JP3988269B2 - Alc薄板およびその取付け金具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、木造や軽量鉄骨造の外壁として取り付けられるALC(軽量気泡コンクリート)薄板(パネル)の構造と、その取付け金具に関する。
【0002】
【従来の技術】
厚さ75mm未満のALC薄板(パネル)は、軽量で、断熱性、耐火性、意匠性に優れており、また建築現場での切断や取付けが容易なので、木造や軽量鉄骨造の建築物の外壁として広く使用されている。
【0003】
従来、図22、図23に示すように、ALC薄板10の長辺小口面や短辺小口面の縁部に、面取り10aと目地溝10bが設けられている。該ALC薄板10は、例えば厚さ50mm、幅600mm、長さ1820mmであり、該目地溝10bは、幅4.5mm、深さ8mmである。
【0004】
そして、図20に示すように、前記ALC薄板10を横長に取り付けて、横壁を構成する一般的な方法を説明する。ALC薄板10の長さである1820mm間隔で、柱11を垂直に立設する。該柱11の間に、等しく455mm間隔で、3本ずつの間柱12を立設して、躯体とする。そして、この躯体に前記ALC薄板10をステンレス製のネジ釘13で取り付ける際、該ネジ釘13の頭部を、ALC薄板10の表面から7〜8mm食い込ませてネジ止めする。
【0005】
そして、所望枚数のALC薄板10を取り付けて、横壁が形成されたら、前記ネジ釘13の頭部が食い込んだことによるALC薄板10の表面の窪みにパテや補修剤を充填し、隣接するALC薄板10の向き合う目地溝に、シーリング材14を充填する。その後必要に応じて、建築物の外面側に塗装などの仕上げをして、横壁を完成させる。
【0006】
また、図21に示すように、前記ALC薄板10を縦長に取り付けて、縦壁を構成する一般的な方法を説明する。前述と同様に、1820mm間隔で、垂直に立設された柱11の間に、455mm間隔で3本の間柱12を立設する。さらにその外側に、ALC薄板10の端を基準にして、垂直方向に等間隔で、水平な胴縁15を取り付けて、躯体とする。そして、この躯体の前記胴縁15に、前記ALC薄板10をステンレス製ネジ釘13で取り付けること以外は、前述の横壁の方法と同様にして縦壁を完成させる。
【0007】
これらの構造では、1枚のALC薄板毎に、10箇所のネジ止め作業と、10カ所全ての頭部窪みの補修作業が必要なため、手数が掛かる。該手数に伴い経費がかさむばかりでなく、外観を損なう問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、加工や取付けが容易で、意匠性が優れたALC薄板と、該ALC薄板の取付け金具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のALC薄板は、厚さ75mm未満のALC薄板であって、両方の短辺小口面の表面側の縁部の全長に、主面側から見て同じ幅を有するシーリング材充填用の目地溝が設けられ、一方の長辺小口面の表面側の縁部の全長に、主面側から見て前記短辺小口面に形成された目地溝の幅に対して2倍の幅を有するシーリング材充填用の目地溝が設けられ、他方の長辺小口面の表面側の縁部の全長には、目地溝が形成されていない
【0010】
本発明の取付け金具は、前記ALC薄板を取り付けるために使用し、建築物の躯体に固定するための孔付き基部と、該基部に一体に形成され、前記ALC薄板の長辺小口面に沿って伸び出る腕部と、該腕部に一体に形成され、前記長辺小口面の目地溝内に係合する係合部とを有し、前記係合部が、ALC薄板の小口面の目地溝に係合するための少なくとも1つの係合部片からなり、前記腕部には、前記ALC薄板の目地溝がない側の長辺小口面に止めるネジ釘を通すための、1つ以上のネジ孔が設けられている
【0011】
前記取付け金具の基部が、取り付けるALC薄板の表面と平行な平板であるか、取り付けるALC薄板の表面と直交する平板であるとよい。
【0013】
前記基部と、前記腕部と、前記係合部とが平板を折り曲げて一体に形成されることが好ましい。
【0014】
本発明のALC薄板の取付け金具は、両方の長辺小口面の表面側の縁部の全長に、シーリング材充填用の目地溝が設けられているALC薄板を取り付ける金具であり、建築物の躯体に固定するための孔付き基部と、該基部に一体に形成され、前記ALC薄板の小口面に沿って伸び出る腕部と、該腕部に一体に形成され、前記小口面の目地溝内に係合する係合部とを有し、前記基部の腕部の取付け位置両端から、同じ方向に一対の切れ込みが形成され、該切れ込みに挟まれた部分が腕部方向に傾斜を有し、該腕部が該切れ込みに挟まれた部分を介して基部に接続しており、前記腕部が、孔付き基部に対して弾性的に押圧可能になっていて、前記切れ込みに挟まれた部分に固定用孔が設けられ、かつ、前記係合部が、隣接するALC薄板の対向する小口面の各々の目地溝に係合するために反対方向に伸びる2つの係合部片からなる
【0015】
さらに、前記基部と、前記腕部と、前記係合部とが平板を折り曲げて一体に形成されることが好ましい。なお、必要に応じて係合部片の数を増すことができることはいうまでもない。
【0016】
前記係合部の先端に、目地溝内に打ち込む少なくとも1個の尖頭部を有することが好ましい。
【0018】
また、前記係合部には、基部側に突出するリブが設けられているとよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
図3および図4に示すように、本発明の厚さ75mm未満のALC薄板1は、一方の長辺小口面の表面側の縁部の全長に、5〜10mmの深さの目地溝1cが設けられ、両方の短辺小口面の表面側の縁部の全長に、前記目地溝1cの断面を半分にした寸法の目地溝1bが設けられる。また、建築物の外面となる側の全周には、5〜10mmの深さの面取り1aを設ける。
【0020】
該ALC薄板1では、一方の長辺小口面に目地溝を設けない分だけ、加工が簡略化できる。またこのALC薄板1を躯体に取り付けて外壁を構成するのに必要な目地幅は、従来と同様の寸法になる。
【0021】
図2に示すように、本発明の取付け金具2は、建築物の躯体に固定するためのネジ孔2dの付いた基部2aと、該基部2aに一体に形成され、垂直に伸び出る腕部2bと、該腕部2bに一体に形成され、垂直に伸びる係合部2cとを有する。腕部2bにも、ネジ孔2dを設けている。
【0022】
図1に示すように、該取付け金具2を使用すると、腕部2bを、ALC薄板1の目地溝が無い側の長辺小口面にスクリュウビス16で釘止めし、基部2aを躯体にネジ釘13でネジ止めし、隣接するALC薄板の小口面の目地溝に係合部2cを係合させることにより、外壁表面にネジ止め部の補修跡が残らず、優れた外観が得られる。
【0023】
また、係合部が異なる形状の取付け金具の実施例を図10に示したが、腕部6bと係合部6e、6fとが側面から見るとT字状になっていて、係合部6eには尖頭部6gを、係合部6fには尖頭部6hを有する。
【0024】
該取付け金具6を用いて、係合部6fごと尖頭部6hを、ALC薄板1の小口面の目地溝に、木槌などで打ち込んだり、予め孔を明けておいて挿入したり、自重でめり込ませたりする。そして、ALC薄板を取付金具6のネジ孔6dを通したネジ釘を躯体に固着することで、取り付ける。それから、上側に隣接するALC薄板の小口面の目地溝にも、係合部6eごと尖頭部6gを、前記のような方法で打ち込んで、取付作業は完了する。この取付け金具6による取付け作業は、ALC薄板に対して、従来のような釘止めなどの作業をしないので、容易にかつ素速く行え、外壁表面にネジ止め部の補修跡が残らず、優れた外観が得られる。
【0025】
また、図13に示した取付け金具3では、基部3aと係合部3cとが直交する位置関係である。
【0026】
図14に示した取付け金具23では、基部23aと係合部23cとが直交する位置関係である。
【0027】
図16に示した取付け金具4では、基部4aと係合部4e、4fとが直交する位置関係である。
【0028】
これらの構造の取付け金具では、取付け金具を躯体に取り付ける作業を含めた全ての取付け作業を屋内側から行うことが可能である。そのため、隣接する構造物との間が狭くて、作業員が構造物の間に入り込めないような場所でも、外壁を構成することができる。
【0029】
また、いずれの取付け金具とも、図20に示した従来の横壁および、図21に示した従来の縦壁に対応させることができる。さらに、ALC薄板の表面に無関係に施工できるので、予め塗装などの仕上げ加工をしたALC薄板を使用しても、塗装面を汚したり、傷つけたりすることがない。仕上げ加工をしたALC薄板を使用した外壁の施工は、工期を大幅に短縮することができる。
【0030】
特に、基部と係合部とが直交する位置関係の取付け金具と、仕上げ加工をしたALC薄板を使用した場合には、それぞれ上述した顕著な効果を発揮する。
【0031】
また、図17、図18に示すように、前記係合部には、基部側に突出するリブ7eを設ける。該リブ7eにより、係合部の曲げ強度が向上するばかりでなく、ALC薄板の目地溝の寸法精度がよくなくても、係合部のリブにより確実にALC薄板の目地溝に係合できるので、ALC薄板はがたつくことがない。
【0032】
図19に示すように、前記上向き係合部8cの下端には、目地溝内に打ち込む少なくとも1個の尖頭状の係合部8eを設けておけば、この係合部8eを下段パネル小口面目地溝内に容易に打ち込むことができる。この下向きの尖頭状の係合部8eは上向き係合部8cの下端中央、またはいずれかの端部に偏らせた1カ所に設けてもよいが、複数箇所に並列させて設けておき、この係合部8eを前記下段パネル小口面目地溝に打ち込めば、パネルの取付け強度を向上させることができる。そのうえ、もし前記下段パネルの小口面の目地溝の一部に孔や窪みなどがあっても、少なくとも1個の尖頭状の係合部8eが確実に打ち込まれて固定することができるので好都合である。
【0033】
また、腕部取付け位置両端から、同じ方向に一対の切れ込み8gを有し、該切れ込み8gに挟まれた部分8aが腕部方向に傾斜を有し、該部分8aに前記固定用孔8dを設ける。これにより、傾斜の分だけ腕部8bが基部8hに対して弾性的に押圧可能になる。そして、取付け金具の係合部8eを下側に隣接するALC薄板の目地溝に係合してから、躯体面からやや離れた状態の前記部分8aが躯体に当接するまでネジで強く締め付けて取り付ける。基部8hの弾性により、係合部8eがALC薄板を躯体に付勢させた状態で固定できるので、ALC薄板はがたつくことがない。
【0034】
(実施例1)
以下本発明の第1の実施例を図面により説明する。
【0035】
図1は、本発明のALC薄板と取付け金具により構成した第1の実施例を示す縦断面図であり、図5は、底面図であり、図6は、正面図である。図2は、取付け金具を示す斜視図である。図3は、ALC薄板を示す正面図であり、図4は、底面図である。
【0036】
ALC薄板1は、厚さ37mm、幅600mm、長さ1820mmであり、一方の長辺小口面の表面側の縁には、断面が7mm×7mmの目地溝1cが設けられ、さらに6mmの面取り1aが設けられる。また、両方の短辺小口面の表面側の縁には、断面が3.5mm×7mmの目地溝1bが設けられ、さらに6mmの面取り1aが設けられる。
【0037】
また、取付け金具2は、厚さ1.6mmのステンレス鋼板製で、幅40mm、長さ60mmの平板の基部2aの中央部近辺から、幅20mm、長さ24mmの腕部2bと、同じ幅で、高さ7mmの係合部2cとが、断面L字状に突き出た状態で、一体に形成されている。この腕部2bと、係合部2cは、基部2aの中央部を加工し、一方向に折り曲げて形成したが、各々の形状に、ステンレス鋼板を形成してから、溶接などで一体に形成してもよい。また、腕部2bには1つの透孔2dと、基部2aには3つの透孔2dとを設け、表面側をバーリング加工しておく。
【0038】
図6に一部を示したように、木造建築物の外壁用柱11は、ALC薄板1の長さと同じ1820mm間隔で、それぞれの間には3本の間柱12が、455mmの均等間隔で、垂直に立設される。
【0039】
予め、5つの取付け金具2を、図1に縦断面を示したように、ALC薄板1の目地溝1cの無い側の長辺小口面に、腕部2bの透孔2dを通したスクリュウビス16を釘止めすることで、取り付けておく。
【0040】
そして、水糸などを用いて水平レベルの位置決めをし、最下端用の取付け金具2を柱11や間柱12に、基部2aの透孔2dを通したネジ釘13をネジ止めすることで、取り付ける。そして、前記ALC薄板1を目地溝1cの無い側の長辺小口面を上にして、ALC薄板1に取り付けた取付け金具2の基部2aを柱11や間柱12の外面に当接させた状態で、基部2aの透孔2dを通したネジ釘13をネジ止めすることで、取り付ける。このようにして、下段のALC薄板1を取り付けたら、上段のALC薄板1の目地溝1cのある長辺小口面を、下段のALC薄板1の上部の取付け金具2の腕部2bに支承させ、前記目地溝1cの面に係合部2cを当接させて外れない状態で、上部を同様に取付け金具2で躯体に取り付ける。このようにして、順次ALC薄板1を上方に積み上げていき、ALC薄板1の縦横の目地溝にシーリング剤14を充填すれば、横壁の取付け作業は完了する。
【0041】
その後、必要に応じてこの横壁の面に、塗装などの仕上げ工事を施工する。
【0042】
なお、前記取付け金具2は必ずしも全数を事前にALC薄板1に取り付けておかなくてもよい。また、ALC薄板1を躯体に取り付けた後に、上部の長辺小口面の表面で、取付け金具2の無い部分に、シーリング剤を塗布しておくと、シーリング効果を高めることができる。
【0043】
(実施例2)
以下、前記取付け金具2を使用した本発明の第2の実施例を図面により説明する。図7は、側面図であり、図8は、底面図である。本実施例では、ALC薄板1を躯体に取り付けて、縦壁を形成した。
【0044】
木造建築物の外壁用柱11は、ALC薄板1の長さと同じ1820mm間隔で垂直に立設され、それぞれの間には3本の間柱12が、455mmの均等間隔で垂直に立設されている。そして、その外面には胴縁15が、図7に示すように、一定の間隔で水平に取り付けられ、図20に示した従来と同様の縦壁用躯体を構成する。
【0045】
予め、ALC薄板1の目地溝1cの無い長辺小口面に、腕部の透孔を通したスクリュウビスを釘止めすることで、該取付け金具2の位置と前記胴縁15の位置との関係が同じになるように、5つの取付け金具2を取り付けておく。同時に、敷設した際に上側にあたる短辺小口面にも、2つの取付け金具を同様に取り付けておく。
【0046】
先ず、水糸などを用いて水平レベルの位置決めをして、最下端用の取付け金具2を胴縁15に、基部の透孔を通したネジ釘をネジ止めすることで、取り付ける。そして、前記ALC薄板1を長辺小口面を横に向けて、ALC薄板1に取り付けた取付け金具2の基部を胴縁15の外面に当接させた状態で、基部の透孔を通したネジ釘をネジ止めすることで、取り付ける。このとき、隣接するALC薄板1の目地溝1cの面に係合部を当接させ外れないようにする。
【0047】
このようにして、下段のALC薄板1を取り付けたら、上段のALC薄板1の短辺小口面を、下段のALC薄板1の短辺小口面に取り付けた取付け金具2の腕部2bに支承させ、目地溝1bの外面に係合部を当接させ外れない状態で、上部を同様に取付け金具2で躯体に取り付ける。
【0048】
順次ALC薄板1を上方に積み上げていき、ALC薄板1の縦壁の目地溝にシーリング剤14を充填すれば、縦壁の取付け作業は完了する。
【0049】
(実施例3)
以下、本発明の異なる取付け金具2を使用した第3の実施例を図面により説明する。図9は、縦断面図であり、図10は、取付け金具の斜視図である。
【0050】
取付け金具6は、材質や外形寸法が前述の取付け金具2とほぼ同じであるが、係合部6e、6fと腕部6bが側面から見てT字状に形成され、相反対方向に伸びる該係合部6e、6fの高さは3.5mmで、先端にALC薄板1の目地溝に打ち込まれる高さ5mmの尖った尖頭部6g、6hがそれぞれ形成されている。
【0051】
厚さ37mmで、四辺の各小口面に3.5mm×7mmの目地溝が設けられた通常のALC薄板20と、本発明の取付け金具6とにより、横壁を形成する。
【0052】
実施例1と同様であるが、取付け金具6をALC薄板20の上部に取り付ける際に、ALC薄板20の上側目地溝20bに、取付け金具6の係合部6fに設けた尖頭部6hを、木槌などで打ち込んだり、予め孔を明けておいで挿入したり、自重でめり込ませたりすることで、固着する。また、対向するALC薄板20の下側目地溝20bに、取付け金具6の係合部6eに設けた尖頭部6gを、前記のような方法のいずれかで打ち込んで、取付作業は完了する。本実施例の場合、該取付け金具6の腕部6bにネジ孔6dを設けたが、設計によっては尖頭部を打ち込むことでスクリュウビスを省略することが可能である。
【0053】
さらに図示していないが、取付金具2と胴縁15を使用した前述の縦壁と同様に、取付け金具6と胴縁15を使用して縦壁を構成することも可能である。
【0054】
(実施例4)
以下、本発明の更に異なる取付け金具を使用した第4の実施例を図面により説明する。図11は、縦断面図であり、図12は、底面図であり、図13および図14は、取付け金具の斜視図である。
【0055】
取付金具3は、厚さ1.6mmのステンレス鋼板製で一体に形成されていて、基部3aと係合部3cとが直交する位置関係である。基部3aは、幅50mm、高さ50mmの四角い平板であり、腕部3bは基部3aの幅方向より30mm突き出た形状である。係合部3cは、該腕部3bの先端から高さ7mmで直角に形成されている。展開した輪郭のステンレス鋼板製の平板から、折り曲げて形成したが、各々の形状にステンレス鋼板を形成してから、溶接などで一体に形成してもよい。また、腕部3bには1つの透孔3dと、基部3aには3つの透孔3dとを設け、表面側をバーリング加工しておく。
【0056】
さらに、取付金具23は、躯体柱の相対する側面にネジ止めするために、その基部23aおよび腕部23bが、前記取付金具3の基部3aおよび腕部3bに対して、勝手違いの形状である。
【0057】
本実施例により、柱11や間柱12の側面に、取付け金具3、23をネジ釘13でネジ止めすることが可能になるという効果を有する。
【0058】
(実施例5)
以下、本発明の更に異なる取付け金具を使用した第5の実施例を図面により説明する。図15は、縦断面図であり、図16は、取付け金具の斜視図である。
【0059】
取付金具4の材質や形状などは、前実施例の取付金具3、23と、ほぼ同じであるが、係合部4e、4fは、高さ3.5mmで相反対方向に伸びていて、さらに、高さ5mmの尖頭部4g、4hがそれぞれ一体に形成されている。取付金具4は、上下逆さにして使用すれば、躯体柱の相対する面にネジ止めすることができるので、勝手違いの取付け金具は必要が無い。ただし、基部4aに設けるネジ孔4dに、両面からバーリング加工をしておく。図10に示した取付金具6と同様に、腕部4bにネジ孔4dを設けたが、設計によってはスクリュウビスによる釘止め作業を省略することが可能である。
【0060】
本実施例により、柱11や間柱12の側面に、取付け金具4をネジ釘13でネジ止めすることが可能となり、工数を大幅に省略できるという効果を有する。
【0061】
さらに図示していないが、取付金具2と胴縁15を使用した前述の縦壁と同様に、取付け金具4と胴縁15を使用して縦壁を構成することも可能である。
【0062】
(実施例6)
以下、本発明の異なる取付け金具を使用した第6の実施例を図面により説明する。図17は、縦断面図であり、図18は、取付け金具の斜視図である。
【0063】
取付金具7は、厚さ1.6mmのステンレス鋼板製で一体に形成されていて、基部7hは幅40mm、長さ70mmである。基部7hの腕部取付け位置両端から、同じ方向に一対の切れ込み7gを設け、該切れ込み7gで挟まれた部分7aは、幅、長さとも22mmで、基部7hより1mmだけ腕部7b方向に離れるように、切れ込み7gの最深点を結ぶ線の位置で曲げ加工をする。これにより、基部7hに対して腕部7bが弾性的に押圧可能となり、弾性の程度が切れ込み7gの長さで決まる。さらに、該部分7aのほぼ中央にネジ孔7dを設け、腕部側からバーリング加工を施す。
【0064】
腕部7bは、前記部分7aの端から大体直角に突出し、先端部には図で上向きの係合部7cと、下向きの係合部7jが設けられ、該係合部7jの先端に尖頭部7eが設けられる。係合部7jの幅を狭くしたのは、腕部7bから加工する都合による。該係合部7c、7jのほぼ中央に、基部側に向かって、リブ部7fを設ける。これらの基部7h、切れ込み7gで挟まれた部分7a、腕部7b、係合部7c、7j、尖頭部7eは、一体に成型されている。
【0065】
厚さ37mmで、四辺の各小口面に3.5mm×7mmの目地溝が設けられた通常のALC薄板1と、本発明の取付け金具7とにより、横壁を形成する。
【0066】
取付け方法は実施例1と同様であるが、取付け金具7をALC薄板1(図17では下側のもの)の上部に取り付ける際に、ALC薄板1の上側目地溝1cに、取付け金具7の係合部7jに設けた尖頭部7eを、木槌などで打ち込んだり、予め孔を明けておいで挿入したり、自重でめり込ませたりすることで固着する。それから、ネジ孔7dを貫通する釘13で木柱11に打ち付ける。このとき、切れ込み7gに挟まれた部分7aが、弾性により、木柱11に当接するまで変形し、係合部7jのリブはALC薄板1を木柱11に付勢させるように働くので、ALC薄板1はがたつくことがない。
【0067】
また、対向するALC薄板1(図17では上側のもの)の下側目地溝1cに、取付け金具7の係合部7cを係合させる。ここでも、係合部7cのリブ部7fにより、ALC薄板1はがたつくことがない。この作業を繰り返して外壁が形成されたら、隣接するALCパネルの四方の目地部にシーリング材を充填する。
【0068】
また、図2に示す取付け金具2および図10に示す取付け金具6においても、本実施例に示した切れ込みか、リブのいずれか、または両方を設ければ、同様の効果が得られる。
【0069】
(実施例7)
図19は、本発明の第7実施例の取付け金具の斜視図であり、取付け金具8は、厚さ1.6mmのステンレス鋼板製で一体に形成されていて、基板8hは幅40mm、長さ70mmで、幅、長さとも22mmの基部8aの中心部には、ネジ孔8dが穿孔され、バーリング加工されている。そして、その両端には、全長に切り込み8gが配設されている。
【0070】
腕部8bは前記基部8aからL字状に折り曲げられ、その先端部には全長にわたって、上向きの係合部8cと、この係合部8cの下端に一対の下向きの尖頭状の係合部8eが配設されており、これら基板8h、基部8a、腕部8b、係合部8c、8eは一体に成形されている。
【0071】
さらに、前記下向き係合部8eから上向き係合部8cにかけて、躯体側に突出するリブ8fが設けられている。また腕部8bは、基板8hの面からパネル側にやや突出させてある。
【0072】
この取付け金具8を使用してパネルを建築物の躯体に取り付ける方法は、前述の取付け金具7の場合と同様であるが、もし、前記下段パネル小口面の目地溝の一部に孔や窪みなどがあっても、少なくとも1個の尖頭状の係合部8eが確実に打ち込まれて固定することができる。さらに、図19に示したように、2つの係合部8eを設ければ、一層確実に固定できる。
【0073】
また、上向き係合部8c内のリブ8fと基部8aとで、上段パネルの下端目地溝を狭持し、基部8aの弾性によって、パネルは躯体の方向に付勢された状態で、固定されるので、パネルがふらつかない。
【0074】
なお、本発明の各実施例において、各金具の材質、寸法、およびALC薄板の寸法や加工寸法などは、必要に応じて適宜選定すればよい。
【0075】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のALC薄板は一方の長辺小口面の全長と、両方の短辺小口面の全長にだけ目地溝を設けたので、加工が簡略化される。また、このALC薄板を躯体に取り付けて外壁を構成する場合に、従来と同様な目地幅で済むし、横壁にも縦壁にも対応することができるので、壁面の意匠の多様化を図ることができる。
【0076】
図2に示した取付け金具2を使用し、ALC薄板の上端小口面をネジ釘で釘止めし、かつALC薄板の下端小口面を挟持することで、該ALC薄板を躯体に固定するので、外壁表面には、図20、図21に示されるようなネジ止め部の補修跡が残らず、優れた外観が得られる。
【0077】
あるいは、図10に示した取付け金具6を使用し、ALC薄板の上端小口面および下端小口面の目地溝内に、係合部の先端の尖頭部を打ち込むことで、該ALC薄板を躯体に固定するので、外壁表面には、図20、図21に示されるネジ止め部の補修跡が残らず、優れた外観が得られる。
【0078】
また、前記係合部の基部側に突出するリブにより、確実にALC薄板の目地溝に係合できるので、ALC薄板はがたつくことがない。
【0079】
前記上向きの係合部の下端には、目地溝内に打ち込む少なくとも1個の尖頭状の係合部を設けておけば、この係合部を下段パネル小口面目地溝に容易に、打ち込むことができる。この下向きの尖頭状の係合部は上向き係合部の下端中央、またはいずれかの端部に偏らせて1箇所に設けてもよいが、複数箇所に並列させて設けておき、この係合部を前記下段パネル小口面目地溝に打ち込めば、パネルの取付け強度を向上させることができる。そのうえ、もし前記下段パネル小口面の目地溝の一部に孔や窪みなどがあっても、少なくとも1個の尖頭状の係合部が確実に打ち込まれて固定することができるので好都合である。
【0080】
また、腕部取付け位置両端から、同じ方向に設ける一対の切れ込みに挟まれた部分を基部から浮かせておき、釘などで押さえつけるようにネジ止めすると、係合部がALC薄板を躯体に付勢させた状態で固定できるので、ALC薄板はがたつくことがない。
【0081】
また、実施例に示したいずれの取付け金具も、横壁および縦壁に対応できる。さらに、ALC薄板の表面には無関係に施工できるので、予め塗装仕上げしたALC薄板を取り付けることにより、工期を短縮することができるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のALC薄板と取付け金具により構成した第1の実施例を示す縦断面図である。
【図2】 第1の実施例に使用する取付け金具を示す斜視図である。
【図3】 第1の実施例に使用するALC薄板を示す正面図である。
【図4】 第1の実施例に使用するALC薄板を示す底面図である。
【図5】 第1の実施例を示す底面図である。
【図6】 第1の実施例を示す正面図である。
【図7】 本発明のALC薄板と取付け金具により構成した第2の実施例を示す側面図である。
【図8】 本発明のALC薄板と取付け金具により構成した第2の実施例を示す底面図である。
【図9】 本発明のALC薄板と取付け金具により構成した第3の実施例を示す縦断面図である。
【図10】 第3の実施例に使用する取付け金具を示す斜視図である。
【図11】 本発明のALC薄板と取付け金具により構成した第4の実施例を示す縦断面図である。
【図12】 第4の実施例を示す底面図である。
【図13】 第4の実施例に使用する取付け金具を示す斜視図である。
【図14】 第4の実施例に使用する取付け金具を示す斜視図である。
【図15】 本発明のALC薄板と取付け金具により構成した第5の実施例を示す縦断面図である。
【図16】 第5の実施例に使用する取付け金具を示す斜視図である。
【図17】 本発明のALC薄板と取付け金具により構成した第6の実施例を示す縦断面図である。
【図18】 第6の実施例に使用する取付け金具を示す斜視図である。
【図19】 第7の実施例に使用する取付け金具を示す斜視図である。
【図20】 従来の横壁を示す一部破断斜視図である。
【図21】 従来の縦壁を示す一部破断斜視図である。
【図22】 従来のALC薄板の一実施例を示す正面図である。
【図23】 従来のALC薄板の一実施例を示す底面図である。
【符号の説明】
1、10 ALC薄板
1a、10a 面取り
1b、1c、10b 目地溝
2、3、4、6、7、8、23 取付け金具
2a、3a、4a、6a、7h、8h、23a 基部
2b、3b、4b、6b、7b、8b、23b 腕部
2c、3c、4e、4f、6e、6f、7c、7j、8c、23c 係合部
2d、3d、4d、6d、7d、8d、23d ネジ孔
4g、4h、6g、6h、7e、8e 尖頭部
7a、8a 切れ込みで挟まれた部分
7f、8f リブ
7g、8g 切れ込み
11 柱
12 間柱
13 ネジ釘
14 シーリング剤
15 胴縁
16 スクリュウビス
20 ALC薄板
20a 面取り
20b 目地溝

Claims (9)

  1. 厚さ75mm未満のALC薄板であって、両方の短辺小口面の表面側の縁部の全長に、主面側から見て同じ幅を有するシーリング材充填用の目地溝が設けられ、一方の長辺小口面の表面側の縁部の全長に、主面側から見て前記短辺小口面に形成された目地溝の幅に対して2倍の幅を有するシーリング材充填用の目地溝が設けられ、他方の長辺小口面の表面側の縁部の全長には、目地溝が形成されていないことを特徴とするALC薄板。
  2. 請求項1に記載のALC薄板を取り付ける取付け金具であって、建築物の躯体に固定するための孔付き基部と、該基部に一体に形成され、前記ALC薄板の長辺小口面に沿って伸び出る腕部と、該腕部に一体に形成され、前記長辺小口面の目地溝内に係合する係合部とを有し、前記係合部が、ALC薄板の長辺小口面の目地溝に係合するための少なくとも1つの係合部片からなり、前記腕部には、前記ALC薄板の目地溝がない側の長辺小口面に止めるネジ釘を通すための、1つ以上のネジ孔が設けられていることを特徴とする取付け金具。
  3. 前記基部が、取り付けるALC薄板の表面と平行な平板であることを特徴とする請求項2に記載の取付け金具。
  4. 前記基部が、取り付けるALC薄板の表面と直交する平板であることを特徴とする請求項2に記載の取付け金具。
  5. 前記基部と、前記腕部と、前記係合部とが平板を折り曲げて一体に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の取付け金具。
  6. 両方の長辺小口面の表面側の縁部の全長に、シーリング材充填用の目地溝が設けられているALC薄板を取り付ける金具であり、建築物の躯体に固定するための孔付き基部と、該基部に一体に形成され、前記ALC薄板の小口面に沿って伸び出る腕部と、該腕部に一体に形成され、前記小口面の目地溝内に係合する係合部とを有し、前記基部の腕部の取付け位置両端から、同じ方向に一対の切れ込みが形成され、該切れ込みに挟まれた部分が腕部方向に傾斜を有し、該腕部が該切れ込みに挟まれた部分を介して基部に接続しており、前記腕部が、孔付き基部に対して弾性的に押圧可能になっていて、前記切れ込みに挟まれた部分に固定用孔が設けられ、かつ、前記係合部が、隣接するALC薄板の対向する小口面の各々の目地溝に係合するために反対方向に伸びる2つの係合部片からなるALC薄板の取付け金具
  7. 前記基部と、前記腕部と、前記係合部とが平板を折り曲げて一体に形成されることを特徴とする請求項に記載のALC薄板の取付け金具
  8. 前記係合部の先端に、目地溝内に打ち込む少なくとも1個の尖頭部を有することを特徴とする請求項6または7に記載のALC薄板の取付け金具
  9. 前記係合部には、基部側に突出するリブが設けられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のALC薄板の取付け金具
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