JP4542752B2 - 防水テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築物等の外壁面と窓枠との間の防水性を確保するために用いる防水テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅等の建築物の外壁に開口した窓穴等に、例えばアルミサッシの窓枠を装着するに際しては、外壁面の窓穴に装着・固定したアルミサッシの窓枠の表面と、建築物の外壁の表面との間を被覆するように防水テープを貼着する。ついで、透湿防水シートを建築物の外壁に貼着すると共に、その一部が上記防水テープの表面側の縁部分にかかるように貼着して、窓枠の周囲から建築物本体の内部に雨水が浸入するのを防止する様に構成した、防水構造が広く用いられている。
【0003】
従前から、この分野においては、合成樹脂フィルムや不織布、織物等から構成される基材の表面の内、建物本体側に貼着する面には、ゴム系粘着剤からなる層が、外装側の面にはゴム系粘着剤からなる層を積層した防水用両面テープや、ゴム系粘着剤層の代わりに、改質アスファルト層を使用した防水用両面テープが用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、結露防止などの観点から、建築物の防水シートとして、透湿性に優れたものへの需要が高まるにつれて、透湿性に優れた高密度ポリエチレン不織布から成る透湿防水シート等が広く用いられるようになった。しかし、このような透湿防水シートの場合には、建築物自体の防水性の確保のために、従来の防水用両面テープを使用すると、同テープに使用されている改質アスファルト系粘着剤層に含まれる軟化剤、粘着付与剤、可塑剤等に由来する多量の油分が、透湿防水シートに移行、浸透して透湿防水シートの基材であるポリエチレンを膨潤させてしまうことがあることが知られている。そのような問題の対応策の一つとして、基材の両面にアクリル系粘着剤を付着させた防水用両面テープも一部で使用されているが、防水性の点で必ずしも万全ではなく、また、粗面である外壁表面に対する粘着性が万全ではない場合が生ずる恐れがある。特に、粗面である外壁表面に対する粘着性が、時間の経過と共に、劣化する恐れがある。
【0005】
本発明は、上記した如き従来事情に鑑みなされたものであり、その課題とするところは、基材の一方の面に設けられた粗面用粘着剤層とは反対側の面に設けられた粘着剤層が本来有する粘着力の保持と耐候性の向上を図ることにより、粘着性と耐候性に優れた防水テープを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明者等は種々検討の結果、基材の一方の面に設けられた粗面用粘着剤層とは反対側の面に設けられる粘着剤層として、低分子量の油性の抗酸化物を含有させた粘着剤層を設けることにより、上記の目的が達成されることを見出して本発明を完成させたものである。
【0007】
即ち、本発明によれば、基材と、同基材の一方の面に設けられた粗面用粘着剤層と、同基材の他方の面に設けられた粘着剤層とからなる防水テープであって、同基材の他方の面に設けられた粘着剤層が低分子量の油性の抗酸化剤を含有するものである防水テープが提供される。なお、低分子量の油性の抗酸化剤を含有する粘着剤層は、アクリル系粘着剤層であることが好ましい。また、低分子量の油性の抗酸化剤がトコフェロール類であることが好ましく、そのトコフェロール類が粘着剤層に含まれる量は、100ppm〜3800ppmであることが好ましい。粗面用粘着剤層は、改質アスファルト系の粘着剤又はゴム系の粘着剤から構成されたものが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、更に詳述する。基材の粗面側に面する面とは反対側の面に設ける粘着剤層は、低分子量の油性の抗酸化物を含む粘着剤層からなる。このような粘着剤層としては、アクリル系粘着剤からなる層、シリコン系粘着剤からなる層、ブチルゴムを含む合成ゴム系の粘着剤からなる層等が挙げられる。中でも、アクリル系の粘着剤からなる層が好ましく、アクリル系の粘着剤の材料としては、アクリル酸エステル、アクリル酸等の共重合物であって、必要に応じてポリイソシアネート、金属キレート、メラミン等で架橋化されたものであってもよい。
【0009】
トルエン等の溶剤の残留によるシックハウスや、透湿防水シートの膨潤の防止という観点から、無溶剤の紫外線硬化型アクリル系粘着剤が特に好ましい。紫外線硬化型粘着剤としては、主材としてのラジカル重合性をもつアクリルオリゴマー、溶媒及び/又は粘度調節剤としての役割を担うアクリルモノマー、及び光重合開始剤を含有するものが挙げられる。更に、必要に応じて、増粘剤、光増感剤などを含んだものでもよい。使用される光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン系などが挙げられる。
【0010】
同基材の他方の面に設けられた粘着剤層中に含まれる低分子量の油性の抗酸化剤としては、トコフェロール類が挙げられる。トコフェロール類としては、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロール等が使用可能であるが、中でもα−トコフェロールであることが好ましい。同粘着剤層中に含まれるトコフェロール類の量としては、粘着剤の固形物換算で100ppm〜3800ppm、好ましくは300pm以上、より好ましくは、500ppm以上、更に好ましくは、750ppm以上であって、また、好ましくは3500ppm以下、より好ましくは、3000ppm以下、更に好ましくは、2750ppm以下である。
【0011】
基材としては、後述する粗面側の粘着剤層に使用される改質アスファルト系の粘着剤層に含まれる油分が、基材の粗面側に面する面とは反対側の面に設ける、低分子量の油性の抗酸化物を含む粘着剤層からなる粘着剤層へ移行するのを抑止できるものであれば、特別な制限無く、各種の材料が使用可能である。このような条件を充たす材料しては、例えばPETで代表されるポリエステル系のフィルムや、高密度ポリエチレン系フィルム等の樹脂製のフィルム、各種金属製箔膜、各種金属製箔膜とPETなどのポリエステルや、高密度ポリエチレン系のフィルム等の樹脂製のフィルムとの積層体が挙げられる。
【0012】
粗面との粘着に使用される粘着剤層は、比較的粗面な建築物の外壁面と、窓枠の表面との間に、段差や隙間をまたぐように粘着するものであり、特に粗面となる外壁に対して良好な粘着性を有するものが好適に使用される。このような粗面用粘着剤層としては、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ゴム系粘着剤、改質アスファルト系粘着剤等が挙げられる。なお、この粗面用粘着剤層には、プロセスオイル等の軟化剤が使用されているものが通常用いられる。これらの軟化材を使用することにより、粗面に対する高い追従性と、優れた透水防止効果を付与することができる。
【0013】
粗面との粘着に使用される粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ブチルゴムを含む合成ゴム系粘着剤、改質アスファルト系粘着剤の内、ゴム系粘着剤、改質アスファルト系粘着剤が好適に使用される。改質アスファルト系粘着剤としては、ゴム分とアスファルトとの混合物を主体とした粘着剤であり、通常は、アスファルト40〜25質量%、軟化剤35〜40質量%、ゴム分10〜15質量%、充填剤10〜15質量%、粘着付与剤5〜10質量%を全体が100質量%となるように添加、混合して得られる改質アスファルト組成物が好適に使用される。上記アスファルトとしては、ストレートアスファルト、ブロンアスファルト、防水工事用アスファルト等が使用される。ゴム分としては、天然ゴムや、合成ゴム、例えばポリブタジエン、エチレンプロピレンジエン共重合ゴム、スチレンブタジエンランダム共重合体ゴムなどのゴム、およびスチレンブタジエントリブロック共重合体熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。粘着付与剤としては、クマロン樹脂、フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂等が挙げられる。また、軟化剤としては、プロセスオイル、ポリブテン等が用いられる。充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー等が挙げられる。
【0014】
試験例
【0015】
この試験には、綜研化学株式会社製アクリル系粘着剤であるSKダイン1986DTに、架橋剤として同社製M−5ADT0.3部、E−5CMを0.2部と、α−トコフェロールを下記表1に示すように、粘着剤の固形分に対して、0〜10000ppmそれぞれ添加して調製した一連の粘着剤を、離型紙上に乾燥後の厚さが約75μmとなるようにコンマコーターを用いてそれぞれ塗布して、厚さ12μmのPET製フィルムの基材と貼合して製造した一連の試料を用いた。
【0016】
粘着力、及び色調の変化については、下記の条件で測定した。
粘着力
JIS−Z0237に準拠し、同規格に規定するSUS板、一般のポリエチレン板、及び一般のベニヤ板に対する常温下での粘着力を測定した。貼合後20分後の粘着力を初期粘着力、貼合後1日後の粘着力を常態粘着力とした。測定結果は、表1に示す。
色調の変化
上述と同様にして調製した一連のテープ試料を、東洋精機製作所株式会社製のギヤオーブン中で温度180℃にて6時間加熱し、加熱後における試料の色調の変化を測定することにより黄変度(ΔYI)を求めた。黄変度の値の小さいものほど、加熱による粘着剤の酸化劣化の程度が小さいと考えられ、実際に使用された場合の耐久性が高いものと一般に考えられている。
色調は、スガ試験機株式会社製SMカラーコンピューター(SM−5−CH)により、イエローインデックス(YI)の値を測定した。なお、評価は、α−トコフェロール無添加のテープ試料の加熱前のYIの値を基準として、各α−トコフェロールを添加した試料の加熱後のYIとの差ΔYIを求め、この差も表1に併せ示した。
【0017】
【表1】
【0018】
上記の表から明らかなように、低分子量の油性の抗酸化剤として、α−トコフェロールを1000ppm〜4000ppm添加した粘着剤層を粗面用粘着剤層が設けられた面とは反対側の基材の面上に設けた場合には、使用する被粘着材の材質により若干の変動が認められるものの、使用した3種類の被粘着材において良好な粘着力が確保されることが判る。なお、SUSの場合には、より広い添加濃度で優れた粘着力を示した。ベニヤでは、無添加の試料である試料番号1のものと比較して、4000ppmで若干の粘着力の低下が認められたが、PEやSUSでは、実用上は問題のない粘着力を示した。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、本発明の防水テープは、粗面用粘着剤層が設けられた面とは反対側の基材の面上に、所定量の低分子量の油性の抗酸化剤を添加した粘着剤層を設けることにより、耐候性が向上し、被粘着材の材質の如何に拘わらず、優れた粘着力を示した。180℃のギヤオーブンに6時間保持した場合でも、1000ppm〜2000ppm添加したものでは、殆ど経時的な変性を示す色調の変化は極めて少なく、耐候性が向上することが明らかとなった。
Claims (3)
- 基材と、同基材の一方の面に設けられた粗面用粘着剤層と、同基材の他方の面に設けられた粘着剤層とからなる建築用防水テープであって、同基材の他方の面に設けられた粘着剤層は、アクリル系粘着剤層であり、かつ、該粘着剤層には、抗酸化剤としてのトコフェロール類を100ppm〜3800ppm含有するものである建築用防水テープ。
- トコフェロール類を1000ppm〜2000ppm含有するものである請求項1に記載の建築用防水テープ。
- 粗面用粘着剤層が改質アスファルト系の粘着剤又はゴム系の粘着剤から構成されたものである請求項1または2に記載の建築用防水テープ。
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