JPH1057469A - 医療用粘着剤及びその製造方法 - Google Patents

医療用粘着剤及びその製造方法

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JPH1057469A
JPH1057469A JP8225301A JP22530196A JPH1057469A JP H1057469 A JPH1057469 A JP H1057469A JP 8225301 A JP8225301 A JP 8225301A JP 22530196 A JP22530196 A JP 22530196A JP H1057469 A JPH1057469 A JP H1057469A
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JP
Japan
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meth
acrylate
sensitive adhesive
copolymer
pressure
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JP8225301A
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English (en)
Inventor
Takayuki Oka
孝之 岡
Kenji Tsubota
健治 坪田
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (メタ) アクリル酸アルキルエステルとビニ
ルピロリドンとの共重合体からなり、白濁を生じること
がなく、透明性が優れた医療用粘着剤及びその製造方法
を提供する。 【解決手段】 (メタ) アクリル酸アルキルエステル4
0〜99モル%とビニルピロリドン60〜1モル%とか
らなる共重合体を主成分とする医療用粘着剤であって、
上記粘着剤の5重量%酢酸エチル溶液の660nmにお
ける吸光度が0.03以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用粘着剤及び
その製造方法に関し、詳細には、プラスター剤やパップ
剤に使用されるアクリル系の医療用粘着剤及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、簡便な薬物の経皮投与手段とし
て、基材上に薬物を含有する粘着剤層を形成した、プラ
スター剤やパップ剤等が医療用貼付剤として広く用いら
れている。また、医療用貼付剤としては、薬物を含有し
ない粘着剤層をシートやテープ等の柔軟な基材の少なく
とも片面に形成し、絆創膏等として用いられているもの
もある。
【0003】これら医療用貼付剤に使用する医療用粘着
剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げ
られる。これらの中でも、アクリル系粘着剤は、耐熱
性、耐久性、耐水性などの各種性能が優れており、さら
にアクリル系モノマーの組み合わせを変えることによっ
て、粘着力など要求される物性をコントロールすること
ができるため一般に広く用いられている。
【0004】一般的な医療用貼付剤は、メタ(メタ) ア
クリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物
共重合体を溶液重合やエマルジョン重合することによっ
て得られた粘着剤溶液に、薬物や添加剤等を配合して粘
着剤組成物を調製した後、該粘着剤組成物を支持体に塗
工し、溶媒を乾燥除去して、支持体上に粘着剤層を形成
することにより得られる。
【0005】また、アクリル系粘着剤の中でも、メタ
(メタ) アクリル酸アルキルエステルとビニルピロリド
ンとの共重合体よりなる医療用粘着剤を用いた経皮吸収
製剤では、貼付後短時間で薬効を発揮させることがで
き、かつ、その薬効を長時間持続させ得ることが開示さ
れている(特開昭59−199628号公報)。
【0006】上記医療用粘着剤の製造方法として、重合
初期において、ビニルピロリドン全使用量の90重量%
以上とアクリル酸アルキルエステル全使用量の30〜8
0重量%以上とを共存させ、重合開始後にビニルピロリ
ドンとアクリル酸アルキルエステルの残部を逐次添加し
て共重合する方法が開示されている(特開昭60−16
1917号公報)。この方法では、薬物の変質・劣化、
悪臭(モノマー臭)、皮膚刺激性・かぶれ、粘着剤の軟
化・劣化、などの原因となるビニル化合物の未反応残留
量が飛躍的に減少し、薬物の再放出性が著しく向上する
ことが述べられている。
【0007】しかしながら、メタ(メタ) アクリル酸ア
ルキルエステルとビニルピロリドンとの共重合体から得
られる医療用粘着剤は、白濁しているため、異物混入な
どの外観検査が困難であり、さらに、製造ロットによっ
て白濁度が異なるという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであって、その目的は、メタ(メタ) ア
クリル酸アルキルエステルとビニルピロリドンとの共重
合体からなり、白濁を生じることがなく、透明性が優れ
た医療用粘着剤及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
発明(以下、第1発明という)である医療用粘着剤は、
(メタ) アクリル酸アルキルエステル40〜99モル%
とビニルピロリドン60〜1モル%とからなる共重合体
を主成分とし、上記粘着剤の5重量%酢酸エチル溶液の
660nmにおける吸光度が0.03以下であることを
特徴とする。
【0010】本発明の請求項2記載の発明(以下、第2
発明という)である医療用粘着剤の製造方法は、(メ
タ) アクリル酸アルキルエステル40〜99モル%とビ
ニルピロリドン60〜1モル%とからなる単量体組成物
を溶液重合させる際に、重合初期において、ビニルピロ
リドン全使用量の90重量%以上と(メタ) アクリル酸
アルキルエステル全使用量の30〜80重量%とを共存
させ、重合開始後に単量体組成物中における(メタ) ア
クリル酸アルキルエステルの割合が3重量%以上となる
ように、ビニルピロリドン及び(メタ) アクリル酸アル
キルエステルの残部を逐次添加することを特徴とする。
【0011】第1発明で用いられる共重合体は、(メ
タ) アクリル酸アルキルエステルとビニルピロリドンと
を構成成分とする単量体組成物から得られる。
【0012】上記(メタ) アクリル酸アルキルエステル
としては、特に限定されず、例えば、(メタ) アクリル
酸メチル、(メタ) アクリル酸エチル、(メタ) アクリ
ル酸プロピル、(メタ) アクリル酸イソプロピル、(メ
タ) アクリル酸n−ブチル、(メタ) アクリル酸イソブ
チル、(メタ) アクリル酸n−ヘキシル、(メタ) アク
リル酸イソヘキシル、(メタ) アクリル酸n−オクチ
ル、(メタ) アクリル酸イソオクチル、(メタ) アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、(メタ) アクリル酸ノニル、
(メタ) アクリル酸デシル、(メタ) アクリル酸ラウリ
ル、(メタ) アクリル酸ステアリル等が挙げられ、これ
らは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されても
よい。
【0013】上記単量体組成物の構成成分中、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルの比率は、少なくなると粘
着剤層の粘着性が低下し、多くなると粘着剤層に含有さ
れる薬物の初期徐放性が低下することがあるので、40
〜99モル%に制限される。
【0014】上記単量体組成物には、必要とする粘着物
性に応じて、上記(メタ) アクリル酸アルキルエステル
と共重合可能な単量体が添加されてもよい。上記(メ
タ) アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体
としては、例えば、酢酸ビニル、ジアセトンアクリルア
ミド、アクリロニトリル、ジメチルアクリルアミド、エ
チレングリコールモノ(メタ) アクリル酸エステル、ス
チレン等が挙げられる。
【0015】上記共重合可能な単量体の使用量は、粘着
剤の粘着性、凝集性に悪影響を及ぼさない範囲であっ
て、上記単量体組成物中40モル%以下が好ましい。
【0016】また、上記単量体組成物には、1分子中に
重合性二重結合を2個以上有する多官能性単量体が添加
されてもよい。上記多官能性単量体の添加によって、得
られる共重合体が部分的に架橋され、いわゆる「微架
橋」された状態となり、より重合度の高い共重合体を得
ることができる。この微架橋によって、粘着剤に適度の
凝集性が付与されると共に接着性が高められ、剥離の際
の糊残りを防止することができる。また、得られる粘着
剤溶液の安定性が向上する。
【0017】上記多官能性単量体としては、例えば、ジ
ビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート等が挙げられる。
【0018】上記多官能性単量体の使用量は、少なくな
ると十分な凝集効果が得られず、多くなると反応液がゲ
ル化し易くなるか、ゲル化しなくても長時間溶液状態で
安定に保つことが難しくなるので、上記単量体組成物1
00モルに対して0.001〜0.1モルが好ましく、
より好ましくは0.003〜0.07モルである。
【0019】上記で得られる共重合体の5重量%酢酸エ
チル溶液の660nmにおける吸光度を0.03以下と
することにより、白濁がなく、透明性の優れた医療用粘
着剤を得ることができる。
【0020】次に、第2発明の医療用粘着剤の製造方法
について説明する。第2発明の製造方法は、第1発明の
医療用粘着剤の製造方法であって、第1発明と同様な単
量体組成物を溶液重合することにより得られる。
【0021】上記溶液重合の重合開始時において、ビニ
ルピロリドン全使用量の90重量%と(メタ) アクリル
酸アルキルエステル全使用量の30〜80重量%とを共
存させ、重合開始後に両者の残部を逐次添加する。
【0022】上記(メタ) アクリル酸アルキルエステル
とビニルピロリドンとの共重合反応性は大きく異なり、
共重合反応において、(メタ) アクリル酸アルキルエス
テルが急速に消費されるのに対して、ビニルピロリドン
の消費速度は相対的に遅いことが知られている。例え
ば、(メタ) アクリル酸アルキルエステル50モル%と
ビニルピロリドン50モル%とからなる単量体組成物を
共重合すると、瞬間的に、おおよそ(メタ) アクリル酸
アルキルエステル70モル%とビニルピロリドン30モ
ル%との共重合体が生成し、ビニルピロリドンよりも
(メタ) アクリル酸アルキルエステルが急速に消費され
ることが共重合反応性から計算される。
【0023】従って、上記単量体組成物から得られる共
重合体の組成は、マクロ的には単量体の仕込み組成比と
一致するが、共重合の進行に伴い得られる単量体の組成
比が変化するため、単量体を反応開始前に一括投入する
と反応の開始から終了までに、かなり幅広い組成の共重
合体が生成するものと推定される。
【0024】このように、(メタ) アクリル酸アルキル
エステルが急速に消費されて、単量体組成物中のビニル
ピロリドンの残存比率が高まる結果、得られる共重合体
は、ビニルピロリドンの多いブロック連鎖、即ちビニル
ピロリドンのホモポリマーに近い共重合体が得られるこ
とになる。上記共重合体を主成分とする粘着剤の白濁
は、このようなビニルピロリドンのホモポリマーに近い
共重合体によって起こるものと推定される。
【0025】このため、このような白濁の生成を抑制す
るためには、上記単量体組成物中の(メタ) アクリル酸
アルキルエステルの割合を、常に3重量%以上、好まし
くは5重量%以上に保つように、逐次、(メタ) アクリ
ル酸アルキルエステルの残部を添加して溶液重合反応を
進める。
【0026】上記溶液重合では、上記単量体組成物及び
溶剤以外に、必要に応じて、他の単量体や重合開始剤
等、通常の重合反応に用いられる添加剤が添加されても
よい。
【0027】上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、
酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチル
エチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ベ
ンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが挙げ
られ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併
用されてもよい。
【0028】上記重合開始剤としては、一般に用いられ
ている熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。上記熱ラジ
カル重合開始剤としては、例えば、パーオキシカーボネ
ート、ケトンパーオサイド、パーオキシケタール、ハイ
ドロパーオキサイド、ジアルキルパーオサイド(ラウロ
イルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、
ジアシルパーオサイド、パーオキシエステル等の有機過
酸化物;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,
2'-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'-
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2'-アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物が挙げら
れ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用
されてもよい。
【0029】上記重合開始剤の使用量は、上記共重合体
を構成する単量体組成物100重量部に対して、0.0
001〜5重量部が好ましい。
【0030】上記溶液重合では、重合反応器に窒素ガス
をパージして、重合反応器内に残存する空気を排出し窒
素置換する。次いで、重合反応器に、予め窒素バブリン
グにより溶存酸素を除去した所定量の単量体組成物及び
溶剤を供給し、所定の重合温度に昇温した後、重合開始
剤を添加して共重合反応を進める。重合開始剤の添加
は、所定量を一括して供給してもよく、分割して供給し
てもよい。
【0031】上記共重合反応の進行に伴って、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルが急速に消費されるので、
残存した単量体組成物中の(メタ) アクリル酸アルキル
エステル比率が3重量%を下回らないように、予め窒素
バブリングした(メタ) アクリル酸アルキルエステルの
残部を供給して共重合反応を進め、(メタ) アクリル酸
アルキルエステルとビニルピロリドンとの共重合体を主
成分とする医療用粘着剤を得る。
【0032】上記で得られた医療用粘着剤には、必要に
応じて、薬物、吸収促進剤、薬物溶解剤、粘着付与剤、
充填剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0033】上記薬物としては、特に限定されず、例え
ば、消炎鎮痛剤、抗炎症剤、冠血管拡張剤、精神安定
剤、抗高血圧剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌性物質、抗ヒ
スタミン剤、性ホルモン、脳循環改善剤、抗腫瘍剤等が
挙げられる。薬物の含有量は、薬物の種類によって異な
るが、通常、粘着剤中0.1〜30重量%が好ましい。
【0034】上記医療用粘着剤を用いて貼付剤を製造す
るには、粘着テープ製造の常法に従い調製することがで
き、例えば、溶剤塗工法、ホットメルト塗工法、電子線
硬化エマルジョン塗工法等を用いることができ、中でも
溶剤塗工法が好ましい。 上記溶剤塗工法では、上記粘
着剤に、必要に応じて、薬物及びその他の添加剤を配合
し、支持体片面に塗布し、溶剤を乾燥により除去するこ
とにより、支持体上に所定の厚さの粘着剤層が形成され
た貼付剤を得ることができる。また、上記粘着性組成物
(必要に応じて、薬物及びその他の添加剤を含む)を剥
離紙上に一旦塗工し乾燥させて粘着剤層を形成した後、
該粘着剤層を支持体に転写、積層してもよい。
【0035】上記粘着剤を支持体上に塗工する場合に
は、バーコーター、グラビア塗工等、通常の粘着剤塗工
方法が用いられる。粘着剤層の厚みは、特に限定されな
いが、通常、20〜1000μmが好ましい。粘着剤層
の厚みが、20μm未満では、必要量の薬物を含有させ
ることが困難となり、1000μmを越えると、支持体
付近の粘着剤層に含有される薬物が十分に拡散せず、薬
物利用効率が低下する。
【0036】上記剥離紙としては、特に限定されず、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレート等のフィルムが用いられる。剥離紙の厚み
は、通常、300μm以下が好ましく、より好ましくは
10〜200μmである。
【0037】上記支持体としては、皮膚表面の動きに追
随できる柔軟性と、薬物及びその他の添加剤の散逸を防
ぐバリヤー性とを有するものが好適に用いられる。この
ような支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブタジエン、ポリブテン、エチレン・酢
酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エ
チレン・アルキル(メタ)アクリレート共重合体等のオ
レフィン系(共)重合体;スチレン・イソプレン・スチ
レン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合
体等のスチレン系共重合体及びこれらの水添物;ポリ塩
化ビニリデン、塩化ビニリデン・スチレン共重合体等の
塩化ビニリデン系(共)重合体;ポリ塩化ビニル、塩化
ビニル・エチレン共重合体、塩化ビニル・アクリル酸ア
ルキルエステル共重合体等の塩化ビニル系(共)重合
体;シリコン樹脂;ポリフッ化エチレン;ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリ
エステル系重合体;ポリウレタン;ポリアミドなどを素
材とする樹脂フィルム、織布又は不織布などの単体、及
びこれらの積層体が挙げられる。
【0038】上記支持体の形状は、特に限定されず、フ
ィルム状、シート状、テープ状など任意の形状が使用可
能である。また、上記支持体の厚みは、使用する材料に
よって異なるが、フィルム状の場合は、500μm以下
が好ましく、より好ましくは40〜200μmである。
【0039】上記支持体の粘着剤層側には、必要に応じ
て、接着性を高めるために、予め下塗り加工、コロナ放
電処理、薬品酸化処理、オゾン処理等の前処理が施され
てもよい。
【0040】
【作用】本発明で得られる医療用粘着剤は、(メタ) ア
クリル酸アルキルエステル40〜99モル%とビニルピ
ロリドン60〜1モル%とからなる単量体組成物を溶液
重合させる際に、重合初期において、ビニルピロリドン
全使用量の90重量%以上と(メタ) アクリル酸アルキ
ルエステル全使用量の30〜80重量%とを共存させ、
重合開始後に単量体組成物中における(メタ) アクリル
酸アルキルエステルの組成比が3重量%以上となるよう
に、ビニルピロリドン及び(メタ) アクリル酸アルキル
エステルの残部を逐次添加して、共重合することにより
得られる。その結果、得られた共重合体と相溶性の低い
ビニルピロリドンのブロック連鎖の生成を抑制し、ビニ
ルピロリドンを(メタ) アクリル酸アルキルエステル連
鎖の中にランダムに共重合させることが可能となり、透
明性に優れた医療用粘着剤を得ることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0042】(実施例1〜6)攪拌機、温度計、還流冷
却器、窒素ガス導入管及び滴下ロートを取り付けた5つ
口フラスコに、表1に示した所定量の、単量体組成物及
び酢酸エチルを投入した後窒素置換した。さらに窒素置
換を行ないながら30rpmの回転数で攪拌し、昇温を
開始した。次いで、窒素気流中、沸点下で約30分間還
流を行なって余剰酸素を排出した後、この単量体組成物
溶液(重合初期)を70℃に保った。重合開始剤溶液と
して、ラウロイルパーオキサイド1gを全量30mlと
なるように酢酸エチルに溶解した溶液を調製し、この溶
液を1ml/時間の割合で、上記単量体組成物溶液に滴
下しながら共重合を行なった。
【0043】さらに、重合を開始してから、表1に示し
た所定時間経過後に、表1に示した所定量の、窒素バブ
リングした単量体組成物の酢酸エチル溶液を追加して投
入し、共重合を継続した。重合開始から35時間経過し
た時点で共重合を停止し、固形分が30重量%となるよ
うに酢酸エチルを投入して混合し粘着剤溶液を得た。
【0044】(比較例1〜6)表1に示した条件に変え
たこと以外は、実施例と同様にして重合を行なった。重
合反応終了後、固形分濃度が30重量%となるように酢
酸エチルを投入して混合し、粘着剤溶液を得た。
【0045】尚、比較例1及び3では、重合開始から単
量体組成物及び酢酸エチルの全量を投入し、重合の途中
では加えなかった。
【0046】
【表1】
【0047】上記実施例及び比較例で得られた粘着剤溶
液に酢酸エチルを加えて、5重量%濃度となるように調
整し、5重量%粘着剤溶液の660nmにおける吸光度
を測定し、その測定値を表2に示した。
【0048】
【表2】
【0049】全実施例の粘着剤溶液は、肉眼で観察した
結果、いずれも透明であり、白濁は認められなかった。
これに対して、全比較例の粘着剤溶液は、いずれも白濁
していた。
【0050】
【発明の効果】第1発明の医療用粘着剤は、上述の通り
であり、透明性が高く、粘着剤中の異物混入等の外観検
査を目視により容易に行なうことができる。さらに、第
1発明の医療用粘着剤を、医療用貼付剤に使用すると、
透明性の優れた医療用貼付剤を提供することができる。
【0051】第2発明の医療用粘着剤の製造方法は、ビ
ニルピロリドンのブッロク連鎖の生成を抑制するので、
得られる医療用粘着剤の透明性を高めることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】一般的な医療用貼付剤は、(メタ) アクリ
ル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物を
液重合やエマルジョン重合することによって得られた粘
着剤溶液に、薬物や添加剤等を配合して粘着剤組成物を
調製した後、該粘着剤組成物を支持体に塗工し、溶媒を
乾燥除去して、支持体上に粘着剤層を形成することによ
り得られる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】また、アクリル系粘着剤の中でも、(
タ) アクリル酸アルキルエステルとビニルピロリドンと
の共重合体よりなる医療用粘着剤を用いた経皮吸収製剤
では、貼付後短時間で薬効を発揮させることができ、か
つ、その薬効を長時間持続させ得ることが開示されてい
る(特開昭59−199628号公報)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】しかしながら、(メタ) アクリル酸アルキ
ルエステルとビニルピロリドンとの共重合体から得られ
る医療用粘着剤は、白濁しているため、異物混入などの
外観検査が困難であり、さらに、製造ロットによって白
濁度が異なるという問題点があった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであって、その目的は、(メタ) アクリ
ル酸アルキルエステルとビニルピロリドンとの共重合体
からなり、白濁を生じることがなく、透明性が優れた医
療用粘着剤及びその製造方法を提供することにある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08F 220/12 MME C08F 220/12 MME 226/10 MNN 226/10 MNN

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ) アクリル酸アルキルエステル4
    0〜99モル%とビニルピロリドン60〜1モル%とか
    らなる共重合体を主成分とする医療用粘着剤であって、
    上記粘着剤の5重量%酢酸エチル溶液の660nmにお
    ける吸光度が0.03以下であることを特徴とする医療
    用粘着剤。
  2. 【請求項2】 (メタ) アクリル酸アルキルエステル4
    0〜99モル%とビニルピロリドン60〜1モル%とか
    らなる単量体組成物を溶液重合させる際に、重合初期に
    おいて、ビニルピロリドン全使用量の90重量%以上と
    (メタ) アクリル酸アルキルエステル全使用量の30〜
    80重量%とを共存させ、重合開始後に単量体組成物中
    における(メタ) アクリル酸アルキルエステルの割合が
    3重量%以上となるように、ビニルピロリドン及び(メ
    タ) アクリル酸アルキルエステルの残部を逐次添加する
    ことを特徴とする請求項1記載の医療用粘着剤の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004037940A3 (de) * 2002-10-24 2004-06-24 Basf Ag Polymer oder polymergemisch für klebstifte

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