JP4002424B2 - 複写装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、定着部及び給紙部を有する、複写機、ファクシミリ、プリンターなどを含む複写装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、従来の複写機においては、定着部内で発生する高温空気は、一般的には複写機外へそのまま放出されるが、該高温空気を何か有効利用できる用途がないかとの要請から特開平5−34617号公報や特開平8−262890号公報に開示されている技術が提案されている。これらは定着部内で発生した高温空気を、ダクトを介して転写紙収納部へ送り込み、転写紙を乾燥させるようにしている。
【0003】
しかし、特開平8−262890号公報に開示された技術においては、定着部内で発生した高温空気をダイレクトに転写紙収納部の転写紙上へ送風するため、転写紙が定着部を通過するときに転写紙から発生する水蒸気もそのまま送風することとなり、転写紙の乾燥効率が悪くなる問題点があった。また、特開平5−34617号公報に開示された技術においては、前記のような水蒸気を除去するために除湿フィルタを設けているが、この場合には除湿フィルタを設けたことによるコストアップや、除湿フィルタの寿命による交換の手間が発生する問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこでこの発明は、前記のような従来の問題点を解決し、転写紙の乾燥効率がきわめてよく、しかもコストアップ等になる除湿フィルタを設ける必要もない複写装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、定着部内で発生した高温空気を給紙部の転写紙上へ送風するためのダクトが設けられた複写装置において、前記ダクトが高温空気を複写装置外へ排出する一方の経路と、給紙部の転写紙乾燥用として送風する他方の経路と、の2経路を有し、かつ転写紙が定着部を通過している時のみ、一方の経路を開放し、他方の経路を閉鎖して高温空気を一方の経路から複写装置外へ流すように切り替える風向切替機構を有することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を、添付図面を参照して説明する。この実施の形態は複写機に適用した例を示すものである。図1は複写機の要部の概略正面図、図2(A),(B)はそれぞれ異なる作用説明用の図1A部拡大図である。図1において1は定着部で、定着ローラ2と加圧ローラ3を有している。定着部1を覆うケーシング4の一側壁にはダクト5の基端開口部がケーシング4内と連通して接続されている。ダクト5はケーシング4外へ突出した途中で2つに分岐しており、該分岐部から一方が機外へ高温空気を排出可能なように排出口を有する経路5aに、他方が高温空気を給紙部としての給紙トレイ7の転写紙8上に送風可能なように送風口9を有する経路5bに形成されている。
【0008】
両経路5a,5bが分岐するダクト5の分岐部には風向切替機構としての切替弁11が支点12を中心に矢印13で示すように上下に揺動し、一方の経路5aと他方の経路5bを、いずれか一方が開放のときは他方が閉鎖となるように切り替え可能に設けられている。切替弁11の揺動は図示しないモータ又はソレノイド等によって行われる。
【0009】
図2(A)は切替弁11により経路5aが閉鎖、経路5bが開放された状態、同(B)は逆に経路5aが開放、経路5bが閉鎖された状態を示す。前者は転写紙8が定着部1を通過していない時、例えば複写機の立ち上がり時(定着部1を暖気している時)や複写機の待機時(予熱時)に、後者は転写紙8が定着部1を通過している時に、それぞれ前記のような状態にもたらされる。
【0010】
15は分岐部手前に設けられた送風ファンである。また、16は別のダクトで、基端開口部がダクト5の経路5bの先端開口部と対向するように設けられ、経路5bから送られて、転写紙8の上を通ってくる空気を取り入れて機外へ排出するようになっている。
【0011】
前記のような構成からなるので、例えば複写機の立ち上がり時や複写機の待機時には切替弁11を図1及び図2(A)のように支点12を中心として上向きに揺動し、経路5aが閉鎖、経路5bが開放された状態にする。これにより送風ファン15により定着部1内で発生した高温空気はダクト5の経路5bを通り矢印17のように流れて行き、送風口9から給紙トレイ7にセットされた転写紙8上に矢印18のように送られて、転写紙8を除湿乾燥する。その後、高温空気はダクト16を通り、矢印19のように流れて機外へ排出される。
【0012】
一方、転写紙8が定着部1を通過している時には切替弁11を図2(B)のように支点12を中心として下向きに揺動し、経路5aが開放、経路5bが閉鎖された状態にする。これにより送風ファン15により定着部1内で発生した高温空気はダクト5の経路5aを通り矢印20のように流れて行き、機外へ排出される。そのため、従来のように転写紙から発生する水蒸気がダイレクトに給紙トレイ7の転写紙8上に送られることがなく、転写紙8の乾燥効率がよくなる。
【0013】
図3は別の実施の形態を示す。この実施の形態では定着部1のケーシング4の上部に、ケーシング4の上壁を共用してケーシング4内の熱が伝わるようにダクト25が設けられている。ダクト25においてケーシング4の上壁を共用している部分はその断面積が他の部分より小さくなっていて、該部を通る空気への熱の伝達がよくなるようになっている。ダクト25は基端開口部が定着部1外に開口しているとともに、先端開口部が前記実施の形態と同様に下向きに屈曲し、給紙トレイ7の転写紙8上を臨むようになっている。ダクト16をはじめその他の部分の構成は前記実施の形態と同様であるので、同様の部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0014】
前記のような構成であるため、定着部1外からファン15にて取り入れられ、ダクト25内を矢印21のように通る空気は、定着部1の上部でケーシング4内の熱によって温められ、その温められた空気がダクト25の先端開口部(送風口)から給紙トレイ7にセットされた転写紙8上に矢印22のように送られ、転写紙8を除湿乾燥する。その後の高温空気の流れは前記と同様である。前記のように転写紙8を除湿乾燥する高温空気を定着部1外から取り入れ、従来のように定着部内から取り入れることがないため、転写紙8の乾燥効率がよくなる。
【0015】
図4,5はさらに別の実施の形態を示す。この実施の形態では定着部1の上部に設けられたダクト25と定着部1のケーシング4との間に、共用のケーシング4の上壁を貫通するように熱伝達用のフイン27が複数個設けられ、ケーシング4内の熱が該フインによりダクト25内の空気に効率よく伝達できるようになっている。その他の部分の構成は図3の実施の形態と同様であるので、同様の部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0016】
前記のような構成であるため、定着部1外から送風ファン15にて取り入れられ、ダクト25内を通る空気は、定着部1の上部のダクト内を通過する際にフィン27に接触し、これによりケーシング4内の熱が伝わるため、効率よく温められ、その温められた空気がダクト25の先端開口部(送風口)から給紙トレイ7にセットされた転写紙8上に送られ、転写紙8を除湿乾燥する。そのため、この実施の形態においても、図3の実施の形態と同様、転写紙8を除湿乾燥する高温空気を定着部1外から取り入れるため、転写紙8の乾燥効率がよくなる。
【0017】
前記の実施の形態では両経路の切替機構として切替弁11を示したが、これは好ましい一例であって、同様な機能を果たすものであれば、他の機構を用いてもよいことは勿論である。また、切替弁11の揺動を司る機構、及びその制御も実施に際しては適宜修正することができる。
【0018】
【発明の効果】
この発明は前記のような構成であるから、従来のように定着部で定着中に転写紙から発生した水蒸気を含む高温空気を給紙部に送ることなく、水蒸気を含まない高温空気を定着部から給紙部へ送風することができ、給紙部の転写紙を効率よく乾燥することができる。しかも、従来のような除湿フィルタを用いる必要もないので、コストアップ等になることもない。また、この発明にあっては高温空気を2経路に切り替えて送ることが可能なので、定着部を通る転写紙を検知する機構や風向切替機構を自動制御する機構を付設することにより、転写紙が定着部を通過している時は、定着部内の高温空気を複写装置外へ排出し、転写紙が定着部を通過していない時、例えば複写装置の立ち上がり時においてのみ定着部内の高温空気を給紙部に送る、というような自動制御運転装置とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示す、複写機の要部の概略正面図である。
【図2】(A),(B)はそれぞれ異なる作用説明用の図1A部拡大図である。
【図3】別の実施の形態を示す、複写機の要部の概略正面図である。
【図4】さらに別の実施の形態を示す、複写機の要部の概略正面図である。
【図5】図4のB−B線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 定着部 2 定着ローラ
3 加圧ローラ 4 ケーシング
5 ダクト 5a 一方の経路
5b 他方の経路 7 給紙トレイ(給紙部)
8 転写紙 9 送風口
11 切替弁(風向切替機構) 12 支点
15 送風ファン 16 ダクト
25 ダクト 27 フイン
Claims (1)
- 定着部内で発生した高温空気を給紙部の転写紙上へ送風するためのダクトが設けられた複写装置において、前記ダクトが高温空気を複写装置外へ排出する一方の経路と、給紙部の転写紙乾燥用として送風する他方の経路と、の2経路を有し、かつ転写紙が定着部を通過している時のみ、一方の経路を開放し、他方の経路を閉鎖して高温空気を一方の経路から複写装置外へ流すように切り替える風向切替機構を有することを特徴とする複写装置。
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