JP2005179120A - 炭素繊維複合材料及びその製造方法、炭素繊維複合金属材料及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維複合材料及びその製造方法、炭素繊維複合金属材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、カーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合材料およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】 炭素繊維複合材料の製造方法は、カーボンナノファイバー40に対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマー30と、発泡剤50と、前記カーボンナノファイバー40と、を混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、炭素繊維複合材料及びその製造方法、炭素繊維複合金属材料及びその製造方法に関する。
近年、カーボンナノファイバーを用いた複合材料が注目されている。このような複合材料は、カーボンナノファイバーを含むことで、機械的強度などの向上が期待されている。
また、金属の複合材料の鋳造方法として、酸化物系セラミックスからなる多孔質成形体内にマグネシウム蒸気を浸透、分散させ、同時に窒素ガスを導入することで、多孔質成形体内に金属溶湯を浸透させるようにした鋳造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、カーボンナノファイバーは相互に強い凝集性を有するため、複合材料の基材にカーボンナノファイバーを均一に分散させることが非常に困難とされている。そのため、現状では、所望の特性を有するカーボンナノファイバーの複合材料を得ることが難しく、また、高価なカーボンナノファイバーを効率よく利用することができない。
また、従来の酸化物系セラミックスからなる多孔質成形体に金属溶湯を浸透させる鋳造方法は、複雑な処理を行うため、工業上の生産は困難である。
特開平10−183269号公報
そこで、本発明の目的は、カーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合材料およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、カーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合金属材料及びその製造方法を提供することにある。
本発明にかかる炭素繊維複合材料は、エラストマーと、該エラストマーに分散された、発泡剤とカーボンナノファイバーと、を含み、
前記エラストマーは、前記カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有する。
本発明の炭素繊維複合材料においては、後述する理由によって基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーがさらに均一に分散されたものとなる。特に、あらかじめカーボンナノファイバーが分散された状態で炭素繊維複合材料が発泡剤を含有するため、発泡させた炭素繊維複合材料においても、カーボンナノファイバーが均一に分散されたものとなる。
本発明におけるエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。また、ゴム系エラストマーの場合、エラストマーは架橋体あるいは未架橋体のいずれであってもよい。原料エラストマーとしては、ゴム系エラストマーの場合、未架橋体が用いられる。
また、本発明にかかる炭素繊維複合材料を架橋して得られた炭素繊維複合材料及び架橋しないで得られた炭素繊維複合材料は、同様に、エラストマーによってカーボンナノファイバーが均一に分散されたものとなる。
さらに、本発明にかかる炭素繊維複合材料を前記発泡剤の発泡温度以上に加熱し、前記発泡剤を発泡させることで形成された多数の空孔を有する、炭素繊維複合材料は、軽量であって、振動吸収性、吸音性、断熱性にすぐれた発泡体であり、かつ、カーボンナノファイバーが均一に分散されたものとなる。
また、本発明にかかる炭素繊維複合材料を金属溶湯に混入して鋳造した炭素繊維複合金属材料は、炭素繊維複合材料と同様に、カーボンナノファイバーが均一に分散されたものとなる。
またさらに、本発明にかかる炭素繊維複合材料に金属溶湯を浸透させ、エラストマーを金属と置換した炭素繊維複合金属材料は、炭素繊維複合材料と同様に、カーボンナノファイバーが均一に分散されたものとなる。特に、金属溶湯に接触した炭素繊維複合材料は、金属溶湯によってエラストマーが熱分解させながら浸透するため、カーボンナノファイバーが均一に分散した状態のまま金属溶湯が凝固した金属に置換され、鋳造することができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、発泡剤と、を混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(x)と、前記エラストマーと、前記カーボンナノファイバーと、を混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(y)と、を含む。
本発明の製造方法によれば、エラストマーの不飽和結合または基が、カーボンナノファイバーの活性な部分、特にカーボンナノファイバーの末端のラジカルと結合することにより、カーボンナノファイバーの凝集力を弱め、その分散性を高めることができる。
特に、あらかじめカーボンナノファイバーが分散された状態で炭素繊維複合材料が発泡剤を含有するため、発泡させた炭素繊維複合材料においても、カーボンナノファイバーが均一に分散されたものとなる。
前記エラストマーへの前記カーボンナノファイバーの混合(工程(y))と前記エラストマーに前記発泡剤を混合(工程(x))とは、同時に行うことができる。2つの材料をエラストマーに混合させる工程を同時に行うことで、作業工程を単純化することができる。
前記エラストマーへの前記カーボンナノファイバーの混合(工程(y))は、前記エラストマーに前記発泡剤を混合(工程(x))させた後に行うことができる。カーボンナノファイバーを混合させる前に、エラストマーへ発泡剤をあらかじめ混合させることで、比較的容易に発泡剤の配合を行うことができ、また、発泡剤を含むエラストマーを用いることで、エラストマー中におけるカーボンナノファイバーの配合量を容易に調整することができる。
前記エラストマーに前記発泡剤を混合(工程(x))は、前記エラストマーへの前記カーボンナノファイバーの混合(工程(y))させた後に行うことができる。カーボンナノファイバーが分散したエラストマーへ発泡剤を混合させることで、発泡剤の発泡温度などの条件を考慮して混合条件を設定することができる。発泡剤の混合と同時に発泡温度まで加熱して発泡成形を行うこともできる。
前記工程(y)は、
(a)ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法、
(b)ロータ間隙が1mm以下の密閉式混練法、
(c)スクリュー間隙が0.3mm以下の多軸押出し混練法、などを用いて行うことができる。
前記工程(x)及び前記工程(y)は、前記発泡剤の発泡温度以下で行うことができる。発泡剤が発泡しない温度でカーボンナノファイバーを混合させることで、発泡前の炭素繊維複合材料を得ることができるため、この炭素繊維複合材料を用いて容易に所望の形態を有する発泡体の炭素繊維複合材料に成形することができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、炭素繊維複合材料を発泡剤の発泡温度以上に加熱して発泡させる発泡工程をさらに含むことで、エラストマー中にカーボンナノファイバーを均一に分散させた状態で発泡させることができる。
このように発泡された炭素繊維複合材料を、金属溶湯に混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造する工程を有することができる。このような炭素繊維複合金属材料の製造方法によれば、前述したように、カーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合材料を鋳造することによって、カーボンナノファイバーを均一に分散させることができた炭素繊維複合金属材料を得ることができる。また、発泡した炭素繊維複合材料を用いることで、発泡しない複合材料に比べて相対的にエラストマーの量を減らすことができる。さらに、発泡剤の量を調整することで、エラストマーに混合されるカーボンナノファイバーの配合量を調整することができる。
また、このように発泡された炭素繊維複合材料に、金属溶湯を浸透させて前記エラストマーを前記金属溶湯と置換する浸透工程を有することができる。このような炭素繊維複合金属材料の製造方法によれば、前述したようにカーボンナノファイバーが均一に分散された炭素繊維複合材料のエラストマーを金属で置換した炭素繊維複合金属材料を得ることができる。特に、金属溶湯がエラストマーと置換されるため、炭素繊維複合材料を所望の形状に成形しておくことで、所望形状の炭素繊維複合金属材料を得ることができる。また、発泡した炭素繊維複合材料を用いることで、混合するエラストマーの量を減らすことができる。さらに、発泡剤の量を調整することで、エラストマーに混合されるカーボンナノファイバーの配合量を調整することができる。また、発泡剤の量を調整することで、炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合金属材料の体積を自由に調整することができる。なお、発泡によって得られた空孔には、金属溶湯が流入するため炭素繊維複合金属材料中にボイドが形成されることはなく、この金属溶湯の流入によってカーボンナノファイバーも空孔の中に入り込むためカーボンナノファイバーの分散状態は良好である。
さらに、前記浸透工程は、前記炭素繊維複合材料の上方に金属塊を配置する工程と、前記金属塊を加熱し溶融させることで金属溶湯とするとともに、前記炭素繊維複合材料中の前記エラストマーを気化させ、前記金属溶湯を浸透させて該エラストマーと置換する工程と、を有することができる。
このような非加圧もしくは加圧した浸透法によって金属溶湯とエラストマーを置換させることによって、カーボンナノファイバーが均一に分散した炭素繊維複合金属材料を得ることができる。また、炭素繊維複合材料は、未架橋のままで成形されていると、エラストマーの分解が容易であって金属溶湯の浸透が早いので、好ましい。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料は、エラストマーと、該エラストマーに分散された、発泡剤とカーボンナノファイバーと、を含み、前記エラストマーは、前記カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有する。
また、本発明にかかる炭素繊維複合材料は、前記炭素繊維複合材料を前記発泡剤の発泡温度以上に加熱し、前記発泡剤を発泡させることで形成された多数の空孔を有する。
さらに、本発明にかかる炭素繊維複合金属材料は、発泡した前記炭素繊維複合材料を金属溶湯に混入して鋳造することで得られる。
またさらに、本発明にかかる炭素繊維複合金属材料は、発泡した前記炭素繊維複合材料に金属溶湯を浸透させ、エラストマーを金属と置換することで得られる。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、発泡剤と、を混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(x)と、前記エラストマーと、前記カーボンナノファイバーと、を混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(y)と、を含む。
また、本発明にかかる炭素繊維複合金属材料の製造方法は、エラストマーと、該エラストマーに分散された、発泡剤とカーボンナノファイバーと、を含む炭素繊維複合材料を、前記発泡剤の発泡温度以上に加熱して発泡させる発泡工程と、発泡させた前記炭素繊維複合材料を、金属溶湯に混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造する工程と、を有する。
またさらに、本発明にかかる炭素繊維複合金属材料の製造方法は、エラストマーと、該エラストマーに分散された、発泡剤とカーボンナノファイバーと、を含む炭素繊維複合材料を、前記発泡剤の発泡温度以上に加熱して発泡させる発泡工程と、発泡させた前記炭素繊維複合材料に、金属溶湯を浸透させて前記エラストマーを前記金属溶湯と置換する浸透工程と、を有する。
エラストマーは、例えば、カーボンナノファイバーと親和性が高いことの他に、分子長がある程度の長さを有すること、柔軟性を有すること、などの特徴を有することが望ましい。また、エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、できるだけ高い剪断力で混練されることが望ましい。
(a)まず、エラストマーについて説明する。
エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーは、凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、したがってカーボンナノファイバー同士を分離する効果が大きい。エラストマーの分子量が5000より小さいと、エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけてもカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる。また、エラストマーの分子量が500万より大きいと、エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃で測定した、未架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは100ないし3000μ秒、より好ましくは200ないし1000μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができる。このことにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合したときに、エラストマーは高い分子運動によりカーボンナノファイバー相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より短いと、エラストマーが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が3000μ秒より長いと、エラストマーが液体のように流れやすくなり、カーボンナノファイバーを分散させることが困難となる。
また、エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒であることが好ましい。その理由は、上述した未架橋体と同様である。すなわち、上記の条件を有する未架橋体を本発明の製造方法によって架橋化すると、得られる架橋体のT2nはおおよそ上記範囲に含まれる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりエラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかる炭素繊維複合材料は中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバー、特にその末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつであることができる。
カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。
(b)次に、発泡剤について説明する。
発泡剤は、エラストマー中に混合し、分散させておいて、発泡剤を発泡させて内部に多数の空孔を有する炭素繊維複合材料を得るものである。発泡剤は、特に限定されず、分解性発泡剤または揮発性発泡剤のいずれも使用することができる。これら発泡剤は1種単独あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
分解性発泡剤としては、無機化合物及び有機化合物があり、例えば、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、カルシウムアジド、ナトリウムアジド、ホウ水素ナトリウム等の無機系分解性発泡剤、2,2’−アゾイソブチロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、アゾジカルボンアミド及びジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジド及びジフェニルオキシド−4,4’−ジスルホヒドラジド等のスルホヒドラジド化合物、N,N’−ジニトロソペンタンメチレンテトラミン及びN,N’−ジニトロソ−N,N’ジメチルテレフタルアミド等のニトロソ化合物、テレフタルアジド及びp−第三ブチルベンズアジド等のアジド化合物等が挙げられる。分解性発泡剤の添加割合は、発泡剤の種類に応じて発泡効果が得られる範囲、例えば発泡倍率が1.05倍以上となるように選択すればよいが、エラストマー100重量部に対して、0.05〜20重量部とすることが好ましい。なお、分解温度、発生ガス量及び分解速度を調節するために、公知の発泡助剤を添加することもできる。
揮発性発泡剤としては、元来気体であるか又は揮発性の液体があり、例えば、炭酸ガス、プロパン、メチルエーテル、二塩化二フッ化メタン、ブタン等の気体の発泡剤、水、エーテル、石油エーテル、アセトン、ヘキサン、ベンゼン等の揮発性の液体が挙げられる。揮発性発泡剤の添加割合は、発泡剤の種類に応じて発泡効果が得られる範囲、例えば発泡倍率が1.05倍以上となるように選択すればよいが、エラストマー100重量部に対して0.05〜20重量部とすることが好ましい。なお、分解温度、発生ガス量及び分解速度を調節するために、公知の発泡助剤を添加することもできる。
(c)次に、カーボンナノファイバーについて説明する。
カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmであることが好ましいく、炭素繊維複合材料の強度を向上させるためには0.5ないし30nmであることがさらに好ましい。さらに、カーボンナノファイバーは、ストレート繊維状であっても、湾曲繊維状であってもよい。
カーボンナノファイバーの配合量は、特に限定されず、用途に応じて設定できる。本実施の形態の炭素繊維複合材料は、架橋体エラストマー、未架橋体エラストマーあるいは熱可塑性ポリマーをそのままエラストマー系材料として用いることができ、あるいは複合金属材料の原料として用いることができる。本実施の形態の炭素繊維複合材料を複合金属材料の原料として用いるときは、カーボンナノファイバーを0.01〜50重量%の割合で含むことができる。かかる複合金属材料の原料は、金属にカーボンナノファイバーを混合する際に、カーボンナノファイバーの供給源としてのいわゆるマスターバッチとして用いることができる。
カーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
カーボンナノファイバーは、エラストマーと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
(d)次に、エラストマーと、発泡剤と、を混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(x)と、前記エラストマーと、前記カーボンナノファイバーと、を混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(y)と、について説明する。
本実施の形態では、エラストマーに発泡剤及びカーボンナノファイバーを混合させる工程(x)及び工程(y)として、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし3.00であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第2のロール20に、エラストマー30を巻き付けると、ロール10,20間にエラストマーがたまった、いわゆるバンク32が形成される。
このバンク32内に発泡剤50を加えて、さらに第1,第2のロール10,20を回転させることにより、エラストマー30と、発泡剤50と、を混合する工程(x)が行われる。
ついで、工程(y)は、このエラストマー30と発泡剤50とが混合されたバンク32内にカーボンナノファイバー40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させる。さらに、第1,第2ロール10,20の間隔を狭めて前述した間隔dとし、この状態で第1,第2ロール10,20を上記所定の表面速度比で回転させる。これにより、エラストマー30に高い剪断力が作用し、この剪断力によって凝集していたカーボンナノファイバーが1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30に分散される。なお、発泡剤50の混合前に、エラストマー30とカーボンナノファイバー40とを先に混合すると、カーボンナノファイバー40にエラストマー30の動きが拘束されてしまうため、発泡剤50を混合しにくくなる。したがって、エラストマー30にカーボンナノファイバー40を加える前に発泡剤50を混合する工程を行うことが好ましい。
また、この工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度で行われる。オープンロール法を用いた場合には、ロールの温度を上記の温度に設定することが望ましい。特に、混練時に発泡剤を発泡させない場合には、上記エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、前記発泡剤の発泡温度以下で行われることが望ましい。
このとき、本実施の形態のエラストマーは、上述した特徴、すなわち、エラストマーの分子形態(分子長)、分子運動、カーボンナノファイバーとの化学的相互作用などの特徴を有することによってカーボンナノファイバーの分散を容易にするので、分散性および分散安定性(カーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料を得ることができる。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、分子長が適度に長く、分子運動性の高いエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。この状態で、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
エラストマーに発泡剤を剪断力によって分散させる工程(x)は、上記オープンロール法に限定されず、既に述べた密閉式混練法(バンバリミキサ、インタナルミキサなど)あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。また、発泡剤とエラストマーの混合は、剪断力を用いる混練法に限らず、エラストマー中に発泡剤を適度に分散させることができる公知の各種混合法を採用することができる。
エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程(y)は、上記オープンロール法に限定されず、既に述べた密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をエラストマーに与えることができればよい。
上述したエラストマーに発泡剤とカーボンナノファイバーとを分散させて両者を混合させる工程(混合・分散工程)によって得られた炭素繊維複合材料は、架橋剤によって架橋させて発泡成形するか、もしくは架橋させずに発泡成形することができる。熱可塑性エラストマーを用いた場合には、架橋させることなく発泡成形する。このときの発泡成形は、例えばブロック成形(厚板)、板状成形、型物成形等に、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等を適用して発泡体の炭素繊維複合材料を得ることができる。圧縮成形工程は、例えば発泡剤とカーボンナノファイバーとが分散した炭素繊維複合材料を、混合された発泡剤の発泡温度以上の所定温度(例えばアゾジカルボンアミドのとき140〜150℃)に設定された所望形状を有する成形金型内で所定時間(例えば1分程度)加圧状態で成形する工程を有する。
また、本実施の形態においてはエラストマーと発泡剤とを混練した後カーボンナノファイバーを混練したが、これに限らず、エラストマーにカーボンナノファイバーと発泡剤をほぼ同時に加えて混練してもよく、また、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混練した後、発泡剤を混練してもよい。この発泡剤を後に加える方法は、例えば以下の方法を挙げることができる。
(A)上記オープンロール法の工程(x)と(y)との順番を逆にして混合する方法。
(B)上記オープンロール法、密閉式混練機、多軸押出し混錬法等によって混練されたエラストマーと、発泡剤と、をドライブレンドにより混合する方法。
(C)上記オープンロール法や多軸押出し混錬法等によって混練されたエラストマーと、発泡剤と、を押出機で溶融混練する方法。
上記(C)の方法によれば、押出機で溶融混練した炭素繊維複合材料を金型内へ射出成形したり、金型内で圧縮成形するなどして所望の形態に発泡成形された炭素繊維複合材料を得ることができる。
エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合・分散工程において、あるいは続いて、通常、ゴムなどのエラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。
(e)次に、上記方法によって得られた炭素繊維複合材料について述べる。
本実施の形態の発泡前の炭素繊維複合材料は、基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーと発泡剤とが均一に分散されている。このことは、エラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けたエラストマー分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より短くなる。なお、架橋体の炭素繊維複合材料におけるスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーの混合量に比例して変化する。
また、エラストマー分子がカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによってエラストマーの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より小さくなる。
以上のことから、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。
すなわち、未架橋体の炭素繊維複合材料において、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないかあるいは1000ないし10000μ秒であり、さらに第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であることが好ましい。
また、架橋体の炭素繊維複合材料において、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし2000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないかあるいは1000ないし5000μ秒であり、前記第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.08未満であることが好ましい。
また、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料は、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。すなわち、カーボンナノファイバー1体積%あたりの架橋体の炭素繊維複合材料の150℃で測定したスピン−格子緩和時間(T1)変化量(ΔT1)が、エラストマー単体の場合より1msec以上低下することが好ましく、さらに好ましくは2〜15msec低下することが好ましい。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法により測定されたスピン−格子緩和時間(T1)は、スピン−スピン緩和時間(T2)とともに物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、エラストマーのスピン−格子緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえ、そしてスピン−格子緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料は、動的粘弾性の温度依存性測定における流動温度が、原料エラストマー単体の流動温度より20℃以上高温であることが好ましい。本実施の形態の炭素繊維複合材料は、エラストマーに発泡剤とカーボンナノファイバーとが良好に分散されている。このことは、上述したように、エラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、エラストマーは、カーボンナノファイバーを含まない場合に比べて、その分子運動が小さくなり、その結果、流動性が低下する。このような流動温度特性を有することにより、本実施の形態の炭素繊維複合材料は、動的粘弾性の温度依存性が小さくなり、その結果、優れた耐熱性を有する。
本実施の形態の炭素繊維複合材料は、既述したように、エラストマー系材料として用いることができ、金属などの複合材料の原料として用いることができる。カーボンナノファイバーは、通常、相互に絡み合って媒体に分散しにくい性質を有する。しかし、本実施の形態の炭素繊維複合材料を金属の複合材料の原料として用いると、カーボンナノファイバーがエラストマーに既に分散した状態で存在するので、この原料と金属などの媒体とを混合することでカーボンナノファイバーを媒体に容易に分散することができる。
(f)次に、炭素繊維複合金属材料の鋳造工程について説明する。
炭素繊維複合金属材料の鋳造工程は、上記実施の形態で得られた炭素繊維複合材料を、例えば金属溶湯に混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造する工程によって実施することができる。このような鋳造工程は、例えば鋼製の鋳型内に金属溶湯を注湯して行う金型鋳造法、ダイカスト法、低圧鋳造法を採用することができる。またその他特殊鋳造法に分類される、高圧化で凝固させる高圧鋳造法、溶湯を攪拌するチクソカスティング、遠心力で溶湯を鋳型内へ鋳込む遠心鋳造法などを採用することができる。これらの鋳造法においては、金属溶湯の中に炭素繊維複合材料を混合させたまま鋳型内で凝固させ、炭素繊維複合金属材料を成形する。なお、この鋳造工程において炭素繊維複合材料のエラストマーは、金属溶湯の熱によって分解され、除去される。
鋳造工程に用いる金属溶湯は、通常の鋳造加工に用いられる金属例えば鉄及びその合金、アルミニウム及びその合金、マグネシウム及びその合金、銅及びその合金、亜鉛及びその合金などから用途に合わせて単独でもしくは組み合わせて適宜選択することができる。
このような鋳造工程によって製造された炭素繊維複合金属材料は、カーボンナノファイバーを金属材料中に分散させることができる。
本実施の形態では、炭素繊維複合材料に溶湯を浸透させるいわゆる非加圧浸透法を用いて鋳造する工程について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
図2及び図3は、非加圧浸透法によって炭素繊維複合金属材料を製造する装置の概略構成図である。上記実施の形態で得られた炭素繊維複合材料は、例えば最終製品の形状を有する成形金型内で圧縮成形された炭素繊維複合材料4を使用することができる。炭素繊維複合材料4は、架橋されていないことが好ましい。架橋されていないことで、金属溶湯の浸透速度が速くなるためである。図2において、密閉された容器1内には、あらかじめ発泡成形された炭素繊維複合材料4、例えば架橋されていないエラストマー30にカーボンナノファイバー40が混入された発泡体の炭素繊維複合材料4が入れられる。炭素繊維複合材料4は、図2の拡大図に示すように発泡剤が発泡した空孔60、空孔の周囲のエラストマー30及びカーボンナノファイバー40で構成されている。その炭素繊維複合材料4の上方に金属塊例えばアルミニウム塊5を配置される。次に、容器1に内蔵された図示せぬ加熱手段によって、容器1内に配置された炭素繊維複合材料4及びアルミニウム塊5をアルミニウムの融点以上に加熱する。加熱されたアルミニウム塊5は、溶融してアルミニウム溶湯(金属溶湯)となる。また、アルミニウム溶湯に接触した炭素繊維複合材料4中のエラストマー30は、分解されて気化し、エラストマー30が分解されてできた空所にアルミニウム溶湯(金属溶湯)が浸透する。
本実施の態様の炭素繊維複合材料4としては、エラストマー30が分解されてできた空所が毛細管現象によってアルミニウム溶湯をより早く全体に浸透させることができる。アルミニウム溶湯は、還元されることで濡れ性の改善されたアルミニウム粒子50間に毛細管現象によって浸透し炭素繊維複合材料の内部まで完全にアルミニウム溶湯が満たされる。さらに、発泡によって形成された空孔60内へもアルミニウム溶湯が浸透する。この空孔60へのアルミニウム溶湯の浸透による流動は、エラストマー30中に分散していたカーボンナノファイバー40を伴って行われる。したがって、アルミニウム溶湯に満たされた空孔60内にカーボンナノファイバー40が分散されるため、得られる炭素繊維複合金属材料6においても材料全体にカーボンナノファイバー40が分散されることになる。
そして、容器1の加熱手段による加熱を停止させ、炭素繊維複合材料4中に浸透した金属溶湯を冷却・凝固させ、図3に示すようなカーボンナノファイバー40が均一に分散された炭素繊維複合金属材料6を製造することができる。
このとき、炭素繊維複合材料4中における空孔60の割合を調整することにより、炭素繊維複合金属材料の大きさを調整することができ、かつ使用するエラストマー30の量を調整することができ、金属溶湯によって気化してしまうエラストマー30の量を減らすこともできる。また、エラストマー30の量に対するカーボンナノファイバー40の配合量を少量に減らしてくると、エラストマー30全体にカーボンナノファイバー40を分散させにくくなる。しかしながら、本実施の形態のように発泡剤を用いることで、最終的に炭素繊維複合金属材料6中におけるカーボンナノファイバー40の配合量を少量に減らしても、エラストマー30の量に対するカーボンナノファイバー40の配合量は多いため、上記(D)における分散させる工程は比較的容易である。したがって、エラストマー30に対する発泡剤の配合量(発泡率)を調整することで、使用するエラストマー30の量を調整すると共に、カーボンナノファイバー40の配合量も調整することができる。
また、図2において、容器1を加熱する前に、容器1の室内を容器1に接続された減圧手段2例えば真空ポンプによって脱気してもよい。さらに、容器1に接続された不活性ガス注入手段3例えば窒素ガスボンベから窒素ガスを容器1内に導入してもよい。
金属溶湯にアルミニウムを用いた場合、アルミニウム塊5の表面は酸化物で覆われているが、アルミニウム溶湯を浸透させたときに、熱分解されたエラストマーの分子先端はラジカルになり、そのラジカルによってアルミニウム溶湯の表面にある酸化物(アルミナ)を還元すると考えられる。したがって、本実施の形態においては、炭素繊維複合材料に含まれるエラストマーの分解によって内部まで還元雰囲気を生成させることができるので、従来のように還元雰囲気の処理室を用意しなくても非加圧浸透法による鋳造を実施できる。また、炭素繊維複合材料中にあらかじめマグネシウム粒子を混入させておくことによって、アルミニウム表面の酸化物の還元剤として用いることで還元作用を促進することもできる。
また、アルミニウム溶湯の浸透によって分解されたエラストマー分子のラジカルによってカーボンナノファイバーの表面が活性化して、アルミニウム溶湯との濡れ性が向上する。このようにして得られた炭素繊維複合金属材料は、アルミニウムのマトリックス内に均一に分散したカーボンナノファイバーを有する。
さらに、上記実施の形態においては、非加圧浸透法について説明したが、浸透法であればこれに限らず例えば不活性ガス雰囲気の圧によって加圧する加圧浸透法を用いることもできる。
上記実施の形態のような浸透法によれば、炭素繊維複合材料中のエラストマー及び空孔が金属材料に置換されるため、他の鋳造法に比べ、カーボンナノファイバーの分散状態が均一であり比較的有利である。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1、2)
(1)サンプルの作製
a)未架橋サンプル(炭素繊維複合材料)の作製
第1の工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1に示す所定量(100g)のエラストマー(100重量部(phr))を投入して、ロールに巻き付かせた。
第2の工程:エラストマーに対して表1に示す量(重量部)の発泡剤をエラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。なお、投入した発泡剤は、アゾジカルボンアミドである。
第3の工程:次に、発泡剤を含むエラストマーに対して表1に示す量(重量部)のカーボンナノファイバー(表1では「CNT」と記載する)をエラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
第4の工程:カーボンナノファイバーを投入し終わったら、エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物をロールから取り出した。
第5の工程:ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
第6の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
第7の工程:分出しした炭素繊維複合材料をアゾジカルボンアミドが発泡する温度(140℃)で約1分加熱して発泡させた。
このようにして、実施例1〜5の未架橋サンプルを得た。また、第2〜第4の工程を省いて、比較例1,2の未架橋サンプルを得た。
b)架橋サンプル(炭素繊維複合材料)の作製
第1〜第5の工程は、未架橋サンプルと同様に行った。
第6の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、さらに所定量の架橋剤(2重量部)を混合物に投入した。その後、この混合物を分出しした。
第7の工程:金型サイズに切り取ったサンプルを金型にセットし、175℃、100kgf/cmにて、20分間プレス架橋を行うとともに発泡させた。
このようにして、実施例1〜4の架橋サンプルを得た。また、第2〜第4の工程を省いて、比較例1、2の架橋サンプルを得た。
c)炭素繊維複合金属材料の作製
前述の(a)実施例1〜5で得られた未架橋サンプル(炭素繊維複合材料)を容器(炉)内に配置させ、アルミニウム塊(地金)をその上に置き、不活性ガス(窒素)雰囲気中でアルミニウムの融点まで加熱した。アルミニウム塊は溶融し、アルミニウム溶湯となり、未架橋サンプルのエラストマーと置換するように金属溶湯が浸透した。アルミニウムの溶湯を浸透させた後、これを自然放冷して凝固させ、炭素繊維複合金属材料を得た。
なお、実施例1〜5の発泡剤としては、アゾジカルボンアミドを用いた。カーボンナノファイバーは、直径(繊維径)が約10〜20nmのものを用いた。
(2)パルス法NMRを用いた測定
各未架橋サンプルおよび架橋サンプルについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は150℃であった。この測定によって、原料エラストマー単体、複合材料の未架橋サンプル及び架橋サンプルの第1スピン−スピン緩和時間(T2n)と、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)と、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)と、を求めた。なお、原料エラストマー単体については、測定温度が30℃の場合における原料エラストマー単体の第1スピン−スピン緩和時間(T2n)についても求めた。複合材料の架橋サンプルについては、カーボンナノファイバー1体積%あたりに換算したスピン−格子緩和時間変化量(ΔT1)を求めた。測定結果を表1に示す。実施例1の未架橋サンプルの第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は4500(μsec)、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.127であった。実施例1の架橋サンプルの第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は3400(μsec)、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.045であった。実施例2〜5における第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は、検出されなかった。従って、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、0(ゼロ)であった。
(3)E’(動的粘弾性率)、TB(引張強度)およびEB(切断伸び)の測定
複合材料の架橋サンプルについて、E’、TBおよびEBをJIS K 6521−1993によって測定した。これらの結果を表1に示す。
(4)流動温度の測定
原料エラストマー単体および複合材料の架橋サンプルについて、動的粘弾性測定(JIS K 6394)によって流動温度を測定した。具体的には、流動温度は、幅5mm、長さ40mm、厚み1mmのサンプルに正弦振動(±0.1%以下)を与え、これによって発生する応力と位相差δを測定して求めた。このとき、温度は、−70℃から2℃/分の昇温速度で150℃まで変化させた。その結果を表1に示す。なお、表1において、150℃までサンプルの流動現象がみられない場合を「150℃以上」と記載した。
Figure 2005179120
表1から、本発明の実施例1〜5によれば、以下のことが確認された。すなわち、発泡剤及びカーボンナノファイバーを含む未架橋サンプルの炭素繊維複合材料及びその架橋サンプルの炭素繊維複合材料における150℃でのスピン−スピン緩和時間(T2nおよびT2nn/150℃)は、発泡剤及びカーボンナノファイバーを含まない原料エラストマーの場合に比べて短い。また、発泡剤及びカーボンナノファイバーを含む未架橋サンプル(炭素繊維複合材料)及びその架橋サンプル(炭素繊維複合材料)における成分分率(fnn/150℃)は、発泡剤及びカーボンナノファイバーを含まない原料エラストマーの場合に比べて小さい。またさらに、発泡剤及びカーボンナノファイバーを含む未架橋サンプル(炭素繊維複合材料)及びその架橋サンプル(炭素繊維複合材料)におけるスピン−格子緩和時間(T1)は、発泡剤及びカーボンナノファイバーを含まない原料エラストマーの場合に比べて変化量(ΔT1)低くい。これらのことから、実施例にかかる炭素繊維複合材料では、カーボンナノファイバーが良く分散されていることがわかる。
このことは、実施例1と比較例2とを比較することによりよくわかる。すなわち、カーボンナノファイバーを含まない比較例2では、未架橋サンプルのスピン−スピン緩和時間(T2nおよびT2nn/150℃)は原料エラストマー単体の場合に比べてあまり差がない。これに対し、本発明の実施例1では、未架橋サンプル(炭素繊維複合材料)のスピン−スピン緩和時間(T2nおよびT2nn/150℃)は原料エラストマー単体の場合に比べてかなり短くなっていることが確認された。また、成分分率(fnn/150℃)についても同様のことが確認された。
架橋サンプル(炭素繊維複合材料)については、原料エラストマー単体に比べてスピン−スピン緩和時間(T2nおよびT2nn/150℃)は短くなっていることが確認された。また、成分分率(fnn/150℃)についても同様のことが確認された。また、カーボンナノファイバー1体積%あたりに換算したスピン−格子緩和時間変化量(ΔT1)は、いずれも原料エラストマー単体に比べて低くなっていることが確認された。
また、架橋サンプルを用いたE’、TBおよびEBの結果から、カーボンナノファイバーを含むことにより、本発明の実施例1〜5によれば、切断伸びを維持しながら動的粘弾性率および引張強度が向上し、カーボンナノファイバーにより補強効果が得られることが確認された。このことは、実施例1〜5と比較例1、2とを比較することによりよくわかる。
さらに、発泡剤及びカーボンナノファイバーを含む炭素繊維複合材料(未架橋サンプル)における流動温度は、原料エラストマー単体の場合に比べて20℃以上高いことから、動的粘弾性の温度依存性が小さく、優れた耐熱性を有することがわかる。
また、実施例1〜5の炭素繊維複合金属材料(アルミニウムがマトリックス)を顕微鏡観察した結果、金属顕微鏡における金属成形状態の観察では、ボイドがほとんど観察されず良好(表1の丸印)であり、電子顕微鏡(SEM)におけるカーボンナノファイバーの分散状態の観察では、カーボンナノファイバーの凝集はほとんど観察されず良好(表1の丸印)であった。なお、比較例1及び2においては、カーボンナノファイバーを含まず、鋳造もしていないため、顕微鏡観察を行っていない(表1の横棒)。
以上のことから、本発明によれば、一般に基材への分散が非常に難しいカーボンナノファイバーがエラストマーに均一に分散されることが明かとなった。また、発泡剤をエラストマーに混合させても、炭素繊維複合金属材料中にボイドはなく、全体にカーボンナノファイバーを十分に分散させることができることが明らかとなった。
本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーとカーボンナノファイバーとの混練法を模式的に示す図である。 非加圧浸透法によって炭素繊維複合金属材料を製造する装置の概略構成図である。 非加圧浸透法によって炭素繊維複合金属材料を製造する装置の概略構成図である。
符号の説明
1 容器
2 減圧手段
3 注入手段
4 炭素繊維複合材料
5 アルミニウム塊
6 炭素繊維複合金属材料
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
40 カーボンナノファイバー
50 発泡剤
60 空孔

Claims (31)

  1. エラストマーと、該エラストマーに分散された、発泡剤とカーボンナノファイバーと、を含み、
    前記エラストマーは、前記カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有する、炭素繊維複合材料。
  2. 請求項1において、
    前記炭素繊維複合材料を前記発泡剤の発泡温度以上に加熱し、前記発泡剤を発泡させることで形成された多数の空孔を有する、炭素繊維複合材料。
  3. 請求項1または2において、
    前記エラストマーは、分子量が5000ないし500万である、炭素繊維複合材料。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつを有する、炭素繊維複合材料。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒である、炭素繊維複合材料。
  6. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒である、炭素繊維複合材料。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmである、炭素繊維複合材料。
  8. 請求項1ないし7のいずれかの炭素繊維複合材料を金属溶湯に混入して鋳造した炭素繊維複合金属材料。
  9. 請求項1ないし7のいずれかの炭素繊維複合材料に金属溶湯を浸透させ、前記エラストマーを前記金属と置換した炭素繊維複合金属材料。
  10. カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するエラストマーと、発泡剤と、を混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(x)と、
    前記エラストマーと、前記カーボンナノファイバーと、を混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(y)と、
    を含む、炭素繊維複合材料の製造方法。
  11. 請求項10において、
    前記工程(y)は、前記工程(x)と同時に行う、炭素繊維複合材料の製造方法。
  12. 請求項10において、
    前記工程(y)は、前記工程(x)の後に行う、炭素繊維複合材料の製造方法。
  13. 請求項10において、
    前記工程(x)は、前記工程(y)の後に行う、炭素繊維複合材料の製造方法。
  14. 請求項10ないし13のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、分子量が5000ないし500万である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  15. 請求項10ないし14のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつを有する、炭素繊維複合材料の製造方法。
  16. 請求項10ないし15のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  17. 請求項10ないし16のいずれかにおいて、
    前記エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  18. 請求項10ないし17のいずれかにおいて、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmである、炭素繊維複合材料の製造方法。
  19. 請求項10ないし18のいずれかにおいて、
    前記工程(y)は、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いて行われる、炭素繊維複合材料の製造方法。
  20. 請求項19において、
    前記オープンロール法は、2本のロールの表面速度比が1.05ないし3.00である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  21. 請求項10ないし18のいずれかにおいて、
    前記工程(y)は、ロータ間隙が1mm以下の密閉式混練法によって行われる、炭素繊維複合材料の製造方法。
  22. 請求項10ないし18のいずれかにおいて、
    前記工程(y)は、スクリュー間隙が0.3mm以下の多軸押出し混練法によって行われる、炭素繊維複合材料の製造方法。
  23. 請求項10ないし22のいずれかにおいて、
    前記工程(x)及び前記工程(y)は、前記発泡剤の発泡温度以下で行われる、炭素繊維複合材料の製造方法。
  24. 請求項10ないし23のいずれかにおいて、
    前記工程(y)は、0ないし50℃で行われる、炭素繊維複合材料の製造方法。
  25. 請求項10ないし24のいずれかで得られた前記炭素繊維複合材料を、前記発泡剤の発泡温度以上に加熱して発泡させる発泡工程をさらに含む、炭素繊維複合材料の製造方法。
  26. 請求項25によって得られた炭素繊維複合材料を、金属溶湯に混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造する工程を有する、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  27. 請求項25によって得られた炭素繊維複合材料に、金属溶湯を浸透させて前記エラストマーを前記金属溶湯と置換する浸透工程を有する、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  28. エラストマーと、該エラストマーに分散された、発泡剤とカーボンナノファイバーと、を含む炭素繊維複合材料を、前記発泡剤の発泡温度以上に加熱して発泡させる発泡工程と、
    発泡させた前記炭素繊維複合材料を、金属溶湯に混入して所望の形状を有する鋳型内で鋳造する工程と、
    を有する、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  29. エラストマーと、該エラストマーに分散された、発泡剤とカーボンナノファイバーと、を含む炭素繊維複合材料を、前記発泡剤の発泡温度以上に加熱して発泡させる発泡工程と、
    発泡させた前記炭素繊維複合材料に、金属溶湯を浸透させて前記エラストマーを前記金属溶湯と置換する浸透工程と、
    を有する、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  30. 請求項29において、
    前記浸透工程は、前記炭素繊維複合材料の上方に金属塊を配置する工程と、
    前記金属塊を加熱し溶融させることで金属溶湯とするとともに、前記炭素繊維複合材料中の前記エラストマーを気化させ、前記金属溶湯を浸透させて該エラストマーと置換する工程と、
    を有する、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
  31. 請求項26ないし30のいずれかにおいて、
    前記金属溶湯は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、炭素繊維複合金属材料の製造方法。
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