JP3630175B2 - 液晶デバイス - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、偏光板を使用しない液晶材料及び透明性固体物質を含有する調光層を有する液晶デバイスに関し、更に詳しくは、視野の遮断、透過を電気的又は熱的に操作し得る光散乱形の液晶デバイスに関する。本発明の液晶デバイスは、建物の窓やショーウインドウなどで視野遮断のスクリーンに利用されるとともに、文字や図形を表示し、高速応答性を以て電気的又は熱的に表示を切り換えることによって、広告板等の装飾表示板や時計、電卓の表示装置や、明るい画面を必要とする表示装置、特にコンピューター端末の表示装置やプロジェクションの表示装置として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
液晶デバイスは、従来、ネマチック液晶を使用したTN(ツイスティッド・ネマティック)型や、STN(スーパー・ツイスティッド・ネマティック)型のものが実用化されている。また、強誘電性液晶を利用したものも提案されている。これらの液晶デバイスは、偏光板を要するために画面を明るくすることに限界があり、また配向処理を要するために、表示デバイスの作製時の歩留まりが低下する等の問題がある。
【0003】
一方、偏光板や配向処理を要さず、明るくコントラストの良い液晶デバイスを製造する方法として、ポリマー中に液晶滴を分散させ、そのポリマーをフィルム化する方法が知られている。特表昭58−501631号公報、米国特許第4435047号明細書には、カプセル化物質として、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール等が提案され、これら以外にも、例えば、特表昭61−502128号公報、特開昭62−2231号公報等において知られている。しかしながら、ポリマー中に液晶滴を分散させた液晶デバイスでは、液晶材料の個々の屈折率とポリマーの屈折率との一致不一致を最適化する煩わしさ以外に、十分な透明性を得るのに25V以上と高い電圧を必要とし、表示用の液晶デバイスの実用化において重視される低い駆動電圧特性を備えていなかった。
【0004】
液晶表示用デバイスの実用化に要求される重要な特性である低電圧駆動性、高コントラスト、時分割駆動性を可能にする技術として、米国特許第5,304,323号、特開平1−198725号公報には、液晶材料が連続層を形成し、この連続層中に、高分子物質が三次元網目状に分布した構造を有する液晶デバイスが開示されている。
【0005】
このような液晶デバイスに要求される特性としては、抵抗値が高く電圧保持率が優れていること、駆動電圧が低いこと、光散乱が強くコントラスト比が大きいこと等が挙げられており、現在も新しい提案がされている。この目的に係わる液晶材料として、例えば、欧州特許第359,146号公報には液晶材料の複屈折性や誘電率異方性を最適化する方法が、特願平5−69946号公報には液晶材料の弾性定数を特定する技術等が示されている。
【0006】
また、特開平5−339573号公報、特開平6−123866号公報には、フルオロ系化合物を用いた技術が示されており、プロジェクション表示でのコントラストが約40であったことが報告されている。しかしながら、本発明に係わる、例えば、一般式(I−1)のようなフルオロトラン系化合物は、本発明者らが特開平6−4097でその物性特性等が開示されているだけであり、これを用いた組成物の特性等は未だ知られていないのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような光散乱形の液晶デバイスにおいて、より低い電圧駆動性やより高い調光層の抵抗値、あるいはより高いコントラスト比等の要求される表示特性を維持向上させると共に、後で詳述するようなメモリー現象を低減し、白濁性のより均一な表示を達成した光散乱形の液晶デバイスを提供することにある。更に詳しくは、アクティブ・マトリクス方式に要求される特性を有し、例えば、プロジェクション表示装置として利用することができる液晶デバイスを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を達成するために、液晶デバイスの調光層を構成する液晶材料と透明性固体物質について鋭意検討した結果、上記課題を解決するに至った。
【0009】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、(1)透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶デバイスにおいて、前記液晶材料が、(A)一般式(I)
【0010】
【化13】
Figure 0003630175
【0011】
[式中、 Rは炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
【0012】
【化14】
2m+1OC2n
【0013】
(式中、m及びnは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)
で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、 Xはフッ素原子、塩素原子又はトリフルオロメチルを表わし、X及びXは各々独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。]で表わされる化合物及び(B)一般式(II)
【0014】
【化15】
Figure 0003630175
【0015】
[式中、 Rは炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
【0016】
【化16】
2p+1OC2q
【0017】
(式中を表わし、p及びqは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)
で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X及びXは各々独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。]で表わされる化合物を含有することを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0018】
また、本発明は上記課題を解決するために、(2)透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶デバイスにおいて、前記液晶材料が、(A)上記一般式(I)で表わされる化合物及び(B)下記一般式(III−1)〜(III−3)で表わされる化合物から成る第3の化合物群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0019】
一般式(III−1)
【0020】
【化17】
Figure 0003630175
【0021】
一般式(III−2)
【0022】
【化18】
Figure 0003630175
【0023】
一般式(III−3)
【0024】
【化19】
Figure 0003630175
【0025】
上記一般式(III−1)〜(III−3)において、R31、R32、R33及びR34は各々独立的に炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
【0026】
【化20】
2r+1OC2s
【0027】
(式中、r及びsは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、kは0又は1を表わし、R35は、kが0の時、炭素原子数が1〜7の直鎖状アルコキシ基を表わし、kが1の時炭素原子数が1〜5の直鎖状アルキル基又はアルコキシ基を表わす。
【0028】
更に、本発明は上記課題を解決するために、
(3)透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶デバイスにおいて、前記液晶材料が、(A)上記一般式(I)で表わされる化合物及び(B)一般式(IV)
【0029】
【化21】
Figure 0003630175
【0030】
[式中、 Rは炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
【0031】
【化22】
2t+1OC2u
【0032】
(式中、t及びuは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X、X及びXは各々独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。]で表わされる化合物を含有することを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0033】
本発明の液晶デバイスにおける第1の発明は、一般式(I)で表わされる化合物を必須成分として含有し、これと組み合わせて用いる化合物として一般式(II)、一般式(III−1)〜一般式(III−3)及び一般式(IV)で表わされる化合物を見い出したことにあり、これにより複屈折率△nが大きく、液晶相が広い温度領域を有し、本発明の液晶デバイスに有用な液晶材料を見い出したことにある。更に、この液晶材料を用いた液晶デバイスは、この液晶材料の液晶相より広い温度域で動作が可能な特性を示すことを見い出したことにある。
【0034】
光散乱形液晶デバイスに有用な液晶材料の特性として、使用する液晶材料の液晶相の温度範囲によって液晶デバイスの動作温度範囲が制限されることから、広い温度で液晶相を有することが重視される。また、有利な光散乱特性により液晶デバイスのコントラストを高くする為に、液晶材料の大きな複屈折率を必要としていることが知られている。このような特性を有する化合物として、例えば、一般式(a−1)
【0035】
【化23】
Figure 0003630175
【0036】
(式中、Rはアルキル基を表わし、R’はアルキル基又はアルコキシ基を表わす。)
で表わされる化合物、一般式(a−2)
【0037】
【化24】
Figure 0003630175
【0038】
(式中、Rはアルキル基を表わし、R’はアルキル基又はアルコキシ基を表わす。)
で表わされる化合物及び一般式(a−3)
【0039】
【化25】
Figure 0003630175
【0040】
(式中、Rはアルキル基を表わし、R’はアルキル基又はアルコキシ基を表わす。)
で表わされる化合物が知られている。しかしながら、これらの化合物は、本発明で使用する一般式(I)で表わされる化合物と組み合わせた場合、誘起した結晶相あるいは一部が結晶化したスメクチック相が発現し、液晶相を逆に狭くさせてしまう問題を有し、組み合わせとしては不適合であった。
【0041】
また、上記のような化合物として、例えば、一般式(a−4)
【0042】
【化26】
Figure 0003630175
【0043】
(式中、Rはアルキル基を表わす。)で表わされる化合物、一般式(a−5)
【0044】
【化27】
Figure 0003630175
【0045】
(式中、Rはアルキル基を表わす。)で表わされる化合物及び一般式(a−6)
【0046】
【化28】
Figure 0003630175
【0047】
(式中、Rはアルキル基を表わす。)で表わされる化合物が知られている。これらの化合物は、本発明で使用する一般式(I)で表わされる化合物と組み合わせた場合、大きな複屈折率及び広い温度で液晶相を示す有用なものであるが、アクティブ・マトリクス方式に必須の特段に高い電圧保持率を達成するには到らなかった。
【0048】
更に上記のような化合物として、例えば、一般式(a−7)
【0049】
【化29】
Figure 0003630175
【0050】
(式中、Rはアルキル基を表わす。)で表わされる化合物、一般式(a−8)
【0051】
【化30】
Figure 0003630175
【0052】
(式中、Rはアルキル基を表わす。)で表わされる化合物及び一般式(a−9)
【0053】
【化31】
Figure 0003630175
【0054】
(式中、Rはアルキル基を表わす。)で表わされる化合物が知られている。これらの化合物は、フルオロトラン系化合物であり、本発明で使用する一般式(I)で表わされる化合物と組み合わせた場合、大きな複屈折率及び広い温度で液晶相を示す有用なものであり、偏光板や配向膜を使用したTN型のアクティブ・マトリクス方式には高い電圧保持率を示した。しかしながら、これらの化合物を一般式(I)で表わされる化合物と組み合わせた液晶材料を用いて本発明に係わる光散乱系液晶デバイスを作製した場合、電圧無印加時の光透過率Tが、 作製した直後の値あるいは電圧印加後長期に放置させた値に比べ電圧印加状態から無印加状態に切り替えた直後の値のほうが大きくなってしまうメモリー現象が発現し、結果的に液晶デバイスのコントラストを悪化させることになり、後述するような特段の手段を必要とすることを見い出した。従って、単にフルオロトラン系の化合物を用いれば好ましい結果に到るとは限らないのである。
【0055】
本発明は、一般式(I)で表わされる化合物を必須成分とする液晶材料において、このような問題を回避したり、あるいは低減するに到ったものである。
【0056】
本発明は、更に、以下の手段により上記の目的をより改善させることを見い出した。即ち、本発明に係わる液晶材料は、一般式(I)で表わされる化合物から選ばれた1種又はそれ以上の化合物において、1個又はそれ以上の水素原子を重水素原子に置換したシクロヘキサン環を1個又は2個有する化合物を用いる点にある。このようにして得られた液晶材料は、低温でのネマチック相を安定化させたり、低温保存に対しネマチック液晶性をより長期に保持できるものである。本発明者らは、重水素原子に置換したシクロヘキサン環を有する化合物を用いたこのような効果を特願平5−104144号、同5−182734号等で明らかにした。また、液晶デバイスの表示特性においても、重水素原子に置換したシクロヘキサン環を有した化合物が、重水素原子に置換されていないシクロヘキサン環を有した化合物と比較して、有為差のある弾性定数又はそれらの比を示しており、この弾性定数の関係を後述するような方法に応用することによって、駆動電圧等の電気光学特性を調整できるものである。
【0057】
更に後述の実施例からも明らかなように、本発明で使用する液晶材料を採用することにより、この液晶材料が有している固体相−ネマチック相転移温度に対し、本発明の液晶デバイスの動作可能な温度域をより低い温度域に拡大させる驚くべき優れた特性を有しているのである。
【0058】
本発明の液晶デバイスにおける第2の発明は、透明性固体物質を形成させる高分子形成性化合物により高い相溶性を示す液晶材料として、一般式(I)で表わされる化合物を必須成分とした液晶材料を見い出したことにある。この透明性固体物質は、高分子形成性化合物で形成することが好ましく、例えば、熱硬化型樹脂又は紫外線硬化型樹脂を液晶材料と混合して作製する。高分子形成性化合物と液晶材料のより高い相溶性により、より広い温度域でより均一な溶液を得ることを可能とする。このような状態で高分子形成性化合物を硬化させると、片寄りが無いあるいは少ない状態で、光散乱性を有する調光層を作製することができ、駆動電圧やコントラスト比にムラの無い表示特性を得ると共に、白濁性のより均一な表示を達成した光散乱形液晶デバイスを提供できるのである。従って、例えば、比較的高い温度で液晶相を示す液晶材料でもより均一な光散乱特性を示す液晶デバイスあるいは比較的大型の液晶デバイスを真空注入法等でより容易に作製するのに適した液晶材料を見い出したのである。
【0059】
本発明の液晶デバイスで使用する一般式(I)で表わされる化合物は、誘電率異方性Δεが15〜25の範囲にあり、フルオロトラン構造を有するものである。その代表的な化合物を下記の表1に示す。尚、式(b−1)
【0060】
【化32】
Figure 0003630175
【0061】
で表わされるシクロヘキサン環は、該シクロヘキサン環に存在する重水素原子が天然に存在する質量数1の水素原子に対する存在比に相当した確率で含有することを表わし、式(b−2)
【0062】
【化33】
Figure 0003630175
【0063】
で表わされるシクロヘキサン環中に明示したDは、天然に存在する比と著しく異なった確率で置換された重水素原子を表わす。以下、同様にして用いる。
【0064】
【表1】
Figure 0003630175
【0065】
本発明で使用する一般式(I)で表わされる化合物が高分子形成性化合物とより高い相溶性を示すことは、特異な現象である。本発明者らは、このようなことを、例えば、特願平6−27953号において明らかにしており、一般式(I)で表わされる化合物と類似構造を有する式
【0066】
【化34】
Figure 0003630175
【0067】
で表わされる化合物では、特段に高い相溶性を示していないのである。
【0068】
本液晶デバイスにおける更なる発明は、一般式(I)で表わされる化合物に、一般式(II)で表わされる化合物、あるいは一般式(III−1)〜(III−3)で表わされる化合物、あるいは一般式(IV)で表わされる化合物を含有させても、上述したより高い相溶性を損なうことがないか、あるいは改善されることを見い出したことによるものである。更に、一般式(II)、一般式(III−1)〜(III−3)、一般式(IV)で表わされる化合物は、誘電率異方性や弾性定数を調整するのに有用であり、液晶デバイスの特性を改善させることが可能なものである。
【0069】
一般式(II)で表わされる化合物は、誘電率異方性Δεが6〜14の範囲にあり、その代表的な化合物を下記の表2に示した。一般式(III−1)〜一般式(III−3)で表わされる化合物は、誘電率異方性Δεが0〜8の範囲にあり、その代表的な化合物を下記の表2に示した。一般式(IV−1)〜一般式(IV−3)で表わされる化合物は、誘電率異方性Δεが6〜25範囲にあり、その代表的な化合物を下記の表2に示した。これらの化合物は、液晶デバイスの駆動電圧を低減させる効果や液晶デバイスの白濁性を高める効果がある。
【0070】
【表2】
Figure 0003630175
【0071】
一般式(I)、一般式(II)、一般式(III−1)〜(III−3)及び一般式(IV)において、 R、R、R31、R32、R33及びRがアルケニル基である化合物を組み合わせると、液晶相、白濁性、駆動電圧を更に改善させる効果が期待され、特にCH=CH−(CH)−の如く末端基がアルケニル基である場合、弾性定数の調整に優位であることから上記効果が大きくなり特に好ましい。
【0072】
本発明者らは特願平4−73959号において、液晶材料の物性値と液晶デバイスの表示特性との関係が次式(c)で表わされることを示した。
【0073】
【数1】
Figure 0003630175
【0074】
(式中、Vthはしきい値電圧を表わし、Kii、Kiiは弾性定数を表わし、iは1、2又は3を表わし、△εは誘電率異方性を表わし、<r>は透明性固体物質界面の平均空隙間隔を表わし、Aは液晶分子に対する透明性固体物質のアンカリングエネルギーを表わし、dは透明性電極を有する基板間の距離を表わす。)
【0075】
この数式は、透明性固体界面が液晶分子に与える規制力が弾性定数KiiとアンカリングエネルギーAの比によって変化することを意味しており、特にその効果が実際の平均空隙間隔<r>よりKii/Aの量だけ実質的に広げる作用を為し、従って効果的に駆動電圧を低減させることを示している。
【0076】
この関係は、本発明においても応用することができ、液晶材料を構成する液晶化合物によって液晶材料の誘電率異方性Δεと弾性定数を選定することにより、低い電圧で駆動するより好ましい液晶デバイスを得ることができるものである。
【0077】
一般式(I)で表わされる化合物、一般式(II)で表わされる化合物、一般式(III−1)〜(III−3)で表わされる化合物及び一般式(IV−3)で表わされるは、本発明の液晶デバイスの使用目的に応じて混合することができる。
【0078】
高い温度域での動作特性を重視する場合は、一般式(I)で表わされる化合物と、一般式(II)で表わされる化合物又は一般式(III−1)〜(III−3)で表わされる化合物とを組み合わせることが好ましい。低い温度域での動作特性を重視する場合は、一般式(I)で表わされる化合物と、一般式(III−1)〜(III−3)で表わされる化合物又は一般式(IV)で表わされる化合物とを組み合わせることが好ましい。更に、一般式(II)で表わされる化合物の中でも、 X及びXの少なくとも一方がフッ素原子である化合物を組み合わせることが好ましい。
【0079】
高い白濁性を得る目的には、一般式(I)で表わされる化合物と、一般式(II)で表わされる化合物又は一般式(III−1)〜(III−3)で表わされる化合物とを組み合わせることが好ましい。
【0080】
低駆動電圧を得る目的には、一般式(I)で表わされる化合物と、一般式(IV)で表わされる化合物又は一般式(II)で表わされる化合物とを組み合わせることが好ましい。更に、一般式(III−1)で表わされる化合物を組み合わせることが好ましい。
【0081】
高分子形成性化合物とのより改善した相溶性を得るには、一般式(I)で表わされる化合物と、一般式(III−1)〜(III−3)で表わされる化合物又は一般式(IV)で表わされる化合物とを組み合わせることが好ましい。更に、一般式(II)で表わされる化合物の中でも、X及びXの少なくとも一方がフッ素原子である化合物を組み合わせることが好ましい。
【0082】
一般式(I)で表わされる化合物は、2種類以上併用して用いても良く、各々の化合物はそれぞれ5重量%以上30重量%以下の範囲で含有することが好ましく、総量では15重量%以上100重量%以下の範囲で含有することが特に好ましい。一般式(II)で表わされる化合物の化合物は、使用する場合、2種類以上併用して用いても良く、各々の化合物はそれぞれ3重量%以上25重量%以下の範囲で含有することが好ましく、総量では3重量%以上35重量%以下の範囲で含有することが好ましい。一般式(III−1)〜(III−3)で表わされるの化合物は、使用する場合、2種類以上併用して用いても良く、各々の化合物はそれぞれ5重量%以上25重量%以下の範囲で含有することが好ましく、総量では5重量%以上35重量%以下の範囲で含有することが好ましい。一般式(IV)で表わされる化合物は、使用する場合、2種類以上併用して用いても良く、各々の化合物はそれぞれ5重量%以上30重量%以下の範囲で含有することが好ましく、総量では5重量%以上40重量%以下の範囲で含有することが好ましい。
【0083】
本発明に関わるネマティック液晶組成物は、上記に示した化合物の他、液晶材料の他の特性、即ち等方性液体と液晶の相転移温度、融点、粘度、Δn、重合性組成物等との溶解性及び透明性固体物質界面の改質等を改善することを目的とし、適宜通常この技術分野で液晶材料として認識されるものを混合しても良い。
【0084】
本発明の液晶デバイスにおける第3の発明は、透明性固体物質が高分子形成性化合物として2官能性モノマー及び単官能性モノマーを含有した重合性組成物から形成することにより、より優れた液晶デバイスの表示特性を見い出したことにある。高分子形成性化合物として2官能性モノマーと単官能性モノマーを組み合わせた組成物を用いることによって、高分子形成性化合物から透明性固体物質を形成する過程において、透明性固体物質の形状がより均一な構造を成し、液晶材料との界面の性質を操作できると考えられる。更に詳細には、前述した式(c)における平均空隙間隔<r>及びアンカリングエネルギーAを優位にできる。このようにして、白濁性や透明性を維持したまま、駆動電圧を低減できるのである。更に又、例えば、前述した一般式(a−7)〜一般式(a−9)で表わされる化合物を含有した液晶材料は、高分子形成性化合物として2官能性モノマー及び単官能性モノマーを併用した重合性組成物を用いることで、メモリー現象を解消あるいは低減させることができる。
【0085】
本発明で使用する基板は、堅固な材料として、ガラスであっても良く、柔軟性を有する材料として、プラスチックフィルムの如きものであっても良い。この基板には、目的に応じて透明、不透明の適宜な電極が、その全面又は部分的に配置されても良い。尚、2枚の基板間には、通常、周知の液晶デバイスと同様、間隔保持用のスペーサーを介在させることもできる。本発明の液晶デバイスは、コンピュ−タ端末の表示装置やプロジェクションの表示装置等に利用される場合、透明性電極層に非線形素子又は能動素子を設けることが好ましい。
【0086】
透明性固体物質としては、合成樹脂が好適である。液晶材料を小滴状に分散させたり三次元網目状の構造を与えるものとしては、熱硬化型樹脂又は紫外線硬化型樹脂が好ましい。また、有機溶剤に可溶性の合成樹脂、水に可溶性の合成樹脂も好適である。
【0087】
透明性固体物質を形成する高分子形成性化合物としては、例えば、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン:置換基として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、アルリル、メタリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル等の如き基を有するアクリレート、メタクリレート又はフマレート;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタエリスリトール等のモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、酪酸ビニル又は安息香酸ビニル、アクリロニトリル、セチルビニルエーテル、リモネン、シクロヘキセン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、2−、3− 又は4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド又はN−ヒドロキシエチルメタクリルアミド及びそれらのアルキルエーテル化合物;ネオペンチルグリコール1モルに2モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA1モルに2モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート1モルとフェニルイソシアネート若しくはn−ブチルイソシアネート1モルとの反応生成物;ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリス−(アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレートが好ましい。
【0088】
本発明で使用する液晶材料は、透明性電極層を有する2枚の基板間に液晶材料をマイクロカプセル化した液晶小滴を透明性固体物質中に分散させたデバイスにも有用なものであることが期待される。基板間に形成される透明性固体物質は、繊維状あるいは粒子状に分散するものでも、液晶材料を小滴状に分散させたフィルムのものでも良いが、三次元網目状の構造を有するものがより好ましい。また、液晶材料は連続層を形成することが好ましいが、液晶材料の無秩序な状態を形成することにより、光学的境界面を形成し、光の散乱を発現させる上で重要である。
【0089】
このような透明性固体物質から形成された三次元網目状構造の形状の平均径は、光の波長に比べて大きすぎたり、小さすぎる場合、光散乱性が衰える傾向にあるので、0.2〜2μmの範囲が好ましい。また、調光層の厚みは、使用目的に応じ、2〜30μmの範囲が好ましく、5〜20μmの範囲が特に好ましい。
【0090】
本発明の液晶デバイスは、例えば、(1)液晶材料と、高分子形成性化合物と、必要に応じて光重合開始剤との均一溶液を、電極層を有する2枚の基板間に狭持させるか、あるいは、一方の基板上にスピンコーター等のコーターを使用して塗布し、次いで他方の基板を重ねてもよく、これに紫外線を照射するか、あるいは、熱的に重合硬化させる方法、あるいは(2)溶剤と高分子形成性化合物と、必要に応じて光重合開始剤との均一溶液を、少なくとも一方が電極層を有する2枚の基板間に狭持させるか、あるいは、一方の基板上にスピンコーター等のコーターを使用して塗布し、次いで他方の基板を重ねてもよく、これに紫外線を照射するか、あるいは、熱的に重合硬化させる。次いで、電極層を有する基板上に三次元網目状構造を有する透明性固体物質が残存するように2枚の基板を引き離した後、溶剤を取り除き、取り除いた溶剤の代わりに三次元網目状構造中に液晶材料を含ませ、電極層を有する基板を重ね合わせる方法によって製造することができる。
【0091】
このようにして製造された液晶デバイスは、本発明者らが光散乱不透明状態と透明状態を利用する液晶デバイスを構成する液晶材料と透明性固体物質について鋭意検討し、液晶材料を構成する液晶化合物、高分子形成性化合物との相溶性及び重合性組成物の構成の発見により、より低い電圧駆動性やより高い調光層の抵抗値、あるいはより高いコントラスト比等の表示特性を維持向上させると共に、メモリー現象を低減し、白濁性のより均一な表示を達成し、これにより、アクティブ・マトリクス方式に要求される特性を有する液晶デバイスが得られ、例えば、プロジェクション表示装置として利用することを可能とするものである。
【0092】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0093】
なお、以下の実施例及び比較例において「%」は「重量%」を表わす。また、各実施例及び比較例中の評価特性の各々は以下の記号及び内容を意味する。
【0094】
(1)V90、V10
電圧無印加時のデバイスの光透過率(T)を0%とし、 印加電圧の増大に伴って光透過率が変化しなくなったときの透過率(T100) を100%とする時、光透過率90%と成る印加電圧(V)をV90、光透過率10%と成るときの印加電圧をV10とする。
【0095】
(2)コントラスト:
デバイスを測光上から外した状態で、光源の点灯時の光透過率を100%とし、消灯時の光透過率を0%とし、電圧無印加時のデバイスの光透過率をT、 印加電圧の増大に伴って飽和した光透過率をT100とするとき、 T100/Tで表わされる値である。尚、集光角が6゜となる光学装置を用いて測定した。
【0096】
(3)保持率:
デバイスを150℃の温度で1時間エージングした後、温度80℃、フレーム周波数60Hz、ピーク電圧V90、ON状態の時間67μ秒の矩形波を印加し、ON状態で蓄積された電荷をQ、 OFF状態で漏れる電流を高インピーダンス電圧計で測定し、残存電荷をQとしたとき、 (Q/Q)×100で表される値である。
【0097】
(4)TMLC
液晶材料と高分子形成性化合物を均一溶液となるに必要な温度で混合した混合物において、冷却時に等方性液体からネマチック相に転移温度又は相分離する温度とする。
【0098】
なお、 各液晶材料の物性として記載されたTN−Iはネマチック相−等方性液体相転移温度を、△εは誘電異方性を、△nは複屈折率を意味しており、Vthは8μmのTN型液晶デバイスで測定されたしきい値電圧を示したものである。
【0099】
Figure 0003630175
を混合して均一溶液の調光層形成材料を作製した。この液晶材料の物性と調光層形成材料のTMLCは以下の通りであった。
【0100】
液晶組成物(3−1)の組成:
【0101】
【化35】
Figure 0003630175
【0102】
液晶組成物(3−1)の物性:
転移温度 TNI = 89.5℃
屈折率 Δn = 0.199
誘電率 Δε = 8.5
しきい値電圧 Vth = 1.83V
調光層形成材料の転移温度 TMLC = 31.2℃
【0103】
この調光層形成材料を、平均粒径10μmのスペーサーが介在した2枚のITO電極ガラス基板を用いて作製した大きさ50×50mmの空セルに、均一溶液の転移温度TMLCより10℃高い温度の下で真空注入した。 これを、均一溶液の転移温度TMLCより3℃高い温度に保持しながら、 メタルハライドランプ(80W/cm)の下を3.5m/分の速度で通過させ、500mJ/cmに相当するエネルギーの紫外線を照射して高分子形成化合物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスについて、基板間に形成された硬化物の断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ポリマーから成る三次元ネットワーク構造の透明性固体物質が認められた。得られた液晶デバイスは、ムラの無い均一な表示特性を示しており、その諸特性は、以下の通りであった。
【0104】
10 : 3.1 V
90 : 9.6 V
: 0.90%
100 : 82.4 %
コントラスト: 1:92
保持率 : 98.8 %
【0105】
上記液晶組成物(3−1)の結晶相−ネマチック相転移温度は0℃であったが、得られた液晶デバイスは−20〜0℃の温度でも動作した。このような特性は、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して、広い動作温度範囲を示し、かつ均一でむらのない表示特性を達成し、広告板等の装飾表示板や時計等の表示装置、又はプロジェクション表示装置等に有用なものであった。
【0106】
(比較例1)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−a)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスの作製した。
【0107】
液晶組成物(3−a)の組成:
【0108】
【化36】
Figure 0003630175
【0109】
液晶組成物(3−a)の物性は、転移温度TNIが92.9℃である以外、室温で結晶相となり、屈折率Δn、誘電率Δε、しきい値電圧Vthを測定することができなかった。均一溶液の転移温度TMLCは36.4℃であった。 得られた液晶デバイスの特性も、室温で結晶相のような状態であり、測定できなかった。両者において異なる点は、 本発明に係わる一般式(III−3)で表わされる化合物におけるメチル基の有無による僅かに違う液晶材料にもかかわらず、得られた液晶デバイスの表示特性は、動作できる、できないの根本的な違いとなって結果に表れた。
【0110】
(実施例2)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−2)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0111】
液晶組成物(3−2)の組成:
【0112】
【化37】
Figure 0003630175
【0113】
液晶組成物(3−2)の物性:
転移温度 TNI = 85.5℃
屈折率 Δn = 0.212
誘電率 Δε = 9.8
しきい値電圧 Vth = 1.67V
調光層形成材料の転移温度 TMLC = 26.7℃
【0114】
液晶デバイスの特性:
10 : 2.0 V
90 : 6.5 V
: 0.82%
100 : 83.8 %
コントラスト: 1:102
保持率 : 98.2 %
【0115】
上記液晶組成物(3−2)の結晶相−ネマチック相転移温度は−6℃であったが、得られた液晶デバイスは−25〜−6℃の温度でも動作した。このような特性は、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して、広い動作温度範囲を示し、かつ均一でむらのない表示特性を達成し、広告板等の装飾表示板や時計等の表示装置、又はプロジェクション表示装置等に有用なものであった。
【0116】
(実施例3)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−3)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0117】
液晶組成物(3−3)の組成:
【0118】
【化38】
Figure 0003630175
【0119】
液晶組成物(3−3)の物性:
転移温度 TNI = 94.4℃
屈折率 Δn = 0.217
誘電率 Δε = 8.5
しきい値電圧 Vth = 1.90V
調光層形成材料の転移温度 TMLC = 34.6℃
【0120】
液晶デバイスの特性:
10 : 4.9 V
90 : 13.9 V
: 0.61%
100 : 82.5 %
コントラスト: 1:135
保持率 : 98.3 %
【0121】
上記液晶組成物(3−3)の結晶相−ネマチック相転移温度は−5℃であったが、得られた液晶デバイスは−25〜−5℃の温度でも動作した。このような特性は、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して、広い動作温度範囲を示し、かつ均一でむらのない表示特性を達成し、広告板等の装飾表示板や時計等の表示装置、又はプロジェクション表示装置等に有用なものであった。
【0122】
(実施例4)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−4)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0123】
液晶組成物(3−4)の組成:
【0124】
【化39】
Figure 0003630175
【0125】
液晶組成物(3−4)の物性:
転移温度 TNI = 76.4℃
屈折率 Δn = 0.200
誘電率 Δε = 9.2
しきい値電圧 Vth = 1.62V
調光層形成材料の転移温度 TMLC = 19.6℃
【0126】
液晶デバイスの特性:
10 : 7.2 V
90 : 14.6 V
: 0.58%
100 : 82.6 %
コントラスト: 1:142
保持率 : 98.9 %
【0127】
上記液晶組成物(3−4)の結晶相−ネマチック相転移温度は−16℃であったが、得られた液晶デバイスは−30〜−16℃の温度でも動作した。このような特性は、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して、広い動作温度範囲を示し、かつ均一でむらのない表示特性を達成し、広告板等の装飾表示板や時計等の表示装置、又はプロジェクション表示装置等に有用なものであった。
【0128】
(実施例5)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−5)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0129】
液晶組成物(3−5)の組成:
【0130】
【化40】
Figure 0003630175
【0131】
液晶組成物(3−5)の物性:
転移温度 TNI = 92.7℃
屈折率 Δn = 0.208
誘電率 Δε = 10.7
しきい値電圧 Vth = 1.58V
調光層形成材料の転移温度 TMLC = 28.5℃
【0132】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.8 V
90 : 10.3 V
: 0.75%
100 : 81.4 %
コントラスト: 1:109
保持率 : 98.2 %
【0133】
上記液晶組成物(3−5)の結晶相−ネマチック相転移温度は−23℃であったが、得られた液晶デバイスは−35〜−23℃の温度でも動作した。このような特性は、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して、広い動作温度範囲を示し、かつ均一でむらのない表示特性を達成し、広告板等の装飾表示板や時計等の表示装置、又はプロジェクション表示装置等に有用なものであった。
【0134】
(実施例6)
実施例1において、液晶組成物(3−1)に代えて、下記液晶組成物(3−6)を使用した以外は、実施例1と同様にして、均一溶液の調光層形成材料を作製した。この液晶材料の物性と均一溶液のTMLCは以下の通りであった。
【0135】
液晶組成物(3−6)の組成:
【0136】
【化41】
Figure 0003630175
【0137】
液晶組成物(3−6)の物性:
転移温度 TNI = 74.3℃
屈折率 Δn = 0.190
誘電率 Δε = 10.0
しきい値電圧 Vth = 1.63V
調光層形成材料の転移温度 TMLC = 18.0℃
【0138】
この調光層形成材料を、平均粒径10μmのスペーサーが介在した2枚のITO電極ガラス基板を用いて作製した大きさ50×50mmの空セルに、均一溶液の転移温度TMLCより10℃高い温度の下で真空注入した。 これを、均一溶液の転移温度TMLCより3℃高い温度に保持しながら、メタルハライドランプ(80W/cm)の下を3.5m/分の速度で通過させ、 500mJ/cmに相当するエネルギーの紫外線を照射して高分子形成化合物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスについて、基板間に形成された硬化物の断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ポリマーから成る三次元ネットワーク構造の透明性固体物質が認められた。得られた液晶デバイスは、ムラの無い均一な表示特性を示しており、その値は、以下の通りであった。
【0139】
10 : 2.1 V
90 : 9.1 V
: 1.00%
100 : 83.7 %
コントラスト: 1:84
保持率 : 98.8 %
【0140】
上記液晶組成物(3−6)の結晶相−ネマチック相転移温度は−18℃であったが、得られた液晶デバイスは−30〜−18℃の温度でも動作した。このような特性は、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して、広い動作温度範囲を示し、かつ均一でむらのない表示特性を達成し、広告板等の装飾表示板や時計等の表示装置、又はプロジェクション表示装置等に有用なものであった。
【0141】
(実施例7)
「HX−220」19.8%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.2%及び前記液晶組成物(3−6)80%を混合した均一溶液の調光層形成材料を作製した。均一溶液のTMLCは25.4℃であった。
【0142】
以下、実施例6と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの表示特性は以下の通りであった。
【0143】
10 : 3.1 V
90 : 13.6 V
: 1.72%
100 : 83.8 %
コントラスト: 1:49
保持率 : 98.8 %
【0144】
上記液晶デバイスは、実施例6との比較から明らかなように、高分子形成性化合物として単官能性モノマーを用いないで作製したものである。この液晶デバイスにはメモリー現象が発生しており、その原因として液晶材料に一般式(a−8)や一般式(a−9)で表わされる化合物が含有していることによると思われる。駆動電圧やコントラストの表示特性において、実施例6には及ばなかったが、保持率や動作温度の点で、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して改善されており、有用なものであった。
【0145】
(実施例8)
実施例6において、液晶組成物(3−6)に代えて、下記液晶組成物(3−7)を使用した以外は、実施例6と同様にして液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。得られた液晶デバイスの諸特性は以下の通りであった。
【0146】
液晶組成物(3−7)の組成:
【0147】
【化42】
Figure 0003630175
【0148】
液晶組成物(3−7)の物性:
転移温度 TNI = 71.9 ℃
屈折率 Δn = 0.195
誘電率 Δε = 12.3
しきい値電圧 Vth = 1.45V
調光層形成材料の転移温度 TMLC = 15.5℃
【0149】
液晶デバイスの特性:
10 : 3.0 V
90 : 11.9 V
: 0.99%
100 : 81.4 %
コントラスト: 1:82
保持率 : 98.2 %
【0150】
上記液晶組成物(3−7)の結晶相−ネマチック相転移温度は4℃であったが、得られた液晶デバイスは−20〜4℃の温度でも動作した。このような特性は、従来の光散乱形液晶デバイスと比較して、広い動作温度範囲を示し、かつ均一でむらのない表示特性を達成し、広告板等の装飾表示板や時計等の表示装置、又はプロジェクション表示装置等に有用なものであった。
【0151】
【発明の効果】
本発明の液晶デバイスは、液晶材料を構成する液晶化合物、高分子形成性化合物との相溶性及び重合性組成物の構成の発見により、より低い電圧駆動性やより高い調光層の抵抗値、あるいはより高いコントラスト比等の表示特性を維持向上させると共に、メモリー現象を低減し、白濁性のより均一な表示を達成し、アクティブ・マトリクス方式に要求される特性を有する液晶デバイスが得られ、例えば、プロジェクション表示装置として利用することを可能としたものである。

Claims (9)

  1. 透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶デバイスにおいて、前記液晶材料が、(A)一般式(I)
    Figure 0003630175
    [式中、R 1 は炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
    Figure 0003630175
    (式中、m及びnは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X 1 はフッ素原子、塩素原子又はトリフルオロメチルを表わし、X 2 及びX 3 は各々独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。]で表わされる化合物及び(B)一般式(III−1)
    Figure 0003630175
    [式中、R31は炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
    Figure 0003630175
    (式中、r及びsは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わす。]で表わされる化合物、一般式(III−2)
    Figure 0003630175
    (式中、R32及びR34は各々独立的に炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
    Figure 0003630175
    (式中、r及びsは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わす。]で表わされる化合物及び一般式(III−3)
    Figure 0003630175
    (式中、R33は炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
    Figure 0003630175
    (式中、r及びsは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、kは0又は1を表わし、R35は、kが0の時、炭素原子数が1〜7の直鎖状アルコキシ基を表わし、kが1の時炭素原子数が1〜5の直鎖状アルキル基又はアルコキシ基を表わす。)で表わされる化合物から成る群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする液晶デバイス。
  2. 透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶デバイスにおいて、前記液晶材料が、(A)一般式(I)
    Figure 0003630175
    [式中、R 1 は炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
    Figure 0003630175
    (式中、m及びnは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X 1 はフッ素原子、塩素原子又はトリフルオロメチルを表わし、X 2 及びX 3 は各々独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。]で表わされる化合物及び(B)一般式(IV)
    Figure 0003630175
    [式中、R4は炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
    Figure 0003630175
    (式中、t及びuは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X6、X7及びX8は各々独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。]で表わされる化合物を含有することを特徴とする液晶デバイス。
  3. 透明性電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に挟持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する光散乱形液晶デバイスにおいて、前記液晶材料が、(A)請求項1記載の一般式(I)で表わされる化合物、(B)一般式( II
    Figure 0003630175
    [式中、R 2 は炭素原子数が2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又は一般式
    Figure 0003630175
    (式中、p及びqは各々独立的に1〜5の整数を表わす。)で表わされるアルコキシアルキル基を表わし、X 4 及びX 5 は各々独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。]で表わされる化合物及び(C)請求項記載の一般式(III−1)〜(III−3)で表わされる化合物から成る群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする液晶デバイス。
  4. 液晶材料が、請求項記載の一般式(IV)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項1又は3記載の液晶デバイス。
  5. 液晶材料が、請求項3記載の一般式( II )で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項2記載の液晶デバイス。
  6. 液晶材料が、(A)請求項1記載の一般式(I)で表わされる化合物、(B)請求項記載の一般式(II)で表わされる化合物、(C)請求項記載の一般式(III−1)〜(III−3)で表わされる化合物及び(D)請求項記載の一般式(IV)で表わされる化合物のシクロヘキサン環に存在する水素原子(H)が1個以上重水素原子(D)に置換された化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とする請求項3記載の液晶デバイス。
  7. 前記液晶材料が連続層をなし、該連続層中に前記透明性固体物質が均一な三次元網目状構造を形成した調光層であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の液晶デバイス。
  8. 前記透明性固体物質が、高分子形成性2官能性モノマー及び単官能性モノマーを含有した重合性組成物から形成することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の液晶デバイス。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の液晶デバイスを用いた液晶表示装置。
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