JPH115733A - 医療用粘着剤及び医療用貼付剤 - Google Patents

医療用粘着剤及び医療用貼付剤

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JPH115733A
JPH115733A JP9159872A JP15987297A JPH115733A JP H115733 A JPH115733 A JP H115733A JP 9159872 A JP9159872 A JP 9159872A JP 15987297 A JP15987297 A JP 15987297A JP H115733 A JPH115733 A JP H115733A
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JP
Japan
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meth
medical
acrylate
pressure
polymerization
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JP9159872A
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English (en)
Inventor
Takayuki Oka
孝之 岡
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘着剤の重合工程において重合反応器の壁面
へのゲル付着量を大幅に減少させることができ、長期間
にわたって安定した粘着物性が得られる医療用粘着剤及
びそれを用いた医療用貼付剤を提供する。 【解決手段】 (メタ) アクリル酸アルキルエステルを
主成分とするモノマー組成物をラジカルを発生する重合
開始剤の存在下で溶液重合して得られる共重合体、及び
酸化防止剤からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用粘着剤及び
それを用いた医療用貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、簡便な薬物の経皮投与手段とし
て、基材上に薬物を含有する粘着剤層を形成した、プラ
スター剤やパップ剤等の医療用貼付剤が広く用いられて
いる。これら医療用貼付剤に使用される医療用粘着剤と
しては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられ
る。これらの中でも、アクリル系粘着剤は、粘着力など
要求される物性をアクリル系モノマーの種々の組み合わ
せによって、コントロールできる等の利点があることか
ら一般に広く用いられている。
【0003】一般的な医療用貼付剤は、(メタ) アクリ
ル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物を溶
液重合やエマルジョン重合することにより得られた粘着
剤溶液に、薬物や添加剤等を配合して粘着剤組成物を調
製した後、該粘着剤組成物を支持体に塗工し、溶媒を乾
燥除去して、支持体上に粘着剤層を形成することにより
製造されている。
【0004】ところで、医療用粘着剤において未反応モ
ノマーが残存すると、人体への刺激、かぶれ、かゆみ及
び紅斑などの皮膚刺激を引き起こす原因となり、これら
の皮膚刺激を防止するためには、医療用粘着剤中の残存
モノマー量を極めて少なくすることが要求される。さら
に、残存モノマーは、薬物の粘着剤層における含有量を
低下させたり、着色等安定性に影響を与える場合もあ
る。そこで、薬物配合前における粘着剤中の残存モノマ
ー量を、固形分比で全体の0.2重量%以下とした医療
用粘着剤が提案されている(特開平5−131022号
公報)。
【0005】一般的に、残存モノマー量の減少を促進す
るためには、医療用粘着剤を重合する際に、例えば、使
用する重合開始剤の量を増やして反応率を高める方法;
重合反応時間を延長する方法;重合反応の後半に重合開
始剤の投与量を増加する方法;重合開始剤を重合反応中
に繰り返して添加する方法などが試みられている。
【0006】しかしながら、上記の方法で得られた低残
存モノマー量の医療用粘着剤を用いて医療用貼付剤を作
製すると、該貼付剤の粘着物性に経時変化が現れること
があり、特に、保持力において顕著な変化が認められる
ことがある。
【0007】医療用貼付剤は、人体に貼付するため、初
期に設定した粘着物性値が変化することは、製品の使用
感に大きな影響を与えるので好ましくない。例えば、粘
着力が増大すると剥離時に皮膚が損傷を受けたり、粘着
剤層が硬くなると、貼付中に皮膚にストレスが加わるこ
となどから、皮膚刺激が大きくなることがある。また、
粘着力が低下すると貼付中に剥がれや浮きを生じること
がある。
【0008】また、医療用粘着剤中の残存モノマー量を
極力減らすために、重合時間を延長すると生産性が低下
するだけでなく、溶剤に不溶なゲルが発生し易くなり、
反応器の内壁にゲルが付着するおそれがあった。その結
果、反応器を洗浄するために煩雑な作業を強いられるこ
とになり、医療用粘着剤の生産性や作業性が大幅に低下
するという問題点があった。さらに、粘着剤溶液中にゲ
ルが発生すると、粘着剤の塗工性が低下し、良好な品質
の医療用貼付剤を得ることが困難になるという問題点が
あった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、粘着
剤の重合工程において重合反応器の壁面へのゲル付着量
を大幅に減少させることができ、長期間にわたって安定
した粘着物性が得られる医療用粘着剤及びそれを用いた
医療用貼付剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の医療用粘着剤
は、(メタ) アクリル酸アルキルエステルを主成分とす
るモノマー組成物をラジカルを発生する重合開始剤の存
在下で溶液重合して得られる共重合体、及び酸化防止剤
からなる医療用粘着剤であって、該共重合体中の残存モ
ノマー量が0.2重量%以下であり、酸化防止剤が該共
重合体に対して0.001〜5重量%含有されることを
特徴とする。
【0011】本発明で用いられるモノマー組成物は、
(メタ) アクリル酸アルキルエステルを主成分とする。
(メタ) アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限
定されないが、(メタ) アクリル酸アルキルエステルの
アルキル残基として、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキ
シル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、
デシル基、ラウリル基、ステアリル基等が挙げられる。
【0012】上記(メタ) アクリル酸アルキルエステル
としては、上記アルキル残基を1種以上有する、アルキ
ル基の炭素数1〜18の(メタ) アクリル酸アルキルエ
ステルが好ましく、例えば、(メタ) アクリル酸メチ
ル、(メタ) アクリル酸エチル、(メタ) アクリル酸プ
ロピル、(メタ) アクリル酸イソプロピル、(メタ) ア
クリル酸n−ブチル、(メタ) アクリル酸イソブチル、
(メタ) アクリル酸n−ヘキシル、(メタ) アクリル酸
イソヘキシル、(メタ) アクリル酸n−オクチル、(メ
タ) アクリル酸イソオクチル、(メタ) アクリル酸2−
エチルヘキシル、(メタ) アクリル酸ノニル、(メタ)
アクリル酸デシル、(メタ) アクリル酸ラウリル、(メ
タ) アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらは単
独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0013】上記(メタ) アクリル酸アルキルエステル
の中で、アルキル基の炭素数2〜12のものがより好ま
しい。アルキル基の炭素数が、1であるか、12を超え
ると、得られるアクリル系粘着剤に十分な粘着力を付与
することが難しくなる。このような(メタ) アクリル酸
アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ) アクリル酸n−ブチル、(メタ) ア
クリル酸2−エチルヘキシル、(メタ) アクリル酸ラウ
リル等が挙げられる。
【0014】上記モノマー組成物には、必要とする粘着
物性に応じて、上記(メタ) アクリル酸アルキルエステ
ルと共重合可能な単量体が併用されてもよい。上記(メ
タ) アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体
としては、例えば、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ジ
アセトンアクリルアミド、アクリロニトリル、ジメチル
アクリルアミド、エチレングリコールモノ(メタ) アク
リル酸エステル、スチレン等が挙げられる。
【0015】上記共重合可能な単量体の使用量は、粘着
剤の粘着性、凝集性に悪影響を及ぼさない範囲であっ
て、モノマー組成物の40モル%以下が好ましい。
【0016】上記モノマー組成物には、さらに、1分子
中に、ビニル基、アリル基等のラジカル重合性の官能基
を2個以上有する多官能性単量体を添加されてもよい。
上記多官能性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼ
ン、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙
げられる。
【0017】上記多官能性単量体の添加によって、生成
する重合体が部分的に架橋され、いわゆる微架橋された
状態となり、より重合度の高い共重合体を得ることがで
きる。この微架橋により、粘着剤に適度の凝集性が付与
されると共に接着性が高められ、剥離の際の糊残りを防
止することができる。また、得られる粘着剤溶液の安定
性も高められる。
【0018】上記多官能性単量体の添加量は、単量体全
体の0.1重量%以下が好ましい。多官能性単量体の添
加量が、0.1重量%を超えると反応時の重合度の調整
が困難になるため、反応液がゲル化し易くなり、薬物の
均一混合が困難になる。
【0019】上記共重合体に用いられる好ましいモノマ
ー組成物としては、例えば、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル40〜99重量%及びビニルピロリドン6
0〜1重量%からなる単量体100モルに対して上記多
官能性単量体を0.001〜0.1モル含有するもの、
メタクリル酸2−エチルヘキシルを40〜90重量%
及び前記以外のアルキル基の炭素数6以上の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルを60〜10重量%含有する
単量体100モルに対して上記多官能性単量体を0.0
01〜0.1モル含有するもの等が挙げられる。
【0020】上記共重合体は、上記モノマー組成物及び
重合溶媒を含む重合反応溶液を密閉された状態で溶液重
合することにより得られる。溶液重合時の温度は、低く
なると反応性が小さくなり重合に長時間を要するため生
産性が低下し、高くなると反応性が高くなるため重合反
応の制御が困難となるので、50〜120℃が好まし
い。また、重合温度は、上記温度範囲内で、重合反応中
一定温度としてもよく、適当な時間ごとに温度を変更し
てもよい。
【0021】上記重合反応を密閉された状態で行なうこ
とにより、反応系を加圧することができるため、重合温
度を使用する重合溶媒の常圧下における沸点以上に設定
することができる。このような重合溶媒の常圧下におけ
る沸点以上の温度で重合することにより、重合反応率を
高めることができ、残存モノマー量を固形分比で0.2
重量%以下に低減させることができる。
【0022】上記溶液重合を密閉された状態で行うため
の重合反応器としては、密閉型の重合反応器であって、
耐圧構造を有するものであれば特に限定されず、例え
ば、槽型、搭状、槽長状などの種々の形状の重合反応器
を用いることができる。
【0023】上記重合溶媒としては、例えば、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶
剤;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが
挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上
が併用されてもよい。
【0024】上記重合反応には、通常、ラジカル基を発
生させる重合開始剤が用いられる。重合開始剤として
は、一般に用いられている熱ラジカル重合開始剤が挙げ
られ、例えば、パーオキシカーボネート、ケトンパーオ
サイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイ
ド、ジアルキルパーオサイド(例えば、ラウロイルパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ジアシル
パーオサイド、パーオキシエステル等の有機過酸化物;
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビ
ス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビ
スイソ酪酸メチル等のアゾ化合物が挙げられ、これらは
単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよ
い。
【0025】上記重合開始剤の使用量は、上記モノマー
組成物に対して、0.0001〜5重量%が好ましく、
残存モノマーを低下させるためには、通常0.1重量%
以上が好ましい。また、重合開始剤は一括して添加され
てもよく、分割して添加されてもよい。
【0026】本発明の医療用粘着剤において、上記重合
開始剤に起因して発生するラジカルを捕捉するために酸
化防止剤が用いられる。酸化防止剤としては、皮膚への
貼付に対して安全性が高いものが好ましく、例えば、ア
スコルビン酸、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステ
ル、酢酸トコフェロール、大豆レシチン、天然ビタミン
E、トコフェロール、没食子酸プロピル等が挙げられ
る。
【0027】上記酸化防止剤の添加量は、残存する重合
開始剤の量に応じて決定されるが、少なくなるとラジカ
ルを捕捉効果が不十分となり、多くなると粘着性に悪影
響を及ぼすため、上記(共)重合体に対して0.001
〜5重量%に制限される。
【0028】上記医療用粘着剤に薬物が添加されてもよ
い。薬物としては、特に限定されず、例えば、消炎鎮痛
剤、抗炎症剤、冠血管拡張剤、精神安定剤、抗高血圧
剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌性物質、抗ヒスタミン剤、
性ホルモン、脳循環改善剤、抗潰瘍剤等が挙げられる。
薬物の含有量は、薬物の種類によって異なるが、通常、
粘着剤中0.1〜30重量%が好ましい。
【0029】上記粘着剤には、必要に応じて、さらに吸
収促進剤、薬物溶解剤、粘着付与剤、架橋剤、充填剤、
酸化防止剤などが添加されてもよい。
【0030】本発明の医療用粘着剤を用いて貼付剤を製
造するには、粘着テープ製造の常法に従って調製するこ
とができ、例えば、溶剤塗工法、ホットメルト塗工法、
電子線硬化エマルジョン塗工法等を用いることができ、
中でも溶剤塗工法が好ましい。上記溶剤塗工法では、上
記粘着剤に、必要に応じて、薬物及びその他の添加剤を
配合し、支持体片面に塗布した後、溶剤を乾燥により除
去することにより、支持体上に所定の厚さの粘着剤層が
形成された医療用貼付剤を得ることができる。また、上
記粘着性組成物(必要に応じて、薬物及びその他の添加
剤を含む)を剥離紙上に一旦塗工し乾燥させて粘着剤層
を形成した後、該粘着剤層を支持体に転写、積層しても
よい。
【0031】上記粘着剤を支持体上に塗工する場合に
は、バーコーター塗工、グラビア塗工等、通常の粘着剤
塗工方法が用いられる。粘着剤層の厚みは、特に限定さ
れないが、通常、20〜1000μmが好ましい。粘着
剤層の厚みが、20μm未満では、必要量の薬物を含有
させることが困難となり、かつ、粘着性が不十分となる
ことがあり、1000μmを超えると、支持体付近の粘
着剤層に含有される薬物が十分に拡散せず、薬物利用効
率が低下する。
【0032】上記剥離紙は、医療用粘着剤層を外気から
遮断すると共に、使用時に粘着剤層が貼付部以外に貼り
付くのを防止する。上記剥離紙としては、特に限定され
ず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチ
レンテレフタレート等の樹脂フィルムが用いられる。こ
の剥離紙の厚みは、通常、300μm以下が好ましく、
より好ましくは10〜200μmである。
【0033】上記支持体としては、皮膚表面の動きに追
随できる柔軟性と、薬物及びその他の添加剤の散逸を防
ぐバリヤー性とを有するものが好適に用いられる。この
ような支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブタジエン、ポリブテン、エチレン・酢
酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エ
チレン・アルキル(メタ)アクリレート共重合体等のオ
レフィン系(共)重合体;スチレン・イソプレン・スチ
レン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合
体等のスチレン系共重合体及びこれらの水添物;ポリ塩
化ビニリデン、塩化ビニリデン・スチレン共重合体等の
塩化ビニリデン系(共)重合体;ポリ塩化ビニル、塩化
ビニル・エチレン共重合体、塩化ビニル・アクリル酸ア
ルキルエステル共重合体等の塩化ビニル系(共)重合
体;シリコン樹脂;ポリフッ化エチレン;ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリ
エステル系重合体;ポリウレタン:ポリアミドなどを素
材とする樹脂フィルムが挙げられる。また、これらの樹
脂フィルムと、織布又は不織布との積層体であってもよ
い。
【0034】上記支持体の形状は、特に限定されず、フ
ィルム状、シート状、テープ状など任意の形状が使用可
能である。また、上記支持体の厚みは、使用する材料に
よって異なるが、フィルム状の場合は、500μm以下
が好ましく、より好ましくは40〜200μmである。
【0035】上記支持体の粘着剤層側には、必要に応じ
て、接着性を高めるために、予め下塗り加工、コロナ放
電処理、薬品酸化処理、オゾン処理等の前処理が施され
てもよい。
【0036】
【作用】重合開始剤を用いて医療用粘着剤中の残存モノ
マーを低減する場合、活性な重合開始剤が微量残存する
だけでも粘着物性に大きな悪影響を及ぼすことが知られ
ている。しかし、本発明の医療用粘着剤では、活性な残
存重合開始剤から発生するラジカルを酸化防止剤によっ
て捕捉するため、医療用貼付剤として使用される粘着剤
層で重合開始剤起因のラジカル発生に基づく二重結合の
付加反応や水素引き抜き反応を防止でき、長期間安定し
た粘着物性を保持することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0038】(実施例1)攪拌機、温度調節機、窒素ガ
ス導入管、還流冷却管、加熱及び冷却ジャケットから構
成される密閉重合反応器を使用した。まず、重合反応器
に窒素ガスをパージして重合反応器内に残存する空気を
排出した後、アクリル酸2−エチルヘキシル75g、N
−ビニルピロリドン25g及び酢酸エチル100gを吸
引供給した。次いで、窒素ガスを流入しながら30rp
mの回転数で撹拌し重合器内を60℃に昇温した。さら
に、ラウロイルパーオキサイド1gを全量30mlとな
るように酢酸エチルに溶解した重合開始剤溶液を、逐
次、少量ずつ添加し、30時間重合を行った。重合終了
後、固形分濃度が30重量%となるように酢酸エチルを
投入、混合した。冷却後、酢酸トコフェロール0.00
6gを投入混合し、医療用粘着剤溶液を得た。
【0039】(実施例2)酢酸トコフェロールの投入量
を0.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして医
療用粘着剤を得た。さらに、医療用粘着剤に硝酸イソソ
ルビドを全固形分に対して10重量%となるように加え
て、薬物入り医療用粘着剤を得た。
【0040】(実施例3)酢酸トコフェロールの投入量
を4gとしたこと以外は、実施例1と同様にして医療用
粘着剤を得た。
【0041】(実施例4)攪拌機、温度調節機、窒素ガ
ス導入管、還流冷却管、加熱及び冷却ジャケットから構
成される耐圧構造を有する密閉重合反応器を使用した。
まず、重合反応器に窒素ガスをパージして重合反応器内
に残存する空気を排出した後、実施例1と同様のモノマ
ー組成物及び酢酸エチルを吸引供給した。次いで、窒素
ガスを流入して1.5kg/cm2 に加圧した後、30
rpmの回転数で撹拌しながら重合器内を80℃に昇温
した。さらに、実施例1と同様の重合開始剤溶液を、逐
次、少量ずつ添加し、24時間重合を行った。重合終了
後、固形分濃度が30重量%となるように酢酸エチルを
投入、混合した。冷却後、大豆レシチン0.08gを投
入混合し、医療用粘着剤を得た。
【0042】(実施例5)実施例4と同様の耐圧構造を
有する密閉重合反応器を使用し、まず、重合反応器に窒
素ガスをパージして重合反応器内に残存する空気を排出
した後、メタクリル酸2−エチルヘキシル78g、メタ
クリル酸ドデシル12g、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル10g、1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エス
テル0.001g及び酢酸エチル100gを吸引供給し
た。次いで、窒素ガスを流入して1.5kg/cm2
加圧した後、30rpmの回転数で撹拌しながら重合器
内を80℃に昇温した。さらに、実施例1と同様の重合
開始剤溶液を、逐次、少量ずつ添加し、24時間重合を
行った。重合終了後、固形分濃度が30重量%となるよ
うに酢酸エチルを投入、混合した。冷却後、天然ビタミ
ンE0.5gを投入混合し、医療用粘着剤を得た。
【0043】(実施例6)実施例4と同様の耐圧構造を
有する密閉重合反応器を使用し、天然ビタミンEに代え
て酢酸トコフェロールを0.1g投入したこと以外は、
実施例5と同様にして医療用粘着剤を得た。さらに、こ
の医療用粘着剤にニトログリセリンを全固形分に対して
10重量%となるように加えて、薬物入り医療用粘着剤
を得た。
【0044】(実施例7)実施例4と同様の耐圧構造を
有する密閉重合反応器を使用し、天然ビタミンEに代え
て没食子酸プロピルを0.2g投入したこと以外は、実
施例5と同様にして医療用粘着剤を得た。さらに、この
医療用粘着剤にニトログリセリンを全固形分に対して1
0重量%となるように加えて、薬物入り医療用粘着剤を
得た。
【0045】(比較例1)酢酸トコフェロールの投入量
を0.0005gとしたこと以外は、実施例1と同様に
して医療用粘着剤を得た。さらに、この医療用粘着剤に
硝酸イソソルビドを全固形分に対して10重量%となる
ように加えて、薬物入り医療用粘着剤を得た。
【0046】(比較例2)酢酸トコフェロールの投入量
を10gとしたこと以外は、実施例1と同様にして医療
用粘着剤を得た。
【0047】(比較例3)重合終了後、固形分濃度が3
0重量%となるように酢酸エチルを添加したこと以外
は、実施例1と同様にして医療用粘着剤を得た。
【0048】(比較例4)実施例4と同様の耐圧構造を
有する密閉重合反応器を使用し、重合終了後、固形分濃
度が30重量%となるように酢酸エチルを添加したこと
以外は、実施例5と同様にして医療用粘着剤を得た。さ
らに、この医療用粘着剤にニトログリセリンを全固形分
に対して10重量%となるように加えて、薬物入り医療
用粘着剤を得た。
【0049】上記実施例及び比較例で得られた医療用粘
着剤につき、下記の性能評価を行い、その結果を表1に
示した。 (1)ゲル付着状況 医療用粘着剤を抜き出した後の、重合反応器の壁面にお
けるゲル付着状況を観察した。さらに、壁面に付着した
残留物を除去するために、重合反応器内に酢酸エチルを
投入して3時間加熱、還流させて洗浄した後、酢酸エチ
ルを抜き出し、残留ゲルの付着状況を観察した。
【0050】(2)医療用粘着剤中の残存モノマー量 医療用粘着剤溶液中の残存モノマー量を、ガスクロマト
グラフ法で定量した。さらに、医療用粘着剤溶液中の固
形分を別途測定し、対固形分比で残存モノマー量を算出
した。
【0051】(3)医療用貼付剤(粘着剤塗工3日後)
の保持力測定 医療用粘着剤をナイフコーターを用いて支持体上に塗工
した後60℃で30分間乾燥して、乾燥後の粘着剤層厚
みが50μmの医療用貼付剤を得た。粘着剤塗工3日後
の医療用貼付剤を、幅25mm、長さ150mmに切断
した試料をステンレス板に25mm×25mmの面積が
接するように貼り付け、貼り付けていない部分を接着剤
面を内側にして折り重ねて試験片を作製した。次いで、
試験片の上から2kgのローラーを圧着速度約300m
m/分で1往復させて圧着した。この試験片を、40℃
の恒温槽で20分以上保持した後、ステンレス板を止め
金で止め、試験片が垂直に垂れ下がるようにして固定し
た。次いで、折り重ねた部分の端に1kgの重りを取り
付けて、重りが落下するまでの時間(保持時間)を測定
し、保持力とした。
【0052】(4)医療用貼付剤(加速試験後)の保持
力測定 医療用粘着剤をナイフコーターを用いて塗工した後60
℃で30分間乾燥して、乾燥後の粘着剤層厚みが50μ
mの医療用貼付剤を得た。この医療用貼付剤をアルミ包
材内に封入して、60℃の恒温槽で2週間保持して加速
試験を行った後、(2)と同様の保持力試験を行った。
【0053】尚、実施例2、6及び7、ならびに比較例
2〜4については、薬物入り貼付剤の保持力を測定し
た。
【0054】
【表1】
【0055】上記実施例1〜7において、いずれも、塗
工3日後と加速試験後の保持力には大きな差は認められ
なかったが、すべての比較例で、加速試験により大きな
差が認められた。また、比較例1では、酸化防止剤の含
有量が少ないため、保持力に変化が認められ、比較例2
では、酸化防止剤の含有量が多すぎるため、接着力が小
さくなり、保持力の測定ができなかった。
【0056】
【発明の効果】本発明の医療用粘着剤は、上述の通りで
あり、重合開始剤の分解によるラジカル発生の影響を防
止することができるので、長期間にわたって安定した粘
着物性を発現する。また、皮膚刺激の原因となる残存モ
ノマー量が少ないので、医療用貼付剤として好適に使用
することができる。さらに、本発明の医療用粘着剤は、
密閉された状態で溶液重合されるので、重合反応中の溶
剤の還流が防止され、重合反応器の壁面へのゲル付着量
を大幅に減少させることができる。従って、粘着剤製造
後における重合反応器の洗浄作業を大幅に減少させるこ
とができるので、生産性を大幅に高めることができる。
また、本発明の医療用粘着剤にはゲルが残留しないた
め、効率よく塗工を行うことができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ) アクリル酸アルキルエステルを
    主成分とするモノマー組成物をラジカルを発生する重合
    開始剤の存在下で溶液重合して得られる共重合体、及び
    酸化防止剤からなる医療用粘着剤であって、該共重合体
    中の残存モノマー量が0.2重量%以下であり、酸化防
    止剤が該共重合体に対して0.001〜5重量%含有さ
    れることを特徴とする医療用粘着剤。
  2. 【請求項2】 前記共重合体が、(メタ) アクリル酸ア
    ルキルエステルを主成分とするモノマー組成物をラジカ
    ルを発生する重合開始剤の存在下で、密閉された状態で
    溶液重合して得られるものであることを特徴とする請求
    項1記載の医療用粘着剤。
  3. 【請求項3】 柔軟な支持体上に、請求項1又は2記載
    の医療用粘着剤と薬物とからなる粘着剤層が形成されて
    いることを特徴とする医療用貼付剤。
JP9159872A 1997-06-17 1997-06-17 医療用粘着剤及び医療用貼付剤 Pending JPH115733A (ja)

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