JP3979096B2 - 半導体素子の駆動装置ならびにそれを用いた電力変換装置 - Google Patents

半導体素子の駆動装置ならびにそれを用いた電力変換装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の駆動装置とそれを用いた電力変換装置とに係わり、特に半導体素子が導通,遮断する過渡期に発生する過電圧サージを小型の素子により低損失かつ高精度に抑制でき、集積回路化が可能な半導体素子の駆動装置とそれを用いた電力変換装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
電池を電源とし誘導負荷を使用する電力変換装置の駆動装置が、特開2001−217697号公報に記載している。この従来技術の駆動回路では、主電流を通流或いは遮断(以下スイッチングと呼ぶ)するパワー半導体素子の駆動装置が、制御電圧に応じて第1の抵抗を変化させる第1の抵抗可変手段と、第1及び第2端子間の電圧に応じて第2の抵抗を変化させる第2の抵抗可変手段とを備え、制御電源の電圧或いは第1及び第2端子間の電圧のいずれか一方を第1の抵抗と第2の抵抗で分圧すると共に、分圧した電圧を主電流の通流或いは遮断時に制御ゲート端子に印加して、電流下降期間に生じるサージ電圧を安定に抑制低減している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術には、サージ電圧を抑制する駆動回路をいくつか開示しているが、そのいずれの回路も回路を構成する素子の損失や、素子自体のサイズが大きく集積化は困難である。例えば前記特開2001−217697号公報に記載の実施例である図13では、主電流の遮断時に第1の抵抗可変手段に相当する直列接続したR2,M4,M2の直列抵抗が大きくなり、ツェナーダイオードの損失が減少するとしている。しかし大きな主電流を制御する場合、半導体素子Q1に入力容量Cissの大きな素子を使用するため、この可変抵抗では電流を制限できない。この理由を図14を用いて説明する。
【0004】
図14に示すように、サージ電圧を抑制する動作は、サージ電圧の上昇時にツェナーダイオードZD2が降伏しツェナー電流Izが流れることで、制御電圧Vgsが上昇し主素子の抵抗を下げるので、半導体素子Q1に流れる電流を増加させ、サージ電圧を発生させる寄生インダクタンスLsに蓄えられたエネルギーを主半導体素子Q1で吸収することによる。このためサージ電圧の抑制時には制御電圧Vgsが上昇し、主半導体素子の入力容量を通してIgc=Ciss×dVgs/dtの貫通電流が流れる。この電流はサージ電圧抑制を高精度に実施するため、高速にVgsを上昇させればさせるほど増加する。また電力変換装置の損失を下げるため、低いオン抵抗の主半導体素子を使用する場合も、入力容量Cissが増加するために同様にIgcが増加する。このIgcが増加すれば当然ゲート電圧を上昇させるために必要なIzも増加する。さらに、ツェナーダイオードZD2の降伏電圧Vzは主電源電圧VBより高く設定されるため、ZD2で瞬間的に発生する電力Vz×Izが非常に大きくなる。前記従来技術では、実際の装置を作製するにはツェナーダイオードで数Wもの大きな損失が発生するため、許容熱損失が大きな大型の素子を使用する必要がある。
【0005】
また、図13のMOSFET M4,M2は主電流遮断時の制御端子T2をT3に短絡し、制御端子の電圧を放電するスイッチとして機能する。しかし、直列に接続しているMOSFET M4,M2の放電時の抵抗を低くする必要があるので、MOSFET M4,M2の素子サイズが大きくなる。なお、この従来技術では素子サイズを小さくする別の回路構成も開示しているが、依然として素子サイズや損失が大きい。このように前記従来技術では損失や素子サイズが大きいため、駆動回路の集積化が困難である。
【0006】
さらに、前記従来技術では、制御電圧に応じて第1の抵抗を変化させる第1の抵抗可変手段を用いている。通常、主半導体素子は、しきい電圧値のばらつきや温度変動があるため、制御電圧に応じて前記第1の抵抗を変化させると主半導体素子の高精度な制御が不可能であり、安定してサージ電圧を低減することが困難である。
【0007】
本発明の目的は、半導体素子が導通,遮断する過渡期に発生する過電圧を小型の素子により低い損失かつ高い精度で抑制でき、集積回路化が容易な電力半導体素子の駆動装置ならびにそれを用いた小型で低い損失の電力変換装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の半導体素子の駆動装置は、電圧サージ抑制時に、制御端子に流れる電流を制限する要素と、主半導体素子の遮断時に制御端子の電圧を放電する回路に流れる電流を制限する要素と、前記電流により駆動回路内で発生する損失を低減する要素を設ける。さらに前記の駆動装置で高精度に過電圧を抑制し、駆動される主半導体装置の耐電圧を最適化して電力変換装置の損失を低減する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の回路エレメント、同部分は同一の番号,符号で表記する。
【0010】
(実施例1)
図1に、本実施例の半導体素子の駆動装置を備えた電力変換装置を示す。図1で、符号1は制御用ゲート端子Gを持つnチャネルMOSFET M1、2は主回路の電源VB、3はインダクタンスL、4はサージ電圧の抑制時にMOSFET M1のゲート電極に流れる電流を制限する要素A、5は主半導体素子であるMOSFET M1の遮断時に制御端子の電圧を放電する回路に流れる電流を制限する要素F、6はMOSFET M1のドレインー端子Dの過電圧サージを検知した場合に電流を流し、過電圧を抑制する機能を持つ電流源Bである。ここで電流源Bは前記電流により駆動回路内で発生する損失を低減する要素を備えている。符号7は主半導体素子の駆動回路の主電流の遮断ならびにサージ電圧の抑制に係わる駆動回路を示す。符号8はスイッチ手段であり、MOSFET M1を導通状態(オン)から遮断状態(オフ)に遷移させる場合に、スイッチがオンし、制御電極Gの電圧を放電させてMOSFET M1をオフにする。
【0011】
次に図1の回路の動作を説明する。スイッチ手段8がオンし、MOSFET M1がオンからオフ状態に遷移するとき(以下ターンオフと呼ぶ)、インダクタンスLに蓄えられたエネルギーによりL×dId/dtの過電圧サージがドレイン端子Dに発生する。この過電圧を電流源Bが検知し要素A及び要素Fに電流を注入すると、ゲート端子Gの電圧Vgsが上昇しMOSFET M1がオンする。これにより、MOSFET M1の抵抗が下がり主電流が流れて過電圧サージが抑制される。以下これをクランプ動作と呼ぶ。このとき要素A及び要素Fにより、過電圧を抑制する際に駆動回路7内で流れる電流が非常に小さな値に制限される。またクランプ動作時に電流が駆動回路から流れ出る経路がないために、駆動回路内の損失が非常に少なくなる。さらに電源Bが備えている駆動回路内の損失を低減する要素の働きにより、同一の電流であっても駆動回路内で発生する損失がさらに低減される。
【0012】
以上のように本実施例によれば、過電圧サージを抑制する機能を低い損失で実現できるので、駆動回路を容易に集積化できる。
【0013】
(実施例2)
図2に本実施例の各要素の具体的な構成を示す。図2において、符号10は制御端子Gへ接続した抵抗R1、11は可変抵抗R2であって、入力信号もしくは、ドレイン−ソース間電圧Vdsに応じて抵抗値が変化する。符号12はゲート電圧の放電回路として機能する可変抵抗手段であり、13は主電源VBより低い電圧VDCの電源14に接続した電流源であり、サージ電圧発生時のドレイン−ソース間電圧Vdsが所定のクランプ電圧Vclamp以下になるように電流を流す。符号15は入力信号で主半導体素子を導通(オン)させるスイッチで、
16の電源VBGに接続している。なおVDCとVBGとは同じ電源であっても良い。
【0014】
本実施例の基本動作は実施例1と同じであるが、以下の点が異なる。クランプ動作時のゲート電極Gに流れる突入電流Igc=dVgs/dtを制限する要素Aとして抵抗R1を用いている。この抵抗R1はMOSFET M1のターンオフの速度調整用のゲート抵抗としても機能する。また、本実施例では実施例1の要素Fの代わりに、入力信号もしくは、ドレイン−ソース間電圧Vdsに応じて抵抗値が変化する機能を持つ回路を用いている。要素Fは駆動回路のグランド電極に相当するM1のソース電極に接続しているため、グランドに流れる電流を制限し、駆動回路の損失を低減するには比較的大きな抵抗が必要となる。しかし、要素Fに固定抵抗を用いると、ターンオフ時のゲート電圧の減衰が遅くなり、スイッチング時間が許容範囲を超えてスイッチングの損失の増加や、波形の歪などの電力変換機の制御精度が劣化する。
【0015】
このため本実施例では抵抗R2をスイッチング開始時は低抵抗であるが、クランプ動作により駆動回路の損失が発生する時点で高抵抗に切換わるよう制御し、スイッチング時間の不必要な増加を避けている。また、抵抗R2の値の切換えを入力信号もしくは、ドレイン−ソース間電圧Vds値で判定しているため、スイッチングによるサージの発生開始時期を正確に判定できる。このためより高い精度で駆動回路の損失を低減できる。さらに、クランプ動作時には抵抗R2の値が高抵抗となるので、より多くの電流が抵抗R1を通じてゲート電極に流れ込むため、ゲート電圧Vgsの上昇が早くなり、クランプ動作速度が向上する。このためより高速なサージ電圧に対しても高い精度で過電圧を抑制できる。
【0016】
なお、本実施例で要素Aに抵抗R1を用いている理由は、過渡的なIgc=Ciss×dVgs/dtの突入電流が防止できればよいので、抵抗R1は比較的小さな値ですみ、必ずしも要素Fのように可変抵抗である必要がないためである。
【0017】
本実施例ではクランプ動作時にゲート電極に電流を注入する電流源13に主電源VBより低い電圧VDCの電源14から電流を供給しているが、これは先の要素Bに相当する。このとき電流源13の両端の電圧は、VDC−VR1である。そこで、クランプ動作時の電流源13の電流が図14の従来技術のクランプ動作時の電流IBがIzと等しいとすると、電流源13の消費する瞬時電力は(VDC−VR1)×Izとなる。一方、図14の従来技術ではツェナーダイオードで消費する瞬時電力はVz×Izである。従って、本実施例では従来技術に比べ損失が(VDC−VR1)/Vzになる。
【0018】
ここで通常Vzは主電源電圧VBの数倍程度であることと、電源電圧VDCをVBに比べ小さいこと、VR1は通常正の値であることから、本実施例では従来技術の1/2〜1/10程度まで損失を低減できる。実際には、先に述べた要素A、要素Fの働きによりIBはIzの1/10以下になるため、本実施例では駆動回路のクランプ動作にかかわる損失を従来技術の1/20〜1/100以下にでき、従来技術で発生した数W程度の損失は、数10mW程度に低減する。従って、サージ抑制に係わる駆動回路を半導体素子に容易に集積化できる。
【0019】
なお、要素Aである抵抗R1では、ゲート駆動の電源電圧Vgb、スイッチングのキャリア周波数をfとすると、Ciss×Vgb2×fの損失が生じるので、Vgbやfが大きな場合は抵抗R1を集積回路に外付けすればよい。
【0020】
(実施例3)
図3に本実施例を示す。図3(a)で符号20はツェナー型もしくはアバランシェ型の定電圧ダイオードであり、その降伏電圧Vzは、クランプ動作時にMOSFET M1のドレイン−ソース間電圧がクランプ電圧Vclampとなるように設定している。符号21はダイオードであり、22は抵抗R3、23は定電圧ダイオード20の電流を検知により電流を流す電流源を示す。図3(b)は電流源23の構成例を示し、符号24はノーマリーオフ型のnチャネルMOSFET MB、25はnpnトランジスタQB1、26はpnpトランジスタQB2である。ここでMOSFET MBのゲートはQB1とQB2とによるプッシュプル構成のバッファー回路で駆動される。またQB1とQB2のベースは抵抗R3に接続する。
【0021】
この回路は、ドレイン−ソース間電圧Vdsの上昇により定電圧ダイオードの降伏電圧を超える電圧が印加されると、ダイオード21を経由して抵抗R3に電流が流れる。この電流により抵抗R3の電圧が上昇し、バッファー回路QB1がオンする。ここで電源VDCからQB1を経由してMBのゲートへ電流が注入され、ゲート電圧が上昇してMBがオンする。これにより電源14からMBを経由してM1のゲート端子に電流が注入され、クランプ動作が生じる。サージ電圧の抑制後は、定電圧ダイオードの電流が流れなくなるため、QB1がオフ、QB2がオンとなりMBのゲート電圧が放電されMBもオフし電流源23の電流は遮断され、クランプ動作が完了する。
【0022】
本実施例では、抵抗R3を設けて定電圧ダイオード20の電流を制限する。なお、定電圧ダイオード20にはクランプ開始時にQB1を通りMBの入力容量を流れる貫通電流が流れるが、MBの入力容量はMOSFET M1に比べ無視できるほど小さいので、貫通電流も非常に小さい。このため定電圧ダイオード20,ダイオード21,抵抗R3に流れる電流は非常に少なく、損失の発生は無視できる。
【0023】
過電圧の検知手段は、ドレイン電圧を抵抗で分圧し、その電圧値から過電圧を検知する方法があるが、この方法では、抵抗の損失を避けるために値が大きな抵抗を用いる必要があるので、分圧抵抗の電圧から過電圧を判定する回路の入力インピーダンスを非常に大きくする必要がある。そのために複雑な増幅器が必要となり、またその結果回路の応答遅延が大きくなりクランプに遅れが生じ、サージ電圧の安定した抑制が難しい。
【0024】
一方、本実施例の過電圧の検知回路では電圧検出に定電圧ダイオードの降伏電流を利用しているため、先の抵抗分圧方法と違い、サージのクランプ時以外は損失が生じない。またクランプ動作時には定電圧ダイオードのインピーダンスが大幅に低下するため、過電圧を判定する回路の入力インピーダンスが低くても駆動できる。このため図3(b)に示すように、判定回路のQB1,QB2,MBに入力インピーダンスが低い比較的容量の大きな素子を使用できるため、回路の段数が少ない簡便で高速な過電圧の判定回路が利用でき、高い精度で安定したクランプ動作が期待できる。電流源23の回路には、図3(b)に示す構成のほかに、ダーリントン接続したバイポーラトランジスタや、MOSFETなどでもよい。もちろん単体のバイポーラトランジスタや、MOSFETなどの素子で構成してもよいが、定電圧ダイオードの電流のみで、電流源を構成する素子を駆動するためにその電流が大きくなるので、図3(b)より損失が大きくなり、またクランプ動作の応答が遅延するので、M1が比較的小さな素子の場合に利用するればよい。
【0025】
さらにクランプ電圧の設定値を高精度化したり、クランプ電圧の温度補償をして一層安定したクランプ動作を実現するために、定電圧ダイオード20を複数の定電圧ダイオードに置換えたり、ダイオード21を複数のダイオードとしたり、またそれらの組み合わせとしても良い。もちろん定電圧ダイオード20の代わりに同等の特性を持つ非線型素子を用いても良い。
【0026】
(実施例4)
図4は本実施例であり、図1に示した電流を制限する要素Fもしくは、図2に示した可変抵抗R2の制御方法を示す。図4のように入力信号に遮断指令が入力されると一定の遅延時間の後、電流Idがターンオフし、ドレイン−ソース間電圧Vdsが上昇する。本実施例では、ドレイン−ソース間電圧Vdsを検知しその値が、主電源電圧VB以下のある一定値Von(Io)を越えた場合に、可変抵抗R2の抵抗値を増加する。本実施例では、サージ電圧が発生するドレイン−ソース間電圧Vdsそのものを検知するので、ゲート−ソース間電圧Vgsで判定する場合に問題となるM1のしきい値や入力容量ばらつき、ゲート抵抗の変動等の影響がないので、クランプ動作の発生以前にR2が確実に高抵抗となるため、クランプ動作の安定性の向上やR2,電流源23,定電圧ダイオード20,R1の損失の確実な低減ができる。
【0027】
ここで前記Von(Io)はM1が定格電流通流時のオン電圧Vonに対し2倍以上に設定すればよい。これはVon(Io)がオン電圧Vonに近いと、遮断指令からターンオフ動作の開始期間までの間にノイズやターンオフ開始以前の若干のドレイン−ソース間電圧Vdsの増加により、ドレイン−ソース間電圧Vdsの上昇開始と誤判定されてしまい、高抵抗に変化したR2のためにターンオフ遅延時間が許容値を越えることを回避するためである。
【0028】
なお、R2の抵抗の増加後の値は増加前の10倍〜100倍がよく、主電流のスイッチング遅延時間や、駆動回路の許容損失により適宜調整すればよい。また、図4ではR2の変化は1段階であるが、R2を複数段階もしくは連続的に変化させて制御の精度を高くできる。図4中、入力信号が導通状態では前記実施例1〜3のスイッチ手段8に相当する部分がオフ状態となるため、抵抗値は特に明記していない。
【0029】
(実施例5)
図5は本実施例の可変抵抗R2の制御方法を示す。本実施例では、ドレイン−ソース間電圧Vdsによらず、入力信号の遮断指令値からの時間で判定するので、特にインバータ型の電力変換装置に有効である。本実施例ではR2は遮断指令開始から、電力変換装置の最大ターンオフ遅延時間Toff時間以降かつ、非オーバーラップ期間Tdまでの間にR2の値を高抵抗に変化させる。ここで非オーバーラップ期間とはインバータの対になった主半導体スイッチング素子が共にオフ状態になる期間である。本実施例の制御方法は主半導体装置の直列接続したインバータの対アーム主半導体素子が、非オーバーラップ期間後に導通状態へ変化(以下ターンオンと言う。)して、該当の主半導体装置のドレイン−ソース間電圧Vdsにリカバリーノイズが発生する場合に有効である。
【0030】
図8(c)を用いてリカバリー動作を説明する。図8(c)は図3の半導体駆動装置を適用したインバータ型の電力変換装置である。図8(c)で、符号54は該当する主半導体素子M11、53は54と対になる主半導体装置M12、55と7とは同じ駆動回路、56は主回路の寄生インダクタンス、57は誘導負荷Lm、58は還流する主電流、59はターンオンする主電流をそれぞれ示す。インバータの動作中、M12がオフになるとM11を通して(1)に示す主電流58が還流する、その後M12が入力指令により再度オンする場合、先にM11がオフし電流は図8(c)に記載したM11の内蔵ダイオードを流れる。次に、先の非オーバーラップ期間Td経過後、M12がオンし、(1)の経路から(2)の経路へとターンオンする主電流59の転流が生じると、M12のターンオンが高速なため、内蔵ダイオードの電流変化が急峻となりその結果、ドレイン−ソース間電圧VdsにLs×dI/dtのサージ電圧すなわちダイオードリカバリーノイズが重畳する。この電圧サージは非常に急峻なため、ドレイン−ソース間電圧Vdsの検知による抵抗切換えだけでは追従できない場合がある。
【0031】
本実施例の場合、ダイオードリカバリーによる電圧サージが発生する以前にR2が高抵抗になるので、急峻なサージ電圧にも容易に追従でき確実なクランプ動作ができる。もちろん本実施例と実施例4と併用しても何ら問題ない。
【0032】
(実施例6)
図6は本実施例の可変抵抗R2の制御方法を示す。図6(a)はR2の抵抗を変化するタイミングを検出する回路を示す。図6(a)で、30はコンデンサC1、31は抵抗R4、32は抵抗R5、33はコンパレータ回路、34はAND型論理回路、35はリファレンス電源Vref、36は微分回路、37は抵抗を変化させるタイミングの判定回路である。ターンオフスイッチングの波形を詳細に検討した結果、図6(b)に示すように、ドレイン−ソース間電圧Vdsに電圧上昇が発生すると同時に、ゲート電圧Vgsの微分dVgs/dtに大きな変動が生じることがわかった。本実施例ではこのdVgs/dtを、ゲート電圧Vgsを微分回路36で電圧信号VR4として検出し、このVR4を判定回路37で適当なリファレンス電圧Vrefと比較して、ドレイン−ソース間電圧Vdsのサージ電圧発生タイミングを予測し、Voutをハイレベルにする。このVoutの変化に対応して、R2を高抵抗に変化させれば、図6(b)に示すようにドレイン−ソース間電圧Vdsに過電圧サージが発生する前にR2の抵抗切換えができる。また、リカバリー動作時の通常非オーバーラップ期間が経過する前にゲート電圧Vgsが低下しゲート電圧Vgsの微分dVgs/dtが小さくなるため、VR4はリファレンス電圧Vrefより大きくなりR2は高抵抗に変わるため、リカバリーの急峻なサージ電圧にも容易に追従でき確実なクランプ動作ができる。また本実施例の場合、素子特性の変動による影響が小さく安定したクランプ動作ができる。なお、ノイズ等の影響による判定を避けるため、フィルター回路やラッチ回路,ヒステリシス回路等を併用して高信頼なクランプ動作ができるようにしてもよい。
【0033】
(実施例7)
図7は本実施例の可変抵抗手段12を示す。図7(a)で、40,41,42はそれぞれMOSFET M2,M3,M4を示し、43は抵抗R6、44は抵抗切換えの判定回路、46,47は可変抵抗手段の端子を示し、端子46はM1のゲート端子側に、端子47はソース電極側にそれぞれ接続する。図7(a)に示す回路では図7(b)に示すように、主半導体素子を駆動する入力信号が遮断指令となった場合に、M2,M3,M4はゲート電圧VGM2,VGM34 が上昇しオンになる。このため抵抗R2に相当する抵抗はMOSFETのオン抵抗と抵抗R6との合成抵抗値となる。その後、抵抗切換え判定回路の判定結果によりM3,M4がオフになると、抵抗R2に相当する抵抗がR6とM2の抵抗の合成抵抗になるので抵抗値が上昇する。本実施例によれば、抵抗の切換え時のオーバーラップ期間等を考慮する必要がなく、またスイッチ手段と抵抗とが兼用できるため素子を小型化できる。本実施例では図7(a)のような、MOSFETと抵抗R6の場合を示すが、この構成に限定されるものではなく、同様の抵抗の変化が可能なものであればよい。また複数のMOSFETを用い、条件に応じてオン,オフするMOSFETを変えてR2の抵抗値を多段階に変化させれば、さらに低損失で高精度のクランプ制御ができる。
【0034】
(実施例8)
図8は、本実施例で、主半導体素子のゲート電極に流れる電流を効率的に制限し、リカバリー時のクランプ動作を高精度にする方法を示す。図8(c)に、本実施例のインバータ型の電力変換装置の回路の一部を示す。本実施例では、M11のゲート電極に流れる電流を制限する抵抗R1を、図8(a)に示すVgc以下の電圧領域で高抵抗を示す非線型素子または回路としている。ここで図8(a)に示すように、前記非線型素子のVgc以下の電圧領域の抵抗値は、Vthの抵抗値の1.5倍 以上、好ましくは2倍以上の値である。図8(a)に示す特性のR1を用いると、図8(b)に示すように、ゲート電圧Vgsは時間の経過と共にほぼVgcになる。
【0035】
このためM11がリカバリーする場合、M11がオフを開始して非オーバーラップ期間Td経過後に、下アームのM12がオンし、M11の内蔵ダイオードがリカバリー動作するが、このときのゲート電圧VgsはVgcの値となり、R1が固定抵抗の場合に比べ高い電圧に維持される。クランプ動作が発生した場合、本実施例の場合ゲート電圧が予め高くなっているので、より早くVgsがVth以上の所定の値まで増加し、高速にアクティブクランプ動作が開始される。このためリカバリー時の高速なサージに追従しやすい。またこのとき駆動回路の電流源23の両端の電圧は、Vgsが0Vまで低下しているR1が固定抵抗の場合に比べVgcだけ減少することと、クランプ動作開始までに電流源23から供給すべき電流が減少することとから、電流源23の損失が低減する。なお、適当な電源からゲートに電流を注入したり、R1を可変抵抗としてもよい。
【0036】
また、リカバリー開始の時点で、ゲート電圧VgsがM11のしきい値Vthより高い場合はM11,M12が同時にオンし短絡電流が流れ、損失の増加や、素子破壊の危険がある。このため図8(a)に示すように、Vgcはしきい値Vthより低く設定する(Vgc<Vth)必要がある。なお、R1を固定抵抗とした場合でも、R1の抵抗値を大きくすれば本実施例に近い効果が得られるが、ターンオフ遅延時間が増加する。
【0037】
また高いしきい値Vthを持つ素子で、リカバリー時の過電圧サージをアクティブクランプする場合、ゲート電圧Vgsの上昇幅が大きく、クランプ動作の遅延や、駆動回路の損失の増加が顕著になるが、適切なVgcの値を持つ非線型抵抗R1を使うことによって回避できる。例えば、より高いVthのMOSFETを使い、素子のターンオンの速度を遅くして、リカバリー時のサージ電圧の発生を低減できる。
【0038】
(実施例9)
図9に本実施例を示す。図9で、50はダイオードD1,51は抵抗R7を示す。M1のターンオフ時にゲート電圧VgsはR1と可変抵抗手段12とを通って放電されるが、ゲート電圧VgsがダイオードD1のしきい値電圧Vtd(〜0.7V)に達すると、ダイオード50の抵抗が増大し、図8(a)に示す特性になる。またダイオードD1を複数のダイオードを接続した構成にすればVgcの値を必要な値に設定できる。また、ダイオードD1のしきい値電圧Vtdは安定しており、さらにその温度係数は一般にM1のしきい値電圧Vthの温度係数と同程度で符号も負で等しいから、広い温度範囲でVgc<Vthの条件を満たす。このため、図8(a)に示す特性を安定して実現できる。また、本実施例ではクランプ動作時に電流源23からR10に注入される電流は、ダイオードD1が逆バイアスになるために極めて少なくなり、電流源23の損失が大幅に低減する。
【0039】
(実施例10)
図10は、本実施例の駆動装置によって電力変換装置の損失を最小とする方法を示す。図10(a)はインバータ型電力変換装置の主半導体素子の電流−電圧波形で、損失の発生の説明図である。発明者の検討の結果、電源電圧VB,クランプ電圧Vclamp,主回路インダクタンスLsの場合、1回のターンオフ時のクランプ動作で発生する損失Ecは、近似的に下記の(数1)式で求まることが分かった。
【0040】
Ec=1/2×Ls×I2×Vclamp/(Vclamp−VB)…(数1)
また主半導体素子のオン抵抗をRonとすると主半導体素子で発生する瞬時損失Eonは(数2)式である。
【0041】
Eon=I2×Ron …(数2)
ここで、主半導体素子としてパワーMOSFETを考え、さらにインバータがピーク電流Ioの正弦波を出力する動作を考えると主半導体素子の全損失Pは、キャリア周波数をfとすると(数3)式で与えられる。
【0042】
P=1/4×Io2{Ron+f/2×Ls×Vclamp/(Vclamp−VB)} …(数3)
ここで、スイッチング損失はクランプ損失に比べ充分小さく無視できるとした。またVclampが素子耐圧Vに等しくできれば、Ronは素子耐圧の関数Ron(V)で表されるから、全損失の電圧変化率は(数4)式で与えられる。
【0043】
dP/dV=1/4×Io2{dRon(V)/dV−f/2×Ls×VB/(V−VB)2} …(数4)
(数4)式において、一般にdRon(V)/dVは正であり、またf/2×
Ls×VB/(V−VB)2 は正であるがV=VB付近で無限大で、Vの増加により減少するからdP/dVはVがVB以上では負から正に代わり、Pの電圧依存性は下に凸となる。このためdP/dV=0となる電圧Vでは全損失Pが最小となる。(数4)式からこのときのVは、次の(数5)式を満たす。
【0044】
dRon(V)/dV=f/2×Ls×VB/(V−VB)2 …(数5)
そこで、Vclampを(数5)式を満たす電圧Vの近傍の値とし、主半導体素子の耐圧はその電圧より若干高く設定すれば、インバータの損失を最小にできることがわかる。
【0045】
ここで、42Vバッテリー自動車のインバータ型電力変換装置で損失を最小とする方法を説明する。42V自動車の電源電圧の標準仕様では、常用最大電圧50V,異常時の最大電圧58Vである。これを考慮すると、電力変換機の主半導体素子はパワーMOSFETとなる。ここでパワーMOSFETのRonの耐圧依存性と、前記(数3)式でVB=50Vとし、インバータの全損失を計算すると図10(b)に示すようになり、損失が最小となる点がある。この損失が最小となる点が前記(数5)式の条件を満たす場合である。損失を最小にするVclampは主回路インダクタンスLsが、10〜数10nHの範囲では、おおよそ60V〜80Vが望ましく、Vclampの値を前記(数5)式を満たす電圧Vの前後10〜25Vの範囲にすればよい。なおこの場合、クランプ電圧が電源電圧VB(最大58V)に近いため、クランプ動作期間が長くなり駆動回路の損失が増大してしまうが、本実施例の駆動回路であれば損失が非常に少ないため、クランプ電圧を低くでき、その結果クランプ電圧の最適化によって損失が低減できる。また本実施例では非常に高精度かつ安定してクランプ動作ができるので、主素子の耐圧をクランプ電圧の直近まで低減でき、大幅な損失低減ができる。
【0046】
なお、ここではアクティブクランプによるインバータ型電力変換装置の損失低減について説明したが、他の電力変換装置、例えばソレノイド負荷を駆動用する電力変換装置の場合も同様に損失低減の最適化ができる。
【0047】
(実施例11)
図11は、本実施例の半導体素子の駆動装置を1チップに集積化する際のチップならびに制御回路基板、3相インバータモジュールの構成を示す。図11で、60は3相モーター、61,63,65はそれぞれ順にU,V,W相上アームのパワーMOSFET Q1,Q3,Q5であり、62,64,66それぞれ順にU,V,W相下アームのパワーMOSFET Q2,Q4,Q6である。67は電源用コンデンサC、68は駆動回路基板、69は制御用入出力信号、78は本発明の駆動回路により構成した1チップの3相インバータ駆動用集積回路、70はその制御用入出力回路部、71,73,75は順にU,V,W相上アームの駆動回路部、72,74,76は順にU,V,W相下アームの駆動回路部を示し、それぞれが駆動するパワーMOSFETと配線で接続している。77はパワーモジュール、79は双方向レベル変換回路である。
【0048】
本実施例では、6つのパワーMOSFETを個別に駆動する6つの駆動回路を1チップに集積しており、各駆動回路の相対的な位置関係は、集積回路周辺沿面方向の順序がその駆動する各パワーMOSFETのそれと等しくなるように配置している。また、1つの駆動回路が並列接続した複数の素子を駆動する場合には、前記位置関係は、並列接続した素子の制御端子の位置に対して等しくなるように配置している。さらに、制御用入出力回路部70は、上アームの駆動回路の間以外の領域に設けられており、入出力の制御信号は双方向のレベルシフト回路により伝達される。
【0049】
本実施例の駆動回路によれば集積化により、駆動回路とパワーMOSFETとの間の部品がほとんど無くなるため、駆動配線の距離を最小にすることができ、他の相との相互作用を最小限に抑えられる。なお実装する場合には、3次元的に駆動回路基板68を、パワーモジュール77の上に形成して、基板上の駆動配線の交差を回避できる。さらに制御用入出力配線も、ノイズの原因となるゲート駆動配線や高電圧の上アーム配線から離して形成できるので誤作動し難くなる。このように本実施例により小型かつ高信頼な駆動回路ならびに3相インバータ装置が実現できる。
【0050】
(実施例12)
図12は、電力変換装置を備えた42Vマイルドハイブリッド電気自動車の実施例を示す。図12で、80はインバータ、81は主半導体装置、82は駆動回路、83はマイコン、84はインターフェイス、85はDC/DCコンバータ、86は14Vバッテリ、87は電動ミラー、88は14V系に接続したコントローラ、89は電動式のパワーステアリング、90は電動バルブ、91は42Vバッテリ、92はエンジン、93はモータ・ジェネレータ、94は変速機、95は動力伝達装置、96は車内LAN、97は42V系のライトを示す。
【0051】
本発明の電力変換装置は、インバータ80やDC/DCコンバータ85,電動バルブ90,42V用ライト駆動装置など、14V系も含めすべての電装品で有効である。特に図12に示すモータージェネレータ93駆動用のインバータ80の場合、損失を低減した本発明の電力変換装置によれば、アイドリングストップや、回生発電,アシスト走行の変換効率が向上し、燃料消費量が少なく、また排出ガスの清浄な自動車が実現できる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、過電圧サージを小型の素子により低損失かつ高精度に抑制できるため、駆動回路の集積化が容易になる。これにより部品点数が少なく、簡素かつ小型で、信頼性の高い駆動回路が実現され、電力変換装置の小型,低価格化ができる。また、サージ電圧を安定に抑制可能なため、駆動される主半導体素子の耐圧マージンを減少させ、電力変換装置の損失を低減できる。また、本発明の電力変換装置は比較的素子耐圧が低く、耐圧マージンの少ない42V自動車の電装品において特に有効であり、損失低減による自動車の燃費の改善や、排出ガスの低減ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の電力変換装置の説明図である。
【図2】実施例2の電力変換装置の説明図である。
【図3】(a)実施例3の電力変換装置と、(b)実施例3の電流源の説明図である。
【図4】実施例4の動作波形の説明図である。
【図5】実施例5の動作波形の説明図である。
【図6】(a)実施例6の検出回路と、(b)実施例6の動作波形の説明図である。
【図7】(a)実施例7の可変抵抗手段と、(b)実施例7の動作波形の説明図である。
【図8】(a)実施例8の非線形素子の特性と、(b)実施例8の動作波形と、(c)実施例8の電力変換装置の説明図である。
【図9】実施例9の電力変換装置の説明図である。
【図10】(a)実施例10の動作波形と、(b)実施例10のインバータ全損失の説明図である。
【図11】実施例11の3相インバータ装置の説明図である。
【図12】実施例12のハイブリッド電気自動車の説明図である。
【図13】従来技術の電力変換器の説明図である。
【図14】従来技術の駆動装置の説明図である。
【符号の説明】
1,24,40,41,42,61,62,63,64,65,66…MOSFET、2,14,16…電源、3…インダクタンス、4…電流を制限する要素、5…電流を制限する要素、6,13,23…電流源、7,55,82…駆動回路、8…スイッチ手段、10,22,31,32,43,51…抵抗、11…可変抵抗、12…可変抵抗手段、15…スイッチ、20…定電圧ダイオード、21,50…ダイオード、25,26…トランジスタ、30,67…コンデンサ、33…コンパレータ回路、34…AND回路、35…リファレンス電源、36…微分回路、37,44…判定回路、46,47…端子、53,54…主半導体装置、56…寄生インダクタンス、57…誘導負荷、58,59…主電流、60…3相モーター、68…駆動回路基板、69…制御用入出力信号、70…制御用入出力回路部、71,72,73,74,75,76…駆動回路部、77…パワーモジュール、78…3相インバータ駆動用集積回路、79…双方向レベル変換回路、80…インバータ、81…主半導体装置、83…マイコン、84…インターフェイス、85…DC/DCコンバータ、86…14Vバッテリ、87…電動ミラー、88…14V系に接続したコントローラ、89…電動式のパワーステアリング、90…電動バルブ、91…42Vバッテリ、92…エンジン、93…モータージェネレータ、94…変速機、95…動力伝達装置、96…車内LAN、97…42V系のライト。

Claims (12)

  1. 寄生インダクタンスを介して第1の電源に接続されて主電流の入出力にかかわる第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備えた半導体素子の駆動装置であって、
    入力信号に応じて、前記半導体素子に流れる前記主電流の導通及び遮断を制御するスイッチ手段と、
    前記半導体素子の遮断時において、前記第1の端子と前記第2の端子との間が第1の電圧以上になった場合に、前記第1の電源の電圧より低い電圧である第2の電源を経由して、前記半導体素子の前記制御端子に電流を流す電流源と、
    前記電流源から前記制御端子に流れる電流を制限するために、前記電流源と前記制御端子との間に設けられた第1の抵抗器と、
    前記電流源から前記制御端子に流れる電流の放電を防ぐために、前記電流源と前記第2の端子との間に設けられ、前記入力信号もしくは前記第1の端子と第2の端子との間の電圧に応じて抵抗値が変化する第1の可変抵抗手段とを備え、
    前記第1の可変抵抗手段の前記抵抗値は、前記半導体素子の遮断時において、前記電流源が前記制御端子に電流を流すときに、該電流源による電流が流れていないときと比較して高くなることを特徴とする半導体素子の駆動装置。
  2. 請求項1記載の半導体素子の駆動装置において、
    前記電流源が、前記第1の端子に接続される前記第1の端子と第2の端子との間の電圧が前記第1の電圧値に到達することにより電流が流れるツェナー型もしくはアバランシェ型の第1のダイオードと、該ダイオードに接続した第3の抵抗器と、前記第1のダイオードの電流を検知し前記第1の電源より低い電圧である第2の電源を経由して前記第1の抵抗器に電流を注入する要素を備えることを特徴とする半導体素子の駆動装置。
  3. 請求項1または2記載の半導体素子の駆動装置において、
    前記主半導体素子の第1及び第2の端子との間の電圧が、その導通状態での定格電流時の電圧より大きくなる場合に、前記第1の可変抵抗手段の抵抗値が高くなることを特徴とする半導体素子の駆動装置。
  4. 請求項3記載の半導体素子の駆動装置において、
    前記入力信号が前記主半導体素子の主電流を遮断する指令を発生し、第1の時間が経過した後に前記第1の可変抵抗手段の抵抗値が高くなることを特徴とする半導体素子の駆動装置。
  5. 請求項1または2記載の半導体素子の駆動装置において、
    前記第1の可変抵抗手段が制御電圧を微分する回路と、その微分値を判定する要素とを備え、前記微分値が一定値になった場合に前記第1の抵抗手段の抵抗値が高くなることを特徴とする半導体素子の駆動装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体素子の駆動装置において、
    前記第1の可変抵抗手段が、並列接続した複数のMOSFETを備え、前記入力信号が前記主半導体素子の主電流を遮断する指令を発生した時に、前記複数のMOSFETが導通状態に変化して低抵抗状態となり、その後少なくとも1つ以上のMOSFETが遮断状態となることで高抵抗となることを特徴とする半導体素子の駆動装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一に記載の半導体素子の駆動装置において、
    前記第1の抵抗器として前記制御端子の電圧の低下により抵抗値が増加し、前記制御端子の電圧を前記主半導体素子のしきい電圧以下の第2の電圧に維持する機能を備えた第1の非線型素子を設けたことを特徴とする半導体素子の駆動装置。
  8. 請求項7記載の半導体素子の駆動装置において、
    前記第1の非線型素子が第2のダイオードと第4の抵抗器とを直列に接続したことを特徴とする半導体素子の駆動装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一に記載の半導体素子の駆動装置により駆動される半導体装置を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  10. 半導体素子が請求項1乃至8のいずれか一に記載の駆動装置により駆動され、前記主半導体素子と第1の電源の間の主回路インダクタンスがLsである電力変換装置において、
    VBを第1の電源電圧、fを電力変換装置キャリア周波数、Ron(V)を前記主半導体装置のオン抵抗を素子の耐電圧の関数として表したときに、前記第1の電圧を、下記の式(1)を満たす電圧Vの近傍に設定したことを特徴とする電力変換装置。
    dRon(V)/dV=Ls×f/2×VB/(V−VB)2 …(1)
  11. 請求項1記載の半導体素子の駆動装置を1チップの半導体基板に集積回路化した3相インバータ型の電力変換装置において、
    前記駆動装置の主半導体素子への制御信号の出力回路部が集積回路の周辺部に形成され、前記集積回路の周辺沿面方向に、第1の相の上アーム,第2の相の上アーム,第3の相の上アーム,第3の相の下アーム,第2の相の下アーム,第1の相の上アームの順番に設け、前記インバータの制御のための前記制御回路への外部信号の入力回路を、第1の相の上アーム,第2の相の上アーム,第3の相の上アーム、第3の相の下アームの各領域の間以外の領域に設けたことを特徴とする電力変換装置。
  12. 請求項9乃至11のいずれか一に記載の電力変換装置を備えた電気車であって、前記主半導体素子がMOSFETであり、前記電力変換装置の半導体駆動装置が1つの集積回路チップに集積され、VBを第1の電源電圧、fを電力変換装置キャリア周波数、
    Ron(V)を前記主半導体装置のオン抵抗を素子の耐電圧の関数として表したときに、その上限が下記の式(1)
    dRon(V)/dV=Ls×f/2×VB/(V−VB)2 …(1)
    を満たす電圧近傍に設けられており、前記主半導体素子の第1及び第2の端子間の耐電圧が前記第1の電圧より大きくかつその近傍の値となることを特徴とする電気車。
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