JP4002117B2 - 多層基板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スタックドCSPやビルドアップ基板などの多層基板では、例えば、ビアホールを埋め込んだ導電性ペーストによって層間接続が為される。しかしながら、導電性ペーストは接続抵抗が高く信頼性が低いという問題がある。このような問題に対しては、例えば、特開2000−294933号公報などに記載の方法が有効である。
【0003】
図6(a)〜(c)は、従来の多層基板の製造方法を概略的に示す断面図である。なお、図6(a)〜(c)において、11a,11bは絶縁樹脂層を示し、12a〜12cは導体回路パターンを示し、13a,13bはスタッドを示し、14は半田層を示し、15は接着剤層を示している。
【0004】
図6(a)〜(c)に示す方法では、まず、図6(a)に示す上部構造3と図6(b)に示す下部構造2とを形成する。なお、スタッド13bは銅をメッキすることにより形成する。次いで、下部構造2と上部構造3とを半田層14が導体回路パターン12a上に位置するように重ね合わせ、その状態で加熱プレスする。これにより、下部構造2と上部構造3とが一体化されるとともに、導体回路パターン12a,12bがスタッド13b及び半田層14を介して電気的に接続される。以上のようにして、図6(c)に示す多層基板1を得る。
【0005】
上述した方法では、絶縁樹脂層11bに設けたビアホールを銅で埋め込んでいるため、接続抵抗を低減することができる。しかしながら、銅は高融点であり且つ硬質であるため、スタッド13bの高さにばらつきを生じた場合に接合不良を生じ易い。
【0006】
このような接続不良は、例えば、スタッド13bの材料として銅の代わりにSnAgなどの比較的軟らかい金属材料を使用することにより回避可能である。しかしながら、この場合、多層基板1に半導体チップを実装するとともに多層基板1の二次実装端子部にSnAgはんだバンプを形成して半導体パッケージとし、このパッケージをマザーボード上に実装する際に以下の問題を生ずることとなる。
【0007】
すなわち、パッケージをマザーボード上に実装する過程で二次実装端子部のSnAgはんだバンプが溶融する条件下ではんだ付けを行うと、リフロー中にビアホールを埋め込んだSnAgも溶融して体積膨張する。その結果、絶縁樹脂層11bのビアホール周辺部にクラックが発生したり、或るビアホールを埋め込んだSnAgが溶融して隣接するビアホールを埋め込んだSnAgと接触して電気的短絡を引き起こすことがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、製造過程で接合不良を生じ難く且つ二次実装の際に不具合を生じ難い多層基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に積層され且つ貫通孔が設けられた第2絶縁層と、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に介在した第1導体回路パターンと、前記第2絶縁層の前記第1導体回路パターンに対向した面の裏面に設けられた第2導体回路パターンと、前記貫通孔を埋め込んだ接続用導体と、前記接続用導体と前記第1導体回路パターンとの間に介在し且つ前記接続用導体よりも低融点の接合用導体であって、前記接続用導体との境界のそれぞれは前記第2絶縁層の前記第2導体回路パターンが設けられた面の裏面よりも前記第2導体回路パターン側に位置している接合用導体と、前記貫通孔の側壁と前記接合用導体との間に介在した樹脂層とを具備したことを特徴とする多層基板を提供する。
【0010】
また、本発明は、第1絶縁層と前記第1絶縁層上に設けられた第1導体回路パターンとを備えた下部構造を形成する工程と、貫通孔が設けられた第2絶縁層と、前記第2絶縁層の一方の主面上に設けられ且つ前記貫通孔の一方の開口を塞いだ第2導体回路パターンと、前記貫通孔を埋め込んだ接続用導体と、前記接続用導体の前記第2導体回路パターンに対向した面の裏面に設けられ且つ前記接続用導体よりも低融点の接合用導体とを備えた上部構造を形成する工程と、前記下部構造と前記上部構造とを前記上部構造の前記第2導体回路パターンが設けられた面の裏面が前記第1導体回路パターンに対向するように貼り合わせて前記接続用導体及び前記接合用導体を介して前記第1導体回路パターンと前記第2導体回路パターンとを電気的に接続する工程とを含み、前記上部構造を、前記接続用導体と前記接合用導体との境界のそれぞれが、前記第2絶縁層の前記第2導体回路パターンが設けられた面の裏面よりも前記第2導体回路パターン側に位置するように形成すると共に、前記上部構造として、前記貫通孔の側壁と前記接合用導体との間に介在した樹脂層をさらに備え且つ前記接合用導体のうち前記第2絶縁層から突出した部分の径が前記貫通孔の径と比較してより小さいものを形成することを特徴とする多層基板の製造方法を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に設けられた第1導体回路パターンと、前記第1導体回路パターン上に設けられた接合用導体とを備えた下部構造を形成する工程と、貫通孔が設けられた第2絶縁層と、前記第2絶縁層の一方の主面上に設けられ且つ前記貫通孔の一方の開口を塞いだ第2導体回路パターンと、前記貫通孔を埋め込み且つ前記接合用導体よりも高融点の接続用導体とを備えた上部構造を形成する工程と、前記下部構造と前記上部構造とを前記接続用導体と前記接合用導体とが接合されるように貼り合わせて前記接続用導体及び前記接合用導体を介して前記第1導体回路パターンと前記第2導体回路パターンとを電気的に接続する工程とを含み、前記上部構造を、前記接続用導体の前記接合用導体と接合される面のそれぞれが、前記第2絶縁層の前記第2導体回路パターンが設けられた面の裏面よりも前記第2導体回路パターン側に位置するように形成すると共に、前記上部構造として、前記貫通孔の側壁と前記接合用導体との間に介在した樹脂層をさらに備え且つ前記接合用導体のうち前記第2絶縁層から突出した部分の径が前記貫通孔の径と比較してより小さいものを形成することを特徴とする多層基板の製造方法を提供する。
【0013】
本発明において、接続用導体は、例えば、銅を含有することができる。また、接合用導体は、例えば、錫または錫系合金を含有することができる。
【0014】
本発明に係る多層基板は、第1絶縁層の第1導体回路パターンが設けられた面の裏面側に第1導体回路パターンに電気的に接続された二次実装用導体をさらに備えていてもよい。
【0015】
本発明において、接合用導体は少なくとも部分的に第2絶縁層に設けた貫通孔の径よりも小さな径に形成してもよい。なお、ここで言う「第2絶縁層に設けた貫通孔の径」は、第2絶縁層に設けた貫通孔の2つの開口のうち、第2絶縁層の第2導体回路パターンが設けられた面の裏面側に位置したものの径を意味する。
【0016】
本発明において、接続用導体及び接合用導体は、例えば、メッキ法により形成することができる。
【0017】
本発明の方法において、絶縁層への貫通孔の形成は、例えば、炭酸ガスレーザのようなレーザ等を用いて行うことができる。
【0018】
本発明において、導体回路パターンは、例えば、銅などの金属材料を含有することができる。すなわち、導体回路パターンとして、例えば、銅箔パターンなどを使用することができる。
【0019】
本発明において、絶縁層は、例えば、ポリイミドなどのような樹脂を含有することができる。この絶縁層は、単層構造であってもよく、或いは、多層構造であってもよい。例えば、絶縁層として、ポリイミド層、ポリイミド層とBステージ状態のエポキシ層との積層体のような接着剤層を有する高分子フィルム、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させてこれをBステージ状態としたプリプレグのような複合材料、ヒートシール性を有する材料などを使用することができる。
【0020】
本発明において、多層基板を構成する層の数は二層以上であれば特に制限はなく、三層以上であってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る多層基板の製造プロセスを概略的に示す断面図である。まず、製造プロセスについて説明するのに先立ち、図1(c)に示す多層基板について説明する。
【0022】
図1(c)に示す多層基板1は、3つの導体回路パターン12a〜12cを積層した構造を有している。導体回路パターン12a,12b間には絶縁樹脂層11bが介在しており、導体回路パターン12a,12c間には絶縁樹脂層11aが介在している。絶縁樹脂層11a,11bにはそれぞれ貫通孔が設けられており、これら貫通孔はスタッド13a,13bによって埋め込まれている。導体回路パターン12aとスタッド13bとの間には金属層14が介在しており、これらスタッド13bと金属層14によって導体回路パターン12a,12b間の電気的接続が実現されている。また、導体回路パターン12a,12c間の電気的接続はスタッド13aによって実現されている。なお、図1(c)では、絶縁樹脂層11a,11b間には介在した接着剤層は省略している。本実施形態では、以上のように構成される多層基板1を以下に説明するように製造する。
【0023】
まず、図1(a)に示す上部構造3を形成する。上部構造3は、貫通孔が設けられた絶縁樹脂層11bと、絶縁樹脂層11bの一方の主面上に設けられ絶縁樹脂層11bの貫通孔の一方の開口を塞いだ導体回路パターン12bと、絶縁樹脂層11bの貫通孔を埋め込んだスタッド13bと、スタッド13b上に設けられた金属層14とを有している。本実施形態では、スタッド13bと金属層14との境界の全てを、絶縁樹脂層11bの導体回路パターン12bが設けられた面の裏面と同一面内に或いはそれよりも導体回路パターン12b側に位置させる。また、スタッド13bには金属層14よりも高融点の材料を使用する。
【0024】
上部構造3の形成方法に特に制限はなく、例えば、以下の方法を利用することができる。
まず、銅のような金属材料などからなる導体層の一方の主面にポリイミドなどからなる絶縁樹脂層11bを有する材料を準備する。次に、絶縁樹脂層11bの所定の位置に、導体層に達する貫通孔を炭酸ガスレーザなどのレーザを用いて形成する。
【0025】
次いで、導体層の貫通孔内に露出した面に銅のような金属材料をメッキしてスタッド13bを形成する。このメッキ処理は、それらスタッド13bのいずれかの表面が絶縁樹脂層11bの導体回路パターン12bが設けられた面の裏面の位置まで到達した時点で或いはそれよりも前の適当な時点で終了する。
【0026】
続いて、スタッド13b上に、半田のような金属材料をメッキして金属層14を形成する。このメッキ処理は、それら金属層14の全てが、絶縁樹脂層11bの導体回路パターン12bが設けられた面の裏面から所定の高さまで突出した時点で終了する。
【0027】
さらに、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して導体層をパターニングすることにより、導体回路パターン12bを形成する。以上のようにして、図1(a)に示す上部構造3を得る。
【0028】
例えば、上述した方法で上部構造3を形成する一方で、図1(b)に示す下部構造2を形成する。下部構造2は、貫通孔が設けられた絶縁樹脂層11aと、絶縁樹脂層11aの一方の主面上に設けられ絶縁樹脂層11aの貫通孔の一方の開口を塞いだ導体回路パターン12aと、絶縁樹脂層11aの他方の主面上に設けられ絶縁樹脂層11aの貫通孔の他方の開口を塞いだ導体回路パターン12cと、絶縁樹脂層11aの貫通孔を埋め込んだスタッド13aと、絶縁樹脂層11aの導体回路パターン11a側の面に設けられた接着剤層15を有している。
【0029】
この下部構造2の形成方法に特に制限はなく、例えば、以下の方法を利用することができる。
まず、銅のような金属材料などからなる導体層の一方の主面にポリイミドなどからなる絶縁樹脂層11aを有する材料を準備する。次に、絶縁樹脂層11aの所定の位置に、導体層に達する貫通孔を炭酸ガスレーザなどのレーザを用いて形成する。次いで、導体層の貫通孔内に露出した面に銅のような金属材料をメッキしてスタッド13aを形成する。続いて、絶縁樹脂層11aの導体層が設けられた面の裏面に、例えば、無電解メッキ、ダイレクトプレーティング、または、それらの少なくとも一方と電気メッキとの組み合わせなどを利用して、銅のような導体からなる導体層を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して絶縁樹脂層11aの両面に設けられた導体層をそれぞれパターニングすることにより、導体回路パターン12a,12cを形成する。さらに、絶縁樹脂層11aの導体回路パターン12aが設けられた面に接着剤層15を形成する。以上のようにして、図1(b)に示す下部構造2を得る。
【0030】
次に、下部構造2と上部構造3とを金属層14が導体回路パターン12a上に位置するように重ね合わせ、さらに、それらを加熱プレスする。これにより、下部構造2と上部構造3とが一体化されるとともに、導体回路パターン12a,12bがスタッド13b及び金属層14を介して電気的に接続される。以上のようにして、図1(c)に示す多層基板1を得る。
【0031】
さて、本実施形態では、上記の通り、スタッド13bの材料として金属層14に比べて高融点の材料を使用するとともに、スタッド13bと金属層14との境界を、絶縁樹脂層11bの導体回路パターン12bが設けられた面の裏面と同一面内に或いはそれよりも導体回路パターン12b側に位置させる。このような構造によると、スタッド13bの高さのばらつきに起因して接合不良が発生するのを抑制することができる。これについては、図2(a)〜(e)を参照しながら説明する。
【0032】
図2(a)〜(e)は、スタッド13bと金属層14との境界位置と接合不良の発生との間の関係を示す断面図である。なお、図2(d)において、参照番号17は樹脂層を示している。
【0033】
本実施形態において、下部構造2と上部構造3とを貼り合せる際の加熱プレス条件は、絶縁樹脂層11a,11bの材料としてガラスエポキシを使用する場合には、例えば、加工温度Tpを453K(180℃)程度とし、加工時間は1時間程度とする。このような条件のもとでは、融点Tmが493K(220℃)であるSnAgなどのように低融点の金属材料(Tmが不等式Tm<2Tpに示す関係を満足している金属材料)からなる金属層14の変形機構は高温クリープに分類される。高温クリープではクリープ速度が一定の状態で変形が進むため、金属層14は比較的容易に変形する。一方、銅の融点Tmが1629K(1356℃)である銅のように高融点の金属材料(Tmが不等式Tm>2Tpに示す関係を満足している金属材料)の変形機構は低温クリープに分類され、プレス時のクリープ変形は時間とともに減少する。そのため、そのような高融点の金属材料からなるスタッド13bの変形は生じ難い。
【0034】
したがって、図2(a)に示すように、スタッド13bが絶縁樹脂層11bの導体回路パターン12bが設けられた面の裏面から突出している場合、スタッド13bの高さがばらついていると、より高いスタッド13bが、より低いスタッド13b上に設けた金属層14と導体回路パターン12aとの接触を妨げる。その結果、より低いスタッド13bと導体回路パターン12aとの電気的接続が不十分となり、接続不良を生ずる。
【0035】
これに対し、図2(b)〜(e)に示すように、全てのスタッド13bの表面を、絶縁樹脂層11bの導体回路パターン12bが設けられた面の裏面の位置或いはそれよりも導体回路パターン12b側に制御した場合、スタッド13bの高さにばらつきを生じたとしても、より高いスタッド13bが、より低いスタッド13b上に設けた金属層14と導体回路パターン12aとの接触を妨げることはない。また、金属層14はスタッド13の高さのばらつきを補償するように変形する。そのため、本実施形態によると、スタッド13の高さにばらつきを生じたとしても、接続不良が生じるのを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態では、導体回路パターン12a,12bの接続に、錫や錫系合金などの低融点の金属材料だけでなく銅などの高融点の金属材料も使用している。そのため、導体回路パターン12a,12bの接続に錫や錫系合金のみを使用した場合に比べて、二次実装の際に、錫や錫系合金の体積膨張に起因して絶縁樹脂層11bのビアホール周辺部にクラックが発生したり、或るビアホールを埋め込んだ錫や錫系合金が溶融して隣接するビアホールを埋め込んだ錫や錫系合金と接触して電気的短絡が発生するのを抑制することができる。
【0037】
なお、各種寸法や各種条件などに依存するが、通常、スタッド13bの高さは設計値に対して±10μm程度の範囲内でばらつきを生じる。したがって、例えば、スタッド13bの高さの設計値を絶縁樹脂層11bの厚さよりも10μm程度以上低い値とすることにより、全てのスタッド13bの表面を、絶縁樹脂層11bの導体回路パターン12bが設けられた面の裏面の位置或いはそれよりも導体回路パターン12b側に制御することができる。また、スタッド13bの高さは10μm以上であることが好ましい。
【0038】
上部構造3において、金属層14の絶縁樹脂層11bから突出した部分は、図2(d),(e)に示すように、絶縁樹脂層11bに設けた貫通孔の径よりも小さな径に形成することが好ましい。この場合、二次実装の際に上記の電気的短絡が発生するのをより効果的に抑制することができる。なお、上述のように下部構造2と上部構造3とを貼り合せることにより金属層14は変形するが、それらを貼り合せた後でも、金属層14の絶縁樹脂層11bから突出した部分が絶縁樹脂層11bに設けた貫通孔の径よりも小さな径に維持されることがある。また、図2(e)に示す構造は、例えば、以下の方法で形成することができる。
【0039】
図3(a)〜(e)は、図2(e)に示す構造の形成方法の一例を概略的に示す断面図である。図2(e)に示す構造を形成するに当り、まず、図3(a)に示すように、一方の主面に導体回路パターン12bが設けられた絶縁樹脂層11bにレーザビームを照射することにより、導体回路パターン12bにまで達する貫通孔を絶縁樹脂層11bに形成する。次に、絶縁樹脂層11bの両面にドライフィルムをラミネートし、それらドライフィルム18の一方をパターン露光・現像する。このようにして、図3(b)に示すように、絶縁樹脂層11bに設けた貫通孔に対応した位置で、ドライフィルム18により小さな径の貫通孔を形成する。次いで、図3(c)に示すように、貫通孔内で露出した導体回路パターン12bの表面に銅などをメッキすることによりスタッド13bを形成する。その後、図3(d)に示すように、スタッド13b上にSnAgやSnなどをメッキすることにより、金属層14を形成する。さらに、図3(e)に示すように、絶縁樹脂層11bからドライフィルム18を除去することにより、図2(e)に示す構造を得る。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0041】
図4(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態に係る多層基板の製造プロセスを概略的に示す断面図である。本実施形態では、第1の実施形態で説明したのとほぼ同様の構造を有している多層基板1を、第1の実施形態で説明したのとは異なる方法により製造する。
【0042】
本実施形態では、図4(c)に示す多層基板1を製造するに当り、まず、図4(a)に示す上部構造3を形成する。図4(a)に示す上部構造3は、金属層14が設けられていないことを除いて図1(a)に示した上部構造3と同様の構造を有している。すなわち、本実施形態においても、全てのスタッド13bの表面を、絶縁樹脂層11bの導体回路パターン12bが設けられた面の裏面と同一面内に或いはそれよりも導体回路パターン12b側に位置させる。また、スタッド13bには金属層14よりも高融点の材料を使用する。
【0043】
上部構造3を形成する一方で、図4(b)に示す下部構造2を形成する。図4(b)に示す下部構造2は、金属層14が設けられていることを除いて図1(b)に示した下部構造2と同様の構造を有している。
【0044】
次に、下部構造2と上部構造3とを金属層14がスタッド13b上に位置するように重ね合わせ、さらに、それらを加熱プレスする。これにより、下部構造2と上部構造3とが一体化されるとともに、導体回路パターン12a,12bがスタッド13b及び金属層14を介して電気的に接続される。以上のようにして、図4(c)に示す多層基板1を得る。
【0045】
このように金属層14を下部構造2に設けた場合においても、第1の実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。なお、金属層14を下部構造2に設けた場合、金属層14を、図2(d),(e)に示すように、絶縁樹脂層11bに設けた貫通孔の径よりも小さな径に形成することが好ましい。この場合、二次実装の際に上記の電気的短絡が発生するのをより効果的に抑制することができるのに加え、スタッド13bと金属層14とをより確実に接続することができる。
【0046】
図5(a)及び(b)は、本発明の第1及び第2の実施形態に係る多層基板1を用いた半導体パッケージを概略的に示す断面図である。なお、図5(a)及び(b)において、多層基板1は簡略化されて描かれている。
【0047】
図5(a)に示す半導体パッケージ5は、多層基板1上に半導体チップ6をワイヤボンディングによって実装した構造を有している。また、図5(b)に示す半導体パッケージ5は、多層基板1上に半導体チップ6をフリップチップボンディングにより実装した構造を有している。これら半導体パッケージ5の二次実装端子(例えば、導体回路パターン12c)上には、二次実装用導体としてSnAgなどを含有した金属バンプ7が設けられている。半導体パッケージ5は、それら金属バンプ7を介してマザーボード8に二次実装されている。
【0049】
以上説明した第1及び第2の実施形態では、スタッド13bの材料として銅を使用し、金属層14の材料としてSnAg(融点:494K、221℃)を使用したが、スタッド13bや金属層14には他の材料も使用することができる。例えば、金属層14の材料として、Sn(505K、232℃)やSn−37Pb(456K、183℃)やSn−0.7Cu(500K、227℃)なども使用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、融点がより高い接続用導体とより低い接合用導体との積層構造を利用して多層基板の層間接続を行うとともに、それらの境界のそれぞれを絶縁層の表面に対して所定の位置に制御する。そのため、製造過程での接合不良や二次実装の際に不具合が発生するのを抑制することができる。
すなわち、本発明によると、製造過程で接合不良を生じ難く且つ二次実装の際に不具合を生じ難い多層基板及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る多層基板の製造プロセスを概略的に示す断面図。
【図2】(a)〜(e)は、接続用導体と接合用導体との境界位置と接合不良の発生との間の関係を示す断面図。
【図3】(a)〜(e)は、図2(e)に示す構造の形成方法の一例を概略的に示す断面図。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態に係る多層基板の製造プロセスを概略的に示す断面図。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の第1及び第2の実施形態に係る多層基板を用いた半導体パッケージを概略的に示す断面図。
【図6】(a)〜(c)は、従来の多層基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【符号の説明】
1…多層基板
2…下部構造
3…上部構造
5…半導体パッケージ
6…半導体チップ
7…金属バンプ
8…マザーボード
11a,11b…絶縁層
12a〜12c…導体回路パターン
13a,13b…接続用導体
14…接合用導体
15…接着剤層
17…樹脂層
18…ドライフィルム
Claims (8)
- 第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に積層され且つ貫通孔が設けられた第2絶縁層と、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に介在した第1導体回路パターンと、前記第2絶縁層の前記第1導体回路パターンに対向した面の裏面に設けられた第2導体回路パターンと、前記貫通孔を埋め込んだ接続用導体と、前記接続用導体と前記第1導体回路パターンとの間に介在し且つ前記接続用導体よりも低融点の接合用導体であって、前記接続用導体との境界のそれぞれは前記第2絶縁層の前記第2導体回路パターンが設けられた面の裏面よりも前記第2導体回路パターン側に位置している接合用導体と、前記貫通孔の側壁と前記接合用導体との間に介在した樹脂層とを具備したことを特徴とする多層基板。
- 前記接続用導体として、前記第2絶縁層の厚さと比較して高さが20μm以上小さいものを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の多層基板。
- 前記接続用導体は銅を含有し、前記接合用導体は錫または錫系合金を含有したことを特徴とする請求項1又は2に記載の多層基板。
- 第1絶縁層と前記第1絶縁層上に設けられた第1導体回路パターンとを備えた下部構造を形成する工程と、
貫通孔が設けられた第2絶縁層と、前記第2絶縁層の一方の主面上に設けられ且つ前記貫通孔の一方の開口を塞いだ第2導体回路パターンと、前記貫通孔を埋め込んだ接続用導体と、前記接続用導体の前記第2導体回路パターンに対向した面の裏面に設けられ且つ前記接続用導体よりも低融点の接合用導体とを備えた上部構造を形成する工程と、
前記下部構造と前記上部構造とを前記上部構造の前記第2導体回路パターンが設けられた面の裏面が前記第1導体回路パターンに対向するように貼り合わせて前記接続用導体及び前記接合用導体を介して前記第1導体回路パターンと前記第2導体回路パターンとを電気的に接続する工程とを含み、
前記上部構造を、前記接続用導体と前記接合用導体との境界のそれぞれが、前記第2絶縁層の前記第2導体回路パターンが設けられた面の裏面よりも前記第2導体回路パターン側に位置するように形成すると共に、前記上部構造として、前記貫通孔の側壁と前記接合用導体との間に介在した樹脂層をさらに備え且つ前記接合用導体のうち前記第2絶縁層から突出した部分の径が前記貫通孔の径と比較してより小さいものを形成することを特徴とする多層基板の製造方法。 - 前記接続用導体の高さの設計値を、前記第2絶縁層の厚さと比較して10μm以上小さくすることを特徴とする請求項4に記載の多層基板の製造方法。
- 第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に設けられた第1導体回路パターンと、前記第1導体回路パターン上に設けられた接合用導体とを備えた下部構造を形成する工程と、
貫通孔が設けられた第2絶縁層と、前記第2絶縁層の一方の主面上に設けられ且つ前記貫通孔の一方の開口を塞いだ第2導体回路パターンと、前記貫通孔を埋め込み且つ前記接合用導体よりも高融点の接続用導体とを備えた上部構造を形成する工程と、
前記下部構造と前記上部構造とを前記接続用導体と前記接合用導体とが接合されるように貼り合わせて前記接続用導体及び前記接合用導体を介して前記第1導体回路パターンと前記第2導体回路パターンとを電気的に接続する工程とを含み、
前記上部構造を、前記接続用導体の前記接合用導体と接合される面のそれぞれが、前記第2絶縁層の前記第2導体回路パターンが設けられた面の裏面よりも前記第2導体回路パターン側に位置するように形成すると共に、前記上部構造として、前記貫通孔の側壁と前記接合用導体との間に介在した樹脂層をさらに備え且つ前記接合用導体のうち前記第2絶縁層から突出した部分の径が前記貫通孔の径と比較してより小さいものを形成することを特徴とする多層基板の製造方法。 - 前記接続用導体の高さの設計値を、前記第2絶縁層の厚さと比較して10μm以上小さくすることを特徴とする請求項6に記載の多層基板の製造方法。
- 前記上部構造と前記下部構造とを貼り合せて前記第1導体回路パターンと前記第2導体回路パターンとを電気的に接続する工程は、前記上部構造と前記下部構造とを貼り合せた状態でそれらを加熱プレスすることを含み、前記加熱プレスの加工温度Tpと前記接合用導体の融点Tmとは不等式:Tm<2Tpに示す関係を満足したことを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項に記載の多層基板の製造方法。
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