JP3971705B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびエラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびエラストマー組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP3971705B2
JP3971705B2 JP2002579935A JP2002579935A JP3971705B2 JP 3971705 B2 JP3971705 B2 JP 3971705B2 JP 2002579935 A JP2002579935 A JP 2002579935A JP 2002579935 A JP2002579935 A JP 2002579935A JP 3971705 B2 JP3971705 B2 JP 3971705B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
atom
group
acrylate
methacrylate
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002579935A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2002081561A1 (ja
Inventor
良太郎 辻
知樹 日色
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Publication of JPWO2002081561A1 publication Critical patent/JPWO2002081561A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3971705B2 publication Critical patent/JP3971705B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F293/00Macromolecular compounds obtained by polymerisation on to a macromolecule having groups capable of inducing the formation of new polymer chains bound exclusively at one or both ends of the starting macromolecule
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F293/00Macromolecular compounds obtained by polymerisation on to a macromolecule having groups capable of inducing the formation of new polymer chains bound exclusively at one or both ends of the starting macromolecule
    • C08F293/005Macromolecular compounds obtained by polymerisation on to a macromolecule having groups capable of inducing the formation of new polymer chains bound exclusively at one or both ends of the starting macromolecule using free radical "living" or "controlled" polymerisation, e.g. using a complexing agent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L53/00Compositions of block copolymers containing at least one sequence of a polymer obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Compositions of derivatives of such polymers

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

技術分野
本発明はアクリル系ブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物およびエラストマー組成物、さらにはアクリル系ブロック共重合体の製造方法、および該方法により得られるアクリル系ブロック共重合体に関する。より詳しくは、熱可塑性樹脂あるいはゴムと、メタクリル酸エステル系重合体ブロックとアクリル酸エステル系重合体ブロックとを有するブロック共重合体を含有する、熱可塑性樹脂組成物あるいはエラストマー組成物、および該組成物からなる成形体に関する。さらにはメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル ブロック共重合体の製造方法、および該方法により得られるメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル ブロック共重合体に関する。
背景技術
一般に、熱可塑性樹脂は種々の分野で広く使用されているが、単一の樹脂のみでは十分な性能が得られない場合があり、他の樹脂やゴムなどと組み合わせて使用する方法が試みられている。しかしながら熱可塑性樹脂の耐油性、耐熱性、耐候性、耐衝撃性、透明性、および成形性の全てに優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることは従来困難であった。
これらの問題を解決する方法として、耐油性、耐熱性、耐候性に優れるメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を熱可塑性樹脂に配合する方法が挙げられるが、従来はこのようなメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を経済的に合成する技術は知られていなかった。例えば、このようなブロック共重合体を合成する方法としては、特開平10−509475号公報、特開平10−81706号公報、日本特許第2946497号公報、日本特許第2866635号公報、および日本特許第2975967号公報などに記載されている、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)法が挙げられるが、これらの方法においては金属化合物を触媒として使用するため、得られる重合体が金属化合物に汚染されるという問題があった。また、金属化合物を除去するためには煩雑な精製工程が必要となるため、生産性の低下や設備費の増加などの問題があり、経済的な製造方法ではなかった。
熱可塑性エラストマーについては、耐候性や耐油性に優れる熱可塑性エラストマーの一つとして、ポリメタクリル酸メチルなどのメタクリル酸エステル重合体ブロックをハードセグメントとし、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル重合体ブロックをソフトセグメントとする、アクリル系ブロック共重合体が知られている。しかしこのようなアクリル系ブロック共重合体を工業的に製造することは困難であり、特にハードセグメントとソフトセグメントの構造を制御したアクリル系ブロック共重合体を製造する方法はほとんど知られていない。
金属触媒を使用せずに、構造の制御されたアクリル系ブロック共重合体を製造する方法としては、例えば、WO98/01478号公報、WO99/05099号公報、WO99/31144号公報、Macromolecules,1998年,31巻,5559ページ、Macromolecules,1999年,32巻,2071ページ、Macromolecules,1999年,32巻,6977ページ、およびMacromolecules,2000年,33巻,243ページなどに記載されている、可逆的付加脱離連鎖移動(Reversible Addition−Fragmentation Chain Transfer:RAFT)重合法が知られている。これらの方法によれば、構造の制御されたアクリル系ブロック共重合体を製造可能であるが、このような方法により合成されたアクリル系ブロック共重合体においては、熱可塑性樹脂およびゴム成分の導入による性能向上の方法は従来知られておらず、その開発が強く求められていた。またメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル トリブロック共重合体を合成する場合、使用する連鎖移動剤に由来するトリチオカーボネート基が主鎖中に残存する等、耐熱性や耐候性に劣るという問題があった。
発明の開示
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされ、その目的は、1)耐油性、耐熱性、耐候性、耐衝撃性、透明性、および成形性に優れ、かつ経済的な方法で製造可能な熱可塑性樹脂組成物、2)低硬度でありながら引張強度が高く、耐油性、および圧縮永久歪に優れるエラストマー組成物、3)該熱可塑性樹脂組成物および該エラストマー組成物を成形してなる成形体、4)ほとんど精製する必要がなく、耐熱性および耐候性に優れ、かつ分子量および分子量分布の制御された、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル ブロック共重合体を製造する方法、および5)該方法により得られるメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル ブロック共重合体、を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ね、本発明を完成した。すなわち本発明の組成物は、以下の2成分(A)および(B)を含有する熱可塑性樹脂組成物およびエラストマー組成物である。
(A)メタクリル酸エステル系重合体ブロックとアクリル酸エステル系重合体ブロックとを含有するブロック共重合体であって、該ブロック共重合体は、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下でのラジカル重合により形成される重合体に由来するものであり、該チオカルボニルチオ基を有する化合物が、一般式(1):
Figure 0003971705
(式中、Rは炭素数1以上のp価の有機基であり、該p価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Zは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Zが複数個存在する場合には、それらは互いに同一でもよく、異なっていてもよく;そしてpは1以上の整数である)で示される化合物、および一般式(2):
Figure 0003971705
(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Zは酸素原子(q=2の場合)、硫黄原子(q=2の場合)、窒素原子(q=3の場合)、または炭素数1以上のq価の有機基であり、該q価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;2以上のRは互いに同一でもよく、異なっていてもよく;そしてqは2以上の整数である)で示される化合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とするブロック共重合体。
(B)熱可塑性樹脂、アクリル系重合体ゴム、オレフィン系重合体ゴム、ジエン系重合体ゴム、および天然ゴムから選択される、少なくとも1種類の樹脂あるいはゴム。
本発明の成分(A)であるメタクリル酸エステル系重合体ブロックとアクリル酸エステル系重合体ブロックとを含有するブロック共重合体は、一般式(1)で示されるチオカルボニルチオ基を有する化合物および一般式(2)で示されるチオカルボニルチオ基を有する化合物のうちの少なくとも1種を連鎖移動剤として、可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合法により調製される。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物である一般式(1)のRは特に限定されない。化合物の入手性の点で、好ましくは、Rの炭素数は、1〜20であり、そしてpは6以下である。Rの例としては、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基、2価以上の脂肪族炭化水素基、2価以上の芳香族炭化水素基、芳香環を有する2価以上の脂肪族炭化水素基、脂肪族基を有する2価以上の芳香族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価以上の脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価以上の芳香族置換炭化水素基などがある。化合物の入手性の点で、次の基が好ましい:ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−(2−フェニル)プロピル基、1−アセトキシエチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(2−エトキシカルボニル)プロピル基、2−(2−シアノ)プロピル基、t−ブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−〔2−(p−クロロフェニル)〕プロピル基、ビニルベンジル基、t−ブチルスルフィド基、2−カルボキシルエチル基、カルボキシルメチル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−(2−シアノ)ブチル基、および次の一般式で示される有機基:
Figure 0003971705
(式中、rは0以上の整数を示し、sは1以上の整数を示す)。上記式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
さらにRは、上記のように、高分子量体であってもよく、その例としては、次の基が挙げられる:ポリエチレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリプロピレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリテトラメチレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリエチレンテレフタレート構造を有する炭化水素基、ポリブチレンテレフタレート構造を有する炭化水素基、ポリシロキサン構造を有する炭化水素基、ポリカーボネート構造を有する炭化水素基、ポリエチレン構造を有する炭化水素基、ポリプロピレン構造を有する炭化水素基、ポリアクリロニトリル構造を有する炭化水素基など。これらの炭化水素基には酸素原子、窒素原子、および硫黄原子のうちの少なくともひとつが含まれていてもよく、シアノ基、アルコキシ基などが含まれていてもよい。これらの分子量は、通常、500以上である。以下、本発明において高分子量体の基とは、上記のような基を指していう。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物である一般式(2)のRとしては特に限定されない。化合物の入手性の点で、好ましくは、Rの炭素数は、1〜20である。Rの例としては、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基などがある。化合物の入手性の点で、次の基が好ましい:ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−(2−フェニル)プロピル基、1−アセトキシエチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(2−エトキシカルボニル)プロピル基、2−(2−シアノ)プロピル基、t−ブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−〔2−(p−クロロフェニル)〕プロピル基、ビニルベンジル基、t−ブチルスルフィド基、2−カルボキシルエチル基、カルボキシルメチル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−(2−シアノ)ブチル基、および次の一般式で示される有機基:
Figure 0003971705
(式中、rは0以上の整数を示し、sは1以上の整数を示す)。上記式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物である一般式(1)のZは特に限定されない。化合物の入手性の点で、Zが有機基である場合に、その炭素数は、好ましくは1〜20である。Zの例としては、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、複素環基、N−アリール−N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、チオアルキル基、ジアルキルホスフィニル基などがある。化合物の入手性の点で、次の基が好ましい:フェニル基、メチル基、エチル基、ベンジル基、4−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ジエトキシホスフィニル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、チオメチル基(メチルスルフィド)、フェノキシ基、チオフェニル基(フェニルスルフィド)、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、チオベンジル基(ベンジルスルフィド)、ペンタフルオロフェノキシ基、および次式:
Figure 0003971705
で示される有機基。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物である一般式(2)のZは特に限定されない。化合物の入手性の点で、Zが有機基である場合に、その炭素数は、好ましくは1〜20であり、qは6以下である。Zの例としては2価以上の脂肪族炭化水素基、2価以上の芳香族炭化水素基、芳香環を有する2価以上の脂肪族炭化水素基、脂肪族基を有する2価以上の芳香族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価以上の脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価以上の芳香族置換炭化水素基などがある。化合物の入手性の点で、次式:
Figure 0003971705
(式中、rは0以上の整数であり、sは1以上の整数である)で示される有機基が好ましい。上記式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
上記メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を、A−B−A型またはB−A−B型のようなトリブロック共重合体とする場合には、2官能性のチオカルボニルチオ基を有する化合物を用いてRAFT重合を行う方法と、チオカルボニルチオ基を有する重合体同士をカップリングする方法の2種類の方法が挙げられる。前者の方法は生産性が高いが、重合体主鎖中にチオカルボニルチオ基が残存するため耐熱性が低くなる場合があり、後者の方法はチオカルボニルチオ基を含まない重合体を得ることができるが、製造工程が増えるため生産性が低くなる場合がある。したがって、必要とされる物性や製造コストに応じて、両者を使い分けるのがよい。
2官能性のチオカルボニルチオ基を有する化合物を用いてRAFT重合を行う方法においては、一般式(3)で示される化合物、一般式(4)で示される化合物、および一般式(5)で示される化合物から選択される少なくとも1種のチオカルボニルチオ基を有する化合物を用いることができる:
Figure 0003971705
(式中、Rは炭素数1以上の2価の有機基であり、該2価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Zは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、Zは互いに同一でもよく、異なっていてもよい);
Figure 0003971705
(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、Rは互いに同一でもよく、異なっていてもよく;Zは硫黄原子、酸素原子、第3級窒素原子、または炭素数1以上の2価の有機基であり、該2価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよい);および
Figure 0003971705
(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、Rは互いに同一でもよく、異なっていてもよい)。この場合には、該化合物の存在下に、メタクリル酸エステル単量体とアクリル酸エステル単量体とを、連続して重合させる方法が採用される。これらの2官能性のチオカルボニルチオ基を有する化合物を用いることにより、トリブロック共重合体を製造する場合の生産性を向上させることができる。
本発明においてトリブロック共重合体を製造する場合に使用する、上記チオカルボニルチオ基を有する一般式(3)の構造において、Rは特に限定されない。化合物の入手性の点で、好ましくは、Rの炭素数は、1〜20である。入手性の点で、次式:
Figure 0003971705
で示される基が好ましい。
上記チオカルボニルチオ基を有する一般式(3)の構造において、Zは特に限定されず、上記一般式(1)のZと同様である。
上記チオカルボニルチオ基を有する一般式(4)の構造において、Rは特に限定されず、上記一般式(2)のRと同様である。
上記チオカルボニルチオ基を有する一般式(4)の構造において、Zは特に限定されない。化合物の入手性の点で、Zが有機基である場合に、その炭素数は、好ましくは1〜20である。入手性、および反応性の点で、次式:
Figure 0003971705
(式中、rは0以上の整数であり、sは1以上の整数である)で示される有機基が好ましい。上記式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
上記チオカルボニルチオ基を有する一般式(5)の構造において、Rは特に限定されず、上記一般式(2)のRと同様である。
上記一般式(1)および(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種のチオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、メタクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体のラジカル重合を行なう工程;次いで、アクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体を加えてラジカル重合を行ない、チオカルボニルチオ基を有するメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル ブロック共重合体を得る工程;該共重合体のチオカルボニルチオ基を、メルカプト基またはメルカプチド基に変換する工程;および該メルカプト基またはメルカプチド基を介して該共重合体のカップリングを行なう工程によって、好適にメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル ブロック共重合体を製造することができる。該方法においては、一般式(6)で示されるチオカルボニルチオ基を有する化合物を用いることが好ましい:
Figure 0003971705
(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機基であり、該Rである有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Zは炭素数1以上の1価の有機基であり、該Zである有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよい)。
上記チオカルボニルチオ基を有する一般式(6)のRとしては特に限定されない。化合物の入手性の点で、好ましくは、Rの炭素数は、1〜20である。Rの例としては、一般式(2)の説明で例示した基が挙げられる。
上記チオカルボニルチオ基を有する一般式(6)のZは特に限定されない。化合物の入手性の点で、その炭素数は、好ましくは1〜20である。Zの例としては、一般式(1)のZの説明で例示したもののうち、炭素数1以上の有機基が挙げられる。
本発明で使用する、チオカルボニルチオ基を有する化合物の具体例としては、次式で示される化合物が挙げられるが、これらに限定されない:
Figure 0003971705
Figure 0003971705
Figure 0003971705
Figure 0003971705
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Acはアセチル基を示し、rは0以上の整数であり、sは1以上の整数である)。上記式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
本発明で使用する、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の使用量は特に制限はなく、使用するメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸エステル単量体、およびこれらと共重合可能なビニル系単量体および重合開始剤の量論から計算して使用することができる。一般的に、得られる重合体のモル数がチオカルボニルチオ基を有する化合物のモル数にほぼ等しいため、使用する単量体とチオカルボニルチオ基を有する化合物のモル比を調節することにより、重合体の分子量を制御することが可能である。使用する単量体の分子量をMm、単量体の使用量をxモル、チオカルボニルチオ基を有する化合物の分子量をMr、チオカルボニルチオ基を有する化合物の使用量をyモルとすると、単量体の反応率が100%の場合、得られる重合体の理論分子量は、(x/y)×Mm+Mrで示される。
本発明の組成物における成分(A)であるブロック共重合体を調製するには、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下、メタクリル酸エステル単量体、アクリル酸エステル単量体、および必要に応じてこれらと共重合可能なビニル系単量体を用いて、所望の順序でラジカル重合が行われる。ラジカル反応を行う際の形式については特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、および微細懸濁重合など、当該分野で通常用いられる方法を適用可能である。これらのうち、コスト、および安全性の点で、乳化重合のような水系重合が好ましい。
本発明において、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下において、上記単量体を重合する際、チオカルボニルチオ基を有する化合物の添加方法については特に限定されない。重合挙動や重合体の構造を容易に制御するために、溶液重合の場合は、チオカルボニルチオ基を有する化合物を重合開始前に溶液中に溶解することが好ましい。水系重合の場合は、重合開始前に少量の有機溶媒や重合に供する単量体と共に、チオカルボニルチオ基を有する化合物を水性分散液や水性乳化液に混合しておくことが好ましく、ホモジナイザーなどで撹拌しておいてもよい。
上記単量体を溶液重合させる場合に使用される溶剤としては、次の溶剤が挙げられるが、それらに限定されない:ヘプタン、ヘキサン、オクタン、ミネラルスピリットなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール310(コスモ石油(株)製)、スワゾール1000(コスモ石油(株)製)、スワゾール1500(コスモ石油(株)製)などの芳香族石油系溶剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。使用する溶剤の種類や量については、使用する単量体の溶解度、得られる重合体の溶解度、十分な反応速度を達成するために適切な重合開始剤濃度や単量体濃度、チオカルボニルチオ基を有する化合物の溶解度、人体や環境に与える影響、入手性、および価格などを考慮して決定すればよく、特に限定されない。入手性、価格の点で、工業的にはトルエンが好ましい。
上記単量体を乳化重合または微細懸濁重合させる場合、使用される乳化剤としては、次の乳化剤が挙げられるが、それらに限定されない:脂肪酸石けん、ロジン酸石けん、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、アルキル硫酸アンモニウム、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどの非イオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤など。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。必要に応じて、後述する懸濁重合の分散剤を添加してもよい。乳化剤の使用量は特に限定されないが、通常、使用される単量体100重量部に対して0.1〜20重量部である。
上記単量体を懸濁重合させる場合、使用される分散剤としては、通常用いられる分散剤のいずれをも利用することが可能である。例えば、次の分散剤が挙げられるが、それらに限定されない:部分けん化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリアルキレンオキサイド、アニオン性界面活性剤と分散助剤の組合せなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。必要に応じて、上記乳化重合の際に用いられる乳化剤を併用してもよい。分散剤の使用量は特に限定されないが、通常、モノマー100重量部に対して0.1〜20重量部である。
上記ラジカル重合の際に使用される重合開始剤、あるいは重合開始方法については特に限定されず、通常用いられる重合開始剤、あるいは重合開始方法を用いることができる。例えば、重合開始剤として次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、1,4−ビス〔(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル〕ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス(3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、O−t−ブチル−O−イソプロピルパーオキシカーボネート、およびコハク酸パーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)などのアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物;スチレンなどのように熱的にラジカル種を生成するビニル系単量体;ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルフォスフィンオキシド、フォトレドックス系などのように光によりラジカル種を発生する化合物;亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄などを還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどを酸化剤とするレドックス型重合開始剤など。これら重合開始剤は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。この他に、電子線照射、エックス線照射、放射線照射などによる重合開始系を利用することも可能である。このような重合開始方法に関しては、Moad and Solomon“The Chemistry of Free Radical Polymerization”,Pergamon,London,1995,53−95ページに記載されている方法が使用可能である。
本発明の実施において使用する重合開始剤の使用量については特に限定されないが、分子量分布の小さい重合体が得られる点で、重合中に発生するラジカル種の量が、チオカルボニルチオ基を有する化合物のチオカルボニルチオ基1モルに対して1モル以下が好ましく、0.5モル以下がより好ましい。また、重合中に発生するラジカル種の量を制御するために、重合開始剤の使用量と合わせて、熱的解離する重合開始剤の場合には温度を調節すること、光や電子線などによりラジカルを発生する重合開始系の場合には照射するエネルギー量を調節することなどが好ましい。重合を制御しやすい点で、熱的解離する重合開始剤を用い、その半減期が0.5〜50時間となるような温度で重合反応を行うことが好ましく、半減期が1〜20時間となるような温度で重合反応を行うことがより好ましい。
上記の重合反応により、チオカルボニルチオ基含有ブロック共重合体が得られる。
前述のチオカルボニルチオ基含有ブロック共重合体は、必要に応じて処理剤で処理され、該チオカルボニルチオ基がメルカプト基またはメルカプチド基に変換される。ここで用いられる処理剤は、特に限定されないが、反応効率が高い点で、塩基、酸、アンモニア、ヒドラジン、およびアミン化合物から選択される化合物を採用することが好ましい。塩基、酸、または3級アミン化合物を用いる場合は、水の存在下、加水分解反応により、チオカルボニルチオ基はメルカプト基に変換される。塩基を用いる場合であって水が存在しない場合には、チオカルボニルチオ基はメルカプチド基に変換される。アンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合物、または2級アミン化合物を用いる場合には、チオカルボニルチオ基はメルカプト基に変換される。
上記処理剤のうち、塩基としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛などの遷移金属水酸化物;ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムフェニラート、リチウムエチラート、リチウムブチラートなどのアルカリ金属アルコラート;マグネシウムメチラート、マグネシウムエチラートなどのアルカリ土類金属アルコラート;水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物;ハイドロサルファイト、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムブロマイドなどの有機金属試薬など。さらに、金属リチウム、金属ナトリウム、および金属カリウムなどのアルカリ金属;金属マグネシウム、および金属カルシウムなどのアルカリ土類金属も、使用可能である。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらのうち、入手性、価格、および反応性の点で、次の化合物が好ましい:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、水素化ナトリウム、水素化リチウム、金属リチウム、金属ナトリウム、および金属カリウム。取り扱いやすさの点で、次の化合物がより好ましい:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムメチラート、およびナトリウムエチラート。
上記処理剤のうち、酸としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ホウフッ化水素酸、クロロスルホン酸、ヨウ化水素酸、ヒ酸、ケイフッ化水素酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メチルリン酸、エチルリン酸、n−プロピルリン酸、イソプロピルリン酸、n−ブチルリン酸、ラウリルリン酸、ステアリルリン酸、2−エチルヘキシルリン酸、イソデシルリン酸、ジメチルジチオリン酸、ジエチルジチオリン酸、ジイソプロピルジチオリン酸、フェニルホスホン酸などの有機酸;強酸性イオン交換樹脂、弱酸性イオン交換樹脂などの酸性イオン交換樹脂。さらに、微量の水分と反応して酸性を示す化合物も使用可能である。このような化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸などの酸無水物;ハロゲン化アシル;四塩化チタン、塩化アルミニウム、塩化ケイ素などの金属ハロゲン化物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらのうち、入手性、価格、および反応性の点で、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、塩化アルミニウム、四塩化チタン、クロロスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸が好ましい。
上記処理剤のうちアミン化合物とは、アミンおよびこれに類似する性質を有する化合物を包含する。アミド、およびアミンに類似する性質を有する含窒素芳香族化合物なども本発明でいうアミン化合物に包含される。このようなアミン化合物としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:硫酸ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、12−アミノドデカン酸、3−アミノ−1−プロパノール、アミン変性アクリルポリマー、アリルアミン、ジアリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ブチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3−メトキシプロピルアミン、イソプロパノールアミン、N−イソプロピルアクリルアミド、イミノジ酢酸、3,3’−イミノジプロピオニトリル、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−エチルエチレンジアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−カルボキシ−4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、カルボヒドラジド、塩酸グアニジン、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、塩酸アミノグアニジン、重炭酸アミノグアニジン、グアニルチオ尿素、リン酸グアニル尿素、硫酸グアニル尿素、グリシルグリシン、2−クロロエチルアミン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ジアミノマレオニトリル、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、ジシアンジアミド、ジシクロヘキシルアミン、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミド、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド、ジメチルアミンボラン、ジメチルヒドラジン、N,N’−エチレンビス(ステアロアミド)、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、N,N’−メチレンビス(ステアロアミド)、メチロール・ステアロアミド、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオクサスピロ[5.5]ウンデカン、CTUグアナミン、チオカルボヒドラジド、チオセミカルバジド、チオ尿素、ドデカン二酸ジヒドラジド、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、二酸化チオ尿素、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、イソブチルアミン、2−ブロモエチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、n−ヘキシルアミン、ポリエチレンイミン、ホルムアミジン、ホルムアミジン酢酸塩、ホルムアミド、メタクリルアミド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)、N−メチロールアクリルアミド、モノメチルヒドラジン、3−(ラウリルオキシ)プロピルアミン、アセトアニリド、アセト酢酸o−アニシダイド、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸m−キシリダイド、アセト酢酸o−クロロアニリド、アセト酢酸2,5−ジメトキシアニリド、アセト酢酸2,5−ジメトキシ−4−クロロアニリド、アセト酢酸o−トルイダイド、アセト酢酸p−トルイダイド、o−アニシジン、p−アニシジン、アニリン、p−アミノアセトアニリド、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチルエステル、2−アミノ−4−クロロフェノール、2−アミノチアゾール、2−アミノチオフェノール、2−アミノ−5−ニトロベンゾニトリル、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−アミノベンズアルデヒド、4−アミノベンゾニトリル、アントラニル酸、3−イソプロポキシアニリン、N−エチルアニリン、N−エチレントルエンスルホンアミド、2,4−キシリジン、3,4−キシリジン、m−キシリレンジアミン、p−クレシジン、ジアニシジン、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、1,4−ジアミノアントラキノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、N,N−ジエチルアニリン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノナフタレン、ジアミノアントラセン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、スルファニル酸、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジセミカルバジド、トビアス酸、2,4,5−トリクロロアニリン、o−トリジン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、m−トルイレンジアミン、ナフチオン酸ソーダ、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−ニトロ−p−クロロアニリン、m−ニトロ−p−トルイジン、o−クロロ−p−トルイジン−m−スルホン酸、p−ヒドロキシフェニルアセトアミド、7−アニリノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、フェニルヒドラジン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−フェネチジン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、ベンゾフェノンヒドラゾン、メシジン、メタニル酸、N−メチルアニリン、2−メチル−4−ニトロアニリン、2−メチル−4−メトキシジフェニルアミン、2−アミノ−5−メチルベンゼンスルホン酸、ロイコ−1,4−ジアミノアントラキノン、パラミン、p−ヒドロキシフェニルグリシン、アセトアルデヒドアンモニア、アセトグアナミン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、イソシアヌル酸、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(シアノエチルアミノエチル)−2−メチルイミダゾール、N−(2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル)尿素、2,4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−ウンデシル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−エチル−4−メチル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール、2−メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2,4−ジメチル−5−フォルミルイミダゾール、2,4−ジフェニル−5−フォルミルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−5−(ヒドロキシメチル)イミダゾール、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、3−カルバモイル−2−ピラジンカルボン酸、コハク酸イミド、キナルジン、キノリン、1,3−ジ(4−ピペリジル)プロパン、2−イミダゾリジノン、5,5−ジメチルヒダントイン、2,5−ジメチルピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、3,5−ジメチルピラゾール、2−メチル−4−ピラゾロン、5,5’−ビ−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、ヒダントイン、(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2−(1−ピペラジニル)ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロール、フェニルピラゾリドン、ベンゾグアナミン、N−メチルピペラジン、2−メチルピペラジン、3−メチル−5−ピラゾロン、1−メチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、メラミン、およびモルホリンなど。この他、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、SanolLS−770(三共(株)製)、アデカスタブLA−77(旭電化工業(株)製)、スミソープ577(住友化学工業(株)製)、バイオソープ04(共同薬品(株)製)、Chimassorb944LD(Ciba Specialty社製)、Tinuvin144(Ciba Specialty社製)、アデカスタブLA−52(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−57(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−67(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−68(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−77(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−87(旭電化工業(株)製)、GoodriteUV−3034(Goodrich社製)などのヒンダードアミン系光安定剤(HALS)なども用いられ得る。
上記アミン化合物は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらを用いて反応を行なう際には、1級アミン化合物および2級アミン化合物の場合は水がなくてもよいが、3級アミン化合物の場合はプロトン供給源として水が必要である。これらのうち、精製工程を簡略化できる点で、メチルアミン、エチルアミンなどの、沸点が100℃以下の1級アミン化合物;ジメチルアミン、ジエチルアミンなどの沸点が100℃以下の2級アミン化合物;およびHALSが好ましい。沸点が100℃以下のアミン化合物を用いた場合には、過剰のアミン化合物を容易に減圧留去することができる。HALSを用いた場合には、過剰のHALSが安定剤として作用するため除去の必要がなく、さらに、得られる重合体の耐候性、および耐光性が向上する。
アンモニアを用いた場合にも、上記沸点が100℃以下の1級または2級アミン化合物の場合と同様に、容易に減圧留去することが可能であるため、精製工程を簡略化できる点で好ましい。
このように、上記処理剤のうち、精製工程を簡略化できる点で、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合物、2級アミン化合物、およびHALSが好ましく、アンモニア、沸点100℃以下の1級アミン化合物、沸点100℃以下の2級アミン化合物、およびHALSが特に好ましい。
上記チオカルボニルチオ基からメルカプト基またはメルカプチド基への変換のための反応において、処理剤の使用量は特に限定されない。処理剤として塩基または酸を使用する場合、取り扱いやすさおよび反応性の点で、チオカルボニルチオ基含有ブロック共重合体100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、0.05〜50重量部がより好ましく、0.1〜30重量部が特に好ましい。上記変換反応にアンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合物、または2級アミン化合物を使用する場合、メルカプト基の導入率が高いという点で、上記ブロック共重合体のチオカルボニルチオ基1モルに対して、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合物、または2級アミン化合物を0.5〜1000モルの割合で用いるのが好ましく、1〜500モルの割合で用いるのがより好ましい。
本発明において、チオカルボニルチオ基含有ブロック共重合体を上記処理剤で処理する際の反応条件に関して特に限定はない。例えば、有機溶媒中に上記共重合体を溶解させて上記処理剤を加えてもよく、水系分散液あるいは乳化液に上記処理剤を加えてもよく、あるいは固体または溶融状態の共重合体そのものに直接上記処理剤を加えてもよい。処理温度についても特に限定されないが、反応性の点で−50〜200℃が好ましく、−10〜150℃がより好ましく、0〜120℃が特に好ましい。
このようにして、メルカプト基またはメルカプチド基を有するブロック共重合体が得られる。上述のように、このメルカプト基またはメルカプチド基を有するブロック共重合体は、本発明の組成物における成分(A)であるブロック共重合体としてそのまま使用することができる。
上記方法により、上記チオカルボニルチオ基含有ブロック共重合体のチオカルボニルチオ基をメルカプト基またはメルカプチド基に変換した後、該メルカプト基または該メルカプチド基を介して上記ブロック共重合体同士のカップリングを行なうことにより、所望のブロック共重合体、例えば、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル トリブロック共重合体を製造することができる。上記カップリング方法としては、メルカプト基を有するブロック共重合体の場合は次の(i)〜(x)の方法が、メルカプチド基を有するブロック共重合体の場合は次の(xi)〜(xiii)の方法が挙げられるが、特にこれらの方法に限定されない。
メルカプト基を有するブロック共重合体のカップリング方法:(i)酸化剤の存在下、ブロック共重合体間にジスルフィド結合を形成させることにより、該ブロック共重合体をカップリングする方法;(ii)一分子中にイソシアナト基を2つ以上有する化合物とブロック共重合体とを反応させ、チオウレタン結合(−NHCOS−)を介して該ブロック共重合体をカップリングする方法;(iii)一分子中に不飽和結合を2つ以上有する化合物にブロック共重合体を付加させて該ブロック共重合体をカップリングする方法;(iv)多価カルボン酸とブロック共重合体との脱水縮合反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法;(v)多価カルボン酸エステルとブロック共重合体とのエステル交換反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法;(vi)多価カルボン酸無水物とブロック共重合体とのエステル化反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法;(vii)多価カルボン酸ハロゲン化物とブロック共重合体との脱ハロゲン化水素(アシル化)反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法;(viii)カーボネート化合物とブロック共重合体とのエステル交換反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法;(ix)ケトンとブロック共重合体とを反応させて、チオケタール結合を形成させることにより、該ブロック共重合体をカップリングする方法;(x)一分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物とブロック共重合体とを脱水縮合させて、該ブロック共重合体をカップリングする方法など。
メルカプチド基を有するブロック共重合体をカップリングする方法:(xi)一分子中にハロゲン原子を2つ以上有する化合物とブロック共重合体とを反応させて、スルフィド結合形成(ウィリアムソン反応)により該ブロック共重合体をカップリングする方法;(xii)多価カルボン酸ハロゲン化物とブロック共重合体との反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法;(xiii)多価カルボン酸とブロック共重合体との反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法など。
これらのうち、反応の容易さとカップリング効率の点で、上記(i)、(ii)、(vii)、(xi)、および(xii)の方法が好適である。
上記メルカプト基を有するブロック共重合体のカップリング方法のうちで、(i)の酸化剤の存在下、ブロック共重合体間にジスルフィド結合を形成させることにより、該ブロック共重合体をカップリングする方法を適用する際、使用できる酸化剤としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、塩素酸アンモニウム、塩素酸バリウム、塩素酸カルシウムなどの塩素酸塩類;過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウムなどの過塩素酸塩類;過酸化リチウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化ルビジウム、過酸化セシウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化バリウムなどの無機過酸化物;亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸銅、亜塩素酸鉛などの亜塩素酸塩類;臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、臭素酸マグネシウム、臭素酸バリウムなどの臭素酸塩類;硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸バリウム、硝酸銀などの硝酸塩類;ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素酸亜鉛などのヨウ素酸塩類;過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸アンモニウムなどの過マンガン酸塩類;重クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリウム、重クロム酸アンモニウムなどの重クロム酸塩類;過ヨウ素酸ナトリウムなどの過ヨウ素酸塩類;メタ過ヨウ素酸などの過ヨウ素酸;無水クロム酸(三酸化クロム)などのクロム酸化物;二酸化鉛などの鉛酸化物;五酸化二ヨウ素などのヨウ素酸化物;亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムなどの亜硝酸塩類;次亜塩素酸カルシウムなどの次亜塩素酸塩類;三塩素化イソシアヌル酸などの塩素化イソシアヌル酸;ペルオキソ二硫酸アンモニウムなどのペルオキソ二硫酸塩類;ペルオキソホウ酸アンモニウムなどのペルオキソホウ酸塩類;過塩素酸;過酸化水素;硝酸;フッ化塩素、三フッ化臭素、五フッ化臭素、五フッ化ヨウ素などのハロゲン化化合物;酸素など。酸素源として空気を用いることもできる。これらは単独で用いてもよく、危険のない限り複数を組合せて用いてもよい。これらのうち、反応が容易で効率が高い点で、塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、二酸化鉛、過酸化水素、および酸素が好ましい。
上記(ii)の一分子中にイソシアナト基を2つ以上有する化合物とメルカプト基を有するブロック共重合体とを反応させ、チオウレタン結合(−NHCOS−)を介して該ブロック共重合体をカップリングする方法を適用する際、使用できる一分子中にイソシアナト基を2つ以上有する化合物としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:ヘキサメチレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフチレンジイソシアナート、エチレンジイソシアナート、メチレンジイソシアナート、プロピレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナートなどのジイソシアナト化合物;1,6,11−ウンデカントリイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナートなどのトリイソシアナト化合物;上記化合物を多価アルコール化合物と反応させた多価イソシアナト化合物;上記化合物のイソシアヌレート変性体;上記化合物を多価アミン化合物と反応させた多価イソシアナト化合物など。これらは単独で使用してもよく、複数を組合せて使用してもよい。これらのうち、入手性、および反応性の点で、次の化合物が好適である:ヘキサメチレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、およびビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン。
上記反応においては、必要に応じて触媒(ウレタン化触媒)が使用される。触媒としては、例えばPolyurethanes:Chemistry and Technology,Part I,Table 30,Chapter 4,Saunders and Frisch,Interscience Publishers,New York,1963に列挙されている触媒が挙げられるが、これらに限定されない。上記反応において用いられ得るウレタン化反応触媒としては、スズ触媒が高い活性を有するという点で好ましい。スズ触媒としては、次の化合物が挙げられる:オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジオレイルマレート、ジブチルスズジブチルマレート、ジブチルスズジラウレート、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニルジスタノキサン、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジブチルスズビス(o−フェニルフェノキサイド)、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズビストリエトキシシリケート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジブチルスズビスイソオクチルチオグリコレート、ジオクチルスズオキサイド、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジバーサテートなど。
上記反応におけるウレタン化触媒の添加量は特に限定されないが、メルカプト基を有するブロック共重合体100重量部に対して、0.0001〜3重量部が好ましく、0.001〜0.5重量部がさらに好ましく、0.003〜0.1重量部が特に好ましい。0.0001重量部未満では十分な反応活性が得られない場合があり、3重量部を超えると得られるブロック共重合体の耐熱性、耐候性、耐加水分解性などの物性を悪化させる場合がある。
上記(iii)の一分子中に不飽和結合を2つ以上有する化合物にメルカプト基を有するブロック共重合体を付加させて該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられる不飽和結合を2つ以上有する化合物としては、次の化合物が挙げられるが、特にこれらの化合物に限定されない:ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、1,2−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼン、ビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、アルキル変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル〕メチルエステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸−1,3−ブチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジアリルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジアリルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレンオキサイドジビニルエーテル、ポリエチレンオキサイドジアリルエーテル、ポリプロピレンオキサイドジビニルエーテル、ポリプロピレンオキサイドジアリルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジアリルエーテル、トリメリット酸ジビニル、トリメリット酸トリビニル、トリメリット酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、コハク酸ジビニル、コハク酸ジアリル、フタル酸ジビニル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジビニル、マレイン酸ジアリル、テレフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジアリル、ジビニルカーボネート、ジアリルカーボネート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、フラン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、および下記式で示されるマレイミド化合物など:
Figure 0003971705
(式中、R’は炭素数1以上の2価の有機基である)。これらの化合物は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。R’の炭素数は、入手性の点で、好ましくは1〜20である。
次に述べる(iv)、(v)、および(vii)の方法においては、一般式(7)または(9)で示される化合物が、(viii)の方法においては、一般式(8)で示される化合物のうち、X=アルコキシである化合物が好適に用いられる:
Figure 0003971705
(式中、Rは炭素数1以上のm価の有機基であり、該m価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を示し;mは2以上の整数であり;そしてXは互いに同一でもよく、異なっていてもよい);
Figure 0003971705
(式中、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を示し、Xは互いに同一でもよく、異なっていてもよい);および
Figure 0003971705
(式中、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を示し、Xは互いに同一でもよく、異なっていてもよい)。
上記(iv)の多価カルボン酸とメルカプト基を有するブロック共重合体との脱水縮合反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられる多価カルボン酸としては、次の化合物が挙げられるが、特にこれらの化合物に限定されない:アジピン酸、イタコン酸、イミノジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グルタル酸、シトラコン酸、シュウ酸、酒石酸、ジパラトルオイル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、セバシン酸、3,3’−チオジプロピオン酸、チオマレイン酸、ドデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ブラシル酸、マロン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテート、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、ケリダム酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、葉酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、シスチン、クロレンド酸、およびトリメリット酸など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。メルカプト基を有するブロック共重合体とこれらの多価カルボン酸とを反応させる際、通常用いられるエステル化触媒を用いることができる。反応中に生成する水を除去することにより、反応を効果的に進めることが可能である。例えば、生成する水をモレキュラーシーブズなどの脱水剤で除去する方法、オルトカルボン酸エステルなどと反応させて除去する方法、あるいは、トルエンなどの共沸溶媒を用いて除去する方法が適宜採用される。
上記(v)の多価カルボン酸エステルとメルカプト基を有するブロック共重合体とのエステル交換反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられる多価カルボン酸エステルとしては、上記多価カルボン酸のエステルが挙げられる。例えば次のエステルがあるが、これらに限定されない:メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、t−ブチルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ラウリルエステル、ビニルエステル、アリルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、ナフチルエステル、(4−ヒドロキシフェニル)エステル、(4−メトキシフェニル)エステル、および(4−ビニルフェニル)エステルなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。メルカプト基と、多価カルボン酸エステルとを反応させる際、通常用いられるエステル交換触媒を使用することができる。また、反応を効率的に進める点で、副生するアルコールを常圧あるいは減圧下で留去することが好ましい。
上記(vi)の多価カルボン酸無水物とメルカプト基を有するブロック共重合体とのエステル化反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられる多価カルボン酸無水物としては、上記多価カルボン酸の無水物を使用できるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。反応の際には、通常用いられるエステル交換触媒を用いることができる。本法においても反応中に生成する水を除去することにより、反応を効果的に進めることが可能である。上記と同様に、生成する水をモレキュラーシーブズなどの脱水剤で除去する方法、オルトカルボン酸エステルなどと反応させて除去する方法、あるいは、トルエンなどの共沸溶媒を用いて除去する方法が適宜採用される。
上記(vii)の多価カルボン酸ハロゲン化物とメルカプト基を有するブロック共重合体との脱ハロゲン化水素(アシル化)反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられる多価カルボン酸ハロゲン化物としては、上記多価カルボン酸のハロゲン化物がある。これら多価カルボン酸のハロゲン化物の具体例としては次の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:コハク酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、イタコン酸ジクロライド、シュウ酸ジクロライド、酒石酸ジクロライド、マロン酸ジクロライド、フタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、フマル酸ジクロライド、リンゴ酸ジクロライドなどの塩素化物;上記塩素化物の塩素原子を臭素原子に置換した化合物;上記塩素化物の塩素原子をヨウ素原子に置換した化合物など。これらのうち、入手性および反応性の点で、コハク酸ジクロライド、マロン酸ジクロライド、フマル酸ジクロライドなどの塩素化物が好ましい。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。反応後、系内に存在する酸を中和したり、減圧留去したりして除去することが好ましい。酸を除去しない場合は、組成物あるいは成形体の耐久性が低下したり、腐食の問題が生じる場合がある。
上記(viii)のカーボネート化合物とメルカプト基を有するブロック共重合体とのエステル交換反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられるカーボネート化合物としては、次の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−sec−ブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジビニルカーボネート、ジアリルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。メルカプト基を有するブロック共重合体とカーボネート化合物とを反応させる際には、通常用いられるエステル交換触媒を用いることができる。また、反応を効率的に進める点で、副生するアルコールを常圧あるいは減圧下で留去することが好ましい。
上記(ix)のケトンとメルカプト基を有するブロック共重合体とを反応させて、チオケタール結合を形成させることにより、該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられるケトンとしては、次の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アセチルアセトン、アセトン、イソホロン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1,3−ジヒドロキシアセトン、1,3−ジヒドロキシアセトンジメチルエーテル、4,4−ジメトキシ−2−ブタノン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンアルコール、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、3−メチルペンテノン、アントラキノン、クロラニル、1,4−ジアミノアントラキノン、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,4−ナフトキノン、キノン、プロピオフェノン、ベンジル、o−ベンゾイル安息香酸、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、コウジ酸、ジケテン、4−クロロアセト酢酸メチル、クロロアセトフェノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、およびヘキサフルオロアセトンなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。上記反応は、反応活性の点で、酸性条件下で行うことが好ましいが、酸性条件とするために使用する酸については特に限定されず、通常用いられる酸のいずれもが使用可能である。生成物の安定性および耐腐食性の点で、反応後酸を中和することが好ましい。
上記(x)の一分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物とメルカプト基を有するブロック共重合体とを脱水縮合させて、該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられる一分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、次の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、イソプレングリコール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グルコン酸ソーダ、グリセロールα−モノクロロヒドリン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ジヒドロキシアセトン、1,4−ジヒドロキシ−1,4−ブタンジスルホン酸二ナトリウム、酒石酸、酒石酸ジイソプロピル、1−チオグリセロール、チオジグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール、ペンタエリスリトール、1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、カテコール、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、ハイドロキノン、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールA、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルハイドロキノン、プロトカテキュ酸、フロログルシノール、没食子酸ラウリル、レゾルシン、ロイコ−1,4−ジヒドロキシアントラキノン、1,1’−ビ−2−ナフトール、コウジ酸、シトラジン酸など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。メルカプト基を有するブロック共重合体と、これら一分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物とを反応させる際、通常用いられるエステル化触媒を用いることができる。本法においても反応中に生成する水を除去することにより、反応を効果的に進めることが可能である。上記と同様に、生成する水をモレキュラーシーブズなどの脱水剤で除去する方法、オルトカルボン酸エステルなどと反応させて除去する方法、あるいは、トルエンなどの共沸溶媒を用いて除去する方法が適宜採用される。
上記メルカプチド基を有するブロック共重合体のカップリング方法のうちで、(xi)の一分子中にハロゲン原子を2つ以上有する化合物とブロック共重合体とを反応させてスルフィド結合を形成させること(ウィリアムソン反応)により、該ブロック共重合体をカップリングする方法を適用する際に用いられる、一分子中にハロゲン原子を2つ以上有する化合物としては、次の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3,5−トリクロロベンゼン、2,5−ジクロロアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロ安息香酸、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン、1,4−ジクロロ−2−ニトロベンゼン、2,4−ジクロロ−1−ニトロベンゼン、o−クロロベンジルクロライド、p−クロロベンジルクロライド、2,6−ジクロロベンジルクロライド、3,4−ジクロロベンジルクロライド、2,3−ジクロロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、2,3−ジクロロベンゾイルクロライド、2,4−ジクロロベンゾイルクロライド、2,6−ジクロロベンゾイルクロライド、四塩化炭素、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、2,6−ジクロロベンザルクロライド、2,6−ジクロロベンゾニトリル、オクタブロモジフェニルエーテル、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、1,4−ジブロモブタン、1,3−ジブロモプロパン、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、1,5−ジブロモペンタン、デカブロモジフェニルエーテル、テトラデカブロモ−p−ジフェノキシベンゼン、テトラブロモシクロオクタン、テトラメチレンクロロブロマイド、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル−2−ヒドロキシプロピルテトラブロモフタレート、1−ブロモ−2−クロロエタン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、ブロモクロロメタン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタメチレンクロロブロマイド、メチレンジブロマイド、ジクロロペンタフルオロプロパン、2,4−ジフルオロアニリン、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンズアミド、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロアセトアミド、トリフルオロアセトアルデヒド水和物、トリフルオロエタノール、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸エチルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド、パーフルオロオクチルイオダイド、2−パーフルオロアルキルエタノール、パーフルオロアルキルエチルアクリレート、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロポリアルケニルビニルエーテル、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロアセトン三水和物、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンオキサイド、1,2−ジヨードエタン、1,4−ジヨードベンゼンなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。透明性が必要とされる場合には、生成した塩をろ過や水洗などにより取り除くことが好ましい。
上記(xii)の多価カルボン酸ハロゲン化物とメルカプチド基を有するブロック共重合体との反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられる多価カルボン酸ハロゲン化物は、上記(vii)の方法で用いられる多価カルボン酸ハロゲン化物と同様の化合物が用いられ得る。
上記(xiii)の多価カルボン酸とメルカプチド基を有するブロック共重合体との中和反応により該ブロック共重合体をカップリングする方法において用いられる多価カルボン酸としては、上記(iv)の方法で用いられる多価カルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。耐久性を向上させる点で、反応後、副生する塩基を中和処理してもよい。
メルカプト基またはメルカプチド基を介して上記ブロック共重合体同士のカップリングを行う際には、上記方法を組み合わせて実施することも可能である。このような場合、例えば、サリチル酸、乳酸、酒石酸などのカルボキシル基((iv)の方法)とヒドロキシル基((x)の方法)とを併せ持つ化合物;4−クロロ安息香酸などのハロゲン原子((xi)の方法)とカルボキシル基((xiii)の方法)とを併せ持つ化合物などを用いることができる。
これら上記の反応を行う際、反応を効率よく進めるために有機溶媒を使用することができる。本発明で使用する有機溶媒としては、次の溶剤が挙げられるが、これらに限定されない:ヘプタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール310(コスモ石油(株)製)、スワゾール1000(コスモ石油(株)製)、スワゾール1500(コスモ石油(株)製)などの芳香族石油系溶剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。反応温度についても特に限定されないが、反応活性の点で、0℃〜200℃の範囲が好ましい。
本発明で使用するメタクリル酸エステル単量体としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2−アミノエチル、2−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシポリピルジメトキシメチルシラン、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸ペンタフルオロエチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルなど。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらのうち、入手性の点で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、およびメタクリル酸テトラヒドロフルフリルが好ましく、成形性、加工性、および耐熱性が良好である点でメタクリル酸メチルが好ましい。また、ガラス転位温度を高く設定する場合には、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシルなどが好ましい。また後述するように、高極性樹脂や高極性ゴムとの相容性が良好である点においては、極性基を有するメタクリル酸エステルが好ましい。
本発明で使用するアクリル酸エステル単量体としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、2−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、2−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸t−ブチル、エトキシジエチレングリコールアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、アクリル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、アクリル酸1,9−ノナンジオール、アクリル酸1,4−ブタンジオール、2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル〕メチルエステル、アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、3−メトキシアクリル酸メチル、アクリル酸アリルなど。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。本発明の組成物を用いて得られる成形体の耐衝撃性、柔軟性の点では、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ドデシル、エトキシジエチレングリコールアクリレート、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアクリル酸2−ヒドロキシプロピル、およびアクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル、およびアクリル酸グリシジルが好ましい。この中でも、適切な重合反応速度が得られる点で、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、およびアクリル酸2−エチルヘキシルなどの、アルキル基の炭素数が8以下のアクリル酸アルキルエステルがさらに好ましい。さらに入手性および価格の点で、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、およびアクリル酸t−ブチルが特に好ましい。また耐油性が必要とされる用途には、アクリル酸2−メトキシエチル、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
本発明の成分(A)のブロック共重合体において、メタクリル酸エステル単量体またはアクリル酸エステル単量体以外に、これらと共重合可能なビニル系単量体を共重合させる場合、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:上述のメタクリル酸エステル単量体;上述のアクリル酸エステル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどの芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロプレンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物またはその誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ケイ皮酸ビニルなどのビニルエステル化合物;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物;アクリル酸、メタクリル酸など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらのうち、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、およびイソプレンが好ましい。メタクリル酸、またはアクリル酸を共重合させた場合には得られる組成物の耐油性、耐熱性が向上する。アクリロニトリル、またはメタクリロニトリルを使用した場合には、組成物の耐油性が向上すると共に、成分(B)としてアクリロニトリルを含有する熱可塑性樹脂やゴムを使用した場合の相容性に優れる。酢酸ビニルを使用した場合には、成分(B)としてポリ塩化ビニル系熱可塑性樹脂を使用した場合の相容性に優れる。スチレン、ブタジエン、またはイソプレンを使用した場合には、成分(B)としてオレフィン系熱可塑性樹脂やオレフィン系重合体ゴム、ジエン系重合体ゴム、および天然ゴムを使用した場合の相容性に優れる。
上記記載の成分(A)であるブロック共重合体において、メタクリル酸エステル系重合体ブロックは、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合して得られる重合体ブロックであり、通常、メタクリル酸エステル単量体50重量%以上と、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なビニル系単量体50重量%未満とを共重合して得られる。本発明の組成物に含有される成分(A)であるブロック共重合体としては、物性とコストのバランスの点で、メタクリル酸エステル系重合体ブロックは、メタクリル酸メチルを50重量%以上重合したものであることが好ましい。
成分(A)であるブロック共重合体におけるメタクリル酸エステル系重合体ブロックのガラス転位温度は、脂組成物の耐熱性および成形性の点で、20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。
上記記載の成分(A)であるブロック共重合体において、アクリル酸エステル系重合体ブロックは、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合して得られる重合体ブロックであり、通常、アクリル酸エステル単量体50重量%以上と、アクリル酸エステル単量体と共重合可能なビニル系単量体50重量%未満とを共重合して得られる。本発明の組成物に含有される成分(A)であるブロック共重合体としては、物性とコストのバランスの点で、アクリル酸エステル系重合体ブロックは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチルから選択される少なくとも1種のアクリル酸エステル単量体を、50重量%以上重合したものであることが好ましい。
成分(A)であるブロック共重合体におけるアクリル酸エステル系重合体ブロックのガラス転位温度は、組成物の耐衝撃性および柔軟性改良の効果が高い点で、30℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましく、−20℃以下が特に好ましい。
また、成分(B)の熱可塑性樹脂またはゴムとして極性の比較的高いものを用いる場合、相容性および透明性の点で、成分(A)であるブロック共重合体は、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、またはカルボキシル基を有するメタクリル酸エステル単量体、およびヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、またはカルボキシル基を有するアクリル酸エステル単量体から選択される少なくとも1種のビニル系単量体を、50重量%未満の割合で共重合したものであることが好ましい。このようなビニル系単量体としては、上記のメタクリル酸エステル単量体およびメタクリル酸エステル単量体と共重合可能なビニル系単量体のうち、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、3−ジメチルアミノアクリル酸エチル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、無水フタル酸−アクリル酸2−ヒドロキシプロピル付加物、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、およびメタクリル酸グリシジルなど。また、これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、成分(B)との相容性、透明性および入手性に優れる点で、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。特に、メタクリル酸グリシジル、またはアクリル酸グリシジルを共重合させた場合には、成分(B)としてエステル結合、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基などを有する熱可塑性樹脂またはゴムを使用した場合の相容性に優れる。
本発明の組成物に含有される成分(A)であるブロック共重合体における、メタクリル酸エステル系重合体ブロックとアクリル酸エステル系重合体ブロックとの組成比は、特に限定されないが、メタクリル酸エステル系重合体ブロックの重量比が、5〜90重量%であることが好ましく、10〜80重量%であることがより好ましい。メタクリル酸エステル系重合体ブロックの重量比が5重量%未満であると、本発明の組成物より得られる成形体の機械強度が低くなったり、成形体の表面が粘着性を帯びたりする場合がある。メタクリル酸エステル系重合体ブロックの重量比が90重量%を超えると、耐衝撃性の改良の効果が不十分となる場合がある。本発明の組成物においては、成分(A)であるブロック共重合体における、メタクリル酸エステル系重合体ブロックとアクリル酸エステル系重合体ブロックとの組成比を調節することにより、熱可塑性樹脂またはゴムと組み合わせる場合、組成物の硬度や加工特性を調整することができる。硬度に関しては、一般的に、メタクリル酸エステル系重合体ブロックの組成比が小さいと硬度が低くなり、メタクリル酸エステル系重合体ブロックの組成比が大きいと硬度が高くなる。加工特性に関しては、一般的に、メタクリル酸エステル系重合体ブロックの組成比が小さいと溶融時の粘度が低くなり、メタクリル酸エステル系重合体ブロックの組成比が大きいと溶融時の粘度が高くなる。
本発明の組成物に含有される成分(A)であるブロック共重合体の分子量は特に限定されないが、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が3000〜500000の範囲にあるのが好ましく、5000〜400000の範囲にあるのがより好ましい。数平均分子量が3000より小さいと溶融時の粘度が低くなるため扱いにくくなる場合があり、数平均分子量が500000を超えると溶融時の粘度が高くなるため、加工が困難となる場合がある。
本発明の組成物に含有される成分(A)であるブロック共重合体の分子量分布は特に限定されないが、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、2以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。分子量分布が2を超えると、添加量に比して物性改善の効果が小さい場合、成分(B)との相容性が低くなる場合、成分(B)と混合した場合に透明性が低下する場合などがある。
本発明の成分(B)のひとつである熱可塑性樹脂としては、従来用いられている種々の熱可塑性樹脂を特に限定なく使用することが可能である。熱可塑性樹脂としては、次の樹脂が挙げられるが、それらに限定されない:サーリン(デュポン社製)、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル(株)製)などのアイオノマー樹脂;ポリアクリル酸ヒドラジド、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(AAS)、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、カネカエンプレックス(鐘淵化学工業(株)製)などのABS−塩化ビニル系自己消化性樹脂;カネカMUH(鐘淵化学工業(株)製)などのABS系耐熱樹脂;アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂(ACS)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、カルボキシビニルポリマー、ケトン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、低融点エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6、ポリアミド46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアミンサルホン、ポリパラビニルフェノール、ポリパラメチルスチレン、ポリアリルアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリメタクリル酸メチル、各種液晶ポリマーなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、耐衝撃性改良の効果が高い点で、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル系樹脂、およびポリアミド系樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂が好ましい。
本発明で使用する成分(B)のひとつであるゴムとしては、アクリル系重合体ゴム、オレフィン系重合体ゴム、ジエン系重合体ゴム、および天然ゴムから選ばれる、少なくとも1種類のゴム、あるいはこれらのゴムに、不飽和単量体をグラフト重合した改質ゴムを使用することができる。これらのゴムは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
本発明で使用する、アクリル系重合体ゴムとしては、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合して得られるゴムであれば、特に限定なく使用できる。このようなアクリル酸エステルとしては、例えば、上述のアクリル酸エステル単量体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。アクリル系重合体ゴムの例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、およびアクリル酸エチルとアクリル酸ブチルの混合単量体に、2−クロロエチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、アクリル酸、アクリロニトリル、ブタジエンなどの単量体の1種以上を少量共重合させてなるアクリルゴムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用するオレフィン系重合体ゴムとしては、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、イソブチレン重合体ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴムなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用するジエン系重合体ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、およびこれらの水添物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これらのうち、エラストマー組成物に耐油性が必要な場合はアクリルゴム、クロロプレンゴム、およびニトリルゴムが好ましく、アクリルゴムがより好ましい。
本発明において、成分(A)であるブロック共重合体との相容性を向上できる点で、成分(B)のゴムに不飽和単量体をグラフト重合させることが好ましい。このような不飽和単量体としては、上述のメタクリル酸エステル単量体;上述のアクリル酸エステル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどの芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロプレンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ケイ皮酸ビニルなどのビニルエステル化合物;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物;アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
ゴムにグラフト重合させる不飽和単量体の量については、特に制限はなく、必要な物性を得るために任意に選択可能であるが、成分(A)であるブロック共重合体との相容性、およびゴム弾性の点で、ゴム100重量部に対して、0〜200重量部が好ましい。
本発明の成分(B)としてゴムを使用する場合、未架橋のゴムであってもよく、架橋ゴムであってもよいが、耐熱性、および形状保持力の点で、架橋ゴムであることが好ましい。ゴムの架橋については、成分(A)であるブロック共重合体との混合前に架橋しておいてもよく、成分(A)であるブロック共重合体との溶融混合時に動的架橋してもよい。
成分(A)であるブロック共重合体との混合前に架橋したゴムは、架橋ゴム粒子、または全体として架橋されている塊状ゴムである。架橋ゴム粒子の例としては、グラフト鎖を有する架橋ゴム粒子、例えば、外層部に不飽和単量体をグラフト重合させた架橋ゴム粒子などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ゴムを架橋する方法としては、例えば、成分(A)であるブロック共重合体との溶融混合時に架橋剤、加硫促進剤などを添加する方法;未架橋ゴムを架橋剤、加硫促進剤と共に混練して架橋ゴムを得る方法;および不飽和単量体を多官能性単量体と共に乳化重合法、または懸濁重合により重合させて架橋ゴム粒子を得る方法などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ゴムを架橋する際に使用する架橋剤としては、従来公知のものを制限なく使用可能であるが、例えば、硫黄;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系有機硫黄化合物;2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)吉草酸、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などの有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p、p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム化合物;アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂などのアルキルフェノール樹脂;ヘキサメチレンジアミンカルバメートなどのポリアミン類;金属酸化物;トリアジンチオール;ポリオール;セレン化合物;テルル化合物などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。架橋剤の使用量は特に限定されないが、架橋効率とゴム弾性のバランスの点で、ゴム100重量部に対して架橋剤を0.1〜30重量部用いるのが好ましく、0.5〜20重量部用いるのがより好ましい。
こららの架橋剤を使用する際、架橋を促進するために加硫促進剤を使用することができる。このような加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニンなどのグアジニン系化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系化合物;亜鉛ジメチルジチオカルバメートなどのジチオカルバメート系化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルスルフィドなどのチアゾール系化合物;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、酸化亜鉛やステアリン酸などを使用することもできる。これらの加硫促進剤は、硫黄を用いて架橋する場合に効果が高く、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムなどの、二重結合を有するゴムに特に効果が高い。有機硫黄化合物を架橋剤として使用する場合は、少量の硫黄、上記加硫促進剤、あるいは酸化亜鉛を添加することが好ましい。有機過酸化物を架橋剤として使用する場合は、耐熱性を向上させる目的で酸化亜鉛を添加することが好ましい。有機過酸化物による架橋は、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴムなどに効果が高い。オキシム化合物を架橋剤として使用する場合、活性剤を併用することが好ましい。このような活性剤としては、PbO、Pbなど酸化鉛化合物、ジベンゾチアジルスルフィドなどを使用できるが、これらに限定されるものではない。オキシム化合物による架橋は、ブチルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴムに効果が高い。アルキルフェノール樹脂を架橋剤として使用する場合は、酸化亜鉛、塩化スズなどの架橋助剤を添加することが好ましい。また、ステアリン酸を添加することもできる。アルキルフェノール樹脂による架橋は、ブチルゴムなどに効果が高い。ポリアミン類による架橋は、活性塩素タイプのアクリルゴム、フッ素ゴムなどの、ハロゲン原子を有するゴムに適用できる。
外層部に不飽和単量体がグラフトされた架橋ゴム粒子としては、例えば、ブタジエン、またはスチレン−ブタジエンの架橋ゴム粒子に、メタクリル酸メチル、および必要に応じてスチレンをグラフト共重合させて得られる、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)樹脂;アクリル酸ブチルの架橋ゴム粒子に、メタクリル酸メチルをグラフト共重合させて得られるアクリル系グラフト共重合体樹脂などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のエラストマー組成物においては、成分(A)であるブロック共重合体)と成分(B)であるゴムとの組成比、成分(A)であるブロック共重合体の種類や組成、成分(B)であるゴムの種類や組成などを調節することにより、幅広い物性の発現が可能である。例えば、成分(A)であるブロック共重合体に、未架橋のゴム成分を添加した場合は、成分(A)であるブロック共重合体単独の場合と比較して、硬度やモジュラスを低下させて伸びを向上させることができ、かつ、可塑剤を添加した場合に認められるような低分子成分の流出や移行が認められない。成分(B)のゴムがブチルゴムである場合には、制振性、ガスバリア性などを付与することができる。
成分(A)であるブロック共重合体と、成分(B)であるゴムを溶融混合時に動的架橋させた場合には、エラストマー組成物の硬度と圧縮永久歪とのバランスを改善することができる。成分(B)のゴムがアクリルゴムである場合には、優れた耐油性を付与することができる。
成分(A)であるブロック共重合体に、あらかじめ架橋した成分(B)であるゴムを添加した場合には、エラストマー組成物の硬度やモジュラスを向上させることができ、ゴム成分の有する物性を保持しながら、タックの少ない組成物を得ることができる。
本発明の組成物中の、成分(B)と成分(A)であるブロック共重合体の含有量については特に限定されない。成分(B)である熱可塑性樹脂、アクリル系重合体ゴム、オレフィン系重合体ゴム、ジエン系重合体ゴム、および天然ゴムの物性改良の効果、および成形性の点で、成分(B)100重量部に対して、成分(A)であるブロック共重合体を0.5〜900重量部含有することが好ましく、1〜300重量部含有することがより好ましい。ブロック共重合体が0.5重量部未満であると、物性改良の効果が明確でない場合があり、900重量部を超えると成形性が低下する場合がある。
本発明の組成物は、成分(B)および成分(A)であるブロック共重合体以外に、各種物性を調整する目的で、必要に応じて1種類以上の添加剤を配合することができる。添加剤としては、(a)可塑剤、(b)チキソトロピー向上剤、(c)耐熱性向上剤、(d)安定剤、(e)酸化防止剤、(f)紫外線吸収剤、(g)ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、(h)帯電防止剤、(i)難燃剤、(j)着色剤、(k)発泡剤、(l)滑剤、(m)防カビ剤、(n)結晶核剤、(o)加硫促進剤、(p)老化防止剤、(q)加硫剤、(r)スコーチ防止剤、(s)素練促進剤、(t)粘着付与剤、(u)ラテックス凝固剤、(v)加工助剤、(w)無機系充填剤、(x)ゴム系材料などが挙げられる。これらの添加剤は、使用する成分(B)の種類や組成、成分(A)のブロック共重合体の組成、使用される用途などに応じて、適宜最適なものを選択すればよい。
上記(a)の可塑剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、テトラヒドロフタル酸エステル、トリクレシルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ−n−アルキル、ジブチルジグリコールアジペート、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジブチル、トリメリット酸トリス−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリアルキル、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、塩化パラフィンなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(b)のチキソトロピー向上剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:イセチオン酸ナトリウム、イセチオン酸カリウム、イセチオン酸アンモニウム、ラウリルエチルエステルスルホン酸ナトリウム、ミリスチルエチルエステルスルホン酸ナトリウム、ステアリルエチルエステルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(c)の耐熱性向上剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:リン酸、亜リン酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、クロム酸、塩酸、硫酸、亜硫酸、チオ硫酸、硝酸、亜硝酸、ヨウ素酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ニコチン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、酒石酸、リンゴ酸、ギ酸、酪酸、クエン酸、コハク酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、スルファミン酸、スルファミル酸、アスパラギン酸、グリコール酸、グルタミン酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、オレイン酸、サリチル酸、トリメリット酸、p−トルエンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂などの酸性化合物;天然ハイドロタルサイト、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭61−174270号公報などに記載の方法により合成される合成ハイドロタルサイト、脂肪酸エステルなどのワックスで表面処理したハイドロタルサイト、亜鉛変性ハイドロタルサイト、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、亜鉛変性ハイドロタルサイトを過塩素酸処理した変性ハイドロタルサイト、乾燥処理により得られる乾燥ハイドロタルサイトなどのハイドロタルサイト化合物;A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、P型ゼオライト、モノデナイト、アルナサイト、ソーダライト族アルミノケイ酸塩、クリノブチロライト、エリオナイト、およびチャバサイトなどのゼオライト化合物;過塩素酸スズ、過塩素酸バリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウムなどの過塩素酸金属塩など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(d)の安定剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ジブチルスズジラウリン酸鉛、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイトなどの塩化ビニル用安定剤;ジ−n−オクチルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)塩、ジ−n−オクチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジ−n−オクチルスズジラウリン酸塩、ジ−n−オクチルスズマレイン酸エステル塩、ジ−n−ブチルスズビスマレイン酸エステル塩、ジ−n−ブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジ−n−ブチルスズビスオクチルチオグリコールエステル塩、ジ−n−ブチルスズβ−メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−メチルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)塩、ポリ(チオビス−n−ブチルスズサルファイド)、モノオクチルスズトリス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、ジブチルスズマレエート、ジ−n−ブチルスズマレートエステル・カルボキシレート、およびジ−n−ブチルスズマレートエステル・メルカプチドなどの有機スズ系安定剤;三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、ケイ酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉛などの鉛系安定剤;カドミウム系石けん、亜鉛系石けん、バリウム系石けん、鉛系石けん、複合型金属石けん、ステアリン酸カルシウムなどの金属石けん系安定剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(e)の酸化防止剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス〔3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トパノールCA((株)リプレ製)、およびトコフェロール類などの、フェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、およびジステアリル3,3’−チオジプロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどのリン系酸化防止剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(f)の紫外線吸収剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、〔2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール〕、〔2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕〕〕などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレート系紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、〔2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)〕−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸モノエチレート、ニッケル−ジブチルジチオカルバメートなどのニッケル系紫外線安定剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(g)のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、SanolLS−770(三共(株)製)、アデカスタブLA−77(旭電化工業(株)製)、スミソープ577(住友化学工業(株)製)、バイオソーブ04(共同薬品(株)製)、Chimassorb944LD(Ciba Specialty社製)、Tinuvin144(Ciba Specialty社製)、アデカスタブLA−52(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−57(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−67(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−68(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−77(旭電化工業(株)製)、アデカスタブLA−87(旭電化工業(株)製)、アデカスタブPEP−36(旭電化工業(株)製)、GoodriteUV−3034(Goodrich社製)など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(h)の帯電防止剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミド、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン系帯電防止剤;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェートなどのアニオン系帯電防止剤;第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレートなどのカチオン系帯電防止剤;アルキルベタイン化合物、アルキルイミダゾリン化合物、アルキルアラニン化合物などの両性系帯電防止剤;ポリビニルベンジル型カチオン化合物、ポリアクリル酸型カチオン化合物などの導電性樹脂型帯電防止剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(i)の難燃剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:テトラブロモビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイド、含ハロゲンポリフォスフェートなどのハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、酸性リン酸エステル、含窒素リン化合物などのリン系難燃剤;赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤;ポリ(ジメトキシシロキサン)、ポリ(ジエトキシシロキサン)、ポリ(ジフェノキシシロキサン)、ポリ(メトキシフェノキシシロキサン)、メチルシリケート、エチルシリケート、フェニルシリケートなどのシロキサン系難燃剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(j)の着色剤としては、粉体状着色剤、顆粒状着色剤、液状着色剤、着色剤を含むマスターバッチなどの着色剤などを挙げることができるが、これらに限定されない。酸化チタンなどの顔料を使用することもできる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(k)の発泡剤としては、次の材料が挙げられるが、それらに限定されない:アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)などの有機発泡剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(l)の滑剤としては、次の材料が挙げられるが、それらに限定されない:流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリオレフィンワックス、これらの部分酸化物、これらのフッ化物、これらの塩化物などの脂肪族炭化水素系滑剤;牛脂や魚油などの動物油、やし油、大豆油、菜種油、米ぬかワックスなどの植物油、これらの分離精製品、モンタンワックスなどの、高級脂肪族系アルコールおよび高級脂肪酸系滑剤;高級脂肪酸のアマイド、高級脂肪酸のビスアマイドなどの脂肪酸アマイド系滑剤;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛・ステアリン酸バリウム複合体、ステアリン酸亜鉛・ステアリン酸カルシウム複合体などの金属石けん系滑剤;一価アルコールの高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸部分エステル、モンタンワックスタイプの長鎖エステル、モンタンワックスタイプの長鎖エステルの部分加水分解物などの脂肪酸エステル系滑剤、ヘキスト ワックスE(ヘキスト ジャパン(株)製)など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(m)の防カビ剤としては、バイナジン、プリベントール、チアベンダゾールなどを挙げることができるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(n)の結晶核剤としては、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、アルキル置換ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトールなどを挙げることができるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(o)の加硫促進剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:ヘキサメチレンテトラミン、n−ブチルアルデヒドアニリン、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩、N,N’−ジフェニルチオ尿素、2−メルカプトイミダゾリン、N,N’−ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿素、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、テルリウムジエチルジチオカルバメートなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(p)の老化防止剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、1−(N−フェニルアミノ)−ナフタレン、スチレン化ジフェニルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、モノ(α−メチルベンジル)フェノール、ジ(α−メチルベンジル)フェノール、トリ(α−メチルベンジル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、サンノック(大内新興化学工業(株)製)、サンタイト(精工化学(株)製)、オゾガードG(川口化学工業(株)製)など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(q)の加硫剤としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:p−キノンジオキシム、p、p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、4,4’−ジチオジモルホリン、ポリp−ジニトロソベンゼン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、タッキロール201(田岡化学工業(株)製)、ヒタノール2501(日立化成工業(株)製)、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(r)のスコーチ防止剤としては、N−ニトロソジフェニルアミン、無水フタル酸などを挙げることができるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(s)の素練促進剤としては、O,O’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド、2−ベンズアミドチオフェノールの亜鉛塩、ペプター3S(川口化学工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(t)の粘着付与剤としては、タッキロール101(田岡化学工業(株)製)、ヒタノール1501(日立化成工業(株)製)、変性アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、ヒタノール5501(日立化成工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(u)のラテックス凝固剤としては、酢酸のシクロヘキシルアミン塩などを挙げることができるが、これに限定されない。ラテックス凝固剤は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(v)の加工助剤としては、エクストンK1、エクストンL−2(以上、川口化学工業(株)製)、PA−20(鐘淵化学工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(w)の無機系充填剤としては、次の材料が挙げられるが、それらに限定されない:含水微粉ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック、ガスブラック、オイルブラック、アセチレンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、亜鉛華、珪藻土、硫酸バリウム、酸化亜鉛など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記(x)のゴム系材料としては、天然ゴムおよび合成ゴムがある。合成ゴムとしては、次の材料が挙げられるが、それらに限定されない:スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、四フッ化エチレン−プロピレン−フッ化ビニリデンゴム、アクリルゴム(ACM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン−アクリルゴム、多硫化ゴム系液状ゴム、シリコーン系液状ゴム、ウレタン系液状ゴム、ジエン系液状ゴム、変性シリコーン系液状ゴム、ノルボルネンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
成分(B)として熱可塑性樹脂を使用する場合、熱可塑性樹脂と成分(A)であるブロック共重合体とを混合する場合には、その混合方法は特に限定されず、例えば樹脂業界、ゴム業界、エラストマー業界、粘着剤業界、接着剤業界、塗料業界などにおいて通常用いられる熱可塑性樹脂組成物の製造方法を適用することができる。例えば、熱可塑性樹脂、成分(A)であるブロック共重合体、および必要に応じてゴムや添加剤などを、タンブラー、ヘンシェルミキサー、リボブレンダーなどで混合し、続いて押出し機、バンバリーミキサー、ロールなどで混練する。混練温度は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂の種類や組成、成分(A)であるブロック共重合体の組成、熱可塑性樹脂と成分(A)であるブロック共重合体との配合比、配合する添加剤の種類や量などに応じて適宜決定され得る。通常、室温〜300℃の範囲で調節される。特に、熱可塑性樹脂および成分(A)であるブロック共重合体のガラス転位温度以上の温度で溶融混練すると、短時間で混合することができるので好ましい。このとき、熱可塑性樹脂、成分(A)であるブロック共重合体、および添加剤として用いるゴム系材料などのうちの少なくとも1種を、動的加硫させてもよい。
また、熱可塑性樹脂と成分(A)であるブロック共重合体とを混合する方法としては、上記のように両者をそれぞれ製造後混合してもよく、どちらか一方の重合中、または重合後に、他方を添加して混合してもよい。例えば、熱可塑性樹脂を溶液重合により調製した溶液中に、成分(A)であるブロック共重合体を溶解させる方法、成分(A)であるブロック共重合体を乳化重合した乳化液に、熱可塑性樹脂を分散混合させる方法であってもよい。添加剤が重合に悪影響を及ぼさない場合には、重合前、あるいは重合中に添加剤を添加してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形体、被覆材、粘着剤、接着剤、ホットメルト接着剤、相容化剤、塗料添加剤、樹脂改質剤、ゴム改質剤などの用途に使用可能である。本発明の組成物の成形方法としては、通常用いられる種々の方法を適用可能であり、例えば、押出し成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、射出成形などが挙げられ、目的に応じて適宜成形される。本発明の組成物を成形して得られる成形体は、パイプ、継手、平板、波板、シート、フィルム、柱、壁材、床材、玩具、グリップ、靴底、スポーツ用品、窓枠、ドア、容器、自動車部品、電気機器筐体、レンズ、光学部品、電気回路基盤、電子部品、ボトル、ボトルキャップ、パッキン、ガスケット、電線被覆などの種々の用途に利用できる。
本発明のエラストマー組成物を製造する方法としては、特に限定されず、例えばゴム業界において従来公知のゴム組成物の製造方法を適用可能である。例えば、成分(A)であるブロック共重合体、成分(B)であるゴム、および必要に応じて架橋剤、加硫促進剤、添加剤などを、タンブラー、ヘンシェルミキサー、リボブレンダーなどで混合し、続いて押出し機、バンバリーミキサー、ロールなどで混練する方法を挙げることができる。この場合の混練温度は、ブロック共重合体とゴム成分との重量比によって、室温〜230℃の範囲で調節することが好ましい。特に、成分(A)であるブロック共重合体中のメタクリル酸エステル系重合体ブロックのガラス転位温度が100℃以上であり、かつ、エラストマー組成物中のブロック共重合体の重量比が高い場合、温度が室温未満であると各成分が十分に混合されないためである。したがって、エラストマー組成物の組成が、成分(B)であるゴム100重量部に対して成分(A)であるブロック共重合体が50重量部未満の場合、混練温度は室温〜100℃が好ましく、ブロック共重合体が50重量部〜100重量部の場合、80〜150℃が好ましく、ブロック共重合体が100重量部を超える場合、150〜210℃が好ましい。ただし、混練温度が210℃以上になると、ブロック共重合体やゴム成分の分解が進行する場合があるので通常は好ましくない。ゴム成分を動的加硫する場合、加硫速度と成形性のバランスの点で、混練温度は50〜210℃が好ましい。
本発明のエラストマー組成物は、従来公知の種々の方法により、成形体とすることができる。成形体を製造するための方法としては、例えば、押出し成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、射出成形などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のエラストマー組成物を成形してなる成形体は、種々の用途に使用可能である。このような成形体の用途としては、例えば、密封材料、ガスケット、耐油性ホース、被覆シートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の成形体のうち、密封材料としては、ガスバリア性の点で、ゴム成分としてブチルゴムを用いることが好ましく、未架橋ブチルゴム、あるいは動的架橋ブチルゴムがより好ましい。耐熱性、耐久性の点で、成分(A)であるブロック共重合体のメタクリル酸エステル系重合体ブロックはメタクリル酸メチル重合体が好ましく、アクリル酸エステル系重合体ブロックはアクリル酸エチル重合体、アクリル酸ブチル重合体、またはアクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体が好ましい。また、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロニトリル、およびアクリロニトリルから選ばれる1種以上の単量体を共重合させることにより耐熱性、耐油性を付与することができる。成分(A)であるブロック共重合体と成分(B)であるゴムの重量比は、成分(B)が未加硫ゴムの場合は(A):(B)=90:10〜50:50が好ましく、(A):(B)=80:20〜60:40がより好ましい。(B)の重量比が50重量%を超える場合、加工時に粘着などの問題が起こる場合がある。また、(B)を動的架橋する場合には、(A):(B)=90:10〜20:80であることが好ましく、(A):(B)=80:20〜20:80がより好ましい。本発明の密封材料は、例えばガラス瓶やペットボトル容器などの口部の密封材料として使用可能であり、エラストマー組成物をプレス成形によって円盤状、あるいは円柱状とし、瓶や容器の口部に差し込んだり、蓋の中に挿入したりして使用することができる。
本発明の成形体のうち、ガスケットとしては、耐熱性、耐久性の点で、成分(A)であるブロック共重合体のメタクリル酸エステル系重合体ブロックがメタクリル酸メチル重合体であることが好ましく、アクリル酸エステル系重合体ブロックはアクリル酸エチル重合体、またはアクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体であることが好ましい。また、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロニトリル、およびアクリロニトリルから選ばれる1種以上の単量体を共重合させることにより耐熱性、耐油性を付与することができる。ゴム成分としては、耐油性、耐久性の点で、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムが好ましく、アクリルゴムがより好ましく、動的架橋させることが好ましい。成分(A)であるブロック共重合体と成分(B)であるゴムの重量比は、耐久性の点で(A):(B)=90:10〜20:80が好ましく、(A):(B)=80:20〜20:80がより好ましい。本発明のガスケットは、例えばシリンジ用ガスケット、ガラス封止用ガスケット、自動車用ガスケットなどに利用可能である。
本発明の成形体のうち、耐油性ホースとしては、耐油性、耐熱性の点で、成分(A)であるブロック共重合体のメタクリル酸エステル系重合体ブロックとしてはメタクリル酸メチル重合体が好ましく、アクリル酸エステル系重合体ブロックとしてはアクリル酸エチル重合体、またはアクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体が好ましい。またメタクリル酸、アクリル酸、メタクリロニトリル、およびアクリロニトリルから選ばれる1種以上の単量体を共重合させると、耐熱性、耐油性が向上するためより好ましい。ゴム成分としてはアクリルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムが好ましく、アクリルゴム、ニトリルゴムがより好ましく、動的架橋することがさらに好ましい。成分(A)であるブロック共重合体と成分(B)であるゴムの重量比は、耐油性、および耐熱性と成形性とのバランスの点で、(A):(B)=90:10〜20:80が好ましく、(A):(B)=80:20〜20:80がより好ましい。このような耐油性ホースは、例えば押出し成形により製造することができ、自動車などの車両用ホースなどとして使用可能である。
本発明の成形体のうち、被覆シートとしては、耐候性、耐熱性の点で、成分(A)であるブロック共重合体のメタクリル酸エステル系重合体ブロックとしてはメタクリル酸メチル重合体が好ましく、アクリル酸エステル系重合体ブロックとしてはアクリル酸ブチルが好ましく、ゴム成分としては、アクリル酸ブチルの架橋ゴム粒子に、メタクリル酸メチルをグラフト重合させたグラフト架橋ゴム粒子が好ましい。成分(A)であるブロック共重合体と成分(B)であるゴム成分の重量比は、耐候性、耐熱性などと成形性とのバランスの点で、(A):(B)=90:10〜20:80が好ましく、(A):(B)=80:20〜50:50がより好ましい。本発明の被覆シートは、上記エラストマー組成物を押出し成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、射出成形などの任意の加工方法によって成形加工することができるが、生産性、コストの点で押出し成形が好ましい。また、押出しと同時、または押出し成形後に、一軸、または二軸延伸することも可能である。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例の製造例において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定により求めた。GPC測定においては、特に記載のない限りクロロホルムを溶出液とし、ポリスチレンゲルカラム(昭和電工(株)製 Shodex K−804)を使用し、ポリスチレン換算で解析した。
本実施例において、アイゾット衝撃強度は、ASTM D256−56に記載の方法に準拠し、Vノッチ付き試料を用い、n=5で測定した値の平均値を採用した。ガードナー強度は、ASTM D3029−84−GBに記載の方法に準拠し、700gのおもりを用い、23℃においてn=40で測定した。成形性の尺度となる溶融粘度は、JIS K−7199に記載の方法に準拠し、キャピラリー・レオメーターを使用して、1216s−1のせん断速度で測定した。スパイラルフローは、シリンダー温度250℃、金型温度70℃で、射出圧力608kgf/cmに設定して3mm厚の角型スパイラルを射出成形し、その長さ(mm)で成形流動性を評価した。
本実施例において、硬度は、JIS K6253に従い、23℃における硬度(JIS A)を測定した。引張破断強度、および引張破断時伸びは、JIS K6251に従い、25℃で測定した。圧縮永久歪は、JIS K6301に従い、円柱型成形体を圧縮率25%の条件で70℃で22時間保持し、室温で30分放置した後成形体の厚みを測定し、歪の残留度を計算した。耐油性は、JIS C232に従い、成形体を70℃のトランスオイルB中に4時間浸漬し、重量変化率から求めた。ゲル分率は、成形体1gをトルエン50mL中に室温で72時間浸漬した後、トルエン可溶分を分別し、不溶分を60℃で減圧乾燥して重量を測定することにより求めた。
(製造例1) (メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、および還流冷却器を備えた2L反応器に、蒸留水490gおよび乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.56gを入れ、80℃に加熱撹拌しながら系内を窒素置換した。メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル16.5gと、チオカルボニルチオ基を有する下記構造
Figure 0003971705
で示される化合物1.09gとの混合溶液を反応器内に入れ、窒素気流下80℃で20分間加熱撹拌した。重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.93gを蒸留水25gと共に反応器に入れた。80℃で1時間加熱撹拌したところで、さらにメタクリル酸メチル85.0gを滴下ろうとに入れ、2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間加熱した時点でサンプリングし、ポリメタクリル酸メチル(転化率=90.1%、数平均分子量(Mn)=20300、分子量分布(Mw/Mn)=1.23)の生成を確認した。
続いてアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル20.0gを添加し、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.40gを蒸留水10gと共に追加した。80℃で1時間加熱撹拌した後、さらにアクリル酸n−ブチル80.0gを滴下ろうとに入れ、1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間加熱撹拌した後室温まで冷却し、塩化カルシウム水溶液を加えて塩析、水洗、乾燥し、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体155gを得た。このメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体は、Mn=44600、Mw/Mn=1.34であった。また、H−NMR分析により、チオカルボニルチオ基が共重合体に85%導入されており、各成分の重量比がメタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=46:54であることを確認した。
(製造例2) (メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、および還流冷却器を備えた2L反応器に、蒸留水490gと乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.56gを入れ、80℃に加熱撹拌しながら系内を窒素置換した。メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル16.5gと、チオカルボニルチオ基を有する下記構造
Figure 0003971705
で示される化合物1.09gとの混合溶液を反応器内に入れ、80℃で20分間加熱撹拌した。重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.93gを蒸留水25gと共に反応器に入れた。80℃で1時間加熱撹拌したところで、さらにメタクリル酸メチル85.0gを滴下ろうとに入れ、2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間加熱した時点でサンプリングし、ポリメタクリル酸メチル(転化率=91.2%、Mn=21000、Mw/Mn=1.35)の生成を確認した。
続いてアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル20.0gを添加し、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.40gを蒸留水10gと共に追加した。80℃で1時間加熱撹拌した後、さらにアクリル酸n−ブチル80.0gを滴下ろうとに入れ、1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間加熱撹拌した後室温まで冷却し、塩化カルシウム水溶液を加えて塩析、水洗、乾燥し、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体150gを得た。このメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体は、Mn=46600、Mw/Mn=1.58であった。H−NMR分析により、チオカルボニルチオ基が共重合体中に88%導入されており、各成分の重量比がメタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=45:55であることを確認した。
このジブロック共重合体140gをトルエン1000mLに溶解させて、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、および還流冷却器を備えた2L反応器に入れ、系内を窒素置換した。ここに2級アミン化合物であるジエチルアミン9.8gを添加し、80℃で5時間加熱することにより、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック末端についたチオカルボニルチオ基を定量的にメルカプト基に変換した。残存するジエチルアミンを留去した後、前記(ii)の方法で使用される一分子中にイソシアナト基を2つ以上有する化合物としてヘキサメチレンジイソシアナート0.22gと、ウレタン化反応触媒であるジブチルスズビスイソオクチルチオグリコレート0.03gとを添加し、80℃で2時間、さらに100℃で3時間加熱することにより、80%の収率でメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体を得た。このトリブロック共重合体は、Mn=70800、Mw/Mn=1.89であった。
(製造例3) (メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、および還流冷却器を備えた2L反応器に、トルエン500mL、メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル100g、およびチオカルボニルチオ基を有する下記構造
Figure 0003971705
で示される化合物3.19gを入れ、窒素置換した。ここに重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.82gを添加し、70℃で20時間加熱撹拌した。サンプリングして分析したところ、Mn=9600、Mw/Mn=1.32のポリメタクリル酸メチルの生成を確認した。また、H−NMR分析より、トリチオカーボネート基が89%の割合で重合体主鎖中に導入されていることを確認した。
続いて、反応器内にさらに重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.25gを添加し、70℃で加熱撹拌しながら、滴下ろうとからアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル400gを2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに10時間加熱撹拌を続け、室温まで冷却した。反応溶液をメタノール3Lに撹拌しながらゆっくり注ぎ、共重合体を沈殿させた。沈殿をろ過し、エタノールで洗浄してから乾燥させ、粉末として750gを得た。分析の結果、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体であり、Mn=39500、Mw/Mn=1.71であることを確認した。H−NMR分析より、各成分の重量比がメタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=26:74であることを確認し、トリチオカーボネート基の存在も確認した。
(製造例4) (メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、および滴下ろうとを備えた500mL反応器に、メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル100g、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)421mg、チオカルボニルチオ基を有する下記構造
Figure 0003971705
で示される化合物796mg、およびトルエン100mLを入れ、窒素置換した。反応液を撹拌しながら80℃で2時間加熱し、メタクリル酸メチル重合体(Mw=38400、Mn=34200、Mw/Mn=1.12)を得た。続いて、滴下ろうとからアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル89.6g、アクリル酸エチル88.0g、およびアクリル酸2−メトキシエチル54.7gの混合液を、1時間かけて滴下し、さらに5時間80℃で加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、メタノール1.5Lに注ぎ込み、メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)ジブロック共重合体(Mn=104000、Mw/Mn=1.44)を得た。各成分の組成比は、メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル:アクリル酸エチル:アクリル酸2−メトキシエチル=33:24:28:15(重量比)であった。
このジブロック共重合体300gをトルエン300mLに溶解させて1L反応容器に入れ、2級アミン化合物としてジエチルアミン100gを添加して、室温で8時間撹拌した。ジエチルアミンおよびトルエンを減圧留去し、末端にメルカプト基を有するメタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル) ジブロック共重合体295gを得た。続いてトルエン300mLを加えて溶解させ、酸化剤として二酸化鉛200mgを加えて60℃で20時間撹拌した。反応溶液をろ過してから溶媒を減圧留去し、さらにトルエン/メタノールで再沈殿することにより、ジスルフィド結合によりカップリングしたメタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体(Mn=208000、Mw/Mn=1.56)を得た。各成分の組成比は、メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル:アクリル酸エチル:アクリル酸2−メトキシエチル=33:24:28:15(重量比)であった。
(製造例5) (メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、および還流冷却器を備えた2L反応器に、蒸留水490gと乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.56gとを入れ、80℃に加熱撹拌しながら系内を窒素置換した。メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル16.5gと、チオカルボニルチオ基を有する下記構造
Figure 0003971705
で示される化合物1.09gとの混合溶液を反応器内に入れ、80℃で20分間加熱撹拌した。重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.93gを蒸留水25gと共に反応器に入れた。80℃で0.5時間加熱撹拌したところで、さらにメタクリル酸メチル85.0gを滴下ろうとに入れ、2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間加熱した時点でサンプリングし、ポリメタクリル酸メチル(転化率=90.1%、Mn=20100、Mw/Mn=1.19)の生成を確認した。
続いてアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル20.0gを添加し、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.40gを蒸留水10gと共に追加した。80℃で1時間加熱撹拌した後、さらにアクリル酸n−ブチル80.0gを滴下ろうとに入れ、1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間加熱撹拌した後室温まで冷却し、塩化カルシウム水溶液を加えて塩析、水洗、ろ過、乾燥し、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体155gを得た。このメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体は、Mn=44300、Mw/Mn=1.44であり、各成分の重量比はメタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=45:55であった。
このメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体150gを、トルエン240mLに溶解し、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、還流冷却器を備えた1L反応器に入れた。窒素雰囲気で1級アミン化合物としてn−ブチルアミン15gとHALSであるビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート9gとを添加し、50℃で5時間撹拌した。H−NMR測定およびIR測定より、チオカルボニルチオ基が収率91%でメルカプト基に変換されたことを確認した。この重合体のトルエン溶液をメタノール1Lに注いで重合体を沈殿させ、ろ過、メタノールで洗浄、乾燥した。続いてトルエン240mLに溶解し、前記(vii)の方法で用いられる多価カルボン酸ハロゲン化物としてコハク酸ジクロライド264mgを添加し、60℃で6時間加熱撹拌した。H−NMRおよびGPC測定より、アシル化反応によりメルカプト基が94%の収率でカップリングしていることを確認した。得られたメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体は、Mn=85200、Mw/Mn=1.66であった。各成分の重量比は、カップリング反応前と同じであった。
(製造例6) (メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル)星型ブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下漏斗、および還流冷却管を備えた1L反応器に、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム330mgと蒸留水300gとを入れ、80℃で加熱撹拌しながら系内を窒素置換した。チオカルボニルチオ基を有する下記構造
Figure 0003971705
で示される化合物651mgを、メタクリル酸エステル単量体としてのメタクリル酸メチル9.0gに溶解させて添加し、20分後に重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)555mgを蒸留水12gと共に添加した。80℃で20分間撹拌した後、滴下漏斗からさらにメタクリル酸メチル52.5gを90分かけて滴下した。30分後、アクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル30.0gとアクリル酸エチル23.4gとの混合液を1時間かけて滴下漏斗から滴下した。80℃で5時間撹拌した後、乳化液を塩化ナトリウムで塩析し、蒸留水で洗浄、ろ過、乾燥することにより、メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル)ジブロック共重合体94.9gを得た。GPC測定の結果、Mn=44300、Mw/Mn=1.46であり、H−NMR測定の結果、チオカルボニルチオ基がジブロック共重合体のアクリル酸エステル共重合ブロック側末端に導入されており、導入率は片末端基準で92%であることが確認された。
得られた重合体80gをトルエン400mLに溶解し、塩基として水素化ナトリウム1.2gを添加し、室温で2時間、50℃で3時間撹拌した。その後、過剰の水素化ナトリウムを、窒素雰囲気でろ過することにより取り除いた。
続いて、こうして得られた、アクリル酸エステルブロック側末端にメルカプチド基を有するメタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル)ジブロック共重合体に、窒素雰囲気で前記(xi)の方法で用いられる一分子中にハロゲン原子を2つ以上有する化合物である1,3,5−トリクロロベンゼン120mgを添加し、80℃で20時間加熱撹拌した。減圧脱揮した後得られた重合体のH−NMRおよびGPC測定より、メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル) 星型ブロック共重合体(Mn=116000、Mw/Mn=1.99)の生成を確認した。
(製造例7) ((メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル)−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、および還流冷却管を備えた3L反応器に、メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル545g、エポキシ基を有する単量体としてメタクリル酸グリシジル45g、チオカルボニルチオ基を有する化合物として下記構造
Figure 0003971705
で示される化合物6.0g、溶媒としてトルエン1.1L、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.7gを仕込み、反応器内を窒素置換した。70℃で12時間撹拌した後サンプリングし、GPC分析とNMR分析により、Mw=29900、Mn=23700、Mw/Mn=1.26であり、1分子中に15.4個のエポキシ基と1個のチオカルボニルチオ基とを有する、メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体の生成を確認した。
続いて滴下ろうとにアクリル酸n−ブチル490gを入れ、70℃で撹拌しながら2時間かけて反応器に滴下した。滴下終了後さらに70℃で12時間撹拌した後、反応液をメタノール5Lに注いで重合体を沈殿として析出させた。GPC分析とNMR分析により、Mw=54500、Mn=38200、Mw/Mn=1.43であり、1分子中に14.1個のエポキシ基と0.9個のチオカルボニルチオ基とを有する(メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル)−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体であることを確認した。
(製造例8) (メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリロニトリル)ジブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、および還流冷却管を備えた2L反応器に、蒸留水490g、および乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.55gを入れ、80℃に加熱撹拌しながら系内を窒素置換した。メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル16.3gと、チオカルボニルチオ基を有する化合物として下記構造
Figure 0003971705
で示される化合物1.10gとの混合溶液を反応器内に入れ、窒素気流下80℃で20分間加熱撹拌した。重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.95gを蒸留水25gと共に反応器に入れた。80℃で2時間加熱撹拌した時点で、メタクリル酸メチル85.0gを滴下ろうとから3時間かけて滴下した。滴下終了後2時間の時点でサンプリングし、ポリメタクリル酸メチル(転化率89.6%、Mn=19600、Mw/Mn=1.29)の生成を確認した。
続いてアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル20.0gを追加し、重合開始剤として4.4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.35gを蒸留水10gと共に追加した。80℃で1時間加熱撹拌した後、滴下ろうとにアクリル酸n−ブチル45gとアクリロニトリル35gの混合溶液を入れ、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で8時間加熱撹拌し、室温まで冷却して塩化カルシウム水溶液を加えて塩析し、ろ過、水洗、乾燥することにより、メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリロニトリル)ジブロック共重合体139gを得た。GPC分析とNMR分析より、この共重合体はMn=41500、Mw/Mn=1.50であり、それぞれの成分の重量比はメタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル:アクリロニトリル=45:32:23であり、1分子あたり0.85個のチオカルボニルチオ基を有することを確認した。
(製造例9) ((メタクリル酸メチル/メタクリル酸)−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、および還流冷却管を備えた1L反応器に、メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル103g、メタクリル酸エステルと共重合する単量体としてメタクリル酸91g、チオカルボニルチオ基を有する化合物として下記構造
Figure 0003971705
で示される化合物2.0g、溶媒としてエタノール238g、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.51gを仕込み、反応器内を窒素置換した。70℃で7時間加熱撹拌した後、反応溶液をn−ヘキサン3.0Lに注いで重合体を析出させ、ろ過、乾燥させた。メタクリル酸メチルの転化率は62%、メタクリル酸の転化率は67%であった。GPC分析(テトラヒドロフラン溶出液)とNMR分析の結果、得られた重合体は(メタクリル酸メチル/メタクリル酸)共重合体であり、各組成の重量比はメタクリル酸メチル:メタクリル酸=51:49、Mn=20000、Mw/Mn=1.34であり、一分子あたり0.92個のチオカルボニルチオ基を有していた。
得られた(メタクリル酸メチル/メタクリル酸)共重合体100gをエタノール300mLに溶解させ、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、および還流冷却管を備えた1L反応器に入れ、アクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル120g、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.35gを加え、反応器内を窒素置換した。70℃で10時間加熱撹拌した後、反応溶液をn−ヘキサン2.5Lに注いで重合体を析出させ、ろ過、洗浄、乾燥させた。アクリル酸n−ブチルの転化率は60%であった。得られた重合体(154g)のGPC分析(テトラヒドロフラン溶出液)、およびNMR分析の結果、(メタクリル酸メチル/メタクリル酸)−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体であり、各組成の重量比はメタクリル酸メチル:メタクリル酸:アクリル酸n−ブチル=32:31:37、Mn=33300、Mw/Mn=1.55であり、一分子あたり0.90個のチオカルボニルチオ基を有していた。
(製造例10) ((メタクリル酸メチル/メタクリル酸)−アクリル酸n−ブチル−(メタクリル酸メチル/メタクリル酸)トリブロック共重合体の合成) 製造例9と同様の反応により、Mn=31700、Mw/Mn=1.47、一分子あたり0.95個のチオカルボニルチオ基を有する、(メタクリル酸メチル/メタクリル酸)−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体を合成した。各組成の重量比は、メタクリル酸メチル:メタクリル酸:アクリル酸n−ブチル=35:30:35であった。このジブロック共重合体300gをエタノール600mLと酢酸エチル400mLの混合溶媒に溶解させ、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管を備えた2L反応器に入れ、2級アミン化合物としてジエチルアミン40gを添加して40℃で5時間撹拌し、次いで1N HCl水溶液20gを添加して70℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却後濃縮し、n−ヘキサン3Lに注いで重合体を析出させた。ろ過、洗浄、乾燥し、一分子あたり0.91個のメルカプト基を有する(メタクリル酸メチル/メタクリル酸)−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体271gを得た。
このメルカプト基を有するジブロック共重合体271gをエタノール400mLと酢酸エチル400mLとの混合溶媒に溶解し、酸化剤として30%の過酸化水素水100mLを添加し、30℃で8時間撹拌した。反応溶液をn−ヘキサン2Lに注いで重合体を析出させ、ろ過、洗浄、乾燥により、重合体255gを得た。GPC分析(テトラヒドロフラン溶出液)、およびNMR分析の結果、この重合体はジスルフィド結合を介してカップリングした、(メタクリル酸メチル/メタクリル酸)−アクリル酸n−ブチル−(メタクリル酸メチル/メタクリル酸)トリブロック共重合体であり、Mn=56200、Mw/Mn=1.87であることを確認した。各組成の重量比は、カップリング前と変化なかった。
(比較製造例1) (チオカルボニルチオ基を有する化合物を使用しない、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体の合成の試み)
チオカルボニルチオ基を有する化合物を添加せずに、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体の合成を試みた。撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、および還流冷却器を備えた2L反応器に、蒸留水490gと乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.55gを入れ、80℃に加熱撹拌しながら系内を窒素置換した。メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル16.4gを反応器内に入れ、80℃で20分間加熱撹拌した。重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.93gを蒸留水25gと共に反応器に入れた。80℃で1時間加熱撹拌したところで、さらにメタクリル酸メチル85.0gを滴下ろうとに入れ、2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間加熱した時点でサンプリングし、ポリメタクリル酸メチル(転化率=96.5%、数平均分子量(Mn)=21400、分子量分布(Mw/Mn)=2.11)の生成を確認した。
続いてアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル20.0gを添加し、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.41gを蒸留水10gと共に追加した。80℃で1時間加熱撹拌した後、さらにアクリル酸n−ブチル80.0gを滴下ろうとに入れ、1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で2時間加熱撹拌した後室温まで冷却し、塩酸を加えて塩析、水洗、乾燥し、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体180gを得た。このメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体は、メタクリル酸メチル部分の数平均分子量(Mn)が21400、アクリル酸n−ブチル部分の数平均分子量(Mn)が31600の共重合体であり、分子量分布(Mw/Mn)=3.75であった。ただし、一部ポリメタクリル酸メチル、およびポリアクリル酸n−ブチルの単独共重合体がそれぞれ含まれていた。
(実施例1)
熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂(S1008、鐘淵化学工業(株)製)100重量部、安定剤としてジブチルスズマレエート2.5重量部、滑剤としてヘキスト ワックスE(ヘキスト ジャパン(株)製)0.5重量部、加工助剤としてPA−20(鐘淵化学工業(株)製)2.0重量部、および着色剤(顔料)として酸化チタン3.0重量部の混合物に対し、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を12重量部配合し、設定温度180℃で5分間ロール混練し、シート化した。得られたシートを、設定温度190℃で熱プレス成形し、厚さ5mmの物性評価用の成形体を作成した。23℃で測定したアイゾット衝撃強度を表1に示す。
(実施例2〜10)
上記実施例1において、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体の代わりに、製造例2〜10で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様に成形した。23℃で測定したアイゾット衝撃強度を表1に示す。
(比較例1)
上記実施例1において、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体の代わりに、比較製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を使用した以外は、実施例1と同様に成形した。23℃で測定したアイゾット衝撃強度を表1に示す。
(比較例2)
上記比較例1において、比較製造例1で得られたブロック共重合体の代わりに、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル グラフト共重合体 FM−21(鐘淵化学工業(株)製)を使用した。比較例1と同様に成形し、23℃で測定したアイゾット衝撃強度を表1に示す。
(比較例3)
上記比較例1において、ブロック共重合体を配合せずに成形体を作成した。23℃で測定したアイゾット衝撃強度を表1に示す。
【表1】
Figure 0003971705
表1より、本発明の組成物より得られる成形体は耐衝撃性に優れることがわかる。
(実施例11)
熱可塑性樹脂として、メタクリル樹脂 パラペットG1000((株)クラレ製)84重量部に対し、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を、16重量部配合し、ベント付き二軸押出機(32mm、L/D=25.5)を用い、設定温度230℃で押出混練し、ペレット化した。得られたペレットを、80℃で15時間乾燥後、設定温度230℃で射出成形し、物性評価用の平板状成形体(120×120×3mm)を作成した。得られた成形体のガードナー強度を表2に示す。
(実施例12〜20)
上記実施例11において、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体の代わりに、製造例2〜10で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体をそれぞれ使用した以外は、実施例7と同様に成形した。得られた成形体のガードナー強度を表2に示す。
(比較例4)
上記実施例11において、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体の代わりに、比較製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を使用した以外は、実施例11と同様に成形した。得られた成形体のガードナー強度を表2に示す。
(比較例5)
上記比較例4において、ブロック共重合体を使用せずに、メタクリル樹脂 パラペットG1000の単独成形体を同様に作成し、測定したガードナー強度を表2に示す。
【表2】
Figure 0003971705
表2より、本発明の組成物より得られる成形体は耐衝撃性に優れることがわかる。
(実施例21)
熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂 レキサン141R−111(日本ジーイ−プラスチックス(株)製)95重量部、フェノール系酸化防止剤としてトパノールCA((株)リプレ製)0.3重量部、およびHALSとしてアデカスタブPEP−36(旭電化工業(株)製)0.3重量部に対し、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を、5重量部配合し、ベント付き二軸押出機(32mm、L/D=25.5)を用いて設定温度280℃で押出混練し、ペレット化した。得られたペレットを、80℃で15時間乾燥後、設定温度280℃で射出成形し、物性評価用の成形体(厚さ1/4インチ)を作成した。得られた成形体の0℃におけるアイゾット衝撃強度およびペレットの280℃における溶融粘度を表3に示す。また、目視による透明度評価(◎…透明度高い、○…透明度普通、△…少し不透明、×…不透明)を行った結果を表3に示す。
(実施例22〜30)
上記実施例21において、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体の代わりに、製造例2〜10で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体をそれぞれ使用した以外は、実施例21と同様に成形した。得られた成形体の0℃におけるアイゾット衝撃強度、ペレットの280℃における溶融粘度、および目視による透明度評価を表3に示す。
(比較例6)
上記実施例21において、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体の代わりに、比較製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を使用した以外は、実施例21と同様に成形した。得られた成形体の0℃におけるアイゾット衝撃強度、ペレットの280℃における溶融粘度、および目視による透明度評価を表3に示す。
(比較例7)
比較例6において、ブロック共重合体を配合せずに成形体を作成した。得られた成形体の0℃におけるアイゾット衝撃強度、ペレットの280℃における溶融粘度、および目視による透明度評価を表3に示す。
【表3】
Figure 0003971705
表3より、本発明の組成物より得られる成形体は、透明性を損なうことなく耐衝撃性、および成形性を向上できることがわかる。
(実施例31)
熱可塑性樹脂として、ポリブチレンテレフタレート樹脂 ジュラネックス2002(ポリプラスチック(株)製)80重量部、フェノール系酸化防止剤としてトパノールCA((株)リプレ製)0.3重量部、およびHALSとしてアデカスタブPEP−36(旭電化工業(株)製)0.3重量部に対し、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を、20重量部配合し、ベント付き二軸押出機(32mm、L/D=25.5)を用いて設定温度245℃で押出混練し、ペレット化した。得られたペレットを、80℃で15時間乾燥後、設定温度250℃で射出成形し、物性評価用の成形体(厚さ1/8インチ)を作成した。これら成形体の23℃におけるアイゾット衝撃強度、スパイラルフロー、および目視による透明度評価を表4に示す。
(実施例32〜40)
上記実施例31において、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体の代わりに、製造例2〜10で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体をそれぞれ使用した以外は、実施例31と同様に成形した。23℃におけるアイゾット衝撃強度、スパイラルフロー、および目視による透明度評価を表4に示す。
(比較例8)
上記実施例31において、製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体の代わりに、比較製造例1で得られたメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体を使用した以外は、実施例31と同様に成形した。23℃におけるアイゾット衝撃強度、スパイラルフロー、および目視による透明度評価を表4に示す。
(比較例9)
上記比較例8において、ブロック共重合体を配合せずに、同様に成形体を作成した。23℃におけるアイゾット衝撃強度、スパイラルフロー、および目視による透明度評価を表4に示す。
【表4】
Figure 0003971705
表4より、本発明の組成物より得られる成形体は、透明性を損なうことなく耐衝撃性、および成形性を向上できることがわかる。
(製造例11) (メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、および滴下ろうとを備えた500mL反応器に、メタクリル酸メチル100g(0.999mol)、アゾビスイソブチロニトリル150mg(0.913mmol)、下記構造
Figure 0003971705
で示されるチオカルボニルチオ基を有する化合物633mg(1.83mmol)、およびトルエン100mLを入れ、窒素置換した。反応液を撹拌しながら70℃で6時間加熱し、メタクリル酸メチル重合体(Mw=67800、Mn=55900、Mw/Mn=1.21)を得た。続いて、滴下ろうとからアクリル酸n−ブチル210g(1.64mol)を2時間かけて滴下し、さらに70℃で4時間加熱した。反応溶液を室温まで冷却し、メタノール1.2Lに注ぎ込み、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体(Mn=155000、Mw/Mn=1.28)を得た。各成分の組成比は、メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=31:69(重量比)であった。
(製造例12) (メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)ジブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、および滴下ろうとを備えた500mL反応器に、メタクリル酸メチル100g(0.999mol)、ジメチル 2,2’−アゾビス(イソブチレート)421mg(1.83mmol)、下記構造
Figure 0003971705
で示される、チオカルボニルチオ基を有する化合物796mg(2.92mmol)、およびトルエン100mLを入れ、窒素置換した。反応液を撹拌しながら80℃で2時間加熱し、メタクリル酸メチル重合体(Mw=38400、Mn=34200、Mw/Mn=1.12)を得た。続いて、滴下ろうとからアクリル酸n−ブチル89.6g(0.699mol)、アクリル酸エチル88.0g(0.879mol)、およびアクリル酸2−メトキシエチル54.7g(0.420mol)の混合液を、1時間かけて滴下し、さらに5時間80℃で加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、メタノール1.5Lに注ぎ込み、メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)ジブロック共重合体(Mn=104000、Mw/Mn=1.44)を得た。各成分の組成比は、メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル:アクリル酸エチル:アクリル酸2−メトキシエチル=33:24:28:15(重量比)であった。
(製造例13) (メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体の合成)
製造例12と同様の方法により、メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)ジブロック共重合体(Mn=104000、Mw/Mn=1.44)を合成し、このジブロック共重合体300gをトルエン300mLに溶解させて1L反応容器に入れ、2級アミン化合物としてジエチルアミン100g(1.37mol)を添加して、室温で20時間撹拌した。ジエチルアミン、およびトルエンを減圧留去した後トルエン/メタノールで再沈殿し、末端にメルカプト基を有するメタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)ジブロック共重合体295gを得た。続いてトルエン300mLを加えて溶解させ、二酸化鉛200mg(0.837mmol)を加えて60℃で30時間撹拌し、反応溶液をろ過してから溶媒を減圧留去し、トルエン/メタノールで再沈殿することにより、ジスルフィド結合によりカップリングしたメタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体(Mw=325000、Mn=208000、Mw/Mn=1.56)を得た。各成分の組成比は、メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル:アクリル酸エチル:アクリル酸2−メトキシエチル=33:24:28:15(重量比)であった。
(製造例14) (メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、および滴下ろうとを備えた1L反応器に、ドデシル硫酸ナトリウム410mg(1.42mmol)と蒸留水400gを入れ、80℃で加熱撹拌しながら窒素置換した。下記構造
Figure 0003971705
で示される、チオカルボニルチオ基を有する化合物800mg(2.31mmol)を、メタクリル酸エステル単量体であるメタクリル酸メチル20g(0.200mol)に溶解させて添加し、80℃で20分間加熱撹拌した後、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)432mg(1.54mmol)を蒸留水25gと共に添加した。80℃で30分間加熱撹拌した時点で、滴下ろうとからメタクリル酸メチル80g(0.799mol)を、1時間30分かけて滴下した。さらに80℃で2時間撹拌し、メタクリル酸メチル重合体(Mn=43300、Mw/Mn=1.17)を得た。続いて、滴下ろうとからアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル230g(1.79mol)を2時間かけて滴下し、さらに80℃で14時間加熱した。乳化液を室温まで冷却し、塩化カルシウム水溶液を加えて塩析した後、ろ過、洗浄し、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体(Mn=155000、Mw/Mn=1.28)を得た。各成分の組成比は、メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=31:69(重量比)であった。
(製造例15) (架橋ゴム粒子(グラフトなし)の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、および滴下ろうとを備えた1L反応器に、純水500g、トリデシルスルホン酸ナトリウム1.5g(5.2mmol)、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム10mg(0.02mmol)、硫酸第一鉄七水塩2.5mg(0.009mmol)、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムの5%水溶液0.875gを仕込み、窒素気流中で撹拌しながら40℃に加熱した。滴下ろうとより、アクリル酸n−ブチル250g(2.50mol)、メタクリル酸アリル3.75g(29.7mmol)、およびクメンハイドロパーオキサイド75mg(0.48mmol)の混合液を、5時間かけて滴下した。このとき、滴下開始後1時間の時点でトリデシルスルホン酸ナトリウム0.75g(2.6mmol)を、滴下開始後3時間の時点でさらに0.75g(2.6mmol)をそれぞれ追加した。滴下終了後さらに1時間、40℃で撹拌した後、室温まで冷却した。得られた内層架橋アクリル酸エステル系重合体ラテックスにおける平均粒子系は100nm(546μmの波長の光散乱より求めた)であり、単量体反応率は98%であった。得られたラテックスを塩化カルシウム水溶液で塩析凝固、熱処理、乾燥して、白色粉末状のアクリル酸ブチル系架橋ゴム粒子を得た。
(製造例16) (架橋ゴム粒子(グラフトあり)の合成)
製造例15と同様にしてゴム状重合体ラテックスを製造し、このゴム状重合体ラテックスを60℃に保ち、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムの5%水溶液0.25gを追加し、滴下ろうとよりメタクリル酸メチル26.25g(0.262mol)、アクリル酸n−ブチル1.5g(11.7mmol)、およびt−ブチルハイドロパーオキサイド82.5mg(0.915mmol)の混合液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間60℃で撹拌し、室温まで冷却した。得られたグラフト共重合体の平均粒子系は110nmであり、単量体反応率は99%であった。このラテックスを塩化カルシウム水溶液で塩析凝固、熱処理、乾燥し、白色粉末状のメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル系グラフト架橋ゴム粒子を得た。
(実施例41〜42)
アクリルゴム(AR42W 日本ゼオン(株)製)と、製造例13で製造したメタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体とを、それぞれ表5に示した重量比で、190℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて溶融混練した。さらに、架橋剤として安息香酸アンモニウムを、表5に示した重量比で加え、190℃に設定したラボプラストミルを用いて溶融混練した。得られたブロック状サンプルを設定温度190℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体と、直径30mm×厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪評価用の成形体を作成した。これらを150℃で2時間加熱し、加硫させた。これらの成形体について、硬度、引張破断強度、引張破断時伸び、圧縮永久歪、耐油性、およびゲル分率を測定し、表5に示した。
(実施例43〜46)
実施例41のメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル トリブロック共重合体の代わりに、製造例7、または製造例10で製造したブロック共重合体を使用し、それぞれ表5に示した重量比で、実施例41と同様に成形体作成と物性評価を行った。結果を表5に示した。
(比較例10)
製造例13で製造したメタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体を、190℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて溶融混練した。得られたブロック状サンプルを設定温度190℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体と、直径30mm×厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪評価用の成形体を作成した。これらの成形体について、硬度、引張破断強度、引張破断時伸び、圧縮永久歪、耐油性、およびゲル分率を測定し、表5、および表6に示した。
【表5】
Figure 0003971705
表5より、本発明の組成物より得られる成形体は硬度と圧縮永久歪のバランスに優れることがわかる。また、本発明の組成物より得られる成形体は耐油性に優れ、ゲル分率が高いことから耐溶剤性にも優れる。
(実施例47〜53)
ブチルゴム(ブチル365 日本合成ゴム(株)製)と、製造例13で製造したメタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸2−メトキシエチル)−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体、製造例14で製造したメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体、製造例7で製造した(メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル)−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体、または製造例10で製造した(メタクリル酸メチル/メタクリル酸)−アクリル酸n−ブチル−(メタクリル酸メチル/メタクリル酸) トリブロック共重合体とを、それぞれ表6に示した重量比で、190℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて溶融混練した。この際、それぞれ酸化亜鉛をブチルゴム100重量部に対して5重量部、ステアリン酸を1重量部添加した。さらに、架橋剤として臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒドを、表6に示した重量比で加え、190℃に設定したラボプラストミルを用いて溶融混練した。得られたブロック状サンプルを設定温度190℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体と、直径30mm×厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪評価用の成形体を作成した。これらを150℃で2時間加熱し、加硫させた。これらの成形体について、硬度、引張破断強度、引張破断時伸び、圧縮永久歪、耐油性、およびゲル分率を測定し、表6に示した。
【表6】
Figure 0003971705
表6より、本発明の組成物は硬度、圧縮永久歪、強度のバランスに優れることがわかる。またゲル分率が高く、耐溶剤性に優れる。
(実施例54)
製造例14で製造したメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体と、製造例15で製造した架橋ゴム粒子(グラフトなし)とを、表7に示す割合で、200℃に設定したラボプラストミルを用いて溶融混連した。得られたブロック状サンプルを設定温度200℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体と、直径30mm×厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪評価用の成形体を作成した。これらの成形体について、硬度、引張破断強度、引張破断時伸び、および圧縮永久歪を測定し、表7に示した。
(実施例55)
製造例14で製造したメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体と、製造例16で製造した架橋ゴム粒子(グラフトあり)とを、表7に示す割合で、200℃に設定したラボプラストミルを用いて溶融混連した。得られたブロック状サンプルを設定温度200℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体と、直径30mm×厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪評価用の成形体を作成した。これらの成形体について、硬度、引張破断強度、引張破断時伸び、および圧縮永久歪を測定し、表7に示した。
【表7】
Figure 0003971705
本発明の組成物の一つである、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル系ブロック共重合体と架橋ゴム粒子との配合物は、力学特性に優れることがわかる。
(実施例56)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ろうと、および還流冷却器を備えた2L反応器に、蒸留水490gと乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.56gとを入れ、80℃に加熱撹拌しながら系内を窒素置換した。メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル16.5gと、下記構造
Figure 0003971705
で示されるチオカルボニルチオ基を有する化合物1.09gとの混合溶液を反応器内に入れ、80℃で20分間加熱撹拌した。次いで、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.93gを蒸留水25gと共に反応器に入れた。80℃で0.5時間加熱撹拌したところで、メタクリル酸メチル85.0gを滴下漏斗に入れ、反応器内に2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間加熱した時点でサンプリングし、ポリメタクリル酸メチル(転化率=90.1%、Mn=20100、Mw/Mn=1.37)の生成を確認した。
続いてアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル20.0gを添加し、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.40gを蒸留水10gと共に追加した。80℃で1時間加熱撹拌した後、アクリル酸n−ブチル80.0gを滴下漏斗に入れ、1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、塩化カルシウム水溶液を加えて塩析、水洗、ろ過、および乾燥を行ない、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体155gを得た。このメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体は、アクリル酸n−ブチルブロック側の末端にチオカルボニルチオ基を有し、Mn=44300、分子量分布Mw/Mn=1.55であった。各成分の重量比は、メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=44:56であった。このジブロック共重合体を50gずつ3つに分け、本実施例、および後述の実施例57および実施例58でそれぞれ使用した。
上記得られたジブロック共重合体50gをトルエン80mLに溶解し、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下漏斗、および還流冷却器を備えた300mLの反応器に入れた。窒素雰囲気で2級アミン化合物としてジエチルアミン30gを添加し、室温で8時間撹拌した。H NMR測定およびIR測定より、チオカルボニルチオ基が定量的にメルカプト基に変換されたことを確認した。減圧下で蒸発させることによりトルエンおよび過剰のジエチルアミンを留去した。得られたジブロック共重合体をトルエン/メタノールで再沈殿した後減圧乾燥し、再度トルエン80mLを加えて溶解させ、窒素雰囲気で1分子中にイソシアナト基を2つ有する化合物としてヘキサメチレンジイソシアナート95mg、およびウレタン化触媒としてジブチルスズビスイソオクチルチオグリコレート3mgを添加し、80℃で5時間加熱撹拌した。H NMR、およびGPC測定より、89%の収率でメルカプト基がチオウレタン結合となっており、Mn=84000、Mw/Mn=1.84の、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体の生成を確認した。各成分の重量比はカップリング前と変化なかった。
(実施例57)
実施例56で得られた、チオカルボニルチオ基を有するメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体50gを、トルエン80mLに溶解し、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下漏斗、および還流冷却器を備えた300mL反応器に入れた。系内にアンモニアガスを吹き込みながら、室温で5時間撹拌した。H NMR測定およびIR測定より、チオカルボニルチオ基が定量的にメルカプト基に変換されたことを確認した。続いて系内を空気置換し、酸化剤として二酸化鉛10mgを添加し、60℃で16時間加熱撹拌した。H NMRおよびGPC測定より、94%の収率でメルカプト基がジスルフィド結合に変化しており、ジブロック共重合体同士がカップリングしていることを確認した。得られたメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体は、Mn=85700、Mw/Mn=1.92であった。各成分の重量比はカップリング前と変化なかった。
(実施例58)
実施例56で得られた、チオカルボニルチオ基を有するメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル ジブロック共重合体50gを、トルエン80mLに溶解し、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下漏斗、および還流冷却器を備えた300mL反応器に入れた。窒素雰囲気で1級アミン化合物としてブチルアミン5gと、HALSとしてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート3gとを添加し、50℃で5時間撹拌した。H NMR測定およびIR測定より、チオカルボニルチオ基が収率91%でメルカプト基に変換されたことを確認した。続いて1分子中にハロゲン原子を2つ以上有する化合物としてコハク酸ジクロライド88mgを添加し、60℃で6時間加熱撹拌した。H NMRおよびGPC測定より、94%の収率でメルカプト基がアシル化反応によりカップリングしていることを確認した。得られたメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体は、Mn=85200、Mw/Mn=1.88であった。各成分の重量比はカップリング前と変化なかった。
(実施例59)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下漏斗、および還流冷却器を備えた2L反応器に、蒸留水490gと乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.56gを入れ、80℃に加熱撹拌しながら系内を窒素置換した。メタクリル酸エステル単量体としてメタクリル酸メチル16.5gと、下記構造
Figure 0003971705
で示される、チオカルボニルチオ基を有する化合物1.09gとの混合溶液を反応器内に入れ、80℃で20分間加熱撹拌した。次いで、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.93gを蒸留水25gと共に反応器に入れた。80℃で1時間加熱撹拌したところで、メタクリル酸メチル85.0gを滴下漏斗に入れ、2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間加熱した時点でサンプリングし、ポリメタクリル酸メチル(転化率=91.2%、Mn=20800、Mw/Mn=1.35)の生成を確認した。
続いてアクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル20.0gを添加し、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)0.40gを蒸留水10gと共に追加した。80℃で1時間加熱撹拌した後、アクリル酸n−ブチル80.0gを滴下漏斗に入れ、1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間加熱撹拌した後室温まで冷却し、塩化カルシウム水溶液を加えて塩析、水洗、ろ過、および乾燥を行ない、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体150gを得た。このジブロック共重合体は、アクリル酸n−ブチル側ブロックの末端にチオカルボニルチオ基を有し、Mn=46100、分子量分布Mw/Mn=1.67であった。H NMR分析により、チオカルボニルチオ基が共重合体中に88%導入されており、各成分の重量比がメタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=45:55であることを確認した。
このジブロック共重合体140gをトルエン1000mLに溶解させて、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、および還流冷却器を備えた2L反応器に入れ、系内を窒素置換した。ここに2級アミン化合物としてジエチルアミン9.8gを添加し、80℃で5時間加熱することにより、アクリル酸n−ブチル末端についたチオカルボニルチオ基を定量的にメルカプト基に変換した。続いて1分子中にイソシアナト基を2つ有する化合物としてヘキサメチレンジイソシアナート0.22gと、触媒としてジブチル錫ビスイソオクチルチオグリコレート0.03gとを添加し、80℃で2時間、100℃で3時間加熱を行なった。これにより、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル トリブロック共重合体(Mn=89300、Mw/Mn=1.79)を80%の収率で得た。
(実施例60)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下漏斗、および還流冷却管を備えた300mL反応器に、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム110mgと蒸留水100gとを入れ、80℃で加熱撹拌しながら系内を窒素置換した。下記構造
Figure 0003971705
で示される、チオカルボニルチオ基を有する化合物217mgを、メタクリル酸エステル単量体であるメタクリル酸メチル3.0gに溶解させて添加し、20分後に重合開始剤である4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)185mgを蒸留水4gと共に添加した。80℃で20分間撹拌した後、滴下漏斗からメタクリル酸メチル17.5gを90分かけて滴下した。30分後、アクリル酸エステル単量体としてアクリル酸n−ブチル10.0gとアクリル酸エチル7.8gとの混合液を1時間かけて滴下漏斗から滴下した。80℃で5時間撹拌した後、乳化した反応液を塩化ナトリウムで塩析し、蒸留水で洗浄、ろ過、乾燥することにより、メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル)ジブロック共重合体31.2gを得た。このジブロック共重合体をGPC測定したところ、Mn=44300、Mw/Mn=1.49であった。H NMR測定の結果、チオカルボニルチオ基がジブロック共重合体のアクリル酸エステルブロック側末端に導入されており、導入率は片末端基準で92%であることが確認された。各成分の重量比は、メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル:アクリル酸エチル=55:23:22であった。
得られた重合体20gをトルエン100mLに溶解し、塩基として水素化ナトリウム300mgを添加し、室温で2時間、50℃で3時間撹拌した。その後、過剰の水素化ナトリウムを、窒素雰囲気でろ過することにより取り除いた。
このようにして、アクリル酸エステルブロック側末端にメルカプチド基を有するメタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル)ジブロック共重合体を得た。このジブロック共重合体に、窒素雰囲気で、1分子中にハロゲン原子を2つ以上有する化合物として1,3,5−トリクロロベンゼン30mgを添加し、80℃で20時間加熱撹拌した。溶媒を留去した後、トルエン/メタノールで再沈殿し、得られた重合体のH NMR、およびGPC測定より、メタクリル酸メチル−(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル) 星型ブロック共重合体(Mn=116000、Mw/Mn=1.99)の生成を確認した。
産業上の利用可能性
本発明の製造法によれば、ほとんど精製の必要がなく、耐熱性および耐候性に優れ、かつ分子量や分子量分布の制御された、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステルブロック共重合体を製造することができる。このようなアクリル系のブロック共重合体は、新規な材料として、各種成形体、粘着剤または接着剤、塗料、改質剤または添加剤などとして、各種用途に好適に利用される。また本発明の熱可塑性樹脂組成物、および該熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体は、耐油性、耐熱性、耐候性、耐衝撃性、透明性、および成形性に優れ、かつ製造コストを低く抑えることができる。また本発明のエラストマー組成物は、低硬度でありながら引張強度が高く、圧縮永久歪に優れ、耐油性、ガスバリア性などを容易に付与することができ、各種密封材料、ガスケット、耐油性ホース、および被覆シートなどの成形体として利用できる。

Claims (17)

  1. 次の一般式(2)で示される化合物、一般式(5)で示される化合物、および一般式(6)で示される化合物から選択される少なくとも1種の、チオカルボニルチオ基を有する化合物:
    Figure 0003971705
    (式中、R は炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、Z は酸素原子(q=2の場合)、硫黄原子(q=2の場合)、窒素原子(q=3の場合)、または炭素数1以上のq価の有機基であり、該q価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、2以上のR は互いに同一でもよく、異なっていてもよく;そしてqは2以上の整数である);
    Figure 0003971705
    (式中、R は炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、R は互いに同一でもよく、異なっていてもよい);
    Figure 0003971705
    (式中、R は炭素数1以上の1価の有機基であり、該R である有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、Z は炭素数1以上の1価の有機基であり、該Z である有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよい);
    存在下で、メタクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体のラジカル重合を行なう工程;
    次いで、アクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体を加えてラジカル重合を行ない、チオカルボニルチオ基を有するメタクリル酸エステル−アクリル酸エステルブロック共重合体を得る工程;
    該共重合体のチオカルボニルチオ基を、メルカプト基またはメルカプチド基に変換する工程;および
    該メルカプト基またはメルカプチド基を介して該共重合体のカップリングを行なう工程;を包含する、
    メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステルブロック共重合体の製造方法。
  2. 前記チオカルボニルチオ基を有する化合物が、以下の一般式(4)で示される、請求項1に記載の製造方法:
    Figure 0003971705
    (式中、R は炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、R は互いに同一でもよく、異なっていてもよく;Z は硫黄原子、酸素原子、第3級窒素原子、または炭素数1以上の2価の有機基であり、該2価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよい)。
  3. 前記チオカルボニルチオ基を有する化合物が、一般式(6)で示される、請求項に記載の製造方法。
  4. 前記チオカルボニルチオ基を有するメタクリル酸エステル−アクリル酸エステルブロック共重合体を、塩基、酸から選択される少なくとも1種の化合物でなる処理剤と反応させることにより、該共重合体のチオカルボニルチオ基が、メルカプト基またはメルカプチド基に変換される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記チオカルボニルチオ基を有するメタクリル酸エステル−アクリル酸エステルブロック共重合体を、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合物、および2級アミン化合物から選択される少なくとも1種の化合物でなる処理剤と反応させることにより、該共重合体のチオカルボニルチオ基が、メルカプト基に変換される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記処理剤が、沸点が100℃以下の1級アミン化合物、沸点が100℃以下の2級アミン化合物、およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項に記載の製造方法。
  7. 前記カップリングが、酸化剤を用いてジスルフィド結合を形成させることにより行なわれる、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記カップリングが、一分子中にイソシアナト基を2つ以上有する化合物を用いて行なわれる、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記カップリングが、一般式(7)で示される化合物、一般式(8)で示される化合物、および一般式(9)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を用いて行なわれる、請求項のいずれか1項に記載の製造方法:
    Figure 0003971705
    (式中、Rは炭素数1以上のm価の有機基であり、該m価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を示し;mは2以上の整数であり;そしてXは互いに同一でもよく、異なっていてもよい);
    Figure 0003971705
    (式中、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を示し、Xは互いに同一でもよく、異なっていてもよい);および
    Figure 0003971705
    (式中、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を示し、Xは互いに同一でもよく、異なっていてもよい)。
  10. 記ブロック共重合体が、メタクリル酸エステル系重合体ブロックを5〜90重量%の割合で含有する、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記メタクリル酸エステル単量体が、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、およびメタクリル酸テトラヒドロフルフリルから選択される少なくとも1種であり;前記アクリル酸エステル単量体が、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ドデシル、エトキシジエチレングリコールアクリレート、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアクリル酸2−ヒドロキシプロピルから選択される少なくとも1種である、請求項10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記メタクリル酸エステル単量体がメタクリル酸メチルであり、前記アクリル酸エステル単量体が、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチルから選択される少なくとも1種である、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記メタクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体およびアクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体のうちの少なくとも一方が、該メタクリル酸エステル単量体またはアクリル酸エステル単量体とラジカル共重合可能なビニル系単量体を、50重量%未満の割合で含有する、請求項12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記メタクリル酸エステル単量体またはアクリル酸エステル単量体とラジラカル共重合可能なビニル系単量体が、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、およびイソプレンから選ばれる少なくとも1種である、請求項13に記載の製造方法。
  15. 前記ブロック共重合体の、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー測定により求めた数平均分子量(Mn)が、3000〜500000の範囲である、請求項14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 前記ブロック共重合体の、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー測定により求めた、重量平均分子量(Mw)とMnとの比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2以下であることを特徴とする、請求項15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 請求項16のいずれか1項に記載の方法によって製造される、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステルブロック共重合体。
JP2002579935A 2001-04-04 2002-03-20 熱可塑性樹脂組成物およびエラストマー組成物 Expired - Fee Related JP3971705B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001106217 2001-04-04
JP2001106217 2001-04-04
JP2001143905 2001-05-14
JP2001143905 2001-05-14
JP2001165025 2001-05-31
JP2001165025 2001-05-31
PCT/JP2002/002725 WO2002081561A1 (fr) 2001-04-04 2002-03-20 Composition de resine thermoplastique et composition a base d'elastomere

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2002081561A1 JPWO2002081561A1 (ja) 2004-07-29
JP3971705B2 true JP3971705B2 (ja) 2007-09-05

Family

ID=27346463

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002579935A Expired - Fee Related JP3971705B2 (ja) 2001-04-04 2002-03-20 熱可塑性樹脂組成物およびエラストマー組成物

Country Status (3)

Country Link
US (1) US7211625B2 (ja)
JP (1) JP3971705B2 (ja)
WO (1) WO2002081561A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002338646A (ja) * 2001-05-14 2002-11-27 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ブロック共重合体およびブロック共重合体の組成物
WO2009054553A2 (en) * 2008-12-25 2009-04-30 Kuraray Co., Ltd. Optical component comprising acrylic block copolymer
KR20150142683A (ko) * 2013-04-12 2015-12-22 가부시키가이샤 구라레 아크릴계 수지 필름

Families Citing this family (75)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI254718B (en) * 2002-02-13 2006-05-11 Kaneka Corp Block copolymer
JP3828447B2 (ja) * 2002-03-27 2006-10-04 株式会社クラレ アクリル系重合体組成物
EP1433799A3 (en) * 2002-12-23 2004-07-14 Ucb, S.A. Star shaped acrylic block copolymer
FR2849855B1 (fr) * 2003-01-14 2007-01-05 Atofina Composition thermoplastiques renforcees aux chocs comprenant un polyamide et un copolymere a blocs
JP4350427B2 (ja) * 2003-06-03 2009-10-21 株式会社クラレ アクリル系ブロック共重合体組成物
US7674858B2 (en) * 2003-06-11 2010-03-09 Daikin Industries, Ltd. Fluorine-containing graft or block polymer
US7799869B2 (en) * 2004-01-30 2010-09-21 Kaneka Corporation Thermoplastic elastomer composition and molded article
GB0408019D0 (en) * 2004-04-08 2004-05-12 Avecia Bv Vinyl polymer compositions
JP4436194B2 (ja) * 2004-06-18 2010-03-24 リケンテクノス株式会社 熱可塑性エラストマー組成物
JP2006104363A (ja) * 2004-10-07 2006-04-20 Wintech Polymer Ltd ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JP5052348B2 (ja) * 2004-10-25 2012-10-17 ザ ルブリゾル コーポレイション 重合体およびその組成物を調製する方法
JP5270914B2 (ja) * 2005-02-04 2013-08-21 電気化学工業株式会社 樹脂組成物及びそれを用いた硬化物ならびにシート
JP2006272784A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Toyoda Gosei Co Ltd 繊維補強層付ゴム製品及びその製造方法
US7541406B2 (en) * 2005-11-30 2009-06-02 Xerox Corporation Phase change inks containing curable isocyanate-derived compounds
JP5133522B2 (ja) * 2006-01-19 2013-01-30 東洋製罐株式会社 メタノール燃料電池カートリッジ用弾性部材
WO2007123789A2 (en) * 2006-04-06 2007-11-01 Symyx Technologies, Inc. Water resistant film forming compositions incorporating hydrophilic activities
WO2007140192A2 (en) * 2006-05-25 2007-12-06 Arkema Inc. Acid functionalized gradient block copolymers
FR2910475B1 (fr) * 2006-12-22 2009-02-20 Arkema France Copolymeres a base d'unites methacrylates, leur procede de preparation et leurs utilisations
FR2916448A1 (fr) * 2007-05-25 2008-11-28 Rhodia Recherches & Tech Procede de modification de polymeres dithiocarbonyles par mise en contact avec des fonctions amines portees par un substrat solide
JP5133606B2 (ja) * 2007-06-04 2013-01-30 Agcセイミケミカル株式会社 界面活性剤
JP2007321166A (ja) * 2007-09-10 2007-12-13 Kaneka Corp (メタ)アクリル系ブロック共重合体の成型体
US7772492B2 (en) * 2007-10-23 2010-08-10 Southwire Company Anti-microbial/anti-fungal plastic jacketed/insulated electric power cords
JP5015740B2 (ja) * 2007-11-28 2012-08-29 矢崎総業株式会社 ハロゲンフリー樹脂組成物、絶縁電線及びワイヤハーネス
FR2931154B1 (fr) * 2008-05-14 2011-04-08 Univ Paris Curie Copolymere amphiphile a blocs, procede pour sa preparation
DE102008024672A1 (de) * 2008-05-21 2009-11-26 Bayer Materialscience Ag Tieftemperaturzähe Polycarbonat-Blends
US8575247B2 (en) * 2008-08-05 2013-11-05 Polyone Corporation High flow polyvinyl halide compound and methods of making and using same
WO2010044421A1 (ja) * 2008-10-16 2010-04-22 旭硝子株式会社 含フッ素共重合体組成物およびその製造方法
EP2182024A3 (en) * 2008-10-30 2011-04-20 Rohm and Haas Company Flexible acrylic foam composition
CN102271911A (zh) * 2008-12-31 2011-12-07 美国圣戈班性能塑料公司 多层聚合物物品以及制造它们的方法
TWI595037B (zh) * 2009-04-30 2017-08-11 電化股份有限公司 硬化性樹脂組成物、接著劑組成物、硬化體或複合體
JP2011052057A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Nippon Terupen Kagaku Kk Raft重合体の製造方法、raft重合体およびそれを用いたポリマー
FR2969623B1 (fr) * 2010-12-23 2013-02-08 Michelin Soc Tech Procede de preparation d'un melange-maitre en phase liquide
EP2716669B1 (en) 2011-06-03 2018-11-07 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Tire and gasket for syringes
JP5907601B2 (ja) * 2011-11-22 2016-04-26 住友ゴム工業株式会社 高減衰組成物
EP2607102B1 (en) * 2011-12-21 2016-09-14 The Goodyear Tire & Rubber Company Method of making a graft polymer, copolymer and tire
US8759451B2 (en) * 2011-12-21 2014-06-24 The Goodyear Tire & Rubber Company Method of making a graft copolymer
US8415432B1 (en) * 2011-12-21 2013-04-09 The Goodyear Tire & Rubber Company Rubber composition and pneumatic tire
JP5763565B2 (ja) 2012-02-02 2015-08-12 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質弾性体
CN104105715B (zh) * 2012-02-13 2016-05-11 电化株式会社 氯丁二烯橡胶组合物、使用该氯丁二烯橡胶组合物的粘合剂组合物
US8691915B2 (en) 2012-04-23 2014-04-08 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Copolymers and polymer blends having improved refractive indices
JP5812935B2 (ja) 2012-05-16 2015-11-17 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質弾性体
JP2014009333A (ja) * 2012-07-02 2014-01-20 Yokohama Rubber Co Ltd:The ゴム組成物それを用いた加硫ゴム製品及びホース
WO2014038688A1 (ja) 2012-09-10 2014-03-13 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質弾性体
JP5620456B2 (ja) 2012-11-20 2014-11-05 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質弾性体
JP6053482B2 (ja) 2012-11-30 2016-12-27 住友ゴム工業株式会社 注射器用ガスケットの製造方法
JP6105292B2 (ja) * 2013-01-07 2017-03-29 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質弾性体
JP6127521B2 (ja) * 2013-01-09 2017-05-17 藤倉化成株式会社 ブロック共重合体の製造方法
WO2014160251A1 (en) 2013-03-25 2014-10-02 3M Innovative Properties Company Acrylate rubber sealing material
JP5816222B2 (ja) 2013-04-25 2015-11-18 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質弾性体
JP5797239B2 (ja) 2013-06-11 2015-10-21 住友ゴム工業株式会社 立体形状物の表面改質方法及び注射器用ガスケット
JPWO2014203668A1 (ja) 2013-06-20 2017-02-23 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質体
JP2015059207A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 セルヴィシオス アドミニストラティヴォス ペニョーレス ソシエダッド アノニマ デ キャピタル ヴァリアブルServicios Administrativos Penoles S.A.de C.V. 構造修飾添加剤を添加した高耐衝撃性のビニル芳香族材料の組成物
JP5820489B2 (ja) 2014-01-06 2015-11-24 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質弾性体
JP6328992B2 (ja) * 2014-05-01 2018-05-23 株式会社クラレ ホットメルト接着剤組成物
KR102245051B1 (ko) * 2014-07-02 2021-04-26 헨켈 아게 운트 코. 카게아아 제거가능 폴리우레탄 핫 멜트 접착제 및 용도
WO2016039276A1 (ja) * 2014-09-12 2016-03-17 三菱瓦斯化学株式会社 変性ゴム、ゴム組成物、及びタイヤ
JP6338504B2 (ja) 2014-10-02 2018-06-06 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質弾性体
CN104483256A (zh) * 2014-12-16 2015-04-01 常熟市环境试验设备有限公司 中空玻璃耐紫外线试验
EP3266828A4 (en) * 2015-03-05 2018-10-31 Kuraray Co., Ltd. Resin composition, film, and methods for producing same, molded article, and article
KR102427913B1 (ko) 2015-04-03 2022-08-01 주식회사 쿠라레 수지 조성물 및 그 제조 방법, 성형체, 필름 그리고 물품
KR101725481B1 (ko) * 2015-07-01 2017-04-26 한국엔지니어링플라스틱 주식회사 난연성 폴리에스테르계 가발 원사용 조성물
JP6551022B2 (ja) 2015-08-03 2019-07-31 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質体
JP6613692B2 (ja) 2015-08-03 2019-12-04 住友ゴム工業株式会社 表面改質方法及び表面改質弾性体
WO2018013330A1 (en) 2016-07-11 2018-01-18 3M Innovative Properties Company Polymeric material and methods of making using controlled radical initiators
US20180265686A1 (en) * 2017-03-16 2018-09-20 Orbital Atk, Inc. Precursor compositions for an insulation, insulated rocket motors, and related methods
US10612492B2 (en) 2017-03-16 2020-04-07 Northrop Grumman Innovation Systems, Inc. Precursor compositions for an insulation, insulated rocket motors, and related methods
KR20190064794A (ko) * 2017-12-01 2019-06-11 현대자동차주식회사 메타크릴계 블록 공중합체의 제조 방법
EP3728423B1 (en) * 2017-12-21 2022-07-27 3M Innovative Properties Company Polymeric compositions prepared with a controlled radical initiator
JP2020169294A (ja) * 2019-04-05 2020-10-15 株式会社クラレ 塩化ビニル系樹脂組成物及び成形品
WO2020247784A1 (en) * 2019-06-05 2020-12-10 Aees Inc. Overmolded wiring harness
CN110638244B (zh) * 2019-11-06 2024-05-17 广州铧世家具制造有限公司 一种头枕
CA3168208A1 (en) 2020-02-21 2021-08-26 Swimc Llc Stain-blocking polymers, primers, kits, and methods
US11608418B2 (en) * 2020-05-27 2023-03-21 Taiwan Textile Federation, R.O.C. Method of preparing self-adhesive polyester elastomer composite membrane and composite strip
CN111777795B (zh) * 2020-07-28 2022-05-31 山东京博中聚新材料有限公司 一种经济型橡胶助剂及其制备方法和应用
CN114588953B (zh) * 2022-04-01 2023-12-01 丹东明珠特种树脂有限公司 醚化制备工艺甲醇萃取水脱酸剂和其制备方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0423817A (ja) * 1990-05-16 1992-01-28 Mitsubishi Petrochem Co Ltd Ab型ブロック共重合体およびその利用
EP0910587B1 (en) * 1996-07-10 2001-12-12 E.I. Du Pont De Nemours And Company Polymerization with living characteristics
ES2277678T3 (es) * 1997-12-18 2007-07-16 E.I. Du Pont De Nemours And Company Proceso de polimerizacion con caracteristicas vivientes y polimeros obtenidos mediante este proceso.
US6596899B1 (en) * 2000-02-16 2003-07-22 Noveon Ip Holdings Corp. S,S′BIS-(α, α′-DISUBSTITUTED-α″-ACETIC ACID)- TRITHIOCARBONATES AND DERIVATIVES AS INITIATOR-CHAIN TRANSFER AGENT-TERMINATOR FOR CONTROLLED RADICAL POLYMERIZATIONS AND THE PROCESS FOR MAKING THE SAME
US6992138B2 (en) * 2001-05-31 2006-01-31 Kaneka Corporation Polyurethane polymer
US6914110B2 (en) * 2001-05-31 2005-07-05 Kaneka Corporation Process for producing polymer having crosslinkable silyl group and curable composition
WO2003008474A1 (fr) * 2001-07-16 2003-01-30 Kaneka Corporation Copolymere sequence
JP3971593B2 (ja) * 2001-10-10 2007-09-05 株式会社カネカ 硬化性組成物
JPWO2003042256A1 (ja) * 2001-11-14 2005-03-10 株式会社カネカ 硬化性組成物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002338646A (ja) * 2001-05-14 2002-11-27 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ブロック共重合体およびブロック共重合体の組成物
WO2009054553A2 (en) * 2008-12-25 2009-04-30 Kuraray Co., Ltd. Optical component comprising acrylic block copolymer
WO2009054553A3 (en) * 2008-12-25 2009-06-18 Kuraray Co Optical component comprising acrylic block copolymer
KR20150142683A (ko) * 2013-04-12 2015-12-22 가부시키가이샤 구라레 아크릴계 수지 필름
KR102194362B1 (ko) 2013-04-12 2020-12-23 주식회사 쿠라레 아크릴계 수지 필름

Also Published As

Publication number Publication date
WO2002081561A1 (fr) 2002-10-17
JPWO2002081561A1 (ja) 2004-07-29
US20040106732A1 (en) 2004-06-03
US7211625B2 (en) 2007-05-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3971705B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびエラストマー組成物
US8957162B2 (en) Elastomer material, and method for obtaining same
US7094833B2 (en) Block copolymer
JP4889867B2 (ja) 末端にアルケニル基を有するビニル系重合体の製造方法、ビニル系重合体および硬化性組成物
EP1447422A1 (en) Curable composition
US20050171257A1 (en) Perfluoroelastomer composition for use in vulcanization and method for making a molded perfluoroelastomer product
JP4199666B2 (ja) アクリロニトリル含有ブロック共重合体及び熱可塑性樹脂組成物
JP5122056B2 (ja) 金属アミン錯体含有フルオロポリマー組成物
US20050004318A1 (en) Curable composition
WO2002098929A1 (fr) Procede de production de polymere presentant un groupe silyle reticulable, et composition durcissable
JP2003292719A (ja) ブロック共重合体を含有するエラストマー組成物、およびその成形体
JP4082949B2 (ja) ブロック共重合体
JP2002363246A (ja) ポリウレタン系重合体
JP4210052B2 (ja) エマルジョン型粘着剤
JP4027742B2 (ja) ブロック共重合体
US20070135577A1 (en) Intermediate elastomer compositions
JP4046552B2 (ja) 架橋性シリル基含有重合体の製造方法、および硬化性組成物
JP4242283B2 (ja) シリコーン含有ブロック共重合体
JP2002363362A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JP6610241B2 (ja) 変性ハロゲン化ポリオレフィン組成物の製造方法
WO2017086347A1 (ja) 変性ハロゲン化ポリオレフィン組成物の加硫組成物
JP6926538B2 (ja) 変性ハロゲン化ポリオレフィン組成物の製造方法
JP2003113212A (ja) ビニルスルフィド基含有重合体、および硬化性組成物
JP7419762B2 (ja) グラフト共重合体及びこれを含有する変性ハロゲン化ポリオレフィン組成物並びにその製造方法
JP2017165838A (ja) 変性ハロゲン化ポリオレフィン組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061017

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061218

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20061218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061218

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070605

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070608

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100615

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees