JPH0893077A - 排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造 - Google Patents

排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造

Info

Publication number
JPH0893077A
JPH0893077A JP25955494A JP25955494A JPH0893077A JP H0893077 A JPH0893077 A JP H0893077A JP 25955494 A JP25955494 A JP 25955494A JP 25955494 A JP25955494 A JP 25955494A JP H0893077 A JPH0893077 A JP H0893077A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drainage
layer
steel frame
fireproof coating
deaeration mechanism
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP25955494A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2862486B2 (ja
Inventor
Eiji Takahashi
英二 高橋
Shigehiro Nagashitani
重博 流谷
Hideo Motoki
英男 元木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SK Kaken Co Ltd
Original Assignee
SK Kaken Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SK Kaken Co Ltd filed Critical SK Kaken Co Ltd
Priority to JP25955494A priority Critical patent/JP2862486B2/ja
Publication of JPH0893077A publication Critical patent/JPH0893077A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2862486B2 publication Critical patent/JP2862486B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】建築物等の鉄骨の耐火被覆において、従来の耐
火被覆に対して、長期にわたって所期の耐火性能を維持
できるものを得る。 【構成】ラス金網、乾燥時の通気性10〜10000(l
/m2min・100mmHg ・20mm) 以上の湿式耐火被覆材層、防
水層を順次積層し、積層構造の一部に、排水脱水機構部
を設ける。 【効果】防水層により、外部からの水分の侵入を防止で
きるとともに、特定の通気性能を有する耐火被覆材によ
り、耐火被覆材内部に含有する水分の拡散が容易にでき
るため、水分に起因する耐火被覆材の性能低下を生じる
ことがない。さらに、鉄骨の取り合い部等から流入する
水分が耐火被覆構造の裏面下部に水溜まりを形成するよ
うな厳しい条件においても、水分を容易に排水可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築物等の鉄骨の耐火被
覆において、長期にわたって所期の耐火性能を維持する
ことのできる耐火被覆積層構造を提供するものである。
【0002】
【従来技術】従来より、鉄骨造等の建築物、構造物には
耐火被覆材を施工することが、法的に義務づけられてい
る場合がある。これは火災による高温状態において、建
築物、構造物の重量を支える鉄骨の強度が低下し、極端
な場合には挫屈してしまうのを防ぎ、最低限度の構造維
持をさせる為である。一方、昨今個性的な建築物等が設
計され、本来それら建築物の躯体内部において構造維持
の目的を達していた鉄骨を、躯体外部、特に屋外に露出
させる構造が見受けられるようになってきた。取り分
け、ビルの高層化やインテリジェント化に伴い、屋上に
機械設置用鉄骨やヘリポート用鉄骨構造物等が設けられ
る例も増えてきた。そしてこのような屋外における鉄骨
の耐火被覆も当然要求される。このような部位における
耐火被覆材としては、例えば、ラスモルタルによる耐火
被覆工法がある。この工法は下地に鉄網ラスを使用し、
左官でモルタルやプラスターを塗る工法である。どのよ
うな形状の下地に対しても施工でき、施工ジョイントが
なくきれいに仕上がるという特徴を有している。これら
ラスモルタルによる耐火被覆工法以外に湿式耐火被覆材
を用いた工法がある。これはセメントなどの無機質バイ
ンダーに、ロックウール、アスベスト、ガラス繊維など
の無機質繊維状物質、パーライト、バーミキュライトな
どの軽量骨材を水と混練し、ペースト状或いはスラリー
状になった混合組成物を基材表面に吹き付けやこて塗り
にて厚付けするものである。また最近は結晶水を含有す
る無機質粉体、例えば水酸化アルミニウムなどを、セメ
ントなどの無機質バインダー、ガラス繊維などの無機質
繊維状物質、パーライト、バーミキュライトなどの軽量
骨材、水と混練したセラミック系耐火被覆材が主流とな
りつつある。前述した従来の耐火被覆は下地の形状、す
なわち鉄骨の取り合い部分等の複雑な部位においても、
容易に施工できる点が共通する長所である。さらにこれ
らの外観の向上のため、さらにその表面にエナメル、ク
リヤー仕上げ層を積層する場合が見られるようになって
きた。このような仕上層には塗料が用いられることが多
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ラスモルタルによる耐火被覆工法では1時間耐火性能
(JIS A 1304の4.「加熱等級」に規定する付図1の標準
加熱曲線にて1時間加熱した場合、鋼材温度が平均で3
50℃以下、最高温度で450℃以下であること)が4
0mmと厚いため一度に厚塗りができず、数回の塗り重
ねのたびに2週間程度の養生期間が必要であることか
ら、施工に非常に手間および工期がかかった。また、モ
ルタル自身にクラックが入りやすく、仕上層までクラッ
クが達した場合には、クラック部から雨水が内部へ侵入
することがあった。同様に湿式耐火被覆材においても、
仕上層が耐火被覆材の膨張収縮に追従できない場合に
は、仕上層にクラックが生じクラック部から雨水が内部
へ侵入することがあった。本発明者らは、このような耐
火被覆材の表面に塗装を施す耐火被覆構造においては、
モルタル層のクラックや、耐火被覆材層の膨張収縮に追
従できる防水層を設け、耐火被覆材の乾燥時の通気性を
ある程度以上にすることでこのような問題を解決できる
ことを見出し別途出願した。一方、建築物等における耐
火被覆構造では、部材単独での耐火被覆はあり得ず、壁
や取りつけ金具、カーテンウォールファスナー部、柱上
端部等の施工部位においては、他部材との取り合い部の
シーリング処理で不充分な箇所があったり、塗膜の防水
性が不十分であったり、何らかの形で塗膜に欠陥が生じ
た部分などから、耐火被覆材の裏面側に水が回る場合が
あった。また、ラスモルタルを除いて耐火被覆材自体は
断熱性付与等の目的のため、比較的軽量な材料に設計さ
れており、材料自体が水を含み易い多孔材料になってい
る。そのため、耐火被覆工事を行った後、塗装工事の始
まるまでの間の降雨にあった場合には工期上の制限か
ら、被覆材にかなりの水を含んだままで仕上層の塗装が
される場合もあった。このような特異な状況下において
は、鉄骨梁、柱は、壁の場合と異なり、仕上層や防水層
によりその周囲を完全に包接してしまうと、かえって内
部の水は飛散しがたく、特に取り合い部分や塗膜欠陥面
から雨水が侵入するような場合には柱であればその足元
の内部に、また梁の場合には下フランジ部分内部に長期
に渡って水が溜まることになる。また、湿式耐火被覆材
は一般に、軽量化しているため強度はあまり高くなく、
特に耐火被覆材自体に水を含んだ場合には、その材料自
体の強度が低下する傾向にある。そのため、塗膜裏側に
存在する水の圧力、あるいは内部の水蒸気圧や空気の熱
膨張などによって、内側から押上る力が加わることによ
り、経時的には仕上層や防水層の膨れや剥がれ、割れな
どの欠陥が生じることになり、耐久性の保持や外観の向
上という塗膜本来の目的を果たすことができない場合が
あった。以上のような問題点は、通常の気候条件におけ
る鉄骨耐火被覆においても生じる問題であるが、特に表
面仕上層の膨れや剥がれは、夏期中の直射日光が当たる
場合等に、耐火被覆材の内部温度が上昇し、耐火被覆材
内部の水蒸気圧が非常に高くなる結果、より顕著に発生
していた。また、前述のように、他の部位からの漏水
等、より多くの水分が流入した場合には、水溜まりとな
り、このような水溜まりは、鉄骨やメタルラスなどの発
錆を促進したり、水蒸気発生による耐火構造内部圧の上
昇の原因となり前記同様の問題を生じていた。以上のよ
うに、鉄骨耐火被覆構造の耐火被覆材に仕上層を施した
場合において、クラックを介しての水分が侵入するよう
な程度の場合のみならず、既に内部への水の侵入が有る
場合や、他の部位からの流入が有る場合等の特異な状況
下においても、長期にわたって所期の耐火性能を有する
鉄骨耐火被覆構造を提供することが本発明の解決しよう
とする課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような問題点を解決
するために、本発明者らは鋭意研究の結果、仕上層にお
けるクラックから侵入する水分に起因する問題は、耐火
被覆材に防水処理を施すことにより解決できること、既
に内部に存在する水分や他の部位から流入してくる水分
の水溜まりに起因する問題は、水溜まりを外部に排出す
る排水脱気機構を設けることにより解決できるものと想
到し本発明を完成した。すなわち、 1.鉄骨表面に、(1) ラス金網、(2) 乾燥時の通気性が
10〜10000 (l/m2 min・100 mmHg・20mm) の湿
式耐火被覆材層、(3) 防水層を順次積層し、(4) 積層構
造の一部に、排水脱気機構部を設けることを特徴とする
排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造。 2.鉄骨表面に、(1) ラス金網、(2) 乾燥時の通気性が
10〜10000 (l/m2 min・100 mmHg・20mm) の湿
式耐火被覆材層、(3) 下塗層、(4) 防水層を順次積層
し、(5) 積層構造の一部に、排水脱気機構部を設けるこ
とを特徴とする排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構
造。 3.防水層の引張強度が50N/cm2 以上、塗膜の伸び
率が50%以上、透水量が0.5ml/24h以下(何れも
20℃、標準状態)であることを特徴とする請求項1ま
たは請求項2に記載の排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積
層構造。 4.排水脱気機構部が透水性を有するセラミックファイ
バーを充填したものであることを特徴とする請求項1か
ら請求項3の何れかに記載の排水脱気機構付き鉄骨耐火
被覆積層構造。 5.排水脱気機構部が、気孔内壁に発泡型耐火塗料を塗
付したものであることを特徴とする請求項1から請求項
4の何れかに記載の排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層
構造。 6.湿式耐火被覆材が、セメント、水酸化アルミニウ
ム、軽量骨材、充填材を主要組成とする湿式耐火被覆材
であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか
に記載の排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造。 7.防水層の表面に仕上層をさらに積層することを特徴
とする請求項1から請求項6の何れかに記載の排水脱気
機構付き鉄骨耐火被覆積層構造。
【0005】本発明において使用される鉄骨は、一般の
構造物に適用される構造用鋼材、例えば、JIS G 3101
一般構造用圧延鋼材、JIS G 3106 溶接構造用圧延鋼
材、JIS G 3114 溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材、JIS
G 3350 一般構造用軽量形鋼、JIS G 3353 一般構造用
溶接軽量H形鋼、JIS G 3444 一般構造用炭素鋼鋼管、
JIS G 3466 一般構造用角形鋼管、JIS G 5201 溶接構
造用遠心力鋳造管、耐火鋼、JIS G 3601 ステンレスク
ラッド鋼等のものであり、さらにその表面に防錆層を有
するものが望ましい。このような防錆層としては鉄骨の
錆を防止するための錆止めペイントを塗付して形成する
ものであり、JIS K 5621の一般用さび止めペイント、JI
S K 5622の鉛丹さび止めペイント、JIS K 5623の亜酸化
鉛さび止めペイント、JIS K 5624の塩基性クロム酸鉛さ
び止めペイント、JIS K 5625のシアナミド鉛さび止めペ
イント、JIS K 5627ジンククロメートさび止めペイン
ト、JIS K 5628鉛丹ジンククロメートさび止めペイント
等があげられる。
【0006】ラス金網とは、防火建築に最も相応しい左
官モルタル下地材であり、一般にメタルラスとワイヤー
ラスがあげられる。メタルラスとは薄鋼板に一定間隔の
切れ目を入れて引き伸ばして網としたエキスパンデッド
ラスのことであり、その形状により平ラス、コブラス、
波型ラス、リブラスがあるが、本発明ではリブラスが望
ましい。また、ワイヤーラスとは針金を編んで作った金
網である。編み方により菱形、甲型、丸型などがある。
また、本発明のラス金網にはエキスパンドメタルも使用
できる。これらラス金網を鉄骨に取りつける際は、予め
鉄骨に鉄筋を溶接し、その鉄筋に針金で取りつける方法
が一般的であるが、鉄骨の大きさがさほど大きくない場
合には、ラス金網を鉄骨に巻き付けて、その後にさらに
針金を巻いて取りつける方法も可能である。
【0007】湿式耐火被覆材としては、従来から使用さ
れているものであれば特に限定はされないが、乾燥時の
通気性が上述した範囲であり、かつ耐火被覆材層の強度
や耐火性能を考慮すると、セメント、水酸化アルミニウ
ム、軽量骨材、充填材を主要組成とするものが望まし
い。特に、(a) セメント、(b) 再乳化型粉末合成樹脂お
よび/または合成樹脂エマルション、(c) 軽量骨材、
(d) 水酸化アルミニウムを主要組成とし、(a) 100重
量部に対して、(b) 3〜50重量部(固形分)、(c) 2
0〜300重量部、(d)50〜600重量部からなるも
のは、強度、耐火性能、通気性から最も望ましい。この
湿式耐火被覆材の乾燥時の通気性は10〜10000
(l/m2 min・100 mmHg・20mm) の範囲であるが、10
(l/m2 min・100 mmHg・20mm) より小さいときは、鉄
骨の取り合い部分等から水が侵入し、耐火被覆材に含浸
している場合において、直射日光等による急激な温度上
昇により水蒸気が発生し、その水蒸気によって下塗層ま
たは防水層が押上げられ膨れてしまう。また、耐火被覆
材の緻密性が高く強度が大きいため、耐火被覆材そのも
のにクラック発生の可能性がある。10000 (l/m2 m
in・100 mmHg・20mm) より大きいときは、耐火被覆材
の強度が低下し、塗膜本来の付着強度が保持できず下塗
層または防水層が剥離する。乾燥時の通気性の測定方法
は図2に示した通気性測定装置を使用して、エアポンプ
から段階的に圧力を上昇させながら空気を送り、その際
の試験体を通過する空気の量を流量計により測定して得
られた圧力と流量のデータから求められる一次曲線よ
り、単位面積(m2) 、単位時間(min) 、一定圧力(100
mmHg)、一定厚み(20mm)に換算して表したものであ
る。尚、鉄骨の取り合い等の複雑な部位以外の場合は、
このような湿式耐火被覆材を予め成形加工したものを取
り付ける方法によれば、吹き付けの手間が省けてより効
率的になる。
【0008】防水層としては、湿式耐火被覆材に密着す
ると共に外部からの水の侵入を防ぎ、湿式耐火被覆材の
耐久性を当初のレベルで確保するものであれば特に限定
されない。このようなものには、シート防水、塗膜防水
がある。シート防水とは、塩化ビニルや加硫ゴム等の防
水シートを下塗材(接着材)を介して躯体に接着させる
防水工法であり、塗膜防水とは、液状のゴムや樹脂を塗
料化して、ローラーや吹き付けにより躯体に塗付して形
成される防水塗膜による防水工法である。耐火被覆材と
して、鉄骨の取り合い等の複雑な部位にも施工容易であ
るという長所を活かして、湿式を使用しているので、防
水層としても複雑な部位への施工が容易な塗膜防水が望
ましい。このような防水層は、その防水層の20℃、標
準状態における引張強度が50N/cm2 以上、塗膜の伸
び率が50%以上、透水量が0.5ml/24h以下の場合
において、本発明の効果としての、耐火被覆材の外部で
の長期にわたる性能維持をより顕著に得ることができ
る。上述の物性を有する防水層としては、望ましくはJI
S A 6021 屋根用塗膜防水材や、JIS A 6910 複層仕上
げ塗材防水形主材に該当するもの等があげられる。防水
層の引張強度、塗膜の伸び率は、JIS K 5400 8.8「引張
強さと伸び率」の規定に基づいて、また透水量は、JIS
K 5400 8.16 「透水度」の規定に基づいて測定する。
尚、防水層がシート防水の場合や塗膜防水においても、
耐火被覆材との密着性が劣る場合には、耐火被覆材に下
塗材(接着材)を塗布した後に防水層を施す必要があ
る。このような下塗層としては、アクリル、ウレタン、
エポキシ系等の各種接着材、アクリル、ウレタン、エポ
キシ、塩素化ポリオレフィン系等の溶剤系シーラーや、
水性系シーラー、エマルションとセメントからなるポリ
マーセメント、弾性ポリマーセメント等が使用できる。
【0009】このような積層構造の梁や柱に対して、耐
火被覆材中の水溜まりを外部に排出する排水脱気機構を
設ける。その位置は任意であるが、特に排水の目的から
すれば、柱の場合には柱脚部に、梁の場合は下端のフラ
ンジ面に設けることが望ましい。一般に裏面に回り込ん
だ水分を外に速やかに排水するには貫通孔を設ければよ
い。しかしながら耐火被覆構造においては、外表面側か
ら内部鉄骨にまで達するそのような貫通孔の存在は、火
災の際の炎や熱の通り道となり、その周辺に位置する鉄
骨の温度が上昇し、本来の耐火被覆の機能を低下させる
ことになる。排水脱気機構部とは、そうした耐火欠損と
ならずに内側に浸入した水分を速やかに外に排出するこ
とができる機構である。
【0010】この排水脱気機構部の可能な態様として
は、透水性に優れた材料の層を耐火被覆層の一部に取っ
て代わって形成するもの、内側に被熱発泡型材料が配置
された貫通した排水孔を形成するものがあげられる。
【0011】透水性の優れた排水脱気機構部を形成する
透水材料はまた、火災の熱に耐えられるだけの耐熱性を
必要とする。そうした点で、JIS A 1304 4. 「加熱等
級」の付図1に規定される標準加熱曲線で加熱された時
に溶融しない、及び/または形状保持できる耐熱性を有
する材料であることが望ましい。融点が低い材料では火
災時にその部分が溶融脱落するし、また形状を構造を保
持できずに崩れてしまう材料では何れも耐火被覆欠損部
となり、内部鉄骨の温度上昇が促進されることになる。
なお、形状構造が加熱中保持できれば、加熱によって強
度が低下しても差し支えない。また内部の水、及び蒸気
をを効率的に排出する目的から言えば、その透水材料の
透水性は高い方が望ましい。しかしながら透水性が高く
排水の目的を達することができる材料であっても、嵩密
度があまり小さすぎると、構造的に多孔質性が高くなり
炎や熱の遮断効果が劣ってくることになり好ましくな
い。そうした点では嵩密度は0.1g/cm3 以上である
ことが望ましい。以上のような条件を満たす透水材料と
しては、繊維状の耐熱材料やあるいは非繊維質の多孔質
耐熱材料が選定される。このような繊維状の耐熱透水材
料としては、以下のような耐熱性のセラミックファイバ
ーを綿状にして貫通孔に詰めたり、あるいは予め少量の
バインダーで成形されたものを使用する。具体的には、
セラミックファイバーとしては、チタン酸カリウム繊
維、アルミナシリケート質ファイバー、溶融シリカファ
イバー、高ケイ酸質ファイバー、アルミナファイバー、
ジルコニアファイバー、ロックウール、またその他に、
天然繊維としてアスベストやセピオライト(含水ケイ酸
マグネシウム)等が挙げられる。また、非繊維質の耐熱
透水材料としては、多孔質焼結磁器、セラミックハニカ
ム、海綿状セラミックフォーム、連通性発泡コンクリー
ト、耐熱性パーライト軽量体、セメント系多孔軽量体な
どが列挙される。透水材料を用いて排水脱気機構部を形
成する方法としては、通常、最終の塗装耐火被覆積層構
造まで仕上げられた時点で、後から貫通の孔をあけ、そ
の部位に透水性材料をその孔に充填する方法があり、必
要に応じてその周囲をシーリング処理などを行う。その
他には、耐火被覆を塗付施工する段階で、予め形成され
た透水性材料を耐火被覆材の施工の段階で一緒に固定す
ることも可能である。更に、貫通孔に充填された透水材
料が長期間に渡って落下、或いは脱落しないようにする
ために、透水性及び耐火性を阻害しない範囲で、透水材
料を接着剤や釘、ネジ等で固定したり、その表面に金属
性の金網等を設けたりすることも可能である。また場合
によっては前述の繊維状耐熱材料と、非繊維質の多孔質
材料を組み合わせて使用してもよい。排水脱気機構部の
大きさ及び形状は特に限定されるものではないが、その
排水部面積を大きくし過ぎると、内部の水の排水脱気の
機能が良好になる半面、場合によっては逆に外部からの
雨水等がその排水脱気部を通して内部に入り込む確率が
大きくなることにもなる。またこれら透水材料は、周囲
の耐火被覆層に比較すると、相対的には耐火被覆性能で
は劣る傾向にあるため、その部位の面積を大きくするこ
とでその裏に位置する鉄骨の受熱量が相対的に増えるこ
とになり、耐火性能上好ましくない。以上の観点より、
排水脱気部の大きさは、例えば円筒状の場合であれば、
耐火被覆厚さ或いはそれ以下の径程度が望ましい。また
逆に排水脱気部の大きさが小さすぎると、排水脱気能力
が劣り、目的の機能を果たせなくなる。
【0012】一方、内側に被熱発泡型材料が配置された
貫通した排水孔を形成することからなる排水脱気機構部
に関しては、以下のような被熱発泡型材料が選定され
る。先ず塗料の形態で施工される場合がある。それは通
常、最終の塗装耐火被覆積層構造まで仕上げられた時点
で、後から貫通の孔をあけ、その孔の内側及び又は周辺
部に耐火塗料を塗付、乾燥させて被熱発泡層を形成する
方法である。また必要に応じてその上にさらに上塗材を
塗付したり、その周囲をシーリング処理などを行う。そ
の他に、予めその孔の形状、例えば円筒状に形成したシ
ート状被熱発泡型材料、あるいは被熱発泡型材料が塗付
された同部材等を接着剤等で貫通孔内壁に沿って固定す
ることから形成される。これらの目的にあった被熱発泡
型材料は、例えば以下のような材料構成から成り立って
いる。すなわち構成成分の一つがバインダーである。こ
のバインダーは、未発泡時における被膜形成の主要素で
あり、火災発生時にはその被膜中に含有する各種成分と
の複合反応により、炭化断熱層の一部となるものであ
る。したがって主材層のその他の成分と混合可能であ
り、被膜を形成する合成樹脂、天然樹脂であればどのよ
うなものでも使用できるが、特に一液硬化型エポキシ樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、スチレン−ア
クリル酸エステル共重合体、ビニルトルエン−ブタジエ
ン共重合体、ビニルトルエン−アクリル酸エステル共重
合体およびこれらとアクリル酸モノマー、メタクリル酸
モノマーとの三元共重合体等から選択される重量平均分
子量50000〜200000の高分子が、炭化断熱層
の強度や発泡倍率の大きさ、発泡の均一性に優れる点に
おいて望ましい。ここで一液硬化型のエポキシ樹脂は、
ビスフェノールA形、ビスフェノールF形、ノボラック
形、レゾルシン形、環状エステル形、脂肪族エステル形
等のエポキシ樹脂で熱可塑性を有するものである。ま
た、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、メ
チルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアク
リレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n
−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、
ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリルアミド、
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等
があげられる。被熱発泡型材料のその他の構成成分は、
大きく分類すると、難燃剤、発泡剤、炭化材、充填材に
分類される。これら各構成成分は火災発生時にそれらの
複合作用により、発泡耐火塗料の発泡、炭化層形成、不
燃性ガス発生という機能を全体として付与するものであ
る。具体的には難燃剤、すなわち火災によりバインダー
が燃焼するのを、脱水冷却効果、不燃性ガス発生効果、
バインダーの炭化促進効果などにより防止する成分とし
て、トリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルホ
スフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、トリ
(β−クロロエチル)ホスフェート、トリブチルホスフ
ェート、トリ(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ
フェニルホスフェート、トリ(ジブロモプロピル)ホス
フェート、クロロホスホネート、ブロモホスホネート、
ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミ
ノメチルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ヒド
ロキシメチルホスフォネート等の有機リン系化合物、塩
素化パラフィン、塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチ
レン、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、五塩化脂肪
酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナ
フタレン、テトラクロル無水フタル酸等の塩素化合物、
三酸化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五
塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウ
ム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸ソーダ等の無機質化合物があげ
られる。特にポリリン酸アンモニウムは、脱水冷却効果
と不燃性ガス発生効果の両方を有しているため難燃効果
が高く、下記の発泡剤の配合量を削減できる効果もあり
望ましく用いられる。この難燃剤を発泡耐火塗料に配合
しないと、溶融したバインダーが燃焼していまい充分な
断熱性を有する炭化断熱層を形成することができない。
発泡剤、すなわち火災により炭化していくバインダーお
よび下記の炭化剤を、不燃性ガスの発生により発泡さ
せ、気孔を含有した炭化断熱層とするための成分とし
て、メラミンおよびその誘導体、ジシアンジアミドおよ
びその誘導体、アゾジカーボンアミド、尿素、チオ尿素
等があげられる。特にメラミン、ジシアンジアミド、ア
ゾジカーボンアミドは不燃性ガスの発生効率に優れるた
め望ましく用いられる。この発泡剤を配合しないと炭化
層に断熱性を付与する気孔が形成されず所期の耐火効果
が得られない。炭化剤、すなわち火災によるバインダー
の炭化と共に自身も脱水炭化していくことにより、より
断熱性に優れた厚みのある炭化断熱層を形成する成分と
しては、澱粉、カゼインやペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価
アルコール等があげられる。特にジペンタエリスリトー
ルは脱水冷却効果と炭化断熱層形成に優れるため好まし
く用いられる。この炭化剤を配合しないと炭化層はバイ
ンダーのみから形成されることになり、この場合には充
分な炭化が進まず燃焼分解を起こし、所期の耐火効果を
得ることができない。充填剤、すなわち炭化断熱層の強
度付与効果と耐火性の向上効果を付与する成分として
は、タルク等の珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウ
ム等の炭酸塩、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化
亜鉛等の酸化物、粘土、クレー、シラス、マイカ等があ
げられる。これらの充填剤を配合しないと形成される炭
化層は脆弱で壊れやすいため、炭化断熱層の剥離脱落を
起こし、所期の耐火効果を得ることができない。これら
バインダーをはじめとする、被熱発泡型材料各成分の配
合比率は、火災発生時に炭化断熱層を形成するような比
率であれば特に限定はされないが、目安としては、バイ
ンダー固形分100重量部に対して、その他の構成成分
は固形分で、難燃剤200重量部〜600重量部、発泡
剤40〜150重量部、炭化剤40〜150重量部、充
填剤50〜160重量部配合すれば良い。特に望ましく
は、炭化断熱層の発泡倍率の高さ、発泡の均一性、断熱
効果の高さ、またその強度に優れる点などから、バイン
ダーとしては、ビニルトルエン−ブタジエン共重合体お
よび/またはビニルトルエン−アクリル酸エステル共重
合体を固形分で100重量部に対して、難燃剤として、
ポリリン酸アンモニウムと塩素化パラフィンを合計量で
200重量部〜600重量部、発泡剤としてメラミンを
40重量部〜150重量部、炭化剤としてジペンタエリ
スリトールを40重量部〜150重量部、充填剤として
二酸化チタンを50重量部〜160重量部配合すれば良
い。上記した被熱発泡型材料には、さらに補強のために
繊維を配合したり、着色のために顔料を配合しても良
い。この場合の繊維としては、ロックウール、ガラス繊
維、シリカ−アルミナ繊維等の無機繊維があげられる。
ただし耐火性能に影響を与えない程度でパルプ等の有機
繊維を併用してもよい。また、顔料としては、二酸化チ
タン、酸化鉄、酸化亜鉛等の塗料用一般顔料が使用でき
る。さらに主材層の粘度調整、乾燥性調整、作業性調整
の為に必要に応じてさらに希釈用溶剤を配合しても良
い。このような溶剤としては、トルエン、キシレン等の
芳香族系溶剤、ケトン類、グリコールエステル類、ミネ
ラルスピリット等の脂肪族系溶剤などバインダー樹脂を
溶解でき、かつ発泡耐火塗料の各構成成分と反応を起こ
さないものであれば特に限定されない。その被熱発泡型
材料の必要厚みは、火災にあった時に排水貫通孔の空間
を埋めるだけの発泡後の容積を必要とするため、当然そ
の材料の発泡倍率、及びその排水孔の大きさに関係す
る。つまり、一定の寸法の排水孔の場合、発泡倍率が小
さい被熱発泡型材料を使うほど、厚くしなければならな
い。また前述の透水材料を使用する場合と同じように、
排水孔をあまり大きくするとそこから逆に雨水が浸入す
ることを考えると自ずとその径は限定されてくる。以上
より、貫通孔の大きさは、例えば円筒状の場合であれ
ば、耐火被覆厚さ或いはそれ以下の径程度が望ましい。
具体的には3〜30mm程度である。このように、内側に
被熱発泡型材料を配置した貫通孔を耐火被覆層の一部に
形成することにより、通常においては、内部に浸入した
水の排水孔として作用し、万が一の火災の際には、被熱
発泡型材料がその火災の熱で発泡してその貫通孔を塞ぐ
ことで火の浸入を防ぐことができた。
【0013】本発明の外部用鉄骨耐火被覆積層構造は、
上記のような構成によってその効果を得ることができる
が、防水層の外観と耐久性をより向上させるために、さ
らに防水層表面に仕上層を設けることが望ましい。この
ような仕上層としては、弾性を有する防水層に密着可能
であれば特に限定されないが、例えば、JIS K 5654「ア
クリル樹脂エナメル」、JIS K 5656「建築用ポリウレタ
ン樹脂塗料」、JIS K5658「建築用ふっ素樹脂塗料」、J
IS K 5660「つや有合成樹脂エマルションペイント、JIS
K 5663「合成樹脂エマルションペイント」、JIS K 566
7「多彩模様塗料」、JIS K 5668「合成樹脂エマルショ
ン模様塗料」、アクリル変性シリコン塗料、水性アクリ
ル変性シリコン塗料等があげられるが、防水層表面への
塗布のため、ある程度の弾性を有していることが望まし
い。
【0014】
【実施例】
(配合例1) <通気性試験方法>表1に記載の配合例に混練用の水を
加えて湿式耐火被覆材スラリーを調整したこれを型枠に
流し込んで、硬化、脱型し、相対する二辺の距離が60
mmとなるような厚み20mmの八角形の基板を作製した。
この基板の表裏面に50mmφの非塗布面を残して、他の
部分をエポキシ樹脂系接着剤を使用して被覆して硬化さ
せた。その後、エポキシ樹脂接着剤面をサンドペーパー
にて研磨して図3のようなアタッチメントmにシール用
パッキンnと共に挟持した後、図2に示すような通気性
測定装置にセットした。通気性測定装置はエアポンプh
から、圧力調整弁iを介して、圧力計jで圧力を測定さ
れた空気が圧送され、試験体装着部へと導入されてい
る。一方、試験体装着部から排出された空気は流量計k
に導かれ、1分間の流量がリットル単位で測定される。
試験体装着部は図4のようになっており、先のように基
板にエポキシ樹脂系接着剤を使用して被覆した以外の部
分(50mmφ)を空気が通過するようになっている。こ
のようにして測定した圧力と流量のデータから求められ
る一次曲線より、単位面積(m2 )、単位時間(min
)、一定圧力(100mm Hg)、一定厚み(20mm)に換
算したところ乾燥時の通気性は6454 (l/m2 min・10
0 mmHg・20mm) であった。 <圧縮強度>次に、前記湿式耐火被覆材スラリーを型枠
に流し込んで、硬化、脱型し、断面40×40×160
mmの角柱を作製し、これを使用してJIS A 1172「ポリマ
ーセメントモルタルの強さ試験方法」に基づいて圧縮強
度を測定したところ67N/cm2 であった。 <嵩密度>圧縮強度測定の際に作製した角柱の重量を測
定して、嵩密度を算出したところ0.51g/cm3
あった。 <塗膜の膨れ>次に、前記湿式耐火被覆材スラリーを型
枠に流し込んで、硬化、脱型し、300×300×20
mmの基板を作製した。この基板を充分に乾燥した後
に、図5のように下塗層eとして塩化ゴム系シーラー
(エスケー化研株式会社製「レナエクセレント下塗
材」)を塗布量0.20kg/m2 で塗布した。下塗層
の乾燥後に、防水層fとしてアクリルゴム系屋根用塗膜
防水材(エスケー化研株式会社製「レナエクセレント
A」)を塗布量2.4kg/m2 にて塗布乾燥し、さら
に仕上層gとして溶剤形二液反応タイプ弾性ウレタンエ
ナメル(エスケー化研株式会社製「弾性ウレタンカラ
ー」)を塗布した。塗装後14日間養生(20℃、65
%RH)したものを、7日間水浸漬し試験体とした。こ
の試験体の塗膜面を、図5のようにセラミックヒーター
oにて加熱し、最大70℃にして6時間保持し、その後
塗膜の膨れを目視にて確認した。 <耐候性>次に、1000×400×5mmの鉄板に9
mmφの鉄筋を溶接し、さらにその鉄筋にリブラスを針
金にて取りつける。該リブラスに前記湿式耐火被覆材ス
ラリーをコテにて厚み20mmで塗りつける。このよう
にして作製した試験体を屋外に1年間暴露し、クラック
の発生の有無を確認したところ、クラックの発生はみら
れなかった。 (配合例2〜配合例8)表1に示した配合をそれぞれ使
用した以外は配合例1と同様にして試験をおこなった。
結果は表2に示したように、配合例7と配合例8は塗膜
の膨れは耐候性に問題を生じた。 (実施例1) (耐火性能試験)図6および図7のように、300×3
00×9mmの鉄板に、直径9mmの鉄筋を溶接し、リブラ
スを針金にて取りつけた後、配合例2の湿式耐火被覆材
を200×200mmの範囲に厚み20mmでコテ塗りし2
8日の養生した。このようにして作製した基材のセラミ
ック系耐火被覆材中央に、リブラスまで到達し、かつ直
径20mmの孔を形成し、さらに孔部分にセラミックファ
イバーを充填し、これを試験体とした 次に試験体を、
図8のように炉口が200×200mmの電気炉にセット
し、試験体全体をセラミックファイバーにて被覆した。
続いて電気炉内の温度と、試験体裏面の温度を熱電対に
て測定しながら、JIS A 1304 4. 「加熱等級」に規定す
る標準加熱曲線にて1時間加熱した。その結果、1時間
加熱後の試験体裏面の最高温度は295℃であり、1時
間耐火性能を満足することが判明した。 (比較例1)耐火被覆材に設けた孔に何も充填しない以
外は実施例1と同様にしたところ、1時間加熱後の裏面
温度は362℃であり、1時間耐火性能は有していない
ことが判明した。
【表1】
【表2】
【0015】
【発明の効果】本発明によって、鉄骨耐火被覆を外部で
使用しても長期にわたってその性能を維持することが可
能になった。特に湿式の耐火被覆材を使用するため、複
雑な取り合い部への施工が容易である点が優れている。
また、本発明では使用する湿式耐火被覆材として軽量骨
材、水酸化アルミニウム、充填材等からなる場合は、モ
ルタルに比較して単位面積当たりの重量も軽く、1時間
耐火性能が20mmと薄いため耐火被覆材の施工が早
い。さらに、耐火被覆材が特定の通気性を有しているた
め、もし鉄骨の取り合い部分等の他の部位から水分が侵
入し、耐火被覆材が含水することになっても、耐火被覆
材中に含有する水分を拡散することができる。一方、防
水層は弾性を有していることから、鉄骨及び耐火被覆材
の振動やたわみ、熱による膨張収縮にも追従することが
でき、外部からの雨水の侵入を起因とする仕上げ層の膨
れや凍害による耐火被覆材料の破壊を防ぐことができ
る。さらに、鉄骨の梁や柱の耐火被覆において、取り合
い部等や耐火被覆材の欠損部から流入してきた水分が内
部に水溜まりを形成するような厳しい条件の場合でも、
排水脱気機構により耐火性能を損なわずに排水できる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】外部用鉄骨耐火被覆積層構造の概念断面図であ
る。
【図2】通気性測定装置の概要図である。
【図3】通気性測定装置において試験体を挟持するアタ
ッチメントの平面図である。
【図4】通気性測定装置における試験体装着部の断面図
である。
【図5】含水した耐火被覆材での塗膜の膨れの試験方法
と試験体を示す説明図である。
【図6】耐火性能試験体の平面図
【図7】耐火性能試験体の断面図
【図8】耐火性能試験の実施状態を示す断面図
【符号の説明】
a 鉄骨 b 鉄筋 c リブラス d 耐火被覆材層 e 下塗層 f 防水層 g 仕上層 h エアポンプ i 圧力調整弁 j 圧力計 k 流量計 m アタッチメント n シール用パッキン o セラミックヒーター p 鉄板 q 孔 r 電気炉 s セラミックファイバー t 熱電対

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄骨表面に、1.ラス金網、2.乾燥時の
    通気性が10〜10000 (l/m2 min・100 mmHg・20
    mm) の湿式耐火被覆材層、3.防水層を順次積層し、
    4.積層構造の一部に、排水脱気機構部を設けることを
    特徴とする排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造。
  2. 【請求項2】鉄骨表面に、1.ラス金網、2.乾燥時の
    通気性が10〜10000 (l/m2 min・100 mmHg・20
    mm) の湿式耐火被覆材層、3.下塗層、4.防水層を順
    次積層し、5.積層構造の一部に、排水脱気機構部を設
    けることを特徴とする排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積
    層構造。
  3. 【請求項3】防水層の引張強度が50N/cm2 以上、塗
    膜の伸び率が50%以上、透水量が0.5ml/24h以下
    (何れも20℃、標準状態)であることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の排水脱気機構付き鉄骨耐
    火被覆積層構造。
  4. 【請求項4】排水脱気機構部が透水性を有するセラミッ
    クファイバーを充填したものであることを特徴とする請
    求項1から請求項3の何れかに記載の排水脱気機構付き
    鉄骨耐火被覆積層構造。
  5. 【請求項5】排水脱気機構部が、気孔内壁に発泡型耐火
    塗料を塗付したものであることを特徴とする請求項1か
    ら請求項4の何れかに記載の排水脱気機構付き鉄骨耐火
    被覆積層構造。
  6. 【請求項6】湿式耐火被覆材が、セメント、水酸化アル
    ミニウム、軽量骨材、充填材を主要組成とする湿式耐火
    被覆材であることを特徴とする請求項1から請求項5の
    何れかに記載の排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構
    造。
  7. 【請求項7】防水層の表面に仕上層をさらに積層するこ
    とを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の
    排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造。
JP25955494A 1994-09-28 1994-09-28 排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造 Expired - Lifetime JP2862486B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25955494A JP2862486B2 (ja) 1994-09-28 1994-09-28 排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25955494A JP2862486B2 (ja) 1994-09-28 1994-09-28 排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0893077A true JPH0893077A (ja) 1996-04-09
JP2862486B2 JP2862486B2 (ja) 1999-03-03

Family

ID=17335735

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25955494A Expired - Lifetime JP2862486B2 (ja) 1994-09-28 1994-09-28 排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2862486B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006231234A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Kikusui Chemical Industries Co Ltd 耐火塗料の外部向け構造
US7658042B2 (en) 2004-10-25 2010-02-09 Composite Support & Solutions, Inc. Fire-protection walls of cementitious composite materials
JP2014061810A (ja) * 2012-09-21 2014-04-10 Denso Corp ヒートポンプ式冷暖房空調装置
JP2014118673A (ja) * 2012-12-13 2014-06-30 Takenaka Komuten Co Ltd 構造部材
KR20180119742A (ko) * 2017-04-25 2018-11-05 (주)더나은구조엔지니어링 내화피복구조를 갖는 강관 기둥
JP2020041304A (ja) * 2018-09-10 2020-03-19 Ihi運搬機械株式会社 耐火被覆下地、および、耐火被覆下地施工方法、並びに、耐火被覆施工方法
CN114856078A (zh) * 2022-03-17 2022-08-05 甬港现代工程有限公司 复合板结构

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107724625B (zh) * 2017-09-27 2019-12-27 同济大学 一种基于装饰防火一体化板的施工和防灾整体设计方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7658042B2 (en) 2004-10-25 2010-02-09 Composite Support & Solutions, Inc. Fire-protection walls of cementitious composite materials
JP2006231234A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Kikusui Chemical Industries Co Ltd 耐火塗料の外部向け構造
JP2014061810A (ja) * 2012-09-21 2014-04-10 Denso Corp ヒートポンプ式冷暖房空調装置
JP2014118673A (ja) * 2012-12-13 2014-06-30 Takenaka Komuten Co Ltd 構造部材
KR20180119742A (ko) * 2017-04-25 2018-11-05 (주)더나은구조엔지니어링 내화피복구조를 갖는 강관 기둥
JP2020041304A (ja) * 2018-09-10 2020-03-19 Ihi運搬機械株式会社 耐火被覆下地、および、耐火被覆下地施工方法、並びに、耐火被覆施工方法
CN114856078A (zh) * 2022-03-17 2022-08-05 甬港现代工程有限公司 复合板结构
CN114856078B (zh) * 2022-03-17 2024-02-06 甬港现代工程有限公司 复合板结构

Also Published As

Publication number Publication date
JP2862486B2 (ja) 1999-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10011530B2 (en) Geopolymer coating and mortar
EP2417078B1 (en) Method for the production of building materials and building products manufactured thereby
CN101158213A (zh) 直敷式eps无机复合板及其外墙外保温系统和施工方法
JP2862486B2 (ja) 排水脱気機構付き鉄骨耐火被覆積層構造
JP6497924B2 (ja) 木造建築物の外張り断熱耐火外壁構造
PL210549B1 (pl) Sposób powlekania elementów budowlanych wykonanych na bazie cementu i powlekany element kształtowy na bazie cementu
CN211523508U (zh) 一种用于住宅保温一体板外墙保温节点
US6730160B2 (en) Method of manufacture of structural insulating building materials
CN201128995Y (zh) 直敷式eps无机复合板及其外墙外保温系统
CN210002750U (zh) 土建式冷库外围护结构保温防火装饰系统
RU117468U1 (ru) Комплексная система утепления "теплолинк" для зданий и сооружений
JP6309262B2 (ja) 被覆構造体
JPH09195441A (ja) 軽量断熱防水パネルの製造方法
JP4495529B2 (ja) 耐火被覆及び耐火被覆の施工方法
Borle et al. Comparative study of conventional and modern waterproofing techniques
JP2997627B2 (ja) 外部用鉄骨耐火被覆積層構造
JPS5922862B2 (ja) 断熱性建築構造およびその施工方法
JPH046182A (ja) 断熱材
CN211899376U (zh) 一种自带保温和装饰效果a级防火的建筑外墙成品构件
JP3167019B2 (ja) 積層防水施工法
JP3027656U (ja) 軽量断熱防水パネル
RU2807640C1 (ru) Негорючая паропроницаемая тепло-гидроизоляция ограждающих конструкций зданий и сооружений на основе комбинации сверхтонкой теплоизоляции из вакуумизированных микросфер и гидроизоляционного покрытия
JPS60119843A (ja) 建築物の外壁断熱工法
JP2000160727A (ja) 耐火断熱工法
JP3028853U (ja) 勾配付き軽量断熱防水パネル

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081211

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091211

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091211

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101211

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111211

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121211

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131211

Year of fee payment: 15

EXPY Cancellation because of completion of term