JP5007954B2 - エアコン制御方法及びエアコン制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エアコン制御方法及びエアコン制御装置に関する。
IEEE Computer Graphics and Applications, January/February 1998, 60-73
近年普及している自動車用のオートエアコンでは、外気温センサ、日射量センサ及び内気温センサなど、多種類のセンサ入力を参照して、エアコン動作を車両環境に応じて適性に制御することが行なわれている。この場合、エアコン動作を決める出力設定値を、上記多数のセンサ入力値の組と結びつけるための制御仕様が必要である。従来多用されているエアコン制御形態の一つにTAO法がある。また、多変数入力/1出力の制御に適した方式としてこの他に知られているものにニューラルネットワークがある。
TAO法において制御仕様を定めるには、TAOを規定する制御固有の係数を車種毎に異なる値として決定する必要がある。しかし、TAOは、設定温度(TSET)、内気温(TR)、外気温(TAM)及び日射量(TS)の4つもの入力変数を自由度として有する多変数関数であり、これら変数を独立に変化させながら多数の係数(△T、C、E〜H)の適性値を探るのは、シミュレーションを導入しても相当の労力を要し、該TAOを用いた制御ロジックの開発にも時間を要することとなる。
また、ニューラルネットワークを用いた制御部は、入力数の増えると必要な素子数が幾何学的に増加する問題がある。また、種々の入力値の組み合わせに対して意図した入力結果が得られるようになるまで、複雑な学習処理を多数回繰り返さなければならず、開発リードタイムが非常に長くなってしまう欠点がある。さらに、学習処理の実施には高性能のコンピュータが必要であり、設備投資金額もかさむ難点がある。
本発明の課題は、複数入力一出力形態のエアコン制御において、取得の容易なモデル制御パターンを用意するだけで、簡単で開発工数の少ないアルゴリズムにより、任意の入力値に対し意図通りの出力結果が得られるエアコン制御方法と、これを実現するためのエアコン制御装置とを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の課題を解決するために、本発明のエアコン制御方法は、
外気温度ξ、日射量η及び吹出口温度βを含む必須入力変数群を参照して、エアコン吹出口を切り替えるための吹出口切替ダンパーの位置を示す出力変数αの値を演算し、その得られた出力変数値αに基づきエアコンの吹出口切替ダンパーの位置切替制御を行なうエアコン制御方法であって、
必須入力変数群は、外気温度ξ及び日射量ηを第一種入力変数とし、吹出口温度βを第二種入力変数として、第一種入力変数ξ,ηが張る部分入力平面上の予め定められたQ個(Q≧4)のモデル座標点毎に、二種入力変数βの値と出力変数αの値との関係を定めるモデル制御パターンを複数離散的に用意し、
必須入力変数群ξ,η,βの各入力値が与えられたとき、該入力値に含まれる第一種入力変数ξ,ηの部分入力平面上の座標点を実制御座標点として、該部分入力平面にて実制御座標点を内部に含む予め定められたモーフィング対象領域に存在するJ個(Q>J≧3)以上のモデル座標点を被モーフィング座標点として特定し、
第二種入力変数βと出力変数αとが張る制御パターン平面において、各被モーフィング座標点に対応するJ個のモデル制御パターンの形状を、部分入力平面における各被モーフィング座標点の実制御座標点までの距離に応じた重みにてモーフィングすることにより、実制御座標点に対応する合成制御パターンを作成し、
該合成制御パターンに基づいて、必須入力変数群ξ,η,βの入力値に対応する、吹出口切替ダンパー位置を示す出力変数値αを計算することを特徴とする。
また、本発明のエアコン制御装置は、
外気温度ξ、日射量η及び吹出口温度βを含む必須入力変数群を参照して、エアコン吹出口を切り替えるための吹出口切替ダンパーの位置を示す出力変数αの値を演算し、その得られた出力変数値αに基づきエアコンの吹出口切替ダンパーの位置切替制御を行なうエアコン制御装置であって、
必須入力変数群は、外気温度ξ及び日射量ηを第一種入力変数とし、吹出口温度βを第二種入力変数として、第一種入力変数ξ,ηが張る部分入力平面上の予め定められたQ個(Q≧4)のモデル座標点毎に離散的に用意された、二種入力変数βの値と出力変数αの値との関係を定める複数モデル制御パターンを記憶する制御特性情報記憶手段と、
必須入力変数群ξ,η,βの各入力値が与えられたとき、該入力値に含まれる第一種入力変数ξ,ηの部分入力平面上の座標点を実制御座標点として、該部分入力平面にて実制御座標点を内部に含む予め定められたモーフィング対象領域に存在するJ個(Q>J≧3)以上のモデル座標点を被モーフィング座標点として特定する被モーフィング座標点特定手段と、
第二種入力変数βと出力変数αとが張る制御パターン平面において、各被モーフィング座標点に対応するJ個のモデル制御パターンの形状を、部分入力平面における各被モーフィング座標点の実制御座標点までの距離に応じた重みにてモーフィングすることにより、実制御座標点に対応する合成制御パターンをする制御パターンモーフィング手段と、
該合成制御パターンに基づいて、必須入力変数群ξ,η,βの入力値に対応する、吹出口切替ダンパー位置を示す出力変数値αを計算する出力変数計算手段と、を有することを特徴とする。
上記本発明においては、エアコン制御に使用する必須入力変数群が、外気温度ξ、日射量η及び吹出口温度βを少なくとも含み、その変数を、出力変数α(吹出口切替ダンパー位置を示す)との関係をモデル制御パターンとして直接記述する第二種入力変数(吹出口温度β)と、そのモデル制御パターンをマッピングするための第一種入力変数(外気温度ξ及び日射量η)とに分離する。第一種入力変数ξ,ηが張る平面を部分入力平面(つまり、ξ−η平面)とする。また、第二種入力変数βと出力変数αとが張る空間を制御パターン平面とする。
そして、第一種入力変数ξ,ηの種々の値の組み合わせについて部分入力平面(ξ−η平面)上に、2以上のモデル座標点を定め、それらモデル座標点毎に固有の(つまり、第一種入力変数ξ,ηの個々の値の組み合わせ毎に、第二種入力変数βと出力変数αとの間の好ましい制御特性を反映した)モデル制御パターンをマッピングする形で用意する。そして、必須入力変数群ξ,η,βの現在値を取得したとき、これに含まれる第一種入力変数ξ,ηの値を抽出すれば、部分入力平面上にその座標点を実制御座標点としてプロットできる。そして、その実制御座標点を含む予め定められたモーフィング対象領域に存在する3個以上のモデル座標点を被モーフィング座標点として特定する。
第一種入力変数ξ,ηの現在値を表わす実制御座標点は刻々変化するものであり、一般には、これがどれかのモデル座標点と一致することは稀である。そこで、実制御座標点に近接した複数個のモデル座標点を被モーフィング座標点として選ぶ(その具体的な選び方は、モーフィング対象領域をどう設定するかに応じて異なる)。各モデル座標点には固有のモデル制御パターンが用意されている。個々のモデル制御パターンは、必須入力変数群のうち第一種入力変数の値をモデル座標点の座標値に固定したとき、残余の第二種入力変数の値に応じて出力変数をどのように変化させるかを記述する制御関数であるが、これを制御パターン平面上で眺めてみた場合、モデル座標点毎に固有の形状を有した図形として捉えることができる。
本発明者は、制御パターン(制御関数)を図形に概念変換して捉え、従来は画像処理分野に特化された技術であるモーフィング(例えば、非特許文献1)を敢えてエアコン制御の分野に導入することにより、実制御座標点について本来的には用意されていない制御パターンを簡単に取得できることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。すなわち、部分入力平面にて複数の被モーフィング座標点に対応して用意されたモデル制御パターンを、それぞれ制御パターン平面上での図形とみなすことにより、部分入力平面における各被モーフィング座標点の実制御座標点までの距離に応じた重みにて、画像合成処理の場合と全く同様にしてモーフィングできる。従来は、モーフィングにより合成された画像を視覚的に出力することだけが目的であったが、本発明においては、モーフィングにより合成されるのが制御パターンであり、モーフィングの結果物である合成制御パターンを、第二種入力変数βが与えられたときに出力変数αの値を決定するための制御関数として、エアコン制御処理に2次使用する点に最大の特徴がある。
そして、モーフィングにより得られた実制御座標点に対応する合成制御パターンは、純画像合成処理的な手法により得られたものであるにも拘わらず、制御技術的にも全く矛盾しないばかりか、第一種入力変数ξ,ηの値(モデル座標点の座標値)毎の、第二種入力変数βと出力変数αとの間の適正な制御特性を反映したものとして個々のモデル制御パターンが用意されている限り、合成制御パターンも実制御座標点における所望の制御特性を的確に反映したものとして取得できる。そして、複数入力一出力形態のエアコン制御であるにも拘わらず、開発工数の主体を占めるのは第一種入力変数ξ,ηの値(モデル座標点の座標値)の種々の組につき、第二種入力変数βと出力変数αとの関係を示すモデル制御パターンを、例えば実験的な手法により取得する処理を機械的に繰り返すことだけである。その取得したモデル制御パターンは機器にインストールするだけで直ちに実使用に供することができ、しかもモーフィングによる簡単で開発工数の少ない画像合成的なアルゴリズムにより、任意の入力値に対し意図通りの出力結果が得られるエアコン制御方法ならびに装置が実現する。
エアコンから吹き出される空調風が暖房として機能するか、冷房として機能するかは、吹出口温度βと外気温度ξとの相対関係によって決定される。すなわち、吹出口温度βが同じ値に設定されていても、冬期であれば外気温度ξは吹出口温度βよりも低くなり、空調風を暖房として利用するのが妥当である。一方、夏季であれば外気温度ξは吹出口温度βよりも高くなり、空調風を冷房として利用するのが妥当である。また、日射量ηについては、日差しが強ければ、冬期であれば外気温度が低くても車内温度が上昇しやすく、空調風を部分的に冷房として使用したほうが好ましい場合がある。逆に、日差しがほとんどない状況(特に夜間等)では、真夏でも直射日光を受けない分だけ冷房の効きがよくなり、同一吹出口温度では冷え性の女性等が寒さを訴える可能性があるので、空調風を部分的に暖房として使用したほうが好ましい場合がある。本発明においては、出力変数αが示す吹出口切替ダンパーの位置を、第二種入力変数をなす吹出口温度βに応じて適正化するために、その制御パターンを、第一種入力変数をなす外気温度ξ及び日射量ηの種々の値の組(つまり、モデル座標点)毎に用意されたモデル制御パターンのモーフィングにより的確かつ迅速に得ることができ、ひいては外気温度ξ及び日射量ηに応じた吹出口選定を的確に実施することができる。
健康上好ましい空調形態は、いわゆる「頭寒足熱」に原理に従うものであり、暖房は足元側から、冷房は頭(顔)側から行なうのがよい。この場合、吹出口切替ダンパーは、エアコン吹出口をフット側(暖房時)とフェイス側(冷房時)との間で切り替えるようにする。また、暖気は冷気よりも軽いので、空調風の上下の偏りを生じなくする観点においても合理的である。
この場合、モデル制御パターン及び合成制御パターンは、第二種入力変数をなす吹出口温度βと出力変数をなす吹出口切替ダンパーの位置αとが張る制御パターン平面上に描画可能な二次元線図パターンとすることができる。具体的には、該制御パターンは、吹出口温度βが予め定められた遷移温度域よりも低い側に外れるときフェイス側となり、遷移温度域よりも高い側に外れるときフット側となるように、吹出口切替ダンパーの位置αを規定するものである。このようにすると、モデル制御パターンのデータ取得工程は、第一種入力変数の組ξ,ηを任意の値に固定し、1個の第二種入力変数βの値を単純に変化させながら出力変数値αの適性値を見出す形に簡略化され、開発工数の更なる削減に寄与するとともに、線図パターンの合成で済むのでモーフィング計算のアルゴリズムも軽量化できる。
モデル制御パターンは、外気温度ξが高くなるほど、また、日射量ηが大きくなるほど、吹出口温度βの遷移温度域の中心温度θmが高温側となるように定めることができる。該中心温度θmは、吹出口がフェイス側(冷房側)からフット側(暖房側)へ切り替わる切替温度とみなすことができ、外気温度ξが高くなるほど、あるいは日射量ηが大きくなるほど、吹出口温度βの高温側までフェイス側(冷房側)からの吹出が継続されるようになり、高温域まで吹出風を冷房風として活用することができる。また、夜間等のように日射量ηが小さい場合は、中心温度θmが低温側へ推移する結果、吹出口温度βが比較的低い段階でフット側(暖房側)からの吹き出しが開始され、空調風を暖房として活用する上で好都合となる。なお、遷移温度域の幅をゼロとすること、すなわち、遷移温度域の上限温度と下限温度とを遷移温度点として一致させることも可能であり、この場合は、モデル制御パターンは、その遷移温度点で吹出口がフェイス側(冷房側)とフット側(暖房側)との間で不連続に切り替わることになる。
この場合、二次元線図パターンは、パターン起点からパターン終点に向けて配列する一定個数のハンドリング点により形状規定されるものとでき、全てのモデル座標点に対応する二次元線図パターンの各ハンドリング点同士が配列順位に従い一義的に対応付けることができる。そして、各被モーフィング座標点にかかる二次元線図パターンの各ハンドリング点の対応するもの同士をモーフィングすることにより合成ハンドリング点を生成し、それら合成ハンドリング点により合成制御パターンをなす二次元線図パターンを規定することができる。二次元線図パターンをハンドリング点の集合に還元することで、モーフィングの演算対象も限られた個数のハンドリング点とすることができ、モーフィング演算負荷を大幅に減ずることができる。そして、合成制御パターンも、モーフィングの結果として得られる合成ハンドリング点により簡単に得ることができる。
ハンドリング点により規定される二次元線図パターンの種別は、例えばペジェ曲線やBスプライン曲線などの曲線パターンとすることもできるが、ハンドリング点を順次直線連結して得られる折線状パターンとすることが、演算の簡略化により寄与できる。また、制御パターンを表わす二次元線図パターンにおいて、第二種入力変数に対する出力変数の変化勾配を、その屈曲点にて不連続に遷移させる制御を行ないたい場合、屈曲点を表わすハンドリング点が、モーフィング合成後においても、合成制御パターン中の対応する屈曲点を表わすハンドリング点として保存されるので、屈曲点位置の異なる複数の二次元線図パターンを幾何学的にブレンドしているにも拘わらず、屈曲点位置が不鮮明となることを防止することができる。
次に、被モーフィング座標点を簡単かつ的確に決定するには、モーフィング対象領域を以下のようにして定めておくと、モーフィングのアルゴリズムを簡略化することができる。すなわち、部分入力平面内にて隣接するモデル座標点を相互にフレーム連結することにより、各頂点をモデル座標点とする形で部分入力平面を隙間なく区画するよう複数の単位セルを配列形成する。そして、それら複数の単位セルのうち、実制御座標点を内包するものをモーフィング対象領域とし、該単位セルの頂点をなすモデル座標点を被モーフィング座標点として使用する。部分入力平面を予め上記のような単位セル(モーフィング対象領域)にて区切っておくことにより、実制御座標点がどの単位セルに属するかを判定することにより、その単位セルの頂点をなすモデル座標点を被モーフィング座標点として簡単に決定できる。
部分入力平面内に分散するモデル座標点を相互にフレーム連結することにより得られる単位セルの頂点数の最小値は3であり、該単位セル(シンプレックスという)は三角形となる。このような三角形はドローネ三角形と称される。このようなドローネ三角形を単位セルとして使用することで、実制御座標点に対する最近接のモデル座標点を用いて、最小限の数のモデル制御パターンをモーフィングすることにより合成制御パターンを得ることができ、処理の簡略化を測ることができる。
一方、上記の単位セルは、単位セルは、部分入力平面を張る各座標軸と各辺が平行に定められた長方形セルとして選ぶこともできる。該長方形セルは、シンプレックスであるドローネ三角形よりも多い頂点数の冗長頂点単位セルであり、これを採用することで、合成制御パターンの作成に関与するモデル制御パターンの数を増やす(冗長化する)ことができ、当該合成制御パターンに従う実制御座標点での制御内容の妥当性をより高めることができる。
また、冗長頂点単位セルの頂点、すなわちモデル座標点の全てをランダムに設定した場合は、モデル座標点1つに付き2個の座標成分が存在することから、モーフィング演算には2×(全頂点数)の座標値を独立変数として考慮しなければならない。しかし、上記のような長方形セルを採用すれば、長方形セルの各辺の長さ(2通り)が与えられれば、長方形セルの頂点をなす1つのモデル座標点の座標から、他のモデル座標点の座標を自動的に決定できる。従って、演算に考慮すべき独立変数の数は、2(座標成分数)+2(長方形セルの各辺の長さ)=4となり、モデル座標点の全てをランダムに設定する場合と比較して演算を大幅に簡略化できる。特に、冗長頂点単位セルをなす複数の長方形セルを互いに合同となるように定めておくと、長方形セルの各辺の長さを定数化できるので、演算においては、1個のモデル座標点の座標成分のみを変数として扱えばよく、演算に考慮すべき独立変数は4個で済むようになり、更なる演算の簡略化を図ることができる。
上記長方形セルの各頂点をなすモデル座標点と実制御座標点との幾何学的な関係に基づき、各モデル座標点に対応するモデル制御パターンを線形補間合成して合成制御パターンを得る場合は、次の手法を採用することにより、モーフィングアルゴリズムの大幅な簡略化を図ることができる。すなわち、長方形セルの実制御座標点を通って各辺と平行な2個の平面で切断する。これにより、長方形セルは、それぞれ実制御座標点を共有し、かつ長方形セルの頂点をなすモデル座標点を排他的に1個ずつ取り合う4個の部分長方形に区切られる。
そして、各部分長方形の長方形セルに対する相対体積を、当該部分長方形に含まれるモデル座標点の長方形セルの対角線方向反対側に位置するモデル座標点への重みとする形でモーフィングを行なう。この方法によれば、モーフィングの重み演算を各部分長方形の体積演算に転換することができ、例えば2点間線形補間によるモデル制御パターン合成を比較的少数回繰り返すだけで最終的な合成制御パターンを簡単に得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のエアコン制御装置の一例たるエアコン制御装置CAの全体構成を模式的に示すブロック図である。エアコン制御装置CAはダクト1を備え、該ダクト1には、車内空気を循環させるための内気吸い込み口13と、車外の空気を取込む外気吸い込み口14とが形成され、内外気切替ダンパー15によりいずれかが切替使用される。これら内気吸い込み口13ないし外気吸い込み口14からの空気は、ブロワモータ23により駆動されるブロワ16によってダクト1内に吸い込まれる。
ダクト1内は、吸い込まれた空気を冷却して冷気を発生させるためのエバポレータ17と、逆にこれを加熱して暖気を発生させるヒータコア2(エンジン冷却水の廃熱により発熱動作する)とが設けられている。そして、これら冷気と暖気とが、エアミックスダンパー3の角度位置に対応した比率にて混合され、吹出口4,5,6より吹き出される。このうち、フロントグラス曇り止め用のデフ吹出口4は、フロントグラスの内面下縁に対応するインパネ上方奥に、フェイス吹出口5はインパネの正面中央に、フット吹出口6はインパネ下面奥の搭乗者足元に対向する位置にそれぞれ開口し、吹出口切替用ダンパー7,8,9により個別に開閉される。具体的には、モータ20からのダンパー制御用の回転入力位相に応じて、ダンパー駆動ギア機構10により、フェイス吹出口5のみを開いた状態、フェイス吹出口5とフット吹出口6とを開いた状態、フット吹出口6のみを開いた状態、フット吹出口6とデフ吹出口4とを開いた状態、デフ吹出口4のみを開いた状態の間で切り替えられる。
また、内外気切替ダンパー15はモータ21により、エアミックスダンパー3はモータ19により、吹出口切替用ダンパー7,8,9はモータ20により、それぞれ電動駆動される。これらモータ19,20,21は例えばステッピングモータにて構成され、個々の動作はエアコン駆動制御手段の主体をなすエアコンECU170により集中制御される。さらにブロワモータ23はブラシレスモータ等で構成され、エアコンECU170により、PWM制御にて回転速度制御することにより吹き出し風量が調整される。エアコンECU170の実体はコンピュータハードウェアであり、エバポレータセンサ51、内気センサ55、外気センサ56、水温センサ57、日射センサ58及び吹出口温度センサ61が接続されている。外気センサ56は車外気温を測定するためのものであり、日射センサ58は車外の日射量を測定するためのものである。また、吹出口温度センサ61は、エアコン空調風の吹出温度を測定するためのものである。
また、車載エアコン用操作ユニット100も独立した操作ユニットECU160を有し、風量設定スイッチ52、吹出口切替スイッチ53、温度設定スイッチ54、A/Cスイッチ59、オート切替スイッチ103、内外気切替スイッチ60が接続されている。操作ユニットECU160はエアコンECU170と通信バス30(例えば、LIN通信バス等のシリアル通信バス)により接続されている。
操作ユニットECU160もコンピュータハードウェアであり、前述の風量設定スイッチ52、吹出口切替スイッチ53、温度設定スイッチ54D,54P、A/Cスイッチ59、オート切替スイッチ103、内外気切替スイッチ60、前述の第一表示装置41及び第二表示装置42が接続されている。風量設定スイッチ52、吹出口切替スイッチ53、温度設定スイッチ54D,54P、A/Cスイッチ59、オート切替スイッチ103あるいは内外気切替スイッチ60の各操作入力状態は、操作ユニットECU160から通信バス30を介してエアコンECU170に送られる。
具体的には、エアコンECU170は、操作ユニットECU160と連携して、内蔵のROM等に搭載されたエアコン制御ファームウェアの実行により、以下のような制御を行なう。
・内外気切替スイッチ60の操作入力状態に対応して、内気側及び外気側のいずれかに内外気切替用ダンパー15が倒れるよう、対応するモータ21の駆動ICに制御指令を行なう。
・A/Cスイッチ59の操作状態に応じて、エバポレータ17の作動をオン・オフさせる。
・オート切替スイッチ103の入力状態に基づいて、エアコンの動作モードをマニュアルモードとオートモードとの間で切り替える(モード切替手段)。
・オートモードでは、温度設定スイッチ54D,54Pによる設定温度の入力情報と、内気センサ55、外気センサ56、水温センサ57、日射センサ58及び吹出口温度センサ61の出力情報とを参照し、車内温度が設定温度に近づくよう、エアミックスダンパー3の開度調整による吹き出し温度調整と、ブロワモータ23による風量調整と、吹出口切替ダンパー7,8,9の位置変更とがなされるよう、対応するモータ19,23,20の動作制御指令を行なう。
・マニュアルモードでは、風量設定スイッチ52と吹出口切替スイッチ53との操作入力状態に対応して、ブロワモータ23による風量調整を行なうとともに、吹出口切替ダンパー7,8,9が対応する開閉状態となるようにモータ20への駆動制御指令を行なう。
吹出口切替ダンパーの位置切替制御に関し、上記のエアコン制御装置CAは、外気温度ξ、日射量η及び吹出口温度βを少なくとも含む必須入力変数群を参照して、エアコン吹出口4,5,6を切り替えるための吹出口切替ダンパー8,9の位置を示す出力変数αの値を演算し、その得られた出力変数値αに基づきエアコンの吹出口切替ダンパー8,9の位置切替制御を行なう。
前述のファームウェアは、次の機能実現手段をコンピュータ処理により実現するものである。
・制御特性情報記憶手段:必須入力変数群(外気温度ξ、日射量η及び吹出口温度β)の値に応じて出力変数(吹出口切替ダンパー8,9の位置α)の値を決定する制御特性情報として、第一種入力変数((外気温度ξ、日射量η)が張る部分入力平面MPS(ここでは、ξ−η平面)上の予め定められたQ個(Q≧4:図3Aに示すごとく、この実施形態ではQ=30の場合を例示している)のモデル座標点p毎に複数離散的に用意された、第二種入力変数(吹出口温度β)の値と出力変数(吹出口切替ダンパー8,9の位置α)の値との関係を定めるモデル制御パターンP(図3A)を記憶する。図1の制御データメモリ171がこれに相当する。
・被モーフィング座標点特定手段:必須入力変数群(外気温度ξ、日射量η及び吹出口温度β)の3次元入力値pxが与えられたとき、図5に示すごとく、該入力値pxに含まれる第一種入力変数(外気温度ξ、日射量η)の部分入力平面MPS(ξ−η平面)上の座標点を実制御座標点pxとして、該部分入力平面MPS(ξ−η平面)にて実制御座標点pxを含む予め定められたモーフィング対象領域DTに存在するJ個(Q>J≧3:ここでは、J=3であり、モーフィング対象領域DTはドローネ三角形である)のモデル座標点pを被モーフィング座標点pa,pb,pcとして特定する。
・制御パターンモーフィング手段:第二種入力変数(吹出口温度β)と出力変数(吹出口切替ダンパー8,9の位置α)とが張る制御パターン平面CPS(ここでは、β−α平面)において、各被モーフィング座標点pa,pb,pcに対応するJ個のモデル制御パターンPa,Pb,Pcの形状を、部分入力平面MPS(ξ−η平面)における各被モーフィング座標点pa,pb,pcの実制御座標点pxまでの距離に応じた重みにてモーフィングすることにより、実制御座標点pxに対応する合成制御パターンPxを作成する。
・出力変数計算手段:合成制御パターンPxに基づいて第二種入力変数(吹出口温度β)に対応する出力変数(吹出口切替ダンパー8,9の位置α)の値を計算する。
以下、エアコン制御装置CAの動作について、より詳細に説明する。図2に示すように、エアコンECU170は、出力変数たる吹出口切替ダンパー8,9の位置αの設定値を計算するために、図1の3つのセンサ、すなわち、外気センサ56、日射センサ58及び吹出口温度センサ61の検出値を読み込む。外気センサ56の検出値が外気温度ξとして取得され、日射センサ58の検出値が日射量ηとして取得される。また、吹出口温度センサ61の検出値が吹出口温度βとして取得される。
取得された外気温度ξと日射量ηとの組が部分入力平面MPS(ξ−η平面)上での実制御座標点pxを示す。他方、外気温度ξと日射量η(第一種入力変数)の種々の値の組が、モデル座標点pとして定められており、図3Aに示すように、制御データメモリ170には、各モデル座標点pi(ξi,ηi)毎にモデル制御パターンPi(≡P1〜P30)が格納されている。
図4に示すように、各モデル制御パターンPi(≡P1〜P30:図5)は、吹出口温度β(第二種入力変数)と吹出口切替ダンパー8,9の位置α(出力変数)とが張る制御パターン平面CPS(β−α平面)上にて描画可能な二次元線図パターンとされている。該制御パターンPiは、吹出口温度βが予め定められた遷移温度域Δθよりも低い側に外れるとき、つまり、遷移温度域Δθの下限温度をθ1、上限温度をθ2としてβ<θ1のとき、吹出口がフェイス(Face)側となり、遷移温度域θよりも高い側に外れるとき、つまりβ>θ2のとき、吹出口がフット(Foot)側となるように、吹出口切替ダンパー8,9の位置αを規定するものである。フェイス吹出口用ダンパー8と、フット吹出口用ダンパー9とはモータ20により互いに連動して開閉駆動され、図4右に示すように、出力変数αがゼロのとき、フェイス吹出口用ダンパー8が全閉となりフット吹出口用ダンパー9が全開となる。また、出力変数αが最大値αmaxのときフェイス吹出口用ダンパー8が全開となりフット吹出口用ダンパー9が全閉となる。また、αが中間値のとき、つまり、吹出口温度βが、図4の左に示す遷移温度域Δθ内に存在する場合は、図4右に示すダンパー開度特性に従い各ダンパー8,9はαの値に応じた中間の開度となり、各開度に応じた風量にてフェイス吹出口5とフット吹出口6との双方から空調風を吹き出すモードとなる。
図5に示すように、各モデル制御パターンP1〜P30は、外気温度ξが高くなるほど、また、日射量ηが大きくなるほど、吹出口温度βの遷移温度域Δθの中心温度θmが高温側となるように定められている。該中心温度θmは、吹出口がフェイス側(冷房側)からフット側(暖房側)へ切り替わる切替温度とみることができ、外気温度ξが高くなるほど、あるいは日射量ηが大きくなるほど、吹出口温度βの高温側までフェイス側(冷房側)からの吹出が継続されるようになり、高温域まで吹出風を冷房風として活用することができる。また、外気温度ξが低くなると、また、夜間等のように日射量ηが小さい場合は、中心温度θmが低温側へ推移する結果、吹出口温度βが比較的低い段階でフット側(暖房側)からの吹き出しが開始され、空調風を暖房として活用する上で好都合となる。なお、いずれの場合も、吹出口温度βが遷移温度域Δθ内に存在するときは、αはフェイス/フットの中間値となり、図4左の特性に従い、αの値に応じた比率で風量を振り分けた形で、フェイス吹出口5とフット吹出口6との双方から空調風は吹き出すモードとなる。
各モデル制御パターンは、図5に示すように、その起点から終点に向けて配列する一定個数(図では9個)のハンドリング点hiを有し、それらハンドリング点hiを順次直線連結して得られる折線状パターンとして定義されている。従って、制御パターンPは、それらハンドリング点hiのβ−α平面上での座標値の集合として一義的に規定することができ、各てのモデル制御パターンPiの各ハンドリング点h同士は、配列順位に従い一義的な対応関係を形成する。
図6に示すように、第一種入力変数である外気温度ξと日射量ηとが張る部分入力平面MPS(ξ−η平面)は、各モデル座標点を頂点とする形でドローネ三角形(シンプレックス)をなす単位セルDTにより隙間なく区画されている。このドローネ三角形を用いた具体的な制御の流れを図9のフローチャートに示す。まず、取得された外気温度ξと日射量ηとの組を座標成分とする実制御座標点pxが属している単位セルDTを特定する(S1)。そして、特定された単位セルDTの各頂点をなす3つのモデル座標点を被モーフィング座標点pa,pb,pcとして選択する(S2)。
そして、図6に示すように、被モーフィング座標点pa,pb,pcに対応する3個のモデル制御パターンPa,Pb,Pcを制御データメモリ170から読み出し(S3)、部分入力平面MPS(ξ−η平面)における各被モーフィング座標点pa,pb,pcの実制御座標点pxまでの距離に応じた重みにてモーフィングすることにより、実制御座標点pxに対応する合成制御パターンPxを作成する(S4)。この計算は、図1のモーフィング計算部172が行なう。
図7は、制御パターンの、ドローネ三角形を用いたポリモーフィングのアルゴリズムを概念的に示すものである。ここでは、ドローネ三角形の頂点に対応する3つの制御パターン図形P0,P1,P2を合成する場合を例にとっており、WijはPiからPjへのワープ関数で、Pi上の各点に対応するPj上の点を特定する。合成制御パターンPを生成するには、まずWijをPjの重心座標gjに適用してPi毎にWijを線形内挿し、中間ワープ関数Wiバーを導く。各Piは、隣接する2つのものが、Wiバーにより実制御座標点のpx重心座標G*に応じた重みで中間合成され、中間制御パターンPiバーを生成する。合成制御パターンPxは、Piバーの各点(具体的には、各ハンドリング点)を重心座標gjが示す重みにて線形結合して得られる。
図8は、これをさらに具体的に展開して示すものであり、ξ−η平面上にて、被モーフィング座標点pa,pb,pcをそれぞれ点A,B,Cとし、また、実制御座標点pxを点Xとする。三角形ABCの各頂点A,B,Cから、点Xを通って各辺と交差する直線を考え、各辺との交点をD,E,Fとすると、pxの重心座標G*の各成分は、図中のga,gb,gcとして式(1)により表わされる。図中の各点の座標値及び各線分の長さは周知の解析幾何学の手法により計算できるが、いずれも初等的であるため詳細な説明は略する。すると、3つの中間制御パターンPiバーは、図中のPd,Pe,Pfとして式(2)により計算できる。その結果、Pxはga,gb,gcを重みとするPd,Pe,Pfの線形結合として計算できる。
ここで、被モーフィング座標点pa,pb,pcに対応する各モデル制御パターンPa,Pb,Pcの実体は、前述のごとく、各々同じ数のハンドリング点を繋いで得られる折線状パターンであり、β−α平面上でのハンドリング点hiの座標値の集合と等価であるから、図8の式(2)のPa,Pb,Pcに、それぞれ対応するハンドリング点の座標値を代入すれば、中間制御パターンPd,Pe,Pfのハンドリング点の集合を得ることができ、さらに、これを(3)式に代入することにより、合成制御パターンPxのハンドリング点の集合を得ることができる。これを相互に繋ぐと最終的な合成制御パターンPxが得られる。そして、この合成制御パターンPx上にて、現在検出されている吹出口温度β(第二種入力変数)の値に対応する吹出口切替ダンパー8,9の位置αの値を読み取り、制御値として出力する(S5)。
次に、部分入力平面MPS(ξ−η平面)は、図10に示すように、ドローネ三角形(シンプレックス)よりも頂点数の多い冗長頂点単位セルDTにより区画することもできる。シンプレックスよりも多い頂点数の冗長頂点単位セルHCBを採用することで、合成制御パターンPxの作成に関与するモデル制御パターンPa,Pb,Pc,Pdの数を増やす(冗長化する:ここでは3→4)ことができ、当該合成制御パターンPxに従う実制御座標点pxでの制御内容の妥当性をより高めることができる。
本実施形態では、冗長頂点単位セルHCBは、頂点数4個の長方形セルHCBとして選んである。冗長頂点単位セルHCBの頂点、すなわちモデル座標点の全てをランダムに設定した場合は、モデル座標点1つに付き2個の座標成分が存在することから、モーフィング演算には2×(全頂点数)の座標値を独立変数として考慮しなければならない。しかし、上記のような長方形セルHCBを採用すれば、長方形セルHCBの各辺の長さ(M通り)が与えられれば、長方形セルHCBの頂点をなす1つのモデル座標点の座標から、他のモデル座標点の座標を自動的に決定できる。
図13に示すように、ξ−η平面(部分入力平面)の原点に最も近い長方形(長方形セル)HCBの頂点をなすモデル座標点paの座標を(ξa,ηa)とすれば、長方形セルHCBのξ軸方向の辺長をΔξ、η座標軸方向の辺長をΔηとして、残り3つの頂点をなすモデル座標点pb,pc,pdは、それぞれpb:(ξa+Δξ,ηa)、pc:(ξa,ηa+Δη)、pc:(ξa+Δξ,ηa+Δη)として表わすことができる。図10に示すように、冗長頂点単位セルをなす複数の長方形セルHCBが全て合同となるように定めた場合(つまり、各モデル座標点がξ軸方向とη軸方向にそれぞれ等間隔でマトリックス状に配列した場合)は、Δξ及びΔηは一定、すなわち定数となる。従って、モーフィング演算においては、1個のモデル座標点の座標成分ξa,ηaのみを独立変数として扱えばよく、演算に考慮すべき独立変数ξ,ηの2個で済むようになり、モーフィング演算の大幅な簡略化を図ることができるのである。
この長方形セルHCB(長方形)を用いた具体的な制御の流れを図12のフローチャートに示す。まず、図10に示すように、取得された外気温度ξと日射量ηとの組を座標成分とする実制御座標点pxが属している長方形セルHCBを特定する。そして、図11に示すように、特定された長方形セルHCBの各頂点をなす4つのモデル座標点を被モーフィング座標点pa,pb,pc,pdとして選択し、これらに対応する4個のモデル制御パターンPa,Pb,Pc,Pdを制御データメモリ170から読み出し(S201)、部分入力平面MPS(ξ−η平面)における各被モーフィング座標点pa,pb,pc,pdの実制御座標点pxまでの距離に応じた重みにてモーフィングすることにより、実制御座標点pxに対応する合成制御パターンPxを作成する(S202)。この計算は、図1のモーフィング計算部172が行なう。
図13に、長方形セルHCBを用いた制御パターンのポリモーフィングのアルゴリズムを概念的に示している。被モーフィング座標点pa,pb,pc,pdをそれぞれA,B,C,Dとして、長方形セルHCBの実制御座標点pxを通って各辺(CA,DB及びCD,AB)と平行な2本の直線で切断する。これにより、長方形セルHCBは、それぞれ実制御座標点X(px)を共有し、かつ長方形セルHCBの頂点をなすモデル座標点を排他的に1個ずつ取り合う4個の部分長方形SCB、具体的には長方形CKXN(面積:Sb),NXLD(面積:Sa),KAMX(面積:Sd),KMBL(面積:Sd)に区切られる。
そして、各部分長方形(部分長方形)SCBの長方形セルHCBに対する相対面積(相対体積)を、当該部分長方形SCBに含まれるモデル座標点の長方形セルHCBの対角線方向反対側に位置するモデル座標点(すなわち、paに対してはpd、pbに対してはpc、pdに対してはpa、pcに対してはpb)への重みとする形でモーフィングを行なう。すなわち、長方形セルHCBの面積をS0とすれば、合成制御パターンPxは、
Px=(1/S0)×(Sa・Pa+Sb・Pb+Sc・Pc+Sd・Pd)
‥(13)
にて合成することができる。
上記モーフィング演算のアルゴリズムは、実は、次のような補間合成演算を逐次的に実行して合成制御パターンPxを得るのと数学的に全く等価である。すなわち、長方形セルHCBの各座標軸方向に隣接する2つのモデル座標点間にて、それらモデル座標点が張る線分への実制御座標点pxの正射影点を分点とする形で、梃子の原理により一次中間制御パターンを合成する。次いで、長方形セルHCBの各面の対向する2辺について得られた一次中間制御パターンに対し、対応する正射影点が張る線分について実制御座標点pxの正射影点を新たに分点として設け、その分点に関してそれら一次中間制御パターン同士を梃子の原理により合成し、二次中間制御パターンとする。この一連の処理を、分点が実制御座標点Xにたどり着くまで繰り返す。長方形セルHCBのどの辺から補間演算を開始しても、最終的に得られる結果は全て同じである。
図11内に、その計算例を示している。すなわち、線分DBへの実制御座標点pxの正射影点をLとし、線分CAへの実制御座標点pxの正射影点をKLとすれば、線分DB側の一次中間制御パターンPLが図中の式(11)により、線分CA側の一次中間制御パターンPKが図中の式(12)により計算される。線分KL上には実制御座標点Xが存在するので、これを分点として一次中間制御パターンPL及びPKを用いて二次中間制御パターンを求めると、(13)式通りの合成制御パターンPxが得られることは幾何学的に容易に理解できる。なお、Pxをξa及びηaを用いて表した結果を(17)式に示している。
本発明の適用対象となるエアコン制御装置の電気的構成の一例を示すブロック図。 その制御系統の要部を抽出して示すブロック図。 制御データメモリの内容を示す概念図。 制御データメモリ内容の別例を示す概念図。 モデル制御パターンの一例を示す図。 種々のモデル座標点に対するモデル制御パターンの設定例を示す図。 部分入力平面の単位セルへの分割方法の第一例を示す図。 図9の単位セルを用いたポリモーフィングの概念図。 線図パターンとして与えられた制御パターンの、図6の単位セルを用いたポリモーフィング計算アルゴリズムを幾何学的に説明する図。 図8のポリモーフィング計算アルゴリズムを利用した制御処理の流れを示すフローチャート。 部分入力平面の単位セルへの分割方法の第二例を示す図。 線図パターンとして与えられた制御パターンの、図10の単位セルを用いたポリモーフィング計算アルゴリズムを幾何学的に説明する図。 図10の場合の制御処理の流れを示すフローチャート。
符号の説明
CA 空調制御装置(エアコン制御装置)
β,ξ,η 必須入力変数群
ξ,η 第一種入力変数
β 第二種入力変数
α 出力変数
MPS 部分入力平面
CPS 制御パターン平面
p モデル座標点
px 実制御座標点
pa,pb,pc 被モーフィング座標点
P モデル制御パターン
Px 合成制御パターン
hi ハンドリング点
DT 単位セル(モーフィング対象領域、ドローネ三角形)
HCB 長方形セル(冗長頂点単位セル)
170 エアコンECU
171 モーフィング計算部(制御パターンモーフィング手段)
172 制御データメモリ(制御特性情報記憶手段)

Claims (11)

  1. 外気温度ξ、日射量η及び吹出口温度βを含む必須入力変数群を参照して、エアコン吹出口を切り替えるための吹出口切替ダンパーの位置を示す出力変数αの値を演算し、その得られた出力変数値αに基づきエアコンの吹出口切替ダンパーの位置切替制御を行なうエアコン制御方法であって、
    前記必須入力変数群は、前記外気温度ξ及び日射量ηを第一種入力変数とし、前記吹出口温度βを第二種入力変数として、前記第一種入力変数ξ,ηが張る部分入力平面上の予め定められたQ個(Q≧4)のモデル座標点毎に、前記二種入力変数βの値と前記出力変数αの値との関係を定めるモデル制御パターンを複数離散的に用意し、
    前記必須入力変数群ξ,η,βの各入力値が与えられたとき、該入力値に含まれる前記第一種入力変数ξ,ηの前記部分入力平面上の座標点を実制御座標点として、該部分入力平面にて前記実制御座標点を内部に含む予め定められたモーフィング対象領域に存在するJ個(Q>J≧3)以上のモデル座標点を被モーフィング座標点として特定し、
    前記第二種入力変数βと前記出力変数αとが張る制御パターン平面において、各被モーフィング座標点に対応するJ個の前記モデル制御パターンの形状を、前記部分入力平面における各前記被モーフィング座標点の前記実制御座標点までの距離に応じた重みにてモーフィングすることにより、前記実制御座標点に対応する合成制御パターンを作成し、
    該合成制御パターンに基づいて、前記必須入力変数群ξ,η,βの入力値に対応する、吹出口切替ダンパー位置を示す前記出力変数値αを計算することを特徴とするエアコン制御方法。
  2. 前記吹出口切替ダンパーは前記エアコン吹出口をフット側とフェイス側との間で切り替えるものであり、
    前記モデル制御パターン及び前記合成制御パターンは、前記第二種入力変数をなす前記吹出口温度βと前記出力変数をなす前記吹出口切替ダンパーの位置αとが張る前記制御パターン平面上に描画可能な二次元線図パターンとされてなり、前記吹出口温度βが予め定められた遷移温度域よりも低い側に外れるときフェイス側となり、前記遷移温度域よりも高い側に外れるときフット側となるように、前記吹出口切替ダンパーの位置αを規定するものである請求項1記載のエアコン制御方法。
  3. 前記モデル制御パターンは、前記外気温度ξが高くなるほど、また、前記日射量ηが大きくなるほど、前記吹出口温度βの前記遷移温度域の中心温度が高温側となるように定められてなる請求項2記載のエアコン制御方法。
  4. 前記二次元線図パターンは、パターン起点からパターン終点に向けて配列する一定個数のハンドリング点により形状規定されるものであり、全ての前記モデル座標点に対応する二次元線図パターンの各ハンドリング点同士が配列順位に従い一義的に対応付けられてなり、
    各前記被モーフィング座標点にかかる前記二次元線図パターンの各ハンドリング点の対応するもの同士をモーフィングすることにより合成ハンドリング点を生成し、それら合成ハンドリング点により前記合成制御パターンをなす二次元線図パターンを規定するようにした請求項2又は請求項3に記載のエアコン制御方法。
  5. 前記二次元線図パターンは、前記ハンドリング点を順次直線連結して得られる折線状パターンである請求項4記載のエアコン制御方法。
  6. 前記部分入力平面内にて隣接する前記モデル座標点を相互にフレーム連結することにより、各頂点を前記モデル座標点とする形で前記部分入力平面を隙間なく区画するよう複数の単位セルが配列形成されてなり、
    それら複数の単位セルのうち、前記実制御座標点を内包するものを前記モーフィング対象領域とし、該単位セルの頂点をなすモデル座標点を前記被モーフィング座標点として使用する請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のエアコン制御方法。
  7. 前記単位セルは、各前記モデル座標点を頂点とするドローネ三角形である請求項6記載のエアコン制御方法。
  8. 前記単位セルは、前記部分入力平面を張る各座標軸と各辺が平行に定められた長方形セルとされてなる請求項7記載のエアコン制御方法。
  9. 複数の前記長方形セルが互いに合同となるように定められてなる請求項8記載のエアコン制御方法。
  10. 前記長方形セルを、前記実制御座標点を通って各辺と平行な平面で切断することにより、それぞれ前記実制御座標点を共有し、かつ前記長方形セルの頂点をなす前記モデル座標点を排他的に1個ずつ取り合う部分長方形に区切り、各部分長方形の前記長方形セルに対する相対面積を、当該部分長方形に含まれるモデル座標点の前記長方形セルの対角線方向反対側に位置するモデル座標点への重みとする形で前記モーフィングを行なう請求項8又は請求項9に記載のエアコン制御方法。
  11. 外気温度ξ、日射量η及び吹出口温度βを含む必須入力変数群を参照して、エアコン吹出口を切り替えるための吹出口切替ダンパーの位置を示す出力変数αの値を演算し、その得られた出力変数値αに基づきエアコンの吹出口切替ダンパーの位置切替制御を行なうエアコン制御装置であって、
    前記必須入力変数群は、前記外気温度ξ及び日射量ηを第一種入力変数とし、前記吹出口温度βを第二種入力変数として、前記第一種入力変数ξ,ηが張る部分入力平面上の予め定められたQ個(Q≧4)のモデル座標点毎に離散的に用意された、前記二種入力変数βの値と前記出力変数αの値との関係を定める複数モデル制御パターンを記憶する制御特性情報記憶手段と、
    前記必須入力変数群ξ,η,βの各入力値が与えられたとき、該入力値に含まれる前記第一種入力変数ξ,ηの前記部分入力平面上の座標点を実制御座標点として、該部分入力平面にて前記実制御座標点を内部に含む予め定められたモーフィング対象領域に存在するJ個(Q>J≧3)以上のモデル座標点を被モーフィング座標点として特定する被モーフィング座標点特定手段と、
    前記第二種入力変数βと前記出力変数αとが張る制御パターン平面において、各被モーフィング座標点に対応するJ個の前記モデル制御パターンの形状を、前記部分入力平面における各前記被モーフィング座標点の前記実制御座標点までの距離に応じた重みにてモーフィングすることにより、前記実制御座標点に対応する合成制御パターンをする制御パターンモーフィング手段と、
    該合成制御パターンに基づいて、前記必須入力変数群ξ,η,βの入力値に対応する、吹出口切替ダンパー位置を示す前記出力変数値αを計算する出力変数計算手段と、
    を有することを特徴とするエアコン制御装置。
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