JP4350427B2 - アクリル系ブロック共重合体組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋外で長期にわたって使用しても劣化の生じにくい、耐候性に優れるアクリル系ブロック共重合体組成物および該組成物を用いた屋外用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンなどからなる共役ジエン系ブロック共重合体や、ポリオレフィンと架橋ゴムの動的架橋アロイ体、ポリ塩化ビニル系エラストマーは、熱可塑性エラストマーとして、自動車外装材、自動車内装材、建材などの用途で、加硫ゴムの代替品として広く用いられている。
これら従来の熱可塑性エラストマーのうちで、ブタジエンなどのような共役ジエンに由来する構造単位を有する熱可塑性エラストマーは、重合体分子中に存在する炭素−炭素間二重結合が空気中の酸素によって酸化されたり紫外線にアタックされ易く、それによって早期に劣化し易い。そこで、耐性を高めるために、水素添加処理を行って重合体中の炭素−炭素間二重結合を飽和させる方法が一般に採用されている。
【0003】
また、ポリ塩化ビニル系エラストマーは、廃材を焼却処理するとダイオキシンなどの有害物を発生し、環境に対する負荷が大きいため、近年、オレフィン系エラストマー材料への代替が進められている。しかしながら、オレフィン系エラストマー材料は、自動車用途では接着剤による自動車本体への接着が困難であり、その上自動車の防錆ワックスを除去する際に用いられるワックスリムーバー(灯油と温水の混合液)によって侵食されて外観が損なわれ易いという欠点があり、自動車用途などに用いるのに適さない。
【0004】
さらに、上記した従来の熱可塑性エラストマーは、炭素−炭素間二重結合による以外にも、重合体の基本的な化学構造自体が紫外線などに対する耐性が低く、屋外などで使用すると劣化を生じ易い。そこで、紫外線などに対する耐性(耐光性)を向上させる目的で、上記した従来の熱可塑性エラストマーにカーボンブラックを添加することが一般的に行われている。しかし、カーボンブラックを添加すると黒色に着色されてしまい、黒色以外の色や透明な材料を得ることができない。かかる点から、エラストマーや軟質材料、特に自動車や建材などのような屋外で使用されるエラストマーや軟質材料では、耐光性や耐候性に優れていて、しかも透明な状態または黒色以外の色調を長期にわたって良好に維持できる材料が求められてきた。
【0005】
一方、近年、アクリル酸エステル系重合体ブロックとメタクリル酸エステル系重合体ブロックを有するアクリル系ブロック共重合体が開発されており、アクリル系ブロック共重合体のうちで、ガラス転移点の低い重合体ブロックを有するものは熱可塑性エラストマー特性を有している(特許文献1および2などを参照)。アクリル系ブロック共重合体は、共役ジエン系ブロック共重合体などのような従来の熱可塑性エラストマーに比べて、耐候性、耐熱性、透明性などの点で優れている。
しかしながら、アクリル系ブロック共重合体においても、耐候性、耐熱性、透明性、力学的特性などの特性は未だ十分に満足のゆくものではなく、かかる点から、耐候性、耐熱性、透明性、耐衝撃性、機械的強度などをより向上させるために、アクリル系ブロック共重合体にアクリル樹脂などの合成樹脂を配合したアクリル系ブロック共重合体組成物が開発された(特許文献3を参照)。
【0006】
特許文献3に記載されているアクリル系ブロック共重合体組成物は、従来のアクリル系ブロック共重合体に比べて、耐候性、耐熱性、透明性、染色性(着色性)、耐オイル性、耐衝撃性、機械的強度などにおいて優れていて、屋外で長期間使用しても着色やベタツキが生じない。しかし、本発明者らが、特許文献3のアクリル系ブロック共重合体組成物について更に検討した結果、屋外で長期間にわたって使用すると、柔軟性が経時的に低下して徐々に硬くなったり、色調の変化が生ずることがあり、そのためこれらの点で更に改良の余地があることが判明した。経時的な柔軟性の低下および色調の変化は、自動車や建材などのような屋外で長期間にわたって使用される用途では、極力回避する必要があり、かかる点から、アクリル系ブロック共重合体の耐候性を一層向上させる技術の開発が望まれてきた。
【0007】
【特許文献1】
特表平5−507737号公報
【特許文献2】
特開平6−93060号公報
【特許文献3】
特開平10−168271号公報
【特許文献4】
特公平7−25859号公報
【特許文献5】
特開平11−335432号公報
【特許文献6】
特開平6−93060号公報
【非特許文献1】
「Macromol.Chem.Phys.」2000年、第201巻、p1108−1114
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、屋外で長期間にわたって使用しても、柔軟性の低下や色調の低下が生じず、耐候性に優れる成形品やその他の製品を製造することのできるアクリル系ブロック共重合体組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、そのような耐候性に優れるアクリル系ブロック共重合体組成物を用いた、自動車、建材などの屋外用部材を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らが検討を重ねた結果、アクリル系ブロック共重合体として、アクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロックの少なくとも1個と、前記アクリル酸エステル系重合体とは構造の異なるアクリル酸エステ系重合体からなるかまたはメタクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロックの少なくとも1個を有するアクリル系ブロック共重合体を用い、これに紫外線吸収剤を添加すると、それにより得られるアクリル系ブロック共重合体組成物から得られる成形品やその他の製品は、屋外で長期にわたって使用しても、柔軟性の低下や変色が生じず、耐候性に極めて優れていることを見出した。
さらに、本発明者らは、その際の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系の化合物が耐候性の向上効果に優れていて好適であることを見出した。
また、本発明者らは、ベンゾトリアゾール系の化合物よりなる紫外線吸収剤と共に特定のピペリジン系化合物を用い、更に必要に応じてフェノール系化合物およびホスファイト系化合物のうちの少なくとも1種を耐候性向上用の補助剤として用いると、アクリル系ブロック共重合体組成物およびそれからなる成形品などの耐候性が一層向上することを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1) アクリル酸エステル系重合体(A1)からなる重合体ブロック(I)の少なくとも1個と、アクリル酸エステル系重合体(A1)とは異なる構造を有するアクリル酸エステル系重合体(A2)またはメタクリル酸エステル系重合体(B)からなる重合体ブロック(II)の少なくとも1個を有するアクリル系ブロック共重合体に
下記の式(i);
【0011】
【化5】
Figure 0004350427
[式中、R 1 は1価の置換基、R 2 は1価の置換基または結合手(−)を示し、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数であり、mが2以上の整数のときに2個以上のR 1 は同じであってもまたは異なっていてもよく、nが2以上の整数のときに2個以上のR 2 は同じであってもまたは異なっていてもよい。]
で表される構造を分子中に少なくとも一部として有するベンゾトリアゾール系化合物からなる紫外線吸収剤;および、
下記の式(ii);
【0012】
【化6】
Figure 0004350427
[式中、R 3 は水素原子または1価の有機基、R 4 は1価の置換基または結合手(−)を示し、pは0〜3の整数であり、pが2以上の整数のときに2個以上のR 4 は同じであってもまたは異なっていてもよい。]
で表される構造を分子中に少なくとも一部として有するピペリジン系化合物;
を含有させたことを特徴とするアクリル系ブロック共重合体組成物である。
【0013】
さらに、本発明は、
) 下記の式(iii);
【0014】
【化7】
Figure 0004350427
[式中、R 5 は水素原子または1価の炭化水素基、R 6 は1価の置換基または結合手(−)を示し、qは0〜4の整数であり、qが2以上の整数のときに2個以上のR 6 は同じであってもまたは異なっていてもよい。]
で表される構造を分子中に少なくとも一部として有するフェノール系化合物;および、
下記の式(iv);
【0015】
【化8】
Figure 0004350427
(式中、R 7 は置換または非置換の芳香族基、R 8 およびR 9 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、R 7 とR 8 またはR 9 は互いに結合してホスファイトを構成しているリン原子および酸素原子と共に環を形成していてもよく、R 8 とR 9 は互いに結合してホスファイトを構成しているリン原子および酸素原子と共に環を形成していてもよい。)
で表されるホスファイト系化合物;
から選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含有する前記(1)のアクリル系ブロック共重合体組成物である。
【0016】
そして、本発明は、
(3) アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、上記したベンゾトリアゾール系化合物よりなる紫外線吸収剤を0.01〜5質量部の割合で含有する前記(1)または(2)のアクリル系ブロック共重合体組成物である。
【0017】
そして、本発明は、
(4) アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、上記したピペリジン系化合物を0.01〜5質量部の割合で含有する前記(1)〜(3)のいずれかのアクリル系ブロック共重合体組成物;および、
(5) アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、上記したピペリジン系化合物と、上記したフェノール系化合物および/またはホスファイト系化合物を、当該ピペリジン系化合物と、フェノール系化合物および/またはホスファイト系化合物の合計で0.01〜5質量部の割合で含有する前記(1)〜(4)のいずれかのアクリル系ブロック共重合体組成物;
である。
【0018】
また、本発明は、
(6) アクリル系ブロック共重合体を構成する重合体ブロック(II)が、メタクリル酸エステル系重合体(B)からなる重合体ブロックである前記(1)〜()のいずれかのアクリル系ブロック共重合体組成物;および、
(7) アクリル系ブロック共重合体が、式:(A1)−(B)で表されるジブロック共重合体、式:(A1)−(A2)−(B)で表されるトリブロック共重合体、および式:(B)−(A1)−(B)で表されるトリブロック共重合体[但し、前記式中(A1)はアクリル酸エステル系重合体(A1)からなる重合体ブロック、(A2)は(A1)とは異なる構造のアクリル酸エステル系重合体(A2)からなる重合体ブロック、(B)はメタクリル酸エステル系重合体(B)からなる重合体ブロックを示し、−は各重合体ブロックの結合手を示す。]より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体である前記(1)〜()のいずれかのアクリル系ブロック共重合体組成物;
である。
【0019】
そして、本発明は、
(8) 前記(1)〜(7)のいずれかのアクリル系ブロック共重合体組成物を用いた屋外用部材;
(9) 自動車部材または建築部材である前記(8)に記載の屋外用部材;
(10) 前記(1)〜(7)のいずれかのアクリル系ブロック共重合体組成物よりなる部位と極性を有する重合体よりなる部位が互いに接着してなる前記(8)または(9)の屋外用部材;および、
(11) 極性を有する重合体が、ABS樹脂、AS樹脂、アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン系共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル・アクリレート・スチレン系共重合体(AAS樹脂)、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリオキシメチレンおよびポリエステルから選ばれる1種または2種以上の重合体である前記(10)の屋外用部材;
である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物に用いるアクリル系ブロック共重合体は、アクリル酸エステル系重合体(A1)からなる重合体ブロック(I)の少なくとも1個と、アクリル酸エステル系重合体(A1)とは異なる構造を有するアクリル酸エステル系重合体(A2)またはメタクリル酸エステル系重合体(B)からなる重合体ブロック(II)の少なくとも1個を有するアクリル系ブロック共重合体である。
【0021】
アクリル系ブロック共重合体における重合体ブロック(I)を構成するアクリル酸エステル系重合体(A1)は、アクリル酸エステル単位から主としてなる重合体であり、アクリル酸エステル系重合体(A1)の構造単位の60モル%以上、特に80モル%以上がアクリル酸エステル単位からなることが好ましい。
【0022】
アクリル酸エステル系重合体(A1)を構成するアクリル酸エステル単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリルなどからなる構造単位を挙げることができ、アクリル酸エステル系重合体(A1)は前記したアクリル酸エステル単位の1種または2種以上から構成されていることができる。
【0023】
そのうちでも、重合体ブロック(I)を構成するアクリル酸エステル系重合体(A1)は、得られるアクリル系ブロック共重合体組成物の柔軟性が良好になる点から、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシルおよびアクリル酸2−メトキシエチルから選ばれるアクリル酸エステルに由来する構造単位の1種または2種以上からなっていることが好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸ドデシルから選ばれるアクリル酸エステルに由来する構造単位の1種または2種以上からなっていることがより好ましい。
【0024】
アクリル系ブロック共重合体における重合体ブロック(II)は、上記のように、重合体ブロック(I)を構成するアクリル酸エステル系重合体(A1)とは異なる構造を有するアクリル酸エステル系重合体(A2)またはメタクリル酸エステル系重合体からなる。
【0025】
重合体ブロック(II)が、アクリル酸エステル系重合体(A1)とは異なる構造を有するアクリル酸エステル系重合体(A2)からなる場合は、アクリル酸エステル系重合体(A2)は、アクリル酸エステル系重合体(A1)について上記で挙げた種々のアクリル酸エステルのうちの1種または2種以上からなり、且つアクリル酸エステル系重合体(A1)の主体をなすアクリル酸エステルとは種類が異なるかまたは組成(含有割合)の異なるアクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル混合物から形成されている。そのうちでも、アクリル酸エステル系重合体(A2)は、得られるアクリル系ブロック共重合体組成物の力学強度の観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸シクロヘキシルおよびアクリル酸イソボルニルから選ばれるアクリル酸エステルの1種または2種以上に由来する構造単位からなることが好ましく、アクリル酸メチルおよび/またはアクリル酸イソボルニルに由来する構造単位からなることがより好ましい。但し、重合体ブロック(I)を構成するアクリル酸エステル系重合体(A1)と、重合体ブロック(II)を構成するアクリル酸エステル系重合体(A2)とは、前述のように、互いに異なる構造を有していることが必要である。
【0026】
重合体ブロック(II)がメタクリル酸エステル系重合体(B)よりなる場合は、メタクリル酸エステル系重合体(B)はメタクリル酸エステルから主としてなる重合体であって、メタクリル酸エステル系重合体(B)の構造単位の60モル%以上、特に80モル%以上がメタクリル酸エステル単位からなることが好ましい。
メタクリル酸エステル系重合体(B)を構成するメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチルなどを挙げることができ、メタクリル酸エステル系重合体(B)は、前記したメタクリル酸エステルの1種または2種以上に由来する構造単位を有していることができる。
【0027】
そのうちでも、重合体ブロック(II)を構成するメタクリル酸エステル系重合体(B)は、得られるアクリル系ブロック共重合体組成物の耐熱性が良好になる点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルおよびメタクリル酸イソボルニルから選ばれるメタクリル酸エステルの1種または2種以上に由来する構造単位からなることが好ましく、メタクリル酸メチルに由来する構造単位からなっていることがより好ましい。
【0028】
アクリル系ブロック共重合体における重合体ブロック(I)を構成するアクリル酸エステル系重合体(A1)、および重合体ブロック(II)を構成するアクリル酸エステル系重合体(A2)および/またはメタクリル酸エステル系重合体(B)は、上記したアクリル酸エステルに由来する構造単位またはメタクリル酸エステルに由来する構造単位の他に、各重合体ブロックの特性を損なわない範囲(一般に重合体ブロックを構成する全構造単位に対して40モル%以下の割合)で、他のモノマーに由来する構造単位を有していてもよい。
【0029】
アクリル酸エステル系重合体(A1)、アクリル酸エステル系重合体(A2)およびメタクリル酸エステル系重合体(B)が有し得る他のモノマーに由来する構造単位の種類は特には限定されないが、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−オクテンなどのオレフィン;1,3−ブタジエン、イソプレン、ミルセンなどの共役ジエン化合物;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル;ビニルピリジン;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル;ビニルケトン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニリデンなどのハロゲン含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミドの不飽和アミドなどに由来する構造単位などを挙げることができる。アクリル酸エステル系重合体(A1)、アクリル酸エステル系重合体(A2)およびメタクリル酸エステル系重合体(B)は、前記した他のモノマーの1種または2種以上に由来する構造単位を有することができる。
【0030】
本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体としては、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物およびそれから得られる成形品などに優れた柔軟性を発現させるために、式:(A1)−(B)で表されるジブロック共重合体、式:(A1)−(A2)−(B)で表されるトリブロック共重合体、および式:(B)−(A1)−(B)で表されるトリブロック共重合体[但し、前記式中、(A1)はアクリル酸エステル系重合体(A1)からなる重合体ブロック、(A2)は(A1)とは異なる構造のアクリル酸エステル系重合体(A2)からなる重合体ブロック、(B)はメタクリル酸エステル系重合体(B)からなる重合体ブロックを示し、−は各重合体ブロックの結合手を示す。]から選ばれるアクリル系ブロック共重合体であることが好ましい。
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、前記したジブロック共重合体またはトリブロック共重合体の1種または2種以上を含有することができる。そのうちでも、本発明では、アクリル系ブロック共重合体として、式:(B)−(A1)−(B)で表されるトリブロック共重合体[但し、式中(A1)、(B)および−は前記と同じ]が、耐熱性および力学物性の点からより好ましく用いられる。
【0031】
本発明で好ましく用いられるアクリル系ブロック共重合体の具体例としては、[ポリアクリル酸n−ブチル]−[ポリメタクリル酸メチル]、[ポリアクリル酸2−エチルヘキシル]−[ポリメタクリル酸メチル]などのジブロック共重合体;[ポリアクリル酸メチル]−[ポリアクリル酸n−ブチル]−[ポリメタクリル酸メチル]、[ポリアクリル酸メチル]−[ポリアクリル酸2−エチルヘキシル]−[ポリメタクリル酸メチル]、[ポリメタクリル酸メチル]−[ポリアクリル酸エチル]−[ポリメタクリル酸メチル]、[ポリメタクリル酸メチル]−[ポリアクリル酸n−ブチル]−[ポリメタクリル酸メチル]、[ポリメタクリル酸メチル]−[ポリアクリル酸2−エチルヘキシル]−[ポリメタクリル酸メチル]などのトリブロック共重合体を挙げることができる。
そのうちでも、[ポリメタクリル酸メチル]−[ポリアクリル酸n−ブチル]−[ポリメタクリル酸メチル]および[ポリメタクリル酸メチル]−[ポリアクリル酸2−エチルヘキシル]−[ポリメタクリル酸メチル]からなるトリブロック共重合体が、耐熱性および力学物性の点からより好ましく用いられる。
【0032】
アクリル系ブロック共重合体における重合体ブロック(I)および重合体ブロック(II)の含有割合は特に制限されないが、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物およびそれからなる成形品などの柔軟性および耐熱性がより良好になる点から、アクリル系ブロック共重合体の全質量に対して、重合体ブロック(I)の含有割合[2個以上の重合体ブロック(I)を有する場合はその合計含有割合]が5〜95質量%、特に20〜80質量%であり、重合体ブロック(II)の含有割合[2個以上の重合体ブロック(II)を有する場合はその合計含有割合]が95〜5質量%、特に80〜20質量%であることが好ましい。
重合体ブロック(I)および重合体ブロック(II)の含有量が上記の範囲から外れた場合は、各重合体ブロックを構成するブロック共重合体中でのミクロ層分離が不十分となり、ブロック共重合体としての特性を十分に発現できなくなることがある。
【0033】
アクリル系ブロック共重合体の弾力性は、重合体ブロック(I)および重合体ブロック(II)の含有量によって大きく影響を受ける。そのため、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物の弾力性を低くして硬質材料とする場合は、重合体ブロック(II)[特にメタクリル酸エステル系重合体(B)よりなる重合体ブロック]の含有量を多くし、一方本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物の弾力性を高くして軟質材料とする場合は、重合体ブロック(I)の含有量を多くすることで、任意の物性のアクリル系ブロック共重合体組成物を得ることができる。
【0034】
アクリル系ブロック共重合体における各重合体ブロックの分子量およびアクリル系ブロック共重合体全体の分子量は特に制限されないが、成形性と力学物性のバランスの点から、重合体ブロック(I)の重量平均分子量が2,000〜400,000、特に10,000〜300,000であり、重合体ブロック(II)の重量平均分子量が1,000〜400,000、特に3,000〜100,000であることが好ましい。
また、アクリル系ブロック共重合体全体の重量平均分子量は5,000〜500,000、特に20,000〜300,000であることが好ましい。
【0035】
本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体の製法は特に限定されず、既知の方法に準じた製法を採用して製造することができる。例えば、各重合体ブロックを構成するモノマーをリビング重合する方法が一般に使用される。そのようなリビング重合法としては、例えば、(1)有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機塩の存在下でアニオン重合する方法(特許文献4等を参照)、(2)有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法(特許文献5等を参照)、(3)有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法(特許文献6等を参照)、α−ハロゲン化エステル化合物を開始剤として銅化合物の存在下ラジカル重合する方法(非特許文献1等を参照)などを挙げることができる。
また、(4)多価ラジカル重合開始剤や多価ラジカル連鎖移動剤を用いて、各重合体ブロックを構成するモノマーを重合させて、本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体を含有する混合物を製造する方法を採用してもよい。この(4)の方法による場合は、アクリル系ブロック共重合体を含有する前記混合物から、アクリル系ブロック共重合体を分離回収して本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物の調製に用いる。また、場合によっては、アクリル系ブロック共重合体を含有する前記混合物からアクリル系ブロック共重合体を分離回収せずに、該混合物をそのまま直接本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物の調製に用いてもよい。
上記した製法のうちでも、アクリル系ブロック共重合体が高純度で得られ、しかも分子量や組成比の制御が容易であり且つ経済的であることから、上記(2)の方法、すなわち有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法で得られるアクリル系ブロック共重合体が好ましく用いられる。
【0036】
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、上記したアクリル系ブロック共重合体と共に紫外線吸収剤を含有する。
有機重合体用の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ヒドロキシベンソエート系、フェニルサリシレート系、置換オキザニリド系、シアノアクリル酸エステル系、各種の金属塩、金属キレート系などの種々の紫外線吸収剤が知られているが、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物では、紫外線吸収剤として、下記の式(i)で表されるベンゾトリアゾール系化合物[以下これを「ベンゾトリアゾール系化合物(i)」ということがある]を含有する。
【0037】
【化9】
Figure 0004350427
[式中、R1は1価の置換基、R2は1価の置換基または結合手(−)を示し、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数であり、mが2以上の整数のときに2個以上のR1は同じであってもまたは異なっていてもよく、nが2以上の整数のときに2個以上のR2は同じであってもまたは異なっていてもよい。]
ここで、本発明でいう「式(i)で表される構造を、分子中に少なくとも一部として有するベンゾトリアゾール系化合物」とは、ベンゾトリアゾール系化合物自体が上記の式(i)で表される化合物である場合、および上記の式(i)で表される構造(ベンゾトリアゾール構造)部分が分子の一部に含まれている化合物である場合の両方を包含するものである。
【0038】
上記の式(i)におけるR1は、ベンゾトリアゾール系化合物(i)の紫外線吸収能を失わせない基であればいずれでもよく、例えばアルキル基、置換されたアルキル基、置換または非置換のフェニル基、ハロゲン原子などを挙げることができる。そのうちでも、R1は塩素原子などのハロゲン原子であることが、ベンゾトリアゾール系化合物(i)の紫外線吸収能がより高くなり、それによって耐候性により優れるアクリル系ブロック共重合体組成物およびそれからなる成形品などが得られる点から好ましい。また、mは0〜4の整数のいずれでもよいが、0、1または2であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。特に、R1がハロゲン原子でmが1であることが更に好ましい。
また、R2はベンゾトリアゾール系化合物(i)の紫外線吸収能を失わせない基または結合手(−)のいずれであってもよい。何ら限定されるものではないが、R2の例としてはアルキル基、置換基を有するアルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、結合手(−)などを挙げることができ、そのうちでもアルキル基、置換基を有するアルキル基または結合手(−)であることが好ましい。nは0〜4の整数であればいずれでもよいが、0、1または2であることが好ましい。
【0039】
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物で紫外線吸収剤として好ましく用いられるベンゾトリアゾール系化合物(i)の具体例としては、
・2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(2−メチル−フェニルエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール;
・2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕;
・2−(2−ヒドロキシ−3−sec−ブチル−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−ドデシルフェニル)ベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル;
・2−[2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル]ベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール≡
・2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(2−メチル−フェニルエチル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕;
・2−(2−ヒドロキシ−3−sec−ブチル−5−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−ドデシルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール;
などの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール系化合物などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0040】
上記したベンゾトリアゾール系化合物のうちでも、吸収波長が長く、太陽光線および太陽光線に近い波長を有する光線の吸収能が高く、紫外線吸収効果が大きいことから、上記の式(i)において、R1がハロゲン原子、特に塩素原子であるベンゾトリアゾール系化合物(i)が好ましく用いられる。その具体例としては、
・2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(2−メチル−フェニルエチル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕;
・2−(2−ヒドロキシ−3−sec−ブチル−5−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−ドデシルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール;
・2−[2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール;
などの2−(2−ヒドロキシフェニル)クロロベンゾトリアゾール系化合物を挙げることができる。
【0041】
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物におけるベンゾトリアゾール系化合物(i)からなる紫外線吸収剤(以下これを単に「紫外線吸収剤」ということがある)の含有量は、紫外線吸収剤の種類、アクリル系ブロック共重合体組成物の用途などに応じて異なり得るが、一般的には、アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.01〜5質量部の割合で含有することが好ましく、0.02〜3質量部の割合で含有することがより好ましく、0.05〜1質量部の割合で含有することが更に好ましい。
アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して紫外線吸収剤の含有量が0.01質量部未満であると、耐候性および耐光性に優れるアクリル系ブロック共重合体組成物、ひいては成形品などが得られにくくなることがある。一方、アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して紫外線吸収剤の含有量が5質量部を超えると、アクリル系ブロック共重合体組成物の望ましくない着色、紫外線吸収剤のブリードアウトや揮発による汚染などを生じ易くなることがある。
【0042】
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物では、ベンゾトリアゾール系化合物(i)よりなる紫外線吸収剤と共に、耐候性向上補助剤として下記の式(ii)で表される構造を分子中に少なくとも一部として有するピペリジン系化合物[以下これを「ピペリジン系化合物(ii)」ということがある]を含有する。
【0043】
【化10】
Figure 0004350427
[式中、R3は水素原子または1価の有機基、R4は1価の置換基または結合手(−)を示し、pは0〜3の整数であり、pが2以上の整数のときに2個以上のR4は同じであってもまたは異なっていてもよい。]
また、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、場合により、下記の式(iii);
【0044】
【化11】
Figure 0004350427
[式中、R5は水素原子または1価の炭化水素基、R6は1価の置換基または結合手(−)を示し、qは0〜4の整数であり、qが2以上の整数のときに2個以上のR6は同じであってもまたは異なっていてもよい。]
で表される構造を、分子中に少なくとも一部として有するフェノール系化合物[以下これを「フェノール系化合物(iii)」ということがある];および、
・下記の式(iv);
【0045】
【化12】
Figure 0004350427
(式中、R7は置換または非置換の芳香族基、R8およびR9はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、R7とR8またはR9は互いに結合してリン原子および酸素原子と共に環を形成していてもよく、R8とR9は互いに結合してリン原子および酸素原子と共に環を形成していてもよい。)
で表されるホスファイト系化合物[以下これを「ホスファイト系化合物(iv)」ということがある];
から選ばれる少なくとも1種の化合物を耐候性向上補助剤として更に含有していてもよく、これらの化合物を含有すると、耐候性および耐光性の向上効果が一層高くなるので好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物(i)からなる紫外線吸収剤およびピペリジン系化合物(ii)を含有し、必要に応じて更にフェノール系化合物(iii)および/またはホスファイト系化合物(iv)を含有する本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、耐候性により優れている
【0046】
上記のピペリジン系化合物(ii)に関して、「式(ii)で表される構造を、分子中に少なくとも一部として有するピペリジン系化合物」とは、ピペリジン系化合物自体が上記の式(ii)で表される化合物である場合、および上記の式(ii)で表される構造(ピペリジン構造)部分が分子の一部に含まれている化合物である場合の両方を包含するものである。
上記の式(ii)におけるR3は水素原子または1価の有機基であり、R3が1価の有機基である場合の例としては、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基などを挙げることができる。R3は、水素原子、アルキル基または置換基を有するアルキル基であることが好ましい。また、式(ii)におけるR4は1価の置換基または結合手(−)であり、ピペリジン系化合物(ii)の耐候性向上補助能を失わせない基などであればいずれでもよく、例えば、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アシルオキシ基、カルボン酸イミド基、カルボン酸アミド基、置換基を有するアミノ基、結合手(−)などを挙げることができ、そのうちでもアシルオキシ基、置換基を有するアミノ基であることが好ましい。pは0〜4の整数のいずれでもよいが、0、1または2であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。特に、R4がアシルオキシ基およびpが1で、1個のR4(アシルオキシ基)がピペリジン環の4位置に結合していることが好ましい。
【0047】
ピペリジン系化合物(ii)の具体的な例としては、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルベンゾエート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリル酸エステル、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジtert−−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメチル)マロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1−[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−tert−オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシル、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0048】
また、上記のフェノール系化合物(iii)に関して、「式(iii)で表される構造を、分子中に少なくとも一部として有するフェノール系化合物」とは、フェノール系化合物自体が上記の式(iii)で表される化合物である場合、および上記の式(iii)で表される構造(フェノール構造)部分が分子の一部に含まれている化合物である場合の両方を包含するものである。
上記の式(iii)におけるR5は水素原子または1価の炭化水素基であり、R5が1価の炭化水素基である場合の例としては、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基などを挙げることができる。そのうちでも、R5はアルキル基、置換機を有するアルキル基、フェニル基、置換基を有するフェニル基、ベンジル基などであるのが好ましい。
また、式(iii)におけるR6は1価の置換基または結合手(−)であり、フェノール系化合物(iii)の耐候性向上補助機能を失わせない基などであればいずれでもよく、例えば、アルキル基、置換基を有するアルキル基、ハロゲン原子、結合手(−)などを挙げることができる。qは0〜4の整数であればいずれでもよく、そのうちでも、0、1、2または3であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。特に、フェノール系化合物(iii)におけるフェノール性水酸基に対して2と6の位置にアルキル基または置換基を有するアルキル基が結合し且つ2と6の位置以外の位置(特に4の位置)に1価の置換基が結合しているか結合手(−)となっているフェノール系化合物(iii)[すなわちR5がアルキル基または置換基を有するアルキル基で、qが2で、2個のR6のうちの1個が2または6の位置に結合したアルキル基または置換基を有するアルキル基であり、もう1個のR6が2および6以外の位置に結合した1価の置換基または結合手(−)であるフェノール系化合物(iii)]が好ましく用いられる。
【0049】
フェノール系化合物(iii)の具体的な例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンビス[β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンビス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド]、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0050】
ホスファイト系化合物(iv)に係る上記の式(iv)における置換または非置換の芳香族基であるR7としては、例えばフェニル基、置換基を有するフェニル基、フェニレン基、置換基を有するフェニレン基などを挙げることができる。また、上記の式(iv)において、R8およびR9はそれぞれ独立して水素原子または有機基である。R8および/またはR9が有機基である場合は、ホスファイト系化合物(iv)の耐候性向上補助機能を損なわない有機基であればいずれでもよく、例えば、アルキル基、置換基を有するアルキル基、フェニル基、置換基を有するフェニル基、アルキレン基などを挙げることができる。また、ホスファイト系化合物(iv)において、R7とR8が互いに結合してホスファイトを構成しているリン原子および酸素原子と共に環を形成していてもよく、R7とR9が互いに結合してホスファイトを構成しているリン原子および酸素原子と共に環を形成していてもよく、またはR8とR9が互いに結合してホスファイトを構成しているリン原子および酸素原子と共に環を形成していてもよい。
【0051】
ホスファイト系化合物(iv)の具体例としては、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェニル)・エチルホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクタデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12〜15混合アルキル)・ビスフェノールAジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、テトラトリデシル−4,4’−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’−n−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスホナイト、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールモノホスファイト、トリス(2−[(2,4,8,10−テトラキスtert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]エチル)アミンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
【0052】
アクリル系ブロック共重合体組成物におけるピペリジン系化合物(ii)含有量は、アクリル系ブロック共重合体組成物の用途などに応じて異なり得るが、一般的には、アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、0.01〜5質量部であることが好ましく、0.02〜3質量部であることがより好ましく、0.02〜1質量部であることが更に好ましい。
ピペリジン系化合物(ii)と共に、フェノール系化合物(iii)および/またはホスファイト系化合物(iv)を含有する場合は、一般的には、アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、これらの化合物(ii)〜(iv)の合計で、0.01〜5質量部であることが好ましく、0.02〜3質量部であることがより好ましく、0.02〜1質量部であることが更に好ましい。
これらの化合物(ii)〜(iv)を必要以上に配合すると、望ましくない着色、化合物のブリードアウトや揮発による汚染などが生じ易くなる。
【0053】
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、必要に応じて、重金属不活性剤、p−tert−ブチル安息香酸アルミニウム、ジベンジリデンソルビトール、金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などからなる帯電防止剤;ハロゲン系、リン系、金属酸化物、フッ化樹脂などの難燃剤;エチレンビスアルキルアマイドなどの滑剤;染料、顔料などの着色剤;造核剤、結晶促進剤などの結晶化剤;加工助剤;可塑剤;炭酸カルシウム、シリカ、ガラスファイバー、タルクなどの充填剤などの周知の添加剤の1種または2種以上を含有することができる。さらに、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、必要に応じて、エチレン系重合体、プロピレン重合体、スチレン系重合体、塩化ビニル系重合体、メタクリル酸メチル系重合体、エステル系重合体、アミド系重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体及びその水素添加物などの各種の熱可塑性重合体の1種または2種以上を含有することができる。
【0054】
本発明の樹脂組成物の調製方法は特に制限されず、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの既知の混合装置または混練装置を使用して行うことができる。混合または混練時の温度は、重合体の溶融温度などに応じて適宜調節するのがよく、通常110〜300℃の範囲内の温度で混練するとよい。このようにして、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物を、ペレット、粉末などの任意の形態で得ることができる。ペレットまたは粉末などの形態のアクリル系ブロック共重合体組成物は、成形材料として使用するのに好適である。
【0055】
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、溶融流動性に優れるため、熱可塑性重合体に対して一般に使用されている成形加工方法や成形加工装置を使用して成形加工することができる。例えば、カレンダー成形、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、プレス成形、ロール成形、回転成形、積層成形加工などを行うことができる。
【0056】
さらに、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、極性を有する重合体との接着性に優れている。そして、極性を有する重合体は、極性を持たない重合体(例えばオレフィン系重合体など)に比べて染色性に優れ、接着剤による接着性に優れている。そのため、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物と極性を有する重合体のそれらの特性を活かして、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物よりなる部位と極性を有する重合体よりなる部位が互いに接着した複合部材を形成することができ、かかる複合部材は、耐候性および意匠性が必要な用途、特に自動車部材や建築部材などの屋外用部材などとして有効に用いることができる。
【0057】
その際に、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物と組み合わせて用いる極性を有する重合体としては、例えば、ABS樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン系共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル・アクリレート・スチレン系共重合体(AAS樹脂)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエステルなどを挙げることができる。
【0058】
さらに、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、透明性にも優れており、かかる点から、上記した極性を有する重合体のうちで、透明性を有する極性重合体、例えば、AS樹脂、ポリカーボネート、PMMA、ポリ塩化ビニル、ポリエステルなど、特にAS樹脂、ポリカーボネート、PMMAと組み合わせることによって、透明性に優れる複合部材を形成することができる。
【0059】
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物と極性を有する重合体を組み合わせて複合部材を形成する際の組み合わせ形態は特には制限されず、それぞれの用途に応じて選択することができる。例えば、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物と極性を有する重合体を、共射出による一体成形、共押出しによる一体成形、パウダースラッシュなどの回転成型による一体成形、熱融着、高周波ウェルダによる融着などを採用して複合一体化することができる。作業性および製品コストなどの観点から、共射出による一体成形、共押出しによる一体成形が好ましく採用される。
【0060】
本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、上記した特性に加えて耐油性の点でも優れている。
そのため、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物からなる成形品やその他の製品、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物からなる部位と極性を有する重合体からなる部位を有する複合部材は、上記した特性を活かして、特に屋外で使用する用途に有用である。
【0061】
屋外で使用する用途としては、例えば、ドアウェザーストリップ、トランクウェザーストリップ、ラゲージウェザーストリップ、ルーフサイドレールウェザーストリップ、スライドドアウェザーストリップ、ベンチレータウェザーストリップ、スライディングループパネルウェザーストリップ、フロントウインドウェザーストリップ、リヤウインドウェザーストリップ、クォーターウインドウェザーストリップ、ロックピラーウェザーストリップ、ドアガラスアウナーウェザーストリップ、ドアガラスインナーウェザーストリップ、ダムウインドシールド、クラスランチャネル、ドアミラー用ブラケット、シールヘッドランプまたはシールカウルトップなどの自動車用ウェザーストリップ部材、フロントウインドモール、クォーターウィンドモール、バックウィンドモール等のウィンドモール類、バンパーモール、ホイルアーチモール、ドアベルトモール、サイドモール、ステップモール、ルーフモール、フードトップモール、ラゲッジモールなどの自動車外装モール部材、自動車ボディ、自動車用窓ガラスなどのコーティング材、インストルメントパネル、フロントピラートリム、ドアトリム、シフトレバー、各種コンソール類およびヘッドライニングにおける表皮材等の自動車内装表皮材、ショーケースにおける目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラント、複層ガラス用シーリング材、道路の補修に用いられる土木用シーラントなどのシーリング部材、各種インテリア表皮材、クッション材、人工木材、窓枠部材、窓枠シール材、ドア表皮材、階段滑り止め材、手摺り材、プラスチック瓦、雨樋、壁紙材、壁材等の建築部材などを挙げることができる。
【0062】
【実施例】
以下に実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。
以下の例において、アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量の測定および耐候性試験は次のようにして行った。
【0063】
(1)アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量:
アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量(製造直後の数平均分子量と耐候性試験時の数平均分子量)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下GPCと表す)のポリスチレン換算により求めた。
【0064】
(2)耐候性試験:
以下の実施例1〜4で製造したアクリル系ブロック共重合体組成物を用いるか(実施例1〜4)、または紫外線吸収剤を含有しないアクリル系ブロック共重合体を用いて(比較例1)、型温度200〜230℃(材料の流動性に応じて温度条件を調節;型の予熱時間5分)、圧力5MPa、プレス時間1分の条件下で溶融プレス成形を行って、厚さ1mmのプレスシートを作製し、このプレスシートから5cm×5cmの試験片を切り出して、耐候性試験に使用した。
耐候性試験は、サンシャインウィエザーオメーター(スガ試験機製)を使用して、降雨有りの条件[降雨サイクル:12分(降雨)/48分(降雨なし)]で、温度63℃および湿度50%の条件下に、促進暴露試験を行い、促進曝露試験による高分子量体の経時的な生成量、分子量分布の経時変化、促進曝露試験1000時間後の色調の変化および促進曝露試験2000時間後の硬度の変化を以下のようにして測定または調査した。
【0065】
[促進曝露試験による高分子量体の経時的な生成量の測定]
実施例1〜4のアクリル系ブロック共重合体組成物から作製した試験片および比較例1のアクリル系ブロック共重合体から作製した試験片について、促進曝露試験開始前、促進曝露試験300時間後および1000時間後に、試験片を室温のテトラヒドロフラン(THF)中に24時間浸漬して溶解させ、THFに溶解せずに残留した固形分の乾燥質量(W1)(mg)を測定して、THFに浸漬する前の試験片の質量(W0)(mg)に対する不溶性固形分の質量%を式:(W1/W0)×100から求めて、促進曝露試験によって生成した高分子量体(不溶性固形分)の割合(質量%)とした。
【0066】
[促進曝露試験による分子量分布の経時変化の測定]
実施例1のアクリル系ブロック共重合体組成物から作製した試験片および比較例2のアクリル系ブロック共重合体から作製した試験片について、促進曝露試験開始前、促進曝露試験300時間後および1000時間後に、試験片を室温のテトラヒドロフラン(THF)中に24時間浸漬して溶解させ、溶液から不溶性固形分を除去した後の濾液を用いてGPC分析を行って、分子量分布を求めた。
【0067】
[色調の変化]
実施例1〜4のアクリル系ブロック共重合体組成物から作製した試験片および比較例1のアクリル系ブロック共重合体から作製した試験片について、促進曝露試験開始前および促進曝露試験1000時間後にその色調(b値およびE値)をSMカラーコンピューター(スガ試験機株式会社製「SM−4−2」)を使用してそれぞれ測定し、促進曝露試験開始前の色調に対する促進曝露試験1000時間後の色調の差(ΔbおよびΔE)を求めた。
【0068】
[硬度の変化]
実施例1〜4のアクリル系ブロック共重合体組成物から作製した試験片および比較例1のアクリル系ブロック共重合体から作製した試験片について、促進曝露試験開始前および促進曝露試験2000時間後の硬度(硬度A)をJIS K−6253に準拠して測定して、硬度の変化を調べた。
【0069】
また、以下の実施例で用いたベンゾトリアゾール系化合物(i)、ピペリジン系化合物(ii)、フェノール系化合物(iii)およびホスファイト系化合物(iv)の略号と内容は次のとおりである。
ベンゾトリアゾール系化合物(i−a)
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール[旭電化工業株式会社製「LA−36」;以下の化学式(i−a)で表される化合物]
【0070】
【化13】
Figure 0004350427
【0071】
ベンゾトリアゾール系化合物(i−b)
2,2‘−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール][旭電化工業株式会社製「LA−31」;以下の化学式(i−b)で表される化合物]
【0072】
【化14】
Figure 0004350427
【0073】
ピペリジン系化合物( ii −a)
テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート[旭電化工業株式会社製「LA−57」;以下の化学式(ii−a)で表される化合物]
【0074】
【化15】
Figure 0004350427
【0075】
フェノール系化合物( iii −a)
テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン[旭電化工業株式会社製「AO−60」;以下の化学式(iii−a)で表される化合物]
【0076】
【化16】
Figure 0004350427
【0077】
ホスファイト系化合物( iv −a)
ビス(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[旭電化工業株式会社製「PEP−24G」;以下の化学式(iv−a)で表される化合物]
【0078】
【化17】
Figure 0004350427
【0079】
ホスファイト系化合物( iv −b)
ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[旭電化工業株式会社製「PEP−36」;以下の化学式(iv−b)で表される化合物]
【0080】
【化18】
Figure 0004350427
【0081】
《参考例1》[アクリル系ブロック共重合体の製造]
(1) 1リットルの三口フラスコに三方コックを付けて内部を脱気し、窒素で置換した後、室温にてトルエン280g、1,2−ジメトキシエタン14g、およびイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム8.2mmolを含有するトルエン溶液12gを加え、さらにsec−ブチルリチウム1.7mmolを加えた。これにメタクリル酸メチル17gを加え、室温で1時間反応させた。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル79gを5時間かけて滴下した。続いてメタクリル酸メチル17gを加えて反応液を室温に昇温し、10時間攪拌した。この反応液を大量のメタノール中に注ぎ、析出した沈殿物を回収した。
【0082】
(2) 上記(1)で得られた沈殿物についてGPC測定を行って、Mw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比などを求めたところ、上記(1)で得られた沈殿物は、PMMA−PnBA−PMMAからなるトリブロック共重合体であって、第1のPMMAブロックのMwは10,400、Mw/Mnは1.07であり、トリブロック共重合体全体のMwは77,000、Mw/Mnは1.10であった。さらに、このトリブロック共重合体における各重合体ブロックの割合はPMMA(15質量%)−PnBA(70質量%)−PMMA(15質量%)であることが判明した[以下この参考例1で得られたトリブロック共重合体を「アクリル系ブロック共重合体(1)」という]。
【0083】
《参考例2》[アクリル系ブロック共重合体の製造]
(1) 1リットルの三口フラスコに三方コックを付けて内部を脱気し、窒素で置換した後、室温にてトルエン280g、1,2−ジメトキシエタン14g、およびイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム8.2mmolを含有するトルエン溶液14gを加え、さらにsec−ブチルリチウム1.2mmolを加えた。これにメタクリル酸メチル14gを加え、室温で1時間反応させた。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル85gを5時間かけて滴下した。続いてメタクリル酸メチル14gを加えて反応液を室温に昇温させ、24時間攪拌した。この反応液を大量のメタノール中に注ぎ、析出した沈殿物を回収した。
【0084】
(2) 上記(1)で得られた沈殿物についてGPC測定を行って、Mw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比などを求めたところ、上記(1)で得られた沈殿物は、PMMA−PnBA−PMMAからなるトリブロック共重合体であって、第1のPMMAブロックのMwは12,000、Mw/Mnは1.08であり、トリブロック共重合体全体のMwは110,000、Mw/Mnは1.10であった。さらに、このトリブロック共重合体における各重合体ブロックの割合はPMMA(13質量%)−PnBA(75質量%)−PMMA(12質量%)であることが判明した[以下この参考例2で得られたトリブロック共重合体を、「アクリル系ブロック共重合体(2)」という]。
【0085】
《参考例3》[アクリル系ブロック共重合体の製造]
(1) 1リットルの三口フラスコに三方コックを付けて内部を脱気し、窒素で置換した後、室温にてトルエン280g、1,2−ジメトキシエタン14g、およびイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム8.2mmolを含有するトルエン溶液14gを加え、さらにsec−ブチルリチウム1.3mmolを加えた。これにメタクリル酸メチル17gを加え、室温で1時間反応させた。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸2−エチルヘキシル79gを5時間かけて滴下した。続いてメタクリル酸メチル17gを加えて反応液を室温に昇温し、24時間攪拌した。この反応液を大量のメタノール中に注ぎ、析出した沈殿物を回収した。
【0086】
(2) 上記(1)で得られた沈殿物についてGPC測定を行って、Mw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸2−エチルヘキシル重合体(PEHA)ブロックの質量比などを求めたところ、上記(1)で得られた沈殿物は、PMMA−PEHA−PMMAからなるトリブロック共重合体であって、第1のPMMAブロックのMwは10,300、Mw/Mnは1.07であり、トリブロック共重合体全体のMwは67,000、Mw/Mnは1.14であった。さらに、このトリブロック共重合体における各重合体ブロックの割合はPMMA(15質量%)−PEHA(70質量%)−PMMA(15質量%)であることが判明した[以下この参考例3で得られたトリブロック共重合体を、「アクリル系ブロック共重合体(3)」という]。
【0087】
《実施例1〜4》
(1) 上記の参考例1〜3で得られたアクリル系ブロック共重合体(1)〜(3)のいずれかに、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物(i−a)または(i−b)を下記の表1に示す量で添加すると共に、耐候性向上補助剤としてピペリジン系化合物(ii−a)、フェノール系化合物(iii−a)、ホスファイト系化合物(iv−a)およびホスファイト系化合物(iv−b)のうちの1種または2種以上を下記の表1に示す量で添加して混合物をつくり、その混合物をラボプラストミル(東洋精機株式会社製)を使用して、混合物の溶融粘度に応じて200〜230℃の温度で100rpmの回転速度で10分間溶融混練してアクリル系ブロック共重合体組成物を製造した後、溶融混練物を室温で粉砕して粉末状のアクリル系ブロック共重合体組成物をそれぞれ製造した。
(2) 上記(1)で得られた粉末状のアクリル系ブロック共重合体組成物を用いて、上記した方法でプレスシートを作製し、そのプレスシートから5cm×5cmの試験片を切り出し、該試験片を用いて上記した方法で耐候性試験を行い、THFに不溶性の高分子量体の生成量、色調の変化および硬度の変化を上記した方法で調べたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) また、実施例1で得られたアクリル系ブロック共重合体組成物よりなる試験片について、THF可溶分の分子量測定(分子量分布の測定)を、上記した方法でGPCにより行ったところ、その溶出曲線は図1に示すとおりであった。
【0088】
《比較例1》
(1) 上記の参考例(1)で得られたアクリル系ブロック共重合体(1)のみを用いて、上記した方法でプレスシートを作製し、そのプレスシートから5cm×5cmの試験片を切り出し、、該試験片を用いて上記した方法で耐候性試験を行い、THFに不溶性の高分子量体の生成量、色調の変化および硬度の変化を上記した方法で調べたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(2) また、この比較例1で用いたアクリル系ブロック共重合体(1)よりなる試験片について、THF可溶分の分子量測定(分子量分布の調査)を、上記した方法でGPCにより行ったところ、その溶出曲線は図2に示すとおりであった。
【0089】
【表1】
Figure 0004350427
【0090】
上記の表1の結果にみるように、紫外線吸収剤[ベンゾトリアゾール系化合物(i−a)または(i−b)]およびピペリジン系化合物(ii)を含有する実施例1〜4のアクリル系ブロック共重合体組成物から得られた成形品(シート;試験片)は、紫外線吸収剤を含まないアクリル系ブロック共重合体(1)から得られた比較例1の成形品(シート;試験片)に比べて、耐候性試験後におけるTHF不溶性の高分子量体の生成量が大幅に少なく、しかも色調および硬度の変化が少なく、耐候性試験後も当初の物性を良好に維持しており、耐候性に優れている。
また、実施例1および実施例2の結果に見るように、ベンゾトリアゾール系化合物(i)におけるベンゾトリアゾール部のベンゼン環にハロゲン置換基を有する化合物[ベンゾトリアゾール系化合物(i−a)][上記の式(i)においてR1が塩素原子でmが1であるベンゾトリアゾール系化合物]を用いた実施例1の場合には、ベンゾトリアゾール部のベンゼン環にハロゲン置換基を持たないベンゾトリアゾール系化合物(i−b)を用いた実施例2の場合に比べて、その耐候性が一層向上している。かかる結果から、本発明で紫外線吸収剤として好ましく用いられるベンゾトリアゾール系化合物(i)では、そのベンゾトリアゾール部のベンゼン環にハロゲン置換基を有するものは、アクリル系ブロック共重合体に対する耐候性の向上効果に一層優れていることがわかる。
【0091】
さらに、図1および図2の結果にみるように、紫外線吸収剤を含まないアクリル系ブロック共重合体のみからなる比較例1では、経時的に不溶性の高分子量体が多量に生成し、曝露試験1000時間経過後にはアクリル系ブロック共重合体の殆どがTHFに不溶になってしまい、主体ピークがGPCから観測されなかった。それに対して、紫外線吸収剤[ベンゾトリアゾール系化合物(i−a)]およびピペリジン系化合物(ii)を含有する実施例1のアクリル系ブロック共重合体組成物から作製した試験片では、曝露試験1000時間経過後も分子量および分子量分布に殆ど変化が無く、耐候性試験の前と後とで、物性に殆ど変化を生じておらず、耐候性に極めて優れている。
【0092】
《実施例5》[窓枠部材の作製]
参考例1のスケールを1000倍にアップして参考例1と同様の条件で合成したアクリル系ブロック共重合体PMMA−PnBA−PMMA[第1のPMMAブロックのMwが10,100、Mw/Mnが1.06であり、トリブロック共重合体全体のMwが75,000、Mw/Mnが1.05であり、各重合体ブロックの割合がPMMA(15質量%)−PnBA(70質量%)−PMMA(15質量%)]を実施例1と同じ配合で溶融混練して得られたアクリル系ブロック共重合体組成物、および極性を有する重合体であるABS樹脂(東レ株式会社製「トヨラック600」)を使用し、実施例1のアクリル系ブロック共重合体組成物を40mmφ短軸押出機にて溶融混練し(溶融混練温度180℃)、一方ABS樹脂を65mmφ短軸押出機にて溶融混錬し(溶融混練温度190℃)、両者を異形ダイ(180℃)を通して共押出しし、水冷却後、サイジングして、中空形状を有するアクリル系ブロック共重合体組成物部分と略T字型形状を有するABS樹脂部分とからなる内部が中空な窓枠部材を作製し、写真撮影した(図3)。それにより得られた窓枠部材は、図3の写真に見るように、アクリル系ブロック共重合体組成物からなる成形部とABS樹脂からなる成形部とがアクリル系ブロック共重合体組成物製の成形部の両端(両側)で強固に接着一体化していた。この実施例5で作製した図3に示す中空形状を有する窓枠部材のような複合部材は、自動車、建材などの用途に広く用いられるものであり、この実施例5の結果および実施例1〜4における良好な耐候性試験の結果から、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物が自動車や建材などのような屋外で使用される部材の製造に適することが裏付けられる。
【0093】
【発明の効果】
ベンゾトリアゾール系化合物(i)からなる紫外線吸収剤およびピペリジン系化合物(ii)を含有し、場合によりフェノール系化合物(iii)および/またはホスファイト系化合物(iv)を更に含有する本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は耐候性に極めて優れており、そのため本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物を用いて製造した成形品や各種製品は、屋外で長期にわたって使用しても、柔軟性の低下および変色が生じず、良好な状態を維持する
そのため、本発明のアクリル系ブロック共重合体組成物は、そのような特性を活かして、組成物単独で、または極性を有する重合体などのような他の部材と組み合わせて、自動車用部材や建材などのような屋外で使用されることの多い部材などとして、多数の用途に有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたアクリル系ブロック共重合体組成物よりなる試験片についてのTHF可溶分のGPCによる溶出曲線を示す図である。
【図2】比較例1で用いたアクリル系ブロック共重合体(1)よりなる試験片についてのTHF可溶分のGPCによる溶出曲線を示す図である。
【図3】アクリル系ブロック共重合体組成物とABS樹脂を用いて共押出しを行って得られた実施例5の窓枠部材を撮影した写真である。

Claims (11)

  1. アクリル酸エステル系重合体(A1)からなる重合体ブロック(I)の少なくとも1個と、アクリル酸エステル系重合体(A1)とは異なる構造を有するアクリル酸エステル系重合体(A2)またはメタクリル酸エステル系重合体(B)からなる重合体ブロック(II)の少なくとも1個を有するアクリル系ブロック共重合体に
    下記の式(i);
    Figure 0004350427
    [式中、R 1 は1価の置換基、R 2 は1価の置換基または結合手(−)を示し、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数であり、mが2以上の整数のときに2個以上のR 1 は同じであってもまたは異なっていてもよく、nが2以上の整数のときに2個以上のR 2 は同じであってもまたは異なっていてもよい。]
    で表される構造を分子中に少なくとも一部として有するベンゾトリアゾール系化合物からなる紫外線吸収剤;および、
    下記の式(ii);
    Figure 0004350427
    [式中、R 3 は水素原子または1価の有機基、R 4 は1価の置換基または結合手(−)を示し、pは0〜3の整数であり、pが2以上の整数のときに2個以上のR 4 は同じであってもまたは異なっていてもよい。]
    で表される構造を分子中に少なくとも一部として有するピペリジン系化合物;
    を含有させたことを特徴とするアクリル系ブロック共重合体組成物。
  2. 下記の式(iii);
    Figure 0004350427
    [式中、R5は水素原子または1価の炭化水素基、R6は1価の置換基または結合手(−)を示し、qは0〜4の整数であり、qが2以上の整数のときに2個以上のR6は同じであってもまたは異なっていてもよい。]
    で表される構造を分子中に少なくとも一部として有するフェノール系化合物;および
    下記の式(iv);
    Figure 0004350427
    (式中、R7は置換または非置換の芳香族基、R8およびR9はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、R7とR8またはR9は互いに結合してホスファイトを構成しているリン原子および酸素原子と共に環を形成していてもよく、R8とR9は互いに結合してホスファイトを構成しているリン原子および酸素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で表されるホスファイト系化合物;
    から選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含有する請求項に記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
  3. アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して上記したベンゾトリアゾール系化合物よりなる紫外線吸収剤を0.01〜5質量部の割合で含有する請求項1または2に記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
  4. アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、上記したピペリジン系化合物を0.01〜5質量部の割合で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
  5. アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、上記したピペリジン系化合物と、上記したフェノール系化合物および/またはホスファイト系化合物を、当該ピペリジン系化合物と、フェノール系化合物および/またはホスファイト系化合物の合計で0.01〜5質量部の割合で含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
  6. アクリル系ブロック共重合体を構成する重合体ブロック(II)が、メタクリル酸エステル系重合体(B)からなる重合体ブロックである請求項1〜のいずれか1項に記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
  7. アクリル系ブロック共重合体が、式:(A1)−(B)で表されるジブロック共重合体、式:(A1)−(A2)−(B)で表されるトリブロック共重合体、および式:(B)−(A1)−(B)で表されるトリブロック共重合体[但し、前記式中(A1)はアクリル酸エステル系重合体(A1)からなる重合体ブロック、(A2)は(A1)とは異なる構造のアクリル酸エステル系重合体(A2)からなる重合体ブロック、(B)はメタクリル酸エステル系重合体(B)からなる重合体ブロックを示し、−は各重合体ブロックの結合手を示す。]より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体である請求項1〜のいずれか1項に記載のアクリル系ブロック共重合体組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリル系ブロック共重合体組成物を用いた屋外用部材。
  9. 自動車部材または建築部材である請求項8に記載の屋外用部材。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリル系ブロック共重合体組成物よりなる部位と極性を有する重合体よりなる部位が互いに接着してなる請求項8または9に記載の屋外用部材。
  11. 極性を有する重合体が、ABS樹脂、AS樹脂、アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン系共重合体、アクリロニトリル・アクリレート・スチレン系共重合体、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリオキシメチレンおよびポリエステルから選ばれる1種または2種以上の重合体である請求項10に記載の屋外用部材。
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