JP4691746B2 - ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気光学的表示材料として有用なネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の代表的なものにTN-LCD(ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子)があり、時計、電卓、電子手帳、ポケットコンピュータ、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータなどに使用されている。一方、OA機器の処理情報の増加に伴い、シェファー(Scheffer)等[SID '85 Digest, p.120 1985年]、衣川等[SID '86 Digest, p.122 1986年]によって、STN(スーパー・ツイスティッド・ネマチック)−LCDが開発され、携帯端末、電子手帳、ポケットコンピュータ、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、あるいはモニター表示などの高情報処理用の表示に広く普及しはじめている。
【0003】
最近、STN-LCDの応答特性改善を目的にアクティブアドレッシング駆動方式[Proc.12th IDRC p.503 1992年]やマルチラインアドレッシング駆動方式[SID'92 Digest, p.232 1992年]が提案されている。また、より明るい表示やより高いコントラスト比を達成する目的で、カラーフィルター層の代わりに、液晶と位相差板の複屈折性を利用した新規反射型カラー液晶表示方式[テレビジョン学会技術報告 vol.14 No10.p.51 1990年]や基板電極側に小さな放物面を施した反射面有した液晶表示装置が提案されている。
【0004】
特に、表示面積の大型化の用途では、バックライトの温度分布に対する表示の均一性や高コントラストが求められており、より安定な配向性やより温度依存性の小さい液晶材料が、あるいはセル厚のばらつきを押さえるために所定の値に対応した複屈折率が求められている。また、画素数の増加により高いデューティー駆動が行われているため、これに対応した応答性、階調性等も重視されている。一方、中小型の携帯用表示では、使用環境温度に対する表示の安定性が重要なポイントとなっており、応答性や消費電力を低減できるより低い駆動電圧の液晶材料、あるいは−30〜0℃や40〜80℃の温度域での駆動電圧の温度依存性が小さいことや高い急峻性を必要としたり、この温度域において所望のデューティー駆動に対応した周波数依存性等がより小さいこと等が求められている。更に、液晶の電気的抵抗(比抵抗)は、消費電力を少なくするために低すぎることは避ける必要があるものの、焼き付き現象を無くすために高くなり過ぎないように所定の値にすることが求められている。この様に現在も、より詳細に差別化され少しでも改良された液晶材料が要望されている。
【0005】
これに適した液晶材料として、複屈折率、弾性定数、誘電率異方性、より低い粘性、より広いネマチック温度、化学的な安定性、電気的な安定性(所望の比抵抗、電圧保持率)等の物性特性や、配向性に関わる所定のプレチルト角、より広いd/pマージン等の個々の特性を総合的に最適化したものが必要とされており、現在も新しい液晶化合物あるいは液晶組成物の提案が要求されている。
【0006】
更に、その表示品質が優れていることから、アクティブ・マトリクス形液晶表示装置が携帯端末、液晶テレビ、プロジェクター、コンピューター等の市場に出されている。アクティブ・マトリクス表示方式は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)あるいはMIM(メタル・インシュレータ・メタル)等が使われており、この方式には高電圧保持率であることが重要視されている。また、更に広い視角特性を得るために、IPSモードと組み合わせたスーパーTFT[Asia Display '95 Digest, p.707 1995年]が近藤等によって、垂直配向(VA)モードあるいはこれを改良したMVAモードと組み合わせた液晶表示素子[IDW '97 Digest, p.156 1997年]が小池等によって提案されている。(以下、これらアクティブ・マトリクス表示方式の液晶表示素子を総称してTFT-LCDと呼称する)この様な表示素子に対応するためには、液晶材料の誘電率異方性が正のものや負のものをも必要としており、現在も新しい液晶化合物あるいは液晶組成物、例えば特開平2−233626号公報、特公表4−501575号公報、特開平10−251644号公報、特開平10−287875号公報等の提案がなされている。
【0007】
最近注目されているポリシリコンの技術を用いたTFT-LCDに対応すべき液晶材料として、電圧保持率ではより高い特性であることも含めて汚れに強い液晶材料、より低い駆動電圧でより速い応答性を示す液晶材料、複屈折率が0.08〜0.15を有する液晶材料が要求されている。また、歩留まりの向上を目的として表示欠陥の発生がより少ない液晶材料、より高いプレチルト角を安定して示すことができる液晶材料等、求められている要求は更に差別化が進んでいる。
【0008】
偏光板や配向処理を要さず、明るくコントラストの良い液晶デバイスとして、ポリマー中に液晶滴を分散させた液晶表示素子が特表昭58−501631号公報、米国特許第4435047号明細書、特表昭61−502128号公報、特開昭62−2231号公報等において知られている。(以下、これらの液晶表示素子を総称してPDLCと呼称する)これらは、液晶材料の個々の屈折率とポリマーの屈折率を最適化することや、十分な透明性を得るのに高い電圧を必要とする問題を有していた。一方、低電圧駆動性、高コントラスト、時分割駆動性を可能にする技術として、米国特許第5,304,323号、特開平1−198725号公報があり、液晶材料が連続層を形成し、この連続層中に、高分子物質が三次元網目状に分布した構造を有する液晶表示素子が開示されている。(以下、この液晶表示素子をPN-LCDと呼称する)
【0009】
この目的に係わる液晶材料として、欧州特許第359,146号公報には液晶材料の複屈折率や誘電率異方性を最適化する方法、特開平6−222320号公報には液晶材料の弾性定数を特定する技術等、特開平5−339573号公報にはフルオロ系化合物を用いることが開示されている。しかし、抵抗値が高く電圧保持率が優れていること、駆動電圧が低いこと、光散乱が強くコントラスト比が大きいこと、応答速度が速いこと、温度特性が良いこと等に問題を有しており、現在も新しい提案がなされている。
【0010】
以上詳述してきたように、液晶表示素子に対する要求は、より精細で高密度の表示容量、駆動電圧や環境温度に対してより速い応答速度、化学的電気的に高い安定性を有したより低い駆動電圧、より高い階調性、使用環境温度や視野角に対しより高いコントラスト等が揚げられる。このために、広い温度範囲でネマチック性を有し、低温保存で長期間ネマチック相を維持し、応答性を改善できるより低い粘性で、所望の駆動電圧、特により低い駆動電圧が達成可能な液晶材料の開発研究が現在も行われている。また、複屈折率、誘電率異方性、弾性定数の設計及びこれらの温度依存性、複屈折率の光波長依存性やデューティー数に対応した誘電率異方性の周波数依存性等も改良手段として注目されている。
【0011】
本発明の一般式(I-1)に関連する化合物として、下記一般式(a-1)〜(a-11)の化合物の記載が、例えば一般式(a-1)ではBull.Soc.Chim.France,11-12(2),p2521(1975)、Helvetica Chimica Acta vol.68(5),p1406(1985)、一般式(a-2)では特開昭53−22882(1978)、米国特許第4113647(1978)、DE2,736,525(1978)、一般式(a-3)、(a-4)ではMol.Cryst.Liq.Cryst. vol.41 p.197(1978)、英国特許第1603075A(1981)、Ph,D.Thesis Halle(1982)、一般式(a-5)ではMol.Cryst.Liq.Cryst. vol.95 p.63(1983)、一般式(a-6)ではDE3,305,013(1983)、Z.Chem.24,407(1984)、一般式(a-7)では特開昭60−146877(1985)、欧州特許第151,294A(1984)、DE4,240,041,(1994)、一般式(a-8)では特開平1−160924(1989)、米国特許第5084204(1992)、Liq.Cryst. vol.14,No.3,p.741 (1993)、一般式(a-9)ではChimia Vol.43 p.382 (1989)一般式(a-10)では特公表4−504571(1992)、米国特許第5252253(1993)、欧州特許第453503B1(1995)、英国特許第2238309A(1991)、英国特許第2244710A(1991)、一般式(a-11)では英国特許第2271771A(1994)等に認められ、これ以外にも例えばMol.Cryst.Liq.Cryst. vol.124 p.27(1985)、英国特許第2070594A(1981) 、特開昭60−146877(1985) 等がある。
本発明の一般式(I-2)に関連する化合物として、例えばPh,D.Thesis Halle(1982)、Mol.Cryst.Liq.Cryst. vol.95 p.63(1983)、DE4240041(1994) 、特開昭62−444(1987)、欧州特許第205340(1987) 等に認められる。
【0012】
【化4】
Figure 0004691746
(式中、R0はアルキル基、アルコキシ基等、L0、Eは環、G0は単結合等、k0は1、2を表す。)
【0013】
しかしながら、現在求められている要求特性に関わる技術はほとんど知られていない。詳述すると、一般式(a-1)〜(a-5)、(a-8) 〜(a-10)の化合物の相転移温度の記載があるが、他の特性例えば複屈折率(一部を除く)、誘電率異方性、弾性定数や粘性については知られていない。
更に、組成物においては、一般式(a-7)の化合物に対し一般式(a-18)との組み合わせのみの記述がみられる程度であり、ネマチック相−等方性液体相転移温度が約70℃程度で、現在要求されている液晶材料の特性を満たすには問題を有したままである。
一般式(a-8)や(a-11)の化合物に対しては、例えば特開平1−160924(1989)、独国特許第3837208A(1998)、英国特許第2271771A(1994)の特許は不成立になっているなど、化合物に関わる技術はほとんど知られていない。また、一般的な利点の記述が見られるものの、一方では例えば、これらの文献に含まれる化合物の粘性が不利であることがLiq.Cryst. vol.15 p.123(1993)に、化合物の液晶性が狭いことがMol.Cryst.Liq.Cryst. vol.261 p.79(1995)に、一般式(a-8)の化合物により液晶混合物の誘電率異方性を負にさせることが特開平1−160924(1989)に記載されており、その物性が相反する等、当業者が容易に使用できる程度の技術的報告から程遠いものと言わざるを得ない状況である。更に、組成物においては、一般式(a-12)〜(a-16)の化合物との組み合わせ等の一般的な化合物の組み合わせの記述がみられるが、その具体的な実施例は見いだされない。従って、更にまた、液晶組成物を用いた応用例、例えば液晶表示素子や装置に関する具体例も見いだされない。
一般式(a-10)の化合物に対し一般式(a-17)〜(a-19)との組み合わせ等の一般的な化合物の組み合わせの記述がみられるが、その具体的な実施例はほとんど見いだされない。従って、更にまた、液晶組成物を用いた応用例、例えば液晶表示素子や装置に関する具体例は見いだされない。
更に、液晶組成物を用いた応用例、例えば液晶表示素子や装置に関する具体例が無く、従って当業者が容易に使用できる程度のTN-LCD、STN-LCDやTFT-LCDに関わる技術的知見は無い状況である。
【0014】
本発明は、液晶成分Aが一般式(I-1)〜(I-3)で表される化合物から適時選ばれた一般式の化合物で構成されたことを一つ特徴としている。この様なネマチック液晶組成物は未だ知られていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、一般式(I-1)〜(I-3)で表される化合物を少なくとも1種以上含有したネマチック液晶組成物、より詳しくは、一般式(I-1)〜(I-3)の化合物を1種又は2種以上以上含有するものであり、ナフタレン−2,6−ジイル環を有した化合物、及び環中のいずれかに置換基を有した化合物を含有する新規なネマチック液晶組成物により、更にまた一般式(I-1)〜(I-3)以外の化合物と組み合わせることにより、上述のような液晶材料に対する要望を解決あるいは少しでも改善しようとするものであり、これにより上述のような液晶表示素子の特性を改善することにある。
詳しくは、相溶性の改善、低温保存の向上等により液晶表示特性の動作温度範囲を拡大し、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善し、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成するあるいは改善することにある。また、所望の複屈折率を有する液晶材料によりMIMあるいはTFT-LCDやSTN-LCDの種々の表示特性を改良し、比較的大きな複屈折率を有する液晶材料によりPN-CLDやPDLCの表示特性を改善することにある。
また、負の誘電率異方性を特徴とする液晶材料においても、その相溶性の改善、低温保存の向上、ネマチック相−等方性液体相転移温度の改善、駆動電圧の低減及びその温度依存性の改善、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性、比較的小さい複屈折率の達成等により、IPS、VA、MVAモードを用いたTFT-LCDの種々の表示特性を改良することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、液晶組成物が、一般式(I-1)〜(I-3)
【化5】
Figure 0004691746
(式中、
ナフタレン−2,6−ジイル環中に存在する1個又は2個以上のCH基がN基で置換されていてもよく、
1、R2は各々独立的に炭素原子数1〜10のアルキル基、アルコキシ基又は炭素原子数2〜10のアルケニル基、アルケニルオキシ基を表し、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基又は該アルケニルオキシ基は非置換又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CN、CH3又はCF3を有することができ、及び又は該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基又は該アルケニルオキシ基中に存在する1個又は2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよく、
1〜W6は各々独立的にH、F、Cl、CF3、OCF3又はCNを表し、
1、K2は各々独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-CH=CH-(CH2)2-、-(CH2)2-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-又は-N(O)=N-を表し、
環A1〜A2は各々独立的に1,4−フェニレン、2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、トランス−1,4−シクロへキシレン、トランス−1,4−シクロへキセニレン、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、トランス−1−シラ−1,4−シクロヘキシレン又はトランス−4−シラ−1,4−シクロヘキシレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル又はデカハイドロナフタレン−2,6−ジイルを表し、該ナフタレン−2,6−ジイル及び該1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルは非置換又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、
ナフタレン−2,6−ジイル環、側鎖基R1、R2、連結基K1、K2及び環A1、A2に存在する1個又は2個以上の水素原子は重水素原子と置換されていても良く、
前記一般式(I-1)〜(I-3)の化合物を構成する原子はその同位体原子で置換されていても良い。)
から選ばれた一つ又は二つ以上の一般式で表される1種又は2種以上の化合物からなる液晶成分Aを含有し、前記一般式(I-1)〜(I-3)の化合物を除く液晶成分として、+2以上の誘電率異方性を有する化合物からなる液晶成分Bを0〜99.9重量%含有し、−10〜+2の誘電率異方性を有する化合物からなる液晶成分Cを0〜98重量%含有し、該液晶成分Bと該液晶成分Cの総和が0〜99.9重量%であることを特徴とするネマチック液晶組成物を提供する。
【0017】
本発明に関わる液晶成分Bは、一般式(II-1)〜(II-5)
【化6】
Figure 0004691746
(式中、
1〜W4は前記記載と同じであり、
3は各々独立的に炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数2〜10のアルケニル基を表し、該アルキル基又は該アルケニル基は非置換又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CN、CH3又はCF3を有することができ、該アルキル基又は該アルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよく、
1は各々独立的にF、Cl、CF3、OCF3、OCF2H、OCFH2、NCS又はCNを表し、
1、Y2は各々独立的にH、F、Cl、CF3又はOCF3を表し、
VはCH又はNを表し、
1〜P3は各々独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-CH=CH-(CH2)2-、-(CH2)2-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-又は-N(O)=N-を表し、P1、P3はまた各々独立的に-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-であってもよく、
環B1〜B4は各々独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン、トランス−1,4−シクロへキセニレン、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、トランス−1−シラ−1,4−シクロヘキシレン、トランス−4−シラ−1,4−シクロヘキシレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル又はデカハイドロナフタレン−2,6−ジイルを表し、該ナフタレン−2,6−ジイル及び該1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルは非置換又は置換基として1個又は2個のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、該デカハイドロナフタレン−2,6−ジイルは、環中に存在する1個又は2個以上の−CH2−基が−CF2−で置換されていてもよく、該環中に存在する1個又は2個以上の−CH2−CH2−基が−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CH=N−又は−CF=N−で置換されていてもよく、該環中に存在する1個又は2個以上の>CH−CH2−基が>CH−O−、>C=CH−、>C=CF−、>C=N−又は>N−CH2−で置換されていてもよく、該環中に存在する>CH−CH<基が>CH−CF<、>CF−CF<又は>C=C<で置換されていてもよく、非置換又は置換された該環中の少なくとも1個のCがSiと置換されていてもよく、環B3、B4はまた1,4−フェニレン、2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−フルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレンであってもよく、
環B5は非芳香環又は芳香環を表し、該芳香環は非置換又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、
側鎖基R3、極性基Q1、連結基P1〜P3及び環B1〜B5に存在する1個又は2個以上の水素原子は重水素原子と置換されていても良く、
1〜p3は各々独立的に0又は1を表し、p2+p3は0又は1であり、
一般式(II-1)〜(II-5)の化合物を構成する原子はその同位体原子で置換されていても良い。)
で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することができる。
【0018】
また、液晶成分Cが、一般式(III-1)〜(III-4)
【化7】
Figure 0004691746
(式中、
1〜W3、Vは前記記載と同じであり、
4、R5は各々独立的に炭素原子数1〜10のアルキル基、アルコキシ基又は炭素原子数2〜10のアルケニル基、アルケニルオキシ基を表し、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基又は該アルケニルオキシ基は非置換又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CN、CH3又はCF3を有することができ、及び又は該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基又は該アルケニルオキシ基中に存在する1個又は2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよく
1〜Z3は各々独立的にH、F、Cl、CF3、OCF3又はCNを表し、Z3はまた各々独立的に-CH3であってもよく、
1〜M3は各々独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-CH=CH-(CH2)2-、-(CH2)2-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-又は-N(O)=N-を表し、M1、M3はまた各々独立的に-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-であってもよく、
環C1〜C3は各々独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン、トランス−1,4−シクロへキセニレン、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、トランス−1−シラ−1,4−シクロヘキシレン、トランス−4−シラ−1,4−シクロヘキシレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル又はデカハイドロナフタレン−2,6−ジイルを表し、該ナフタレン−2,6−ジイル及び1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルは非置換又は置換基として1個又は2個のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、環C1、C3はまた1,4−フェニレン、2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレンであってもよく、
側鎖基R4、R5、連結基M1〜M3及び環C1〜C3に存在する1個又は2個以上の水素原子は重水素原子と置換されていても良く、
1〜m3は各々独立的に0又は1を表し、m2+m3は0又は1であり、
前記一般式(III-1)〜(III-4)の化合物を構成する原子はその同位体原子で置換されていても良い。)
で表される化合物群から選ばれる化合物を含有することができる。
【0019】
更に、本発明は上記のネマチック液晶組成物を用いたアクティブ・マトリクス、ツイスティッド・ネマチック又はスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置、あるいは上記の液晶組成物及び透明性固体物質を含有する調光層を有する光散乱形液晶表示装置を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶組成物は、一般式(I-1)〜(I-3)で表される化合物からなる液晶成分Aを必須成分として含有する。一般式(I-1)〜(I-3)で表される化合物は、非置換又は置換されたナフタレン−2,6−ジイル環を部分構造とする分子構造を特徴としている。この特徴を有する液晶成分Aは、2以下の正の誘電率異方性から比較的大きな負の誘電率異方性を示し、約0.10と小さな複屈折率から約0.40と非常に大きな複屈折率まで幅広い特性を有し、液晶化合物あるいは液晶組成物に混合すると、ネマチック相−等方性液体相転移温度が比較的良好で、相溶性にも優れ、液晶表示特性に対し応答性や駆動電圧等の改善効果を有するかあまり悪化させることがない特徴を有しており、従来の液晶化合物にない優れた特性を有している。特に、W1、W6のいずれかがF、Cl等の極性基で置換されたナフタレン−2,6−ジイル環、W1、W3、W5の組の内2個または3個がF、Cl等の極性基で置換されたナフタレン−2,6−ジイル環、W2、W4、W6の組の内2個または3個がF、Cl等の極性基で置換されたナフタレン−2,6−ジイル環の部分構造を有する化合物が好ましい。本発明の液晶組成物は、一般式(I-1)〜(I-3)の化合物からなる液晶成分Aを含有し、+2以上の誘電率異方性を有する化合物からなる液晶成分Bを0〜99.9重量%含有し、−10〜+2の誘電率異方性を有する化合物からなる液晶成分Cを0〜85重量%含有し、該液晶成分Bと該液晶成分Cの総和が0〜99.9重量%含有させることで、この効果を有することを見いだした。また、液晶成分Aは、上記の液晶成分Bと液晶成分Cの液晶材料に対して混合したとき、固体相又はスメクチック相−ネマチック相転移温度を特段に低下させたりあるいは低温での保存時間を長くする等、表示温度範囲をより広くさせることができる。
【0021】
尚、本発明においては、ナフタレン−2,6−ジイル環、デカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環及び1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル環の呼称は、特別に限定をした場合を除いて、非置換の環及び置換された環の両者を含めたものとして定義する。この定義は、液晶成分A、B、Cに適応される。置換の意味は、ナフタレン−2,6−ジイル環の場合、環中に存在する1個又は2個以上のCH基がN基で置換されたもの及び置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有するもの、1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル環の場合、置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有するもの、デカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環の場合、環中に存在する1個又は2個以上の−CH2−基が−CF2−で置換されたもの、環中に存在する1個又は2個以上の−CH2−CH2−基が−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CH=N−又は−CF=N−で置換されたもの、環中に存在する1個又は2個以上の>CH−CH2−基が>CH−O−、>C=CH−、>C=CF−、>C=N−又は>N−CH2−で置換されたもの、環中に存在する>CH−CH<基が>CH−CF<、>CF−CF<又は>C=C<で置換されたもの、更にデカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環の非置換の環又は置換された環中の少なくとも1個のCがSiと置換されたものであり、更に、ナフタレン−2,6−ジイル環、デカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環及び1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル環中に存在する1個又は2個以上の水素原子が重水素原子と置換されたものを含む。
【0022】
同様に、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基及びアルケニルオキシ基の呼称も、特別に限定をした場合を除いて、非置換の基及び置換された基の両者を含めたものとして定義する。また、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基及びアルケニルオキシ基は直鎖状でも分岐鎖状でも良い。この定義は、液晶成分A、B、Cに適応される。
【0023】
本発明は、一般式(I-1)〜(I-3)のうち一つ又は二つ又は三つの一般式から選ばれる化合物で液晶成分Aを構成することができる。一般式(I-1)は単独で液晶成分Aを構成しても良く、一般式(I-2)、(I-3)のうち一つ又は二つの一般式から選ばれる化合物と組み合わせて液晶成分Aを構成することもできる。液晶成分Aに対する一般式(I-1)から選ばれる化合物の含有率は5〜100重量%であることが好ましい。一般式(I-2)又は一般式(I-3)は、ネマチック相の温度範囲を少量で調整することができるので、単独で液晶成分Aを構成しても良く、一般式(I-1)から選ばれる化合物と組み合わせて液晶成分Aを構成することもできる。液晶成分Aに対する一般式(I-2)から選ばれる化合物の含有率は5〜100重量%であることが好ましい。液晶成分Aに対する一般式(I-3)から選ばれる化合物の含有率は5〜100重量%であることが好ましい。この様にして構成した液晶成分Aは、一般式(I-1)〜(I-3)から選ばれる化合物を1種〜40種含有することができるが、1種〜20種含有することが好ましい。この様にして構成した液晶成分Aは、本発明の効果を得るのに好ましいことを見いだした。
【0024】
この様な視点から、一般式(I-1)〜(I-3)で表される化合物におけるより好ましい基本構造の形態は、下記に示す一般式(I-1a)〜(I-3ay)で表される化合物である。
【0025】
【化8】
Figure 0004691746
【0026】
【化9】
Figure 0004691746
【0027】
【化10】
Figure 0004691746
【0028】
【化11】
Figure 0004691746
【0029】
【化12】
Figure 0004691746
【0030】
【化13】
Figure 0004691746
【0031】
側鎖基R1、R2における式(I-41)、(I-42)のより好ましい形態は、下記に示す一般式(I-4a)〜(I-4bf)で表される化合物である。
【0032】
【化14】
Figure 0004691746
【0033】
非置換又は置換基を有する1,4−フェニレンの部分構造式のより好ましい形態は、下記に示す一般式(I-5a)〜(I-5n)で表される化合物である。
【0034】
【化15】
Figure 0004691746
【0035】
非置換又は置換基を有するナフタレン−2,6ジイル環の部分構造式のより好ましい形態は、下記に示す一般式(I-6a)〜(I-6aj)で表される化合物である。
【0036】
【化16】
Figure 0004691746
【0037】
本発明は、また、非置換又は置換されたデカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環のより好ましい形態を下式(I-7a)〜(I-7dm)に示す。
【0038】
【化17】
Figure 0004691746
【0039】
【化18】
Figure 0004691746
【0040】
【化19】
Figure 0004691746
【0041】
尚、以下で用いている各化合物は、蒸留、カラム精製、再結晶等の方法を用いて不純物を除去し、充分精製したものを使用した。
【0042】
更に詳述すると、汎用的な液晶組成物を目的とする場合には、液晶成分Aは以下の化合物を用いることが好ましく、本発明の効果を得ることができる。
【0043】
一般式(I-1)〜(I-3)において、
(I-ai):R1が炭素原子数1〜7のアルキル基又は炭素原子数2〜7のアルケニル基である化合物、具体的には、一般式(I-1a)〜(I-3ay)の基本構造であって、側鎖基R1が(I-4a)〜(I-4g)、(I-4ak)〜(I-4aq)、(I-4ay)〜(I-4bf)であって、側鎖基R2が(I-4a)〜(I-4bf)の化合物、より好ましくは一般式(I-1a)〜(I-1k)、(I-1s)〜(I-1x)、(I-1ad)〜(I-1ak)、(I-2f)、(I-2g)、(I-2k)、(I-2l)、(I-2q)、(I-2x)、(I-2ad)、(I-2ak)〜(I-2am)、(I-2av)〜(I-2be)、(I-2bl)〜(I-2bw)、(I-3a)、(I-3e)、(I-3i)、(I-3j)、(I-3m)、(I-3p)〜(I-3r)、(I-3u)、(I-3y)〜(I-3ac)、(I-3ag)〜(I-3ax)の基本構造の化合物であり、液晶組成物の相溶性の改善、ネマチック相−等方性液体相転移温度の改善や低温保存の向上により動作温度範囲を拡大し、弾性定数及びこれらの比K33/K11やK33/K22を調整することができ、粘度や粘弾性の低減により応答性を向上させ、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
【0044】
一般式(I-1)〜(I-3)において、
(I-aii):R2が炭素原子数1〜7のアルキル基又は炭素原子数2〜7のアルケニル基である化合物、具体的には、一般式(I-1a)〜(I-3ay)の基本構造であって、側鎖基R2が(I-4a)〜(I-4g)、(I-4ak)〜(I-4aq)、(I-4ay)〜(I-4bf)であって、側鎖基R1が(I-4a)〜(I-4bf)の化合物、より好ましくは一般式(I-1a)〜(I-1k)、(I-1s)〜(I-1x)、(I-1ad)〜(I-1ak)、(I-2f)、(I-2g)、(I-2k)、(I-2l)、(I-2q)、(I-2x)、(I-2ad)、(I-2ak)〜(I-2am)、(I-2av)〜(I-2be)、(I-2bl)〜(I-2bw)、(I-3a)、(I-3e)、(I-3i)、(I-3j)、(I-3m)、(I-3p)〜(I-3r)、(I-3u)、(I-3y)〜(I-3ac)、(I-3ag)〜(I-3ax)の基本構造の化合物であり、液晶組成物の相溶性の改善、ネマチック相−等方性液体相転移温度の改善や低温保存の向上により動作温度範囲を拡大し、弾性定数及びこれらの比K33/K11やK33/K22を調整することができ、粘度や粘弾性の低減により応答性を向上させ、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
【0045】
一般式(I-1)〜(I-3)において、
(I-aiii):K1、K2が単結合、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-である化合物、具体的には例えば、一般式(I-1a)〜(I-3ay)の基本構造であって、側鎖基R1が(I-4a)〜(I-4bf)であって、側鎖基R2が(I-4a)〜(I-4bf)の化合物、より好ましくは一般式(I-1a)〜(I-1k)、(I-1s)〜(I-1x)、(I-1ad)〜(I-1ak)、(I-2f)、(I-2g)、(I-2k)、(I-2l)、(I-2q)、(I-2x)、(I-2ad)、(I-2ak)〜(I-2am)、(I-2av)〜(I-2be)、(I-2bl)〜(I-2bw)、(I-3a)、(I-3e)、(I-3i)、(I-3j)、(I-3m)、(I-3p)〜(I-3r)、(I-3u)、(I-3y)〜(I-3ac)、(I-3ag)〜(I-3ax)の基本構造の化合物であり、特に、K1、K2が単結合である化合物は、液晶組成物の相溶性の改善、低温保存の向上により動作温度範囲を拡大し、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成することができるものであり、K1、K2が-(CH2)2-、-(CH2)4-である化合物は、液晶組成物の相溶性の改善、低温保存の向上により動作温度範囲を拡大することができるものであり、K1、K2が-COO-、-OCO-である化合物は、液晶組成物の相溶性の改善、低温保存の向上により動作温度範囲を拡大し、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善することができるものであり、K1、K2が-C≡C-である化合物は、複屈折率を広い範囲で調整することができ、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善することができるものであり、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
【0046】
一般式(I-1)〜(I-3)において、
(I-aiv):環A1、A2が1,4−フェニレン、トランス−1,4−シクロへキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、非置換のナフタレン−2,6−ジイル、非置換の1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル又は非置換のデカハイドロナフタレン−2,6−ジイルである化合物、具体的には例えば、一般式(I-1a)〜(I-1k)、(I-1m)〜(I-1r)、(I-1t)〜(I-1w)、(I-1y)〜(I-1ab)、(I-1ad)〜(I-1aw)、(I-2a)〜(I-2by)、(I-3a)〜(I-3ay)の基本構造であって、側鎖基R1が(I-4a)〜(I-4bf)であって、側鎖基R2が(I-4a)〜(I-4bf)の化合物であり、特に、環A1、A2が1,4−フェニレン、トランス−1,4−シクロへキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、非置換のナフタレン−2,6−ジイル、非置換の1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル又は非置換のデカハイドロナフタレン−2,6−ジイルのいずれかである化合物は、液晶組成物の相溶性や低温保存を損なうことなくネマチック相−等方性液体相転移温度の改善ができ、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成することができるものであり、これら本発明の効果を得るためには、後述する小群(II-ai)〜(II-dvii)、(III-ai)〜(III-cv)の化合物と組み合わせることが好ましい。
【0047】
一般式(I-1)〜(I-3)において、
(I-av):環A1、A2が2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン又はトランス−1,4−シクロへキセニレンである化合物、具体的には例えば、一般式(I-1s)、(I-1x)、(I-1ac)、(I-2ak)、(I-2av)、(I-2ba)、(I-2bf)、(I-2bi)、(I-3y)、(I-3ad)、(I-3ag)、(I-3al)の基本構造であって、側鎖基R1が(I-4a)〜(I-4bf)であって、側鎖基R2が(I-4a)〜(I-4bf)の化合物。本小群の化合物は、極性基を置換基として有する1,4−フェニレンを部分構造としたことを特徴としている。具体的には、一般式(I-5b)〜(I-5n)の部分構造式が好ましく、特に好ましいのは一般式(I-5f)、(I-5k)、(I-5n)である。この様な観点から、環A1、A2の少なくとも一方が2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンである化合物が好ましく、この様な化合物を多用することによって、液晶組成物の誘電率異方性を負にさせることができる。小群(I-avi)、(I-avii)、(I-bii)、(I-bvi)から選ばれる化合物や液晶成分Cから選ばれる化合物と組み合わせると更に有用な液晶組成物を得ることができ、IPS、VA、MVAモードを用いたTFT-LCDの駆動電圧の低減を達成させることができる。
【0048】
一般式(I-1)〜(I-3)において、
(I-avi):環A1、A2が少なくとも1個の置換基を有するナフタレン−2,6−ジイル又は少なくとも1個の置換基を有する1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルである化合物。本小群の化合物は、置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルや1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルを部分構造としたことを特徴としている。具体的には、一般式(I-6b)〜(I-6aj)の部分構造式や一般式(I-7by)〜(I-7cv)の部分構造式が好ましい。負の誘電率異方性を有する液晶組成物を得ることを所望する場合には、特に一般式(I-6g)、(I-6h)、(I-6n)、(I-6o)、(I-6q)、(I-6r)、(I-6y)、(I-6z)、(I-6ae)、(I-6af)、(I-6ah)、(I-6ai)の部分構造式や一般式(I-7ci)、(I-7cv)の部分構造式を有する化合物が更に好ましい。この様な観点から、環A1、A2の少なくとも一方が置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルや置換基を有する1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルである化合物が好ましく、この様な化合物を多用することによって、液晶組成物の誘電率異方性を負にさせることができる。小群(I-av)、(I-avii)、(I-bii)、(I-bvi)から選ばれる化合物や液晶成分Cから選ばれる化合物と組み合わせると更に有用な液晶組成物を得ることができ、IPS、VA、MVAモードを用いたTFT-LCDの駆動電圧の低減を達成させることができる。
【0049】
一般式(I-1)〜(I-3)において、
(I-avii):少なくとも1個の置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルである化合物、具体的には例えば、一般式(I-1b)、(I-1e)、(I-1g)、(I-1i)、(I-1k)、(I-1n)、(I-1p)、(I-1r)、(I-1t)〜(I-1w)、(I-1y)〜(I-1ab)、(I-1ad)〜(I-1aw)、(I-2f)〜(I-2j)、(I-2x)〜(I-2aj)、(I-2al)〜(I-2au)、(I-2aw)〜(I-2az)、(I-2bb)〜(I-2be)、(I-2bg)、(I-2bh)、(I-2bj)〜(I-2by)、(I-3m)〜(I-3x)、(I-3z)〜(I-3ac)、(I-3ae)、(I-3af)、(I-3ah)〜(I-3ak)、(I-3am)〜(I-3ay)の基本構造であって、側鎖基R1が(I-4a)〜(I-4bf)であって、側鎖基R2が(I-4a)〜(I-4bf)の化合物。本小群の化合物は、置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルを部分構造としたことを特徴としている。具体的には、一般式(I-6b)〜(I-6aj)の部分構造式が好ましい。負の誘電率異方性を有する液晶組成物を得ることを所望する場合には、特に一般式(I-6g)、(I-6h)、(I-6n)、(I-6o)、(I-6q)、(I-6r)、(I-6y)、(I-6z)、(I-6ae)、(I-6af)、(I-6ah)、(I-6ai)の部分構造式を有する化合物が更に好ましい。この様な化合物を多用することによって、液晶組成物の誘電率異方性を負にさせることができる。小群(I-av)、(I-avi)、(I-bii)、(I-bvi)から選ばれる化合物や液晶成分Cから選ばれる化合物と組み合わせると更に有用な液晶組成物を得ることができ、IPS、VA、MVAモードを用いたTFT-LCDの駆動電圧の低減を達成させることができる。
【0050】
特に、(I-aiii)と(I-aiv)〜(I-avii)の構造的特徴を同時に有する化合物の場合、更に差別化された特性を示し、より広く液晶組成物に用いることができる。
(I-aiv-a):K1とK2の少なくとも一つが単結合、-(CH2)2-、-(CH2)4-であり、環A1とA2の少なくとも一つが非置換又は置換基を有する1,4−フェニレン、非置換又は置換基を有するナフタレン−2,6−ジイル、非置換又は置換された1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルで表される化合物は中位の複屈折率を有している。
(I-aiv-b):K1とK2の少なくとも一つが単結合、-(CH2)2-、-(CH2)4-であり、環A1とA2の少なくとも一つがトランス−1,4−シクロへキシレンで表される化合物は中位以下の複屈折率で、ネマチック相を広げ、比較的速い応答性を有している。
(I-aiv-c):K1とK2の少なくとも一つが-C≡Cであり、環A1とA2の少なくとも一つが非置換又は置換基を有する1,4−フェニレン、非置換又は置換基を有するナフタレン−2,6−ジイル、非置換又は置換された1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルで表される化合物は極めて高いあるいは比較的高い複屈折率で、ネマチック相を広げ、比較的速い応答性を有している。
(I-aiv-d):K1とK2の少なくとも一つが単結合であり、ナフタレン−2,6−ジイルが置換基を有するか及び又は環A1とA2の少なくとも一つが置換基を有する1,4−フェニレン、置換基を有するナフタレン−2,6−ジイル、置換基を有する1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルで表される化合物は僅かに正か−1〜−15の負の誘電率異方性を有している。この化合物の置換基は特にF、Cl、CF3から選ばれることが好ましく、置換基の数は二つ又は三つがより好ましい。特に、三つの極性基を有するナフタレン−2,6−ジイルの化合物は、負の誘電率異方性を有する液晶組成物を得るのに好ましい。
小群(I-aivi-a)〜(I-aivi-d)の化合物は、液晶組成物の相溶性の改善、低温保存の向上により動作温度範囲を拡大し、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善し、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成するあるいは改善することができ、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる、
【0051】
一般式(I-1)〜(I-3)において、
(I-aviii):ナフタレン−2,6−ジイル環、側鎖基R1、R2、連結基K1、K2及び環A1、A2に存在する1個又は2個以上の水素原子が重水素原子と置換された化合物。この化合物は液晶組成物の弾性定数の調整や配向膜に対応したプレチルト角の調整に有用であることから、重水素原子で置換された化合物を少なくとも1種以上含有させることが好ましい。
【0052】
尚、小群(I-ai)〜(I-aviii)において記載した内容は、一般式(I-1)の化合物に対しても総て適用され、環A2と連結基K2が無いものとして解釈される。
【0053】
本発明の液晶成分Aは、これら小群(I-ai)〜(I-aviii)のうち一つ又は二つ又は三つ以上の小群から選ばれる化合物を1種以上含有させることができるが、一つの小群から1種のみで構成しても効果を得ることができる。また、小群(I-ai)〜(I-aviii)で示した化合物の構造的な特徴を同時に二つ以上有した化合物は更に好ましい。液晶成分Aは、所望の目的に応じて、上記小群(I-ai)〜(I-aviii)で示した化合物で構成することができる。この様な液晶成分Aを含有する本発明の液晶組成物は、相溶性の改善、低温保存の向上等により液晶表示特性の動作温度範囲を拡大し、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善し、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成するあるいは改善することができ、これを構成材料として用いたTN-LCD、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
【0054】
TN-LCD、STN-LCD、PDLC、PN-LCD等に適した液晶組成物を目的とする場合には、あるいは高い信頼性を要求されるSTN-LCDやアクティブ用のSTN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等に適した液晶組成物を目的とする場合には、一般式(I-1)〜(I-3)における化合物から更に最適の化合物を選択して1種〜20種含有させることができる。この観点から、下記小群(I-bi)〜(I-bvi)のうち一つ又は二つ又は三つ以上の化合物を1種〜20種含有し、該化合物の含有率が5〜100重量%である液晶成分Aが好ましい。
【0055】
(I-bi): 前記一般式(I-1)において、R1とR2の一方が炭素原子数2〜5のアルケニル基又はアルケニルオキシ基であり、他方が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、K1が単結合、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-である化合物、具体的には、一般式(I-1a)〜(I-1aw)の基本構造であって、側鎖基R1とR2の一方が(I-4ak)〜(I-4ap)、(I-4ar)〜(I-4au)、(I-4ay)〜(I-4bf)であって、他方の側鎖基が(I-4a)〜(I-4e)、(I-4h)〜(I-4l)、(I-4ak)〜(I-4ap)、(I-4ar)〜(I-4au)、(I-4ay)〜(I-4bf)の化合物、特により好ましくは例えば、一般式(I-1a)〜(I-1c)、(I-1h)〜(I-1k)、(I-1t)〜(I-1w)、(I-1ah)〜(I-1ak)の基本構造である化合物。この化合物は、液晶成分Bにおける小群(II-ai)〜(II-axiii)から選ばれる化合物や液晶成分Cにおける小群(III-ai)〜(III-axiv)から選ばれる化合物と組み合わせると更に有用な液晶組成物を得ることができ、本発明の効果によりTN-LCD、STN-LCD 、TFT-LCDの表示特性を改善させることができる。
【0056】
(I-bii):前記一般式(I-1)において、R1が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、R2が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、ナフタレン−2,6−ジイルと環A1の少なくとも一方の環が置換基を有する化合物、特により好ましくは例えば、一般式(I-1b)、(I-1e)、(I-1g)、(I-1i)、(I-1k)、(I-1n)、(I-1p)、(I-1r)〜(I-1aw)の基本構造である化合物。本小群の化合物は新規な化合物である。
本小群の化合物において負の誘電率異方性の液晶組成物を所望する場合、以下の化合物が好ましい。置換基を有する1,4−フェニレンを部分構造とした化合物、具体的には、一般式(I-5b)〜(I-5n)の部分構造式が好ましく、特に好ましいのは一般式(I-5f)、(I-5k)、(I-5n)である。この様な観点から、環A1が2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンである化合物が好ましい。置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルを部分構造とした化合物、具体的には一般式(I-6b)〜(I-6aj)の部分構造式が好ましく、特に好ましいのは一般式(I-6g)、(I-6h)、(I-6n)、(I-6o)、(I-6q)、(I-6r)、(I-6y)、(I-6z)、(I-6ae)、(I-6af)、(I-6ah)、(I-6ai)である。この様な観点から、上記部分構造を有した化合物を多用することによって、液晶組成物の誘電率異方性を負にさせることができる。小群(I-av)〜(I-avii)、(I-bvi)から選ばれる化合物や液晶成分Cから選ばれる化合物と組み合わせると更に有用な液晶組成物を得ることができ、IPS、VA、MVAモードを用いたTFT-LCDの駆動電圧の低減を達成させることができる。
【0057】
(I-biii):前記一般式(I-1)において、R1が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、R2が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、K1が-(CH2)2-、-(CH2)4-、-CH=CH-又は-CF=CF-である化合物。本小群の化合物は新規な化合物であり、中位の複屈折率を調製することができる。
【0058】
(I-biv):前記一般式(I-1)において、R1が炭素原子数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基であり、R2が炭素原子数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基であり、K1が単結合、-COO-又は-OCO-であり、環A1がトランス−1,4−シクロヘキシレン、非置換のデカハイドロナフタレン−2,6−ジイル、1,4−フェニレン、2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−フルオロ−1,4−フェニレン又は非置換のナフタレン−2,6−ジイルである化合物。この化合物は、液晶成分Aにおける一般式(I-2)、(I-3)の化合物や小群(I-bi)〜(I-biii)の化合物から選ばれる化合物、液晶成分Bにおける小群(II-ai)〜(II-axiii)から選ばれる化合物、液晶成分Cにおける小群(III-ai)〜(III-axiv)から選ばれる化合物と組み合わせると更に有用な液晶組成物を得ることができ、本発明の効果によりTN-LCD、STN-LCD 、TFT-LCDの表示特性を改善させることができる。
【0059】
(I-bv):前記一般式(I-2)、(I-3)において、R1が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、R2が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、K1とK2が単結合、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-(CH2)2-、-(CH2)4-のいずれかである化合物。より好ましくは例えば、R1が炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R2が炭素原子数2〜5のアルケニル基である化合物、特に少なくとも一方の側鎖基が(I-4ak)〜(I-4ap)のいずれかである化合物が好ましく、この場合K1とK2がともに単結合か、K1とK2の一方が単結合で他方が-C≡C-である化合物が好ましい。また、連結基におけるより好まし形態は、K1が単結合、-C≡C-であり、K2が単結合、-C≡C-である化合物であり、液晶組成物の幅広い複屈折率の調製に有用である。
【0060】
(I-bvi):前記一般式(I-2)、(I-3)において、環A1とA2の一方が2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン、トランス−1,4−シクロへキシレン、トランス−1,4−シクロへキセニレン、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、トランス−1−シラ−1,4−シクロヘキシレン、トランス−4−シラ−1,4−シクロヘキシレン、非置換又は置換されたナフタレン−2,6−ジイル又は非置換又は置換された1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルであり、他方が1,4−フェニレン、2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、トランス−1,4−シクロへキシレン、トランス−1,4−シクロへキセニレン、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、トランス−1−シラ−1,4−シクロヘキシレン又はトランス−4−シラ−1,4−シクロヘキシレン、非置換又は置換されたナフタレン−2,6−ジイル、非置換又は置換された1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル又はデカハイドロナフタレン−2,6−ジイルである化合物。
本小群の化合物において負の誘電率異方性の液晶組成物を所望する場合、以下の化合物が好ましい。置換基を有する1,4−フェニレンを部分構造とした化合物、具体的には、一般式(I-5b)〜(I-5n)の部分構造式が好ましく、特に好ましいのは一般式(I-5f)、(I-5k)、(I-5n)である。この様な観点から、環A1、A2の少なくとも一方が2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンである化合物が好ましい。置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルや1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルを部分構造とした化合物、具体的には、一般式(I-6b)〜(I-6aj)の部分構造式や一般式(I-7by)〜(I-7cv)の部分構造式が好ましく、特に好ましいのは一般式(I-6g)、(I-6h)、(I-6n)、(I-6o)、(I-6q)、(I-6r)、(I-6y)、(I-6z)、(I-6ae)、(I-6af)、(I-6ah)、(I-6ai)の部分構造式や一般式(I-7ci)、(I-7cv)である。この様な観点から、環A1、A2の少なくとも一方が置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルや置換基を有する1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルである化合物が好ましい。この様な化合物を多用することによって、液晶組成物の誘電率異方性を負にさせることができる。小群(I-av)〜(I-avii)、(I-bii)から選ばれる化合物や液晶成分Cから選ばれる化合物と組み合わせると更に有用な液晶組成物を得ることができ、IPS、VA、MVAモードを用いたTFT-LCDの駆動電圧の低減を達成させることができる。
【0061】
本発明の液晶成分Aは、これら小群(I-bi)〜(I-bvi)のうち一つ又は二つ又は三つ以上の小群から選ばれる化合物を1種以上含有させることができるが、一つの小群から1種のみで構成しても効果を得ることができる。また、小群(I-bi)〜(I-bvi)で示した化合物の構造的な特徴を同時に二つ以上有することが可能な化合物は更に好ましい。液晶成分Aは、所望の目的に応じて、上記小群(I-bi)〜(I-bvi)で示した化合物で構成することができる。この様な液晶成分Aを含有する本発明の液晶組成物は、相溶性の改善、低温保存の向上等により液晶表示特性の動作温度範囲を拡大し、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善し、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成するあるいは改善することができ、これを構成材料として用いたTN-LCD、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
【0062】
本発明の液晶組成物に関わる一般式(I-1)〜(I-3)の化合物からなる液晶成分Aは、あるいは上述してきた小群(I-ai)〜(I-bvi)の化合物を含有した液晶成分Aは、更にまた小群(I-ai)〜(I-bvi)の構造的な特徴を同時に二つ以上有することが可能な化合物を含有した液晶成分Aは、非置換又は置換されたナフタレン−2,6−ジイル環を部分構造とする分子構造を特徴としている。この特徴は、従来の化合物に比べより板状の構造を有することとなる。また、極性基の置換基を多くすることができる。このためか、相溶性に優れ、その分子長に比べて相転移温度が比較的高く、複屈折率が大きく、負の誘電率異方性の大きさをより大きくすることにより駆動電圧がより低く、高周波数領域における駆動電圧の周波数依存性が抑えられ、駆動電圧の温度依存性を低減させる効果があり、弾性定数が従来の化合物と異なり特にK11とK22の大きさを調整するのに優れている。この観点から、応答性改善にも有用なものであり、TN、STN、TFT、IPS、MVA、OCB、ECB、PC、PN-LCD、PDLC、PSCT等に最適である。
【0063】
尚、当然のことながら、小群(I-ai)〜(I-aviii)、(I-bi)〜(I-bvi)の化合物中に存在する水素原子のうち少なくとも一個が重水素原子と置換された化合物も含む。
【0064】
本発明の液晶組成物は、上記液晶成分Aに加えて、誘電率異方性が+2以上の化合物を1種又は2種以上含む液晶成分Bを含有するものである。尚、本発明で述べる2より大きい誘電異方性を有する液晶化合物とは、以下の意義で用いる。液晶化合物の化学構造は棒状であり、中央部分が1個から4個の六員環を有したコア構造を有し、中央部分長軸方向の両端に位置する六員環が、液晶分子長軸方向に相当する位置で置換された末端基を有し、両端に存在する末端基の少なくとも一方が極性基であること、即ち例えば -F、-Cl、-NO2、-CF3、-OCF3、-OCHF2、-CN、-OCN、-NCS、等である化合物である。これによって、液晶層の光学異方性を所定の値にすることができ、電気的に駆動可能となり、動作温度範囲を広くさせることができる。
【0065】
液晶成分Bとして、誘電率異方性が+2以上の化合物は、少なくとも1種以上を用いることができ、3〜40種の範囲が好ましく、3〜15種の範囲がより好ましい。また、誘電率異方性が+2〜+8の化合物、+8〜+13の化合物、+14〜+18の化合物、+18以上の化合物から適時選んで含有させることが好ましく、所定の駆動電圧や応答特性を得ることができる。この場合、+2〜+13の誘電率異方性の化合物は多くとも30種以下の範囲で混合することが好ましく、15種以下の範囲で混合することが更に好ましく、+14〜+18の化合物は多くとも20種以下の範囲で混合することが好ましく、8種以下の範囲で混合することが更に好ましく、+18以上の化合物は多くとも15種以下の範囲で混合することが好ましく、10種以下の範囲で混合することが更に好ましい。液晶成分Bを上述の様に使用することは、表示特性の温度特性により好ましい効果を付与する。より具体的には、駆動電圧、急峻性に関わるコントラスト、応答性等の温度依存性をより好ましいものとする。
【0066】
この様な視点から、一般式(II-1)〜(II-5)で表される化合物におけるより好ましい基本構造の形態は、下記に示す一般式(II-1a)〜(II-5cy)で表される化合物である。
【0067】
【化20】
Figure 0004691746
【0068】
【化21】
Figure 0004691746
【0069】
【化22】
Figure 0004691746
【0070】
【化23】
Figure 0004691746
【0071】
【化24】
Figure 0004691746
【0072】
【化25】
Figure 0004691746
【0073】
【化26】
Figure 0004691746
【0074】
【化27】
Figure 0004691746
【0075】
【化28】
Figure 0004691746
【0076】
【化29】
Figure 0004691746
【0077】
一般式(II-1)〜(II-5)における側鎖基R3のより好ましい形態は、下記に示す一般式(II-6a)〜(II-6bc)で表される化合物である。
【0078】
【化30】
Figure 0004691746
極性基を有する1,4−フェニレンの部分構造式(II-71)のより好ましい形態は、下記に示す一般式(II-71a)〜(II-71r)で表される化合物である。
【0079】
【化31】
Figure 0004691746
一般式(II-5)における環B5が芳香環、即ちナフタレン−2,6−ジイルの場合、極性基を有する部分構造式(II-72)のより好ましい形態は、下記に示す一般式(II-72a)〜(II-72av)で表される化合物である。
【0080】
【化32】
Figure 0004691746
【0081】
【化33】
Figure 0004691746
一般式(II-5)における環B5が非芳香環、即ち1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイルの場合、極性基を有する部分構造式(II-73)のより好ましい形態は、下記に示す一般式(II-73a)〜(II-73bt)で表される化合物である。
【0082】
【化34】
Figure 0004691746
【0083】
【化35】
Figure 0004691746
【0084】
液晶成分Bにおいて、一般式(II-1)〜(II-5)で表される化合物中に示される環B1、B2において、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6ジイル、デカハイドロナフタレン−2,6−ジイルは以下のものが好ましい。非置換又は置換基を有する1,4−フェニレンの部分構造式のより好ましい形態は前記で示した一般式(I-5a)〜(I-5n)であり、非置換又は置換基を有するナフタレン−2,6ジイル環の部分構造式のより好ましい形態は前記で示した一般式(I-6a)〜(I-6aj)であり、非置換又は置換されたデカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環のより好ましい形態は前記で示した下式(I-7a)〜(I-7dm)である。
【0085】
尚、以下で用いている各化合物は、蒸留、カラム精製、再結晶等の方法を用いて不純物を除去し、充分精製したものを使用した。
【0086】
更に詳述すると、汎用的な液晶組成物を目的とする場合には、液晶成分Bは以下の化合物を用いることが好ましく、この様な液晶成分Bを液晶成分Aと組み合わせることにより本発明の効果を得ることができる。
【0087】
(II-ai):前記一般式(II-1)〜(II-5)において、R3が炭素原子数2〜5のアルケニル基である化合物、具体的には、一般式(II-1a)〜(II-5cy)の基本構造であって、側鎖基が(II-6ah)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物、より好ましくは一般式(II-1a)〜(II-1x)、(II-2f)〜(II-2ah)、(II-3a)〜(II-3c)、(II-3l)〜(II-3q)、(II-4a)〜(II-4g)、(II-5a)〜(II-5z)、(II-5ag)〜(II-5al)、(II-5au)〜(II-5bd)、(II-5bi)〜(II-5bk)、(II-5bw)、(II-5bx)、(II-5cp)〜(II-5ct)の基本構造の化合物であり、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
(II-aii):前記一般式(II-1)〜(II-5)において、Q1がF、Cl、CF3、-OCF3-、OCF2H又は-OCFH2である化合物、具体的には例えば、一般式(II-1a)〜(II-5cy)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71d)〜(II-71r)、(II-72i)〜(II-72av)、(II-73m)〜(II-73bt)の化合物、より好ましくは一般式(II-1a)〜(II-1x)、(II-2f)〜(II-2ah)、(II-3a)〜(II-3c)、(II-3l)〜(II-3q)、(II-4a)〜(II-4g)、(II-5a)〜(II-5z)、(II-5ag)〜(II-5al)、(II-5au)〜(II-5bd)、(II-5bi)〜(II-5bk)、(II-5bw)、(II-5bx)、(II-5cp)〜(II-5ct)の基本構造の化合物であり、これらの化合物を実質的に主成分とした場合にはアクティブ用のTFT-LCD、PDLC、PN-LCD等の駆動電圧の低減や高電圧保持率に優れている。また、Q1がCNの化合物と併用して、両者が実質的に主成分とした場合にはTN-LCD、STN-LCD、PDLC、PN-LCD等の駆動電圧、急峻性や応答性あるいはその温度特性に優れている。
【0088】
(II-aiii):前記一般式(II-1)の化合物において、P2が-(CH2)2-又は-(CH2)4-である化合物、具体的には、一般式(II-1c)、(II-1d)(II-1g)、(II-1h)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物。
(II-aiv):前記一般式(II-1)の化合物において、p1が1である化合物、具体的には、一般式(II-1e)〜(II-1l)、(II-1r)〜(II-1x)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物、これらは、駆動電圧が低く、中位から比較的小さい範囲の複屈折率を必要とする用途に適している。
【0089】
(II-av):前記一般式(II-2)の化合物において、Y1、Y2、W1、W2の少なくとも1個がFである化合物、具体的には、(II-av-1):一般式(II-2a)、(II-2c)、(II-2f)、(II-2i)、(II-2l)、(II-2o)、(II-2r)、(II-2u)、(II-2x)、(II-2y)、(II-2ab)、(II-2ac)、(II-2af)〜(II-2ah)の基本構造であって、側鎖基が(I-6a)〜(I-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71b)、(II-71c)、(II-71e)、(II-71f)、(II-71h)、(II-71i)、(II-71k)、(II-71l)、(II-71n)、(II-71o)、(II-71q)、(II-71r)、(II-72b)、(II-72c)、(II-72e)〜(II-72h)、(II-72j)、(II-72k)、(II-72m)〜(II-72p)、(II-72r)、(II-72s)、(II-72u)〜(II-72x)、(II-72z)、(II-72aa)、(II-72ac)〜(II-72af)、(II-72ah)、(II-72ai)、(II-72ak)〜(II-72an)、(II-72ap)、(II-72aq)、(II-72as)〜(II-72av)、(II-73b)〜(II-73d)、(II-73f)〜(II-73h)、(II-73j)〜(II-73l)、(II-73n)〜(II-73p)、(II-73r)〜(II-73t)、(II-73v)〜(II-73x)、(II-73z)〜(II-73ab)、(II-73ad)〜(II-73af)、(II-73ah)〜(II-73aj)、(II-73al)〜(II-73an)、(II-73ap)〜(II-73ar)、(II-73at)〜(II-73av)、(II-73ax)〜(II-73az)、(II-73bb)〜(II-73bd)、(II-73bf)〜(II-73bh)、(II-73bj)〜(II-73bl)、(II-73bn)〜(II-73bp)、(II-73br)〜(II-73bt)の化合物、あるいは(II-av-2):一般式(II-2b)、(II-2d)、(II-2e)、(II-2g)、(II-2h)、(II-2j)、(II-2k)、(II-2m)、(II-2n)、(II-2p)、(II-2q)、(II-2s)、(II-2t)、(II-2v)、(II-2w)、(II-2z)、(II-2aa)、(II-2ad)、(II-2ae)の基本構造であって、側鎖基が(I-6a)〜(I-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物であり、駆動電圧を低減させる用途に適している。これらの化合物は、特に、小群(II-av-2)の化合物は、駆動電圧の温度依存性が良好で、誘電率異方性の周波数依存性が比較的小さく、高デューティー数に対応した液晶表示素子に有用である。
(II-avi):前記一般式(II-2)の化合物において、p1が1であり、P1が-C≡C-である化合物、具体的には、一般式(II-2o)〜(II-2q)、(II-2ab)〜(II-2ae)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物であり、駆動電圧が低く比較的大きい複屈折率を必要とする用途に適している。
(II-avii):前記一般式(II-2)の化合物において、P2が単結合又は-(CH2)2-であり、P1が-COO-である化合物、具体的には、一般式(II-2l)〜(II-2n)、(II-2r)〜(II-2t)、(II-2y)〜(II-2aa)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物であり、駆動電圧が低くい用途に適している。
【0090】
(II-aviii):前記一般式(II-3)の化合物において、Y1、Y2、W1〜W4の少なくとも1個がFである化合物、具体的には、一般式(II-3a)、(II-3j)、(II-3k)、(II-3s)、(II-3t)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71b)、(II-71c)、(II-71e)、(II-71f)、(II-71h)、(II-71i)、(II-71k)、(II-71l)、(II-71n)、(II-71o)、(II-71q)、(II-71r)の化合物、あるいは一般式(II-3b)〜(II-3i)、(II-3l)〜(II-3r)、(II-3u)〜(II-3x)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71r)の化合物であり、駆動電圧を低減させる用途に適している。
(II-aix):前記一般式(II-3)の化合物において、P3が-C≡C-である化合物、具体的には、一般式(II-3k)〜(II-3r)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71r)の化合物であり、駆動電圧が低く比較的大きい複屈折率を必要とする用途に適している。
(II-ax):前記一般式(II-3)の化合物において、P1が単結合又は-C≡C-であり、P3が-COO-である化合物、具体的には、一般式(II-3j)、(II-3y)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71r)の化合物。
【0091】
(II-axi):前記一般式(II-4)で表される化合物、具体的には、一般式(II-4a)〜(II-4n)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71r)の化合物であり、駆動電圧を低減させる用途に適している。これらの化合物は、特に、一般式(II-4a)の化合物は、駆動電圧の温度依存性が良好で、誘電率異方性の周波数依存性が比較的小さく、高デューティー数に対応した液晶表示素子に有用である。
【0092】
(II-axii):前記一般式(II-5)で表される化合物、具体的には、一般式(II-5a)〜(II-5cy)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71r)の化合物。
【0093】
(II-axiii):前記一般式(II-1)、(II-2)、(II-4)、(II-5)の化合物において、環B1〜B4がトランス−1,4−シクロへキシレンであり、この環の水素原子のうち少なくとも一個が重水素原子と置換された化合物、具体的には、一般式(II-1a)〜(II-1l)、(II-1r)〜(II-1w)、(II-2i)〜(II-2ae)、(II-4b)、(II-4i)、(II-5g)〜(II-5i)、(II-5aj)〜(II-5bd)、(II-5bi)〜(II-5bk)、(II-5ci)〜(II-5cy)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物。
【0094】
これらの小群(II-ai)〜(II-axiii)で示した化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有するネマチック液晶組成物が好ましい。
【0095】
また、TN-LCDやSTN-LCDに適した液晶組成物を目的とする場合には、液晶成分Bは以下の化合物を用いることが好ましく、この様な液晶成分Bを液晶成分Aと組み合わせることにより本発明の効果を得ることができる。
【0096】
(II-bi):前記一般式(II-1)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、p1が0であり、Q1が-CNである化合物、具体的には、一般式(II-1a)〜(II-1d)、(II-1m)〜(II-1q)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71c)の化合物。
(II-bii):前記一般式(II-1)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、p1が1であり、Q1がF又は-CNであり、Y1、Y2がH又はFである化合物、具体的には、一般式(II-1e)〜(II-1l)、(II-1r)〜(II-1x)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71f)の化合物。
【0097】
(II-biii):前記一般式(II-2)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、p1が0であり、Q1が-CNであり、Y1、Y2、W1、W2がH又はFである化合物、具体的には、一般式(II-2a)〜(II-2h)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71c)の化合物。
(II-biv):前記一般式(II-2)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、p1が1であり、P2が単結合、-(CH2)2-又は-COO-であり、P1が単結合、-COO-又は-C≡C-であり、Q1がF又は-CNであり、Y1、Y2、W1、W2がH又はFである化合物、具体的には、一般式(II-2i)〜(II-2ah)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71f)の化合物。
【0098】
(II-bv):前記一般式(II-3)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、P1とP3の一方が単結合であり、他方が単結合、-COO-又は-C≡C-である化合物、具体的には、一般式(II-3a)〜(II-3x)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71r)の化合物。
(II-bvi):前記一般式(II-3)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、Y1、Y2、W1〜W4がH又はFである化合物、具体的には、一般式(II-3a)〜(II-3t)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71r)の化合物。
【0099】
(II-bvii):前記一般式(II-4)において、R3が炭素原子数2〜7のアルキル基又はアルケニル基であり、p2+p3が0である化合物、具体的には、一般式(II-4a)、(II-4h)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-71r)の化合物であり、駆動電圧を低減させる用途に適している。これらの化合物は、特に、一般式(II-4a)の化合物は、駆動電圧の温度依存性が良好で、誘電率異方性の周波数依存性が比較的小さく、高デューティー数に対応した液晶表示素子に有用である。
【0100】
(II-bviii):前記一般式(II-5)において、R3が炭素原子数2〜7のアルキル基又はアルケニル基であり、Y1、Y2がH又はFである化合物、具体的には、一般式(II-5a)、(II-5cy)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-72a)〜(II-73bt)の化合物。
【0101】
(II-bix):前記一般式(II-1)、(II-2)、(II-5)の化合物において、環B1〜B4がトランス−1,4−シクロへキシレンであり、この環の水素原子のうち少なくとも一個が重水素原子と置換された化合物、具体的には、一般式(II-1a)〜(II-1l)、(II-1r)〜(II-1w)、(II-2i)〜(II-2ae)、(II-4b)、(II-4i)、(II-5g)〜(II-5i)、(II-5aj)〜(II-5bd)、(II-5bi)〜(II-5bk)、(II-5ci)〜(II-5cy)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物。
【0102】
これらの小群(II-bi)〜(II-bix)で示した化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、液晶成分Bとして該化合物の含有率が10〜100重量%であるネマチック液晶組成物が好ましい。
【0103】
更にまた、高信頼性を必要とするSTN-LCDやアクティブ用のTFT-LCD、IPS、STN-LCD、PDLC、PN-LCD等に適した液晶組成物を目的とする場合には、液晶成分Bは以下の化合物を用いることが好ましく、この様な液晶成分Bを液晶成分Aと組み合わせることにより本発明の効果を得ることができる。
【0104】
(II-ci):前記一般式(II-1)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、P1とP2の一方が単結合であり、他方が単結合、-COO-、-(CH2)2-、又は-(CH2)4であり、Q1がF、Cl、CF3、OCF3又はOCF2Hであり、Y1、Y2の1個又は2個がFである化合物、具体的には、一般式(II-1a)〜(II-1x)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71e)、(II-71f)、(II-71h)、(II-71i)、(II-71k)、(II-71l)、(II-71n)、(II-71o)、(II-71q)、(II-71r)の化合物。
【0105】
(II-cii):前記一般式(II-2)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、p1が1であり、P2が単結合、-(CH2)2-又は-COO-であり、P1が単結合、-COO-又は-C≡C-であり、Q1がF、Cl、CF3、OCF3又はOCF2Hであり、Y1、Y2の1個又は2個がFであり、W1、W2がH又はFである化合物、具体的には、一般式(II-2i)〜(II-2ah)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71e)、(II-71f)、(II-71h)、(II-71i)、(II-71k)、(II-71l)、(II-71n)、(II-71o)、(II-71q)、(II-71r)の化合物。
【0106】
(II-ciii):前記一般式(II-3)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、P1とP3の一方が単結合であり、他方が単結合、-COO-又は-C≡C-であり、Q1がF、Cl、CF3、OCF3又はOCF2Hであり、Y1、Y2の1個又は2個がFであり、W1〜W4がH又は1個以上がFである化合物、具体的には、一般式(II-3a)〜(II-3x)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71e)、(II-71f)、(II-71h)、(II-71i)、(II-71k)、(II-71l)、(II-71n)、(II-71o)、(II-71q)、(II-71r)の化合物。
【0107】
(II-civ):前記一般式(II-5)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、p1が0であり、P3が単結合、-COO-、-C≡C-、-(CH2)2-又は-(CH2)4であり、Q1がF、Cl、CF3、OCF3又はOCF2Hであり、Y1及びY2の1個又は2個がFである化合物、具体的には、一般式(II-5a)〜(II-5t)、(II-5be)〜(II-5bx)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-72j)、(II-72k)、(II-72m)〜(II-72p)、(II-72r)、(II-72s)、(II-72u)〜(II-72x)、(II-72z)、(II-72aa)、(II-72ac)〜(II-72af)、(II-72ah)、(II-72ai)、(II-72ak)〜(II-72an)、(II-72ap)、(II-72aq)、(II-72as)〜(II-72av)、(II-73n)〜(II-73p)、(II-73r)〜(II-73t)、(II-73v)〜(II-73x)、(II-73z)〜(II-73ab)、(II-73ad)〜(II-73af)、(II-73ah)〜(II-73aj)、(II-73al)〜(II-73an)、(II-73ap)〜(II-73ar)、(II-73at)〜(II-73av)、(II-73ax)〜(II-73az)、(II-73bb)〜(II-73bd)、(II-73bf)〜(II-73bh)、(II-73bj)〜(II-73bl)、(II-73bn)〜(II-73bp)、(II-73br)〜(II-73bt)の化合物。
(II-cv):前記一般式(II-5)において、R3が炭素原子数2〜5のアルキル基又はアルケニル基であり、P1とP3の一方が単結合であり、他方が単結合、-COO-、-C≡C-、-(CH2)2-又は-(CH2)4であり、Q1がF、Cl、CF3、OCF3又はOCF2Hであり、Y1、Y2の1個又は2個がFである化合物、具体的には、一般式(II-5u)〜(II-5bd)、(II-5by)〜(II-5cy)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6d)、(II-6ah)〜(II-6am)、(II-6av)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-72j)、(II-72k)、(II-72m)〜(II-72p)、(II-72r)、(II-72s)、(II-72u)〜(II-72x)、(II-72z)、(II-72aa)、(II-72ac)〜(II-72af)、(II-72ah)、(II-72ai)、(II-72ak)〜(II-72an)、(II-72ap)、(II-72aq)、(II-72as)〜(II-72av)、(II-73n)〜(II-73p)、(II-73r)〜(II-73t)、(II-73v)〜(II-73x)、(II-73z)〜(II-73ab)、(II-73ad)〜(II-73af)、(II-73ah)〜(II-73aj)、(II-73al)〜(II-73an)、(II-73ap)〜(II-73ar)、(II-73at)〜(II-73av)、(II-73ax)〜(II-73az)、(II-73bb)〜(II-73bd)、(II-73bf)〜(II-73bh)、(II-73bj)〜(II-73bl)、(II-73bn)〜(II-73bp)、(II-73br)〜(II-73bt)の化合物。
【0108】
(II-cvi):前記一般式(II-1)、(II-2)、(II-5)の化合物において、環B1〜B4がトランス−1,4−シクロへキシレンであり、この環の水素原子のうち少なくとも三個が重水素原子と置換された化合物、一般式(II-1a)〜(II-1l)、(II-1r)〜(II-1w)、(II-2i)〜(II-2ae)、(II-4b)、(II-4i)、(II-5g)〜(II-5i)、(II-5aj)〜(II-5bd)、(II-5bi)〜(II-5bk)、(II-5ci)〜(II-5cy)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物。
【0109】
これらの小群(II-ci)〜(II-cvi)で示した化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、液晶成分Bとして該化合物の含有率が10〜100重量%であるネマチック液晶組成物が好ましい。
【0110】
一般式(II-1)〜(II-5)で表される化合物における特に好ましい形態は、以下の化合物を含有する液晶成分Bである。
(II-di):一般式(II-1)〜(II-5)におけるR3が炭素原子数2〜7のアルキル基の化合物。一般式(II-1)、(II-2)、(II-5)におけるR3がCp2p+1-CH=CH-(CH2)q(p=0、1、2、3 q=0、2)のアルケニル基である化合物。具体的には、一般式(II-1a)、(II-1e)、(II-1m)〜(II-1o)、(II-1r)〜(II-1x)、(II-2a)、(II-2c)、(II-2d)、(II-2i)、(II-2l)、(II-2o)、(II-3a)、(II-3l)、(II-4a)〜(II-4c)、(II-4e)、(II-5g)、(II-5o)〜(II-5t)、(II-5aj)〜(II-5al)、(II-5u)、(II-5bi)の基本構造の化合物がこれらの基を有することが好ましく、液晶成分Bにアルキル基及び又はアルケニル基を有する化合物を少なくとも1種以上含有させることで、粘度や粘弾性を低減させることができる。
(II-dii):一般式(II-1)〜(II-5)におけるQ1がF、Cl、-OCF3又は-CNである化合物を選択して、少なくとも1種以上含むことが好ましい。
(II-diii):高速応答を重視する場合、一般式(II-1)〜(II-5)におけるQ1がF、-OCF3又は-CNである一般式(II-1a)、(II-1e)、(II-2a)、(II-2c)、(II-2d)、(II-2i)、(II-2l)、(II-2o)、(II-3a)、(II-3l)、(II-4a)、(II-5g)、(II-5aj)、(II-5u)、(II-5bi)の化合物を液晶成分Bに多用することが好ましい。
(II-div):より大きい複屈折率を必要とする場合は一般式(II-2)〜(II-4)におけるQ1がCl、-OCF3、-CNである一般式(II-2a)〜(II-4d)の化合物、及び又は一般式(II-2)、(II-3)におけるP1、P3が-C≡C-である一般式(II-2f)〜(II-2h)、(II-2o)〜(II-2q)、(II-2ab)〜(II-2ae)、(II-3k)〜(II-3x)の化合物を液晶成分Bに多用することが好ましい。
(II-dv):より低い駆動電圧必要とする場合は、一般式(II-1)〜(II-5)におけるQ1がF、Cl、-CNであり、Y1とY2の組の一つが必ずFである一般式(II-1a)〜(II-5cy)の化合物を液晶成分Bに多用することが好ましい。
(II-dvi):一般式(II-1)、(II-2)のシクロヘキサン環中の水素原子が重水素原子で置換された化合物を用いることができるが、この化合物は液晶組成物の弾性定数の調整や配向膜に対応したプレチルト角の調整に有用であることから、重水素原子で置換された化合物を少なくとも1種以上含有させることが好ましい。
(II-dvii):「一般式(II-1)、(II-2)、(II-4)におけるp1〜p3が0の2環化合物」の成分と、「一般式(II-1)、(II-2)におけるp1が1の化合物、一般式(II-4)におけるp2+p3が1の化合物及び又は一般式(II-3)の3環化合物」の成分との液晶成分Bでの混合比は、0〜100から100〜0の範囲で適時選ぶことができ、より高いネマチック相−等方性液体相転移温度を必要とする場合、「一般式(II-1)、(II-2)におけるp1が1の化合物、一般式(II-4)におけるp2+p3が1の化合物及び又は一般式(II-3)の3環化合物」を多用することが好ましい。
【0111】
これらの小群(II-di)〜(II-dvii)で示した化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、液晶成分Bとして該化合物の含有率が10〜100重量%であるネマチック液晶組成物が好ましい。
【0112】
これら(II-ai)〜(II-dvii)の化合物を含有した液晶成分Bは、必須成分の液晶成分Aと良く混合する特徴を有し、特に駆動電圧の目的に応じた調製やその温度依存性の改善あるいは応答性の改善に有用である。特に、一般式(II-1a)〜(II-1g)、一般式(II-2a)〜(II-2q)、一般式(II-2u)〜(II-2x)、一般式(II-2ab)〜(II-2ae)、一般式(II-3a)〜(II-3d)、一般式(II-3l)〜(II-3r)、一般式(II-4a)〜(II-4e)、一般式(II-5a)、(II-5g)、(II-5aj)、(II-5u)、(II-5bi)の化合物は、これら箇々の少なくとも1つの効果に優れており、本発明のネマチック液晶組成物の総量に対して0.1〜25重量%と少量の含有率でもこの効果を得ることができる。
【0113】
本発明の液晶成分Bは、これら小群(II-ai)〜(II-dvii)のうち一つ又は二つ又は三つ以上の小群から選ばれる化合物を1種以上含有させることができるが、一つの小群から1種のみで構成しても効果を得ることができる。また、小群(II-ai)〜(II-dvii)で示した化合物の構造的な特徴を同時に二つ以上有することが可能な化合物は更に好ましい。液晶成分Bは、所望の目的に応じて、上記小群(II-ai)〜(II-dvii)で示した化合物で構成することができる。
【0114】
本発明の液晶組成物に関わる一般式(II-1)〜(II-5)の化合物を主成分とした液晶成分Bを、あるいは上述してきた小群(II-ai)〜(II-dvii)の化合物を含有した液晶成分Bを、更にまた小群(II-ai)〜(II-dvii)の構造的な特徴を同時に二つ以上有することが可能な化合物を含有した液晶成分Bを、液晶成分Aと組み合わせた本発明の液晶組成物は、相溶性の改善、低温保存の向上等により液晶表示特性の動作温度範囲を拡大し、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善し、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成するあるいは改善することができ、これを構成材料として用いたTN-LCD、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等の、更にまたIPS、MVA、OCB、ECB、PC、PSCT等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
【0115】
上述してきた液晶成分A及び液晶成分Bの効果は、後述する液晶成分Cの含有率が非常に小さい場合においても得ることができる。駆動電圧を特に低くさせる目的のために、液晶成分Cの含有率を10重量%以下にすることができる。この場合、液晶成分Cの粘性を可能な限り低くさせることが好ましく、駆動電圧の上昇がほとんどないか小さい範囲に止まり、応答速度の改善が効率的に得られる。例えば、液晶成分Cが少量の場合、この効果を液晶成分Bで達成させる方法として、一般式(II-1)〜(II-5)におけるQ1がF、Cl、-OCF3、-CNである化合物、又は一般式(II-1)〜(II-5)におけるY1、Y2がFである化合物、又は一般式(II-2)、(II-3)におけるP1が単結合、-COO-、-C≡C-である化合物、又は一般式(II-1)におけるp1が0である化合物の何れかの化合物を液晶成分Bに含有させることが好ましい。特に、一般式(II-1)〜(II-5)におけるQ1がF又は-CN、及び又は一般式(II-1)〜(II-5)におけるY1、Y2がFである化合物は好ましい。
【0116】
本発明の液晶組成物は、必須成分である液晶成分Aに加えて、−10〜2の誘電率異方性を有する化合物からなる液晶成分Cを多くとも85重量%含有させることが好ましい。本発明で述べる−10〜2の誘電率異方性を有する液晶化合物の好ましいものとしては、以下に示すものである。即ち、液晶化合物の化学構造は棒状であり、中央部分が1個から4個の六員環を有したコア構造を有し、中央部分長軸方向の両端に位置する六員環が、液晶分子長軸方向に相当する位置で置換された末端基を有し、両端に存在する末端基の両方が非極性基であること、即ち例えばアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルカノイルオキシ基である化合物である。液晶成分Cは、1種以上40種以下の範囲で構成することが好ましく、2種以上20種以下の範囲で構成することがより好ましい。
【0117】
この様な視点から、一般式(III-1)〜(III-4)で表される化合物におけるより好ましい基本構造の形態は、下記に示す一般式(III-1a)〜(III-4ac)で表される化合物である。本発明の液晶成分Cとして、一般式(III-1)〜(III-4)で表される化合物から選ばれる化合物を10〜100重量%含有することが好ましい。これらの化合物を含有した液晶成分Cは、一般式(I-1)〜(I-3)の化合物を含有した液晶成分Aと良く混合する特徴を有し、低温でのネマチック相を改善させるのに有用であり、また所望の複屈折率を調整することができ、TN-LCD、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等の急峻性や応答性あるいはその温度特性を改良することに優れている。
【0118】
この様な視点から、一般式(III-1)〜(III-4)で表される化合物におけるより好ましい基本構造の形態は、下記に示す一般式(III-1a)〜(III-4ac)で表される化合物である。
【0119】
【化36】
Figure 0004691746
【0120】
【化37】
Figure 0004691746
【0121】
【化38】
Figure 0004691746
【0122】
【化39】
Figure 0004691746
【0123】
【化40】
Figure 0004691746
【0124】
【化41】
Figure 0004691746
【0125】
【化42】
Figure 0004691746
【0126】
一般式(III-1)〜(III-4)における側鎖基R4、R5のより好ましい形態は、下記に示す一般式(III-5a)〜(III-5bf)で表される化合物である。
【0127】
【化43】
Figure 0004691746
【0128】
液晶成分Cにおいて、一般式(III-1)〜(III-4)で表される化合物中に示される環C1、C2において、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6ジイルは以下のものが好ましい。非置換又は置換基を有する1,4−フェニレンの部分構造式のより好ましい形態は前記で示した一般式(I-5a)〜(I-5n)であり、非置換又は置換基を有するナフタレン−2,6ジイル環の部分構造式のより好ましい形態は前記で示した一般式(I-6a)〜(I-6aj)である。
【0129】
尚、以下で用いている各化合物は、蒸留、カラム精製、再結晶等の方法を用いて不純物を除去し、充分精製したものを使用した。
【0130】
液晶成分Cは、前記一般式(III-1)〜(III-4)で表される化合物を含有することができるが、前記一般式(III-1)で表される化合物で構成されてもよく、前記一般式(III-2)で表される化合物で構成されてもよく、前記一般式(III-3)で表される化合物で構成されてもよく、前記一般式(III-4)で表される化合物で構成されてもよく、これらを併用してもよい。より好ましくは、前記一般式(III-1)〜(III-3)で表される化合物のいずれかから選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該化合物の含有率が5〜100重量%である液晶成分Cを含有したネマチック液晶組成物である。
【0131】
更に詳述すると、汎用的な液晶組成物を目的とする場合には、液晶成分Cは以下の化合物を用いることが好ましく、この様な液晶成分Cを液晶成分A、あるいは使用した場合には液晶成分Bと組み合わせることにより本発明の効果を得ることができる。
【0132】
(III-ai):前記一般式(III-1)〜(III-4)において、R4が炭素原子数2〜5のアルケニル基である化合物、具体的には、一般式(III-1a)〜(III-4ac)の基本構造であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(II-5bf)で、側鎖基R4が(III-5ak)〜(II-5ap)、(III-5ar)〜(III-5au)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物であり、粘度や粘弾性の低減により応答性を向上させ、ネマチック相−等方性液体相転移温度を改良させることにより、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
(III-aii):前記一般式(III-1)〜(III-4)において、R5が炭素原子数2〜7の直鎖状アルケニル基又はアルケニルオキシ基である化合物、具体的には、一般式(III-1a)〜(III-4ac)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(II-5bf)で、側鎖基R5が(III-5ak)〜(III-5bf)の化合物であり、粘度や粘弾性の低減により応答性を向上させ、ネマチック相−等方性液体相転移温度を改良させることができ、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
【0133】
(III-aiii):前記一般式(III-1)の化合物において、m1が0であり、M2が単結合又は-(CH2)2-である化合物、具体的には、一般式(III-1a)、(III-1c)、(III-1s)、(III-1u)、(III-1w)、(III-1ae)、(III-1af)の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
(III-aiv):前記一般式(III-1)の化合物において、m1が1である化合物、具体的には、一般式(III-1d)〜(III-1r)、(III-1t)、(III-1x)〜(III-1ad)、(III-1ag)の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
【0134】
(III-av):前記一般式(III-2)で表される化合物、具体的には、一般式(III-2a)〜(III-2q)の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
【0135】
(III-avi):前記一般式(III-3)の化合物において、Z1〜Z3、W1〜W3の少なくとも1個がFである化合物、具体的には、一般式(III-3b)、(III-3c)、(III-3e)、(III-3f)、(III-3g)、(III-3i)〜(III-3n)、(III-3r)〜(III-3w)、(III-3y)〜(III-3ab)、(III-3ad)〜(III-3aj)、(III-3al)〜(III-3ar)、(III-3au)〜(III-3ba)、(III-3bk)〜(III-3bs)、(III-3bv)、(III-3bz)〜(III-3ch)、(III-3cl)〜(III-3dc)の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
(III-avii):前記一般式(III-3)の化合物において、Z3がF又は-CH3である化合物、具体的には、一般式(III-3m)〜(III-3o)、(III-3v)、(III-3w)、(III-3ai)、(III-3aj)、(III-3aq)〜(III-3as)、(III-3az)〜(III-3bb)、(III-3bm)、(III-3bq)、(III-3cg)、の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
(III-aviii):前記一般式(III-3)の化合物において、m1が0であり、M3が単結合である化合物、具体的には、一般式(III-3a)〜(III-3c)の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
(III-aix):前記一般式(III-3)の化合物において、m1が1であり、M1が単結合、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-CH=CH-(CH2)2-、-(CH2)2-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-、-N(O)=N-、-CH=CH-又は-CF=CF-である化合物、具体的には例えば、一般式(III-3q)〜(III-3w)、(III-3ac)〜(III-3bc)、(III-3be)、(III-3bg)、(III-3bi)〜(III-3bs)、(III-3bw)、(III-3ci)〜(III-3dc)、(III-3de)、(III-3dh)の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
(III-ax):前記一般式(III-3)の化合物において、M1が-COO-又は-C≡C-であり、M3が-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-CH=CH-(CH2)2-、-(CH2)2-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-、-N(O)=N-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-である化合物、具体的には例えば、一般式(III-3bf)、(III-3bh)、(III-3df)、(III-3dg)、(III-3di)の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
【0136】
(III-axi):前記一般式(III-4)で表される化合物、具体的には、一般式(III-4a)〜(III-4ac)の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
【0137】
(III-axii):前記一般式(III-1)〜(III-4)の化合物において、環C1〜C3がトランス−1,4−シクロへキシレンであり、この環の水素原子のうち少なくとも一個が重水素原子と置換された化合物から選ばれる化合物、具体的には、一般式(III-1a)〜(III-1r)、(III-1t)〜(III-1ad)、(III-1ag)、(III-2a)、(III-2d)〜(III-2o)、(III-2r)〜(III-2u)、(III-3q)〜(III-3bi)、(III-4c)、(III-4d)、(III-4h)、(III-4r)、(III-4s)、(III-4w)の基本構造であって、側鎖基R4、R5が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物。
【0138】
(III-axiii):前記一般式(III-1)〜(III-4)の化合物において、環C1〜C3が2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン又は少なくとも1個の置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルである化合物。
本小群の化合物において負の誘電率異方性の液晶組成物を所望する場合、以下の化合物が好ましい。置換基を有する1,4−フェニレンを部分構造とした化合物、具体的には、一般式(I-5b)〜(I-5n)の部分構造式が好ましく、特に好ましいのは一般式(I-5f)、(I-5k)、(I-5n)である。この様な観点から、環C1〜C3が2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンである化合物が好ましい。置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルを部分構造とした化合物、具体的には、一般式(I-6b)〜(I-6aj)の部分構造式が好ましく、特に好ましいのは一般式(I-6g)、(I-6h)、(I-6n)、(I-6o)、(I-6q)、(I-6r)、(I-6y)、(I-6z)、(I-6ae)、(I-6af)、(I-6ah)、(I-6ai)の部分構造式である。この様な観点から、環C1〜C3が置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルである化合物が好ましい。
この様な化合物を多用することによって、液晶組成物の誘電率異方性を負にさせることができる。小群(I-av)〜(I-avii)、(I-bii)、(I-bvi)、(III-axiv)から選ばれる化合物や他の液晶成分Cから選ばれる化合物と組み合わせると更に有用な液晶組成物を得ることができ、IPS、VA、MVAモードを用いたTFT-LCDの駆動電圧の低減を達成させることができる。
【0139】
(III-axiv):前記一般式(III-1)〜(III-4)の化合物において、Z2、Z3、W1、W3のうち少なくとも2個がF又はClである化合物。本小群の化合物において負の誘電率異方性の液晶組成物を所望する場合、以下の化合物が好ましい。置換基を有する1,4−フェニレンを部分構造とした化合物、具体的には、一般式(I-5b)〜(I-5n)の部分構造式が好ましく、特に好ましいのは一般式(I-5f)、(I-5k)、(I-5n)である。この様な観点から、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンを部分構造とした化合物が好ましい。この様な化合物を多用することによって、液晶組成物の誘電率異方性を負にさせることができる。小群(I-av)〜(I-avii)、(I-bii)、(I-bvi)、(III-axiii)から選ばれる化合物や他の液晶成分Cから選ばれる化合物と組み合わせると更に有用な液晶組成物を得ることができ、IPS、VA、MVAモードを用いたTFT-LCDの駆動電圧の低減を達成させることができる。
【0140】
これらの小群(III-ai)〜(III-axiv)で示した化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有するネマチック液晶組成物が好ましい。
【0141】
一般式(III-1)〜(III-4)で表される化合物における好ましい形態は、以下の化合物を含有する液晶成分Cである。
【0142】
(III-bi):前記一般式(III-1)において、R4が炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R5が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、m1が0であり、M2が単結合、-COO-又は-(CH2)2-である化合物、具体的には、一般式(III-1a)〜(III-1c)、(III-1s)、(III-1u)〜(III-1w)、(III-1ae)、(III-1af)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5ak)〜(III-5ap)であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5h)〜(III-5l)、(III-5ak)〜(III-5ap)、(III-5ar)〜(III-5au)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物。
(III-bii):前記一般式(III-1)において、R4が炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R5が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、m1が1であり、環C1がトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、M1とM2の一方が単結合であり、他方が単結合、-COO-又は-(CH2)2-である化合物、具体的には、一般式(III-1d)、(III-1g)〜(III-1j)、(III-1t)、(III-1x)、(III-1aa)〜(III-1ad)、(III-1ag)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5ak)〜(III-5ap)であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5g)〜(III-5l)、(III-5ak)〜(III-5ap)、(III-5ar)〜(III-5aw)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物。
【0143】
(III-biii):前記一般式(III-2)において、R4が炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R5が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり環C2がトランス−1,4−シクロヘキシレン又はトランス−1,4−シクロヘキセニレンであり、m1が0であり、M2が単結合、-COO-又は-(CH2)2-である化合物、具体的には、一般式(III-2a)〜(III-2e)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5ak)〜(III-5ap)であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5h)〜(III-5l)、(III-5ak)〜(III-5ap)、(III-5ar)〜(III-5au)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物。
(III-biv):前記一般式(III-2)において、R4が炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R5が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり環C2がトランス−1,4−シクロヘキシレン又はトランス−1,4−シクロヘキセニレンであり、m1が1であり、M1とM2の一方が単結合である化合物、具体的には、一般式(III-2f)〜(III-2i)、(III-2r)〜(III-2u)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5ak)〜(III-5ap)であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5h)〜(III-5l)、(III-5ak)〜(III-5ap)、(III-5ar)〜(III-5au)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物。
【0144】
(III-bv):前記一般式(III-3)において、R4が炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R5が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、m1が0であり、M3が単結合、-C≡C-又は-CH=N-N=CH-である化合物、具体的には、一般式(III-3a)〜(III-3c)、(III-3h)〜(III-3p)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5ak)〜(III-5ap)であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5h)〜(III-5l)、(III-5ak)〜(III-5ap)、(III-5ar)〜(III-5au)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物。
(III-bvi):前記一般式(III-3)において、R4が炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R5が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、m1が1であり、M1が単結合、-(CH2)2-、-COO-又は-C≡C-であり、M3が単結合、-COO-又は-C≡C-である化合物、具体的には、一般式(III-3q)〜(III-3bb)、(III-3bd)〜(III-3bg)、(III-3bj)〜(III-3ch)、(III-3cj)〜(III-3di)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5ak)〜(III-5ap)であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5h)〜(III-5l)、(III-5ak)〜(III-5ap)、(III-5ar)〜(III-5au)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物。
(III-bvii):前記一般式(III-3)において、R4が炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R5が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、m1が1であり、M1とM3の一方が単結合であり、他方が単結合又は-C≡C-であり、W1、W2の少なくとも1個がFである化合物、具体的には、一般式(III-3r)、(III-3t)、(III-3au)、(III-3aw)、(III-3ay)、(III-3bk)、(III-3bn)、(III-3bo)、(III-3bz)、(III-3cb)、(III-3ce)、(III-3cf)、(III-3cu)、(III-3cx)、(III-3cz)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5ak)〜(III-5ap)であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5h)〜(III-5l)、(III-5ak)〜(III-5ap)、(III-5ar)〜(III-5au)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物。
(III-bviii):前記一般式(III-3)において、R4が炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R5が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、Z2、Z3いずれかがF、CH3で置換された化合物、具体的には、一般式(III-3c)、(III-3f)、(III-3g)、(III-3j)、(III-3l)〜(III-3o)、(III-3s)、(III-3u)〜(III-3w)、(III-3z)、(III-3ab)、(III-3ae)、(III-3ag)、(III-3ai)、(III-3aj)、(III-3am)、(III-3ao)、(III-3aq)〜(III-3as)、(III-3av)、(III-3ax)、(III-3az)〜(III-3bb)、(III-3bl)、(III-3bm)、(III-3bp)〜(III-3bs)、(III-3bv)、(III-3ca)、(III-3cc)、(III-3cd)、(III-3cg)、(III-3ch)、(III-3cm)〜(III-3cs)、(III-3cv)〜(III-3cx)、(III-3da)〜(III-3dc)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5ak)〜(III-5ap)であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5h)〜(III-5l)、(III-5ak)〜(III-5ap)、(III-5ar)〜(III-5au)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物。
【0145】
(III-bix):前記一般式(III-4)において、R4が炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、R5が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、m2+m3が0である化合物、具体的には、一般式(III-4a)、(III-4b)、(III-4p)、(III-4q)の基本構造であって、側鎖基R4が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5ak)〜(III-5ap)であって、側鎖基R5が(III-5a)〜(III-5e)、(III-5h)〜(III-5l)、(III-5ak)〜(III-5ap)、(III-5ar)〜(III-5au)、(III-5ay)〜(III-5bf)の化合物。
【0146】
これらの小群(III-bi)〜(III-bix)で示した化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、液晶成分Cとして該化合物の含有率が10〜100重量%であるネマチック液晶組成物が好ましい。
【0147】
一般式(III-1)〜(III-4)で表される化合物における特に好ましい形態は、以下の化合物を含有する液晶成分Cである。
【0148】
液晶成分Cとして、一般式(III-1)〜(III-4)の化合物を含有することで、粘度や粘弾性を低減させることができ、比抵抗や電圧保持率が比較的高いという特徴を有する。液晶成分Cの粘度は、可能な限り低い粘度であることが好ましく、本発明の場合、45cp以下が好ましく、30cp以下がより好ましく、20cp以下が更に好ましく、15cp以下が特に好ましい。この様な観点から、好ましい化合物は、(III-ci):基本構造が一般式(III-1a)〜(III-1f)、(III-1k)、(III-1s)、(III-2a)〜(III-2f)、(III-2i)、(III-2p)、(III-3a)、(III-3h)〜(III-3j)、(III-3o)、(III-3p)、(III-3q)、(III-3ac)、(III-3at)〜(III-3ax)、(III-3ba)、(III-3bb)、(III-3bf)、(III-3bg)、(III-3bx)〜(III-3cb)、(III-3ct)〜(III-3cx)で表される化合物、より好ましくは、(III-cii):上記(III-ci)の中で、R4が炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基又はCp2p+1-CH=CH-(CH2)q(p=0、1、2、3 q=0、2)のアルケニル基で、R5が炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基又はCp2p+1-CH=CH-(CH2)q(p=0、1、2、3 q=0、2)のアルケニル基である化合物、更に好ましくは、(III-ciii):両側鎖基が共にアルケニル基であり、基本構造が一般式(III-1a)、(III-1d)、(III-2a)、(III-2f)、(III-2p)、(III-3a)、(III-3h)、(III-3p)、(III-3q)で表される化合物である。
【0149】
本発明の液晶成分Cは、一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、一般式(III-4)で表される化合物を各々単独で構成することもできるが、(III-civ):「一般式(III-1)及び又は(III-2)で表される化合物、特に一般式(III-1a)、(III-1d)、(III-1u)、(III-1x)、(III-2a)〜(III-2c)、(III-2f)の化合物」と、(III-cv):「一般式(III-3)及び又は一般式(III-4)で表される化合物、特に一般式(III-3)におけるM1が単結合、-C≡C-、-CH=N-N=CH-で表される化合物、具体的には一般式(III-3a)、(III-3h)、(III-3p)、(III-3q)、(III-3at)、(III-4a)、(III-4h)の化合物」とを併用することによって、液晶組成物の複屈折率を用途に応じて容易に最適化することができる。汎用的には、一般式(III-1)、一般式(III-2)の化合物、例えば一般式(III-1a)〜(III-2f)の化合物を多用することによって、複屈折率を減少させることができ、液晶表示装置の色むらの低減、視角特性の向上、コントラスト比の増加を容易に達成することができる。又、一般式(III-3)の化合物、例えば一般式(III-3a)〜(III-3j)の化合物、あるいは一般式(III-4)の化合物、例えば一般式(III-4a)〜(III-4e)の化合物を多用することで、複屈折率を増大させることができ、液晶層が1〜5μmの薄い液晶表示素子の作製を可能とすることができる。
【0150】
これらの小群(III-ci)〜(III-cv)で示した化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、液晶成分Cとして該化合物の含有率が10〜100重量%であるネマチック液晶組成物が好ましい。
【0151】
本発明の液晶成分Cは、これら小群(III-ai)〜(III-cv)のうち一つ又は二つ又は三つ以上の小群から選ばれる化合物を1種以上含有させることができるが、一つの小群から1種のみで構成しても効果を得ることができる。また、小群(III-ai)〜(III-cv)で示した化合物の構造的な特徴を同時に二つ以上有することが可能な化合物は更に好ましい。液晶成分Cは、所望の目的に応じて、上記小群(III-ai)〜(III-cv)で示した化合物で構成することができる。
【0152】
本発明は、液晶成分Aと液晶成分Bを組み合わせた液晶組成物を含む。従来知られている液晶成分Bと液晶成分Cからなる液晶組成物(但し、ナフタレン−2,6−ジイル環、デカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環、1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル環を有しない組成物)に対し、本発明の液晶組成物は、応答性において特段の効果を有することを見いだした。液晶成分C、特に小群(III-bi)〜(III-cv)を含有する液晶成分C、更に特に小群(III-ci)〜(III-cv)を含有する液晶成分Cと、液晶成分Aと液晶成分Bを組み合わせた液晶組成物は、従来知られている液晶組成物より、急激な応答性の改善が得られた。これは、液晶成分Aが非置換又は置換されたナフタレン−2,6−ジイル環、デカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環、1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル環を部分構造とする分子構造を特徴としている化合物、特に板状の構造を有することのためかと思われる。
【0153】
これら(III-ai)〜(III-cv)の化合物を含有した液晶成分Cは、必須成分の液晶成分Aと良く混合する特徴を有し、目的に応じた複屈折率の調製、急峻性やその温度依存性の改善あるいは応答性の改善に有用である。これらの化合物は、これら箇々の少なくとも1つの効果に優れており、本発明のネマチック液晶組成物の総量に対して0.1〜30重量%と少量の含有率でもこの効果を得ることができる。
【0154】
本発明の液晶組成物に関わる一般式(III-1)〜(III-4)の化合物を主成分とした液晶成分Cを、あるいは上述してきた小群(III-ai)〜(III-cv)の化合物を含有した液晶成分Cを、更にまた小群(III-ai)〜(III-cv)の構造的な特徴を同時に二つ以上有することが可能な化合物を含有した液晶成分Cを、液晶成分Aと組み合わせた本発明の液晶組成物は、相溶性の改善、低温保存の向上等により液晶表示特性の動作温度範囲を拡大し、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善し、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成するあるいは改善することができ、これを構成材料として用いたTN-LCD、STN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
【0155】
本発明に関わる化合物は、構成する原子をその同位体原子で意識的に置換させることができる。この場合、水素原子を重水素原子に置換させた化合物は特に好ましく、相溶性、弾性定数、プレチルト角、電圧保持率等により好ましい効果を示す。好ましい形態は、上述してきた側鎖基、連結基あるいは環に存在する水素原子を重水素原子に置換させた化合物である。より好ましくは、側鎖基であれば置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、環であれば置換又は非置換の1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、トランス−1,4−シクロへキシレン、トランス−1,4−シクロへキセニレン又はトランス−1,4−ジオキサン−2,5−ジイル、連結基であれば-CH2O-、-OCH2-、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-CH=CH-(CH2)2-、-(CH2)2-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-である。特に好ましくは、アルキル基、アルケニル基、1,4−フェニレン、トランス−1,4−シクロへキシレン、-(CH2)2-、-(CH2)4-、である。
【0156】
現在、TN-LCD、STN-LCDあるいはTFT-LCDに用いられている配向膜は、ポリイミド系のものが多用されており、例えばLX1400、SE150、SE610、AL1051、AL3408等が使用されている。配向膜の仕様には、液晶表示特性、表示品位、信頼性、生産性が深く関係しており、液晶材料に対しては例えばプレチルト角特性が重要である。プレチルト角の大きさは、所望の液晶表示特性や均一な配向性を得るために、適時調整する必要がある。例えば、大きなプレチルト角の場合不安定な配向状態となりやすく、小さい場合充分な表示特性を満たされないこととなる。
【0157】
本発明者らは、プレチルト角がより大きい液晶材料とより小さい液晶材料とに選別されることを見いだしており、これを応用することによって所望の液晶表示特性や均一な配向性を液晶材料から達成させることを見いだした。この技術は、本発明にも応用できる。例えば、液晶成分Bが一般式(II-1)〜(II-5)を含有する場合は以下のようになる。より大きいプレチルト角は、一般式(II-1)においてR3がアルケニル基、Q1がF、Cl、-CN、Y1、Y2がFの化合物、及び又は一般式(II-1)においてR3がアルキル基、Q1がF、Cl、-CN、M2が-C2H4-、-C4H8-の化合物の含有率を多くさせることで得られ、より小さいプレチルト角は、一般式(II-1)においてR3がアルケニル基、CsH2s+1-O-CtH2t、Q1がF、Y1がF、Y2がHの化合物、及び又はM2が-COO-の化合物の含有率を多くさせることで得られる。具体的には、一般式(I-1)〜(I-3)におけるデカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環あるいは一般式(I-1)〜(I-3)における環A1、A2がシクロヘキサン環、また一般式(II-1)、(II-2)、(II-4)、(II-5)における環B1〜B4がシクロヘキサン環、更に一般式(III-1)〜(III-4)における環C1〜C3がシクロヘキサン環、ナフタレン−2,6−ジイル環であり、該環の水素原子を重水素原子置換した化合物の場合、置換位置によって異なり、プレチルト角の幅広い調整を可能にさせる。
また、水素原子を重水素原子置換した化合物を多用した場合、不純物の混入に対して、より高い電圧保持率を維持する特段の効果があり、アクティブ用のTFT-LCD、PDLC、PN-LCD等の表示特性や製造上の歩留まりに好適である。この様な効果は、重水の性質、即ち反応の平衡定数や速度定数の差異、低いイオン移動度、無機物や酸素の低い溶解性等の性質が、液晶化合物においても発現していることが考えられる。より高い電圧保持率を維持することを得るためには、上述した化合物を液晶組成物総量に対して10〜40重量%あるいはそれ以上含有させることによってほぼ得ることができる。
【0158】
本発明のネマチック液晶組成物における各液晶成分の含有量は、汎用的には以下のようにできる。液晶成分Aは、0.1〜100重量%の範囲であるが、0.5〜90重量%の範囲が好ましく、5〜85重量%の範囲がより好ましい。液晶成分Bは、0〜99.9重量%の範囲であるが、0〜40重量%の範囲で用いても良く、25〜95重量%の範囲で用いても良い。液晶成分Cは、多くとも98重量%の範囲であるが、0〜95重量%の範囲で用いても良く、25〜95重量%の範囲で用いても良い。また、液晶組成物の誘電率異方性が正の場合、3〜70重量%の範囲が好ましく、5〜70重量%の範囲がより好ましい。
一般式(I-1)で表される化合物を用いる場合、その含有率は、単体で15重量%以下が好ましく、それ以上は2種以上で構成することが好ましく、一般式(I-1a)〜(I-1aw)で表される化合物の液晶成分Aに対する含有率は、5〜100重量%の範囲が好ましい。更に、一般式(I-1a)〜(I-1aw)で表される化合物を用いる場合、液晶成分Aに対する含有率は、5〜30重量%の範囲、30〜50重量%の範囲、50〜70重量%の範囲、70〜100重量%の範囲で選ぶことが好ましい。
一般式(I-2)で表される化合物を用いる場合、その含有率は、単体で15重量%以下が好ましく、それ以上は2種以上で構成することが好ましく、一般式(I-2a)〜(I-2by)で表される化合物の液晶成分Aに対する含有率は、5〜100重量%の範囲が好ましい。更に、一般式(I-2a)〜(I-2by)で表される化合物を用いる場合、液晶成分Aに対する含有率は、5〜20重量%の範囲、20〜60重量%の範囲、60〜100重量%の範囲で選ぶことが好ましい。
一般式(I-3)で表される化合物を用いる場合、その含有率は、単体で15重量%以下が好ましく、それ以上は2種以上で構成することが好ましく、一般式(I-3a)〜(I-3ay)で表される化合物の液晶成分Aに対する含有率は、5〜100重量%の範囲が好ましい。更に、一般式(I-3a)〜(I-3ay)で表される化合物を用いる場合、液晶成分Aに対する含有率は、5〜10重量%の範囲、10〜30重量%の範囲、30〜50重量%の範囲、50〜100重量%の範囲で選ぶことが好ましい。
一般式(II-1)〜(II-5)で表される化合物、具体的には一般式(II-1a)〜(II-5cy)で表される化合物の含有率は、単体で30重量%以下が好ましく、25重量%以下が更に好ましく、それ以上は2種以上で構成することが好ましく、液晶成分Bに対する含有率は、10〜100重量%の範囲であるが、50〜100重量%の範囲が好ましく、75〜100重量%の範囲が更に好ましい。一般式(III-1)〜(III-4)で表される化合物、具体的には一般式(III-1a)〜(III-4ac)で表される化合物の含有率は、単体で30重量%以下が好ましく、25重量%以下が更に好ましく、それ以上は2種以上で構成することが好ましく、液晶成分Cに対する含有率は、10〜100重量%の範囲であるが、50〜100重量%の範囲が好ましく、75〜100重量%の範囲が更に好ましい。
【0159】
高信頼性のSTN-LCDやアクティブ用のSTN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等には、窒素原子や酸素原子を含まない化合物で構成することが好ましい。この観点から、一般式(I-1)〜(I-3)において、R1、R2が非置換のアルキル基、アルケニル基であり、環A1、A2がトランス−1,4−シクロヘキシレン、非置換又は置換基を有する1,4−フェニレンであり、K1、K2が単結合、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-CH=CH-(CH2)2-、-(CH2)2-CH=CH-である化合物を、液晶成分Aとして50〜100重量%含有することが好ましい。液晶成分Bを併用して用いる場合には、一般式(II-1)〜(II-5)において、Q1がF、Cl、CF3、OCF3、OCF2Hであり、Y1、Y2がH、F、Cl、CF3、OCF3であり、P1〜P3が単結合、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH2)2-、-(CH2)4-、-CH=CH-(CH2)2-、-(CH2)2-CH=CH-である化合物を、液晶成分Bとして50〜100重量%含有することが好ましい。特に、前述した小群(II-ci)〜(II-cvi)から選ばれる化合物を50〜100重量%含有することが好ましい。
【0160】
負の誘電率異方性の液晶組成物を所望する場合、更に液晶成分Aの別の好ましい形態は、下記に示す化合物を含有する。
(i):一般式(I-1)〜(I-3)の化合物を用いる場合、一般式(I-5f)、(I-5k)、(I-5n)、(I-6g)、(I-6h)、(I-6n)、(I-6o)、(I-6q)、(I-6r)、(I-6y)、(I-6z)、(I-6ae)、(I-6af)、(I-6ah)、(I-6ai)、(I-7ci)、(I-7cv)の部分構造式を有する化合物を含有させる。この観点から、小群(I-av)〜(I-avii)、(I-bii)、(I-bvi)の化合物を選択して組み合わせることが好ましい。
(ii):上記(i)からなる化合物のみで液晶組成物を構成することもできるが、例えば小群(I-av)〜(I-avii)、(I-bii)、(I-bvi)以外の一般式(I-1)〜(I-3)の化合物を用いることができる。また、液晶成分Cを用いることもできる。
(iii):液晶成分Cを用いる場合、小群(III-axiii)、(III-axiv)の化合物との組み合わせにより、更に小さな負の誘電率異方性の液晶組成物を得ることができ、駆動電圧を低減させることができる。また、小群(III-ci)〜(III-cv)の化合物と組み合わせることにより応答性に優れた液晶組成物を得ることができる。
(iv):上記(i)〜(iii)の液晶組成物に対し、液晶成分Bを0.1〜40重量%含有させることにより、弾性定数、特にK33、K22を減じ、より改善した表示特性が得られる。
負の誘電率異方性を有する上記(i)〜(iv)の液晶組成物は、IPS、VA、MVAモードに適したものであり、視角の広いTFT-LCDを提供することができる。
【0161】
正の誘電率異方性の液晶組成物を所望する場合、更に液晶成分Aの別の好ましい形態は、下記に示す化合物を含有する。
(v):液晶成分Bを必須成分として含有し、一般式(II-1)〜(II-5)の化合物を用いる場合、Q1がF、Cl、CF3、OCF3、OCF2Hであり、Y1がH、F、Cl、CF3、OCF3、OCF2Hであり、Y2がH、F、Cl、CF3、OCF3、OCF2Hである化合物を20〜95重量%含有させる。特に、小群(II-aii)、(II-ci)〜(II-cvi)の化合物と組み合わせることにより、低電圧駆動あるいは高速応答のTFT-LCDを提供することができる。
(vi):液晶成分Cを用いる場合、特に、小群(III-ci)〜(III-cv)の化合物と組み合わせることにより応答性に優れた液晶組成物を得ることができる。
【0162】
本発明の液晶成分A、液晶成分B、液晶成分Cは、所望の目的に応じて、上記(i)〜(vi)のうち一つ又は二つ又は三つ以上の条件を満たすことを特徴としたネマチック液晶組成物とさせることができる。この様な本発明の液晶組成物は、相溶性の改善、低温保存の向上等により液晶表示特性の動作温度範囲を拡大し、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善し、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成するあるいは改善することができ、これを構成材料として用いた高信頼性のTN-LCD、STN-LCDやアクティブ用のSTN-LCD、TFT-LCD、PDLC、PN-LCD等のより改善された電気光学特性を得ることができる。
【0163】
尚、アクティブ用のSTN-LCDとは、広い視野角でより高いコントラストを得ることや特に立ち下がりの応答時間の改善を目的としたものであり、STN-LCDを例えばTFTやMIMの技術を用いてアクティブ駆動させることである。
【0164】
本発明の液晶組成物は、上記一般式(I-1)〜(III-4)で表される化合物以外にも、液晶組成物の特性を改善するために、液晶化合物として認識される通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有していてもよい。例えば、4個の六員環を有したコア構造の化合物であって、該化合物の液晶相−等方性液体相転移温度が100℃以上を有する化合物を1種又は2種以上含有させることかできる。しかしながら、これらの化合物を多量に用いることはネマチック液晶組成物の特性が低減することになるので、添加量は得られるネマチック液晶組成物の要求特性に応じて制限されるものである。
この様な好ましい化合物としては、一般式(II-1)、(II-2)、(II-5)におけるp1が2である化合物、一般式(II-4)におけるp2+p3が2である化合物、一般式(III-1)〜(III-3)におけるm1が2である化合物、一般式(III-4)におけるm2+m3が2である化合物があげられる。尚、この場合の繰り返しとなる環B1、B3、環C1、C3、連結基P1、P2、M1は、同じ基でも良く、各々独立的に異なっていても良い。
【0165】
結晶相又はスメクチック相−ネマチック相転移温度は、0℃以下がよく、好ましくは−10℃以下、更に好ましくは−20℃以下、特に好ましくは−30℃以下である。ネマチック相−等方性液体相転移温度は、50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃〜180℃の範囲である。より小さい或いは中位の複屈折率は、0.02〜0.18の範囲が好ましく、より大きい複屈折率は、0.18〜0.40の範囲が好ましい。この様なネマチック液晶組成物の特性は、アクティブ・マトリクス形、ツイスティッド・ネマチックあるいはスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置に用いるのに有用である。
【0166】
本発明の液晶組成物は、誘電率異方性が正の場合1以上でもよいが、2〜40の範囲が好ましく、高速応答性を重視する場合は2〜8の範囲が、より低い駆動電圧を必要とする場合は7〜30の範囲が好ましい。本発明の液晶組成物は、誘電率異方性が負の場合−1以上でもよいが、−2〜−15の範囲が好ましく、高速応答性を重視する場合は−2〜−5の範囲が、より低い駆動電圧を必要とする場合は−4〜−10の範囲が好ましい。
【0167】
TN-LCD、STN-LCD、TFT-LCDにおける基板間の厚みdは、1〜12μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、1.5〜7μmが更に好ましい。また、厚みdと複屈折率△nの積は、0.2〜5μmが好ましく、0.3〜1.6μmがより好ましく、0.5μm前後、0.7〜1.0μm、1.2μm前後が更に好ましい。
IPS、VA、MVAモードのTFT-LCDにおける基板間の厚みdは、0.5〜8μmが好ましく、1〜6μmがより好ましく、1.5〜5μmが更に好ましい。また、厚みdと複屈折率△nの積は、0.1〜1μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましく、0.15〜.30μmが更に好ましい。
PDLC、PN-LCDの場合、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましく、4〜14μmが更に好ましい。
【0168】
本発明の液晶組成物は、駆動電圧の大きさに対してより速い応答性を目的とする場合、以下のようにすることができる。中位の駆動電圧を目的とする場合は、本発明の液晶組成物の正の誘電率異方性が3〜15の範囲であり、20℃における粘性が8〜20c.p.の範囲であることが好ましい。この場合、液晶成分Cのみの粘性が25c.p.以下が好ましく、15c.p.以下がより好ましく、10c.p.以下が特に好ましい。又、特に低い駆動電圧を目的とする場合は、本発明の液晶組成物の誘電率異方性が15〜30の範囲にあることが好ましく、18〜28の範囲が特に好ましい。
【0169】
上記ネマチック液晶組成物は、高速応答性のTN-LCD、STN-LCD、TFT-LCDに有用であり、またカラーフィルター層を用いなくても、液晶層と位相差板の複屈折性でカラー表示をすることができる液晶表示素子に有用なものであり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子の用いることができる。この液晶表示素子は、透明性電極層を有し少なくとも一方が透明である基板を有し、この基板間に前記ネマチック液晶組成物の分子をねじれた配向にさせたものである。ねじれ角は、目的に応じて30°〜360°の範囲で選択することができ、90°〜270°の範囲で選択することが好ましく、45°〜135°の範囲または180°〜260°の範囲で選択することが特に好ましい。この為に、本発明の液晶組成物は、誘起螺旋ピッチpが0.5〜1000μmとなる光学活性基を有する化合物を含有させることができる。この様な化合物としては、コレステリック誘導体、カイラルネマチック、強誘電性液晶等がある。より具体的には、一般式(I-1)〜(I-3)におけるR1、R2、一般式(II-1)〜(II-5)におけるR3、一般式(III-1)〜(III-4)におけるR4、R5が、光学活性基を有する化合物が好ましい。この様な側鎖基としてより好ましい形態は、例えば下記に示す一般式(IV-1a)〜(IV-1bt)で表される化合物である。
【0170】
【化44】
Figure 0004691746
【0171】
【化45】
Figure 0004691746
【0172】
また、一般式(I-1)〜(I-3)におけるK1、K2、一般式(II-1)〜(II-5)におけるP1〜P3、一般式(III-1)〜(III-4)におけるM1〜M3が、光学活性基を有する化合物が好ましい。この様な連結基としてより好ましい形態は、例えば下記に示す一般式(IV-2a)〜(IV-2j)で表される化合物である。
【0173】
【化46】
Figure 0004691746
【0174】
代表的なものとしては、例えばコレステリルノナネイト、C−15、CB−15、S−811等を用いることが好ましい。更に具体的には、例えば下記に示す一般式(IV-3a)〜(IV-3ab)で表される化合物である。
【0175】
【化47】
Figure 0004691746
【0176】
【化48】
Figure 0004691746
【0177】
更に具体的な用い方を示す。温度上昇によって誘起螺旋ピッチが長くなるものと短くなるものが知られているが、これらの一方を1種あるいは2種以上を用いても良く、両者を組み合わせて1種あるいは2種以上用いても良い。混合する量は、0.001重量%〜10重量%の範囲が好ましく、0.05重量%〜3重量%の範囲がより好ましく、0.1重量%〜3重量%が更に好ましい。しかし、これらの量は、上記したねじれ角θと基板間の厚みdによって、所定の誘起螺旋ピッチにすることは当然のことである。例えば、TN-LCD、STN-LCD、TFT-LCDにおいては、基板間の厚みdと誘起螺旋ピッチpの商d/pは、0.001〜24の範囲から選ぶことができるが、0.01〜12の範囲が好ましく、0.1〜2の範囲がより好ましく、0.1〜1.5の範囲が更に好ましく、0.1〜1の範囲が更により好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
【0178】
透明性電極基板に設けられる配向膜によって得られるプレチルト角は、1°〜20°の範囲で選択することが好ましく、ねじれ角が30°〜100°では1°〜4°のプレチルト角が好ましく、100°〜180°では2°〜6°のプレチルト角が好ましく、180°〜260°では3°〜12°のプレチルト角が好ましく、260°〜360°では6°〜20°のプレチルト角が好ましい。
具体的用途としては、TN-LCD用では1°〜6°のプレチルト角が好ましく、STN-LCD用では2°〜12°のプレチルト角が好ましく、TFT-LCD用では1°〜10°のプレチルト角が好ましく、IPSモードのTFT-LCD用では0°〜3°のプレチルト角が好ましい。
【0179】
本発明者らは、上記液晶組成物が、透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶表示にも、有利な表示特性を具備させることを見いだした。本発明者らは特開平6−222320号公報において、液晶材料の物性値と液晶表示の表示特性との関係が次式(V)で表されることを示した。
【0180】
【数1】
Figure 0004691746
【0181】
なお、Vthはしきい値電圧を表し、1Kii、2Kiiは弾性定数を表し、iiは11、22又は33を表し、△εは誘電率異方性を表し、<r>は透明性固体物質界面の平均空隙間隔を表し、Aは液晶分子に対する透明性固体物質のアンカリングエネルギーを表し、dは透明性電極を有する基板間の距離を表す。
【0182】
この数式は、透明性固体界面が液晶分子に与える規制力が弾性定数1KiiとアンカリングエネルギーAの比によって変化することを意味しており、特にその効果が実際の平均空隙間隔<r>より1Kii/Aの量だけ実質的に広げる作用を為し、従って効果的に駆動電圧を低減させることを示している。この関係は、本発明においても応用することができる。より具体的には、以下のようにすることが好ましい。透明性固体物質が高分子形成性化合物として2官能性モノマー及び単官能性モノマーを含有した重合性組成物から形成することにより、高分子形成性化合物から透明性固体物質を形成する過程において、透明性固体物質の形状がより均一な構造を成し、液晶材料との界面の性質を操作できると考えられる。本発明の液晶組成物においては、非置換又は置換されたナフタレン−2,6−ジイル環、デカハイドロナフタレン−2,6−ジイル環、1,2,3,4−テトラハイドロナフタレン−2,6−ジイル環を部分構造とする分子構造を特徴としている化合物で構成される液晶成分Aが、白濁性、応答性、ヒステリシス、急峻性、駆動電圧あるいはこれらの温度依存性に対して、これら箇々の1つ又は複数の特性を良好なものにする効果を有している。
【0183】
本発明で使用する液晶材料は、透明性電極層を有する2枚の基板間に液晶材料をマイクロカプセル化した液晶小滴を透明性固体物質中に分散させた表示にも有用なものであることが期待される。基板間に形成される透明性固体物質は、繊維状あるいは粒子状に分散するものでも、液晶材料を小滴状に分散させたフィルムのものでも良いが、三次元網目状の構造を有するものがより好ましい。また、液晶材料は連続層を形成することが好ましいが、液晶材料の無秩序な状態を形成することにより、光学的境界面を形成し、光の散乱を発現させる上で重要である。このような透明性固体物質から形成された三次元網目状構造の形状の平均径は、光の波長に比べて大きすぎたり、小さすぎる場合、光散乱性が衰える傾向にあるので、0.2〜2μmの範囲が好ましい。また、調光層の厚みは、使用目的に応じ、2〜30μmの範囲が好ましく、5〜20μmの範囲が特に好ましい。
【0184】
このようにして製造された本発明の光散乱形液晶表示は、より温度依存性が小さい駆動性を達成し、これにより、例えばアクティブ・マトリクス方式に要求される特性を有するものである。また、本発明の液晶表示は、例えば、プロジェクション表示装置や直視型の携帯用端末表示(Personal Digital Assistance)として利用することができる。
【0185】
本発明は、この様な光散乱形液晶表示に有用な液晶材料として、上述してきたが、それ以外の別の液晶材料として、更に以下の化合物及びネマチック液晶組成物を提供する。即ち、一般式(I-1)〜(I-3)におけるR1、R2、一般式(II-1)〜(II-5)におけるR3、一般式(III-1)〜(III-4)におけるR4、R5が、光硬化性α−置換アクリロイル基である化合物及びこれを含有した液晶組成物である。この様な光硬化性の側鎖基としてより好ましい形態は、例えば下記に示す一般式(IV-4a)〜(IV-4av)で表される化合物である。
【0186】
【化49】
Figure 0004691746
【0187】
上記の化合物を含有させることにより、透明性固体物質の界面を好ましいものとすることができる。一般式(IV-4a)〜(IV-4av)の側鎖基を有する化合物は、0.01〜100%の範囲から選ぶことができる。
【0188】
本発明の液晶組成物は、高分子分散型液晶以外の利用方法として、アントラキノン系、アゾ系、アゾキシ系、アゾメチン系、メロシアニン系、キノフタレン系及びテトラジン系等の二色性色素を添加してゲストホスト(GH)用液晶組成物としても用いることができる。また、前述した光学活性基を有する化合物を添加して相転移型表示(PC)及びホワイトテーラー型表示の液晶組成物としても用いることができる。更にまた、複屈折制御型表示(ECB)や動的散乱型表示(DS)の液晶組成物としても用いることができる。
また、別の利用方法として、強誘電性液晶の相系列を調整する目的で、本発明の液晶組成物を添加させることができる。高分子安定化型液晶表示用液晶組成物としても用いることができる。この場合、上記光硬化性の側鎖基を有する化合物あるいは組成物を使用することができる。
更に、別の利用方法として、上記光硬化性の側鎖基を有する化合物あるいは本発明の組成物をUVキュアラブル液晶として用いて、位相差フィルム、光学レンズや各種光学フィルター等の光学部材に使用することができる。また、マイクロカラーフィルター、偏光板や配向膜等の液晶表示関連部材に応用させて使用することができる。
【0189】
本発明の液晶組成物は、上記で詳述してきた液晶成分A、B、Cを含有することにより得ることができる。この様にして以下好ましい例としてネマチック液晶組成物(1-01)〜(1-21)を示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。これら例示したものは、例えば、ネマチック液晶組成物(1-01)、(1-05)〜(1-21)はTN-LCD用として、ネマチック液晶組成物(1-02)〜(1-04)はIPS、VA、MVAモードのLCD用として、ネマチック液晶組成物(1-01)、(1-05)、(1-07)、(1-10)〜(1-15)、(1-17) 、(1-20) 、(1-21) 、(1-23)はSTN-LCD用として、ネマチック液晶組成物(1-02)〜(1-04)、(1-06)、(1-09)、(1-16) 、(1-18) 、(1-19)はTFT-LCD用として、ネマチック液晶組成物(1-08)、(1-09)、(1-10) 、(1-18) はPDLC、PN-LCD用として使用することができる。また、これらの例で示された化合物(1-0101)〜(1-210)の1種あるいは複数の化合物を、所存の目的や用途に対して一般式(I-1)〜(III-4)で表される化合物、より具体的には、一般式(I-1a)〜(I-3ay)の基本構造であって、側鎖基が(I-4a)〜(I-4bf)であって、化合物中の環の部分構造が一般式(I-5a)〜(I-5n)、一般式(I-6a)〜(I-6aj)、一般式(I-7a)〜(I-7dm)の化合物、一般式(II-1a)〜(II-5cy)の基本構造であって、側鎖基が(II-6a)〜(II-6bc)であって、極性基の部分構造が一般式(II-71a)〜(II-73bt)の化合物、一般式(III-1a)〜(III-4ac)の基本構造であって、側鎖基が(III-5a)〜(III-5bf)の化合物と置き換えて使用することができる。
【0190】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-01)
【化50】
Figure 0004691746
【0191】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-02)
【化51】
Figure 0004691746
【0192】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-03)
【化52】
Figure 0004691746
【0193】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-04)
【化53】
Figure 0004691746
【0194】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-05)
【化54】
Figure 0004691746
【0195】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-06)
【化55】
Figure 0004691746
【0196】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-07)
【化56】
Figure 0004691746
【0197】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-08)
【化57】
Figure 0004691746
【0198】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-09)
【化58】
Figure 0004691746
【0199】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-10)
【化59】
Figure 0004691746
【0200】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-11)
【化60】
Figure 0004691746
【0201】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-12)
【化61】
Figure 0004691746
【0202】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-13)
【化62】
Figure 0004691746
【0203】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-14)
【化63】
Figure 0004691746
【0204】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-15)
【化64】
Figure 0004691746
【0205】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-16)
【化65】
Figure 0004691746
【0206】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-17)
【化66】
Figure 0004691746
【0207】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-18)
【化67】
Figure 0004691746
【0208】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-19)
【化68】
Figure 0004691746
【0209】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-20)
【化69】
Figure 0004691746
【0210】
好ましい組成物例:ネマチック液晶組成物(1-21)
【化70】
Figure 0004691746
【0211】
現在、液晶表示装置は、激しく繰り広げられた価格競争の状態にある。この立場から、液晶材料には、種々の用途に対する表示特性の最適化を如何に簡便にできるかが課題になっており、2種類の液晶材料からなる2ボトルや4種類の液晶材料からなる4ボトルといったシステム化された液晶材料が求められている。その代表的な特性は、しきい値電圧、複屈折率、ネマチック相−等方性液体相転移温度がある。例えば、他の特性が同等で、しきい値電圧のみがより高い液晶材料とより低い液晶材料からなる2ボトルシステムを用いれば、使用する駆動電子部品等に制約されることなく、2種類の液晶材料を適時調合することで、より速くより安価に対応可能となる。本発明はこの観点にも応えられる有用なものであり、ネマチック液晶組成物(1-01)〜(1-21)及び一部置き換えて得られた組成物どうしを適時混合して使用することができる。これらの使用方法は、当然ながら後述する実施例のネマチック液晶組成物(3-01)〜(3-17)を含めて行うことができる。
【0212】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例の組成物における「%」は『重量%』を意味し、-(CH2)2-と-C24-あるいは-(CH2)4-と-C48-は同じものとする。
【0213】
実施例中、液晶組成物の物性特性及びTN-LCDを構成した液晶表示装置の表示特性は以下の通りである。
N-I:ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
N:固体相又はスメクチック相−ネマチック相転移温度(℃)
△ε:20℃における誘電率異方性
△n:20℃における複屈折率
η :20℃における粘度(c.p.)
Vth:TN-LCDを構成した時の20℃におけるしきい値電圧(V)
1 :電圧無印加時の光透過率を100%とし、この透過率が1%となる印加電圧(V)
γ :20℃における急峻性、飽和電圧(Vsat)とVthの比
τr=τd:20℃における、0Vから所定の電圧を印加した場合の立ち上がり時間をτrとし、所定の電圧を印加した後電圧無印加にした場合の立ち下がり時間をτdとしたとき、両者が等しくなる時間
【0214】
STN-LCD表示特性を示す液晶表示装置は以下のようにして作製した。液晶組成物にカイラル物質「S−811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調製する。対向する平面透明電極上に「サンエバー610」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配向膜を形成し、ツイスト角240度のSTN-LCD表示用セルを作製する。上記の混合液晶をこのセルに注入して液晶表示装置を構成する。尚、カイラル物質はカイラル物質の添加による混合液晶の固有らせんピッチPと表示用セルのセル厚dが、Δn・d=0.85、d/P=0.50となるように添加した。この表示特性として、しきい値電圧、急峻性、駆動電圧の温度依存性、応答速度を測定した。
ツイスト角240度のSTN-LCD表示特性
Vth :20℃におけるしきい値電圧(V)
γ :20℃における急峻性、飽和電圧(Vsat)とVthの比
△(Vth)/△(T):駆動電圧の温度依存性
τr=τd:1/240duty駆動における応答時間
【0215】
IPSモード表示特性を示す液晶表示装置は以下のようにして作製した。10μmの間隔を置いて平行するクロム電極を形成した基板に配向膜を設ける。電極を有さない基板に配向膜を設ける。液晶の配向がアンチパラレルとなるように両基板を張り合わせてセルを作製する。混合液晶をこのセルに注入して液晶表示装置を構成する。この表示特性として、V10、急峻性、応答速度を測定した。電圧無印加時のデバイスの光透過率(T0)を0%とし、 印加電圧の増大に伴って光透過率が最大になったときの透過率(T100)を100%とするとき、 光透過率50%となる印加電圧(V)をV50、光透過率10%となるときの印加電圧をV10とする。
IPSモード表示特性
10 :20℃におけるしきい値電圧(V)
γ :20℃における急峻性、V50とV10の比
τr=τd:応答時間(msec)
【0216】
組成物の化学的安定性は、液晶組成物2gをアンプル管に入れ、真空脱気後窒素置換の処理をして封入し、150℃、1時間の加熱促進テストを行った。この液晶組成物のテスト前の比抵抗、加熱促進テスト後の比抵抗、テスト前の電圧保持率、加熱促進テスト後電圧保持率を測定した。
【0217】
また、実施例で示された化合物の1種あるいは複数の化合物を、所存の目的や用途に対して一般式(I-1)〜(III-4)で表される化合物と置き換えて使用することができが、この様な例を示す場合、具体的な化合物を以下の例の形式で表す。
液晶成分A
一般式(I-1)の例 化合物(2-1a):側鎖基(I-4b)基本構造(I-1a)側鎖基(I-4b)
一般式(I-2)の例 化合物(2-2a):側鎖基(I-4b)基本構造(I-2a)側鎖基(I-4b)
一般式(I-3)の例 化合物(2-3a):側鎖基(I-4b)基本構造(I-3a)側鎖基(I-4b)
液晶成分B
一般式(II-1)の例 化合物(2-1b):側鎖基(II-6a)基本構造(II-1a)極性基(II-71a)
一般式(II-2)の例 化合物(2-2b):側鎖基(II-6a)基本構造(II-2a)極性基(II-71a)
一般式(II-3)の例 化合物(2-3b):側鎖基(II-6a)基本構造(II-3a)極性基(II-71a)
一般式(II-4)の例 化合物(2-4b):側鎖基(II-6a)基本構造(II-4a)極性基(II-71a)
一般式(II-5)の例 化合物(2-4b):側鎖基(II-6a)基本構造(II-5a)極性基(II-72a)
液晶成分C
一般式(III-1)の例 化合物(2-1c):側鎖基(III-5b)基本構造(III-1a)側鎖基(III-5b)
一般式(III-2)の例 化合物(2-2c):側鎖基(III-5b)基本構造(III-2a)側鎖基(III-5b)
一般式(III-3)の例 化合物(2-3c):側鎖基(III-5b)基本構造(III-3a)側鎖基(III-5b)
一般式(III-4)の例 化合物(2-4c):側鎖基(III-5b)基本構造(III-4a)側鎖基(III-5b)
【0218】
【化71】
Figure 0004691746
【0219】
(実施例1)
【0220】
【化72】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-01)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0221】
液晶組成物の物性特性
N-I : 72.7 ℃
N : −70. ℃
△ε : −2.6
△n : 0.152
液晶組成物の信頼性特性
テスト前の比抵抗 :2.2×1013 Ω・cm
加熱促進テスト後の比抵抗 :7.5×1012 Ω・cm
テスト前の電圧保持率 :99.2%
加熱促進テスト後電圧保持率:98.8%
【0222】
このネマチック液晶組成物は、5種の成分で構成されたものでありながら、TN-Iが高く、T Nが低いのでより広い温度域で動作させることができ、負の誘電率異方性△εを有し、加熱促進テスト後の比抵抗や電圧保持率が高いことから、高視野角で高精細な表示が可能なVAあるいはMVAモードのTFT-LCDに使用可能な特徴を有している。
【0223】
(比較例1)
本発明の優位性を示すために、上記ネマチック液晶組成物(3-01)に含有する液晶成分Aを他の化合物に置き換えた混合液晶(b-01)を調製した。具体的には、ナフタレン−2,6−ジイル基を1,4−フェニレン基とした化合物に、デカハイドロナフタレン−2,6−ジイル基を1,4−シクロヘキシレン基とした化合物に置き換えたものである。結果は以下の通りであった。
【0224】
【化73】
Figure 0004691746
混合液晶(b-01)は上記からなる。
【0225】
液晶組成物の物性特性
N-I : 0℃以下
△ε : 測定不能
△n : 測定不能
η : 測定不能
【0226】
混合液晶(b-01)が室温以下でネマチック相を有するため通常の温度範囲で使用できないのに対し、本発明のネマチック液晶組成物(3-01)は、TN-Iが高く、T Nが低く、相溶性に優れより広い温度域で動作させることができる等の特徴を有していることが示された。
【0227】
(実施例2)
【0228】
【化74】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-02)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0229】
液晶組成物の物性特性
N-I : 68.9 ℃
N : −70. ℃
△ε : −4.0
△n : 0.111
液晶組成物の信頼性特性
テスト前の比抵抗 :4.0×1013 Ω・cm
加熱促進テスト後の比抵抗 :8.7×1012 Ω・cm
テスト前の電圧保持率 :99.2%
加熱促進テスト後電圧保持率:98.8%
【0230】
このネマチック液晶組成物は、6種の成分で構成されたものでありながら、TN-Iが高く、T Nが低いのでより広い温度域で動作させることができ、負の誘電率異方性△εを有し、加熱促進テスト後の比抵抗や電圧保持率が高いことから、高視野角で高精細な表示が可能なVAあるいはMVAモードのTFT-LCDに使用可能な特徴を有している。
【0231】
(実施例3)
【0232】
【化75】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-03)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0233】
N-I : 87.2 ℃
N : −70. ℃
△ε : −4.4
△n : 0.079
η : 22.8 c.p.
【0234】
このネマチック液晶組成物は、TN-Iが高く、T Nが低いのでより広い温度域で動作させることができ、負の誘電率異方性△εを有し、加熱促進テスト後の比抵抗や電圧保持率が高いことから、高視野角で高精細な表示が可能なVAあるいはMVAモードのTFT-LCDに使用可能な特徴を有している。
【0235】
(実施例4)
【0236】
【化76】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-04)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0237】
N-I : 125.0 ℃
N : −25. ℃
△ε : +1.0
△n : 0.37(外挿)
【0238】
このネマチック液晶組成物は、比較的高いTN-Iに対し非常に大きな複屈折率を有し、正の誘電率異方性を示し、加熱促進テスト後の比抵抗や電圧保持率も良好であり、高視野角で高精細な表示が可能なOCBあるいはECBモードのTFT-LCD用の母体液晶として使用可能な特徴を有している。
【0239】
(実施例5)
【0240】
【化77】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-05)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0241】
N-I : 104.7 ℃
△ε : 4.5
△n : 0.102
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚6μm)
Vth : 2.43 V
γ : 1.23
τr=τd : 28.9msec
IPSモードの表示特性(セル厚3μm)
Vth : 4.6 V
γ : 1.77
τr=τd : 20.0msec
【0242】
(比較例2)
本発明の優位性を示すために、上記ネマチック液晶組成物(3-05)に含有する液晶成分Aを除いた母体液晶(b-02)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0243】
【化78】
Figure 0004691746
【0244】
N-I : 116.7 ℃
N : 11. ℃
△ε : 4.8
△n : 0.090
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚6μm)
Vth : 2.14 V
γ : 1.23
τr=τd : 25.3msec
IPSモードの表示特性(セル厚3μm)
Vth : 4.2 V
γ : 1.80
τr=τd : 25.0msec
【0245】
特性を比較すると、本発明の液晶組成物は、TN-LCDでの応答性をやや悪化させるものの、IPSモードにおける応答性を約20%前後低減させる効果を有していることが明らかとなった。また、複屈折率も小さいことから、高視野角で高精細な表示が可能なIPSモードのTFT-LCDに有用なことが示された。応答性の改良効果は、液晶成分Aが非置換又は置換されたナフタレン−2,6−ジイル環を部分構造として有し、従来の化合物に無い板状の構造を特徴としていることのためか、弾性定数K11、K22、K33が従来の化合物と大きく異なり、特にIPSモードの応答性改善に有利な粘弾性特性を有しているものと思われる。
【0246】
(実施例6)
【0247】
【化79】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-06)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0248】
N-I : 101.6 ℃
N : −45. ℃
△ε : 6.5
△n : 0.174
η : 16.5 c.p.
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚6μm)
Vth : 2.07 V
γ : 1.18
ツイスト角240度のSTN-LCD表示特性
Vth : 2.45 V
γ : 1.015
τr=τd : 170. msec(1/240duty駆動)
【0249】
(実施例7)
【0250】
【化80】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-07)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。本実施例においても、上述の効果を示すことが確認された。
【0251】
N-I : 91.6 ℃
N : −70. ℃
△ε : 6.9
△n : 0.090
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚6μm)
Vth : 1.38 V
γ : 1.22
τr=τd : 54.0msec
IPSモードの表示特性(セル厚4μm)
Vth : 2.34 V
γ : 1.76
τr=τd : 48.0msec
【0252】
(実施例8)
【0253】
【化81】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-08)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の比抵抗や電圧保持率が高いことから、熱に安定であることが理解できる。また、この組成物を基本的な構成材料とする新たな本発明のネマチック液晶組成物を調製し、これを用いたアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0254】
(実施例9)
【0255】
【化82】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-09)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の比抵抗や電圧保持率が高く、熱に安定であった。また、この組成物を基本的な構成材料とする新たな本発明のネマチック液晶組成物を調製し、これを用いたアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0256】
N-I : 119.8 ℃
N : −70. ℃
△ε : 6.5
△n : 0.105
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚6μm)
Vth : 1.57 V
γ : 1.22
【0257】
(実施例10)
【0258】
【化83】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-10)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0259】
N-I : 107.1 ℃
N : −70. ℃
△ε : 13.5
△n : 0.129
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚6μm)
Vth : 1.28 V
γ : 1.25
ツイスト角240度のSTN-LCD表示特性
Vth : 1.24 V
γ : 1.025
△(Vth)/△(T):1.0mV/℃(T=−10〜50℃の温度範囲)
【0260】
(実施例11)
【0261】
【化84】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-11)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。
【0262】
(実施例12)
【0263】
【化85】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-12)を調製した。
【0264】
(実施例13)
【0265】
【化86】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-13)を調製した。
【0266】
(実施例14)
【0267】
【化87】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-14)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の比抵抗や電圧保持率が高く、熱に安定であった。また、この組成物を基本的な構成材料とする新たな本発明のネマチック液晶組成物を調製し、これを用いたアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。特に、V1が3V以下と低いことから、高精細で高コントラストの表示を必要とするTFT-LCDに有用であり、ポリシリコンを用いたTFT-LCDに適している。
【0268】
N-I : 84.4 ℃
N : −70. ℃
△ε : 9.0
△n : 0.132
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚6μm)
Vth : 1.38 V
1 : 2.58 V
γ : 1.13
【0269】
また、このネマチック液晶組成物は、文献『高速液晶技術』(63頁、(株)シーエムシー社出版)中に示されたTN-LCD液晶表示の光学的急峻性の限界値である1.12に近い値を示しており、従って、この液晶組成物は高時分割駆動に有用であることが理解できる。
【0270】
(実施例15)
【0271】
【化88】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-15)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0272】
N-I : 164.9 ℃
N : −50. ℃
△ε : 25.9
△n : 0.254
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚8μm)
Vth : 1.30 V
γ : 1.15
【0273】
(実施例16)
【0274】
【化89】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-16)を調製し、この組成物の諸特性を測定からなるネマチック液晶組成物(3-16)を調製した。結果は以下の通りであった。このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の比抵抗や電圧保持率が高く、熱に安定であった。また、この組成物を基本的な構成材料とする新たな本発明のネマチック液晶組成物を調製し、これを用いたアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0275】
N-I : 97.0 ℃
N : −70. ℃
△ε : 8.1
△n : 0.099
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚6μm)
Vth : 1.46 V
1 : 2.66 V
τr=τd : 41.0 msec
【0276】
(実施例17)
【0277】
【化90】
Figure 0004691746
からなるネマチック液晶組成物(3-17)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
【0278】
N-I : 100.0 ℃
N : −35. ℃
△ε : 6.4
△n : 0.287
η : 28.7 c.p.
ツイスト角90度のTN-LCD表示特性(セル厚8μm)
Vth : 2.40 V
【0279】
このネマチック液晶組成物を用いて、セル厚dが1.7μmのTN-LCDを構成してその表示特性を測定したところ、しきい値電圧が1.87V、応答速度が1.9msecを示す液晶表示装置が得られた。
【0280】
(実施例18)
下記のネマチック液晶組成物を調製する。
本発明のネマチック液晶組成物(3-04)において、化合物(3-0401)に換えて下記に示す化合物(2-1)を用いる以外は、ネマチック液晶組成物(3-04)と同様にして、ネマチック液晶組成物(3-04-01)を調整した。同様にして、以下のネマチック液晶組成物を調製する。本発明のネマチック液晶組成物(3-04)において、化合物(3-0401)に換えて下記に示す各々の化合物(2-2)〜(2-9)を用いる以外は、ネマチック液晶組成物(3-04)と同様にして、各々のネマチック液晶組成物(3-04-02)〜(3-04-09)を調製した。本発明のネマチック液晶組成物(3-09)において、化合物(3-0909)に換えて下記に示す各々の化合物(2-10)〜(2-35)を用いる以外は、ネマチック液晶組成物(3-09)と同様にして、各々のネマチック液晶組成物(3-09-01)〜(3-09-26)を調製した。本発明のネマチック液晶組成物(3-10)において、化合物(3-1014)に換えて下記に示す各々の化合物(2-16)〜(2-35)を用いる以外は、ネマチック液晶組成物(3-10)と同様にして、各々のネマチック液晶組成物(3-10-01)〜(3-10-20)を調製した。
これらのネマチック液晶組成物(3-04-02)〜(3-04-09)、(3-09-01)〜(3-09-26)、(3-10-01)〜(3-10-20)の表示特性は、各実施例と同様に、良好な結果が得られた。
【0281】
【化91】
Figure 0004691746
【0282】
(実施例19)
下記のネマチック液晶組成物を調製する。
本発明のネマチック液晶組成物(3-02)において、化合物(3-0203)に換えて下記に示す各々の化合物(2-36)〜(2-52)を用いる以外は、ネマチック液晶組成物(3-02)と同様にして、各々のネマチック液晶組成物(3-02-01)〜(3-02-17)を調製した。本発明のネマチック液晶組成物(3-02)において、化合物(3-0206)に換えて下記に示す各々の化合物(2-66)〜(2-77)、 (2-91)、(2-94)〜(2-99)を用いる以外は、ネマチック液晶組成物(3-02)と同様にして、各々のネマチック液晶組成物(3-02-18)〜(3-02-36)を調製した。本発明のネマチック液晶組成物(3-03)において、化合物(3-0312)に換えて下記に示す各々の化合物(2-36)〜(2-52)を用いる以外は、ネマチック液晶組成物(3-02)と同様にして、各々のネマチック液晶組成物(3-02-01)〜(3-02-17)を調製した。本発明のネマチック液晶組成物(3-03)において、化合物(3-0313)に換えて下記に示す各々の化合物(2-53)〜(2-99)を用いる以外は、ネマチック液晶組成物(3-03)と同様にして、各々のネマチック液晶組成物(3-03-18)〜(3-03-64)を調製した。
これらのネマチック液晶組成物 (3-02-01)〜(3-07-36)、 (3-03-01)〜(3-03-64)、の表示特性は、各実施例と同様に、良好な結果が得られた。特に、化合物式(2-47)、(2-48)を用いたネマチック液晶組成物(3-02-12)、(3-02-13)、化合物式(2-68)、(2-69)、(2-96)、(2-97)を用いたネマチック液晶組成物(3-02-20)、(3-02-21)、(3-02-33) 、(3-02-34)は更に駆動電圧が低減し、良好な結果が得られた。
【0283】
【化92】
Figure 0004691746
【0284】
【化93】
Figure 0004691746
【0285】
【化94】
Figure 0004691746
【0286】
(実施例20)
本発明のネマチック液晶組成物(3-04)、(3-15)、(3-17)、 (1-08) 、(1-09) 、(1-10) 、(1-18) は、光散乱形液晶表示に用いることができる。以下応用例について更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0287】
液晶材料として上記液晶組成物を80%、高分子形成性化合物として「HX−220」(日本化薬社製)を13.86%、ラウリルアクリレートを5.94%、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを0.2%の比率で混合し、均一溶液の調光層形成材料を調製した。この調光層形成材料を、平均粒径10μmのスペーサーが介在した2枚のITO電極ガラス基板を用いて作製した大きさ50×50mmの空セルに、均一溶液の転移温度より10℃高い温度の下で真空注入した。 これを、均一溶液の転移温度より3℃高い温度に保持しながら、 メタルハライドランプ(80W/cm2)の下を3.5m/分の速度で通過させ、500mJ/cm2に相当するエネルギーの紫外線を照射して高分子形成化合物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスについて、基板間に形成された硬化物の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、ポリマーから成る三次元ネットワーク構造の透明性固体物質が認められた。
【0288】
得られた光散乱形液晶表示の特性は、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して、広い動作温度範囲を示し、動画有利な応答性を有し、高コントラストでかつ均一でむらのない表示特性を有しており、広告板等の装飾表示板や時計等の表示装置、又はプロジェクション表示装置等に有用なものであった。特に、ネマチック液晶組成物(3-17)、(1-09) 、(1-18)を用いた場合はアクティブ用に有用であり、ネマチック液晶組成物(3-17)用いた場合は高温例えば照明器具、レーザー書き込み等の使用に有用であった。
【0289】
(実施例21)
本発明のネマチック液晶組成物、特に(3-04)、(3-15)、(3-17) 、(1-08)は更に以下の特徴を有していた。これらネマチック液晶組成物の複屈折率の波長分散を測定したところ、光の波長650nmに対する400nmでの比がより大きく、特に大きいものには1.15以上を示した。この液晶材料は、光の波長の違いによってより大きな位相差が現れていることから、カラーフィルター層を用いないでカラー表示を行う、液晶と位相差板の複屈折性を利用した新規反射型カラー液晶表示方式に有用なものである。
【0290】
【発明の効果】
本発明のネマチック液晶組成物は、一般式(I-1)〜(I-3)で表される化合物からなる液晶成分Aを必須成分とし、液晶組成物に混合すると、相溶性の改善、低温保存の向上等により液晶表示特性の動作温度範囲を拡大し、駆動電圧の低減及びその温度変化を改善し、所定の駆動電圧に対し比較的速い応答性を達成させることができる。また、複屈折率、誘電率異方性、弾性定数の設計及びこれらの温度依存性、複屈折率の光波長依存性やデューティー数に対応した誘電率異方性の周波数依存性等も改良できるという特徴を有している。従って、本発明のネマチック液晶組成物は、アクティブ・マトリクス形、ツイスティッド・ネマチックあるいはスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置に用いることができる。また、液晶層と位相差板の複屈折性でカラー表示をする液晶表示素子を提供することができる。さらに、液晶材料及び透明性固体物質を含有する調光層を有する光散乱形液晶表示にも有用装置を提供できる。

Claims (13)

  1. 液晶組成物が、一般式(I-1)〜(I-3)
    Figure 0004691746
    (式中、
    、Rは各々独立的に炭素原子数1〜10のアルキル基、アルコキシ基又は炭素原子数2〜10のアルケニル基、アルケニルオキシ基を表し、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基又は該アルケニルオキシ基は非置換又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CN、CH又はCFを有することができ、及び又は該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基又は該アルケニルオキシ基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよく、
    〜Wは各々独立的にH、F、Cl、CF、OCF又はCNを表すが、W、W、Wの組の内2個または3個がF、Cl、CF、OCF若しくはCNを表すか、又はW、W、Wの組の内2個または3個がF、Cl、CF、OCF若しくはCNを表し、
    、Kは各々独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-(CH)-、-(CH)-、-CH=CH-(CH)-、-(CH)-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-又は-N(O)=N-を表し、
    環A〜Aは各々独立的に1,4−フェニレン、2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、トランス−1,4−シクロへキシレン又はトランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを表し、
    ナフタレン−2,6−ジイル環、側鎖基R、R、連結基K、K及び環A、Aに存在する1個又は2個以上の水素原子は重水素原子と置換されていても良く、
    前記一般式(I-1)〜(I-3)の化合物を構成する原子はその同位体原子で置換されていても良い。)
    から選ばれた一つ又は二つ以上の一般式で表される1種又は2種以上の化合物からなる液晶成分Aを含有し、前記一般式(I-1)〜(I-3)の化合物を除く液晶成分として、−10〜+2の誘電率異方性を有する一般式(III-1)〜(III-4)
    Figure 0004691746
    (式中、
    〜W各々独立的にH、F、Cl、CF 、OCF 又はCNを表し、VはCH又はNを表し
    、Rは各々独立的に炭素原子数1〜10のアルキル基、アルコキシ基又は炭素原子数2〜10のアルケニル基、アルケニルオキシ基を表し、該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基又は該アルケニルオキシ基は非置換又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CN、CH又はCFを有することができ、及び又は該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基又は該アルケニルオキシ基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよく
    〜Zは各々独立的にH、F、Cl、CF、OCF又はCNを表し、Zはまた各々独立的に-CHであってもよく、
    〜Mは各々独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-(CH)-、-(CH)-、-CH=CH-(CH)-、-(CH)-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-又は-N(O)=N-を表し、M、Mはまた各々独立的に-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-であってもよく、
    環C〜Cは各々独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン又はトランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを表し、環C、Cはまた1,4−フェニレン、2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレンであってもよく、
    側鎖基R、R、連結基M〜M及び環C〜Cに存在する1個又は2個以上の水素原子は重水素原子と置換されていても良く、
    〜mは各々独立的に0又は1を表し、m+mは0又は1であり、
    前記一般式(III-1)〜(III-4)の化合物を構成する原子はその同位体原子で置換されていても良い。)で表される化合物群から選ばれる化合物からなる液晶成分Cを含有する−2〜−15の誘電率異方性であるネマチック液晶組成物。
  2. 前記液晶成分Aが、下記の条件の少なくとも一つを満たすことを特徴とする請求項1記載のネマチック液晶組成物。
    (i)前記液晶成分Aが、一般式(I-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(I-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Aでの含有率が5〜100重量%であること。 (ii)前記液晶成分Aが、一般式(I-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(I-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Aでの含有率が5〜100重量%であること。
    (iii)前記液晶成分Aが、一般式(I-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(I-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Aでの含有率が5〜100重量%であること。
    (iv)前記液晶成分Aが、一般式(I-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(I-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(I-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Aでの含有率が5〜100重量%であること。
    (v)前記液晶成分Aが、一般式(I-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Aでの含有率が5〜100重量%であること。
    (vi)前記液晶成分Aが、一般式(I-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Aでの含有率が5〜100重量%であること。
    (vii)前記液晶成分Aが、一般式(I-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Aでの含有率が5〜100重量%であること。
  3. 前記液晶成分Aが、下記小群(I-ai)〜(I-aviii)のうち一つ又は二つ又は三つ以上の小群から選ばれる化合物を1種〜20種含有し、該化合物の含有率が10〜100重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のネマチック液晶組成物。
    前記一般式(I-1)〜(I-3)において、
    (I-ai)Rが炭素原子数1〜7のアルキル基又は炭素原子数2〜7のアルケニル基である化合物、
    (I-aii)Rが炭素原子数1〜7のアルキル基又は炭素原子数2〜7のアルケニル基である化合物、
    (I-aiii)K、Kが単結合、-(CH)-、-(CH)-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-である化合物、
    (I-aiv)環A、Aが1,4−フェニレン、トランス−1,4−シクロへキシレン又はピリミジン−2,5−ジイルである化合物、
    (I-av)環A、Aが2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン又は3,5−ジクロロ−1,4−フェニレンである化合物、
    (I-avii)少なくとも1個の置換基を有するナフタレン−2,6−ジイルである化合物、
    (I-aviii)ナフタレン−2,6−ジイル環、側鎖基R、R、連結基K、K及び環A、Aに存在する1個又は2個以上の水素原子が重水素原子と置換された化合物。
  4. 前記液晶成分Aが、下記小群(I-bi)〜(I-bvi)のうち一つ又は二つ又は三つ以上の小群から選ばれる化合物を1種〜20種含有し、該化合物の含有率が10〜100重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物。
    前記一般式(I-1)において、
    (I-bi)RとRの一方が炭素原子数2〜5のアルケニル基又はアルケニルオキシ基であり、他方が炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、Kが単結合、-(CH)-、-(CH)-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-である化合物、
    (I-bii)Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、ナフタレン−2,6−ジイルと環Aの少なくとも一方の環が置換基を有する化合物、
    (I-biii)Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、Kが-(CH)-、-(CH)-、-CH=CH-又は-CF=CF-である化合物、
    (I-biv)Rが炭素原子数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基であり、Kが単結合、-COO-又は-OCO-であり、環Aがトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン又は2,3−フルオロ−1,4−フェニレンである化合物。
    前記一般式(I-2)、(I-3)において、
    (I-bv)Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、KとKが単結合、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-(CH)-、-(CH)-のいずれかである化合物、
    (I-bvi)環AとAの一方が2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン、トランス−1,4−シクロへキシレン又はトランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、他方が1,4−フェニレン、2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、トランス−1,4−シクロへキシレン又はトランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである化合物。
  5. 前記液晶成分Cが、下記の条件の少なくとも一つを満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物。
    (i)前記液晶成分Cが、一般式(III-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (ii)前記液晶成分Cが、一般式(III-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (iii)前記液晶成分Cが、一般式(III-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (iv)前記液晶成分Cが、一般式(III-4)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (v)前記液晶成分Cが、一般式(III-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (vi)前記液晶成分Cが、一般式(III-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (vii)前記液晶成分Cが、一般式(III-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-4)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (viii)前記液晶成分Cが、一般式(III-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (ix)前記液晶成分Cが、一般式(III-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-4)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (x)前記液晶成分Cが、一般式(III-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-4)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (xi)前記液晶成分Cが、一般式(III-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (xii)前記液晶成分Cが、一般式(III-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-4)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (xiii)前記液晶成分Cが、一般式(III-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-4)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (xiv)前記液晶成分Cが、一般式(III-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-4)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
    (xv)前記液晶成分Cが、一般式(III-1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-2)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(III-4)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、該選ばれた化合物の前記液晶成分Cでの含有率が5〜100重量%であること。
  6. 前記液晶成分Cが、下記小群(III-ai)〜(III-axiv)のうち一つ又は二つ又は三つ以上の小群から選ばれる化合物を1種〜20種含有し、該化合物の含有率が10〜100重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物。
    (III-ai)前記一般式(III-1)〜(III-4)において、Rが炭素原子数2〜5のアルケニル基である化合物、
    (III-aii)前記一般式(III-1)〜(III-4)において、Rが炭素原子数2〜7の直鎖状アルケニル基又はアルケニルオキシ基である化合物、
    (III-aiii)前記一般式(III-1)の化合物において、mが0であり、Mが単結合又は-(CH)-である化合物、
    (III-aiv)前記一般式(III-1)の化合物において、mが1である化合物、
    (III-av)前記一般式(III-2)で表される化合物、
    (III-avi)前記一般式(III-3)の化合物において、Z〜Z、W〜Wの少なくとも1個がFである化合物、
    (III-avii)前記一般式(III-3)の化合物において、ZがF又は-CHである化合物、
    (III-aviii)前記一般式(III-3)の化合物において、mが0であり、Mが単結合である化合物、
    (III-aix)前記一般式(III-3)の化合物において、mが1であり、Mが単結合、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-(CH)-、-(CH)-、-CH=CH-(CH)-、-(CH)-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-、-N(O)=N-、-CH=CH-又は-CF=CF-である化合物、
    (III-ax)前記一般式(III-3)の化合物において、Mが-COO-又は-C≡C-であり、Mが-OCO-、-CHO-、-OCH-、-(CH)-、-(CH)-、-CH=CH-(CH)-、-(CH)-CH=CH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-、-N(O)=N-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-である化合物、
    (III-axi)前記一般式(III-4)で表される化合物、
    (III-axii)前記一般式(III-1)〜(III-4)の化合物において、環C〜Cがトランス−1,4−シクロへキシレンである場合、該環の水素原子の少なくとも一個が重水素原子と置換された化合物、
    (III-axiii)前記一般式(III-1)〜(III-4)の化合物において、環C〜Cが2又は3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2又は3−クロロ−1,4−フェニレン又は2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンである化合物、
    (III-axiv)前記一般式(III-1)〜(III-4)の化合物において、Z、Z、W、Wのうち少なくとも2個がF又はClである化合物。
  7. 前記液晶成分Cが、下記小群(III-bi)〜(III-bix)のうち一つ又
    は二つ又は三つ以上の小群から選ばれる化合物を1種〜20種含有し、該化合物の含有率が10〜100重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物。
    (III-bi)前記一般式(III-1)において、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、mが0であり、Mが単結合、-COO-又は-(CH)-である化合物、
    (III-bii)前記一般式(III-1)において、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、mが1であり、環Cがトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、MとMの一方が単結合であり、他方が単結合、-COO-又は-(CH)-である化合物、
    (III-biii)前記一般式(III-2)において、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、環Cがトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、mが0であり、Mが単結合、-COO-又は-(CH)-である化合物、
    (III-biv)前記一般式(III-2)において、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、環Cがトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、mが1であり、MとMの一方が単結合である化合物、
    (III-bv)前記一般式(III-3)において、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、mが0であり、Mが単結合、-C≡C-又は-CH=N-N=CH-で表される化合物、
    (III-bvi)前記一般式(III-3)において、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、mが1であり、Mが単結合、-(CH)-、-COO-又は-C≡C-であり、 が単結合、-COO-又は-C≡C-である化合物、
    (III-bvii)前記一般式(III-3)において、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、mが1であり、MとMの一方が単結合であり、他方が単結合又は-C≡C-であり、W、Wの少なくとも1個がFである化合物、
    (III-bviii)前記一般式(III-3)において、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、Z、ZいずれかがF、CHで置換された化合物、
    (III-bix)前記一般式(III-4)において、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基であり、Rが炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、アルケニルオキシ基であり、m+mが0である化合物。
  8. 前記液晶組成物が、4個の六員環を有したコア構造の化合物であって、該化合物の液晶相−等方性液体相転移温度が100℃以上を有する化合物を1種又は2種以上含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物。
  9. 前記液晶組成物が、0.02〜0.40の複屈折率であり、50℃〜180℃のネマチック相−等方性液体相転移温度であり、−200℃〜0℃の結晶相、スメクチック相又はガラス相−ネマチック相転移温度であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物。
  10. 前記液晶組成物に、誘起螺旋ピッチが0.5〜1000μmとなる光学活性基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物を用いたアクティブ・マトリクス、ツイスティッド・ネマチック又はスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶組成物及び透明性固体物質を含有した調光層を有する光散乱形液晶表示装置。
  13. 前記調光層において、前記液晶組成物が連続層をなし、該連続層中に前記透明性固体物質が均一な三次元網目状構造を形成したことを特徴とする請求項12記載の光散乱形液晶表示装置。
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