JP4005027B2 - 炭素繊維複合材料及びその製造方法、炭素繊維複合成形品及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維複合材料及びその製造方法、炭素繊維複合成形品及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭素繊維複合材料及びその製造方法、炭素繊維複合成形品及びその製造方法に関する。
近年、カーボンナノファイバーを用いた複合材料が注目されている。このような複合材料は、カーボンナノファイバーを含むことで、機械的強度などの向上が期待されている。
また、金属の複合材料の鋳造方法として、酸化物系セラミックスからなる多孔質成形体内にマグネシウム蒸気を浸透、分散させ、同時に窒素ガスを導入することで、多孔質成形体内に金属を浸透させるようにした鋳造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、カーボンナノファイバーは相互に強い凝集性を有するため、複合材料の基材にカーボンナノファイバーを均一に分散させることが非常に困難とされている。そのため、現状では、所望の特性を有するカーボンナノファイバーの複合材料を得ることが難しく、また、高価なカーボンナノファイバーを効率よく利用することができない。
従来の酸化物系セラミックスからなる多孔質成形体に金属を浸透させる鋳造方法は、複雑な処理を行うため、工業上の生産は困難である。
また、チタンまたはチタン合金は、高比強度、高耐食性などの特徴を有し、航空機産業、人工関節などの医療分野、時計などの装飾品に利用されている。
特開平10−183269号公報
そこで、本発明の目的は、カーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合材料およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、カーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合成形品及びその製造方法を提供することにある。
本発明にかかる炭素繊維複合材料は、エラストマーと、該エラストマーに分散された、チタンまたはチタン合金からなる粒子とカーボンナノファイバーと、を含み、
前記エラストマーは、前記カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有し、
パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって150℃で測定した、未架橋体における、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないかあるいは1000ないし10000μ秒であり、前記第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満である
本発明の炭素繊維複合材料においては、後述する理由によって基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーがさらに均一に分散されたものとなる。特に分散されにくいとされていた直径が約30nm以下のカーボンナノファイバーや、湾曲繊維状のカーボンナノファイバーであっても、エラストマー中に均一に分散されたものとなる。
本発明におけるエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。また、ゴム系エラストマーの場合、エラストマーは架橋体あるいは未架橋体のいずれであってもよい。原料エラストマーとしては、ゴム系エラストマーの場合、未架橋体が用いられる。熱可塑性エラストマーの内、特にエチレンプロピレンゴム(EPDM)は、カーボンナノファイバーが分散されにくいが、本発明においては、チタンまたはチタン合金からなる粒子によるカーボンナノファイバーの分散効果によって均一に分散させることができる。
また、本発明にかかる炭素繊維複合材料を架橋して得られた炭素繊維複合成形品及び架橋しないで得られた炭素繊維複合成形品は、炭素繊維複合材料と同様に、チタンまたはチタン合金からなる粒子によってカーボンナノファイバーが均一に分散されたものとなる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、チタンまたはチタン合金からなる粒子と、を混合する工程と、
前記チタンまたはチタン合金からなる粒子を含む前記エラストマーに、前記カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程と、
を含み、
前記チタンまたはチタン合金からなる粒子を含む前記エラストマーに、前記カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程は、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いて0ないし50℃で行われる。
本発明の製造方法によれば、エラストマーの不飽和結合または基が、カーボンナノファイバーの活性な部分、特にカーボンナノファイバーの末端のラジカルと結合することにより、カーボンナノファイバーの凝集力を弱め、その分散性を高めることができる。さらに、チタンまたはチタン合金からなる粒子を含むエラストマーを用いることで、カーボンナノファイバーを剪断力で分散させる際に、チタンまたはチタン合金からなる粒子のまわりにエラストマーの乱流状態の流動が発生する。この流動によって、本発明の炭素繊維複合材料は、基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーがさらに均一に分散されたものとなる。特に分散されにくいとされていた直径が約30nm以下のカーボンナノファイバーや、湾曲繊維状のカーボンナノファイバーであっても、エラストマー中に均一に分散されたものとなる。
また、本発明にかかる炭素繊維複合材料を、架橋する工程をさらに有する炭素繊維複合成形品の製造方法は、前述したようにカーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合材料を架橋することによって、チタンまたはチタン合金からなる粒子によってカーボンナノファイバーを均一に分散させることができた炭素繊維複合成形品を得ることができる。なお、前記架橋する工程を所望の成形金型内で成形するとともに行うことで、カーボンナノファイバーを均一に分散させた所望の形状を有する炭素繊維複合成形品を得ることができる。また、本発明にかかる炭素繊維複合材料を、架橋せずに所望の形状に成形する工程をさらに有する炭素繊維複合成形品の製造方法は、カーボンナノファイバーを均一に分散させることができた炭素繊維複合成形品を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料は、エラストマーと、該エラストマーに分散された、チタンまたはチタン合金からなる粒子とカーボンナノファイバーと、を含む。
また、本実施の形態にかかる炭素繊維複合成形品は、前記炭素繊維複合材料を架橋してもしくは未架橋で成形することで得られる。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合金属材料は、炭素繊維複合材料または炭素繊維複合成形品を粉末成形することで得られる。
また、本実施の形態にかかる炭素繊維複合金属材料は、炭素繊維複合材料または炭素繊維複合成形品をチタンまたはチタン合金からなる溶湯に混入して鋳造することで得られる。
さらに、本実施の形態にかかる炭素繊維複合金属成形品は、前記炭素繊維複合材料または炭素繊維複合成形品にチタンまたはチタン合金からなる溶湯を浸透させ、エラストマーをチタンまたはチタン合金と置換することで得られる。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、チタンまたはチタン合金からなる粒子と、を混合する工程と、前記チタンまたはチタン合金からなる粒子を含む前記エラストマーに、前記カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程と、を含む。
また、本実施の形態にかかる炭素繊維複合成形品の製造方法は、前記炭素繊維複合材料を、所望の形状に成形する工程をさらに有する。また、本発明にかかる炭素繊維複合成形品の製造方法は、前記炭素繊維複合材料を、架橋するとともに成形する工程をさらに有する。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合金属材料の製造方法は、炭素繊維複合材料または炭素繊維複合成形品を粉末成形する工程をさらに有する。
また、本実施の形態にかかる炭素繊維複合金属材料の製造方法は、炭素繊維複合材料または炭素繊維複合成形品とチタンまたはチタン合金からなる溶湯を鋳型内で鋳造する工程をさらに有する。
さらに、本実施の形態にかかる炭素繊維複合金属成形品の製造方法は、前記炭素繊維複合成形品の上方にチタンまたはチタン合金からなる塊を配置する工程と、前記チタンまたはチタン合金からなる塊を加熱し溶融させることでチタンまたはチタン合金からなる溶湯とするとともに、前記炭素繊維複合成形品中の前記エラストマーを気化させ、前記チタンまたはチタン合金からなる溶湯と置換する工程と、をさらに有する。
エラストマーは、例えば、カーボンナノファイバーと親和性が高いことの他に、分子長がある程度の長さを有すること、柔軟性を有すること、などの特徴を有することが望ましい。また、エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、できるだけ高い剪断力で混練されることが望ましい。
(a)まず、エラストマーについて説明する。
エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーは、凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、したがってカーボンナノファイバー同士を分離する効果が大きい。エラストマーの分子量が5000より小さいと、エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけてもカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる。また、エラストマーの分子量が500万より大きいと、エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃で測定した、未架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは100ないし3000μ秒、より好ましくは200ないし1000μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができる。このことにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合したときに、エラストマーは高い分子運動によりカーボンナノファイバー相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より短いと、エラストマーが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が3000μ秒より長いと、エラストマーが液体のように流れやすくなり、カーボンナノファイバーを分散させることが困難となる。
また、エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒であることが好ましい。その理由は、上述した未架橋体と同様である。すなわち、上記の条件を有する未架橋体を本発明の製造方法によって架橋化すると、得られる架橋体のT2nはおおよそ上記範囲に含まれる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりエラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかる炭素繊維複合材料は中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバー、特にその末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつであることができる。
カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。本発明者の研究によって、特にエチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)においてカーボンナノファイバーを分散させにくいことが判っている。
(b)次に、チタンまたはチタン合金からなる粒子について説明する。
チタンまたはチタン合金からなる粒子は、エラストマー中に混合し、分散させておいて、カーボンナノファイバーを混合させるときにカーボンナノファイバーをさらに良好に分散させるものである。工業用純チタンとしては、KS40S,KS40,KS50,KS60,KS70,KS85,KS100,KS120などを用いることができる。チタン合金としては、大別してα相型チタン合金、α+β相型チタン合金、β相型チタン合金があり、用途に応じて適宜選択して用いることができる。α相型チタン合金としては、例えばTi-0.2Pd、Ti-5A1-2.5Sn、Ti-5A1-2.5SnEL1などがある。α+β相型チタン合金としては、例えばTi-6A1-4V、Ti-6A1-4VEL1、Ti-7A1-4Mo、Ti-6A1-6V-2Sn、Ti-8Mnなどがある。β相型チタン合金としては、例えばTi-13V-11Cr-3A1、Ti-15V-3Cr-3Sn-3Alなどがある。
また、チタンまたはチタン合金からなる粒子を単体でもしくは組み合わせて用いることができる。チタンまたはチタン合金からなる粒子は、使用するカーボンナノファイバーの平均直径よりも大きい平均粒径であることが好ましい。また、チタンまたはチタン合金からなる粒子の平均粒径は500μm以下、好ましくは1〜300μmである。鋳造工程で非加圧浸透法を用いる場合には、チタンまたはチタン合金からなる粒子の量は、エラストマー100重量部に対して、10〜3000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。チタンまたはチタン合金からなる粒子が10重量部以下であると、毛細管現象が小さく、チタンまたはチタン合金からなる溶湯の浸透速度が遅いので、生産性及びコスト面で採用が難しい。また、チタンまたはチタン合金からなる粒子が3000重量部以上であると、炭素繊維複合材料を製造する際に、エラストマーへ含浸させにくくなる。また、チタンまたはチタン合金からなる粒子の形状は、球形粒状に限らず、混合時にチタンまたはチタン合金からなる粒子のまわりに乱流状の流動が発生する形状であれば平板状、りん片状であってもよい。
チタンまたはチタン合金からなる粒子を含む炭素繊維複合材料に、チタンまたはチタン合金の溶湯を浸透させたときに、エラストマーが熱分解されて発生したラジカルなどによってチタンまたはチタン合金からなる粒子の表面にある酸化物を還元してチタンまたはチタン合金からなる粒子とチタンまたはチタン合金の溶湯の濡れ性が改善して結合力を強固にすることができる。また、チタンまたはチタン合金の溶湯の浸透による流動がカーボンナノファイバーをチタンまたはチタン合金からなる粒子内まで侵入させることになる。このようにチタンまたはチタン合金からなる粒子が表面に酸化物を有する場合には、上述のような好ましい効果を有する。
(c)次に、カーボンナノファイバーについて説明する。
カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmであることが好ましいく、炭素繊維複合材料の強度を向上させるためには0.5ないし30nmであることがさらに好ましい。さらに、カーボンナノファイバーは、ストレート繊維状であっても、湾曲繊維状であってもよい。
カーボンナノファイバーの配合量は、特に限定されず、用途に応じて設定できる。本実施の形態の炭素繊維複合材料は、架橋体エラストマー、未架橋体エラストマーあるいは熱可塑性ポリマーをそのままエラストマー系材料として用いることができ、あるいは金属の複合材料の原料として用いることができる。本実施の形態の炭素繊維複合材料を金属の複合材料の原料として用いるときは、カーボンナノファイバーを0.01〜50重量%の割合で含むことができる。かかる金属の複合材料の原料は、金属にカーボンナノファイバーを混合する際に、カーボンナノファイバーの供給源としてのいわゆるマスターバッチとして用いることができる。
カーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
カーボンナノファイバーは、エラストマーと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
(d)次に、エラストマーにチタンまたはチタン合金からなる粒子とカーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程について説明する。
本実施の形態では、エラストマーにチタンまたはチタン合金からなる粒子とカーボンナノファイバーを混合させる工程として、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第2のロール20に、エラストマー30を巻き付けると、ロール10,20間にエラストマーがたまった、いわゆるバンク32が形成される。このバンク32内にチタンまたはチタン合金からなる粒子50を加えて、さらに第1,第2のロール10,20を回転させることにより、エラストマー30と、チタンまたはチタン合金からなる粒子50と、を混合する工程が行われる。ついで、このエラストマー30とチタンまたはチタン合金からなる粒子50とが混合されたバンク32内にカーボンナノファイバー40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させる。さらに、第1,第2ロール10,20の間隔を狭めて前述した間隔dとし、この状態で第1,第2ロール10,20を所定の表面速度比で回転させる。これにより、エラストマー30に高い剪断力が作用し、この剪断力によって凝集していたカーボンナノファイバーが1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30に分散される。さらに、ロールによる剪断力はエラストマー内に分散されたチタンまたはチタン合金からなる粒子のまわりに乱流状の流動を発生させる。この複雑な流動によってカーボンナノファイバーはさらにエラストマー30に分散される。なお、チタンまたはチタン合金からなる粒子50の混合前に、エラストマー30とカーボンナノファイバー40とを先に混合すると、カーボンナノファイバー40にエラストマー30の動きが拘束されてしまうため、チタンまたはチタン合金からなる粒子50を混合することが難しくなる。したがって、エラストマー30にカーボンナノファイバー40を加える前にチタンまたはチタン合金からなる粒子50を混合する工程を行うことが好ましい。
また、この工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度で行われる。オープンロール法を用いた場合には、ロールの温度を上記の温度に設定することが望ましい。第1,第2ロール10,20の間隔dは、もっとも狭めた状態においてもチタンまたはチタン合金からなる粒子50の平均粒径よりも広く設定することで、エラストマー30中のカーボンナノファイバー40の分散を良好に行うことができる。
このとき、本実施の形態のエラストマーは、上述した特徴、すなわち、エラストマーの分子形態(分子長)、分子運動、カーボンナノファイバーとの化学的相互作用などの特徴を有することによってカーボンナノファイバーの分散を容易にするので、分散性および分散安定性(カーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品を得ることができる。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、分子長が適度に長く、分子運動性の高いエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。この状態で、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
また、エラストマー中に所定量のチタンまたはチタン合金からなる粒子が含まれていることで、チタンまたはチタン合金からなる粒子のまわりに発生するエラストマーの乱流のような幾通りもの複雑な流動によって、個々のカーボンナノファイバー同士を引き離す方向にも剪断力が働くことになる。したがって、直径が約30nm以下のカーボンナノファイバーや湾曲繊維状のカーボンナノファイバーであっても、個々に化学的相互作用によって結合したエラストマー分子のそれぞれの流動方向へ移動するため、エラストマー中に均一に分散されることになる。
の工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をエラストマーに与えることができればよい。
上述したエラストマーにチタンまたはチタン合金からなる粒子とカーボンナノファイバーとを分散させて両者を混合させる工程(混合・分散工程)によって得られた炭素繊維複合材料は、架橋剤によって架橋させて成形するか、もしくは架橋させずに成形することができる。このときの成形方法は、例えば圧縮成形工程や押出成形工程などを行って炭素繊維複合成形品を得ることができる。圧縮成形工程は、例えばチタンまたはチタン合金からなる粒子とカーボンナノファイバーとが分散した炭素繊維複合材料を、所定温度(例えば175℃)に設定された所望形状を有する成形金型内で所定時間(例えば20分)加圧状態で成形する工程を有する。
エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合・分散工程において、あるいは続いて、通常、ゴムなどのエラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。
(e)次に、上記方法によって得られた炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品について述べる。
本実施の形態の炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品は、基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーが均一に分散されている。このことは、エラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けたエラストマー分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より短くなる。特に、チタンまたはチタン合金からなる粒子を含むエラストマーにカーボンナノファイバーを混合した場合には、カーボンナノファイバーを含むエラストマーの場合より、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)が短くなる。なお、架橋体(炭素繊維複合成形品)におけるスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーの混合量に比例して変化する。
また、エラストマー分子がカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによってエラストマーの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より小さくなる。特に、チタンまたはチタン合金からなる粒子を含むエラストマーにカーボンナノファイバーを混合した場合には、カーボンナノファイバーを含むエラストマーの場合より、さらに第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は小さくなる。
以上のことから、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。
すなわち、未架橋体(炭素繊維複合材料)において、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないかあるいは1000ないし10000μ秒であり、さらに第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であることが好ましい。
また、架橋体(炭素繊維複合成形品)において、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし2000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないかあるいは1000ないし4000μ秒であり、前記第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.08未満であることが好ましい。
また、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品は、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。すなわち、カーボンナノファイバー1体積%あたりの架橋体(炭素繊維複合成形品)の150℃で測定したスピン−格子緩和時間(T1)変化量(ΔT1)が、エラストマー単体の場合より1msec以上低下することが好ましく、さらに好ましくは2〜15msec低下することが好ましい。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法により測定されたスピン−格子緩和時間(T1)は、スピン−スピン緩和時間(T2)とともに物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、エラストマーのスピン−格子緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえ、そしてスピン−格子緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品は、動的粘弾性の温度依存性測定における流動開始温度が、原料エラストマー単体の流動開始温度より20℃以上高温であることが好ましい。本実施の形態の炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品は、エラストマーにチタンまたはチタン合金からなる粒子とカーボンナノファイバーとが良好に分散されている。このことは、上述したように、エラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、エラストマーは、カーボンナノファイバーを含まない場合に比べて、その分子運動が小さくなり、その結果、流動性が低下する。このような流動開始温度特性を有することにより、本実施の形態の炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品は、動的粘弾性の温度依存性が小さくなり、その結果、優れた耐熱性を有する。
本実施の形態の炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品は、既述したように、エラストマー系材料として用いることができ、複合金属材料の原料として用いることができる。カーボンナノファイバーは、通常、相互に絡み合って媒体に分散しにくい性質を有する。しかし、本実施の形態の炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品を複合金属材料の原料として用いると、カーボンナノファイバーがエラストマーに既に分散した状態で存在するので、この原料とチタンまたはチタン合金などの媒体とを混合することでカーボンナノファイバーを媒体に容易に分散することができる。
(f)次に、炭素繊維複合金属材料及び炭素繊維複合金属成形品を得る工程について説明する。
炭素繊維複合金属材料及び炭素繊維複合金属成形品を得る工程は、上記実施の形態で得られた炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品を用いて、例えば、以下のような各種の成形方法を採用することができる。
炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品を粉末成形する工程によって実施することができる。具体的には、例えば上記実施の形態で得られた炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品をそのまま、もしくは冷凍粉砕して炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品の粒子を、型内で圧縮し、焼結温度例えば700℃で焼結して炭素繊維複合金属材料及び炭素繊維複合金属成形品を得ることができる。
また、炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品と、複合金属材料のマトリクスとなる他のチタンまたはチタン合金の粒子とを湿式混合した後、同様にして焼結して炭素繊維複合金属材料及び炭素繊維複合金属成形品を得ることもできる。特に純チタンの粒子の場合、その取り扱いに注意が必要なため、溶剤中のチタン粒子に炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品を混ぜる(湿式混合)ことが望ましい。
さらに、冷凍粉砕して炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品の粒子と、他のチタンまたはチタン合金の粒子と、を混合、例えばドライブレンドした後、型内で圧縮成形された後、焼結法によって炭素繊維複合金属材料及び炭素繊維複合金属成形品を得ることができる。焼結法としては、一般的な焼結法の他、プラズマ焼結装置を用いた放電プラズマ焼結法(SPS)などを採用することができる。
あるいは同様に他のチタンまたはチタン合金の粒子と該該炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合成形品の粒子とを混合(例えばドライブレンド)した後、粉末鍛造法や粉末射出法などによって炭素繊維複合金属材料及び炭素繊維複合金属成形品を得ることもできる。このような粉末成形によって製造された炭素繊維複合金属材料及び炭素繊維複合金属成形品は、カーボンナノファイバーをチタンまたはチタン合金中に分散させることができる。この工程で用いられる他のチタンまたはチタン合金の粒子は、炭素繊維複合材料を得るために用いられたチタンまたはチタン合金の粒子と同じ材質が好ましいが、粒子の大きさは粉末成形によって得られる複合金属の用途などによって適宜選択することができる。
炭素繊維複合金属材料の鋳造工程は、上記実施の形態で得られた炭素繊維複合材料または炭素繊維複合成形品を、例えばチタンまたはチタン合金からなる溶湯に混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造する工程によって実施することができる。このような鋳造工程は、例えば鋼製の鋳型内にチタンまたはチタン合金からなる溶湯を注湯して行う金型鋳造法、ダイカスト法、低圧鋳造法を採用することができる。またその他特殊鋳造法に分類される、高圧化で凝固させる高圧鋳造法、溶湯を攪拌するチクソカスティング、遠心力で溶湯を鋳型内へ鋳込む遠心鋳造法などを採用することができる。これらの鋳造法においては、チタンまたはチタン合金からなる溶湯の中に炭素繊維複合成形品を混合させたまま鋳型内で凝固させ、炭素繊維複合金属材料もしくは炭素繊維複合金属成形品を成形する。なお、この鋳造工程において、炭素繊維複合材料または炭素繊維複合成形品のエラストマーは、チタンまたはチタン合金からなる溶湯の熱によって分解され、除去される。
鋳造工程に用いる溶湯は、用途に合わせてチタンまたはチタン合金を単独でもしくは組み合わせて適宜選択することができる。また、チタンまたはチタン合金からなる溶湯は、炭素繊維複合材料または炭素繊維複合成形品にあらかじめ混合されたチタンまたはチタン合金からなる粒子と同一の金属を含むことで、チタンまたはチタン合金からなる粒子との濡れ性を向上させ、製品である炭素繊維複合金属材料もしくは炭素繊維複合金属成形品における強度を向上させることができる。
本実施の形態では、炭素繊維複合成形品に溶湯を浸透させるいわゆる非加圧浸透法を用いて鋳造する工程について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
図2及び図3は、非加圧浸透法によって炭素繊維複合金属成形品を製造する装置の概略構成図である。上記実施の形態で得られた炭素繊維複合成形品は、例えば最終製品の形状を有する成形金型内で圧縮成形された炭素繊維複合成形品4を使用することができる。炭素繊維複合成形品4は、架橋されていないことが好ましい。架橋されていないことで、チタンまたはチタン合金からなる溶湯の浸透速度が速くなるためである。図2において、密閉された容器1内には、あらかじめ成形された炭素繊維複合成形品4(例えば架橋されていないエラストマー30にチタンまたはチタン合金からなる粒子50及びカーボンナノファイバー40を混入)が入れられる。その炭素繊維複合成形品4の上方にチタンまたはチタン合金からなる塊例えばチタン塊5を配置される。次に、容器1に内蔵された図示せぬ加熱手段によって、容器1内に配置された炭素繊維複合成形品4及びチタン塊5をチタンの融点以上に加熱する。加熱されたチタン塊5は、溶融してチタンまたはチタン合金の溶湯となる。また、チタンまたはチタン合金の溶湯に接触した炭素繊維複合成形品4中のエラストマー30は、分解されて気化し、エラストマー30が分解されてできた空所にチタンまたはチタン合金の溶湯が浸透する。
本実施の態様の炭素繊維複合成形品4としては、エラストマー30が分解されてできた空所が毛細管現象によってチタンまたはチタン合金の溶湯をより早く全体に浸透させることができる。チタンまたはチタン合金の溶湯は、還元されることで濡れ性の改善されたチタンまたはチタン合金からなる粒子50間に毛細管現象によって浸透し炭素繊維複合成形品の内部まで完全にチタンまたはチタン合金の溶湯が満たされる。そして、容器1の加熱手段による加熱を停止させ、混合材料4中に浸透したチタンまたはチタン合金からなる溶湯を冷却・凝固させ、図3に示すようなカーボンナノファイバー40が均一に分散された炭素繊維複合金属成形品6を製造することができる。鋳造工程に用いられる炭素繊維複合成形品4は、あらかじめ鋳造工程で使用されるチタンまたはチタン合金からなる溶湯と同じ金属のチタンまたはチタン合金からなる粒子を用いて成形されていることが好ましい。このようにすることで、チタンまたはチタン合金からなる溶湯とチタンまたはチタン合金からなる粒子とが混ざりやすく均質な金属を得られる。
また、容器1を加熱する前に、容器1の室内を容器1に接続された減圧手段2例えば真空ポンプによって脱気してもよい。さらに、容器1に接続された不活性ガス注入手段3例えば窒素ガスボンベから窒素ガスを容器1内に導入してもよい。
チタンまたはチタン合金からなる粒子42及びチタン塊5の表面は酸化物で覆われているため、両者の濡れ性がよくないことが知られているが、本実施の形態においては、両者の濡れ性は良好なものとなる。それは、チタンまたはチタン合金の溶湯を浸透させたときに、熱分解されたエラストマーの分子先端はラジカルになり、そのラジカルによってチタン塊5及びチタンまたはチタン合金からなる粒子42の表面にある酸化物を還元されると考えられる。したがって、本実施の形態においては、炭素繊維複合成形品に含まれるエラストマーの分解によって内部まで還元雰囲気を生成させることができるので、従来のように還元雰囲気の処理室を用意しなくても非加圧浸透法による鋳造を実施できる。このように、還元されたチタンまたはチタン合金からなる粒子の表面と、浸透したチタンまたはチタン合金の溶湯の濡れ性は改善され、より均質に一体化した金属材料もしくは金属成形品を得ることができる。また、チタンまたはチタン合金の溶湯の浸透による流動がカーボンナノファイバーをチタンまたはチタン合金からなる粒子内まで侵入させることになる。さらに、分解されたエラストマー分子のラジカルによってカーボンナノファイバーの表面が活性化して、チタンまたはチタン合金の溶湯との濡れ性が向上する。このようにして得られた炭素繊維複合金属成形品は、チタンのマトリクス内に均一に分散したカーボンナノファイバーを有する。なお、この鋳造工程を不活性雰囲気中で行うことで、チタンまたはチタン合金の溶湯の酸化が防止され、よりチタンまたはチタン合金からなる粒子との濡れ性がよくなる。
また、上記実施の形態においては非加圧浸透法について説明したが、浸透法であればこれに限らず例えば不活性ガス雰囲気の圧によって加圧する加圧浸透法を用いることもできる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1、2)
(1)サンプルの作製
(a)未架橋サンプル(炭素繊維複合材料)の作製
第1の工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1に示す所定量(100g)の高分子物質(100重量部(phr))を投入して、ロールに巻き付かせた。
第2の工程:高分子物質に対して表1に示す量(重量部)のチタン粒子を高分子物質に投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
第3の工程:次に、チタン粒子を含む高分子物質に対して表1に示す量(重量部)のカーボンナノファイバー(表1では「CNT」と記載する)を高分子物質に投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
第4の工程:カーボンナノファイバーを投入し終わったら、高分子物質とカーボンナノファイバーとの混合物をロールから取り出した。
第5の工程:ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
第6の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
このようにして、実施例1〜5の未架橋サンプルを得た。また、第2〜第4の工程を省いて、比較例1,2の未架橋サンプルを得た。
また、比較例3として、チタン単体の金属材料を用いた。
さらに、比較例4としてチタン粉とカーボンナノファイバーをボールミルで混合し予備圧縮成形後、焼結した複合金属材料を用いた。
なお、実施例1〜5のチタン粒子としては、Ti−6Al−4Vのチタン合金であって、平均粒径80μmのものを用いた。カーボンナノファイバーは、直径(繊維径)が約10〜20nmのものを用いた。
(b)架橋サンプル(炭素繊維複合成形品)の作製
第1〜第5の工程は、未架橋サンプルと同様に行った。
第6の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、さらに所定量の架橋剤(2重量部)を混合物に投入した。その後、この混合物を分出しした。
第7の工程:金型サイズに切り取ったサンプルを金型にセットし、175℃、100kgf/cmにて、20分間プレス架橋を行った。
このようにして、実施例1〜4の架橋サンプルを得た。また、第2〜第4の工程を省いて、比較例1、2の架橋サンプルを得た。
(c)炭素繊維複合金属材料の作製
前述の(a)実施例1〜5で得られた未架橋サンプル(炭素繊維複合材料)を型に入れ、プラズマ焼結装置を用いて大気中にて700℃、100MPa、30分間保持して燒結した炭素繊維複合金属材料を得た。なお、プラズマ焼結に際しては、プラズマ焼結装置の炉中に発生したエラストマーの分解ガスは吸引、冷却してトラップすることで除去した。
(2)パルス法NMRを用いた測定
各未架橋サンプルおよび架橋サンプルについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は150℃であった。この測定によって、原料エラストマー単体、複合材料の未架橋サンプル及び架橋サンプルの第1スピン−スピン緩和時間(T2n)と、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)と、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)と、を求めた。なお、原料エラストマー単体については、測定温度が30℃の場合における原料エラストマー単体の第1スピン−スピン緩和時間(T2n)についても求めた。複合材料の架橋サンプルについては、カーボンナノファイバー1体積%あたりに換算したスピン−格子緩和時間変化量(ΔT1)を求めた。測定結果を表1に示す。実施例1の未架橋サンプルの第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は4500(μsec)、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.127であった。実施例1の架橋サンプルの第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は3180(μsec)、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.034であった。実施例2〜5における第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は、検出されなかった。従って、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、0(ゼロ)であった。
(3)E’(動的粘弾性率)、TB(引張強度)およびEB(切断伸び)の測定
複合材料の架橋サンプルについて、E’、TBおよびEBをJIS K 6521−1993によって測定した。これらの結果を表1に示す。
(4)流動開始温度の測定
原料エラストマー単体および複合材料の架橋サンプルについて、動的粘弾性測定(JIS K 6394)によって流動開始温度を測定した。具体的には、流動開始温度は、幅5mm、長さ40mm、厚み1mmのサンプルに正弦振動(±0.1%以下)を与え、これによって発生する応力と位相差δを測定して求めた。このとき、温度は、−70℃から2℃/分の昇温速度で150℃まで変化させた。その結果を表1に示す。なお、表1において、150℃までサンプルの流動現象がみられない場合を「150℃以上」と記載した。
Figure 0004005027
表1から、本発明の実施例1〜5によれば、以下のことが確認された。すなわち、チタンまたはチタン合金からなる粒子及びカーボンナノファイバーを含む未架橋サンプルの炭素繊維複合材料及びその架橋サンプルの炭素繊維複合成形品における150℃でのスピン−スピン緩和時間(T2nおよびT2nn/150℃)は、チタンまたはチタン合金からなる粒子及びカーボンナノファイバーを含まない原料エラストマーの場合に比べて短い。また、チタンまたはチタン合金からなる粒子及びカーボンナノファイバーを含む未架橋サンプルの炭素繊維複合材料及びその架橋サンプルの炭素繊維複合成形品における成分分率(fnn/150℃)は、チタンまたはチタン合金からなる粒子及びカーボンナノファイバーを含まない原料エラストマーの場合に比べて小さい。またさらに、チタンまたはチタン合金からなる粒子及びカーボンナノファイバーを含む未架橋サンプルの炭素繊維複合材料及びその架橋サンプルの炭素繊維複合成形品におけるスピン−格子緩和時間(T1)は、チタンまたはチタン合金からなる粒子及びカーボンナノファイバーを含まない原料エラストマーの場合に比べて変化量(ΔT1)低くい。これらのことから、実施例にかかる炭素繊維複合材料では、カーボンナノファイバーが良く分散されていることがわかる。
このことは、実施例1と比較例2とを比較することによりよくわかる。すなわち、カーボンナノファイバーを含まない比較例2では、未架橋サンプルのスピン−スピン緩和時間(T2nおよびT2nn/150℃)は原料エラストマー単体の場合に比べてあまり差がない。これに対し、本発明の実施例1では、未架橋サンプルの炭素繊維複合材料のスピン−スピン緩和時間(T2nおよびT2nn/150℃)は原料エラストマー単体の場合に比べてかなり短くなっていることが確認された。また、成分分率(fnn/150℃)についても同様のことが確認された。
架橋サンプルの炭素繊維複合成形品については、原料エラストマー単体に比べてスピン−スピン緩和時間(T2nおよびT2nn/150℃)は短くなっていることが確認された。また、成分分率(fnn/150℃)についても同様のことが確認された。また、カーボンナノファイバー1体積%あたりに換算したスピン−格子緩和時間変化量(ΔT1)は、いずれも原料エラストマー単体に比べて低くなっていることが確認された。
また、架橋サンプルを用いたE’、TBおよびEBの結果から、カーボンナノファイバーを含むことにより、本発明の実施例1〜5によれば、切断伸びを維持しながら動的粘弾性率および引張強度が向上し、カーボンナノファイバーにより補強効果が得られることが確認された。このことは、実施例1〜5と比較例1、2とを比較することによりよくわかる。
さらに、チタンまたはチタン合金からなる粒子及びカーボンナノファイバーを含む炭素繊維複合材料の未架橋サンプルにおける流動開始温度は、原料エラストマー単体の場合に比べて20℃以上高いことから、動的粘弾性の温度依存性が小さく、優れた耐熱性を有することがわかる。
なお、実施例1〜5の炭素繊維複合金属材料の線膨張係数が、比較例3のチタン単体の場合や比較例4の複合金属材料の線膨張係数よりも小さな値を示し、カーボンナノファイバーの分散による強度の向上が得られたことがわかった。
また、実施例1〜5の炭素繊維複合金属材料を顕微鏡観察した結果、金属顕微鏡における金属成形状態の観察では、ボイドがほとんど観察されず良好(表1の丸印)であり、電子顕微鏡(SEM)におけるカーボンナノファイバーの分散状態の観察では、カーボンナノファイバーの凝集はほとんど観察されず良好(表1の丸印)であった。比較例4の複合金属材料は、金属成形状態の観察ではボイドが確認され(表1の△印)であり、カーボンナノファイバーの分散状態の観察ではカーボンナノファイバーの凝集塊が多く観察(表1の×印)された。なお、比較例1及び2においては、カーボンナノファイバーを含まず、鋳造もしていないため、顕微鏡観察を行っていない(表1の横棒)。
以上のことから、本発明によれば、一般に基材への分散が非常に難しいカーボンナノファイバーがエラストマーに均一に分散されることが明かとなった。特に、カーボンナノファイバーを分散させにくいEPDMにおいて、カーボンナノファイバーを均一に分散させることが明らかとなった。また、チタンまたはチタン合金からなる粒子をエラストマーに混合させることで、カーボンナノファイバー特に30nm以下の細いカーボンナノファイバーや湾曲して絡みやすいカーボンナノファイバーにおいても、十分に分散させることができることが明らかとなった。
本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーとカーボンナノファイバーとの混練法を模式的に示す図である。 非加圧浸透法によって炭素繊維複合金属材料を製造する装置の概略構成図である。 非加圧浸透法によって炭素繊維複合金属材料を製造する装置の概略構成図である。
符号の説明
1 容器
2 減圧手段
3 注入手段
4 炭素繊維複合成形品
5 チタン塊
6 炭素繊維複合金属成形品
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
40 カーボンナノファイバー
50 チタンまたはチタン合金からなる粒子

Claims (27)

  1. エラストマーと、該エラストマーに分散された、チタンまたはチタン合金からなる粒子とカーボンナノファイバーと、を含み、
    前記エラストマーは、前記カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有し、
    パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって150℃で測定した、未架橋体における、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないかあるいは1000ないし10000μ秒であり、前記第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満である、炭素繊維複合材料。
  2. 請求項1において、
    前記チタンまたはチタン合金からなる粒子は、前記エラストマー100重量部に対して、10〜3000重量部である、炭素繊維複合材料。
  3. 請求項1または2において、
    前記チタンまたはチタン合金からなる粒子は、前記カーボンナノファイバーの平均直径よりも大きな平均粒径を有する、炭素繊維複合材料。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記チタンまたはチタン合金からなる粒子の平均粒径は500μm以下である、炭素繊維複合材料。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、分子量が5000ないし500万である、炭素繊維複合材料。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、二重結合、三重結合、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつを有する、炭素繊維複合材料。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒である、炭素繊維複合材料。
  8. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒である、炭素繊維複合材料。
  9. 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmである、炭素繊維複合材料。
  10. 請求項1ないし9のいずれかにおいて、
    前記炭素繊維複合材料の流動開始温度は、該エラストマー単体の流動開始温度より20℃以上高温である、炭素繊維複合材料。
  11. 請求項1ないし10のいずれかにおいて、
    前記炭素繊維複合材料の前記第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)及び第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は、前記エラストマー単体の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)及び第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)より短い、炭素繊維複合材料。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の炭素繊維複合材料を所定の形状に成形した、炭素繊維複合成形品。
  13. 請求項1ないし11のいずれかに記載の炭素繊維複合材料を架橋した炭素繊維複合成形品であって、
    パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし2000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないかあるいは1000ないし4000μ秒であり、前記第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.08未満である、炭素繊維複合成形品。
  14. 請求項13において、
    前記炭素繊維複合成形品は、架橋するとともに所望の形状に成形した、炭素繊維複合成形品。
  15. 請求項1に記載の炭素繊維複合材料の製造方法であって、
    カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、チタンまたはチタン合金からなる粒子と、を混合する工程と、
    前記チタンまたはチタン合金からなる粒子を含む前記エラストマーに、前記カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程と、
    を含み、
    前記チタンまたはチタン合金からなる粒子を含む前記エラストマーに、前記カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程は、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いて0ないし50℃で行われる、炭素繊維複合材料の製造方法。
  16. 請求項15において、
    前記チタンまたはチタン合金からなる粒子は、前記エラストマー100重量部に対して、10〜3000重量部である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  17. 請求項15または16において、
    前記チタンまたはチタン合金からなる粒子は、前記カーボンナノファイバーの平均直径よりも大きな平均粒径を有する、炭素繊維複合材料の製造方法。
  18. 請求項15ないし17のいずれかにおいて、
    前記チタンまたはチタン合金からなる粒子の平均直径は500μm以下である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  19. 請求項15ないし18のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、分子量が5000ないし500万である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  20. 請求項15ないし19のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、二重結合、三重結合、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつを有する、炭素繊維複合材料の製造方法。
  21. 請求項15ないし20のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  22. 請求項15ないし20のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  23. 請求項15ないし22のいずれかにおいて、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmである、炭素繊維複合材料の製造方法。
  24. 請求項15において、
    前記オープンロール法は、2本のロールの表面速度比が1.05ないし3.00である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  25. 請求項15ないし24のいずれかに記載の製造方法によって得られた炭素繊維複合材料を、所望の形状に成形する工程をさらに有する、炭素繊維複合成形品の製造方法。
  26. 請求項15ないし24のいずれかに記載の製造方法によって得られた炭素繊維複合材料を、架橋する工程をさらに有する、炭素繊維複合成形品の製造方法。
  27. 請求項15ないし24のいずれかに記載の製造方法によって得られた炭素繊維複合材料を、所望の形状を有する成形金型内で架橋するとともに成形する工程をさらに有する、炭素繊維複合成形品の製造方法。
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