JP4191453B2 - 粘着剤組成物およびその製造方法と粘着シート - Google Patents

粘着剤組成物およびその製造方法と粘着シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロック共重合体を主剤成分とした粘着剤組成物およびその製造方法と粘着シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
皮膚面に貼り付けて使用する粘着シートは、通常、基材の片面に粘着剤層を設けてなるものであり,この粘着剤層を介して適用するべき皮膚面に貼り付けて使用される。このような粘着シートに用いる粘着剤は、一般に、ゴム系粘着剤と、アクリル系粘着剤に大別される。
【0003】
ゴム系粘着剤は、天然ゴムやイソプレンゴム、スチレン/イソプレン/スチレン系ゴムなどのゴム成分に粘着付与剤や軟化剤などを配合してなるものであり、皮膚面に対してすぐれた接着力を有している。しかし、この粘着剤は、一般に、疎水性が高く透湿性が低いため、貼り付け使用中に皮膚面からの発汗などにより皮膚面が蒸れて皮膚刺激を起こしたり、夏場や入浴時などの多量の発汗時に皮膚接着力が急激に低下するおそれがある。
【0004】
また、アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリレート系重合体を主剤成分とし、水酸基含有(メタ)アクリレート系モノマーなどの親水性成分を共重合させるなどにより、透湿性を付与させたりしているが、この透湿性と皮膚面に対する接着性との両立をはかることは決して容易ではなかった。
【0005】
このように、現在市販されている皮膚貼り付け用の粘着シートには、皮膚面に対する接着性と透湿性をともに満足できるものはなく、比較的乾燥した皮膚面に対してすぐれた接着力を発揮するものであっても、皮膚面からの発汗で接着力が著しく低下する欠点があり、発汗に対しても満足できる皮膚接着性を維持できるものは得られていないのが実情である。
【0006】
そこで、最近になり、皮膚接着性と透湿性との両立をはかるために、(メタ)アクリル系重合体の合成に際し、水酸基含有モノマーやカルボキシル基含有モノマーなどとともに、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートやアルコキシアルキル(メタ)アクリレートなどのモノマー成分を共重合させることが提案されている(特許文献1,2,3参照)。
【0007】
しかし、上記の共重合は、一般のラジカル重合法によるランダム共重合であって、重合性や接着性の面より、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートやアルコキシアルキル(メタ)アクリレートなどのモノマー成分の使用量に制限があり、皮膚接着性と透湿性を十分に両立させることはできかった。また、上記の共重合では、重合時の発熱を制御したり重合安定性をはかるため、多量の有機溶剤や水を使用しており、これらの媒体は最終的に除去する必要があるため、乾燥効率や省アネルギー性の問題があり、また有機溶剤では作業環境や自然環境の面でも決して望ましいものではなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−8013号公報(第2〜4頁、第7頁)
【特許文献2】
特開平10−158621号公報(第2〜4頁、第7頁)
【特許文献3】
特開2002−65841公報(第2〜3頁、第7〜8頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑み、(メタ)アクリル系重合体の合成に際し、透湿性を付与する特定のモノマー成分を所望比率でかつ無溶剤または少量の溶剤量で共重合させ、これにより皮膚接着性などの接着性と透湿性をともに満足する粘着剤組成物とその粘着シートを得ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、透湿性を付与するモノマー成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーを使用し、これと(メタ)アクリレート系モノマーとを特定の重合活性化剤と重合開始剤を用いて適宜の順にリビングラジカル重合させると、従来では適当な合成法が知られていなかった、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAと上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を生成でき、しかもこの場合、後者の透湿性付与モノマーを所望比率でかつ無溶剤または少量の溶剤量で共重合させることができ、このように生成したブロック共重合体を主剤成分とすることにより、皮膚接着性などの接着性と透湿性をともに満足する粘着剤組成物とその粘着シートが得られることを知り、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAと、つぎの一般式(1);
【化3】
Figure 0004191453
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、mは2〜6の数、nは2〜15の数である)

で表されるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとが少なくとも2ブロック結合してなる、上記両ブロックA,Bの合計量中、上記ブロックAが90〜20重量%、上記ブロックBが10〜80重量%であるブロック共重合体を主剤成分としたことを特徴とする粘着剤組成物に係るものである。
【0012】
また、本発明は、(メタ)アクリレート系モノマー90〜20重量%と、つぎの一般式(1);
【化4】
Figure 0004191453
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、mは2〜6の数、nは2〜15の数である)

で表されるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマー10〜80重量%とを、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いて、適宜の順にリビングラジカル重合して、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAと、上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとが少なくとも2ブロック結合してなる、上記両ブロックA,Bの合計量中、上記ブロックAが90〜20重量%、上記ブロックBが10〜80重量%であるブロック共重合体を生成し、これを主剤成分とすることを特徴とする粘着剤組成物の製造方法、とくに上記の遷移金属と配位子の組み合わせがCu+1−ビピリジン錯体である上記構成の粘着剤組成物の製造方法に係るものである。
【0013】
さらに、本発明は、基材の片面に上記構成の粘着剤組成物からなる粘着剤層が設けられてなり、全体の透湿度が40℃,30%RHで300〜3,000g/m2 ・24時間である粘着シートに係るものであり、とくに皮膚貼り付け用である上記構成の粘着シートに係るものである。
なお、本明細書において、粘着シートには、通常幅広の粘着シートのほかに、通常幅狭の粘着テープも含まれるものであり、さらに、粘着ラベルなどの各種の粘着製品も含まれるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
リビングラジカル重合法に関しては、たとえば、(1)Pattenらによる報告、“Radical Polymerization Yielding Polymers with Mw/Mn 〜 1.05 by Homogeneous Atom Transfer Radical Polymerization ”Polymer Preprinted,pp 575-6,No37(March 1996)、(2)Matyjasewskiらによる報告、“Controlled/Living Radical Polymerization. Halogen Atom Transfer Radical Polymerization Promoted by a Cu(I)/Cu(II)Redox Process ”Macromolecules 1995,28,7901-10(October 15,1995)、(3)同著PCT/US96/03302,International Publication No.WO96/30421 (October 3,1996)、(4)M.Sawamotoらの報告、“Ruthenium-mediated Living Radical polymerization of Methyl Methacrylate ”Macromolecules,1996,29,1070.などが知られている。
【0015】
本発明者らは、このリビングラジカル重合法に着目して、活性化剤として遷移金属とその配位子を使用し、これらの存在下、重合開始剤を使用して、(メタ)アクリレート系モノマーと、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーとを、適宜の順にリビングラジカル重合させることにより、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAと、上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を、容易に生成できることを見い出したものである。
【0016】
このブロック共重合体とは、上記の重合体ブロックAと重合体ブロックBとが少なくとも2ブロック結合してなるものであり、代表的には、A−B型、A−B−A型またはB−A−B型のブロック共重合体が挙げられる。その他、A−B−A−B型、A−B−A−B−A型などの任意のブロック共重合体を生成できる。また、トリブロック以上のブロック共重合体では、2種以上の重合体ブロックA(または2種以上の重合体ブロックB)がそれぞれ異なる単量体組成から構成されていてもよい。たとえば、A−B−A型ではA1−B−A2型(A1とA2が異なる単量体組成)となっていてもよく、B−A−B型ではB1−A−B2型(B1とB2が異なる単量体組成)となっていてもよい。
【0017】
このようなブロック共重合体は、たとえば、A−B型では、重合系内に、まず重合体ブロックAを生成する(メタ)アクリレート系モノマーを添加して重合させたのち、重合体ブロックBを生成するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーを添加して重合させるか、これとは逆の順に添加して重合させることにより、ジブロック体を生成すればよい。また、A−B−A型(またはB−A−B型)では、上記のようにジブロック体を生成したのち、さらに重合体ブロックA(または重合体ブロックB)を生成する(メタ)アクリレート系モノマー〔またはポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマー〕を添加して重合を続け、トリブロック体を生成すればよい。
【0018】
A−B−A型のブロック共重合体の別の生成方法として、2官能の重合開始剤を使用して、まず、重合体ブロックBを生成するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーを添加して重合させ、ついで、重合体ブロックAを生成する(メタ)アクリレート系モノマーを添加して重合させることにより、最初に生成した重合体ブロックBの両末端に重合体ブロックAを生成させるようにしてもよい。また、同様に、B−A−B型のブロック共重合体についても、2官能の重合開始剤を使用して、まず、重合体ブロックAを生成する(メタ)アクリレート系モノマーを添加して重合させ、ついで、重合体ブロックBを生成するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーを添加して重合させることにより、最初に生成した重合体ブロックAの両末端に重合体ブロックBを生成させるようにしてもよい。
【0019】
このような種々の方法でリビングラジカル重合させるにあたり、後で添加するモノマーは、先に添加したモノマーの重合率が少なくとも60重量%を超えた時点、好ましくは80重量%を超えた時点で、添加するのがよい。先に添加したモノマーの重合率が低すぎると、ランダム共重合体部分が多くなり、皮膚接着性などの接着性と透湿性の両立をはかりにくくなる。ここで、上記の重合率とは、〔(加熱し揮発成分を除去したポリマー重量)/(揮発成分を除去する前の重合溶液の重量)〕×100(%)で定義される割合である。
【0020】
本発明における(メタ)アクリレート系モノマーとは、一般式(2);CH2 =CR3 COOR4 (式中、R3 は水素原子またはメチル基、R4 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される(メタ)アクリレートであり、その中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートなどの炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。これらのモノマーは、1種であっても2種以上であってもよい。
【0021】
また、この(メタ)アクリレート系モノマーは、上記の(メタ)アクリレートと共重合可能な改質用モノマーを、(メタ)アクリレート系モノマー全体の40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下の割合で併用してもよい。このような改質用モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
【0022】
本発明におけるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーとは、つぎの一般式(1);
Figure 0004191453
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、mは2〜6の数、nは2〜15の数である)
で表されるモノマーであり、式中、mは2〜6の数であるが、好ましくは2または3であり、より好ましくは2である。mが大きくなると透湿性に劣る場合があり、また原料の入手が難しくなる。なお、1分子中に、たとえば、mが2のものと3のものとが含まれていてもよい。つまり、これらのランダムまたはブロック共重合鎖を有していてもよい。
具体的には、m=2のモノマーでは、たとえば、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(R1 =CH3 基、R2 =CH3 基)、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(R1 =H、R2 =CH3 基)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(R1 =CH3 基、R2 =H)、ポリエチレングリコールモノアクリレート(R1 =H、R2 =H)などがある。
【0023】
これらのモノ(メタ)アクリレートにおいて、nは2〜15、好ましくは4〜12の数であり、たとえば、n=2であれば、メトキシジエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレートとなり、n=3であれば、メトキシトリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレートとなる。nが長くなると重合性に劣り、また短くなると透湿性に劣るようになる。
【0024】
これらのモノ(メタ)アクリレートの中でも、R2 =CH3 基であるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートやメトキシポリエチレングリコールモノアクリレートなどが、重合のしやすさから、望ましい。また、これらのモノ(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用してもよいし、重合のしやすさから、2種以上の混合物として使用してもよい。
市販品としては、m=2のモノマーでは、後記の実施例の欄に示す日本油脂社製の「ブレンマーPME400」、「ブレンマーPME200」、「ブレンマーAME400」、「ブレンマーAE400」、「ブレンマーPE350」などがある。m=3のモノマーでは、日本油脂社製の「ブレンマーAP−150」(n=3)、「ブレンマーAP−400」(n=6)、「ブレンマーAP−550」(n=9)(いずれも、R1 =H、R2 =H)などがある。
また、mが2と3とのランダム共重合鎖を有するモノマーとして、日本油脂社製の「ブレンマー70PEP−350B」〔R1 =CH3 基、R2 =H、n=5(m=2)+2(m=3)〕が、また、mが2と4とのランダム共重合鎖を有するモノマーとして、日本油脂社製の「ブレンマー70PEP−400」〔R1 =CH3 基、R2 =H、n=5(m=2)+2(m=4 )〕が挙げられる。
なお、市販品しては、nが異なるものの混合物として市販されていることが多いが、このような混合物であってもかまわない。
【0025】
本発明において、上記のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの使用量は、(メタ)アクリレート系モノマーとの合計量中、つまり、全モノマー中、通常10〜80重量%とするのがよく、好ましくは20〜60重量%とするのがよい。すなわち、本発明では、リビングラジカル重合法により、ブロック共重合体を生成するようにしたことにより、透湿性付与成分としての上記モノマーを上記範囲内での任意の割合で共重合させることができる。なお、上記モノマーが10重量%より少なくなると、透湿性に劣るようになり、80重量%を超えると、皮膚接着性などの接着性が低下するおそれがある。
【0026】
本発明のリビングラジカル重合にあたり、使用する遷移金属としては、Cu、Ru、Fe、Rh、VまたはNiがあり、通常、これら金属のハロゲン化物(塩化物、臭化物など)の中から、用いられる。また、配位子は、遷移金属を中心にして配位して錯体を形成するものであつて、ビピリジン誘導体、アミン誘導体、メルカプタン誘導体、トリフルオレート誘導体などが好ましく用いられる。遷移金属とその配位子の組み合わせの中でも、Cu+1−ビピリジン錯体が、重合の安定性や重合速度の面で、最も好ましい。
【0027】
さらに、重合開始剤としては、α−位にハロゲンを含有するエステル系またはスチレン系誘導体が好ましく、とくに2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸誘導体、塩化(または臭化)1−フエニル誘導体が好ましい。
具体的には、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸エチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸エチル、塩化(または臭化)1−フェニルエチル、2−ブロモ(またはクロロ)イソ酪酸エチルなどが好ましく用いられる。
【0028】
また、水酸基を有する重合開始剤として、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸−2−ヒドロキシエチルなども好ましく使用でき、その水酸基をブロック共重合体の分子内に導入することができる。
さらに、上記のような1官能の重合開始剤のほかに、既述した2官能の重合開始剤、つまり分子内に臭素や塩素を2箇所有するものとして、エチレンビス(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)なども用いられる。
【0029】
リビングラジカル重合において、重合開始剤としては、モノマー全体に対し、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%の割合で用いられる。また、遷移金属は、ハロゲン化物などの形態として、上記の重合開始剤1モルに対し、通常0.01〜3モル、好ましくは0.1〜1モルの割合で用いられる。さらに、その配位子は、上記の遷移金属(ハロゲン化物などの形態)1モルに対し、通常1〜5モル、好ましくは2〜3モルの割合で用いられる。
重合開始剤と活性化剤をこのような使用割合にすると、リビングラジカル重合の反応性、生成するブロック共重合体の分子量などに好結果が得られる。
【0030】
このようなリビングラジカル重合は、無溶剤でも進行させることができるし、酢酸ブチル、トルエン、キシレンなどの溶剤の存在下で進行させてもよい。溶剤を用いる場合、重合速度の低下を防ぐため、重合終了後の溶剤濃度が50重量%以下となる少量の使用量とするのがよい。無溶剤または少量の溶剤量でも、重合熱の制御などに関する問題はなく、むしろ溶剤削減によって経済性や環境対策などの面で好ましい結果が得られる。また、重合条件としては、重合速度や触媒の失活の点より、70〜110℃の重合温度で、最終的な分子量や重合温度にも依存するが、約1〜100時間の重合時間とすればよい。
【0031】
このようにして生成されるブロック共重合体は、皮膚接着性などの接着性と透湿性との両立の観点から、共重合体全体の重量平均分子量として1万〜10万の範囲にあるのがよい。このようなブロック共重合体は、従来のゴム系粘着剤として用いられるスチレン/イソプレン/スチレントリブロックポリマーの場合と同様に、ミクロドメイン構造をとり、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBドメインが水の通過点として働くことにより、接着性に加えて、透湿性の向上に大きく貢献する。
【0032】
本発明においては、上記のブロック共重合体を粘着剤組成物の主剤成分とするにあたり、通常は、架橋処理して適度に網状化および高分子量化するのがよい。この架橋処理を容易にするため、ブロック共重合体中にあらかじめ適宜の官能基を含ませておき、これと反応する架橋剤を配合して、官能基間の反応による架橋処理を行うのが望ましい。たとえば、ブロック共重合体中に水酸基を含ませ、この水酸基と反応する架橋剤として多官能イソシアネート化合物やピロメリット酸無水物などの多官能酸無水物などを配合して、架橋処理すればよい。
【0033】
ブロック共重合体のポリマー鎖中に水酸基を含ませるには、たとえば、水酸基を有する重合開始剤を使用したり、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有するモノマーを使用すればよい。上記の重合開始剤と上記のモノマーを組み合わせ使用し、かつ上記のモノマーを重合後期に添加すると、ポリマー鎖の重合開始末端に重合開始剤に由来する水酸基を、重合停止末端にモノマーに由来する水酸基を導入でき、これにより分子量末端に水酸基を有するテレキリック型のブロック共重合体を生成することができる。
【0034】
上記の多官能イソシアネート化合物には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、これらのジイソシアネートと多価アルコール(たとえば、プロパントリオールなど)との付加物、これらのジイソシアネートが3量化したトリシアヌル誘導体などがある。また、これらのジイソシアネートのブロック体、たとえば、アセト酢酸エチル、メチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタムなどで保護された化合物を用い、加熱や紫外線照射などにより活性化して架橋反応してもよい。
【0035】
ブロック共重合体の架橋処理は、上記した架橋剤を用いて熱エネルギーを付与して行ってもよいし、電子線や紫外線などのエネルギーを付与(照射)して行ってもよい。この場合、架橋剤はとくに必要ではないが、紫外線照射の場合、光反応架橋剤(光増感剤)を配合するのが望ましい。トリクロロメチル基含有トリアジン誘導体などのラジカル発生型の紫外線架橋剤や、2−ヒドロキシ−2−メチル〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマーなどのオリゴマー型光架橋剤の配合により、反応効率が向上する。また、ブロック共重合体のポリマー鎖中に水酸基やエポキシ基を含ませておき、これにカチオン型光硬化剤を配合すると、安定に架橋反応を行わることができる。
【0036】
本発明の粘着剤組成物は、上記のブロック共重合体を主剤成分とし、これを上述のように架橋処理して、溶剤不溶分が20〜80重量%となるように調整するのが望ましい。このような溶剤不溶分とすることで、皮膚接着性などの接着性と透湿性の両立に好結果が得られる。この粘着剤組成物には、さらに必要により、市販の粘着付与樹脂、軟化剤、グリセリンや多価アルコールなどの可塑剤、ポリアクリル酸またはその架橋体、ポリビニルピロリドンなどの水溶性または吸水性の樹脂、顔料などの各種添加剤を配合することができる。
【0037】
本発明においては、基材の片面に、上記の粘着剤組成物からなる粘着剤層を、厚さが通常15〜50μmとなるように設けて、粘着シートとする。ここで、基材としては、粘着剤層を支持できかつ透湿性を有するものであれば、その材質はとくに限定されないが、一般には、不織布や微細通気孔を形成したフィルム、さらには透湿性フィルムなどが好ましく用いられる。
【0038】
上記の透湿性フィルムとは、皮膚への貼り付け時に蒸れや白化などを生じることのない、水蒸気透過性を有するフィルムである。具体的には、ポリエーテルウレタンやポリエステルウレタンなどのウレタン系ポリマー、ポリエーテルポリアミドブロックポリマーなどのアミド系ポリマー、ポリアクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系ポリマー、ポリエーテルポリエステルなどのポリエステル系ポリマーなどから選ばれる1種または2種以上のポリマーのフィルム、これらのフィルムを複数枚積層した積層フィルムなどが挙げられる。このうち、ウレタン系ポリマーやアミド系ポリマーを使用したフィルムや積層フィルムは、水蒸気透過性にすぐれており、とくに好ましく用いられる。
【0039】
このような基材上に粘着剤層を設けるにあたり、基材上に前記した粘着剤組成物を直接塗設してもよいし、剥離処理フィルム上に粘着剤組成物を塗設したのちこれを基材上に転写してもよい。ブロック共重合体の架橋処理は、通常は、基材上または剥離処理フィルム上に塗設する際に(つまり、塗布し乾燥する際または乾燥後に)、あるいは基材への転写後に、行うことができる。
【0040】
このようにして得られる本発明の粘着シートは、前記した粘着剤組成物の特性より、基材を含めた全体の透湿度が40℃,30%RHで300〜3,000g/m2 ・24時間、とくに好ましくは800〜3,000g/m2 ・24時間となるように、容易に設定することができる。このため、人の皮膚に対して良好に貼り付けできるとともに、発汗量が多い部位などに貼り付けしたときでも良好な透湿性によって蒸れなどの支障をきたすことはない。個人差や貼り付け部位などによっても異なるが、上記透湿度が300g/m2 ・24時間未満では、蒸れなどの支障をさけられず、また3,000g/m2 ・24時間を超えると、皮膚接着性などの接着性が低下するおそれがあり、好ましくない。
【0041】
本発明の粘着シートは、上記した特徴を有していることにより、皮膚貼り付け用として、救急絆創膏、大型絆創膏、ドレッシング材、ドレープ材などに幅広く利用することができる。また、これら皮膚貼り付け用にのみ限定されず、上記の特徴を生かした各種の用途に利用できるものである。
【0042】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。
なお、以下の製造例において、製造原料には大部分は市販の原料を用いたが、水酸基を含有する重合開始剤である2−ブロモプロピオン酸2−ヒドロキシエチル(以下、単に2−H2PNという)は、下記のように合成した。
【0043】
<2−H2PNの合成>
ジシクロヘキシルカルボジイミド4.1g(20ミリモル)、無水のエチレングリコール5.0g(81ミリモル)およびピリジン1ミリリットル(12ミリモル)を反応容器に入れ、これに、アセトン14ミリリットルおよび2−ブロモプロピオン酸1.5ミリリットル(16.7ミリモル)を、発熱反応を抑えるために氷浴で冷却しながら、添加した。
16時間反応後、析出物をろ去し、これに酢酸エチル20ミリリットルおよび飽和食塩水15ミリリットルを加え、よく振とうした。しばらく静置したのち、上層の酢酸エチル層を希塩酸で2回、飽和食塩水15ミリリットルでも3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを除去したのち、酢酸エチルを減圧留去し、粗生成物を得た。
このようにして得た粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー法(展開溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1/1混合溶剤)で精製して、目的物である2−H2PNを得た。その収量は1.8g(収率:55重量%)であった。
【0044】
製造例1
メカニカルスターラ、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーとして、日本油脂社製の「ブレンマーPME400」〔一般式(1)中、R1 =CH3 基、R2 =CH3 基、m=2、n=9〕55gと同「ブレンマーPME200」〔一般式(1)中、R1 =CH3 基、R2 =CH3 基、m=2、n=4〕20gを投入し、これに2,2′−ビピリジン1,463mg(9.38ミリモル)を加えて、系内を窒素置換した。
これに、窒素気流下、臭化銅536mg(3.75ミリモル)を加え、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2−H2PNを739mg(3.75ミリモル)加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、85℃で12時間重合した。つぎに、重合系にブチルアクリレート25gをラバーセプタムから加え、10時間重合を続けた。さらに、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1.55g(9.0ミリモル)を加えて、8時間重合を続けた。
このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するA−B型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、52,000であった。
【0045】
製造例2
メカニカルスターラ、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、日本油脂社製の「ブレンマーPME400」(前出)50gを投入し、これに2,2′−ビピリジン1,300mg(8.33ミリモル)を加えて、系内を窒素置換した。
これに、窒素気流下、臭化銅476mg(3.33ミリモル)を加え、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2−H2PNを656mg(3.33ミリモル)加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、90℃で8時間重合した。つぎに、重合系に2−エチルヘキシルアクリレート50gをラバーセプタムから加え、8時間重合を続けた。さらに、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1.55g(9.0ミリモル)を加えて、8時間重合を続けた。
このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するA−B型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、37,200であった。
【0046】
製造例3
2−エチルヘキシルアクリレート50gに代えて、ブチルアクリレート50gを用いた以外は、製造例2と同様に、重合反応を行った。
このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するA−B型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、38,400であった。
【0047】
製造例4
日本油脂社製の「ブレンマーPME400」50gに代えて、日本油脂社製の「ブレンマーAME400」〔一般式(1)中、R1 =H、R2 =CH3 基、m=2、n=9〕45gを用い、2−エチルヘキシルアクリレートの量を50gから55gに変更した以外は、製造例2と同様に、重合反応を行った。

このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するA−B型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、37,100であった。
【0048】
製造例5
メカニカルスターラ、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート25gとイソノニルアクリレート55gを投入し、これに2,2′−ビピリジン1,040mg(6.67ミリモル)を加えて、系内を窒素置換した。
これに、窒素気流下、臭化銅382mg(2.67ミリモル)を加え、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2−H2PNを526mg(2.67ミリモル)加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、100℃で17時間重合した。つぎに、重合系に日本油脂社製の「ブレンマーPME400」(前出)20gをラバーセプタムから加え、8時間重合を続けた。
このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、A−B型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、76,300であった。
【0049】
製造例6
メカニカルスターラ、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、日本油脂社製の「ブレンマーPME400」(前出)25gを投入し、これに2,2′−ビピリジン1,092mg(7.0ミリモル)を加えて、系内を窒素置換した。これに、窒素気流下、臭化銅429mg(3.0ミリモル)を加え、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2−H2PNを985mg(5.0ミリモル)加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、80℃で5時間重合した。
つぎに、重合系に2−エチルヘキシルアクリレート50gをラバーセプタムから加えて、14時間重合を続けた。さらに、日本油脂社製の「ブレンマーPME400」(前出)25gを加えて、5時間重合を続けた。最後に、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1.55g(9.0ミリモル)を加えて、8時間重合を続けた。
このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するB−A−B型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、44,800であった。
【0050】
製造例7
日本油脂社製の「ブレンマーPME400」25gおよび25gに代えて、日本油脂社製の「ブレンマーAE400」〔一般式(1)中、R1 =H、R2 =H、m=2、n=10〕25gおよび25gを用い、2−エチルヘキシルアクリレート50gに代えて、ブチルアクリレート50gを用いた以外は、製造例6と同様に、重合反応を行った。

このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するB−A−B型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、45,500であった。
【0051】
製造例8
メカニカルスターラ、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート25gを投入し、これに、2,2′−ビピリジン1,092mg(7.0ミリモル)を加えて、系内を窒素置換した。これに、窒素気流下、臭化銅429mg(3.0ミリモル)を加え、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2−H2PNを985mg(5.0ミリモル)加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、80℃で5時間重合した。

つぎに、重合系に日本油脂社製の「ブレンマーPE350」〔一般式(1)中、R1 =CH3 基、R2 =H、m=2、n=8〕50gをラバーセプタムから加え、14時間重合を続けた。さらに、2−エチルヘキシルアクリレート25gを加え、5時間重合を続けた。最後に、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1.55g(9.0ミリモル)を加え、8時間重合を続けた。

このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するA−B−A型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、75,000であった。
【0052】
製造例9
2−エチルヘキシルアクリレート25gおよび25gに代えて、イソノニルアクリレート25gおよび25gを用いた以外は、製造例8と同様に、重合反応を行った。
このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するA−B−A型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、64,500であった。
【0053】
比較製造例1
メカニカルスターラ、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート50gと日本油脂社製の「ブレンマーPME400」(前出)50gを投入し、これに2,2′−ビピリジン1,300mg(8.33ミリモル)を加えて、系内を窒素置換した。
これに、窒素気流下、臭化銅476mg(3.33ミリモル)を加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2−H2PNを656mg(3.33ミリモル)加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、90℃で18時間重合した。つぎに、重合系に6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1.55g(9.0ミリモル)を加えて、8時間重合を続けた。
このようにして、(メタ)アクリレート系モノマーとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーとからなる、分子両末端に水酸基を有するランダム共重合体を製造した。重量平均分子量は、36,500であった。
【0054】
比較製造例2
日本油脂社製の「ブレンマーPME400」の量を50gから90gに、2−エチルヘキシルアクリレートの量を50gから10gに、それぞれ変更した以外は、製造例2と同様に、重合反応を行った。
このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するA−B型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、37,300であった。
【0055】
比較製造例3
メカニカルスターラ、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート50gを投入し、これに、2,2′−ビピリジン1,092mg(7.0ミリモル)を加えて、系内を窒素置換した。これに、窒素気流下、臭化銅429mg(3.0ミリモル)を加え、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2−H2PNを985mg(5.0ミリモル)加えて、重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、80℃で10時間重合した。
つぎに、重合系に日本油脂社製の「ブレンマーPME400」(前出)5gをラバーセプタムから加え、3時間重合を続けた。さらに、2−エチルヘキシルアクリレート45gを加え、8時間重合を続けた。最後に、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1.55g(9.0ミリモル)を加え、8時間重合を続けた。
このようにして、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水酸基を有するA−B−A型のブロック共重合体を製造した。このブロック共重合体の重量平均分子量は、74,700であった。
【0056】
以上の製造例1〜9および比較製造例1〜3で得られた各共重合体について、そのブロック形態(ただし、比較製造例1はランダム)およびモノマー組成を、表1にまとめて示した。
表1中、(メタ)アクリレート系モノマーの種類を示す各符号のうち、「2−EHA」は2−エチルヘキシルアクリレート、「BA」はブチルアクリレート、「iNA」はイソノニルアクリレートである。また、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーは、日本油脂社製の商品名(ただし、「ブレンマー」の表記は省略)を示している。( )内は、全モノマー中の各モノマーの割合(重量%)である。
【0057】
Figure 0004191453
【0058】
実施例1
製造例1で得たブロック共重合体5gを酢酸エチル10ミリリットルで希釈した。この溶液に、架橋剤としてジフェニルメタンジイソシアネート0.05gを混合し、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、剥離処理したフィルムに塗布し、120℃で5分間加熱した。50℃で1終夜熱乾燥したのち、不織布基材に転写して、熱架橋タイプの粘着シートを作製した。
【0059】
実施例2
製造例1で得たブロック共重合体5gに、オリゴマー型光架橋剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー(Lamberti社製の「Esakure KIP150」)0.05gを加え、これを溶融混合して、表面を離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)上に、厚さが50μmとなるように、ホットメルト塗工した。これを不織布基材に転写して、粘着剤組成物表面に高圧水銀灯により室温で2.6J照射して、架橋処理し、厚さが50μmの粘着剤層を形成して、紫外線架橋タイプの粘着シートを作製した。
【0060】
実施例3
製造例2で得たブロック共重合体5gを酢酸エチル10ミリリットルで希釈した。この溶液に、架橋剤としてジフェニルメタンジイソシアネート0.02gを混合し、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、剥離処理したフィルムに塗布し、120℃で5分間加熱した。50℃で1終夜熱乾燥したのち、不織布基材に転写して、熱架橋タイプの粘着シートを作製した。
【0061】
実施例4
ジフェニルメタンジイソシアネートの量を0.02gから0.05gに変更した以外は、実施例3と同様にして、熱架橋タイプの粘着シートを作製した。
【0062】
実施例5,7,9〜11
ブロック共重合体の種類を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様にして、紫外線架橋タイプの粘着シートを作製した。
【0063】
実施例6,8,12,13
ブロック共重合体の種類を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、熱架橋タイプの粘着シートを作製した。
【0064】
比較例1,3,5
ブロック共重合体の種類を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、熱架橋タイプの粘着シートを作製した。
【0065】
比較例2,4
ブロック共重合体の種類を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様にして、紫外線架橋タイプの粘着シートを作製した。
【0066】
上記の実施例1〜13および比較例1〜5で作製した各粘着シートについて、下記の方法により、粘着剤層の溶剤不溶分を測定した。その結果を、各例で使用したブロック共重合体(比較例1,2はランダム共重合体)の製造例および架橋タイプとともに、表2に示した。
【0067】
<溶剤不溶分の測定>
粘着シートから架橋処理した粘着剤層を約0.1gとり、これを秤量して重量(W1 )を求めた。ついで、これを微孔性テトラフルオロエチレン膜に包み(膜重量W2 )、約50mlの酢酸エチルに2日間浸漬して、可溶分を抽出した。この抽出後、乾燥し、全体の重量(W3 )を測定した。これらの測定値から、粘着剤層(ブロック共重合体)の溶剤不溶分(重量%)=〔(W3 −W2 )/W1 〕×100、を求めた。
【0068】
Figure 0004191453
【0069】
つぎに、上記の実施例1〜13および比較例1〜5で作製した各粘着シートについて、下記の方法により、透湿度、粘着力および剥離時の糊残りを調べた。これらの結果は、表3に示されるとおりであった。
【0070】
<透湿度>
20mlの蒸留水を内径40mm、高さ40mmのガラス製容器に入れ、直径50mmの円形に裁断した粘着シートの粘着剤層を下向きにして容器の口に貼り付け、固定した。粘着シートを貼り付けた容器全体の重量(W4 )を測定したのち、これを40℃,相対湿度30%RHの恒温恒湿機中に入れ、24時間放置後の重量(W5 )を測定した。透湿度(g/m2 )=(W4 −W5 )/(0.02×0.02×π)、を求めた。
なお、参考のため、粘着シートの基材である不織布のみについて、上記同様に透湿度を測定した結果は、3,440g/m2 であった。
【0071】
<粘着力の測定>
幅20mmに切断した粘着シートを、被着体であるベークライト板に、重さ2kgのゴムローラを1往復させて圧着したのち、室温で30分間放置した。これを引張り試験機により、300mm/分の引張り速度で180度剥離し、その剥離に要する力を測定した。
【0072】
<剥離時の糊残り>
粘着力測定後の被着体表面に対する粘着剤の残渣を調べた。糊残りが認められないものを○、糊残りが明らかに認められるものを×、と評価した。
【0073】
Figure 0004191453
【0074】
上記表3の結果から明らかなように、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとが少なくとも2ブロック結合してなる、上記両ブロックA,Bの重量比率が特定範囲にあるブロック共重合体を粘着剤組成物の主剤成分とした実施例1〜13の各粘着シートは、接着性にすぐれ、糊残りの問題がなく、しかも透湿性にすぐれていることがわかる。
【0075】
これに対して、ランダム共重合体を使用した比較例1,2の粘着シートでは、接着性が悪く、糊残りの問題があり、しかも、透湿性も十分に得られていない。また、ブロック共重合体であっても、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBが多すぎる比較例3,4の粘着シートでは、接着性が悪く、糊残りの問題があり、逆に上記重合体ブロックBが少なすぎる比較例5の粘着シートでは、透湿性が著しく低下する。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、リビングラジカル重合により(メタ)アクリレート系重合体ブロックAとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとが少なくとも2ブロック結合した、上記両ブロックA,Bの重量比率が特定範囲にあるブロック共重合体を生成し、これを主剤成分としたことにより、皮膚接着性などの接着性と透湿性にともにすぐれた粘着剤組成物とその粘着シートを提供できる。

Claims (5)

  1. (メタ)アクリレート系重合体ブロックAと、つぎの一般式(1);
    Figure 0004191453
    (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、mは2〜6の数、nは2〜15の数である)

    で表されるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとが少なくとも2ブロック結合してなる、上記両ブロックA,Bの合計量中、上記ブロックAが90〜20重量%、上記ブロックBが10〜80重量%であるブロック共重合体を主剤成分としたことを特徴とする粘着剤組成物。
  2. (メタ)アクリレート系モノマー90〜20重量%と、つぎの一般式(1);
    Figure 0004191453
    (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、mは2〜6の数、nは2〜15の数である)

    で表されるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマー10〜80重量%とを、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いて、適宜の順にリビングラジカル重合して、(メタ)アクリレート系重合体ブロックAと、上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマーの重合体ブロックBとが少なくとも2ブロック結合してなる、上記両ブロックA,Bの合計量中、上記ブロックAが90〜20重量%、上記ブロックBが10〜80重量%であるブロック共重合体を生成し、これを主剤成分とすることを特徴とする粘着剤組成物の製造方法。
  3. 遷移金属と配位子の組み合わせがCu+1−ビピリジン錯体である請求項2に記載の粘着剤組成物の製造方法。
  4. 基材の片面に請求項1に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層が設けられてなり、全体の透湿度が40℃,30%RHで300〜3,000g/m2 ・24時間である粘着シート。
  5. 皮膚貼り付け用である請求項4に記載の粘着シート。
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