JP3988198B2 - 液晶デバイス、その製造方法及び、これを用いた液晶表示装置 - Google Patents

液晶デバイス、その製造方法及び、これを用いた液晶表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光板を使用しない液晶材料及び透明性固体物質を含有する調光層を有する液晶デバイスに関し、更に詳しくは、視野の遮断、透過を電気的又は熱的に操作し得る光散乱形の液晶デバイスに関する。本発明の液晶デバイスは、建物の窓やショーウインドウなどで視野遮断のスクリーンに利用されるとともに、文字や図形を表示し、高速応答性を以て電気的又は熱的に表示を切り換えることによって、広告板等の装飾表示板や時計、電卓の表示装置や、明るい画面を必要とする表示装置、特にコンピューター端末の表示装置やプロジェクションの表示装置として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
偏光板や配向処理を要さず、明るくコントラストの良い液晶デバイスを製造する方法として、ポリマー中に液晶滴を分散させ、そのポリマーをフィルム化する方法が知られている。特表昭58−501631号公報、米国特許第4435047号明細書には、カプセル化物質として、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール等が提案され、これら以外にも、例えば、特表昭61−502128号公報、特開昭62−2231号公報等において知られている。
【0003】
しかしながら、ポリマー中に液晶滴を分散させた液晶デバイスでは、液晶材料の個々の屈折率とポリマーの屈折率との一致不一致を最適化する煩わしさ以外に、十分な透明性を得るのに25V以上と高い電圧を必要とし、表示用の液晶デバイスの実用化において重視される低い駆動電圧特性を備えていなかった。
【0004】
液晶表示用デバイスの実用化に要求される重要な特性である低電圧駆動性、高コントラスト、時分割駆動性を可能にする技術として、米国特許第5,304,323号明細書、特開平1−198725号公報には、液晶材料が連続層を形成し、この連続層中に、高分子物質が三次元網目状に分布した構造を有する液晶デバイスが開示されている。
【0005】
この目的に係わる液晶材料として、例えば、欧州特許第359,146号公報には、液晶材料の複屈折性や誘電率異方性を最適化する方法が開示されており、特開平6−222320号公報には、液晶材料の弾性定数を特定する技術が開示されている。
【0006】
また、特開平5−339573号公報及び特開平6−123866号公報には、フルオロ系化合物を用いることにより、プロジェクション表示でのコントラストが約40であるものが開示されている。
【0007】
この目的に係わる高分子材料として、例えば、特開平5−173118号公報には、特定の2官能アクリレートを含有する重合性組成物を重合した高分子物質により高電圧保持率、低電圧駆動の液晶デバイスを得る技術が開示されている。
【0008】
しかしながら、このような液晶デバイスに要求される特性は、抵抗値が高いこと、電圧保持率が優れていること、駆動電圧が低いこと、光散乱が強いこと、コントラスト比が大きいこと等、更に改良向上させることが求められており、現在も新しい提案がなされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような光散乱形の液晶デバイスにおいて、より低い電圧駆動性やより高いコントラスト比等の要求される表示特性を維持向上させると共に、比抵抗、電圧保持率の耐熱性を大幅に改善し、信頼性の高い光散乱形の液晶デバイスを提供することにある。更に詳しくは、アクティブ・マトリクス方式に要求される特性を有し、例えば、プロジェクション表示装置として利用することができる液晶デバイスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を達成するために、液晶デバイスの調光層を構成する液晶材料と透明性固体物質について鋭意検討した結果、上記課題を解決するに至った。
【0011】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板と、2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶デバイスにおいて、前記液晶材料が一般式(I−1)
【0012】
【化16】
Figure 0003988198
【0013】
(式中、R11は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又は直鎖状アルコキシル基を表わし、X11はフルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオルメチル基、炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基又はアルコキシル基を表わし、X12、X13、Y1及びY2は各々独立的に水素原子又はフルオロ基を表わす。)
で表わされる化合物群(I−1)、一般式(I−2)
【0014】
【化17】
Figure 0003988198
【0015】
[式中、R12は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、直鎖状アルケニル基又は一般式
【0016】
【化18】
Figure 0003988198
【0017】
(式中、p及びqは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)
で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X14はフルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオルメチル基、炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基又はアルコキシル基を表わし、X15、X16、Y3及びY4は各々独立的に水素原子又はフルオロ基を表わし、nは0又は1を表わす。]
で表わされる化合物群(I−2)及び一般式(I−3)
【0018】
【化19】
Figure 0003988198
【0019】
(式中、R13は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R14は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わし、 Y5は水素原子、フルオロ基又はメチル基を表わし、Y6及びY7は各々独立的に水素原子又はフルオロ基を表わし、 Z1は単結合、−COO−、−C24−又は−C48−を表わし、rは0又は1を表わす。)
で表わされる化合物群(I−3)からなる3群の化合物群のうち、2又は3群の化合物群から各々選ばれる少なくと1つ以上の化合物を含有する液晶材料であり、
前記透明性固体物質が、一般式(II−1)
【0020】
【化20】
Figure 0003988198
【0021】
(式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、R′はアルキル分岐基を有していても良く又は脂環式で置換されていても良い炭素原子数が6〜50のアルキレン基を示す。)
で表わされるアルキレンジ(メタ)アクリレート誘導体から選ばれる高分子形成性化合物を含有する重合性組成物を重合してなる透明性固体物質であることを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0022】
更に、本発明は上記課題を解決するために、前記一般式(II−1)で表わされるアルキレンジ(メタ)アクリレート誘導体から選ばれる高分子形成性化合物が、一般式(II−2)
【0023】
【化21】
Figure 0003988198
【0024】
(式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、aは6〜24の整数を表わす。)
で表わされる化合物、一般式(II−3)
【0025】
【化22】
Figure 0003988198
【0026】
(式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、b及びcは各々独立的に1〜10の整数を表わし、dは1〜10の整数を表わし、eは0〜6の整数を表わす。)
で表わされる化合物、一般式(II−4)
【0027】
【化23】
Figure 0003988198
【0028】
(式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、f、g、h及びiは各々独立的に0〜10の整数を表わす。)
で表わされる化合物及び一般式(II−5)
【0029】
【化24】
Figure 0003988198
【0030】
(式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、j、k、l及びmは各々独立的に0〜10の整数を表わす。)
で表わされる化合物から成る群から選ばれる高分子形成性化合物であることを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0031】
また、本発明は上記課題を解決するために、前記透明性固体物質が、前記アルキレンジ(メタ)アクリレート誘導体に加えて、更に単官能型(メタ)アクリレート誘導体を含有する重合性組成物を重合して成る透明性固体物質であり、又さらには該単官能型(メタ)アクリレート誘導体が、直鎖アルキル(メタ)アクリレート化合物、分岐アルキル鎖を有するアルキル(メタ)アクリレート化合物、あるいはこれら2種の化合物の混合物であることを特徴とし、更には又該アルキル(メタ)アクリレート化合物の炭素原子数が16〜30であることを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0032】
また、本発明は上記課題を解決するために、前記液晶材料が、6成分以上の化合物を含有し、複屈折率Δnが0.200以上であり、誘電率異方性Δεが5以上であり、少なくとも5〜75℃の全範囲でネマチック相を示すことを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0033】
更に、本発明は上記課題を解決するために、前記液晶材料が、一般式(III−1)
【0034】
【化25】
Figure 0003988198
【0035】
[式中、R21は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、直鎖状アルケニル基又は一般式
【0036】
【化26】
Figure 0003988198
【0037】
(式中、t及びuは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)
で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X21はフルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基又はトリフルオルメチル基を表わし、 Y8は水素原子又はフルオロ基を表わし、Z2は単結合、−COO−、−C24−、
−CH(CH3)CH2−又は−C48−を表わし、 環A1は1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表わし、 sは0又は1を表わす。]
で表わされる化合物及び一般式(III−2)
【0038】
【化27】
Figure 0003988198
【0039】
(式中、R22は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又は直鎖状アルケニル基を表わし、X22はフルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基又はトリフルオルメチル基を表わし、Y9は水素原子又はフルオロ基を表わし、Z3は単結合、
−COO−、−C24−、−CH(CH3)CH2−又は−C48−を表わし、環A2は1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表わす。)
で表わされる化合物からなる第2群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0040】
更に、本発明は上記課題を解決するために、一般式(IV−1)
【0041】
【化28】
Figure 0003988198
【0042】
(式中、R31は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R32は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わし、Z4は単結合、
−COO−、−C24−又は−C48−を表わす。)
で表わされる化合物、
一般式(IV−2)
【0043】
【化29】
Figure 0003988198
【0044】
(式中、R33は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R34は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わし、Z5は単結合、
−COO−、−C24−又は−C48−を表わす。)
で表わされる化合物、
及び一般式(IV−3)
【0045】
【化30】
Figure 0003988198
【0046】
(式中、R35は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R36は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わし、Z6は単結合、
−COO−、−C24−又は−C48−を表わし、 環A3は1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表わす。)
で表わされる化合物からなる第3群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶デバイスは、次のようにして製造することができる。
即ち、電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、(1)液晶材料、(2)高分子形成性化合物を含有する重合性組成物、(3)光重合開始剤を含有する均一溶液を介在させ、この溶液に波長350nm未満を遮断し、かつ、少なくとも波長370nm以下に光強度が存在する紫外線を照射することにより重合性組成物を重合させることによって、2枚の基板間に液晶材料を分散させた構造を有する透明性固体物質を形成して成る調光層、又は、液晶材料の連続層中に三次元網目構造を有する透明性固体物質を形成して成る調光層を形成する。
【0048】
ここで、紫外線波長350nm未満を遮断するとは、350nm未満に実質的に光強度が存在しないことを意味し、特にフィルター等を用いて紫外線の波長350nm未満を遮断することの意味は、JIS B7113(写真撮影用シャープカットガラスフィルター)により明記されているフィルターの吸収限界波長が、波長350nm以上に存在するフィルターを用いて得られた紫外線を示す。
【0049】
波長350nm未満を遮断し、かつ、少なくとも波長370nm以下に光強度が存在する紫外線を得る手段としては、例えば、紫外線カットフィルターを用いる方法や分光装置を用いる方法等が挙げられる。
【0050】
紫外線カットフィルターは、ガラスの如き堅固な材料であってもよく、プラスチックの如き柔軟性を有する材料であってもよい。又、液体状のものを容器に封入したものや透明性の板に塗布したものでもよく、粒子状に分散したものでもよい。
【0051】
紫外線をカットするフィルターとしては、例えば、「UV−37」、「SL−1A」(東芝ガラス社製)、「UV−36」、「L−37」、「L−38]、「B−480]、「LA−20」(HOYAガラス社製)等を挙げることができる。
【0052】
分光装置を用いる方法は、プリズムや回折格子等の分光光学部品を用いて、紫外線を分光し、任意の波長を有する紫外線を選択し、それらを重ね合わせて、目的のとする波長領域を有する紫外線を得る。
【0053】
本発明で使用する基板は、堅固な材料として、ガラスであっても良く、柔軟性を有する材料として、プラスチックフィルムの如きものであっても良い。この基板には、目的に応じて透明、不透明の適宜な電極が、その全面又は部分的に配置されても良い。尚、2枚の基板間には、通常、周知の液晶デバイスと同様、間隔保持用のスペーサーを介在させることもできる。本発明の液晶デバイスは、コンピュ−タ端末の表示装置やプロジェクションの表示装置等に利用される場合、透明性電極層に非線形素子又は能動素子を設けることが好ましい。
【0054】
本発明の液晶デバイスは、使用する液晶材料の液晶相の温度範囲によって液晶デバイスの動作温度範囲が制限されることから、本発明の液晶デバイスで使用する液晶材料は、広い温度で液晶相を示すものが好ましい。また、液晶デバイスのコントラストを高くする為に、本発明の液晶デバイスで使用する液晶材料は、大きな複屈折率(Δn)を示すものが好ましい。
【0055】
しかしながら、このような液晶材料には、しばしば、誘起した結晶相あるいは一部が結晶化したスメクチック相が発現し、逆に液晶相を狭くなるという問題を有したり、大きな複屈折率及び広い温度で液晶相を示すが、アクティブ・マトリクス方式に必須の特段に高い電圧保持率を達成するには至らなかった。更に、光散乱形液晶デバイスを作製した場合、電圧無印加時の光透過率T0が、 作製した直後の値あるいは電圧印加後長期に放置させた値に比べ電圧印加状態から無印加状態に切り替えた直後の値のほうが大きくなってしまうメモリー現象が発現し、結果的に液晶デバイスのコントラストを悪化させることになり、単にフルオロトラン系の液晶性化合物を含有する液晶材料を用いれば、好ましい結果に到るとは限らないものであった。
【0056】
また、液晶材料が好ましい特性を有しても、液晶デバイスを構成する透明性固体物質により、液晶デバイスのコントラストの悪化、電圧保持率の低下、あるいは不充分な電圧保持率の耐熱性等の問題を有していた。
【0057】
本発明は、液晶材料として、上記一般式(I−1)で表わされる化合物群(I−1)、上記一般式(I−2)で表わされる化合物群(I−2)及び上記一般式(I−3)で表わされる化合物群(I−3)からなる3群の化合物群のうち、2又は3群の化合物群から各々選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を必須成分とし、かつ、透明性固体物質を形成させる重合性組成物として、上記一般式(II−1)で表わされるアルキレンジ(メタ)アクリレート誘導体より選ばれる高分子形成性化合物を必須成分とし、その中でも特に(II−2)〜(II−5)で表わされる化合物から成る群から選ばれる高分子形成性化合物を含有することによって、上記の課題を解決できることを見い出したことにある。
【0058】
上記一般式(I−1)で表わされる化合物において、X11が、フルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオルメチル基の液晶性化合物は、誘電率異方性Δεが5〜25の範囲にあり、フルオロトラン構造を有するものである。上記一般式(I−1)〜(I−3)の代表的な化合物(No.1〜20)とその相転移温度を下記表1及び表2に示す。尚、下記表中、m.p.は結晶相から液晶相又は等方性液体相に相転移する温度を、c.p.は液晶相から等方性液体相に相転移する温度を夫々表わす。また、各化合物は、蒸留、カラム精製、再結晶等の方法を用いて不純物を除去し、充分精製したものを使用した。
【0059】
【表1】
Figure 0003988198
【0060】
【表2】
Figure 0003988198
【0061】
上記一般式(I−1)〜(I−3)で表わされる第1群の化合物は、シアノ基を含有していないにもかかわらず、複屈折率(Δn)が従来になく非常に大きいという特徴を有しており、これら化合物を使用することによって得られる液晶材料の複屈折率は非常に大きいものとなる。また、誘電率異方性(Δε)が大きく、電圧保持率が高いという特徴も有している。これにより、液晶デバイスの電圧無印加時の光透過率T0 や電圧保持率を向上させることができる。更に、上記一般式(I−1)〜(I−3)で表わされる第1群の化合物は、高分子形成性化合物とより高い相溶性を示す特異な現象を有している。このような効果は、表中のNo. 3〜6、9、11〜14、16〜20の化合物に有しており、多用することが好ましい。
【0062】
本発明で使用する液晶材料における各化合物の含有量は、第1群の一般式(I−1)で表わされる化合物を含有する場合、一般式(I−1)で表わされる化合物1種につき、夫々30重量%以下で含有することが好ましく、液晶材料における総含有量は、少なくとも5重量%以上の範囲が好ましく、10〜60重量%の範囲がより好ましく、15〜50重量%の範囲が特により好ましい。上記一般式(I−2)で表わされる化合物及び一般式(I−3)で表わされる化合物についても同様である。
【0063】
このような化合物を2種類以上混合することによって得た液晶材料は、広い温度範囲でネマチック液晶相を示すものであり、液晶表示装置として用いる場合、広い温度範囲で表示を可能とする。
【0064】
本発明の液晶デバイスの調光層中に占める液晶材料の比率は、60〜95重量%が好ましく、70〜90重量%の範囲が特に好ましい。
【0065】
本発明の液晶デバイスを構成する透明性固体物質は、高分子形成性化合物より成る重合組成物を重合させることにより形成することが好ましく、例えば、紫外線硬化型ビニル基を有する化合物を含有する重合性組成物及び光重合開始剤を液晶材料と混合した調光層形成材料を2枚の基板間に挟持した後、重合性組成物を光硬化させて作製する。高分子形成性化合物と液晶材料との相溶性がより高い場合、より広い温度域でより均一な溶液を得ることを可能とする。このような状態で高分子形成性化合物を硬化させると、片寄りが無いあるいは少ない状態で、光散乱性を有する調光層を作製することができ、駆動電圧やコントラスト比にムラの無い表示特性を得ると共に、白濁性のより均一な表示を達成した光散乱形液晶デバイスを提供できる。
【0066】
本発明の液晶デバイスで使用する上記一般式(II−1)〜(II−5)で表わされる高分子形成性化合物及び単官能型アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクロイルオキシ基以外の部分が、極性が低い直鎖、分岐あるいは環状の炭化水素構造より構成されるアクリレート誘導体化合物である。これらの化合物は、低極性であるため、液晶デバイスの駆動電圧を低下させる効果を有し、また、これらの化合物は、イオン性不純物との吸着性が小さいため、高抵抗であり、得られた液晶デバイスの電圧保持率を向上させることができ、更には、その耐熱性をも改善することができる。
【0067】
上記一般式(II−1)〜(II−5)で表わされる高分子形成性化合物及び単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体は、上記液晶材料との相容性が高いので、均一な調光層を有する液晶デバイスを得ることができる。
【0068】
本発明で使用する上記一般式(II−1)及び(II−2)〜(II−5)で表わされる高分子形成性化合物は各々単独で使用することもできるが、混合して使用することもできる。特に、上記一般式(II−2)〜(II−5)の化合物から成る群から選ばれる高分子形成性化合物において、一般式(II−2)あるいは(II−3)の化合物は、重合性が良く上記液晶材料との相溶性も優れているため、液晶デバイスの散乱性を改善する効果が高く、又、一般式(II−4)及び(II−5)の混合物は、液晶デバイスの散乱性を向上させ、さらに液晶デバイスの駆動電圧の温度依存性を低減させるため、特に好ましい。
【0069】
本発明で使用する上記一般式(II−1)及び(II−2)〜(II−5)で表わされる代表的な高分子形成性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレート、1,13−トリデカンジオールジアクリレート、1,14−テトラデカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジアクリレート、(1,2−ジアクロイルオキシオクチル−3−オクチル−4−ヘキシル)シクロヘキサン、9−ノニル−10−オクチルノナデカンジオールジアクリレート、オクタデカン−1,12−ジオールジアクリレート、2,4−ジエチル−1,5−オクタンジオールジアクリレート、水添ジシクロペンタジエニルジアクリレート等を挙げることができる。
【0070】
本発明で使用する上記一般式(II−1)及び(II−2)〜(II−5)で表わされる高分子形成性化合物は、例えば、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸クロリドを用いて、脂肪族ジオール化合物を(メタ)アクリル化することによって容易に製造することができる。
【0071】
上記一般式(II−1)及び(II−2)〜(II−5)で表わされる高分子形成性化合物の製造原料となる脂肪族ジオール化合物の市販品としては、東京化成社製の「1,6−ヘキサンジオール」、「1,9−ノナンジオール」、「1,2−テトラデカンジオール」、「ネオペンチルグリコール」、クラレ社製の「2−メチル−1,8−オクタンジオール」、「3−メチル−1,5−ペンタンジオール」、東亞合成社製の「ペスポールHP−1000((1,2−ヒドロキシオクチル−3−オクチル−4−ヘキシル)シクロヘキサンと9−ノニル−10−オクチルノナデカンジオールの混合物)」等を挙げることができる。
【0072】
本発明で使用する上記一般式(II−1)及び(II−2)〜(II−5)で表わされる高分子形成性化合物の市販品としては、例えば、共栄社化学社製の「ライトアクリレートNP−A(ネオペンチルグリコールジアクリレート)」、「ライトアクリレート1・6HX−A(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート」、「1・9ND−A(1,9−ノナンジオールジアクリレート)」、「DCP−A」、第一製薬工業社製の「C9A(2−エチル−2−ブチルプロピレンジオールジアクリレート)」、化薬サートマー社製の「ケミリックC−2000(直鎖脂肪族ジアクリレート(C13.C14))」、新中村化学社製の「A−OCD((1,2−ヒドロキシオクチル−3−オクチル−4−ヘキシル)シクロヘキサンと9−ノニル−10−オクチルノナデカンジオールの混合物のジアクリレートエステル)」「A−ODD(主成分がオクタデカン−1,12−ジオールジアクリレート)等を挙げることができる。
【0073】
本発明で使用する上記一般式(II−1)及び(II−2)〜(II−5)で表わされる高分子形成性化合物の使用割合は、重合性組成物中の5〜95%の範囲が好ましく、20〜80%の範囲が特に好ましい。
【0074】
本発明で使用する単官能型(メタ)アクリレート誘導体は、重合硬化する際に、架橋度が低く調整されるので、液晶と高分子の界面のアンカリング力が弱まり、低電圧で駆動させる効果をもたらす。また、単官能型(メタ)アクリレート誘導体は、配合割合が大きすぎても小さすぎても高白濁性実現効果又は低電圧駆動化効果が小さくなる傾向にあるので好ましくない。このとき使用する重合性組成物中の単官能型(メタ)アクリレート誘導体の割合は、低電圧駆動を達成するために、90質量%以下の範囲が好ましく、10〜70質量%の範囲が特に好ましい。
【0075】
単官能型(メタ)アクリレート誘導体としては、(メタ)アクリル基を1つ持つ化合物であれば、いずれのものでも良いが、特に、単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体は、低極性による液晶分子とのアンカーリング力低下により、更に低電圧駆動化するため、好ましい。
【0076】
アルキル(メタ)アクリレート誘導体のアルキル基の直鎖の炭素原子数は5〜23の範囲が好ましく、8〜18の範囲がより好ましい。これより炭素原子数が少ない場合は低電圧駆動化の効果が小さく、また、多すぎる場合は電圧無印加時の白濁性が低下する。又アルキル系(メタ)アクリレート誘導体は抵抗値が高く、アクティブ駆動用に好適である。
【0077】
更に、分岐鎖を有するアルキル(メタ)アクリレート類、分岐鎖を有するアルキル基置換ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、脂環式誘導(メタ)アクリレートは低温に於けるメモリー現象を防止する効果があり、汎用デバイスやアクティブ駆動用デバイスに好適である。
【0078】
更に本発明で使用する、単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体のアルキル基の炭素原子数が16〜30である事が好ましい。アルキル基の炭素原子数が16未満では、パネル製造工程の真空注入時の真空度が高い場合、揮散していき易くなるため、特性的に安定したパネルが製造し難く、又調光層形成材料の繰り返し使用回数が制約されるため好ましくない。又該炭素原子数が30以上では液晶との相溶性が悪くなるため充分な散乱性を得ることが難しくなる。
【0079】
そのような単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソバルミチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソイコシ
ル(メタ)アクリレート、イソドコシル(メタ)アクリレート、イソテトラコシル(メタ)アクリレート、イソヘキサコシル(メタ)アクリレート、イソオクタコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート、ネニル(メタ)アクリレート、ネロリジル(メタ)アクリレート、ファルネジル(メタ)アクリレート等を挙げることが出来る。
【0080】
又その他の単官能型(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート)、シクロヘキサン(メタ)アクリレート、シクロペンタン(メタ)アクリレート、シクロヘプタン(メタ)アクリレート、ビシクロヘプタン(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ビシクロペンタン(メタ)アクリレート、ビシクロオクタン(メタ)アクリレート、トリシクロヘプタン(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、コレステロール(メタ)アクリレート、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン:置換基として、ベンジル、フェノキシエチル、アルコキシフェニル、アルリル、メタリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル等の如き基を有するアクリレート、メタクリレート及びフマレート;1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタエリスリトール等のモノ(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、酪酸ビニル又は安息香酸ビニル、アクリロニトリル、セチルビニルエーテル、リモネン、シクロヘキセン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、2−、3− 又は4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド又はN−ヒドロキシエチルメタクリルアミド及びそれらのアルキルエーテル化合物等を挙げることができる。
【0081】
本発明においては、重合性組成物として、上記以外の各種多官能(メタ)アクリレート誘導体を併用することができる。
そのような多官能(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタエリスリトール等のポリ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコール1モルに2モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA1モルに2モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート1モルとフェニルイソシアネート若しくはn−ブチルイソシアネート1モルとの反応生成物;ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、トリス−(アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレートを挙げることができる。
【0082】
光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1(チバ・ガイギー社製「イルガキュア907」)、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワードプレキンソツプ社製「カンタキュアーITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルホスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)等が挙げられ、特に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)が好ましい。
【0083】
調光層形成材料中の光重合開始剤の使用割合は、0.05〜2.5重量%の範囲が好ましく、0.1〜1.0%の範囲が特に好ましい。光重合開始剤が0.05重量%より少ない場合、調光層形成時の重合組成物の重合速度が遅くなり、適切な網目構造が形成できず、光散乱が低下する傾向があるので、好ましくなく、2.5重量%より多い場合、液晶デバイスの電圧保持率が低下する傾向があるので、好ましくない。
【0084】
本願請求項9記載の発明において使用する6成分以上の液晶性化合物を含有し、複屈折率(△n)が0.200以上であって、誘電率異方性△εが5以上であり、少なくとも5〜75℃でネマチック相を示す液晶材料は、アクティブ・マトリックス方式において必要な高い電圧保持率を得るために、有用である。そのような液晶材料は、上記一般式(I−1)で表わされる化合物群(I−1)、上記一般式(I−2)で表わされる化合物群(I−2)及び上記一般式(I−3)で表わされる化合物群(I−3)からなる3群の化合物群のうち、2又は3群の化合物群から各々選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を必須成分とし、かつ、第3成分を含有する場合、シアノ基を有しない液晶性化合物を用いることが好ましい。使用する液晶性化合物としては、トラン系化合物が好ましく、フルオロトラン系化合物が特に好ましく、少なくとも1種以上の3つの環を有するフルオロトラン系化合物を主構成成分として使用することがより好ましい。
【0085】
使用する液晶材料の誘電率異方性△εは、5〜20の範囲が好ましい。フルオロトラン系化合物は、誘電率異方性(Δε)が5以上であり、低い駆動電圧特性を得るのに好ましい。
【0086】
このような化合物を少なくとも6成分以上の化合物で混合することによって、より好ましくは7〜20成分で構成することによって、得られる液晶材料は、広い温度範囲でネマチック相を示すことができ、液晶表示装置として用いる場合、より広い温度範囲で表示を可能とする。
【0087】
高い電圧保持率を有する液晶デバイスを調製するには、より高い比抵抗の液晶材料を用いることが好ましく、比抵抗としては1011Ω・cm以上が好ましく、1012Ω・cm以上がより好ましく、1013Ω・cm以上が最も好ましい。
【0088】
本願請求項10に記載の発明は、上記一般式(I−1)で表わされる化合物群(I−1)、上記一般式(I−2)で表わされる化合物群(I−2)及び上記一般式(I−3)で表わされる化合物群(I−3)からなる3群の化合物群のうち、2又は3群の化合物群から各々選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を必須成分として含有し、これと組み合わせて用いる化合物として、上記一般式(III−1)で表わされる化合物及び上記一般式(III−2) で表わされる化合物から成る第2群から選ばれる化合物を見い出し、この液晶材料を用いた液晶デバイスは、この液晶材料の液晶相より広い温度域で、特に、低温での動作が可能な特性を示すことを見い出したことに特徴を有する。
【0089】
更に本願請求項11の発明は、上記一般式(I−1)で表わされる化合物群(I−1)、上記一般式(I−2)で表わされる化合物群(I−2)及び上記一般式(I−3)で表わされる化合物群(I−3)からなる3群の化合物群のうち、2又は3群の化合物群から各々選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を必須成分として含有し、必要に応じて、上記一般式(III−1)で表わされる化合物及び上記一般式(III−2) で表わされる化合物から成る第2群から選ばれる化合物を含有する液晶材料に、上記一般式(IV−1)〜(IV−3)で表わされる化合物を含有させることによって、上述した高い相溶性を損なうことがないか、あるいは改善されることを見い出したことに特徴を有する。
【0090】
上記一般式(III−1)〜(III−2)で表わされる第2群の化合物及び上記一般式(IV−1)〜(IV−3)で表わされる第3群の化合物は、誘電率異方性、弾性定数あるいは粘性を調整するのに有用であり、液晶デバイスの特性を改善させることが可能なものである。
【0091】
上記一般式(III−1)〜(III−2)で表わされる第2群の化合物及び一般式(IV−1)〜(IV−3)で表わされる第3群の化合物の具体例を下記表3に示した。
【0092】
【表3】
Figure 0003988198
【0093】
上記一般式(I−1)で表わされる化合物群(I−1)、上記一般式(I−2)で表わされる化合物群(I−2)及び上記一般式(I−3)で表わされる化合物群(I−3)からなる3群の化合物群のうち、2又は3群の化合物群から各々選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を必須成分として含有する液晶材料に、第2群から選ばれる化合物及び/又は第3群から選ばれる化合物を加えることによって、液晶材料の複屈折率(Δn)を用途に応じて容易に最適化することができる。第2群から選ばれる化合物及び第3群から選ばれる化合物は、必須成分としてが入する液晶性化合物との相溶性が良好であり、結晶相又はスメクチック相とネマチック相との相転移温度を低温側に拡大し易い傾向を示す。特に、上記一般式(III−1)で表わされる化合物は、 この効果が大きい。更に、上記一般式(IV−1)又は上記一般式(IV−4)で表わされる化合物は、液晶材料の粘性を低減させる効果も同時に示すので、優れている。
【0094】
本発明で使用する液晶材料における各化合物の含有量は、第2群の一般式(III−1) で表わされる化合物1種につき、夫々0〜20重量%の範囲で含有することが好ましく、液晶材料中における総含有量は、多くとも50重量%以下の範囲が好ましく、0〜40重量%の範囲がより好ましく、5〜30重量%の範囲が特により好ましい。一般式(III−2)で表わされる化合物についても同様である。
【0095】
本発明で使用する液晶材料における各化合物の含有量は、第3群の一般式(IV−1)で表わされる化合物1種につき、夫々0〜30重量%の範囲で含有することが好ましく、液晶材料中における総含有量は、多くとも40重量%以下の範囲が好ましく、0〜30重量%の範囲がより好ましく、5〜20重量%の範囲が特に好ましい。一般式(IV−2)〜(IV−3)で表わされる化合物についても同様である。
【0096】
第2群、第3群の化合物において、R21、R22、R31〜R36がアルケニル基である化合物を組み合わせると、液晶相、白濁性、駆動電圧を更に改善させる効果が期待され、特に末端基がCH2=CH−(CH2)−のアルケニル基である場合、弾性定数の調整に優位である。
【0097】
一般式(III−1)で表わされる化合物及び一般式(III−2)で表わされる化合物において、環A1及びA2が、1,4−フェニレン基である化合物が好ましい。
【0098】
本願請求項12記載の発明は、液晶材料として、一般式(I−2)で表わされる化合物及び一般式(I−3)で表わされる化合物から成る群から選ばれた1種又はそれ以上の化合物において、1個又はそれ以上の水素原子を重水素原子に置換したシクロヘキサン環を1個又は2個有する化合物を用いる点に特徴を有する。このようにして得た液晶材料は、低温でのネマチック相を安定化させたり、低温保存に対しネマチック液晶性をより長期に保持できるものである。本発明者らは、重水素原子に置換したシクロヘキサン環を有する化合物を用いたこのような効果を特開平6−312949号公報、特開平7−34066号公報等で明らかにした。また、液晶デバイスの表示特性においても、重水素原子に置換したシクロヘキサン環を有した化合物が、重水素原子に置換されていないシクロヘキサン環を有した化合物と比較して、有為差のある弾性定数又はそれらの比を示しており、この弾性定数の関係を後述するような方法に応用することによって、駆動電圧等の電気光学特性を調整できるものである。
【0099】
本発明者らは、特開平6−222320号公報において、液晶材料の物性値と液晶デバイスの表示特性との関係が次式(a)で表わされることを示した。
【0100】
【数1】
Figure 0003988198
【0101】
なお、Vthはしきい値電圧を表わし、1Kii及び2Kiiは弾性定数を表わし、iは1、2又は3を表わし、△εは誘電率異方性を表わし、<r>は透明性固体物質界面の平均空隙間隔を表わし、Aは液晶分子に対する透明性固体物質のアンカリングエネルギーを表わし、dは透明性電極を有する基板間の距離を表わす。
【0102】
この数式は、透明性固体界面が液晶分子に与える規制力が弾性定数KiiとアンカリングエネルギーAの比によって変化することを意味しており、特にその効果が実際の平均空隙間隔<r>よりKii/Aの量だけ実質的に広げる作用を為し、従って、効果的に駆動電圧を低減させることを示している。この関係は、本発明においても応用することができ、液晶材料を構成する液晶性化合物によって液晶材料の誘電率異方性Δεと弾性定数を選定することにより、低い電圧で駆動するより好ましい液晶デバイスを得ることができる。
【0103】
高い温度域での動作特性を重視する場合は、上記一般式(I−1)で表わされる化合物及び上記一般式(I−2)で表わされる化合物と、上記一般式(III−2)で表わされる化合物、 上記一般式(IV−3)とを組み合わせた液晶材料を用いることが好ましい。低い温度域での動作特性を重視する場合は、上記一般式(I−2)及び(I−3)で表わされる化合物、 上記一般式(III−1)で表わされる化合物、上記一般式(IV−1)〜(IV−3)で表わされる化合物とを組み合わせることが好ましい。
【0104】
高い白濁性を得る目的には、上記一般式(I−1)〜(I−3)で表わされる化合物で組み合わせることが好ましく、 更に上記一般式(III−2)で表わされる化合物と組み合わせることが好ましい。
【0105】
低駆動電圧を得る目的には、上記一般式(I−1)及び(I−2)で表わされる化合物と、 上記一般式(III−1)で表わされる化合物とを組み合わせることが好ましい。
【0106】
本発明で使用する液晶材料は、上記に示した化合物の他、液晶材料の他の特性、即ち等方性液体と液晶の相転移温度、融点、粘度、Δn、重合性組成物等との溶解性及び透明性固体物質界面の改質等を改善することを目的として、適宜通常この技術分野で液晶材料として認識されるものを混合しても良いが、シアノ基を有する液晶性化合物を含有する液晶材料は、電圧保持率を低下させる傾向にあるため、分子内にシアノ基を有しない液晶性化合物が第三成分の液晶材料として好ましい、そのような液晶材料としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フルオロ基、クロロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基を置換基として有する4−置換安息香酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニルエステル、(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−フェニルエステル、(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキサンエステル、4−置換4’−置換ビフェニル、4−置換4”−置換ターフェニル等の液晶性化合物が挙げられる。
【0107】
本発明で使用する液晶材料は、透明性電極層を有する2枚の基板間に液晶材料の小滴を透明性固体物質中に分散させたデバイスにも有用なものであることが期待される。基板間に形成される透明性固体物質は、繊維状あるいは粒子状に分散するものでも、液晶材料を小滴状に分散させたフィルムのものでも良いが、三次元網目状の構造を有するものがより好ましい。
【0108】
このような透明性固体物質から形成された三次元網目状構造の網目サイズは、光の波長に比べて大きすぎたり、小さすぎる場合、光散乱性が衰える傾向にあるので、0.5〜3μmの範囲が好ましい。また、調光層の厚みは、使用目的に応じ、2〜50μmの範囲が好ましく、5〜30μmの範囲が特に好ましい。
【0109】
このようにして製造された本発明の液晶デバイスは、本発明者らが光散乱不透明状態と透明状態を利用する液晶デバイスを構成する液晶材料と透明性固体物質について鋭意検討し、液晶材料を構成する液晶性化合物、高分子形成性化合物との相溶性及び重合性組成物の好ましい構成を見い出したことにより、より低い電圧駆動性やより高い調光層の抵抗値、あるいはより高いコントラスト比等の表示特性を維持向上させると共に、メモリー現象を低減し、白濁性のより均一な表示を達成し、これにより、アクティブ・マトリクス方式に要求される特性を有するものである。また、本発明の液晶デバイスは、例えば、プロジェクション表示装置として利用することができる。
【0110】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0111】
なお、以下の実施例及び比較例において「%」は「重量%」を表わす。また、各実施例及び比較例中の評価特性の各々は以下の記号及び内容を意味する。
【0112】
(1)V90、V10
電圧無印加時のデバイスの光透過率(T0)を0%とし、 印加電圧の増大に伴って光透過率が変化しなくなったときの透過率(T100) を100%とする時、光透過率90%と成る印加電圧(V)をV90、光透過率10%と成るときの印加電圧をV10とする。
【0113】
(2)コントラスト:
デバイスを測光上から外した状態で、光源の点灯時の光透過率を100%とし、消灯時の光透過率を0%とし、電圧無印加時のデバイスの光透過率をT0、 印加電圧の増大に伴って飽和した光透過率をT100とするとき、 T100/T0で表わされる値である。尚、集光角が6゜となる光学装置を用いて測定した。
【0114】
(3)保持率:
デバイスを150℃の温度で1時間エージングした後、温度80℃、フレーム周波数60Hz、ピーク電圧V90、ON状態の時間64μ秒の矩形波を印加し、ON状態で蓄積された電荷をQ0、 OFF状態で漏れる電流を高インピーダンス電圧計で測定し、残存電荷をQとしたとき、 (Q/Q0)×100で表わされる値である。
【0115】
(4)TMLC
液晶材料と高分子形成性化合物を均一溶液となるに必要な温度で混合した混合物において、冷却時に等方性液体からネマチック相に転移温度又は相分離する温度とする。
【0116】
なお、 各液晶材料の物性として記載されたTN-Iはネマチック相−等方性液体相転移温度を、△εは誘電異方性を、△nは複屈折率を意味しており、Vthは8μmのTN型液晶デバイスで測定されたしきい値電圧を示したものである。
【0117】
Figure 0003988198
を混合して均一溶液の調光層形成材料を作製した。この液晶材料の物性と調光層形成材料のTMLCは以下の通りであった。
【0118】
液晶組成物(3−1)の組成:
【0119】
【化31】
Figure 0003988198
【0120】
Figure 0003988198
【0121】
この調光層形成材料を、平均粒径10μmのスペーサーが介在した2枚のITO電極ガラス基板を用いて作製した大きさ50×50mmの空セルに、均一溶液の転移温度TMLCより10℃高い温度の下で真空注入した。 これを、均一溶液の転移温度TMLCより3℃高い温度に保持しながら、 「UV−36」(HOYAガラス社製、360nm付近以下をカット)を介して、 15mW/cm2の照度のメタルハライドランプ紫外線を60秒照射して高分子形成化合物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスについて、基板間に形成された硬化物の断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ポリマーから成る三次元ネットワーク構造の透明性固体物質が認められた。得られた液晶デバイスは、ムラの無い均一な表示特性を示しており、その諸特性は、以下の通りであった。
【0122】
液晶デバイスの特性:
10 : 4.8 V
90 : 7.5 V
0 : 1.80%
100 : 88.1 %
コントラスト: 1:49
保持率 : 98.8 %
【0123】
実施例1で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0124】
(実施例2)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−2)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0125】
液晶組成物(3−2)の組成:
【0126】
【化32】
Figure 0003988198
【0127】
Figure 0003988198
【0128】
液晶デバイスの特性:
10 : 4.5 V
90 : 6.8 V
0 : 1.60%
100 : 88.6 %
コントラスト: 1:55
保持率 : 98.6 %
【0129】
実施例2で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0130】
(実施例3)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−3)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0131】
液晶組成物(3−3)の組成:
【0132】
【化33】
Figure 0003988198
【0133】
Figure 0003988198
【0134】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.3 V
90 : 5.0 V
0 : 0.80%
100 : 88.4 %
コントラスト: 1:111
保持率 : 98.8 %
【0135】
実施例3で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0136】
(実施例4)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−4)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0137】
液晶組成物(3−4)の組成:
【0138】
【化34】
Figure 0003988198
【0139】
Figure 0003988198
【0140】
液晶デバイスの特性:
10 : 4.6 V
90 : 6.5 V
0 : 1.15%
100 : 87.9 %
コントラスト: 1:76
保持率 : 98.5 %
【0141】
実施例4で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0142】
(実施例5)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−5)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0143】
液晶組成物(3−5)の組成:
【0144】
【化35】
Figure 0003988198
【0145】
Figure 0003988198
【0146】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.2 V
90 : 8.2 V
0 : 1.50%
100 : 87.6 %
コントラスト: 1:58
保持率 : 98.7 %
【0147】
実施例5で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0148】
(実施例6)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−6)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料及び透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は、以下の通りであった。
【0149】
液晶組成物(3−6)の組成:
【0150】
【化36】
Figure 0003988198
【0151】
Figure 0003988198
【0152】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.4 V
90 : 8.5 V
0 : 1.80%
100 : 88.7 %
コントラスト: 1:49
保持率 : 96.3 %
【0153】
上記液晶組成物(3−5)の結晶相−ネマチック相転移温度(TCN)は2℃であったが、実施例6で得た液晶デバイスは、−15〜2℃の温度範囲でも動作可能であった。このような特性は、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して、広い動作温度範囲を示し、かつ均一でむらのない表示特性を達成し、広告板等の装飾表示板や時計等の表示装置、又はプロジェクション表示装置等に有用なものであった。
【0154】
(比較例1)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−7)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0155】
液晶組成物(3−7)の組成:
【0156】
【化37】
Figure 0003988198
【0157】
Figure 0003988198
【0158】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.2 V
90 : 8.2 V
0 : 2.80%
100 : 88.8 %
コントラスト: 1:32
保持率 : 10.1%
【0159】
比較例1で得た液晶デバイスは、広い動作温度範囲を示し、かつ均一でむらのない表示特性を達成しているが、液晶材料がシアノ基を有する液晶性化合物を含有するため、高温エージング後の電圧保持率が大きく低下し、アクティブ・マトリクス方式駆動ができないことが理解できる。
【0160】
(実施例7)
実施例1において、高分子形成性化合物「A−OCD」に代えて、「ケミリックC−2000」(化薬サートマー社製、炭素原子数14〜15の直鎖脂肪族ジアクリレート)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0161】
液晶デバイスの特性:
10 : 4.8 V
90 : 7.1 V
0 : 1.80%
100 : 87.1 %
コントラスト: 1:48
保持率 : 98.3%
【0162】
実施例7で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0163】
(実施例8)
実施例1において、高分子形成性化合物「A−OCD」に代えて、「C9A」(第一製薬工業社製、2−エチル−2−ブチルプロピレンジオールジアクリレート)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0164】
液晶デバイスの特性:
10 : 5.0 V
90 : 7.8 V
0 : 1.85%
100 : 88.9 %
コントラスト: 1:48
保持率 : 98.8%
【0165】
実施例8で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0166】
(実施例9)
実施例1において、高分子形成性化合物「L−A」に代えて、「IM−A」(共栄社化学社製、イソミリスチルアクリレート)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0167】
液晶デバイスの特性:
10 : 5.2 V
90 : 7.9 V
0 : 1.81%
100 : 89.0 %
コントラスト: 1:49
保持率 : 98.5%
【0168】
実施例9で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0169】
(実施例10)
実施例1において、高分子形成性化合物「L−A」に代えて、「LTA」(大阪有機化学社製、ドデシルアクリレート、イソドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソトリデシルアクリレートの混合物)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0170】
液晶デバイスの特性:
10 : 4.9 V
90 : 7.1 V
0 : 1.8%
100 : 89.5 %
コントラスト: 1:50
保持率 : 98.4%
【0171】
実施例10で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0172】
Figure 0003988198
を混合して均一溶液の調光層形成材料を作製した。この調光層形成材料を用い、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0173】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.2 V
90 : 4.9 V
0 : 1.8%
100 : 89.5 %
コントラスト: 1:50
保持率 : 98.5%
【0174】
実施例11で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
【0175】
(比較例2)
実施例1において、高分子形成性化合物「A−OCD」に代えて、「A−400」(新中村化学社製、ポリエチレングリコールジアクリレート)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0176】
液晶デバイスの特性:
10 : 5.1 V
90 : 9.6 V
0 : 1.80%
100 : 88.6%
コントラスト: 1:49
保持率 : 25.3%
【0177】
比較例2で得た液晶デバイスは、高分子形成性化合物として、極性基を有するモノマー材料を含有するため、高温エージング後の電圧保持率が大きく低下し、アクティブ・マトリクス方式駆動ができないことが理解できる。
【0178】
(比較例3)
実施例1において、高分子形成性化合物「A−OCD」に代えて、「R−551」(日本化薬社製、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0179】
液晶デバイスの特性:
10 : 9.5 V
90 : 15.1 V
0 : 1.80%
100 : 84.3 %
コントラスト: 1:47
保持率 : 40.3%
【0180】
比較例3で得た液晶デバイスは、高分子形成性化合物として、極性基を有するモノマー材料を含有するため、高温エージング後の電圧保持率が大きく低下し、アクティブ・マトリクス方式駆動ができないことが理解できる。
【0181】
(比較例4)
実施例1の調光層形成材料を、平均粒径10μmのスペーサーが介在した2枚のITO電極ガラス基板を用いて作製した大きさ50×50mmの空セルに、均一溶液の転移温度TMLCより10℃高い温度の下で真空注入した。 これを、均一溶液の転移温度TMLCより3℃高い温度に保持しながら、 「UV−34」(HOYAガラス社製、340nm付近以下をカット)を介して、 15mW/cm2の照度のメタルハライドランプ紫外線を60秒照射して高分子形成化合物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスについて、基板間に形成された硬化物の断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、三次元ネットワーク構造の透明性固体物質は認められなかった。得られた液晶デバイスの諸特性は、以下の通りであった。
【0182】
液晶デバイスの特性:
10 : 4.5 V
90 : 7.1 V
0 : 1.9%
100 : 89.0 %
コントラスト: 1:47
保持率 : 75.6 %
【0183】
比較例4で得た液晶デバイスは、340nm付近以下の紫外線をカットしたため、電圧保持率がやや低下し、アクティブ・マトリクス方式駆動は可能ではあるものの、十分な信頼性が得られていないことが理解できる。
【0184】
(実施例12)
実施例1において、高分子形成性化合物「ラウリルアクリレート」に代えて、「NKエステルISA」(新中村化学社製、イソステアリルアクリレート)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0185】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.8 V
90 : 6.1 V
0 : 2.0 %
100 : 88.5 %
コントラスト: 1:45
保持率 : 97.8%
【0186】
実施例12で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
又、回収された調光層形成材料の繰り返し使用可能回数は約50回と実施例1の5回に比べ飛躍的に多いものであった。
【0187】
Figure 0003988198
を混合して均一溶液の調光層形成材料を作製した。この調光層形成材料を用い、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0188】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.5 V
90 : 5.5 V
0 : 2.2%
100 : 89.4 %
コントラスト: 1:41
保持率 : 98.5%
【0189】
実施例13で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
又、回収された調光層形成材料の繰り返し使用可能回数は約60回と実施例11の10回に比べ多いものであった。
【0190】
(実施例14)
実施例13において、高分子形成性化合物「NKエステルISA」に代えて、「NKエステルISA」6.8%、「TO−1336」(東亞合成社製、イソセチルアクリレート)4.0%の混合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0191】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.8 V
90 : 6.0 V
0 : 2.5 %
100 : 89.4 %
コントラスト: 1:36
保持率 : 97.8%
【0192】
実施例14で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
又、回収された調光層形成材料の繰り返し使用可能回数は約40回と実施例1の5回に比べ飛躍的に多いものであった。
【0193】
(実施例15)
実施例13において、高分子形成性化合物「NKエステルISA」に代えて、「TO−1339」(東亞合成社製、イソテトラコサニルアクリレート)(6.8%、「ライトエステルIS−A」(共栄社製、イソステアリルアクリレート)4.0%の混合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0194】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.4 V
90 : 5.7 V
0 : 2.8 %
100 : 89.5 %
コントラスト: 1:32
保持率 : 98.8%
【0195】
実施例15で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
又、回収された調光層形成材料の繰り返し使用可能回数は約60回と実施例1の5回に比べ飛躍的に多いものであった。
【0196】
(実施例16)
実施例13において、高分子形成性化合物「A−OCD」に代えて、「A−ODD」(新中村化学社製、オクタデカン−1,12−ジオールジアクリレートを使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0197】
液晶デバイスの特性:
10 : 4.3 V
90 : 6.5 V
0 : 1.7 %
100 : 89.3 %
コントラスト: 1:53
保持率 : 97.5%
【0198】
実施例16で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
又、回収された調光層形成材料の繰り返し使用可能回数は約50回と多いものであった。
【0199】
(実施例17)
実施例13において、高分子形成性化合物「A−OCD」に代えて、「DCP−A」(共栄化学社製、水添ジシクロペンタジエニルジアクリレート)
を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0200】
液晶デバイスの特性:
10 : 4.8 V
90 : 7.5 V
0 : 1.6 %
100 : 88.9 %
コントラスト: 1:56
保持率 : 98.0%
【0201】
実施例17で得た液晶デバイスは、均一でむらのない表示特性を達成し、かつ、低電圧で駆動し、高電圧保持率を有する信頼性の高いものであった。
又、回収された調光層形成材料の繰り返し使用可能回数は約50回と多いものであった。
【0202】
【発明の効果】
本発明の液晶デバイスは、より低い電圧駆動性やより高い調光層の電圧保持率、あるいはより高いコントラスト比等の表示特性が維持向上したものであり、メモリー現象が低減し、白濁性のより均一な表示を示し、アクティブ・マトリクス方式に要求される特性を有するものであるので、例えば、プロジェクション表示装置として利用することができる。また、液晶デバイスの真空注入法を用いるパネル製造工程において、調光層形成材料の使用回数を大幅に向上することが可能となるため、パネルコストを低減させることができる。

Claims (16)

  1. 透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板と、2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶デバイスにおいて、前記液晶材料が一般式(I−1)
    Figure 0003988198
    (式中、R11は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又は直鎖状アルコキシル基を表わし、X11はフルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオルメチル基、炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基又はアルコキシル基を表わし、X12、X13、Y1及びY2は各々独立的に水素原子又はフルオロ基を表わす。)で表わされる化合物群(I−1)、一般式(I−2)
    Figure 0003988198
    [式中、R12は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、直鎖状アルケニル基又は一般式
    Figure 0003988198
    (式中、p及びqは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、 14 はフルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基、又はトリフルオルメチル基を表わし、X15、X16、Y3及びY4は各々独立的に水素原子又はフルオロ基を表わし、nは0又は1を表わす。]で表わされる化合物群(I−2)及び一般式(I−3)
    Figure 0003988198
    (式中、R13は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R14は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わし、Y5は水素原子、フルオロ基又はメチル基を表わし、Y6及びY7は各々独立的に水素原子又はフルオロ基を表わし、Z1は単結合、−COO−、−C24−又は−C48−を表わし、rは0又は1を表わす。)で表わされる化合物群(I−3)からなる3群の化合物群のうち、2又は3群の化合物群から各々選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を含有する液晶材料であり、一般式(I−1)で表わされる化合物及び一般式(I−2)で表わされる化合物を含有するか又は一般式(I−1)で表わされる化合物及び一般式(I−3)で表わされる化合物を含有し、前記透明性固体物質が一般式(II−1)
    Figure 0003988198
    (式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、R’はアルキル分岐基を有していても良く又はメチレン鎖の一部が脂環式で置換されていても良い炭素原子数が6〜50のアルキレン基を示す。)で表わされるアルキレンジ(メタ)アクリレート誘導体から選ばれる高分子形成性化合物を含有する重合性組成物を重合して成る透明性固体物質であることを特徴とする液晶デバイス。
  2. 透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板と、2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶デバイスにおいて、前記液晶材料が一般式(I−2)
    Figure 0003988198
    [式中、R 12 は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、直鎖状アルケニル基又は一般式
    Figure 0003988198
    (式中、p及びqは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X 14 はフルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基、又はトリフルオルメチル基を表わし、X 15 、X 16 、Y 3 及びY 4 は各々独立的に水素原子又はフルオロ基を表わし、nは0又は1を表わす。]で表わされる化合物群(I−2)及び一般式(I−3)
    Figure 0003988198
    (式中、R 13 は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R 14 は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わし、Y 5 は水素原子、フルオロ基又はメチル基を表わし、Y 6 及びY 7 は各々独立的に水素原子又はフルオロ基を表わし、Z 1 は単結合、−COO−、−C 2 4 −又は−C 4 8 −を表わし、rは0又は1を表わす。)で表わされる化合物群(I−3)からなる2群の化合物群から各々選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を含有する液晶材料であり、一般式(I−2)で表わされる化合物及び(I−3)で表わされる化合物を含有し、前記透明性固体物質が一般式( II −1)
    Figure 0003988198
    (式中、R 41 及びR 42 は水素原子又はメチル基を表わし、R’はアルキル分岐基を有していても良く又はメチレン鎖の一部が脂環式で置換されていても良い炭素原子数が6〜50のアルキレン基を示す。)で表わされるアルキレンジ(メタ)アクリレート誘導体から選ばれる高分子形成性化合物を含有する重合性組成物を重合して成る透明性固体物質であり、該透明性固体物質が、波長350 nm 未満を遮断し、かつ、少なくとも370 nm 以下に光強度が存在する紫外線を照射することによって、重合して成る透明性固体物質であることを特徴とする液晶デバイス。
  3. アルキレンジ(メタ)アクリレート誘導体から選ばれる高分子形成性化合物が、一般式(II−2)
    Figure 0003988198
    (式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、aは6〜24の整数を表わす。)で表わされる化合物、一般式(II−3)
    Figure 0003988198
    (式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、b及びcは各々独立的に1〜10の整数を表わし、dは1〜10の整数を表わし、eは0〜6の整数を表わす。)で表わされる化合物、一般式(II−4)
    Figure 0003988198
    (式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、f、g、h及びiは各々独立的に0〜10の整数を表わす。)で表わされる化合物及び一般式(II−5)
    Figure 0003988198
    (式中、R41及びR42は水素原子又はメチル基を表わし、j、k、l及びmは各々独立的に0〜10の整数を表わす。)で表わされる化合物から成る群から選ばれる高分子形成性化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶デバイス。
  4. 透明性固体物質が、更に単官能型(メタ)アクリレート誘導体を含有する重合性組成物を重合して成る透明性固体物質であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶デバイス。
  5. 単官能型(メタ)アクリレート誘導体が、直鎖アルキル(メタ)アクリレート化合物、分岐アルキル鎖を有するアルキル(メタ)アクリレート化合物又は、これら2種の化合物の混合物であることを特徴とする請求項4記載の液晶デバイス。
  6. アルキル(メタ)アクリレート化合物のアルキル基の炭素原子数が16〜30であることを特徴とする請求項5記載の液晶デバイス。
  7. 液晶材料が、一般式(I−1)で表わされる化合物及び一般式(I−2)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項1、3、4、5又は6記載の液晶デバイス。
  8. 液晶材料が、一般式(I−1)で表わされる化合物及び一般式(I−3)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項1、3、4、5又は6記載の液晶デバイス。
  9. 液晶材料が、6成分以上の液晶性化合物を含有し、複屈折率Δnが0.200以上であって、誘電率異方性Δεが5以上であり、少なくとも5〜75℃でネマチック相を示すことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、又は8記載の液晶デバイス。
  10. 液晶材料が、更に一般式(III−1)
    Figure 0003988198
    [式中、R21は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、直鎖状アルケニル基又は一般式
    Figure 0003988198
    (式中、t及びuは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X21はフルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基又はトリフルオルメチル基を表わし、Y8は水素原子又はフルオロ基を表わし、Z2は単結合、−COO−、−C24−、−CH(CH3)CH2−又は−C48−を表わし、環A1は1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表わし、sは0又は1を表わす。]で表わされる化合物及び一般式(III−2)
    Figure 0003988198
    (式中、R22は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又は直鎖状アルケニル基を表わし、X22はフルオロ基、クロロ基、トリフルオロメトキシ基又はトリフルオルメチル基を表わし、Y9は水素原子又はフルオロ基を表わし、Z3は単結合、−COO−、−C24−、−CH(CH3)CH2−又は−C48−を表わし、環A2は1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表わす。)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9記載の液晶デバイス。
  11. 液晶材料が、更に一般式(IV−1)
    Figure 0003988198
    (式中、R31は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R32は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わし、Z4は単結合、−COO−、−C24−又は−C48−を表わす。)で表わされる化合物、一般式(IV−2)
    Figure 0003988198
    (式中、R33は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R34は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わし、Z5は単結合、−COO−、−C24−又は−C48−を表わす。)で表わされる化合物、及び一般式(IV−3)
    Figure 0003988198
    (式中、R35は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R36は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わし、Z6は単結合、−COO−、−C24−又は−C48−を表わし、環A3は1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表わす。)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、8、9、又は10記載の液晶デバイス。
  12. 液晶材料が、一般式(I−2)で表わされる化合物又は一般式(I−3)で表わされる化合物のシクロヘキサン環に存在する水素原子(H)が1個以上重水素原子(D)に置換された化合物から成る群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11記載の液晶デバイス。
  13. 透明性固体物質が、波長350nm未満を遮断し、かつ、少なくとも370nm以下に光強度が存在する紫外線を照射することによって、重合して成る透明性固体物質であることを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の液晶デバイス。
  14. 液晶材料の連続層と、該連続層中に透明性固体物質が均一な三次元網目状構造を形成した調光層を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の液晶デバイス。
  15. 電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、液晶材料、重合性組成物及び光重合開始剤を含有する調光層形成材料を挟持した後、活性光線を照射することにより重合性組成物を重合させて、液晶材料及び透明性固体物質を有する調光層を形成する液晶デバイスの製造方法において、(1)液晶材料として、請求項1記載の液晶材料を用い、2)重合性組成物として、請求項1記載の高分子形成性化合物を含有する重合性組成物を用い、(3)活性光線として、波長350nm未満の活性光線を遮断し、かつ、少なくとも370nm以下に光強度が存在する紫外線を用いることを特徴とする液晶デバイスの製造方法。
  16. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の液晶デバイスを用いた液晶表示装置。
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