JP3017345B2 - 耐擦傷性の改良された高分子量ポリカーボネートシート及びその製造法 - Google Patents
耐擦傷性の改良された高分子量ポリカーボネートシート及びその製造法Info
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Description
傷性、加工性、耐候性、耐溶剤性に優れた着色の少ない
ポリカ−ボネ−トシ−ト及びそれを製造するための新規
な方法に関するものであり、ガラス代替のグレ−ジング
用途、積層用途に特に適したポリカ−ボネ−トに関する
ものである。
ングプラスチックの1つであり、耐衝撃性、透明性、寸
法安定性に優れている。この特徴を生かしたポリカ−ボ
ネ−トシートが製造され、グレ−ジング分野を中心に使
用されている。また最近では、ガラスや、他のプラスチ
ックシ−トと接着用の中間フィルムを介して積層した積
層シ−トが増加している。
性に劣るという欠点を有しており、その使用が制限され
ていた。従来より、この欠点を改良する方法が研究され
ており、主に各種ハ−ドコ−ト剤の塗布による改良が試
みられている。ハ−ドコ−ト剤としては、無機系ではシ
リコ−ン系ハ−ドコ−ト剤があり、有機系ではウレタン
塗料を加熱硬化するタイプと、多官能アクリル系塗料を
紫外線硬化するタイプとが知られている。
が高く、塗膜物性に優れているものの、生産性、経済性
に劣る為に高級高性能用途に主に使用されている。紫外
線硬化タイプの多官能アクリル系塗料は生産性に優れる
ものの、取扱い性が不便で、反応開始剤が耐候性に影響
をあたえる欠点と塗膜の可とう性が劣るために真空成
形、加圧成形、折り曲げ成形等のシ−トの加工性に劣る
欠点がある。
塗膜の可とう性に優れ、取扱いが容易であるものの、そ
の溶剤の多くがトルエン、キシレン、酢酸エチル等であ
り、通常のポリカ−ボネ−トでは、これらの溶剤に侵さ
れ、物性が極端に低下するのでこのようなウレタン塗料
はポリカ−ボネ−トシ−トへの塗布は不向きであると考
えられていた。
−トの主流は紫外線硬化タイプの多官能アクリル系塗料
塗布シ−トになっている。しかしながら、紫外線硬化タ
イプの多官能アクリル系塗料は、前記のような問題が残
っており、加熱硬化タイプのウレタン塗料でハ−ドコ−
トされた耐擦傷性に優れたポリカ−ボネ−トシ−トが待
ち望まれていた。
−トするには、耐溶剤性が高く、トルエン、キシレン、
酢酸エチル等の溶剤で塗布しても表面が侵されないポリ
カ−ボネ−トシ−トが必要である。しかしながら、従来
提供されているポリカ−ボネ−トシ−トは、重量平均分
子量が30000前後(プラスチックス、35巻、No
3、14頁)のものであり、耐溶剤性が不十分で、この
塗装には耐えられない。
70000以上に増加させると耐溶剤性が向上すること
が知られている。しかしながらこのように高分子量のポ
リカーボネートは、溶融粘度が高く通常の温度では押出
成形ができないため、高温で押し出す必要があり、溶融
押出時にポリカーボネートの劣化や着色が生じたり、分
子量の大幅な低下、押出機の腐食の発生等好ましくない
事態を招来していた。又、圧縮成形においてもガス抜き
を容易にするために高温が必要であり、同様にポリカー
ボネートの劣化や着色、分子量の大幅な低下を免れなか
った。
る方法として、耐溶剤性に優れる高分子量ポリカ−ボネ
−トを通常の分子量のポリカ−ボネ−トと混合して押出
機による成形を可能にする方法(特公昭61−5786
0号公報)、分子内に分枝鎖を導入して耐溶剤性を改良
する方法(特公昭53−28193号公報)などが提案
されている。
分子量ポリカ−ボネ−トの配合比率が多いと成形性が低
下するし、配合比率が少ないと耐溶剤性の改良硬化が不
十分となり、耐溶剤性と成形性のバランスに優れたもの
が得られにくい。一方、後者の分枝鎖を導入する方法で
は、耐溶剤性は向上するものの、耐衝撃性が低下すると
いう欠点がある。
れ、加熱硬化タイプのウレタン塗料でハ−ドコ−ト可能
なポリカ−ボネ−トシ−トは得られてなく、従って、耐
擦傷性、加工性、耐候性に優れた着色の少ないポリカ−
ボネ−トシ−トも得られていないのが実状である。
事情のもとで、着色がなく、耐擦傷性、加工性、耐候性
の優れた高分子量ポリカ−ボネ−トシ−トを提供するこ
とを目的としてなされたものである。
ましい性質を有する高分子量ポリカ−ボネ−トシ−トを
開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の分子量を有
し、かつ実質的に塩素原子を含有しない高分子量芳香族
ポリカ−ボネ−トからなるシ−トの表面にポリウレタン
塗料を塗布したシ−トが、着色が少なく、耐擦傷性、加
工性、耐候性に優れることを見いだし、この知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
分とポリオール成分とからなる2成分硬化型ポリウレタ
ン系塗料が塗布された、重量平均分子量40000以上
であり、実質的に塩素原子を含まない高分子量芳香族ポ
リカーボネートよりなる厚み0.01〜15mmである
耐擦傷性の改良された高分子量ポリカーボネートシート
及びその製法を提供するものである。以下、本発明を詳
細に説明する。
は、重量平均分子量が40000以上であり、かつ実質
上塩素原子を含有しない高分子量芳香族ポリカ−ボネ−
トから成るものであって、該高分子量芳香族ポリカ−ボ
ネ−トは、下記化1で表わされる構造を有している。
としては、例えば、下記化2に示されるもの等を挙げる
ことができる。
化4に示されるもの等が挙げられる。
が好ましく、特に前記一般式(I)において、下記化6
で表される繰り返し単位を85モル%以上含有するもの
が好適である。
40000以上であることが必要であり、この重量平均
分子量が40000未満では耐溶剤性に劣るために、ポ
リウレタン系塗料の塗布により、クラックや白化が発生
する。通常は、重量平均分子量が50000から150
000のポリカ−ボネ−トが好適に用いられる。さら
に、該ポリカ−ボネ−トは実質上塩素原子を含有してい
ないことが必要である。ここで実質上塩素原子を含有し
てないこととは、塩素含有量が測定限界値以下のことを
意味する。すなわち、燃焼法による測定で塩素原子含有
量が0.002重量%以下、硝酸銀滴定法による測定で
Cl- の含有量が0.00002重量%以下である。
公知の方法、例えばホスゲン法や溶融法で製造すること
ができるが、ホスゲン法の場合、重合体が高分子量にな
ると重合反応液の溶液粘度が上昇し、重合体の重合溶液
からの取り出しや、精製が困難であるし、一方溶融法の
場合、重合体が高分子量になると溶融粘度が上昇するた
め、強力なかくはんを必要とし、工業的には重量平均分
子量が30000程度のものしか得られず、適当でな
い。
が先に見い出した固相重合法(特開平1−158033
号公報)を挙げることができ、この方法によると実質上
塩素原子を含まない高純度の高分子量ポリカ−ボネ−ト
を容易に製造することができる。本発明のシ−トは、前
記の高分子量芳香族ポリカ−ボネ−トを溶融押し出し又
は溶融圧縮によりシ−ト状に成形した後、ポリウレタン
系塗料を塗布、硬化させることにより製造することがで
きるが、この際、該ポリカ−ボネ−トに亜リン酸ジエス
テル及び、必要に応じてその他の添加剤を添加してシ−
ト状に溶融成形することが好ましい。
化7で表わされる化合物を用いることができる。
において、アルキル基としては、例えばエチル基、ブチ
ル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキ
シル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタ
エリスリト−ル基、ステアリル基などが挙げられ、アリ
−ル基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが
挙げられる。また、アルキルアリ−ル基としては、例え
ばトリル基、p−第三ブチルフェニル基、2,4−ジ−
第三ブチルフェニル基、p−ノニルフェニル基、ジノニ
ルフェニル基などが挙げられる。
酸ジエステルの具体例としては、ジフェニルハイドロゲ
ンホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ハイドロゲン
ホスファイト、ビス(2,4−ジ−第三ブチルフェニ
ル)ハイドロゲンホスファイトなどが挙げられる。さら
に、亜リン酸ジエステルとしては前記一般式(III)
で表わされるもの以外に、例えば下記化8で表わされる
化合物も用いることができる。
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その
添加量は、前記高分子量ポリカ−ボネ−ト100重量部
当り、0.0005〜0.15重量部、好ましくは0.
0005〜0.009重量部の範囲で選ばれる。この量
が0.0005重量部未満では溶融加工時の熱安定性が
不十分であって、分子量が低下するおそれがあるし、
0.15重量部を超えると得られたベ−スとなる未塗装
シ−ト及び本発明シ−トの耐熱水性(耐スチ−ム性)が
低下する傾向がみられる。
−ト及び本発明シ−トの長期耐熱老化性の改善のため
に、所望に応じ、前記亜リン酸ジエステルとともに、フ
ェノ−ル系抗酸化剤、亜リン酸トリエステル及び有機ホ
スファイトの中から選ばれた少なくとも1種を、該高分
子量ポリカ−ボネ−トに添加して溶融成形してもよい。
該フェノ−ル系抗酸化剤としては、例えば下記化9で表
わされる化合物を用いることができる。
ては、例えば2,6−ジ−第三ブチル−p−クレゾ−
ル、2,6−ジ−第三ブチル−p−アニソ−ル、2,6
−ジ−第三ブチル−4−エチルフェノ−ル、2,2′−
メチレンビス(6−第三ブチル−p−クレゾ−ル)、
2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチル
フェノ−ル)、4,4′−メチレンビス(6−第三ブチ
ル−o−クレゾ−ル)、4,4′−ブチリデンビス(6
−第三ブチル−m−クレゾ−ル)、テトラキス−〔メチ
レン−3−(3′,5′−ジ−第三ブチル−4′−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネ−ト〕メタン、4,4′−
チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾ−ル)、ステア
リル−β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネ−ト、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)
ブタン、トリエチレングリコ−ル−ビス〔3−(3−第
三ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネ−ト〕などが挙げられるが、好ましいフェノ−ル
系抗酸化剤としては、下記化10で表わされる化合物を
挙げることができる。
ラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−第三ブチ
ル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト〕メタ
ン、ステアリル−β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、トリエチレング
リコ−ルビス〔3−(3−第三ブチル−5−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト〕などが挙げら
れる。
えば下記化11で表わされる化合物を用いることができ
る。
及びR11において、アルキル基としては、例えばエチル
基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エ
チルヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル
基、ペンタエリスリト−ル基、ステアリル基などが挙げ
られ、アリ−ル基としては、例えばフェニル基、ナフチ
ル基などが挙げられる。また、アルキルアリ−ル基とし
ては、例えばトリル基、p−第三ブチルフェニル基、
2,4−ジ−第三ブチルフェニル基、p−ノニルフェニ
ル基、ジノニルフェニル基などが挙げられる。
酸トリエステルの好ましいものとしては、例えばトリス
(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト、ト
リスノニルフェニルホスファイト、トリスジノニルフェ
ニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ビス
(ノニルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジホスファ
イト、ビス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ペンタ
エリスリト−ル−ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−
第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−
ルジホスファイトなどが挙げられる。
4,4′−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス
(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)などが挙げられ
る。これらのフェノ−ル系抗酸化剤、亜リン酸トリエス
テル及び有機ホスファイトは、それぞれ単独で用いても
よいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その添
加量は、前記高分子量ポリカ−ボネ−ト100重量部当
り、0.005〜0.1重量部の範囲で選ばれる。この
量が0.005重量部未満ではベ−スとなる未塗装シ−
ト及び本発明シ−トの長期耐熱老化性の改善が十分に発
揮されない。
重量部を超えるとシ−トの長期耐熱老化性テストの際に
着色が生じるようになるし、亜リン酸トリエステルや有
機ホスファイトの場合、0.1重量部を超えるとベ−ス
となる未塗装シ−ト及び本発明シ−トの耐熱水性(耐ス
チ−ム性)が低下する傾向がみられる。本発明で用いら
れるポリウレタン塗料は、ジイソシアネ−ト成分とポリ
オ−ル成分からなる2成分硬化型ポリウレタン塗料であ
る。
2、化13に示すような芳香族、脂肪族又は脂環族系ジ
イソシアネ−ト化合物が使用できる。中でも、脂肪族又
は脂環族系ジイソシアネ−トがポリウレタン塗膜の耐候
性に優れ、好ましく用いられる。特に、ヘキサメチレン
ジイソシアネ−トが水和したビュレットタイプや、ヘキ
サメチレンジイソシアネ−トをイソシアヌレ−ト化した
ものが好適に使用できる。
−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリエーテルポリオー
ル、フッ素系ポリオ−ル、ポリカ−ボネ−トポリオ−ル
が使用できる。本発明に用いるポリウレタン塗料の溶剤
は、一般にポリウレタン塗料に多く用いられているトル
エン、キシレン、酢酸エチル等の溶剤をはじめ、脂肪族
系炭化水素、芳香族系炭化水素、アルコ−ル類、エステ
ル類、ケトン類等の各種溶剤が広く使用できる。
は、染料や顔料等の着色剤や酸化防止剤、耐熱安定剤、
耐候剤等の添加剤を加えることもできる。次に、本発明
シ−トの製造方法について説明すると、重量平均分子量
が40000以上の高分子量芳香族ポリカ−ボネ−トと
しては、一度押出造粒したものを用いてもよいが、熱履
歴を少なくするために、重合で得られたものを直接溶融
押出し又は溶融圧縮してシ−トを成形するのが有利であ
る。
リン酸ジエステル及び場合により用いられるフェノ−ル
系抗酸化剤や亜リン酸トリエステルや有機ホスファイト
とは、均質に混合することが重要であり、例えばヘンシ
ェルミキサ−、ナウタ−ミキサ−、タンブラ−などを用
いて混合するのが望ましい。なお、亜リン酸ジエステル
の添加量が少ないので、各添加剤をいったん低沸点溶媒
に希釈し、ポリマ−に添加したのち、該溶媒を加熱、又
は減圧等により除去してもよい。この混合物を溶融押出
成形または溶融圧縮成形することにより、本発明シ−ト
のベ−スとなる未塗装シ−トが得られる。
子量の低下が極めて少なく、したがって、高分子量芳香
族ポリカ−ボネ−トの分子量を制御することにより、所
望の分子量を持つシ−トが容易に得られる。これは、使
用する高分子量ポリカ−ボネ−トが実質上塩素原子を含
有しないことと、本発明で用いる安定剤によるものと思
われる。
トに2成分硬化型ポリウレタン塗料を塗布、硬化して得
られる。この未塗装シ−トへのポリウレタン塗料の塗布
は、一般に、刷毛塗りやスプレ−塗装、ディップ法、ロ
−ル法のような方法が用いられ、塗膜の硬化は用いた塗
料により異なるが、通常は、50℃〜120℃で、10
〜120分間の範囲で硬化される。また、シ−ト成形か
らポリウレタン塗装までの工程が連続の場合は問題ない
が、非連続の場合はシ−ト表面のごみをイソプロパノ−
ルのような溶剤で洗浄することもできる。またポリウレ
タン塗装前に、ベ−スとなるシ−トを塩化ビニル樹脂プ
ライマ−や、アクリル樹脂プライマ−で、処理すること
もできる。
あり、数μm〜100μmが多く用いられている。ま
た、ポリウレタン塗料の塗布は、耐擦傷性の要求される
シ−ト面に行い、シ−トの片面でも両面でも可能であ
る。このようにして得られた本発明の耐擦傷性の改善さ
れた高分子量ポリカ−ボネ−トシ−トは、厚さが0.0
1〜15mmの範囲にあり、用途に応じて適当に選ぶこ
とができる。
もに、耐候性に優れるために屋外用途向けに使用でき
る。また、ポリウレタン塗膜は可とう性に優れるため
に、シ−トの真空成形、加圧成形、折り曲げ成形等の加
工時の延伸に追随可能で、シ−トの加工成形性に優れ
る。従って、最終製品のデザインの自由度が大きくとれ
るという特徴を有する。また本発明シ−トは、押出時に
おける着色が少なく、塗装後の3mm厚のシ−トをCI
ELAB法で測定したb* 値が通常5以下である。
高分子量ポリカ−ボネ−トを用いているため、ポリウレ
タン非塗装面でも耐溶剤性が高く、従来溶剤によりクラ
ックが生じて使用できなかった用途にも使用が可能であ
る。さらに最近増加している積層シ−ト分野でも、可塑
剤に対する耐性が良好であるので、可塑剤を大量に含む
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラ−
ル、ポリビニルホルマ−ルなどの樹脂との積層におい
て、クラックや白化が生じないため極めて有利である。
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、分子量の測定はゲルパ−ミエ−
ションクロマトグラフィ−(以下GPCと略す。)を使
用し、測定条件は下記の方法によった。
ルを使用し、標準単分散ポリスチレンの較正曲線から、
下記式(1)による換算分子量較正曲線を用いた。 式(1); MPC=0.359MPS 1.0388 (式中MPCはポリカ−ボネ−トの分子量で、MPSはポリ
スチレンの分子量である。)着色はCIELAB表色系
のb* 値を用い、色彩色差計CR−200B(ミノルタ
社製)にて、シ−トを標準白色板(b* =2.6)上に
置き測定した。
=24、Tダイを用いた。耐擦傷性の評価は、落砂摩耗
試験(ASTM D673−70)にて行い、♯80カ
−ボランダム 400gを25インチの高さより45°
の試験片面に落とした後のヘイズの増加〔ΔHaze=
Haze(試験後)−Haze(試験前)〕を測定し
た。
メ−タ−(HGM−3DP)を用いた。耐候性は、アト
ラス社製サンシャインウェザ−メ−タ−(アトラスCi
35)を用い、ブラックパネル温度60℃、照射強度
0.55W/m2 条件で、500時間後のb* 値(厚さ
3mm)で評価した。
(r)=100mmで、90°に折り曲げたときに、塗
膜の状態を観察した。○は異常無し。×はクラックが発
生。
トより製造した数平均分子量3900、末端ヒドロキシ
ル基48モル%、末端フェニルカ−ボネ−ト基52モル
%の塩素化合物を含まない非晶性ポリカ−ボネ−トプレ
ポリマ−10kgを240℃で1mm径のダイスを通し
て、ナイフ刃羽根により500rpmで高速かくはんさ
れている40℃のアセトン12kg中に1時間かけて細
いストランド状で押出し、結晶化と微粉化を同時に行っ
た。得られたた結晶性ポリカ−ボネ−トプレポリマ−の
スラリ−をろ過後、120℃で5時間乾燥した。
量4000、末端ヒドロキシル基48モル%であった。
次に、このプレポリマ−をタ−ンブルドライヤ−に入れ
10Nl/hrの窒素ガスを流しながら回転させて、2
〜3mmHgに減圧し、徐々に昇温して、220℃で2
3時間固相重合を行なった。
は、重量平均分子量が74000であり、塩素原子含有
量は燃焼法による測定限界値以下の0.002重量%以
下であり、またAgNO3 滴定法によるCl- 含量が測
定限界値以下の0.00002重量%以下であった。次
に、このポリカ−ボネ−ト9kgに、ビス(ノニルフェ
ニル)ハイドロゲンホスファイト90mg及びトリス
(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト1.
98gをアセトンに溶かして加え、ヘンシェルミキサ−
でかくはん混合を行ったった。
℃で溶融押出しを行い、厚さ3mmの未塗装シ−トを作
成した。このシ−トの重量平均分子量は73000であ
り、押出しによる分子量低下は小さかった。この未塗装
シ−トを冷却後、アクリル系ポリウレタン塗料を約10
μm厚でスプレー塗装し、30分室温乾燥後、120℃
で30分硬化し、本発明シ−トを得た。イソシアネ−ト
成分としてはヘキサメチレンジイソシアネ−トを3量化
したイソシアヌレ−ト〔旭化成工業(株)製、TPA1
00〕を32重量部、ポリオ−ル成分としてアクリル系
ポリオ−ル(大日本インキ化学工業(株)製、アクリデ
ィックA−801)を100重量部、溶剤としてはトル
エン/酢酸ブチル(50/50)の混合溶剤を100重
量部、用いた。
す。
ポリウレタン塗料をスプレ−塗装した。塗料はルミフロ
ン LF−302Cセット(キシレン溶剤)〔旭硝子
(株)製、商品名〕を用いた。得られた本発明シ−トの
特性を表1に示す。
わない以外は、実施例1と同様に実施した。得られたシ
−トの特性を表1に示す。
−トシ−ト(重量平均分子量=34000、厚さ3m
m、燃焼法による塩素原子含有量=0.005重量%)
を用いる以外は、実施例1と同様に実施した。ポリウレ
タン塗装硬化後、シ−ト表面に多数のクラックが入って
いた。
化型アクリル塗料をスプレ−塗装した。塗料はユニディ
ック17−806〔大日本インキ化学工業(株)製、商
品名〕を使用し、予備乾燥を60℃5分、硬化を4kW
紫外線ランプを用い、照射距離15cm、照射時間5秒
で行った。得られたシ−トの特性を表1に示す。
えた以外は、実施例1と同様にして重量平均分子量96
000のポリカ−ボネ−トを得た。このものの塩素原子
含有量は燃焼法による測定限界値以下の0.002重量
%以下、AgNO3 滴定法によるCl- 含量は、測定限
界値以下の0.00002重量%であった。
フェニルハイドロホスファイト60mg及びステアリル
−β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネ−ト(Irganox 1076、チ
バガイギ−社製)1.8gをアセトンに溶かして加え、
ヘンシェルミキサ−で攪拌混合した後この混合物を34
0℃で実施例1と同様に押出機を用いて溶融押出を行
い、厚さ3mmの未塗装シ−トを作成した。この未塗装
シ−トの重量平均分子量は94500であり、分子量低
下は小さかった。
様にポリウレタン塗装を行い、本発明シ−トを得た。得
られた本発明シ−トの特性を表1に示す。
gに、ビス(ノニル)ハイドロゲンホスファイト40m
g及びステアリル−β−(3,5−ジ−第三ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト(Irgano
x 1076、チバガイギ−社製)0.7gをアセトン
に溶かして加え、ヘンシェルミキサ−で攪拌混合した
後、この混合物を350℃×200kg/cm2 Gで1
0分間圧縮成形して、厚さ3mmの未塗装シ−トを得
た。この未塗装シ−トの重量平均分子量は93800で
あり、分子量以下は小さかった。
リウレタン塗装を行い、本発明シ−トを得た。得られた
本発明シ−トの特性を表1に示す。
gに、ビス(ノニル)ハイドロゲンホスファイト30m
g及びトリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホス
ファイト0.18gをアセトンに溶かして加え、ヘンシ
ェルミキサ−で攪拌混合を行った。
ットを得た。得られたペレットを340℃で実施例1と
同様にして、厚さ3mmの未塗装シ−トを作成した。こ
の未塗装シートの重量平均分子量は94000であり、
分子量の低下は小さかった。この未塗装シ−トを冷却
後、実施例1と同様にポリウレタン塗装を行ない、本発
明シ−トを得た。得られた本発明シ−トの特性を表1に
示す。
ポリカ−ボネ−トシ−トは、着色が少なく、耐擦傷性、
耐候性、シ−トの加工性に優れるため、デザインの自由
度の大きい最終製品を作れるとともに、要求特性の厳し
い屋外用途向けにも使用できる。また、非塗装面の耐溶
剤性にも優れることから、可塑剤を多く含む各種重合体
との積層用としても好適である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ジイソシアネート成分とポリオール成分
とからなる2成分硬化型ポリウレタン系塗料が塗布され
た重量平均分子量40000以上で、実質的に塩素原子
を含まない高分子量芳香族ポリカーボネートよりなる厚
み0.01〜15mmである耐擦傷性の改良された高分
子量ポリカーボネートシート。 - 【請求項2】 重量平均分子量40000以上で、実質
的に塩素原子を含まない高分子量芳香族ポリカーボネー
トを溶融押出成形又は溶融圧縮成形によりシート状に成
形した後、ジイソシアネート成分とポリオール成分とか
らなる2成分硬化型ポリウレタン系塗料を塗布すること
を特徴とする、厚み0.01〜15mmである耐擦傷性
の改良された高分子量ポリカーボネートシートの製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3330843A JP3017345B2 (ja) | 1991-12-13 | 1991-12-13 | 耐擦傷性の改良された高分子量ポリカーボネートシート及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3330843A JP3017345B2 (ja) | 1991-12-13 | 1991-12-13 | 耐擦傷性の改良された高分子量ポリカーボネートシート及びその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05170260A JPH05170260A (ja) | 1993-07-09 |
JP3017345B2 true JP3017345B2 (ja) | 2000-03-06 |
Family
ID=18237159
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3330843A Expired - Lifetime JP3017345B2 (ja) | 1991-12-13 | 1991-12-13 | 耐擦傷性の改良された高分子量ポリカーボネートシート及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3017345B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7372856B2 (ja) * | 2019-08-19 | 2023-11-01 | 積水化学工業株式会社 | 多層管 |
-
1991
- 1991-12-13 JP JP3330843A patent/JP3017345B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05170260A (ja) | 1993-07-09 |
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