配置されている印刷機の一部分を概略的に示す図である。
【図7】 取り出しローラ14と張り付けローラ13が組み合って働く様子を示す図である。
【図8】 図8(1)は、間隔用物質の張り付け装置の、多数の凹所が設けられたローラ30の一部分の拡大した長さ方向断面図、図8(2)は、間隔用物質の張り付け装置11′の配置を説明する、印刷機の一部分の模式図である。
【図9】 間隔用物質を張り付けるためのスプレー装置を概略的に示す図である。
【図10】 スプレー装置から排出される円錐状のスプレー流の中断の仕方を説明するために図9のスプレー装置を概略的に示す図である。
【図11】 それぞれに相異なる様式で図9のスプレー装置が配置されている印刷機の一部分の模式図である。
【図12】 間隔用物質のための他の一つのスプレー装置を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 紙葉
2 間隔用物質粒子、ワックス粒子
3 ニス
4 接着剤の水溶液
5 インキ
6 液体(水と接着剤)
11,11′ 張り付け装置
12 圧胴
13 張り付けローラ
14 取り出しローラ
15 ゴム胴
16 版胴
17 湿し装置
18 インキ装置
19 紙葉渡し胴
21 排紙装置
24 貯留容器
25 印刷装置
26 チェン式くわえづめ装置
27 カップ状凹部
30 中間ローラ
31 凹所(半球状突起相互間の)
32 溝
40,40′ スプレー装置
41 ノズル
42,43 ローラ
44,45 掻き板
46 貯留容器
47 ポンプ
48 圧力空気管
49 スプレー物質配管
51 ノズル
53 板
54 電源
55 貯留容器
56 混合物質
58 接着剤
60 スプレー装置
Claims (2)
- インキ装置(18)と、印刷装置胴、すなわち、版胴(16)とゴム胴(15)と圧胴(12)の形での印刷装置胴を備え、紙葉(1)に印刷する印刷機において、
間隔用物質で形成された間隔用物質粒子(2)を貯留するための容器(24)と、組みローラ、すなわち、前記間隔用物質粒子(2)を前記容器(24)から取り出すための取り出しローラ(14)とそれに付属している張り付けローラ(13)の形での組みローラを備えて、前記間隔用物質粒子(2)を紙葉(1)上に所定の間隔をもって個別に張り付けるための張り付け装置(11)を有し、前記圧胴(12)または前記張り付けローラ(13)が、前記間隔用物質粒子(2)を所定の間隔をもって個別に張り付けるのに適している複数の凹所(31,27,32)で構成された表面構造の外套面を有し、前記張り付けローラ(13)が前記圧胴(12)または前記ゴム胴(15)に付属しており、前記張り付けローラ(13)の外套面に設けられた前記複数の凹所(27,32)は、前記間隔用物質粒子(2)の大きさに適合するカップ状凹部(27)、または前記外套面の周方向に延びている複数の溝(32)によって構成され、前記圧胴(12)の外套面に設けられた前記複数の凹所(31)は、前記間隔用物質粒子(2)の大きさに適合していることを特徴とする印刷機。 - インキ装置(18)と、印刷装置胴、すなわち、版胴(16)とゴム胴(15)と圧胴(12)の形での印刷装置胴を備え、紙葉(1)に印刷する印刷機において、
間隔用物質で形成された間隔用物質粒子(2)を貯留するための容器(24)と、組みローラ、すなわち、前記間隔用物質粒子(2)を前記容器(24)から取り出すための取り出しローラ(14)と、前記間隔用物質粒子(2)を前記ゴム胴(15)または前記圧胴(12)に所定の間隔をもって個別に張り付けるための張り付けローラ(13)と、前記取り出しローラ(14)と前記張り付けローラ(13)の間に配置された中間ローラ(30)の形での組みローラを備えて、前記間隔用物質粒子(2)を紙葉(1)上に所定の間隔をもって個別に張り付けるための張り付け装置(11′)を有し、前記圧胴(12)、前記張り付けローラ(13)、および前記中間ローラ(30)の表面の少なくとも一つのものが、前記間隔用物質粒子(2)を所定の間隔をもって個別に張り付けるのに適している複数の凹所(31,27,32)で構成された表面構造を有し、前記張り付けローラ(13)が前記圧胴(12)または前記ゴム胴(15)に付属しており、前記張り付けローラ(13)の外套面に設けられた前記複数の凹所(27,32)は、前記間隔用物質粒子(2)の大きさに適合するカップ状凹部(27)、または前記外套面の周方向に延びている複数の溝(32)によって構成され、前記圧胴(12)の外套面に設けられた前記複数の凹所(31)は、前記間隔用物質粒子(2)の大きさに適合していることを特徴とする印刷機。
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