JP2003041224A - 粘着剤組成物 - Google Patents

粘着剤組成物

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JP2003041224A
JP2003041224A JP2001230953A JP2001230953A JP2003041224A JP 2003041224 A JP2003041224 A JP 2003041224A JP 2001230953 A JP2001230953 A JP 2001230953A JP 2001230953 A JP2001230953 A JP 2001230953A JP 2003041224 A JP2003041224 A JP 2003041224A
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Japan
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compound
atom
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pressure
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JP2001230953A
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English (en)
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Ryotaro Tsuji
良太郎 辻
Tomoki Hiiro
知樹 日色
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐候性、凝集力、粘着力、粘着保持
力、および接着力に優れ、簡便に、かつ、経済的に製造
可能な粘着剤組成物を提供すること。 【解決手段】 以下の2成分を含有する粘着剤組成物:
(A)一分子中に一つ以上のアルケニル基と、硫黄原子
とを有し、かつゲル浸透クロマトグラフィー分析により
求めた分子量分布が2以下である、ビニル系重合体;お
よび(B)一分子中に二つ以上の水素−ケイ素結合を有
する化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粘着剤組成物に関す
る。より詳しくは、特定のビニル系重合体と水素−ケイ
素結合を有する化合物とを含有する粘着剤組成物に関
し、該ビニル系重合体と水素−ケイ素結合を有する化合
物とは、ヒドロシリル化反応により架橋構造を形成す
る。さらに、本発明は、該粘着剤組成物を基材表面に付
与して得られる粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】ビニル系単量体を重合してなるビニル系
重合体は、粘着剤組成物の原料として広く利用されてい
る。なかでもアクリル系粘着剤は、粘着テープ、粘着シ
ートなどに用いられる粘着剤、ホットメルト型粘着剤、
ホットメルト型接着剤などに利用されている。アクリル
系粘着剤は、ゴム系粘着剤と比較して耐熱性および耐候
性に優れ、良好な接着性や透明性を有し、かつシリコー
ン系粘着剤と比較して低コストである点が優れている。
【0003】しかし、ビニル系重合体は、通常高温で流
動性を示すため、耐熱性および耐候性が良好ではなく、
凝集力が低下して剥がれやすくなること、糊残りが発生
することなどの問題があった。したがって、耐熱性に優
れ、高温においても優れた凝集力および耐剥離性を維持
し、糊残りが発生しない粘着剤組成物が望まれていた。
【0004】耐熱性を向上させる方法としては、ビニル
系重合体の重合度を高める方法が提案されている。しか
し、ラジカル重合法においては重合技術による制限があ
り、例えば、アクリル系重合体では、ゲル浸透クロマト
グラフィー分析により求めた重量平均分子量が200万
以上の重合体を合成することが困難であった。アニオン
重合法などの他の重合法で高重合度の重合体を合成する
ことは可能であるが、粘度が高いため加工が困難であ
る。このように、充分な耐熱性および凝集力があり、か
つ加工性にも優れた重合体を有する粘着性組成物を得る
ことができなかった。
【0005】耐熱性および凝集力と、加工性との双方と
もに良好な粘着剤を製造する方法としては、各種の形式
によりビニル系重合体を架橋する方法が提案されてい
る。例えば、ビニル系重合体に加えて、ポリイソシアナ
ート化合物、エポキシ化合物、多価カルボン酸化合物、
ポリアミン化合物、フェノール樹脂、硫黄化合物などの
架橋剤を組成物中に含有させる方法、架橋性シリル基を
有するビニル系重合体を調製しておき、これを縮合触媒
存在下で架橋させる方法などが挙げられる。特開平10
−298248号公報には、アクリル酸またはメタクリ
ル酸を、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステ
ルと、ランタノイド系有機金属化合物の存在下でラジカ
ル共重合させ、得られた共重合体を多価イソシアナート
化合物で架橋させることにより、粘着剤組成物を製造す
る方法が記載されている。しかし、このような方法にお
いては、重合時にカルボキシル基を保護しておく必要が
あり、重合後に脱保護する必要があるため、生産性が低
く、製造コストも高くなるという問題があった。
【0006】重合体を架橋させる他の方法として、架橋
性シリル基を有するビニル系重合体を縮合触媒存在下で
架橋させる方法がある。この方法では、生成する結合が
シロキサン結合であるため耐候性に優れるが、架橋反応
には湿分を必要とするため、湿度の低い環境においては
硬化不良が問題となっていた。
【0007】一方、シロキサン架橋による優れた耐候性
を犠牲にすることなく、上記硬化不良の問題を解決する
方法として、ヒドロシリル化反応を利用して、含有され
るポリマーを架橋する粘着剤が特開平3−95266号
公報、特開平4−93376号公報、特開平4−145
188号公報などに開示されている。
【0008】ヒドロシリル化反応を利用する方法は、湿
分や水分を必要とせず、加熱するだけで均一な硬化物を
得ることができ、硬化速度も速いため、ライン生産され
る粘着材料に適する。しかし、このような従来のヒドロ
シリル化反応を利用する粘着剤組成物においては、主成
分となるポリマーの分子量分布が広く(一般に、ゲル浸
透クロマトグラフィー分析により求めた分子量分布は2
より大きい)、低分子量成分を含有するために、架橋に
よる凝集力低下が顕著であるという問題があった。
【0009】従来のヒドロシリル化反応を利用する粘着
性組成物においては、例えば、アクリル系粘着剤の場
合、アルケニル基含有アクリル酸エステルやアルケニル
基含有メタクリル酸エステルを共重合させる方法、ヒド
ロキシル基、カルボキシル基などの官能基含有アクリル
酸エステルや官能基含有メタクリル酸エステルを共重合
し、該官能基を利用してアルケニル基を導入する方法な
どが知られていた。しかし、このような方法において
は、一分子中に確実にアルケニル基を導入することが困
難であり、アルケニル基の分布に偏りが生じるため架橋
の効果が充分でなく、望まれる物性を有する粘着剤組成
物を得ることが困難であった。
【0010】一分子中に確実にアルケニル基を導入する
方法が特開平11−158449号公報に開示されてお
り、原子移動ラジカル重合法によるリビングラジカル重
合を行い、末端のハロゲン原子を利用してアルケニル基
を導入した粘着剤組成物が得られている。しかし、原子
移動ラジカル重合法においては、金属錯体を重合触媒と
して使用するため、重合後に精製する必要があり、その
ための精製工程が煩雑となり、設備費の上昇や生産性の
低下といった問題があり、経済的ではなかった。さら
に、水系重合が困難であるという問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を解決するためになされ、その目的は、耐熱性、耐
候性、凝集力、粘着力、粘着保持力、および接着力に優
れ、簡便に、かつ、経済的に製造可能な粘着剤組成物を
提供することである。本発明の他の目的は、上記優れた
性質を有する粘着シートを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ね、本発明を完成した。
【0013】本発明は、以下の2成分を含有する粘着剤
組成物を提供する:(A)一分子中に一つ以上のアルケ
ニル基と、硫黄原子とを有し、かつゲル浸透クロマトグ
ラフィー分析により求めた分子量分布が2以下である、
ビニル系重合体;および(B)一分子中に二つ以上の水
素−ケイ素結合を有する化合物。
【0014】好適な実施態様では、上記(A)のビニル
系重合体は、一分子あたり平均して1.1〜10個のア
ルケニル基を有する。
【0015】好適な実施態様では、上記(A)のビニル
系重合体のゲル浸透クロマトグラフィー分析により求め
た分子量分布(Mw/Mn)は1.5以下である。
【0016】好適な実施態様では、上記(A)のビニル
系重合体中に、両末端にアルケニル基を有する直鎖状重
合体が60重量%以上存在する。
【0017】好適な実施態様では、上記(A)のビニル
系重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレ
ン、ブタジエン、イソプレン、およびクロロプレンから
なる群より選択される少なくとも1種のビニル系単量体
のラジカル重合により形成される重合体に由来する。
【0018】好適な実施態様では、上記(A)のビニル
系重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシル
基含有アクリル酸エステル、ヒドロキシル基含有メタク
リル酸エステル、カルボキシル基含有アクリル酸エステ
ル、カルボキシル基含有メタクリル酸エステル、アミノ
基含有アクリル酸エステル、アミノ基含有メタクリル酸
エステル、エポキシ基含有アクリル酸エステル、および
エポキシ基含有メタクリル酸エステルからなる群より選
択されるビニル系単量体0.1〜50重量%と、他のビ
ニル系単量体99.9〜50重量%との共重合により形
成される共重合体に由来する。
【0019】好適な実施態様では、上記(A)のビニル
系重合体は、式(1)
【0020】
【化8】
【0021】で示されるチオカルボニルチオ基を有する
化合物の存在下でビニル系単量体をラジカル重合するこ
とにより形成される、チオカルボニルチオ基を有するビ
ニル系重合体に由来する。
【0022】好適な実施態様では、上記チオカルボニル
チオ基を有する化合物は、一般式(2)
【0023】
【化9】
【0024】(式中、Rは炭素数1以上のp価の有機
基であり、該p価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および
金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよ
く、高分子量体であってもよく;Zは水素原子、ハロ
ゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、
該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハ
ロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少な
くともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であって
もよく;pは1以上の整数であり、pが2以上の場合、
は同じでもよく異なっていてもよい)で示される化
合物、および一般式(3)
【0025】
【化10】
【0026】(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機
基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および
金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよ
く、高分子量体であってもよく;Zは硫黄原子(q=
2の場合)、酸素原子(q=2の場合)、窒素原子(q
=3の場合)、または炭素数1以上のq価の有機基であ
り、該q価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原
子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうち
の少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体で
あってもよく;qは2以上の整数であり、Rは同じで
もよく異なっていてもよい)で示される化合物からなる
群より選択される少なくとも1種である。
【0027】好適な実施態様では、上記チオカルボニル
チオ基を有する化合物は、一般式(4)
【0028】
【化11】
【0029】(式中、Rは炭素数1以上の2価の有機
基であり、該2価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および
金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよ
く、高分子量体であってもよく;Zは水素原子、ハロ
ゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、
該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハ
ロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少な
くともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であって
もよく;Zは同じでもよく異なっていてもよい)で示
される化合物である。
【0030】好適な実施態様では、上記(A)のビニル
系重合体は、上記チオカルボニルチオ基を有するビニル
系重合体のチオカルボニルチオ基を、メルカプト基また
はメルカプチド基に変換する工程;および得られたメル
カプト基またはメルカプチド基を有するビニル系重合体
を、アルケニル基含有化合物と反応させる工程によって
得られ、該アルケニル基含有化合物は、メルカプト基ま
たはメルカプチド基と結合を形成することの可能な官能
基およびアルケニル基を有する。
【0031】好適な実施態様では、上記チオカルボニル
チオ基を有するビニル系重合体を、塩基性化合物、酸性
化合物、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合物、
および2級アミン化合物からなる群より選択される少な
くとも1種の化合物でなる処理剤と反応させることによ
り、該ビニル系重合体のチオカルボニルチオ基は、メル
カプト基またはメルカプチド基に変換される。
【0032】好適な実施態様では、上記処理剤は、アン
モニア、沸点100℃以下の1級アミン化合物、沸点1
00℃以下の2級アミン化合物、およびヒンダードアミ
ン系光安定剤(HALS)からなる群より選択される少
なくとも1種の化合物である。
【0033】好適な実施態様では、上記官能基は、ヒド
ロキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基
(エステル結合)、メルカプト基、チオンエステル結
合、チオールエステル結合、ジチオエステル結合、イソ
シアナト基、イソチオシアナト基、カルボニル基、アル
デヒド基、アリールオキシ基、4級アンモニウムイオ
ン、スルホン結合、ハロゲン原子、炭素−炭素二重結
合、および炭素−炭素三重結合からなる群より選択され
る。
【0034】好適な実施態様では、上記官能基は、イソ
シアナト基である。
【0035】好適な実施態様では、上記(A)のビニル
系重合体は、上記チオカルボニルチオ基を有するビニル
系重合体のチオカルボニルチオ基を、メルカプト基に変
換する工程;および得られたメルカプト基を有するビニ
ル系重合体を、塩基性化合物の存在下、アセチレン化合
物と反応させる工程によって得られる。
【0036】好適な実施態様では、上記チオカルボニル
チオ基を有するビニル系重合体を、塩基性化合物、酸性
化合物、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合物、
および2級アミン化合物からなる群より選択される少な
くとも1種の化合物でなる処理剤と反応させることによ
り、該ビニル系重合体のチオカルボニルチオ基は、メル
カプト基に変換される。
【0037】好適な実施態様では、上記処理剤は、塩基
性化合物である。
【0038】好適な実施態様では、上記(B)の一分子
中に二つ以上の水素−ケイ素結合を有する化合物は、一
般式(5)で示される化合物、一般式(6)で示される
化合物、および一般式(7)で示される化合物からなる
群より選択される化合物である:
【0039】
【化12】
【0040】(式中、Rは炭素数1以上の有機基また
はシロキシ基を示し;nは0以上の整数であり、rは0
以上の整数であり、rは同じでもよく、異なっていても
よく、aおよびbは、それぞれ独立に、0、1、2、ま
たは3であり、2≦n+a+bを満たし;Rが複数存
在する場合、互いに同一でもよく、異なっていてもよ
い);
【0041】
【化13】
【0042】(式中、Rは炭素数1以上の有機基また
はシロキシ基を示し;cは2以上の整数であり、dは0
以上の整数であり、3≦c+dを満たし;Rが複数存
在する場合、互いに同一でもよく、異なっていてもよ
い);および
【0043】
【化14】
【0044】(式中、Rは炭素数1以上の有機基また
はシロキシ基を示し;Rは炭素数1以上の2価の有機
基またはシロキシ基を示し;eは1以上の整数であり、
fは0以上の整数であり、2≦e+fを満たし;R
複数存在する場合、互いに同一でもよく、異なっていて
もよく;eおよびfはそれぞれ同一でもよく、異なって
いてもよい)。
【0045】好適な実施態様では、上記粘着剤組成物
は、さらに、(C)ヒドロシリル化触媒を含有する。
【0046】好適な実施態様では、上記(C)のヒドロ
シリル化触媒は白金含有化合物である。
【0047】好適な実施態様では、上記粘着剤組成物
は、さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老
化防止剤、粘着性付与剤、シランカップリング剤、およ
び貯蔵安定性改良剤からなる群より選択される少なくと
も一種の添加剤を含有する。
【0048】好適な実施態様では、上記粘着剤組成物
は、上記(A)のアルケニル基含有ビニル系重合体と、
前記(B)の一分子中に二つ以上の水素−ケイ素結合を
有する化合物との、ヒドロシリル化反応により得られ
る。
【0049】本発明はまた、上記粘着剤組成物が、基材
の少なくとも片方の面に付与された、粘着シートを提供
する。
【0050】好適な実施態様では、上記基材は、ポリオ
レフィン樹脂またはアクリル樹脂でなる。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明の粘着剤組成物は、一分子
中に一つ以上のアルケニル基と、硫黄原子とを有し、か
つゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析で求めた
分子量分布が2以下である、ビニル系重合体(以下、ビ
ニル系重合体(A)という場合がある)、および一分子
中に二つ以上の水素−ケイ素結合を有する化合物(以
下、H−Si化合物(B)という場合がある)を含有す
る。以下、本発明の組成物に含有される成分および本発
明の組成物について順次説明する。
【0052】[ビニル系重合体(A)の調製の概略]本
発明の組成物に含有されるビニル系重合体(A)は、一
分子中に一つ以上のアルケニル基と、硫黄原子とを有
し、かつゲル浸透クロマトグラフィー分析で求めた分子
量分布が2以下である。このビニル系重合体(A)を製
造するための方法は特に限定されないが、該ビニル系重
合体(A)分子中におけるアルケニル基の位置およびア
ルケニル基の数を容易に制御でき、かつアルケニル基を
簡便に導入することができる点で、一般式(1)
【0053】
【化15】
【0054】で示されるチオカルボニルチオ基を一分子
中に一つ以上有するビニル系重合体を製造し、該チオカ
ルボニルチオ基をメルカプト基またはメルカプチド基に
変換し、そこにアルケニル基を導入する方法が好まし
い。
【0055】一般式(2)または(3)で示されるチオ
カルボニルチオ基を有する化合物の存在下で、ビニル系
単量体をラジカル重合して、チオカルボニルチオ基を有
するビニル系重合体を得る場合について説明する(下記
のスキーム1および後述のスキーム2)。
【0056】
【化16】
【0057】スキーム1においては、まず、チオカルボ
ニルチオ基を有する化合物(2)の存在下で、ビニル系
単量体(上記スキームにおいてXで示す)のラジカル重
合を行うことにより、チオカルボニルチオ基を有するビ
ニル系重合体(a1)が生成する(上記スキーム1にお
いて、nは結合した単量体の数を示す)。
【0058】次いで、この重合体を、塩基性化合物、酸
性化合物、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合
物、および2級アミン化合物からなる群より選択される
少なくとも1種の化合物でなる処理剤と反応させること
により、該重合体のチオカルボニルチオ基が、メルカプ
ト基またはメルカプチド基に変換される(スキーム1中
ではメルカプト基)。このようにして、例えば、メルカ
プト基を有するビニル系重合体(a2)が得られる。
【0059】次いで、得られたビニル系重合体(a2)
を、例えば、アルケニル基含有化合物と反応させること
により、ビニル系重合体(A)が得られる。p=1の場
合は、スキームに示すように、ビニル系重合体(A1)
が、そしてp=2の場合はビニル系重合体(A2)が生
成する。ここで、アルケニル基含有化合物とは、一分子
中にメルカプト基またはメルカプチド基と結合を形成す
ることの可能な官能基およびアルケニル基を有する化合
物である。スキーム1では、代表例として、上記官能基
であるメルカプト基とアルケニル基であるアリル基とを
有するアリルメルカプタンを例に挙げて示す。
【0060】上記アルケニル基含有化合物の代わりにア
セチレン化合物を使用することも可能である。アセチレ
ン化合物としてアセチレンを用いた場合は、スキーム1
の最下列に示すように、メルカプト基がアセチレンの炭
素−炭素三重結合に付加反応し、それによって新たに炭
素−炭素二重結合(アルケニル基部分)が生じ、p=1
の場合はビニル系重合体(A3)およびp=2の場合は
ビニル系重合体(A4)が得られる。
【0061】
【化17】
【0062】一般式(3)で示されるチオカルボニルチ
オ基を有する化合物を用いる場合は、上記スキーム2に
示されるように、上記一般式(2)のチオカルボニルチ
オ基を有する化合物を用いる場合と同様に、チオカルボ
ニルチオ基を有するビニル系重合体(a3)が生成す
る。この重合体(a3)を処理剤で処理すると、C−S
間の結合が切断され、メルカプト基またはメルカプチド
基(スキーム2中ではメルカプト基)を有するビニル系
重合体(a4)が形成される。さらにアルケニル基含有
化合物またはアセチレン化合物と反応させることによっ
て、ビニル系重合体(A1)または(A3)が生成す
る。
【0063】以下、本発明の組成物に含有されるビニル
系重合体(A)を調製する際に使用される単量体、重合
用の試薬、および重合方法などについて、上記スキーム
に示される工程の順に説明する。
【0064】[ビニル系単量体]本発明で使用するビニ
ル系単量体は、ラジカル重合可能なビニル基またはビニ
リデン基を有する化合物である。このようなビニル系単
量体としては、次の化合物が挙げられるが、それらに限
定されない:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデ
シル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエ
チルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸テトラヒドロフルフリル、ジメタクリル酸エチレン
グリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、
ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリ
ル酸1,3−ブチレングリコール、トリメタクリル酸ト
リメチロールプロパン、メタクリル酸イソプロピル、メ
タクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリ
ル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノ
ニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸フェニル、メ
タクリル酸トルイル、メタクリル酸イソボルニル、メタ
クリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキ
シブチル、メタクリル酸2−アミノエチル、2−メタク
リロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタ
クリロイルオキシポリピルジメトキシメチルシラン、メ
タクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸ペンタフ
ルオロエチル、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルア
ミノ)エチル、メタクリル酸3−アミノプロピル、メタ
クリル酸3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル、メ
タクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルなどのメタ
クリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル
酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシ
エチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、2
−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラ
ン、2−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸ペンタ
フルオロエチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロ
エチル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチル、アクリ
ル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ア
クリル酸t−ブチル、アクリル酸ラウリル、アルキル変
性ジペンタエリスリトールのアクリレート、エチレンオ
キサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、アクリ
ル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性ジペンタエ
リスリトールのアクリレート、カプロラクトン変性テト
ラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル
ジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アク
リル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸テトラヒ
ドロフルフリル、アクリル酸トリプロピレングリコー
ル、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコ
ールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、ア
クリル酸1,9−ノナンジオール、アクリル酸1,4−
ブタンジオール、2−プロペノイックアシッド〔2−
〔1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペ
ニル)オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキ
サン−5−イル〕メチルエステル、アクリル酸1,6−
ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェン
フタレート、3−メトキシアクリル酸メチル、アクリル
酸2−アミノエチル、アクリル酸2−(N,N−ジメチ
ルアミノ)エチル、アクリル酸3−アミノプロピル、ア
クリル酸3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル、ア
クリル酸アリルなどのアクリル酸エステル;スチレン、
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキ
シスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなど
の芳香族アルケニル化合物;エチレン、プロピレン、1
−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン、1−デセンなどの1−アルケニル化
合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシ
アン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共
役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テト
ラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ
化ビニリデン、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲ
ン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニ
ルトリフェニルシラン、ビニルトリエチルシランなどの
ケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸、マレイン
酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、
フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル
などの不飽和ジカルボン酸化合物;酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ケ
イ皮酸ビニル、ジビニルカーボネート、ビニルエチルカ
ーボネート、ビニルフェニルカーボネートなどのビニル
エステル化合物;酢酸アリル、プロピオン酸アリル、ピ
バリン酸アリル、安息香酸アリル、ケイ皮酸アリル、ジ
アリルカーボネート、アリルメチルカーボネート、アリ
ルフェニルカーボネートなどのアリルエステル化合物;
ビニルフェニルエーテル、ビニルエチルエーテル、ジビ
ニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエー
テル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリ
メチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリス
リトールモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールジ
ビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエー
テル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、
1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,4−
ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコール
モノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエー
テル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、プロ
ピレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリ
コールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールジ
ビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニル
エーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテ
ル、ビニルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテ
ル、アリルエチルエーテル、ジアリルエーテル、ビニル
アリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエ
ーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ト
リメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリ
スリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトール
ジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエ
ーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、
1,4−ブタンジオールモノアリルエーテル、1,4−
ブタンジオールジアリルエーテル、エチレングリコール
モノアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエー
テル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、プロ
ピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリ
コールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールジ
アリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリル
エーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテ
ル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和基含有エー
テル化合物;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマ
レイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘ
キシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレ
イミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、
シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物;ア
クリル酸、メタクリル酸;アクロレイン、メタクロレイ
ン;1,6−ヘプタジエン、ジアリルアンモニウム塩な
どの環化重合可能な単量体;N−ビニルピロリドン、N
−ビニルカルバゾールなどのN−ビニル化合物など。こ
れらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いて
もよい。
【0065】これらのビニル系単量体のうち、入手性と
価格の点で、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレ
ン、ブタジエン、イソプレン、およびクロロプレンが好
ましい。得られた重合体を粘着性組成物として用いた場
合の耐熱性、耐候性、および耐光性の点で、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル、およびアクリロニトリルがより好ましい。
【0066】また、得られた重合体を粘着性組成物とし
て用いた場合の粘着性および接着性を向上できる点で、
ビニル系単量体は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、
アミノ基、エポキシ基などの官能基を有するビニル系単
量体を含む単量体混合物であることが好ましい。上記の
ような官能基を有するビニル系単量体として、アクリル
酸、メタクリル酸、ヒドロキシル基含有アクリル酸エス
テル、ヒドロキシル基含有メタクリル酸エステル、カル
ボキシル基含有アクリル酸エステル、カルボキシル基含
有メタクリル酸エステル、アミノ基含有アクリル酸エス
テル、アミノ基含有メタクリル酸エステル、エポキシ基
含有アクリル酸エステル、およびエポキシ基含有メタク
リル酸エステルからなる群より選択される少なくとも一
種の単量体を、ビニル系単量体総重量の0.1〜50重
量%の割合で含むことが好ましく、0.5〜30重量%
がより好ましい。
【0067】[チオカルボニルチオ基を有する化合物]
上述のように、ビニル系重合体(A)を製造するための
方法は特に限定されない。所望の数のアルケニル基を所
望の位置に有し、かつ分子内に硫黄原子を含むビニル系
重合体(A)を容易に得ることができる点で、一般式
(1)
【0068】
【化18】
【0069】で示されるチオカルボニルチオ基を一分子
中に一つ以上有するビニル系重合体を利用する方法が好
ましい。
【0070】このような、チオカルボニルチオ基を一分
子中に一つ以上有するビニル系重合体を合成する方法と
しては、特に限定されないが、分子量の制御が容易であ
り、分子量分布の狭い重合体を得ることができる点で、
以下の一般式(2)および一般式(3)で示される化合
物(チオカルボニルチオ基を有する化合物)からなる群
より選択される少なくとも1種のチオカルボニルチオ基
を有する化合物の存在下で、ビニル系単量体をラジカル
重合させる方法が好ましい:
【0071】
【化19】
【0072】(式中、Rは炭素数1以上のp価の有機
基であり、該p価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および
金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよ
く、高分子量体であってもよく;Zは水素原子、ハロ
ゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、
該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハ
ロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少な
くともひとつを含んでいてもよく、高分子量体であって
もよく;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合、
は同じでもよく異なっていてもよい)、および
【0073】
【化20】
【0074】(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機
基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および
金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよ
く、高分子量体であってもよく;Zは硫黄原子(q=
2の場合)、酸素原子(q=2の場合)、窒素原子(q
=3の場合)、または炭素数1以上のq価の有機基であ
り、該q価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原
子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうち
の少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体で
あってもよく;qは2以上の整数であり;Rは同じで
もよく異なっていてもよい)。
【0075】上記チオカルボニルチオ基を有する化合物
(2)のRは特に限定されない。化合物の入手性の点
で、好ましくは、Rの炭素数は、1〜20であり、そ
してpは6以下である。Rの例としては、アルキル
基、置換アルキル基、アラルキル基、置換アラルキル
基、2価以上の脂肪族炭化水素基、2価以上の芳香族炭
化水素基、芳香環を有する2価以上の脂肪族炭化水素
基、脂肪族基を有する2価以上の芳香族炭化水素基、ヘ
テロ原子を含む2価以上の脂肪族炭化水素基、ヘテロ原
子を含む2価以上の芳香族置換炭化水素基などがある。
化合物の入手性および重合活性の点で、次の基が好まし
い:ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−(2−フ
ェニルプロピル)基、1−アセトキシエチル基、1−
(4−メトキシフェニル)エチル基、エトキシカルボニ
ルメチル基、2−(2−エトキシカルボニルプロピル)
基、2−(2−シアノプロピル)基、t−ブチル基、
1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−(2−
(p−クロロフェニル)プロピル)基、ビニルベンジル
基、t−ブチルスルフィド基、2−カルボキシルエチル
基、カルボキシルメチル基、シアノメチル基、1−シア
ノエチル基、2−(2−シアノブチル)基、および次式
で示される有機基:
【0076】
【化21】
【0077】
【化22】
【0078】
【化23】
【0079】
【化24】
【0080】(式中、Rは炭素数1以上の2価の有機
基を示し、nは1以上の整数であり、rは0以上の整数
であり、rは同一でもよく異なっていてもよい)。上記
式中のnおよびrは、化合物の入手性の点で、好ましく
は500以下である。Rの炭素数は、好ましくは1〜
20である。Rの構造としては、例えば、−(C
−(nは1以上の整数)、−C−、−C
−C−CH−などを挙げることができる
が、これらに限定されない。
【0081】さらにRは、上記のように、高分子量体
であってもよく、その例としては、次の基が挙げられ
る:ポリエチレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポ
リプロピレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリテ
トラメチレンオキシド構造を有する炭化水素基、ポリエ
チレンテレフタレート構造を有する炭化水素基、ポリブ
チレンテレフタレート構造を有する炭化水素基、ポリジ
メチルシロキサン構造を有する炭化水素基、ポリカーボ
ネート構造を有する炭化水素基、ポリエチレン構造を有
する炭化水素基、ポリプロピレン構造を有する炭化水素
基、ポリアクリロニトリル構造を有する炭化水素基な
ど。これらの炭化水素基には酸素原子、窒素原子、およ
び硫黄原子のうちの少なくともひとつが含まれていても
よく、シアノ基、アルコキシ基などが含まれていてもよ
い。これらの分子量は、通常、500以上である。以
下、本発明において高分子量体の基とは、上記のような
基を指していう。
【0082】上記チオカルボニルチオ基を有する化合物
(2)のZは特に限定されない。化合物の入手性の点
で、Zが有機基である場合に、その炭素数は、好まし
くは1〜20である。Zの例としては、アルキル基、
置換アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ア
リール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラル
キル基、複素環基、N−アリール−N−アルキルアミノ
基、N,N−ジアリールアミノ基、N,N−ジアルキル
アミノ基、チオアルキル基、ジアルキルホスフィニル基
などがある。化合物の入手性および重合活性の点で、次
の基が好ましい:フェニル基、メチル基、エチル基、ベ
ンジル基、4−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2
−ナフチル基、ジエトキシホスフィニル基、n−ブチル
基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、チオメチ
ル基(メチルスルフィド)、フェノキシ基、チオフェニ
ル基(フェニルスルフィド)、N,N−ジメチルアミノ
基、N,N−ジエチルアミノ基、N−フェニル−N−メ
チルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、チ
オベンジル基(ベンジルスルフィド)、ペンタフルオロ
フェノキシ基、および次式
【0083】
【化25】
【0084】で示される有機基。
【0085】上記チオカルボニルチオ基を有する化合物
(3)のRは特に限定されない。化合物の入手性の点
で、好ましくは、Rの炭素数は、1〜20である。R
の例としては、アルキル基、置換アルキル基、アラル
キル基、置換アラルキル基などがある。化合物の入手性
および重合活性の点で、次の基が好ましい:ベンジル
基、1−フェニルエチル基、2−(2−フェニルプロピ
ル)基、1−アセトキシエチル基、1−(4−メトキシ
フェニル)エチル基、エトキシカルボニルメチル基、2
−(2−エトキシカルボニルプロピル)基、2−(2−
シアノプロピル)基、t−ブチル基、1,1,3,3−
テトラメチルブチル基、2−(2−(p−クロロフェニ
ル)プロピル)基、ビニルベンジル基、t−ブチルスル
フィド基、2−カルボキシルエチル基、カルボキシルメ
チル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−
(2−シアノブチル)基、および次式で示される有機
基:
【0086】
【化26】
【0087】(式中、nは1以上の整数であり、rは0
以上の整数である)。上記式中のnおよびrは、化合物
の入手性の点で、好ましくは500以下である。
【0088】上記チオカルボニルチオ基を有する化合物
(3)のZは特に限定されない。化合物の入手性の点
で、Zが有機基である場合に、その炭素数は、好まし
くは1〜20であり、qは6以下である。Zの例とし
ては2価以上の脂肪族炭化水素基、2価以上の芳香族炭
化水素基、芳香環を有する2価以上の脂肪族炭化水素
基、脂肪族基を有する2価以上の芳香族炭化水素基、ヘ
テロ原子を含む2価以上の脂肪族炭化水素基、ヘテロ原
子を含む2価以上の芳香族置換炭化水素基などがある。
化合物の入手性および重合活性の点で、次式:
【0089】
【化27】
【0090】(式中、nは1以上の整数であり、rは0
以上の整数である)で示される有機基が好ましい。上記
式中のnおよびrは、化合物の入手性の点で、好ましく
は500以下である。
【0091】ビニル系重合体(A)中の硫黄原子は、後
述のように、アルケニル基を導入するための活性点とな
り得る。そのため、分子の末端に硫黄原子を有するビニ
ル系重合体が好ましく、分子の各末端に硫黄原子を有す
るビニル系重合体がより好ましく、両末端に硫黄原子を
有する直鎖状ビニル系重合体が特に好ましい。両末端に
アルケニル基を有する直鎖状ビニル系重合体を容易に製
造できる点で、以下の一般式(4)で示される化合物を
用いることが好ましい:
【0092】
【化28】
【0093】(式中、Rは炭素数1以上の2価の有機
基であり、該2価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および
金属原子のうちの少なくともひとつを含んでいてもよ
く、高分子量体であってもよく;Zは水素原子、ハロ
ゲン原子、または炭素数1以上の1価の有機基であり、
該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハ
ロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子を含んでいて
もよく、高分子量体であってもよく;Zは同じでもよ
く異なっていてもよい)。
【0094】上記チオカルボニルチオ基を有する化合物
(4)のRは特に限定されない。化合物の入手性の点
で、Zが有機基である場合に、その炭素数は、好まし
くは1〜20である。化合物の入手性および重合活性の
点で、次式で示される基が好ましい:
【0095】
【化29】
【0096】
【化30】
【0097】(式中、Rは炭素数1以上の2価の有機
基を示し、nは1以上の整数であり、rは0以上の整数
である。rは同一でもよく異なっていてもよい)。上記
式中のnおよびrは、化合物の入手性の点で、好ましく
は500以下である。Rの炭素数は、好ましくは1〜
20である。Rの構造としては、例えば、−(C
−(nは1以上の整数)、−C−、およ
び−CH−C−CH −などを挙げることがで
きるが、これらに限定されない。
【0098】上記チオカルボニルチオ基を有する化合物
(4)のZについては、上述のとおりである。
【0099】上記チオカルボニルチオ基を有する化合物
の具体例としては、次式で示される化合物が挙げられる
が、これらに限定されない:
【0100】
【化31】
【0101】
【化32】
【0102】
【化33】
【0103】
【化34】
【0104】
【化35】
【0105】
【化36】
【0106】
【化37】
【0107】(式中、Meはメチル基、Etはエチル
基、Phはフェニル基、Acはアセチル基を示し;R
は炭素数1以上の2価の有機基を示し;nは1以上の整
数であり、rは0以上の整数であり、rは同じでもよく
異なっていてもよい)。上記式中のnおよびrは、化合
物の入手性の点で、好ましくは500以下である。R
の炭素数は、好ましくは1〜20である。Rの構造と
しては、例えば、−(CH −(nは1以上の整
数)、−C−、および−CH−C−CH
−などを挙げることができるが、これらに限定されな
い。
【0108】上記チオカルボニルチオ基を有する化合物
の使用量は、特に制限はなく、使用するビニル系単量体
の量論から計算して使用することができる。一般的に、
得られる重合体のモル数がチオカルボニルチオ基を有す
る化合物のモル数にほぼ等しいため、使用する単量体と
チオカルボニルチオ基を有する化合物のモル比を調節す
ることにより、重合体の分子量を制御することが可能で
ある。使用する単量体の分子量をMm、単量体の使用量
をxモル、チオカルボニルチオ基を有する化合物の分子
量をMr、チオカルボニルチオ基を有する化合物の使用
量をyモルとすると、単量体の反応率が100%の場
合、得られる重合体の理論分子量は、(x/y)×Mm
+Mrで示される。したがって、チオカルボニルチオ基
を有する化合物の使用量は、目的とするビニル系重合体
の数平均分子量から計算して使用すればよい。
【0109】[ビニル系重合体の重合に用いられる溶
剤、添加剤、および重合方法]本発明において、チオカ
ルボニルチオ基を有する化合物の存在下、ビニル系単量
体をラジカル重合する際の形式については特に限定され
ない。塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、微細
懸濁重合など、通常用いられる方法を適用することが可
能である。これらの重合反応系にチオカルボニル基を有
する化合物を存在させればよい。これらのうち、コスト
および安全性の点で、乳化重合、懸濁重合、微細懸濁重
合のような水系重合が好ましい。また、重合する単量体
を一括して反応器に仕込んで反応させてもよく、逐次添
加してもよい。
【0110】上記ビニル系単量体を溶液重合させる場合
に使用される溶剤としては、次の溶剤が挙げられるが、
それらに限定されない:ヘプタン、ヘキサン、オクタ
ン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの炭化水
素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテー
トなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シ
クロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−
ブタノール、イソブタノールなどのアルコール系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエー
テル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテ
ル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミドなど
のアミド系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、スワ
ゾール310(コスモ石油社製)、スワゾール1000
(コスモ石油社製)、スワゾール1500(コスモ石油
社製)などの芳香族石油系溶剤など。これらは単独で用
いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。使用する溶
剤の種類や量については、使用する単量体の溶解度、得
られる重合体の溶解度、十分な反応速度を達成するため
に適切な重合開始剤濃度や単量体濃度、チオカルボニル
チオ基を有する化合物の溶解度、人体や環境に与える影
響、入手性、および価格などを考慮して決定すればよ
く、特に限定されない。入手性、価格の点で、工業的に
はトルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラ
ン、およびアセトンが好ましく、トルエンがより好まし
い。
【0111】上記ビニル系単量体を乳化重合または微細
懸濁重合させる場合、使用される乳化剤としては、次の
乳化剤が挙げられるが、それらに限定されない:脂肪酸
石けん、ロジン酸石けん、ナフタレンスルホン酸ナトリ
ウムホルマリン縮合物、アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム、アルキル硫酸ナトリウム(例えば、ドデシル
硫酸ナトリウム)、アルキル硫酸アンモニウム、アルキ
ル硫酸トリエタノールアミン、ジアルキルスルホコハク
酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォ
ン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レン高級アルコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセ
リン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアル
カノールアミドなどの非イオン系界面活性剤;アルキル
トリメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン系界
面活性剤など。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、
複数を組合せて用いてもよい。必要に応じて、アルキル
アミン塩酸塩などのカチオン系界面活性剤を使用しても
よく、後述する懸濁重合の分散剤を添加してもよい。乳
化剤の使用量は特に限定されないが、乳化状態が良好で
重合がスムーズに進行する点で、単量体100重量部に
対して0.1〜20重量部が好ましい。これらの乳化剤
のうち、乳化状態の安定性の点で非イオン系界面活性剤
が好ましい。また、乳化状態を安定化させる目的で、種
々の乳化助剤を併用することもできる。このような乳化
助剤としては特に限定されないが、例えば、ヘキサデカ
ン、ヘプタデカンなどの直鎖状炭化水素;ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、水素添加ポリブ
タジエンなどの炭化水素系高分子;アセトン、エタノー
ル、メタノールなどの極性有機溶媒;オクチルアルコー
ル、デシルアルコール、ラウリルアルコールなどの高級
アルコールなどを挙げることができる。これらの乳化助
剤の使用量は特に限定されないが、コストと効果とのバ
ランスに優れる点で、乳化剤100重量部に対して0.
1〜20重量部使用するのが好ましく、0.5〜15重
量部使用するのがより好ましい。
【0112】上記単量体を懸濁重合させる場合、使用さ
れる分散剤としては、通常用いられる分散剤のいずれを
も利用することが可能である。例えば、次の分散剤が挙
げられるが、それらに限定されない:部分けん化ポリ酢
酸ビニル、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリアルキレ
ンオキサイド、アニオン性界面活性剤と分散助剤との組
合せなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せ
て用いてもよい。必要に応じて、上記乳化重合の乳化剤
を併用してもよい。分散剤の使用量は特に限定されない
が、重合がスムーズに進行する点で、単量体100重量
部に対して0.1〜20重量部が好ましい。
【0113】上記ラジカル重合の際に使用される重合開
始剤、あるいは重合開始方法については特に限定され
ず、通常用いられる重合開始剤、あるいは重合開始方法
を用いることができる。例えば、重合開始剤として次の
化合物が挙げられるが、それらに限定されない:メチル
エチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトン
パーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メ
チルシクロヘキサノンパーオキサイド、イソブチリルパ
ーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパ
ーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイル
パーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ク
メンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒ
ドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイ
ド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオ
キサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル
−α−クミルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキ
サイド、1,4−ビス〔(t−ブチルパーオキシ)イソ
プロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔(t−ブチルパー
オキシ)イソプロピル〕ベンゼン、2,5−ジメチル−
2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)
−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブ
チル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレー
ト、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t
−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ
イソブチレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、
t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキ
シネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,
5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,
5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)
ヘキサン、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカ
ーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ
−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス(3−
メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ビス(2
−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ビス
(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボ
ネート、O−t−ブチル−O−イソプロピルパーオキシ
カーボネート、コハク酸パーオキサイドなどの過酸化物
系重合開始剤;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプ
ロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチ
ル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブ
チロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン
−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾ
ビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビ
ス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−
アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(t−ブチルア
ゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,
4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス
(2−メチルプロパン)などのアゾ系重合開始剤;過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物;ス
チレンなどのように熱的にラジカル種を生成するビニル
系単量体;ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシル
フォスフィンオキシド、フォトレドックス系などのよう
に光によりラジカル種を発生する化合物;亜硫酸ナトリ
ウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒ
ドスルフォキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄な
どを還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水
素、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどを酸化剤とす
るレドックス型重合開始剤など。これらの重合開始剤は
単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。こ
の他に、電子線照射、エックス線照射、放射線照射など
による重合開始系を利用することも可能である。このよ
うな重合開始方法に関しては、Moad and So
lomon“The Chemistry of Fr
eeRadical Polymerizatio
n”,Pergamon,London,1995,5
3−95ページに記載されている方法が使用可能であ
る。
【0114】本発明の実施において使用する重合開始剤
の使用量については特に限定されないが、分子量分布の
狭い重合体を得られる点で、重合中に発生するラジカル
種の量が、チオカルボニルチオ基を有する化合物のチオ
カルボニルチオ基1モルに対して1モル以下が好まし
く、0.5モル以下がより好ましい。また、重合中に発
生するラジカル種の量を制御するために、重合開始剤の
使用量と合わせて、熱的解離する重合開始剤の場合には
温度を調節すること、光や電子線などによりラジカルを
発生する重合開始系の場合には照射するエネルギー量を
調節することが好ましい。重合を制御しやすい点で、熱
的解離する重合開始剤を用い、その半減期が0.5〜5
0時間となるような温度で重合反応を行うことが好まし
く、半減期が1〜20時間となるような温度で重合反応
を行うことがより好ましく、半減期が5〜15時間とな
るような温度で重合反応を行うことが特に好ましい。
【0115】上記の重合反応は、以下のスキームに示す
とおりである。すなわち、ビニル系単量体(X)を、チ
オカルボニルチオ基を有する化合物(2)または(3)
の存在下でラジカル重合することにより、チオカルボニ
ルチオ基を有するビニル系重合体(a1)または(a
3)が得られる。
【0116】
【化38】
【0117】[チオカルボニルチオ基を有するビニル系
重合体のチオカルボニルチオ基のメルカプト基またはメ
ルカプチド基への変換方法および用いられる試薬]上記
チオカルボニルチオ基を有するビニル系重合体に、アル
ケニル基を導入する方法は、特に制限されない。簡便
に、かつ、確実にアルケニル基を導入できる点で、この
ようなビニル系重合体のチオカルボニルチオ基をメルカ
プト基またはメルカプチド基に変換した後にアルケニル
基を導入する方法が、好ましい。
【0118】上記チオカルボニルチオ基を有するビニル
系重合体は、処理剤で処理することにより、該チオカル
ボニルチオ基がメルカプト基またはメルカプチド基に変
換される。ここで用いられる処理剤は、特に制限されな
いが、反応効率が高い点で、塩基性化合物、酸性化合
物、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合物、およ
び2級アミン化合物からなる群より選択される化合物を
採用することが好ましい。
【0119】上記処理剤のうち、塩基性化合物として
は、特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど
のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化バリウム、水酸化セシウムなどのア
ルカリ土類金属水酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化
亜鉛などの遷移金属水酸化物;ナトリウムメチラート、
ナトリウムエチラート、ナトリウムフェニラート、リチ
ウムエチラート、リチウムブチラートなどのアルカリ金
属アルコラート;マグネシウムメチラート、マグネシウ
ムエチラートなどのアルカリ土類金属アルコラート;水
素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、
水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム
などの金属水素化物;ハイドロサルファイト、n−ブチ
ルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルマグネシウム
ブロマイド、フェニルマグネシウムブロマイドなどの有
機金属試薬;トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン
などの3級アミン化合物など。さらに、金属リチウム、
金属ナトリウム、金属カリウムなどのアルカリ金属;金
属マグネシウム、金属カルシウムなどのアルカリ土類金
属も、使用可能である。これらは単独で用いてもよく、
複数を組合せて用いてもよい。これらのうち、入手性、
価格、反応性の点で、次の化合物が好ましい:水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムメチラー
ト、ナトリウムエチラート、水素化ナトリウム、水素化
リチウム、金属リチウム、金属ナトリウム、および金属
カリウム。取り扱いやすさの点では、次の化合物が好ま
しい:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ナトリ
ウムメチラート、およびナトリウムエチラート。
【0120】上記処理剤のうち、酸性化合物としては、
特に限定されないが、次の化合物が挙げられる:塩酸、
硝酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ホウ
フッ化水素酸、クロロスルホン酸、ヨウ化水素酸、ヒ
酸、ケイフッ化水素酸などの無機酸;p−トルエンスル
ホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、酢酸、トリフ
ルオロ酢酸、メチルリン酸、エチルリン酸、n−プロピ
ルリン酸、イソプロピルリン酸、n−ブチルリン酸、ラ
ウリルリン酸、ステアリルリン酸、2−エチルヘキシル
リン酸、イソデシルリン酸、ジメチルジチオリン酸、ジ
エチルジチオリン酸、ジイソプロピルジチオリン酸、フ
ェニルホスホン酸などの有機酸;強酸性イオン交換樹
脂、弱酸性イオン交換樹脂など。さらに、微量の水分と
反応して酸性を示す化合物も使用可能である。このよう
な化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水
トリフルオロ酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸などの
酸無水物;ハロゲン化アシル;四塩化チタン、塩化アル
ミニウム、塩化ケイ素などの金属ハロゲン化物など。こ
れらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよ
い。これらのうち、入手性、価格、反応性の点で、塩
酸、硝酸、硫酸、リン酸、塩化アルミニウム、四塩化チ
タン、クロロスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ト
リフルオロメチルスルホン酸、酢酸、およびトリフルオ
ロ酢酸が好ましい。
【0121】上記処理剤のうち1級アミン化合物および
2級アミン化合物とは、1級および2級のアミン、およ
びこれに類似する性質を有する化合物を包含する。アミ
ド、イミドなどのアミンに類似する性質を有する化合物
も本発明でいうアミン化合物に包含される。このような
1級および2級のアミン化合物としては、特に限定され
ないが、次の化合物が挙げられる:硫酸ヒドロキシルア
ミン、ヒドロキシルアミン、N−(2−アミノエチル)
エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、12
−アミノドデカン酸、3−アミノ−1−プロパノール、
アミン変性アクリルポリマー、アリルアミン、ジアリル
アミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、
3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、エチルアミ
ン、ジエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−
(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エ
トキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−(ジ
エチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシ
ルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、s
ec−ブチルアミン、n−プロピルアミン、3−(メチ
ルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プ
ロピルアミン、N−メチル−3,3’−イミノビス(プ
ロピルアミン)、3−メトキシプロピルアミン、イソプ
ロパノールアミン、N−イソプロピルアクリルアミド、
イミノジ酢酸、3,3’−イミノジプロピオニトリル、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−エチ
ルエチレンジアミン、エチレンイミン、エチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミ
ン、N−カルボキシ−4,4’−メチレンビスシクロヘ
キシルアミン、カルボヒドラジド、塩酸グアニジン、硝
酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、ス
ルファミン酸グアニジン、塩酸アミノグアニジン、重炭
酸アミノグアニジン、グアニルチオ尿素、リン酸グアニ
ル尿素、硫酸グアニル尿素、グリシルグリシン、2−ク
ロロエチルアミン、1,4−ジアミノブタン、1,2−
ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ジアミ
ノマレオニトリル、シクロヘキシルアミン、シクロペン
チルアミン、ジシアンジアミド、ジシクロヘキシルアミ
ン、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)アクリル
アミド、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)メタ
クリルアミド、ジメチルアミンボラン、ジメチルヒドラ
ジン、N,N’−エチレンビス(ステアロアミド)、オ
レイン酸アミド、ステアリン酸アミド、N,N’−メチ
レンビス(ステアロアミド)、メチロール・ステアロア
ミド、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,
8,10−テトラオクサスピロ[5.5]ウンデカン、
CTUグアナミン、チオカルボヒドラジド、チオセミカ
ルバジド、チオ尿素、ドデカン二酸ジヒドラジド、トラ
ンス−1,2−シクロヘキサンジアミン、アジピン酸ジ
ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジ
ヒドラジド、二酸化チオ尿素、2−ヒドロキシエチルア
ミノプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルア
ミン、t−ブチルアミン、2−ブロモエチルアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンビス
(N,N−ジメチルセミカルバジド)、n−ヘキシルア
ミン、ポリエチレンイミン、ホルムアミジン、ホルムア
ミジン酢酸塩、ホルムアミド、メタクリルアミド、モノ
メチルアミン、ジメチルアミン、N,N’−メチレンビ
ス(アクリルアミド)、N−メチロールアクリルアミ
ド、モノメチルヒドラジン、3−(ラウリルオキシ)プ
ロピルアミン、アセトアニリド、アセト酢酸o−アニシ
ダイド、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸m−キシリダ
イド、アセト酢酸o−クロロアニリド、アセト酢酸2,
5−ジメトキシアニリド、アセト酢酸2,5−ジメトキ
シ−4−クロロアニリド、アセト酢酸o−トルイダイ
ド、アセト酢酸p−トルイダイド、o−アニシジン、p
−アニシジン、アニリン、p−アミノアセトアニリド、
p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチルエステ
ル、2−アミノ−4−クロロフェノール、2−アミノチ
アゾール、2−アミノチオフェノール、2−アミノ−5
−ニトロベンゾニトリル、o−アミノフェノール、m−
アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−アミノ
ベンズアルデヒド、4−アミノベンゾニトリル、アント
ラニル酸、3−イソプロポキシアニリン、N−エチルア
ニリン、N−エチレントルエンスルホンアミド、2,4
−キシリジン、3,4−キシリジン、m−キシリレンジ
アミン、p−クレシジン、ジアニシジン、4,4’−ジ
アミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、1,4−
ジアミノアントラキノン、4,4’−ジアミノ−3,
3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ベンズアニリド、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミ
ノナフタレン、ジアミノアントラセン、ジフェニルアミ
ン、ジベンジルアミン、3,3’−ジメチル−4,4’
−ジアミノジフェニルメタン、スルファニル酸、1,
1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン
ジ−p−フェニレン)ジセミカルバジド、トビアス酸、
2,4,5−トリクロロアニリン、o−トリジン、o−
トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、m−ト
ルイレンジアミン、ナフチオン酸ソーダ、o−ニトロア
ニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o
−ニトロ−p−クロロアニリン、m−ニトロ−p−トル
イジン、o−クロロ−p−トルイジン−m−スルホン
酸、p−ヒドロキシフェニルアセトアミド、7−アニリ
ノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、フェ
ニルヒドラジン、o−フェニレンジアミン、m−フェニ
レンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−フェネチ
ジン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、ベンゾフェ
ノンヒドラゾン、メシジン、メタニル酸、N−メチルア
ニリン、2−メチル−4−ニトロアニリン、2−メチル
−4−メトキシジフェニルアミン、2−アミノ−5−メ
チルベンゼンスルホン酸、ロイコ−1,4−ジアミノア
ントラキノン、パラミン、p−ヒドロキシフェニルグリ
シン、アセトアルデヒドアンモニア、アセトグアナミ
ン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、2−アミ
ノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジ
ン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(3−
アミノプロピル)モルホリン、1−アミノ−4−メチル
ピペラジン、イソシアヌル酸、イミダゾール、2−メチ
ルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾー
ル、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダ
ゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル
−4−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メ
チルイミダゾール、1−(シアノエチルアミノエチル)
−2−メチルイミダゾール、N−(2−(2−メチル−
1−イミダゾリル)エチル)尿素、2,4−ジアミノ−
6−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−1,
3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−ウ
ンデシル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5−ト
リアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−エチル−4−
メチル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5−トリ
アジン、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメ
チルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ビス(ヒド
ロキシメチル)イミダゾール、2−メチルイミダゾール
・イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール・
イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−(2−
メチル−1−イミダゾリルエチル)−1,3,5−トリ
アジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチル−4−フォ
ルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイ
ミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2,4−ジ
メチル−5−フォルミルイミダゾール、2,4−ジフェ
ニル−5−フォルミルイミダゾール、4−メチルイミダ
ゾール、4−メチル−5−(ヒドロキシメチル)イミダ
ゾール、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、
イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、3−カルバモイ
ル−2−ピラジンカルボン酸、コハク酸イミド、キナル
ジン、1,3−ジ(4−ピペリジル)プロパン、2−イ
ミダゾリジノン、5,5−ジメチルヒダントイン、2,
5−ジメチルピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペ
ラジン、3,5−ジメチルピラゾール、2−メチル−4
−ピラゾロン、5,5’−ビ−1H−テトラゾール、5
−フェニル−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−
テトラゾール、1,2,3,4−テトラヒドロキノリ
ン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、1,3−ビス
(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダン
トイン、ヒダントイン、(ヒドロキシエチル)ピペラジ
ン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリ
ン、2−(1−ピペラジニル)ピリミジン、ピペラジ
ン、ピペリジン、ピロリジン、ピロール、フェニルピラ
ゾリドン、ベンゾグアナミン、2−メチルピペラジン、
3−メチル−5−ピラゾロン、1−メチロール−5,5
−ジメチルヒダントイン、メラミン、モルホリンなど。
この他、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)セバケート、SanolLS−770(三共
製)、アデカスタブLA−77(旭電化製)、スミソー
プ577(住友化学製)、バイオソーブ04(共同薬品
製)、Chimassorb944LD(Ciba S
pecialty製)、Tinuvin144(Cib
a Specialty製)、アデカスタブLA−52
(旭電化製)、アデカスタブLA−57(旭電化製)、
アデカスタブLA−67(旭電化製)、アデカスタブL
A−68(旭電化製)、アデカスタブLA−77(旭電
化製)、アデカスタブLA−87(旭電化製)、Goo
driteUV−3034(Goodrich製)など
のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)なども用い
られ得る。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せ
て用いてもよい。
【0122】これらのうち、精製工程を簡略化できる点
で、メチルアミン、エチルアミンなどの沸点が100℃
以下の1級アミン化合物;ジメチルアミン、ジエチルア
ミンなどの沸点が100℃以下の2級アミン化合物;お
よびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好まし
い。沸点が100℃以下の1級または2級アミン化合物
を用いた場合には、過剰のアミン化合物を容易に減圧留
去することができるため、精製工程を簡略化できる。ヒ
ンダードアミン系光安定剤(HALS)を用いた場合に
は、過剰のHALSが安定剤として作用するため除去や
精製の必要がなく、さらに、得られる重合体の耐候性お
よび耐光性が向上する。
【0123】アンモニアを用いた場合にも、上記沸点が
100℃以下の1級または2級アミン化合物の場合と同
様に、これらを減圧留去することが可能であるため、精
製工程を簡略化できる点で好ましい。
【0124】なお、塩基性化合物または酸性化合物を用
いてチオカルボニルチオ基をメルカプト基に変換する
際、反応系内に水を存在させるか、反応後水と接触させ
ることが好ましい。
【0125】チオカルボニルチオ基をメルカプチド基に
変換する場合については、反応効率が高い点で、塩基性
化合物を用いることが好ましい。
【0126】後述のアルケニル基を導入する工程におい
てアセチレン化合物を使用する場合については、新たに
触媒を添加する必要なく連続して反応を実施できる点
で、塩基性化合物を用いることがより好ましい。
【0127】上記チオカルボニルチオ基からメルカプト
基またはメルカプチド基への変換のための反応におい
て、処理剤の使用量は特に限定されない。処理剤とし
て、塩基性化合物または酸性化合物を使用する場合、使
用量は特に限定されないが、取り扱いやすさおよび反応
性の点で、チオカルボニルチオ基を有するビニル系重合
体100重量部に対して0.01〜100重量部が好ま
しく、0.05〜50重量部がより好ましく、0.1〜
30重量部が特に好ましい。上記変換反応にアンモニ
ア、ヒドラジン、1級アミン化合物、または2級アミン
化合物を使用する場合、メルカプト基の導入率が高い点
で、上記ビニル系重合体のチオカルボニルチオ基1モル
に対して、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン化合
物、または2級アミン化合物を0.5〜1000モルの
割合で用いるのが好ましく、1〜500モルの割合で用
いるのがより好ましい。
【0128】本発明において、チオカルボニルチオ基を
有するビニル系重合体を上記処理剤で処理する際の反応
条件に関して特に限定はない。例えば、有機溶媒中に重
合体を溶解させて上記処理剤を加えてもよく、水系分散
液あるいは乳化液に上記処理剤を加えてもよく、あるい
は固体または溶融状態の重合体そのものに直接上記処理
剤を加えてもよい。処理温度についても特に限定されな
いが、反応性の点で−50〜200℃が好ましく、−1
0〜150℃がより好ましく、0〜120℃が特に好ま
しい。また、これらの反応後、重合体の耐熱性の点で、
過剰の処理剤を留去、カラム処理、中和処理、洗浄など
により除去することが好ましい。
【0129】このようにして、メルカプト基またはメル
カプチド基を有するビニル系重合体が得られる。すなわ
ち、以下のスキームに示すように、チオカルボニルチオ
基を有するビニル系重合体(a1)または(a3)を、
処理剤で処理することにより、例えば、メルカプト基を
有するビニル系重合体(a2)または(a4)が得られ
る。
【0130】
【化39】
【0131】[メルカプト基またはメルカプチド基を有
するビニル系重合体へのアルケニル基の導入]上記方法
により、上記チオカルボニルチオ基を有するビニル系重
合体のチオカルボニルチオ基をメルカプト基またはメル
カプチド基に変換した後、該メルカプト基または該メル
カプチド基を介してアルケニル基を導入することによ
り、一分子中に1つ以上のアルケニル基と、硫黄原子と
を有するビニル系重合体(A)を製造することができ
る。上記アルケニル基の導入方法は、特に限定されな
い。簡便にかつ確実にアルケニル基を導入できる点で、
次の方法が好適である:(I)メルカプト基またはメル
カプチド基を有するビニル系重合体をアルケニル基含有
化合物と反応させる方法;および(II)メルカプト基
を有するビニル系重合体を塩基性化合物の存在下でアセ
チレン化合物と反応させる方法(レッペ反応)。
【0132】上記(I)の方法で使用されるアルケニル
基含有化合物のアルケニル基としては、ビニル基、ビニ
リデン基、アリル基など、ヒドロシリル化反応が可能な
アルケニル基が挙げられる。該化合物に含有される上記
官能基は、特に限定されないが、以下の構造を挙げるこ
とができる:ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコ
キシカルボニル基(エステル結合)、アミド基、エポキ
シ基、グリシジル基、メルカプト基、チオンエステル結
合、チオールエステル結合、ジチオエステル結合、イソ
シアナト基、イソチオシアナト基、カルボニル基、アル
デヒド基、アリールオキシ基、4級アンモニウムイオ
ン、スルホン結合、ハロゲン原子、炭素−炭素二重結
合、炭素−炭素三重結合など。
【0133】上記(I)の方法で使用される、アルケニ
ル基含有化合物としては、特に限定されないが、上記の
官能基とアルケニル基とを有する種々の化合物が挙げら
れる。
【0134】ヒドロキシル基とアルケニル基とを有する
化合物としては、特に限定されないが、以下の化合物が
挙げられる:アリルアルコール、2−ビニルフェノー
ル、4−ビニルフェノール、4−ブテン−1−オール、
3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1
−ペンチン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オク
チン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチ
ル−5−デシン−4,7−ジオール、3,5−ジメチル
−1−ヘキシン−3−オール、2,5−ジメチル−3−
ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,
5−ヘキサンジオール、N,N−ジアリルアミノアルコ
ール、N,N−ジアリルエタノールアミン、N−アリル
エタノールアミン、2−アリル−1−ヘキサノール、エ
チレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロール
プロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモ
ノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエ
ーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペン
タエリスリトールトリアリルエーテル、ポリエチレング
リコールモノアリルエーテル、ポリテトラメチレンエー
テルグリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレング
リコールモノアリルエーテル、2−アリルシクロヘキサ
ノール、3−アリルシクロヘキサノール、4−アリルシ
クロヘキサノール、2−アリルフェノール、3−アリル
フェノール、4−アリルフェノール、1,4−ジヒドロ
キシ−5−アリルナフタレン、ビスフェノールAモノア
リルエーテル、1−アリル−2−ナフトール、4−アリ
ル−1−ナフトール、4−アリルカテコール、スピログ
リコールモノアリルエーテル、トリス(2−ヒドロキシ
エチル)イソシアヌレートジアリルエーテル、フルフリ
ルアルコール、4−アリルフルフリルアルコールなど。
【0135】カルボキシル基とアルケニル基とを有する
化合物としては、特に限定されないが、以下の化合物が
挙げられる:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、
ウンデシレン酸、マロン酸モノアリル、2−アリル安息
香酸、3−アリル安息香酸、4−アリル安息香酸、3−
アリルアントラニル酸、4−アリルアントラニル酸、5
−アリルアントラニル酸、5−アリルイソフタル酸、4
−アリルサリチル酸、2−アリルテレフタル酸、2−ア
リルチオ安息香酸、3−アリルチオ安息香酸、4−アリ
ルチオ安息香酸、トリメリット酸モノアリル、トリメリ
ット酸ジアリル、2−アリル−1−ナフタレンカルボン
酸、1−アリル−2−ナフタレンカルボン酸、6−ヒド
ロキシ−1−アリル−2−ナフトエ酸、ビニル酢酸、2
−アリルフェノキシ酢酸、3−アリルフェノキシ酢酸、
4−アリルフェノキシ酢酸、2−アリル−4−ピリジン
カルボン酸、4−アリルキノリン−2−カルボン酸、2
−アリルニコチン酸など。
【0136】アルコキシカルボニル基とアルケニル基と
を有する化合物としては、特に限定されないが、以下の
化合物が挙げられる:アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル
酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシ
エチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、2
−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラ
ン、2−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸ペンタ
フルオロエチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロ
エチル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチル、アクリ
ル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ア
クリル酸t−ブチル、アクリル酸ラウリル、アルキル変
性ジペンタエリスリトールのアクリレート、エチレンオ
キサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、アクリ
ル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性ジペンタエ
リスリトールのアクリレート、カプロラクトン変性テト
ラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル
ジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アク
リル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸テトラヒ
ドロフルフリル、アクリル酸トリプロピレングリコー
ル、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコ
ールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、ア
クリル酸1,9−ノナンジオール、アクリル酸1,4−
ブタンジオール、2−プロペノイックアシッド〔2−
〔1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペ
ニル)オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキ
サン−5−イル〕メチルエステル、アクリル酸1,6−
ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェン
フタレート、3−メトキシアクリル酸メチル、アクリル
酸アリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メ
タクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、
メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタ
クリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸
N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ジメタクリ
ル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレン
グリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコー
ル、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、トリ
メタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキ
シル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、
メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニ
ル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸フェニル、メタ
クリル酸トルイル、メタクリル酸イソボルニル、メタク
リル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシ
ブチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸
トリエチレングリコール、2−メタクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシ
プロピルジメトキシメチルシラン、メタクリル酸トリフ
ルオロメチル、メタクリル酸ペンタフルオロエチル、メ
タクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、エチレン
グリコールモノアリルエーテルアセテート、ジアリルカ
ーボネート、2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタ
クリレート塩化物、プロピレングリコールモノアリルエ
ーテルアセテート、ビニル酢酸アリル、ビニル酢酸メチ
ル、無水イタコン酸など。
【0137】アミド基とアルケニル基とを有する化合物
としては、特に限定されないが、以下の化合物が挙げら
れる:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル
アクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリ
ルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−ブ
チルメタクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミ
ド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロール
アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N
−エチロールアクリルアミド、N−エチロールメタクリ
ルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、トリアク
リルホルマールなど。
【0138】エポキシ基とアルケニル基とを有する化合
物としては、特に限定されないが、3−アリル−1,2
−エポキシシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0139】グリシジル基とアルケニル基とを有する化
合物としては、アリルグリシジルエーテルなどが挙げら
れるが、特に限定されない。
【0140】メルカプト基とアルケニル基とを有する化
合物としては、特に限定されないが、以下の化合物が挙
げられる:アリルメルカプタン、4−ブテンチオール、
4−メルカプトスチレン、2−アリルチオフェノール、
3−アリルチオフェノール、4−アリルチオフェノー
ル、3−アリルチオサリチル酸、4−アリルチオサリチ
ル酸、5−アリルチオサリチル酸、フルフリルメルカプ
タン、4−アリルフルフリルメルカプタンなど。
【0141】チオンエステル結合とアルケニル基とを有
する化合物としては、特に限定されないが、メチルチオ
アクリレート、メチルチオメタクリレート、n−ブチル
チオアクリレート、n−ブチルチオメタクリレート、ア
リルチオベンゾエートなどが挙げられる。
【0142】チオールエステル結合とアルケニル基とを
有する化合物としては、2−アリルチオ安息香酸メチ
ル、3−アリルチオ安息香酸エチル、4−アリルチオ安
息香酸アリルなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0143】ジチオエステル結合とアルケニル基とを有
する化合物としては、特に限定されないが、以下の化合
物が挙げられる:4−アリルジチオ安息香酸、4−アリ
ルジチオ安息香酸メチル、4−アリルジチオ安息香酸エ
チル、2,4−ジアリルイミダゾール−5−ジチオカル
ボン酸、2,4−ジアリルイミダゾール−5−ジチオカ
ルボン酸メチルなど。
【0144】イソシアナト基とアルケニル基とを有する
化合物としては、特に限定されないが、以下の化合物が
挙げられる:アリルイソシアナート、3−ブテニルイソ
シアナート、5−ヘキセニルイソシアナート、ビニル3
−イソシアナートプロピルエーテル、アリル3−イソシ
アナートプロピルエーテル、4−アリルフェニルイソシ
アナートなど。
【0145】イソチオシアナト基とアルケニル基とを有
する化合物としては、3−ブテニルイソチオシアナー
ト、5−ヘキセニルイソチオシアナート、アリルイソチ
オシアナートなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0146】カルボニル基とアルケニル基とを有する化
合物としては、特に限定されないが、以下の化合物が挙
げられる:アセト酢酸アリル、メチルアリルケトン、エ
チルアリルケトン、ジアリルケトン、2−アリルシクロ
ヘキサノン、3−アリルシクロヘキサノン、4−アリル
シクロヘキサノン、5−アリル−5−メチルヒダントイ
ン、N−アリル−2−ピロリドンなど。
【0147】アルデヒド基とアルケニル基とを有する化
合物としては、特に限定されないが、以下の化合物が挙
げられる:アクロレイン、メタクロレイン、アリルグリ
オキザール、2−アリルベンズアルデヒド、3−アリル
ベンズアルデヒド、4−アリルベンズアルデヒド、5−
アリル−3−アルデヒドピリジン、2−アリル−4−フ
ォルミルイミダゾール、2,4−ジアリル−5−フォル
ミルイミダゾール、フルフラール、4−アリルフルフラ
ールなど。
【0148】4級アンモニウムイオンとアルケニル基と
を有する化合物としては、ジアリルジメチルアンモニウ
ムクロライドなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0149】スルホン結合とアルケニル基とを有する化
合物としては、アリルスルホン酸アリルなどが挙げられ
るが、特に限定されない。
【0150】ハロゲン原子とアルケニル基とを有する化
合物としては、特に限定されないが、以下の化合物が挙
げられる:アリルクロライド、アリルブロマイド、クロ
ロ炭酸アリルエステル、ジアリルクロレンデート、クロ
ロプレン、メタリルクロライド、塩化ビニル、1−アリ
ル−2−クロロベンゼン、1−アリル−3−クロロベン
ゼン、1−アリル−4−クロロベンゼン、2−ブロモ−
3−ブテン、1−ブロモ−3−ブテンなど。
【0151】炭素−炭素二重結合とアルケニル基とを有
する化合物としては、特に限定されないが、以下の化合
物が挙げられる:1,6−ヘキサンジオールジアリルエ
ーテル、イソプレン、ジビニルベンゼン、4−ビニル−
α−メチルスチレン、テレフタル酸ジアリル、フタル酸
ジアリル、イソフタル酸ジアリル、トリアリルイソシア
ヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタリルイソ
シアヌレート、アリルビニルエーテル、クロロプレン、
アクリル酸アリル、メタクリル酸アリルなど。
【0152】炭素−炭素三重結合とアルケニル基とを有
する化合物としては、3−ブテン−1−イン、3−メチ
ル−3−ブテン−1−イン、5−ヘキセン−1−インな
どが挙げられるが、特に限定されない。
【0153】これらは単独で使用してもよく、複数を組
み合わせて使用してもよい。これらの化合物のうち、反
応が容易で、確実にアルケニル基を導入でき、かつ副生
物が生成しない点で、一分子中にイソシアナト基とアル
ケニル基とを有する化合物が好ましい。
【0154】上記の(I)の方法における反応により、
メルカプト基またはメルカプチド基を有するビニル系重
合体とアルケニル基含有化合物との反応を行う場合、使
用する触媒および反応条件は任意であり、使用される化
合物が有する官能基に応じて適切な化合物および条件を
採用することができる。このようなメルカプト基または
メルカプチド基を利用した反応については、例えば、
“COMPREHENSIVE ORGANIC CH
EMISTRY;The Synthesisand
Reactions of Organic Comp
ounds:Volume3 Sulphur,Sel
enium,Silicon,Boron,Organ
ometallic Compounds,” D.N
EVILLE JONES Ed., 1979, P
ERGAMON PRESSに記載の方法を適用するこ
とが可能である。
【0155】このような方法の具体例としては、次の
(i)〜(xii)の方法が挙げられるが、これらに限定されな
い:(i)末端にメルカプト基を有するビニル系重合体と
アリルメルカプタンとを、酸素、酸化鉛などの酸化剤の
存在下で反応させることにより、末端にジスルフィド結
合を介してアリル基を有するビニル系重合体を合成する
方法;(ii)末端にメルカプチド基を有するビニル系重合
体とアリルクロライドとを、Williamson法に
より反応させることにより、末端にアリル基を有するビ
ニル系重合体を合成する方法;(iii)末端にメルカプト
基を有するビニル系重合体とアリルイソシアナートと
を、触媒非存在下、または有機錫化合物、3級アミン化
合物などのウレタン化触媒の存在下、ウレタン化反応さ
せることにより、末端にチオウレタン結合を介してアリ
ル基を有するビニル系重合体を合成する方法;(iv)末端
にメルカプト基を有するビニル系重合体をN−アリルマ
レイミドなどに付加させることにより、末端にアリル基
を有するビニル系重合体を合成する方法;(v)末端にメ
ルカプト基を有するビニル系重合体を、ブタジエンまた
はイソプレンに付加させることにより、それぞれ末端に
アリル基またはメタリル基を有するビニル系重合体を合
成する方法;(vi)末端にメルカプト基またはメルカプチ
ド基を有するビニル系重合体を、アクリル酸またはメタ
クリル酸とエステル化反応させることにより、それぞれ
末端にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する
ビニル系重合体を合成する方法;(vii)末端にメルカプ
ト基またはメルカプチド基を有するビニル系重合体を、
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとエス
テル交換反応させることにより、それぞれ末端にアクリ
ロイル基またはメタクリロイル基を有するビニル系重合
体を合成する方法;(viii)末端にメルカプト基を有する
ビニル系重合体とアリルエチルケトンとを酸性条件下で
反応させることにより、末端にチオケタール結合を介し
てアリル基を有するビニル系重合体を合成する方法;(i
x)末端にメルカプト基を有するビニル系重合体とアリル
アルコールとの脱水縮合により、末端にアリル基を有す
るビニル系重合体を合成する方法;(x)末端にメルカプ
ト基を有するビニル系重合体とビニル酢酸とを、エステ
ル化反応させることにより、末端にビニル基を有するビ
ニル系重合体を合成する方法;(xi)末端にメルカプト基
またはメルカプチド基を有するビニル系重合体とジアリ
ルカーボネートとをエステル交換反応させることによ
り、末端にカーボネート結合を介してアリル基を有する
ビニル系重合体を合成する方法;(xii)さらにこのよう
な末端にカーボネート結合を介してアリル基を有するビ
ニル系重合体を、パラジウム触媒や塩基性化合物の存在
下脱炭酸反応させることにより、末端にアリル基を有す
るビニル系重合体を合成する方法など。
【0156】上記(II)の方法で使用されるアセチレ
ン化合物は、エチニル基を有する化合物であれば、特に
限定されない。例えば、以下の化合物が挙げられる:ア
セチレン、プロピン、1−ブチン、1−ペンチン、1−
オクチン、フェニルアセチレン、シクロヘキシルアセチ
レン、クロロアセチレン、3−メチル−1−ブチン、4
−メチル−1−ペンチン、4,4−ジメチル−1−ペン
チン、4−メトキシフェニルアセチレン、3−メトキシ
プロピンなど。このようなエチニル基を有する化合物と
しては、ビニル系重合体の末端にアルケニル基を確実に
導入できる点で、アセチレンが好ましい。
【0157】上記(II)の方法は、メルカプト基を有
する化合物と、アセチレン化合物とを、塩基性化合物の
存在下で反応させる方法である。このような反応は、一
般にレッペ反応と呼ばれ、通常当該分野で用いられる反
応条件を適用することが可能である。
【0158】上記(II)の方法で製造する場合には、
レッペ反応の触媒として塩基性化合物が必要である。塩
基性化合物としては、前述のチオカルボニルチオ基のメ
ルカプト基への変換に用いられる処理剤として利用され
る塩基性化合物を挙げることができるが、これらに限定
されない。前述のチオカルボニルチオ基をメルカプト基
に変換する反応の際に、処理剤として塩基性化合物を使
用することにより、連続してアセチレン化合物を反応さ
せることが可能となる。これらの塩基性化合物のうち、
入手性、価格、および反応性の点で、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの、アルカリ
金属水酸化物が好ましい。
【0159】上記(I)および(II)の方法におい
て、使用するアルケニル基含有化合物およびアセチレン
化合物の量は特に限定されないが、メルカプト基または
メルカプチド基を有するビニル系重合体にアルケニル基
を確実に導入できる点で、該ビニル系重合体中のメルカ
プト基またはメルカプチド基1モルに対していずれの場
合においても0.5モル以上が好ましく、1モル以上が
より好ましい。また、製造コストの点で、該ビニル系重
合体中のメルカプト基またはメルカプチド基1モルに対
して10000モル以下が好ましく、5000モル以下
が好ましい。過剰のアルケニル基含有化合物およびアセ
チレン化合物は、回収して再利用することが可能であ
る。
【0160】上記(I)および(II)の方法におい
て、反応温度は特に限定されないが、反応がスムーズに
進行し、副反応が抑制される点で0〜200℃が好まし
く、30〜150℃がより好ましい。また、一般的に加
圧反応となるため、耐圧容器で反応させることが好まし
い。
【0161】このようにして、一分子中に一つ以上のア
ルケニル基と、硫黄原子とを有するビニル系重合体
(A)が得られる。すなわち、以下のスキームに示すよ
うに、例えば、メルカプト基含有ビニル系重合体(a
2)または(a4)を、アルケニル基含有化合物(この
スキームではアリルメルカプタン)またはアセチレン化
合物(このスキームではアセチレン)と反応させること
により、ビニル系重合体(A1またはA3)が得られる
((a2)においてp=1)。
【0162】
【化40】
【0163】[ビニル系重合体(A)]本発明の組成物
に含有されるビニル系重合体(A)は、単独重合体でも
よく、共重合体でもよい。共重合体の場合には、ブロッ
ク共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体な
ど、用途や目的に応じて種々の共重合形態をとることが
できる。ブロック共重合体においては、ジブロック共重
合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合
体、星状ブロック共重合体など、その形態は任意であ
る。上記ビニル系重合体(A)としては、凝集力および
接着力と、加工性とのバランスに優れる点で、ブロック
共重合体が好ましい。ガラス転移温度が30℃以上の重
合体からなる重合体ブロックと、ガラス転移温度が30
℃未満の重合体からなる重合体ブロックとを有するブロ
ック共重合体がより好ましく、ガラス転移温度が50℃
以上の重合体からなる重合体ブロックと、ガラス転移温
度が0℃未満の重合体からなる重合体ブロックとを有す
るブロック共重合体が特に好ましい。
【0164】ビニル系重合体(A)において、一分子中
に存在するアルケニル基の数は、粘着剤組成物とした場
合に架橋により確実に硬化でき、適度な柔軟性と凝集力
とを有する点で、平均して1.1〜10個が好ましく、
1.5〜5.0個がより好ましく、1.7〜2.5個が
特に好ましい。架橋による硬化後の長期粘着性および長
期接着性に優れる点で、分子の末端にアルケニル基を有
するビニル系重合体が好ましく、粘着剤物性と加工性と
のバランスに優れる点で、分子の各末端にアルケニル基
を有するビニル系重合体がより好ましく、両末端にアル
ケニル基を有する直鎖状ビニル系重合体が特に好まし
い。
【0165】ビニル系重合体(A)は、硫黄原子を有す
ることにより、該ビニル系重合体を含有する組成物を粘
着剤として各種基材に塗布した場合、基材との親和性が
高くなり、硬化させて粘着剤として使用する場合に粘着
力および接着力が強くなる。さらに、粘着性組成物に粘
着性付与剤を始めとする各種添加剤を含有させたとき
に、それらとの相容性が高くなる。ただし、硫黄原子の
含有量が多くなるとヒドロシリル化反応を阻害する場合
があるため、上記ビニル系重合体(A)の一分子中に存
在する硫黄原子の数は、平均して1.1〜10個が好ま
しく、1.5〜5.0個がより好ましく、1.7〜2.
5個が特に好ましい。
【0166】本発明の組成物に含有されるビニル系重合
体(A)の数平均分子量(Mn)は特に限定されない
が、凝集力と加工性とのバランスに優れる点で、ゲル浸
透クロマトグラフィー分析により求めた数平均分子量が
1000〜500000の範囲にあることが好ましく、
2000〜100000の範囲にあることがより好まし
い。
【0167】本発明の組成物に含有されるビニル系重合
体(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー分析により求
めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と
の比で示される分子量分布(Mw/Mn)が2以下であ
る。分子量分布はより1に近い方が、耐候性および耐熱
性に優れ、架橋反応後の凝集力も強くなる。そのため、
分子量分布は1.5以下であることが好ましく、1.3
以下であることがより好ましい。
【0168】[一分子中に二つ以上の水素−ケイ素結合
を有する化合物]本発明の粘着剤組成物は、上記ビニル
系重合体(A)に加えて、一分子中に二つ以上の水素−
ケイ素結合を有する化合物(以下、H−Si化合物
(B)という)を含有する。H−Si化合物(B)とし
ては、特に限定されないが、入手性、価格、ビニル系重
合体との相容性、粘着剤としての物性に優れる点で、以
下の一般式で示される化合物が好ましい:
【0169】
【化41】
【0170】(式中、Rは炭素数1以上の有機基また
はシロキシ基を示し;nは0以上の整数であり、rは0
以上の整数であり、rは同じでもよく、異なっていても
よく、aおよびbは、それぞれ独立に、0、1、2、ま
たは3であり、2≦n+a+bを満たし;Rが複数存
在する場合、各Rは互いに同一であってもよく、異な
っていてもよい);
【0171】
【化42】
【0172】(式中、Rは炭素数1以上の有機基また
はシロキシ基を示し;cは2以上の整数であり、dは0
以上の整数であり、3≦c+dを満たし;Rが複数存
在する場合、各Rは互いに同一であってもよく、異な
っていてもよい);および
【0173】
【化43】
【0174】(式中、Rは炭素数1以上の有機基また
はシロキシ基を示し;Rは炭素数1以上の2価の有機
基またはシロキシ基を示し;eは1以上の整数であり、
fは0以上の整数であり、2≦e+fを満たし;R
複数存在する場合、各Rは互いに同一であってもよ
く、異なっていてもよく;eおよびfはそれぞれ同一で
あってもよく、異なっていてもよい)。上記式中のr、
n、c、d、e、およびfは、化合物の入手性の点で、
好ましくは500以下である。
【0175】上記H−Si化合物(B)である一般式
(5)、(6)、および(7)のRおよびRは特に
限定されない。化合物の入手性の点で、好ましくは、R
およびRの炭素数は、1〜20である。ケイ素上の
置換基であるRの例としては、ハロゲン原子、ヒドロ
キシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメ
ート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキ
シ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの架橋性
基が挙げられる。縮合硬化型粘着性組成物が得られる点
で、このような架橋性基を有することが好ましい。これ
らの基は単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用い
てもよい。ケイ素原子上の置換基として水素原子を有す
るケイ素原子と、水素原子を有しないケイ素原子とは、
それぞれがブロック状に配列していてもよく、ランダム
に配列していてもよい。
【0176】上記H−Si化合物(B)としては、以下
の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:ジメ
チルシラン、ジエチルシラン、ジフェニルシラン、メチ
ルフェニルシラン、1,3−ジヒドロテトラメチルジシ
ロキサン、1,5−ジヒドロヘキサメチルトリシロキサ
ン、1,3−ジヒドロ−1,3−ジメチル−1,3−ジ
フェニルジシロキサン、1,3,5−トリヒドロ−1,
1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサ
ン、1,3,5−トリヒドロペンタメチルトリシロキサ
ン、1,3,5−トリヒドロトリメチルシクロトリシロ
キサン、1,3,5,7−テトラヒドロテトラメチルシ
クロテトラシロキサン、1,3,5−トリヒドロトリフ
ェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ
ヒドロテトラフェニルシクロテトラシロキサン、α,ω
−ジヒドロポリジメチルシロキサン,α,ω−ジヒドロ
ポリジエチルシロキサン、α,ω−ジヒドロポリジフェ
ニルシロキサン、1,5−ジヒドロ−3−ビニルペンタ
メチルトリシロキサン、メチル水素シリコーンオイル、
1,3−ジヒドロテトラメトキシジシロキサン、1,5
−ジヒドロヘキサメトキシトリシロキサン、1,5−ジ
ヒドロ−3−エトキシテトラメチルトリシロキサン、
1,3,5,7−テトラヒドロテトラメトキシシクロテ
トラシロキサン、1,3,5−トリヒドロトリエトキシ
シクロトリシロキサン、α,ω−ジヒドロポリジメトキ
シシロキサン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、
1,3−ジヒドロ−1,3−ジメトキシジメチルジシロ
キサン、1,5−ジヒドロ−3−メトキシペンタフェニ
ルトリシロキサン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベ
ンゼン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ブタン、および次
式で示される化合物:
【0177】
【化44】
【0178】(式中、Meはメチル基を示し、gは2以
上の整数であり、hは4以上の整数であり、gは互いに
同一でもよく、異なっていてもよい)。上記式中のgお
よびhは、化合物の入手性の点で、好ましくは500以
下である。
【0179】本発明の粘着剤組成物に、粘着剤としての
物性を調節するために、鎖延長剤を含有することが好ま
しい。上記鎖延長剤は、上記H−Si化合物の分子同士
を架橋することを目的とするため、一分子中に二つ以上
のアルケニル基を有する化合物が好ましい。このような
一分子中に二つ以上のアルケニル基を有する化合物とし
ては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定され
ない:ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,4
−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプ
タジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエ
ン、1,9−デカジエン、1,2−ジビニルベンゼン、
1,4−ジビニルベンゼン、1,2−ジアリルベンゼ
ン、1,4−ジアリルベンゼン、1,2−ジビニルシク
ロヘキサン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2
−ジアリルシクロヘキサン、1,4−ジアリルシクロヘ
キサン、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,3,5
−トリアリルベンゼン、1,2,4,5−テトラビニル
ベンゼン、1,2,4,5−テトラアリルベンゼン、ヘ
キサビニルベンゼン、ヘキサアリルベンゼン、1,4−
ジビニルナフタレン、1,5−ジビニルナフタレン、
1,4−ジアリルナフタレン、1,5−ジアリルナフタ
レン、1,8−ジビニルナフタレン、1,8−ジアリル
ナフタレン、9,10−ジビニルアントラセン、9,1
0−ジアリルアントラセン、3,3’−ジアリルビスフ
ェノールA、4−ビニル−α−メチルスチレンなどの炭
化水素系化合物;ジアリルエーテル、ジビニルエーテ
ル、ビスフェノールAジアリルエーテル、1,2−ジア
リルオキシベンゼン、1,4−ジアリルオキシベンゼ
ン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメ
チロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリ
トールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリア
リルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエー
テル、エチレングリコールジアリルエーテル、プロピレ
ングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコール
ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエ
ーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポ
リプロピレングリコールジアリルエーテル、1,6−ヘ
キサンジオールジアリルエーテルなどのエーテル系化合
物;テレフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフ
タル酸ジアリル、トリメリット酸ジアリル、トリメリッ
ト酸トリアリル、ピロメリット酸ジアリル、ピロメリッ
ト酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリル、コハク
酸ジアリル、シュウ酸ジアリル、ビニル酢酸アリル、ビ
ニルプロピオン酸アリル、アクリル酸アリル、メタクリ
ル酸アリル、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコ
ールジアリルカーボネート、ドデカン二酸ジアリルなど
のエステル系化合物;トリアリルイソシアヌレート、ト
リアリルシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート
などのシアヌレート系化合物など。
【0180】[ヒドロシリル化触媒]本発明の粘着剤組
成物においては、硬化を確実にし、硬化速度を大きくす
る目的で、ヒドロシリル化触媒を配合することが好まし
い。すなわち、ヒドロシリル化触媒は、上記ビニル系重
合体(A)のアルケニル基を上記H−Si化合物(B)
のH−Si結合とヒドロシリル化反応させるために用い
られ得る。上記ヒドロシリル化触媒としては特に限定さ
れず、通常用いられる触媒を使用することが可能であ
る。このようなヒドロシリル化触媒としては、以下の化
合物が挙げられる:シクロヘキサノンパーオキサイド、
3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイ
ド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−
ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−
ブチルパーオキシ)バレレート、クメンハイドロパーオ
キサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイ
ドロパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ
イソプロピルベンゼンパーオキサイド、t−ブチルクミ
ルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,
4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス(t−ブ
チルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−
ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどの過
酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビス(イソブチロ
ニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−
カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスジ
メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シア
ノ吉草酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロ
パン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペ
ンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパ
ン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピ
オネート)などのアゾ系重合開始剤;白金、ロジウム、
コバルト、パラジウム、ニッケルなどのVIII族遷移
金属元素から選ばれる金属、該金属を含む化合物、該金
属を含む錯体など。 ヒドロシリル化の反応性の点か
ら、以下の化合物が好ましい:塩化白金酸(HPtC
・6H O)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金
−オレフィン錯体、白金ビスアセチルアセトナート、P
tメタル、RhCl(PPh、RhCl、Rh
/Al、RuCl、IrCl、FeCl
AlCl、PdCl・2HO、NiCl、Ti
Clなど。塩化白金酸(HPtCl・6H
O)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィ
ン錯体、白金ビスアセチルアセトナートなどの白金含有
化合物および白金含有錯体がさらに好ましく、白金−ビ
ニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体が特に好ま
しい。ここで、白金−ビニルシロキサン錯体とは、白金
原子に対し、配位子として分子内にビニル基を含有する
シロキサン、ビニル基を含有するポリシロキサン、ビニ
ル基を含有する環状シロキサンなどが配位している化合
物の総称である。上記白金−ビニルシロキサン錯体の配
位子の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル
−1,3−ジビニルジシロキサンなどが挙げられる。白
金−オレフィン錯体のオレフィン配位子の具体例として
は、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、
1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,5
−シクロオクタジエンなどが挙げられる。上記配位子の
中でも、触媒活性が高いという点で、1,1,3,3−
テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,9
−デカジエンが特に好ましい。なお、白金−ビニルシロ
キサン錯体、白金−オレフィン錯体については特公平8
−9006号公報などに開示されている。上記ヒドロシ
リル化触媒は、単独で用いてもよく、複数を組み合わせ
て用いてもよい。
【0181】[粘着剤組成物の添加剤]本発明の粘着剤
組成物は、ビニル系重合体(A)およびH−Si化合物
(B)以外に、粘着剤としての物性を調整する目的で、
必要に応じて1種類以上の添加剤を配合することができ
る。添加剤としては、(a)安定剤、(b)酸化防止剤、(c)
紫外線吸収剤、(d)光安定剤、(e)帯電防止剤、(f)難燃
剤、(g)着色剤、(h)発泡剤、(i)滑剤、(j)防カビ剤、
(k)結晶核剤、(l)加硫促進剤、(m)老化防止剤、(n)加硫
剤、(o)スコーチ防止剤、(p)素練促進剤、(q)粘着性付
与剤、(r)シランカップリング剤、(s)ラテックス凝固
剤、(t)加工助剤、(u)充填剤、(v)可塑剤、(w)貯蔵安定
性改良剤などが挙げられる。これらの添加剤は、使用す
るビニル系重合体(A)およびH−Si化合物(B)の
種類や組成、粘着剤組成物が使用される用途などに応じ
て、適宜最適なものを選択すればよい。
【0182】上記(a)の安定剤としては、次の化合物が
挙げられるが、それらに限定されない:ジ−n−オクチ
ルスズ系安定剤、ジ−n−ブチルスズ系安定剤、ジメチ
ルスズ系安定剤などの有機スズ系安定剤;鉛塩系安定剤
などの鉛系安定剤;カドミウム系石けん、亜鉛系石け
ん、バリウム系石けん、鉛系石けん、複合型金属石け
ん、ステアリン酸カルシウムなどの金属石けん系安定剤
など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用
いてもよい。
【0183】上記(b)の酸化防止剤としては、次の化合
物が挙げられるが、それらに限定されない:2,6−ジ
−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシア
ニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノ
ール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのモノフェ
ノール系酸化防止剤;2,2’−メチレンビス(4−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレ
ンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6
−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔1,1−ジ
メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕
2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウン
デカンなどのビスフェノール系酸化防止剤;1,1,3
−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチ
ルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3
−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3’−ビ
ス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)
ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5
−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロ
キシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1
H,3H,5H)トリオン、トコフェロール類などの高
分子型フェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’−
チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジ
プロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピ
オネートなどの硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスフ
ァイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニル
ジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビ
ス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシ
ル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイ
ソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,1
0−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナント
レン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ
−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−
オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−
9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サ
イクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオ
ペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビ
ス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスフ
ァイトなどのリン系酸化防止剤など。これらは単独で用
いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
【0184】上記(c)の紫外線吸収剤としては、次の化
合物が挙げられるが、それらに限定されない:フェニル
サリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、
p−オクチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系
紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−
ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’
−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾ
フェノン、ビス(2−メトキシー4−ヒドロキシ−5−
ベンゾイルフェニル)メタンなどのベンゾフェノン系紫
外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ
−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ
−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−ク
ロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−
(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミド
メチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾー
ル、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テ
トラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)フェノール〕、〔2−(2’−ヒドロキシ
−5’−メタクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリ
アゾール〕、〔2,2’−メチレンビス〔4−(1,
1,3,3−テトラメチルブチル)−6−〔(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕〕〕などの
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−エチルヘキシ
ル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレー
トなどのシアノアクリレート系紫外線吸収剤;ニッケル
ビス(オクチルフェニル)サルファイド、〔2,2’−
チオビス(4−t−オクチルフェノラート)〕−n−ブ
チルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸モ
ノエチレート、ニッケル−ジブチルジチオカルバメート
などのニッケル系紫外線吸収剤など。これらは単独で用
いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
【0185】上記(d)の光安定剤としては、次の化合物
が挙げられるが、それらに限定されない:ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト、SanolLS−770(三共製)、アデカスタブ
LA−77(旭電化製)、スミソープ577(住友化学
製)、バイオソーブ04(共同薬品製)、Chimas
sorb944LD(Ciba Specialty
製)、Tinuvin144(Ciba Specia
lty製)、アデカスタブLA−52(旭電化製)、ア
デカスタブLA−57(旭電化製)、アデカスタブLA
−67(旭電化製)、アデカスタブLA−68(旭電化
製)、アデカスタブLA−77(旭電化製)、アデカス
タブLA−87(旭電化製)、GoodriteUV−
3034(Goodrich製)などのヒンダードアミ
ン系光安定剤(HALS)など。これらは単独で用いて
もよく、複数を組合せて用いてもよい。
【0186】上記(e)の帯電防止剤としては、次の化合
物が挙げられるが、それらに限定されない:ポリ(オキ
シエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)
アルキルアミド、ポリ(オキシエチレン)アルキルエー
テル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテ
ル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テルなどの非イオン系帯電防止剤;アルキルスルホネー
ト、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェ
ート、アルキルホスフェートなどのアニオン系帯電防止
剤;第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウ
ムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレートなど
のカチオン系帯電防止剤;アルキルベタイン化合物、ア
ルキルイミダゾリン化合物、アルキルアラニン化合物な
どの両性系帯電防止剤;ポリビニルベンジル型カチオン
化合物、ポリアクリル酸型カチオン化合物などの導電性
樹脂型帯電防止剤など。これらは単独で用いてもよく、
複数を組合せて用いてもよい。
【0187】上記(f)の難燃剤としては、次の化合物が
挙げられるが、それらに限定されない:テトラブロモビ
スフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジブロモフェニル)プロパン、ヘキサブロモベンゼ
ン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレ
ート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5
−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニル
オキサイド、含ハロゲンポリフォスフェートなどのハロ
ゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、トリクレジルホス
フェート、トリエチルホスフェート、トリス(β−クロ
ロエチル)ホスフェート、トリスクロロエチルホスフェ
ート、トリスジクロロプロピルホスフェート、クレジル
ジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフ
ェート、酸性リン酸エステル、含窒素リン化合物などの
リン系難燃剤;赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水
酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤;ポリ
(ジメトキシシロキサン)、ポリ(ジエトキシシロキサ
ン)、ポリ(ジフェノキシシロキサン)、ポリ(メトキ
シフェノキシシロキサン)、メチルシリケート、エチル
シリケート、フェニルシリケートなどのシロキサン系難
燃剤など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せ
て用いてもよい。
【0188】上記(g) の着色剤としては、粉体状着色
剤、顆粒状着色剤、液状着色剤、着色剤を含むマスター
バッチなどの着色剤などを挙げることができるが、これ
らに限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数
を組合せて用いてもよい。
【0189】上記(h)の発泡剤としては、次の材料が挙
げられるが、それらに限定されない:アゾジカーボンア
ミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ニトロ
ソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニル
ヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒ
ドラジド)などの有機発泡剤など。これらは単独で用い
てもよく、複数を組合せて用いてもよい。
【0190】上記(i)の滑剤としては、次の材料が挙げ
られるが、それらに限定されない:流動パラフィン、マ
イクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パ
ラフィン、ポリオレフィンワックス、これらの部分酸化
物、これらのフッ化物、これらの塩化物などの脂肪族炭
化水素系滑剤;牛脂や魚油などの動物油、やし油、大豆
油、菜種油、米ぬかワックスなどの植物油、これらの分
離精製品、モンタンワックスなどの、高級脂肪族系アル
コールおよび高級脂肪酸系滑剤;高級脂肪酸のアマイ
ド、高級脂肪酸のビスアマイドなどの脂肪酸アマイド系
滑剤;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ス
テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛・ステアリ
ン酸バリウム複合体、ステアリン酸亜鉛・ステアリン酸
カルシウム複合体などの金属石けん系滑剤;一価アルコ
ールの高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪
酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸部分エステ
ル、モンタンワックスタイプの長鎖エステル、モンタン
ワックスタイプの長鎖エステルの部分加水分解物などの
脂肪酸エステル系滑剤など。これらは単独で用いてもよ
く、複数を組合せて用いてもよい。
【0191】上記(j)の防カビ剤としては、バイナジ
ン、プリベントール、チアベンダゾールなどの防カビ剤
などを挙げることができるが、これらに限定されない。
これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いても
よい。
【0192】上記(k)の結晶核剤としては、リン酸2,
2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ナトリウム、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニ
ル)ナトリウム、ビス(p−メチルベンジリデン)ソル
ビトール、アルキル置換ジベンジリデンソルビトール、
ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトールなどを挙
げることができるが、これらに限定されない。これらは
単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
【0193】上記(l)の加硫促進剤としては、次の化合
物が挙げられるが、それらに限定されない:ヘキサメチ
レンテトラミン、n−ブチルアルデヒドアニリン、1,
3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジ
ン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレート
のジ−o−トリルグアニジン塩、N,N’−ジフェニル
チオ尿素、2−メルカプトイミダゾリン、N,N’−ジ
エチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿
素、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジ
ルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールのナ
トリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛
塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシル
アミン塩、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチア
ゾール、N−シクロヘキシルー2−ベンゾチアゾリルス
ルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチ
アゾリルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベン
ゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラメチルチウラム
ジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テ
トラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラ
ムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラス
ルフィド、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジ
ン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジ
メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオ
カルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸
ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチ
ルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン
酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸
亜鉛、テルリウムジエチルジチオカルバメートなど。こ
れらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよ
い。
【0194】上記(m)の老化防止剤としては、次の化合
物が挙げられるが、それらに限定されない:ポリ(2,
2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、6
−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチ
ルキノリン、1−(N−フェニルアミノ)−ナフタレ
ン、スチレン化ジフェニルアミン、ジアルキルジフェニ
ルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジア
ミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニ
レンジアミン、N,N’−ジー2−ナフチル−p−フェ
ニレンジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール、モノ(α−メチルベンジル)フェノール、
ジ(α−メチルベンジル)フェノール、トリ(α−メチ
ルベンジル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メ
チレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3
−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−
ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,5−ジ−t
−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイ
ドロキノン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−
メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプ
トメチルベンズイミダゾール、ジブチルジチオカルバミ
ン酸ニッケル、トリス(ノニルフェニル)ホスファイ
ト、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン
酸ジステアリル、サンノック(大内新興化学社製)、サ
ンタイト(精工化学社製)、オゾガードG(川口化学社
製)など。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せ
て用いてもよい。
【0195】上記(n)の加硫剤としては、次の化合物が
挙げられるが、それらに限定されない:p−キノンジオ
キシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、
4,4’−ジチオジモルホリン、ポリp−ジニトロソベ
ンゼン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカ
プト−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリメル
カプト−s−トリアジン、タッキロール201(田岡化
学社製)、ヒタノール2501(日立化成社製)、臭素
化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂など。これ
らは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよ
い。
【0196】上記(o)のスコーチ防止剤としては、N−
ニトロソジフェニルアミン、無水フタル酸などを挙げる
ことができるが、これらに限定されない。これらは単独
で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
【0197】上記(p)の素練促進剤としては、O,O’
−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド、2−ベンズ
アミドチオフェノールの亜鉛塩、ペプターS(川口化学
社製)などを挙げることができるが、これらに限定され
ない。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用
いてもよい。
【0198】上記(q)の粘着性付与剤としては、タッキ
ロール101(田岡化学社製)、ヒタノール1501
(日立化成社製)、フェノール樹脂、変性フェノール樹
脂、変性アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、シ
クロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、ク
マロン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノ
ール樹脂、ロジンエステル樹脂、ヒタノール5501
(日立化成社製)などを挙げることができるが、これら
に限定されない。これらは単独で用いてもよく、複数を
組合せて用いてもよい。
【0199】上記(r)のシランカップリング剤として
は、次の材料が挙げられるが、それらに限定されない:
メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメト
キシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチ
ルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルメチルジメトキシシランなど。これらは単独で用
いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
【0200】上記(s)のラテックス凝固剤としては、酢
酸のシクロヘキシルアミン塩などを挙げることができる
が、これに限定されない。ラテックス凝固剤は単独で用
いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
【0201】上記(t)の加工助剤としては、エクストン
K1、エクストンL−2(以上、川口化学社製)、PA
−20(鐘淵化学工業(株)製)などを挙げることができ
るが、これらに限定されない。これらは単独で用いても
よく、複数を組合せて用いてもよい。
【0202】上記(u)の充填剤としては、次の材料が挙
げられるが、それらに限定されない:含水微紛ケイ酸、
ケイ酸カルシウム、ファーネスブラック、チャンネルブ
ラック、サーマルランプブラック、ガスブラック、オイ
ルブラック、アセチレンブラック、炭酸カルシウム、ク
レー、タルク、酸化チタン、亜鉛華、珪藻土、硫酸バリ
ウムなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せ
て用いてもよい。
【0203】上記(v)の可塑剤としては、次の化合物が
挙げられるが、それらに限定されない:ジブチルフタレ
ート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシ
ル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ジオクチ
ルアジペート、ジオクチルセバケート、ジエチレングリ
コールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベン
ゾエート、トリクレジルホスフェート、トリブチルホス
フェート、塩化パラフィン類、アルキルジフェニル、部
分水添ターフェニルなど。これらは単独で用いてもよ
く、複数を組合せて用いてもよい。
【0204】上記(w)の貯蔵安定性改良剤としては、ベ
ンゾチアゾール、ジメチルマレートなどが挙げられる
が、これらに限定されない。これらは単独で使用しても
よく、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0205】上記添加剤のうち、耐熱性、耐候性、耐光
性、粘着性、および貯蔵安定性に優れる点で、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、粘着性付与
剤、シランカップリング剤、および貯蔵安定性改良剤か
らなる群より選択される少なくとも一種の添加剤が含有
されることが好ましい。
【0206】また、本発明の粘着剤組成物に含有される
ビニル系重合体(A)が、ヒドロキシル基、カルボキシ
ル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を有するビニ
ル系単量体を重合して得られた重合体である場合、組成
物中に、多価イソシアナート化合物、多価カルボン酸化
合物、ポリオール化合物などの、該官能基部分と反応性
を有する架橋剤を含有させてもよい。このような架橋剤
としては、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロ
ンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ジ
フェニルメタンジイソシアナート、フタル酸、マレイン
酸、コハク酸、シュウ酸、フマル酸、エチレングリコー
ル、カテコール、ヒドロキノン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、サリチル酸、酒石酸、乳酸
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0207】[粘着剤組成物]上述のように、本発明の
粘着剤組成物は、一分子中に一つ以上のアルケニル基
と、硫黄原子とを有し、ゲル浸透クロマトグラフィー分
析で求めた分子量分布が2以下である、ビニル系重合体
(A)、一分子中に二つ以上の水素−ケイ素結合を有す
る化合物(B)、および必要に応じて、上記ヒドロシリ
ル化触媒(C)、鎖延長剤、架橋剤、添加剤などを含有
する。
【0208】本発明の粘着剤組成物に含有されるビニル
系重合体(A)は、単独で用いてもよく、複数を組合せ
て用いてもよい。ビニル系重合体(A)が、両末端にア
ルケニル基を有する直鎖状ビニル系重合体を含有する場
合、粘着物性と加工性とのバランスに優れる点で、その
含有量がビニル系重合体の総重量の60重量%以上であ
ることが好ましく、70重量%以上であることがより好
ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。
【0209】本発明の粘着剤組成物に含有されるビニル
系重合体(A)とH−Si化合物(B)との組成比は任
意である。硬化時の挙動や硬化物の物性が良好である点
で、H−Si化合物(B)の水素−ケイ素結合1モルに
対してビニル系重合体(A)のアルケニル基が、0.2
〜5モルとなるような組成であることが好ましく、0.
4〜2.5モルであることがより好ましく、0.8〜
1.5モルであることが特に好ましい。0.2モルより
も少ないと、硬化後の粘着剤中に活性な水素−ケイ素結
合が大量に残るため、クラックやボイドが発生しやす
く、粘着剤としての凝集力が低下する場合がある。5モ
ルよりも多いと、硬化が不充分となり、粘着剤としての
物性が低下する場合がある。
【0210】本発明の組成物は、さらにヒドロシリル化
触媒を含有することが好ましい。ヒドロシリル化触媒の
含有量は特に限定されないが、ビニル系重合体(A)の
アルケニル基1モルに対し、10−1から10−8モル
の割合で含有されることが好ましく、10−3〜10
−6モルの割合であることがより好ましい。10−8
ルより少ないと硬化が十分に進行しない場合があり、1
−1モルより多いと経済的に不利であり、さらに着色
などの問題が発生する場合がある。
【0211】本発明の粘着剤組成物は、溶媒に溶解させ
てもよく、乳化液や分散液として使用してもよく、ある
いは固体や液体の粘着剤組成物をそのまま使用してもよ
い。
【0212】本発明の粘着性組成物は、所望の形態で粘
着剤として使用することが可能である。例えば、ビニル
系重合体(A)とH−Si化合物(B)とのヒドロシリ
ル化反応により架橋が生じ、全体として適度な粘弾性を
有するようになるため、これを粘着剤として使用するこ
とができる。上記ヒドロシリル化反応により架橋させる
温度条件としては特に限定されないが、反応速度と熱劣
化とのバランスの点で、0〜200℃が好ましく、30
〜180℃がより好ましく、50〜150℃が特に好ま
しい。このような粘着剤は、各種基材の接着に用いられ
る。あるいは、ヒドロシリル化反応前に基材に付与した
後に、例えば、加熱により、ヒドロシリル化反応を行っ
て架橋を生じさせてもよい。さらに、部分的にヒドロシ
リル化反応させた後に基材に付与することも可能であ
る。使用される基材としては、特に限定されないが、以
下の材料が挙げられる:アルミニウム箔、銅箔、金箔、
銀箔などの金属箔;紙;織布、不織布;ポリオレフィン
樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹
脂、クロロプレン樹脂などのフィルム、シート、テープ
など。これらのうち、価格の点では、ポリオレフィン樹
脂のフィルム、シート、テープが好ましく、耐熱性、耐
候性、耐光性の点では、アクリル樹脂のフィルム、シー
ト、テープが好ましい。
【0213】本発明の粘着剤組成物を、基材に付与(塗
布)する方法は、特に限定されないが、以下の方法が適
用可能である:溶剤に溶解させた後、ロール塗工機など
を用いて塗布する溶液塗工法;乳化液や分散液をロール
塗工機などを用いて塗布するラテックス塗工法;無溶剤
状態で、液体のものはそのまま、固体のものは加熱溶融
させて塗布する、ホットメルト塗工法など。これらのう
ち、コスト、環境保全の点で、溶剤を使用しない方法が
好ましく、ホットメルト塗工法がより好ましい。基剤に
付与された粘着剤組成物は、熱をかけると架橋して、適
度な粘弾性を有するようになる。
【0214】このように本発明の粘着剤組成物を基材に
塗布することにより、粘着シートが得られる。ここで、
粘着剤シートの「シート」の形状は特に限定されず、テ
ープのような細巾であってもよい。シートの厚みも特に
限定されず、フィルムのような薄膜であってもよい。こ
れらを一括してシートと総称する。
【0215】本発明の粘着剤組成物のみをシート状に成
形することにより、基材層を有さないノンサポートタイ
プの両面粘着テープを得ることもできる。
【0216】また、本発明の粘着剤組成物に各種発泡剤
を配合し、粘着性発泡材料として利用することも可能で
ある。
【0217】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0218】本実施例において、重量平均分子量(M
w)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw
/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分
析により求めた。GPC分析では、クロロホルム、テト
ラヒドロフラン、またはジメチルホルムアミドを溶出液
とし、ポリスチレンゲルカラムを使用し、ポリスチレン
標準試料を基準として解析した。
【0219】本実施例において、粘着保持力試験は、得
られた粘着剤フィルムを25mm幅のテープ状に切り、
25mm×25mmの面積部分のみを、23℃の温度
下、SUS304板に対して2kgのローラーで往復し
て貼りつけ、垂直状態とし、貼りつけられていない残り
のテープ部分に2kgのおもりを吊り下げ、100℃の
オーブン中で加熱し、1時間後の貼付部分の貼付位置か
らのずれを測定した。
【0220】本実施例において、180°ピール力試験
(対SUS)は、JIS Z 0237に準拠して、S
US304板に、25mm幅に切った粘着剤フィルムを
貼りつけ、23℃で20分放置後、測定温度23℃、1
80°方向、引張速度300mm/minの条件で、ピ
ール力(対SUS)を測定した。
【0221】本実施例において、180°ピール力試験
(対PE)は、上記180°ピール力試験(対SUS)
において、SUS304板の代わりにポリエチレン樹脂
板(三井化学(株)製)を使用し、同様の条件で測定し
た。
【0222】(実施例1)撹拌機、温度計、窒素ガス導
入管、還流冷却管を備えた1L反応器に、ビニル系単量
体としてアクリル酸n−ブチル181g、重合開始剤と
して1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニ
トリル)40mg、チオカルボニルチオ基を有する化合
物として次式
【0223】
【化45】
【0224】で示される1,4−ビス(チオベンゾイル
チオメチル)ベンゼン635mg、およびトルエン30
0mLを入れ、系内を窒素置換した。反応液を撹拌しな
がら90℃で5時間加熱した。サンプリングしてGPC
分析を行い、Mw=77000、Mn=56900、M
w/Mn=1.35の重合体の生成を確認した。HN
MR測定を行い、チオカルボニルチオ基がポリアクリル
酸n−ブチルの両末端に導入されており、導入率が両末
端基準で93%であることを確認した。アクリル酸n−
ブチルの反応率は、55.2%であった。
【0225】得られた両末端にチオカルボニルチオ基を
有するポリアクリル酸n−ブチルのトルエン溶液に、処
理剤としてモノエチルアミン30gを添加して10℃で
5時間撹拌した。サンプリングしてH NMR測定を
行い、生成物が、メルカプト基を両末端に有するポリア
クリル酸n−ブチルであり、メルカプト基の導入率が両
末端基準で90%であることを確認した。反応液から過
剰のモノエチルアミンを蒸留して除去し、空気雰囲気で
アルケニル基含有化合物としてアリルメルカプタン13
6mgを添加し、酸化剤である二酸化鉛0.1mgを加
えて、80℃で12時間加熱撹拌した。減圧脱揮した後
得られた重合体100gのH NMRスペクトルよ
り、両末端にジスルフィド結合を介してアリル基を有す
るポリアクリル酸n−ブチルであることを確認した。ア
リル基の導入率は、両末端基準で85%であった。GP
C分析により、Mw=86400、Mn=61200、
Mw/Mn=1.41であることを確認した。
【0226】上記両末端にアリル基を有するポリアクリ
ル酸n−ブチル100重量部に対し、1,9−デカジエ
ンとH−Si化合物である1,3,5,7−テトラメチ
ルシクロテトラシロキサンとの反応物である、次式
【0227】
【化46】
【0228】(式中、Meはメチル基を示す)で示され
る化合物(H−Si化合物)0.45重量部、およびヒ
ドロシリル化触媒として白金−1,3−ジビニルテトラ
メチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(3重量%)
0.3重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0229】得られた粘着剤組成物を、コロナ放電処理
した40μm厚のPETフィルム(クラレ株式会社製)
上にアプリケーターで塗布し、100℃で15分間加熱
した。この粘着剤フィルムについて、上述のように粘着
保持力試験および180°ピール力試験を行った。結果
を表1に示す。
【0230】(実施例2)撹拌機、温度計、窒素ガス導
入管、および還流冷却管を備えた300mL反応器に、
ビニル系単量体としてアクリル酸n−ブチル90.5
g、重合開始剤として1,1’−アゾビス(1−シクロ
ヘキサンカルボニトリル)20mg、チオカルボニルチ
オ基を有する化合物として次式
【0231】
【化47】
【0232】で示される1,4−ビス(チオベンゾイル
チオメチル)ベンゼン701mg、およびトルエン14
0mLを入れ、系内を窒素置換した。反応液を撹拌しな
がら90℃で40時間加熱した。反応液をサンプリング
し、GPC分析によりMw=56500、Mn=411
00、Mw/Mn=1.37の重合体生成を確認すると
共に、H NMR測定より、チオカルボニルチオ基が
ポリアクリル酸n−ブチルの両末端に導入されており、
導入率は両末端基準で85%であることを確認した。
【0233】続いて、処理剤としてジエチルアミン75
gを添加して30℃で8時間撹拌した。過剰のジエチル
アミンを蒸留により除去した。得られた重合体の
NMR測定の結果、メルカプト基を両末端に有するポリ
アクリル酸n−ブチルであり、メルカプト基の導入率が
両末端基準で90%であることを確認した。
【0234】こうして得られた、両末端にメルカプト基
を有するポリアクリル酸n−ブチル50gを脱水したト
ルエン130mLに溶解し、空気雰囲気でアルケニル基
含有化合物としてアリルメルカプタン190mgを添加
し、酸化剤である二酸化鉛0.5mgを加えて、80℃
で12時間加熱撹拌した。減圧脱揮した後得られた重合
体のH NMRスペクトルより、両末端にジスルフィ
ド結合を介してアリル基を有するポリアクリル酸n−ブ
チルであることを確認した。アリル基の導入率は、両末
端基準で88%であった。GPC分析の結果、Mw=5
5300、Mn=40100、Mw/Mn=1.38で
あった。
【0235】上記両末端にアリル基を有するポリアクリ
ル酸n−ブチル40gに、H−Si化合物である1,
3,5,7−テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシ
ロキサン100mgと、ヒドロシリル化触媒である白金
−1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキ
シレン溶液(3重量%)0.25mLを添加し、コロナ
放電処理した40μm厚のPETフィルム(クラレ株式
会社製)上にアプリケーターで塗布し、100℃で20
分間加熱した。この粘着剤フィルムについて、粘着保持
力試験および180°ピール力試験を行った。結果を表
1に示す。
【0236】(実施例3)撹拌機、温度計、窒素ガス導
入管、および還流冷却管を備えた300mL反応器に、
ビニル系単量体としてスチレン225.5gと、チオカ
ルボニルチオ基を有する化合物として次式
【0237】
【化48】
【0238】(式中、Phはフェニル基を示す)で示さ
れる1,2,4,5−テトラキス(チオベンゾイルチオ
メチル)ベンゼン1.37gを秤取し、系内を窒素置換
した。100℃で20時間加熱撹拌し、サンプリングし
てGPC分析を行ったところ、Mw=35500、Mn
=25800、Mw/Mn=1.38の重合体の生成を
確認した。この重合体は4本の枝を持つ星状重合体であ
り、H NMR測定より、それぞれの末端にチオカル
ボニルチオ基を有することを確認した。チオカルボニル
チオ基の導入率は、全末端基準で78%であった。
【0239】反応液を室温まで冷却し、処理剤としてジ
メチルアミン10gを添加して0℃で20時間加熱撹拌
した。溶媒を減圧留去して得られた重合体は、4本の枝
を持つ星状重合体であり、H NMR測定より、それ
ぞれの末端にメルカプト基を有することを確認した。メ
ルカプト基の導入率は全末端基準で72%であった。
【0240】得られたそれぞれの末端にメルカプト基を
有する星状ポリスチレン100gを脱水したトルエン2
50mLに溶解し、空気雰囲気でアルケニル基含有化合
物であるアリルイソシアナート1.34gを添加し、ウ
レタン化触媒としてジオクチルスズジアセチルアセトネ
ート5mgを加えて、80℃で12時間加熱撹拌した。
減圧脱揮した後得られた重合体のH NMRスペクト
ルより、それぞれの末端にチオウレタン結合を介してア
リル基を有する星状ポリスチレンであることを確認し
た。アリル基の導入率は、全末端基準で70%であっ
た。GPC分析の結果、Mw=36300、Mn=24
300、Mw/Mn=1.49であった。
【0241】上記それぞれの末端にアリル基を有する星
状ポリスチレン95gのトルエン溶液に、H−Si化合
物として1,3,5,7−テトラヒドロテトラメチルシ
クロテトラシロキサン520mg、ヒドロシリル化触媒
として白金−1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサ
ン錯体のキシレン溶液(3重量%)0.35mL、貯蔵
安定性改良剤としてジメチルマレート85mg、および
粘着性付与剤としてテルペン樹脂5gを添加した。得ら
れた混合物を、コロナ放電処理した40μm厚のPET
フィルム(クラレ株式会社製)上にアプリケーターで塗
布し、100℃で30分間加熱した。この粘着剤フィル
ムについて、粘着保持力試験および180°ピール力試
験を行った。結果を表1に示す。
【0242】(実施例4)撹拌機、温度計、窒素ガス導
入管、滴下漏斗、および還流冷却管を備えた300mL
反応器に、乳化剤としてドデシルスルホン酸ナトリウム
110mgと蒸留水100gを入れ、80℃で加熱撹拌
しながら系内を窒素置換した。チオカルボニルチオ基を
有する化合物として次式
【0243】
【化49】
【0244】で示される2−(2−フェニルプロピル)
ジチオベンゾエート217mgをビニル系単量体である
メタクリル酸メチル3.0gに溶解させて添加し、20
分後に重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シア
ノ吉草酸)185mgを蒸留水4gと共に添加した。8
0℃で20分間撹拌した後、滴下漏斗からメタクリル酸
メチル17.5gを90分かけて滴下した。30分後、
ビニル系単量体であるアクリル酸n−ブチル20.0g
を1時間かけて滴下漏斗から滴下した。80℃で5時間
撹拌した後、乳化液を塩化ナトリウムで塩析し、蒸留水
で洗浄することにより、ポリメタクリル酸メチル−ポリ
アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体31.2gを
得た。GPC分析の結果、Mw=59900、Mn=4
4300、Mw/Mn=1.35であり、H NMR
測定の結果、チオカルボニルチオ基がポリメタクリル酸
メチル−ポリアクリル酸n−ブチルジブロック共重合体
のポリアクリル酸n−ブチル側末端に導入されており、
導入率は片末端基準で82%であることが確認された。
【0245】得られた重合体20gをトルエン100m
Lに溶解し、処理剤であるジエチルアミン8gを添加
し、室温で2時間、50℃で3時間撹拌した後減圧脱揮
した。得られた重合体のH NMR測定から、ポリア
クリル酸n−ブチル側末端にメルカプト基を有するポリ
メタクリル酸メチル−ポリアクリル酸n−ブチルジブロ
ック共重合体であることを確認した。メルカプト基の導
入率は片末端基準で77%であった。
【0246】このポリアクリル酸n−ブチル側末端にメ
ルカプト基を有するポリメタクリル酸メチル−ポリアク
リル酸n−ブチルジブロック共重合体12gを脱水した
トルエン20mLに溶解し、窒素雰囲気でアルケニル基
含有化合物であるアリルイソシアナート23.9mgを
添加し、ウレタン化触媒としてジブチルスズビスアセチ
ルアセトナート3mgを加えて、80℃で7時間加熱撹
拌した。減圧脱揮した後得られた重合体のH NMR
スペクトルより、ポリアクリル酸n−ブチル側末端にチ
オウレタン結合を介してアリル基を有するポリメタクリ
ル酸メチル−ポリアクリル酸n−ブチルジブロック共重
合体であることを確認した。アリル基の導入率は、片末
端基準で73%であった。GPC分析の結果、Mw=6
2200、Mn=45900、Mw/Mn=1.36で
あった。
【0247】上記ジブロック共重合体100重量部に対
し、H−Si化合物として1,3,5,7−テトラメチ
ルシクロテトラシロキサン0.21重量部、ヒドロシリ
ル化触媒として白金−1,3−ジビニルテトラメチルジ
シロキサン錯体のキシレン溶液(3重量%)0.1重量
部を配合し、コロナ放電処理した40μm厚のPETフ
ィルム(クラレ株式会社製)上にアプリケーターで塗布
し、110℃で10分間加熱した。この粘着剤フィルム
について、粘着保持力試験および180°ピール力試験
を行った。結果を表1に示す。
【0248】(実施例5)撹拌機、温度計、窒素ガス導
入管、還流冷却管、および滴下ろうとを備えた1L反応
器に、乳化剤としてドデシルスルホン酸ナトリウム41
0mgと、蒸留水400gを入れ、80℃に加熱撹拌し
ながら窒素置換した。チオカルボニルチオ基を有する化
合物として次式
【0249】
【化50】
【0250】で示される化合物23.34gを、ビニル
系単量体であるアクリル酸n−ブチル50gに溶解させ
て添加し、80℃で20分間、窒素気流下で撹拌した
後、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ
吉草酸)7.0gを蒸留水25gと共に添加した。80
℃で30分撹拌した時点で、滴下ろうとからビニル系単
量体としてアクリル酸n−ブチル100gとアクリル酸
2−メトキシエチル50gの混合溶液を、1時間30分
かけて滴下した。さらに80℃で4時間撹拌した後、乳
化液を室温まで冷却し、塩析、ろ過、洗浄により、両末
端にチオカルボニルチオ基を有する、アクリル酸n−ブ
チル−アクリル酸2−メトキシエチルランダム共重合体
を得た。GPC分析、およびH NMR分析より、こ
の重合体はMw=4320、Mn=3970、Mw/M
n=1.09であり、チオカルボニルチオ基の導入率
は、両末端基準で97%であることを確認した。
【0251】このチオカルボニルチオ基を両末端に有す
る重合体180gを、トルエン200mLに溶解し、処
理剤としてモノエチルアミン20gを加えて5℃で10
時間撹拌し、過剰のモノエチルアミンとトルエンとを留
去することにより、メルカプト基を両末端に有するアク
リル酸n−ブチル−アクリル酸2−メトキシエチルラン
ダム共重合体を得た。この重合体をトルエン200mL
に溶解し、耐圧容器に入れて塩基性化合物である水酸化
カリウム0.2gとアセチレン25gとを仕込み、80
℃で12時間反応させることにより、両末端にビニルス
ルフィド基を有するアクリル酸n−ブチル−アクリル酸
2−メトキシエチルランダム共重合体を得た。GPC分
析の結果、Mw=4450、Mn=4000、Mw/M
n=1.11であることを確認した。
【0252】上記両末端にビニルスルフィド基を有する
ランダム共重合体100重量部に対し、H−Si化合物
として1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン
4.2重量部、ヒドロシリル化触媒として塩化白金酸
(六水和物)0.5重量部を配合し、粘着剤組成物とし
た。この粘着剤組成物をコロナ放電処理した40μm厚
のPETフィルム(クラレ株式会社製)上にアプリケー
ターで塗布し、50℃で2時間、80℃で2時間加熱し
た。この粘着剤フィルムについて、粘着保持力試験およ
び180°ピール力試験を行った。結果を表1に示す。
【0253】(実施例6)撹拌機、温度計、窒素ガス導
入管、および還流冷却管を備えた1L反応器に、ビニル
系単量体としてアクリル酸n−ブチル181g、重合開
始剤として1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカ
ルボニトリル)40mg、チオカルボニルチオ基を有す
る化合物として次式
【0254】
【化51】
【0255】で示される化合物635mg、およびトル
エン300mLを入れ、系内を窒素置換した。反応液を
撹拌しながら90℃で5時間加熱した。反応液からトル
エンを減圧留去し、Mw=77000、Mn=5690
0、Mw/Mn=1.35の重合体110gを得た。
H NMR測定の結果、チオカルボニルチオ基がポリア
クリル酸n−ブチルの両末端に導入されており、導入率
は両末端基準で93%であることを確認した。
【0256】こうして得られた、両末端にチオカルボニ
ルチオ基を有するポリアクリル酸n−ブチル110gを
トルエン400mLに溶解し、処理剤としてモノエチル
アミン30gを添加して10℃で5時間撹拌した。残存
するモノエチルアミンおよびトルエンを減圧留去し、得
られた重合体のH NMR測定の結果、メルカプト基
を両末端に有するポリアクリル酸n−ブチルであり、メ
ルカプト基の導入率が両末端基準で90%であることを
確認した。
【0257】この両末端にメルカプト基を有するポリア
クリル酸n−ブチル105gを脱水トルエン400mL
に溶解し、窒素雰囲気で、ウレタン化触媒であるジブチ
ルスズビスイソオクチルチオグリコレート10mg、お
よびアルケニル基含有化合物であるアリルイソシアナー
ト355mgを添加し、80℃で8時間加熱撹拌した。
トルエンを減圧留去し、両末端にチオウレタン結合を介
してアリル基を有するポリアクリル酸n−ブチルを得
た。GPC分析の結果、Mw=78100、Mn=60
200、Mw/Mn=1.30であった。
【0258】上記ポリアクリル酸n−ブチル100重量
部に対し、H−Si化合物として1,3,5,7−テト
ラメチルシクロテトラシロキサン0.24重量部、ヒド
ロシリル化触媒として白金−1,3−ジビニルテトラメ
チルジシロキサン錯体のキシレン溶液(3重量%)0.
35重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0259】この粘着剤組成物を、コロナ放電処理した
40μm厚のPETフィルム(クラレ株式会社製)上に
アプリケーターで塗布し、50℃で2時間、80℃で2
時間加熱した。この粘着剤フィルムについて、粘着保持
力試験および180°ピール力試験を行った。結果を表
1に示す。
【0260】(実施例7)撹拌機、温度計、窒素ガス導
入管、および還流冷却管を備えた500mL反応器に、
ビニル系単量体としてアクリル酸n−ブチル181g、
重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル30m
g、チオカルボニルチオ基を有する化合物として次式
【0261】
【化52】
【0262】で示される1−フェニルエチルジチオベン
ゾエート200mg、およびトルエン150mLを入
れ、系内を窒素置換した。反応液を撹拌しながら60℃
で3時間加熱した。反応液からトルエンを減圧留去し、
Mw=39200、Mn=33900、Mw/Mn=
1.15のポリアクリル酸n−ブチル21gを得た。
HNMR測定の結果、チオカルボニルチオ基はポリアク
リル酸n−ブチルの片末端に導入されており、導入率は
片末端基準で96%であることが確認された。
【0263】得られたポリアクリル酸n−ブチル20g
をジメチルホルムアミド450mLに溶解し、ビニル系
単量体であるアクリル酸166gおよび重合開始剤であ
るアゾビスイソブチロニトリル6mgと共にガラス製ア
ンプルに入れ、系内を窒素置換した後封緘した。60℃
で4時間加熱した後開封し、処理剤としてジメチルアミ
ン50gを添加して0℃で10時間撹拌した。減圧留去
し、得られた重合体を H NMR測定により解析する
と、ポリアクリル酸n−ブチル−ポリアクリル酸ジブロ
ック共重合体であり、ポリアクリル酸側の末端にメルカ
プト基が導入されていることが確認された。サンプリン
グし、ポリアクリル酸部分をメチルエステル化した後、
ゲル浸透クロマトグラフィー測定を行ったところ、Mw
=63500、Mn=50100、Mw/Mn=1.2
7であった。また、メルカプト基の導入率は片末端基準
で72%であった。
【0264】こうして得られた、メルカプト基を有する
ポリアクリル酸n−ブチル−ポリアクリル酸ジブロック
共重合体50gを、脱水トルエン100gに溶解し、窒
素雰囲気でアルケニル基含有化合物であるアリルイソシ
アナート0.1gおよびウレタン化触媒であるトリエチ
ルアミン0.01gを添加し、80℃で20時間加熱撹
拌した。トルエンを減圧留去し、チオウレタン結合を介
してアリル基を有するポリアクリル酸n−ブチル−ポリ
アクリル酸ジブロック共重合体を得た。GPC分析の結
果、Mw=65500、Mn=49900、Mw/Mn
=1.31であった。
【0265】この重合体100重量部に対して、H−S
i化合物である次式
【0266】
【化53】
【0267】で示される1,3,5,7−テトラメチル
シクロテトラシロキサンと1,9−デカジエンとのヒド
ロシリル化反応物(H−Si化合物)0.20重量部、
ヒドロシリル化触媒である白金−1,3−ジビニルテト
ラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(3重量%)
0.03重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0268】この粘着剤組成物を、コロナ放電処理した
40μm厚のPETフィルム(クラレ株式会社製)上に
アプリケーターで塗布し、50℃で2時間、80℃で2
時間加熱した。この粘着剤フィルムについて、粘着保持
力試験および180°ピール力試験を行った。結果を表
1に示す。
【0269】(比較例1)撹拌機、温度計、窒素ガス導
入管、および還流冷却管を備えた1L反応器に、窒素雰
囲気で脱水トルエン50g、重合開始剤としてベンゾイ
ルパーオキサイド0.10g、ビニル単量体としてアク
リル酸n−ブチル50gおよびアクリル酸2.5gを仕
込み、70℃で10時間加熱撹拌した。得られたアクリ
ル酸n−ブチル−アクリル酸ランダム共重合体は、Mw
=524000、Mn=201000、Mw/Mn=
2.61であった。
【0270】この重合体100重量部をトルエン150
重量部に溶解し、架橋剤としてN,N’−ヘキサメチレ
ン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)
0.15重量部を添加し、粘着剤組成物を得た。
【0271】この粘着剤組成物を、コロナ放電処理した
40μm厚のPETフィルム上にアプリケーターで塗布
し、50℃で2時間、80℃で2時間加熱した。この粘
着剤フィルムについて、粘着保持力試験および180°
ピール力試験を行った。結果を表1に示す。なお、粘着
保持力試験においては、試験開始後23分で粘着剤フィ
ルムが剥がれ落ちてしまった。
【0272】
【表1】
【0273】表1より、本発明の粘着剤組成物を利用し
た粘着フィルムは、いずれも粘着力、粘着保持力、およ
び耐熱性に優れることがわかる。
【0274】
【発明の効果】本発明の粘着剤組成物に含有されるビニ
ル系重合体は、精製工程が簡略化され、水系重合も可能
であり、さらに保護/脱保護の工程を行うことなくアク
リル酸やメタクリル酸を重合できるため、製造コストを
低減することができ、経済的である。また、本発明の粘
着剤組成物、粘着剤、およびこれらを塗布した粘着材料
は、耐熱性、耐候性、凝集力、粘着力、粘着保持力、お
よび接着力に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J004 AA06 AA10 AB05 CA04 CB03 CC02 CD08 EA06 FA08 4J040 CA041 CA091 CA141 DB021 DC021 DC071 DE021 DF011 DF031 DF081 DF091 DJ011 EK041 GA01 GA03 GA05 GA06 GA07 GA11 GA14 GA20 GA24 GA26 GA29 HA066 HC01 HC03 HC15 HD13 HD30 JB02 KA14 KA16 KA26 KA29 LA01 LA06 LA07 LA08 PA30 4J100 AB02P AC03P AC04P AG04P AJ02P AJ02Q AL03P AL09Q AL10Q AM02P AM15P AS02P AS03P AS07P CA01 CA04 CA31 FA02 FA03 HA35 HA61 HA62 HC01 HC42 HC43 HC70 HE08 HE14 JA05

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の2成分を含有する粘着剤組成物: (A)一分子中に一つ以上のアルケニル基と、硫黄原子
    とを有し、かつゲル浸透クロマトグラフィー分析により
    求めた分子量分布が2以下である、ビニル系重合体;お
    よび(B)一分子中に二つ以上の水素−ケイ素結合を有
    する化合物。
  2. 【請求項2】 前記(A)のビニル系重合体が、一分子
    あたり平均して1.1〜10個のアルケニル基を有す
    る、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記(A)のビニル系重合体のゲル浸透
    クロマトグラフィー分析により求めた分子量分布(Mw
    /Mn)が1.5以下である、請求項1または2に記載
    の粘着剤組成物。
  4. 【請求項4】 前記(A)のビニル系重合体中に、両末
    端にアルケニル基を有する直鎖状重合体が60重量%以
    上存在する、請求項1から3のいずれかに記載の粘着剤
    組成物。
  5. 【請求項5】 前記(A)のビニル系重合体が、アクリ
    ル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル
    酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
    アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、塩化
    ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、ブタジエン、イソ
    プレン、およびクロロプレンからなる群より選択される
    少なくとも1種のビニル系単量体のラジカル重合により
    形成される重合体に由来する、請求項1から4のいずれ
    かに記載の粘着剤組成物。
  6. 【請求項6】 前記(A)のビニル系重合体が、アクリ
    ル酸、メタクリル酸、ヒドロキシル基含有アクリル酸エ
    ステル、ヒドロキシル基含有メタクリル酸エステル、カ
    ルボキシル基含有アクリル酸エステル、カルボキシル基
    含有メタクリル酸エステル、アミノ基含有アクリル酸エ
    ステル、アミノ基含有メタクリル酸エステル、エポキシ
    基含有アクリル酸エステル、およびエポキシ基含有メタ
    クリル酸エステルからなる群より選択されるビニル系単
    量体0.1〜50重量%と、他のビニル系単量体99.
    9〜50重量%との共重合により形成される共重合体に
    由来する、請求項1から5のいずれかに記載の粘着剤組
    成物。
  7. 【請求項7】 前記(A)のビニル系重合体が、式
    (1) 【化1】 で示されるチオカルボニルチオ基を有する化合物の存在
    下でビニル系単量体をラジカル重合することにより形成
    される、チオカルボニルチオ基を有するビニル系重合体
    に由来する、請求項1から6のいずれかに記載の粘着剤
    組成物。
  8. 【請求項8】 前記チオカルボニルチオ基を有する化合
    物が、一般式(2) 【化2】 (式中、Rは炭素数1以上のp価の有機基であり、該
    p価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロ
    ゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のう
    ちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体
    であってもよく;Zは水素原子、ハロゲン原子、また
    は炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基
    は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケ
    イ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを
    含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;pは1
    以上の整数であり、pが2以上の場合、Zは同じでも
    よく異なっていてもよい)で示される化合物、および一
    般式(3) 【化3】 (式中、Rは炭素数1以上の1価の有機基であり、該
    1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロ
    ゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のう
    ちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体
    であってもよく;Zは硫黄原子(q=2の場合)、酸
    素原子(q=2の場合)、窒素原子(q=3の場合)、
    または炭素数1以上のq価の有機基であり、該q価の有
    機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原
    子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひ
    とつを含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;
    qは2以上の整数であり、Rは同じでもよく異なって
    いてもよい)で示される化合物からなる群より選択され
    る少なくとも1種である、請求項7に記載の粘着剤組成
    物。
  9. 【請求項9】 前記チオカルボニルチオ基を有する化合
    物が、一般式(4) 【化4】 (式中、Rは炭素数1以上の2価の有機基であり、該
    2価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロ
    ゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のう
    ちの少なくともひとつを含んでいてもよく、高分子量体
    であってもよく;Zは水素原子、ハロゲン原子、また
    は炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基
    は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケ
    イ素原子、およびリン原子のうちの少なくともひとつを
    含んでいてもよく、高分子量体であってもよく;Z
    同じでもよく異なっていてもよい)で示される化合物で
    ある、請求項8に記載の粘着剤組成物。
  10. 【請求項10】 前記(A)のビニル系重合体が、前記
    チオカルボニルチオ基を有するビニル系重合体のチオカ
    ルボニルチオ基を、メルカプト基またはメルカプチド基
    に変換する工程;および得られたメルカプト基またはメ
    ルカプチド基を有するビニル系重合体を、アルケニル基
    含有化合物と反応させる工程によって得られ、該アルケ
    ニル基含有化合物が、メルカプト基またはメルカプチド
    基と結合を形成することの可能な官能基およびアルケニ
    ル基を有する、請求項7から9のいずれかに記載の粘着
    剤組成物。
  11. 【請求項11】 前記チオカルボニルチオ基を有するビ
    ニル系重合体を、塩基性化合物、酸性化合物、アンモニ
    ア、ヒドラジン、1級アミン化合物、および2級アミン
    化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合
    物でなる処理剤と反応させることにより、該ビニル系重
    合体のチオカルボニルチオ基が、メルカプト基またはメ
    ルカプチド基に変換される、請求項10に記載の粘着剤
    組成物。
  12. 【請求項12】 前記処理剤が、アンモニア、沸点10
    0℃以下の1級アミン化合物、沸点100℃以下の2級
    アミン化合物、およびヒンダードアミン系光安定剤(H
    ALS)からなる群より選択される少なくとも1種の化
    合物である、請求項11に記載の粘着剤組成物。
  13. 【請求項13】 前記官能基が、ヒドロキシル基、カル
    ボキシル基、アルコキシカルボニル基(エステル結
    合)、メルカプト基、チオンエステル結合、チオールエ
    ステル結合、ジチオエステル結合、イソシアナト基、イ
    ソチオシアナト基、カルボニル基、アルデヒド基、アリ
    ールオキシ基、4級アンモニウムイオン、スルホン結
    合、ハロゲン原子、炭素−炭素二重結合、および炭素−
    炭素三重結合からなる群より選択される、請求項10か
    ら12のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  14. 【請求項14】 前記官能基が、イソシアナト基であ
    る、請求項10から13のいずれかに記載の粘着剤組成
    物。
  15. 【請求項15】 前記(A)のビニル系重合体が、前記
    チオカルボニルチオ基を有するビニル系重合体のチオカ
    ルボニルチオ基を、メルカプト基に変換する工程;およ
    び得られたメルカプト基を有するビニル系重合体を、塩
    基性化合物の存在下、アセチレン化合物と反応させる工
    程によって得られる、請求項7から9のいずれかに記載
    の粘着剤組成物。
  16. 【請求項16】 前記チオカルボニルチオ基を有するビ
    ニル系重合体を、塩基性化合物、酸性化合物、アンモニ
    ア、ヒドラジン、1級アミン化合物、および2級アミン
    化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合
    物でなる処理剤と反応させることにより、該ビニル系重
    合体のチオカルボニルチオ基が、メルカプト基に変換さ
    れる、請求項15に記載の粘着剤組成物。
  17. 【請求項17】 前記処理剤が、塩基性化合物である、
    請求項16に記載の粘着剤組成物。
  18. 【請求項18】 前記(B)の一分子中に二つ以上の水
    素−ケイ素結合を有する化合物が、一般式(5)で示さ
    れる化合物、一般式(6)で示される化合物、および一
    般式(7)で示される化合物からなる群より選択される
    化合物である、請求項1から17のいずれかに記載の粘
    着剤組成物: 【化5】 (式中、Rは炭素数1以上の有機基またはシロキシ基
    を示し;nは0以上の整数であり、rは0以上の整数で
    あり、rは同じでもよく、異なっていてもよく、aおよ
    びbは、それぞれ独立に、0、1、2、または3であ
    り、2≦n+a+bを満たし;Rが複数存在する場
    合、互いに同一でもよく、異なっていてもよい); 【化6】 (式中、Rは炭素数1以上の有機基またはシロキシ基
    を示し;cは2以上の整数であり、dは0以上の整数で
    あり、3≦c+dを満たし;Rが複数存在する場合、
    互いに同一でもよく、異なっていてもよい);および 【化7】 (式中、Rは炭素数1以上の有機基またはシロキシ基
    を示し;Rは炭素数1以上の2価の有機基またはシロ
    キシ基を示し;eは1以上の整数であり、fは0以上の
    整数であり、2≦e+fを満たし;Rが複数存在する
    場合、互いに同一でもよく、異なっていてもよく;eお
    よびfはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよ
    い)。
  19. 【請求項19】 さらに、(C)ヒドロシリル化触媒を
    含有する、請求項1から18のいずれかに記載の粘着剤
    組成物。
  20. 【請求項20】 前記(C)のヒドロシリル化触媒が白
    金含有化合物である、請求項19に記載の粘着剤組成
    物。
  21. 【請求項21】 さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
    光安定剤、老化防止剤、粘着性付与剤、シランカップリ
    ング剤、および貯蔵安定性改良剤からなる群より選択さ
    れる少なくとも一種の添加剤を含有する、請求項1から
    20のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  22. 【請求項22】 前記(A)のアルケニル基含有ビニル
    系重合体と、前記(B)の一分子中に二つ以上の水素−
    ケイ素結合を有する化合物との、ヒドロシリル化反応に
    より得られる、請求項1から21のいずれかに記載の粘
    着剤組成物。
  23. 【請求項23】 請求項1から22のいずれかに記載の
    粘着剤組成物が、基材の少なくとも片方の面に付与され
    た、粘着シート。
  24. 【請求項24】 前記基材が、ポリオレフィン樹脂また
    はアクリル樹脂でなる、請求項23に記載の粘着シー
    ト。
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