JP6497924B2 - 木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造 - Google Patents
木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造Info
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[1]木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造であって、木材で構成された構造部材の屋外側に取り付けられた構造用面材と、構造用面材の屋外側に取り付けられた厚さが12mm以上80mm以下であるフェノールフォーム保温板と、フェノールフォーム保温板の屋外側の面に取り付けられた不燃性の胴縁材と、不燃性の胴縁材の屋外側の面に外装部材として配置され、パネル本体部を有する軽量気泡コンクリートパネルと、を備え、軽量気泡コンクリートパネルは、密度dが200kg/m3以上550kg/m3以下であり、かつ厚さtが45mm以上100mm以下であり、かつ強熱減量値αが5wt%以上15wt%以下であり、かつd(kg/m3)×t3(mm3)×α(wt%)÷100000の値が5000以上30000以下であり、かつパネル本体部を構成する全固形分に対して、1wt%以上20wt%以下の輻射熱吸収反射成分を有する、ことを特徴とする。
また、構造用面材にはフェノールフォーム保温板が取り付けられている。このフェノールフォーム保温板によれば、構造用面材に対してフェノールフォーム保温板が分断されることなく連続して取り付けられることになるので、外壁構造の断熱性能を向上させることができる。従って、優れた耐火性能と断熱性能とを有し、施工が容易であると共に低コストである木造建築物の耐火外壁構造が提供される。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態として、木造枠組壁工法の枠組体に外張り断熱耐火外壁構造を適用した例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造の一部を切り欠いて示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造を示した水平断面図である。
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造1は、建物の屋内と屋外とを仕切る壁体であり、枠組壁工法に用いられる構造を採用している。外張り断熱耐火外壁構造1は、構造部材2と、構造部材2の屋内側に設けられた内装部材3と、構造部材2の屋外側に設けられた断熱板材4と、断熱板材4の屋外側に設けられた外装部材5と、を備えている。
構造部材2は、壁体の骨格となる部材であり、建築物の荷重及び外力を支える。構造部材2は、複数のたて枠材21と、複数のたて枠材21の上端同士を連結する上枠材22と、複数のたて枠材21の下端同士を連結する下枠材23と、を有している。そして、構造部材2の屋外側の面には、構造用面材24がたて枠材21に取り付けられている。
外張り断熱耐火外壁構造1の建築様式は木造枠組壁工法であるので、建物の断熱性能をより高めるために、互いに隣り合うたて枠材21間に充填断熱材25を配置してもよい。充填断熱材25としては、例えば密度が24kg/m3のグラスウールや、ロックウールなどを用いることができる。なお、外張り断熱耐火外壁構造1の建築様式が木造軸組工法である場合には、柱と間柱の間及び間柱と間柱の間に断熱材を配置してもよい。
内装部材3は、壁体の屋内側の壁面を構成し、屋内で発生した火災などの炎から構造部材2を保護する。内装部材3は、構造部材2の屋内側に取り付けられた強化石膏ボードによる内装下張層31と、内装下張層31の屋内側に積層された強化石膏ボードによる内装上張層32とを有している。
断熱板材4は、外張り断熱工法に用いられる断熱性を有する部材であり、外張り断熱耐火外壁構造1に対して優れた断熱性能を付与する。断熱板材4は、構造用面材24の屋外側に取り付けられている。例えば、断熱板材4は、テープ、接着材を用いて、構造用面材24の屋外側に貼り付けられている。断熱板材4には、JIS―A―9511によるフェノールフォーム保温板41を利用することができる。フェノールフォーム保温板41の厚さは、12mm以上80mm以下であり、好ましくは20mm以上60mm以下であり、より好ましくは20mm以上40mm以下である。フェノールフォーム保温板41の厚さが12mm未満の場合には断熱性能が低下する。フェノールフォーム保温板41の厚さが80mmを超えた場合には、壁厚が大きくなるため、実用的ではない。
外装部材5は、壁体の屋外側の壁面を構成し、屋外で発生した火災などの炎から構造部材2を保護する。外装部材5は、断熱板材4の屋外側の面に形成された防水層51と、防水層51の屋外側の面に形成された通気層52(図2参照)と、通気層52の屋外側に配置された軽量気泡コンクリートパネル層53と、を有している。
構造部材2は、複数のたて枠材21と、複数のたて枠材21の上端同士を連結する上枠材22と、複数のたて枠材21の下端同士を連結する下枠材23とを備え、たて枠材21の屋外側の面に構造用面材24を取り付けて構成した。たて枠材21、上枠材22及び下枠材23は、いずれも枠組壁工法用の木材として用いられる38mm×89mmの断面寸法を備えた長尺の木製部材を用いた。たて枠材21、上枠材22及び下枠材23はビスで互いに止め付けた。たて枠材21は、455mmの等間隔で立設させた。構造用面材24には厚さが9mmである構造用合板を用いた。構造用面材24は、たて枠の屋外側の面に釘を打ち付けて、たて枠材21、上枠材22及び下枠材23に固定した。また、隣り合うたて枠材21の間に充填断熱材25として、密度24kg/cm3のグラスウールを充填した。
内装部材3は、構造部材2の屋内側の面に内装下張層31と内装上張層32とを積層して構成した。内装下張層31及び内装上張層32には厚さが21mmの強化石膏ボードを用いた。内装下張層31は、複数の強化石膏ボードを互いに突き合わせ接合して構成し、石膏ボード用の釘によって構造部材2に打ち付けた。内装上張層32は、複数の強化石膏ボードを互いに突き合わせ接合して構成し、内装下張層31を貫通する釘によって構造部材2に打ち付けた。また、内装上張層32の目地部には、内装材用目地処理剤としてJIS―A―6914による石膏ボード用目地処理剤を施し平滑に仕上げた。
断熱板材4は、厚さが35mmの複数のフェノールフォーム保温板41(メーカー:旭化成建材(株)、商品名:ネオマフォーム)を互いに付き合わせ接合し、構造用面材24の屋外の面にテープを用いて固定した。フェノールフォーム保温板41の縦横の目地部には専用のテープを貼り付けた。
外装部材5は、断熱板材4の屋外側に配置された防水層51と、該防水層51の屋外側の面に形成された通気層52と、胴縁材52aの屋外側の面に配置された軽量気泡コンクリートパネル層53と、で構成した。防水層51は透湿防水シート(メーカー:旭・デユポン・フラッシュ・スパンプロダクト(株)、商品名:タイベック)であり、接着剤を用いて構造用面材24の屋外側の面に貼り付けた。透湿防水シートの継ぎ目は縦横とも90mmで重ね合わせした。通気層52は、防水層51の屋外側に、水平方向に所定間隔をあけて配置した複数の胴縁材52aを釘を用いて構造用面材24に打ち付けて設置した。不燃性の胴縁材52aとして、硬質木片セメント板(メーカー:ニチハ(株)、商品名:センチュリー耐火野地板)を18mm×90mmの断面寸法に切断した細長い薄板状の部材を用いた。軽量気泡コンクリートパネル層53は、複数の軽量気泡コンクリートパネル54を突き付け接合して構成させた。軽量気泡コンクリートパネル54は、不燃性の胴縁材52a及び断熱板材4を貫通するビスによって構造部材2に固定した。また、軽量気泡コンクリートパネル層53の目地部には、アクリル系のシーリング材を施した。
珪石(実施例1〜4、9〜12及び比較例2ではブレーン値(粒子1gあたりの表面積)が7500cm2/gの珪石、実施例5〜8、13〜16及び比較例1、3ではブレーン値が3000cm2/gの珪石使用)及び解砕屑(半硬化体を破砕したもの)に水を加えスラリーとしたものに、輻射熱吸収反射成分を加え、撹拌し、続いて生石灰粉末、早強ポルトランドセメント、及び二水石膏を添加し、撹拌した。次に金属アルミニウム粉末(発泡剤)を添加し、型枠に注入し、発泡・予備硬化させた。次に半硬化体をピアノ線で所定の厚さに切断した。続いて、半硬化体を飽和水蒸気雰囲気下で180℃10時間オートクレーブ養生して軽量気泡コンクリートパネルを得た。それぞれの実施例及び比較例の配合表を表1に示す。
軽量気泡コンクリートパネルから100(mm)×100(mm)×40(mm)のサイズのブロックを切りだし、そのブロックを105℃の乾燥機で恒量になるまで乾燥させた。その乾燥後の重量W(kg)と、そのブロックの体積V(m3)を測定し、式(1)により密度dを算出した。
密度d(kg/m3)=W/V…(1)
ノギスによって、軽量気泡コンクリートパネルの厚さtを1mmの単位まで測定した。
軽量気泡コンクリートを粉末状になるまで粉砕した。その粉末を105℃の乾燥機で恒量になるまで乾燥させた。その乾燥後の重量をA(g)とした。次に、その恒量になった粉末を1000℃の電気炉を用いて1時間加熱した。加熱後の重量を計測し、その重量をB(g)とした。強熱減量値αは式(2)により算出した。
強熱減量値α(wt%)=(A−B)×100/B…(2)
軽量気泡コンクリートパネルから600(mm)×600(mm)×40(mm)のサイズのブロックを切りだし、そのブロックの重量C(kg)を計測した。そのブロックを105℃の乾燥機で恒量になるまで乾燥させた後に、その乾燥後の重量D(kg)を計測した。軽量気泡コンクリートパネルの含水率βは式(3)により算出した。
含水率β(wt%)=(C−D)×100/D…(3)
X線回折による内部標準法によって、軽量気泡コンクリートパネル中の輻射熱吸収反射成分の定量を行った。以下にその手順を記す。
(a)絶乾の粉末状の軽量気泡コンクリートに幾つかの既知量の粉末状の輻射熱吸収反射成分を混ぜ、よく混合させた。
(b)上記の混合された粉末状の試料についてX線回折測定を行い、輻射熱吸収反射成分特有の回折強度を計測した。
(c)以上の結果を基に、横軸に軽量気泡コンクリートと輻射熱吸収反射成分の合計量に対する輻射熱吸収反射成分の割合(wt%)、縦軸に各々で観測された輻射熱吸収反射成分特有の回折強度をプロットし、検量線を作成した。未知の輻射熱吸収反射成分の含有量の軽量気泡コンクリートについて、X線回折の測定を行い、輻射熱吸収反射成分特有の回折強度を計測し、上記で求めた検量線から、軽量気泡コンクリート中に含有している輻射熱吸収反射成分の定量を行った。
外張り断熱耐火外壁構造の試験体を屋外または屋内から、ISO−834に規定された加熱曲線に従って1時間の加熱を行い、その後、加熱を止め、そのまま3時間放置した。その後、試験体を解体し、構造部材2の炭化や着火の有無を目視で検査した。また、屋外からの加熱の時には、構造用面材24の屋外側の表面に取り付けた熱電対で取得した温度データをデータロガーで1分ごとに記録した。その時に記録された最高温度を「構造用面材24の最高温度」と呼ぶ。
続いて、木造建築物の耐火外壁構造の好適な第2の実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造は、輻射熱吸収反射成分Sが塗膜層57として、パネル本体部56上に形成されている点で第1の実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造1と相違する(図3の(b)部参照)。以下、軽量気泡コンクリートパネル58について詳細に説明する。
珪石(実施例17,18,21,22及び比較例4,6ではブレーン値が7500cm2/gの珪石、実施例19,20,23,24及び比較例5,7ではブレーン値が3000cm2/gの珪石を使用)および解砕屑(半硬化体を破砕したもの)に水を加え、撹拌し、続いて生石灰粉末、早強ポルトランドセメント、及び二水石膏を添加し、撹拌した。次に金属アルミニウム粉末(発泡剤)を添加し、型枠に注入し、60℃にて3時間発泡及び硬化させ、半硬化体を得た。次に半硬化体をピアノ線で所定の厚さに切断した。続いて、半硬化体を飽和水蒸気雰囲気下で180℃10時間オートクレーブ養生して軽量気泡コンクリートパネルを得た。それぞれの実施例および比較例の配合表を表3に示す。
輻射熱吸収反射成分65.0重量部、水21.0重量部、アクリル樹脂12.5重量部を混合させ、撹拌機を用いて、30分間、撹拌させた。その後、その混合物に硬化剤1.5重量部を添加し、15分間、撹拌させた。得られたものが塗料である。その塗料をパネル本体部56の室内面56aに垂らし、刷毛塗りでパネル本体部56の室内面56aに均一に塗布した。塗布量は、パネル本体部56の単位面積当たり1kg/m2とした。塗布した後、室温で乾燥させ、パネル本体部56の室内面56aにしっかり付着した、塗膜層57を形成させた。その塗膜層57の厚さは50μmである。
実施例1〜16と同様の評価方法に基づいて、実施例17〜24及び比較例4〜7を実施した。
Claims (9)
- 木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造であって、
木材で構成された構造部材の屋外側に取り付けられた構造用面材と、
前記構造用面材の屋外側に取り付けられた厚さが12mm以上80mm以下であるフェノールフォーム保温板と、
前記フェノールフォーム保温板の屋外側の面に取り付けられた不燃性の胴縁材と、
前記胴縁材の屋外側の面に外装部材として配置され、パネル本体部を有する軽量気泡コンクリートパネルと、を備え、
前記軽量気泡コンクリートパネルは、密度dが200kg/m3以上550kg/m3以下であり、かつ厚さtが45mm以上100mm以下であり、かつ強熱減量値αが5wt%以上15wt%以下であり、かつd(kg/m3)×t3(mm3)×α(wt%)÷100000の値が3281以上15000以下であり、
前記パネル本体部は、前記パネル本体部を構成する全固形分に対して、4wt%以上10wt%以下の輻射熱吸収反射成分を有し、
前記強熱減量値αは、α(wt%)=(重量A−重量B)×100/重量Bにより算出され、前記重量Aは、恒量になるまで乾燥させた前記軽量気泡コンクリートパネルの粉末の重量であり、前記重量Bは、前記重量Aである前記粉末を1000℃で1時間加熱した後の前記粉末の重量である、ことを特徴とする木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。 - 木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造であって、
木材で構成された構造部材の屋外側に取り付けられた構造用面材と、
前記構造用面材の屋外側に取り付けられた厚さが12mm以上80mm以下であるフェノールフォーム保温板と、
前記フェノールフォーム保温板の屋外側の面に取り付けられた不燃性の胴縁材と、
前記胴縁材の屋外側の面に外装部材として配置され、パネル本体部及び前記パネル本体部における前記構造部材と対面する室内面上に形成された塗膜層を有する軽量気泡コンクリートパネルと、を備え、
前記軽量気泡コンクリートパネルは、密度dが200kg/m 3 以上550kg/m 3 以下であり、かつ厚さtが45mm以上100mm以下であり、かつ強熱減量値αが5wt%以上15wt%以下であり、かつd(kg/m 3 )×t 3 (mm 3 )×α(wt%)÷100000の値が3325以上15000以下であり、
前記塗膜層は、前記パネル本体部を構成する全固形分に対して、2wt%以上6wt%以下の輻射熱吸収反射成分を有し、
前記強熱減量値αは、α(wt%)=(重量A−重量B)×100/重量Bにより算出され、前記重量Aは、恒量になるまで乾燥させた前記軽量気泡コンクリートパネルの粉末の重量であり、前記重量Bは、前記重量Aである前記粉末を1000℃で1時間加熱した後の前記粉末の重量である、ことを特徴とする木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。 - 前記輻射熱吸収反射成分は、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム或いは二酸化チタンから選ばれる一種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
- 前記軽量気泡コンクリートパネルの密度dは、250kg/m3以上400kg/m3以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
- 前記軽量気泡コンクリートパネルの厚さtは、45mm以上75mm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
- 前記軽量気泡コンクリートパネルの強熱減量値αは、8wt%以上10wt%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
- 前記d(kg/m3)×t3(mm3)×α(wt%)÷100000の値は、6000以上15000以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
- 前記塗膜層が、前記輻射熱吸収反射成分を5wt%以上80wt%以下含む塗料を、前記パネル本体部における前記室内面の単位面積当たり、0.7kg/m2以上10kg/m2以下の量で前記室内面上に塗布して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
- 前記構造部材を構成するたて枠とたて枠との間、又は前記構造部材を構成する柱と間柱及び間柱と間柱の間に、断熱材が充填されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
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