JP6497924B2 - 木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造 - Google Patents

木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造

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Description

本発明は、木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造に関するものである。
最近、木造耐火建築物に関する研究がさかんに行われている。その背景としては、国の主導による木材のさらなる利用の推進、木造建築物の一層の普及、都市部における地震等による防災の観点からの建築物の耐火性能の向上などが挙げられる。
木造耐火建築物を構築するためには、建築物の主要構造部である、外壁、床、梁、柱、屋根、階段を耐火構造とすることが求められる。また、木造耐火建築物には、火災が発生した場合に、消火後も建築物が倒壊せずに自立していることが求められる。
建築物の外壁が耐火構造であると認められるためには、耐火性能評価試験に合格しなければならない。評価試験方法はJIS−A−1304に規定されている。その試験方法は、外壁構造の試験体に対して屋外側からの加熱または屋内側からの加熱を計2回行う。加熱条件はISO−834で規定されており、その条件は、試験体を設置した炉内の温度を1時間かけて約950℃まで上昇させた後、加熱を止めてそのまま3時間放置するといったものである。
従来の木造建築物の耐火外壁構造では、木材で構成された構造部材が炭化や着火しないように不燃材料で被覆されている。耐火外壁構造では、構造部材の屋内側に不燃性の内装部材が配置され、屋外側に不燃性の外装部材が配置される。特に、外装部材については、さかんに研究開発が行われている。従来の木造建築物の耐火外壁構造としては、特許文献1及び特許文献2に記載された構造が知られている。
特許文献1には、木材で構成された構造部材の屋外側に設けられた外装部材が開示されている。外装部材は、屋外側に設置された第1被覆層と、第2被覆層とが積層されてなる。第1被覆層は軽量気泡コンクリートパネルを突き付け接合されてなり、第2被覆層はケイ酸カルシウム板を突き付け接合されてなる。軽量気泡コンクリートパネルの目地部と、ケイ酸カルシウム板の目地部とは、互いに重ならないように配置されている。この外壁構造では、断熱工法として構造部材の中にロックウールなどを充填したいわゆる充填断熱工法が適用されている。
特許文献2には、断熱性能を有する外張り断熱工法の耐火外壁構造が開示されている。特許文献2に開示された外装部分は、1層のラスモルタル層と、3層のスラグせっこう板と、2層のアルミニウム箔層とが、重ね張りされてなる。
特許文献3には、外壁構造が開示されている。この外壁構造は、3枚のケイ酸カルシウム板を積層させた構造である。3枚のケイ酸カルシウム板は、目地部分が重ならないように積層されている。最も外側に配置されたケイ酸カルシウム板と、最も内側に配置されたケイ酸カルシウム板とは、互いに同じ密度及び厚さ寸法を有する。これらケイ酸カルシウム板に挟まれた別のケイ酸カルシウム板は、最も外側に配置されたケイ酸カルシウム板と、最も内側に配置されたケイ酸カルシウム板とは、異なる密度と厚さ寸法を有している。
特開2005−299194号公報 特開2013−113033号公報 特開2011−256536号公報
従来の木造建築物の外壁構造の外装部材として、種類の異なる材料を複数重ねて張り合わせた構造や、同じ材料を複数重ねて張り合わせた構造が挙げられる。特許文献1の外壁構造では、軽量気泡コンクリートパネルとケイ酸カルシウム板とを重ね張りし、かつ目地部を互いにずらしている。また、特許文献2の外壁構造では、ラスモルタル層と、スラグせっこう板と、アルミニウム箔層と、を重ね張りし、かつ目地部を互いにずらしている。外装部材を数種類或いは複数重ねて張り合わせて、また目地部を互いにずらすのは耐火性能を高めるためである。
しかし、外装部材が数種類存在すると、材料の調達や品質管理が非常に手間となり、コストアップに繋がっていた。また、外装部材を複数施工することにより工数が増加し、工期が長くなる場合があった。さらに外装部材の目地部を互いにずらす必要があったため、設計及び施工が複雑になり工期も長くなる傾向があった。
また、木造建築物の分野では、外壁構造の断熱性能をさらに高めることが望まれている。
そこで本発明は、このような従来技術の有する課題を解決するものであり、優れた耐火性能と断熱性能とを有し、施工が容易であると共に低コストである木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下の[1]〜[10]に関する。
[1]木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造であって、木材で構成された構造部材の屋外側に取り付けられた構造用面材と、構造用面材の屋外側に取り付けられた厚さが12mm以上80mm以下であるフェノールフォーム保温板と、フェノールフォーム保温板の屋外側の面に取り付けられた不燃性の胴縁材と、不燃性の胴縁材の屋外側の面に外装部材として配置され、パネル本体部を有する軽量気泡コンクリートパネルと、を備え、軽量気泡コンクリートパネルは、密度dが200kg/m以上550kg/m以下であり、かつ厚さtが45mm以上100mm以下であり、かつ強熱減量値αが5wt%以上15wt%以下であり、かつd(kg/m)×t(mm)×α(wt%)÷100000の値が5000以上30000以下であり、かつパネル本体部を構成する全固形分に対して、1wt%以上20wt%以下の輻射熱吸収反射成分を有する、ことを特徴とする。
また、[2]輻射熱吸収反射成分は、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム或いは二酸化チタンから選ばれる一種以上であってもよい。
また、[3]軽量気泡コンクリートパネルの密度dは、250kg/m以上400kg/m以下であってもよい。
また、[4]軽量気泡コンクリートパネルの厚さtは、45mm以上75mm以下であってもよい。
また、[5]軽量気泡コンクリートパネルの強熱減量値αは、8wt%以上13wt%以下であってもよい。
また、[6]d(kg/m)×t(mm)×α(wt%)÷100000の値は、6000以上15000以下であってもよい。
また、[7]パネル本体部は、パネル本体部を構成する全固形分に対して、1wt%以上20wt%以下の輻射熱吸収反射成分を有することとしてもよい。
また、[8]軽量気泡コンクリートパネルは、パネル本体部における構造部材と対面する室内面上に形成された塗膜層をさらに有し、塗膜層が輻射熱吸収反射成分を含有することとしてもよい。
また、[9]塗膜層が、輻射熱吸収反射成分を5wt%以上80wt%以下含む塗料を、パネル本体部における室内面の単位面積当たり、0.7kg/m以上10kg/m以下の量で室内面上に塗布して形成されていることとしてもよい。
また、[10]構造部材を構成するたて枠とたて枠との間、又は構造部材を構成する柱と間柱及び間柱と間柱の間に、断熱材が充填されてもよい。
上述した外壁構造は、外装部材として軽量気泡コンクリートパネルを備えている。この軽量気泡コンクリートパネルは、上述した設計パラメーターを有しているため、充分なパネル強度が確保され、パネル重量の増加を抑制しつつ、高い耐火性能を発揮することが可能である。パネル重量の増加が抑制されるので、施工性や建築物の耐震性の低下が抑制される。また、外装部材が一層の軽量気泡コンクリートパネルであるので、目地部を互いにずらすといった作業も不要になる。
また、構造用面材にはフェノールフォーム保温板が取り付けられている。このフェノールフォーム保温板によれば、構造用面材に対してフェノールフォーム保温板が分断されることなく連続して取り付けられることになるので、外壁構造の断熱性能を向上させることができる。従って、優れた耐火性能と断熱性能とを有し、施工が容易であると共に低コストである木造建築物の耐火外壁構造が提供される。
ここで、軽量気泡コンクリートの設計パラメーターと耐火性能との関係について詳細に説明する。木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造における外装部材を一層の軽量気泡コンクリートパネルで構成するには、軽量気泡コンクリートパネルの耐火性能と大きく関わる以下の3個のパラメーターを考慮して、軽量気泡コンクリートパネルを設計する必要がある。3個のパラメーターとは、(1)軽量気泡コンクリートパネルの密度、(2)軽量気泡コンクリートパネルの厚さ、及び(3)軽量気泡コンクリートが有する「水」の量、つまり軽量気泡コンクリートを構成するケイ酸カルシウム水和物が有する「水」の量である。
軽量気泡コンクリートパネルの耐火性能を決める要因は何であるか、本発明者らは鋭意研究を重ねた。研究の結果、本発明者らは、軽量気泡コンクリートパネルの耐火性能は、軽量気泡コンクリートが有する「水」の量で決まることを見出した。ここで述べる「水」は、軽量気泡コンクリートを構成しているケイ酸カルシウム水和物が有する「水」である。つまり、ケイ酸カルシウムに水和している「水」である。軽量気泡コンクリートパネルの耐火性能は、ケイ酸カルシウム水和物が有する「水」の量が多いほど向上する。
ここで、軽量気泡コンクリートパネルの密度を大きくすれば、ケイ酸カルシウム水和物の絶対量が増えるため、耐火性能は向上する。逆に軽量気泡コンクリートパネルの密度を小さくすれば、ケイ酸カルシウム水和物の絶対量が減るため耐火性能は低下する。一方、密度を大きくしすぎると、パネル重量が増えるため、施工性が低下したり、建物重量の増加により耐震性能が低下する場合がある。また、密度を小さくしすぎると、軽量気泡コンクリートパネルの物理的強度が不足する場合がある。
また、軽量気泡コンクリートパネルの厚さを大きくすれば、ケイ酸カルシウム水和物の絶対量が増えるため、耐火性能は向上する。逆に厚さを薄くすれば、ケイ酸カルシウム水和物の絶対量が減るため、耐火性能は低下する。一方、軽量気泡コンクリートパネルの厚さを大きくしすぎると、パネル重量が増えるため、施工性が低下したり、建物重量の増加により耐震性能が低下する場合がある。また、厚さを薄くしすぎると、軽量気泡コンクリートパネルの物理的強度が不足する場合がある。
また、軽量気泡コンクリートが有する水の量、つまり軽量気泡コンクリートパネルを構成するケイ酸カルシウム水和物が有する水の量が増加すると、耐火性能は向上する。逆にケイ酸カルシウム水和物が有する水の量が減少すると、耐火性能は低下する。しかし、軽量気泡コンクリート中のケイ酸カルシウム水和物が有する水を実際に定量的に得ることは困難である。そこで、本発明では軽量気泡コンクリートが有する水の量は、軽量気泡コンクリートを加熱して減少した重量を軽量気泡コンクリートが有する水の量と定義する。その値を「強熱減量値」と定義する。従って、強熱減量値の値が大きいほど耐火性能が高いといえる。
上述したように、外壁構造に用いる軽量気泡コンクリートパネルは、耐火性能に深く関連する強熱減量値のみを考慮して設計することは適当でない。すなわち、耐震性能や施工性などに関わるパネル強度やパネル重量を考慮しつつ、軽量気泡コンクリートパネルの密度、厚さ及び強熱減量値を総合的に評価する必要がある。
本発明者らは上述した密度、厚さ及び強熱減量値の各パラメーターについて鋭意検討を重ねた結果、(1)密度dが200kg/m以上550kg/m以下であり、(2)厚さtが45mm以上100mm以下であり、(3)強熱減量値αが5wt%以上15t%以下であり、かつd(kg/m)×t(mm)×α(wt%)÷100000の値が5000以上30000以下であり、かつ軽量気泡コンクリートパネルのパネル本体部を構成する全固形分に対して、1wt%以上20wt%以下の輻射熱吸収反射成分を有する、場合に、パネル重量とパネル強度と耐火性能との全てについて要求を満たすことが可能であることを見出した。
本発明によれば、優れた耐火性能と断熱性能とを有し、施工が容易であると共に低コストである木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造の一部を切り欠いて示す斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造を示す水平断面図である。 図3の(a)部は、第1実施形態に係る軽量気泡コンクリートパネルを示す図であり、図3の(b)部は、第2実施形態に係る軽量気泡コンクリートパネルを示す図である。
[第1の実施形態]
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態として、木造枠組壁工法の枠組体に外張り断熱耐火外壁構造を適用した例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造の一部を切り欠いて示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造を示した水平断面図である。
ここで、「木造建築物」とは、柱、梁、桁などの主要構造部材を木材で形成した建築物の総称であり、建築物の構法とは、木造軸組工法や木造枠組壁工法などの構法をいう。「木材」とは、木製の材料のことをいい、木材繊維を加工して形成される木質材料も含む。「構造部材」とは、木造軸組構法の軸組材(梁、柱、筋交い等)や木造枠組壁構法の枠組体といった建築物の荷重及び外力を支える主要な部分をいう。「耐火構造」、「耐火性能」の用語の意義は、建築基準法第2条及び建築基準法施行令第107条に定めるものと同義である。
<外張り断熱耐火外壁構造1>
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造1は、建物の屋内と屋外とを仕切る壁体であり、枠組壁工法に用いられる構造を採用している。外張り断熱耐火外壁構造1は、構造部材2と、構造部材2の屋内側に設けられた内装部材3と、構造部材2の屋外側に設けられた断熱板材4と、断熱板材4の屋外側に設けられた外装部材5と、を備えている。
<構造部材2>
構造部材2は、壁体の骨格となる部材であり、建築物の荷重及び外力を支える。構造部材2は、複数のたて枠材21と、複数のたて枠材21の上端同士を連結する上枠材22と、複数のたて枠材21の下端同士を連結する下枠材23と、を有している。そして、構造部材2の屋外側の面には、構造用面材24がたて枠材21に取り付けられている。
たて枠材21、上枠材22及び下枠材23は、いずれも枠組壁工法用の木材として知られる例えば38mm×89mmの断面寸法を備えた長尺の木製部材であり、釘またはビス等で互いに止め付けられている。たて枠材21は、455mm以下の水平間隔で等間隔に立設されている。
構造用面材24は、たて枠材21、上枠材22及び下枠材23で構成された骨組に釘打ちで固定され、屋外側の面を構成している。このように、たて枠材21、上枠材22、下枠材23及び構造用面材24が一体化されることにより、構造部材2としての性能を発揮する。
構造用面材24には、例えば厚さが9mmであり、密度が0.55g/cmの日本農林規格に適合する構造用合板を用いることができる。また、構造用面材24には、例えば厚さが9mm以上の構造用合板、厚さが9mm以上の構造用パネル、厚さが9mm以上のパーティクルボード、厚さが12mm以上のシージングボード等の木質系ボード、厚さが12mm〜25mmの硬質木片セメント板、厚さが9mm以上のパルプセメント板、厚さが9mm以上のフレキシブル板、厚さが9mm以上のケイ酸カルシウム板、厚さが9mm以上の火山性ガラス質複層板、厚さが12mm以上の石膏ボード等を用いることができる。
<充填断熱材25>
外張り断熱耐火外壁構造1の建築様式は木造枠組壁工法であるので、建物の断熱性能をより高めるために、互いに隣り合うたて枠材21間に充填断熱材25を配置してもよい。充填断熱材25としては、例えば密度が24kg/mのグラスウールや、ロックウールなどを用いることができる。なお、外張り断熱耐火外壁構造1の建築様式が木造軸組工法である場合には、柱と間柱の間及び間柱と間柱の間に断熱材を配置してもよい。
<内装部材3>
内装部材3は、壁体の屋内側の壁面を構成し、屋内で発生した火災などの炎から構造部材2を保護する。内装部材3は、構造部材2の屋内側に取り付けられた強化石膏ボードによる内装下張層31と、内装下張層31の屋内側に積層された強化石膏ボードによる内装上張層32とを有している。
内装下張層31は、複数の強化石膏ボードの小口面を互いに突き合わせ接合して構成されている。内装下張層31は、石膏ボード用の釘によって構造部材2に固定されている。
内装上張層32は、複数の強化石膏ボードの小口面を互いに突き合わせ接合して構成されている。内装上張層32は、内装下張層31を貫通する石膏ボード用の釘によって構造部材2に固定されている。
これら強化石膏ボードには、厚さが21mm以上であり、かさ比重が0.75以上のものを用いることが好ましい。このような強化石膏ボードによれば、屋内での火災発生時に強化石膏ボード内の水分が火災の熱によって水蒸気化されるため、火災の熱を消費して熱の伝達を遅らせることが可能になる。従って、構造部材2の炭化や着火を防ぐことができ、屋内側からの熱に対する耐火性能を確保することができる。なお、内装部材3は、内装下張層31と内装上張層32との間に挟み込まれたアルミニウム箔を有していてもよい。
<断熱板材4>
断熱板材4は、外張り断熱工法に用いられる断熱性を有する部材であり、外張り断熱耐火外壁構造1に対して優れた断熱性能を付与する。断熱板材4は、構造用面材24の屋外側に取り付けられている。例えば、断熱板材4は、テープ、接着材を用いて、構造用面材24の屋外側に貼り付けられている。断熱板材4には、JIS―A―9511によるフェノールフォーム保温板41を利用することができる。フェノールフォーム保温板41の厚さは、12mm以上80mm以下であり、好ましくは20mm以上60mm以下であり、より好ましくは20mm以上40mm以下である。フェノールフォーム保温板41の厚さが12mm未満の場合には断熱性能が低下する。フェノールフォーム保温板41の厚さが80mmを超えた場合には、壁厚が大きくなるため、実用的ではない。
<外装部材5>
外装部材5は、壁体の屋外側の壁面を構成し、屋外で発生した火災などの炎から構造部材2を保護する。外装部材5は、断熱板材4の屋外側の面に形成された防水層51と、防水層51の屋外側の面に形成された通気層52(図2参照)と、通気層52の屋外側に配置された軽量気泡コンクリートパネル層53と、を有している。
防水層51は、外装部材5の隙間から染み込んだ雨水などから構造部材2を保護する。防水層51は、断熱板材4の屋外側の面に接着材、テープやステープルなどにより貼り付けられている。防水層51には、JIS―A―6006によるアスファルトフェルトやJIS―A―6111による透湿防水シートを用いることが好ましい。
通気層52は、防水層51の屋外側に不燃性の胴縁材52aを水平方向に所定間隔をあけて複数設置することにより構成されている。胴縁材52aは、例えば、厚さが10mm以上25mm以下であり、幅が90mmである断面形状を有する細長い薄板状の部材である。このような胴縁材52aには、硬質木片セメント板、高圧木毛セメント板、角型鋼管、リップみぞ鋼管、I形鋼、みぞ形鋼、H形鋼などを用いることができる。これにより、防水層51と軽量気泡コンクリートパネル層53との間であって互いに隣り合う不燃性の胴縁材52a同士の間に、外装部材5の下端部から上端部に連通する空間が形成される。そして、この空間内において上下方向に空気が通流して、湿気による構造部材2の腐食を防ぐことができる。不燃性の胴縁材52aは断熱板材4を貫通する釘やビス等によって構造部材2に固定されている。
軽量気泡コンクリートパネル層53は、軽量気泡コンクリートパネル54を突き付け接合して構成されると共に、胴縁材52aの屋外側の面に配置されている。
軽量気泡コンクリートパネル層53を構成する軽量気泡コンクリートパネル54は、板状に成形されたパネルであり、軽量、高断熱性、高加工性、高耐火性能といった優れた特性を有している。従って、軽量気泡コンクリートパネルは、超高層ビルから一般住宅まで、幅広い分野で数多くの建築に採用されている。例えば、軽量気泡コンクリートパネルは、外壁、間仕切り、床、屋根等の部位に使われている。軽量気泡コンクリートパネルは、珪酸質原料、石灰質原料、水及び発泡剤などを混合して得られたスラリーを型枠に注入し、混合物を発泡させる。続いて、半硬化状になった混合物をオートクレーブで高温高圧蒸気養生して得られる。
軽量気泡コンクリートパネル54は、板状のパネルである。軽量気泡コンクリートパネル54は、不燃性の胴縁材52a及び断熱板材4を貫通させるビス打ちにより、構造部材2に固定されている。軽量気泡コンクリートパネル54は、密度dが200kg/m以上550kg/m以下であり、かつ厚さtが45mm以上100mm以下であり、かつ強熱減量値αが5wt%以上15wt%以下である。そして、密度d(kg/m)×厚さt(mm)×強熱減量値α(wt%)÷100000の値が5000以上30000以下である。このようなパラメーターを満たす軽量気泡コンクリートパネル54によれば、屋外からの火災に対しても、構造部材2の炭化や着火を防ぐことができる。
軽量気泡コンクリートパネル54は、その内部に補強鉄筋や補強金網が埋設されていることが好ましい。ここで、補強鉄筋とは、鉄筋を所望の形状に配列し、交差接点を溶接加工したものである。また、補強金網とは、鉄を網状に加工したもので、例えばラス網等がその代表例である。補強鉄筋または補強金網の形状、寸法、鉄筋の太さ、金網の目の大きさ等は限定されるものではない。これら補強鉄筋または補強金網は、耐久性上有効な防錆材処理が施されていることが好ましい。防錆材としては、公知の合成樹脂系材料等を使用できる。
図3の(a)部に示されるように、軽量気泡コンクリートパネル54は、パネル本体部54aを有している。パネル本体部54aは、その構成している全固形分に対して、輻射熱吸収反射成分Sを1wt%以上20wt%以下含有している。
かかる構成にすれば、輻射熱吸収反射成分Sを有する軽量気泡コンクリートパネル54で構成された外張り断熱耐火外壁構造1の屋外からの火災に対して、輻射熱吸収反射成分Sが、その加えられた輻射熱を吸収または反射するため、木材で構成された構造部材に伝達される火災の熱を減少させ、木材で構成された構造部材の炭化や着火を防ぐことができる。
軽量気泡コンクリートパネル54は、珪酸質原料、石灰質原料と水を含むスラリーに輻射熱吸収反射成分Sを添加し、さらに発泡剤を加え、型枠に注入して成形を行い、その後、半硬化状態になったものをオートクレーブ養生することで得られる軽量気泡コンクリートに於いて、パネル本体部54aの全固形分に対して、輻射熱吸収反射成分Sを1wt%以上20wt%以下含有しており、2wt%以上18wt%以下含有することが好ましく、4wt%以上10wt%以下含有することがより好ましい。輻射熱吸収反射成分Sが1wt%未満であると、軽量気泡コンクリートパネル54は高い輻射熱を吸収または反射する機能を有しない。輻射熱吸収反射成分Sが20wt%を超えると、軽量気泡コンクリートパネル54の物理的強度が低下するため実用的ではない。
また、輻射熱吸収反射成分Sは、軽量気泡コンクリートパネル54内において略均等に分布している。すなわち、軽量気泡コンクリートパネル54の一部分に片寄って存在するものではない。すなわち、軽量気泡コンクリートパネル54のいずれの部分を採取して輻射熱吸収反射成分Sの含有量を測定した場合であっても、上述した数値範囲の輻射熱吸収反射成分Sを含んでいる。
ここで輻射熱吸収反射成分Sとはパネル本体部に含有されて、輻射熱を吸収または反射する成分を指す。輻射熱吸収反射成分Sとしては、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、鉄チタン酸化物、酸化鉄、二酸化クロム、二酸化マンガン、グラファイトから選ばれる一種の成分またはその混合成分である。この中で炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタンが好ましい。
また、輻射熱吸収反射成分Sの平均粒径は0.1μm以上150μm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましく、3μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。0.1μm未満であると、珪酸質原料、石灰質原料、水及び発泡剤などを混合して得られたスラリーに対して輻射熱吸収反射成分を加えると、そのスラリーの粘度が高くなり、結果として発泡不良を招く。平均粒径が150μmを超えると、軽量気泡コンクリートパネル54の物理的強度の低下を招く。
珪酸質原料は、以下に限定されないが、例えば、結晶質の珪石、珪砂、石英及びそれらの含有率の高い岩石、珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ、高炉スラグ、製紙スラッジ焼却灰及び天然の粘土鉱物、並びにそれらの焼却物が挙げられる。
石灰質原料は、以下に限定されないが、例えば生石灰及び消石灰が挙げられる。また、珪酸成分及びカルシウム成分を主体とするセメント、例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントやビーライトセメントも好ましい態様として挙げられる。
発泡剤は、以下に限定されないが、アルカリ水溶液中で反応して水素を発生する金属粉末、例えばアルミニウム、亜鉛やバリウム等が挙げられる。その中でより好ましくはアルミニウム粉末が用いられる。
また、必要に応じて、成型性を向上させるために、スラリーに界面活性剤や減水剤などを添加しても構わない。
すべての原料を混練してスラリーを、型枠(必要に応じて、上記の補強筋を予め埋設した型枠)に注入し、好ましくは、50〜85℃で1時間以上かけて発泡・予備硬化する。かかる発泡・予備硬化は、蒸気養生室などの水分が蒸発を抑制した環境下で行うことが好ましい。得られた半硬化体は、以下に制限されないが、例えば、軽量気泡コンクリートパネル54の製造に一般に用いられるワイヤー等で、必要に応じて任意の形状に切断した後に、オートクレーブを用いて高温高圧養生される。オートクレーブの条件としては、以下に制限されないが、160℃(ゲージ圧力:約0.52MPa)以上220℃(ゲージ圧力:約2.22MPa)以下が好ましい。
軽量気泡コンクリートパネル54の密度dが大きいほど、軽量気泡コンクリートを構成するケイ酸カルシウム水和物の絶対量が多くなり、耐火性能は向上する。しかし、軽量気泡コンクリートパネル54の密度dが大きいほど、パネル重量が重くなる。このパネル重量の増加によれば、施工性が低下したり、建物重量が重くなるので耐震性能が低下したり、軽量気泡コンクリートパネル54を製造する時の原材料が増加するので製造コストが増大するといった場合が生じ得る。
一方、軽量気泡コンクリートパネル54の密度dが低いほど、パネル重量が軽くなる。従って、施工性が向上したり、建物重量が軽くなることによって耐震性能が向上したり、軽量気泡コンクリートパネル54を製造する時の原材料が低減して製造コストが低減するといったメリットがある。しかし、軽量気泡コンクリートパネル54の密度dが低いほど、ケイ酸カルシウム物の絶対量が減るので耐火性能が低下したり、パネル強度が低下する場合が生じ得る。
そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、軽量気泡コンクリートパネル54の密度dの範囲は、200kg/m以上550kg/m以下であり、好ましくは230kg/m以上500kg/m以下であり、より好ましくは250kg/m以上400kg/m以下であることを見出した。ここで、密度dが200kg/m未満になると、パネル強度が低く、かつ耐火性能が低いため、実用的ではない。一方、密度dが550kg/mを超えると、パネル重量が増加して施工性が低下すると共に、建物重量が増加して耐震性能が低下するため、実用的ではない。
また、軽量気泡コンクリートパネル54の厚さtが大きいほど、軽量気泡コンクリートパネル54を構成するケイ酸カルシウム水和物の絶対量が多くなり耐火性能は向上する。しかし、軽量気泡コンクリートパネル54の厚さtが大きいほど、パネル重量が増加する。このパネル重量の増加によれば、施工性が低下したり、建物重量が増加するので耐震性能が低下したり、軽量気泡コンクリートパネル54を製造する時の原材料が増加するので製造コストが増大するといった場合が生じ得る。
一方、軽量気泡コンクリートパネル54の厚さtが小さいほど、パネル重量が軽くなる。パネル重量の軽量化によれば、施工性が向上したり、建物重量が軽くなるので耐震性能が向上したり、軽量気泡コンクリートパネル54を製造する時の原材料が低減するので製造コストが低減するといったメリットがある。しかし、軽量気泡コンクリートパネル54の厚さtが小さいほど、ケイ酸カルシウム水和物の絶対量が減少するため耐火性能が低下する場合が生じ得る。
そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、軽量気泡コンクリートパネル54の厚さtの範囲は、45mm以上100mm以下であり、好ましくは45mm以上80mm以下であり、より好ましくは45mm以上75mm以下であることを見出した。ここで、厚さtが45mm未満になると、耐火性能が低いため、実用的ではない。一方、厚さtが100mmを超えると、施工性が低下し、実用的ではない。
また、軽量気泡コンクリートパネル54の強熱減量値αが大きいほど、その軽量気泡コンクリートパネル54の耐火性能は高い。すなわち、強熱減量値αが大きい場合には、軽量気泡コンクリートパネル54が有する水の量、つまり軽量気泡コンクリートを構成するケイ酸カルシウム水和物が有する「水」が軽量気泡コンクリート中に多く存在しているためである。しかし、ケイ酸カルシウム水和物を多く含有する軽量気泡コンクリートパネル54の製造は、技術的に困難であるため軽量気泡コンクリート中に存在できるケイ酸カルシウム水和物の量には上限がある。一方、強熱減量値αが小さいほど、その軽量気泡コンクリートパネル54の耐火性能は低いといえる。
そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、軽量気泡コンクリートパネル54の強熱減量値αの範囲は5wt%以上15wt%以下であり、好ましくは7wt%以上14wt%以下であり、より好ましくは8wt%以上13wt%以下であることを見出した。ここで、強熱減量値αが5wt%未満になると、耐火性能が低いため、外張り断熱耐火外壁構造1に要求される耐火性能を満足することができない。
しかし、軽量気泡コンクリートパネル54に要求されるパネル重量とパネル強度と耐火性能とを全て満足するためには、軽量気泡コンクリートパネル54が上記の3個のパラメーターである、(1)密度d(kg/m)、(2)厚さt(mm)、(3)強熱減量値α(wt%)が上記の数値範囲に存在する場合でも十分ではない場合が生じ得る。
例えば、密度dと厚さtと強熱減量値αとが上記の数値範囲に入っている場合であっても、上記数値範囲の上限値に近い密度dと厚さtとを有する軽量気泡コンクリートパネル54は、耐火性能を満たすが、パネル重量が大きくなるので施工性が低下し実用的ではない場合がある。
また、密度dが上記の数値範囲に入っているが、密度dが上記数値範囲の下限値に近い軽量気泡コンクリートパネル54は、耐火性能を満足しない場合も生じ得る。その場合には、軽量気泡コンクリートパネル54の厚さt、または強熱減量値αを大きくする必要がある。
従って、軽量気泡コンクリートパネル54に要求されるパネル重量、パネル強度及び耐火性能の全てを満足するためには、上記の3個のパラメーターを総合的に評価する必要がある。その評価方法について本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、密度d(kg/m)×(厚さt)(mm)×強熱減量値α(wt%)÷100000という新たなパラメーターにより評価し得ることを見出した。
そして、新たなパラメーターである密度d(kg/m)×(厚さt)(mm)×強熱減量値α(wt%)÷100000の値が5000以上30000以下であり、好ましくは5500以上20000以下、より好ましくは6000以上15000以下である場合に、パネル重量とパネル強度と耐火性能とを好適に満足し得ることを見出した。
軽量気泡コンクリートパネル54を備える外張り断熱耐火外壁構造1によれば、軽量気泡コンクリートパネル54に要求されるパネル重量と、パネル強度と、耐火性能とをバランスよく満たすことが可能となる。従って、外装部材5を僅か一種類の材料で、かつ一層の外装部材5、すなわち軽量気泡コンクリートパネル54で構成することができる。このため、施工が簡易で、かつ低コストの外張り断熱耐火外壁構造1を実現できる。例えば、外張り断熱耐火外壁構造1によれば、屋外側または屋内側からのISO−834で規定された加熱条件で1時間の加熱を行い、その加熱を止めてから3時間放置させた後、構造部材2に炭化や着火は全く見られないことが確認できている。そして、外張り断熱耐火外壁構造1によれば、木造の耐火建築物を容易に建築することが可能となり、木造建築のより大きな普及を図ることができる。
ここで、木造建築物の建築様式が枠組壁工法の外壁構造では、枠組体の複数のたて枠とたて枠とに区画された複数の中空領域に各々断熱材が充填される場合がある。このような断熱材の配置によれば、断熱材がたて枠の部分で分断されることになる。そして、外壁構造において屋内側と屋外側との温度差が大きくなると、たて枠の部分が熱橋となって屋内側と屋外側との間で熱が伝わり易くなるため、断熱性能を高め難かった。そこで、本実施形態の外張り断熱耐火外壁構造1では、枠組体なす構造部材2の屋外側に断熱板材4を取り付けている。この断熱板材4によれば、構造用面材24に対して断熱材が分断されることなく連続して取り付けられることになるので、外壁構造の断熱性能を高めることができる。
次に、図1及び図2に示される外張り断熱耐火外壁構造1を用いて耐火性能評価試験を行った場合の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に例示される具体的な寸法に限定されるものではない。
まず、外張り断熱耐火外壁構造1について詳しく説明する。その構造は構造部材2、内装部材3、断熱板材4及び外装部材5から構成されており、木造枠組壁工法に用いられる構造を採用している。
<構造部材2>
構造部材2は、複数のたて枠材21と、複数のたて枠材21の上端同士を連結する上枠材22と、複数のたて枠材21の下端同士を連結する下枠材23とを備え、たて枠材21の屋外側の面に構造用面材24を取り付けて構成した。たて枠材21、上枠材22及び下枠材23は、いずれも枠組壁工法用の木材として用いられる38mm×89mmの断面寸法を備えた長尺の木製部材を用いた。たて枠材21、上枠材22及び下枠材23はビスで互いに止め付けた。たて枠材21は、455mmの等間隔で立設させた。構造用面材24には厚さが9mmである構造用合板を用いた。構造用面材24は、たて枠の屋外側の面に釘を打ち付けて、たて枠材21、上枠材22及び下枠材23に固定した。また、隣り合うたて枠材21の間に充填断熱材25として、密度24kg/cmのグラスウールを充填した。
<内装部材3>
内装部材3は、構造部材2の屋内側の面に内装下張層31と内装上張層32とを積層して構成した。内装下張層31及び内装上張層32には厚さが21mmの強化石膏ボードを用いた。内装下張層31は、複数の強化石膏ボードを互いに突き合わせ接合して構成し、石膏ボード用の釘によって構造部材2に打ち付けた。内装上張層32は、複数の強化石膏ボードを互いに突き合わせ接合して構成し、内装下張層31を貫通する釘によって構造部材2に打ち付けた。また、内装上張層32の目地部には、内装材用目地処理剤としてJIS―A―6914による石膏ボード用目地処理剤を施し平滑に仕上げた。
<断熱板材4>
断熱板材4は、厚さが35mmの複数のフェノールフォーム保温板41(メーカー:旭化成建材(株)、商品名:ネオマフォーム)を互いに付き合わせ接合し、構造用面材24の屋外の面にテープを用いて固定した。フェノールフォーム保温板41の縦横の目地部には専用のテープを貼り付けた。
<外装部材5>
外装部材5は、断熱板材4の屋外側に配置された防水層51と、該防水層51の屋外側の面に形成された通気層52と、胴縁材52aの屋外側の面に配置された軽量気泡コンクリートパネル層53と、で構成した。防水層51は透湿防水シート(メーカー:旭・デユポン・フラッシュ・スパンプロダクト(株)、商品名:タイベック)であり、接着剤を用いて構造用面材24の屋外側の面に貼り付けた。透湿防水シートの継ぎ目は縦横とも90mmで重ね合わせした。通気層52は、防水層51の屋外側に、水平方向に所定間隔をあけて配置した複数の胴縁材52aを釘を用いて構造用面材24に打ち付けて設置した。不燃性の胴縁材52aとして、硬質木片セメント板(メーカー:ニチハ(株)、商品名:センチュリー耐火野地板)を18mm×90mmの断面寸法に切断した細長い薄板状の部材を用いた。軽量気泡コンクリートパネル層53は、複数の軽量気泡コンクリートパネル54を突き付け接合して構成させた。軽量気泡コンクリートパネル54は、不燃性の胴縁材52a及び断熱板材4を貫通するビスによって構造部材2に固定した。また、軽量気泡コンクリートパネル層53の目地部には、アクリル系のシーリング材を施した。
本実施例の外張り断熱耐火外壁構造1は上記の構造部材2、内装部材3、断熱板材4及び外装部材5で構成させた。また、比較例の外張り断熱耐火外壁構造も上記実施例の外張り断熱耐火外壁構造1と同様に構成した。ここで、実施例の外張り断熱耐火外壁構造1と比較例の外張り断熱耐火外壁構造とは、同様の構造を有するが、外壁構造を構成する部材のパラメータが相違する。
次に、軽量気泡コンクリートパネル54の製造方法、各値の測定方法及び外張り断熱耐火外壁構造の耐火性能評価試験法について説明する。
<軽量気泡コンクリートパネルの製造方法>
珪石(実施例1〜4、9〜12及び比較例2ではブレーン値(粒子1gあたりの表面積)が7500cm/gの珪石、実施例5〜8、13〜16及び比較例1、3ではブレーン値が3000cm/gの珪石使用)及び解砕屑(半硬化体を破砕したもの)に水を加えスラリーとしたものに、輻射熱吸収反射成分を加え、撹拌し、続いて生石灰粉末、早強ポルトランドセメント、及び二水石膏を添加し、撹拌した。次に金属アルミニウム粉末(発泡剤)を添加し、型枠に注入し、発泡・予備硬化させた。次に半硬化体をピアノ線で所定の厚さに切断した。続いて、半硬化体を飽和水蒸気雰囲気下で180℃10時間オートクレーブ養生して軽量気泡コンクリートパネルを得た。それぞれの実施例及び比較例の配合表を表1に示す。
本実施例では、輻射熱吸収反射成分として、ケイ酸ジルコニウム(メーカー:ハクスイテック(株)、商品名:ジルコシル、平均粒径:24μm)と炭化ケイ素(メーカー:太平洋ランダム(株)、商品名:RC−100F、平均粒径:20μm)を用いた。
Figure 0006497924
<軽量気泡コンクリートパネルの密度d>
軽量気泡コンクリートパネルから100(mm)×100(mm)×40(mm)のサイズのブロックを切りだし、そのブロックを105℃の乾燥機で恒量になるまで乾燥させた。その乾燥後の重量W(kg)と、そのブロックの体積V(m)を測定し、式(1)により密度dを算出した。
密度d(kg/m)=W/V…(1)
<軽量気泡コンクリートパネルの厚さt>
ノギスによって、軽量気泡コンクリートパネルの厚さtを1mmの単位まで測定した。
<軽量気泡コンクリートパネルの強熱減量値α>
軽量気泡コンクリートを粉末状になるまで粉砕した。その粉末を105℃の乾燥機で恒量になるまで乾燥させた。その乾燥後の重量をA(g)とした。次に、その恒量になった粉末を1000℃の電気炉を用いて1時間加熱した。加熱後の重量を計測し、その重量をB(g)とした。強熱減量値αは式(2)により算出した。
強熱減量値α(wt%)=(A−B)×100/B…(2)
<軽量気泡コンクリートパネルの含水率β>
軽量気泡コンクリートパネルから600(mm)×600(mm)×40(mm)のサイズのブロックを切りだし、そのブロックの重量C(kg)を計測した。そのブロックを105℃の乾燥機で恒量になるまで乾燥させた後に、その乾燥後の重量D(kg)を計測した。軽量気泡コンクリートパネルの含水率βは式(3)により算出した。
含水率β(wt%)=(C−D)×100/D…(3)
<軽量気泡コンクリートパネル中の輻射熱吸収反射成分の定量方法>
X線回折による内部標準法によって、軽量気泡コンクリートパネル中の輻射熱吸収反射成分の定量を行った。以下にその手順を記す。
(a)絶乾の粉末状の軽量気泡コンクリートに幾つかの既知量の粉末状の輻射熱吸収反射成分を混ぜ、よく混合させた。
(b)上記の混合された粉末状の試料についてX線回折測定を行い、輻射熱吸収反射成分特有の回折強度を計測した。
(c)以上の結果を基に、横軸に軽量気泡コンクリートと輻射熱吸収反射成分の合計量に対する輻射熱吸収反射成分の割合(wt%)、縦軸に各々で観測された輻射熱吸収反射成分特有の回折強度をプロットし、検量線を作成した。未知の輻射熱吸収反射成分の含有量の軽量気泡コンクリートについて、X線回折の測定を行い、輻射熱吸収反射成分特有の回折強度を計測し、上記で求めた検量線から、軽量気泡コンクリート中に含有している輻射熱吸収反射成分の定量を行った。
<外張り断熱耐火外壁構造の耐火性能評価法>
外張り断熱耐火外壁構造の試験体を屋外または屋内から、ISO−834に規定された加熱曲線に従って1時間の加熱を行い、その後、加熱を止め、そのまま3時間放置した。その後、試験体を解体し、構造部材2の炭化や着火の有無を目視で検査した。また、屋外からの加熱の時には、構造用面材24の屋外側の表面に取り付けた熱電対で取得した温度データをデータロガーで1分ごとに記録した。その時に記録された最高温度を「構造用面材24の最高温度」と呼ぶ。
表2に軽量気泡コンクリートパネルの物性値である、密度d、厚さt、強熱減量値α、d×t×α÷100000、含水率、輻射熱吸収反射成分の含有量、及び、耐火性能評価結果から得られた、構造部材の炭化や着火の有無、構造用面材の最高温度を示す。
Figure 0006497924
実施例1〜16に示すように、屋内側及び屋外側からの加熱を行った結果、構造部材2に炭化や着火が見られなかったことから、外張り断熱耐火外壁構造1は「耐火構造」であることが確認できた。
比較例1〜3は、屋外からの加熱試験中、発火が見られため試験を途中で中断した。その後、試験体を解体したところ、構造部材に炭化が見られた。
木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造を、施工が簡便で、低コストであり、外装部材が僅か一種類で、かつ一層の外装部材だけで耐火構造として達成するには、鋭意検討の結果、その外装部材には軽量気泡コンクリートパネルを用いればよいという結論に至った。外張り断熱耐火外壁構造は、木材で構成された構造部材の屋外側に取り付けられた構造用面材と、構造用面材の屋外側の面に取り付けられた断熱板材と、断熱板材の屋外側の面に取り付けられた不燃性の胴縁材と、胴縁材の屋外側の面に外装部材として配置され、パネル本体部を有する軽量気泡コンクリートパネルと、を備え、該軽量気泡コンクリートパネルの密度dが200kg/m以上550kg/m以下であり、かつその厚さtが45mm以上100mm以下であり、かつその強熱減量値αが5wt%以上15wt%以下であり、かつd(kg/m)×t(mm)×α(wt%)÷100000の値が5000以上30000以下であり、かつ前記パネル本体部を構成する全固形分に対して、1wt%以上20wt%以下の輻射熱吸収反射成分を含有している。そして、このパネル本体部は、前記パネル本体部を構成する全固形分に対して、輻射熱吸収反射成分を1wt%以上20wt%以下含有している。
以上、本発明の一実施例形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態は、木造枠組壁工法に用いる壁体に、本発明を適用した場合を一例として説明したが、木造軸組工法などの他の壁体に適用しても良い。
本実施例では、軽量気泡コンクリートパネル54中に輻射熱吸収反射成分を含有させる方法としては、軽量気泡コンクリートパネル54の製造過程である、軽量気泡コンクリートパネル54の原材料中に輻射熱吸収反射成分を添加する方法であるが、他の方法としては、輻射熱吸収反射成分が含有した液体中に軽量気泡コンクリートパネル54を含浸させ、その軽量気泡コンクリートパネル54中に輻射熱吸収反射成分を含有させる方法でもよい。
[第2の実施形態]
続いて、木造建築物の耐火外壁構造の好適な第2の実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造は、輻射熱吸収反射成分Sが塗膜層57として、パネル本体部56上に形成されている点で第1の実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造1と相違する(図3の(b)部参照)。以下、軽量気泡コンクリートパネル58について詳細に説明する。
軽量気泡コンクリートパネル58は、パネル本体部56と塗膜層57とを有している。塗膜層57は、パネル本体部56における構造部材2と対面する室内面56aの上に形成されている。この塗膜層57は、パネル本体部56を構成する全固形分に対して、輻射熱吸収反射成分の付着量が1wt%以上20wt%以下になるように、輻射熱吸収反射成分を含有した塗料を、パネル本体部56における室内面56aの上に塗布することにより形成される。前記付着量は、1wt%以上10wt%以下であることが好ましく、2wt%以上6wt%以下がより好ましい。該塗料の塗布量は特に限定されないが、パネル本体部56における室内面56aの単位面積当たり0.7kg/m以上10kg/m以下の量であることが好ましい。
ここで、塗料とは、輻射熱吸収反射成分、樹脂、硬化剤及び水が混合されたペースト状の塗料を指す。また、塗膜層57とは、パネル本体部56の室内面56aに塗料を塗布した後、乾燥させて塗膜とした層を指す。
塗料を構成する輻射熱吸収反射成分とは輻射熱を吸収または反射する成分を指し、輻射熱吸収反射成分としては、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、鉄チタン酸化物、酸化鉄、二酸化クロム、二酸化マンガン、グラファイトから選ばれる一種の成分またはその混合成分である。この中で炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタンが好ましい。
塗料中の輻射熱吸収反射成分の濃度は特に限定されないが、5wt%以上80wt%であり、好ましくは25wt以上75wt%、より好ましくは50wt%以上70wt%以下である。5wt%未満であると、塗膜層57を有する軽量気泡コンクリートパネル58は高い耐火性能を有することができない。また、80wt%を超えると、良好な塗膜層57を形成することができない。
また、輻射熱吸収反射成分の平均粒径は0.1μm以上150μmであることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましく、3μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。0.1μm未満であると、その輻射熱吸収反射成分が含有した塗料の粘度が高すぎるため、良好な塗膜層57を形成することができない。150μmを超えると、外観上、良好な塗膜層57を形成することができない。
塗料を構成する樹脂としてはアクリル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などを用いることが好ましい。この中でアクリル樹脂、ウレタン樹脂が特に好ましい。塗料中の樹脂成分は、5wt%以上80wt%以下であり、好ましくは8wt%以上50wt%以下、より好ましくは10wt%以上30wt%以下である。5wt%未満であると、良好な塗膜層57を形成することができない。80wt%を超えると、塗膜層57が構成された軽量気泡コンクリートパネル58は高い耐火性能を有することができない。また、上述したように樹脂としては有機系の樹脂であるが、塗膜層57を構成できれば、無機系のものを用いても構わない。
塗料を構成する硬化剤は樹脂を重合させて、塗膜層57を硬化させる役割を持つものである。硬化剤としては、公知のものを使用しても構わない。
塗料中の水の含有割合は、5wt%以上50wt%以下であり、好ましくは10wt%以上40wt%以下、より好ましくは15wt%以上30wt%以下である。5wt%未満であると、塗料の粘度が高すぎるために、良好な塗膜層57を形成することができない。50wt%を超えると、塗料の粘度が低すぎるために、良好な塗膜層57を形成することができない。水の含有割合が上記範囲内にあることにより、適度な粘性を保持し、パネル本体部56に塗布したときに容易に塗膜層57を形成することができる。
また、塗膜層57を外観上、綺麗にしたり、塗料を塗布しやすくするために、必要に応じて、塗料に界面活性剤、成膜剤や消泡剤を添加することが好ましい。
塗料の作成方法について説明する。まず、輻射熱吸収反射成分、樹脂及び水を混ぜ、撹拌装置を用いて、撹拌させる。撹拌時間は15分〜60分とすることが好ましい。その後、硬化剤を添加し、撹拌させる。撹拌時間は10分〜30分とすることが好ましい。それで得られたものがペースト状の塗料である。
次に塗膜層57の形成方法について説明する。パネル本体部56の室内面56aに塗料を塗布する方法としては公知の塗布方法を採用することができる。具体的には刷毛塗り、スプレー噴霧や機械によるフローコーター等の方法を挙げることができる。パネル本体部56の室内面56aに塗料を均一に塗布後、そのまま、乾燥させると、塗料が硬化し、パネル本体部56の室内面56aにしっかりと付着した塗膜層57を形成することができる。乾燥条件は室温で、そのまま放置させても構わないが、乾燥時間を短くしたければ、乾燥機を用いて温度をかけて、乾燥しても構わない。
塗料の塗布量はパネル本体部56の単位面積当たり、0.7kg/m以上10kg/m以下であり、好ましくは0.8kg/m以上7kg/m以下、より好ましくは0.9kg/m以上5kg/m以下である。0.7kg/m未満になると、塗布量が少ないため、パネル本体部56の室内面56aに均一な塗膜層57を形成することができない。10kg/mを超えると、塗布量が多すぎて、良好な塗膜層57を形成することができない。
かかる構成にすれば、耐火外壁構造の屋外からの火災に対して、塗膜層57中に存在する輻射熱吸収反射成分が、その加えられた輻射熱を吸収または反射するため、木材で構成された構造部材2に伝達される火災の熱を減少させ、木材で構成された構造部材2の炭化や着火を防ぐことができる。
次に、塗膜層57を有する軽量気泡コンクリートパネル58を適用した耐火外壁構造を用いて、耐火性能評価試験を行った場合の実施例について説明する。ここで、第2実施形態に係る耐火外壁構造は、軽量気泡コンクリートパネル58が塗膜層57を有する点を除き、第1実施形態に係る外張り断熱耐火外壁構造1と同様の構成を有するため、共通する外壁構造の構成要素については説明を省略する。また、本発明は以下の実施例に例示される具体的な寸法に限定されるものではない。
<軽量気泡コンクリートパネルの製造方法>
珪石(実施例17,18,21,22及び比較例4,6ではブレーン値が7500cm/gの珪石、実施例19,20,23,24及び比較例5,7ではブレーン値が3000cm/gの珪石を使用)および解砕屑(半硬化体を破砕したもの)に水を加え、撹拌し、続いて生石灰粉末、早強ポルトランドセメント、及び二水石膏を添加し、撹拌した。次に金属アルミニウム粉末(発泡剤)を添加し、型枠に注入し、60℃にて3時間発泡及び硬化させ、半硬化体を得た。次に半硬化体をピアノ線で所定の厚さに切断した。続いて、半硬化体を飽和水蒸気雰囲気下で180℃10時間オートクレーブ養生して軽量気泡コンクリートパネルを得た。それぞれの実施例および比較例の配合表を表3に示す。
Figure 0006497924
軽量気泡コンクリートパネルの密度d、軽量気泡コンクリートパネルの厚さt、軽量気泡コンクリートパネルの強熱減量値α、軽量気泡コンクリートパネルの含水率βは、実施例1〜16と同様の方法により測定した。
<軽量気泡コンクリートパネルの表面に塗膜層を形成する方法>
輻射熱吸収反射成分65.0重量部、水21.0重量部、アクリル樹脂12.5重量部を混合させ、撹拌機を用いて、30分間、撹拌させた。その後、その混合物に硬化剤1.5重量部を添加し、15分間、撹拌させた。得られたものが塗料である。その塗料をパネル本体部56の室内面56aに垂らし、刷毛塗りでパネル本体部56の室内面56aに均一に塗布した。塗布量は、パネル本体部56の単位面積当たり1kg/mとした。塗布した後、室温で乾燥させ、パネル本体部56の室内面56aにしっかり付着した、塗膜層57を形成させた。その塗膜層57の厚さは50μmである。
本実施例では、輻射熱吸収反射成分として、ケイ酸ジルコニウム(メーカー:ハクスイテック(株)、商品名:ジルコシル、平均粒径:24μm)と炭化ケイ素(メーカー:太平洋ランダム(株)、商品名:RC−100F、平均粒径:20μm)を用いた。また、本比較例では塗膜層57は形成されていない。
<外壁構造の耐火性能評価法>
実施例1〜16と同様の評価方法に基づいて、実施例17〜24及び比較例4〜7を実施した。
表4に軽量気泡コンクリートパネル58のパネル本体部56の物性値である、密度d、厚さt、強熱減量値α、d×t×α÷100000、含水率、用いた輻射熱吸収反射成分、及び、耐火性能評価結果から得られた、構造部材の炭化や着火の有無、構造用面材の最高温度を示す。
Figure 0006497924
実施例17〜24に示すように、屋内側および屋外側からの加熱を行った結果、構造部材2に炭化や着火が見られなかったことから、外張り断熱耐火外壁構造1は「耐火構造」であることが確認できた。
比較例4〜7は、屋外からの加熱試験中、発火が見られたため試験を途中で中断した。その後、試験体を解体したところ、構造部材2に炭化が見られた。
木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造を、施工が簡便で、低コストであり、外装部材が僅か一種類で、かつ一層の外装部材だけで耐火構造として達成するには、鋭意検討の結果、その外装部材には軽量気泡コンクリートパネルを用いればよいという結論に至った。外張り断熱耐火外壁構造は、木材で構成された構造部材の屋外側に取り付けられた構造用面材と、構造用面材の屋外側の面に取り付けられた断熱板材と、断熱板材の屋外側の面に取り付けられた不燃性の胴縁材と、胴縁材の屋外側の面に外装部材として軽量気泡コンクリートパネルが構成され、該軽量気泡コンクリートパネルの密度dが200kg/m以上550kg/m以下であり、かつその厚さtが45mm以上100mm以下であり、かつその強熱減量値αが5wt%以上15wt%以下であり、かつd(kg/m)×t(mm)×α(wt%)÷100000の値が5000以上30000以下であり、塗膜層57は、パネル本体部56を構成する全固形分に対して、輻射熱吸収反射成分の付着量が1wt%以上20wt%以下となるように、輻射熱吸収反射成分を含有した塗料を、パネル本体部56における室内面56aの上に塗布して形成されている。
本発明によれば、外装部材を僅か一種類の材料でかつ一層の外装部材、すなわち軽量気泡コンクリートパネルで構成することができ、優れた耐火性能と断熱性能とを有し、施工が容易であると共に低コストである木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造を提供することができる。よって、木造の耐火建築物を容易に建築することが可能となり、木造建築のより大きな普及を図ることができる。
1…外張り断熱耐火外壁構造、2…構造部材、3…内装部材、4…断熱板材、5…外装部材、21…たて枠材、22…上枠材、23…下枠材、24…構造用面材、25…充填断熱材、31…内装下張層、32…内装上張層、41…フェノールフォーム保温板、51…防水層、52…通気層、52a…胴縁材、53…軽量気泡コンクリートパネル層、54…軽量気泡コンクリートパネル、D…重量、d…密度、t…厚さ、V…体積、S…輻射熱吸収反射成分、W…重量、α…強熱減量値、β…含水率。

Claims (9)

  1. 木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造であって、
    木材で構成された構造部材の屋外側に取り付けられた構造用面材と、
    前記構造用面材の屋外側に取り付けられた厚さが12mm以上80mm以下であるフェノールフォーム保温板と、
    前記フェノールフォーム保温板の屋外側の面に取り付けられた不燃性の胴縁材と、
    前記胴縁材の屋外側の面に外装部材として配置され、パネル本体部を有する軽量気泡コンクリートパネルと、を備え、
    前記軽量気泡コンクリートパネルは、密度dが200kg/m以上550kg/m以下であり、かつ厚さtが45mm以上100mm以下であり、かつ強熱減量値αが5wt%以上15wt%以下であり、かつd(kg/m)×t(mm)×α(wt%)÷100000の値が3281以上15000以下であり、
    前記パネル本体部は、前記パネル本体部を構成する全固形分に対して、wt%以上10wt%以下の輻射熱吸収反射成分を有し、
    前記強熱減量値αは、α(wt%)=(重量A−重量B)×100/重量Bにより算出され、前記重量Aは、恒量になるまで乾燥させた前記軽量気泡コンクリートパネルの粉末の重量であり、前記重量Bは、前記重量Aである前記粉末を1000℃で1時間加熱した後の前記粉末の重量である、ことを特徴とする木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
  2. 木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造であって、
    木材で構成された構造部材の屋外側に取り付けられた構造用面材と、
    前記構造用面材の屋外側に取り付けられた厚さが12mm以上80mm以下であるフェノールフォーム保温板と、
    前記フェノールフォーム保温板の屋外側の面に取り付けられた不燃性の胴縁材と、
    前記胴縁材の屋外側の面に外装部材として配置され、パネル本体部及び前記パネル本体部における前記構造部材と対面する室内面上に形成された塗膜層を有する軽量気泡コンクリートパネルと、を備え、
    前記軽量気泡コンクリートパネルは、密度dが200kg/m 以上550kg/m 以下であり、かつ厚さtが45mm以上100mm以下であり、かつ強熱減量値αが5wt%以上15wt%以下であり、かつd(kg/m )×t (mm )×α(wt%)÷100000の値が3325以上15000以下であり、
    前記塗膜層は、前記パネル本体部を構成する全固形分に対して、2wt%以上6wt%以下の輻射熱吸収反射成分を有し、
    前記強熱減量値αは、α(wt%)=(重量A−重量B)×100/重量Bにより算出され、前記重量Aは、恒量になるまで乾燥させた前記軽量気泡コンクリートパネルの粉末の重量であり、前記重量Bは、前記重量Aである前記粉末を1000℃で1時間加熱した後の前記粉末の重量である、ことを特徴とする木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
  3. 前記輻射熱吸収反射成分は、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム或いは二酸化チタンから選ばれる一種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
  4. 前記軽量気泡コンクリートパネルの密度dは、250kg/m以上400kg/m以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
  5. 前記軽量気泡コンクリートパネルの厚さtは、45mm以上75mm以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
  6. 前記軽量気泡コンクリートパネルの強熱減量値αは、8wt%以上10wt%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
  7. 前記d(kg/m)×t(mm)×α(wt%)÷100000の値は、6000以上15000以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
  8. 前記塗膜層が、前記輻射熱吸収反射成分を5wt%以上80wt%以下含む塗料を、前記パネル本体部における前記室内面の単位面積当たり、0.7kg/m以上10kg/m以下の量で前記室内面上に塗布して形成されていることを特徴とする請求項に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
  9. 前記構造部材を構成するたて枠とたて枠との間、又は前記構造部材を構成する柱と間柱及び間柱と間柱の間に、断熱材が充填されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造。
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