JPWO2003042256A1 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明により、架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)を含有する硬化性組成物が提供される。この架橋性シリル基含有重合体(A)は、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体をラジカル重合する工程を含むプロセスにより得られる。例えば、(i)チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体の可逆的付加脱離連鎖移動重合反応を開始する工程、および(ii)該重合反応によるラジカル重合性単量体の消費率が80%以上となった段階で、架橋性シリル基含有不飽和化合物を加えて共重合させる工程により製造される。
Description
技術分野
本発明は、架橋性シリル基含有重合体と縮合触媒とを含有し、耐候性に優れた硬化物を与える硬化性組成物、および該組成物を含有する樹脂組成物に関する。
背景技術
末端に架橋性シリル基を有する湿分硬化型液状重合体を有する硬化性組成物は、シーリング剤、接着剤、粘着剤、塗料、ポッティング剤などに利用されている。このような組成物に用いられる重合体としては、これまでにポリシロキサン系重合体、ポリオキシプロピレン系重合体、ポリイソブチレン系重合体などが知られている。しかし、これらの重合体を用いた硬化性組成物は多くの問題点を有している。例えば、ポリシロキサン系重合体を含む組成物は、耐候性、耐熱性、耐寒性などに優れるが、耐油性、低汚染性、塗装性、およびガスバリア性に問題がある。ポリオキシプロピレン系重合体を含む組成物は、汚染性が低くかつ塗装性にも問題はないが、耐候性が不十分である。ポリイソブチレン系重合体を含む組成物は、耐候性、低透湿性、およびガスバリア性に優れるが、粘度が高いため扱いにくく、さらに湿分硬化に時間がかかるなどの問題がある。
耐熱性、耐候性、耐油性、低汚染性などに優れ、かつ取り扱いが容易な湿分硬化性組成物としては、末端に架橋性シリル基を有するアクリル系重合体を主成分とする硬化性組成物が提案されている。
その製造方法としては、例えば、特公平3−14068号公報および特公平5−72427号公報に、架橋性シリル基を有するメルカプタン系連鎖移動剤、架橋性シリル基を有するジスルフィド系連鎖移動剤、または架橋性シリル基を有するアゾ系重合開始剤を使用して、アクリル系単量体をラジカル重合する方法が開示されている。しかしこれらの製造方法により重合を行っても、架橋性シリル基を末端に有する重合体を確実に調製することが困難であり、満足な物性を有する硬化物を得ることはできない。また、分子量分布が大きくなるため、強度や伸びなどの機械的物性が不十分であった。さらに、架橋性シリル基が加水分解されるため、乳化重合や懸濁重合などの水系重合を行うことができず、溶液重合を行う場合においても水分管理を厳密に行う必要があるため、製造工程が煩雑となるという問題があった。
特公平4−55444号公報には、架橋性シリル基を有するヒドロシラン類、または架橋性シリル基を有するテトラハロシラン類を連鎖移動剤として用いる方法が記載されている。しかし、この方法により重合を行っても、架橋性シリル基を末端に有する重合体を高い収率で得ることが困難であり、満足な物性を有する硬化物を得ることはできない。さらに上記と同様に、架橋性シリル基が加水分解されるため、乳化重合、懸濁重合などの水系重合を行うことができず、溶液重合を行う場合においても水分管理を厳密に行う必要があるため、製造工程が煩雑となるという問題があった。
特開平6−211922号公報には、ヒドロキシル基含有ポリスルフィド系連鎖移動剤を、開始剤に対して大過剰に用いることにより、末端にヒドロキシル基を有するアクリル系重合体を製造し、該ヒドロキシル基を架橋性シリル基に変換する方法が開示されている。しかしこの方法においては、連鎖移動剤を大量に使用する必要があり、経済的ではなかった。
これらの問題を解決するために、金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法により、末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体を製造する方法が、特開平11−80571号公報に記載されている。しかしこの原子移動ラジカル重合法においては、金属錯体を触媒として使用するため、重合後に精製する必要があり、工程が煩雑となり生産性が低下するという問題がある。またこの方法においても、乳化重合や懸濁重合などの水系重合を適用することは不可能である。
発明の開示
本発明の目的は、末端に高い比率で架橋性シリル基を有するビニル系重合体を主成分とし、耐油性、耐熱性、耐候性、低汚染性、および圧縮永久歪に優れ、取り扱いが容易な硬化性組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、簡便で精製工程を簡略化できるプロセスであって、水系重合にも適用可能なプロセスにより調製された、上記重合体を含む硬化性組成物を提供することにある。
本発明の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)とを含有し;該架橋性シリル基含有重合体(A)は、(i)チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体の可逆的付加脱離連鎖移動重合反応を開始する工程、および(ii)該重合反応によるラジカル重合性単量体の消費率が80%以上となった段階で、架橋性シリル基含有不飽和化合物を加えて共重合させる工程により製造され;該架橋性シリル基含有不飽和化合物は、ラジカル重合可能な不飽和基と、一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である。
好適な実施態様においては、分子末端に架橋性シリル基を導入できる点で、上記工程(ii)におけるラジカル重合性単量体の消費率は95%以上である。
本発明の他の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)とを含有し;該架橋性シリル基含有重合体(A)は、(I)チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体の可逆的付加脱離連鎖移動重合反応を開始する工程、(II)該重合反応によるラジカル重合性単量体の消費率が80%以上となった段階で、ジエン化合物を加えて共重合させ、不飽和基を有する重合体を得る工程、および(III)該不飽和基を有する重合体に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物を加えてヒドロシリル化反応させる工程により製造され;該架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物は、ヒドロシリル基と、一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である。
好適な実施態様においては、分子末端に架橋性シリル基を導入できる点で、上記工程(II)におけるラジカル重合性単量体の消費率は95%以上である。
本発明のさらに他の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)とを含有し;該架橋性シリル基含有重合体(A)は、〔I〕ラジカル重合性単量体を、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で可逆的付加脱離連鎖移動重合させて、チオカルボニルチオ基を有する重合体を得る工程、〔II〕該チオカルボニルチオ基を有する重合体のチオカルボニルチオ基を、メルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体を得る工程、〔III〕該メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体に、メルカプト基またはメルカプチド基と結合形成可能な官能基と、不飽和基とを有する、官能性基含有不飽和化合物を反応させ、不飽和基を有する重合体を得る工程、および〔IV〕該不飽和基を有する重合体に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物を加えてヒドロシリル化反応させる工程により製造され;該架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物は、ヒドロシリル基と、一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である。
好適な実施態様においては、上記チオカルボニルチオ基をメルカプト基またはメルカプチド基に変換する反応は、塩基、酸、および水素−窒素結合含有化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物でなる処理剤を使用することにより行われる。
好適な実施態様においては、上記処理剤は水素−窒素結合含有化合物であって、該化合物は、アンモニア、沸点100℃以下の1級アミン化合物、および沸点100℃以下の2級アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
好適な実施態様においては、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物は、以下の一般式(2)で示される化合物、および一般式(3)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である:
(式中、R4は炭素数1以上のp価の有機基であり;Z1は水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合には、複数のZ1は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)、
(式中、R5は炭素数1以上の1価の有機基であり;Z2は酸素原子(q=2の場合)、硫黄原子(q=2の場合)、窒素原子(q=3の場合)、または炭素数1以上のq価の有機基であり;qは2以上の整数であり、複数のR5は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)。
好適な実施態様においては、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物は、一般式(4)で示される化合物である:
(式中、R6は炭素数1以上の2価の有機基であり;Z1は水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり;Z1は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)。
好適な実施態様においては、上記ラジカル重合性単量体は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、およびメタクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
好適な実施態様においては、上記架橋性シリル基含有重合体(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、1.8以下である。
好適な実施態様においては、上記架橋性シリル基含有重合体(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により求めた数平均分子量(Mn)は、1000〜100000の範囲である。
本発明の樹脂組成物は、上記硬化性組成物と、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有重合体(A)と縮合触媒(B)とを含有する。以下に、架橋性シリル基含有重合体(A)および縮合触媒(B)について、順に説明する。
[架橋性シリル基含有重合体(A)およびその製造方法の概略]
本発明の硬化性組成物に含有される架橋性シリル基含有重合体(A)が有する架橋性シリル基は、通常、一般式(1)で示される:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である。
上記Y1およびY2で示される加水分解性基としては特に限定されず、通常知られている、加水分解性を有する基であり得る。具体的には、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。加水分解性がマイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基あるいはエトキシ基がさらに好ましい。このような加水分解性基およびヒドロキシル基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+mb、すなわち、加水分解性基の総和は、反応性および入手性の点で、2〜5の範囲が好ましい。上記式(1)におけるmは、反応性および入手性の点で、0〜19とされる。上記式(1)で示される架橋性シリル基としては、次の基が挙げられる:トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジプロポキシメチルシリル基、ジブトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、ジプロポキシエチルシリル基、ジブトキシエチルシリル基などのジアルコキシアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基、プロポキシジメチルシリル基、ブトキシジメチルシリル基、メトキシジエチルシリル基、エトキシジエチルシリル基、プロポキシジエチルシリル基、ブトキシジエチルシリル基などのアルコキシジアルキルシリル基など。
架橋性シリル基含有重合体(A)は、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(本明細書中において、ラジカル重合性単量体(a1)あるいは単量体(a1)と記載する場合がある)をラジカル重合する工程を含むプロセスにより得られる。その具体的な製造方法としては、次の3つの方法が挙げられる:
製造法1:チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(a1)に架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)を共重合させる方法;
製造法2:チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(a1)とジエン化合物(a3)とを共重合後、ヒドロシリル化する方法;および
製造法3:チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(a1)を重合し、得られた重合体のチオカルボニルチオ基をメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、該メルカプト基またはメルカプチド基の反応性を利用して不飽和基を導入し、次いでヒドロシリル化する方法。
これらの方法の概略を以下に説明する。
(製造法1)
製造法1による架橋性シリル基含有重合体(A)の調製工程の典型例をスキーム1に示す。この製造法で得られる架橋性シリル基含有重合体(A)は、本明細書において、架橋性シリル基含有重合体(A−1)あるいは重合体(A−1)と記載される場合がある。
まず、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下にて、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。製造法1においては、後述のチオカルボニルチオ基を有する化合物(2)が好適に用いられる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が生成する(上記スキームにおいて、nおよびmは結合した単量体の数を示す)。次にこのラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階、例えば該単量体(a1)がほぼ実質的に反応を終了した時点で、架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)(後述)を加えて共重合させることにより、架橋性シリル基含有重合体(A−1)が得られる。この重合体(A−1)において、(a2)で示される部分には架橋性シリル基が存在する。ラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)が加えられるため、スキーム1において(a2)で示される部分、つまり分子末端部分に高い割合で架橋性シリル基を有する重合体が得られる。
(製造法2)
製造法2による架橋性シリル基含有重合体(A)の調製工程の典型例をスキーム2に示す。この製造法で得られる架橋性シリル基含有重合体(A)は、本明細書において、架橋性シリル基含有重合体(A−2)あるいは重合体(A−2)と記載される場合がある。
まず、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下にて、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。製造法2においても、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)が好適に用いられる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が生成する(上記スキームにおいて、n、m、およびlは結合した単量体の数を示す)。次にこのラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階、例えば単量体(a1)がほぼ実質的に反応を終了した時点で、ジエン化合物(a3)(後述)を加えて共重合させることにより、不飽和基を有する重合体(a4)を得る。次いで、該不飽和基を有する重合体(a4)に、一分子中にヒドロシリル基と、架橋性シリル基とを有する化合物である、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)(後述)を反応させることにより、該架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)のヒドロシリル基が、不飽和基を有する重合体(a4)の不飽和基に付加し、架橋性シリル基含有重合体(A−2)が形成される。この架橋性シリル基含有重合体(A−2)は、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)に由来する架橋性シリル基を分子末端部分に有する。
(製造法3)
製造法3による架橋性シリル基含有重合体(A)の調製工程の典型例をスキーム3および4に示す。この製造法で得られる架橋性シリル基含有重合体(A)は、本明細書において、架橋性シリル基含有重合体(A−3)あるいは重合体(A−3)と記載される場合がある。
スキーム3においては、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)の存在下にて、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)(上記スキームにおいて、nは結合した単量体の数を示す)が生成する。次に、得られたチオカルボニルチオ基を有する重合体(6)のチオカルボニルチオ基を処理剤(後述)によりメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体(7)を得る(スキーム3では、メルカプト基を有する重合体を示す)。次いで、この重合体(7)と官能性基含有不飽和化合物(a6;後述)とを反応させて、末端に不飽和基を有する重合体(a7;スキーム3ではa7−1で示される)を得る。この末端に不飽和基を有する重合体(a7−1)と、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とを反応させることにより架橋性シリル基含有重合体(A−3;スキーム3ではA−3−1で示される)が得られる。この架橋性シリル基含有重合体(A−3)は、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)に由来する架橋性シリル基を分子末端部分に有する。
スキーム4においては、チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)の存在下にて、同様にラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)(上記スキームにおいて、nは結合した単量体の数を示す)が生成する。次に、得られたチオカルボニルチオ基を有する重合体(6)のチオカルボニルチオ基を処理剤によりメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体(8)を得る。(スキーム4では、メルカプト基を有する重合体を示す)次いで、この重合体(8)と官能性基含有不飽和化合物(a6;後述)とを反応させて、末端に不飽和基を有する重合体(a7;スキーム4ではa7−2で示される)を得る。この末端に不飽和基を有する重合体該重合体(a7−2)と、上記架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とを反応させることにより架橋性シリル基含有重合体(A−3;スキーム4ではA−3−2で示される)が得られる。この架橋性シリル基含有重合体(A)は、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)に由来する架橋性シリル基を分子末端部分に有する。
[チオカルボニルチオ基を有する化合物]
本発明の組成物に含有される架橋性シリル基含有重合体(A)を調製するために用いられるチオカルボニルチオ基を有する化合物は、一般式(2)で示される化合物:
(式中、R4は炭素数1以上のp価の有機基であり、該p価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Z1は水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合には、複数のZ1は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)、および一般式(3)で示される化合物:
(式中、R5は炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Z2は酸素原子(q=2の場合)、硫黄原子(q=2の場合)、窒素原子(q=3の場合)、または炭素数1以上のq価の有機基であり、該q価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;qは2以上の整数であり、複数のR5は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)からなる群より選択される少なくとも1種である。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)において、R4は特に限定されない。重合活性、および入手性の点で、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数2〜20の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数7〜30の置換アラルキル基、2価以上の脂肪族炭化水素基、2価以上の芳香族炭化水素基、芳香環を有する2価以上の脂肪族炭化水素基、脂肪族基を有する2価以上の芳香族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価以上の脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価以上の芳香族置換炭化水素基などが好ましい。化合物の入手性の点で、次の基が好ましい:ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−(2−フェニル)プロピル基、1−アセトキシエチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(2−エトキシカルボニル)プロピル基、2−(2−シアノ)プロピル基、t−ブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−〔2−(p−クロロフェニル)〕プロピル基、ビニルベンジル基、t−ブチルスルフィド基、2−カルボキシルエチル基、カルボキシルメチル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−(2−シアノ)ブチル基、および次の一般式で示される有機基:
(式中、rは0以上の整数を示し、sは1以上の整数を示す)。上記式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
さらにR4は、上記のように、高分子量体であってもよく、その例としては、次の基が挙げられる:ポリエチレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリプロピレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリテトラメチレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリエチレンテレフタレート構造を有する炭化水素基、ポリブチレンテレフタレート構造を有する炭化水素基、ポリジメチルシロキサン構造を有する炭化水素基、ポリカーボネート構造を有する炭化水素基、ポリエチレン構造を有する炭化水素基、ポリプロピレン構造を有する炭化水素基、ポリアクリロニトリル構造を有する炭化水素基など。これらの炭化水素基には酸素原子、窒素原子、および硫黄原子のうちの少なくともひとつが含まれていてもよく、シアノ基、アルコキシ基などが含まれていてもよい。これらの分子量は、通常、500以上である。以下、本発明において高分子量体の基とは、上記のような基を指していう。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)のZ1は特に限定されない。重合活性、および入手性の点で次の基が好ましい:炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数7〜30の置換アラルキル基、炭素数7〜30のN−アルキル−N−アリールアミノ基、炭素数12〜30のN,N−ジアリールアミノ基、炭素数4〜30の窒素含有複素環基、炭素数2〜20のチオアルキル基、炭素数6〜30のチオアリール基、および炭素数1〜20のアルコキシ基。化合物の入手性の点で、次の基が好ましい:フェニル基、メチル基、エチル基、ベンジル基、4−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ジエトキシホスフィニル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、チオメチル基(メチルスルフィド)、フェノキシ基、チオフェニル基(フェニルスルフィド)、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、チオベンジル基(ベンジルスルフィド)、ペンタフルオロフェノキシ基、および次式:
で示される有機基。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)のR5は特に限定されない。重合活性、および入手性の点で、次の基が好ましい:炭素数4〜20のアルキル基、炭素数2〜20の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、および炭素数7〜30の置換アラルキル基。化合物の入手性の点で、次の基が好ましい:ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−(2−フェニル)プロピル基、1−アセトキシエチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(2−エトキシカルボニル)プロピル基、2−(2−シアノ)プロピル基、t−ブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−〔2−(p−クロロフェニル)〕プロピル基、ビニルベンジル基、t−ブチルスルフィド基、2−カルボキシルエチル基、カルボキシルメチル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−(2−シアノ)ブチル基、および次の一般式で示される有機基:
(式中、rは0以上の整数を示し、sは1以上の整数を示す)。上記式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)のZ2は特に限定されない。化合物の重合活性および入手性の点で、次式で示される有機置換基が好ましい:
(式中、rは0以上の整数であり、sは1以上の整数である)。
本発明で使用する、チオカルボニルチオ基を有する化合物の具体例としては、次式で示される化合物が挙げられるが、これらに限定されない:
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Acはアセチル基を示し、rは0以上の整数であり、sは1以上の整数である)。上記各式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
本発明で使用する、チオカルボニルチオ基を有する化合物のうち、多官能性の架橋性シリル基含有重合体を製造できる点で、上記一般式(2)においてpが2以上の化合物が好ましい。特に、硬化性組成物として良好な物性を示す、両末端官能性(テレケリック)架橋性シリル基含有重合体を製造できる点で、一般式(4)で示される化合物:
(式中、R6は炭素数1以上の2価の有機基であり、該2価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Z1は水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、Z1は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)がより好ましい。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の構造において、R6は特に限定されない。化合物の重合活性および入手性の点で、次式:
で示される基が好ましい。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(4)の構造において、Z1は特に限定されない。化合物の重合活性および入手性の点で、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数7〜30の置換アラルキル基、炭素数7〜30のN−アルキル−N−アリールアミノ基、炭素数12〜30のN,N−ジアリールアミノ基、炭素数4〜30の窒素含有複素環基、炭素数2〜20のチオアルキル基、炭素数6〜30のチオアリール基、および炭素数1〜20アルコキシ基が好ましい。入手性の点で、次の基が好ましい:フェニル基、メチル基、エチル基、ベンジル基、4−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ジエトキシホスフィニル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、チオメチル基(メチルスルフィド)、フェノキシ基、チオフェニル基(フェニルスルフィド)、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、チオベンジル基(ベンジルスルフィド)、ペンタフルオロフェノキシ基、および次式:
で示される有機置換基。
上記両末端官能性(テレケリック)架橋性シリル基含有重合体を製造可能な、チオカルボニルチオ基を有する化合物(4)としては、重合活性および入手性の点で、次式で示される化合物がより好ましい:
(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す)。
本発明で使用する、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の使用量は特に限定されない。その使用モル数に応じて、得られる重合体の重合度が左右されるため、必要とされる重合体の重合度、あるいは数平均分子量から計算して決定すればよい。一般に、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下でラジカル重合性単量体を重合させた場合には、該チオカルボニルチオ基を有する化合物のモル数と、得られる重合体の重合度については、次式の関係が成立する。
重合度=ラジカル重合性単量体のモル数/チオカルボニルチオ基を有する化合物のモル数
重合体の数平均分子量は、重合度にラジカル重合性単量体の分子量を乗ずることにより計算できる。従って、これを目安として、必要とされる架橋性シリル基含有重合体(A)の性質を考慮し、チオカルボニルチオ基を有する化合物の種類および使用量を決定すればよい。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
[ラジカル重合性単量体(a1)]
本発明で使用されるラジカル重合性単量体(a1)としては、ラジカル重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、以下の化合物を挙げることができる:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2−アミノエチル、2−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸ペンタフルオロエチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、2−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、2−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ラウリル、アルキル変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、アクリル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、アクリル酸1,9−ノナンジオール、アクリル酸1,4−ブタンジオール、2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル〕メチルエステル、アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、3−メトキシアクリル酸メチル、アクリル酸アリルなどのアクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどの芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリフェニルシラン、ビニルトリエチルシランなどのケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ケイ皮酸ビニル、ジビニルカーボネート、ビニルエチルカーボネート、ビニルフェニルカーボネートなどのビニルエステル化合物;酢酸アリル、プロピオン酸アリル、ピバリン酸アリル、安息香酸アリル、ケイ皮酸アリル、ジアリルカーボネート、アリルメチルカーボネート、アリルフェニルカーボネートなどのアリルエステル化合物;ビニルフェニルエーテル、ビニルエチルエーテル、ジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル、アリルエチルエーテル、ジアリルエーテル、ビニルアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,4−ブタンジオールモノアリルエーテル、1,4−ブタンジオールジアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和基含有エーテル化合物;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物;アクリル酸、メタクリル酸;アクロレイン、メタクロレイン;1,6−ヘプタジエン、ジアリルアンモニウム塩などの環化重合可能な単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。複数のラジカル重合性単量体(a1)を用いて共重合体とする場合には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、これらの組み合わせなど、その形態については限定されない。
本発明で使用するラジカル重合性単量体(a1)のうち、入手性、および価格の点で、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルエーテル化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、およびメタクリル酸が好ましく;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、およびメタクリルアミドがより好ましく;得られる重合体が耐油性、耐熱性、耐候性、および低汚染性に優れる点でアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルがさらに好ましく;柔軟な硬化物が得られる点で形成される重合体のガラス転位温度が0℃以下となるようなメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルが特に好ましい。重合体のガラス転位温度が0℃以下となるようなアクリル酸エステルとしては、入手性および価格の点でアクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸t−ブチルが好ましい。
[重合反応に使用される溶剤、重合開始剤、および重合方法]
本発明の組成物に含有される架橋性シリル基含有重合体(A)を調製する製造法1〜3のいずれにおいても、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(a1)のラジカル重合反応が行なわれる。このラジカル重合反応の形式については特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、微細懸濁重合など、当該分野で一般に用いられる方法が適用可能である。これらのうち、コストおよび安全性の点で、乳化重合、懸濁重合、および微細懸濁重合のような水系重合が好ましい。ただし、重合後の変性反応を有機溶媒中あるいは無溶媒で行う場合には、工程を連続的に実施できる点で溶液重合または塊状重合が好ましい。
上記ラジカル重合性単量体(a1)を溶液重合させる場合に使用される溶剤としては、次の溶剤が挙げられるが、それらに限定されない:ヘプタン、ヘキサン、オクタン、ミネラルスピリットなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、ベンゼン、スワゾール310(コスモ石油社製)、スワゾール1000(コスモ石油社製)、スワゾール1500(コスモ石油社製)などの芳香族石油系溶剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。使用する溶剤の種類や量については、使用する単量体の溶解度、得られる重合体の溶解度、十分な反応速度を達成するために適切な重合開始剤濃度や単量体濃度、チオカルボニルチオ基を有する化合物の溶解度、人体や環境に与える影響、入手性、価格などを考慮して決定すればよく、特に限定されない。入手性および価格の点で、工業的にはトルエン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、およびジメチルホルムアミドが好ましい。
上記ラジカル重合性単量体(a1)を乳化重合または微細懸濁重合させる場合、使用される乳化剤としては、次の乳化剤が挙げられるが、それらに限定されない:脂肪酸石けん、ロジン酸石けん、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム(例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウム)、アルキル硫酸アンモニウム、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどの非イオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤など。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。必要に応じて、アルキルアミン塩酸塩などのカチオン系界面活性剤を使用してもよく、後述する懸濁重合の分散剤を添加してもよい。乳化剤の使用量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0.1〜20重量部である。
上記ラジカル重合性単量体(a1)を懸濁重合させる場合、使用される分散剤としては、通常用いられる分散剤のいずれをも利用することが可能である。例えば、次の分散剤が挙げられるが、それらに限定されない:部分けん化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリアルキレンオキサイド、アニオン性界面活性剤と分散助剤の組合せなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。必要に応じて、上記乳化重合の乳化剤を併用してもよい。分散剤の使用量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0.1〜20重量部である。
上記ラジカル重合性単量体(a1)のラジカル重合を行う際に使用される重合開始剤、あるいは重合開始方法については特に限定されず、通常用いられる重合開始剤、あるいは重合開始方法を用いることができる。例えば、重合開始剤として次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、1,4−ビス〔(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル〕ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス(3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、O−t−ブチル−O−イソプロピルパーオキシカーボネート、コハク酸パーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)などのアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物;スチレンなどのように熱的にラジカル種を生成するビニル系単量体;ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルフォスフィンオキシド、フォトレドックス系化合物などのように光によりラジカル種を発生する化合物;亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄などを還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどを酸化剤とするレドックス型重合開始剤など。これら重合開始剤は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。この他に、電子線照射、エックス線照射、放射線照射などによる重合開始系を利用することも可能である。このような重合開始方法に関しては、Moad and Solomon“The Chemistry of Free Radical Polymerization”,Pergamon,London,1995,53−95ページに記載されている方法を使用可能である。
本発明の実施において使用する重合開始剤の使用量については特に限定されないが、分子量分布の小さい重合体を得られる点で、重合中に発生するラジカル種の量が、チオカルボニルチオ基を有する化合物のチオカルボニルチオ基1モルに対して1モル以下が好ましく、0.5モル以下がより好ましい。また、重合中に発生するラジカル種の量を制御するために、重合開始剤の使用量と合わせて、熱的解離する重合開始剤の場合には温度を調節すること、光や電子線などによりラジカルを発生する重合開始系の場合には照射するエネルギー量を調節することなどが好ましい。重合を制御しやすい点で、熱的解離する重合開始剤を用い、その半減期が0.5〜50時間となるような温度で重合することが好ましい。重合温度は、さらに好ましくは、半減期が1〜20時間となるような温度、より好ましくは、半減期が5〜15時間となるような温度である。
[架橋性シリル基含有重合体(A)の製造]
架橋性シリル基含有重合体(A)は、上述のように製造法1、2、または3により製造される。これらについて、以下に詳述する。
(製造法1:架橋性シリル基含有重合体(A−1)の製造)
製造法1によれば、上記スキーム1に示されるように、まず、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下にて、上記ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。製造法1においては、チオカルボニルチオ基を有する化合物として、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)が好適に用いられる。チオカルボニルチオ基を有する化合物は、重合中に反応系内に存在していればよく、その添加方法は限定されないが、生成する重合体の分子量や分子量分布を制御でき、架橋性シリル基の導入率を高くできる点で、重合開始前に反応系内に溶解、または分散させておくことが好ましい。
例えば、溶液重合の場合には、溶媒またはラジカル重合性単量体(a1)に溶解させて添加する方法が好ましく、乳化重合、懸濁重合などの水系重合の場合には、少量の溶媒に溶解させて添加したり、ラジカル重合性単量体(a1)に溶解させて添加したり、ホモジナイザーなどで予備撹拌して分散させたりする方法が好ましい。
この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が生成する。次にこのラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)を共重合させる。
上記架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)は、不飽和基と、上記一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを含有する化合物である。
上記架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)としては特に制限はないが、その具体例としては、一般式(9)で示される化合物が挙げられる:
(式中、R1、R2、Y1、Y2、a、b、およびmは式(1)で示されるのと同様であり;R8は水素またはメチル基;R9は−C(O)O−、またはo−、m−、あるいはp−フェニレン基;そしてR10は、直接結合または炭素数1〜20の2価の有機基であり、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい)。
上記架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)において、R9が−C(O)O−(エステル基)の場合、該化合物は(メタ)アクリレート系の化合物であり、R9がフェニレン基である場合はスチレン系の化合物である。R10としては、メチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、o−,m−,p−フェニレン基、ベンジル基等のアラルキル基、−CH2CH2−O−CH2−、および−O−CH2−等のエーテル結合を含むアルキレン基が例示される。
上記Y1およびY2は、上述のように各々ヒドロキシル基または加水分解性基である。この加水分解性基としては特に限定されず、上記架橋性シリル基含有重合体(A)の構成の項で記載した加水分解性基のいずれをも好適に用いることができる。それらの中でも、加水分解性がマイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシ基が特に好ましい。基Y2は、分子末端のケイ素原子に1〜3個の範囲で存在し、基Y1は、非末端部分のケイ素原子に1または2個の範囲で存在する。基Y1およびY2の総和(a+mb)は、1〜5の範囲が好ましい。基Y1およびY2のうちの少なくとも一方が上記化合物(9)中に2個以上結合するときは、それらは同一であっても、異なっていてもよい。架橋性ケイ素化合物を構成するケイ素原子(基Y1またはY2が結合しているケイ素原子)は、上記(9)で示される化合物中に1個あるいは2個以上存在するのが適切である。
これらの中でも、加水分解の反応性がマイルドで取扱いやすく、かつ入手が容易であるという点で、次の化合物が好適である:H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(OCH3)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(OC2H5)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(OC3H7)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OC3H7)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(OCH3)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(OC2H5)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(OC3H7)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OC3H7)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OCH3)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OC2H5)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OC3H7)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC3H7)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OCH3)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OC2H5)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OC3H7)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC3H7)2、o−、m−、またはp−H2C=CH−C6H4−(CH2)n1−Si(OCH3)3、o−、m−、またはp−H2C=CH−C6H4−(CH2)n1−Si(CH3)(OCH3)2、o−、m−、またはp−H2C=CH−C6H4−O−(CH2)n1−Si(OCH3)3、o−、m−、またはp−H2C=CH−C6H4−O−(CH2)n1−Si(CH3)(OCH3)2
(上記の各式中、C6H4はフェニレン基であり、n1は2〜20の整数、n2は1〜20の整数、そしてmは2〜20の整数である)。これらのうちでも架橋の容易性という観点からは、メトキシ基あるいはエトキシ基が結合した加水分解性シリル基を有する化合物がより好ましい。
この架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)は、上記のように、ラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で加えられる。ラジカル重合性単量体(a1)の消費率は、高いほど良好であり、好ましくは95%以上である。80%以下であると、架橋性シリル基が、分子末端ではなく主鎖中にランダムに分布し、架橋点間分子量がばらつくため硬化物の機械特性を損なうおそれがある。架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)は、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が終了して重合体を単離してから、触媒とともに添加して新たに反応させてもよい。
架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)はラジカル重合性単量体(a1)から形成される重合体の全末端の数に対し、等量添加すれば原理的にすべての末端に架橋性シリル基が導入されるが、全末端に架橋性基を確実に導入するためには、過剰量、具体的には、末端の数に対し1〜10倍用いるのがよい。10倍を超える量を用いると重合体の末端に高密度で架橋性基が導入されることになり、硬化物の物性上および貯蔵安定性の点で好ましくない。
上記反応により、架橋性シリル基含有重合体(A−1)が得られる。この重合体は、架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)由来の架橋性シリル基を分子末端部分に高い割合で有する。
(製造法2:架橋性シリル基含有重合体(A−2)の製造)
製造法2によれば、上記スキーム2に示されるように、まず、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下にて、上記ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。製造法2においても、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)が好適に用いられ、同様に反応が行われる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が生成する。次にこのラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で、ジエン化合物(a3)を反応させる。
上記ジエン化合物(a3)は、分子中に不飽和基を2つ以上有する化合物であり、少なくとも一つの不飽和基はラジカル重合性である。本発明のジエン化合物は、3つ以上の不飽和基を有していてもよい。このような不飽和基は、例えば一般式(5)で示される基である:
(式中、R7は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を示し、エーテル結合またはエステル結合を含んでいてもよい)。
このようなジエン化合物(a3)としては、例えば以下の化合物が挙げられる:ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,2−ジビニルシクロヘキサン、1−アリル−4−ビニルシクロヘキサン、1,4−ジアリルシクロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン、1,2−ジビニルベンゼン、4−ビニル−α−メチルスチレン、4−アリルスチレン、4−アリル−α−メチルスチレン、1,4−ジアリルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,4−ジビニルナフタレン、9,10−ジビニルアントラセン、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、アリルビニルエーテル、ジビニルカーボネート、ジアリルカーボネート、ビスフェノールA−ジアリルエーテル、ビスフェノールA−トリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、ジメトキシジビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、1,5−ジビニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸イソプロペニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸4−ビニルフェニル、ビスフェノールAジメタクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジメタクリレート、ジメタクリル酸1,9−ノナンジオール、ジメタクリル酸1,4−ブタンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、メタクリル酸N−ビニルアミノエチル、メタクリル酸N−アリルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジビニルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジアリルアミノエチル、アクリル酸ビニル、アクリル酸イソプロペニル、アクリル酸アリル、アクリル酸4−ビニルフェニル、ビスフェノールAジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、ジアクリル酸1,9−ノナンジオール、ジアクリル酸1,4−ブタンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸トリエチレングリコール、ジアクリル酸テトラエチレングリコール、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸N−ビニルアミノエチル、アクリル酸N−アリルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジビニルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジアリルアミノエチル、ポリエチレンオキサイドジアリルエーテル、ポリプロピレンオキサイドジアリルエーテル、ポリエチレンオキサイドジビニルエーテル、ポリプロピレンオキサイドジビニルエーテル、ポリエチレンオキサイドジイソプロペニルエーテル、ポリプロピレンオキサイドジイソプロペニルエーテル、ポリカーボネートジビニルエーテル、ポリカーボネートジアリルエーテル、ポリブチレンテレフタレートジビニルエーテル、ポリブチレンテレフタレートジアリルエーテル、ポリエチレンテレフタレートジビニルエーテル、ポリエチレンテレフタレートジアリルエーテルなど。これらのジエン化合物(a3)は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらの化合物のうち、重合体同士の架橋が起こりにくい点で、一分子中に複数存在する不飽和結合のラジカル重合反応性が異なる化合物が好ましく、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、メタクリロイル基、およびアクリロイル基からなる群から選ばれる2種以上の異なる不飽和基を有する化合物がより好ましい。
このジエン化合物(a3)は、上記のように、ラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で加えられる。ラジカル重合性単量体(a1)の消費率は、高いほど良好であり、好ましくは95%以上である。80%以下であると、架橋性シリル基が、分子末端ではなく主鎖中にランダムに分布し、架橋点間分子量がばらつくため硬化物の機械特性を損なうことおそれがある。ジエン化合物(a3)は、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が終了して重合体を単離してから、触媒とともに添加して新たに反応させてもよい。
上記ジエン化合物(a3)を反応させることにより不飽和基を有する重合体(a4)が得られる。スキーム2において、重合体(a4)中で(a3)で示される部分に不飽和基が存在する。次いで、この不飽和基を有する重合体(a4)に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)を反応させる。
上記架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)は、一分子中にヒドロシリル基と、上記一般式(1)で示される架橋性シリル基とを有する化合物である。このような架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物としては特に制限はないが、代表的には、一般式(10)で示される化合物が例示される:
(式中、R1、R2、a、b、m、Y1、およびY2は、式(1)で定義されるのと同様である)。
上記R1、R2、Y1、およびY2の具体例としては、各々一般式(1)の説明で例示したものと同様な基が挙げられる。
これら架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)の中でも、特に一般式(11)で示される化合物が入手容易な点から好ましい:
(式中、R2、Y2、およびaは式(1)で定義されるのと同様である)。
一般式(10)または(11)で示される架橋性基を有するヒドロシラン化合物の具体例としては、次の化合物が挙げられる:
HSiCl3、HSi(CH3)Cl2、HSi(CH3)2Cl、HSi(OCH3)3、HSi(CH3)(OCH3)2、HSi(CH3)2OCH3、HSi(OC2H5)3、HSi(CH3)(OC2H5)2、HSi(CH3)2OC2H5、HSi(OC3H7)3、HSi(C2H5)(OCH3)2、HSi(C2H5)2OCH3、HSi(C6H5)(OCH3)2、HSi(C6H5)2(OCH3)、HSi(CH3)(OC(O)CH3)2、HSi(CH3)2O−[Si(CH3)2O]2−Si(CH3)(OCH3)2、HSi(CH3)[O−N=C(CH3)2]2
(上記式中、C6H5はフェニル基を示す)。
上記不飽和基を有する重合体(a4)と、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とを反応させる際には、一般的に当業界で用いられるヒドロシリル化触媒を使用することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては特に限定されないが、反応活性が高い点で遷移金属触媒が好ましい。遷移金属触媒としては、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3、RhCl3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
上記の反応により、重合体(a4)中の(a3)部分の不飽和基に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)が結合して、架橋性シリル基含有重合体(A−2)が得られる。
(製造法3:架橋性シリル基含有重合体(A−3)の製造)
製造法3による架橋性シリル基含有重合体(A)の調製工程は、上記スキーム3および4に例示される。
スキーム3においては、まず、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)の存在下にて、上記ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。この重合反応は、製造法1および2と同様の要領で行われるが、反応を充分に進行させて、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)を得る。次に、得られたチオカルボニルチオ基を有する重合体(6)のチオカルボニルチオ基を処理剤によりメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体(7)を得る。
上記処理剤については特に限定されないが、収率が高い点で塩基、酸、および水素−窒素結合含有化合物からなる群より選択される化合物を採用することが好ましい。これらのうち、塩基、または酸を使用する場合は、水の存在下での加水分解反応により、チオカルボニルチオ基がメルカプト基に変換される。特定の塩基を用いて非水条件で処理すると、チオカルボニルチオ基がメルカプチド基に変換される。上記処理剤のうち水素−窒素結合含有化合物を使用すると、水を存在させる必要がないという点で好ましい。
上記処理剤のうち、塩基としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛などの遷移金属水酸化物;ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムフェニラート、リチウムエチラート、リチウムブチラートなどのアルカリ金属アルコラート;マグネシウムメチラート、マグネシウムエチラートなどのアルカリ土類金属アルコラート;水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物;ハイドロサルファイト、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムブロマイドなどの有機金属試薬など。さらに、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウムなどのアルカリ金属;金属マグネシウム、金属カルシウムなどのアルカリ土類金属も、使用可能である。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらのうち、入手性、価格、および反応性の点で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、水素化ナトリウム、水素化リチウム、金属リチウム、金属ナトリウム、および金属カリウムが好ましく、取り扱いやすさの点で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムメチラート、およびナトリウムエチラートがより好ましい。
上記処理剤のうち、酸としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ホウフッ化水素酸、クロロスルホン酸、ヨウ化水素酸、ヒ酸、ケイフッ化水素酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メチルリン酸、エチルリン酸、n−プロピルリン酸、イソプロピルリン酸、n−ブチルリン酸、ラウリルリン酸、ステアリルリン酸、2−エチルヘキシルリン酸、イソデシルリン酸、ジメチルジチオリン酸、ジエチルジチオリン酸、ジイソプロピルジチオリン酸、フェニルホスホン酸などの有機酸;強酸性イオン交換樹脂、弱酸性イオン交換樹脂などの酸性イオン交換樹脂。さらに、微量の水分と反応して酸性を示す化合物も使用可能である。このような化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸などの酸無水物;ハロゲン化アシル;四塩化チタン、塩化アルミニウム、塩化ケイ素などの金属ハロゲン化物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらのうち、入手性、価格、および反応性の点で、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、塩化アルミニウム、四塩化チタン、クロロスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸が好ましい。
上記処理剤のうち、水素−窒素結合含有化合物としては特に限定されないが、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン系化合物、2級アミン系化合物、アミド系化合物、アミン塩酸塩系化合物、水素−窒素結合含有高分子、およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が挙げられる。
上記水素−窒素含有化合物のうち、1級アミン系化合物の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、アリルアミン、イソプロピルアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、モノエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3−メトキシプロピルアミン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−カルボキシ−4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ジアミノマレオニトリル、シクロヘキシルアミン、ATU(味の素株式会社製)、二酸化チオ尿素、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、n−ヘキシルアミン、モノメチルアミン、モノメチルヒドラジン、3−(ラウリルオキシ)プロピルアミン、アニシジン、アニリン、p−アミノアセトアニリド、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチルエステル、2−アミノ−4−クロロフェノール、2−アミノチアゾール、2−アミノチオフェノール、2−アミノ−5−ニトロベンゾニトリル、アミノフェノール、p−アミノベンズアルデヒド、4−アミノベンゾニトリル、アントラニル酸、3−イソプロポキシアニリン、4−アミノ−5−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンスルホン酸モノナトリウム塩、6−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、キシリジン、m−キシリレンジアミン、p−クレシジン、ジアニシジン、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、1,4−ジアミノアントラキノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ステファニル酸、2,4,5−トリクロロアニリン、o−トリジン、トルイジン、トルイレンジアミン、ニトロアニリン、m−ニトロ−p−トルイジン、フェニルヒドラジン、フェニレンジアミン、フェネチジン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、ベンゾフェノンヒドラゾン、メシジン、2−メチル−4−ニトロアニリン、パラミン、アミノピリジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ベンゾグアナミン、メラミン、o−クロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、2−アミノ−4−クロロ安息香酸、o−クロロ−p−ニトロアニリン、5−クロロ−2−ニトロアニリン、2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン、2−(2−クロロフェニル)エチルアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,4−ジフルオロアニリン、o−フルオロアニリン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど。
上記水素−窒素含有化合物のうち、2級アミン系化合物の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:N−メチルエタノールアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、イミノジ酢酸、3,3’−イミノジプロピオニトリル、ビス(ヒドロキシエチル)アミン、N−エチルエチレンジアミン、エチレンイミン、ジシクロヘキシルアミン、1,1−ジメチルヒドラジン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジメチルアミン、N−エチルアニリン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルアニリン、2−メチル−4−メトキシジフェニルアミン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1,3−ジ(4−ピペリジル)プロパン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、3,5−ジメチルピラゾール、5,5’−ビ−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、(ヒドロキシエチル)ピペラジン、ピペコリン、2−(1−ピペラジニル)ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、2−メチルピペラジン、モルホリンなど。
上記水素−窒素含有化合物のうち、アミド系化合物の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:アジピン酸ジヒドラジド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、カルボヒドラジド、グリシルグリシン、N−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕アクリルアミド、N−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕メタクリルアミド、N,N’−エチレンビス(ステアロアミド)、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、N−(ヒドロキシメチル)ステアロアミド、ダイアセトンアクリルアミド、チオアセトアミド、チオカルボヒドラジド、チオセミカルバジド、チオ尿素、ドデカン二酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、ホルムアミド、メタクリルアミド、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)、N−メチロールアクリルアミド、アセトアニリド、アセト酢酸o−アニシダイド、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸m−キシリダイド、アセト酢酸トルイダイド、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジセミカルバジド、トルエンスルホンアミド、フタルイミド、イソシアヌル酸、3−カルバモイル−2−ピラジンカルボン酸、コハク酸イミド、5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、ヒダントイン、フェニルピラゾリドン、3−メチル−5−ピラゾロン、1−メチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、ブロムワレリル尿素、2,6−ジフルオロベンズアミド、2,2,2−トリフルオロアセトアミドなど。
上記水素−窒素含有化合物のうち、アミン塩酸塩系化合物の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:アセトアミジン塩酸塩、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、モノエチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、モノプロピルアミン塩酸塩、ジプロピルアミン塩酸塩、モノブチルアミン塩酸塩、ジブチルアミン塩酸塩、塩酸セミカルバジド、塩酸グアニジン、塩酸アミノグアニジン、2−クロロエチルアミン塩酸塩、t−ブチルヒドラジンモノ塩酸塩など。
上記水素−窒素含有化合物のうち、水素−窒素結合含有高分子の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:ポリメント(日本触媒株式会社製)、ポリエチレンイミン、アミノポリアクリルアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン46、ポリアミドイミド、ポリアリルアミン、ポリウレタンなど。
上記水素−窒素含有化合物のうち、HALSとしては、特に限定されないが、次の材料が挙げられる:アデカスタブLA−77(旭電化株式会社製)、Chimassorb 944LD(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Tinuvin 144(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、アデカスタブLA−57(旭電化株式会社製)、アデカスタブLA−67(旭電化株式会社製)、アデカスタブLA−68(旭電化株式会社製)、アデカスタブLA−87(旭電化株式会社製)、Goodrite UV−3034(Goodrich社製)など。
上記処理剤のうち、重合体中のチオカルボニルチオ基をメルカプト基またはメルカプチド基に変換する際、精製工程を簡略化できる点で、アンモニア;メチルアミン、エチルアミンなどの、沸点が100℃以下の1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミンなどの沸点が100℃以下の2級アミン;およびHALSを使用することが好ましい。アンモニアおよび沸点が100℃以下のアミン化合物を用いた場合には、過剰のアミン化合物を容易に減圧留去することができ、HALSを用いた場合には、過剰のHALSが安定剤として作用するため除去の必要がなく、さらに、得られる重合体の耐候性、および耐光性が向上する。ただし、アミン化合物が大量に重合体中に残存すると、硬化性組成物の耐熱性が低下するため好ましくない。したがって、容易に重合体から除去できる点で、アンモニア、沸点が100℃以下の1級アミン、および沸点が100℃以下の2級アミンが最も好ましい。
上記処理剤として塩基または酸を使用する場合、使用量は特に限定されないが、取り扱いやすさや反応性の点で、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、0.05〜50重量部がより好ましく、0.1〜30重量部が特に好ましい。上記処理剤として水素−窒素結合含有化合物を使用する場合、使用量は特に限定されないが、メルカプト基またはメルカプチド基の導入率が高い点で、チオカルボニルチオ基1モルに対して水素−窒素結合含有化合物を0.5〜1000モルの割合で用いるのが好ましく、1〜500モルの割合で用いるのがより好ましい。
本発明において、重合体を上記処理剤で処理する際の反応条件に関して特に限定はない。例えば、有機溶媒中に上記チオカルボニルチオ基を有する重合体を溶解させて上記処理剤を加えてもよく、水系分散液、あるいは乳化液に上記処理剤を加えてもよく、あるいは固体または溶融状態の重合体そのものに直接、上記処理剤を加えてもよい。処理温度についても特に限定されないが、反応性の点で−50〜300℃が好ましく、−10〜200℃がより好ましい。
上記処理剤との反応により、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体が得られる。次いで、この重合体と官能性基含有不飽和化合物(a6)とを反応させる。
この官能性基含有不飽和化合物(a6)は、メルカプト基またはメルカプチド基と反応して結合を生成することができる官能基および不飽和基を有する化合物である。このような化合物は、上記基を有する化合物であれば、特に限定されない。上記メルカプト基またはメルカプチド基と反応して結合を生成することができる官能基としては、以下の構造を挙げることができるが、これらに限定されない:ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(エステル結合)、アミド基、エポキシ基、グリシジル基、メルカプト基、チオンエステル結合、チオールエステル結合、ジチオエステル結合、イソシアナト基、イソチオシアナト基、カルボニル基、アルデヒド基、アリールオキシ基、4級アンモニウムイオン、スルホン結合、ハロゲン原子、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合など。
上記官能性基含有不飽和化合物のうち、ヒドロキシル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アリルアルコール、2−ビニルフェノール、4−ビニルフェノール、4−ブテン−1−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、N,N−ジアリルアミノアルコール、N,N−ジアリルエタノールアミン、N−アリルエタノールアミン、2−アリル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリテトラメチレンエーテルグリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、2−アリルシクロヘキサノール、3−アリルシクロヘキサノール、4−アリルシクロヘキサノール、2−アリルフェノール、3−アリルフェノール、4−アリルフェノール、1,4−ジヒドロキシ−5−アリルナフタレン、ビスフェノールAモノアリルエーテル、1−アリル−2−ナフトール、4−アリル−1−ナフトール、4−アリルカテコール、スピログリコールモノアリルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアリルエーテル、フルフリルアルコール、4−アリルフルフリルアルコールなど。
官能性基含有不飽和化合物(a6)のうち、カルボキシル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ウンデシレン酸、マロン酸モノアリル、2−アリル安息香酸、3−アリル安息香酸、4−アリル安息香酸、3−アリルアントラニル酸、4−アリルアントラニル酸、5−アリルアントラニル酸、5−アリルイソフタル酸、4−アリルサリチル酸、2−アリルテレフタル酸、2−アリルチオ安息香酸、3−アリルチオ安息香酸、4−アリルチオ安息香酸、トリメリット酸モノアリル、トリメリット酸ジアリル、2−アリル−1−ナフタレンカルボン酸、1−アリル−2−ナフタレンカルボン酸、6−ヒドロキシ−1−アリル−2−ナフトエ酸、ビニル酢酸、2−アリルフェノキシ酢酸、3−アリルフェノキシ酢酸、4−アリルフェノキシ酢酸、2−アリル−4−ピリジンカルボン酸、4−アリルキノリン−2−カルボン酸、2−アリルニコチン酸など。
官能性基含有不飽和化合物(a6)のうち、アルコキシカルボニル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、2−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、2−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ラウリル、アルキル変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、アクリル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、アクリル酸1,9−ノナンジオール、アクリル酸1,4−ブタンジオール、2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル〕メチルエステル、アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジエンフタレート、3−メトキシアクリル酸メチル、アクリル酸アリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸トリエチレングリコール、2−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸ペンタフルオロエチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、エチレングリコールモノアリルエーテルアセテート、ジアリルカーボネート、2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート塩化物、プロピレングリコールモノアリルエーテルアセテート、ビニル酢酸アリル、ビニル酢酸メチル、無水イタコン酸など。
官能性基含有不飽和化合物(a6)のうち、アミド基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、トリアクリルホルマールなど。
エポキシ基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、3−アリル−1,2−エポキシシクロヘキサンが挙げられるが、これに限定されない。
グリシジル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテルおよびビニルグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
メルカプト基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アリルメルカプタン、4−ブテンチオール、4−メルカプトスチレン、2−アリルチオフェノール、3−アリルチオフェノール、4−アリルチオフェノール、3−アリルチオサリチル酸、4−アリルチオサリチル酸、5−アリルチオサリチル酸、フルフリルメルカプタン、4−アリルフルフリルメルカプタンなど。
チオンエステル結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、メチルチオアクリレート、メチルチオメタクリレート、n−ブチルチオアクリレート、n−ブチルチオメタクリレート、アリルチオベンゾエートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
チオールエステル結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、2−アリルチオ安息香酸メチル、3−アリルチオ安息香酸エチル、4−アリルチオ安息香酸アリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ジチオエステル結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:4−アリルジチオ安息香酸、4−アリルジチオ安息香酸メチル、4−アリルジチオ安息香酸エチル、2,4−ジアリルイミダゾール−5−ジチオカルボン酸、2,4−ジアリルイミダゾール−5−ジチオカルボン酸メチルなど。
イソシアナト基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、3−ブテニルイソシアナート、5−ヘキセニルイソシアナート、4−アリルフェニルイソシアナートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
イソチオシアナト基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、3−ブテニルイソチオシアナート、5−ヘキセニルイソチオシアナートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
カルボニル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アセト酢酸アリル、メチルアリルケトン、エチルアリルケトン、ジアリルケトン、2−アリルシクロヘキサノン、3−アリルシクロヘキサノン、4−アリルシクロヘキサノン、5−アリル−5−メチルヒダントイン、N−アリル−2−ピロリドンなど。
アルデヒド基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アクロレイン、メタクロレイン、アリルグリオキザール、2−アリルベンズアルデヒド、3−アリルベンズアルデヒド、4−アリルベンズアルデヒド、5−アリル−3−アルデヒドピリジン、2−アリル−4−フォルミルイミダゾール、2,4−ジアリル−5−フォルミルイミダゾール、フルフラール、4−アリルフルフラールなど。
アリールオキシ基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、アリルフェニルエーテルが挙げられるが、これに限定されない。
4級アンモニウムイオンと不飽和基とを有する化合物としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられるが、これに限定されない。
スルホン結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、アリルスルホン酸アリルが挙げられるが、これに限定されない。
ハロゲン原子と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アリルクロライド、アリルブロマイド、クロロ炭酸アリルエステル、ジアリルクロレンデート、クロロプレン、メタリルクロライド、塩化ビニル、1−アリル−2−クロロベンゼン、1−アリル−3−クロロベンゼン、1−アリル−4−クロロベンゼン、2−ブロモ−3−ブテン、1−ブロモ−3−ブテンなど。
炭素−炭素二重結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:1,6−ヘキサンジオールジアリルエーテル、イソプレン、ジビニルベンゼン、4−ビニル−α−メチルスチレン、テレフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートなど。
炭素−炭素三重結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、3−ブテン−1−イン、3−メチル−3−ブテン−1−イン、5−ヘキセン−1−インなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの官能性基含有不飽和化合物(a6)のうち、窒素原子および硫黄原子を含んでいない化合物が好ましい。反応により形成される不飽和基を有する重合体(a7)と、後述の架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とのヒドロシリル化反応がスムーズに進行するためである。
上記メルカプト基(またはメルカプチド基)を有する重合体(7)と官能性基含有不飽和化合物(a6)との反応において、触媒や反応条件は任意であり、官能基に応じて適当なものを用いることができる。このようなメルカプト基またはメルカプチド基を利用した反応については、例えば、“COMPREHENSIVE ORGANIC CHEMISTRY;The Synthesis and Reactions of Organic Compounds:Volume3 Sulphur,Selenium,Silicon,Boron,Organometallic Compounds,”D.NEVILLE JONES Ed.,1979,PERGAMON PRESSに記載の方法、および引用されている文献に記載の方法を適用可能である。
上記末端にメルカプト基(またはメルカプチド基)を有する重合体(7)と官能性基含有不飽和化合物(a6)との反応としては、次の具体例が挙げられるが、これらに限定されない:[i]メルカプト基を有する重合体とアリルメルカプタンとを、酸素や酸化鉛などの酸化剤の存在下で反応させることにより、ジスルフィド結合を介して末端にアリル基を有する重合体を合成する方法、[ii]メルカプチド基を有する重合体とアリルクロライドとを、Williamson法により反応させることにより、末端にアリル基を有する重合体を合成する方法、[iii]メルカプト基を有する重合体とアリルイソシアナートとを、触媒非存在下、あるいは有機錫化合物などのウレタン化触媒の存在下で、反応させることにより、末端にウレタン結合を介してアリル基を有する重合体を合成する方法、[iv]メルカプト基を有する重合体をN−アリルマレイミドに付加させることにより、末端にアリル基を有する重合体を合成する方法、[v]メルカプト基を有する重合体を、ブタジエンあるいはイソプレンに付加させることにより、それぞれ末端にアリル基、あるいはメタリル基を有する重合体を合成する方法、[vi]メルカプト基あるいはメルカプチド基を有する重合体を、アクリル酸あるいはメタクリル酸とエステル化反応させることにより、それぞれ末端にアクリロイル基あるいはメタクリロイル基を有する重合体を合成する方法、[vii]メルカプト基あるいはメルカプチド基を有する重合体を、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルとエステル交換反応させることにより、それぞれ末端にアクリロイル基あるいはメタクリロイル基を有する重合体を合成する方法、[viii]メルカプト基を有する重合体とアリルエチルケトンとを酸性条件下反応させることにより、末端にチオケタール結合を介してアリル基を有する重合体を合成する方法、[ix]メルカプト基を有する重合体とアリルアルコールとの脱水縮合により、末端にアリル基を有する重合体を合成する方法、[x]メルカプト基を有する重合体とビニル酢酸とを、エステル化反応させることにより、末端にビニル基を有する重合体を合成する方法、[xi]メルカプト基あるいはメルカプチド基を有する重合体とジアリルカーボネートとをエステル交換反応させることにより、末端にカーボネート結合を介してアリル基を有する重合体を合成する方法、および[xii]上記[xi]の方法で得られる、末端にカーボネート結合を介してアリル基を有する重合体を、パラジウム触媒や塩基の存在下脱炭酸反応させることにより、末端にアリル基を有する重合体を合成する方法。
このように、メルカプト基を有する重合体と、官能性基含有不飽和化合物(a6)との反応により末端に不飽和基を有する重合体(a7;スキーム3ではa7−1で示される)が形成される。次いでこの末端に不飽和基を有する重合体(a7)と、上記架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とを反応させる。この架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)としては、上記製造法2で用いられるのと同様の、ヒドロシリル基と、架橋性シリル基とを有する化合物のいずれもが用いられ、製造法2と同様の遷移金属触媒がヒドロシリル化触媒として用いられる。反応時には、必要に応じて反応系の水分を除去するための脱水剤(例えば、オルトギ酸メチル)が好適に利用される。上記反応により、末端に架橋性シリル基を有する重合体である架橋性シリル基含有重合体(A−3−1)が得られる。この重合体は、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)の形状に応じて、片末端あるいは両末端に架橋性シリル基を有する直鎖状の重合体、あるいは末端に架橋性シリル基を有する星型の重合体であり得る。
スキーム4においては、まず、チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)の存在下にて、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。この重合反応は、スキーム3の場合と同様に行われ、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が得られる。次に、得られたチオカルボニルチオ基を有する重合体(6)のチオカルボニルチオ基を処理剤によりメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体(8)を得る。次いで、この重合体(8)と官能性基含有不飽和化合物(a6)および架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)を順次反応させる。上記反応により、末端に架橋性シリル基を有する重合体である架橋性シリル基含有重合体(A−3−2で示される)が得られる。スキーム4に示すように、チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)を用いた場合には、片末端に架橋性シリル基を有する直鎖状の重合体が形成される。
[架橋性シリル基含有重合体(A)]
上記製造法1〜3の方法により、架橋性シリル基含有重合体(A)が得られる。上記説明から明らかなように、この重合体(A)は、一般式(1)で示す架橋性シリル基を末端に有する。
この架橋性シリル基含有重合体(A)の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた重量平均分子量と数平均分子量との比は特に限定されないが、硬化性組成物とした際の粘度を低く抑えて取り扱いを容易にし、なおかつ得られる硬化物が良好な機械的物性を有するためには、分子量分布は狭いのが好ましい。分子量分布の値としては、通常は1.8未満であり、好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.6以下であり、さらに好ましくは1.5以下である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、ポリスチレンゲルカラムにて行ない、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
上記架橋性シリル基含有重合体(A)の数平均分子量は特に制限はないが、500〜500000の範囲が好ましく、1000〜100000がさらに好ましい。この架橋性シリル基含有重合体(A)としては、硬化性組成物として利用する場合、硬化させた場合の物性が良好であるという点で、両末端に不飽和基を有するテレケリック重合体であることが望ましい。
この架橋性シリル基含有重合体(A)を含む本発明の硬化性組成物は、後述のように、種々の用途に利用される。そのうち、該硬化性組成物がシーリング剤、接着剤、粘着剤など、硬化物にゴム的性質が求められる場合においては、架橋性シリル基含有重合体(A)は、たとえばアクリル酸n−ブチル単独重合体やアクリル酸n−ブチルをラジカル重合性単量体(a1)として用い、これらを主成分とする共重合体であって、ガラス転位温度が0℃以下の重合体であることが好ましく、硬化物の強度が高い点で、これらのうち両末端に架橋性シリル基を有する重合体がより好ましい。
硬化性組成物が、反応性ホットメルト接着剤、反応性熱可塑性エラストマーなどである場合には、架橋性シリル基含有重合体(A)としては、例えばメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチルトリブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリルマルチブロック共重合体など、ハードセグメントとソフトセグメントとを有する当該分野で知られる熱可塑性エラストマーに、架橋性シリル基が導入された重合体が好適に利用されるが、これらに限定されない。このような組成物は、従来の熱可塑性エラストマーの成形性など優れた物性を有しており、かつ成形後または接着後に硬化して、耐熱性、圧縮永久歪に優れた硬化物を形成する。
硬化性組成物が、反応性合成ゴムである場合には、架橋性シリル基含有重合体(A)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ポリアクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体など、当該分野で知られている合成ゴムに、架橋性シリル基を導入した重合体が好適に利用されるが、これらに限定されない。これらの反応性合成ゴムは、従来の合成ゴムに比べて、耐熱性、熱安定性、圧縮永久歪に優れる。
硬化性組成物が反応性熱可塑性樹脂を含む場合には、架橋性シリル基含有重合体(A)としては、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂など、当該分野で一般に用いられる熱可塑性樹脂に架橋性シリル基を導入した重合体が好適に利用されるが、これらに限定されない。これらの反応性熱可塑性樹脂は、成形体に優れるなど従来の熱可塑性樹脂の長所を有し、かつ耐熱性、熱安定性、圧縮永久歪に優れる。
[縮合触媒(B)]
本発明の硬化性組成物に含有される縮合触媒(B)は、水分の存在下で架橋性シリル基を有する化合物同士がカップリングしてシロキサン結合を形成する反応に対して触媒作用を示す化合物である。本発明の硬化性組成物が、シーリング剤、接着剤、粘着剤、塗料、反応性ホットメルト接着剤、反応性熱可塑性樹脂、反応性熱可塑性エラストマーなどの、湿分硬化性組成物である場合に硬化触媒として特に有効に作用する。この縮合触媒(B)しては次の化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されない:テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどの有機スズ化合物;オクチル酸鉛などの鉛化合物;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,3−ジアザビシクロ[5.4.6]ウンデセン−7などのアミン化合物;上記アミン化合物のカルボン酸塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。これらの縮合触媒のうち、活性が高い点で有機スズ化合物が好ましい。本発明の硬化性組成物における、縮合触媒の含有量は特に限定されないが、反応活性の点で架橋性シリル基含有重合体(A)100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲で含有されることが好ましい。
上記添加剤としては、可塑剤、チキソトロピー向上剤、耐熱性向上剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、発泡剤、滑剤、防カビ剤、結晶核剤、加硫促進剤、老化防止剤、加硫剤、スコーチ防止剤、素練促進剤、粘着付与剤、ラテックス凝固剤、加工助剤、無機系充填剤、シランカップリング剤、ゴム系材料などが挙げられる。これら添加剤は、架橋性シリル基含有重合体(A)の種類や組成、および硬化性組成物が使用される用途などに応じて、適宜最適なものが選択される。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、上記架橋性シリル基含有重合体(A)、縮合触媒(B)、および必要に応じて、添加剤、水などを含有する。この組成物は、上記水以外の全ての成分をあらかじめ配合し、密封保存し、施工後に空気中の水分により硬化する1成分型硬化性組成物であってもよく;あるいは、架橋性シリル基含有重合体(A)を主成分とする主剤と、縮合触媒(B)および必要に応じて水などを含む硬化剤とを別にしておき、使用前にこれらを混合する2成分型硬化性組成物であってもよい。
[硬化性組成物と、熱可塑性エラストマーおよび樹脂熱可塑性樹脂のうちの少なくとも1種とを含有する樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、上記硬化性組成物と、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する。
熱可塑性エラストマーとしては以下の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、スチレン−(エチレン・ブチレン)共重合体(SEBS)、スチレン−(エチレン・プロピレン)共重合体(SEPS)などのスチレン系熱可塑性エラストマー(SBC);ポリプロピレン−EPDM共重合体、ポリエチレン−EPDM共重合体などのオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO);カプロラクトン型ウレタン系共重合体、アジピン酸型ウレタン系共重合体、エーテル型ウレタン系共重合体などのウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU);ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE);ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE);1,2−ポリブタジエン(PB);ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(TPVC);アイオノマー系熱可塑性エラストマー;シリコーン系熱可塑性エラストマー;アクリル系熱可塑性エラストマーなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂としては、次の樹脂が挙げられるが、それらに限定されない:サーリン(デュポン社製)、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル社製)などのアイオノマー樹脂;ポリアクリル酸ヒドラジド;イソブチレン−無水マレイン酸共重合体;アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(AAS)、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂(ACS)、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体などのアクリロニトリル含有樹脂;カネカエンプレックス(鐘淵化学工業(株)製)などのABS−塩化ビニル系自己消化性樹脂;カネカMUH(鐘淵化学工業(株)製)などのABS系耐熱樹脂;メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS);エチレン−塩化ビニル共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);変性エチレン−酢酸ビニル共重合体;塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合体;エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH);塩素化ポリ塩化ビニル;塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化オレフィン樹脂;カルボキシビニルポリマー;ケトン樹脂;ノルボルネン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、低融点エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニルなどのふっ素系樹脂;ポリアセタール;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6、ポリアミド46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリアミドイミドなどのポリアミド系樹脂;ポリアリレート(PAR);ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミドなどのポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂;ポリエチレンオキサイドなどのポリエーテル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリカーボネート(PC)などのポリカーボネート系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリスチレン(PS)、ポリパラメチルスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリアミンサルホン;ポリパラビニルフェノール;ポリアリルアミン;ポリビニルアルコール(PVA);ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール(PVB);ポリビニルホルマール(PVF);ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリメチルペンテン;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル系樹脂;各種液晶ポリマーなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
これらの熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂を使用することにより、耐衝撃性、圧縮永久歪、耐熱性、耐候性などに優れる、エラストマー組成物あるいは熱可塑性樹脂組成物が得られる。上記熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂のうち、汎用性が高く、入手性、価格、および得られる組成物の成形加工性が良好である点で、次のエラストマーおよび樹脂が好ましい:スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂。これらのうち、硬化性組成物を配合した場合の成形加工性が良好であり、得られる成形体の難燃性および耐衝撃性に優れる点で、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびアクリル系樹脂が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物に、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂から選択される化合物を配合する場合、その配合の方法としては特に限定されない。例えば有機溶媒にこれらを溶解させることにより配合してもよく、加熱熔融させて配合してもよい。また配合時に水を混合することにより硬化性組成物中の重合体が有する架橋性シリル基を架橋させてもよく、配合後または成形加工後に養生して架橋性シリル基を架橋させてもよい。
上記熱可塑性エラストマーあるいは熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を、成形体用途に用いる場合、その成形方法としては、通常用いられる種々の方法を適用可能である。例えば、押出し成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、射出成形などが挙げられ、目的に応じて適宜成形される。本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体は、パイプ、継手、平板、波板、シート、フィルム、柱、壁材、床材、玩具、グリップ、靴底、スポーツ用品、窓枠、ドア、容器、自動車部品、電気機器筐体、レンズ、光学部品、電気回路基盤、電子部品、ボトル、ボトルキャップ、パッキン、ガスケット、電線被覆などの種々の用途に利用できる。
実施例
以下に本発明の具体的な実施例を示すが、本発明は、下記実施例に限定されない。
本実施例において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定により求めた。GPC測定においてはWaters社製GPCシステムを使用し、カラムはポリスチレンゲルカラム Shodex K−806およびK−805(昭和電工(株)製)を用い、クロロホルムを溶出液とし、ポリスチレン換算で解析した。
NMR測定装置はAMX−400(ブルッカー社製)を使用した。
本実施例において、アイゾット衝撃強度は、ASTM D256−56に記載の方法に準拠し、Vノッチ付き試料を用い、n=5で測定した値の平均値を採用した。ガードナー強度は、ASTM D3029−84−GBに記載の方法に準拠し、700gのおもりを用い、23℃においてn=40で測定した。溶融粘度は、JIS K−7199に記載の方法に準拠し、キャピラリー・レオメーターを使用して、1216s−1のせん断速度で測定した。スパイラルフローは、シリンダー温度250℃、金型温度70℃で、射出圧力608kgf/cm2(59.6MPa)に設定して3mm厚の角型スパイラルを射出成形し、その長さ(mm)で成形流動性を評価した。
(製造例1)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、および還流冷却管を備えた1L反応器に、アクリル酸n−ブチル256.4g、アゾビスイソ酪酸ジメチル278mg、式(12)で示される化合物:
1.50g、およびトルエン286mLを入れ、系内を窒素置換した。反応液を撹拌しながら80℃で4時間加熱した。反応液からトルエンを減圧留去し、Mw=52400、Mn=42300、Mw/Mn=1.24の重合体132gを得た。1H NMR測定の結果、チオカルボニルチオ基がポリアクリル酸n−ブチルの両末端に導入されており、導入率は両末端基準で95%であることを確認した。
こうして得られた、両末端にチオカルボニルチオ基を有するポリアクリル酸n−ブチル132gをトルエン400mLに溶解し、モノエチルアミン30gを添加して10℃で5時間撹拌した。残存するモノエチルアミンおよびトルエンを減圧留去し、得られた重合体の1H NMR測定の結果、メルカプト基を両末端に有するポリアクリル酸n−ブチルであり、メルカプト基の導入率が両末端基準で93%であることを確認した。
こうして得られた両末端にメルカプト基を有するポリアクリル酸n−ブチル126gを、脱水したトルエン500mLに溶解し、空気雰囲気でこれにアリルメルカプタン128mgを添加し、二酸化鉛5.0mgを加えて、80℃で12時間加熱撹拌した。減圧脱揮した後得られた重合体の1H NMRスペクトルより、両末端にジスルフィド結合を介してアリル基を有するポリアクリル酸n−ブチルであることを確認した。アリル基の導入率は、両末端基準で90%であった。
次に、100mLの耐圧ガラス反応容器に、上記重合体50.6g、ジメトキシメチルヒドロシラン1.4mL(11.1mmol)、オルトギ酸メチル(脱水剤)0.4mL(3.7mmol)、および白金触媒を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体の不飽和基1モルに対して、10−4モルとした。これを100℃で3時間加熱した。得られた反応混合物の揮発分を減圧留去することにより、両末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)を架橋性シリル基含有重合体(A)として得た。このポリ(アクリル酸−n−ブチル)1分子当たりに導入されたシリル基は、1H NMR分析より、平均1.7個であった。
(製造例2)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、および還流冷却管を備えた1L反応器に、アクリル酸n−ブチル256.4g、アゾビスイソ酪酸ジメチル139mg、式(12)で示される化合物:
0.75gおよびトルエン300mLを入れ、系内を窒素置換した。反応液を撹拌しながら80℃で6時間加熱した。反応液をサンプリングし、GPC測定よりMw=69600、Mn=52700、Mw/Mn=1.32の重合体生成を確認した。1H NMR測定より、この重合体においては、チオカルボニルチオ基がポリアクリル酸n−ブチルの両末端に導入されており、導入率は両末端基準で92%であることを確認した。
続いて、ジエチルアミン30gを添加して30℃で8時間撹拌した。残存するジエチルアミンおよびトルエンを減圧留去した。得られた重合体の1H NMR測定の結果、該重合体は、メルカプト基を両末端に有するポリアクリル酸n−ブチルであり、メルカプト基の導入率が両末端基準で90%であることを確認した。
こうして得られた、両末端にメルカプト基を有するポリアクリル酸n−ブチル158gを脱水したトルエン500mLに溶解し、空気雰囲気でアリルメルカプタン128mgを添加し、二酸化鉛5.0mgを加えて、80℃で12時間加熱撹拌した。減圧脱揮した後得られた重合体の1H NMRスペクトルより、両末端にジスルフィド結合を介してアリル基を有するポリアクリル酸n−ブチルであることを確認した。アリル基の導入率は、両末端基準で90%であった。
次に、100mLの耐圧ガラス反応容器に、上記重合体63.3g、ジメトキシメチルヒドロシラン1.4mL(11.1mmol)、オルトギ酸メチル0.4mL(3.7mmol)、および白金触媒を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体の不飽和基1モルに対して、10−4モルとした。これを100℃で3時間加熱した。反応混合物の揮発分を減圧留去することにより、両末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)を架橋性シリル基含有重合体(A)として得た。このポリ(アクリル酸−n−ブチル)1分子当たりに導入されたシリル基は、1H NMR分析より、平均1.6個であった。
(製造例3)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、および滴下ろうとを備えた1L反応器に、ドデシルスルホン酸ナトリウム410mgと、蒸留水400gとを入れ、80℃に加熱撹拌しながら窒素置換した。式(13)で示される化合物:
1.08gを、アクリル酸n−ブチル25.6gに溶解させて添加し、80℃で20分間、窒素気流下で撹拌した後、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)432mgを蒸留水25gと共に添加した。80℃で30分撹拌した時点で、滴下ろうとからアクリル酸n−ブチル51.3gとアクリル酸2−メトキシエチル52.1gの混合溶液を、1時間30分かけて滴下した。さらに80℃で4時間撹拌した後、乳化液を室温まで冷却し、塩析、ろ過、洗浄により、両末端にチオカルボニルチオ基を有する、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体を得た。GPC分析および1H NMR分析より、この重合体はMw=62800、Mn=53200、Mw/Mn=1.18であり、チオカルボニルチオ基の導入率は、両末端基準で92%であることを確認した。
このチオカルボニルチオ基を両末端に有する重合体85gを、トルエン100mLに溶解し、モノエチルアミン10gを加えて5℃で10時間撹拌することにより、メルカプト基を両末端に有するアクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体を得た。
こうして得られた、両末端にメルカプト基を有する共重合体79gを脱水したトルエン300mLに溶解し、空気雰囲気でアリルメルカプタン64mgを添加し、二酸化鉛2.5mgを加えて、80℃で12時間加熱撹拌した。減圧脱揮した後得られた重合体の1H NMRスペクトルより、両末端にジスルフィド結合を介してアリル基を有するアクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体であることを確認した。アリル基の導入率は、両末端基準で89%であった。
次に、100mLの耐圧ガラス反応容器に、上記重合体63.3g、ジメトキシメチルヒドロシラン1.4mL(11.1mmol)、オルトギ酸メチル0.4mL(3.7mmol)、および白金触媒を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体の不飽和基1モルに対して、10−4モルとした。これを100℃で3時間加熱した。反応混合物の揮発分を減圧留去することにより、両末端にシリル基を有するアクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体を架橋性シリル基含有重合体(A)として得た。この共重合体1分子当たりに導入されたシリル基は、1H NMR分析より、平均1.7個であった。
(実施例1)
製造例1で合成された、両末端にジメトキシメチルシリル基を有するポリアクリル酸n−ブチル100重量部に対し、ジブチルスズジメトキシドを硬化触媒として1重量部加えて混合し、型枠に流し込んで減圧脱泡したのち、空気中で室温で4日間放置し、ゴム弾性を有する均一なシート状硬化物を得た。シート状硬化物から2(1/3)号型ダンベル試験片を打ちぬき、島津製オートグラフを用いて、引張試験を行った(測定条件:23℃、200mm/min)。破断強度は0.48MPa、破断伸びは27%であった。これとは別に、同じ硬化性組成物を用いて2枚の大理石板(各々15cm×5cm×2cm)を接着し、サンシャインウェザオメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、紫外線照射を1000時間実施した。ひびわれ、剥離などの変形、および変色は認められず、接着はがれもなく、また石材に対する汚染も観察されなかった。
(実施例2)
製造例2で合成された、両末端にジメトキシメチルシリル基を有するポリアクリル酸n−ブチル100重量部に対し、硬化触媒としてジブチルスズビスアセチルアセトナートU−220((株)日東化成製)を1重量部、水を0.5重量部添加し、よく混合した後型枠に流し込み、減圧脱泡した。室温で2日間放置した後50℃で20時間加熱し、ゴム弾性を有する均一なシート状硬化物を得た。シート状硬化物から2(1/3)号型ダンベル試験片を打ちぬき、島津製オートグラフを用いて、引張試験を行った(測定条件:23℃、200mm/min)。破断強度は0.45MPa、破断伸びは33%であった。
(実施例3)
製造例3で合成された、両末端にジメトキシシリル基を有するアクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体を型枠に流し込み、減圧脱泡した。室温で7日間放置した後50℃で10時間加熱し、ゴム弾性を有する均一なシート状硬化物を得た。シート状硬化物から2(1/3)号型ダンベル試験片を打ちぬき、島津製オートグラフを用いて、引張試験を行った(測定条件:23℃、200mm/min)。破断強度は0.40MPa、破断伸びは62%であった。
(実施例4〜6)
塩化ビニル樹脂S1008(鐘淵化学工業(株)製)100重量部、安定剤としてジブチルスズマレエート2.5重量部、滑剤としてヘキストワックスE(ヘキストジャパン(株)製)0.5重量部、加工助剤としてPA−20(鐘淵化学工業(株)製)2.0重量部、顔料として酸化チタン3.0重量部でなる混合物に対し、製造例1、2、または3で得られた架橋性シリル基含有重合体12重量部およびジブチルスズビスアセチルアセトナート0.2重量部を配合し、設定温度180℃で5分間ロール混練し、シート化した。得られたシートを設定温度190℃で熱プレス成形し、厚さ5mmの物性評価用の成形体を作成した。23℃で測定したアイゾット衝撃強度を表1に示す。
(比較例1)
実施例4〜6において、架橋性シリル基含有重合体を配合せずに、同様の成形体を作成し、アイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
表1より、架橋性シリル基含有重合体(A)は樹脂改質剤として機能するため、該重合体を含む本発明の硬化性組成物により得られた成形体は耐衝撃性が高いことがわかる。
(実施例7〜9)
熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂 レキサン141R−111(日本ジーイープラスチックス(株)製)95重量部、ならびに酸化防止剤としてトパノールCA((株)リプレ製)0.3重量部およびアデカスタブPEP−36(旭電化工業(株)製)0.3重量部を準備し、これに製造例1または2で得られた架橋性シリル基含有重合体を5重量部、さらにジブチルスズジアセテート0.1重量部を配合し、ベント付き二軸押出機(32mm、L/D=25.5)を用いて設定温度280℃で押出混練し、ペレット化した。得られたペレットを80℃で15時間乾燥後、設定温度280℃で射出成形し、物性評価用の成形体(厚さ1/4インチ)を作成した。得られた成形体の0℃におけるアイゾット衝撃強度およびペレットの280℃における溶融粘度を表2に示す。さらに、この成形体の目視による透明度評価を行った。その結果を表2に示す。表2の透明度の評価は次のとおりである:◎…透明度が高い、○…透明度が普通である、△…少し不透明である、×…不透明である。
(比較例2)
実施例7〜9において、架橋性シリル基含有重合体を配合せずに同様の成形体を作成し、実施例7〜9と同じ評価を行った。その結果を表2に示す。
表2より、架橋性シリル基含有重合体(A)は樹脂改質剤として機能するため、該重合体を含む本発明の硬化性組成物により得られた成形体は耐衝撃性、成形性、および透明性に優れることがわかる。
産業上の利用可能性
本発明の硬化性組成物は、末端に高い比率で架橋性シリル基を有する、架橋性シリル基含有重合体(A)および縮合触媒(B)を主成分として有するため、硬化性に優れる。この組成物、あるいは該組成物と熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂のうちの少なくとも1種の化合物とを含む樹脂組成物を用いて得られた成形体は、耐油性、耐熱性、耐候性、耐久性、低汚染性、および圧縮永久歪に優れ、取り扱いが容易である。さらに、耐衝撃性および加工性が大幅に改善され、透明性にも優れる。本発明の組成物に含有される架橋性シリル基含有重合体(A)の製造方法は簡便であり、溶液重合のみならず、乳化重合、懸濁重合などの水系重合によっても製造され得、かつ精製工程を簡略化できるため、製造コストを低く抑えることができる。工業的に製造する場合において安全性が高く、低コストでの製造が可能である。
本発明の硬化性組成物、または該組成物を含む樹脂組成物より得られる硬化物は、その物性に応じて種々の用途に適用可能である。例えば、シーリング剤、接着剤、粘着剤、弾性接着剤、粘接着剤、ホットメルト接着剤、反応性ホットメルト接着剤、反応性熱可塑性エラストマー、反応性合成ゴム、反応性熱可塑性樹脂;ホース、シート、フィルム、平板、波板、パイプ、窓枠、靴底、スポーツ用品、繊維、玩具、自動車部品、ガスケット、パッキン、発泡体、人工大理石、ガラス代替樹脂、容器、ボトル、ボトルキャップ、人工頭髪、人工皮膚、柱、壁材、床材、グリップ、ドア、電気機器筐体、レンズ、光学部品、電気回路基盤、電子部品、電線被覆材などの各種成形体;アスファルト改質剤、樹脂改質剤、ゴム改質剤、セメント改質剤などの改質剤;塗料、コーティング剤;電子部品のポッティング剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、架橋性シリル基含有重合体と縮合触媒とを含有し、耐候性に優れた硬化物を与える硬化性組成物、および該組成物を含有する樹脂組成物に関する。
背景技術
末端に架橋性シリル基を有する湿分硬化型液状重合体を有する硬化性組成物は、シーリング剤、接着剤、粘着剤、塗料、ポッティング剤などに利用されている。このような組成物に用いられる重合体としては、これまでにポリシロキサン系重合体、ポリオキシプロピレン系重合体、ポリイソブチレン系重合体などが知られている。しかし、これらの重合体を用いた硬化性組成物は多くの問題点を有している。例えば、ポリシロキサン系重合体を含む組成物は、耐候性、耐熱性、耐寒性などに優れるが、耐油性、低汚染性、塗装性、およびガスバリア性に問題がある。ポリオキシプロピレン系重合体を含む組成物は、汚染性が低くかつ塗装性にも問題はないが、耐候性が不十分である。ポリイソブチレン系重合体を含む組成物は、耐候性、低透湿性、およびガスバリア性に優れるが、粘度が高いため扱いにくく、さらに湿分硬化に時間がかかるなどの問題がある。
耐熱性、耐候性、耐油性、低汚染性などに優れ、かつ取り扱いが容易な湿分硬化性組成物としては、末端に架橋性シリル基を有するアクリル系重合体を主成分とする硬化性組成物が提案されている。
その製造方法としては、例えば、特公平3−14068号公報および特公平5−72427号公報に、架橋性シリル基を有するメルカプタン系連鎖移動剤、架橋性シリル基を有するジスルフィド系連鎖移動剤、または架橋性シリル基を有するアゾ系重合開始剤を使用して、アクリル系単量体をラジカル重合する方法が開示されている。しかしこれらの製造方法により重合を行っても、架橋性シリル基を末端に有する重合体を確実に調製することが困難であり、満足な物性を有する硬化物を得ることはできない。また、分子量分布が大きくなるため、強度や伸びなどの機械的物性が不十分であった。さらに、架橋性シリル基が加水分解されるため、乳化重合や懸濁重合などの水系重合を行うことができず、溶液重合を行う場合においても水分管理を厳密に行う必要があるため、製造工程が煩雑となるという問題があった。
特公平4−55444号公報には、架橋性シリル基を有するヒドロシラン類、または架橋性シリル基を有するテトラハロシラン類を連鎖移動剤として用いる方法が記載されている。しかし、この方法により重合を行っても、架橋性シリル基を末端に有する重合体を高い収率で得ることが困難であり、満足な物性を有する硬化物を得ることはできない。さらに上記と同様に、架橋性シリル基が加水分解されるため、乳化重合、懸濁重合などの水系重合を行うことができず、溶液重合を行う場合においても水分管理を厳密に行う必要があるため、製造工程が煩雑となるという問題があった。
特開平6−211922号公報には、ヒドロキシル基含有ポリスルフィド系連鎖移動剤を、開始剤に対して大過剰に用いることにより、末端にヒドロキシル基を有するアクリル系重合体を製造し、該ヒドロキシル基を架橋性シリル基に変換する方法が開示されている。しかしこの方法においては、連鎖移動剤を大量に使用する必要があり、経済的ではなかった。
これらの問題を解決するために、金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法により、末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体を製造する方法が、特開平11−80571号公報に記載されている。しかしこの原子移動ラジカル重合法においては、金属錯体を触媒として使用するため、重合後に精製する必要があり、工程が煩雑となり生産性が低下するという問題がある。またこの方法においても、乳化重合や懸濁重合などの水系重合を適用することは不可能である。
発明の開示
本発明の目的は、末端に高い比率で架橋性シリル基を有するビニル系重合体を主成分とし、耐油性、耐熱性、耐候性、低汚染性、および圧縮永久歪に優れ、取り扱いが容易な硬化性組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、簡便で精製工程を簡略化できるプロセスであって、水系重合にも適用可能なプロセスにより調製された、上記重合体を含む硬化性組成物を提供することにある。
本発明の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)とを含有し;該架橋性シリル基含有重合体(A)は、(i)チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体の可逆的付加脱離連鎖移動重合反応を開始する工程、および(ii)該重合反応によるラジカル重合性単量体の消費率が80%以上となった段階で、架橋性シリル基含有不飽和化合物を加えて共重合させる工程により製造され;該架橋性シリル基含有不飽和化合物は、ラジカル重合可能な不飽和基と、一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である。
好適な実施態様においては、分子末端に架橋性シリル基を導入できる点で、上記工程(ii)におけるラジカル重合性単量体の消費率は95%以上である。
本発明の他の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)とを含有し;該架橋性シリル基含有重合体(A)は、(I)チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体の可逆的付加脱離連鎖移動重合反応を開始する工程、(II)該重合反応によるラジカル重合性単量体の消費率が80%以上となった段階で、ジエン化合物を加えて共重合させ、不飽和基を有する重合体を得る工程、および(III)該不飽和基を有する重合体に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物を加えてヒドロシリル化反応させる工程により製造され;該架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物は、ヒドロシリル基と、一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である。
好適な実施態様においては、分子末端に架橋性シリル基を導入できる点で、上記工程(II)におけるラジカル重合性単量体の消費率は95%以上である。
本発明のさらに他の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)とを含有し;該架橋性シリル基含有重合体(A)は、〔I〕ラジカル重合性単量体を、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で可逆的付加脱離連鎖移動重合させて、チオカルボニルチオ基を有する重合体を得る工程、〔II〕該チオカルボニルチオ基を有する重合体のチオカルボニルチオ基を、メルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体を得る工程、〔III〕該メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体に、メルカプト基またはメルカプチド基と結合形成可能な官能基と、不飽和基とを有する、官能性基含有不飽和化合物を反応させ、不飽和基を有する重合体を得る工程、および〔IV〕該不飽和基を有する重合体に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物を加えてヒドロシリル化反応させる工程により製造され;該架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物は、ヒドロシリル基と、一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である。
好適な実施態様においては、上記チオカルボニルチオ基をメルカプト基またはメルカプチド基に変換する反応は、塩基、酸、および水素−窒素結合含有化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物でなる処理剤を使用することにより行われる。
好適な実施態様においては、上記処理剤は水素−窒素結合含有化合物であって、該化合物は、アンモニア、沸点100℃以下の1級アミン化合物、および沸点100℃以下の2級アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
好適な実施態様においては、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物は、以下の一般式(2)で示される化合物、および一般式(3)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である:
(式中、R4は炭素数1以上のp価の有機基であり;Z1は水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合には、複数のZ1は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)、
(式中、R5は炭素数1以上の1価の有機基であり;Z2は酸素原子(q=2の場合)、硫黄原子(q=2の場合)、窒素原子(q=3の場合)、または炭素数1以上のq価の有機基であり;qは2以上の整数であり、複数のR5は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)。
好適な実施態様においては、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物は、一般式(4)で示される化合物である:
(式中、R6は炭素数1以上の2価の有機基であり;Z1は水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり;Z1は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)。
好適な実施態様においては、上記ラジカル重合性単量体は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、およびメタクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
好適な実施態様においては、上記架橋性シリル基含有重合体(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、1.8以下である。
好適な実施態様においては、上記架橋性シリル基含有重合体(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により求めた数平均分子量(Mn)は、1000〜100000の範囲である。
本発明の樹脂組成物は、上記硬化性組成物と、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有重合体(A)と縮合触媒(B)とを含有する。以下に、架橋性シリル基含有重合体(A)および縮合触媒(B)について、順に説明する。
[架橋性シリル基含有重合体(A)およびその製造方法の概略]
本発明の硬化性組成物に含有される架橋性シリル基含有重合体(A)が有する架橋性シリル基は、通常、一般式(1)で示される:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である。
上記Y1およびY2で示される加水分解性基としては特に限定されず、通常知られている、加水分解性を有する基であり得る。具体的には、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。加水分解性がマイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基あるいはエトキシ基がさらに好ましい。このような加水分解性基およびヒドロキシル基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+mb、すなわち、加水分解性基の総和は、反応性および入手性の点で、2〜5の範囲が好ましい。上記式(1)におけるmは、反応性および入手性の点で、0〜19とされる。上記式(1)で示される架橋性シリル基としては、次の基が挙げられる:トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジプロポキシメチルシリル基、ジブトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、ジプロポキシエチルシリル基、ジブトキシエチルシリル基などのジアルコキシアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基、プロポキシジメチルシリル基、ブトキシジメチルシリル基、メトキシジエチルシリル基、エトキシジエチルシリル基、プロポキシジエチルシリル基、ブトキシジエチルシリル基などのアルコキシジアルキルシリル基など。
架橋性シリル基含有重合体(A)は、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(本明細書中において、ラジカル重合性単量体(a1)あるいは単量体(a1)と記載する場合がある)をラジカル重合する工程を含むプロセスにより得られる。その具体的な製造方法としては、次の3つの方法が挙げられる:
製造法1:チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(a1)に架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)を共重合させる方法;
製造法2:チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(a1)とジエン化合物(a3)とを共重合後、ヒドロシリル化する方法;および
製造法3:チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(a1)を重合し、得られた重合体のチオカルボニルチオ基をメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、該メルカプト基またはメルカプチド基の反応性を利用して不飽和基を導入し、次いでヒドロシリル化する方法。
これらの方法の概略を以下に説明する。
(製造法1)
製造法1による架橋性シリル基含有重合体(A)の調製工程の典型例をスキーム1に示す。この製造法で得られる架橋性シリル基含有重合体(A)は、本明細書において、架橋性シリル基含有重合体(A−1)あるいは重合体(A−1)と記載される場合がある。
まず、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下にて、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。製造法1においては、後述のチオカルボニルチオ基を有する化合物(2)が好適に用いられる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が生成する(上記スキームにおいて、nおよびmは結合した単量体の数を示す)。次にこのラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階、例えば該単量体(a1)がほぼ実質的に反応を終了した時点で、架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)(後述)を加えて共重合させることにより、架橋性シリル基含有重合体(A−1)が得られる。この重合体(A−1)において、(a2)で示される部分には架橋性シリル基が存在する。ラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)が加えられるため、スキーム1において(a2)で示される部分、つまり分子末端部分に高い割合で架橋性シリル基を有する重合体が得られる。
(製造法2)
製造法2による架橋性シリル基含有重合体(A)の調製工程の典型例をスキーム2に示す。この製造法で得られる架橋性シリル基含有重合体(A)は、本明細書において、架橋性シリル基含有重合体(A−2)あるいは重合体(A−2)と記載される場合がある。
まず、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下にて、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。製造法2においても、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)が好適に用いられる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が生成する(上記スキームにおいて、n、m、およびlは結合した単量体の数を示す)。次にこのラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階、例えば単量体(a1)がほぼ実質的に反応を終了した時点で、ジエン化合物(a3)(後述)を加えて共重合させることにより、不飽和基を有する重合体(a4)を得る。次いで、該不飽和基を有する重合体(a4)に、一分子中にヒドロシリル基と、架橋性シリル基とを有する化合物である、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)(後述)を反応させることにより、該架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)のヒドロシリル基が、不飽和基を有する重合体(a4)の不飽和基に付加し、架橋性シリル基含有重合体(A−2)が形成される。この架橋性シリル基含有重合体(A−2)は、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)に由来する架橋性シリル基を分子末端部分に有する。
(製造法3)
製造法3による架橋性シリル基含有重合体(A)の調製工程の典型例をスキーム3および4に示す。この製造法で得られる架橋性シリル基含有重合体(A)は、本明細書において、架橋性シリル基含有重合体(A−3)あるいは重合体(A−3)と記載される場合がある。
スキーム3においては、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)の存在下にて、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)(上記スキームにおいて、nは結合した単量体の数を示す)が生成する。次に、得られたチオカルボニルチオ基を有する重合体(6)のチオカルボニルチオ基を処理剤(後述)によりメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体(7)を得る(スキーム3では、メルカプト基を有する重合体を示す)。次いで、この重合体(7)と官能性基含有不飽和化合物(a6;後述)とを反応させて、末端に不飽和基を有する重合体(a7;スキーム3ではa7−1で示される)を得る。この末端に不飽和基を有する重合体(a7−1)と、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とを反応させることにより架橋性シリル基含有重合体(A−3;スキーム3ではA−3−1で示される)が得られる。この架橋性シリル基含有重合体(A−3)は、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)に由来する架橋性シリル基を分子末端部分に有する。
スキーム4においては、チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)の存在下にて、同様にラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)(上記スキームにおいて、nは結合した単量体の数を示す)が生成する。次に、得られたチオカルボニルチオ基を有する重合体(6)のチオカルボニルチオ基を処理剤によりメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体(8)を得る。(スキーム4では、メルカプト基を有する重合体を示す)次いで、この重合体(8)と官能性基含有不飽和化合物(a6;後述)とを反応させて、末端に不飽和基を有する重合体(a7;スキーム4ではa7−2で示される)を得る。この末端に不飽和基を有する重合体該重合体(a7−2)と、上記架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とを反応させることにより架橋性シリル基含有重合体(A−3;スキーム4ではA−3−2で示される)が得られる。この架橋性シリル基含有重合体(A)は、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)に由来する架橋性シリル基を分子末端部分に有する。
[チオカルボニルチオ基を有する化合物]
本発明の組成物に含有される架橋性シリル基含有重合体(A)を調製するために用いられるチオカルボニルチオ基を有する化合物は、一般式(2)で示される化合物:
(式中、R4は炭素数1以上のp価の有機基であり、該p価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Z1は水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合には、複数のZ1は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)、および一般式(3)で示される化合物:
(式中、R5は炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Z2は酸素原子(q=2の場合)、硫黄原子(q=2の場合)、窒素原子(q=3の場合)、または炭素数1以上のq価の有機基であり、該q価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;qは2以上の整数であり、複数のR5は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)からなる群より選択される少なくとも1種である。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)において、R4は特に限定されない。重合活性、および入手性の点で、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数2〜20の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数7〜30の置換アラルキル基、2価以上の脂肪族炭化水素基、2価以上の芳香族炭化水素基、芳香環を有する2価以上の脂肪族炭化水素基、脂肪族基を有する2価以上の芳香族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価以上の脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価以上の芳香族置換炭化水素基などが好ましい。化合物の入手性の点で、次の基が好ましい:ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−(2−フェニル)プロピル基、1−アセトキシエチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(2−エトキシカルボニル)プロピル基、2−(2−シアノ)プロピル基、t−ブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−〔2−(p−クロロフェニル)〕プロピル基、ビニルベンジル基、t−ブチルスルフィド基、2−カルボキシルエチル基、カルボキシルメチル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−(2−シアノ)ブチル基、および次の一般式で示される有機基:
(式中、rは0以上の整数を示し、sは1以上の整数を示す)。上記式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
さらにR4は、上記のように、高分子量体であってもよく、その例としては、次の基が挙げられる:ポリエチレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリプロピレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリテトラメチレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリエチレンテレフタレート構造を有する炭化水素基、ポリブチレンテレフタレート構造を有する炭化水素基、ポリジメチルシロキサン構造を有する炭化水素基、ポリカーボネート構造を有する炭化水素基、ポリエチレン構造を有する炭化水素基、ポリプロピレン構造を有する炭化水素基、ポリアクリロニトリル構造を有する炭化水素基など。これらの炭化水素基には酸素原子、窒素原子、および硫黄原子のうちの少なくともひとつが含まれていてもよく、シアノ基、アルコキシ基などが含まれていてもよい。これらの分子量は、通常、500以上である。以下、本発明において高分子量体の基とは、上記のような基を指していう。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)のZ1は特に限定されない。重合活性、および入手性の点で次の基が好ましい:炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数7〜30の置換アラルキル基、炭素数7〜30のN−アルキル−N−アリールアミノ基、炭素数12〜30のN,N−ジアリールアミノ基、炭素数4〜30の窒素含有複素環基、炭素数2〜20のチオアルキル基、炭素数6〜30のチオアリール基、および炭素数1〜20のアルコキシ基。化合物の入手性の点で、次の基が好ましい:フェニル基、メチル基、エチル基、ベンジル基、4−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ジエトキシホスフィニル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、チオメチル基(メチルスルフィド)、フェノキシ基、チオフェニル基(フェニルスルフィド)、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、チオベンジル基(ベンジルスルフィド)、ペンタフルオロフェノキシ基、および次式:
で示される有機基。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)のR5は特に限定されない。重合活性、および入手性の点で、次の基が好ましい:炭素数4〜20のアルキル基、炭素数2〜20の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、および炭素数7〜30の置換アラルキル基。化合物の入手性の点で、次の基が好ましい:ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−(2−フェニル)プロピル基、1−アセトキシエチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(2−エトキシカルボニル)プロピル基、2−(2−シアノ)プロピル基、t−ブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−〔2−(p−クロロフェニル)〕プロピル基、ビニルベンジル基、t−ブチルスルフィド基、2−カルボキシルエチル基、カルボキシルメチル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−(2−シアノ)ブチル基、および次の一般式で示される有機基:
(式中、rは0以上の整数を示し、sは1以上の整数を示す)。上記式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)のZ2は特に限定されない。化合物の重合活性および入手性の点で、次式で示される有機置換基が好ましい:
(式中、rは0以上の整数であり、sは1以上の整数である)。
本発明で使用する、チオカルボニルチオ基を有する化合物の具体例としては、次式で示される化合物が挙げられるが、これらに限定されない:
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Acはアセチル基を示し、rは0以上の整数であり、sは1以上の整数である)。上記各式中のrおよびsは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以下である。
本発明で使用する、チオカルボニルチオ基を有する化合物のうち、多官能性の架橋性シリル基含有重合体を製造できる点で、上記一般式(2)においてpが2以上の化合物が好ましい。特に、硬化性組成物として良好な物性を示す、両末端官能性(テレケリック)架橋性シリル基含有重合体を製造できる点で、一般式(4)で示される化合物:
(式中、R6は炭素数1以上の2価の有機基であり、該2価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Z1は水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく、Z1は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)がより好ましい。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の構造において、R6は特に限定されない。化合物の重合活性および入手性の点で、次式:
で示される基が好ましい。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物(4)の構造において、Z1は特に限定されない。化合物の重合活性および入手性の点で、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の置換アルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数7〜30の置換アラルキル基、炭素数7〜30のN−アルキル−N−アリールアミノ基、炭素数12〜30のN,N−ジアリールアミノ基、炭素数4〜30の窒素含有複素環基、炭素数2〜20のチオアルキル基、炭素数6〜30のチオアリール基、および炭素数1〜20アルコキシ基が好ましい。入手性の点で、次の基が好ましい:フェニル基、メチル基、エチル基、ベンジル基、4−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ジエトキシホスフィニル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、チオメチル基(メチルスルフィド)、フェノキシ基、チオフェニル基(フェニルスルフィド)、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、チオベンジル基(ベンジルスルフィド)、ペンタフルオロフェノキシ基、および次式:
で示される有機置換基。
上記両末端官能性(テレケリック)架橋性シリル基含有重合体を製造可能な、チオカルボニルチオ基を有する化合物(4)としては、重合活性および入手性の点で、次式で示される化合物がより好ましい:
(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す)。
本発明で使用する、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の使用量は特に限定されない。その使用モル数に応じて、得られる重合体の重合度が左右されるため、必要とされる重合体の重合度、あるいは数平均分子量から計算して決定すればよい。一般に、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下でラジカル重合性単量体を重合させた場合には、該チオカルボニルチオ基を有する化合物のモル数と、得られる重合体の重合度については、次式の関係が成立する。
重合度=ラジカル重合性単量体のモル数/チオカルボニルチオ基を有する化合物のモル数
重合体の数平均分子量は、重合度にラジカル重合性単量体の分子量を乗ずることにより計算できる。従って、これを目安として、必要とされる架橋性シリル基含有重合体(A)の性質を考慮し、チオカルボニルチオ基を有する化合物の種類および使用量を決定すればよい。
上記チオカルボニルチオ基を有する化合物は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
[ラジカル重合性単量体(a1)]
本発明で使用されるラジカル重合性単量体(a1)としては、ラジカル重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、以下の化合物を挙げることができる:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2−アミノエチル、2−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸ペンタフルオロエチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、2−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、2−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ラウリル、アルキル変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、アクリル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、アクリル酸1,9−ノナンジオール、アクリル酸1,4−ブタンジオール、2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル〕メチルエステル、アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、3−メトキシアクリル酸メチル、アクリル酸アリルなどのアクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどの芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリフェニルシラン、ビニルトリエチルシランなどのケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ケイ皮酸ビニル、ジビニルカーボネート、ビニルエチルカーボネート、ビニルフェニルカーボネートなどのビニルエステル化合物;酢酸アリル、プロピオン酸アリル、ピバリン酸アリル、安息香酸アリル、ケイ皮酸アリル、ジアリルカーボネート、アリルメチルカーボネート、アリルフェニルカーボネートなどのアリルエステル化合物;ビニルフェニルエーテル、ビニルエチルエーテル、ジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル、アリルエチルエーテル、ジアリルエーテル、ビニルアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,4−ブタンジオールモノアリルエーテル、1,4−ブタンジオールジアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和基含有エーテル化合物;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物;アクリル酸、メタクリル酸;アクロレイン、メタクロレイン;1,6−ヘプタジエン、ジアリルアンモニウム塩などの環化重合可能な単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。複数のラジカル重合性単量体(a1)を用いて共重合体とする場合には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、これらの組み合わせなど、その形態については限定されない。
本発明で使用するラジカル重合性単量体(a1)のうち、入手性、および価格の点で、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルエーテル化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、およびメタクリル酸が好ましく;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、およびメタクリルアミドがより好ましく;得られる重合体が耐油性、耐熱性、耐候性、および低汚染性に優れる点でアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルがさらに好ましく;柔軟な硬化物が得られる点で形成される重合体のガラス転位温度が0℃以下となるようなメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルが特に好ましい。重合体のガラス転位温度が0℃以下となるようなアクリル酸エステルとしては、入手性および価格の点でアクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸t−ブチルが好ましい。
[重合反応に使用される溶剤、重合開始剤、および重合方法]
本発明の組成物に含有される架橋性シリル基含有重合体(A)を調製する製造法1〜3のいずれにおいても、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体(a1)のラジカル重合反応が行なわれる。このラジカル重合反応の形式については特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、微細懸濁重合など、当該分野で一般に用いられる方法が適用可能である。これらのうち、コストおよび安全性の点で、乳化重合、懸濁重合、および微細懸濁重合のような水系重合が好ましい。ただし、重合後の変性反応を有機溶媒中あるいは無溶媒で行う場合には、工程を連続的に実施できる点で溶液重合または塊状重合が好ましい。
上記ラジカル重合性単量体(a1)を溶液重合させる場合に使用される溶剤としては、次の溶剤が挙げられるが、それらに限定されない:ヘプタン、ヘキサン、オクタン、ミネラルスピリットなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、ベンゼン、スワゾール310(コスモ石油社製)、スワゾール1000(コスモ石油社製)、スワゾール1500(コスモ石油社製)などの芳香族石油系溶剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。使用する溶剤の種類や量については、使用する単量体の溶解度、得られる重合体の溶解度、十分な反応速度を達成するために適切な重合開始剤濃度や単量体濃度、チオカルボニルチオ基を有する化合物の溶解度、人体や環境に与える影響、入手性、価格などを考慮して決定すればよく、特に限定されない。入手性および価格の点で、工業的にはトルエン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、およびジメチルホルムアミドが好ましい。
上記ラジカル重合性単量体(a1)を乳化重合または微細懸濁重合させる場合、使用される乳化剤としては、次の乳化剤が挙げられるが、それらに限定されない:脂肪酸石けん、ロジン酸石けん、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム(例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウム)、アルキル硫酸アンモニウム、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどの非イオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤など。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。必要に応じて、アルキルアミン塩酸塩などのカチオン系界面活性剤を使用してもよく、後述する懸濁重合の分散剤を添加してもよい。乳化剤の使用量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0.1〜20重量部である。
上記ラジカル重合性単量体(a1)を懸濁重合させる場合、使用される分散剤としては、通常用いられる分散剤のいずれをも利用することが可能である。例えば、次の分散剤が挙げられるが、それらに限定されない:部分けん化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリアルキレンオキサイド、アニオン性界面活性剤と分散助剤の組合せなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。必要に応じて、上記乳化重合の乳化剤を併用してもよい。分散剤の使用量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0.1〜20重量部である。
上記ラジカル重合性単量体(a1)のラジカル重合を行う際に使用される重合開始剤、あるいは重合開始方法については特に限定されず、通常用いられる重合開始剤、あるいは重合開始方法を用いることができる。例えば、重合開始剤として次の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、1,4−ビス〔(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル〕ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス(3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、O−t−ブチル−O−イソプロピルパーオキシカーボネート、コハク酸パーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)などのアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物;スチレンなどのように熱的にラジカル種を生成するビニル系単量体;ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルフォスフィンオキシド、フォトレドックス系化合物などのように光によりラジカル種を発生する化合物;亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄などを還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどを酸化剤とするレドックス型重合開始剤など。これら重合開始剤は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。この他に、電子線照射、エックス線照射、放射線照射などによる重合開始系を利用することも可能である。このような重合開始方法に関しては、Moad and Solomon“The Chemistry of Free Radical Polymerization”,Pergamon,London,1995,53−95ページに記載されている方法を使用可能である。
本発明の実施において使用する重合開始剤の使用量については特に限定されないが、分子量分布の小さい重合体を得られる点で、重合中に発生するラジカル種の量が、チオカルボニルチオ基を有する化合物のチオカルボニルチオ基1モルに対して1モル以下が好ましく、0.5モル以下がより好ましい。また、重合中に発生するラジカル種の量を制御するために、重合開始剤の使用量と合わせて、熱的解離する重合開始剤の場合には温度を調節すること、光や電子線などによりラジカルを発生する重合開始系の場合には照射するエネルギー量を調節することなどが好ましい。重合を制御しやすい点で、熱的解離する重合開始剤を用い、その半減期が0.5〜50時間となるような温度で重合することが好ましい。重合温度は、さらに好ましくは、半減期が1〜20時間となるような温度、より好ましくは、半減期が5〜15時間となるような温度である。
[架橋性シリル基含有重合体(A)の製造]
架橋性シリル基含有重合体(A)は、上述のように製造法1、2、または3により製造される。これらについて、以下に詳述する。
(製造法1:架橋性シリル基含有重合体(A−1)の製造)
製造法1によれば、上記スキーム1に示されるように、まず、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下にて、上記ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。製造法1においては、チオカルボニルチオ基を有する化合物として、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)が好適に用いられる。チオカルボニルチオ基を有する化合物は、重合中に反応系内に存在していればよく、その添加方法は限定されないが、生成する重合体の分子量や分子量分布を制御でき、架橋性シリル基の導入率を高くできる点で、重合開始前に反応系内に溶解、または分散させておくことが好ましい。
例えば、溶液重合の場合には、溶媒またはラジカル重合性単量体(a1)に溶解させて添加する方法が好ましく、乳化重合、懸濁重合などの水系重合の場合には、少量の溶媒に溶解させて添加したり、ラジカル重合性単量体(a1)に溶解させて添加したり、ホモジナイザーなどで予備撹拌して分散させたりする方法が好ましい。
この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が生成する。次にこのラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)を共重合させる。
上記架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)は、不飽和基と、上記一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを含有する化合物である。
上記架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)としては特に制限はないが、その具体例としては、一般式(9)で示される化合物が挙げられる:
(式中、R1、R2、Y1、Y2、a、b、およびmは式(1)で示されるのと同様であり;R8は水素またはメチル基;R9は−C(O)O−、またはo−、m−、あるいはp−フェニレン基;そしてR10は、直接結合または炭素数1〜20の2価の有機基であり、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい)。
上記架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)において、R9が−C(O)O−(エステル基)の場合、該化合物は(メタ)アクリレート系の化合物であり、R9がフェニレン基である場合はスチレン系の化合物である。R10としては、メチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、o−,m−,p−フェニレン基、ベンジル基等のアラルキル基、−CH2CH2−O−CH2−、および−O−CH2−等のエーテル結合を含むアルキレン基が例示される。
上記Y1およびY2は、上述のように各々ヒドロキシル基または加水分解性基である。この加水分解性基としては特に限定されず、上記架橋性シリル基含有重合体(A)の構成の項で記載した加水分解性基のいずれをも好適に用いることができる。それらの中でも、加水分解性がマイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシ基が特に好ましい。基Y2は、分子末端のケイ素原子に1〜3個の範囲で存在し、基Y1は、非末端部分のケイ素原子に1または2個の範囲で存在する。基Y1およびY2の総和(a+mb)は、1〜5の範囲が好ましい。基Y1およびY2のうちの少なくとも一方が上記化合物(9)中に2個以上結合するときは、それらは同一であっても、異なっていてもよい。架橋性ケイ素化合物を構成するケイ素原子(基Y1またはY2が結合しているケイ素原子)は、上記(9)で示される化合物中に1個あるいは2個以上存在するのが適切である。
これらの中でも、加水分解の反応性がマイルドで取扱いやすく、かつ入手が容易であるという点で、次の化合物が好適である:H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(OCH3)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(OC2H5)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(OC3H7)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OC3H7)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(OCH3)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(OC2H5)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(OC3H7)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n1−Si(CH3)(OC3H7)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OCH3)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OC2H5)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OC3H7)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC3H7)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OCH3)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OC2H5)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(OC3H7)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n2−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC3H7)2、o−、m−、またはp−H2C=CH−C6H4−(CH2)n1−Si(OCH3)3、o−、m−、またはp−H2C=CH−C6H4−(CH2)n1−Si(CH3)(OCH3)2、o−、m−、またはp−H2C=CH−C6H4−O−(CH2)n1−Si(OCH3)3、o−、m−、またはp−H2C=CH−C6H4−O−(CH2)n1−Si(CH3)(OCH3)2
(上記の各式中、C6H4はフェニレン基であり、n1は2〜20の整数、n2は1〜20の整数、そしてmは2〜20の整数である)。これらのうちでも架橋の容易性という観点からは、メトキシ基あるいはエトキシ基が結合した加水分解性シリル基を有する化合物がより好ましい。
この架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)は、上記のように、ラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で加えられる。ラジカル重合性単量体(a1)の消費率は、高いほど良好であり、好ましくは95%以上である。80%以下であると、架橋性シリル基が、分子末端ではなく主鎖中にランダムに分布し、架橋点間分子量がばらつくため硬化物の機械特性を損なうおそれがある。架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)は、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が終了して重合体を単離してから、触媒とともに添加して新たに反応させてもよい。
架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)はラジカル重合性単量体(a1)から形成される重合体の全末端の数に対し、等量添加すれば原理的にすべての末端に架橋性シリル基が導入されるが、全末端に架橋性基を確実に導入するためには、過剰量、具体的には、末端の数に対し1〜10倍用いるのがよい。10倍を超える量を用いると重合体の末端に高密度で架橋性基が導入されることになり、硬化物の物性上および貯蔵安定性の点で好ましくない。
上記反応により、架橋性シリル基含有重合体(A−1)が得られる。この重合体は、架橋性シリル基含有不飽和化合物(a2)由来の架橋性シリル基を分子末端部分に高い割合で有する。
(製造法2:架橋性シリル基含有重合体(A−2)の製造)
製造法2によれば、上記スキーム2に示されるように、まず、上記チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下にて、上記ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。製造法2においても、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)が好適に用いられ、同様に反応が行われる。この重合反応により、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が生成する。次にこのラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で、ジエン化合物(a3)を反応させる。
上記ジエン化合物(a3)は、分子中に不飽和基を2つ以上有する化合物であり、少なくとも一つの不飽和基はラジカル重合性である。本発明のジエン化合物は、3つ以上の不飽和基を有していてもよい。このような不飽和基は、例えば一般式(5)で示される基である:
(式中、R7は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を示し、エーテル結合またはエステル結合を含んでいてもよい)。
このようなジエン化合物(a3)としては、例えば以下の化合物が挙げられる:ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,2−ジビニルシクロヘキサン、1−アリル−4−ビニルシクロヘキサン、1,4−ジアリルシクロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン、1,2−ジビニルベンゼン、4−ビニル−α−メチルスチレン、4−アリルスチレン、4−アリル−α−メチルスチレン、1,4−ジアリルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,4−ジビニルナフタレン、9,10−ジビニルアントラセン、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、アリルビニルエーテル、ジビニルカーボネート、ジアリルカーボネート、ビスフェノールA−ジアリルエーテル、ビスフェノールA−トリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、ジメトキシジビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、1,5−ジビニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸イソプロペニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸4−ビニルフェニル、ビスフェノールAジメタクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジメタクリレート、ジメタクリル酸1,9−ノナンジオール、ジメタクリル酸1,4−ブタンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、メタクリル酸N−ビニルアミノエチル、メタクリル酸N−アリルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジビニルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジアリルアミノエチル、アクリル酸ビニル、アクリル酸イソプロペニル、アクリル酸アリル、アクリル酸4−ビニルフェニル、ビスフェノールAジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、ジアクリル酸1,9−ノナンジオール、ジアクリル酸1,4−ブタンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸トリエチレングリコール、ジアクリル酸テトラエチレングリコール、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸N−ビニルアミノエチル、アクリル酸N−アリルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジビニルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジアリルアミノエチル、ポリエチレンオキサイドジアリルエーテル、ポリプロピレンオキサイドジアリルエーテル、ポリエチレンオキサイドジビニルエーテル、ポリプロピレンオキサイドジビニルエーテル、ポリエチレンオキサイドジイソプロペニルエーテル、ポリプロピレンオキサイドジイソプロペニルエーテル、ポリカーボネートジビニルエーテル、ポリカーボネートジアリルエーテル、ポリブチレンテレフタレートジビニルエーテル、ポリブチレンテレフタレートジアリルエーテル、ポリエチレンテレフタレートジビニルエーテル、ポリエチレンテレフタレートジアリルエーテルなど。これらのジエン化合物(a3)は単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらの化合物のうち、重合体同士の架橋が起こりにくい点で、一分子中に複数存在する不飽和結合のラジカル重合反応性が異なる化合物が好ましく、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、メタクリロイル基、およびアクリロイル基からなる群から選ばれる2種以上の異なる不飽和基を有する化合物がより好ましい。
このジエン化合物(a3)は、上記のように、ラジカル重合性単量体(a1)の消費率が80%以上の段階で加えられる。ラジカル重合性単量体(a1)の消費率は、高いほど良好であり、好ましくは95%以上である。80%以下であると、架橋性シリル基が、分子末端ではなく主鎖中にランダムに分布し、架橋点間分子量がばらつくため硬化物の機械特性を損なうことおそれがある。ジエン化合物(a3)は、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が終了して重合体を単離してから、触媒とともに添加して新たに反応させてもよい。
上記ジエン化合物(a3)を反応させることにより不飽和基を有する重合体(a4)が得られる。スキーム2において、重合体(a4)中で(a3)で示される部分に不飽和基が存在する。次いで、この不飽和基を有する重合体(a4)に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)を反応させる。
上記架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)は、一分子中にヒドロシリル基と、上記一般式(1)で示される架橋性シリル基とを有する化合物である。このような架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物としては特に制限はないが、代表的には、一般式(10)で示される化合物が例示される:
(式中、R1、R2、a、b、m、Y1、およびY2は、式(1)で定義されるのと同様である)。
上記R1、R2、Y1、およびY2の具体例としては、各々一般式(1)の説明で例示したものと同様な基が挙げられる。
これら架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)の中でも、特に一般式(11)で示される化合物が入手容易な点から好ましい:
(式中、R2、Y2、およびaは式(1)で定義されるのと同様である)。
一般式(10)または(11)で示される架橋性基を有するヒドロシラン化合物の具体例としては、次の化合物が挙げられる:
HSiCl3、HSi(CH3)Cl2、HSi(CH3)2Cl、HSi(OCH3)3、HSi(CH3)(OCH3)2、HSi(CH3)2OCH3、HSi(OC2H5)3、HSi(CH3)(OC2H5)2、HSi(CH3)2OC2H5、HSi(OC3H7)3、HSi(C2H5)(OCH3)2、HSi(C2H5)2OCH3、HSi(C6H5)(OCH3)2、HSi(C6H5)2(OCH3)、HSi(CH3)(OC(O)CH3)2、HSi(CH3)2O−[Si(CH3)2O]2−Si(CH3)(OCH3)2、HSi(CH3)[O−N=C(CH3)2]2
(上記式中、C6H5はフェニル基を示す)。
上記不飽和基を有する重合体(a4)と、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とを反応させる際には、一般的に当業界で用いられるヒドロシリル化触媒を使用することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては特に限定されないが、反応活性が高い点で遷移金属触媒が好ましい。遷移金属触媒としては、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3、RhCl3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
上記の反応により、重合体(a4)中の(a3)部分の不飽和基に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)が結合して、架橋性シリル基含有重合体(A−2)が得られる。
(製造法3:架橋性シリル基含有重合体(A−3)の製造)
製造法3による架橋性シリル基含有重合体(A)の調製工程は、上記スキーム3および4に例示される。
スキーム3においては、まず、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)の存在下にて、上記ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。この重合反応は、製造法1および2と同様の要領で行われるが、反応を充分に進行させて、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)を得る。次に、得られたチオカルボニルチオ基を有する重合体(6)のチオカルボニルチオ基を処理剤によりメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体(7)を得る。
上記処理剤については特に限定されないが、収率が高い点で塩基、酸、および水素−窒素結合含有化合物からなる群より選択される化合物を採用することが好ましい。これらのうち、塩基、または酸を使用する場合は、水の存在下での加水分解反応により、チオカルボニルチオ基がメルカプト基に変換される。特定の塩基を用いて非水条件で処理すると、チオカルボニルチオ基がメルカプチド基に変換される。上記処理剤のうち水素−窒素結合含有化合物を使用すると、水を存在させる必要がないという点で好ましい。
上記処理剤のうち、塩基としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛などの遷移金属水酸化物;ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムフェニラート、リチウムエチラート、リチウムブチラートなどのアルカリ金属アルコラート;マグネシウムメチラート、マグネシウムエチラートなどのアルカリ土類金属アルコラート;水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物;ハイドロサルファイト、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムブロマイドなどの有機金属試薬など。さらに、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウムなどのアルカリ金属;金属マグネシウム、金属カルシウムなどのアルカリ土類金属も、使用可能である。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらのうち、入手性、価格、および反応性の点で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、水素化ナトリウム、水素化リチウム、金属リチウム、金属ナトリウム、および金属カリウムが好ましく、取り扱いやすさの点で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムメチラート、およびナトリウムエチラートがより好ましい。
上記処理剤のうち、酸としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ホウフッ化水素酸、クロロスルホン酸、ヨウ化水素酸、ヒ酸、ケイフッ化水素酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メチルリン酸、エチルリン酸、n−プロピルリン酸、イソプロピルリン酸、n−ブチルリン酸、ラウリルリン酸、ステアリルリン酸、2−エチルヘキシルリン酸、イソデシルリン酸、ジメチルジチオリン酸、ジエチルジチオリン酸、ジイソプロピルジチオリン酸、フェニルホスホン酸などの有機酸;強酸性イオン交換樹脂、弱酸性イオン交換樹脂などの酸性イオン交換樹脂。さらに、微量の水分と反応して酸性を示す化合物も使用可能である。このような化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸などの酸無水物;ハロゲン化アシル;四塩化チタン、塩化アルミニウム、塩化ケイ素などの金属ハロゲン化物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。これらのうち、入手性、価格、および反応性の点で、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、塩化アルミニウム、四塩化チタン、クロロスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸が好ましい。
上記処理剤のうち、水素−窒素結合含有化合物としては特に限定されないが、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン系化合物、2級アミン系化合物、アミド系化合物、アミン塩酸塩系化合物、水素−窒素結合含有高分子、およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が挙げられる。
上記水素−窒素含有化合物のうち、1級アミン系化合物の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、アリルアミン、イソプロピルアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、モノエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3−メトキシプロピルアミン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−カルボキシ−4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ジアミノマレオニトリル、シクロヘキシルアミン、ATU(味の素株式会社製)、二酸化チオ尿素、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、n−ヘキシルアミン、モノメチルアミン、モノメチルヒドラジン、3−(ラウリルオキシ)プロピルアミン、アニシジン、アニリン、p−アミノアセトアニリド、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチルエステル、2−アミノ−4−クロロフェノール、2−アミノチアゾール、2−アミノチオフェノール、2−アミノ−5−ニトロベンゾニトリル、アミノフェノール、p−アミノベンズアルデヒド、4−アミノベンゾニトリル、アントラニル酸、3−イソプロポキシアニリン、4−アミノ−5−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンスルホン酸モノナトリウム塩、6−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、キシリジン、m−キシリレンジアミン、p−クレシジン、ジアニシジン、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、1,4−ジアミノアントラキノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ステファニル酸、2,4,5−トリクロロアニリン、o−トリジン、トルイジン、トルイレンジアミン、ニトロアニリン、m−ニトロ−p−トルイジン、フェニルヒドラジン、フェニレンジアミン、フェネチジン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、ベンゾフェノンヒドラゾン、メシジン、2−メチル−4−ニトロアニリン、パラミン、アミノピリジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ベンゾグアナミン、メラミン、o−クロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、2−アミノ−4−クロロ安息香酸、o−クロロ−p−ニトロアニリン、5−クロロ−2−ニトロアニリン、2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン、2−(2−クロロフェニル)エチルアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,4−ジフルオロアニリン、o−フルオロアニリン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど。
上記水素−窒素含有化合物のうち、2級アミン系化合物の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:N−メチルエタノールアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、イミノジ酢酸、3,3’−イミノジプロピオニトリル、ビス(ヒドロキシエチル)アミン、N−エチルエチレンジアミン、エチレンイミン、ジシクロヘキシルアミン、1,1−ジメチルヒドラジン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジメチルアミン、N−エチルアニリン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルアニリン、2−メチル−4−メトキシジフェニルアミン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1,3−ジ(4−ピペリジル)プロパン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、3,5−ジメチルピラゾール、5,5’−ビ−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、(ヒドロキシエチル)ピペラジン、ピペコリン、2−(1−ピペラジニル)ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、2−メチルピペラジン、モルホリンなど。
上記水素−窒素含有化合物のうち、アミド系化合物の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:アジピン酸ジヒドラジド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、カルボヒドラジド、グリシルグリシン、N−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕アクリルアミド、N−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕メタクリルアミド、N,N’−エチレンビス(ステアロアミド)、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、N−(ヒドロキシメチル)ステアロアミド、ダイアセトンアクリルアミド、チオアセトアミド、チオカルボヒドラジド、チオセミカルバジド、チオ尿素、ドデカン二酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、ホルムアミド、メタクリルアミド、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)、N−メチロールアクリルアミド、アセトアニリド、アセト酢酸o−アニシダイド、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸m−キシリダイド、アセト酢酸トルイダイド、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジセミカルバジド、トルエンスルホンアミド、フタルイミド、イソシアヌル酸、3−カルバモイル−2−ピラジンカルボン酸、コハク酸イミド、5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、ヒダントイン、フェニルピラゾリドン、3−メチル−5−ピラゾロン、1−メチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、ブロムワレリル尿素、2,6−ジフルオロベンズアミド、2,2,2−トリフルオロアセトアミドなど。
上記水素−窒素含有化合物のうち、アミン塩酸塩系化合物の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:アセトアミジン塩酸塩、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、モノエチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、モノプロピルアミン塩酸塩、ジプロピルアミン塩酸塩、モノブチルアミン塩酸塩、ジブチルアミン塩酸塩、塩酸セミカルバジド、塩酸グアニジン、塩酸アミノグアニジン、2−クロロエチルアミン塩酸塩、t−ブチルヒドラジンモノ塩酸塩など。
上記水素−窒素含有化合物のうち、水素−窒素結合含有高分子の具体例としては、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:ポリメント(日本触媒株式会社製)、ポリエチレンイミン、アミノポリアクリルアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン46、ポリアミドイミド、ポリアリルアミン、ポリウレタンなど。
上記水素−窒素含有化合物のうち、HALSとしては、特に限定されないが、次の材料が挙げられる:アデカスタブLA−77(旭電化株式会社製)、Chimassorb 944LD(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Tinuvin 144(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、アデカスタブLA−57(旭電化株式会社製)、アデカスタブLA−67(旭電化株式会社製)、アデカスタブLA−68(旭電化株式会社製)、アデカスタブLA−87(旭電化株式会社製)、Goodrite UV−3034(Goodrich社製)など。
上記処理剤のうち、重合体中のチオカルボニルチオ基をメルカプト基またはメルカプチド基に変換する際、精製工程を簡略化できる点で、アンモニア;メチルアミン、エチルアミンなどの、沸点が100℃以下の1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミンなどの沸点が100℃以下の2級アミン;およびHALSを使用することが好ましい。アンモニアおよび沸点が100℃以下のアミン化合物を用いた場合には、過剰のアミン化合物を容易に減圧留去することができ、HALSを用いた場合には、過剰のHALSが安定剤として作用するため除去の必要がなく、さらに、得られる重合体の耐候性、および耐光性が向上する。ただし、アミン化合物が大量に重合体中に残存すると、硬化性組成物の耐熱性が低下するため好ましくない。したがって、容易に重合体から除去できる点で、アンモニア、沸点が100℃以下の1級アミン、および沸点が100℃以下の2級アミンが最も好ましい。
上記処理剤として塩基または酸を使用する場合、使用量は特に限定されないが、取り扱いやすさや反応性の点で、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、0.05〜50重量部がより好ましく、0.1〜30重量部が特に好ましい。上記処理剤として水素−窒素結合含有化合物を使用する場合、使用量は特に限定されないが、メルカプト基またはメルカプチド基の導入率が高い点で、チオカルボニルチオ基1モルに対して水素−窒素結合含有化合物を0.5〜1000モルの割合で用いるのが好ましく、1〜500モルの割合で用いるのがより好ましい。
本発明において、重合体を上記処理剤で処理する際の反応条件に関して特に限定はない。例えば、有機溶媒中に上記チオカルボニルチオ基を有する重合体を溶解させて上記処理剤を加えてもよく、水系分散液、あるいは乳化液に上記処理剤を加えてもよく、あるいは固体または溶融状態の重合体そのものに直接、上記処理剤を加えてもよい。処理温度についても特に限定されないが、反応性の点で−50〜300℃が好ましく、−10〜200℃がより好ましい。
上記処理剤との反応により、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体が得られる。次いで、この重合体と官能性基含有不飽和化合物(a6)とを反応させる。
この官能性基含有不飽和化合物(a6)は、メルカプト基またはメルカプチド基と反応して結合を生成することができる官能基および不飽和基を有する化合物である。このような化合物は、上記基を有する化合物であれば、特に限定されない。上記メルカプト基またはメルカプチド基と反応して結合を生成することができる官能基としては、以下の構造を挙げることができるが、これらに限定されない:ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(エステル結合)、アミド基、エポキシ基、グリシジル基、メルカプト基、チオンエステル結合、チオールエステル結合、ジチオエステル結合、イソシアナト基、イソチオシアナト基、カルボニル基、アルデヒド基、アリールオキシ基、4級アンモニウムイオン、スルホン結合、ハロゲン原子、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合など。
上記官能性基含有不飽和化合物のうち、ヒドロキシル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アリルアルコール、2−ビニルフェノール、4−ビニルフェノール、4−ブテン−1−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、N,N−ジアリルアミノアルコール、N,N−ジアリルエタノールアミン、N−アリルエタノールアミン、2−アリル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリテトラメチレンエーテルグリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、2−アリルシクロヘキサノール、3−アリルシクロヘキサノール、4−アリルシクロヘキサノール、2−アリルフェノール、3−アリルフェノール、4−アリルフェノール、1,4−ジヒドロキシ−5−アリルナフタレン、ビスフェノールAモノアリルエーテル、1−アリル−2−ナフトール、4−アリル−1−ナフトール、4−アリルカテコール、スピログリコールモノアリルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアリルエーテル、フルフリルアルコール、4−アリルフルフリルアルコールなど。
官能性基含有不飽和化合物(a6)のうち、カルボキシル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ウンデシレン酸、マロン酸モノアリル、2−アリル安息香酸、3−アリル安息香酸、4−アリル安息香酸、3−アリルアントラニル酸、4−アリルアントラニル酸、5−アリルアントラニル酸、5−アリルイソフタル酸、4−アリルサリチル酸、2−アリルテレフタル酸、2−アリルチオ安息香酸、3−アリルチオ安息香酸、4−アリルチオ安息香酸、トリメリット酸モノアリル、トリメリット酸ジアリル、2−アリル−1−ナフタレンカルボン酸、1−アリル−2−ナフタレンカルボン酸、6−ヒドロキシ−1−アリル−2−ナフトエ酸、ビニル酢酸、2−アリルフェノキシ酢酸、3−アリルフェノキシ酢酸、4−アリルフェノキシ酢酸、2−アリル−4−ピリジンカルボン酸、4−アリルキノリン−2−カルボン酸、2−アリルニコチン酸など。
官能性基含有不飽和化合物(a6)のうち、アルコキシカルボニル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、2−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、2−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ラウリル、アルキル変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、アクリル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、アクリル酸1,9−ノナンジオール、アクリル酸1,4−ブタンジオール、2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル〕メチルエステル、アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジエンフタレート、3−メトキシアクリル酸メチル、アクリル酸アリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸トリエチレングリコール、2−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸ペンタフルオロエチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、エチレングリコールモノアリルエーテルアセテート、ジアリルカーボネート、2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート塩化物、プロピレングリコールモノアリルエーテルアセテート、ビニル酢酸アリル、ビニル酢酸メチル、無水イタコン酸など。
官能性基含有不飽和化合物(a6)のうち、アミド基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、トリアクリルホルマールなど。
エポキシ基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、3−アリル−1,2−エポキシシクロヘキサンが挙げられるが、これに限定されない。
グリシジル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテルおよびビニルグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
メルカプト基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アリルメルカプタン、4−ブテンチオール、4−メルカプトスチレン、2−アリルチオフェノール、3−アリルチオフェノール、4−アリルチオフェノール、3−アリルチオサリチル酸、4−アリルチオサリチル酸、5−アリルチオサリチル酸、フルフリルメルカプタン、4−アリルフルフリルメルカプタンなど。
チオンエステル結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、メチルチオアクリレート、メチルチオメタクリレート、n−ブチルチオアクリレート、n−ブチルチオメタクリレート、アリルチオベンゾエートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
チオールエステル結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、2−アリルチオ安息香酸メチル、3−アリルチオ安息香酸エチル、4−アリルチオ安息香酸アリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ジチオエステル結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:4−アリルジチオ安息香酸、4−アリルジチオ安息香酸メチル、4−アリルジチオ安息香酸エチル、2,4−ジアリルイミダゾール−5−ジチオカルボン酸、2,4−ジアリルイミダゾール−5−ジチオカルボン酸メチルなど。
イソシアナト基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、3−ブテニルイソシアナート、5−ヘキセニルイソシアナート、4−アリルフェニルイソシアナートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
イソチオシアナト基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、3−ブテニルイソチオシアナート、5−ヘキセニルイソチオシアナートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
カルボニル基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アセト酢酸アリル、メチルアリルケトン、エチルアリルケトン、ジアリルケトン、2−アリルシクロヘキサノン、3−アリルシクロヘキサノン、4−アリルシクロヘキサノン、5−アリル−5−メチルヒダントイン、N−アリル−2−ピロリドンなど。
アルデヒド基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アクロレイン、メタクロレイン、アリルグリオキザール、2−アリルベンズアルデヒド、3−アリルベンズアルデヒド、4−アリルベンズアルデヒド、5−アリル−3−アルデヒドピリジン、2−アリル−4−フォルミルイミダゾール、2,4−ジアリル−5−フォルミルイミダゾール、フルフラール、4−アリルフルフラールなど。
アリールオキシ基と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、アリルフェニルエーテルが挙げられるが、これに限定されない。
4級アンモニウムイオンと不飽和基とを有する化合物としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられるが、これに限定されない。
スルホン結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、アリルスルホン酸アリルが挙げられるが、これに限定されない。
ハロゲン原子と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アリルクロライド、アリルブロマイド、クロロ炭酸アリルエステル、ジアリルクロレンデート、クロロプレン、メタリルクロライド、塩化ビニル、1−アリル−2−クロロベンゼン、1−アリル−3−クロロベンゼン、1−アリル−4−クロロベンゼン、2−ブロモ−3−ブテン、1−ブロモ−3−ブテンなど。
炭素−炭素二重結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:1,6−ヘキサンジオールジアリルエーテル、イソプレン、ジビニルベンゼン、4−ビニル−α−メチルスチレン、テレフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートなど。
炭素−炭素三重結合と不飽和基とを有する化合物としては、例えば、3−ブテン−1−イン、3−メチル−3−ブテン−1−イン、5−ヘキセン−1−インなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの官能性基含有不飽和化合物(a6)のうち、窒素原子および硫黄原子を含んでいない化合物が好ましい。反応により形成される不飽和基を有する重合体(a7)と、後述の架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とのヒドロシリル化反応がスムーズに進行するためである。
上記メルカプト基(またはメルカプチド基)を有する重合体(7)と官能性基含有不飽和化合物(a6)との反応において、触媒や反応条件は任意であり、官能基に応じて適当なものを用いることができる。このようなメルカプト基またはメルカプチド基を利用した反応については、例えば、“COMPREHENSIVE ORGANIC CHEMISTRY;The Synthesis and Reactions of Organic Compounds:Volume3 Sulphur,Selenium,Silicon,Boron,Organometallic Compounds,”D.NEVILLE JONES Ed.,1979,PERGAMON PRESSに記載の方法、および引用されている文献に記載の方法を適用可能である。
上記末端にメルカプト基(またはメルカプチド基)を有する重合体(7)と官能性基含有不飽和化合物(a6)との反応としては、次の具体例が挙げられるが、これらに限定されない:[i]メルカプト基を有する重合体とアリルメルカプタンとを、酸素や酸化鉛などの酸化剤の存在下で反応させることにより、ジスルフィド結合を介して末端にアリル基を有する重合体を合成する方法、[ii]メルカプチド基を有する重合体とアリルクロライドとを、Williamson法により反応させることにより、末端にアリル基を有する重合体を合成する方法、[iii]メルカプト基を有する重合体とアリルイソシアナートとを、触媒非存在下、あるいは有機錫化合物などのウレタン化触媒の存在下で、反応させることにより、末端にウレタン結合を介してアリル基を有する重合体を合成する方法、[iv]メルカプト基を有する重合体をN−アリルマレイミドに付加させることにより、末端にアリル基を有する重合体を合成する方法、[v]メルカプト基を有する重合体を、ブタジエンあるいはイソプレンに付加させることにより、それぞれ末端にアリル基、あるいはメタリル基を有する重合体を合成する方法、[vi]メルカプト基あるいはメルカプチド基を有する重合体を、アクリル酸あるいはメタクリル酸とエステル化反応させることにより、それぞれ末端にアクリロイル基あるいはメタクリロイル基を有する重合体を合成する方法、[vii]メルカプト基あるいはメルカプチド基を有する重合体を、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルとエステル交換反応させることにより、それぞれ末端にアクリロイル基あるいはメタクリロイル基を有する重合体を合成する方法、[viii]メルカプト基を有する重合体とアリルエチルケトンとを酸性条件下反応させることにより、末端にチオケタール結合を介してアリル基を有する重合体を合成する方法、[ix]メルカプト基を有する重合体とアリルアルコールとの脱水縮合により、末端にアリル基を有する重合体を合成する方法、[x]メルカプト基を有する重合体とビニル酢酸とを、エステル化反応させることにより、末端にビニル基を有する重合体を合成する方法、[xi]メルカプト基あるいはメルカプチド基を有する重合体とジアリルカーボネートとをエステル交換反応させることにより、末端にカーボネート結合を介してアリル基を有する重合体を合成する方法、および[xii]上記[xi]の方法で得られる、末端にカーボネート結合を介してアリル基を有する重合体を、パラジウム触媒や塩基の存在下脱炭酸反応させることにより、末端にアリル基を有する重合体を合成する方法。
このように、メルカプト基を有する重合体と、官能性基含有不飽和化合物(a6)との反応により末端に不飽和基を有する重合体(a7;スキーム3ではa7−1で示される)が形成される。次いでこの末端に不飽和基を有する重合体(a7)と、上記架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)とを反応させる。この架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)としては、上記製造法2で用いられるのと同様の、ヒドロシリル基と、架橋性シリル基とを有する化合物のいずれもが用いられ、製造法2と同様の遷移金属触媒がヒドロシリル化触媒として用いられる。反応時には、必要に応じて反応系の水分を除去するための脱水剤(例えば、オルトギ酸メチル)が好適に利用される。上記反応により、末端に架橋性シリル基を有する重合体である架橋性シリル基含有重合体(A−3−1)が得られる。この重合体は、チオカルボニルチオ基を有する化合物(2)の形状に応じて、片末端あるいは両末端に架橋性シリル基を有する直鎖状の重合体、あるいは末端に架橋性シリル基を有する星型の重合体であり得る。
スキーム4においては、まず、チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)の存在下にて、ラジカル重合性単量体(a1)の重合反応が行われる。この重合反応は、スキーム3の場合と同様に行われ、チオカルボニルチオ基を有する重合体(6)が得られる。次に、得られたチオカルボニルチオ基を有する重合体(6)のチオカルボニルチオ基を処理剤によりメルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体(8)を得る。次いで、この重合体(8)と官能性基含有不飽和化合物(a6)および架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物(a5)を順次反応させる。上記反応により、末端に架橋性シリル基を有する重合体である架橋性シリル基含有重合体(A−3−2で示される)が得られる。スキーム4に示すように、チオカルボニルチオ基を有する化合物(3)を用いた場合には、片末端に架橋性シリル基を有する直鎖状の重合体が形成される。
[架橋性シリル基含有重合体(A)]
上記製造法1〜3の方法により、架橋性シリル基含有重合体(A)が得られる。上記説明から明らかなように、この重合体(A)は、一般式(1)で示す架橋性シリル基を末端に有する。
この架橋性シリル基含有重合体(A)の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた重量平均分子量と数平均分子量との比は特に限定されないが、硬化性組成物とした際の粘度を低く抑えて取り扱いを容易にし、なおかつ得られる硬化物が良好な機械的物性を有するためには、分子量分布は狭いのが好ましい。分子量分布の値としては、通常は1.8未満であり、好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.6以下であり、さらに好ましくは1.5以下である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、ポリスチレンゲルカラムにて行ない、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
上記架橋性シリル基含有重合体(A)の数平均分子量は特に制限はないが、500〜500000の範囲が好ましく、1000〜100000がさらに好ましい。この架橋性シリル基含有重合体(A)としては、硬化性組成物として利用する場合、硬化させた場合の物性が良好であるという点で、両末端に不飽和基を有するテレケリック重合体であることが望ましい。
この架橋性シリル基含有重合体(A)を含む本発明の硬化性組成物は、後述のように、種々の用途に利用される。そのうち、該硬化性組成物がシーリング剤、接着剤、粘着剤など、硬化物にゴム的性質が求められる場合においては、架橋性シリル基含有重合体(A)は、たとえばアクリル酸n−ブチル単独重合体やアクリル酸n−ブチルをラジカル重合性単量体(a1)として用い、これらを主成分とする共重合体であって、ガラス転位温度が0℃以下の重合体であることが好ましく、硬化物の強度が高い点で、これらのうち両末端に架橋性シリル基を有する重合体がより好ましい。
硬化性組成物が、反応性ホットメルト接着剤、反応性熱可塑性エラストマーなどである場合には、架橋性シリル基含有重合体(A)としては、例えばメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチルトリブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリルマルチブロック共重合体など、ハードセグメントとソフトセグメントとを有する当該分野で知られる熱可塑性エラストマーに、架橋性シリル基が導入された重合体が好適に利用されるが、これらに限定されない。このような組成物は、従来の熱可塑性エラストマーの成形性など優れた物性を有しており、かつ成形後または接着後に硬化して、耐熱性、圧縮永久歪に優れた硬化物を形成する。
硬化性組成物が、反応性合成ゴムである場合には、架橋性シリル基含有重合体(A)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ポリアクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体など、当該分野で知られている合成ゴムに、架橋性シリル基を導入した重合体が好適に利用されるが、これらに限定されない。これらの反応性合成ゴムは、従来の合成ゴムに比べて、耐熱性、熱安定性、圧縮永久歪に優れる。
硬化性組成物が反応性熱可塑性樹脂を含む場合には、架橋性シリル基含有重合体(A)としては、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂など、当該分野で一般に用いられる熱可塑性樹脂に架橋性シリル基を導入した重合体が好適に利用されるが、これらに限定されない。これらの反応性熱可塑性樹脂は、成形体に優れるなど従来の熱可塑性樹脂の長所を有し、かつ耐熱性、熱安定性、圧縮永久歪に優れる。
[縮合触媒(B)]
本発明の硬化性組成物に含有される縮合触媒(B)は、水分の存在下で架橋性シリル基を有する化合物同士がカップリングしてシロキサン結合を形成する反応に対して触媒作用を示す化合物である。本発明の硬化性組成物が、シーリング剤、接着剤、粘着剤、塗料、反応性ホットメルト接着剤、反応性熱可塑性樹脂、反応性熱可塑性エラストマーなどの、湿分硬化性組成物である場合に硬化触媒として特に有効に作用する。この縮合触媒(B)しては次の化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されない:テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどの有機スズ化合物;オクチル酸鉛などの鉛化合物;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,3−ジアザビシクロ[5.4.6]ウンデセン−7などのアミン化合物;上記アミン化合物のカルボン酸塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。これらの縮合触媒のうち、活性が高い点で有機スズ化合物が好ましい。本発明の硬化性組成物における、縮合触媒の含有量は特に限定されないが、反応活性の点で架橋性シリル基含有重合体(A)100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲で含有されることが好ましい。
上記添加剤としては、可塑剤、チキソトロピー向上剤、耐熱性向上剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、発泡剤、滑剤、防カビ剤、結晶核剤、加硫促進剤、老化防止剤、加硫剤、スコーチ防止剤、素練促進剤、粘着付与剤、ラテックス凝固剤、加工助剤、無機系充填剤、シランカップリング剤、ゴム系材料などが挙げられる。これら添加剤は、架橋性シリル基含有重合体(A)の種類や組成、および硬化性組成物が使用される用途などに応じて、適宜最適なものが選択される。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、上記架橋性シリル基含有重合体(A)、縮合触媒(B)、および必要に応じて、添加剤、水などを含有する。この組成物は、上記水以外の全ての成分をあらかじめ配合し、密封保存し、施工後に空気中の水分により硬化する1成分型硬化性組成物であってもよく;あるいは、架橋性シリル基含有重合体(A)を主成分とする主剤と、縮合触媒(B)および必要に応じて水などを含む硬化剤とを別にしておき、使用前にこれらを混合する2成分型硬化性組成物であってもよい。
[硬化性組成物と、熱可塑性エラストマーおよび樹脂熱可塑性樹脂のうちの少なくとも1種とを含有する樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、上記硬化性組成物と、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する。
熱可塑性エラストマーとしては以下の化合物が挙げられるが、それらに限定されない:スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、スチレン−(エチレン・ブチレン)共重合体(SEBS)、スチレン−(エチレン・プロピレン)共重合体(SEPS)などのスチレン系熱可塑性エラストマー(SBC);ポリプロピレン−EPDM共重合体、ポリエチレン−EPDM共重合体などのオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO);カプロラクトン型ウレタン系共重合体、アジピン酸型ウレタン系共重合体、エーテル型ウレタン系共重合体などのウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU);ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE);ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE);1,2−ポリブタジエン(PB);ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(TPVC);アイオノマー系熱可塑性エラストマー;シリコーン系熱可塑性エラストマー;アクリル系熱可塑性エラストマーなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂としては、次の樹脂が挙げられるが、それらに限定されない:サーリン(デュポン社製)、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル社製)などのアイオノマー樹脂;ポリアクリル酸ヒドラジド;イソブチレン−無水マレイン酸共重合体;アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(AAS)、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂(ACS)、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体などのアクリロニトリル含有樹脂;カネカエンプレックス(鐘淵化学工業(株)製)などのABS−塩化ビニル系自己消化性樹脂;カネカMUH(鐘淵化学工業(株)製)などのABS系耐熱樹脂;メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS);エチレン−塩化ビニル共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);変性エチレン−酢酸ビニル共重合体;塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合体;エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH);塩素化ポリ塩化ビニル;塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化オレフィン樹脂;カルボキシビニルポリマー;ケトン樹脂;ノルボルネン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、低融点エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニルなどのふっ素系樹脂;ポリアセタール;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6、ポリアミド46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリアミドイミドなどのポリアミド系樹脂;ポリアリレート(PAR);ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミドなどのポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂;ポリエチレンオキサイドなどのポリエーテル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリカーボネート(PC)などのポリカーボネート系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリスチレン(PS)、ポリパラメチルスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリアミンサルホン;ポリパラビニルフェノール;ポリアリルアミン;ポリビニルアルコール(PVA);ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール(PVB);ポリビニルホルマール(PVF);ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリメチルペンテン;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル系樹脂;各種液晶ポリマーなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
これらの熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂を使用することにより、耐衝撃性、圧縮永久歪、耐熱性、耐候性などに優れる、エラストマー組成物あるいは熱可塑性樹脂組成物が得られる。上記熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂のうち、汎用性が高く、入手性、価格、および得られる組成物の成形加工性が良好である点で、次のエラストマーおよび樹脂が好ましい:スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂。これらのうち、硬化性組成物を配合した場合の成形加工性が良好であり、得られる成形体の難燃性および耐衝撃性に優れる点で、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびアクリル系樹脂が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物に、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂から選択される化合物を配合する場合、その配合の方法としては特に限定されない。例えば有機溶媒にこれらを溶解させることにより配合してもよく、加熱熔融させて配合してもよい。また配合時に水を混合することにより硬化性組成物中の重合体が有する架橋性シリル基を架橋させてもよく、配合後または成形加工後に養生して架橋性シリル基を架橋させてもよい。
上記熱可塑性エラストマーあるいは熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を、成形体用途に用いる場合、その成形方法としては、通常用いられる種々の方法を適用可能である。例えば、押出し成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、射出成形などが挙げられ、目的に応じて適宜成形される。本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体は、パイプ、継手、平板、波板、シート、フィルム、柱、壁材、床材、玩具、グリップ、靴底、スポーツ用品、窓枠、ドア、容器、自動車部品、電気機器筐体、レンズ、光学部品、電気回路基盤、電子部品、ボトル、ボトルキャップ、パッキン、ガスケット、電線被覆などの種々の用途に利用できる。
実施例
以下に本発明の具体的な実施例を示すが、本発明は、下記実施例に限定されない。
本実施例において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定により求めた。GPC測定においてはWaters社製GPCシステムを使用し、カラムはポリスチレンゲルカラム Shodex K−806およびK−805(昭和電工(株)製)を用い、クロロホルムを溶出液とし、ポリスチレン換算で解析した。
NMR測定装置はAMX−400(ブルッカー社製)を使用した。
本実施例において、アイゾット衝撃強度は、ASTM D256−56に記載の方法に準拠し、Vノッチ付き試料を用い、n=5で測定した値の平均値を採用した。ガードナー強度は、ASTM D3029−84−GBに記載の方法に準拠し、700gのおもりを用い、23℃においてn=40で測定した。溶融粘度は、JIS K−7199に記載の方法に準拠し、キャピラリー・レオメーターを使用して、1216s−1のせん断速度で測定した。スパイラルフローは、シリンダー温度250℃、金型温度70℃で、射出圧力608kgf/cm2(59.6MPa)に設定して3mm厚の角型スパイラルを射出成形し、その長さ(mm)で成形流動性を評価した。
(製造例1)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、および還流冷却管を備えた1L反応器に、アクリル酸n−ブチル256.4g、アゾビスイソ酪酸ジメチル278mg、式(12)で示される化合物:
1.50g、およびトルエン286mLを入れ、系内を窒素置換した。反応液を撹拌しながら80℃で4時間加熱した。反応液からトルエンを減圧留去し、Mw=52400、Mn=42300、Mw/Mn=1.24の重合体132gを得た。1H NMR測定の結果、チオカルボニルチオ基がポリアクリル酸n−ブチルの両末端に導入されており、導入率は両末端基準で95%であることを確認した。
こうして得られた、両末端にチオカルボニルチオ基を有するポリアクリル酸n−ブチル132gをトルエン400mLに溶解し、モノエチルアミン30gを添加して10℃で5時間撹拌した。残存するモノエチルアミンおよびトルエンを減圧留去し、得られた重合体の1H NMR測定の結果、メルカプト基を両末端に有するポリアクリル酸n−ブチルであり、メルカプト基の導入率が両末端基準で93%であることを確認した。
こうして得られた両末端にメルカプト基を有するポリアクリル酸n−ブチル126gを、脱水したトルエン500mLに溶解し、空気雰囲気でこれにアリルメルカプタン128mgを添加し、二酸化鉛5.0mgを加えて、80℃で12時間加熱撹拌した。減圧脱揮した後得られた重合体の1H NMRスペクトルより、両末端にジスルフィド結合を介してアリル基を有するポリアクリル酸n−ブチルであることを確認した。アリル基の導入率は、両末端基準で90%であった。
次に、100mLの耐圧ガラス反応容器に、上記重合体50.6g、ジメトキシメチルヒドロシラン1.4mL(11.1mmol)、オルトギ酸メチル(脱水剤)0.4mL(3.7mmol)、および白金触媒を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体の不飽和基1モルに対して、10−4モルとした。これを100℃で3時間加熱した。得られた反応混合物の揮発分を減圧留去することにより、両末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)を架橋性シリル基含有重合体(A)として得た。このポリ(アクリル酸−n−ブチル)1分子当たりに導入されたシリル基は、1H NMR分析より、平均1.7個であった。
(製造例2)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、および還流冷却管を備えた1L反応器に、アクリル酸n−ブチル256.4g、アゾビスイソ酪酸ジメチル139mg、式(12)で示される化合物:
0.75gおよびトルエン300mLを入れ、系内を窒素置換した。反応液を撹拌しながら80℃で6時間加熱した。反応液をサンプリングし、GPC測定よりMw=69600、Mn=52700、Mw/Mn=1.32の重合体生成を確認した。1H NMR測定より、この重合体においては、チオカルボニルチオ基がポリアクリル酸n−ブチルの両末端に導入されており、導入率は両末端基準で92%であることを確認した。
続いて、ジエチルアミン30gを添加して30℃で8時間撹拌した。残存するジエチルアミンおよびトルエンを減圧留去した。得られた重合体の1H NMR測定の結果、該重合体は、メルカプト基を両末端に有するポリアクリル酸n−ブチルであり、メルカプト基の導入率が両末端基準で90%であることを確認した。
こうして得られた、両末端にメルカプト基を有するポリアクリル酸n−ブチル158gを脱水したトルエン500mLに溶解し、空気雰囲気でアリルメルカプタン128mgを添加し、二酸化鉛5.0mgを加えて、80℃で12時間加熱撹拌した。減圧脱揮した後得られた重合体の1H NMRスペクトルより、両末端にジスルフィド結合を介してアリル基を有するポリアクリル酸n−ブチルであることを確認した。アリル基の導入率は、両末端基準で90%であった。
次に、100mLの耐圧ガラス反応容器に、上記重合体63.3g、ジメトキシメチルヒドロシラン1.4mL(11.1mmol)、オルトギ酸メチル0.4mL(3.7mmol)、および白金触媒を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体の不飽和基1モルに対して、10−4モルとした。これを100℃で3時間加熱した。反応混合物の揮発分を減圧留去することにより、両末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)を架橋性シリル基含有重合体(A)として得た。このポリ(アクリル酸−n−ブチル)1分子当たりに導入されたシリル基は、1H NMR分析より、平均1.6個であった。
(製造例3)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、および滴下ろうとを備えた1L反応器に、ドデシルスルホン酸ナトリウム410mgと、蒸留水400gとを入れ、80℃に加熱撹拌しながら窒素置換した。式(13)で示される化合物:
1.08gを、アクリル酸n−ブチル25.6gに溶解させて添加し、80℃で20分間、窒素気流下で撹拌した後、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)432mgを蒸留水25gと共に添加した。80℃で30分撹拌した時点で、滴下ろうとからアクリル酸n−ブチル51.3gとアクリル酸2−メトキシエチル52.1gの混合溶液を、1時間30分かけて滴下した。さらに80℃で4時間撹拌した後、乳化液を室温まで冷却し、塩析、ろ過、洗浄により、両末端にチオカルボニルチオ基を有する、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体を得た。GPC分析および1H NMR分析より、この重合体はMw=62800、Mn=53200、Mw/Mn=1.18であり、チオカルボニルチオ基の導入率は、両末端基準で92%であることを確認した。
このチオカルボニルチオ基を両末端に有する重合体85gを、トルエン100mLに溶解し、モノエチルアミン10gを加えて5℃で10時間撹拌することにより、メルカプト基を両末端に有するアクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体を得た。
こうして得られた、両末端にメルカプト基を有する共重合体79gを脱水したトルエン300mLに溶解し、空気雰囲気でアリルメルカプタン64mgを添加し、二酸化鉛2.5mgを加えて、80℃で12時間加熱撹拌した。減圧脱揮した後得られた重合体の1H NMRスペクトルより、両末端にジスルフィド結合を介してアリル基を有するアクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体であることを確認した。アリル基の導入率は、両末端基準で89%であった。
次に、100mLの耐圧ガラス反応容器に、上記重合体63.3g、ジメトキシメチルヒドロシラン1.4mL(11.1mmol)、オルトギ酸メチル0.4mL(3.7mmol)、および白金触媒を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体の不飽和基1モルに対して、10−4モルとした。これを100℃で3時間加熱した。反応混合物の揮発分を減圧留去することにより、両末端にシリル基を有するアクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体を架橋性シリル基含有重合体(A)として得た。この共重合体1分子当たりに導入されたシリル基は、1H NMR分析より、平均1.7個であった。
(実施例1)
製造例1で合成された、両末端にジメトキシメチルシリル基を有するポリアクリル酸n−ブチル100重量部に対し、ジブチルスズジメトキシドを硬化触媒として1重量部加えて混合し、型枠に流し込んで減圧脱泡したのち、空気中で室温で4日間放置し、ゴム弾性を有する均一なシート状硬化物を得た。シート状硬化物から2(1/3)号型ダンベル試験片を打ちぬき、島津製オートグラフを用いて、引張試験を行った(測定条件:23℃、200mm/min)。破断強度は0.48MPa、破断伸びは27%であった。これとは別に、同じ硬化性組成物を用いて2枚の大理石板(各々15cm×5cm×2cm)を接着し、サンシャインウェザオメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、紫外線照射を1000時間実施した。ひびわれ、剥離などの変形、および変色は認められず、接着はがれもなく、また石材に対する汚染も観察されなかった。
(実施例2)
製造例2で合成された、両末端にジメトキシメチルシリル基を有するポリアクリル酸n−ブチル100重量部に対し、硬化触媒としてジブチルスズビスアセチルアセトナートU−220((株)日東化成製)を1重量部、水を0.5重量部添加し、よく混合した後型枠に流し込み、減圧脱泡した。室温で2日間放置した後50℃で20時間加熱し、ゴム弾性を有する均一なシート状硬化物を得た。シート状硬化物から2(1/3)号型ダンベル試験片を打ちぬき、島津製オートグラフを用いて、引張試験を行った(測定条件:23℃、200mm/min)。破断強度は0.45MPa、破断伸びは33%であった。
(実施例3)
製造例3で合成された、両末端にジメトキシシリル基を有するアクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体を型枠に流し込み、減圧脱泡した。室温で7日間放置した後50℃で10時間加熱し、ゴム弾性を有する均一なシート状硬化物を得た。シート状硬化物から2(1/3)号型ダンベル試験片を打ちぬき、島津製オートグラフを用いて、引張試験を行った(測定条件:23℃、200mm/min)。破断強度は0.40MPa、破断伸びは62%であった。
(実施例4〜6)
塩化ビニル樹脂S1008(鐘淵化学工業(株)製)100重量部、安定剤としてジブチルスズマレエート2.5重量部、滑剤としてヘキストワックスE(ヘキストジャパン(株)製)0.5重量部、加工助剤としてPA−20(鐘淵化学工業(株)製)2.0重量部、顔料として酸化チタン3.0重量部でなる混合物に対し、製造例1、2、または3で得られた架橋性シリル基含有重合体12重量部およびジブチルスズビスアセチルアセトナート0.2重量部を配合し、設定温度180℃で5分間ロール混練し、シート化した。得られたシートを設定温度190℃で熱プレス成形し、厚さ5mmの物性評価用の成形体を作成した。23℃で測定したアイゾット衝撃強度を表1に示す。
(比較例1)
実施例4〜6において、架橋性シリル基含有重合体を配合せずに、同様の成形体を作成し、アイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
表1より、架橋性シリル基含有重合体(A)は樹脂改質剤として機能するため、該重合体を含む本発明の硬化性組成物により得られた成形体は耐衝撃性が高いことがわかる。
(実施例7〜9)
熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂 レキサン141R−111(日本ジーイープラスチックス(株)製)95重量部、ならびに酸化防止剤としてトパノールCA((株)リプレ製)0.3重量部およびアデカスタブPEP−36(旭電化工業(株)製)0.3重量部を準備し、これに製造例1または2で得られた架橋性シリル基含有重合体を5重量部、さらにジブチルスズジアセテート0.1重量部を配合し、ベント付き二軸押出機(32mm、L/D=25.5)を用いて設定温度280℃で押出混練し、ペレット化した。得られたペレットを80℃で15時間乾燥後、設定温度280℃で射出成形し、物性評価用の成形体(厚さ1/4インチ)を作成した。得られた成形体の0℃におけるアイゾット衝撃強度およびペレットの280℃における溶融粘度を表2に示す。さらに、この成形体の目視による透明度評価を行った。その結果を表2に示す。表2の透明度の評価は次のとおりである:◎…透明度が高い、○…透明度が普通である、△…少し不透明である、×…不透明である。
(比較例2)
実施例7〜9において、架橋性シリル基含有重合体を配合せずに同様の成形体を作成し、実施例7〜9と同じ評価を行った。その結果を表2に示す。
表2より、架橋性シリル基含有重合体(A)は樹脂改質剤として機能するため、該重合体を含む本発明の硬化性組成物により得られた成形体は耐衝撃性、成形性、および透明性に優れることがわかる。
産業上の利用可能性
本発明の硬化性組成物は、末端に高い比率で架橋性シリル基を有する、架橋性シリル基含有重合体(A)および縮合触媒(B)を主成分として有するため、硬化性に優れる。この組成物、あるいは該組成物と熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂のうちの少なくとも1種の化合物とを含む樹脂組成物を用いて得られた成形体は、耐油性、耐熱性、耐候性、耐久性、低汚染性、および圧縮永久歪に優れ、取り扱いが容易である。さらに、耐衝撃性および加工性が大幅に改善され、透明性にも優れる。本発明の組成物に含有される架橋性シリル基含有重合体(A)の製造方法は簡便であり、溶液重合のみならず、乳化重合、懸濁重合などの水系重合によっても製造され得、かつ精製工程を簡略化できるため、製造コストを低く抑えることができる。工業的に製造する場合において安全性が高く、低コストでの製造が可能である。
本発明の硬化性組成物、または該組成物を含む樹脂組成物より得られる硬化物は、その物性に応じて種々の用途に適用可能である。例えば、シーリング剤、接着剤、粘着剤、弾性接着剤、粘接着剤、ホットメルト接着剤、反応性ホットメルト接着剤、反応性熱可塑性エラストマー、反応性合成ゴム、反応性熱可塑性樹脂;ホース、シート、フィルム、平板、波板、パイプ、窓枠、靴底、スポーツ用品、繊維、玩具、自動車部品、ガスケット、パッキン、発泡体、人工大理石、ガラス代替樹脂、容器、ボトル、ボトルキャップ、人工頭髪、人工皮膚、柱、壁材、床材、グリップ、ドア、電気機器筐体、レンズ、光学部品、電気回路基盤、電子部品、電線被覆材などの各種成形体;アスファルト改質剤、樹脂改質剤、ゴム改質剤、セメント改質剤などの改質剤;塗料、コーティング剤;電子部品のポッティング剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
Claims (13)
- 架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)とを含有する硬化性組成物であって、
該架橋性シリル基含有重合体(A)が、
(i)チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体の可逆的付加脱離連鎖移動重合反応を開始する工程、および
(ii)該重合反応によるラジカル重合性単量体の消費率が80%以上となった段階で、架橋性シリル基含有不飽和化合物を加えて共重合させる工程により製造され;
該架橋性シリル基含有不飽和化合物が、ラジカル重合可能な不飽和基と、一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である;
硬化性組成物。 - 前記工程(ii)におけるラジカル重合性単量体の消費率が95%以上である、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)とを含有する硬化性組成物であって、
該架橋性シリル基含有重合体(A)が、
(I)チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ラジカル重合性単量体の可逆的付加脱離連鎖移動重合反応を開始する工程、
(II)該重合反応によるラジカル重合性単量体の消費率が80%以上となった段階で、ジエン化合物を加えて共重合させ、不飽和基を有する重合体を得る工程、および
(III)該不飽和基を有する重合体に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物を加えてヒドロシリル化反応させる工程により製造され;
該架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物が、ヒドロシリル基と、一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である、
硬化性組成物。 - 前記工程(II)におけるラジカル重合性単量体の消費率が95%以上である、請求項3に記載の硬化性組成物。
- 架橋性シリル基含有重合体(A)と、縮合触媒(B)とを含有する硬化性組成物であって、
該架橋性シリル基含有重合体(A)が、
〔I〕 ラジカル重合性単量体を、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、可逆的付加脱離連鎖移動重合させて、チオカルボニルチオ基を有する重合体を得る工程、
〔II〕 該チオカルボニルチオ基を有する重合体のチオカルボニルチオ基を、メルカプト基またはメルカプチド基に変換し、メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体を得る工程、
〔III〕 該メルカプト基またはメルカプチド基を有する重合体に、メルカプト基またはメルカプチド基と結合形成可能な官能基と、不飽和基とを有する、官能性基含有不飽和化合物を反応させ、不飽和基を有する重合体を得る工程;および
〔IV〕 該不飽和基を有する重合体に、架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物を加えてヒドロシリル化反応させる工程により製造され;
該架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物が、ヒドロシリル基と、一般式(1)で示される架橋性シリル基:
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3)3Si−(R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1またはR2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;Y1およびY2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を示し、Y1またはY2が複数個存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく;aは0〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり;mは0〜19の整数であり;a+mb≧1である)とを有する化合物である、
硬化性組成物。 - 前記チオカルボニルチオ基をメルカプト基またはメルカプチド基に変換する反応が、塩基、酸、および水素−窒素結合含有化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物でなる処理剤を使用することにより行われる、請求項5に記載の硬化性組成物。
- 前記処理剤が水素−窒素結合含有化合物であって、該化合物が、アンモニア、沸点100℃以下の1級アミン化合物、および沸点100℃以下の2級アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項6に記載の硬化性組成物。
- 前記チオカルボニルチオ基を有する化合物が、以下の一般式(2)で示される化合物、および一般式(3)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1から7のいずれかに記載の硬化性組成物:
(式中、R4は炭素数1以上のp価の有機基であり;Z1は水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合には、複数のZ1は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)、
(式中、R5は炭素数1以上の1価の有機基であり;Z2は酸素原子(q=2の場合)、硫黄原子(q=2の場合)、窒素原子(q=3の場合)、または炭素数1以上のq価の有機基であり;qは2以上の整数であり、複数のR5は互いに同一でもよく、異なっていてもよい)。 - 前記ラジカル重合性単量体が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、およびメタクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1から9のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 前記架橋性シリル基含有重合体(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が、1.8以下である、請求項1から10のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 前記架橋性シリル基含有重合体(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により求めた数平均分子量(Mn)が、1000〜100000の範囲である、請求項1から11のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 請求項1から12のいずれかに記載の硬化性組成物と、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する、樹脂組成物。
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