JP4003635B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内を快適な温度に自動制御する、いわゆるオートエアコン機能を持つ車両用空調装置に関し、特に、環境条件で分けられた領域毎に設定温度を記憶し、乗員の設定温度変更操作を学習する車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の学習制御を行う車両用空調装置として特開平8−197933号公報に記載されたものがある。この従来装置は、内気温度や外気温度等の環境条件によって分けられた領域毎に設定温度を記憶し、乗員が設定温度の変更操作をした場合、変更操作時の環境条件に対応する領域の設定温度を補正すると共に、その周りの領域の設定温度も補正するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来装置では、ある領域で設定温度の変更操作をした場合、その周りの領域の設定温度も補正するため、乗員が満足していた領域の設定温度を変えてしまう場合がある。
【0004】
例えば、ある領域では設定温度25℃で満足していたが、外気温度が変わって隣の領域に移ったときに、もう少し涼しくしたいと思って設定温度を24℃に変えた場合を考える。この場合、現在の領域の設定温度を24℃に補正し、その周りの領域の設定温度も補正するため、以前25℃で満足していた領域の値を25℃でない別の値に変えてしまい、この別の値に変えられた領域に戻ったときに乗員の好みと異なる制御が行われてしまうという問題があった。
【0005】
また、初期状態、すなわち全ての領域に例えば25℃という予め決められた設定温度が記憶されている状態から使用し、ある領域で設定温度を24℃に設定しても、その24℃に補正されて学習済みとなった領域から、設定温度の補正が行われていない未学習領域に領域が変わった場合は、初期値の25℃に戻ってしまうため、未学習領域に移るたびに設定温度の変更操作が必要になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、設定温度に基づいて自動制御を行う車両用空調装置において、乗員の好みに合う設定温度学習を行い、快適な空調制御を実現可能にすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、環境条件の値によって分けられた領域毎に車室内の設定温度を記憶する記憶手段(31)と、乗員の操作により設定温度を設定する温度設定手段(38)とを備え、温度設定手段(38)が操作されたときに、領域のうち操作時の環境条件の値に対応する操作領域の設定温度を補正し、領域のうち現在の環境条件の値に対応する現在領域の設定温度に基づいて車室内の空調制御を行う車両用空調装置において、環境条件の変化により他の領域に移動したときに、移動先領域が学習済みの場合は、移動先の領域の設定温度の補正を禁止し、移動先領域が未学習の場合は、移動先領域の設定温度を、移動前領域の設定温度と同じ値に補正することを特徴とする。
【0010】
これによると、移動先領域が、すでに乗員の好みが反映されている学習済領域である場合、その移動先領域の設定温度の補正を禁止することにより、乗員の好みにあった制御を行うことができる。また、移動先領域が未学習の場合は、移動先領域の設定温度を、移動前領域の設定温度と同じ値に補正することにより、未学習領域に移るたびに設定温度の変更操作をしなくても、乗員の好みにあった制御を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、環境条件の値によって分けられた領域毎に車室内の設定温度を記憶する記憶手段(31)と、乗員の操作により設定温度を設定する温度設定手段(38)とを備え、温度設定手段(38)が操作されたときに、領域のうち操作時の環境条件の値に対応する操作領域の設定温度を補正し、領域のうち現在の環境条件の値に対応する現在領域の設定温度に基づいて車室内の空調制御を行う車両用空調装置において、領域の学習状態を、温度設定手段(38)の操作により設定温度が補正された操作学習済状態と、温度設定手段(38)の操作による設定温度の補正が無く、且つ空調制御に使用された使用学習済状態と、空調制御に使用されていない未学習状態、とに分類し、環境条件の変化により他の領域に移動したときに、移動先領域が操作学習済状態の場合は、移動先領域の設定温度の補正を禁止し、移動先領域が使用学習済状態の場合は、移動先領域の設定温度を、移動前領域の設定温度と移動先領域の設定温度との間の値に補正し、移動先領域が未学習状態の場合は、移動先領域の設定温度を、移動前領域の設定温度と同じ値に補正することを特徴とする。
【0012】
ところで、ある領域の設定温度に基づいて空調制御を行っている際に、設定温度の変更操作がなされない場合、その領域の設定温度は乗員の好みにあっているものと推定される。従って、設定温度の変更操作がなされなくても一度使用した領域を使用学習済状態とし、移動先領域が使用学習済状態である場合、その移動先領域の設定温度を移動前領域の設定温度と移動先領域の設定温度との間の値に補正することにより、乗員の好みにあった制御を行うことができる。また、移動先領域が操作学習済状態である場合、その移動先領域の設定温度の補正を禁止することにより、乗員の好みにあった制御を行うことができる。さらに、移動先領域が未学習状態の場合は、移動先領域の設定温度を移動前領域の設定温度と同じ値に補正することにより、未学習領域に移るたびに設定温度の変更操作をしなくても、乗員の好みにあった制御を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、環境条件の値によって分けられた領域毎に車室内の設定温度を記憶する記憶手段(31)と、乗員の操作により設定温度を設定する温度設定手段(38)とを備え、温度設定手段(38)が操作されたときに、領域のうち操作時の環境条件の値に対応する操作領域の設定温度を補正するとともに、領域のうち操作領域の周りの周囲領域の設定温度を補正し、領域のうち現在の環境条件の値に対応する現在領域の設定温度に基づいて車室内の空調制御を行う車両用空調装置において、周囲領域が学習済の場合は、周囲領域の設定温度の補正を禁止し、周囲領域が未学習の場合は、周囲領域の設定温度を、操作領域の前記設定温度と同じ値に補正することを特徴とする
【0014】
これによると、周囲領域が、すでに乗員の好みが反映されている学習済領域である場合、その周囲領域の設定温度の補正を禁止することにより、環境条件が変わって周囲領域に移ったときに、乗員の好みにあった制御を行うことができる。また、周囲領域が未学習の場合は、周囲領域の設定温度を、操作領域の設定温度と同じ値に補正することにより、未学習領域に移るたびに設定温度の変更操作をしなくても、乗員の好みにあった制御を行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、環境条件の値によって分けられた領域毎に車室内の設定温度を記憶する記憶手段(31)と、乗員の操作により設定温度を設定する温度設定手段(38)とを備え、温度設定手段(38)が操作されたときに、領域のうち操作時の環境条件の値に対応する操作領域の設定温度を補正するとともに、領域のうち操作領域の周りの周囲領域の設定温度を補正し、領域のうち現在の環境条件の値に対応する現在領域の設定温度に基づいて車室内の空調制御を行う車両用空調装置において、領域の学習状態を、温度設定手段(38)の操作により設定温度が補正された操作学習済状態と、温度設定手段(38)の操作による設定温度の補正が無く、且つ空調制御に使用された使用学習済状態と、空調制御に使用されていない未学習状態、とに分類し、周囲領域が操作学習済状態の場合は、周囲領域の設定温度の補正を禁止し、周囲領域が使用学習済状態の場合は、周囲領域の設定温度を、操作領域の設定温度と周囲領域の設定温度との間の値に補正し、周囲領域が未学習状態の場合は、周囲領域の設定温度を、操作領域の設定温度と同じ値に補正することを特徴とする。
【0016】
これによると、周囲領域が操作学習済状態である場合、その周囲領域の設定温度の補正を禁止することにより、環境条件が変わって周囲領域に移ったときに、乗員の好みにあった制御を行うことができる。また、周囲領域が使用学習済状態である場合、その周囲領域の設定温度を操作領域の設定温度と周囲領域の設定温度との間の値に補正することにより、環境条件が変わって周囲領域に移ったときに、乗員の好みにあった制御を行うことができる。さらに、周囲領域が未学習状態の場合は、周囲領域の設定温度を操作領域の設定温度と同じ値に補正することにより、未学習領域に移るたびに設定温度の変更操作をしなくても、乗員の好みにあった制御を行うことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、乗員により空調設定状態の変更操作がなされた時に、その時の環境条件に対応付けて変更操作後の空調設定状態の情報を記憶すると共に、過去に乗員が経験していない環境条件に変わった時は、現在の空調設定状態を引き続き維持し、過去に乗員が経験している環境条件に変わった時は、過去に記憶した空調設定状態を再現する車両用空調装置であって、過去に乗員が経験していないと判断される環境条件とは、過去に乗員が経験した時間が所定時間未満である環境条件であることを特徴とする。
【0020】
乗員が快適か否かを判断するためには、同一の環境条件下で所定時間以上判断する時間が必要なため、この時間を経過しなかった場合は、操作されなかった場合でも未経験と判断し、現在の空調設定状態を維持する。これにより、過去に乗員が快適と感じていた空調設定状態は再現し、未経験の領域では、現在快適と感じている可能性が高い現在の設定を維持することにより、学習制御の誤作動による快適感の悪化を防止できる。
【0023】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の車両用空調装置において、予め登録した車両ユーザーとドライバーが一致しなかった場合は、予め登録した車両ユーザーとドライバーが一致した場合に比べて、所定時間を長くすることを特徴とする。
【0024】
これによると、車載機器の操作に不慣れな乗員の操作を学習しにくくすることで、変な制御になってしまうことを防止することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明では、車両用空調装置のコンピュータに、乗員により空調設定状態の変更操作がなされた時に、その時の環境条件に対応付けて変更操作後の空調設定状態の情報を記憶する手順と、過去に乗員が経験した時間が所定時間未満である環境条件に変わった時は、現在の空調設定状態を引き続き維持し、過去に乗員が経験している環境条件に変わった時は、過去に記憶した空調設定状態を再現する手順を実行させることを特徴とする。
【0028】
請求項7請求項5に対応するものであり、請求項5の作用効果を奏する車両用空調装置の作動制御を行うことができる。
【0029】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の全体システム構成を示すもので、車両用空調装置の室内ユニットを構成する空調ユニット10の空気流れ最上流側には外気導入口11aと内気導入口11bを有する内外気切替箱11が配置され、この内外気切替箱11内に内外気切替ドア12が回動自在に設置されている。
【0031】
この内外気切替ドア12は、外気導入口11aと内気導入口11bとの分岐点に配置され、アクチュエータ12aにより駆動されて、空調ユニット10に導入する空気を内気と外気に切り替えたり、あるいは内気と外気の混合割合を調整する。
【0032】
送風機13は内外気切替箱11内に空気を吸い込んで空調ユニット10の下流側に送風するものであり、ブロワモータ14と、その回転軸に連結された遠心式送風ファン15を有している。そして、この送風ファン15の下流にはエバポレータ16とヒータコア17が設けられている。
【0033】
エバポレータ16は冷却用熱交換器であって、図示しない車両エンジンにより駆動されるコンプレッサ等と結合されて冷凍サイクルを構成し、その内部の低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却する。また、ヒータコア17は加熱用熱交換器であって、図示しない車両エンジンの冷却水(温水)が内部を循環し、このエンジン冷却水を熱源として空気を加熱する。
【0034】
ヒータコア17の上流側には、吹出空気温度調整手段としてのエアミックスドア18が回動自在に設けられ、エアミックスドア18の開度はアクチュエータ18aにより駆動されて調節される。これによって、ヒータコア17を通過する空気とヒータコア17をバイパスする空気の割合とが調整され、車室内に吹き出す空気の温度が調整される。
【0035】
空調ユニット10の最下流には、デフロスタ(DEF)吹出口19を開閉するデフロスタドア20、フェイス(FACE)吹出口21を開閉するフェイスドア22、およびフット(FOOT)吹出口23を開閉するフットドア24が設けられている。
【0036】
これら各ドア20、22、24は吹出モード切替手段を構成するもので、アクチュエータ25により駆動されて各吹出口19、21、23を開閉することによって各種の吹出モード(フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモード等)が設定される。そして、各吹出モードに応じて開口した吹出口から、温度調整された空気が車室内へ吹き出される。
【0037】
空調制御装置30は制御手段および記憶手段としてのマイクロコンピュータ31を有し、マイクロコンピュータ31からの出力信号に基づいて、駆動回路32を介してブロワモータ14に印加されるブロワ電圧を調整してモータ回転数を調整することにより、送風量が制御される。なお、その他のアクチュエータ12a、18a、25も、マイクロコンピュータ31からの出力信号に基づいて駆動回路32にて制御される。
【0038】
マイクロコンピュータ31は図示しない中央演算処理装置(CPU)、ROM、RAM、スタンバイRAM、I/Oポート、A/D変換部等を持ち、それ自体は周知のものである。
【0039】
スタンバイRAMは記憶手段を構成するもので、車両エンジンの運転を断続するイグニションスイッチ(以下、IGと記す)がオフの場合においても乗員の好みを学習した値を記憶(バックアップ)するためのRAMであり、IGがオフであっても車載バッテリーからIGを介さずに直接電力が供給される。また、マイクロコンピュータ31とバッテリーとの電気接続が遮断された状況でも短時間ならばマイクロコンピュータ31に電力を供給する図示しないバックアップ用の電源が設けられている。
【0040】
マイクロコンピュータ31には、車室内計器盤に設置された空調操作部33から操作信号が入力される。この空調操作部33には、空調装置の自動制御状態を設定するAUTOスイッチ34、内外気吸込モードを手動で切替設定するための内外気切替スイッチ35、吹出モードを手動で切替設定するための吹出モード切替スイッチ36、ファン15の送風量を手動で切替設定するための送風量切替スイッチ37、乗員の好みの車室内温度、すなわち設定温度を設定するための温度設定スイッチ38等が設けられている。
【0041】
温度設定スイッチ38は、具体的には、設定温度アップスイッチ38aと設定温度ダウンスイッチ38bからなり、設定温度アップスイッチ38aは1回押されるごとに設定温度を0.5℃上げる信号を出力し、設定温度ダウンスイッチ38bは1回押されるごとに設定温度を0.5℃下げる信号を出力する。ここで、温度設定スイッチ38は、乗員の操作により設定温度を設定する温度設定手段に相当する。
【0042】
また、マイクロコンピュータ31には、車室内の空調状態に影響を及ぼす環境条件を検出する各種センサからの信号が入力される。具体的には、車室内の空気温度(内気温度)TRを検出する内気温センサ39、車室外の空気温度(外気温度)TAMを検出する外気温センサ40、車室内に入射する日射量TSを検出する日射センサ41等からの各信号が、それぞれのレベル変換回路42を介してマイクロコンピュータ31に入力され、これらはマイクロコンピュータ31においてA/D変換されて読み込まれる。また、温度設定スイッチ38からの信号もレベル変換回路42でレベル変換されてマイクロコンピュータ31に入力される。
【0043】
図2はマイクロコンピュータ31により実行される制御の全体のフローチャートであり、IGオンとともに図2の制御をスタートする。まず、ステップS10にて各種変換、フラグ等の初期値を設定する。次のステップS20では空調操作部33の各種スィッチ34〜38の状態を入力すると共に、各種センサ39〜41からのセンサ信号により環境条件を入力する。
【0044】
次のステップS30では、ステップS20で入力した環境条件信号および設定温度スイッチ38の信号と、スタンバイRAMに記憶されている設定温度マップから、設定温度TSETを算出(学習)する。設定温度の学習方法については後で詳細に説明する。
【0045】
次のステップS40では、ステップS20で読み込んだ環境条件信号、およびステップS30で算出した設定温度TSETに基づいて、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを下記の数式1により算出する。なお、TAOは環境条件(熱負荷条件)の変化にかかわらず車室内を設定温度TSETに維持するために必要な吹出空気温度である。
【0046】
【数1】
TAO=KSET×TSET−KR×TR−KAM×TAM−KS×TS+C但し、KSET、KR、KAM、KSは係数、Cは定数であり、TSET、TR、TAM、TSはそれぞれ上記した設定温度、内気温度、外気温度、日射量である。
【0047】
次に、ステップS50に進み、TAOに対するエアミックスドア18の開度を演算し、この演算した開度となるようにアクチュエータ18aを制御し、各吹出口19、21、23から車室内へ吹き出される空気の温度を調整する。
【0048】
次に、ステップS60に進み、送風量を決めるブロワ電圧を演算し、この演算したブロワ電圧になるようにブロアモータ14への印可電圧を調整して、車室内へ吹き出される送風量を制御する。
【0049】
次に、ステップS70に進み、内外気の導入割合を演算し、この演算した導入割合となるように、アクチュエータ12aを制御して内外気切換ドア12を所定位置に駆動する。
【0050】
次に、ステップS80に進み、吹出モードを演算し、この演算した吹出モードとなるように、アクチュエータ25を制御して吹出モード設定用の各ドア20、22、24を所定位置に駆動する。
【0051】
次に、ステップS90に進み、コンプレッサの制御を行なう。ステップS90の処理後、ステップS20に戻り、上記処理を繰り返す。
【0052】
次に、設定温度の学習方法について説明する。図3は設定温度学習に関するフローチャートであり、図2のステップS30の具体的処理を示すものである。
【0053】
図3において、ステップS110では、乗員が温度設定スイッチ38を操作する設定温度変更操作があったかどうかを判定する。設定温度変更操作があった場合にはステップS120へ進み、スタンバイRAMに記憶されている設定温度マップの設定温度の値を補正する。なお、設定温度マップは、図4に示すように、環境条件の値、すなわち日射量および外気温度の値によって分けられた領域毎に設定温度が記憶されている。
【0054】
そして、ステップS120では、設定温度アップスイッチ38aが1回押された場合は、前回出力設定温度に0.5℃を加算した値を、現在の環境条件に対応する領域(以下、現在使用領域という)の設定温度として学習し、設定温度ダウンスイッチ38bが1回押された場合は、前回出力設定温度に0.5℃を減算した値を現在使用領域の設定温度として学習する。
【0055】
設定温度変更操作がなく、ステップS110でN0と判定されるとステップS130へ進み、現在使用領域が未学習かどうかを判定する。未学習の場合にはステップS140に進み、前回出力設定温度を現在使用領域の設定温度として学習する。
【0056】
現在使用領域がすでに学習済みの場合にはステップS130からステップS150に進む。すなわち、現在使用領域がすでに学習済みの場合には、学習後の設定温度を優先するため学習はしない。
【0057】
ステップS150では、現在の環境条件に対応した設定温度を設定温度マップから算出し、ステップS150の処理後図2のステップS40へ進む。
【0058】
上記の学習方法について、図3と共に、図4ないし図7を用いてさらに説明する。図4ないし図7は、スタンバイRAMに記憶されている設定温度マップを示しており、日射量および外気温度の値によって分けられた領域毎に設定温度が記憶されている。
【0059】
なお、図4ないし図7中の上段の数値は記憶された設定温度である。また、それぞれの領域にはその領域が学習済みであるかどうかのフラグをもっており、図4ないし図7中の()内の未は未学習、済は学習済みを意味している。
【0060】
図4は、設定温度マップの初期状態を示しており、全ての領域に25℃という予め決められた設定温度、すなわち初期値が記憶されている。
【0061】
図4の初期状態からスタートして設定温度変更操作をせずに領域が変わった場合を、図5を用いて説明する。現在の日射量がS3、外気温度がA3で、設定温度マップ内での現在の領域が(S3、A3)とする。初期値からスタートし、設定温度変更操作がないので、ステップS130で未学習と判定され、ステップS140に進み、この領域(S3、A3)の設定温度を25℃で学習する。
【0062】
ここで、ある領域の設定温度に基づいて空調制御を行っている際に、設定温度変更操作がなされない場合、その領域の設定温度は乗員の好みにあっているものと推定されるため、設定温度の変更操作がなされなくても空調制御に一度使用した領域、本例では領域(S3、A3)を学習済みとする。
【0063】
日射量が変化して領域が(S2、A3)に移動すると、ここでもステップS130で未学習と判定され、ステップS140に進み、この領域(S2、A3)の設定温度を、移動前の領域(S3、A3)の設定温度、すなわち、前回の出力設定温度である25℃で学習する。
【0064】
次に、環境条件が変化して領域が変わったときに、移動先の領域が学習済みの場合を、図6を用いて説明する。領域(S3、A3)のみが24℃で学習済、他の領域は初期値のままの状態で、現在の領域が(S3、A2)からスタートしたとする。この場合、(S3、A2)は未学習のため、ステップS130からステップS140に進み、この領域(S3、A2)の設定温度を25℃で学習する。
【0065】
外気温が変わって領域が(S3、A3)に移動すると、この領域はすでに24℃で学習済みのため、ステップS130で学習済みと判断され、学習はされない。さらに日射量が変わり、領域(S2、A3)に移動したとする。この領域は未学習なのでステップS140に進み、領域(S2、A3)の設定温度を、移動前の領域(S3、A3)の設定温度24℃で学習する。
【0066】
次に、設定温度変更操作があった場合を図7を用いて説明する。現在の領域が(S4、A3)で、すべての領域が初期値からスタートしたものとする。まず、領域(S4、A3)は未学習なので、25℃で学習する。次に、日射量が変わって領域が(S3、A3)に移動すると、ステップS130で未学習と判定され、この領域(S3、A3)も25℃で学習する。
【0067】
そして、設定温度を24℃に変更する設定温度変更操作が、領域(S3、A3)の時に行われると、ステップS120にてこの領域(S3、A3)は24℃で再学習する。日射量が変わって領域が(S2、A3)に移動すると、この領域は未学習なので、ステップS130からステップS140に進み、領域(S2、A3)の設定温度を、移動前の領域(S3、A3)の設定温度24℃で学習する。
【0068】
本実施形態では、環境条件が変化して設定温度マップ内の領域が変わったときに、移動先の領域がすでに乗員の好みが反映されている学習済領域である場合、その移動先領域の設定温度の補正を禁止する、すなわち学習しないため、それまでの学習結果が変更されず、環境条件ごとに好みにあった学習が可能になる。
【0069】
また、ある領域の設定温度に基づいて空調制御を行っている際に、設定温度の変更操作がなされない場合、その領域の設定温度は乗員の好みにあっているものと推定される。そして、本実施形態では、設定温度の変更操作がなされなくても空調制御に一度使用した領域も学習済みとしているため、それまでの学習結果が変更されず、環境条件ごとに好みにあった学習が可能になる。
【0070】
また、環境条件が変化して学習済領域から未学習領域に移動したときに、移動先領域が未学習の場合は、移動先領域の設定温度を移動前領域の設定温度と同じ値に補正する、すなわち学習することにより、未学習領域に移るたびに設定温度の変更操作をしなくても、乗員の好みにあった制御を行うことができる。
【0071】
(第2実施形態)
第1実施形態では、設定温度変更操作がなされた場合、操作時の環境条件に対応する領域(以下、操作領域という)のみを学習するようにしたが、本実施形態は、操作領域の周りの領域(以下、周囲領域という)も同時に学習対象領域とすると共に、その際、周囲領域のうちすでに学習済みの領域は学習しないようにしたものである。
【0072】
このため、本実施形態では、第1実施形態の設定温度学習に関するフローチャート(図3参照)を図8のように変更している。因みに、図8は図3のステップS120の後にステップS121を付け加えたものである。そして、その他の点は第1実施形態と共通している。
【0073】
図8において、設定温度変更操作があった場合にはステップS110からステップS120へ進み、ステップS120では、操作領域のみを学習する。次にステップS121に進み、このステップS121では、周囲領域のうち未学習領域のみを学習する。
【0074】
本実施形態の学習方法について、図8と共に、図9を用いてさらに説明する。なお、図9はスタンバイRAMに記憶されている設定温度マップを示している。
【0075】
設定温度マップ内での現在の領域が(S3、A2)で、すべての領域が初期値からスタートしたものとする。まず、領域が(S3、A2)は未学習なので、25℃で学習する。次に、外気温度が変わって領域が(S3、A3)に移動すると、ステップS130で未学習と判定され、この領域(S3、A3)も25℃で学習する。
【0076】
そして、設定温度を24℃に変更する設定温度変更操作が、領域(S3、A3)の時に行われると、ステップS120にてこの操作領域(S3、A3)は24℃で再学習する。
【0077】
次に、ステップS121に進み、操作領域(S3、A3)の周りの8領域のうち、未学習領域のみを操作領域(S3、A3)と同じ24℃で学習する。すなわち、周りの8領域のうち、領域(S3、A2)はすでに25℃で学習済みのため、この学習済領域(S3、A2)の設定温度は変更しない。なお、ここでは、ステップS121での学習対象領域を8領域としているが、学習対象領域はもっと広くてもよい。
【0078】
このように、周囲領域のうち、空調制御に一度使用して満足していた領域はそれまでに学習していた値を優先する、すなわち満足していた領域は値を変化させないので、ある領域の操作によって周囲領域のそれまでの学習結果が変更されず、環境条件ごとに好みにあった学習が可能になる。
【0079】
(第3実施形態)
第2実施形態では、設定温度変更操作がなされた場合、周囲領域のうち、すでに学習済みの領域は学習しないようにしたが、本実施形態は、周囲領域について、設定温度変更操作により操作学習済状態となったのか、設定温度変更操作がなされなくても空調制御に一度使用したことにより使用学習済状態となったのかを分け、使用学習済状態の領域については学習するようにしたものである。
【0080】
このため、本実施形態では、第2実施形態の設定温度学習に関するフローチャート(図8参照)を図10のように変更している。因みに、図10は図8のステップS121の後にステップS122を付け加えたものである。そして、その他の点は第2実施形態と共通している。
【0081】
図10において、設定温度変更操作があった場合にはステップS110からステップS120へ進み、ステップS120では、操作領域のみを学習する。次にステップS121に進み、このステップS121では、ステップS120で学習した領域の周りの領域のうち、未学習領域のみを学習する。次にステップS122に進み、このステップS122では、操作領域の周りの学習済領域のうち、空調制御に一度使用したことにより使用学習済状態となった領域について学習する。
【0082】
本実施形態の学習方法について、図10と共に、図11を用いてさらに説明する。なお、図11は、スタンバイRAMに記憶されている設定温度マップを示している。
【0083】
設定温度マップ内での現在の領域が(S3、A2)で、すべての領域が初期値からスタートしたものとする。まず、領域(S3、A2)は未学習なので、25℃で学習する。次に、外気温度が変わって領域が(S3、A3)に移動すると、ステップS130で未学習と判定され、この領域(S3、A3)も25℃で学習する。
【0084】
そして、設定温度を24℃に変更する設定温度変更操作が、領域(S3、A3)の時に行われると、ステップS120にてこの操作領域(S3、A3)は24℃で再学習する。次に、ステップS121に進み、操作領域(S3、A3)の周りの8領域のうち、未学習領域のみを24℃で学習する。
【0085】
次に、ステップS122に進み、空調制御に一度使用したことにより使用学習済状態となった領域(S3、A2)について学習する。すなわち、この領域(S3、A2)はすでに25℃で学習済みだが、設定温度変更操作により操作学習済状態となったわけではないので、それまでの学習済みの値25℃と今回の操作後の値24℃との平均値24.5℃をこの領域(S3、A2)の値として再学習する。
【0086】
ここで、ステップS121およびステップS122での設定温度学習値の決め方をより一般的に書けば、下記の数式2のようになり、数式2のαの値を、周囲領域の学習状態に応じて変えることになる。
【0087】
【数2】
周囲領域設定温度学習値=操作領域設定温度×α+周囲領域設定温度×(1−α)
そして、周囲領域のうち操作学習済状態の領域ではα=0とし、それまでの学習結果を使う、すなわち再学習はしない。周囲領域のうち使用学習済状態の領域では0<α<1、例えばα=0.5とし、その領域の設定温度と操作領域の設定温度との加重平均値を学習値とする。周囲領域のうち未学習の領域ではα=1とし、操作領域の設定温度を学習値とする。
【0088】
(第4実施形態)
第1実施形態では、ある領域の設定温度に基づいて空調制御を行っている際に、設定温度変更操作がなされない場合、その領域の設定温度は乗員の好みにあっているものと推定して、設定温度の変更操作がなされなくても空調制御に一度使用した領域は学習済みとしたが、本実施形態では、同一の環境条件下で所定時間以上設定温度等の変更操作がなされないまま使用された場合に、その領域は学習済みとするようにしたものである。
【0089】
このため、本実施形態では、第1実施形態の設定温度学習に関するフローチャート(図3参照)を図12のように変更している。また、本実施形態では、設定温度マップの形式も変更されている。なお、その他の点は第1実施形態と共通している。
【0090】
図13は、スタンバイRAMに記憶されている多数の設定温度マップの一例を示すもので、この設定温度マップは外気温度Tamの範囲毎に用意され、内気温度Trおよび日射量TSの値によって分けられた領域毎に設定温度TSETが記憶されている。なお、設定温度TSETの初期値として17.5℃が設定されており、したがって、図13の設定温度マップ中、設定温度TSETが17.5℃となっている領域は未学習領域であり、設定温度TSETが17.5℃以外の領域は学習済み領域である。
【0091】
図12において、設定温度変更操作があった場合にはステップS110からステップS120へ進む。このステップS120では、現在の外気温度Tamで用いている設定温度マップの、現在の内気温度Trおよび日射量TSのマス(以下、現在のマスという)に、設定温度変更操作後の設定温度を学習済みとして記憶させる。
【0092】
次にステップS160に進み、このステップS160では、現在のマスに隣接するマスに学習済み以外のマス(未学習領域)が有るか否かを判定する。
【0093】
学習済み以外のマスが有る場合はステップS161に進み、このステップS161では、ドライバーの携帯電話と車両間の通信により、予め登録してある当該車両のユーザーが運転しているか否かを判定する。
【0094】
ドライバーとユーザーが一致している場合はステップS162に進み、このステップS162では、現在のマスに隣接する学習済み以外のマスに、現在の設定温度を学習済みとして記憶させる。
【0095】
そして、ドライバーとユーザーが一致しない場合は(ステップS161がNO)、ステップS162での設定温度の学習を行わないため、車載機器の操作に不慣れな乗員の操作で変な制御になってしまうことを防止することができる。
【0096】
一方、設定温度変更操作がない場合には(ステップS110がNO)、ステップS110からステップS170へ進む。このステップS170では、現在の設定温度と通常の設定温度(本例では25℃としている)との温度差の絶対値が所定値(本例では3℃としている)未満か否かを判定する。
【0097】
その温度差が所定値未満であればステップS171に進み、このステップS171では、現在のマスに、換言すると同一の環境条件下に、1分以上滞在しているか否かを判定する。
【0098】
現在のマスに1分以上滞在しておればステップS172に進み、現在のマスが学習済みでなければ(ステップS172がNO)、ステップS173に進み、このステップS173では、ドライバーの携帯電話と車両間の通信により、予め登録してある当該車両のユーザーが運転しているか否かを判定する。
【0099】
ドライバーとユーザーが一致している場合はステップS174に進み、このステップS174では、現在のマスに現在の設定温度を学習済みとして記憶させる。
【0100】
ステップS170がNOの場合、すなわち現在の設定温度と通常の設定温度との温度差が所定値以上であればステップS175に進み、このステップS175では、現在のマスに3分以上滞在しているか否かを判定する。現在のマスに3分以上滞在しておれば、ステップS172以下の処理を実行する。
【0101】
このように、現在の設定温度と通常の設定温度との温度差が所定値以上の場合は、現在のマスに滞在している時間が充分に長い場合にのみ学習を行うことにより、例えば走ってきた後のような極端な状況下では学習しないようにして、変な制御になってしまうことを防止することができる。
【0102】
また、乗員が快適か否かを判断するためには、同一の環境条件下で所定時間以上判断する時間が必要である。そこで、本実施形態では、ステップS171またはステップS175がNOの場合、すなわち、同一の環境条件下で設定温度変更操作がなされない状況が所定時間以上継続しなかった場合、現在のマスは未経験と判断し、学習をしないようにしている。したがって、その未経験と判断したマスの近傍で乗員による設定温度変更操作があった場合、ステップS162の処理により、未経験と判断したマスに現在の設定温度が学習済みとして記憶される。
【0103】
これにより、過去に乗員が快適と感じていた空調設定状態は再現し、乗員の好みの傾向を、乗員が操作したときの環境条件の周辺にも反映させることができ、あらゆる条件で乗員の好みに近い空調を行えるまでの、時間および、乗員の操作回数を低減できる。
【0104】
なお、温度設定スイッチ38等の空調設定用のスイッチを、車室内計器盤とステアリングとにそれぞれ設け、変更操作を学習に反映する度合を、計器盤の空調設定用スイッチを操作した時よりも、ステアリングの空調設定用スイッチを操作した時に大きくすることにより、通常、ドライバーより操作に慣れていない助手席側乗員の誤操作や極端な操作を学習に反映しにくくし、快適性の低下を抑えることができる。
【0105】
(第5実施形態)
本実施形態は、環境条件が変わった時、変化後の環境条件下で所定時間以上設定温度等の変更操作がなされないまま使用された場合に、その領域は学習済みとするようにしたものである。
【0106】
このため、本実施形態では、第1実施形態の設定温度学習に関するフローチャート(図3参照)を図14のように変更している。なお、本実施形態の設定温度マップの形式は第4実施形態と同じである。その他の点は第1実施形態と共通している。
【0107】
図14において、ステップS180では、現在の外気温度Tamで用いている設定温度マップの、現在の内気温度Trおよび日射量TSのマス(以下、現在のマスという)から、環境条件が変化して他のマスに移ったか否かを判定する。
【0108】
環境条件が変化して他のマスに移った場合にはステップS181へ進み、このステップS181では、現在の設定温度と通常の設定温度(本例では25℃としている)との温度差の絶対値が所定値(本例では3℃としている)未満か否かを判定する。
【0109】
その温度差が所定値未満であればステップS182に進み、このステップS182では、現在のマスに1分以上滞在しているか否かを判定する。現在のマスに1分以上滞在しておればステップS183に進み、現在のマスが学習済みでなければ(ステップS183がNO)、ステップS184に進む。
【0110】
ステップS184では、ドライバーの携帯電話と車両間の通信により、予め登録してある当該車両のユーザーが運転しているか否かを判定する。ドライバーとユーザーが一致している場合はステップS185に進み、このステップS185では、現在のマスに現在の設定温度を学習済みとして記憶させる。
【0111】
ステップS181がNOの場合、すなわち現在の設定温度と通常の設定温度との温度差が所定値以上であればステップS186に進み、このステップS186では、現在のマスに3分以上滞在しているか否かを判定する。現在のマスに3分以上滞在しておれば、ステップS183以下の処理を実行する。
【0112】
ところで、乗員が快適か否かを判断するためには、同一の環境条件下で所定時間以上判断する時間が必要である。そこで、本実施形態では、ステップS182またはステップS186がNOの場合、すなわち、環境条件が変わった時、変化後の環境条件下で設定温度変更操作がなされない状況が所定時間以上継続しなかった場合、現在のマスは未経験と判断し、現在の空調設定状態を維持する。これにより、過去に乗員が快適と感じていた空調設定状態は再現し、未経験のマスでは、現在快適と感じている可能性が高い現在の設定を維持することにより、学習制御の誤作動による快適感の悪化を防止できる。
【0113】
(第6実施形態)
第1実施形態では、移動先の領域が学習済みであった場合、設定温度変更操作により操作学習済になったか、設定温度変更操作がなされなくても空調制御に一度使用したことにより使用学習済になったかを区別しなかったが、第3実施形態のようにこれらを区別して学習するようにしてもよい。具体的には、下記の数式3のβの値をその領域の学習状態に応じて変える。
【0114】
【数3】
移動先設定温度学習値=移動前領域設定温度×β+移動先領域設定温度×(1−β)
そして、環境条件が変化してある領域から操作学習済みの領域に入ったときにはβ=0とし、それまでの学習結果を優先する、すなわち再学習はしない。使用学習済みの領域に入ったときには0<β<1とし、その移動先領域の設定温度の値と、その領域に移る前に使用していた設定温度との加重平均値で学習する。さらに、移動先領域設定温度が未学習の場合にはβ=1として、移動先設定温度は移動前領域の設定温度で学習する。
【0115】
(第7実施形態)
第2実施形態では、周囲領域のうち未学習領域は、操作領域と同じ値で学習するようにしたが、初期値と操作領域設定温度から演算(例えば、平均)してもよい。
【0116】
具体的には、第3実施形態の数式2で、周囲領域のうち操作学習済状態および使用学習済状態の領域ではα=0とし、それまでの学習結果を使う、すなわち再学習はしない。周囲領域のうち未学習の領域では0<α<1とし、その領域の設定温度と操作領域設定温度との加重平均値を学習値とする。
【0117】
(第8実施形態)
第1実施形態ないし第7実施形態では、設定温度変更操作がなされた場合、操作領域は最新の操作後の値で学習するようにしたが、それまでの操作から演算してもよい。例えば、それまでにその領域で操作された値の平均値を学習値とする。
【0118】
(第9実施形態)
第1実施形態ないし第8実施形態では、設定温度マップは、日射量および外気温度の値によって分けられた領域毎に設定温度を記憶するようにしたが、内気温度の値によって分けられた領域毎に設定温度を記憶するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体システム図である。
【図2】第1実施形態の空調自動制御の全体を示す流れ図である。
【図3】第1実施形態の要部の制御を示す流れ図である。
【図4】第1実施形態の設定温度マップの初期状態を示す図である。
【図5】第1実施形態の設定温度学習方法の説明に供する設定温度マップの図である。
【図6】第1実施形態の設定温度学習方法の説明に供する設定温度マップの図である。
【図7】第1実施形態の設定温度学習方法の説明に供する設定温度マップの図である。
【図8】第2実施形態の要部の制御を示す流れ図である。
【図9】第2実施形態の設定温度学習方法の説明に供する設定温度マップの図である。
【図10】第3実施形態の要部の制御を示す流れ図である。
【図11】第3実施形態の設定温度学習方法の説明に供する設定温度マップの図である。
【図12】第4実施形態の要部の制御を示す流れ図である。
【図13】第4実施形態の設定温度学習方法の説明に供する設定温度マップの図である。
【図14】第5実施形態の要部の制御を示す流れ図である。
【符号の説明】
31…記憶手段をなすマイクロコンピュータ、
38…温度設定手段をなす温度設定スイッチ。

Claims (7)

  1. 環境条件の値によって分けられた領域毎に車室内の設定温度を記憶する記憶手段(31)と、乗員の操作により前記設定温度を設定する温度設定手段(38)とを備え、
    前記温度設定手段(38)が操作されたときに、前記領域のうち操作時の前記環境条件の値に対応する操作領域の前記設定温度を補正し、
    前記領域のうち現在の前記環境条件の値に対応する現在領域の前記設定温度に基づいて前記車室内の空調制御を行う車両用空調装置において、
    前記環境条件の変化により他の領域に移動したときに、移動先領域が学習済みの場合は、前記移動先の領域の前記設定温度の補正を禁止し、
    前記移動先領域が未学習の場合は、前記移動先領域の前記設定温度を、移動前領域の前記設定温度と同じ値に補正することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 環境条件の値によって分けられた領域毎に車室内の設定温度を記憶する記憶手段(31)と、乗員の操作により前記設定温度を設定する温度設定手段(38)とを備え、
    前記温度設定手段(38)が操作されたときに、前記領域のうち操作時の前記環境条件の値に対応する操作領域の前記設定温度を補正し、
    前記領域のうち現在の前記環境条件の値に対応する現在領域の前記設定温度に基づいて前記車室内の空調制御を行う車両用空調装置において、
    前記領域の学習状態を、前記温度設定手段(38)の操作により前記設定温度が補正された操作学習済状態と、前記温度設定手段(38)の操作による前記設定温度の補正が無く、且つ前記空調制御に使用された使用学習済状態と、前記空調制御に使用されていない未学習状態、とに分類し、
    前記環境条件の変化により他の領域に移動したときに、移動先領域が前記操作学習済状態の場合は、前記移動先領域の前記設定温度の補正を禁止し、
    前記移動先領域が前記使用学習済状態の場合は、前記移動先領域の前記設定温度を、移動前領域の前記設定温度と前記移動先領域の前記設定温度との間の値に補正し、
    前記移動先領域が前記未学習状態の場合は、前記移動先領域の前記設定温度を、前記移動前領域の前記設定温度と同じ値に補正することを特徴とする車両用空調装置。
  3. 環境条件の値によって分けられた領域毎に車室内の設定温度を記憶する記憶手段(31)と、乗員の操作により前記設定温度を設定する温度設定手段(38)とを備え、
    前記温度設定手段(38)が操作されたときに、前記領域のうち操作時の前記環境条件の値に対応する操作領域の前記設定温度を補正するとともに、前記領域のうち前記操作領域の周りの周囲領域の前記設定温度を補正し、
    前記領域のうち現在の前記環境条件の値に対応する現在領域の前記設定温度に基づいて前記車室内の空調制御を行う車両用空調装置において、
    前記周囲領域が学習済の場合は、前記周囲領域の前記設定温度の補正を禁止し、
    前記周囲領域が未学習の場合は、前記周囲領域の前記設定温度を、前記操作領域の前記設定温度と同じ値に補正することを特徴とする車両用空調装置。
  4. 環境条件の値によって分けられた領域毎に車室内の設定温度を記憶する記憶手段(31)と、乗員の操作により前記設定温度を設定する温度設定手段(38)とを備え、
    前記温度設定手段(38)が操作されたときに、前記領域のうち操作時の前記環境条件の値に対応する操作領域の前記設定温度を補正するとともに、前記領域のうち前記操作領域の周りの周囲領域の前記設定温度を補正し、
    前記領域のうち現在の前記環境条件の値に対応する現在領域の前記設定温度に基づいて前記車室内の空調制御を行う車両用空調装置において、
    前記領域の学習状態を、前記温度設定手段(38)の操作により前記設定温度が補正された操作学習済状態と、前記温度設定手段(38)の操作による前記設定温度の補正が無く、且つ前記空調制御に使用された使用学習済状態と、前記空調制御に使用されていない未学習状態、とに分類し、
    前記周囲領域が前記操作学習済状態の場合は、前記周囲領域の前記設定温度の補正を禁止し、
    前記周囲領域が前記使用学習済状態の場合は、前記周囲領域の前記設定温度を、前記操作領域の前記設定温度と前記周囲領域の前記設定温度との間の値に補正し、
    前記周囲領域が前記未学習状態の場合は、前記周囲領域の前記設定温度を、前記操作領域の前記設定温度と同じ値に補正することを特徴とする車両用空調装置。
  5. 乗員により空調設定状態の変更操作がなされた時に、その時の環境条件に対応付けて変更操作後の空調設定状態の情報を記憶すると共に、
    過去に乗員が経験していない環境条件に変わった時は、現在の空調設定状態を引き続き維持し、過去に乗員が経験している環境条件に変わった時は、過去に記憶した空調設定状態を再現する車両用空調装置であって、
    前記過去に乗員が経験していないと判断される環境条件とは、過去に乗員が経験した時間が所定時間未満である環境条件であることを特徴とする車両用空調装置。
  6. 予め登録した車両ユーザーとドライバーが一致しなかった場合は、予め登録した車両ユーザーとドライバーが一致した場合に比べて、前記所定時間を長くすることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
  7. 車両用空調装置のコンピュータに、
    乗員により空調設定状態の変更操作がなされた時に、その時の環境条件に対応付けて変更操作後の空調設定状態の情報を記憶する手順と、
    過去に乗員が経験した時間が所定時間未満である環境条件に変わった時は、現在の空調設定状態を引き続き維持し、過去に乗員が経験している環境条件に変わった時は、過去に記憶した空調設定状態を再現する手順を実行させることを特徴とするプログラム。
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